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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160539
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電動式作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20231026BHJP
   E02F 9/08 20060101ALI20231026BHJP
   B60R 16/04 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/08 Z
B60R16/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070964
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩太郎
(57)【要約】
【課題】複数のバッテリユニットおよび電動モータを含む構成部品のレイアウトの自由度を増大させることができる電動式作業機械を提供する。
【解決手段】電動式作業機械としての油圧ショベルは、電動モータと、電動モータを駆動するための電力を蓄える複数のバッテリユニットと、電動モータおよび複数のバッテリユニットが搭載される機体フレームと、を備える。複数のバッテリユニットは、機体フレームにおいて、一方向に平行に位置するとともに、一方向と垂直な方向に並んで位置する。複数のバッテリユニットのうちの少なくとも2つは、一方向において互いにずれて位置する端部をそれぞれ有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータと、
前記電動モータを駆動するための電力を蓄える複数のバッテリユニットと、
前記電動モータおよび前記複数のバッテリユニットが搭載される機体フレームと、を備え、
前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、一方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な方向に並んで位置し、
前記複数のバッテリユニットのうちの少なくとも2つは、前記一方向において互いにずれて位置する端部をそれぞれ有する、電動式作業機械。
【請求項2】
前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、前記一方向としての左右方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な前後方向に並んで位置し、
前記少なくとも2つのバッテリユニットは、前記端部として、前記左右方向において互いにずれて位置する側端部をそれぞれ有する、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項3】
nを2以上の整数として、前記少なくとも2つのバッテリユニットの個数をn個としたとき、
前記少なくとも2つのバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、最後尾側から前方に向かってn番目まで並んで位置する、請求項2に記載の電動式作業機械。
【請求項4】
前記機体フレームは、縁部を有し、
前記縁部は、上方から見て、前記機体フレームの機体後端部から前方に向かうにつれて、左右方向の幅が広がる形状を有し、
前記少なくとも2つのバッテリユニットにおいて、相対的に前方に位置するバッテリユニットの側端部は、相対的に後方に位置するバッテリユニットの側端部に対して、左右方向において前記縁部に近づく側にずれて位置する、請求項2に記載の電動式作業機械。
【請求項5】
前記少なくとも2つのバッテリユニットを、後方バッテリユニットとしたとき、
前記複数のバッテリユニットは、前記後方バッテリユニットよりも前方に位置する少なくとも2つの前方バッテリユニットを有し、
前記少なくとも2つの前方バッテリユニットにおいて、相対的に前方に位置するバッテリユニットの側端部は、相対的に後方に位置するバッテリユニットの側端部と、左右方向において同一位置に位置する、請求項4に記載の電動式作業機械。
【請求項6】
前記機体フレームに設置される操縦部をさらに備え、
前記操縦部は、運転座席と、前記運転座席を覆うキャビンと、を有し、
前記キャビンは、ドアを有し、
前記ドアは、平板状の前記機体フレームと交差する方向に延びる回動軸を有し、
左右方向において、前記ドアの前記回動軸は、前記少なくとも2つの前方バッテリユニットの側端部と、ボンネットを介して離れて位置する、請求項5に記載の電動式作業機械。
【請求項7】
前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、前記一方向としての前後方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な上下方向に並んで位置し、
前記複数のバッテリユニットの少なくとも2つは、前記端部として、前記前後方向において互いにずれて位置する後端部をそれぞれ有する、請求項1に記載の電動式作業機械。
【請求項8】
前記電動モータは、前記後端部が最も後方に位置するバッテリユニットと、前記機体フレームとの間に位置する、請求項7に記載の電動式作業機械。
【請求項9】
前記複数のバッテリユニットは、全て、前記一方向の長さが同じである、請求項1から8のいずれかに記載の電動式作業機械。
【請求項10】
前記複数のバッテリユニットの少なくとも一部は、前記一方向の長さが異なる、請求項1から8のいずれかに記載の電動式作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータを備えた旋回作業機が提案されている。電動モータは、バッテリユニットから供給される電力によって駆動される。例えば特許文献1では、旋回台の後部に、2つのバッテリユニットと電動モータとを左右方向に並べて配置する旋回作業機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-080708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旋回作業機では、旋回時の後方の安全を確保するために、旋回台(機体フレーム)の縁部(特に機体後端部)が旋回時に車幅からできる限りはみ出さないことが好ましい。このため、機体フレームの機体後端部を含む縁部の外形は、上方から見て円弧状になることが一般的である。この点、特許文献1では、同じ大きさの2つのバッテリユニットと、電動モータとを左右方向に並べて配置するため、機体フレームの縁部が角張った形状となり、旋回時に機体後端部が車幅からはみ出してしまうことが懸念される。
【0005】
また、小型の旋回作業機では、車幅が狭い。このため、複数のバッテリユニットと電動モータとを左右方向に並べて配置する構成では、車幅の狭い旋回作業機を構成することが困難となる。
【0006】
したがって、複数のバッテリユニットと電動モータとを機体フレームに搭載する構成では、機体フレームの縁部を円弧状に形成することを可能にする点、および車幅の狭い旋回作業機を実現することを可能にする点を踏まえて、複数のバッテリユニットおよび電動モータを含む構成部品のレイアウトの自由度を増大させることが望まれる。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のバッテリユニットおよび電動モータを含む構成部品のレイアウトの自由度を増大させることができる電動式作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る電動式作業機械は、電動モータと、前記電動モータを駆動するための電力を蓄える複数のバッテリユニットと、前記電動モータおよび前記複数のバッテリユニットが搭載される機体フレームと、を備え、前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、一方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な方向に並んで位置し、前記複数のバッテリユニットのうちの少なくとも2つは、前記一方向において互いにずれて位置する端部をそれぞれ有する。
【発明の効果】
【0009】
上記の構成によれば、複数のバッテリユニットおよび電動モータを含む構成部品のレイアウトの自由度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の一形態に係る電動式作業機械の一例である油圧ショベルの概略の構成を示す側面図である。
図2】上記油圧ショベルの電気系および油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。
図3】上記油圧ショベルの機関室内を斜め前方から見たときの斜視図である。
図4】上記機関室内を斜め後方から見たときの斜視図である。
図5】下板上でのバッテリユニットの配置を示す平面図である。
図6】上記バッテリユニットの他の配置を模式的に示す側面図である。
図7】下板上での上記バッテリユニットの配置と、キャビンのドアの開状態での位置とを併せて示す平面図である。
図8】上記バッテリユニットの他の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0012】
〔1.電動式作業機械〕
図1は、本実施形態の電動式作業機械の一例である油圧ショベル(電動ショベル)1の概略の構成を示す側面図である。油圧ショベル1は、下部走行体2と、作業機3と、上部旋回体4と、を備える。
【0013】
ここで、方向を以下のように定義する。上部旋回体4の運転座席41aに着座したオペレータ(操縦者、運転手)が正面を向く方向を前方とし、その逆方向を後方とする。したがって、下部走行体2に対して上部旋回体4が非旋回の状態(旋回角度0°)では、上部旋回体4の前後方向は、下部走行体2が前後進する方向と一致する。また、運転座席41aに着座したオペレータから見て左側を「左」とし、右側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。図面では、下部走行体2に対して上部旋回体4が非旋回の状態で油圧ショベル1を示す。また、図面では、必要に応じて、前方を「F」、後方を「B」、右方を「R」、左方を「L」、上方を「U」、下方を「D」の記号で示す。
【0014】
下部走行体2は、左右一対のクローラ21と、左右一対の走行モータ22と、を備える。各走行モータ22は、油圧モータである。左右の走行モータ22が、左右のクローラ21をそれぞれ駆動することにより、油圧ショベル1を前後進させることができる。下部走行体2には、整地作業を行うためのブレード23と、ブレードシリンダ23aとが設けられる。ブレードシリンダ23aは、ブレード23を上下方向に回動させる油圧シリンダである。
【0015】
作業機3は、ブーム31、アーム32、およびバケット33を備える。ブーム31、アーム32、およびバケット33を独立して駆動することにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0016】
ブーム31は、ブームシリンダ31aによって回動される。ブームシリンダ31aは、基端部が上部旋回体4の前部に支持され、伸縮自在に可動する。アーム32は、アームシリンダ32aによって回動される。アームシリンダ32aは、基端部がブーム31の先端部に支持され、伸縮自在に可動する。バケット33は、バケットシリンダ33aによって回動される。バケットシリンダ33aは、基端部がアーム32の先端部に支持され、伸縮自在に可動する。ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、およびバケットシリンダ33aは、油圧シリンダにより構成される。
【0017】
上部旋回体4は、下部走行体2の上方に位置し、下部走行体2に対して旋回ベアリング(不図示)を介して旋回可能に設けられる。上部旋回体4には、操縦部41、旋回フレーム42、旋回モータ43、機関室44等が配置される。上部旋回体4は、油圧モータである旋回モータ43の駆動により、旋回ベアリングを介して旋回する。油圧ショベル1は、旋回フレーム42を機体フレームとして備える。
【0018】
上部旋回体4には、油圧ポンプ71(図2参照)が配置される。油圧ポンプ71は、機関室44の内部の電動モータ61(図2参照)によって駆動される。油圧ポンプ71は、油圧モータ(例えば左右の走行モータ22、旋回モータ43)、および油圧シリンダ(例えばブレードシリンダ23a、ブームシリンダ31a、アームシリンダ32a、バケットシリンダ33a)に作動油(圧油)を供給する。油圧ポンプ71から作動油が供給されて駆動される油圧モータおよび油圧シリンダを、まとめて油圧アクチュエータ73(図2参照)と呼ぶ。
【0019】
操縦部41は、旋回フレーム42に設置される。操縦部41には、運転座席41aが配置される。運転座席41aの周囲には、各種のレバー41bが配置される。オペレータが運転座席41aに着座してレバー41bを操作することにより、油圧アクチュエータ73が駆動される。これにより、下部走行体2の走行、ブレード23による整地作業、作業機3による掘削作業、上部旋回体4の旋回、等を行うことができる。
【0020】
操縦部41は、キャビン41cを有する。キャビン41cは、運転座席41aを覆う。これにより、運転座席41aに着座したオペレータを、油圧ショベル1の転倒時または悪天候から保護することができる。このように、油圧ショベル1は、操縦部41を備える。、そして、操縦部41は、運転座席41aと、キャビン41cと、を有する。
【0021】
キャビン41cは、ドア41dを有する。ドア41dは、回動軸41d1を有する。回動軸41d1は、平板状の旋回フレーム42と交差する方向に延びる。本実施形態では、回動軸41d1は、上下方向に延びる。回動軸41d1を中心にドア41dを回動させ、開閉することにより、オペレータは運転座席41aに対して乗降することができる。なお、ドア41dは、1枚構成であってもよいし、2枚構成であってもよい。2枚構成のドアの場合、各ドア同士は、ヒンジを介して回動可能に連結される。
【0022】
上部旋回体4には、バッテリユニット53が配置される。すなわち、油圧ショベル1は、バッテリユニット53を備える。バッテリユニット53は、例えばリチウムイオンバッテリユニットで構成され、電動モータ61を駆動するための電力を蓄える。バッテリユニット53は、複数のバッテリをユニット化して構成されてもよいし、単一のバッテリセルで構成されてもよい。本実施形態では、上記の電動モータ61および複数のバッテリユニット53が旋回フレーム42に搭載される。
【0023】
また、上部旋回体4には、不図示の給電口が設けられる。上記の給電口と、外部電源である商用電源51とは、給電ケーブル52を介して接続される。これにより、バッテリユニット53を充電することができる。
【0024】
上部旋回体4には、鉛バッテリ54がさらに設けられる。鉛バッテリ54は、低電圧(例えば12V)の直流電圧を出力する。鉛バッテリ54からの出力は、制御電圧として例えばシステムコントローラ67(図2参照)、送風ファン(図示せず)などに供給される。
【0025】
油圧ショベル1は、油圧アクチュエータ73などの油圧機器と、電力で駆動されるアクチュエータとを併用した構成であってもよい。電力で駆動されるアクチュエータとしては、例えば、電動走行モータ、電動シリンダ、電動旋回モータがある。
【0026】
〔2.電気系および油圧系の構成〕
図2は、油圧ショベル1の電気系および油圧系の構成を模式的に示すブロック図である。油圧ショベル1は、電動モータ61と、充電器62と、インバータ63と、PDU(Power Drive Unit)64と、ジャンクションボックス65と、DC-DCコンバータ66と、システムコントローラ67と、を備える。システムコントローラ67は、ECU(Electronic Control Unit)とも呼ばれる電子制御ユニットで構成され、油圧ショベル1の各部の電気的な制御を行う。
【0027】
電動モータ61は、バッテリユニット53から、ジャンクションボックス65およびインバータ63を介して供給される電力により駆動される。電動モータ61は、永久磁石モータまたは誘導モータで構成される。電動モータ61は、旋回フレーム42上に配置される。
【0028】
充電器62は、図1で示した商用電源51から給電ケーブル52を介して供給される交流電圧を直流電圧に変換する。インバータ63は、バッテリユニット53から供給される直流電圧を、交流電圧に変換して電動モータ61に供給する。これにより、電動モータ61が回転する。インバータ63から電動モータ61への交流電圧(電流)の供給は、システムコントローラ67から出力される回転指令に基づいて行われる。
【0029】
PDU64は、内部のバッテリリレーを制御してバッテリユニット53の入出力を制御するバッテリ制御ユニットである。ジャンクションボックス65は、充電器リレー、インバータリレー、ヒューズ等を含んで構成される。上記した充電器62から出力される電圧は、ジャンクションボックス65およびPDU64を介してバッテリユニット53に供給される。また、バッテリユニット53から出力される電圧は、PDU64およびジャンクションボックス65を介してインバータ63に供給される。
【0030】
DC-DCコンバータ66は、バッテリユニット53からジャンクションボックス65を介して供給される高電圧(例えば300V)の直流電圧を、低電圧(例えば12V)に降圧する。DC-DCコンバータ66から出力される電圧は、鉛バッテリ54からの出力と同様に、システムコントローラ67、送風ファン等に供給される。
【0031】
電動モータ61の回転軸(出力軸)には、複数の油圧ポンプ71が接続される。複数の油圧ポンプ71は、可変容量型ポンプおよび固定容量型ポンプを含む。図2では、例として油圧ポンプ71を1つのみ図示している。各油圧ポンプ71は、作動油を収容(貯留)する作動油タンク74と接続されている。油圧ポンプ71により、作動油タンク74内の作動油が、コントロールバルブ72を介して油圧アクチュエータ73に供給される。これにより、油圧アクチュエータ73が駆動される。コントロールバルブ72は、油圧アクチュエータ73に供給される作動油の流れ方向および流量を制御する方向切替弁である。
【0032】
〔3.バッテリユニットの固定および配置について〕
次に、上記したバッテリユニット53の固定機構について説明する。図3は、油圧ショベル1の機関室44内を斜め前方から見たときの斜視図である。図4は、機関室44内を斜め後方から見たときの斜視図である。これらの図に示すように、油圧ショベル1は、固定機構80を備える。固定機構80は、複数のバッテリユニット53を旋回フレーム42に固定する機構である。
【0033】
固定機構80は、上板81および下板82と、支持部83と、を有する。上板81および下板82は、複数のバッテリユニット53を上下方向から挟む。支持部83は、下板82を旋回フレーム42上に支持する。支持部83は、旋回フレーム42上に例えば3つ設けられるが、支持部83の個数は上記の3つには特に限定されない。支持部83は、防振部材83aを含んで構成される。防振部材83aとしては、例えば、防振ゴム、ステー、ハウジング等を組み合わせた防振構造体を用いることができる。
【0034】
固定機構80は、連結部材84をさらに有する。連結部材84は、上板81および下板82にボルトなどによって連結される。これにより、上板81と下板82とが連結部材84を介して連結される。本実施形態では、連結部材84は3つ設けられるが、連結部材84の数は特に限定されない。
【0035】
また、固定機構80は、位置決め部材85をさらに有する。位置決め部材85は、下板82に(例えばボルトによって)固定されるとともに、複数のバッテリユニット53のいずれかの底部と接触して位置する。位置決め部材85により、下板82に対してバッテリユニット53が位置ズレするおそれが低減される。
【0036】
複数のバッテリユニット53およびPDU64は、接続ケーブルCAにより接続される。特に、複数のバッテリユニット53は、直列、並列、または直列と並列との組み合わせで接続される。
【0037】
図5は、上板81、連結部材84および接続ケーブルCAを取り除いた状態での、下板82上でのバッテリユニット53の配置を示す平面図である。下板82上には、同じ大きさの4つのバッテリユニット53が配置されている。例えば、2個のバッテリユニット53は直列に接続されて1つのペアを構成し、残りの2個のバッテリユニット53も直列に接続されて1つのペアを構成する。そして、各ペア同士は並列に接続される。なお、4つのバッテリユニットの接続方式は上記の例には限定されない。また、バッテリユニット53の数は、上記の4つには限定されない。
【0038】
本実施形態では、複数のバッテリユニット53は、旋回フレーム42において(下板82上で)、一方向に平行に位置するとともに、一方向と垂直な方向に並んで位置する。例えば、複数のバッテリユニット53は、旋回フレーム42において、上記一方向としての左右方向に平行に位置するとともに、上記一方向と垂直な前後方向に並んで位置する。
【0039】
ここで、上記4つのバッテリユニット53を特に区別する場合、それらを前方から後方に向かって順に、第1バッテリユニット53A、第2バッテリユニット53B、第3バッテリユニット53C、第4バッテリユニット53D、と称する。第1バッテリユニット53Aの前方には、上述したPDU64が位置する。PDU64の下面は、支持ステー64a(図3参照)に固定される。支持ステー64aは、下板82上に固定される。
【0040】
図5に示すように、第1バッテリユニット53Aおよび第2バッテリユニット53Bは、下板82上で、左右方向において同じ位置に(左右方向に互いにずれずに)配置される。第3バッテリユニット53Cは、下板82上で、第2バッテリユニット53Bよりも右方向にずれて配置される。第4バッテリユニット53Dは、下板82上で、第3バッテリユニット53Cよりもさらに右方向にずれて配置される。
【0041】
このような各バッテリユニット53の位置関係から、次のことが言える。つまり、4つのバッテリユニット53のうち、第2バッテリユニット53B、第3バッテリユニット53C、および第4バッテリユニット53Dは、一方向(例えば左右方向)において互いにずれて位置する側端部53B1、53C1、および53D1をそれぞれ有する。
【0042】
なお、一方向において互いにずれて位置する側端部を有するバッテリユニット53の数は、上記の3つ(第2バッテリユニット53B、第3バッテリユニット53C、第4バッテリユニット53D)には限定されず、2つのみであってもよいし、4つ以上であってもよい。以上のことをまとめると、本実施形態では、少なくとも2つのバッテリユニット53は、一方向において互いにずれて位置する端部をそれぞれ有する、と言える。特に、少なくとも2つのバッテリユニット53は、上記の端部として、左右方向において互いにずれて位置する側端部(例えば53C1、53D1)をそれぞれ有する、と言える。
【0043】
上記した各バッテリユニット53の配置によれば、図5に示すように、旋回フレーム42の縁部42aを上方から見て円弧状に形成した場合でも、その円弧状の縁部42aにほぼ沿うように、各バッテリユニット53を配置することができる。そして、旋回フレーム42の空いたスペース(例えば第1バッテリユニット53Aおよび第2バッテリユニット53Bの右側)に電動モータ61(図2参照)を配置することができる。したがって、複数のバッテリユニットおよび電動モータを左右方向に順に並べる従来の構成のように、縁部が角張った形状となることが回避される。よって、旋回時に旋回フレーム42の縁部42a(特に図5の機体後端部42E)が車幅からはみ出すおそれを低減することができる。
【0044】
図6は、複数のバッテリユニット53の他の配置を模式的に示す側面図である。同図に示すように、複数のバッテリユニット53は、旋回フレーム42において(下板82上で)、一方向としての前後方向に平行に位置するとともに、一方向と垂直な上下方向に並んで位置してもよい。例えば、同図では、第1バッテリユニット53A、第2バッテリユニット53B、第3バッテリユニット53C、および第4バッテリユニット53Dを、下方から上方に向かってこの順で積み上げた例を示している。
【0045】
第1バッテリユニット53Aの後端部53A2と、第2バッテリユニット53Bの後端部53B2とは、前後方向において同じ位置に揃っている。また、第3バッテリユニット53Cの後端部53C2は、第2バッテリユニット53Bの後端部53B2よりも後方にずれて位置する。第4バッテリユニット53Dの後端部53D2は、第3バッテリユニット53Cの後端部53C2よりもさらに後方にずれて位置する。このような各バッテリユニット53の配置では、最上位の第4バッテリユニット53Dと、その下方の旋回フレーム42との間に電動モータ61を配置するレイアウトを実現することができる。これにより、複数のバッテリユニット53および電動モータ61を左右方向に並べて配置する従来の構成に比べて、車幅を狭くすることができる。
【0046】
このように、複数のバッテリユニット53のうちの少なくとも2つが、一方向(左右方向または前後方向)において互いにずれて位置する端部(例えば図5の側端部53C1および53D1、または図6の後端部53C2および53D2)をそれぞれ有することにより、複数のバッテリユニット53および電動モータ61を含む構成部品の様々なレイアウトを実現することができる。その結果、構成部品のレイアウトの自由度を増大させることができる。
【0047】
図3図5で示した構成、つまり、複数のバッテリユニット53が、旋回フレーム42において、左右方向に平行に位置するとともに、前後方向に並んで位置し、少なくとも2つのバッテリユニット53が、左右方向において互いにずれて位置する側端部(例えば53C1、53D1)をそれぞれ有する構成において、旋回フレーム42の円弧状の縁部42aに沿うような各バッテリユニット53の配置を容易に実現する観点では、端部が一方向にずれて位置する少なくとも2つのバッテリユニット53は、以下のように位置することが望ましい。すなわち、nを2以上の整数として、上記少なくとも2つのバッテリユニット53の個数をn個としたとき、上記少なくとも2つのバッテリユニット53は、旋回フレーム42において、最後尾側から前方に向かってn番目まで並んで位置する。
【0048】
また、本実施形態では、図5に示すように、旋回フレーム42は縁部42aを有し、縁部42aは、上方から見て、旋回フレーム42の機体後端部42Eから前方に向かうにつれて、左右方向の幅が広がる形状(円弧状の形状)を有する。
【0049】
旋回フレーム42において、縁部42aの円弧状の形状に合わせて複数のバッテリユニット53を効率よく(スペースを有効活用して)積む観点、特に、旋回時に車幅からの縁部42aの出幅が小さい、後方小旋回型の油圧ショベル1において、旋回フレーム42の限られたスペースに複数のバッテリユニット53を効率的に積む観点では、側端部が左右方向にずれて位置する上記少なくとも2つのバッテリユニット53は、以下のように位置することが望ましい。すなわち、上記少なくとも2つのバッテリユニット53において、相対的に前方に位置するバッテリユニットの側端部(例えば第3バッテリユニット53Cの側端部53C1)は、相対的に後方に位置するバッテリユニットの側端部(例えば第4バッテリユニット53Dの側端部53D1)に対して、左右方向において縁部42aに近づく側にずれて位置する。
【0050】
また、側端部が左右方向にずれて位置する上記少なくとも2つのバッテリユニット53を、後方バッテリユニット53RRとしたとき、複数のバッテリユニット53は、後方バッテリユニット53RRよりも前方に位置する少なくとも2つの前方バッテリユニット53FFを有していてもよい。例えば、第3バッテリユニット53Cおよび第4バッテリユニット53Dを後方バッテリユニット53RRとしたとき、第1バッテリユニット53Aおよび第2バッテリユニット53Bが前方バッテリユニット53FFとなる。なお、前方バッテリユニット53FFは、3つ以上であってもよい。
【0051】
図7は、図5の平面図に、キャビン41c(図1参照)のドア41dの開状態での位置を併せて示したものである。上方から見て、前方バッテリユニット53FFの側端部(例えば53A1、53B1)と旋回フレーム42の縁部42aとの間にスペースSが確保されると、このスペースSに、開状態でのドア41dを位置させることができる。しかも、ドア41dの回動軸41d1とは反対側の端部41ddを、バッテリユニット53の側方に位置するボンネットBoに、治具等によって留めることができ、ドア41dが開状態でばたつくことを回避することができる。なお、図7では、ドア41dが1枚構成である場合を示しているが、ドア41dが2枚構成である場合は、図7において一点鎖線で示したドア41dが折れ曲がって示されるだけである。
【0052】
このように、上方から見て、前方バッテリユニット53FFの側端部と旋回フレーム42の縁部42aとの間にスペースSを確保して、このスペースSを有効活用する観点では、少なくとも2つの前方バッテリユニット53FFは、以下のように位置することが望ましい。すなわち、少なくとも2つの前方バッテリユニット53FFにおいて、相対的に前方に位置するバッテリユニットの側端部(例えば第1バッテリユニット53Aの側端部53A1)は、相対的に後方に位置するバッテリユニットの側端部(例えば第2バッテリユニット53Bの側端部53B1)と、左右方向において同一位置に位置する。
【0053】
特に、上記スペースSを確実に確保する点では、左右方向において、ドア41dの回動軸41d1が、少なくとも2つの前方バッテリユニットの側端部(例えば第1バッテリユニット53Aの側端部53A1、第2バッテリユニット53Bの側端部53B1)と、ボンネットBoを介して離れて位置することが望ましい。
【0054】
ところで、図6で示したように、複数のバッテリユニット53が、旋回フレーム42において、一方向としての前後方向に平行に位置するとともに、一方向と垂直な上下方向に並んで位置する構成では、電動モータ61の配置スペースを確保する観点で、複数のバッテリユニット53の少なくとも2つ(例えば第3バッテリユニット53C、第4バッテリユニット53D)は、一方向(前後方向)の端部として、前後方向において互いにずれて位置する後端部(例えば後端部53C2、53D2)をそれぞれ有することが望ましい。
【0055】
このとき、油圧ショベル1の車幅を確実に狭くして、後方小旋回型の油圧ショベル1を容易に実現する観点では、電動モータ61は、後端部が最も後方に位置するバッテリユニット(例えば第4バッテリユニット53D)と、旋回フレーム42との間に位置することが望ましい。
【0056】
以上では、複数のバッテリユニット53は、全て、一方向の長さが同じである場合について説明したが、この構成には限定されない。図8は、バッテリユニット53の他の構成を模式的に示す平面図である。同図に示すように、複数のバッテリユニット53は、一方向(例えば左右方向)の長さが他のバッテリユニット53(例えば第1バッテリユニット53A、第2バッテリユニット53B)とは異なるバッテリユニット53(例えば第3バッテリユニット53Cおよび第4バッテリユニット53D)を有していてもよい。なお、一方向の長さが異なるバッテリユニット53は、1つであってもよいし、全てであってもよい。つまり、複数のバッテリユニット53の少なくとも一部は、一方向の長さが異なっていてもよい。この場合でも、複数のバッテリユニット53のうちの少なくとも2つが、一方向において互いにずれて位置する端部(例えば側端部53C1、53D1)をそれぞれ有する構成を実現し得る。
【0057】
〔4.付記〕
本実施形態で説明した油圧ショベル1は、以下の付記に示す電動式作業機械と表現することもできる。
【0058】
付記(1)の電動式作業機械は、
電動モータと、
前記電動モータを駆動するための電力を蓄える複数のバッテリユニットと、
前記電動モータおよび前記複数のバッテリユニットが搭載される機体フレームと、を備え、
前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、一方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な方向に並んで位置し、
前記複数のバッテリユニットのうちの少なくとも2つは、前記一方向において互いにずれて位置する端部をそれぞれ有する。
【0059】
付記(2)の電動式作業機械は、付記(1)の電動式作業機械において、
前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、前記一方向としての左右方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な前後方向に並んで位置し、
前記少なくとも2つのバッテリユニットは、前記端部として、前記左右方向において互いにずれて位置する側端部をそれぞれ有する。
【0060】
付記(3)の電動式作業機械は、付記(2)の電動式作業機械において、
nを2以上の整数として、前記少なくとも2つのバッテリユニットの個数をn個としたとき、
前記少なくとも2つのバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、最後尾側から前方に向かってn番目まで並んで位置する。
【0061】
付記(4)の電動式作業機械は、付記(2)または(3)の電動式作業機械において、
前記機体フレームは、縁部を有し、
前記縁部は、上方から見て、前記機体フレームの機体後端部から前方に向かうにつれて、左右方向の幅が広がる形状を有し、
前記少なくとも2つのバッテリユニットにおいて、相対的に前方に位置するバッテリユニットの側端部は、相対的に後方に位置するバッテリユニットの側端部に対して、左右方向において前記縁部に近づく側にずれて位置する。
【0062】
付記(5)の電動式作業機械は、付記(4)の電動式作業機械において、
前記少なくとも2つのバッテリユニットを、後方バッテリユニットとしたとき、
前記複数のバッテリユニットは、前記後方バッテリユニットよりも前方に位置する少なくとも2つの前方バッテリユニットを有し、
前記少なくとも2つの前方バッテリユニットにおいて、相対的に前方に位置するバッテリユニットの側端部は、相対的に後方に位置するバッテリユニットの側端部と、左右方向において同一位置に位置する。
【0063】
付記(6)の電動式作業機械は、付記(5)の電動式作業機械において、
前記機体フレームに設置される操縦部をさらに備え、
前記操縦部は、運転座席と、前記運転座席を覆うキャビンと、を有し、
前記キャビンは、ドアを有し、
前記ドアは、平板状の前記機体フレームと交差する方向に延びる回動軸を有し、
左右方向において、前記ドアの前記回動軸は、前記少なくとも2つの前方バッテリユニットの側端部と、ボンネットを介して離れて位置する。
【0064】
付記(7)の電動式作業機械は、付記(1)の電動式作業機械において、
前記複数のバッテリユニットは、前記機体フレームにおいて、前記一方向としての前後方向に平行に位置するとともに、前記一方向と垂直な上下方向に並んで位置し、
前記複数のバッテリユニットの少なくとも2つは、前記端部として、前記前後方向において互いにずれて位置する後端部をそれぞれ有する。
【0065】
付記(8)の電動式作業機械は、付記(7)の電動式作業機械において、
前記電動モータは、前記後端部が最も後方に位置するバッテリユニットと、前記機体フレームとの間に位置する。
【0066】
付記(9)の電動式作業機械は、付記(1)から(8)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記複数のバッテリユニットは、全て、前記一方向の長さが同じである。
【0067】
付記(10)の電動式作業機械は、付記(1)から(8)のいずれかに記載の電動式作業機械において、
前記複数のバッテリユニットの少なくとも一部は、前記一方向の長さが異なる。
【0068】
〔5.補足〕
本実施形態では、各バッテリユニット53が平行に位置する一方向を、左右方向(図5等参照)または前後方向(図6参照)としたが、左右方向および前後方向と交差すする斜め方向としてもよい。
【0069】
以上では、電動式作業機械として、建設機械である油圧ショベル1を例に挙げて説明したが、電動式作業機械は油圧ショベル1に限定されず、ホイルローダなどの他の建設機械であってもよい。また、電動式作業機械は、コンバイン、トラクタ等の農業機械であってもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、例えば建設機械、農業機械などの作業機械に利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 油圧ショベル(電動式作業機械)
41 操縦部
41a 運転座席
41c キャビン
41d ドア
41d1 回動軸
42 旋回フレーム(機体フレーム)
42a 縁部
42E 機体後端部
53 バッテリユニット
53A 第1バッテリユニット(バッテリユニット、前方バッテリユニット)
53A1 側端部(端部)
53A2 後端部(端部)
53B 第2バッテリユニット(バッテリユニット、前方バッテリユニット)
53B1 側端部(端部)
53B2 後端部(端部)
53C 第3バッテリユニット(バッテリユニット、後方バッテリユニット)
53C1 側端部(端部)
53C2 後端部(端部)
53D 第4バッテリユニット(バッテリユニット、後方バッテリユニット)
53D1 側端部(端部)
53D2 後端部(端部)
53FF 前方バッテリユニット
53RR 後方バッテリユニット
61 電動モータ
Bo ボンネット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8