(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160523
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】画像読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/04 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H04N1/04 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070940
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼智也
【テーマコード(参考)】
5C072
【Fターム(参考)】
5C072AA01
5C072BA03
5C072CA02
5C072CA12
5C072EA07
5C072FB08
(57)【要約】
【課題】画像読取装置における照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようにすること。
【解決手段】画像読取装置は、光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、前記照明手段により照明された原稿からの光を光電変換する光電変換手段と、前記光電変換手段から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するAD変換手段と、前記光電変換手段と前記AD変換手段とを制御する第一制御手段と、第一クロック信号を生成する第一生成手段と、前記第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、を有する。前記照明手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されていない無変調のクロック信号を供給されて動作し、前記第一制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段を制御する第一制御手段と、
第一クロック信号を生成する第一生成手段と、
前記第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、を有し、
前記照明手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されていない無変調のクロック信号を供給されて動作し、
前記第一制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記照明手段を制御する第二制御手段と、
前記第二制御手段に対して供給される前記無変調のクロック信号を生成する第二生成手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第二生成手段は、前記第二制御手段に内蔵されたリングオシレータであることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第二生成手段として、前記第一生成手段が共用されることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿からの光を光電変換する光電変換手段と、
前記光電変換手段から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するAD変換手段と、
前記AD変換手段に対して供給される、前記原稿の画像を1ラインごと読み取るための、ライン同期信号を生成する第一制御手段と、
前記照明手段、前記光電変換手段および前記AD変換手段を制御する第二制御手段と、
第一クロック信号を生成する第一生成手段と、
前記第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、を有し、
前記第一制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されていない無変調のクロック信号を供給されて動作し、
前記第二制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作し、
さらに、前記第一制御手段は、当該クロック信号が所定の条件を満たすと、前記ライン同期信号を生成することを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記所定の条件は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号の周波数が所定周波数になったことであることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第一制御手段に対して供給される前記無変調のクロック信号を生成する第二生成手段をさらに有することを特徴とする請求項5または6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第二生成手段は、前記第一制御手段に内蔵されたリングオシレータであることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第二生成手段として、前記第一生成手段が共用されることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項10】
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段を制御する第一制御手段と、
第一クロック信号を生成する第一生成手段と、
前記第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、
前記照明手段を制御する第二制御手段と、
を有し、
前記第一制御手段および前記第二制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作し、
前記第二制御手段は、前記変調されたクロック信号の変調の周期が既定の条件を満たしたタイミングでライン同期信号を発行するように構成されており、
前記照明手段は、前記ライン同期信号に基づき点灯と消灯のタイミングを決定する、
ことを特徴とする画像読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイメージセンサーを備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置は、イメージセンサーの駆動、光源の点灯制御、イメージセンサーから得られるアナログ画像信号のA/D変換、デジタルデータの画像処理部への転送等の一連の処理をクロック信号に同期して行う。画像読取装置の読取速度を高速化するためには、クロック信号の高速化が必要となる。
【0003】
クロック信号を高速化すると放射ノイズが増加する傾向がある。そこで、所定の変調周期でクロック信号を変調し、放射ノイズのピークを低減するSSCGを用いる手法が知られている。SSCGとはSpectrum Spread Clock Generator(スペクトラム拡散クロック発振器)の略称である。しかし、SSCGにより変調をかけられたクロック信号を画像読み取りの光源であるLED(発光ダイオード)の点灯制御に用いると、点灯時間が変動してしまう。点灯時間の変動は画像ムラなどの原因となりうる。
【0004】
特許文献1は、LED点灯時間(光照射時間)を変調周期(周波数拡散周期)の整数倍とすることで、LED点灯時間を一定にすることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明ではLEDの点灯時間を変調周期の整数倍でしか調整できない。そこで、本発明は、画像読取装置における光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記を鑑み、本発明の一態様に係る画像読取装置は、
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿からの光を光電変換する光電変換手段と、
前記光電変換手段から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するAD変換手段と、
前記光電変換手段と前記AD変換手段とを制御する第一制御手段と、
第一クロック信号を生成する第一生成手段と、
前記第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、を有し、
前記照明手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されていない無変調のクロック信号を供給されて動作し、
前記第一制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像読取装置における照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図3】SSCGによる周波数変動の他のパターンを示す図。
【
図4】周波数変動の影響を説明するタイミングチャート。
【
図5】1色分の各種信号を示すタイミングチャート。
【
図6】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図7】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図8】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図9】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図10】点灯/消灯タイミングに関する所定条件を説明するタイミングチャート。
【
図11】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【
図12】クロック信号に関連する主要部の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
[第1の実施形態]
<画像読取装置100>
図1は原稿給送装置を備える画像読取装置の構成を概略的に示す部分断面図である。
【0012】
図1において、画像読取装置100は、シート取込装置101を備える。シート積載台(原稿台)1には複数枚のシート(原稿)が積載(載置)可能である。シート積載台1は昇降自在に構成されている。積載台駆動モーター2は、シート積載台1を昇降させる。不図示のHPセンサはシート積載台1がホームポジション(HP)に位置していることを検知する。シートセンサ3は、シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置にあることを検知する。シート積載台1に積載されたシートがシート取込位置に無い場合、積載台駆動モーター2が駆動され、シート最上面がシート取込位置に位置するようシート積載台1が移動する。シート積載センサ12は、シート積載台1のシート積載面1aにシートが積載されていることを検知する。規制板51はシートの搬送方向に対して交差する方向に移動自在であり、シートの幅方向の積載位置を規制する。
【0013】
ピックアップローラ4(取り込み手段)は、シート積載台1のシートを取り込んで給送ローラ6へ送り出す。ピックアップモーター(不図示)は、ピックアップローラ4を回転させる。
図1ではシート上面がシート取込位置にあり、ピックアップローラ4を回転させればシートの取り込みが始まる状態である。
【0014】
給送ローラ6は、ピックアップローラ4の下流側に設けられている。給送モーター8は、給送ローラ6を回転駆動して、シートを搬送方向下流側に給送する。給送ローラ6はワンウェイクラッチ(不図示)を介して給送モーター8と連結され、給送モーター8の駆動力は一方向のみ伝達される。給送モーター8により給送を実行するときは給送ローラ6に駆動力が伝達される。しかし、レジストローラ17,18等により給送モーター8による給送速度以上の搬送速度でシートが搬送されるときは、ワンウェイクラッチにより給送モーター8の駆動力が伝達されない。そのため、給送ローラ6はシートの搬送に連れられて従動回転する。給送ローラ6と搬送路を挟んで対向して設けられる分離ローラ7は、シートを搬送方向上流側に押し戻す方向に回転する回転力を不図示のトルクリミッタ(スリップクラッチ)を介して分離モーター9から受ける。給送ローラ6と分離ローラ7との間に1枚のシートが存在するときは、トルクリミッタから分離ローラ7に伝達される回転力は、シートを上流側に押し戻す方向の回転力である。さらに、それとは反対方向の回転力が分離ローラ7に作用する。反対方向の回転力は、給送ローラ6によって下流側に送られるシートと分離ローラ7との間の摩擦力によって発生する。後者の回転力が前者の回転力を上回ることで、分離ローラ7は給送ローラ6に追従して回転する(連れ回りする)。
【0015】
一方、給送ローラ6と分離ローラ7との間に複数枚のシートが存在する場合がある。この場合、分離ローラ7は、シートを上流側に押し戻す方向の回転をローラ軸から受け、最も上のシート以外の残りのシートが下流側に搬送されないようにする。
【0016】
このようにシートを下流側に給送する給送ローラ6の作用と、シートを下流側に搬送されないようにする分離ローラ7の作用とによって、重送が解消される。よって、給送ローラ6と分離ローラ7とは、一対の分離ローラ対42を構成する。分離ローラ対42は、搬送対象の複数のシートを1枚ずつ分離して搬送するためのシート分離部の一例として機能する。
【0017】
分離ローラ7によるシートの分離力は変更自在である。分離モーター9を回転させずに保持するだけでもシートを分離できる。分離ローラ7がシートを上流側へ戻す方向へ回転するよう分離モーター9を駆動することでさらに強い分離力が得られる。
【0018】
本実施形態では、分離ローラ対42が採用さているが、これは一例にすぎない。分離ローラ対42の代わりに分離ローラと給送ローラのどちらか一方をベルトにした、分離ベルトローラ対が採用されてもよい。分離ローラを分離パッドに置き換え、分離パッドがシートに当接することで下流側へ複数枚のシートが搬送されることを防いでもよい。
【0019】
分離されたシートが通過する位置に重送センサ30を設けることで、シート分離部によってシートが一枚ずつに分離できているかが検知されてもよい。重送センサ30として超音波の送受信部を備えた検知装置が用いられてもよい。この場合、搬送路を跨いだ送信部と受信部との間における超音波の減衰量によって重送が検知される。
【0020】
搬送モーター10は、レジストローラ18、搬送ローラ21,23を駆動する。レジストローラ18、搬送ローラ21,23は、シート分離後のシートを、画像読取位置まで搬送し、更に排出位置まで搬送する。画像読取装置において、画像読取センサ14,15(画像読取部)によってシート(原稿)の画像が読み取られる。レジストローラ18、搬送ローラ21,23はそれぞれ対向側にレジストローラ17、搬送ローラ20,22を有し、これらは従動する。搬送モーター10は、シートの読み取りに最適な速度や、シートの解像度等の設定に応じてシートの搬送速度を変更できるよう各ローラを駆動する。なお、レジストクラッチ19は、搬送モーター10の回転駆動力をレジストローラ18(原稿搬送部)に伝達、又は当該伝達を遮断することにより、レジストローラ18を駆動し、又はその駆動を停止する。
【0021】
ニップ隙間調整モーター11は、給送ローラ6と分離ローラ7との隙間、または分離ローラ7に対してシートを介して給送ローラ6が圧接する圧接力を調整する。これにより、シートの厚みに適合した隙間、または圧接力が調整され、シートを分離することができる。
【0022】
搬送ローラ20,21で構成される搬送ローラ対、搬送ローラ22,23で構成される搬送ローラ対、及び
図1が示すさらに下流側のローラ対は、排出積載部44にシートを搬送する。上ガイド板40と下ガイド板41との2つのガイド板は、分離ローラ対42、レジストローラ対、各搬送ローラ対及び下流側のローラ対により搬送されるシートを案内する。
【0023】
画像読取装置100は、装置全体の動作を制御する制御基板45を備えており、各アクチュエータの駆動や画像読取センサ14,15の制御を担う。
【0024】
<信号系統と動作>
図2を元に制御基板45と画像読取センサ14,15の信号系統と動作について説明する。まず制御基板45について説明する。クロック生成部60では画像読取装置100すべての制御の基準となるクロック信号を生成する。クロック生成部60は例えば水晶発振子と、水晶発振子を発振させてクロック信号を出力する発振駆動回路とで構成される。クロック生成部60で生成されたクロック信号がSSCG61に入力されると、既定の変調周期と変動率で変調され、スペクトラム拡散された変調クロック信号が生成される。スペクトラム拡散は、入力信号に対して入力信号の周期よりも短い周期(チップ周期)のチップ信号を乗算することで実現され、これは一種の周波数変調である。
【0025】
本実施形態では、クロック生成部60で生成された原クロック信号と、SSCG61で生成された変調クロック信号とがPLL回路62に入力される。PLL回路62は、原クロック信号から、LEDクロック生成部66で必要とされる周波数のクロック信号を生成する。PLL回路62へ入力される原クロック信号がSSCG61により変調されていないため、PLL回路62を通した出力クロック信号はスペクトラム拡散されていない。
【0026】
それと並行して、PLL回路62は、変調クロック信号から、制御部46、CISクロック生成部63、ライン同期信号生成部64、および画像処理部65で必要とされる周波数のクロック信号を生成する。PLL回路62へ入力されるクロック信号がSSCG61により変調されているため、PLL回路62を通した出力クロック信号にも同じ変調周期、同じ変動率で変調がかかったままになる。
【0027】
PLL回路62で生成されたスペクトラム拡散されていない(無変調の)クロック信号はLEDクロック生成部66に入力される。LEDクロック生成部66に入力された無変調のクロック信号は、LED73を駆動するための基準クロックとなる。なお、無変調のクロック信号は、不図示の通信回路(例:ユニバーサルシリアルバス(USB)通信回路)の基準クロック等に利用されてもよい。
【0028】
一方、PLL回路62で生成されたスペクトラム拡散されたクロック信号は制御部46、CISクロック生成部63、ライン同期信号生成部64、および画像処理部65に入力され、それぞれの動作の基準クロックとなる。CISはコンタクトイメージセンサの略称である。
【0029】
CISクロック生成部63は、画像読取センサ14,15が動作するための基準となるCISクロック信号を生成する。ライン同期信号生成部64は画像読取センサ14,15が1ラインを読み取るタイミングの基準となるライン同期信号SPを生成する。ライン同期信号SPは一色あたりの同期信号である。原稿の一ラインを読み取るためのライン同期信号はHSYNCと呼ばれる。つまり、1つのライン同期信号HSYNCが出力されると、3つのライン同期信号SPが出力されることになる。制御部46は、各部への設定、動作指示、および各種計算等を行う。制御部46は、たとえば、プロセッサ(例:CPU)と、プログラムを記憶したメモリ(ROMおよびRAM)を含む。CPUは中央演算処理装置の略称である。ROMはリードオンリーメモリの略称である。RAMはランダムアクセスメモリの略称である。制御部46は、CISクロック生成部63に対して、CISクロック信号の周期を設定し、出力開始/停止の指示を行う。制御部46は、ライン同期信号生成部64に対して、1ラインの画像読取の周期を設定し、ライン同期信号SPの出力開始/停止の指示を行う。
【0030】
さらに、制御部46は、LEDクロック生成部66に対して、LED73の各光源へLED駆動部78から流される電流の電流値と、主走査方向の1ラインに相当する期間における各光源の点灯タイミングおよび消灯タイミングを設定する。なお、制御部46は、1ラインに相当する期間における各光源の点灯タイミングおよび消灯タイミングをタイミング信号生成部71に対して設定してもよい。
【0031】
次に画像読取センサ14,15について説明する。タイミング信号生成部71は、CISクロック生成部63が出力するCISクロックに同期して動作する。タイミング信号生成部71は、ライン同期信号生成部64が出力するライン同期信号SPに同期して1ライン読取のための各種のタイミング信号を出力する。タイミング信号生成部71はLED駆動部78に対し、LED73の各光源に流す電流値と、各光源の点灯/消灯タイミングを制御する信号と、を出力する。電流値と1ラインのなかでの各光源の点灯/消灯タイミングは制御部46により予め決定されて、タイミング信号生成部71に対して設定される。タイミング信号生成部71は、ライン同期信号SPが出力される度に予め設定された各タイミングで、制御信号を出力する。タイミング信号生成部71が出力する各タイミング信号は、ライン同期信号生成部64からのライン同期信号SPを基準としてCISクロックを最小単位として設定されたクロック数のタイミングにおいてHigh/Lowに遷移させて出力される。
【0032】
LED駆動部78は、LEDクロック生成部66から出力される無変調のクロック信号に同期して動作する。LED駆動部78は、タイミング信号生成部71から出力された制御信号に応じてLED73を駆動する。点灯タイミングになると、LED駆動部78は、予め設定された電流値で光源に電流を流して、光源を点灯する。消灯タイミングになると、LED駆動部78は、光源への電流の供給を停止して、光源を消灯する。電流値は、原則として、全光源に対し共通の値である。LED73は3色のLED光源を有している。LED_R74は赤色、LED_G75は緑色、LED_B76は青色の各色の光をそれぞれ独立して照射する。
【0033】
LED駆動部78は、LEDクロック生成部66から出力される無変調のクロック信号にしたがって動作しているため、LED_R74、LED_G75、LED_B76の点灯駆動時間は一定となる。これは、点灯時間の制御が、入力された無変調のクロック信号の数をカウントすることで実行されるからである。たとえば、ライン同期信号SPが入力されたタイミングからTd後のタイミングが点灯タイミングであると仮定する。この場合、LED駆動部78は、ライン同期信号SPが入力されると、クロック信号のカウントを開始し、カウント値Cが所定値C1になると、LED_G75の点灯を開始する。このように、所定値C1は、点灯開始タイミングを規定するパラメータであり、ライン同期信号SPの入力タイミングを起点とした待ち時間Tdに相当する。同様に消灯タイミング(所定値C2)も規定される。つまり、ライン同期信号SPの入力タイミングを起点としたカウント値Cが所定値C2になると、LED駆動部78は、LED_G75への駆動電流の供給を停止する。この場合、所定値C2は、消灯タイミングを規定するパラメータであり、ライン同期信号SPの入力タイミングを起点とした待ち時間(Td+Tg)に相当する。ここで、Tgは、LED_G75の点灯時間である。ここでは、LED_G75について説明されたが、LED_R74とLED_B76についても同様に制御される。
【0034】
受光部77は、主走査方向と平行な1ライン分の画像を読み取るための複数の受光素子を有し、各LED光源による光の照射の度に光電変換を行う。つまり、受光部77は光電変換手段として機能するイメージセンサーである。さらに、受光部77は、タイミング信号生成部71からの信号に同期して一つ前のタイミングで読み取ったラインの光電変換による電圧をアナログ画像信号としてAD変換部72へ出力する。AD変換部72はタイミング信号生成部71からの信号に同期して受光部77からのアナログ画像信号をA/D変換してデジタル画像データに変換し、画像処理部65に出力する。画像処理部65はデジタル画像データに対し各種画像処理(画像の切り出しや画像圧縮など)を施し、出力画像を生成する。
【0035】
SSCG61の変調周期は所定の固定値に決まっている。SSCG61は常に一定の変調周期で入力クロック信号を変調する。本実施の形態でSSCG61は三角波の形状となるように入力クロック信号を変調する。これは、クロック信号の周波数が半周期ごとに傾きを変えながら変化することを意味する。
【0036】
図3(a)から
図3(c)は、スペクトラム拡散変調されたクロック信号の周波数を示す。縦軸は周波数、横軸は時間である。SSCG61の変調周期はTsscである。
【0037】
図3(a)のように三角波の1周期はTsscであり、Tssc/2ごとに周波数が最小と最大とを繰り返す。
図3(a)では、最大周波数がSSCG61のクロック源の周波数f0であり、その周波数以下で出力クロック信号の周波数が変動する(ダウンスプレッド)方式が採用されている。ただし、出力クロック信号の周波数が周期的に変動し、半周期ごとに最小と最大を繰り返す変調方式であれば他の変調方式が採用されてもよい。例えば、
図3(b)のようにクロック源の周波数f0が周波数変動の中央となり、クロック源の周波数f0の上下に変動する(センタースプレッド)方式が採用されてもよい。また、必ずしも三角波ではなくてもよい。例えば
図3(c)のように正弦波のように出力クロック信号が変化する変調方式が採用されてもよい。
【0038】
<LED点灯におけるSSCGの影響>
ここでは、SSCG61による変調がかかったクロック信号を基準にLEDの点灯/消灯タイミングを決定した場合の弊害について説明する。つまり、
図2とは異なり、SSCG61により変調されたクロック信号がLEDクロック生成部66に入力されると仮定する。この場合、点灯期間の長さがあるクロック数で設定されていたとしても、SSCG61の変調周期と点灯期間とのタイミングに依存して実際の点灯時間が変動してしまう。
【0039】
図4は、LEDをある時間連続して1回点灯させた場合、SSCG61で変調されたクロック信号を元に点灯するLEDの点灯時間がどのような影響を受けるかを示している。
【0040】
図4(a)から
図4(h)はライン同期信号SPの立ち上がりタイミング(点灯開始タイミング)に対して変調のタイミングが1/8周期ずつ異なる場合の、クロック信号の周波数fの平均周波数fa(黒丸のプロット)を示す。横軸は時間である。ここで、平均周波数faとは、LEDの点灯時間tgにおけるクロック信号の平均周波数である。
【0041】
図4において、クロック周波数fはタイミング信号生成部71に入力されるCISクロックの周波数であり、SSCG61の変調周期Tsscを繰り返し周期として、変動する。クロック周波数fのグラフにある横軸の点線は、変調周期Tsscにおける平均周波数を示す。変調周期TsscはCISクロックの数で表される。Tssc/2に相当するクロック数にわたり、周波数変動幅の最大から最小まで、クロック周波数fが減少する。その後、Tssc/2に相当するクロック数にわたり、クロック周波数fが最小から最大まで増加する。
【0042】
すでに説明したように、ライン同期信号SPはタイミング信号生成部71で生成される1色ごとのライン同期信号である。ライン同期信号SPは受光部77へ入力され、1色分のアナログ画像信号の転送と光電変換開始の基準となる。あるライン同期信号SPと次のライン同期信号SPとの間で1色分のLEDが点灯する。これにより、受光部77では1色分の光電変換が実行される。LED_GはLED_G75の点灯/消灯タイミングを示す。Tgは点灯時間であり、この期間を点灯期間と呼ぶ。なお、点灯期間とは、LEDが点灯を開始するタイミングから消灯するタイミングまでの期間をいう。点灯時間とは、点灯期間の時間的な長さをいう。但し、点灯時間Tgの長さはCISクロック数で表される。ここでは説明を簡単にするためTssc/2=Tgと設定されている。
【0043】
CISクロックのSSCG61による変調とLEDの点灯タイミングとは非同期である。そのため、点灯開始時のCISクロックのクロック周波数fはSSCG61の変動率の範囲でばらつく。
図4(a)では、LEDの点灯開始時にクロック周波数fが最も高く、消灯時にクロック周波数fが最も低い。この点灯期間におけるクロック周波数fの平均値は周波数変動幅の中間となる。
【0044】
図4(a)で黒丸がプロットされている場所はLEDの点灯期間の中間であり、点灯期間における平均周波数faを意味する。平均周波数faはクロック周波数fの変調周期Tsscの期間内での平均値f0と同じになっている。しかし、LEDの点灯開始と終了が
図4(a)以外のタイミングとなる場合もある。
【0045】
図4(b)ではLEDの点灯開始タイミングがクロックに対して1/8周期だけ遅れているケースを示している。この場合のLEDの点灯期間Tgにおけるクロック周波数fの平均周波数faは、変調周期の期間内での平均値f0よりも低くなる。同様に、LEDの点灯開始タイミングがクロックに対して1/8周期ずつ遅れた
図4(c)~(h)も見ていくと、LEDの点灯期間におけるクロック周波数fの平均値faはそれぞれ異なっている。つまり、LEDの点灯時間Tgはすべて同じクロック数により定義されるが、クロック信号の変調周期の位相によって、実際の点灯時間は異なってしまうことが分かる。
【0046】
<無変調のクロック信号でLEDを点灯させる>
この問題を解消するために、本実施形態は、
図2に示したように、LEDクロック生成部66から出力される無変調のクロック信号からLEDクロック生成部66でED73を駆動するための基準クロックを生成し、それに基づいてLED駆動部78を動作させる。
図5は1色あたりのライン同期信号SPが発行されたタイミングから待ち時間Tdほど経過したタイミングがLED_G75の点灯タイミングであることを示している。さらに、点灯開始から待ち時間(点灯時間Tgd)が経過したタイミングがLED_G75の消灯タイミングである。LED駆動部78は、無変調のクロック信号にしたがって動作しているため、待ち時間Tdと点灯時間Tgdはそれぞれ一定となる。ここではLED_G75を例に挙げたが、LED_R74の点灯時間Trdと、LED_B76の点灯時間Tbdも一定となる。
【0047】
[第2の実施形態]
図6は第2の実施形態に係る制御基板45と画像読取センサ14,15を示している。第2の実施形態において第1の実施形態と共通する部分については説明が省略され、第1の実施形態との相違点が主に説明される。
【0048】
制御基板45にはメインとなる制御部46に加え、シートの搬送とシートセンサなどを制御するための副制御部67が実装されている。副制御部67もCPUとメモリなどのハードウエアにより実現される。副制御部67はクロック生成部68から出力される無変調のクロック信号にしたがって動作している。クロック生成部68は、クロック生成部60から独立した発振回路である。副制御部67は、制御部46により実行されているような画像読取センサ14,15のタイミング制御および画像処理などの高速な処理を実行する必要がない。そのため、副制御部67は、制御部46よりも低速で動作する。
【0049】
図6では副制御部67はクロック生成部68から出力されるクロック信号を使用するが、
図7が例示するように、クロック生成部60から出力される無変調のクロック信号を使用してもよい。あるいは、
図8が示すように、副制御部67は、副制御部67の内部に設けられるリングオシレータ99が生成する無変調のクロック信号を使用してもよい。
【0050】
副制御部67はLED駆動部78を介してLED73の各光源に流す電流値と、1ラインのなかでの各光源の点灯/消灯タイミングを制御する。副制御部67が制御する電流値および点灯/消灯タイミングを決定するためのクロック信号のカウント値は、制御部46からの通信により副制御部67に設定される。
【0051】
副制御部67にはライン同期信号生成部64から出力されるライン同期信号SPが入力される。副制御部67は、ライン同期信号SPを基準として、無変調のクロック信号をカウントして、点灯/消灯タイミングを制御する。つまり、副制御部67は、
図5に示されたように待ち時間Tdと点灯時間Tgdを、無変調のクロック信号のカウント値に基づき決定する。副制御部67は、スペクトラム拡散変調されていない無変調のクロック信号にしたがって動作しているため、待ち時間Tdと点灯時間Tgdはそれぞれ一定となる。ここではLED_G75を例に挙げたが、LED_R74の点灯時間Trdと、LED_B76の点灯時間Tbdも一定となる。
【0052】
[第3の実施形態]
図9は第3の実施形態に係る制御基板45と画像読取センサ14,15を示している。第3の実施形態において第1の実施形態または第2の実施形態と共通する部分については説明が省略され、第1の実施形態および第2の実施形態との相違点が主に説明される。
【0053】
図7と比較して
図9では、ライン同期信号生成部64が制御部46に代えて副制御部67により制御されるように変更されている。よって、副制御部67とライン同期信号生成部64とは、スペクトラム拡散変調されていない無変調のクロック信号にしたがって動作する。
図9では制御部46と副制御部67とが別のIC(集積回路)により実装されているが、制御部46と副制御部67とが単一のICに実装されてもよい。
【0054】
副制御部67はCISクロック生成部63から出力される変調されたクロック信号を監視し、変調の周期が既定の条件を満たすかどうかを判定する。副制御部67は、クロック信号の変調の周期が後述する既定の条件を満たしたタイミングで、ライン同期信号生成部64にライン同期信号SPを出力させる。
【0055】
図10(A)および
図10(B)は、変調の周期(変調されたクロック信号の位相)が既定の条件を満たしたタイミングを説明する図である。
図10(A)が示すように、変調されたクロック信号の周波数fが最も低くなった時に既定の条件が満たされたとしてライン同期信号SPが出力されてもよい。あるいは、
図10(B)が示すように、変調されたクロック信号の周波数fが最も高くなった時に既定の条件が満たされたとしてライン同期信号SPが出力されてもよい。ただし、これらは一例にすぎず、変調されたクロック信号の周波数fにおける最低周波数から最高周波数の間の特定の周波数になった時に既定の条件が満たされたとしてライン同期信号SPが出力されてもよい。あるいは、既定の条件が満たされたタイミングに、CISクロック生成部63が単一のパルス信号を副制御部67に通知してもよい。副制御部67は、このパルス信号が入力されたことをトリガーとしてライン同期信号生成部64にライン同期信号SPを出力させてもよい。これは例えば無変調のクロック源で動作する他の制御部(CPU)などによって変調されたクロック信号の周波数fを監視するように構成することなどによって実現してもよい。
【0056】
図9では副制御部67はクロック生成部68から出力されるクロック信号を使用するが、
図11が例示するように、クロック生成部60から出力される無変調のクロック信号を使用してもよい。あるいは、
図12が示すように、副制御部67の内部のリングオシレータ99が生成する無変調のクロック信号を使用してもよい。
【0057】
タイミング信号生成部71はライン同期信号生成部64から出力されるライン同期信号SPをトリガーとして、LED駆動部78を介してLED73の各光源に流す電流値と、1ラインのなかでの各光源の点灯/消灯タイミングを制御する。副制御部67が制御する電流値と点灯/消灯タイミングは、制御部46からの通信により副制御部67に設定される。
【0058】
タイミング信号生成部71は、LED73の点灯/消灯のタイミングを、ライン同期信号SPをトリガーにして、CISクロック生成部63から出力されるクロック信号をカウントすることで、決定する。変調の周期が既定の条件を満たしたタイミングでライン同期信号SPが発行されるため、変調のかかったクロック信号をカウントしてLED73の点灯/消灯のタイミングを決めても、時間待ちTdと点灯時間Tgdとがそれぞれ一定となる。ここではLED_G75を例に挙げたが、LED_R74の点灯時間Trdと、LED_B76の点灯時間Tbdも一定となる。
【0059】
ここでは、副制御部67が無変調のクロック信号で動作する例について説明されているが、これは一例にすぎない。副制御部67は、変調されたクロック信号によって動作するように、構成されてもよい。この場合であっても、副制御部67およびライン同期信号生成部67は、変調されたクロック信号の変調の周期が既定の条件を満たしたタイミングでライン同期信号SPを発行する。タイミング信号生成部71は、ライン同期信号生成部67から出力されるライン同期信号SPに基づき、LED駆動部78に駆動信号を出力する。このように、変調のかかったクロック信号をカウントしてLED73の点灯/消灯のタイミングを決めても、時間待ちTdと点灯時間Tgdとがそれぞれ一定となる。
【0060】
また、変調の周期が既定の条件を満たしたタイミングでライン同期信号SPが発行されると説明したが、変調の周期が既定の条件を満たすような処理を追加しても良い。具体的にはライン同期信号SPを発行するためのトリガーとなるタイミングでSSCG61の変調周期をリセットするように構成すれば良い。
【0061】
<まとめ>
[観点1]
図2などが示すように、LED73とLED駆動部78は、光源を点灯させて原稿を照明する照明手段として機能する。受光部77は、照明手段により照明された原稿からの光を光電変換する光電変換手段として機能する。AD変換部72は、光電変換手段から出力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するAD変換手段として機能する。第1の実施形態において、制御部46およびタイミング信号生成部71は、光電変換手段とAD変換手段とを制御する第一制御手段として機能する。クロック生成部60は、第一クロック信号を生成する第一生成手段として機能する。SSCG61は、第一クロック信号を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段として機能する。
図2などが示すように、照明手段は、スペクトラム拡散手段により変調されていない無変調のクロック信号を供給されて動作する。第一制御手段(例:制御部46およびタイミング信号生成部71)は、スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作する。これにより、照明手段が周波数変調されたクロック信号の影響を受けなくなるため、照明光源の点灯時間を変調周期の整数倍でしか調整できないといった制限がなくなり、照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようになる。
【0062】
[観点2]
第2の実施形態で説明されたように、副制御部67は、照明手段を制御する第二制御手段の一例である。クロック生成部68、クロック生成部60およびリングオシレータ99は、第二制御手段に対して供給される無変調のクロック信号を生成する第二生成手段として機能する。
【0063】
[観点3]
図8が示すように、リングオシレータ99は、第二制御手段に内蔵された発振回路の一例である。
【0064】
[観点4]
図7が示すように、第二生成手段として、第一生成手段(例:クロック生成部60)が共用されてもよい。
【0065】
[観点5]
第3の実施形態で説明されたように、副制御部67およびライン同期信号生成部64は、AD変換手段に対して供給される、原稿の画像を1ラインごと読み取るための、ライン同期信号を生成する第一制御手段として機能する。制御部46およびタイミング信号生成部71は、照明手段、光電変換手段およびAD変換手段を制御する第二制御手段として機能する。クロック生成部60は、第一クロック信号を生成する第一生成手段として機能する。SSCG61は、第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段として機能する。第一制御手段(例:副制御部67およびライン同期信号生成部64)は、スペクトラム拡散手段により変調されていない無変調のクロック信号を供給されて動作する。第二制御手段(例:制御部46およびタイミング信号生成部71)は、スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作する。さらに、第一制御手段は、当該クロック信号が所定の条件を満たすと、ライン同期信号を生成する。たとえば、第一制御手段(例:副制御部67およびライン同期信号生成部64)は、スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を監視し、当該クロック信号の観測結果が所定の条件を満たすと、ライン同期信号を生成してもよい。これにより、照明手段が周波数変調されたクロック信号の影響を受けなくなるため、照明光源の点灯時間を変調周期の整数倍でしか調整できないといった制限がなくなり、照明光源の点灯時間をより精密に(シームレスに)調整できるようになる。
【0066】
[観点6]
図10に関連して説明されたように、所定の条件は、スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号の周波数が所定周波数になったことであってもよい。
【0067】
[観点7]
図9などが例示するように、クロック生成部68は、第一制御手段に対して供給される無変調のクロック信号を生成する第二生成手段として機能する。
【0068】
[観点8]
図12が例示するように、リングオシレータ99は、第一制御手段に内蔵された発振回路の一例である。
【0069】
[観点9]
図11が例示するように、クロック生成部60は、第二生成手段として供用される第一生成手段の一例である。
【0070】
[観点10]
第3の実施形態の最後で言及されたように、
光源を点灯させて原稿を照明する照明手段と、
前記照明手段により照明された原稿を読み取る読取手段と、
前記読取手段を制御する第一制御手段と、
第一クロック信号を生成する第一生成手段と、
前記第一クロック信号の周波数を所定の変調周期で周波数変調するスペクトラム拡散手段と、
前記照明手段を制御する第二制御手段(例:副制御部67)と、
を有し、
前記第一制御手段および前記第二制御手段は、前記スペクトラム拡散手段により変調されたクロック信号を供給されて動作する、
前記第二制御手段は、前記変調されたクロック信号の変調の周期が既定の条件を満たしたタイミングでライン同期信号を発行するように構成されており、
前記照明手段は、前記ライン同期信号に基づき点灯と消灯のタイミングを決定する、
ことを特徴とする画像読取装置が提供される。
【0071】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
73:LED、77:受光部、60、68:クロック生成部、61:スペクトラム拡散クロック生成器(SSCG)、46:制御部、67:副制御部