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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160556
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】床版運搬・架設装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/12 20060101AFI20231026BHJP
   E01D 22/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E01D19/12
E01D22/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022070990
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】安田 篤司
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 卓也
(72)【発明者】
【氏名】太田 智久
(72)【発明者】
【氏名】宇野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 清文
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059DD02
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】狭隘であり且つ、勾配を有する高架道路の床版を架け替え可能な床版運搬・架設装置を提供する。
【解決手段】フォークリフトに設けられたフォークに載置される第1フレームと、道路車線軸方向における左右方向に回転可能に前記第1フレーム上に設けられた第2フレームと、前記道路車線軸方向における縦断方向に移動可能に前記第2フレーム上に設けられた第3フレームと、前記第3フレームから吊り下げられ、床版に連結される複数の連結部材と、を備えることを特徴とする床版運搬・架設装置である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトに設けられたフォークに載置される第1フレームと、
道路車線軸方向における左右方向に回転可能に前記第1フレーム上に設けられた第2フレームと、
前記道路車線軸方向における前後方向に移動可能に前記第2フレーム上に設けられた第3フレームと、
前記第3フレームから吊り下げられ、床版に連結される複数の連結部材と、を備えることを特徴とする、
床版運搬・架設装置。
【請求項2】
前記第3フレームと共に前記第2フレームを前記第1フレームに対して回転させる第1ジャッキを備える、
請求項1に記載の床版運搬・架設装置。
【請求項3】
前記第2フレームは、第1下側フレームと、前記第1下側フレーム上に設けられた第1上側フレームとを備え、
前記第1上側フレームの前記第1下側フレームに対する前記道路車線軸方向の縦断勾配を調整する第2ジャッキを備える、
請求項1又は2に記載の床版運搬・架設装置。
【請求項4】
前記第3フレームは、第2下側フレームと、前記第2下側フレーム上に設けられた第2上側フレームとを備え、
前記第2上側フレームの前記第2下側フレームに対する前記道路車線軸方向の横断勾配を調整する第3ジャッキを備える、
請求項1又は2に記載の床版運搬・架設装置。
【請求項5】
前記第3フレームを前記第2フレームに対して前記道路車線軸方向における前後方向に移動させる第4ジャッキを備える、
請求項1又は2に記載の床版運搬・架設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床版運搬・架設装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高架道路の床版は、車両の大型化に伴う疲労や経年劣化の影響により、建設後40年以上経過した橋梁を中心に床版取替等の更新が必要となる。床版取替作業で使用するプレキャスト床版は、一般的に大型車両に載置されて施工現場まで運搬され、現場において大型クレーン等を用いて設置される。また、例えば、特許文献1には、大型の床版を架け替え可能とする架け替え方法が記載されている。この床版の架け替え方法によれば、トレーラにより床版の架け替え装置を施工現場まで搬送し、架け替え装置を用いて大型の床版を架け替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-98489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
床版の架け替えが必要な高架道路には、大型車両や大型クレーンが進入できない狭隘な幅員を有しているものがあり、特許文献1に記載された技術を適用できない場合がある。また、特許文献1に記載された技術によれば、勾配を有している高架道路に適用する場合に床版の設置時に勾配の調整が困難となる可能性がある。
【0005】
本発明は、狭隘であり且つ、勾配を有する高架道路の床版を架け替え可能な種々の調整機構を有する床版運搬・架設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達するために、本発明の一態様は、フォークリフトに設けられたフォークに載置される第1フレームと、道路車線軸方向における左右方向に回転可能に前記第1フレーム上に設けられた第2フレームと、前記道路車線軸方向における前後方向に移動可能に前記第2フレーム上に設けられた第3フレームと、前記第3フレームから吊り下げられ、床版に連結される複数の連結部材と、を備えることを特徴とする、床版運搬・架設装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、狭隘であり且つ、勾配を有する高架道路の床版を架け替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る施工対象の高架道路の構成を示す側面図である。
図2】床版の構成を示す正面図である。
図3】フォークリフトに載置された床版運搬・架設装置の状態を示す図である。
図4】床版運搬・架設装置の構成を示す正面図である。
図5】第1フレームに対する第2フレームの回転調整の状態を示す図である。
図6】第2フレームに対する第3フレームの縦断方向に対する勾配調整の状態を示す図である。
図7】第2フレームに対する第3フレームの横断方向に対する勾配調整の状態を示す図である。
図8】第2フレームに対する第3フレームの前後方向の移動構造の状態を示す図である。
図9】床版運搬・架設装置に吊り下げられた床版の状態を示す正面図である。
図10】床版運搬・架設装置に吊り下げられた床版の状態を示す側面図である。
図11】床版運搬・架設装置を用いた高架道路の施工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る床版運搬・架設装置の実施形態について説明する。以下の説明では、XYZ座標系において適宜、X軸方向に沿った方向を前後方向、道路車線軸方向や縦断方向、Y軸方向に沿った方向を左右方向や横断方向、Z軸方向に沿った方向を上下方向等と呼ぶ。これらは、通常の使用状態における相対的な方向を代表的に例示している。以下、道路車線軸方向を基準線と設定して説明する。
【0010】
図1に示されるように、施工対象の高架道路Dは、道路車線軸方向(図のX軸方向)に所定の勾配(例えば、9.5%)を有している。高架道路Dは、大型車両や大型クレーンが進入または設置できない狭隘(例えば、有効幅員:4450mm)な幅員を有している1車線道路である。また、高架道路Dの両側には、例えば、他の高架道路(不図示)が設けられている。また、高架道路Dは、上方にも他の構造物が設けられ上空制限がある場合も含む。
【0011】
図2に示されるように床版Sは、例えば、プレキャストコンクリート構造体により構成されている。床版Sは、例えば、HSPJ(ハイ・スマート・プレストレス・ジョイント(HSプレストレスジョイント:登録商標))床版である。床版Sの上面において道路車線幅方向の両側には、側壁S1が床版Sの設置後に設けられる。床版Sは、道路車線軸方向に直交する横断方向(Y軸方向)の幅SLが例えば、5250mm程度であり、道路車線軸方向の長さが例えば、2100mm程度の寸法の部材に形成されている。床版Sの最大重量は、例えば、10t程度である。上記床版Sの寸法、重量は一例であり、寸法、重量は設置対象に応じて適宜変更される。
【0012】
図3図8に示されるように床版運搬・架設装置1は、フォークリフトFに設けられたフォークF1に載置されるように構成されている。フォークリフトFは、例えば、定格荷重15tのフォークリフトである。床版運搬・架設装置1は、例えば、3tである。フォークF1は、フォークリフト本体FBに対して上下方向に移動自在に設けられている。また、フォークF1は、フォークリフト本体FBに対する勾配の角度も調整可能に設けられている。
【0013】
床版運搬・架設装置1は、フォークリフトに設けられたフォークに載置されるフレーム2と、フレーム2から吊り下げられ、床版Sに連結される複数の連結部材6と、フレーム2をフォークF1に固定する部材7を備える。フレーム2は、フォークに載置される第1フレーム3と、第1フレーム上に設けられた第2フレーム4と、第2フレーム上に設けられた第3フレーム5を備える。第1フレーム3は、例えば、平面視して矩形の枠組みと鋼板で形成されている。第1フレーム3の下面側には、地面に設置される脚部3Aが4か所設けられている。脚部3Aは、地面に載置した状態でフォークF1を挿入して固定するための空間3Bが設けられている。空間3Bに挿入されたフォークF1は、前後方向における前側の脚部3Aの下側から挿入される固定ボルト7Aにより固定される。フォークの基端側は、前後方向における後側の脚部3Aの後側に固定される板状の固定部材7Bにより固定される。
【0014】
第1フレーム3の上面側には、平面視して第2フレーム4が道路車線軸方向における左右方向に回転可能な構造が設けられている(図5参照)。第1フレーム3と第2フレーム4との間には、例えば、上下方向(Z軸方向)に沿った回転軸L周りに回転する回転構造Rを備える。第2フレーム4の下面側には、例えば、第1フレーム3の上面に支持され、且つ回転時に摺動する支持部4Dが設けられていてもよい。回転構造Rは、例えば、回転軸Lから直交方向にオフセットされて配置された回転用の第1ジャッキR1を備える。回転用の第1ジャッキR1は、例えば、伸縮自在な油圧ジャッキである。第1ジャッキR1は、例えば、一端側が第1フレーム3側に連結され、他端側が第2フレーム4側に連結されている。第1ジャッキR1は、第2フレーム4を第1フレーム3に対して回転させる。第1ジャッキR1の伸縮に基づいて、第1フレーム3に対して第2フレーム4が回転軸L周りに回転する。前後方向に対する方向(回転)の調整範囲は例えば、±5°である。
【0015】
第2フレーム4は、例えば、下側に設けられた下側フレーム4A(第1下側フレーム)と、下側フレーム4Aの上方に設けられた上側フレーム4B(第1上側フレーム)とを備える。下側フレーム4A及び上側フレーム4Bは、例えば、平面視して溝型鋼等の部材により枠状に形成されている。上側フレーム4Bと下側フレーム4Aとは、左右方向に沿った回転軸L2周りに回転する第1ヒンジ構造4Cを備える(図6参照)。第1ヒンジ構造4Cは、例えば、下側フレーム4Aと上側フレーム4Bとの前後方向における後側同士を回転自在に連結する。下側フレーム4Aと上側フレーム4Bとの前側同士は、左右一対の第2ジャッキR2により支持されている。
【0016】
第2ジャッキR2は、例えば、一端側が上側フレーム4Bに連結され、他端側が下側フレーム4Aに連結されている。第2ジャッキR2は、例えば、伸縮自在な油圧ジャッキである。第2ジャッキR2は、伸縮に基づいて下側フレーム4Aに対する上側フレーム4Bの道路車線軸方向である縦断方向に対する勾配を調整可能とする。上側フレーム4Bの上方には、第3フレーム5が設けられている。第3フレーム5は、第1ヒンジ構造4C及び第2ジャッキR2により、上側フレーム4Bの道路車線軸方向に対する勾配が変化することで、同時に縦断勾配調整が可能となる。第2ジャッキR2は、フォークF1の勾配調整により調整された後の第3フレームの第2フレームに対する前後方向における縦断勾配の微調整を可能にする。
【0017】
第3フレーム5は、例えば、下側に設けられた下側フレーム5A(第2下側フレーム)と、下側フレームの上方に設けられた上側フレーム5B(第2上側フレーム)とを備える。下側フレーム5Aと上側フレーム5Bとは、例えば、平面視して溝形鋼により矩形の枠状に形成されている。上側フレーム5Bと下側フレーム5Aとは、前後方向に沿った回転軸L3周りに回転する第2ヒンジ構造5Cを備える(図7参照)。第2ヒンジ構造5Cは、例えば、下側フレーム5Aと上側フレーム5Bとの左右方向における一方側を回転自在に連結する。下側フレーム5Aと上側フレーム5Bとの他方側同士は、例えば、前後方向に沿って配置された一対の第3ジャッキR3により支持されている。第3ジャッキR3は、上側フレーム5Bの下側フレーム5Aに対する横断方向における勾配を調整可能とする。
【0018】
第3フレーム5は、第2フレーム4の上側フレーム4Bに対して相対的に前後方向に沿って移動自在に設けられている(図8参照)。第3フレーム5は、移動構造5Dを介して第2フレーム4の上側フレーム4Bに移動自在に設けられている。移動構造5Dは、例えば、上側フレーム4Bと下側フレーム5Aとの間に、設けられている。移動構造5Dは、例えば、第3フレーム5の下側フレーム5Aを上側フレーム4Bに対して前後方向に沿って移動させるレールやガイド部材等(不図示)を用いて形成されている。上側フレーム5Bは、下側フレーム5Aと連動して移動する。移動構造5Dは、例えば、第4ジャッキR4により位置が調整される。第4ジャッキR4は、例えば、第3フレーム5を上側フレーム4Bに対してフォークリフトF側に引き寄せるように移動させることを可能にする。
【0019】
第3フレーム5の上側フレーム5Bは、左右方向において第2フレーム4の左右方向における幅に比して広い幅に形成されており、上側フレーム5Bの左右方向における両端は、第2フレーム4の両端の位置から外方に向かって突出する一対の突出部5E,5F(図4参照)が設けられている。
【0020】
突出部5E、5Fには、下面側から吊り下げられ、床版Sに連結される複数の連結部材6が設けられている。各突出部5E,5Fには、それぞれ2本の連結部材6が前後方向に沿って配置されている。連結部材6の上端及び下端には、任意の方向に回転可能とするボールジョイント等6Aが設けられている。
【0021】
連結部材6の下端に設けられたボールジョイント等6Aは、床版Sの上面側にボルト等を用いて固定される。図9及び図10に示されるように、床版Sは、ボールジョイント等6Aを介して連結部材6により第3フレーム5から吊り下げられるので、第3フレーム5の勾配で吊り下げられる。
【0022】
床版運搬・架設装置1は、フォークリフト本体FBのフォークF1に図3図4に示す、例えば固定ボルト7Aや固定部材7Bで上下方向及び前後方向に動かないように堅固に固定される。
【0023】
床版運搬・架設装置1によれば、フォークリフト本体FBに対するフォークF1の前後方向に対する勾配を調整することにより、床版Sの縦断方向に対する勾配を調整することができる。また、フォークF1の左右方向にスライド機構により、床版Sの左右方向に対する位置を調整することができる。床版運搬・架設装置1によれば、第1ジャッキR1(図5参照)により第1フレーム3に対して第3フレーム5と共に第2フレーム4を回転軸L周りに回転させ、床版Sの回転方向に対する方向を微調整することができる。床版運搬・架設装置1によれば、第2ジャッキR2により第2フレーム4に対する第3フレーム5の縦断方向に対する勾配を微調整し、床版Sの縦断方向に対する勾配を微調整することができる。縦断方向に対する勾配の調整範囲は、例えば±2%である。
【0024】
床版運搬・架設装置1によれば、第3ジャッキR3により第3フレームの第2フレームに対する横断方向における勾配を調整可能とし、床版Sの横断方向に対する勾配を微調整することができる。横断方向に対する勾配の調整範囲は、例えば、±2%である。床版運搬・架設装置1によれば、第4ジャッキR4により第3フレーム5の第2フレーム4に対する前後方向における位置を調整可能とし、床版Sの前後方向に対する引き寄せる位置を調整することができる。床版Sの前後方向に対する引き寄せる範囲は、例えば、250mmである。これにより、後述のように、設置時に床版Sが設置側に設けられた移動構造により移動した際の移動量に連動して床版Sを移動させることができる。
【0025】
第1ジャッキR1、第2ジャッキR2、第3ジャッキR3、第4ジャッキR4は、油圧シリンダにより伸縮し、油圧ユニット(不図示)により流通する作動流体により制御される。油圧ユニットは、例えば、単相100Vの電源により駆動され、第1ジャッキR1、第2ジャッキR2、第3ジャッキR3、第4ジャッキR4の伸縮を個別に制御し、遠隔手元スイッチ(不図示)により操作可能である。
【0026】
図11に示されるように、床版Sは、フォークリフトFのフォークF1に載置された床版運搬・架設装置1により吊り下げられた状態で運搬される。床版Sは、旧床版が撤去された主桁M上に順次載置される。主桁Mは、勾配を有する。フォークリフトFは、主桁M上に設置済みの床版S上を走行する。床版Sが概ね設置対象位置P上に到達した場合、フォークリフトFの運転者は、フォークF1を下降させる。設置対象位置Pは、設置済み床版Sの前方から所定距離離間した位置である。
【0027】
床版Sが概ね設置対象位置P上に近位した場合、運転者は、フォークF1のフォークリフト本体FBに対する縦断方向に対するおおよその勾配を調整し、設置対象位置Pにおける主桁Mの勾配に床版Sの勾配を近づける。また、床版Sの前後方向に対するおおよその位置調整は、フォークリフトFの前進又は後退により調整される。フォークF1の勾配調整によって調整できない縦断方向に対する勾配は、第2ジャッキR2により微調整される。フォークF1の調整によって調整できない横断方向に沿った勾配は、第3ジャッキR3により微調整される。
【0028】
床版Sの回転方向の微調整は、第1ジャッキR1により微調整される。床版Sが設置対象位置P上の近傍に位置するようになった場合、運転者は、フォークF1を降下させ、床版Sを設置対象位置Pに載置する。
【0029】
床版Sは、既設の床版Sの前方に所定の間隔で離間しているため、既設の床版S側に設けられた引き寄せ用のジャッキ(不図示)により既設の床版S側に引き寄せられる。このとき、第4ジャッキR4を引き寄せ用のジャッキと連動して動作させ、第3フレーム5をフォークリフトF側に移動させる。これにより、吊り下げられた床版Sごと第3フレーム5を既設の床版S側に移動させることができる。
【0030】
床版Sの左右方向における位置の調整は、例えば、フォークF1の左右方向における調整機能を用いて適宜調整する。また、作業者は、バール等を用いて吊り下げられた床版Sの位置を微調整してもよい。設置対象位置Pに載置された床版Sは、既設の床版Sと締結部材(不図示)を用いて締結される。締結された床版Sは、新たな床面となり、フォークリフトFが走行可能となる。上記工程を繰り返し行うことにより、主桁M上に床版Sによる床面を構築することができる。主桁M上に連続して配置された床版Sには、側壁S1(図2参照)が設けられる。その後、床版Sの上面が舗装され、高架道路が構築される。
【0031】
上述したように、床版運搬・架設装置1によれば、フォークリフトFを用いて床版Sを設置対象位置Pまで運搬し架設することができる。床版運搬・架設装置1によれば、フォークリフトFを用いて床版Sを運搬するため、大型クレーンが設置不可能な高架道路のランプ等の急勾配であり、且つ狭隘な箇所や上空制限がある施工条件において床版を取替することができる。床版運搬・架設装置1によれば、フォークリフトFのフォークF1の昇降機能、縦断方向に対する勾配調整機能、左右方向に沿った位置調整機能、フォークリフトF自体の自走機能に基づいて、床版Sを設置対象位置Pまで概ね位置決めして運搬し架設することができる。
【0032】
床版運搬・架設装置1によれば、自体に設けられた第1から第4ジャッキR4の操作に基づいて、床版Sの縦横断勾配や回転方向の位置を微調整することができる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、床版運搬・架設装置1は、道路だけでなく屋内の床版の運搬に利用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 床版運搬・架設装置
2 フレーム
3 第1フレーム
4 第2フレーム
4A 下側フレーム(第1下側フレーム)
4B 上側フレーム(第1上側フレーム)
5 第3フレーム
5A 下側フレーム(第2下側フレーム)
5B 上側フレーム(第2上側フレーム)
6 連結部材
7 部材
F フォークリフト
F1 フォーク
R1 第1ジャッキ
R2 第2ジャッキ
R3 第3ジャッキ
R4 第4ジャッキ
S 床版
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11