(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160522
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】台間機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A63F7/02 352L
A63F7/02 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070939
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000128946
【氏名又は名称】マミヤ・オーピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】川橋 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 和也
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BB01
2C088DA23
2C088EA22
(57)【要約】
【課題】
専用装置を用意することなく、台間機を遊技台に対して左配置する場合と右配置する場合とで兼用でき、かつ、表示ユニットの回動範囲を配置態様に応じて適切に変更操作することのできる台間機を提供することを課題とする。
【解決手段】
遊技台に対して左又は右に配置可能な台間機であって、前記台間機に対して、ディスプレイが右を向くようにも左を向くようにも取り付けることができ、かつ、鉛直軸を中心として所定の回動範囲で回動可能な表示ユニットと、回動範囲切替のための上下動部材と、を備え、前記表示ユニットは、前記ディスプレイが右又は左のうち一方を向くように取り付けられた場合と他方を向くように取り付けられた場合とでは、前記上下動部材が上下動することによって、回動範囲が異なるように切り替えられることを特徴とする台間機。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技台に対して左又は右に配置可能な台間機であって、
前記台間機に対して、ディスプレイが右を向くようにも左を向くようにも取り付けることができ、かつ、鉛直軸を中心として所定の回動範囲で回動可能な表示ユニットと、
回動範囲切替のための上下動部材と、
を備え、
前記表示ユニットは、前記ディスプレイが右又は左のうち一方を向くように取り付けられた場合と他方を向くように取り付けられた場合とでは、前記上下動部材が上下動することによって、回動範囲が異なるように切り替えられる
ことを特徴とする台間機。
【請求項2】
遊技台に対して左又は右に配置可能な台間機であって、
前記台間機に対して、ディスプレイが右を向くようにも左を向くようにも取り付けることができ、かつ、鉛直軸を中心として所定の回動範囲で回動可能な表示ユニットと、
回動範囲切替操作部と、
を備え、
前記表示ユニットは、前記ディスプレイが右又は左のうち一方を向くように取り付けられた場合と他方を向くように取り付けられた場合とでは、前記回動範囲切替操作部を操作することによって、回動範囲が異なるように切り替えられる
ことを特徴とする台間機。
【請求項3】
前記回動範囲切替操作部が適正に操作されていない場合には、
前記表示ユニットを取り付けることができないようにされている
ことを特徴とする請求項2に記載の台間機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やパチスロ機等の遊技台の左側にも右側にも配置可能な遊技媒体を貸出すための台間機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技台に左又は右に配置される遊技媒体を貸出すための所謂台間機と呼ばれる装置は、パチンコ機P’に対して隣接配置される場合は、
図13(a)に示されるように左配置とされ、パチスロ機S’に対して隣接配置される場合は、
図13(b)に示されるように右配置とされるのが普通であり、それぞれパチンコ機用台間機P’U及びパチスロ機用台間機S’Uの専用装置が用意されている。図から理解されるように、パチンコ機P’の場合には、パチンコ機用台間機P’Uから払出される遊技玉を上皿の上流に導くようにノズルが左から延びる構造が適している。パチスロ機S’の場合、メダル払出皿に上下流の別は無いのであるが、左側にヒンジ部のあるパチスロ機を開放する際、分厚い構造の扉を左側に開放する際に、パチスロ機用台間機S’Uのノズルと干渉してしまうことから、右配置とされるのである。
ところで、パチンコ機に対応する台間機については、遊技台の賞球払出装置を玉貸機構として兼用させるようにして、パチンコ玉を払い出すための機構を備えていないものがある。貸出操作がなされると、中継基盤を介して遊技台に信号を送出し、当該信号を受けた遊技台は自身の賞球払出装置からパチンコ玉を貸し出す。この他、遊技者がパチンコ玉に直接接触できない態様で管理する管理遊技機と呼ばれるパチンコ機も存在する。パチスロ機でも同様の提案がされている。すなわち、遊技台の内部で、遊技者が保有するメダルを電子的に管理し、メダルレスで遊技を可能とするメダルレス遊技機と呼ばれるものが提案されている。メダルレス以外にも、パチスロ機のメダル排出機構を利用することも考えられよう。
メダルレス遊技機やパチスロ機のメダル排出機構を利用する態様であれば、ノズルが無いことから遊技台の左に配置して、管理遊技機と共通構成とすることも可能であるが実際にはそう上手くはいかない。パチンカー(パチンコ遊技愛好者)やスロッター(パチスロ遊技愛好者)にとっては、左右それぞれに台間機が配置されていることに長年慣れ親しんできたため、それを変更することには抵抗があるし、慣れ親しんだ遊技スタイルの下では、隣で遊技する者との無用なトラブルを生じさせる虞もある。
その他の理由もある。台間機において、比較的大きめの液晶表示部が設けられるタイプが近年主流となっている。特許文献1に記載の台間機では、遊技者が液晶表示部を視認し易くできるように液晶表示部の表示画面の向きを左右方向に変更可能とされている。この変更可能範囲は、右隣のパチスロ機の分厚い前面扉が開放されても前面扉と液晶表示部が干渉しないように、ディスプレイが裏側を向く位置まで回動できるように設定されるのが普通である。一方、前面扉と液晶表示部の干渉はパチンコ機の場合には問題とならない。パチンコ機も左側にヒンジ部を有するが、台間機は左側に配置されるため、液晶表示部を視認し易くなるように倒し込めば、自ずと前面扉との干渉を避けることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した背景技術により、遊技台が管理遊技機Pやメダルレス遊技機Sとされても、
図14に示すように、管理遊技機用台間機PU及びメダルレス遊技機用台間機SUという専用装置が用意されることが依然として普通である。
図14(a)の管理遊技機Pに対して左配置される管理遊技機用台間機PUの液晶表示部はディスプレイが裏側を向く位置まで回動することはない一方で、
図14(b)のメダルレス遊技機Sに対して右配置されるメダルレス遊技機用台間機SUの液晶表示部はディスプレイが裏側を向く位置まで回動できるようにして、右隣のメダルレス遊技機S(不図示)の分厚い前面扉が開放されても該前面扉と液晶表示部が干渉することを防止できるようにされている。
しかし、遊技媒体の払出機構を備えず、構成部品の殆どを共通化できるのにも関わらず、液晶表示部の回動範囲の違いだけで専用装置を用意するのは無駄が多い。特に、遊技店が新規台の入替に伴い、パチンコ台とパチスロ台の構成比を変更したい場合には、この問題が一層顕著となる。
そこで、本発明は、専用装置を用意することなく、台間機を遊技台に対して左配置する場合と右配置する場合とで兼用でき、かつ、表示ユニットの回動範囲を配置態様に応じて適切に変更操作することのできる台間機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の台間機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
遊技台に対して左又は右に配置可能な台間機であって、前記台間機に対して、ディスプレイが右を向くようにも左を向くようにも取り付けることができ、かつ、鉛直軸を中心として所定の回動範囲で回動可能な表示ユニットと、回動範囲切替のための上下動部材と、を備え、前記表示ユニットは、前記ディスプレイが右又は左のうち一方を向くように取り付けられた場合と他方を向くように取り付けられた場合とでは、前記上下動部材が上下動することによって、回動範囲が異なるように切り替えられることを特徴とする。
また、本発明の台間機は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
遊技台に対して左又は右に配置可能な台間機であって、前記台間機に対して、ディスプレイが右を向くようにも左を向くようにも取り付けることができ、かつ、鉛直軸を中心として所定の回動範囲で回動可能な表示ユニットと、回動範囲切替操作部と、を備え、前記表示ユニットは、前記ディスプレイが右又は左のうち一方を向くように取り付けられた場合と他方を向くように取り付けられた場合とでは、前記回動範囲切替操作部を操作することによって、回動範囲が異なるように切り替えられることを特徴とする。
ここで、「回動範囲が異なるように切り替えられる」とは、回動範囲の始点と終点のうち、少なくとも一つの角度位置が異なるように切り替え設定されることを意味する。すなわち、始点と終点が共に異なるようにされた結果、回動範囲に対応する角度の大きさのトータルとしては左右で同じ大きさになる態様も含まれる。ただし、左右配置の別で、回動範囲が鉛直軸に対して線対称となっている態様は含まれない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の実施形態に係る台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)は管理遊技機に対して配置する態様を、(b)はメダルレス遊技機に対して配置する態様を示している。
【
図2】本発明の実施形態に係る台間機及び対応する管理遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は台間機のみの上面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る台間機及び対応するメダルレス遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は台間機のみの上面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る台間機の左後方斜視図であり、(a)及び(b)は左配置時の態様を、(c)及び(d)は右配置時の態様を示している。
【
図5】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの左側面図であり、(a)は左配置時の態様を、(b)は右配置時の態様を示している。
【
図6】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの可動軸周りの分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの可動軸周りの斜視図であり、(a)は右配置時の態様を、(b)は左配置時の態様を示している。
【
図8】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に右配置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は左後方斜視図、(b)は背面図、(c)は左側断面図、(d)は上面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に左配置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は左後方斜視図、(b)は背面図、(c)は左側断面図、(d)は上面図である。
【
図10】本発明の別の実施形態に係る台間機における表示ユニットの可動軸周りの分解斜視図である。
【
図11】本発明の別の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に右設置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は回動範囲切替操作部が適正位置にない状態を、(b)は回動範囲切替操作部が適正位置にある状態を示している。
【
図12】本発明の別の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に左設置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は回動範囲切替操作部が適正位置にない状態を、(b)は回動範囲切替操作部が適正位置にある状態を示している。
【
図13】従来の台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)はパチンコ機用の装置を、(b)はパチスロ機用の装置を示している。
【
図14】従来の台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)は管理遊技機用の装置を、(b)はメダルレス遊技機用の装置を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を用いて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
(前提となる台間機の全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応する遊技機の正面図であり、(a)は管理遊技機に対して配置する態様を、(b)はメダルレス遊技機に対して配置する態様を示している。図示されるように、管理遊技機Pに対して台間機1が左配置され、メダルレス遊技機Sに対しては台間機1が右配置される。
【0009】
台間機1の上方には、紙幣投入口12が前面に備えられており、内部には、紙幣投入口12に対応する部位に紙幣識別ユニットが配置され、紙幣識別ユニット内部には、紙幣ストッカが配置されている。
【0010】
紙幣投入口12より下方の前面には、液晶表示ユニットから構成される表示ユニット11が設けられている。
図1(a)に示すように、台間機1が左配置される場合には、表示部11Dが正面視において右側に配置され、表示ユニット背面11Bが左側に配置される。一方、
図1(b)に示すように、台間機1が右配置される場合には、表示部11Dが正面視において左側に配置され、表示ユニット背面11Bが右側に配置される。当該表示部11Dは、台間機1の貸出情報や動作状態を表示したり、管理遊技機Pやメダルレス遊技機Sの動作状態の表示やこれらの遊技機と連携した演出上の表示を行ったりする。さらに、表示部11Dは、ホストコンピュータから配信されるテレビ画像や広告画像等の表示も行う。
【0011】
表示ユニット11より下方の前面には、カード投入口13が前面に備えられており、内部には、投入されたプリペイドカード又は会員カードの情報の読込ないし書込を行うカードリーダーライターユニットが配置されている。これらのユニットの空いたスペースには、制御ユニットが配置されている。制御ユニットは、図示されない中継基板を介して、遊技店に設置されたホストコンピュータや、自身が遊技媒体の貸出を受け持つ管理遊技機Pやメダルレス遊技機Sとの間で通信を行う。
【0012】
表示ユニット11とカード投入口13の間には、遊技媒体の貸出を受けるための貸出スイッチ13a、カードを返却するための返却スイッチ13b、貯玉、持ち球を払い出すための再プレイスイッチ13cの3つのスイッチが設けられている。なお、これら3つのスイッチに代えて若しくは加えて、表示ユニット11のディスプレイをタッチパネルとして、種々の操作を行えるように構成してもよい。
【0013】
上方には、筐体全体を前方に引き出す際に引き出しを容易とするためのフック部14が設けられている。フック部14は、台間機1が使用されている通常時においては利用されず、台間機1のメンテナンス時や紙幣の回収時においてのみ利用される。遊技場の関係者である店員等が、図示しない引き出し用治具を引っかけて筐体全体を前方に引き出す等の作用を行えるようにするためのものである。なお、フック部14の形状は、引き出し用治具を引っかけることのできる形状とされているが、手や指で容易に抓める形状であっても良い。
【0014】
(本発明の特徴的な構成)
本発明の実施形態に係る台間機の特徴的な構成は、
図2~5を通してみると、よく理解することができる。
図2は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応する管理遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は台間機のみの上面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る台間機及び対応するメダルレス遊技機を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は台間機のみの上面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る台間機の左後方斜視図であり、(a)及び(b)は左配置時の態様を、(c)及び(d)は右配置時の態様を示している。
図5は、本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの左側面図であり、(a)は左配置時の態様を、(b)は右配置時の態様を示している。
【0015】
図2に示されるように、管理遊技機Pの左側に台間機1が配置される場合は、表示ユニット11を左側に倒すことによって、右側に着席する遊技客からの視認性を高めるようにされる。この状態で、管理遊技機Pの前面扉を開放しても、
図2(a)及び(b)に示すように、前面扉との干渉を避けることができる。一方、左に隣接する管理遊技機P(不図示)の前面扉を開放しても、表示ユニット11が装置本体の前面に対して垂直となる位置に起こされていれば、前面扉と表示ユニット11が干渉することはない。このようなことから、台間機1が左配置される場合の表示対11の回動範囲は、表示部11Dが寝た視認位置から装置本体の前面に対して垂直となる位置までに規制されている。なお、左配置の場合に、表示ユニット11は、
図2(c)に示すように、回動軸に対してやや右側に偏倚することになる。
【0016】
図3に示されるように、メダルレス遊技機Sの右側に台間機1が配置される場合は、表示ユニット11を右側に倒すことによって、左側に着席する遊技客からの視認性を高めるようにされる。前述したようにメダルレス遊技機Sの前面扉は分厚いため、表示ユニット11が装置本体の前面に対して垂直となる位置に起こされても十分でなく、右に隣接するメダルレス遊技機Sの前面扉と表示ユニット11が干渉する虞がある。そこで、
図3(c)に示されるように、表示ユニット背面11Bが前方から視認できるようになるまで、表示ユニット11を回動させることが可能とされている。そして、
図3(a)及び(b)に示すように、右に隣接するメダルレス遊技機Sの前面扉を開放させても、前面扉と表示ユニット11が干渉することはない。なお、右配置の場合に、表示ユニット11は、
図3(c)に示すように、回動軸に対してやや左側に偏倚することになる。
【0017】
図4に示すように、表示ユニット11は、正面視においてディスプレイ11Dが右側又は左側の何れにもなるように取り付け変更可能である。変更は、表示ユニット11を、その前後軸を中心にして180度回転させて取り付けることによって行われる。左配置の様子を示しているのが、
図4(a)及び(b)であり、ディスプレイ11Dが右側を表示ユニット背面11Bが左側を向くことになる。右配置の様子を示しているのが、
図4(c)及び(d)であり、ディスプレイ11Dが左側を表示ユニット背面11Bが右側を向くことになる。
【0018】
表示ユニット11を装置本体に取り付けるための取付部11Fは、
図5に示すように、鉛直軸に対して左右非対称の形状とされている。管理遊技機Pに対して台間機1を左配置する場合には、
図5(a)において、「P」と明示された挿通口にねじ止め等され、メダルレス遊技機Sに対して台間機1を右配置する場合には、
図5(b)において、「S」と明示された挿通口にねじ止め等されることになる。周知のとおり、パチンコ機とパチスロ機とでは遊技媒体の単価が異なるのが普通であり、貸出の制御も異ならせる必要がある。本発明の実施形態では、取付部の取付状態を検出する手段を有しており、当該手段の検出結果に応じて、貸出制御の内容を自動的に変更するように構成されている。また、表示部11Dの上下は、左右配置の別に応じて逆になるところ、表示画面制御の内容も自動的に変更される。
【0019】
(本発明の回動範囲切替についての構造)
これまで、台間機1を左配置するか、又は、右配置するかによって、表示ユニット11の回動範囲が異なるように切替設定されることを説明したが、これが具体的にどのように実現されているのかについて説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る台間機1における表示ユニット11の可動軸周りの分解斜視図であるが、可動軸を水平に寝かせた状態で視認した図として描かれている。紙面手前側に描かれた表示ユニット第1可動軸112は、台間機1を左配置した場合に上方に位置することになるが、台間機1を右配置した場合には、表示ユニット第2可動軸113が上方に位置することになる。
【0020】
表示ユニット可動軸受111に、表示ユニット11に固定された表示ユニット第1可動軸112及び表示ユニット第2可動軸113が枢支されることで、表示ユニット11は所定範囲で回動できるように構成されている。表示ユニット第1可動軸112は、第1外突起1121及び第1内突起1122を備えており、表示ユニット第2可動軸113は、第2外突起1131及び第2内突起1132を備えている。これらの突起が、最大回動範囲規制壁1111或いは小回動範囲規制壁1141に当接することで、表示ユニット11は、最大回動範囲ないし小回動範囲での回動となるように、回動が規制される。最大回動範囲規制壁1111は、表示ユニット可動軸受111の内面で、かつ、装置本体の正面視において奥側(紙面では左側)に配置されているため、第1内突起1122が当接することになる。
【0021】
小回動範囲規制壁1141は、本発明の実施形態の特徴的な部品であるところの回動範囲切替のための上下動部材114の外面で、かつ、装置本体の正面視において手前側(紙面では右側)に配置されている。上下動部材114は、鉛直方向上下(紙面では手前と奥)に移動可能である。そして、上下動部材114は、表示ユニット11を、その前後軸を中心にして180度回転させると、その自重によって、
図6の紙面手前側の位置、又は、
図6の紙面奥側の位置の2つの位置を取るように移動する。
【0022】
さらに具体的に、上下動部材114の動作について、
図7~9を用いて説明する。
図7は、本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットの可動軸周りの斜視図であり、(a)は右配置時の態様を、(b)は左配置時の態様を示している。
図8は、本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に右配置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は左後方斜視図、(b)は背面図、(c)は左側断面図、(d)は上面図である。
図9は、本発明の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に左配置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は左後方斜視図、(b)は背面図、(c)は左側断面図、(d)は上面図である。
【0023】
右配置時においては、
図7(a)に示される上下動部材114は上方に位置するため、その自重により紙面奥側に落ち込んでいる。そのため、第1内突起1122及び第2内突起1132(不図示)は、最大回動範囲規制壁1111によって、回動範囲が規制されることになるものの、第1外突起1121(不図示)を規制するものは何もない。結果として、表示ユニット11の回動範囲は最大可動範囲に設定されることになる。一方、左配置時においては、
図7(b)に示される上下動部材114は下方に位置するため、その自重により紙面手前側に落ち込んでいる。そのため、第1外突起1121(不図示)が、小回動範囲規制壁1141によって、回動を規制されることになる。結果として、表示ユニット11の回動範囲は小可動範囲に設定されることになる。
【0024】
図8は、メダルレス遊技機Sに対して台間機1を右配置する場合を示しており、
図8(a)に示すように、ディスプレイ11Dは左側を向くことになる。そして、
図8(b)及び(c)に示すように、上下動部材114は、その小回動範囲規制壁1141が第1外突起1121に対向しない位置に落ち込む格好となる。その結果、表示ユニット11の回動範囲は、
図8(d)に示すように、最大可動範囲に設定される。
【0025】
図9は、管理遊技機Pに対して台間機1を左配置する場合を示しており、
図9(a)に示すように、表示ユニット背面11Bは左側を向くことになる。そして、
図9(b)及び(c)に示すように、上下動部材114は、その小回動範囲規制壁1141が第1外突起1121に対向する位置に落ち込む格好となる。その結果、表示ユニット11の回動範囲は、
図9(d)に示すように、小可動範囲に設定される。
【0026】
(別の実施形態)
最初の実施形態では、上下動部材114は、表示ユニット11を、その前後軸を中心にして180度回転させると、その自重により自然に上下動するものであったが、切り替えるための上下動する部材と軸受けとの間の摩擦を大きくしたり、スライダー部分に適宜の係止点を設ける等して自然落下はしないようにして、作業者の操作により上下動させるように構成したものが本発明の別の実施形態となる。
図10は、本発明の別の実施形態に係る台間機1における表示ユニット11の可動軸周りの分解斜視図であるが、可動軸を水平に寝かせた状態で視認した図として描かれている。紙面手前側に描かれた表示ユニット第1可動軸112は、台間機1を左設置した場合に上方に位置することになるが、台間機1を右設置した場合には、表示ユニット第2可動軸113が上方に位置することになる。
【0027】
表示ユニット可動軸受111に、表示ユニット11に固定された表示ユニット第1可動軸112及び表示ユニット第2可動軸113が枢支されることで、表示ユニット11は所定範囲で回動できるように構成されている。表示ユニット第1可動軸112は、第1外突起1121及び第1内突起1122を備えており、表示ユニット第2可動軸113は、第2外突起1131及び第2内突起1132を備えている。これらの突起が、最大回動範囲規制壁1111或いは小回動範囲規制壁1151に当接することで、表示ユニット11は、最大回動範囲ないし小回動範囲での回動となるように、回動が規制される。最大回動範囲規制壁1111は、表示ユニット可動軸受111の内面で、かつ、装置本体の正面視において奥側(紙面では左側)に配置されているため、第1内突起1122が当接することになる。
【0028】
小回動範囲規制壁1151は、本発明の別の実施形態の特徴的な部品であるところの回動範囲切替のための上下動部材115の外面で、かつ、装置本体の正面視において手前側(紙面では右側)に配置されている。一方、装置本体の正面視において奥側(紙面では左側)には、上下動部材115を鉛直方向上下(紙面では手前と奥)に移動させるための回動範囲切替操作部1152が延出されており、表示ユニット11を外した状態であれば、作業者が回動範囲切替操作部1152を操作できるように構成されている。つまり、別の実施形態では、表示ユニット11を、その前後軸を中心にして180度回転させても、上下動部材115は上下には移動しないようにされている。上下動させるためには、回動範囲切替操作部1152を操作しなければならない。
【0029】
上下動部材115が作業者の操作により上下に移動させられると、小回動範囲規制壁1151ないし最大回動範囲規制壁1111による規制が切り替わり、回動範囲が切り替わることは、最初の実施形態と同じであるので、説明は割愛し、ここでは、回動範囲切替操作部1152の特徴的な構成につき、
図11及び
図12を用いて説明する。
【0030】
図11は、本発明の別の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に右設置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は回動範囲切替操作部が適正位置にない状態を、(b)は回動範囲切替操作部が適正位置にある状態を示している。
図12は、本発明の別の実施形態に係る台間機における表示ユニットが装置本体に左設置態様で取り付けられる様子を示す図であり、(a)は回動範囲切替操作部が適正位置にない状態を、(b)は回動範囲切替操作部が適正位置にある状態を示している。また、それぞれの図において、上に位置する図は、表示ユニット可動軸受周辺の拡大図であり、下に位置する図は、表示ユニットと筐体の全体を示す図となっている。
【0031】
前述したように、別の実施形態においては、上下動部材115を上下に移動させるためには、回動範囲切替操作部1152を操作しなければならない。
図11は、メダルレス遊技機Sに対して台間機1を右配置する場合を示しているところ、上下動部材115を下方に位置させて最大可動範囲で回動できるようにしなければならない。仮に、上下動部材115を上方に位置させてしまった場合には、第1外突起1121が小回動範囲での規制を受けることになってしまうことから、メダルレス遊技機Sに対する配置であるにも関わらず、表示ユニット11を十分に回動させることができなくなる事態が生じてしまう。
【0032】
しかし、別の実施形態においては、そのような事態を生じさせないための工夫がされている。
図11(a)に示すように、回動範囲切替操作部1152が適正でない上方に位置していると回動範囲切替操作部1152が筐体壁15にぶつかってしまい、表示ユニット11を台間機1に取り付けることのできる十分奥の位置にまで押し込むことができないようにされているのである。一方、
図11(b)に示すように、回動範囲切替操作部1152が適正である下方に位置していると回動範囲切替操作部1152は筐体壁15に穿設されている孔内を通ることができるため、表示ユニット11を台間機1に取り付けることのできる十分奥の位置にまで押し込むことができるのである。
【0033】
図12は、管理遊技機Pに対して台間機1を左配置する場合を示しているところ、上下動部材115を下方に位置させて小可動範囲で回動規制されるようにしなければならない。仮に、上下動部材115を上方に位置させてしまった場合には、第1外突起1121が小回動範囲での規制を受けないようになってしまうことから、管理遊技機Pに対する配置であるにも関わらず、表示ユニット11が無用な位置まで開くように余計に回動してしまう事態が生じてしまう。
【0034】
しかし、そのような事態を生じさせないための工夫がされている。
図12(a)に示すように、回動範囲切替操作部1152が適正でない上方に位置していると回動範囲切替操作部1152が筐体壁15にぶつかってしまい、表示ユニット11を台間機1に取り付けることのできる十分奥の位置にまで押し込むことができないようにされているのである。一方、
図12(b)に示すように、回動範囲切替操作部1152が適正である下方に位置していると回動範囲切替操作部1152は筐体壁15に穿設されている孔内を通ることができるため、表示ユニット11を台間機1に取り付けることのできる十分奥の位置にまで押し込むことができるのである。
【0035】
ただし、ここで説明した回動範囲切替操作部1152と筐体壁15の関係は必須のものではなく、例えば、右設置であるが小回動範囲で回動規制ができるように、回動範囲切替操作部1152が如何なる場合であっても筐体壁15に干渉しないように構成することも可能である。このような構成にしてこそ、手動切替が威力を発揮するという使い方もあるからである。
【0036】
以上、本発明の実施形態に係る台間機について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
たとえば、本発明の実施形態は、回動範囲切替操作部を上下移動させるように操作するものであるが、把持し易い摘み形状とクリック位置を設ける等して、回動範囲切替操作部を台間機の筐体に対して前後移動させるように操作する構成を採用しても良い。筐体壁15との干渉については考慮する必要があるが、適宜に設定し得ることである。このように、回動範囲切替操作部を操作することによって、回動範囲が異なるように切り替えられるという点に、本発明の意義があることは十分に理解されるべきものである。
また、実施形態では、管理遊技機やメダルレス遊技機に対して用いられる態様として説明したが、遊技台が自身の遊技媒体払出装置からパチンコ玉やメダルを貸し出すタイプのパチンコ機やパチスロ機に対して用いられる態様であっても、本願発明の技術的思想に含まれる。要は、台間機自身は遊技媒体を払い出すための機構を備えていない態様であれば、同じように適用可能ということである。さらに、パチンコ機のみを対象として、或いは、パチスロ機のみを対象として左右配置を変更することを想定した場合には、台間機自身が遊技媒体を払い出すための機構を備える態様であっても、本発明を適用可能である。店のスペース的な制約等から、パチンコ機に対してであっても、一部、台間機を右配置したいような状況が生じることがある。そして、パチンコ機に対して台間機を右配置した場合であっても、右隣のパチンコ機の前面扉が表示ユニットと干渉する虞があることはパチスロ機と同様であるから、ディスプレイ背面が前面視できるように倒し込む必要があるのである。ノズルについては、別部品として付け替えれば済むことである。
また、各実施形態では、第2外突起1131及び第2内突起1132は規制壁と当接しない態様として説明されていたが、これらの突起も規制に寄与するように構成することも可能である。さらに、各実施形態では、パチンコ機に対して左配置、パチスロ機に対して右配置の態様として説明したが、仮に、前面扉を左ヒンジでなく右ヒンジとする等の大幅な仕様変更がされたならば、全ての条件が逆となることもあり得ることである。そのため、発明の技術的思想としては、ディスプレイが右側又は左側の一方に取り付けられた場合に他方側に取り付けられた場合よりも、回動範囲が大きくなるというように理解されるべきである。
【符号の説明】
【0037】
1…………台間機
11………表示ユニット
11D……ディスプレイ
11B……表示ユニット背面
11F……取付部
111……表示ユニット可動軸受
1111…最大回動範囲規制壁
112……表示ユニット第1可動軸
1121…第1外突起
1122…第1内突起
113……表示ユニット第2可動軸
1131…第2外突起
1132…第2内突起
114……上下動部材
1141…小回動範囲規制壁
114……上下動部材
1141…小回動範囲規制壁
115……上下動部材
1151…小回動範囲規制壁
1152…回動範囲切替操作部
12………紙幣投入口
13………カード投入口
13a……貸出スイッチ
13b……返却スイッチ
13c……再プレイスイッチ
14………フック部
15………筐体壁
P’………パチンコ機
S’………パチスロ機
P’U……パチンコ機用台間機
S’U……パチスロ機用台間機
P…………管理遊技機(パチンコ台)
S…………メダルレス遊技機(パチスロ台)
PU………管理遊技機用台間機
SU………メダルレス遊技機用台間機