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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160586
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】繊維構造体及び繊維強化複合材
(51)【国際特許分類】
   D03D 11/00 20060101AFI20231026BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20231026BHJP
   D03D 15/587 20210101ALI20231026BHJP
   B29B 15/12 20060101ALI20231026BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20231026BHJP
   B29C 70/48 20060101ALI20231026BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20231026BHJP
【FI】
D03D11/00 Z
D03D1/00 A
D03D15/587
B29B15/12
B29C70/10
B29C70/48
B29K105:08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071036
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森 康平
【テーマコード(参考)】
4F072
4F205
4L048
【Fターム(参考)】
4F072AA04
4F072AA07
4F072AB04
4F072AB05
4F072AB10
4F072AB30
4F072AB33
4F072AD14
4F072AD23
4F072AD34
4F072AD38
4F072AH02
4F072AH25
4F072AL01
4F205AA36
4F205AC05
4F205AD16
4F205HA12
4F205HA27
4F205HA33
4F205HA37
4F205HB01
4F205HB11
4F205HF05
4F205HK04
4F205HK05
4L048AA02
4L048AA03
4L048AA05
4L048AA15
4L048AA16
4L048AA19
4L048AA20
4L048AA24
4L048AA25
4L048AA48
4L048AC09
4L048BA09
4L048CA01
4L048DA41
4L048EB00
(57)【要約】
【課題】繊維構造体の製造に係る工数増大を抑制しつつ、繊維構造体の端部からのほつれを抑制する。
【解決手段】複数の繊維層20は、第1方向Xに糸主軸が延びる第1糸31が第2方向Yに複数配列された複数の第1糸層21と、第1糸31に対して交絡せずに第2方向Yに糸主軸が延びる第2糸32が第1方向Xに複数配列された第2糸層22と、を備える。第2糸層22は、中央領域Raの端部Rcに位置する第2糸32である端第2糸32aを有する。端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において互いに異なる経路を通って第1糸31に対して交絡する2本の層間結合糸35を含む。端部領域Rbにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔は、中央領域Raにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔よりも小さい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層された複数の繊維層と、複数の前記繊維層を前記積層方向に結合する層間結合糸と、を備える繊維構造体であって、
複数の前記繊維層は、複数の第1糸層と、前記第1糸層同士の前記積層方向における間に位置する第2糸層と、を備え、
前記第1糸層は、第1方向に糸主軸が延びる第1糸が前記第1方向に直交する第2方向に複数配列され、かつ前記繊維構造体の前記積層方向の両端部に位置し、
前記第2糸層は、前記第1糸に対して交絡せずに前記第2方向に糸主軸が延びる第2糸が前記第1方向に複数配列されており、
前記層間結合糸は、前記第1方向において前記第2糸に隣接し、前記第2方向に糸主軸が延びるとともに、前記繊維構造体の前記積層方向の両端部に位置する前記第1糸層の前記第1糸に係合し、
前記第1方向における前記繊維構造体の中央を含む前記繊維構造体の領域を中央領域とし、前記第1方向において前記中央領域と隣接し、前記第1方向における前記繊維構造体の端部を含む前記繊維構造体の領域を端部領域とすると、
前記第2糸層は、前記第1方向における前記中央領域の端部に位置する前記第2糸である端第2糸を有し、
前記層間結合糸は、前記中央領域及び前記端部領域に複数ずつ位置し、
前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸は、前記繊維構造体に設けられる前記層間結合糸のうちで前記第1方向の最も端に位置する前記層間結合糸を含むとともに、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において互いに異なる経路を通って前記第1糸に対して交絡する2本の前記層間結合糸を含み、
前記端部領域における前記層間結合糸同士の前記第1方向のピッチ間隔は、前記中央領域における前記層間結合糸同士の前記第1方向のピッチ間隔よりも小さいことを特徴とする繊維構造体。
【請求項2】
前記中央領域に位置する複数の前記層間結合糸は、第1層間結合糸及び第2層間結合糸を含み、
前記第1層間結合糸及び前記第2層間結合糸は、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において互いに異なる経路を通って前記第1糸に対して交絡し、
前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸のうち、一部の前記層間結合糸は、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において前記第1層間結合糸と同じ経路を通って前記第1糸に対して交絡し、その他の前記層間結合糸は、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において前記第2層間結合糸と同じ経路を通って前記第1糸に対して交絡する請求項1に記載の繊維構造体。
【請求項3】
前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸は、前記第2糸よりも太さが小さい請求項1又は請求項2に記載の繊維構造体。
【請求項4】
前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸は、前記繊維構造体にRTM法を用いて熱硬化性樹脂を含浸させることにより溶融する請求項1又は請求項2に記載の繊維構造体。
【請求項5】
繊維構造体にマトリックス材料を含浸させて構成される繊維強化複合材であって、前記繊維構造体は、請求項1又は請求項2に記載の繊維構造体であることを特徴とする繊維強化複合材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維構造体及び繊維強化複合材に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の繊維構造体は、第1方向に糸主軸が延びる第1糸と、第1方向に直交する第2方向に糸主軸が延びる第2糸と、を備える。第1糸は、第2方向に複数配列されている。第2糸は、第1方向に複数配列されている。さらに、特許文献1に記載の繊維構造体は、熱融着繊維を含む熱融着糸を備える。第1糸と第2糸とが交差する箇所で熱融着糸を溶着させることにより、繊維構造体における第1糸及び第2糸の位置ずれが抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-58119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
繊維構造体においては、第1方向における繊維構造体の端部からの第2糸のほつれを抑制することが望まれている。例えば、特許文献1に記載の熱融着糸を第1方向における繊維構造体の端部に設けるとともにこの熱融着糸を第1糸及び第2糸に溶着させれば、上記の第2糸のほつれは抑制できる。しかしながら、この場合、繊維構造体を製織する製織工程とは別に、第1糸及び第2糸に熱融着糸を溶着させる工程が必要となるため、繊維構造体の製造に係る工数が増大する。繊維構造体の製造に係る工数増大を抑制しつつ、繊維構造体の端部からのほつれを抑制することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する繊維構造体は、積層方向に積層された複数の繊維層と、複数の前記繊維層を前記積層方向に結合する層間結合糸と、を備える繊維構造体であって、複数の前記繊維層は、複数の第1糸層と、前記第1糸層同士の前記積層方向における間に位置する第2糸層と、を備え、前記第1糸層は、第1方向に糸主軸が延びる第1糸が前記第1方向に直交する第2方向に複数配列され、かつ前記繊維構造体の前記積層方向の両端部に位置し、前記第2糸層は、前記第1糸に対して交絡せずに前記第2方向に糸主軸が延びる第2糸が前記第1方向に複数配列されており、前記層間結合糸は、前記第1方向において前記第2糸に隣接し、前記第2方向に糸主軸が延びるとともに、前記繊維構造体の前記積層方向の両端部に位置する前記第1糸層の前記第1糸に係合し、前記第1方向における前記繊維構造体の中央を含む前記繊維構造体の領域を中央領域とし、前記第1方向において前記中央領域と隣接し、前記第1方向における前記繊維構造体の端部を含む前記繊維構造体の領域を端部領域とすると、前記第2糸層は、前記第1方向における前記中央領域の端部に位置する前記第2糸である端第2糸を有し、前記層間結合糸は、前記中央領域及び前記端部領域に複数ずつ位置し、前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸は、前記繊維構造体に設けられる前記層間結合糸のうちで前記第1方向の最も端に位置する前記層間結合糸を含むとともに、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において互いに異なる経路を通って前記第1糸に対して交絡する2本の前記層間結合糸を含み、前記端部領域における前記層間結合糸同士の前記第1方向のピッチ間隔は、前記中央領域における前記層間結合糸同士の前記第1方向のピッチ間隔よりも小さいことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、端部領域における層間結合糸同士の第1方向のピッチ間隔は、中央領域における層間結合糸同士の第1方向のピッチ間隔よりも小さい。そのため、端部領域においては、中央領域よりも強固に層間結合糸によって複数の繊維層を結合させることができる。第1方向における中央領域の端部に位置する第2糸である端第2糸は、端部領域における層間結合糸によって、第1方向における繊維構造体の端部からほつれにくくなる。さらに、こうしたほつれの抑制を、製織工程にて複数の繊維層を層間結合糸によって結合することで実現できるため、上記のほつれの抑制のために製織工程とは別の工程を追加する必要がない。したがって、繊維構造体の製造に係る工数増大を抑制しつつ、繊維構造体の端部からのほつれを抑制できる。
【0007】
繊維構造体において、前記中央領域に位置する複数の前記層間結合糸は、第1層間結合糸及び第2層間結合糸を含み、前記第1層間結合糸及び前記第2層間結合糸は、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において互いに異なる経路を通って前記第1糸に対して交絡し、前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸のうち、一部の前記層間結合糸は、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において前記第1層間結合糸と同じ経路を通って前記第1糸に対して交絡し、その他の前記層間結合糸は、前記第1方向に直交する前記繊維構造体の断面において前記第2層間結合糸と同じ経路を通って前記第1糸に対して交絡してもよい。
【0008】
上記構成によれば、中央領域に位置する層間結合糸と端部領域に位置する層間結合糸とで、第1方向に直交する繊維構造体の断面において通る経路を共通化できるため、より容易に繊維構造体を製造できる。
【0009】
繊維構造体において、前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸は、前記第2糸よりも太さが小さくてもよい。
上記構成によれば、端部領域に位置する複数の層間結合糸の太さが第2糸の太さ以上である場合と比較して、層間結合糸の係合による第1糸の蛇行が生じにくい。そのため、第1糸の蛇行に伴って生じる繊維構造体の強度の低下を抑制できる。
【0010】
繊維構造体において、前記端部領域に位置する複数の前記層間結合糸は、前記繊維構造体にRTM法を用いて熱硬化性樹脂を含浸させることにより溶融してもよい。
上記構成によれば、端部領域における層間結合糸の係合によって第1糸に蛇行が生じていたとしても、繊維構造体にRTM法を用いて熱硬化性樹脂を含浸させることにより端部領域に位置する複数の層間結合糸が溶融するため、第1糸の蛇行を解消できる。したがって、第1糸の蛇行に伴って生じる繊維構造体の強度の低下を抑制できる。
【0011】
上記課題を解決する繊維強化複合材は、繊維構造体にマトリックス材料を含浸させて構成される繊維強化複合材であって、前記繊維構造体は、上記の繊維構造体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、繊維構造体の製造に係る工数増大を抑制しつつ、繊維構造体の端部からのほつれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】繊維強化複合材を示す斜視図である。
図2】繊維構造体を示す斜視図である。
図3】繊維構造体の上面図である。
図4図3の4-4線における端面図である。
図5図3の5-5線における端面図である。
図6図3の6-6線における断面図である。
図7】変更例における繊維強化複合材を示す上面図である。
図8】変更例における繊維構造体の製造方法を説明するための上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、繊維構造体及び繊維強化複合材を具体化した一実施形態を図1図6にしたがって説明する。
<繊維強化複合材>
図1に示すように、繊維強化複合材10は、繊維構造体11にマトリックス材料としてのマトリックス樹脂Maを含浸させて構成されている。繊維構造体11は、繊維強化複合材10の強化基材である。マトリックス樹脂Maは、例えば、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、及びフェノール樹脂などが挙げられる。例えば、RTM(Resin Transfer Molding)法を用いて繊維構造体11に対して熱硬化性樹脂の含浸が行われることにより、繊維強化複合材10が形成される。
【0015】
<繊維構造体>
図2に示すように、繊維構造体11は、複数の繊維層20を備えている。複数の繊維層20は、積層方向Zに積層されている。本実施形態の繊維構造体11は、マトリック材料の熱硬化前と後とで構成に変化はない。
【0016】
なお、以下の説明では、繊維構造体11が水平面状に置かれているものとして説明する。図面において、水平面に沿う方向をX軸及びY軸で示し、水平面に直交する方向をZ軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。X軸と平行な方向を第1方向Xともいう。Y軸と平行な方向を第2方向Yともいう。第2方向Yは、第1方向Xに対して直交する方向である。積層方向Zは、Z軸と平行な方向である。
【0017】
複数の繊維層20は、複数の第1糸層21と、複数の第2糸層22と、を備えている。複数の第1糸層21及び複数の第2糸層22の各々は、積層方向Zに積層されている。第1糸層21には、第1糸31が第2方向Yに複数配列されている。第1糸31は、第1方向Xに糸主軸が延びている。第2糸層22には、第2糸32が第1方向Xに複数配列されている。第2糸32は、第2方向Yに糸主軸が延びている。
【0018】
第1糸31及び第2糸32は、例えば連続繊維である複数の強化繊維が束ねられてなる繊維束である。強化繊維としては、有機繊維又は無機繊維を使用してもよいし、異なる種類の有機繊維、異なる種類の無機繊維、又は有機繊維と無機繊維を混繊した混繊繊維を使用してもよい。有機繊維としては、アクリル繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ポリ-p-フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、超高分子量ポリエチレン繊維等が挙げられ、無機繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、セラミック繊維等が挙げられる。本実施形態の第1糸31お及び第2糸32は、炭素繊維からなる糸である。
【0019】
第1糸層21は、繊維構造体11の積層方向Zの両端部に位置している。詳細には、複数の第1糸層21のうち、一層の第1糸層21は、繊維構造体11の積層方向Zの一端である端部11aに位置し、一層の第1糸層21は、繊維構造体11の積層方向Zの他端である端部11bに位置している。繊維構造体11の端部11aに位置する第1糸層21を第1端部層21aともいう。繊維構造体11の端部11bに位置する第1糸層21を第2端部層21bともいう。
【0020】
第2糸層22は、第1糸層21同士の積層方向Zにおける間に位置する。第1端部層21a及び第2端部層21bの各々は、積層方向Zにおいて第2糸層22と隣り合っている。本実施形態では、積層方向Zの第2糸層22同士の間に、2層の第1糸層21が位置している。第1端部層21aと第2端部層21bとの間において、1層の第2糸層22と2層の第1糸層21とがこの順で交互に積層方向Zに積層されている。こうして積層方向Zにおいて複数の第1糸層21及び複数の第2糸層22が積層されることにより、複数の繊維層20は積層方向Zに積層されたものとなっている。
【0021】
第1糸31は、直線状をなすように第1方向Xに延びている。複数の第1糸層21は、互いの第1糸31が積層方向Zに並ぶように積層されている。積層方向Zに並んだ複数の第1糸31を第1糸群31aという。第1糸群31aは、第2方向Yに複数並んでいる。
【0022】
第2糸32は、第1糸31に対して交絡しない。積層方向Zにおいて互いに隣り合う第1糸層21及び第2糸層22において、第2糸層22を構成する第2糸32は、第1糸層21を構成する第1糸31に沿って直線状をなすように第2方向Yに延びている。
【0023】
第1方向Xにおける繊維構造体11の中央を含む繊維構造体11の領域を中央領域Raとする。第1方向Xにおいて中央領域Raと隣接する繊維構造体11の領域を端部領域Rbとする。端部領域Rbは、第1方向Xにおける繊維構造体11の端部11c,11dを含む。
【0024】
複数の第2糸層22の各々は、端第2糸32aを有する。端第2糸32aは、第1方向Xにおける中央領域Raの端部Rcに位置する第2糸32である。本実施形態では、複数の第2糸層22の各々における複数の第2糸32のうち、第1方向Xにおける一端に位置する第2糸32と、他端に位置する第2糸32と、が端第2糸32aに相当する。端第2糸32aは、中央領域Raの第1方向Xの両端に位置する。中央領域Raは、第1方向Xにおける両端に位置する端第2糸32aと、第1方向Xの一端の端第2糸32aと他端の端第2糸32aとの間に位置する複数の第2糸32と、を備える。
【0025】
端部領域Rbは、繊維構造体11のうち、端第2糸32aよりも第1方向Xにおける外部に位置する領域である。複数の第1糸層21の各々において、複数の第1糸31の両端部が端第2糸32aから繊維構造体11の外部に向けて突出している。端部領域Rbは、こうして端第2糸32aから突出する複数の第1糸31の端部を備える。複数の第1糸31のうち、端部領域Rbに位置する部分以外は、中央領域Raに位置する。
【0026】
<層間結合糸>
図2及び図3に示すように、繊維構造体11は、複数の繊維層20を積層方向Zに結合する層間結合糸35を備える。層間結合糸35は、例えば、連続繊維である複数の強化繊維が束ねられてなる繊維束である。層間結合糸35は、繊維構造体11を製織する製織工程にて、複数の繊維層20を層間結合糸35によって結合することで繊維構造体11に設けられる。
【0027】
層間結合糸35は、第1方向Xにおいて第2糸32に隣接する。層間結合糸35は、第2方向Yに糸主軸が延びる。層間結合糸35は、第1端部層21aに位置する第1糸31と、第2端部層21bに位置する第1糸31と、に係合する。すなわち、層間結合糸35は、複数の繊維層20の積層方向Zの両端部に位置する第1糸層21の第1糸31に係合する。
【0028】
層間結合糸35は、中央領域Ra及び端部領域Rbに複数ずつ位置する。中央領域Raに位置する複数の層間結合糸35は、複数の第1層間結合糸36a及び複数の第2層間結合糸36bから構成されている。第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bは、第1方向Xにおいて交互に位置している。
【0029】
図4及び図5に示すように、第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bの各々は、第2方向Yにおける繊維構造体11の一端から他端にかけて、第1端部層21aに位置する第1糸31と、第2端部層21bに位置する第1糸31と、に交互に係合している。第1端部層21aにおいて第1層間結合糸36aが係合する第1糸31と、第2端部層21bにおいて第1層間結合糸36aが係合する第1糸31と、は第2方向Yにおいて隣り合う第1糸群31aに位置している。同様に、第1端部層21aにおいて第2層間結合糸36bが係合する第1糸31と、第2端部層21bにおいて第2層間結合糸36bが係合する第1糸31と、は第2方向Yにおいて隣り合う第1糸群31aに位置している。第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bの各々は、第1端部層21aに位置する第1糸31と第2端部層21bに位置する第1糸31とで、係合する第1糸31を第1糸群31a毎で変更しながら第2方向Yに延びている。第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bの各々は、第2方向Yにおいて隣り合う第1糸群31a同士の間で積層方向Zに延びている。
【0030】
第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において互いに異なる経路を通って第1糸31に対して交絡する。第1層間結合糸36aは、第2方向Yにおける繊維構造体11の一端から他端にかけて、第1端部層21aに位置する第1糸31、及び第2端部層21bに位置する第1糸31の順で、係合する第1糸31が切り替わっている。第2層間結合糸36bは、第2方向Yにおける繊維構造体11の一端から他端にかけて、第2端部層21bに位置する第1糸31及び第1端部層21aに位置する第1糸31の順で、係合する第1糸31が切り替わっている。第1端部層21aに位置する第1糸31に第1層間結合糸36aが係合する第1糸群31aにおいては、第2端部層21bに位置する第1糸31に第2層間結合糸36bが係合する。第2端部層21bに位置する第1糸31に第1層間結合糸36aが係合する第1糸群31aにおいては、第1端部層21aに位置する第1糸31に第2層間結合糸36bが係合する。
【0031】
図3に示すように、端部領域Rbに位置する層間結合糸35は、第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bから構成されている。第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bは第1方向Xにおいて互いに隣接している。本実施形態において、第1端層間結合糸37aは、繊維構造体11の端部11cの端部領域Rbと、繊維構造体11の端部11dの端部領域Rbと、に1本ずつ位置する。第2端層間結合糸37bは、繊維構造体11の端部11cの端部領域Rbと、繊維構造体11の端部11dの端部領域Rbと、に1本ずつ位置する。
【0032】
第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bは、第2糸32よりも太さが小さい。言い換えると、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、第2糸32よりも太さが小さい。なお、本実施形態では、繊維構造体11に設けられる全ての層間結合糸35は同じ太さである。そのため、中央領域Raに位置する層間結合糸35である第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bも、第2糸32よりも太さが小さい。
【0033】
第2端層間結合糸37bは、繊維構造体11に設けられる層間結合糸35のうちで第1方向Xの最も端に位置する層間結合糸35である。すなわち、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、繊維構造体11に設けられる層間結合糸35のうちで第1方向Xの最も端に位置する層間結合糸35を含む。
【0034】
図6に示すように、第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bの各々は、第2方向Yにおける繊維構造体11の一端から他端にかけて、第1端部層21aに位置する第1糸31と、第2端部層21bに位置する第1糸31と、に交互に係合している。第1端部層21aにおいて第1端層間結合糸37aが係合する第1糸31と、第2端部層21bにおいて第1端層間結合糸37aが係合する第1糸31と、は第2方向Yにおいて隣り合う第1糸群31aに位置している。同様に、第1端部層21aにおいて第2端層間結合糸37bが係合する第1糸31と、第2端部層21bにおいて第2端層間結合糸37bが係合する第1糸31と、は第2方向Yにおいて隣り合う第1糸群31aに位置している。第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bの各々は、第1端部層21aに位置する第1糸31と第2端部層21bに位置する第1糸31とで、係合する第1糸31を第1糸群31a毎で変更しながら第2方向Yに延びている。第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bの各々は、第2方向Yにおいて隣り合う第1糸群31a同士の間で積層方向Zに延びている。
【0035】
第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において互いに異なる経路を通って第1糸31に対して交絡する。第1端層間結合糸37aは、第2方向Yにおける繊維構造体11の一端から他端にかけて、第1端部層21aに位置する第1糸31、及び第2端部層21bに位置する第1糸31の順で、係合する第1糸31が切り替わっている。第2端層間結合糸37bは、第2方向Yにおける繊維構造体11の一端から他端にかけて、第2端部層21bに位置する第1糸31及び第1端部層21aに位置する第1糸31の順で、係合する第1糸31が切り替わっている。第1端部層21aに位置する第1糸31に第1端層間結合糸37aが係合する第1糸群31aにおいては、第2端部層21bに位置する第1糸31に第2端層間結合糸37bが係合する。第2端部層21bに位置する第1糸31に第1端層間結合糸37aが係合する第1糸群31aにおいては、第1端部層21aに位置する第1糸31に第2端層間結合糸37bが係合する。
【0036】
図6に、第1層間結合糸36aが通る経路を二点鎖線の第1経路R1として模式的に示し、第2層間結合糸36bが通る経路を一点鎖線の第2経路R2として模式的に示している。第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において、第1端層間結合糸37aは第1経路R1を通り、第2端層間結合糸37bは第2経路R2を通る。したがって、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35のうち、一部の層間結合糸35である第1端層間結合糸37aは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において第1層間結合糸36aと同じ第1経路R1を通って第1糸31に対して交絡する。その他の層間結合糸35である第2端層間結合糸37bは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において第2層間結合糸36bと同じ第2経路R2を通って第1糸31に対して交絡する。
【0037】
<ピッチ間隔>
図3に示すように、第1方向Xにおいて隣り合う第1層間結合糸36aと第2層間結合糸36bとのピッチ間隔は、第1ピッチ間隔L1となっている。中央領域Raにおいて、層間結合糸35同士は第1方向Xに互いに離れている。
【0038】
第1方向Xにおいて隣り合う第1端層間結合糸37aと第2端層間結合糸37bとのピッチ間隔は第2ピッチ間隔L2となっている。本実施形態において、第1方向Xにおいて隣り合う第1端層間結合糸37aと第2端層間結合糸37bとは、第1方向Xにおいて互いに接している。そのため、端部領域Rbにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔である第2ピッチ間隔L2は、中央領域Raにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔である第1ピッチ間隔L1よりも小さい。
【0039】
[作用]
次に、本実施形態における作用について説明する。
中央領域Raに位置する第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において互いに異なる経路を通って第1糸31に対して交絡する。そのため、中央領域Raに位置する複数の第1糸31の部分は、第1層間結合糸36aと第2層間結合糸36bとで、積層方向Zにおける両側から係合される。こうした中央領域Raでの層間結合糸35の係合により、第1方向Xにおいて中央領域Raに位置する第2糸32は、第2糸32の各々に積層方向Zにおいて隣接する第1糸31によって積層方向Zにおける両側から挟まれるように支持される。これにより、複数の繊維層20のうち、中央領域Raに位置する部分は、第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bによって結合される。
【0040】
端部領域Rbに位置する第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において互いに異なる経路を通って第1糸31に対して交絡する。そのため、端部領域Rbに位置する複数の第1糸31の部分は、第1端層間結合糸37aと第2端層間結合糸37bとで、積層方向Zにおける両側から係合される。こうした端部領域Rbでの層間結合糸35の係合により、第1方向Xにおいて端部領域Rbに隣接する端第2糸32aは、端第2糸32aに積層方向Zにおいて隣接する第1糸31によって積層方向Zにおける両側から挟まれるように支持される。これにより、複数の繊維層20のうち、端部領域Rbに位置する部分は、第1端層間結合糸37a及び第2端層間結合糸37bによって結合される。
【0041】
端部領域Rbにおける第1端層間結合糸37aと第2端層間結合糸37bとのピッチ間隔である第2ピッチ間隔L2は、中央領域Raにおける第1層間結合糸36aと第2層間結合糸36bとのピッチ間隔である第1ピッチ間隔L1よりも小さい。そのため、端部領域Rbにおいては、中央領域Raよりも強固に層間結合糸35によって複数の繊維層20を結合させることができる。こうした端部領域Rbでの層間結合糸35の係合により、端第2糸32aは、中央領域Raに位置するその他の第2糸32よりも、積層方向Zにおいて隣接する第1糸31によってより強く積層方向Zの両側から挟まれる。
【0042】
[効果]
上記実施形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1-1)端部領域Rbにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔は、中央領域Raにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔よりも小さい。そのため、端部領域Rbにおいては、中央領域Raよりも強固に層間結合糸35によって複数の繊維層20を結合させることができる。第1方向Xにおける中央領域Raの端部Rcに位置する第2糸32である端第2糸32aは、端部領域Rbにおける層間結合糸35によって、第1方向Xにおける繊維構造体11の端部11c,11dからほつれにくくなる。さらに、こうしたほつれの抑制を、製織工程にて複数の繊維層20を層間結合糸35によって結合することで実現できるため、上記のほつれの抑制のために製織工程とは別の工程を追加する必要がない。したがって、繊維構造体11の製造に係る工数増大を抑制しつつ、繊維構造体11の端部11c,11dからのほつれを抑制できる。
【0043】
(1-2)端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35のうち、一部の層間結合糸35は、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において第1層間結合糸36aと同じ第1経路R1を通って第1糸31に対して交絡する。その他の層間結合糸35は、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において第2層間結合糸36bと同じ第2経路R2を通って第1糸31に対して交絡する。そのため、中央領域Raに位置する層間結合糸35と端部領域Rbに位置する層間結合糸35とで、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において通る経路を共通化できるため、より容易に繊維構造体11を製造できる。
【0044】
(1-3)端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、第2糸32よりも太さが小さい。そのため、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35の太さが第2糸32の太さ以上である場合と比較して、層間結合糸35の係合による第1糸31の蛇行が生じにくい。そのため、第1糸31の蛇行に伴って生じる繊維構造体11の強度の低下を抑制できる。
【0045】
(1-4)第1方向Xにおける繊維構造体11の端部11c,11dに絡み糸を形成することによっても、繊維構造体11の端部11c,11dからのほつれを抑制できるが、この場合には絡み糸を形成するための用具が別途必要となる。上記実施形態によれば、中央領域Raに位置する層間結合糸35と端部領域Rbに位置する層間結合糸35とで、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において通る経路を共通化できる。そのため、端部領域Rbに設ける層間結合糸35のために用具を増やす必要がない。したがって、製織工程に用いる用具の増大を抑制しつつ、繊維構造体11の端部11c,11dからのほつれを抑制できる。
【0046】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0047】
図7に示すように、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、繊維構造体11にRTM法を用いて熱硬化性樹脂としてのマトリックス樹脂Maを含浸させることにより溶融するものであってもよい。この場合、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35の材料としては、例えば、マトリックス樹脂Maの硬化温度で溶融する性質を有する樹脂を採用可能である。マトリックス樹脂Maにエポキシ樹脂を採用する場合、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35の材料としては、例えば、フェノキシ樹脂やメチルメタクリレート樹脂などを採用可能である。RTM法により繊維構造体11を加熱する際、繊維構造体11に含浸させたマトリックス樹脂Maが熱硬化する。これと共に、繊維構造体11において、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、繊維構造体11から消失する。こうして端部領域Rbにおける複数の層間結合糸35が繊維構造体11から消失することにより、図7に示すように、端部領域Rbに層間結合糸35が位置しない繊維構造体11eが得られる。この変更例においては、繊維構造体11eが繊維強化複合材10の強化基材となる。
【0048】
この変更例によれば、以下の効果を得ることができる。
(2-1)端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、繊維構造体11にRTM法を用いて熱硬化性樹脂を含浸させることにより溶融する。端部領域Rbにおける層間結合糸35の係合によって第1糸31に蛇行が生じていたとしても、繊維構造体11にRTM法を用いて熱硬化性樹脂を含浸させることにより端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35が溶融するため、第1糸31の蛇行を解消できる。したがって、第1糸31の蛇行に伴って生じる繊維構造体11の強度の低下を抑制できる。
【0049】
図8に示すように、繊維構造体11の前駆体としての繊維体11fを切断することにより、繊維構造体11を製造してもよい。この場合の繊維体11fは、繊維構造体11と同様の第1糸31、第2糸32、及び層間結合糸35を有する。繊維体11fにおいて、中央領域Ra及び端部領域Rbは第1方向Xに複数ずつ並んでいる。第1方向Xにおける中央領域Ra同士の間において、2つの端部領域Rbが第1方向Xで隣り合っている。第1方向Xにおいて隣り合う端部領域Rb同士の間で複数の第1糸31が繋がっている。複数の第1糸31は、繊維体11fの第1方向Xの両端部の間で第1方向Xに延びている。こうした繊維体11fを製造した後、図8に一点鎖線で示した切断位置Cに沿って繊維体11fを切断する。これにより、第1方向Xにおいて隣り合う端部領域Rb同士の間で繊維体11fが切断されるため、繊維体11fから繊維構造体11を製造できる。
【0050】
○ 繊維構造体11において、積層方向Zの第2糸層22同士の間に位置する第1糸層21の層数は、1層であってもよいし3層以上であってもよい。
○ 第2糸32は端部領域Rbに位置してもよい。この場合も、第1方向Xにおける繊維構造体11の端部11c,11dからの端第2糸32aのほつれを、端部領域Rbにおける層間結合糸35によって抑制できる。
【0051】
○ 第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において、第1層間結合糸36aは第1経路R1とは異なる経路を通ってもよい。第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において、第2層間結合糸36bは、第2経路R2とは異なる経路を通ってもよい。要するに、第1層間結合糸36a及び第2層間結合糸36bは、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において互いに異なる経路を通って第1糸31に対して交絡していればよい。
【0052】
○ 第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において、第1端層間結合糸37aは第1経路R1とは異なる経路を通ってもよい。第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において、第2端層間結合糸37bは、第2経路R2とは異なる経路を通ってもよい。要するに、端部領域Rbに位置する複数の層間結合糸35は、第1方向Xに直交する繊維構造体11の断面において、中央領域Raに位置する層間結合糸35とは異なる経路を通ってもよい。
【0053】
○ 端部領域Rbに位置する層間結合糸35の本数は、3本以上であってもよい。例えば、第1端層間結合糸37aは、端部領域Rbに2本以上位置してもよい。第2端層間結合糸37bは、端部領域Rbに2本以上位置してもよい。
【0054】
○ 繊維構造体11に太さの異なる層間結合糸35が設けられてもよい。例えば、中央領域Raに位置する層間結合糸35と、端部領域Rbに位置する層間結合糸35とで太さが異なってもよい。
【0055】
○ 中央領域Raに位置する層間結合糸35の太さは、第2糸32の太さ以上であってもよい。
○ 端部領域Rbに位置する層間結合糸35の太さは、第2糸32の太さ以上であってもよい。
【0056】
○ 端部領域Rbにおいて、層間結合糸35同士は第1方向Xに互いに離れていてもよい。この場合も、端部領域Rbにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔である第2ピッチ間隔L2は、中央領域Raにおける層間結合糸35同士の第1方向Xのピッチ間隔である第1ピッチ間隔L1よりも小さい。
【0057】
○ マトリックス樹脂Maが含浸された第1糸31及び第2糸32を用いて繊維構造体11を製造してもよい。
○ 第1糸31、第2糸32、及び層間結合糸35の少なくとも1つは、複数の非強化繊維が束ねられてなる繊維束であってもよい。なお、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0058】
L1…第1ピッチ間隔、L2…第2ピッチ間隔、Ma…マトリックス樹脂、Ra…中央領域、Rb…端部領域、Rc…(中央領域の)端部、X…第1方向、Y…第2方向、Z…積層方向、10…繊維強化複合材、11,11e…繊維構造体、11a,11b,11c,11d…(繊維構造体の)端部、20…繊維層、21…第1糸層、22…第2糸層、31…第1糸、32…第2糸、32a…端第2糸、35…層間結合糸、36a…第1層間結合糸、36b…第2層間結合糸、37a…第1端層間結合糸、37b…第2端層間結合糸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8