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特開2023-160527医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160527
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20231026BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070945
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 恭子
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】主訴に関わる疾患以外の疾患についても発見しやすくできるようにする医用情報処理システム、医用情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】病院内システムを構成する、電子カルテシステムと医用情報処理システムとを有する病院情報システムにおいて、医用情報処理システムは、患者が呈する病態に関する病態情報を取得する取得機能141と、病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換する変換機能142と、主候補疾患に関する指定を受け付ける受付機能143と、主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定する特定機能144と、前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する生成機能145と、を具備する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が呈する病態に関する病態情報を取得する取得部と、
前記病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換する変換部と、
主候補疾患に関する指定を受け付ける受付部と、
前記主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定する特定部と、
前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する生成部と、を備える、
医用情報処理システム。
【請求項2】
前記疾患オントロジーは、病態に関する層と、疾患に関する層と、を少なくとも含む、
請求項1に記載の医用情報処理システム。
【請求項3】
前記疾患オントロジーを記憶する記憶部、を更に備える、
請求項1または2に記載の医用情報処理システム。
【請求項4】
前記生成部は、前記主候補疾患に対応する合併症または副作用のうち少なくともいずれかに関する第2オーダー情報を更に生成する、
請求項1に記載の医用情報処理システム。
【請求項5】
前記生成部は、前記合併症または前記副作用のうち少なくともいずれかの実施推奨度に基づいて、前記第2オーダー情報を生成する、
請求項4に記載の医用情報処理システム。
【請求項6】
前記生成部は、前記合併症または前記副作用のうち少なくともいずれかの発生確率、推奨ランク、または変化係数のうち少なくともいずれかに基づいて、前記実施推奨度を算出する、
請求項5に記載の医用情報処理システム。
【請求項7】
前記推奨ランクは、前記主候補疾患の診療ガイドラインに基づいて決定される、
請求項6に記載の医用情報処理システム。
【請求項8】
前記変化係数は、前記患者の過去の検査結果に基づいて決定される、
請求項6に記載の医用情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータが、
患者が呈する病態に関する病態情報を取得し、
前記病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換し、
主候補疾患に関する指定を受け付け、
前記主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定し、
前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する、
医用情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
患者が呈する病態に関する病態情報を取得し、
前記病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換させ、
主候補疾患に関する指定を受け付け、
前記主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定し、
前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する、ことを行わせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、疾患を異常状態の原因、結果の連鎖の総体として定義し医用画像データやバイタルデータ等の医用データを解析することで、検査目的とする特定の疾患を自動で推定する技術(疾患オントロジー)が知られている。通常の医用画像データを用いた診断では、ある疾患を疑ったり、ある疾患の継続観察のために医用画像の撮影を行い、その医用画像を解析することにより、病気を発見したり、病気の進展を診断したりする。また、検査目的とする疾患の診断のために取得された医用データの付帯情報(患者情報など)を用いることで、主訴の疾患以外の疾患に関する診断結果を提示する技術も提案されている。
【0003】
通常の問診等では、主訴を中心として医師が疾患を推定する。ところが、この疾患の推定では、主訴に関わる疾患を優先的に推定するため、例えば、主訴に関わる疾患以外の疾患、例えば、主訴の対象となる臓器における他の重篤疾患の早期発見、治療の機会を捉え切れないことがある。また、治療に際して合併症や副作用に関する情報を認識しきれないこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-284175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、主訴に関わる疾患以外の疾患についても発見しやすくできるようにすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の医用情報処理システムは、取得部と、変換部と、受付部と、特定部と、生成部とを持つ。取得部は、患者が呈する病態に関する病態情報を取得する。変換部は、前記病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換する。受付部は、主候補疾患に関する指定を受け付ける。特定部は、前記主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定する。生成部は、前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の病院内システム1の構成の一例を示すブロック図。
図2】実施形態の医用情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図。
図3】疾患オントロジーの内容の一例を示す図。
図4】実施形態の医用情報処理システム100における処理の一例を示すフローチャート。
図5】主候補疾患が反映された修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図。
図6】副候補疾患が特定された修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図。
図7】「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素の画像診断検査が紐づけられた修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図。
図8】画像検査オーダーが生成された「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素を示す修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の医用情報処理システム、医用情報処理方法、及びプログラムについて説明する。実施形態において、疾患とは、糖尿病、肝線維化、肝硬変、がん、心筋梗塞、脳卒中などの特定の病気をいう。疾患には、発病済みの病気に加えて、発病には至らないものの健康な状態ではない未病が含まれていてもよい。
【0009】
図1は、実施形態の病院内システム1の構成の一例を示すブロック図である。実施形態の病院内システム1は、例えば、病院情報システム(Hospital Information System:以下、HIS)10と、放射線科情報システム(Radiology Information System:以下、RIS)20と、医用画像診断装置(モダリティ)30と、画像保存通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)40と診断情報データベース(以下、DB)50と、を備える。HIS10は、電子カルテシステム11及び医用情報処理システム100を含む。病院内システム1は、例えば、病院等の医療機関に配置される。
【0010】
HIS10、RIS20、モダリティ30、PACS40、及び診断情報DB50は、ネットワークNWを介して通信可能に接続されている。ネットワークNWは、電気通信技術を利用した情報通信網全般を示す。ネットワークNWは、病院基幹LAN(Local Area Network)等の無線/有線LANやインターネット網のほか、電話通信回線網、光ファイバ通信ネットワーク、ケーブル通信ネットワーク及び衛星通信ネットワーク等を含む。
【0011】
HIS10は、病院内での業務支援を行うコンピュータシステムである。具体的には、HIS10は、電子カルテシステム11や医用情報処理システム100を含む各種サブシステムを有する。各種サブシステムとしては、例えば、医療会計システム、診療予約システム、来院受付システム、入退院管理システムがある。
【0012】
HIS10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ディスプレイ、入力インターフェース及び通信インターフェースを備えるサーバ装置やクライアント端末等のコンピュータを含む。
【0013】
医師などの医療従事者(以下、医師等)は、HIS10における電子カルテシステム11を用いて、患者に関する各種情報(以下、患者情報)を入力したり参照したりする。各患者の患者情報は、例えば、各患者を識別可能な患者IDに関連付けて管理される。
【0014】
電子カルテシステム11は、複数の患者の電子カルテを保存している。電子カルテには、患者情報を含む患者に関する様々な情報が含まれる。患者情報には、患者の特徴を示す情報が含まれる。患者の特徴としては、例えば、患者の年齢、性別、体格(身長、体重等)、疑いの疾患、既往歴等が挙げられる。
【0015】
医師等は、HIS10における医用情報処理システム100に対して検査オーダーを入力する。HIS10は、画像検査オーダーを含むオーダー情報をRIS20などの他のシステムに転送する。画像検査オーダーは、画像診断解析を指示するオーダーである。画像検査オーダーは、画像診断解析とともに、画像診断解析を実行する対象となる医用画像を撮像する指示を含むオーダーでもよい。
【0016】
医用情報処理システム100は、検査や処方などの指示(オーダー)を担当する各部門に伝達するシステムである。オーダー情報は、画像検査オーダーのほか、生理検査オーダー、検体検査オーダー、処方薬オーダー、食維持オーダーなどを含む。医用情報処理システム100は、オーダーリングシステムとして機能する。
【0017】
HIS10は、医師等が検査オーダーを入力すると、医用情報処理システム100により、オーダー情報の生成を開始する。HIS10は、医用情報処理システム100におけるオーダー情報の生成に先立ち、電子カルテシステム11に対して、保存している検査対象の患者の患者情報を医用情報処理システム100に向けて送信させる。
【0018】
医用情報処理システム100は、医師等により入力される検査オーダー、電子カルテシステム11により送信される患者情報、診断情報DB50により送信される診断情報その他の検査対象に関する情報に基づいて、オーダー情報を生成する。医用情報処理システム100は、生成したオーダー情報を患者情報の一部または全部とともにRIS20に送信する。
【0019】
図2は、実施形態の医用情報処理システム100の構成の一例を示すブロック図である。医用情報処理システム100は、例えば、通信インターフェース110と、入力インターフェース120と、ディスプレイ130と、処理回路140と、メモリ150と、を備える。医用情報処理システム100における通信インターフェース110、入力インターフェース120、及びディスプレイ130は、HIS10や電子カルテシステム11が備える通信インターフェース、入力インターフェース及びディスプレイとは別個に設けられているが、これらが共通していてもよい。メモリ150は、記憶部の一例である。
【0020】
通信インターフェース110は、例えば、LANなどのネットワークNWを介してRIS20、モダリティ30、PACS40等の外部装置と通信する。通信インターフェース110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等の通信インターフェースを含む。ネットワークNWは、LANに代えてまたは加えて、インターネット、セルラー網、Wi-Fi網、WAN(Wide Area Network)等を含んでもよい。
【0021】
入力インターフェース120は、診療医等からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路140に送信する。入力インターフェース120は、例えば、診療医等により入力操作が行われた場合に、入力操作に応じた情報を生成する。入力インターフェース120は、生成した入力操作に応じた情報を処理回路140に送信する。
【0022】
入力インターフェース120は、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパネル等を含む。入力インターフェース120は、例えば、マイク等の音声入力を受け付けるユーザインターフェースであってもよい。入力インターフェース120がタッチパネルである場合、入力インターフェース120は、ディスプレイ130の表示機能を兼ね備えるものであってもよい。
【0023】
なお、本明細書において入力インターフェースはマウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェースの例に含まれる。
【0024】
医師(主治医)は、患者の診断を行い、問診、生化学検査、基礎検査などの結果に基づいて、患者が呈する疾患に関する所見を取得する。医師は、取得した所見により示される疾患を入力インターフェース120により入力する。入力インターフェース120は、入力された主治医の所見に関する疾患情報を処理回路140に送信する。主治医の所見には、主訴に関わる疾患(以下、主候補疾患)などが含まれる。
【0025】
ディスプレイ130は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ130は、処理回路140によって生成された画像や、操作者からの各種の入力操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を表示する。例えば、ディスプレイ130は、LCD(Liquid Crystal Display)や、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0026】
処理回路140は、例えば、取得機能141と、変換機能142と、受付機能143と、特定機能144と、生成機能145とを備える。処理回路140は、例えば、ハードウェアプロセッサ(コンピュータ)がメモリ(記憶回路)150に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの機能を実現するものである。
【0027】
ハードウェアプロセッサとは、例えば、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit; ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device; SPLD)または複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device; CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array; FPGA)などの回路(circuitry)を意味する。
【0028】
メモリ150にプログラムを記憶させる代わりに、ハードウェアプロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、ハードウェアプロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。上記のプログラムは、予めメモリ150に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の非一時的記憶媒体に格納されており、非一時的記憶媒体が医用情報処理システム100のドライブ装置(不図示)に装着されることで非一時的記憶媒体からメモリ150にインストールされてもよい。また、プログラムがオンライン(例:クラウド)上に格納されており、通信インターフェースを介してオンライン上のプログラムが実行されてもよい。
【0029】
ハードウェアプロセッサは、単一の回路として構成されるものに限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのハードウェアプロセッサとして構成され、各機能を実現するようにしてもよい。また、複数の構成要素を1つのハードウェアプロセッサに統合して各機能を実現するようにしてもよい。医用情報処理システム100におけるハードウェアプロセッサやメモリ等は、HIS10のハードウェアプロセッサやメモリ等とは別個に設けられているが、これらが共通していてもよい。
【0030】
メモリ150は、疾患に関する情報がグラフ構造化された疾患オントロジー151を複数記憶している。疾患オントロジーはプログラムと同じ媒体に記憶されていてもよいし、オンライン上を含む別の媒体に格納されていてもよい。疾患オントロジーは、例えばプログラム実行時に読み出し使用される。図3は、疾患オントロジーの内容の一例を示す図である。疾患オントロジー151は、例えば、疾患概念ネットワークとして表される。疾患概念ネットワークには、例えば、「病態」「疾患」「合併症・副作用」という階層が提示されている。各階層には、それぞれ要素が定義されている。
【0031】
「病態」の階層には、例えば、「食欲不振」「咳」「息切れ」「動悸」「多汗」「痙攣」「胸痛」「浅い呼吸」「失神」「頭痛」「めまい」「黄疸」「吐き気」「高熱」「むくみ」「下痢」などの要素が定義されている。病態の要素としては、その他の要素が含まれていてもよいし、これらの一部が含まれていなくてもよい。「病態」の階層は、病態に関する層の一例である。
【0032】
「疾患」は、例えば、国際疾病分類(ICD-11)に基づいて分類された要素とすることができる。「疾患」は、疾患コンパスなどのアプリケーションソフトで構造化された要素でもよい。「疾患」の階層には、「胸水」「腹水」「肝炎」「心不全」「肺がん」「肝がん」「心筋症」「肺炎」「膵炎」「COPD」「膵がん」などの要素が定義されている。疾患の要素としては、その他の要素が含まれていてもよいし、これらの一部が含まれていなくてもよい。「疾患」の階層は、疾患に関する層の一例である。
【0033】
「合併症・副作用」の階層は、「疾患」のある要素(以下、対象疾患)を治療するときの合併症や副作用として現れる症状をその対象疾患の属性となる疾患群として定義できる。「合併症・副作用」の階層には、「胸水」「腹水」「心筋炎」「骨量減少」「肺線維化」などの要素が定義されている。「合併症・副作用」の階層は、「疾患」の種類ごとに規定されている。図3の例では、「疾患」が「肺がん」である場合の「合併症・副作用」の要素が示されている。
【0034】
「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素には、画像診断検査が紐づけられている。「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素と画像診断検査の関係は、後に説明する。
【0035】
取得機能141は、電子カルテシステム11により送信される患者情報を取得する。取得機能141は、送信された患者情報が示す患者の診断情報を診断情報DB50に送信させる。取得機能141は、及び診断情報DB50により送信される診断情報を取得する。患者情報及び診断情報は、いずれも患者が呈する病態に関する情報(以下、病態情報)である。病態情報は、患者情報及び診断情報を含む情報である。
【0036】
変換機能142は、メモリ150に格納された疾患オントロジー151を読み出し、疾患オントロジー151に病態情報をマッピングする。変換機能142は、病態情報をマッピングすることにより、疾患オントロジーを、修飾疾患オントロジーに変換することにより、修飾疾患オントロジーを生成する。修飾疾患オントロジーには、患者の状態が反映されている。疾患オントロジーを修飾疾患オントロジーに変換する手順については、後にさらに説明する。
【0037】
受付機能143は、入力インターフェース120により送信される疾患情報を自然言語解析するなどして、主候補疾患に関する指定として受け付ける。疾患情報は、入力インターフェース120以外のデバイス、例えば、医師等が専用で利用するユーザ端末などの端末装置により、ネットワークNWを介して送信されるものでもよい。
【0038】
特定機能144は、変換機能142により疾患オントロジー151が変換されて生成された修飾疾患オントロジーに基づいて、受付機能143により受け付けられた主候補疾患とは異なり、主訴に関わる疾患以外の疾患である副候補疾患を特定する。副候補疾患の特定については、後にさらに説明する。
【0039】
生成機能145は、副候補疾患に関するオーダー情報を生成する。生成機能145は、更に、主候補疾患の合併症及び副作用に関するオーダー情報を生成する。生成機能145は、生成した副候補疾患に関するオーダー情報、並びに主候補疾患の合併症及び副作用に関するオーダー情報をRIS20に送信する。
【0040】
疾患の要素として示される各疾患に対しては、その疾患を同定し、またはその疾患の程度を評価するための検査が紐付けされており、紐付けされた疾患と検査の情報が必要検査情報としてメモリ150に格納されている。生成機能145は、特定機能144により特定された副候補疾患に対応する必要検査情報をメモリ150から読み出して、副候補疾患に関するオーダー情報を生成する。副候補疾患に関するオーダー情報は、第1オーダー情報の一例である。主候補疾患の合併症及び副作用に関するオーダー情報は、第2オーダー情報の一例である。
【0041】
RIS20は、画像診断部門での業務支援を行うコンピュータシステムである。RIS20は、HIS10と連携した画像検査オーダーの予約管理のほか、検査機器への予約情報連携、検査情報の管理などを行う。RIS20は、例えば、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、ディスプレイ、入力インターフェース及び通信インターフェースを備えるサーバ装置やクライアント端末等のコンピュータを含む。
【0042】
モダリティ30は、例えば、画像検査オーダー等に基づき決定される撮影条件(撮影プロトコル)に従い撮像(撮影)を実行する。モダリティ30としては、例えば、X線コンピュータ断層撮影装置、X線診断装置、磁気共鳴イメージング装置、超音波診断装置、核医学診断装置等が挙げられる。モダリティ30は、例えば、医師(放射線科医)や診療放射線技師等のオペレータにより操作される。モダリティ30は、撮像により生成した医用画像(画像データ)をPACS40に送信する。
【0043】
PACS40は、モダリティ30により送信された医用画像を受信してデータベースに保存するコンピュータシステムである。PACS40は、クライアントからのリクエストに応じて、データベースに保存された医用画像を送信(転送)する。PACS40は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAM等のメモリ、ディスプレイ、入力インターフェース、通信インターフェースを含むサーバ・コンピュータを含む。
【0044】
PACS40に記憶された医用画像には、撮影対象の患者や撮影に関する情報が付帯情報として付帯されている。付帯情報には、例えば、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格に準拠した形式で、患者ID、検査ID、撮影条件(撮影プロトコル)等の情報が含まれる。PACS40は、過去に撮像された複数の患者の医用画像などを記憶している。
【0045】
診断情報DB50には、患者の診断により取得した情報(以下、診断情報)が格納されている。診断情報DB50に格納された診断情報には、例えば、問診情報51と、生化学情報52と、基礎検査情報53と、が含まれる。問診情報51は、例えば、医師等が患者を問診することにより取得された情報を含む。生化学情報52は、例えば、生化学検査により取得された情報を含む。基礎検査情報53は、例えば、心電図情報などの意思の問診前に受ける基礎検査の情報を含む。
【0046】
診断情報DB50は、電子カルテシステム11に含まれていてもよい。このとき、電子カルテシステム11は、患者情報を医用情報処理システム100に送信する場合に、患者情報が示す診断情報を診断情報DB50から読み出し、患者情報とともに医用情報処理システム100に送信してもよい。診断情報には、画像診断検査の結果が含まれていてもよい。
【0047】
病院内システム1の構成は上記に限定されない。病院内システム1は、病院内システム1のいくつかの要素が統合されていてもよい。例えば、HIS10とRIS20とが1個のシステムに統合されていてもよい。
【0048】
次に、医用情報処理システム100における処理について説明する。図4は、実施形態の医用情報処理システム100における処理の一例を示すフローチャートである。医用情報処理システム100は、まず、取得機能141により、電子カルテシステム11により送信される患者情報及び診断情報DB50により送信される診断情報を取得して病態情報を取得する(ステップS101)。
【0049】
続いて、変換機能142は、メモリ150に格納された疾患オントロジー151を読み出す(ステップS103)。続いて、変換機能142は、読み出した疾患オントロジー151に病態情報をマッピングして疾患オントロジーを修飾疾患オントロジーに変換する(ステップS105)。
【0050】
続いて、受付機能143は、入力インターフェース120により送信される疾患情報(主候補疾患)を受信したか否かを判定する(ステップS107)。疾患情報を受信していない判定した場合、受付機能143は、ステップS107の処理を繰り返す。疾患情報を受信した判定した場合、受付機能143は、受信した疾患情報に基づく疾患を主候補疾患として受け付ける(ステップS109)。続いて、変換機能142は、受付機能143により受け付けられた主候補疾患を修飾疾患オントロジーに反映させる。
【0051】
図5は、主候補疾患が反映された修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図である。疾患オントロジーを修飾疾患オントロジーに変換する際、変換機能142は、診断情報に含まれる問診情報、生化学検査情報、基礎検査情報に基づいて、「病態」の各要素をグラフ化する。例えば、変換機能142は、問診情報に含まれるテキスト情報を自然言語分析し、問診情報に含まれる「病態」の各要素の数を指標としてグラフ化する。例えば、問診情報に含まれる数が多いほど、疾患オントロジーの「病態」における各要素を大きくグラフ化する。
【0052】
グラフ化された要素は、図5においては、例えば、目印の大きさで示されている。図5に示す例では、「胸痛」「息切れ」「浅い呼吸」などの要素がテキスト情報に多く含まれており、これらの要素が大きくグラフ化される。このため、「胸痛」「息切れ」「浅い呼吸」などの要素を示す目印が大きく表されている。
【0053】
ここでは、問診情報に含まれる各要素の数を指標としてグラフ化をするが、数以外の指標に基づいてグラフ化をしてもよい。数以外の指標、例えば、影響の大きさ、強調度合いなどに基づいてグラフ化をしてもよいし、これらの各指標を多元的に評価してグラフ化をしても良い。この場合、例えば、グラフ化される指標ごとに目印に対する表現を変えてもよく、例えば、影響の大きさを色(濃さ)で示し、強調度合いを形状(丸、四角、三角など)で示してもよい。
【0054】
変換機能142は、さらに、生化学検査情報や基礎検査情報に基づいて、疾患オントロジーにおける「病態」の要素をグラフ化する。例えば、生化学検査や基礎検査において各要素に関する症状が見られやすい結果が表れた場合に、その要素を大きくグラフ化する。生化学検査や基礎検査に含まれる各要素の指標を、問診情報と同様に数以外の指標としてもよい。
【0055】
さらに、変換機能142は、受付機能143により受け付けられた疾患情報に基づいて、疾患オントロジーにおける「疾患」の要素をグラフ化する。図5に示す例では、受付機能143は、疾患情報として「肺がん」を受け付けている。この場合に、疾患における「肺がん」の要素を大きくグラフ化している。また、「疾患」として「肺がん」に最も大きくグラフ化していることから、「合併症・副作用」の要素として「疾患」が「肺がん」である場合の「合併症・副作用」の要素を選択している。
【0056】
続いて、特定機能144は、副候補疾患を特定する(ステップS111)。特定機能144は、副候補疾患を特定するにあたり、受付機能143により受け付けられた主候補疾患と、修飾疾患オントロジーにおける病態におけるグラフ化された要素を用いる。特定機能144は、どのように副候補疾患を特定してもよい。特定機能144は、例えば、主候補疾患と、修飾疾患オントロジーにおける病態のグラフ化された各要素に基づいて、罹患確率が高い疾患を推測して副候補疾患として特定する。罹患確率が高い疾患を推測する際には、例えば、機械学習により生成された学習済モデルを用いてもよいし、ルールベースのモデルを用いてもよい。
【0057】
図6は、副候補疾患が特定された修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図である。図6に示す例では、主候補疾患が「肺がん」であり、病態における「胸痛」「動悸」「息切れ」「浅い呼吸」などが大きくグラフ化されている。これらの結果から、副候補疾患として「心不全」が特定される。
【0058】
また、「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素には、画像診断検査が紐づけられている。図7は、「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素の画像診断検査が紐づけられた修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図である。例えば、「疾患」における「心不全」には「UL(ultrasonography)」「CT(Computed Tomography)」が紐づけられている。また、「合併症・副作用」における「心筋炎」には、「UL」「CT」が紐づけられている。なお、画像診断検査プロトコルはコード化されており、特定が容易となるようにされている。
【0059】
続いて、生成機能145は、特定機能144により特定された副候補疾患と受付機能143により受け付けた主候補疾患に対応する「合併症・副作用」の各要素に関する画像検査オーダーを生成する(ステップS113)。生成機能145は、例えば、特定機能144により特定された副候補疾患の検査に要する画像検査を、画像検査オーダーに含める。生成機能145は、主候補疾患に対応する「合併症・副作用」のうち、検査の必要性の高い要素の検査に要する画像検査を、画像検査オーダーに含める。
【0060】
生成機能145は、「合併症・副作用」の各要素のうち、検査の必要性の高い要素を選択するにあたり、各要素に対する検査の実施推奨度を算出し、実施推奨度に応じた重み付けをする。生成機能145は、実施推奨度を算出するにあたり、問診情報に含まれるテキスト情報、基礎検査情報、主候補疾患の診療ガイドライン、及び患者の過去の検査結果を用いる。
【0061】
生成機能145は、例えば、発生確率Riと、推奨ランクSiと、変化係数Ciとを用いた下記(1)式を用いて、実施推奨度Eiを算出する。
Ei=Ri×Si×Ci ・・・(1)
【0062】
発生確率Riは、主候補疾患の合併症や副作用が起きやすい状態が発生する確率である。生成機能145は、例えば、問診情報に含まれるテキスト情報を自然言語分析して抽出された患者の症状及び基礎検査情報に基づいて、発生確率Riを算出する。推奨ランクSiは、診療ガイドラインに規定される推奨ランクに基づいて特定される。例えば、推奨ランクSiは、診療ガイドラインにおいて、検査を高推奨する場合を「5」、推奨しない場合を「1」とした5段階の重みとする。生成機能145は、診療ガイドラインにおける留意度と発症時の重篤度等を利用してもよい。
【0063】
変化係数Ciは、例えば、患者が過去に何らかの検査を受けたことがある場合に算出する。患者が過去に検査を受けたことがある場合には、過去の検査結果が修飾疾患オントロジーの中の一情報として含まれている。このため、患者の状況(Patient Statement)の変化PCiや基礎検査情報の変化BCiを用いて、例えば下記(2)式により変化係数Ciを算出する。患者の状況(Patient Statement)の変化PCiや基礎検査情報の変化BCiは、例えば、変化が全くないまたは変化が良化する方向を向いている場合には、「1」、変化悪化する方向を向いている場合には、その程度の大きさに応じて大きい方を「5」とする4段階に設定する。
Ci=PCi×BCi ・・・(2)
【0064】
生成機能145は、(1)式により実施推奨度を算出し、算出した実施推奨度に応じた重み付けを用いて主候補疾患に対応する「合併症・副作用」の各要素に関する画像検査オーダーを生成する。生成機能145は、例えば、複数の要素のうち、実施推奨度が所定の閾値を超えた要素の画像検査を画像検査オーダーに含めてもよいし、実施推奨度が高い所定数の要素の画像検査を画像検査オーダーに含めてもよい。
【0065】
図8は、画像検査オーダーが生成された「疾患」及び「合併症・副作用」の各要素を示す修飾疾患オントロジーの内容の一例を示す図である。図8に示す例では、「疾患」のうちの「肝がん」、「合併症・副作用」のうちの「腹水」「心筋炎」「肺線維化」「骨量減少」に対して画像検査オーダーが生成されている。
【0066】
生成機能145は、疾患の画像診断検査及び解析が、医師が指示する画像診断検査のプロトコルで実施できるか否か基づいて、画像検査オーダーに含める画像検査を選別してもよい。生成機能145は、例えば、医師が指示する画像診断検査のプロトコルで実施できる画像検査を画像検査に含めて、医師が指示する画像診断検査のプロトコルで実施できない画像検査を画像検査から外すようにしてもよい。この場合、生成機能145は、医師が指示する画像診断検査のプロトコルで実施できない画像検査を追加検査として実施するように医師に提案してもよい。
【0067】
続いて、生成機能145は、生成した画像検査オーダーをRIS20に送信する(ステップS115)。こうして、医用情報処理システム100は、図4に示すフローの処理を終了する。
【0068】
実施形態の医用情報処理システム100は、疾患オントロジーを用いて主候補疾患以外の副候補疾患を推測し、副候補疾患についてのオーダー情報を生成する。ここで用いられる疾患オントロジーは、病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより疾患オントロジーが変換され、患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーである。このため、主訴に関わる疾患以外の疾患についても発見しやすくすることができる。
【0069】
また、実施形態の医用情報処理システム100は、主候補疾患の合併症及び副作用に関する検査オーダーを生成する。このため、主候補疾患の合併症及び副作用についても発見しやすくすることができる。また検査オーダーを生成する合併症及び副作用は、実施推奨度に基づいて決定される。このため、合併症及び副作用に対する過度の検査を抑制することができる。
【0070】
上記の実施形態において、医用情報処理システム100は、HIS10内に設けられるが、医用情報処理システム100は、その他の位置に設けられていてもよい。医用情報処理システム100は、例えば、HIS10から独立して設けられてもよいし、医師が操作するユーザ端末や電子カルテシステム11に設けられてもよい。
【0071】
上記の実施形態において、医用情報処理システム100は、画像検査オーダーのオーダー情報を生成するが、画像検査オーダー以外のオーダー情報を生成してもよい。医用情報処理システム100は、例えば、生理検査オーダーや検体検査オーダーのオーダー情報を生成してもよい。
【0072】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、患者が呈する病態に関する病態情報を取得する取得部と、前記病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換する変換部と、主候補疾患に関する指定を受け付ける受付部と、前記主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定する特定部と、前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する生成部と、を持つことにより、主疾患以外の副疾患についても発見しやすくすることができる。
【0073】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
処理回路(processing circuitry)を備え、
前記処理回路は、
患者が呈する病態に関する病態情報を取得し、
前記病態情報を疾患オントロジーの上にマッピングすることにより、前記疾患オントロジーを、前記患者の状態が反映された修飾疾患オントロジーに変換し、
主候補疾患に関する指定を受け付け、
前記主候補疾患とは異なる副候補疾患を、前記修飾疾患オントロジーに基づいて特定し、
前記副候補疾患に関する第1オーダー情報を生成する、
医用情報処理装置。
【0074】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1…病院内システム
10…HIS
11…電子カルテシステム
20…以下、RIS
30…モダリティ
40…PACS
50…診断情報DB
51…問診情報
52…生化学情報
53…基礎検査情報
100…医用情報処理システム
110…通信インターフェース
120…入力インターフェース
130…ディスプレイ
140…処理回路
141…取得機能
142…変換機能
143…受付機能
144…特定機能
145…生成機能
150…メモリ
151…疾患オントロジー
NW…ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8