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特開2023-160612搬送車システム、及び搬送車制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160612
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】搬送車システム、及び搬送車制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/12 20190101AFI20231026BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20231026BHJP
   B60L 15/40 20060101ALI20231026BHJP
   B60L 53/14 20190101ALI20231026BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B60L58/12
G05D1/02 P
B60L15/40 Z
B60L53/14
G05B19/418 B
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071077
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】北村 亘
【テーマコード(参考)】
3C100
5H125
5H301
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA48
3C100AA56
3C100EE06
5H125AA11
5H125AC12
5H125AC24
5H125BE01
5H125CC04
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE55
5H301AA01
5H301BB05
5H301DD07
5H301DD15
5H301KK04
5H301KK07
5H301QQ04
(57)【要約】
【課題】搬送指令を割り付けられない状況になることを抑制すること。
【解決手段】物品1を搬送する複数の搬送車10と、複数の搬送車10のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラ20と、複数の搬送車10が移動可能な経路に位置し、搬送車10に電力を供給する充電装置30と、を有する搬送車システム100であって、コントローラ20は、複数の搬送車10のうち、待機中の搬送車10Aと、充電装置30により充電中の搬送車10Bとを含む対象のうち、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する選択部21と、選択部21によって充電中の搬送車10Bが選択された場合に、選択された充電中の搬送車10Bに搬送指令を割り付ける割り付け部22と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する複数の搬送車と、前記複数の搬送車のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラと、前記複数の搬送車が移動可能な経路に位置し、搬送車に電力を供給する充電装置と、を有する搬送車システムであって、
前記コントローラは、
前記複数の搬送車のうち、待機中の搬送車と、前記充電装置により充電中の搬送車とを含む対象のうち、前記搬送指令を割り付ける搬送車を選択する選択部と、
前記選択部によって充電中の搬送車が選択された場合に、選択された充電中の搬送車に前記搬送指令を割り付ける割り付け部と、を備える、搬送車システム。
【請求項2】
前記選択部は、所定の閾値以上の充電率である搬送車を選択可能な対象とする、請求項1に記載の搬送車システム。
【請求項3】
前記選択部は、前記搬送指令の実行に要する電力量に応じて前記所定の閾値を設定する、請求項2に記載の搬送車システム。
【請求項4】
前記選択部は、前記搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車を優先的に選択する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送車システム。
【請求項5】
前記選択部は、荷つかみ位置まで走行中の搬送車、及び荷下ろし位置まで走行中の搬送車を含めて選択可能な対象とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送車システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記複数の搬送車との周期的な通信により、前記複数の搬送車の状態情報を取得し、前記状態情報に基づいて選択可能な対象とする搬送車を特定する、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送車システム。
【請求項7】
前記複数の搬送車は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向にそれぞれ延びる格子状軌道に沿って前記第1方向又は前記第2方向に移動可能であり、
前記充電装置は、前記格子状軌道のうちの1つのマス目に対応して設けられる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の搬送車システム。
【請求項8】
物品を搬送する複数の搬送車と、前記複数の搬送車のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラと、前記複数の搬送車が移動可能な経路に位置し、搬送車に電力を供給する充電装置と、を有する搬送車システムにおける搬送車制御方法であって、
前記コントローラにより、
前記複数の搬送車のうち、待機中の搬送車と、前記充電装置により充電中の搬送車とを含む対象のうち、前記搬送指令を割り付ける搬送車を選択することと、
充電中の搬送車が選択された場合に、選択された充電中の搬送車に前記搬送指令を割り付けることと、を含む、搬送車制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車システム、及び搬送車制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場等において、搬送指令に基づいて物品を搬送する搬送車システムが知られている。搬送車システムでは、搬送指令に基づいて物品を搬送する搬送車に走行駆動用のバッテリが搭載され、走行する搬送車を停車させた状態でバッテリへの充電を行う充電設備が設けられる。特許文献1では、バッテリの充電を要する搬送車が検出された場合に、各充電設備で充電中の搬送車のうち充電時間の長い搬送車を発進させ、メインルートに一定台数の搬送車を確保する技術が開示されている。特許文献2では、予め決められた充電量まで充電された搬送車を発進させ、バッテリの充電効率の低下や容量の低下を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4539887号公報
【特許文献2】特開2007-134130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、充電中の搬送車については搬送指令を割り付ける対象としないため、アイドル状態の搬送車が存在しない状態で新たな搬送指令が受け付けられた場合、新たな搬送指令を割り付けることが困難である。
【0005】
本発明は、搬送指令を速やかに実行することができる搬送車システム、及び搬送車制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に係る搬送車システムは、物品を搬送する複数の搬送車と、複数の搬送車のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラと、複数の搬送車が移動可能な経路に位置し、搬送車に電力を供給する充電装置と、を有する搬送車システムであって、コントローラは、複数の搬送車のうち、待機中の搬送車と、充電装置により充電中の搬送車とを含む対象のうち、搬送指令を割り付ける搬送車を選択する選択部と、選択部によって充電中の搬送車が選択された場合に、選択された充電中の搬送車に搬送指令を割り付ける割り付け部と、を備える。
【0007】
本発明の態様に係る搬送車制御方法は、物品を搬送する複数の搬送車と、複数の搬送車のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラと、複数の搬送車が移動可能な経路に位置し、搬送車に電力を供給する充電装置と、を有する搬送車システムにおける搬送車制御方法であって、コントローラにより、複数の搬送車のうち、待機中の搬送車と、充電装置により充電中の搬送車とを含む対象のうち、搬送指令を割り付ける搬送車を選択することと、充電中の搬送車が選択された場合に、選択された充電中の搬送車に搬送指令を割り付けることと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様に係る搬送車システム及び搬送車制御方法によれば、充電中の搬送車を、搬送指令を割り付ける対象として含み、充電中の搬送車が選択された場合に、充電中の搬送車に搬送指令を割り付けるので、搬送指令を速やかに実行することができる。
【0009】
また、上記態様の搬送車システムにおいて、選択部が、所定の閾値以上の充電率である搬送車を選択可能な対象としてもよい。この態様によれば、充電中の搬送車であっても所定の閾値以上の充電率であれば対象とするので、より多くの搬送車を対象として搬送指令を割り付ける搬送車を選択することができる。また、上記態様の搬送車システムにおいて、選択部が、搬送指令の実行に要する電力量に応じて所定の閾値を設定してもよい。この態様によれば、搬送指令を実行し得る充電率を有する搬送車を、搬送指令を実行する搬送車として選択することができる。また、上記態様の搬送車システムにおいて、選択部が、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車を優先的に選択してもよい。この態様によれば、搬送指令を割り付けた際に、より迅速に実行できる搬送車を選択することができる。また、上記態様の搬送車システムにおいて、選択部が、荷つかみ位置まで走行中の搬送車、及び荷下ろし位置まで走行中の搬送車を含めて選択可能な対象としてもよい。この態様によれば、さらにより多くの搬送車を対象として搬送指令を割り付ける搬送車を選択することができる。また、上記態様の搬送車システムにおいて、コントローラが、複数の搬送車との周期的な通信により、複数の搬送車の状態情報を取得し、状態情報に基づいて選択可能な対象とする搬送車を特定してもよい。この態様によれば、搬送指令を実行するのに好適な搬送車を特定することができる。また、上記態様の搬送車システムにおいて、複数の搬送車が、第1方向及び第1方向と交差する第2方向にそれぞれ延びる格子状軌道に沿って第1方向又は第2方向に移動可能とし、充電装置が、格子状軌道のうちの1つのマス目に対応して設けられてもよい。この態様によれば、格子状軌道に配設された搬送車システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る搬送車システムの処理例を説明する図である。
図2】実施形態に係る搬送車システムの一例を示す斜視図である。
図3】実施形態に係る搬送車の一例を示す斜視図である。
図4】実施形態に係る搬送車の一例を示す正面図である。
図5】実施形態に係る状態情報の送受信の例を示す図である。
図6】実施形態に係る状態情報に基づいて搬送指令を割り付ける搬送車を選択する例を説明する図である。
図7】実施形態に係る搬送指令の割り付け処理の流れの例を示すシーケンス図である。
図8】実施形態に係るコントローラによる処理の流れの例を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る選択部による他の処理例を説明する図である。
図10】実施形態に係る選択部による他の処理例を説明する図である。
図11】実施形態に係る選択部による他の処理例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。本発明は、以下で説明する形態に限定されない。図面では、実施形態を説明するために、一部分を拡大、縮小、又は強調して記載する等、縮尺を適宜変更して表現される場合がある。また、図面では、XYZ直交座標系を用いて図中の方向が説明される場合がある。XYZ直交座標系では、水平方向をX方向、Y方向とし、鉛直方向をZ方向とする。なお、搬送車の走行方向は、図面に示された状態から他の方向に変化可能であり、例えば曲線方向に沿って走行する場合もある。X方向、Y方向、及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の指す方向が+方向であり、矢印の指す方向とは反対の方向が-方向であるとして説明する。また、Z軸周りの回転方向をθZ方向と表記する。
【0012】
図1は、実施形態に係る搬送車システムの処理例を説明する図である。搬送車システム100は、例えば半導体製造工場のクリーンルームにおいて、半導体ウエハを収容するFOUP(Front‐Opening Unified Pod)、或いは、レチクルを収容するレチクルポッド等の物品1を搬送するシステムである。実施形態では、天井に吊り下げられた格子状軌道Rを走行する搬送車10を例に挙げて説明する。なお、搬送車10は、地上走行する有軌道搬送車や無軌道搬送車であってもよい。
【0013】
図1に示すように、搬送車システム100は、物品1を搬送する複数の搬送車10と、複数の搬送車10のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラ20と、複数の搬送車10が移動可能な経路(例、格子状軌道R)に位置し、搬送車10に電力を供給する充電装置30とを有する。格子状軌道Rは、軌道の一形態であり、クリーンルームの天井付近に敷設される。複数の搬送車10は、第1方向D1及び第1方向D1と交差する第2方向D2にそれぞれ伸びる格子状軌道Rに沿って、第1方向D1又は第2方向D2に移動可能である。充電装置30は、格子状軌道Rのうちの1つのマス目に対応して設けられる。充電装置30は、搬送車10のバッテリ116(図4参照)に電力を供給する。格子状軌道Rは、X方向(例、第1方向D1)に沿って設けられる第1軌道R1と、Y方向(例、第2方向D2)に沿って設けられる第2軌道R2と、第1軌道R1及び第2軌道R2の交差部分に設けられる部分軌道R3とを有する。図1では、複数の搬送車10について、アイドル状態(待機中)の搬送車を搬送車10A、充電中の搬送車を搬送車10B、荷つかみ位置まで走行中の搬送車を搬送車10C、荷下ろし位置まで走行中の搬送車を搬送車10Dと表す。なお、搬送車10A、搬送車10B、搬送車10C、搬送車10Dを特に区別しない場合は単に「搬送車10」と呼ぶ。
【0014】
また、各搬送車10は、コントローラ20からの要求(周期的な要求)に応じて、自身の状態情報をコントローラ20に送信する。コントローラ20は、複数の搬送車10との周期的な通信(例、ポーリング通信)により、複数の搬送車10の状態情報を取得し、取得した状態情報に基づいて搬送指令を割り付ける搬送車10として選択可能な対象とする搬送車10を特定する。状態情報は、例えば、搬送車10を識別する識別情報とともに、現在位置や目的地、走行状態(例、待機中、充電中、荷つかみ走行中、荷下ろし走行中等)、充電率(バッテリ残量)等に関する情報を含む。搬送車10は、コントローラ20からの搬送指令を受けて格子状軌道Rを走行する。搬送指令は、物品1を搬送する搬送車10が走行する予定の搬送経路の情報を含む。搬送経路の情報は、搬送車10の出発地(from)から目的地(to)までの走行経路の少なくとも一部を指定する情報である。
【0015】
上述した構成において、コントローラ20は、選択部21と、割り付け部22とを有する。選択部21は、複数の搬送車10のうち、待機中の搬送車10Aと、充電装置30により充電中の搬送車10Bとを含む対象のうち、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する。具体的には、選択部21は、各搬送車10から受信された状態情報をもとに、格子状軌道Rに存在する複数の搬送車10のうち、待機中の搬送車10Aと、充電中の搬送車10Bとを対象として、これらの中から搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する。例えば、選択部21は、状態情報に含まれる走行状態をもとに、単に、待機中の搬送車10Aと充電中の搬送車10Bとのうち、いずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。例えば、選択部21は、状態情報に含まれる走行状態をもとに、充電中の搬送車10Bよりも待機中の搬送車10Aを優先して、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。例えば、選択部21は、状態情報に含まれる走行状態をもとに待機中の搬送車10Aと充電中の搬送車10Bとを対象として、状態情報に含まれる現在位置をもとに目的地までより近傍に存在する(より短時間で到着する、より省電力で到着する)搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。
【0016】
割り付け部22は、選択部21によって充電中の搬送車10Bが選択された場合に、選択された充電中の搬送車10Bに搬送指令を割り付ける。具体的には、割り付け部22は、選択部21によって充電中の搬送車10Bが選択されたかを判定する。そして、割り付け部22は、選択部21によって充電中の搬送車10Bが選択された場合に、選択された充電中の搬送車10Bに搬送指令を割り付ける(搬送指令を送信する)。一方、割り付け部22は、選択部21によって待機中の搬送車10Aが選択された場合に、選択された待機中の搬送車10Aに搬送指令を割り付ける(搬送指令を送信する)。これらにより、搬送指令を受け付けた搬送車10は、搬送指令に基づいて、目的地に向かって格子状軌道Rを走行する。つまり、コントローラ20は、搬送指令が割り付けられていない搬送車10(待機中の搬送車10A、充電中の搬送車10B)を対象として搬送指令を割り付ける搬送車10を選択し、充電中の搬送車10Bが選択された場合に、選択された充電中の搬送車10Bに搬送指令を割り付けるので、充電中の搬送車10Bについては搬送指令を割り付ける対象としない従来技術と比較して、搬送指令を速やかに実行することができる。
【0017】
図2は、実施形態に係る搬送車システムの一例を示す斜視図である。上述したように、搬送車システム100は、例えば、半導体製造工場のクリーンルームにおいて、半導体ウエハを収容するFOUP、或いは、レチクルを収容するレチクルポッド等の物品1を搬送するシステムである。格子状軌道Rには、搬送車10と、充電装置30とが配置される。格子状軌道Rは、吊り下げ部材Hを介してクリーンルーム等の天井から吊り下げられた状態で設けられる。第1軌道R1は、X方向(例、第1方向D1)に沿って複数設けられる。第2軌道R2は、Y方向(例、第2方向D2)に沿って複数設けられる。本実施形態では、第1軌道R1が沿う第1方向D1と、第2軌道R2が沿う第2方向D2とは直交する。部分軌道R3は、第1軌道R1と第2軌道R2との交差部分に配置される。第1軌道R1と部分軌道R3との間、及び第2軌道R2と部分軌道R3との間には、それぞれ間隙が設けられる。間隙は、搬送車10が第1軌道R1を走行して第2軌道R2を横切る際、或いは、第2軌道R2を走行して第1軌道R1を横切る際に、搬送車10の一部である連結部130(図3参照)が通過する部分である。従って、間隙は、連結部130が通過可能な幅に設けられる。第1軌道R1、第2軌道R2、及び部分軌道R3は、同一又はほぼ同一の水平面に沿って設けられる。格子状軌道Rは、第1軌道R1と第2軌道R2とが直交することで、平面視で複数のセルCが隣り合う状態となる。1つのセルCは、Y方向に隣り合う2つの第1軌道R1と、X方向に隣り合う2つの第2軌道R2とで囲まれた領域又は空間である。
【0018】
図3は、実施形態に係る搬送車の一例を示す斜視図である。図4は、実施形態に係る搬送車の一例を示す正面図である。図3及び図4に示すように、搬送車10は、本体部110と、走行部120と、連結部130と、制御部140とを有する。搬送車10は、格子状軌道Rに沿って移動し、FOUP又はレチクルポッド等の物品1を搬送する。搬送車10は、格子状軌道Rにおいて複数台配置されてもよい。複数台の搬送車10によって物品1を搬送することにより、物品1の搬送効率を向上させることが可能となる。
【0019】
本体部110は、格子状軌道Rの下方(-Z側)に配置される。本体部110は、平面視で例えば矩形状に形成される。従って、本体部110の上面110aは矩形状であり、4つのコーナー部を有する。本体部110は、平面視で格子状軌道Rにおける1つのセルC内に収まる寸法に形成される。このため、格子状軌道Rにおいて隣り合って走行する搬送車10同士が干渉することはない。本体部110は、物品1を保持する物品保持部113を鉛直方向に昇降させる昇降駆動部114と、昇降駆動部114を移動させる横出し機構111とを有する。物品保持部113は、物品1の上部に設けられるフランジ部1aを把持することにより、物品1を吊り下げて保持する。物品保持部113は、例えば、水平方向に移動可能な爪部113aを有するチャックであり、爪部113aを物品1のフランジ部1aの下方に進入させ、物品保持部113を上昇させることで、物品1を吊り下げて保持する。物品保持部113は、ワイヤあるいはベルト等の吊り下げ部材113bの下端に接続される。
【0020】
昇降駆動部114は、例えばホイストであり、吊り下げ部材113bを繰り出すことにより物品保持部113を降下させ、吊り下げ部材113bを巻き取ることにより物品保持部113を上昇させる。昇降駆動部114は、制御部140に制御され、所定の速度で物品保持部113を降下あるいは上昇させる。また、昇降駆動部114は、制御部140に制御され、物品保持部113を目標の高さに保持する。横出し機構111は、例えばZ方向に重ねて配置された複数の可動板を有する。可動板は、Y方向に移動可能である。最下層の可動板には、昇降駆動部114が取り付けられる。横出し機構111は、不図示の駆動装置により可動板を移動させ、最下層の可動板に取り付けられた昇降駆動部114及び物品保持部113を走行方向に対して横出しさせることができる。
【0021】
回動部112は、回動部材112aと、回動駆動部112bとを有する。回動部材112aは、Z軸の軸周り方向に回動可能に設けられる。回動部材112aは、横出し機構111を支持する。回動駆動部112bは、電動モータ等が用いられ、回動部材112aをZ方向の軸周り方向に回動させる。回動部112は、回動駆動部112bからの駆動力によって回動部材112aを回動させ、横出し機構111(昇降駆動部114及び物品保持部113)をZ方向の軸周り方向に回転させることができる。なお、昇降駆動部114及び物品保持部113を横出しする方向を制御する回動部112に加えて、横出し機構111と昇降駆動部114との間に、昇降駆動部114及び物品保持部113の水平面内での姿勢を制御する回動部がさらに設けられてもよい。
【0022】
本体部110は、バッテリ116と、充電電極117とを備える。バッテリ116は、本体部110の内部に配置される。バッテリ116は、搬送車10の走行部120、回動駆動部112b、及び昇降駆動部114等へ供給する電力を蓄える。バッテリ116は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池が用いられる。バッテリ116の容量は、搬送車10において使用される電力と、稼働時間等とにより決定される。充電電極117は、ホルダ118に保持され、本体部110の上面110aに配置される。充電電極117は、ホルダ118の上面側の2箇所に並べて設けられる。2つの充電電極117のうち一方の充電電極117は、バッテリ116の+側端子に電気的に接続される。他方の充電電極117は、バッテリ116の-側端子に電気的に接続される。バッテリ116は、充電電極117を介して、充電装置30(充電装置30の端子31)から電力が供給される。
【0023】
走行部120は、走行車輪121と、補助車輪122とを有する。走行車輪121は、本体部110の上面110aの4つのコーナー部にそれぞれ配置される。走行車輪121のそれぞれは、不図示の回転軸により連結部130に回転可能に支持される。この回転軸は、XY平面(水平面)に沿って平行又はほぼ平行に設けられる。従って、走行車輪121は、水平方向に沿った回転軸の軸線周りに回転可能となる。走行車輪121のそれぞれは、走行駆動部133の駆動力により回転駆動する。また、走行車輪121のそれぞれは、格子状軌道Rにおいて、第1軌道R1、第2軌道R2、及び部分軌道R3の走行面を転動し、搬送車10を走行させる。また、走行車輪121のそれぞれは、Z方向に沿った旋回軸AX1を中心としてθZ方向に旋回可能に設けられる。走行車輪121は、θZ方向に旋回することによって第1方向D1から第2方向D2に、又は第2方向D2から第1方向D1に、進行方向を変更可能である。なお、4つの走行車輪121の全てが走行駆動部133の駆動力により回転駆動することに限定されず、4つの走行車輪121のうち一部について回転駆動させる構成であってもよい。
【0024】
補助車輪122は、走行車輪121の走行方向の前後にそれぞれ1つずつ配置される。補助車輪122のそれぞれは、走行車輪121と同様に、XY平面に沿って平行又はほぼ平行な回転軸の軸線周りに回転可能となる。補助車輪122の下端は、走行車輪121の下端より高くなるように配置される。従って、走行車輪121が走行面を走行しているときは、補助車輪122は走行面に接触しない。また、走行車輪121が間隙を通過する際には、補助車輪122が走行面に接触して、走行車輪121の落ち込みを抑制する。なお、1つの走行車輪121に2つの補助車輪122を設けることに限定されず、例えば、1つの走行車輪121に1つの補助車輪122が設けられてもよいし、補助車輪122が設けられなくてもよい。
【0025】
連結部130は、本体部110と走行部120とを連結する。連結部130は、本体部110の上面110aの4つのコーナー部にそれぞれ設けられる。本体部110は、連結部130によって吊り下げられた状態となり、格子状軌道Rよりも下方に配置される。連結部130は、支持部材131と、接続部材132とを有する。支持部材131は、走行車輪121の回転軸、及び補助車輪122の回転軸を回転可能に支持する。支持部材131により、走行車輪121と補助車輪122との相対位置が保持される。
【0026】
接続部材132は、支持部材131から下方に延びて本体部110の上面110aに連結され、本体部110を保持する。接続部材132は、走行駆動部133の駆動力を走行車輪121に伝達する伝達機構を内部に備える。伝達機構は、チェーン又はベルトが用いられる構成であってもよいし、歯車列が用いられる構成であってもよい。接続部材132は、旋回軸AX1を中心としてθZ方向に回転可能に設けられる。接続部材132が旋回軸AX1を中心として回転することで、走行車輪121をθZ方向に旋回させることができる。
【0027】
連結部130には、走行駆動部133と、ステアリング機構134とが設けられる。走行駆動部133は、接続部材132に装着される。走行駆動部133は、走行車輪121を駆動する駆動源であり、例えば電気モータ等が用いられる。4つの走行車輪121は、それぞれ走行駆動部133によって駆動されて駆動輪となる。4つの走行車輪121は、同一又はほぼ同一の回転数となるように、制御部140によって制御される。
【0028】
ステアリング機構134は、連結部130の接続部材132を、旋回軸AX1を中心として回転させることにより、走行車輪121をθZ方向に旋回させる。走行車輪121をθZ方向に旋回させることにより、搬送車10の走行方向を第1方向D1から第2方向D2に、又は第2方向D2から第1方向D1に変更可能である。
【0029】
ステアリング機構134は、駆動源135と、図示しないピニオンギアと、ラック137とを有する。駆動源135は、走行駆動部133において旋回軸AX1から離れた側面に取り付けられる。駆動源135は、例えば電気モータ等が用いられる。ピニオンギアは、駆動源135の下面側に取り付けられ、駆動源135で発生した駆動力によりθZ方向に回転駆動する。ピニオンギアは、平面視で円形状であり、外周の周方向に複数の歯を有する。ラック137は、本体部110の上面110aに固定される。ラック137は、本体部110の上面110aの4つのコーナー部にそれぞれ設けられ、走行車輪121の旋回軸AX1を中心として円弧形状に設けられる。ラック137は、外周の周方向に、ピニオンギアの歯と噛み合う複数の歯を有する。
【0030】
ピニオンギア及びラック137は、それぞれ、複数の歯が互いに噛み合った状態で配置される。ピニオンギアがθZ方向に回転することにより、ラック137の外周に沿うようにピニオンギアが旋回軸AX1を中心とする円周方向に移動する。ピニオンギアの移動により、走行駆動部133及びステアリング機構134がピニオンギアとともに旋回軸AX1を中心とする円周方向に旋回する。
【0031】
図5は、実施形態に係る状態情報の送受信の例を示す図である。図5に示すように、コントローラ20は、状態情報の要求を周期的な通信(例、ポーリング通信)により各搬送車10(例、待機中の搬送車10A、充電中の搬送車10B、荷つかみ走行中の搬送車10C、荷下ろし走行中の搬送車10D等)に送信する。これにより、各搬送車10は、自身の状態情報をコントローラ20に送信する。具体的には、待機中の搬送車10Aは、自身の状態情報S1(状態情報S1A)をコントローラ20に送信する。同様に、充電中の搬送車10Bは、自身の状態情報S2(状態情報SA2)をコントローラ20に送信する。同様に、荷つかみ走行中の搬送車10Cは、自身の状態情報S3(状態情報SA3)をコントローラ20に送信する。同様に、荷下ろし走行中の搬送車10Dは、自身の状態情報S4(状態情報SA4)をコントローラ20に送信する。
【0032】
図6は、実施形態に係る状態情報に基づいて搬送指令を割り付ける搬送車を選択する例を説明する図である。図6に示すように、コントローラ20は、各搬送車10を識別する識別情報とともに、各搬送車10の状態情報を適宜取得する。ここで、コントローラ20は、搬送指令を割り付ける際に、状態情報が待機中及び充電中の搬送車10A、10Bを対象として、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する。図6では、搬送指令を割り付ける対象である搬送車10を「〇」、対象としない搬送車10を「△」で表している。上述したように、コントローラ20は、待機中の搬送車10Aと充電中の搬送車10Bとのうち、いずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよいし、待機中の搬送車10Aを優先して、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよいし、状態情報に含まれる現在位置をもとに目的地までより近傍に存在する(より短時間で到着する、より省電力で到着する)搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。そして、コントローラ20は、選択された搬送車10に搬送指令を割り付ける(搬送指令を送信する)。ここで、コントローラ20は、充電中の搬送車10Bが選択された場合であっても、選択された充電中の搬送車10Bに搬送指令を割り付ける(搬送指令を送信する)。なお、コントローラ20は、選択された充電中の搬送車10Bに対して充電の中断を指示したうえで、該搬送車10Bに搬送指令を割り付けてもよい。
【0033】
図7は、実施形態に係る搬送指令の割り付け処理の流れの例を示すシーケンス図である。図7に示す搬送車10は、充電を要する搬送車10であることとして説明する。充電を要する搬送車10とは、一つの態様として、バッテリ116の容量が所定量未満になることを意味する。また、図7に示すコントローラ20は、充電中の搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択することとして説明する。また、図7では、充電の中断を指示したうえで搬送車10(充電中であった搬送車10)に搬送指令を送信する場合を例に挙げる。コントローラ20は、各搬送車10の充電率(バッテリ残量)を認識しているため、バッテリ116の容量が所定量未満となっている搬送車10に対して充電を促す。コントローラ20から充電を促された搬送車10は、充電装置30の位置まで走行して充電を実施する。なお、コントローラ20は、充電を要する搬送車10に充電を実施させるように、充電装置30に通知してもよい。若しくは、搬送車10は、自身のバッテリ116の容量が所定量未満となった場合に、自主的に充電装置30の位置まで走行して充電を実施してもよい。コントローラ20は、各搬送車10から状態情報を受信するため、充電中となった搬送車10を把握できる。
【0034】
これらにより、図7に示すように、搬送車10と充電装置30との間では、充電シーケンスが実行される(ステップS01)。具体的には、搬送車10(バッテリ116の充電を要する搬送車10)は、格子状軌道Rを走行して充電装置30の位置に到達すると、充電要求を充電装置30に通知する。そして、充電装置30は、搬送車10のバッテリ116の充電電極117に充電装置30の端子31を当接して電気的に接続し、該搬送車10のバッテリ116に電力を供給する。
【0035】
また、コントローラ20は、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する(ステップS02)。具体的には、コントローラ20は、複数の搬送車10のうち、待機中の搬送車10と、充電装置30により充電中の搬送車10とを含む対象のうち、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する。ここでは、ステップS01において、充電装置30からの電力を供給されている搬送車10が、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択されたこととする。そして、コントローラ20は、充電中の搬送車10に対して充電の中断を指示する(ステップS03)。コントローラ20から充電中断指示を受け付けた搬送車10は、充電装置30に対して充電の中断を要求する(ステップS04)。充電装置30は、充電中断要求に応じて、搬送車10の充電電極117から充電装置30の端子31を離して、充電を中断したことを搬送車10に応答する(ステップS05)。搬送車10は、充電の中断が完了したことをコントローラ20に報告する(ステップS06)。これにより、コントローラ20は、充電を中断した搬送車10に対して搬送指令を送信する(ステップS07)。なお、コントローラ20から充電の中断を指示しない場合、搬送車10は、コントローラ20から搬送指令を受け付けて、自身の充電を中断したうえで走行を開始する。
【0036】
図8は、実施形態に係るコントローラによる処理の流れの例を示すフローチャートである。図8に示すフローチャートは、主に、図7で説明したステップS02、S03、S07に相当する。図8に示すように、選択部21は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在するかを判定する(ステップS21)。具体的には、選択部21は、搬送指令の割り付けに際して、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在するかを判定する。このとき、選択部21は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に(ステップS21:YES)、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する(ステップS22)。
【0037】
具体的には、選択部21は、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に、これらの搬送車10のうちいずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する。または、選択部21は、待機中の搬送車10を優先して、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する。または、選択部21は、状態情報に含まれる現在位置をもとに、目的地までより近傍に存在する(より短時間で到着する、より省電力で到着する)搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。一方、選択部21は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在しない場合に(ステップS21:NO)、ステップS21における処理を再度実行する。すなわち、コントローラ20は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在しなければ、搬送指令を割り付けずに、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が発生するのを待つ状態となる。
【0038】
割り付け部22は、選択された搬送車10が充電中であるかを判定する(ステップS23)。具体的には、割り付け部22は、選択部21によって選択された搬送車10に対応する状態情報に含まれる走行状態が充電中であるかを判定する。このとき、割り付け部22は、選択された搬送車10が充電中である場合に(ステップS23:YES)、選択された搬送車10に充電の中断を指示し(ステップS24)、搬送指令を割り付ける(ステップS25)。具体的には、割り付け部22は、選択部21によって選択された搬送車10が充電中の搬送車10である場合に、選択された充電中の搬送車10に対して充電の中断を指示する。そして、割り付け部22は、充電の中断を指示した搬送車10から充電の中断が完了したことの通知を受けて、充電の中断が完了した搬送車10に対して搬送指令を割り付ける(搬送指令を送信する)。一方、割り付け部22は、選択された搬送車10が充電中でない場合に(ステップS23:NO)、充電の中断を指示することなく、搬送指令を割り付ける(ステップS25)。具体的には、割り付け部22は、選択部21によって選択された搬送車10が充電中の搬送車10でない、すなわち待機中の搬送車10である場合に、選択された待機中の搬送車10に対して搬送指令を割り付ける(搬送指令を送信する)。
【0039】
図9は、実施形態に係る選択部による他の処理例を説明する図である。上記実施形態において、選択部21が、待機中の搬送車10と充電中の搬送車10とを対象として、いずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する場合や、充電中の搬送車10よりも待機中の搬送車10を優先して、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する場合、目的地までより近傍に存在する(より短時間で到着する、より省電力で到着する)搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する場合を説明した。このほか、選択部21は、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を選択可能な対象としてもよい。
【0040】
図9に示すように、選択部21は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に(ステップS21:YES)、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を抽出し(ステップS121)、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する(ステップS22)。具体的には、選択部21は、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に、これらの搬送車10の状態情報の充電率(バッテリ残量)を用いて、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を抽出する。所定の閾値は、任意の値が設定されればよいが、充電を要する搬送車10として例を挙げたバッテリ116の容量である所定量よりも大きい方が好ましい。
【0041】
また、選択部21は、割り当て予定の搬送指令の実行に要する電力量に応じて所定の閾値を設定してもよい。搬送指令の実行に要する電力量は、各搬送車10の状態情報に含まれる現在位置をもとに算出可能である。従って、選択部21は、各搬送車10において搬送指令が実行されることを仮定して、現在位置から目的地までの走行に要する電力量よりも大きい値を、各搬送車10で異なる所定の閾値として設定し、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を抽出する。その後、選択部21は、抽出した搬送車10のうちいずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する。
【0042】
また、上記と同様に、選択部21は、抽出した搬送車10のうち待機中の搬送車10を優先して、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよいし、抽出した搬送車10のうち目的地までより近傍に存在する(より短時間で到着する、より省電力で到着する)搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。充電中の搬送車10については、他の搬送車10と比較して充電率がより低い可能性がある。このため、充電装置30により充電中である搬送車10を考慮し、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を選択可能な対象としている。換言すると、選択部21は、充電装置30により充電中の搬送車10が所定の閾値以上の充電率である場合に、該搬送車10を選択可能な対象としている。
【0043】
図10は、実施形態に係る選択部による他の処理例を説明する図である。上記実施形態で説明したことのほか、選択部21は、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車10を優先的に選択してもよい。図10に示すように、選択部21は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に(ステップS21:YES)、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車10を優先的に選択する(ステップS222)。
【0044】
具体的には、選択部21は、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に、これらの搬送車10の状態情報の現在位置や走行状態を用いて、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車10を優先的に選択する。例えば、充電中の搬送車10は、即座に搬送指令を実行できる待機中の搬送車10とは異なり、充電の中断処理を完了した後に搬送指令を実行する。従って、選択部21は、充電中の搬送車10において充電の中断にかかる時間や、現在位置から荷つかみ位置まで走行する時間を考慮し、より短時間で搬送指令を実行できる搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する。
【0045】
また、図10に示すように、選択部21は、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に(ステップS21:YES)、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を抽出し(ステップS121)、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車10を優先的に選択する(ステップS222)。具体的には、選択部21は、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10又は充電中の搬送車10が存在する場合に、これらの搬送車10の状態情報の充電率(バッテリ残量)を用いて、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を抽出する。そして、選択部21は、抽出した搬送車10の状態情報の現在位置や走行状態を用いて、充電中の搬送車10において充電の中断にかかる時間や、現在位置から荷つかみ位置まで走行する時間を考慮し、より短時間で搬送指令を実行できる搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する。
【0046】
図11は、実施形態に係る選択部による他の処理例を説明する図である。上記実施形態で説明したことのほか、選択部21は、荷つかみ位置まで走行中の搬送車10、及び荷下ろし位置まで走行中の搬送車10を含めて選択可能な対象としてもよい。図11に示すように、選択部21は、待機中、充電中、荷つかみ走行中、又は荷下ろし走行中の搬送車10が存在するかを判定する(ステップS321)。具体的には、選択部21は、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10、充電中の搬送車10、荷つかみ走行中の搬送車10、又は荷下ろし走行中の搬送車10が存在するかを判定する。
【0047】
このとき、選択部21は、待機中の搬送車10、充電中の搬送車10、荷つかみ走行中の搬送車10、又は荷下ろし走行中の搬送車10が存在する場合に(ステップS321:YES)、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択する(ステップS22)。具体的には、選択部21は、各搬送車10の状態情報の走行状態をもとに、待機中の搬送車10、充電中の搬送車10、荷つかみ走行中の搬送車10、又は荷下ろし走行中の搬送車10が存在する場合に、これらの搬送車10のうちいずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択する。すなわち、選択部21は、格子状軌道Rに存在する全ての搬送車10を対象として、搬送指令を割り付ける搬送車10を選択してもよい。また、選択部21は、全ての搬送車10のうちいずれかの搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよいし、待機中の搬送車10を優先して、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよいし、状態情報に含まれる現在位置をもとに、目的地までより近傍に存在する(より短時間で到着する、より省電力で到着する)搬送車10を、搬送指令を割り付ける搬送車10として選択してもよい。
【0048】
また、図9で説明したように、選択部21は、全ての搬送車10の状態情報の充電率(バッテリ残量)を用いて、所定の閾値以上の充電率である搬送車10を抽出し、抽出した搬送車10から搬送指令を割り付ける搬送車10を選択してもよい。また、図10で説明したように、選択部21は、全ての搬送車10の状態情報の現在位置や走行状態を用いて、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車10を優先的に選択してもよい。ここで、選択部21は、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間について、荷つかみ走行中の搬送車10であれば、荷つかみ位置に向かう走行を中止して、搬送指令に対応する新たな荷つかみ位置に到着するまでに要する時間を考慮する。同様に、選択部21は、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間について、荷下ろし走行中の搬送車10であれば、荷下ろし位置に向かう走行を中止して、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間を考慮する。
【0049】
このように、実施形態に係る搬送車システム100によれば、充電中の搬送車10を、搬送指令を割り付ける対象として含み、充電中の搬送車10が選択された場合に、充電中の搬送車10に搬送指令を割り付けるので、搬送指令を速やかに実行することができる。また、実施形態に係る搬送車システム100によれば、充電中の搬送車10であっても所定の閾値以上の充電率であれば搬送指令を割り付ける搬送車10の対象とするので、より多くの搬送車10を対象として搬送指令を割り付ける搬送車10を選択することができる。また、実施形態に係る搬送車システム100によれば、搬送指令の実行に要する電力量に応じて所定の閾値を設定するので、搬送指令を実行し得る充電率を有する搬送車10を、搬送指令を実行する搬送車10として選択することができる。また、実施形態に係る搬送車システム100によれば、搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車10を優先的に選択するので、搬送指令を割り付けた際に、より迅速に実行できる搬送車10を選択することができる。また、実施形態に係る搬送車システム100によれば、荷つかみ走行中の搬送車10、及び荷下ろし走行中の搬送車10をさらに含めて選択可能な対象とするので、さらに多くの搬送車10を対象として搬送指令を割り付ける搬送車10を選択することができる。また、実施形態に係る搬送車システム100によれば、複数の搬送車10との周期的な通信により複数の搬送車10の状態情報を取得し、状態情報に基づいて選択可能な対象とする搬送車10を特定するので、搬送指令を実行するのに好適な搬送車10を特定することができる。また、実施形態に係る搬送車システム100によれば、格子状軌道Rに沿って第1方向D1又は第2方向D2に複数の搬送車10を移動可能とし、格子状軌道Rのうちの1つのマス目に対応して充電装置30を設けるので、格子状軌道Rに配設された搬送車システム100に適用することができる。
【0050】
なお、上記実施形態の説明に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)物品を搬送する複数の搬送車と、前記複数の搬送車のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラと、前記複数の搬送車が移動可能な経路に位置し、搬送車に電力を供給する充電装置と、を有する搬送車システムであって、
前記コントローラは、
前記複数の搬送車のうち、待機中の搬送車と、前記充電装置により充電中の搬送車とを含む対象のうち、前記搬送指令を割り付ける搬送車を選択する選択部と、
前記選択部によって充電中の搬送車が選択された場合に、選択された充電中の搬送車に前記搬送指令を割り付ける割り付け部と、を備える、搬送車システム。
(付記2)前記選択部は、所定の閾値以上の充電率である搬送車を選択可能な対象とする、付記1に記載の搬送車システム。
(付記3)前記選択部は、前記搬送指令の実行に要する電力量に応じて前記所定の閾値を設定する、付記2に記載の搬送車システム。
(付記4)前記選択部は、前記搬送指令に対応する荷つかみ位置に到着するまでに要する時間がより短い搬送車を優先的に選択する、付記1から付記3のいずれか一項に記載の搬送車システム。
(付記5)前記選択部は、荷つかみ位置まで走行中の搬送車、及び荷下ろし位置まで走行中の搬送車を含めて選択可能な対象とする、付記1から付記4のいずれか一項に記載の搬送車システム。
(付記6)前記コントローラは、前記複数の搬送車との周期的な通信により、前記複数の搬送車の状態情報を取得し、前記状態情報に基づいて選択可能な対象とする搬送車を特定する、付記1から付記5のいずれか一項に記載の搬送車システム。
(付記7)前記複数の搬送車は、第1方向及び前記第1方向と交差する第2方向にそれぞれ延びる格子状軌道に沿って前記第1方向又は前記第2方向に移動可能であり、
前記充電装置は、前記格子状軌道のうちの1つのマス目に対応して設けられる、付記1から付記6のいずれか一項に記載の搬送車システム。
(付記8)物品を搬送する複数の搬送車と、前記複数の搬送車のいずれかに搬送指令を割り付けるコントローラと、前記複数の搬送車が移動可能な経路に位置し、搬送車に電力を供給する充電装置と、を有する搬送車システムにおける搬送車制御方法であって、
前記コントローラにより、
前記複数の搬送車のうち、待機中の搬送車と、前記充電装置により充電中の搬送車とを含む対象のうち、前記搬送指令を割り付ける搬送車を選択することと、
充電中の搬送車が選択された場合に、選択された充電中の搬送車に前記搬送指令を割り付けることと、を含む、搬送車制御方法。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは当業者において明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。上述した実施形態等で説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述した実施形態等で説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、法令で許容される限りにおいて、上述した実施形態等で引用した全ての文献の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0052】
10・・・搬送車
20・・・コントローラ
21・・・選択部
22・・・割り付け部
30・・・充電装置
100・・・搬送車システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11