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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016058
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 43/04 20060101AFI20230126BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20230126BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B65H43/04
B65H29/60 C
H04N1/00 567M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120076
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000104652
【氏名又は名称】キヤノン電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤本 一樹
【テーマコード(参考)】
3F048
3F053
5C062
【Fターム(参考)】
3F048AA04
3F048AB02
3F048AB05
3F048BA05
3F048BA06
3F048BB02
3F048CA02
3F048DA06
3F048DC12
3F053EA01
3F053EC02
3F053ED12
3F053ED25
3F053LA05
3F053LB02
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB30
5C062AB32
5C062AB33
5C062AC02
5C062AC09
5C062AC11
5C062AC15
5C062AC58
5C062AC66
5C062AD01
5C062AE07
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で混載束をまとめて搬送可能なシート搬送装置を提供する。
【解決手段】シートを載置する載置台1と、載置台1に積載されたシートを1枚ずつ搬送するシート搬送手段6と、Uターン搬送路21と、ストレート搬送路22と、幅方向を軸として回動可能に支持された第1切り替え部14aと、幅方向を軸として第1切り替え部14aに対して回動可能に支持された第2切り替え部14bとを有し、Uターン搬送路21とストレート搬送路22とを切り替える切替手段14と、シートの搬送の継続と停止を切り替える制御手段301と、シート先端の幅方向における両端部の位置を検出する位置検出手段302とを備え、制御手段301は、位置検出手段302によって検出された両端部の位置と、第2切り替え部14bの幅方向における幅の範囲との位置関係に基づいてシートの搬送を停止することを特徴とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを載置する載置台と、
前記載置台に積載されたシートを1枚ずつ搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送されるシートを前記載置台側へ向けて搬送するUターン搬送路と、
前記シート搬送手段により搬送されるシートを前記載置台とは反対側へ向けて搬送するストレート搬送路と、
前記シートの搬送方向に直交する幅方向を回動軸方向として回動可能に支持された第1切り替え部と、前記幅方向を回動軸方向として前記第1切り替え部に対して回動可能に支持された第2切り替え部とを有し、前記Uターン搬送路と前記ストレート搬送路とを切り替える切替手段と、
シートの搬送の継続と停止を切り替える制御手段と、
シート先端の前記幅方向における両端部の位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記制御手段は、前記第2切り替え部がシートを前記ストレート搬送路へ案内する位置にあるときに、前記位置検出手段によって検出された前記両端部の位置と、前記第2切り替え部の前記幅方向における幅の範囲との位置関係に基づいてシートの搬送を停止することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記位置検出手段によって検出された前記両端部のうちの一端の位置のみが前記第2切り替え部の前記範囲内に含まれ、前記両端部のうちの他端の位置が前記第2切り替え部の前記範囲外であるときにシートの搬送を停止することを特徴とする請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記第2切り替え部の搬送面が前記第1切り替え部の搬送面と連続となるように前記第2切り替え部を付勢するための付勢手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記付勢手段は、前記シートとしてプラスチックカードが搬送されたときに、前記第2切り替え部を前記ストレート搬送路上から押しのけることが可能な付勢力で付勢されていることを特徴とする請求項3に記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記シート搬送装置は、シートの厚みを検出する厚み検出手段を備えることを特徴とする請求項1から4に記載のシート搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記厚み検出手段によって、搬送されるシートがカードであると判断したときに、
シートの前記両端部のうちの一端の位置のみが前記第2切り替え部の前記範囲内に含まれ、前記両端部のうちの他端の位置が前記第2切り替え部の前記範囲外であるときにシートの搬送を停止することを特徴とする請求項5に記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記位置検出手段は、シートの表面または裏面を読み取るイメージセンサが出力した画像データを処理することにより前記両端部の位置を検出する画像処理部であることを特徴とする請求項6に記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記イメージセンサは、シートの表面または裏面を読み取る2つのイメージセンサのうち、搬送路の上流側にあるイメージセンサであることを特徴とする請求項7に記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置に関し、特に、2つの排紙路を切り替えてシートを排出することが可能なシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シート搬送装置には、シートを屈曲させながら搬送する経路である屈曲搬送路と、シートを屈曲させずに搬送する経路であるストレート搬送路の2つの搬送路を有するものがある。屈曲搬送路は、例えばA4用紙のような通常の厚さのシートを搬送する。ストレート搬送路は、例えばプラスチックカードのようなA4用紙と比べて厚みのあるシートを搬送することが可能である。
【0003】
屈曲搬送路を用いることで、搬送するシートを載置する給紙部と、排出されたシートを積載する排紙部とを、載置あるいは積載されたシートの紙面が重なる方向に並べて配置することができ、装置の設置スペースを小さくすることができる。
【0004】
また、屈曲搬送路を有するシート搬送装置では、給紙部に載置された複数枚のシートから成るシート束のうち、最も上に載っているシートから1枚ずつに分離して装置内部に給送する。このようにすることで、排紙部に積載されるシート束のページの順番は、給紙時と同じになる。
【0005】
上記のようなシート搬送装置において、A4用紙等の屈曲しやすいシートと、プラスチックカード等の屈曲しにくいシートからなる混載束をまとめて給送する場合、屈曲しにくいシートが屈曲搬送路でジャムするのを防ぐために、シートの屈曲のしやすさに応じて搬送路を切り替える必要がある。搬送路を切り替えずに、全てのシートをストレート搬送路で搬送すると、搬送はできるが、排紙部に積載されるシート束のページの順番が給紙時とは逆になってしまったり、大きなシートがストレート搬送路から排出される分だけスペースが必要になってしまったりすることがある。
【0006】
それに対し、特許文献1には、搬送路を切り替える方法として、搬送されるシートの厚みを検知し、検知結果に応じて搬送路を自動で切り替えるシート搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-198359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のシート搬送装置は、シートの厚みを1枚ずつ検知し、シート1枚ごとにどちらの搬送路を通すか判断して搬送路を切り替える必要があった。
【0009】
本発明は、簡易な構成で混載束をまとめて搬送可能なシート搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のシート搬送装置は、
シートを載置する載置台と、
前記載置台に積載されたシートを1枚ずつ搬送するシート搬送手段と、
前記シート搬送手段により搬送されるシートを前記載置台側へ向けて搬送するUターン搬送路と、
前記シート搬送手段により搬送されるシートを前記載置台とは反対側へ向けて搬送するストレート搬送路と、
前記シートの搬送方向に直交する幅方向を回動軸方向として回動可能に支持された第1切り替え部と、前記幅方向を回動軸方向として前記第1切り替え部に対して回動可能に支持された第2切り替え部とを有し、前記Uターン搬送路と前記ストレート搬送路とを切り替える切替手段と、
シートの搬送の継続と停止を切り替える制御手段と、
シート先端の前記幅方向における両端部の位置を検出する位置検出手段と
を備え、
前記制御手段は、前記第2切り替え部がシートを前記ストレート搬送路へ案内する位置にあるときに、前記位置検出手段によって検出された前記両端部の位置と、前記第2切り替え部の前記幅方向における幅の範囲との位置関係に基づいてシートの搬送を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で混載束をまとめて搬送可能なシート搬送装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の概略断面図。
図2】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の他の概略断面図。
図3】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の搬送路切り替え部とその周囲を示す拡大図。
図4】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の搬送路切り替え部の拡大図。
図5】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置の搬送路切り替え動作の説明図。
図6】本発明の第1の実施形態に係る画像読取装置のブロック図。
図7】本発明の第1の実施形態に係るPCのブロック図。
図8】本発明の第1の実施形態に係るPCが実行するシート搬送のフローチャート。
図9】本発明の第1の実施形態に係るPCにおける混載束の搬送設定の表示画面の一例を示す図。
図10】本発明の第2の実施形態における搬送路切り替え部を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態における搬送路切り替え動作の説明図。
図12】本発明の第3の実施形態におけるPCが実行するシート搬送制御フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシート搬送装置が適用された画像読取装置の概略構造を示す断面図である。
【0015】
図1において、画像読取装置50は、シートの表裏を反転して搬送するためのUターン搬送路とシートをストレートで搬送するためのストレート搬送路の2つの搬送路を有する自動シート搬送装置(ADF)を有するスキャナ等から成る。なお、本実施形態は、画像読取装置50がUSBケーブルやネットワーク等を介して接続されるパーソナルコンピュータ(PC)100(情報処理装置)を含む画像読取システムを構成しており、以下に説明するその全体構成、またはその一部の構成が本実施形態を構成する。
【0016】
画像読取装置50は、シート束Sを載置するための載置台であるシート台1と、シート台1に載置されたシート束Sを検知するシート検知センサ10と、シート束Sからシートを搬送路に送り出すピックアップローラ2とを備える。ピックアップローラ2は図1中の紙面に垂直な方向(シート束Sの幅方向)の長さが30mm~70mm程度であり、A4用紙の長手方向の長さである297mmに対して小さい。また、ピックアップローラ2は図1中の紙面に垂直な方向において、シート台1に載置されたシート束Sの幅方向の略中央部と当接する位置に配置されている。
【0017】
また、画像読取装置50は、ピックアップローラ2によりピックアップされたシートを装置内に給送する送りローラ3と、ピックアップローラ2により複数枚のシートが給紙された場合にはシートを1枚ずつに分離するための分離ローラ4とを備える。
【0018】
また、画像読取装置50は、シートを所定のタイミングで画像読取部へ搬送するレジストローラ対5と、シートの画像読み取りと給紙のタイミングを調整するためのレジストセンサ11とを備える。
【0019】
さらに、画像読取装置50は、画像読取部として、シートの表面を読み取る表面画像読取部34と、シートの裏面を読み取る裏面画像読取部35とを備える。表面画像読取部34は、シートの画像情報をコンタクトガラス81を介して読み取るラインイメージセンサ71を備える。裏面画像読取部35は、シートの画像情報をコンタクトガラス82を介して読み取るラインイメージセンサ72を備える。
【0020】
また、画像読取装置50は、画像読取部の下流に搬送ローラ対6を備える。
【0021】
搬送ローラ対6の下流において、第1の搬送路であるUターンパス21(屈曲搬送路)と、Uターンパス21を通過したシートが排紙されるUターン排紙トレイ12とが設けられており、Uターンパス21にシートを搬送するUターン搬送ローラ対7がUターンパス21の途中に設けられている。
【0022】
さらに、画像読取装置50は、Uターンパス21を通過したシートをUターン排紙トレイ12に排出するためのUターン排紙ローラ対8を備える。このUターンパス21によってシート台1側に向けて搬送されたシートがUターン排紙トレイ12に排紙される。
【0023】
また、画像読取装置50は、第2のシート搬送路であるストレートパス22(ストレート搬送路)と、画像読取装置50に軸13aを支点に回動可能に取り付けられ、ストレートパス22を通過したシートが排紙されるストレート排紙トレイ13とを備える。
【0024】
さらに、画像読取装置50は、ストレートパス22を通過したシートをストレート排紙トレイ13に排出するためのストレート排紙ローラ対9を備える。ストレートパス22によってシート第1とは反対側へ向けて搬送されたシートがストレート排紙トレイ13に排紙される。
【0025】
Uターンパス21とストレートパス22との分岐点には、2つのシート搬送路を切り替える搬送路切り替え部である切り替え部14が設けられている。切り替え部14は、不図示の切り替えレバーの位置を変えることで、Uターンパス21側かストレートパス22側に搬送路を切り替える。
【0026】
次に、図1の画像読取装置50におけるシート搬送動作について説明する。
【0027】
まず、シート束Sがシート台1に載置され、画像読取装置50に接続されたPC100から画像の読み取り指示が出されると、ピックアップローラ2が降下する。ピックアップローラ2が降下するとシート束S上に接触し、シート検知センサ10でシートを検知すると、ピックアップローラ2が回転してシートが給紙される。給紙されたシートは送りローラ3によって搬送路内に送り出される。なお、ピックアップローラ2により複数枚のシートが給紙されてしまった場合、複数枚のシートは、送りローラ3と、この送りローラ3と逆方向に回転する分離ローラ4とにより、装置内に1枚だけ送り出されるよう分離される。
【0028】
次に、装置内に送り出されたシートは、レジストローラ対5によって表面画像読取部34又は裏面画像読取部35の読取解像度に合わせた読取速度で搬送される。シートがレジストセンサ11を通過すると、その通過した際の検知信号から読み取りのタイミングを計って表面画像読取部34又は裏面画像読取部35による画像の読み取りが開始される。また、レジストセンサ11がシートの先端を検知すると、ピックアップローラ2及び送りローラ3の回転を停止させる。
【0029】
次に、切り替え部14がUターンパス21側に向けて切り替えられている場合、画像読取部を通過したシートは、搬送ローラ対6によりUターンパス21側に搬送される。Uターンパス21側に搬送されたシートは、Uターンパス21に設けられたUターン搬送ローラ対7とUターン排紙ローラ対8を通過し、Uターン排紙トレイ12に排出される。
【0030】
この後、シート検知センサ10によりシート台1上のシートが検知された場合は、ピックアップローラ2及び送りローラ3を回転させてシート台1に載置されているシートを装置内へ搬送して上述と同様の制御がなされ、シート台1にシートがなくなるまで繰り返される。
【0031】
図2は、本実施形態の画像読取装置におけるストレート排紙時の状態を示す断面図である。
【0032】
図1で説明したUターンパス21を通過されるシートは、屈曲しやすいシートである。一方、図2では、切り替え部14の位置を変更して、屈曲しにくいシートをストレートパス22側に搬送する。切り替え部14の位置を変更する際は、不図示の切り替えレバーの位置を変更して、切り替え部14の先端部を持ち上げる。このようにすることで、搬送ローラ対6以降の搬送路がストレートパス22に切り替わる。なお、このようにストレートパス22に搬送路が切り替えられた場合、画像読取装置50の消費電力を抑えるために、Uターン排紙ローラ対8を停止させる。
【0033】
予めストレートパス22に搬送路が切り替えられた後、レジストローラ対5によって読取解像度に合わせた読取速度で搬送されたシートは、表面画像読取部34又は裏面画像読取部35により画像読み取りが行われる。画像読取部を通過したシートは、搬送ローラ対6によりストレートパス22に搬送され、ストレート排紙ローラ対9によってストレート排紙トレイ13に排出される。
【0034】
次に、切り替え部14の構成と効果を説明する。
【0035】
図3は、切り替え部14と、その周辺を表す図である。図4(a)と図4(b)は切り替え部14単体を表す図である。図4(a)と図4(b)に示すように、切り替え部14は、切り替え部材大14a(第1切り替え部)と切り替え部材小14b(第2切り替え部)の2部品から成る。切り替え部材小14bは切り替え部材大14aの幅方向における略中央部に配置される。シートの搬送方向と直交する方向であるシート幅方向における、ピックアップローラ2の幅の位置と切り替え部材小14bの幅の位置は略同一である。切り替え部材大14aと切り替え部材小14bは、図3に示すように、搬送ローラ対6が設けられているストレート搬送路とUターン搬送ローラ対7が設けられているUターン搬送路(Uターンガイド23)の間に位置し、ストレート搬送路とUターン搬送路を繋ぐ曲面形状の搬送面を有する。
【0036】
図4(a)と図4(b)に示すように、切り替え部材大14aは両端に軸部141L、141Rを有し、この軸部141L、141Rを回動軸として図3中のUターンガイド23の側面部である側面部23Lと側面部23Rにそれぞれ回動可能に支持されることで、切り替え部材大14aは、シートの幅方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。
【0037】
切り替え部材小14bは両端に軸部141a、141bを有し、この軸部141a、141bを回動軸として、切り替え部材大14aに設けられた支持部142L、142Rにそれぞれ回動可能に支持されることで、切り替え部材小14bは、シートの幅方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。よって、切り替え部材大14aと切り替え部材小14bは、基本的にはそれぞれが独立してストレート排紙時の位置とUターン排紙時の位置をとることができる。ただし、切り替え部材大14aがストレート排紙時の位置にある場合には、切り替え部材小14bがいずれの位置に回動されても、ストレート排紙のままとなる。つまり、切り替え部材大14aの位置を図2に示したストレート排紙時の位置に切り替えると、搬送されるシートは全てストレート排紙される。これは、厚い色紙のような幅方向に長く屈曲しにくいシートをストレート排紙する際に有効である。
【0038】
図4(b)は、切り替え部材大14aの位置は切り替えずに、切り替え部材小14bのみが図4(a)の状態から回動して、ストレート排紙時の位置になった状態を表す。この時、切り替え部材大14aと切り替え部材小14bの間にストレートパス入口15ができる。このストレートパス入口15をプラスチックカード等の屈曲しにくいシートが通過してストレート排紙トレイ13に排出される。
【0039】
また、切り替え部材大14aは、Uターン排紙時の位置なので、切り替え部材小14bの幅方向の長さよりも長く屈曲しやすいシートはUターン排紙される。よってプラスチックカードのような屈曲しにくく幅の狭いシートと屈曲しやすいシートから成る混載束を一度にまとめて搬送する際に有効である。
【0040】
ここで、国際規格ID-1に準拠したカードの短辺が約54mmである。カードがストレートパス入り口15を通過する際のカードとストレートパス入り口15の隙間に余裕があり、かつ屈曲しやすいシートの最短幅を中国で用いる伝票の短辺長さを想定した約80mmとした時にシートがストレートパス入口15を通過しないようにするために、本実施例では、最小切り替え部材小14bの幅方向の長さ(ストレートパス入口15の幅方向の長さ)を64mmとした。ただし、切り替え部材小14bの幅方向の長さは任意であり、あくまで54mmから80mmの範囲に収まっていることが好ましい。
【0041】
図5(a)、図5(b)は、切り替え部材大14aと切り替え部材小14bの位置が、プラスチックカードのような屈曲しにくく幅の狭いシートと屈曲しやすいシートから成る混載束を搬送する時の位置(「カードのみストレート排紙時」の位置)である時に、カードなどの屈曲しにくいシートを搬送する様子を端面図で表したものである。切り替え部材大14aに関して、屈曲しやすいシートをUターンパス21へ導くための屈曲した搬送面はこの端面以外の部分(シートの幅方向における切り替え部材小14bの外側)に位置するので、この図には表れていない。切り替え部材小14bの位置がストレート排紙時の位置になることで、図5(a)と図(b)に示すように、切り替え部材大14aと切り替え部材小14bの間にストレートパス入口15が常に出来ている。搬送ローラ対6によって図中の矢印方向に搬送されたシートSは、ストレートパス入口15を通過した後、ストレート排紙ローラ対9にニップされて搬送され、その後、図5では不図示のストレート排紙トレイ13に排出される。
【0042】
切り替え部材小14bの位置の切り替えは、不図示の切り替えレバーの位置を手動で変更することで行なう。例えば、不図示の切り替えレバーの凸部が切り替え部材小14bと接触しており、不図示の切り替えレバーの位置を変更すると、凸部と接触している切り替え部材小14bの位置が変わる。プラスチックカードのような屈曲しにくく幅の狭いシートと屈曲しやすいシートから成る混載束を搬送する前に、切り替え部材小14bの位置をストレート排紙時の位置に切り替えておく。
【0043】
以上のように、搬送されるシートの屈曲のしやすさや大きさに応じて、切替え部材大14aと切り替え部材小14bの位置を切り替えることで、シートを適切な搬送路で搬送することができる。特に、プラスチックカードのような屈曲しにくく幅の狭いシートと屈曲しやすいシートから成る混載束を一度にまとめて搬送できる。
【0044】
ここで、屈曲しにくいシートは、ストレートパス入口15を通過できるようにシート台1の適切な位置に載置する必要がある。本実施形態においては、ストレートパス入口15はシートの幅方向の中央部に設けられているため、シートは幅方向の中央部に設けられている必要がある。シートを適切な位置に載置しないと、シートが切り替え部材大14aに沿ってUターンパス21に導かれ、搬送路中でジャムしてしまう。
【0045】
上記の問題を防ぐために、画像読取部でシート先端を撮像し、シート先端における幅方向の両端部がどの位置にあるかの情報を得る。そして、シート先端における両端の位置と、ストレートパス入口15の幅方向の両端の位置とを比較した結果に応じて、搬送を停止する。なお、本実施形態においては画像読取部を用いてシートの幅方向の両端部の位置を検出する構成について説明するが、シートの幅方向の両端の位置を検出する位置検出手段としては、これに限られず、他の検出センサなどを設けてもよい。
【0046】
より好ましくは、さらに、シートの斜行度合い(傾き)に応じて搬送を停止するかどうかを判断する。例えば、シート先端における幅方向の位置がストレートパス入口15の幅方向の両端の位置に対して内側に含まれていた場合に、さらに、シートの斜行量を用いて、シートの搬送方向に対する中央よりも先端側の部分でストレートパス入口15の両端に当接してしまうかどうかを判断しても良い。中央よりも先端側の部分でストレートパス入口15の両端に当接してしまう場合には、シートがジャムしてしまう可能性が高いため、搬送を停止するが、中央よりも後端側の部分でストレートパス入口15の両端に当接してしまう場合には、当接したことによりシートの斜行が矯正される可能性があるため、そのまま搬送しても良い。
【0047】
但しこの場合には、矯正されたことにより表面画像読取部34又は裏面画像読取部35で読み取った画像に対して乱れが生じる可能性があるため、その旨を通知するか、読み取った画像内におけるシートの回転を検知して、補正するなどの画像処理を施しても良い。
【0048】
まずは、一連の搬送制御を行なうための機能の概略構成を図6のブロック図を用いて説明する。図6は、図1の画像読取装置50が備える機能の概略構成を示すブロック図である。
【0049】
画像読取装置50は、画像読取部の一例である表面画像読取部34、裏面画像読取部35として、ラインイメージセンサ71(表)、72(裏)が接続された画像処理部302を備える。画像処理部302は、これらのセンサを用いて読み取られて生成、出力された画像データに対して、色調補正等の所定の画像処理を行い、また画像の幅方向における両端の位置を検出する。メモリ303は、画像処理部302において画像処理を施された画像データを記憶する。
【0050】
画像読取装置50は、装置全体の動作を制御するCPU301を備える。CPU301に接続されたフラッシュメモリ304は、CPU301が実行する各種制御プログラムを保持する。タイマ305は、駆動制御部306等をCPU301が制御するためのタイミング信号を発生する。
【0051】
CPU301は、以下に説明する各制御部を制御することにより、画像読取装置50における各種の機能を実現する。駆動制御部306は、シートを搬送する各種モータを制御する。シート検知センサ制御部309は、シート検知センサ10、レジストセンサ11を制御する。また、CPU301は、通信インタフェースとしてUSBI/F310を介してPC100と接続されている。なお、通信方法は、USBに代えて、SCSIやIEEE1394等が用いられてもよい。
【0052】
PC100には、後述するように、画像読取装置50を制御するためのスキャナドライバやアプリケーションがインストールされている。PC100は、これらのドライバやアプリケーションを利用して、画像読取装置50に対して画像の読み取り指示等を送信する。このように、画像読取装置50とPC100は互いに接続され、連携して画像の読取処理を実現する画像読取システムを形成する。
【0053】
図7は、図1のPC100が備える機能の概略構成を示すブロック図である。以下に説明する各ブロックの機能を実現するプログラムは、PC100における不図示のハードディスクにインストールされている。当該プログラムは、ユーザの操作又は他のプログラムからの呼び出しによって、不図示のRAMに読み込まれ、これを不図示のCPUが実行することにより、所定の機能が実現される。
【0054】
PC100に電源が投入されるとオペレーティングシステム(OS)521が起動される。OS521が起動されると、ジョブモニタ522が呼び出される。ジョブモニタ522は、RAM上に常駐し、画像読取装置50上の操作パネルのスタートボタン(不図示)が押下されたか否かを監視する。スタートボタンの押下は画像の読み取りを開始するためのユーザ操作の一例である。また、例えばタッチパネルや静電スイッチ等を画像読取装置50に設けてユーザ操作を行ってもよい。
【0055】
ジョブモニタ522は、スタートボタンが押下されたか否かを示す情報に関する要求を含むスタートボタン読出しコマンドを、スキャナドライバ524を介して画像読取装置50に対して所定の時間間隔で送信する。また、ジョブモニタ522は、当該要求に対する画像読取装置50からの応答を確認することにより、当該監視処理を実現する。操作パネル上のスタートボタンが押下されたことが検知されると、ジョブモニタ522によってジョブアプリケーション523が起動される。ジョブアプリケーション523は、スキャナドライバ524を介して画像読取装置50から画像データを検出することが可能である。
【0056】
汎用アプリケーション525は、ジョブアプリケーション523が起動していない場合に、ユーザの操作によって任意のタイミングで起動され得る。汎用アプリケーション525もまた、ジョブアプリケーション523と同様に、スキャナドライバ524を介して画像読取装置50から画像データを検出することができる。
【0057】
PC100は、画像読取装置50においてシートの読取処理を実行する読取ジョブに関するジョブ設定を、不図示のハードディスクに保持し、これを画像読取装置50に対して提供する。ジョブ設定や後述する排紙切替の設定は、PC100において不図示のマウス/キーボードを用いた操作によって行われる。なお、設定されたジョブ設定や排紙切替の設定に関する情報は、PC100内ではなく、予め画像読取装置50へ転送されて、画像読取装置50に保持されていてもよい。
【0058】
次に、図1の画像読取システムにおける、Uターン排紙とストレート排紙の両方が必要な混載束を搬送する際の設定と制御について、図8を参照して説明する。
【0059】
図8は、PC100が実行するシート搬送の制御処理の流れを示すフローチャートである。本処理は、スキャナドライバ524、ジョブアプリケーション523、又は汎用アプリケーション525等に基づいて実行される。
【0060】
まず、ユーザはシート台1にシート束Sを載置する。PC100は、スキャナドライバ等により図9にその一部を示すダイアログ200を表示し、シート台1に載置されたシート束Sが屈曲しにくいシートと屈曲しやすいシートから成る混載束であるか否か、あるいはよりシンプルに、Uターン排紙とストレート排紙を同時に行うか否か、という排紙の設定を受け付ける(ステップS301)。本実施形態では、屈曲しにくいシートは国際規格ID-1に準拠したプラスチックカードで、屈曲しやすいシートはA4用紙のようなプラスチックカードよりも比較的幅の大きな用紙や、レシート用紙のようなプラスチックカードと幅長さが同等である用紙を想定している。ステップS301は設定工程の一例である。
【0061】
ユーザは、屈曲しにくいシートと屈曲しやすいシートから成る混載束を搬送する場合、図9に示した「Uターン排紙+ストレート排紙」のラジオボタン201をクリックする。図示例では混載束を搬送するようにラジオボタン201が選択設定されている。また、ラジオボタン201がクリックされると、PC100は、切り替え部材大14aをUターン排紙の位置に、切り替え部材小14bをストレート排紙の位置に切り替えるように要求を表示する。ユーザが切り替え部材の位置を適切に変更したかどうかを、不図示の切り替え部材位置検知センサで検知しても良いし、PC100からの指示を受けて画像読取装置50のCPU301が切り替えを実行可能にしても良い。なお、ステップS301では、排紙の設定の他に、別のダイアログなどを通じて画像の読み取り設定も受け付ける。
【0062】
次に、PC100は、画像読取装置50からシート検知センサ10による検知結果を検出し、シート台1にシートがあるか否かを判定する(ステップS302)。シート台1にシートがあると判定した場合、PC100は、画像読取装置50に画像読取開始指示を送信する(ステップS303)。なお、ステップS302でシート台1にシートがないと判定される場合とは、例えば、ユーザがシート台1にシート束Sを載置していなかった場合である。
【0063】
次に、PC100は、画像読取装置50が画像読取部で撮像した画像情報から、シート先端の幅方向の両端がどの位置にあるかを検出する(ステップS304)。その後、PC100は、検出したシート先端の両端のうちの一端のみが切り替え部材小14bの幅の範囲内に含まれ、他端が切り替え部材小14bの幅の範囲外であるかを判定する(ステップS305)。
【0064】
ステップS305で、シート先端の一端のみが切り替え部材小14bの幅の範囲内ではないと判定した場合、シート先端の両端が切り替え部材小14bの範囲内または範囲外である。
【0065】
シート先端の両端が切り替え部材小14bの範囲内であるとき、シートは幅の長さが短いプラスチックカードまたはレシート用紙であり、切り替え部材大14aと切り替え部材小14bとの間のストレートパス入り口15を通過できる位置にあると判定する。この時、シートの搬送を継続し、シートをストレートパス入口15に通過させてストレートパス22へ導く。
【0066】
また、シート先端の両端が切り替え部材小14bの範囲外であるとき、シートは、切り替え部材小14bの幅を超える用紙(例えばA4用紙)であるので、シートの搬送を継続し、シートをUターンパス21へ導く。
【0067】
その後、PC100は、画像読取装置50からシート検知センサ10による検知結果を検出し、シート台1にシートがあるか否かを判定する(ステップS306)。シートがあると判定した場合はそのシートの給紙を開始し、シートがないと判定した場合は本処理を終了する。
【0068】
一方、ステップS305で、シート先端の一端のみが切り替え部材小14bの幅方向の範囲内であると判定した場合、考えられるシートは、幅が短いプラスチックカードまたはレシート用紙などの幅が短い用紙である。
【0069】
プラスチックカードの場合、幅方向における一部が切り替え部材小14bの範囲外にあるために、屈曲搬送路に案内されてジャムする恐れがある。また、レシート用紙などの場合、幅方向における一部が切り替え部材小14bの範囲内にあるために、シート先端の一端がストレートパス入り口15に入り込んで引っかかり、ジャムする恐れがある。
【0070】
従って、シートがプラスチックカードかレシート用紙であるかに関わらずジャムする恐れがあるので、PC100は、画像読取装置50に搬送を停止する指示を送信する(ステップS307)。
【0071】
PC100は、搬送を停止させた後、シートを搬送路中から取り除いてシート台1に積載されたシート束Sの最も上に載置するように表示部へ表示することによる報知などによるユーザへの要求を行なう(ステップS308)。ユーザがシートを載置し直して搬送を開始するボタンを押下したことを受け、PC100は、画像読取装置50に画像読取開始指示を送信する(ステップS309)。
【0072】
上記第1の実施形態によれば、幅が短いシートであるプラスチックカードやレシート用紙をストレート排紙トレイ13に排出でき、幅の大きなシートであるA4用紙をUターン排紙トレイ12に排出できる。また、プラスチックカードやレシート用紙がストレートパス入口15を通過できない位置にあるとき、ジャムを防ぐために搬送を停止する。
【0073】
さらに、上記の構成によれば、切替え部材14をCPU301などの制御部から駆動させて切り替える必要がないので、混載束の各シートをシート幅の違いによって異なる排出口に排出する構成を安価に実現できる。
【0074】
ここで、シート先端の幅方向の両端の位置を検出する画像読取部である表面画像読取部34と裏面画像読取部35は、図1及び図2に示す構成では、互いが対向しているが、このような構成に限らない。例えば、表面画像読取部34が裏面画像読取部35よりも搬送方向の上流側にあって、表面画像読取部34と裏面画像読取部35が搬送方向において互いにずれた位置関係であっても良い。このように一方の画像読取部を搬送方向の上流側に配置することで、上流側に配置した画像読取部でシートの幅方向の両端部の位置を検出し、シートが切り替え部14に到達するまでの時間を増やすことができる。この時間が増えるほど、シートの搬送の継続と停止を判定する時間が増え、シートの停止が間に合わずに切り替え部14に衝突してジャムする可能性を低減することができる。
【0075】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。図1図2図6図7に示す構成において、切り替え部14の構成を除いて上記第1の実施形態と同じであり、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。以下に、上記第1の実施形態と異なる点を説明する。
【0076】
第1の実施形態では、レシート用紙のような幅が短く屈曲しやすいシートは、ストレートパス入口15を通過してストレート排紙トレイ13に排出される。本発明の第2の実施形態では、幅が短く屈曲しやすいシートをストレート排紙トレイ13に排出せずに、Uターン排紙トレイ12に排出する構成を説明する。
【0077】
図10(a)と図10(b)は、第2の実施形態における切り替え部24の拡大図である。切り替え部24は、切り替え部材大24aと切り替え部材小24bの2部品とトーションばね25から成る。
【0078】
切り替え部材小24bは、切り替え部材大24aの支持部241L、241Rに回動可能に支持されている。支持部241L、241Rは軸形状であり、それぞれ切り替え部材大24aの壁部242L、242Rから突出している。さらに、切り替え部材小24bは、支持部241Rの軸回りに組み付けられたトーションばね25によって常に付勢されている。付勢された切り替え部材小24bは、図10(a)に示すように、切り替え部材小24bの搬送面が切り替え部材大24aの搬送面と連続になる位置で止まっている。また、シート幅方向におけるピックアップローラ2の幅の位置と切り替え部材小24bの幅の位置は略同一である。
【0079】
上記の構成の切り替え部24を切り替え部14と同様に、画像読取装置50の搬送路切り替え部として用いることで、A4用紙等の屈曲しやすいシートは、切り替え部材小24bを回動させることなく、切り替え部材大24aや切り替え部材小24bの搬送面に常に沿うことができる。また、プラスチックカード等の屈曲しにくいシートは、切り替え部材小24bに当接して図10(b)のように回動させることができ、切り替え部材大24aと切り替え部24bの間のストレートパス入口26を通過することができる。
【0080】
図11(a)、図11(b)、図11(c)は、切り替え部材大24aと切り替え部材小24bの位置が、屈曲しにくいシートと屈曲しやすいシートから成る混載束を搬送する時の位置である時に、屈曲しにくいシートを搬送する様子を端面図で表したものである。切り替え部材大24aに関して、屈曲しやすいシートをUターンパス21へ導くための屈曲した搬送面はこの端面以外の部分(シートの幅方向における切り替え部材小24bの外側)に位置するので、この図には表れていない。図11(a)に示すように、シートが搬送されて切り替え部材小24bに当接すると、切り替え部材小24bはシートに押され、トーションばね25によって図中矢印方向に働く付勢力に逆らって回動し始める。図11(b)に示すように、シートが搬送ローラ対6とストレート排紙ローラ対9によって把持された時、切り替え部材小24bの回動が最大となる。図11(c)に示すように、シートが切り替え部材小24bの箇所を通過し終えると、切り替え部材小24bは、トーションばね25の付勢力によって、切り替え部材大24aに当接する位置に戻る。
【0081】
以上のように、第1の実施例のように切り替え部材小24bの位置をストレート排紙時の位置に予め切り替えておかなくても、屈曲しにくいシートをストレート排紙トレイ13に排出できる。
【0082】
ここで、第1の実施形態では、切り替え部材小14bの位置は予めストレート排紙時の位置に切り替えられており、ストレートパス入り口15が常に開いていた。しかし、第2の実施形態では、切り替え部材小24bはトーションばね25によって付勢され、ストレートパス入口26が閉じている。よって屈曲しやすいシートを搬送する場合、シートが幅方向におけるどの位置にあっても、切り替え部材小24aまたは切り替え部材大24bによってUターンパス21に案内されるので、第1の実施形態のように搬送を停止する必要がない。
【0083】
一方、屈曲しにくいシートを搬送する際は、第1の実施形態の制御と同様である。読取センサで撮像したシート先端の両端部の位置のうち、一端のみが切り替え部材小24bの幅方向の範囲内である時、シートが切り替え部材大24aに沿ってUターンパス21に導かれてジャムしてしまうので搬送を停止する。それ以外の時は、搬送を継続する。
【0084】
従って、搬送を停止しなければならないのは、屈曲しにくいシートの先端の一端のみが切り替え部材小24bの幅方向の範囲内である時のみである。しかし、第2の実施形態では、屈曲しやすいシートと屈曲しやすいシートを判別する手段は有していないので、切り替え部材小24bの幅方向の範囲内にあるシートが屈曲しやすいシートか屈曲しにくいシートかは判別できない。屈曲しやすいシートと屈曲しにくいシートを判別する手段を用いた構成及び制御は後述する第3の実施形態で説明する。この屈曲しやすいシートか屈曲しにくいシートかを判別する手段を用いて、屈曲しにくいシートの先端の一端のみが切り替え部材小24bの幅方向の範囲内にある場合に、搬送を停止しても良い。
【0085】
第2の実施形態の制御は、第1の実施形態の制御と同様であり、PC100は図8に示したフローチャートの流れに沿ってシート搬送の制御処理を実行する。
【0086】
このフローチャートによれば、ステップS305において、検出したシート先端の両端のうちの一端のみが切り替え部材小24bの範囲内に含まれ、他の一端が切り替え部材小24bの範囲外であるかを判定する。
【0087】
ステップS305で、シート先端の両端が切り替え部材小24bの範囲内または範囲外であると判定した時は、ステップS306に進み搬送を継続する。この時、プラスチックカードは切り替え部材小24bを回動させてストレートパス22に排出され、レシート用紙は切り替え部材小24bを回動させずに屈曲搬送面に沿ってUターンパス21に排出される。また、A4用紙は切り替え部材大24aと切り替え部材小24bの屈曲搬送面に沿ってUターンパス21に案内される。
【0088】
ステップS305で、シート先端の一端のみが切り替え部材小24bの範囲内であると判定した時は、ステップS307で搬送を停止する。
【0089】
以上のように第2の実施形態によれば、切り替え部24の位置を切り替える駆動源を必要としない安価な構成で、屈曲しにくいプラスチックカードをストレート排紙トレイ13に排出でき、屈曲しやすいレシート用紙やA4用紙をUターン排紙トレイ12に排出できる。
【0090】
[第3の実施形態]
第2の実施形態で説明したように、第2の実施形態では、屈曲しやすいシートと屈曲しやすいシートを判別する手段を有しないので、切り替え部材小24bの幅方向の範囲内にあるシートが屈曲しやすいシートか屈曲しにくいシートであるかはわからない。このため、屈曲しやすいシートを停止させる必要がないにも関わらず、停止させる場合があった。第3の実施形態では、屈曲しやすいシートと屈曲しにくいシートを判別する手段を用いた構成及び制御を説明する。第1及び第2の実施形態と同様の部分については、同一の符号を用いてその説明を省略する。
【0091】
第3の実施形態では、屈曲しやすいシートと屈曲しにくいシートを判別する手段としてシートの厚みを検出するための厚み検出センサ40を画像読取装置50に組み込む。シートの厚みが薄ければ屈曲しやすいシートであり、シートの厚みが厚ければ屈曲しにくいシートである。
【0092】
厚み検出センサ40は、例えば、搬送されるシートを挟むように発信側と受信側のセンサが配置され、発信側からシートに向かって超音波を発した時に、受信した超音波の減衰具合を検出して、シートの厚みを検出する。厚み検出センサ40の位置は、シート先端の幅方向の両端を検知する表面画像読取部34または裏面画像読取部35よりも搬送方向の上流側に配置する。
【0093】
次に、第3の実施形態におけるシート搬送の制御処理の流れを、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0094】
ステップS401~ステップS403は第2の実施形態のステップS301~ステップS303と同様である。PC100は、ユーザがシート台1に載置したシート束Sに対し、Uターン排紙とストレート排紙を同時に行うか否かの設定を受け付け(ステップS401)、画像読取装置50からシート検知センサ10による検知結果を受け取り、シート台1にシートがあるか否かを判定し(ステップS402)、シート台1にシートがあると判定した場合に画像読取装置50に画像読取開始指示を送信する(ステップS403)。
【0095】
ステップS404では、厚み検出センサ40を用いてシートの厚みを検出する。その後、ステップS405で、シートの厚みの検出結果が閾値以上であればプラスチックカードのような厚みのあるシートと判断し、検出結果が閾値以上でなければA4用紙やレシート用紙のような薄いシートと判断する。なお、例えばID-1規格のカード(厚み0.76mm)を検出できれば良いので、この閾値としては0.6mmなどを設定すれば良いが、この限りではない。
【0096】
ステップS405で検出した結果が閾値以上でない場合、シートはA4用紙やレシート用紙のような薄いシートであるので、搬送を継続する。その後、ステップS408で、次に搬送するシートがシート台1にあるかを判定する。
【0097】
一方、ステップS405で検出した結果が閾値以上である場合、シートはプラスチックカードのような厚みのあるシートである。この時、ステップS406でシート先端の幅方向の両端の位置を検出し、ステップS407で、検出したシート先端の両端のうちの一端のみが切り替え部材小24bの範囲内に含まれ、他の一端が切り替え部材小24bの範囲外であるかを判定する。
【0098】
シート先端の一端のみが切り替え部材小24bの範囲内でない時は、プラスチックカードの先端の両端がともに切り替え部材小24bの範囲内であるので搬送を継続する。その後、ステップS408で次の搬送するシートがシート台1にあるかを判定する。
【0099】
シート先端の一端のみが切り替え部材小24bの範囲内である時は、プラスチックカードの他端は切り替え部材小24bの範囲外、すなわち切り替え部材大24aの範囲内であり、Uターンパス21に案内されてジャムする恐れがあるので、ステップS409で搬送を停止させる。その後、ステップS410で停止させたシートを搬送路中から取り除いてシート台1に載置されたシート束Sの最も上に載置するように要求する。ユーザがシートを載置し直して搬送を開始するボタンを押下すると、ステップS411で、画像読取装置50に画像読取開始指示を送信する。
【0100】
以上のように、第3の実施形態によれば、シートの厚みが薄い時は、屈曲しやすいシートであると判断し、Uターン排紙トレイ12に排出できる。また、シートの厚みが厚い時は、屈曲しにくいシートであると判断し、ストレートパス入口15を通過できる位置にある時に、ストレート排紙トレイ13に排出できる。屈曲しにくいシートがストレートパス入口15を通過できない位置にあれば、搬送を停止する。特に、第1の実施形態や第2の実施形態では、屈曲しやすいシートの搬送を停止する場合があったが、第3の実施形態では屈曲しやすいシートの搬送を停止する必要がなくなる。よって、切り替え部24の位置を切り替える駆動源がない安価な構成にできるだけでなく、ユーザの操作性を向上させることができる。
【0101】
ステップS404でシートの厚みを直接検出する代わりに、表面画像読取部34または裏面画像読取部35による画像読み取りの結果から、プラスチックカードなどのストレート排紙トレイ13に排紙すべきシートであると判定してもよい。たとえば読み取った画像内に特定の文字列が存在することを文字認識処理などによって検出した場合にシートがプラスチックカード(ストレート排紙トレイ13に排紙すべきシート)であると判定してもよい。
【0102】
また、シートの幅方向の長さと搬送方向の長さから、所定の条件を満たす場合にプラスチックカードであると判定しても良い。例えば、ID-1規格のカードの寸法である幅53.98mm、高さ85.6mmに近いものを判別することを例として、幅方向の長さが53.0mmから55.0mm、かつ搬送方向の長さが84.0mmから87.0mmである場合にプラスチックカード(ストレート排紙トレイ13に排紙すべきシート)であると判定しても良い。なお、幅方向の長さと搬送方向の長さとは逆の関係であっても良い。
【0103】
また、ステップS401において排紙設定をする際に、何枚目のシートをストレート排紙するかを入力するように構成し、それを用いてストレート排紙トレイ13に排紙すべきシートが搬送されると判別しても良い。
【0104】
また、ステップS401において排紙設定をする際など、画像読取設定をする際に、どのような種類のシートが含まれるシート束Sがシート台1に載置されているかを設定可能なように構成し、その結果と読み取り画像におけるシートの大きさに基づいて、搬送されるシートがストレート排紙トレイ13に排紙すべきシートであるかどうかを判別しても良い。例えば、シート台1に載置されたシート束Sが、「カード+A4用紙」であることが指定された場合、表面画像読取部34または裏面画像読取部35による画像読み取りの結果、シートの幅がカードと判定するための閾値を下回ると判定すると、そのシートはカードであると判別しても良い。一方、「レシート+A4用紙」であることが指定された場合、表面画像読取部34または裏面画像読取部35による画像読み取りの結果、シートの幅がカードと判定するための閾値を下回ると判定した場合であっても、そのシートはレシートであると判別し、ステップS406、S407の結果に依らず(或いは処理を飛ばし)、ステップS408へ進んでも良い。
【0105】
以上説明した各実施形態において、ステップS305やステップS407ではシートの先端の両端がともに切り替え部材小24bの範囲内もしくは範囲外に含まれるかどうかによって、シートの搬送を停止する例について説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、切り替え部材小24bの開閉状態をCPU301が切り替え可能なように構成し、シートの先端の両端がともに切り替え部材小24bの範囲内のときのみ切り替え部材小24bを駆動してストレート排紙トレイ13にシートが排紙されるように切り替えても良い。この構成によれば、トーションばね25による付勢力を大きくすることなどによって、Uターン排紙トレイ12に排紙されるシートに対しては切り替え部材小24bが退避することなく屈曲搬送路をシートが搬送されるようにすることができる。
【0106】
以上説明した各実施形態およびその変形例については、適宜組み合わせたり必要に応じてその一部の機能を削除したりしても良い。
【符号の説明】
【0107】
10 シート検知センサ
12 Uターン排紙トレイ
13 ストレート排紙トレイ
14 切り替え部
14a 切り替え部材大
14b 切り替え部材小
15 ストレートパス入口
21 Uターンパス
22 ストレートパス
24 切り替え部
24a 切り替え部材大
24b 切り替え部材小
25 トーションばね
26 ストレートパス入口
34 表面画像読取部
35 裏面画像読取部
40 厚み検知センサ
50 画像読取装置
100 PC
301 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12