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特開2023-160561オスコネクタ、メスコネクタ及びコネクタ・ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160561
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】オスコネクタ、メスコネクタ及びコネクタ・ユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
H01R13/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071000
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(72)【発明者】
【氏名】吉村 健太郎
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB07
5E021FC08
5E021FC32
5E021FC38
5E021JA02
5E021KA05
(57)【要約】
【課題】より好適な誤結防止機構を有するオスコネクタを提供すること。
【解決手段】メスコネクタに挿入可能なオス側ハウジングを備え、前記オス側ハウジングは、メスコネクタへの挿入方向に対して異なる方向にて、誤結時に、非適合メスコネクタと当接可能な当接面を含み、前記当接面は、前記オス側ハウジングの外側面領域に位置し、前記外側面領域の相互に高さの異なる第1の外側面と第2の外側面との間を接続する面である、オスコネクタが提供される。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メスコネクタに挿入可能なオス側ハウジングを備え、
前記オス側ハウジングは、メスコネクタへの挿入方向に対して異なる方向にて、誤結時に、非適合メスコネクタと当接可能な当接面を含み、
前記当接面は、前記オス側ハウジングの外側面領域に位置し、前記外側面領域の相互に高さの異なる第1の外側面と第2の外側面との間を接続する面である、オスコネクタ。
【請求項2】
誤結時に、前記外側面領域と前記非適合メスコネクタの内側面とが部分的に重なる、請求項1に記載のオスコネクタ。
【請求項3】
前記第2の外側面は、前記第1の外側面より前記オス側ハウジングの内側に位置し、
誤結時に、少なくとも前記オス側ハウジングの前記当接面及び前記第2の外側面にて前記非適合メスコネクタと部分的に重なる、請求項2に記載のオスコネクタ。
【請求項4】
前記オス側ハウジングが、相互に対向する前記外側面領域間を接続する端面を含み、
前記端面と前記当接面とが離隔している、請求項1に記載のオスコネクタ。
【請求項5】
前記第1の外側面は、前記第2の外側面より前記オス側ハウジングの外側に位置し、
前記メスコネクタへの挿入は、前記第1の外側面に沿って開始される、請求項1に記載のオスコネクタ。
【請求項6】
前記オス側ハウジングが、相互に対向する前記外側面領域間を接続する端面を含み、
断面視にて、前記第2の外側面は、前記第1の外側面の前記端面側が部分的に凹んだ面である、請求項1に記載のオスコネクタ。
【請求項7】
複数の前記当接面を備える、請求項1に記載のオスコネクタ。
【請求項8】
前記オス側ハウジングが、複数の前記外側面領域を備え、
前記当接面が、複数の前記外側面領域に設けられている、請求項7に記載のオスコネクタ。
【請求項9】
前記複数の前記当接面が、互いに対向する2つの前記外側面領域にそれぞれ設けられている、請求項7に記載のオスコネクタ。
【請求項10】
断面視にて、前記当接面は、前記オス側ハウジングの内側に向かって漸次傾斜している傾斜面を含む、請求項1に記載のオスコネクタ。
【請求項11】
オスコネクタを挿入可能なメス側ハウジングを備え、
前記メス側ハウジングは、前記メス側ハウジングの内側面にて隆起した隆起部を備え、
誤結時に、非適合オスコネクタの外側面と前記メス側ハウジングの前記内側面とが部分的に重なるように、前記隆起部が前記非適合オスコネクタと当接可能となっている、メスコネクタ。
【請求項12】
前記隆起部は、誤結時に、前記隆起部の被当接面にて非適合オスコネクタと当接可能であり、
断面視にて、前記被当接面は、前記メス側ハウジングの前記内側面と成す角度が90度未満となるように漸次傾斜している傾斜面を含む、請求項11に記載のメスコネクタ。
【請求項13】
オスコネクタと、前記オスコネクタと組み合わされるメスコネクタとを備え、
前記オスコネクタは、メスコネクタに挿入可能なオス側ハウジングを備え、
前記オス側ハウジングは、誤結時に非適合メスコネクタと挿入方向に対して異なる方向にて当接可能な当接面を含み、
前記当接面は、前記オス側ハウジングの外側面領域に位置し、前記オス側ハウジングの相互に高さの異なる第1の外側面と第2の外側面との間を接続する、コネクタ・ユニット。
【請求項14】
前記メスコネクタは、前記オスコネクタを挿入可能なメス側ハウジングを備え、
前記メス側ハウジングは、前記メス側ハウジングの内側面にて隆起した隆起部を備え、
誤結時に、非適合オスコネクタの外側面と前記メス側ハウジングの前記内側面とが部分的に重なるように、前記隆起部が前記非適合オスコネクタと当接可能となっている、請求項13に記載のコネクタ・ユニット。
【請求項15】
誤結時に、前記オスコネクタと前記メスコネクタとの当接部分が、前記メス側ハウジングの前記内側面上に位置付けられている、請求項14に記載のコネクタ・ユニット。
【請求項16】
誤結時に、前記メスコネクタの前記隆起部と前記オスコネクタの前記当接面とが互いに当接可能となっている、請求項14に記載のコネクタ・ユニット。
【請求項17】
前記当接面と当接する前記隆起部の被当接面は、前記当接面と相補的な形状を有する、請求項14に記載のコネクタ・ユニット。
【請求項18】
断面視にて、前記当接面は、前記オス側ハウジングの内部側に向かって漸次傾斜している傾斜面を含み、
前記隆起部の被当接面は、前記当接面に対して相補的に構成されている、請求項14に記載のコネクタ・ユニット。
【請求項19】
隣接配置された2つ以上の前記メスコネクタを備え、前記2つ以上のメスコネクタが適合メスコネクタと非適合メスコネクタを含む、請求項13に記載のコネクタ・ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オスコネクタ及びメスコネクタに関する。また、本開示は、オスコネクタ及びメスコネクタを備えるコネクタ・ユニットにも関する。
【背景技術】
【0002】
互いに嵌合するオスコネクタ及びメスコネクタを含む、シンプルな構成を有するコネクタ・ユニットでは、異なるコネクタ・ユニット間で外見形状が類似する。そのため、コネクタの嵌合操作に際して、適切な組合せのコネクタを識別し難く、オスコネクタが誤ったメスコネクタに挿入される虞がある。
【0003】
このため、非適合コネクタとの誤結を防止するコネクタ構造が提案されている(特許文献1及び2)。例えば、特許文献1では、複数種類のコネクタを識別するため、骨組した籠状のフロントキャップがコネクタに取付けられている。相手コネクタは、かかるフロントキャップを介して嵌合される。フロントキャップには、フロントキャップの前面板から後枠に向かって延出している1つ以上の帯板状のロックアームが配置されている。フロントキャップの端縁部に相当するロックアームの端部が非適合コネクタの開口端縁部と当接することで、コネクタの誤結が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-51925号公報
【特許文献2】実用新案登録第3102593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、従来のコネクタに克服すべき課題があることに気づき、そのための対策をとる必要性を新たに見出した。具体的には、以下の課題があることを見出した。
【0006】
上述の構造では、嵌合操作を円滑に実施するために設けられるコネクタ間のクリアランス、及びコネクタ端縁部の面取りにより、誤結を防止するためのロックアームと非適合コネクタとの当接面積が十分に確保されない可能性がある。そのため、非適合コネクタの開口端縁部がロックアームと十分に当接できずに押し広げられ、ロックアーム上に乗り上げて挿入されることで、コネクタと非適合コネクタとが誤結する虞がある。
【0007】
本開示は、かかる課題に鑑みてなされたものである。すなわち、本開示の主たる目的は、より好適な誤結防止機構を有するオスコネクタ、メスコネクタ及びコネクタ・ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者は、従来技術の延長線上で対応するのではなく、新たな方向で対処することによって上記問題点の解決を試みた。その結果、上記主たる目的が達成されたオスコネクタ、メスコネクタ及びコネクタ・ユニットの発明に至った。
【0009】
本開示では、メスコネクタに挿入可能なオス側ハウジングを備え、
前記オス側ハウジングは、メスコネクタへの挿入方向に対して異なる方向にて、誤結時に、非適合メスコネクタと当接可能な当接面を含み、
前記当接面は、前記オス側ハウジングの外側面領域に位置し、前記外側面領域の相互に高さの異なる第1の外側面と第2の外側面との間を接続する面である、オスコネクタが提供される。
【0010】
また、本開示では、オスコネクタを挿入可能なメス側ハウジングを備え、
前記メス側ハウジングは、前記メス側ハウジングの内側面にて隆起した隆起部を備え、
誤結時に、非適合オスコネクタの外側面と前記メス側ハウジングの前記内側面とが部分的に重なるように、前記隆起部が前記非適合オスコネクタと当接可能となっている、メスコネクタが提供される。
【0011】
さらに、本開示では、オスコネクタと、前記オスコネクタと組み合わされるメスコネクタとを備え、
前記オスコネクタは、メスコネクタに挿入可能なオス側ハウジングを備え、
前記オス側ハウジングは、誤結時に非適合メスコネクタと挿入方向に対して異なる方向にて当接可能な当接面を含み、
前記当接面は、前記オス側ハウジングの外側面領域に位置し、前記オス側ハウジングの相互に高さの異なる第1の外側面と第2の外側面との間を接続する、コネクタ・ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、非適合コネクタとの誤結をより好適に防止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す分解斜視図である。
図3A図3Aは、本開示のオスコネクタを模式的に示す斜視図である。
図3B図3Bは、図3Aとは異なる角度から見た本開示のオスコネクタを模式的に示す斜視図である。
図4図4は、本開示のオスコネクタを模式的に示す側面図である。
図5図5は、本開示のオスコネクタを模式的に示す正面図である。
図6図6は、図5のオスコネクタを矢印A-Aで切り取った模式的断面図である。
図7図7は、図5のオスコネクタを矢印B-Bで切り取った模式的断面図である。
図8図8は、本開示の非適合メスコネクタを模式的に示す斜視図である。
図9図9は、本開示の非適合メスコネクタを模式的に示す正面図である。
図10図10は、図9の非適合メスコネクタを矢印C-Cで切り取った模式的断面図である。
図11図11は、図9の非適合メスコネクタを矢印D-Dで切り取った模式的断面図である。
図12図12は、誤結検知状態にある本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。
図13図13は、図12に示す誤結検知状態のコネクタ・ユニットを矢印C-Cで切り取った模式的断面図である。
図14図14は、図12に示す誤結検知状態のコネクタ・ユニットを矢印D-Dで切り取った模式的断面図である。
図15図15は、図14のコネクタ・ユニットにおける部分Iの部分拡大図である。
図16A図16Aは、図15の部分Iの変形例を示す模式図である。
図16B図16Bは、図15の部分Iの変形例を示す模式図である。
図16C図16Cは、図15の部分Iの変形例を示す模式図である。
図16D図16Dは、図15の部分Iの変形例を示す模式図である。
図17図17は、適合メスコネクタを模式的に示す斜視図である。
図18図18は、適合メスコネクタを模式的に示す正面図である。
図19図19は、嵌合完了状態にある本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。
図20図20は、図19に示す嵌合完了状態のコネクタ・ユニットを矢印C-Cで切り取った模式的断面図である。
図21図21は、図19に示す嵌合完了状態のコネクタ・ユニットを矢印D-Dで切り取った模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、図面を参照して本開示の一実施形態に係るコネクタをより詳細に説明する。図面における各種の要素は、本開示の説明のために模式的かつ例示的に示したにすぎず、外観や寸法比などは実物と異なり得る。
【0015】
さらに、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語を用いる。しかしながら、これらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、これらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面の同一符号の部分は、同一又は同等の部分を指す。
【0016】
本開示の例示態様の説明は、添付の図面(記載された説明全体の一部とみなされる図面)に関連して読まれることを意図している。本願明細書で開示される本開示の態様に関する説明において、方向又は向きに関する言及は、単に説明の便宜上であり、本開示の範囲を限定することは意図されていない。「下方」、「上方」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「頂」、「底」などの相対的な用語、ならびに、その派生用語、「水平に」、「下方に」、「上方に」などは、記載された如く又は図示される如くの方向に言及すると解されるべきである。かかる相対的な用語は説明の便宜のためのみであり、特に明示的な説明がされない限り、特定の方向に装置が構成又は操作されていることを要するものではない。
【0017】
また、「取り付けられた」、「付加された」、「結合された」及び「組付けられた」などの用語、ならびに、同様の用語は、別途で明示的に説明されない限り、介在物によって構造物同士が互いに直接的又は間接的に固定又は取り付けられている関係や、双方が可動もしくは剛性の取り付け又はその関係であることを述べている。さらに、本開示の特徴又は利益は、好ましい態様を参照することによって例示されている。このような態様は十分に詳細に説明されており、当業者が本開示を実施できるようになっている。また、他の態様も利用することができ、プロセス、電気的もしくは機械的な変更が本開示の範囲を逸脱せずに可能であることを理解されたい。したがって、本開示は、考えられる特徴の非制限的な組合せを例示する好ましい態様(単独又は他の特徴と組み合わされた態様)に明示的に限定されない。
【0018】
また、本明細書でいう「略垂直」とは、必ずしも完全な「垂直」でなくてよく、それから僅かにずれた態様(例えば、完全な垂直から90度±10度の範囲、例えば90度±5度までの範囲)を含んでいる。
【0019】
また、本明細書でいう「略平行」とは、必ずしも完全な「平行」でなくてよく、それから僅かにずれた態様(例えば、完全な平行から±10度の範囲、例えば±5度までの範囲)を含んでいる。
【0020】
本開示は、オスコネクタ、当該オスコネクタと組み合わされるメスコネクタ、及びオスコネクタとメスコネクタとを備えるコネクタ・ユニットにおける、非適合コネクタとの誤結防止のための構造に関する。
【0021】
ここで、「非適合コネクタ」とは、コネクタと適合する正しい組合せの相手コネクタとは異なる不適なコネクタを意味する。他方、対象コネクタと正しい組合せである相手コネクタは「適合コネクタ」と称され得る。つまり、「非適合コネクタ」は、対象のコネクタと正しく嵌合される「適合コネクタ」以外の誤った組合せのコネクタを意味するところ、例えば、不正コネクタ、誤コネクタ又は不適合コネクタ等と称すこともできる。従って、本明細書における「非適合メスコネクタ」とは、対象のオスコネクタに適合しないメスコネクタを意味する。同様に、「非適合オスコネクタ」とは、対象のメスコネクタに適合しないオスコネクタを意味する。
【0022】
また、本明細書における「誤結」とは、誤った組合せのオスコネクタとメスコネクタとが互いに組み合わされることを意味する。つまり、「誤結」は、オスコネクタ又はメスコネクタが非適合コネクタと誤って組み合わされることを意味し、例えばコネクタの誤挿入、誤嵌合、誤結合、又は誤接続等と解することもできる。
【0023】
[コネクタ・ユニットの基本構成]
まず、コネクタ・ユニットの全体構造の把握のため、図面を参照して、以下にオスコネクタ、メスコネクタ、及びオスコネクタとメスコネクタとを備えるコネクタ・ユニットの概要を説明する。
【0024】
図1は、本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。コネクタ・ユニット1は、主たる構成要素として、オスコネクタ2、及び当該オスコネクタ2と組み合わされるメスコネクタ3とを備える。
【0025】
以下の説明においては、オスコネクタ2とメスコネクタ3との組合せ方向を「挿抜方向X-X’」と称する。「挿抜方向X-X’」において、特にオスコネクタ2をメスコネクタ3に挿入する方向を「挿入方向X」と称する。また、「挿入方向X」の反対の方向に相当する、メスコネクタ3からオスコネクタ2を抜去する方向を「抜去方向X’」と称する。また、方向X-X’に対して垂直な方向を「コネクタの幅方向Y-Y’」と称する。さらに、図中における上下方向に相当する方向を「上下方向Z-Z’」と称する。ある好適な態様では、「挿抜方向」と「幅方向」と「上下方向」とは、互いに直交する。
【0026】
なお、本明細書でいう「側面視」とは、幅方向Y-Y’に沿って対象物をみたときの状態のことである。本明細書でいう「正面視」とは、挿抜方向X-X’に沿って対象物をみたときの状態のことである。また、本明細書でいう「断面視」とは、挿抜方向X-X’に対して略垂直な方向(例えば、幅方向Y-Y’又は上下方向Z-Z’)に沿って対象物の断面をみたときの状態のことである。
【0027】
なお、本開示における「ユニット」は、複数の構成要素を備える複合品、又は組合せ品等に相当する。従って、本開示のコネクタ・ユニットは、オスコネクタと、オスコネクタと互いに組み合わされるメスコネクタとを少なくとも有して成るコネクタ複合品、又はコネクタ組合せ品に相当し得る。
【0028】
図2は、本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す分解斜視図である。また、図3A及び図3Bは、本開示のオスコネクタを模式的に示す斜視図である。コネクタ・ユニット1に備えられるオスコネクタ2は、主としてハウジング21、ハウジング内に収容される端子22を備えている。
【0029】
オスコネクタのハウジング21(以下、「オス側ハウジング」とも称する)は、コネクタの外側を規定し、略箱状の形状を有し得る。オス側ハウジング21は、挿入方向X側の端面、抜去方向X’側の端面、及びそれらをつなぐ複数の側面を備えていてよい。本明細書においては、複数の側面の各々について、ハウジング21の外側に面する領域を「外側面領域211」と称する。換言すれば、「外側面領域211」は、ハウジング21の複数の側壁の各々において、ハウジングの外側に露出している領域である。つまり、オス側ハウジング21は、複数の外側面領域211及び2つの端面によって外側を画定されていてよい。
【0030】
端子22は、ハウジング21の側面及び端面によって周囲の少なくとも一部を画定された空間内に配置される。ハウジング21の2つの端面のうち、抜去方向X’側の端面には、端子22に終端する電線221が貫通可能な挿通口212が形成されていてよい。このように、オスコネクタは、電線221の終端に備えられるコネクタであるところ、例えば“電線コネクタ”と称すこともできる。ハウジング21内に収容された端子22と接続された電線221は、ハウジング21の一方の端面の挿通口212を通って、ハウジング21の外部に延出していてよい。また、ハウジング21の他方の端面には、オスコネクタ2の端子22(以下、「オス側端子」とも称する)とメスコネクタの端子(以下、「オス側端子」とも称する)との電気的な接続のための挿通口213が形成されていてよい。したがって、ハウジング21にて、挿通口213は、挿入方向Xに位置する端面213aに形成される。
【0031】
また、一実施形態において、オスコネクタ2はリテーナ23を備えていてよい(図2及び図3B参照)。リテーナ23は、ハウジングの外側面領域211から、ハウジングの内部に向かって差し込まれる。かかるリテーナ23は、ハウジング内にて端子22を位置決め固定することに助力し得る。
【0032】
本開示において、オス側ハウジング21及びリテーナ23は、絶縁性材料からそれぞれ一体的に形成されていてよい。これらの絶縁性材料は、絶縁性を有する樹脂材を含み得る。特に限定されないものの、かかる絶縁性材料は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み得る。また、互いに異なる部材は、それぞれ異なる樹脂材を含んで成ってもよい。
【0033】
図17は、オスコネクタと組み合わされるメスコネクタを模式的に示す斜視図である。また、図18は、図17に示すメスコネクタの正面図である。メスコネクタ3は、主たる構成要素として、メスコネクタのハウジング31(以下、「メス側ハウジング」とも称する)と、メス側ハウジング31内に配置される外導体間口32と、外導体間口32内に配置される端子33とを備えていてよい。メス側ハウジング31は、オスコネクタの挿入のために抜去方向X’に開口した略箱状の形状を有していてよい。より詳細には、メス側ハウジング31は、オスコネクタを挿入可能な開口部313、当該開口部313に対向する方向(すなわち、挿入方向X)に位置する底面314、及びそれらをつなぐ複数の側面を備えていてよい。開口部313を有する端面は、開口部313の周縁に位置する端面であるところ、開口端313aと称すこともできる。メス側ハウジング31は、複数の側面及び底面314によって周囲の少なくとも一部が画定された嵌合空間315を有し得る。嵌合空間315内において、端子33を備える外導体間口32が底面314からコネクタの抜去方向X’に向かって突出していてよい。
【0034】
図19は、嵌合完了状態にある本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。また、図20及び図21は、図19に示す本開示のコネクタ・ユニットの模式的断面図である。コネクタ・ユニット1の嵌合操作に際して、オスコネクタ2は、開口部313からメス側ハウジング31内に挿入される。コネクタ・ユニット1の嵌合状態にて、オスコネクタ2とメスコネクタ3とは、メス側ハウジング31がオス側ハウジング21を包囲するように組み合わされる。つまり、メス側コネクタの嵌合空間315(図17及び図18参照)内にオス側ハウジング21が挿入されることで、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが嵌合する。この際、嵌合空間内にて、メス側ハウジング31の底壁部に位置する外導体間口とオス側ハウジング21の挿通口213とが組み合わされることによって、メス側端子とオス側端子とが互いに電気的に接続されてよい。
【0035】
メス側ハウジングは、例えば導電性材料又は合成樹脂等の絶縁性材料によって形成されてよい。例えば、メス側ハウジングは、金属、又は表面に導電性のめっきを施された樹脂等によって形成されていてよい。代替的には、メス側ハウジングは、絶縁性材料から一体的に形成されていてよい。これらの絶縁性材料は、絶縁性を有する樹脂材を含み得る。特に限定されないものの、かかる絶縁性材料は、例えばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂から成る群から選択される少なくとも1種の熱硬化性樹脂を含み得る。また、互いに異なる部材は、それぞれ異なる樹脂材を含んで成ってもよい。
【0036】
[本開示の特徴]
本願発明者らは、誤った組合せのオスコネクタとメスコネクタとの誤結をより好適に防止するために、オスコネクタがメスコネクタに部分的に挿入された状態において、コネクタの誤結を検知可能とする構造が有用であることを見出した。そのため、本開示は、互いに組み合わされるオスコネクタ及び/又はメスコネクタの各々のハウジングの構造に特徴を有する。より詳細には、嵌合に際して互いに重なるオス側ハウジングの外側面領域及び/又はメス側ハウジングの内側面の構造において特に特徴を有する。以下では、本開示におけるオス側ハウジング及びメス側ハウジングの誤結検知構造をより詳細に説明する。
【0037】
[本開示のオスコネクタの構造]
図3A及び図3Bは、本開示のオスコネクタを模式的に示す斜視図である。また、図4及び図5は、それぞれ、本開示のオスコネクタを模式的に示す側面図及び正面図である。図示されるように、本開示のオスコネクタ2は、非適合メスコネクタと当接可能な当接面211aを含むオス側ハウジング21を備える。当接面211aは、オスコネクタ2の挿入に際して非適合メスコネクタと接触するように構成されているところ、オス側接触面とも称され得る。かかる当接面211aは、ハウジングの外側面領域211に位置付けられ、メスコネクタへの挿入方向Xに対して異なる方向に延在する。換言すれば、当接面211aは、挿入方向Xと互いに交差する方向に延在する面であってよい。つまり、本開示のオス側ハウジング21は、誤結時にて、非適合メスコネクタに対して挿入方向Xとは異なる方向にて当接可能な当接面211aを含む。
【0038】
図6は、図5に示すオスコネクタを矢印A-Aで切り取った模式的断面図である。同様に、図7図5に示すオスコネクタを矢印B-Bで切り取った模式的断面図である。オス側ハウジング21は、外側面領域211にて、相互に高さの異なる第1の外側面211bと第2の外側面211cとを備える。ここで、「第1の外側面」及び「第2の外側面」とは、1つの外側面領域211上に位置し、断面視にて、互いに異なる高さに位置付けられた面を意味する。例えば、外側面領域211において、第1の外側面211bは、第2の外側面211cより相対的にハウジングの外側に位置していてよい。当接面211aは、かかる第1の側面と第2の側面との間を接続する面である。つまり、オス側ハウジング21は、相互に高さの異なる第1の外側面211b及び第2の外側面211cを含み、挿抜方向X-X’と交差する方向にて、当該外側面211b、211cの間を接続する当接面211aが、非適合メスコネクタと当接可能となっている。
【0039】
このような構造において、オス側ハウジング21は、外側面領域211にて、第1の外側面211b、第2の外側面211c及び当接面211aによって形成された段差部を含み得る。すなわち、当接面211aは、外側面領域211に位置付けられた段差部にて、挿入方向Xとは異なる方向に面する段差面と解することもできる。
【0040】
図12は、誤結検知状態にある本開示のコネクタ・ユニットを模式的に示す斜視図である。図13及び図14は、それぞれ、図12に示すコネクタ・ユニットを、オスコネクタの当接面を通る矢印C-C又は矢印D-Dで切り取った模式的断面図である。また、図15は、図14に示すコネクタ・ユニットの部分Iを模式的に示す拡大断面図である。ここで、「誤結検知状態」とは、誤った組合せのコネクタが互いに組み合わされた際、コネクタ同士の当接によってコネクタの更なる組合せ操作が阻止されている状態を意味する。図示されるように、非適合メスコネクタ3へのオスコネクタ2の挿入操作に際して、非適合メスコネクタ3は、オス側ハウジング21の外側面領域211にて当接面211aに当接する。つまり、オスコネクタ2は、非適合メスコネクタ3への挿入操作の途中で非適合メスコネクタ3と当接面211aとが接触することにより、それ以上の挿入操作が物理的に防止され得る。したがって、オスコネクタ2の非適合メスコネクタ3への挿入に際して、当接面211aにおける当接によって誤結が検知され得るところ、当該当接面211aは、非適合メスコネクタとの誤結検知面と解することもできる。
【0041】
かかる構成において、誤結を防止する当接面211aは、オスコネクタ2の外側面領域211に位置付けられているため、オスコネクタ2と非適合メスコネクタ3とは、オスコネクタ2の端面213aではなく、外側面領域211上で当接可能となっている。つまり、オス側ハウジング21の外側面領域211に上述の当接面211aを含むことで、オスコネクタ2は、非適合メスコネクタ3に部分的に挿入された状態で、当接面211aにて非適合メスコネクタ3と互いに当接する。これは、誤結時に、オス側ハウジング21の外側面領域211と非適合メスコネクタのハウジングの内側面311とが部分的に重なっている状態で、それ以上の挿入が阻止されることを意味する。即ち、誤結検知状態にて、オスコネクタのハウジングは、非適合メスコネクタのハウジングによって部分的に包囲されている。
【0042】
このような構成によれば、非適合メスコネクタ3内において、挿入方向Xとは異なる方向へのオスコネクタ2の相対的な移動がより好適に規制され得る。従って、オスコネクタ2が部分的にメス側ハウジング31内に挿入されることでより適切に位置決めされるため、オスコネクタ2が当接面211aを越えて非適合メス側ハウジング31内に誤挿入されることがより適切に防止され得る。すなわち、本開示の構造により、オスコネクタ2の当接面211aと非適合メスコネクタ3とがより適切に当接可能となり得るため、非適合コネクタとの誤結をより好適に防止可能であり得る。
【0043】
さらに、上述の構成によれば、オスコネクタ2の当接面211aは、挿入開始に際してメスコネクタ3と実質的に干渉しない。より詳細には、誤結検知に資する当接面211aは、挿入開始に際してメスコネクタ3の開口端313aと実質的に干渉しない。オス側ハウジング21が非適合メスコネクタ3内に一部挿入され、位置決めされた後で、当接面211aは非適合メスコネクタ3と互いに当接し得る。そのため、挿入開始に際するコネクタ同士の干渉を回避するための面取り及び/又はクリアランスを備えるコネクタ・ユニットにおいても、適切な当接面積での誤結防止が達成され得る。すなわち、本開示の構造により、オスコネクタの当接面と非適合メスコネクタとがより適切に当接されるため、非適合コネクタとの誤結がより好適に防止され得る。
【0044】
また、かかる構成では、誤結検知に資する当接面211aとオス側ハウジング21とは一体化物であり得る。そのため、従前のように別途フロントキャップ等の別部材を用いずとも、一体化物を成すオス側ハウジングによって誤結検知が可能となる。従って、従前のようにフロントキャップ等の別部材を用いる態様と比べて、オスコネクタを構成する部品点数を相対的に少なくすることができる。その結果として、本開示では、オスコネクタの組立て効率の向上を図ることが可能となる。
【0045】
誤結時にて、オスコネクタ2は、外側面領域211における少なくとも2つの面で、非適合メスコネクタ3と少なくとも部分的に重なっている状態で挿入防止されてよい。例えば、誤結検知状態にて、本開示のオスコネクタ2は、少なくともハウジングの当接面211a、及び第1の外側面211bより相対的にハウジング21の内側に位置する第2の外側面211cにて非適合メスコネクタ3と部分的に重なっていてよい。一実施形態では、図13及び図14に示されるように、オスコネクタ2は、ハウジングの当接面211a、並びに第1の外側面211b及び/又は第2の外側面211cにて非適合メスコネクタ3と部分的に重なっていてよい。かかる構成により、非適合メスコネタ内にて、当接面211a、並びに第1の外側面211b及び/又は第2の外側面211cによってオスコネクタ2の相対的な移動が規制される。従って、非適合メスコネクタ3内におけるオスコネクタ2の位置ずれに起因して当接面211aにおける接触面積が減少することをより好適に防止可能となる。すなわち、本開示の構造により、オスコネクタ2の当接面211aと非適合メスコネクタ3とがより適切に当接可能となり得るため、非適合コネクタとの誤結をより好適に防止可能であり得る。
【0046】
また、図3A図4に示されるように、当接面211aは、オス側ハウジング21の外側面領域211をつなぐ端面213aとは離隔して配置されていてよい。より詳細には、当接面211aは、挿入方向X側に位置するオス側ハウジング21の端面213aとは互いに離隔していてよい。つまり、オス側ハウジング21にて、当接面211aと端面213aとは面一ではない。かかる構造により、非適合メスコネクタとの当接は、オス側ハウジング21の端面213aではなく、より抜去方向X’側に位置する当接面211aにて実施される。
【0047】
例えば、オスコネクタ2と非適合メスコネクタの誤結検知がオス側ハウジング21の端面213aにて実施される場合、オスコネクタ2の挿入位置のずれに起因する当接と、誤結に起因する当接との明確な区別が困難であり得る。つまり、オス側ハウジング21の端面213aに誤結検知構造を設ける構造では、正しい組合せである適合メスコネクタと、非適合メスコネクタとの区別が不確実となる虞がある。一方で、本開示では、上述のように、端面213aとは離隔した位置に誤結検知のための当接面を備えることで、オスコネクタ2の挿入位置のずれに起因する当接とは異なる位置で誤結検知が為される。そのため、本開示のオスコネクタは、非適合メスコネクタとの誤結をより容易に検知できる、より好適な誤結防止を供し得る。
【0048】
外側面領域211における当接面211aの位置は、オスコネクタ2と非適合メスコネクタとの電気的な誤接続が防止される限り、特に限定されない。すなわち、当接面211aの位置は、誤結検知状態にて、オスコネクタ2の端子が非適合メスコネクタの外導体間口と接触し、相互に電気的に接続されない限り、特に限定されない。より詳細には、オスコネクタ2が非適合メスコネクタ3に部分的に挿入され、当接面211aにて互いに当接した際に、オス端子とメス端子との電気的な接続を防止可能である位置に、当接面211aが設けられていることが望ましい。
【0049】
図3~5に示されるように、第1の外側面211bは、第2の外側面211cよりハウジングの外側に位置する外側面である。換言すれば、互いに高さの異なる第1の外側面211bと第2の外側面211cにおいて、第2の外側面211cは、第1の外側面211bより相対的に内側に位置する。コネクタ・ユニットの嵌合操作に際して、オスコネクタ2のメスコネクタへの挿入は、かかる第1の外側面211bに沿って開始されてよい。より詳細には、オス側ハウジング21の外側面領域211にて、第1の外側面211bは、ハウジングの挿入方向X側の端部から抜去方向X’に向かって延在していてよい。オスコネクタ2は、第1の外側面211bがメス側ハウジングの内側面に沿うように、メスコネクタに挿入されてよい。つまり、第1の外側面211bは、オス側ハウジング21をメス側ハウジング内に案内する導入面と解することもできる。つまり、誤結時において、オスコネクタ2は、第1の外側面211bに沿って非適合メスコネクタのハウジング内に導入され、当接面211aと非適合メスコネクタとが当接すると、それより奥への挿入が防止される。
【0050】
例えば、オスコネクタ2が適合メスコネクタと組み合わされる場合、オスコネクタは、オス側ハウジング21の当接面211aにてメスコネクタと当接することなく、適切な姿勢を保持しながら第1の外側面211bに沿って円滑にメス側ハウジング内に挿入され得る。一方で、非適合メスコネクタと組み合わされる場合、第1の外側面211bに沿ってオスコネクタ2を導入することによって、挿入操作中に当接面211aと非適合メスコネクタとが当接する。したがって、挿入の開始から誤結検知までの操作に際して、オスコネクタ2の姿勢がより好適に規制され得ることで、より好適に当接面211aと非適合メスコネクタとを当接させることが可能となる。従って、上述の構造は、非適合メスコネクタとの誤結をより好適に防止可能であり得る。
【0051】
さらに、第1の外側面211bに沿ってオスコネクタ2を挿入することで、オスコネクタはメス側ハウジングの嵌合空間内により好適に案内され、誤った姿勢でのオスコネクタの挿入が抑制され得る。従って、上述の本開示の構造は、当接面211a以外の箇所におけるオスコネクタと非適合メスコネクタとの不要な干渉の抑制に助力し得るため、オスコネクタ及びメスコネクタの長寿命化にも好適に寄与し得る。
【0052】
また、図3~5に示されるように、第2の外側面211cは、挿入方向Xの端部側に位置付けられている。一実施形態において、第2の外側面211cは、挿入方向Xに位置する第1の外側面211bの端面213a側が部分的に凹んだ面であってよい。かかる実施形態において、第1の外側面211bは、オス側ハウジング21の外側面領域211において、ハウジングの外側面から外側に向かって隆起し、挿入方向Xに位置する端面213a側から抜去方向X’側に向かって延在する隆起面と解することができる。隆起面は、挿入方向X側の端部において部分的に凹んだ形状を有し、当該凹んだ形状の底面が第2の外側面211cに相当し得る。つまり、第2の外側面211cは、少なくとも抜去方向X’及び抜去方向X’と直交する方向(例えば、方向Y-Y’又は方向Z-Z’)にて第1の外側面211bと隣接していてよい。当接面211aは、挿入方向Xにて隣接する第2の外側面211cと第1の外側面211bとをつなぐ面である。したがって、オス側ハウジングは、当接面211a、第1の外側面211b及び第2の外側面211cを有して成る段差部を備え、かかる段差部を構成する第1の外側面211bは、挿入方向Xと直交する方向にて当接面211aと隣接し、挿入方向X側のハウジングの端面213aにまで延在していてよい。
【0053】
上述の実施形態におけるオスコネクタのハウジング21の構造は、外側面領域211において、オスコネクタ2の挿入を案内するための導入面と、非適合メスコネクタとの誤結防止のための段差部とが連結して配置されていると解することもできる。かかる構造により、段差部は隣接して延在する第1の外側面211bによって支持されるため、段差部の強度がより向上し得る。そのため、誤結時に当接面211aに作用する荷重に起因する段差部の破損をより好適に防止することが可能となり得る。従って、上述の構造を備える本開示のオスコネクタは、非適合メスコネクタとの誤結をより好適に防止可能であり得る。
【0054】
さらに、第2の外側面211cと、挿入方向Xと直交する方向にて第2の外側面211cと隣接する第1の外側面211bとの間をつなぐ段差面は、後述する非適合メスコネクタの隆起部312(図8参照)を当接面211aに案内することに寄与し得る。換言すれば、誤結時において、非適合メスコネクタの隆起部は、かかる段差面に沿って当接面211aにまで導かれてよい。段差面は、非適合メスコネクタの隆起部と当接面211aとをより確実に当接可能とし、非適合コネクタとの誤結をより好適に防止し得る。
【0055】
一実施形態において、本開示のオスコネクタ2は、複数の当接面211aを含んでいてよい。本開示における「複数」とは、対象物が2つ以上であることを意味する。従って、オスコネクタのハウジング21は、外側面領域211にて、2つ以上の当接面211aを備えていてよい。つまり、誤結時にて、非適合メスコネクタは、オス側ハウジング21に備えられた複数の当接面211aと当接することで、オスコネクタ2との誤結を防止されてよい。換言すれば、複数の当接面211aの各々は、挿入方向Xとは異なる方向にて非適合メスコネクタと当接することで、オスコネクタ2の更なる挿入を防止し、コネクタの誤結を検知し得る。複数の当接面211aにより、誤結検知状態にて、非適合メスコネクタは、複数箇所にてオスコネクタ2と当接可能となる。従って、非適合メスコネクタと当接可能な当接面211aの面積がより多く確保されるため、オスコネクタ2の誤挿入がより好適に防止され得る。さらに、挿入方向Xに向かって当接面211aにかかる荷重が分散され得る。すなわち、当接面の各々にかかる荷重がより低減されるため、当接面の破損がより好適に防止され得る。
【0056】
図3A図5に示されるように、本開示のオスコネクタのハウジング21は、複数の外側面領域211を備える。非適合メスコネクタとの誤結防止の確実性をより高め、また当接面に作用する荷重をより好適に分散させることを重視すると、複数の当接面211aが、複数の外側面領域211に設けられていてよい。つまり、複数の当接面211aは、オス側ハウジング21の複数の外側面領域211のうち、少なくとも1つの外側面領域211に設けられていてよい。例えば、図5に示されるように、4つの外側面領域211を有するハウジングにおいて、そのうち3つの外側面領域211に当接面211aが具備され、当接面211aは、各外側面領域211に1つずつ位置付けられていてよい。代替的には、全ての外側面領域に当接面が設けられていてもよい。代替的には、1つの外側面領域211に複数の当接面211aが設けられていてもよい。
【0057】
上述の構造により、誤結時にて、オスコネクタ2は複数箇所において非適合メスコネクタ3と当接する。複数の外側面領域211に非適合メスコネクタ3との当接箇所を設けることで、各当接面にかかる荷重がより均等に分散可能となる。そのため、荷重が特定の当接面に集中することで引き起こされ得る当接面の破損をより好適に防止することが可能となる。
【0058】
一実施形態において、当接面211aは、互いに対向する2つの外側面領域211にそれぞれ設けられる。換言すれば、オスコネクタのハウジング21は、互いに対向する2つの外側面領域211のそれぞれにおいて、当接面211aを備えていてよい。例えば、図6に示すように、断面視にて、当接面211aは、コネクタの中心を通り、挿入方向Xに対して平行な直線に対して線対称に配置されていてよい。当接面が上述の位置に備えられることで、非適合メスコネクタへのオスコネクタの誤挿入に際して、当接面にかかる荷重がよりバランス良く分散され得る。従って、上述の構造により、誤挿入操作に伴う当接面の破損を抑制できる、より好適な誤結防止が実現され得る。
【0059】
当接面の向き及び形状は、非適合メスコネクタと当接可能である限り、特に限定されない。例えば、断面視にて、当接面211aは、嵌合方向X側のオス側ハウジング21の端面213aに対して略平行に延在する平面であってよい。代替的には、断面視にて、当接面211aは、オス側ハウジング21の内側に向かって漸次傾斜する傾斜面を含んでいてよい。例えば、図6及び図7に示すように、当接面211aは、オス側ハウジング21の内部側に向かって漸次傾斜する面であってよい。より詳細には、当接面211aは、当接面211aと第2の外側面211cとの間の距離が漸次減じられるように傾斜していてよい。つまり、断面視にて、当接面211aは、第2の外側面211cに対して成す角度αが90度未満となるように、ハウジングの内部側に向かって漸次傾斜していてよい。代替的には、当接面211aは、上述の傾斜面と、挿入方向X側に位置する端面213aに対して略平行に延在する平面とを含む少なくとも2つの面を備えていてよい(図16D参照)。
【0060】
また、本明細書において、「傾斜」とは、当接面211aが第2の外側面211cに対して成す角度αが、90度ではない態様を意味する。さらに、当接面211aは、オスコネクタのハウジング21の内部側に向かって漸次的に傾斜する形状であれば、傾斜角度αは一定でなくてもよい。これは、当接面211aが一様に傾斜した面でなくてよいことを意味する。つまり、当接面211aは、図6及び図7に示す断面視にて直線状であってよく、屈曲又は湾曲した略曲線形状であってもよい。
【0061】
当接面211aが上述の傾斜面を含むことで、非適合メスコネクタに当接したオスコネクタ2は、当該傾斜面に沿って、メス側ハウジングの側面側に移動し得る。つまり、傾斜面は、誤結時にて、オスコネクタ2をメス側コネクタの内側面側に誘い込み、当接面211aにおけるオスコネクタ2とメスコネクタとの当接面積を拡大させ得る。従って、傾斜面を含む当接面により、より広い当接面積で非適合メスコネクタへのオスコネクタの誤挿入が防止されるため、より好適に誤結が検知され得る。
【0062】
図7に示す断面視において、当接面211aが第2の外側面211cと成す角度αは、非適合メスコネクタとの当接によって誤挿入防止が達成される限り、特に限定されない。例えば、角度αは、約1度以上約20度以下であってよく、例えば約3度以上約10度以下、好ましくは約5度であることができる。当接面の傾斜角度が上述の範囲内の位置であると、非適合メスコネクタとの誤結がより好適に防止され得る。
【0063】
誤結検知状態にて、当接面211aと非適合メスコネクタとの当接面積は、非適合メスコネクタへの更なる挿入を防止可能な面積であることが望ましい。例えば、図15に示す断面視にて、当接面211aの厚みW2は、非適合メスコネクタと当接可能である限り、特に限定されない。ここで、当接面211aの厚みW2とは、断面視にて、第2の外側面211cに対して垂直な方向における幅を意味する。したがって、図15に示されるように、当接面211aの厚みW2は、断面視にて、第1の外側面211bと第2の外側面211cとの間の高さ寸法に相当する。当接面211aの厚みW2は、非適合メスコネクタとの当接によって誤結防止が達成される限り、特に限定されない。つまり、当接面211aの厚みW2は、誤結検知状態にて非適合メスコネクタへの更なる挿入を防止可能な当接面積が確保される限り、特に限定されない。
【0064】
例えば、当接面211aの厚みW2は、コネクタの円滑な挿入のために確保されるクリアランス幅W1より大きくてよい。ここで、「クリアランス」とは、互いに重なるメス側ハウジングの内側面311とオス側ハウジング21の外側面との間の隙間を意味し、「クリアランス幅」とは、断面視における当該隙間の間隔を意味する。すなわち、断面視にて、前記当接面211aの厚みW2は、前記オス側ハウジング21の前記外側面と前記メス側ハウジングの前記内側面311との間のクリアランス幅W1より大きくてよい。これにより、当接面211aと非適合メスコネクタ3とのより広い当接面積が確保され、より好適な誤挿入防止が達成され得る。
【0065】
なお、当接面の厚みW2がクリアランス幅W1より小さい場合、メス側ハウジング31内におけるオスコネクタ2の幅方向Y-Y’又は上下方向Z-Z’への相対的な移動により、当接面211aと非適合メスコネクタの内側面との距離がより拡大され得る。そのため、誤結時に当接面211aと非適合メスコネクタ3とが適切に当接できず、誤挿入が防止されない虞がある。そのため、当接面の厚みW2をクリアランス幅W1より大きくすることで、より広い当接面積で当接面211aと非適合メスコネクタ3とが当接可能となり、より好適な誤挿入防止が達成され得る。
【0066】
[本開示のメスコネクタの構造]
図8は、本開示のメスコネクタを模式的に示す斜視図である。また、図9は、本開示のメスコネクタを模式的に示す正面図である。図示されるように、本開示のメスコネクタ3は、ハウジングの内側面311にて隆起した隆起部312を備える。誤結時にて、メスコネクタのハウジング31内に非適合オスコネクタが挿入される場合、隆起部312は、当該非適合オスコネクタと当接可能となっている。かかる隆起部312は、メス側ハウジング31の内側面311から、メス側ハウジング31の内側に向かって隆起している。つまり、隆起部312の隆起方向は、挿入方向Xとは異なる方向である。
【0067】
図13及び図14に示されるように、隆起部312は、被当接面312aにて非適合オスコネクタ2と当接可能であってよい。換言すれば、誤結時にて、非適合オスコネクタ2は、隆起部312の被当接面312aと当接可能であってよい。すなわち、被当接面312aは非適合オスコネクタ2と誤結時に接触する面であるところ、メス側接触面、又はメス側誤結検知面と称すこともできる。被当接面312aは、メス側ハウジングの開口部313側に位置する隆起部312の側面であってよい。開口部313から挿入された非適合オスコネクタ2は、メス側ハウジングの嵌合空間315内を挿入方向Xに向かって移動される。その後、隆起部の被当接面312aに当接することで、挿入方向Xへの非適合オスコネクタ2の更なる移動が阻止される。
【0068】
誤結時にて、隆起部312は、非適合オスコネクタ2と、メスコネクタのハウジング31とが部分的に重なるように、非適合オスコネクタ2と当接可能となっていてよい。より詳細には、誤結検知状態にて、非適合オスコネクタ2は、オス側ハウジング21の外側面とメス側ハウジングの内側面311とが部分的に重なった状態で隆起部312と当接していてよい。つまり、本開示のメスコネクタ3において、非適合オスコネクタ2は、メス側ハウジングの嵌合空間315内にて誤結を検知する。
【0069】
このように、メス側ハウジング31が内側面311に上述の隆起部312を含むことで、本開示のメスコネクタ3は、非適合オスコネクタ2が部分的に挿入された状態で、非適合オスコネクタ2と隆起部312にて互いに当接する。つまり、非適合オスコネクタ2のメスコネクタ3への挿入操作の途中で隆起部312と非適合オスコネクタ2とが当接することで、それ以上の挿入方向Xへの非適合オスコネクタ2の挿入操作が防止され得る。換言すれば、誤結時に、非適合オスコネクタ2は、メス側ハウジングの内側面311と非適合オスコネクタ2の外側面とが部分的に重なっている状態で、それ以上の挿入が阻止される。これは、誤結検知状態にて、非適合オスコネクタ2はメス側ハウジング31によって部分的に包囲されることを意味する。つまり、メス側ハウジング31内の非適合オスコネクタ2は、隆起部312のみではなく、メス側ハウジングの内側面311とも当接可能となっていてよい。
【0070】
かかる内側面311により、挿入方向Xとは異なる方向への非適合オスコネクタ2の相対的な移動が規制され得る。そのため、非適合オスコネクタ2がメス側ハウジング31内でより適切に位置決めされ、非適合オスコネクタ2が隆起部312を乗り上げてメス側ハウジング31内に誤挿入されることがより好適に防止され得る。すなわち、本開示の構造により、メスコネクタ3の被当接面312aと非適合オスコネクタ2とがより適切に当接可能となり得るため、非適合コネクタとの誤結をより好適に防止可能であり得る。
【0071】
図10は、図9に示すメスコネクタを矢印C-Cで切り取った模式的断面図である。同様に、図11は、図9に示すメスコネクタを矢印D-Dで切り取った模式的断面図である。図示されるように、隆起部312は、メス側ハウジングの開口部313を有する開口端313aから離隔して配置されていてよい。換言すれば、メス側ハウジング31にて、隆起部312とメス側ハウジングの開口端313aとは、互いに離隔していてよい。より詳細には、隆起部312は、メス側ハウジングの開口端313aより挿入方向X側に離隔して、メス側ハウジングの内側面311に位置付けられていてよい。これは、隆起部312の被当接面312aが、メス側ハウジングの開口端313aとは離隔していることを意味する。つまり、メス側ハウジング31にて、被当接面312aと開口端313aとは面一ではない。かかる構造により、非適合オスコネクタと隆起部312との当接は、開口端313aを含むメス側ハウジング31の端面ではなく、より挿入方向X側に位置する、嵌合空間315内の被当接面312aにて実施される。
【0072】
内側面における被当接面の位置は、メスコネクタと非適合オスコネクタとの電気的な誤接続が防止される限り、特に限定されない。すなわち、被当接面の位置は、誤結検知状態にて、非適合オスコネクタの端子がメスコネクタの外導体間口と十分に離隔し、相互に電気的に接続されない限り、特に限定されない。より詳細には、非適合オスコネクタ2がメスコネクタ3内に部分的に挿入され、被当接面にて互いに当接した際に、オス端子とメス端子との電気的な接続を防止可能である位置に、被当接面が設けられていることが望ましい。
【0073】
上述のように、端面とは離隔した位置に誤結検知のための被当接面を備えることで、オスコネクタの挿入位置のずれに起因する当接とは異なる位置で誤結検知される。かかる構造により、挿入操作に際して、オスコネクタが、メスコネクタの端面ではなく、挿入開始後にメスコネクタ内部にて隆起部と当接した場合、操作者は、当該オスコネクタが非適合オスコネクタであることを容易に認知できる。つまり、本開示のメスコネクタを用いることで、オスコネクタとメスコネクタとの当接が、オスコネクタの挿入位置のずれに起因する当接ではなく、非適合オスコネクタとの誤結に起因する当接であることをより容易に区別可能となり得る。そのため、本開示のオスコネクタは、非適合メスコネクタとの誤結をより容易に検知できる、より好適な誤結防止を供し得る。
【0074】
一実施形態において、本開示のメスコネクタは、複数の隆起部312を含んでいてよい。より詳細には、メスコネクタのハウジング31は、内側面311にて、複数の隆起部312を備えていてよい。誤結時にて、非適合オスコネクタは、メス側ハウジングに備えられた複数の隆起部312の各々と当接することで誤結防止されてよい。換言すれば、複数の隆起部312の各々は、挿入方向Xとはことなる方向にて非適合オスコネクタと当接することで、非適合オスコネクタの更なる挿入を防止し得る。つまり、誤結検知状態にて、メスコネクタは、複数箇所で非適合オスコネクタと当接可能となる。そのため、非適合オスコネクタと当接可能な隆起部312の被当接面312aの面積がより多く確保され、非適合オスコネクタの誤挿入がより好適に防止され得る。さらに、複数の隆起部312を備えることで、非適合オスコネクタとの当接に際して隆起部312にかかる荷重が分散され得る。すなわち、隆起部の各々にかかる荷重がより低減されるため、隆起部の破損がより好適に抑制され得る。
【0075】
また、図9に示されるように、非適合オスコネクタとの誤結防止の確実性をより高め、また被当接面312aに作用する荷重をより好適に分散させることを重視すると、複数の隆起部312が、メス側ハウジング31の複数の内側面311に設けられていてよい。つまり、本開示において、複数の隆起部312は、メス側ハウジング31の複数の内側面311のうち、少なくとも1つの内側面311に設けられていてよい。例えば、図9に示されるように、4つの内側面311を有する略箱状のハウジングにおいて、そのうち3つの内側面311の各々に、少なくとも1つの隆起部312が設けられていてよい。代替的には、全ての内側面に隆起部が設けられていてもよい。あるいは、1つの内側面につき複数の隆起部が設けられていてもよい。
【0076】
上述の構造により、誤結時にて、メスコネクタは複数箇所において非適合オスコネクタと当接する。複数の内側面に非適合オスコネクタとの当接箇所を設けることで、各隆起部にかかる荷重がより均等に分散され得る。従って、荷重が特定の隆起部に集中することに起因する隆起部の破損がより効果的に防止され得る。
【0077】
また、図9に示すように、隆起部312は、互いに対向する2つの内側面311にそれぞれ設けられてよい。換言すれば、メスコネクタのハウジング31は、互いに対向する2つの内側面311のそれぞれにおいて、隆起部312を備えていてよい。例えば、断面視にて、隆起部312は、メスコネクタ3の中心を通り、かつ挿入方向Xに対して平行な直線に対して線対称に配置されていてよい。隆起部312が上述の位置に備えられることで、非適合オスコネクタの誤挿入に際して、隆起部312にかかる荷重がよりバランス良く分散され得る。従って、上述の構造により、誤挿入操作に伴う隆起部の破損を抑制できる、より好適な誤結防止が実現され得る。
【0078】
隆起部の被当接面の向き及び形状は、非適合オスコネクタと当接可能である限り、特に限定されない。例えば、断面視にて、隆起部の被当接面312aは、メス側ハウジングの開口端313aに対して略平行に延在する平面であってよい。代替的には、断面視にて、被当接面312aは、メス側ハウジングの内側面311から離間するに応じて抜去方向X’に向かって漸次傾斜する傾斜面を含んでいてよい(図10及び図11参照)。より詳細には、断面視にて、被当接面312aは、被当接面312aと、当該被当接面312aが位置する内側面311との間の距離が漸次減じられるように傾斜する傾斜面を含んでいてよい。つまり、断面視にて、被当接面312aは、内側面311に対して成す角度αが90度未満となるように漸次傾斜していてよい。被当接面312aは、一様に傾斜した面でなくてもよい。つまり、被当接面312aは、上述の傾斜面と、開口端313aに対して略平行に延在する平面とを含む少なくとも2つの面を備えていてよい(図16D参照)。
【0079】
上述の傾斜面により、メス側ハウジングの被当接面312aに当接した非適合オスコネクタは、当該傾斜面に沿って、内側面311側に移動し得る。つまり、傾斜面は、誤結時にて、非適合オスコネクタをメス側ハウジング31のより内側面311側へと引き込み、被当接面312aにおけるメスコネクタ3と非適合オスコネクタとの当接面積をより拡大させ得る。従って、傾斜面を含む被当接面312aは、より広い当接面積で非適合オスコネクタの誤挿入防止を可能とするため、本開示のメスコネクタによって、より好適な誤結検知が達成され得る。
【0080】
図11に示す断面視において、被当接面312aが、当該被当接面312aが位置する内側面311と成す角度βは、非適合オスコネクタとの当接によって誤挿入防止が達成される限り、特に限定されない。例えば、角度βは、約1度以上約20度以下であってよく、例えば約3度以上約10度以下、好ましくは約5度であることができる。被当接面の傾斜角度が上述の範囲内の位置であると、非適合オスコネクタとの誤結がより好適に防止され得る。
【0081】
誤結検知状態にて、被当接面312aと非適合オスコネクタとの当接面積は、非適合オスコネクタの更なる挿入を防止可能な面積であることが望ましい。より具体的には、図15に示す断面視にて、被当接面312aの厚みW3は、非適合オスコネクタと当接可能である限り、特に限定されない。ここで、被当接面312aの厚みW3とは、断面視にて、メス側ハウジングの内側面311に対して垂直な方向における幅を意味する。したがって、被当接面312aの厚みW3は、図15に示されるように、断面視にて、メス側ハウジングの内側面311からの隆起部312の高さ寸法に相当する。被当接面312aの厚みW3は、誤結検知状態にて非適合メスコネクタへの更なる挿入を防止可能な当接面積が確保される限り、特に限定されない。
【0082】
また、被当接面312aの厚みW3は、クリアランス幅W1より大きくてよい。換言すれば、本開示のメスコネクタは、クリアランス幅W1より大きい厚みW3を有する被当接面を備えていてよい。被当接面の厚みW3をクリアランス幅W1より大きくすることで、被当接面312aと非適合オスコネクタ2とのより広い当接面積が確保され、より好適な誤挿入防止が達成され得る。
【0083】
[本開示のコネクタ・ユニットの構造]
オスコネクタ及びメスコネクタを備える本開示のコネクタ・ユニットにおいて、オスコネクタ及び/又はメスコネクタのハウジングは、上述した誤結防止のための特徴を備えていてよい。例えば、本開示のコネクタ・ユニットにおいて、オスコネクタ及びメスコネクタは、各々のハウジングにて、非適合相手コネクタと当接可能な当接面又は隆起部を備えていてよい。
【0084】
図13及び図14に示すように、誤結時において、オスコネクタ2とメスコネクタ3とは、従前のようにコネクタの端面同士では当接せず、メス側ハウジング31の内部にオスコネクタ2が部分的に挿入された状態で、互いに当接していてよい。つまり、誤った組合せでオスコネクタ2とメスコネクタ3とが組み合わされた場合、メス側ハウジング31に挿入されたオスコネクタ2は、メス側ハウジングの嵌合空間315内に部分的に挿入されてから、オス側ハウジングの当接面211aにてメスコネクタ3と当接し得る。代替的には、メス側ハウジング31に挿入されたオスコネクタ2は、メス側ハウジングの嵌合空間315内に部分的に挿入されてから、メス側ハウジングの隆起部312と当接し得る。これは、誤結時に、オスコネクタ2とメスコネクタ3との当接部分がメスハウジングの内側面311に位置付けられていることを意味する。より詳細には、誤結時にて、オスコネクタ2とメスコネクタ3との当接部分は、メス側ハウジングの開口端313aよりも内部側にある内側面311上であってよい。
【0085】
このように、オスコネクタ2がメス側ハウジング31内に部分的に挿入された状態で誤結検知されることで、メス側ハウジングの内側面311によってオスコネクタ2が部分的に包囲される。そのため、誤結検知状態にて、オスコネクタ2は、挿入方向Xとは異なる方向への相対的な移動を規制され得る。これにより、オスコネクタ2が挿入方向Xとは異なる方向にずれ、隆起部312を乗り越えてメス側ハウジング31のさらに内部へと誤挿入されることがより好適に防止され得る。すなわち、本開示の構造により、オスコネクタ2の当接面211aと非適合メスコネクタ3とがより適切に当接可能となり得るため、非適合コネクタとの誤結をより好適に防止可能であり得る。
【0086】
一実施形態において、コネクタ・ユニット1は、オスコネクタ2及びメスコネクタ3の各々のハウジングにて、非適合相手コネクタと当接可能な当接面211a又は隆起部312を備える。かかる実施形態では、誤結時に、メスコネクタの隆起部312と、オスコネクタ2の当接面211aとが互いに当接可能となっていてよい。図15に示されるように、メス側ハウジング31に挿入されたオスコネクタ2が非適合オスコネクタであった場合、メス側ハウジングの嵌合空間315内にて、オスコネクタ2の当接面211aが、メス側ハウジングの内側面311上にある隆起部312の被当接面312aと当接し得る。
【0087】
誤結時に隆起部312と当接面211aとが当接可能であることで、メス側ハウジング31のより内部側で、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが当接可能となる。つまり、本実施形態のコネクタ・ユニット1では、メス側ハウジングの嵌合空間315において、オスコネクタ2がより挿入方向X側に移動してから、誤結の検知が為され得る。これは、オスコネクタ2とメスコネクタ3とが互いに当接した誤結検知状態にて、メス側ハウジング31内のより内部側にオスコネクタ2が位置することを意味する。そのため、オスコネクタ2の挿入位置のずれに起因する当接と、非適合オスコネクタ2との誤結に起因する当接とをより容易に区別可能となり得る。従って、上述の構造により、非適合コネクタとの誤結をより好適に検知し、防止可能なコネクタ・ユニットが供され得る。
【0088】
さらに、図15に示されるように、隆起部312と当接面211aとが互いに当接するに際して、オスコネクタ2は、外側面領域211の複数の外側面にて、メス側ハウジング31と互いに部分的に重なるように位置付けられてよい。より詳細には、誤結時にて、オスコネクタ2は、当接面211a、第1の外側面211b及び第2の外側面211cにて、メス側ハウジング31と部分的に重なっていてよい。かかる構造により、誤結検知状態のオスコネクタ2は、複数の外側面にて、メス側ハウジングの内側面311によって挿入方向Xとは異なる方向への移動を規制される。つまり、嵌合空間315内にて、オスコネクタ2の姿勢がより好適に保持され得るため、誤結時に、メスコネクタ3の隆起部312とオスコネクタ2の当接面211aとがより適切に当接可能となる。従って、本開示により、非適合コネクタとの誤結をより好適に検知及び防止できるコネクタ・ユニットが供され得る。
【0089】
図16A図16Dは、当接面211a、及び当該当接面211aと誤結時に当接可能となっている被当接面312aの形状の変形例を示す模式図である。当接面211a及び被当接面312aの形状は、誤結時にて互いに当接可能である限り、特に限定されない。例えば、図16A及び16Bに示すように、断面視にて、当接面211a及び/又は被当接面312aは、嵌合方向Xに対して略垂直な方向に延在する平面であってよい。
【0090】
代替的には、断面視にて、当接面211a及び/又は被当接面312aは、当該当接面211a又は被当接面312aが位置するハウジングの側面に対して成す角度が90度未満となるように漸次傾斜する傾斜面を含んでいてよい。例えば、図16Cに示すように、断面視にて、当接面211a及び被当接面312aのいずれか一方が、少なくとも1つの傾斜面を含む面であってよい。
【0091】
また、互いに当接可能な当接面211a及び被当接面312aは、相補的な形状を有していてよい(図15、16A、16B及び16D参照)。換言すれば、被当接面312aは、誤結時にて当接可能となっている当接面211aに対して相補的な形状を有していてよい。当接面211aと被当接面312aとが互いに相補的な形状を有することで、誤結時にて、オスコネクタ2とメスコネクタ3とがより好適に当接可能となり得る。従って、本開示により、コネクタの誤結をより適切に防止できるコネクタ・ユニットを供することができる。
【0092】
例えば、図15及び図16Dに示すように、断面視にて、オスコネクタ2の当接面211aは、オス側ハウジング21の内部側に向かって漸次傾斜している傾斜面を含み、メスコネクタの被当接面312aは、当接面211aに対して相補的な形状の面であってよい。つまり、断面視にて、当接面211a及び被当接面312aは、少なくとも1つの傾斜面を含み、互いに相補的な形状を有していてよい。これは、当接面211aに含まれる傾斜面と、被当接面312aに含まれる傾斜面とが、互いに略平行であることを意味する。そのため、誤結時にて、オスコネクタ2とメスコネクタ3とは、当接面211a及び被当接面312aに含まれる相互に平行な傾斜面同士が面接触することで、より広い面積での接触が可能となり、コネクタの誤挿入がより好適に防止され得る。
【0093】
さらに、図15及び図16Dに示されるように、傾斜面は、コネクタの挿入方向Xとは反対の方向X’に向かって漸次傾斜していてよい。このような傾斜面によって、挿入方向Xだけではなく、挿入方向Xとは異なる方向(例えば、方向Y-Y’及び/又は方向Z-Z’)へのオスコネクタ2の移動も規制され得る。そのため、メス側ハウジング31の内部側へのオスコネクタ2の相対的な移動がより規制され、オスコネクタ2がメスハウジングの隆起部312を乗り越えて誤挿入されることをより好適に回避可能となり得る。従って、本開示により、コネクタの誤挿入をより適切に防止できるコネクタ・ユニットを供することができる。
【0094】
図15に示す断面視にて、当接面211aの厚みW2及び被当接面の厚みW3は、挿入開始時に相手コネクタの端面に干渉せず、挿入途中にて更なる挿入を防止可能な当接面積が確保される限り、特に制限されない。例えば、より広い当接面積を確保する観点から、当接面の厚みW2は、クリアランス幅W1より大きいことが望ましい。また、挿入開始時における適合/非適合メスコネクタの開口端313aと当接面211aとの接触を防止する観点から、当接面の厚みW2は、クリアランス幅W1及び被当接面の厚みW3の寸法の和より小さいことが望ましい。すなわち、当接面の厚みW2は、W1<W2<(W1+W3)であることが望ましい。
【0095】
同様に、より広い当接面積を確保する観点から、被当接面の厚みW3は、クリアランス幅W1より大きいことが望ましい。また、挿入方向X側の適合/非適合オスコネクタの端面213a(図14参照)と被当接面312aとの接触を防止する観点から、被当接面の厚みW3は、クリアランス幅W1及び当接面の厚みW2の寸法の和より小さいことが望ましい。すなわち、被当接面の厚みW3は、W1<W3<(W1+W2)であることが望ましい。
【0096】
さらに、本開示のコネクタ・ユニットは、隣接配置された複数のメスコネクタを備えていてよい。複数のメスコネクタには、適合コネクタ及び非適合メスコネクタが含まれていてよい。換言すれば、適合メスコネクタ及び非適合メスコネクタを含む複数のメスコネクタが、本開示のコネクタ・ユニットに隣接して配置されていてよい。つまり、本開示のコネクタ・ユニットは、複数のオスコネクタ、並びに複数のオスコネクタの各々に対する適合メスコネクタ及び非適合メスコネクタを含む複数のメスコネクタを備えていてよい。複数のオスコネクタの各々は、適合メスコネクタと嵌合可能である一方、非適合メスコネクタとは、当接面及び/又は隆起部における当接によって嵌合不可となっていてよい。つまり、複数のメスコネクタ及び複数のオスコネクタは、それぞれ一対一で対応するように構成され、オスコネクタが誤った組合せのメスコネクタに誤挿入された場合、当接面及び/又は隆起部によって誤結検知されてよい。
【0097】
かかる実施形態において、複数のメスコネクタ及び複数のオスコネクタは、それぞれ互いに異なる配置の隆起部及び当接面を備えていてよい。換言すれば、複数のメスコネクタの各々は、隆起部の配置及び/又は数を互いに異ならせていてよい。同様に、複数のオスコネクタの各々は、当接面の配置及び/又は数を互いに異ならせていてよい。隆起部及び当接面の配置態様を異ならせることで、オスコネクタが、適合メスコネクタ及び非適合メスコネクタで共用不可とすることができる。つまり、所定の配置態様で当接面を備えるオスコネクタと、かかる配置態様の当接面と当接する位置に隆起部を備えず、かかるオスコネクタと嵌合可能な適合メスハウジングとを一対一で対応させることが可能となる。このように、隆起部と当接面との配置態様を異ならせることで、適合コネクタと非適合コネクタとが識別され、より好適な誤結防止が達成され得る。
【0098】
上述したように、本開示のコネクタ・ユニットでは、オスコネクタのメスコネクタへの挿入途中で誤結検知が為され得る。そのため、例えば、適合コネクタと非適合コネクタの目視での識別が困難である場合にも、非適合コネクタと組み合わされた場合においてのみ上述の当接面及び/又は隆起部においてコネクタ同士が当接することで、コネクタ・ユニットの誤結がより好適に防止され得る。
【0099】
以上、本開示の実施の形態を説明したが、本開示はこれらに限定されるものではなく、上記構成を組み合わせるなど、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示のオスコネクタ、メスコネクタ及びコネクタ・ユニットは、電気的接続を要する各種技術分野で好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 コネクタ・ユニット
2 オスコネクタ
21 オス側ハウジング
211 外側面領域
211a 当接面
211b 第1の外側面
211c 第2の外側面
212 挿通口
213 嵌合口
213a 端面
22 端子
221 電線
23 リテーナ
3 メスコネクタ
31 メス側ハウジング
311 内側面
312 隆起部
312a 被当接面
313 開口部
313a 開口端
314 底面
315 嵌合空間
320 外導体間口
330 端子
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図17
図18
図19
図20
図21