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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160625
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20231026BHJP
   E04H 1/04 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E04H1/02
E04H1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071099
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】松本 淳
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA13
2E025AA15
2E025AA22
(57)【要約】
【課題】共用居室及び専用居室の連続性と、専用居室のプライベート性と、の両立を実現可能な間取りを有する住宅を提供する。
【解決手段】本発明に係る住宅は、共用居室と、専用居室と、前記共用居室と前記専用居室とをつなぎ、前記共用居室及び前記専用居室それぞれに接続されているバッファ空間と、を備え、前記バッファ空間は、玄関から前記共用居室に至るまでの第1動線上に位置する第1動線空間からなる、又は、前記共用居室から前記第1動線空間を介さずにアクセス可能な、別階への移動を可能とする昇降部がある場合には、前記第1動線空間と、前記共用居室を出て前記昇降部に至るまでの第2動線上に位置する第2動線空間と、からなる、主動線空間、に接続されていない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共用居室と、
専用居室と、
前記共用居室と前記専用居室とをつなぎ、前記共用居室及び前記専用居室それぞれに接続されているバッファ空間と、を備え、
前記バッファ空間は、
玄関から前記共用居室に至るまでの第1動線上に位置する第1動線空間からなる、又は、
前記共用居室から前記第1動線空間を介さずにアクセス可能な、別階への移動を可能とする昇降部がある場合には、前記第1動線空間と、前記共用居室を出て前記昇降部に至るまでの第2動線上に位置する第2動線空間と、からなる、
主動線空間、に接続されていない、住宅。
【請求項2】
前記バッファ空間は、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで、前記専用居室に接続されている、請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
前記専用居室は、出入口が設けられていない間仕切壁を挟んで、前記共用居室に隣接している、請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項4】
前記専用居室は、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで、前記主動線空間に接続されている、請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項5】
前記バッファ空間は、前記バッファ空間を挟んで前記専用居室と反対側に位置する空間と区画壁により区画されており、
前記区画壁は、
前記バッファ空間と屋外空間とを区画する、窓がない外壁、又は、
前記バッファ空間と別の屋内空間とを区画する間仕切壁、である、請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項6】
前記区画壁を第1区画壁とした場合に、前記バッファ空間は、前記バッファ空間を挟んで前記共用居室と反対側に位置する空間と第2区画壁により区画されており、
前記第2区画壁は、窓が設けられている外壁である、請求項5に記載の住宅。
【請求項7】
前記バッファ空間と前記共用居室とは、常時連通している、請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項8】
前記バッファ空間と前記共用居室とは、間仕切壁に設けられている、建具が配置されていない出入口を通じて、常時連通している、請求項7に記載の住宅。
【請求項9】
前記共用居室の天井面には、床面からの高さが周囲より高い、高天井部が設けられており、
前記バッファ空間と前記共用居室との間の前記間仕切壁の上端は、前記高天井部に連なっている、請求項8に記載の住宅。
【請求項10】
前記専用居室を第1専用居室とした場合に、前記バッファ空間を挟んで前記第1専用居室と反対側に第2専用居室を備え、
前記バッファ空間は、前記共用居室、前記第1専用居室、及び、前記第2専用居室、をつなぎ、前記共用居室、前記第1専用居室、及び、前記第2専用居室それぞれと接続されている、請求項1又は2に記載の住宅。
【請求項11】
前記バッファ空間は、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで、前記第2専用居室に接続されている、請求項10に記載の住宅。
【請求項12】
前記第2専用居室は、前記主動線空間に接続されていない、請求項11に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、リビング・ダイニングなどの共用居室と、寝室などの専用居室とを、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで隣接させる間取りが知られている。特許文献1には、この種の間取りを備える住宅が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-54311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
共用居室と専用居室とが行き来可能に隣接していることにより、共用居室と専用居室との連続性を高め、一体感を演出し易い。その一方で、専用居室のプライベート性が薄れ易い。
【0005】
本発明は、共用居室及び専用居室の連続性と、専用居室のプライベート性と、の両立を実現可能な間取りを有する住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様としての住宅は、
(1)共用居室と、専用居室と、前記共用居室と前記専用居室とをつなぎ、前記共用居室及び前記専用居室それぞれに接続されているバッファ空間と、を備え、前記バッファ空間は、玄関から前記共用居室に至るまでの第1動線上に位置する第1動線空間からなる、又は、前記共用居室から前記第1動線空間を介さずにアクセス可能な、別階への移動を可能とする昇降部がある場合には、前記第1動線空間と、前記共用居室を出て前記昇降部に至るまでの第2動線上に位置する第2動線空間と、からなる、主動線空間、に接続されていない。
【0007】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(2)前記バッファ空間は、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで、前記専用居室に接続されている、(1)に記載の住宅である。
【0008】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(3)前記専用居室は、出入口が設けられていない間仕切壁を挟んで、前記共用居室に隣接している、上記(1)又は(2)に記載の住宅である。
【0009】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(4)前記専用居室は、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで、前記主動線空間に接続されている、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の住宅である。
【0010】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(5)前記バッファ空間は、前記バッファ空間を挟んで前記専用居室と反対側に位置する空間と区画壁により区画されており、前記区画壁は、前記バッファ空間と屋外空間とを区画する、窓がない外壁、又は、前記バッファ空間と別の屋内空間とを区画する間仕切壁、である、上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の住宅である。
【0011】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(6)前記区画壁を第1区画壁とした場合に、前記バッファ空間は、前記バッファ空間を挟んで前記共用居室と反対側に位置する空間と第2区画壁により区画されており、
前記第2区画壁は、窓が設けられている外壁である、上記(5)に記載の住宅である。
【0012】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(7)前記バッファ空間と前記共用居室とは、常時連通している、上記(1)から(6)のいずれか1つに記載の住宅である。
【0013】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(8)前記バッファ空間と前記共用居室とは、間仕切壁に設けられている、建具が配置されていない出入口を通じて、常時連通している、上記(7)に記載の住宅である。
【0014】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(9)前記共用居室の天井面には、床面からの高さが周囲より高い、高天井部が設けられており、前記バッファ空間と前記共用居室との間の前記間仕切壁の上端は、前記高天井部に連なっている、上記(8)に記載の住宅である。
【0015】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(10)前記専用居室を第1専用居室とした場合に、前記バッファ空間を挟んで前記第1専用居室と反対側に第2専用居室を備え、前記バッファ空間は、前記共用居室、前記第1専用居室、及び、前記第2専用居室、をつなぎ、前記共用居室、前記第1専用居室、及び、前記第2専用居室それぞれと接続されている、上記(1)から(9)のいずれか1つに記載の住宅である。
【0016】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(11)前記バッファ空間は、出入口が設けられている間仕切壁を挟んで、前記第2専用居室に接続されている、上記(10)に記載の住宅である。
【0017】
本発明の1つの実施形態としての住宅は、
(12)前記第2専用居室は、前記主動線空間に接続されていない、上記(11)に記載の住宅である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、共用居室及び専用居室の連続性と、専用居室のプライベート性と、の両立を実現可能な間取りを有する住宅を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態の住宅の1階平面図である。
図2図1に示す住宅の2階平面図である。
図3図2に示すリビング・ダイニング・キッチン及びバッファ空間の天井面の高さを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る住宅の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において同一の構成には同一の符号を付している。
【0021】
図1は、本発明に係る住宅の一実施形態としての戸建て住宅100の1階平面図である。図2は、戸建て住宅100の2階平面図である。本実施形態で示す住宅は、戸建て住宅100であるが、本発明に係る住宅は、戸建て住宅に限られない。本発明に係る住宅は、例えば、集合住宅であってもよい。以下、説明の便宜上、本実施形態の戸建て住宅100を、単に「住宅100」と記載する。
【0022】
まず、本実施形態の住宅100の概要について説明する。住宅100は、例えば、鉄骨造の骨組を有する2階建ての戸建て住宅とすることができる。このような住宅100は、例えば、地盤に支持された鉄筋コンクリート造の布基礎等である基礎構造体と、柱部材や梁部材などの骨組部材で構成された架構を有し、基礎構造体に支持される上部構造体と、を備える。なお、架構を構成する骨組部材は、予め規格化(標準化)された部材とすることができ、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。但し、住宅100は、いわゆる在来工法にて建設された木造の住宅であってもよい。また、住宅100は、鉄筋コンクリート造の住宅であってもよい。更に、住宅100は2階建てに限られず、1階または3階以上の階層を有していてもよい。
【0023】
本実施形態の上部構造体は、複数の柱部材、及び、これら複数の柱部材間に架設された複数の梁部材、から構成される架構と、この架構の外周部に配置される外壁と、架構の梁部材に支持される床と、を備える。
【0024】
外壁の屋外側の面は、連接された外装材としての外壁パネルにより構成されている。また、外壁の外壁パネルの屋内側には、断熱層を構成する断熱材及び内装材が配置されている。
【0025】
外壁パネルとしては、例えば、軽量気泡コンクリート(以下、「ALC」と記載する。「ALC」とは「autoclaved light weight concrete」の略である。)のパネル、金属系や窯業系のサイディング、押出成形セメント板、木質系パネルなどを用いることができる。この外壁パネルを架構の外周部の周囲に連接することにより、外壁の外皮層を形成することができる。
【0026】
また、断熱材としては、例えば、フェノールフォーム、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡樹脂系の材料からなるパネル状の断熱材の他、ロックウール等の繊維系の断熱材を用いることもできる。この断熱材を外壁パネルの屋内側に、外壁パネルの内面に沿って配置することにより、外壁に断熱層を形成することができる。内装材としては、例えば、石膏ボードを用いることができ、内装材を架構の外周部の屋内側に連接することにより、内皮層を形成することができる。
【0027】
床は、床スラブ材を含む。床スラブ材は、架構の梁部材間に架設され、梁部材により直接的又は間接的に支持される。床スラブ材としては、例えば、ALCパネルを用いることできるが、折板、押出成形セメント板、木質パネル材などの別の部材を用いてもよい。床は、床スラブ材に加えて、例えば、床スラブ材に対して直接的又は間接的に取り付けられる、下階の天井面を構成する天井内装材や、床スラブ材上に積層された、上階の床面を構成するフローリング等の床内装材など、を含むものであってもよい。
【0028】
なお、住宅100の屋根は陸屋根であってよい。陸屋根を構成する屋根床スラブ材についても、ALCパネルを用いることができるが、ALCパネルに限られるものではない。また、屋根床スラブ材は、例えば塩化ビニル樹脂から形成されている防水シート等により覆われることにより、防水処理が施されている。また、住宅100の屋根は、陸屋根に限らず、スレート等の屋根外装材を用いた勾配屋根としてもよい。
【0029】
以下、図1図2を参照して、住宅100の1階及び2階の間取りについて説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の住宅100の1階は、玄関11と、廊下12と、トイレ13と、洗面室14と、浴室15と、3つの個室16、17、18と、収納室19と、脱衣室20と、を備える。
【0031】
図2に示すように、本実施形態の住宅100の2階は、廊下21と、トイレ22と、ベランダ23と、リビング・ダイニング・キッチン24と、2つの個室25、26と、バッファ空間27と、を備える。
【0032】
図1図2に示すように、住宅100の1階及び2階は、昇降部としての階段41により連結されている。そのため、住宅100の居住者は、階段41を利用することにより、1階と2階とを行き来可能である。
【0033】
以下、住宅100の間取りの特徴について詳細に説明する。以下の間取りの説明には、「居室」及び「非居室」という用語を用いる。「居室」とは、建築基準法第2条第4号に規定に準ずるものであり、居住、作業、娯楽などの目的のために継続的に使用する室を意味する。「非居室」とは、居室に該当しない室を意味する。
【0034】
本実施形態の住宅100では、1階の3つの個室16、17、18が、居室に該当する。また、本実施形態の住宅100では、2階のリビング・ダイニング・キッチン24、及び、2つの個室25、26が、居室に該当する。1階の3つの個室16、17、18、及び、2階の2つの個室25、26は、例えば、寝室、客室、子供部屋、書斎として利用されてよい。
【0035】
本実施形態の住宅100では、1階の玄関11、廊下12、トイレ13、洗面室14、浴室15、収納室19及び脱衣室20が、非居室に該当する。また、本実施形態の住宅100では、2階の廊下21、トイレ22、ベランダ23及びバッファ空間27が、非居室に該当する。
【0036】
更に、本実施形態の住宅100では、昇降部としての階段41が設けられている階段室が、非居室に該当する。
【0037】
また、以下の間取りの説明では、「共用居室」及び「専用居室」という用語を用いる。「共用居室」とは、一戸内(集合住宅の場合は一住戸内)で、一部の居住者、又は、客などの非居住者、によって専用されることを目的としていない居室を意味する。共用居室としては、例えば、リビング、ダイニング、リビング・ダイニング、リビング・ダイニング・キッチン等が挙げられる。また、「専用居室」とは、一戸内で、一部の居住者、又は、客などの非居住者、によって専用されることを目的とする居室を意味する。専用居室としては、例えば、寝室、客室、子供部屋、書斎等の個室が挙げられる。
【0038】
本実施形態の住宅100では、2階のリビング・ダイニング・キッチン24が、共用居室に該当する。
【0039】
本実施形態の住宅100では、1階の3つの個室16、17、18が、専用居室に該当する。また、本実施形態の住宅100では、2階の2つの個室25、26が、専用居室に該当する。
【0040】
図2に示すように、住宅100は、2階に、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24と、専用居室としての2つの個室25、26と、を備える。更に、住宅100は、2階に、リビング・ダイニング・キッチン24と2つの個室25、26とをつなぎ、これらそれぞれに接続されているバッファ空間27を、更に備えている。ここで「接続」とは、間仕切壁の有無にかかわらず、行き来可能に隣接して配置されていることを意味する。以下、説明の便宜上、バッファ空間27に接続されている2つ個室25、26を、「第1個室25」、「第2個室26」と記載する。
【0041】
図2に示すように、バッファ空間27は、主動線空間Sに接続されていない。主動線空間Sとは、第1動線空間からなる空間、又は、第1動線空間及び第2動線空間からなる空間、である。
【0042】
「第1動線空間」とは、玄関から共用居室に至るまでの第1動線上に位置する空間を意味する。本実施形態では、玄関11から、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24に至るまでの第1動線上に位置する空間である。より具体的に、本実施形態の第1動線空間は、1階の玄関11及び廊下12、階段41、並びに、2階の廊下21、からなる。
【0043】
「第2動線空間」とは、共用居室から第1動線空間を介さずにアクセス可能な、別階への移動を可能とする昇降部がある場合に、共用居室を出て当該昇降部に至るまでの第2動線上に位置する空間を意味する。本実施形態の住宅100は、共用居室から第1動線空間を介さずにアクセス可能な、別階への移動を可能とする昇降部を備えない。つまり、本実施形態の住宅100は、第2動線空間を備えない。
【0044】
したがって、本実施形態の主動線空間Sは、上述したように、1階の玄関11及び廊下12、階段41、並びに、2階の廊下21からなる、第1動線空間により構成されている。
【0045】
繰り返しになるが、上述したように、バッファ空間27は、主動線空間Sに接続されていない。つまり、バッファ空間27は、主動線空間Sと、行き来可能に隣接していない。
【0046】
このように、住宅100は、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24と、専用居室としての第1個室25と、をつなぎ、これらそれぞれに接続されているバッファ空間27を備える。そして、このバッファ空間27は、上述したように、主動線空間Sに接続されていない。このようなバッファ空間27を設けることで、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24、及び、専用居室としての第1個室25、の間の連続性を演出しつつ、バッファ空間27による奥行きにより、専用居室としての第1個室25の隠れ家的なプライベート感を創出できる。つまり、バッファ空間27を配置することで、共用居室及び専用居室の連続性と、専用居室のプライベート性と、の両立を実現できる。
【0047】
以下、本実施形態では、説明の便宜上、共用居室の一例として、リビング・ダイニング・キッチン24を例示して説明するが、他の共用居室であってもよい。また、説明の便宜上、専用居室の一例として、第1個室25、第2個室26を例示して説明するが、他の専用居室であってもよい。
【0048】
図2に示すように、本実施形態の住宅100では、バッファ空間27は、出入口51aが設けられている間仕切壁51を挟んで、第1個室25に接続されている。間仕切壁51を設けることで、第1個室25のプライベート性を、より高めることができる。
【0049】
なお、図2に示すように、本実施形態のバッファ空間27は、リビング・ダイニング・キッチン24から直線状に延在し、その延在方向が長辺方向となる、平面視で長方形状の空間である。より具体的に、本実施形態のバッファ空間27は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aから西側に直線状に延在し、その延在方向である東西方向が長辺方向となる、平面視で長方形状の空間である。そして、本実施形態のバッファ空間27の一方の長辺側となる北側に、東西方向に延在する間仕切壁51が設けられている。つまり、本実施形態のバッファ空間27は、一方の長辺側となる北側で、出入口51aが設けられている間仕切壁51を挟んで、第1個室25に接続されている。
【0050】
ここで、バッファ空間27の、リビング・ダイニング・キッチン24からの延在方向は、本実施形態の東西方向に限られない。バッファ空間27は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24から南北方向に延在するように設けられていてもよい。また、バッファ空間27の、リビング・ダイニング・キッチン24からの延在方向は、バッファ空間27の長辺方向に限られない。バッファ空間27の、リビング・ダイニング・キッチン24からの延在方向が、例えば、バッファ空間27の短辺方向であってもよい。但し、本実施形態のように、バッファ空間27の、リビング・ダイニング・キッチン24からの延在方向は、バッファ空間27の長辺方向であることが好ましい。このようにすることで、バッファ空間27のリビング・ダイニング・キッチン24からの奥行き感が、強調され易くなる。
【0051】
また、バッファ空間27に対して間仕切壁51が設けられる位置も、バッファ空間27の北側に限られず、バッファ空間27の長辺側にも限られない。但し、バッファ空間27に対して間仕切壁51が設けられる位置は、バッファ空間27の、リビング・ダイニング・キッチン24からの延在方向(本実施形態では東西方向)と、交差する方向(本実施形態では南北方向)であることが好ましい。このようにすることで、リビング・ダイニング・キッチン24から、バッファ空間27越しに、間仕切壁51に設けられる出入口51aが見え難くなる。そのため、リビング・ダイニング・キッチン24から、バッファ空間27を通じて、第1個室25内が見え難く、第1個室25のプライベート性を、より高めることができる。
【0052】
なお、本実施形態の間仕切壁51の出入口51aには、建具51bが設けられているが、この構成に限られない。出入口51aには、建具51bが設けられていなくてもよい。但し、第1個室25のプライベート性の観点では、間仕切壁51の出入口51aには、建具51bが設けられていることが好ましい。
【0053】
また、本実施形態のバッファ空間27は、リビング・ダイニング・キッチン24のうちリビング空間24aから延設されているが、この構成に限られない。バッファ空間27は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24のうちダイニング空間24bから延設されていてもよい。また、バッファ空間27は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24のうち、キッチンセットが設けられているキッチン空間24cから延設されていてもよい。但し、バッファ空間27は、本実施形態のように、リビング・ダイニング・キッチン24のうちリビング空間24aから延設されていることが好ましい。リビング・ダイニング・キッチン24のうちリビング空間24aは、ダイニング空間24b及びキッチン空間24cより、共用性が高い。そのため、バッファ空間27がリビング・ダイニング・キッチン24のうちリビング空間24aから延設されている構成とすることで、専用居室としての第1個室25の、共用居室との連続性を、より強調し易くなる。
【0054】
図2に示すように、本実施形態の第1個室25は、出入口が設けられていない間仕切壁52を挟んで、リビング・ダイニング・キッチン24に隣接している。このような構成とすることで、リビング・ダイニング・キッチン24から第1個室25に直接行き来することができず、リビング・ダイニング・キッチン24からバッファ空間27を介して第1個室25に行き来可能となる。これにより、リビング・ダイニング・キッチン24から第1個室25内が見え難くなり、第1個室25のプライベート性を、より高めることができる。また、リビング・ダイニング・キッチン24及び第1個室25が間仕切壁52を挟んで隣接することで、隣接せずに離れて配置される構成と比較して、リビング・ダイニング・キッチン24、第1個室25、及び、これらをつなぐバッファ空間27の一体性を高めることができる。更に、リビング・ダイニング・キッチン24に面する間仕切壁52に出入口がないため、リビング・ダイニング・キッチン24の意匠性を高めることができる。
【0055】
なお、本実施形態の間仕切壁52は、第1個室25と、リビング・ダイニング・キッチン24のうちリビング空間24aと、を区画している。つまり、本実施形態では、バッファ空間27及び第1個室25が、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aに隣接している。但し、上述したように、バッファ空間27は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aに接続されているのに対して、第1個室25は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aに接続されていない。
【0056】
また、図2に示すように、本実施形態のバッファ空間27及び第1個室25は共に、リビング・ダイニング・キッチン24の西側で、リビング空間24aに隣接して配置されているが、この構成に限られない。バッファ空間27及び第1個室25は共に、リビング・ダイニング・キッチン24の西側以外の同じ方向(例えば東側など)で、リビング・ダイニング・キッチン24に隣接して配置されていてもよい。更に、バッファ空間27及び第1個室25が、リビング・ダイニング・キッチン24に対して異なる方向(例えば一方が西側で他方が南側など)で、隣接していてもよい。
【0057】
また、第1個室25は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24a以外に隣接していてもよい。つまり、第1個室25は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24のうちダイニング空間24bに隣接していてもよい。また、第1個室25は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24のうち、キッチンセットが設けられているキッチン空間24cに隣接していてもよい。
【0058】
更に、図2に示すように、本実施形態の第1個室25は、出入口53aが設けられている間仕切壁53を挟んで、主動線空間Sに接続されている。このような構成とすることで、第1個室25から主動線空間Sに直接行き来可能な動線を確保できる。そのため、第1個室25からリビング・ダイニング・キッチン24を介さずに、主動線空間Sに接続されているトイレ22等に行くことができ、第1個室25のプライベート性を、より高めることができるとともに、第1個室25の利便性を高めることができる。
【0059】
なお、図2に示すように、本実施形態の第1個室25は、出入口53aが設けられている間仕切壁53を挟んで、主動線空間Sのうち2階の廊下21に接続されているが、この構成に限られない。第1個室25は、出入口53aが設けられている間仕切壁53を挟んで、主動線空間Sを構成する別の空間に接続されていてもよい。但し、第1個室25が接続される主動線空間Sは、第1個室25のプライベート性の観点で、本実施形態の廊下21のように、非居室であることが好ましい。また、第1個室25のプライベート性の観点では、本実施形態のように、出入口53aには建具53bが設けられていることが好ましい。
【0060】
また、図2に示すように、本実施形態の間仕切壁53は、第1個室25の北側に配置されているが、この構成に限られない。第1個室25を主動線空間Sに接続する出入口53aが設けられた間仕切壁53の配置位置は、第1個室25に対する主動線空間Sの位置に応じて適宜設計されてよい。
【0061】
本実施形態の第1個室25を周囲空間から区画する、上述した間仕切壁51、間仕切壁52及び間仕切壁53以外の区画壁(本実施形態では第1個室25の西側に位置する壁)は、外壁60である。この外壁60には、本実施形態のように、屋外空間から自然光を採光可能な窓60aが設けられていてもよい。本実施形態の窓60aは、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む建具を備える構成であるが、この構成に限られない。窓60aは、例えば、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む嵌め殺し窓であってもよい。但し、外壁60は、窓60aを備えない構成であってもよい。かかる場合に、第1個室25は、例えば、後述する外壁57の窓57a(図2参照)から、バッファ空間27、及び、間仕切壁51の出入口51aや間仕切壁51に設けられたその他の開口部を通じて、自然光を取り入れる構成であってもよい。
【0062】
図2に示すように、本実施形態のバッファ空間27は、バッファ空間27を挟んで第1個室25と反対側に位置する空間と第1区画壁54により区画されている。そして、本実施形態の第1区画壁54は、バッファ空間27と、別の屋内空間としての第2個室26と、を区画する間仕切壁55である。本実施形態の間仕切壁55は、間仕切壁51と対向して配置されている。本実施形態の間仕切壁55には、建具55bが配置されている出入口55aが設けられている。つまり、本実施形態のバッファ空間27は、出入口55aが設けられている間仕切壁55を挟んで、第2個室26に接続されている。但し、第1区画壁54は、バッファ空間27と屋外空間とを区画する外壁であってもよい。第1区画壁54が外壁である場合は、窓のない外壁とされることが好ましい。このようにすることで、屋外空間から第1区画壁54の窓を通じてバッファ空間27越しに第1個室25が視通されること、を防ぐことができる。これにより、第1個室25のプライベート性を、より高めることができる。
【0063】
より具体的に、本実施形態の第1区画壁54としての間仕切壁55は、東西方向に延在している。また、本実施形態では、間仕切壁51がバッファ空間27の北側に配置され、第1区画壁54としての間仕切壁55がバッファ空間27の南側に、間仕切壁51と対向して配置されている。
【0064】
更に、図2に示すように、本実施形態のバッファ空間27は、バッファ空間27を挟んでリビング・ダイニング・キッチン24と反対側に位置する空間と第2区画壁56により区画されている。そして、本実施形態の第2区画壁56は、窓57aが設けられている外壁57である。つまり、第2区画壁56としての外壁57は、バッファ空間27を屋外空間から区画している。このようにすることで、外壁57の窓57aを通じて、屋外空間からバッファ空間27に自然光を取り入れることができ、バッファ空間27の採光性を高めることができる。また、第2区画壁56としての外壁57は、バッファ空間27を挟んで第1個室25と反対側に位置しない。そのため、屋外空間から第2区画壁56としての外壁57の窓57aを通じて、バッファ空間27越しに第1個室25が視通され難い。これにより、第1個室25のプライベート性を、より高めることができる。なお、本実施形態の窓57aは、例えば、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む嵌め殺し窓であるが、この構成に限られない。窓57aは、例えば、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む建具を備える構成であってもよい。
【0065】
より具体的に、本実施形態では、バッファ空間27を挟んで東側にリビング・ダイニング・キッチン24が配置され、バッファ空間27を挟んで西側に、第2区画壁56としての外壁57が配置されている。
【0066】
また、図2に示すように、本実施形態の住宅100では、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24とは、常時連通している。このようにすることで、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との連続性を強調できる。その結果、バッファ空間27を介してつながる、リビング・ダイニング・キッチン24及び第1個室25の連続性が、より意識され易くなる。
【0067】
より具体的に、本実施形態のバッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24とは、間仕切壁58に設けられている、建具が配置されていない出入口58aを通じて、常時連通している。換言すれば、本実施形態のバッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24とは、出入口58aが設けられている間仕切壁58を挟んで、接続されている。そして、この間仕切壁58の出入口58aには、建具が設けられていない。バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24とが出入口58aにより常時連通するため、バッファ空間27を介してつながる、リビング・ダイニング・キッチン24及び第1個室25の連続性を保ちつつ、間仕切壁58により、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との境界が意識され易くなり、リビング・ダイニング・キッチン24からバッファ空間27の奥行き感、及び、このバッファ空間27に接続される第1個室25のプライベート感を、強調できる。
【0068】
図3は、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24と、バッファ空間27と、の天井面の高さを示す図である。図2図3に示すように、本実施形態のリビング・ダイニング・キッチン24の天井面90には、床面からの高さ(以下、「天井高」と記載する。)H1が周囲より高い、高天井部90aが設けられている。より具体的に、本実施形態のリビング・ダイニング・キッチン24の天井面90は、バッファ空間27、第1個室25及び第2個室26それぞれの天井高と略等しい天井高H2となる標準天井部90bと、この標準天井部90bの天井高H2より高い天井高H1となる高天井部90aと、を備える。
【0069】
そして、図3に示すように、本実施形態では、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との間の間仕切壁58の上端は、高天井部90aに連なっている。このようにすることで、間仕切壁58により、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との境界が、より意識され易くなり、リビング・ダイニング・キッチン24からバッファ空間27の奥行き感、及び、このバッファ空間27に接続される第1個室25のプライベート感を、より強調できる。
【0070】
なお、上述した本実施形態の間仕切壁52、58は、平面視で連続するように直線状に延在している。より具体的に、本実施形態の間仕切壁52、58は、平面視で、南北方向に連続するように直線状に延在している。
【0071】
ここまで、主に、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24と、専用居室としての第1個室25と、バッファ空間27と、の関係について説明した。以下、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24、専用居室としての第1個室25、専用居室としての第2個室26、及び、バッファ空間27、の関係について説明する。なお、以下、説明の便宜上、第1個室25を「第1専用居室」、第2個室26を「第2専用居室」として区別する。
【0072】
バッファ空間27は、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24と、第2専用居室としての第2個室26と、をつなぎ、これらそれぞれに接続されている。そのため、バッファ空間27により、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24、及び、第2専用居室としての第2個室26、の間の連続性を演出しつつ、バッファ空間27による奥行きにより、第2専用居室としての第2個室26の隠れ家的なプライベート感を創出できる。つまり、バッファ空間27を配置することで、上述したように、共用居室及び第1専用居室の連続性と、第1専用居室のプライベート性と、の両立を実現できると共に、共用居室及び第2専用居室の連続性と、第2専用居室のプライベート性と、の両立をも実現できる。
【0073】
図2に示すように、本実施形態の住宅100では、バッファ空間27は、出入口55aが設けられている間仕切壁55を挟んで、第2個室26に接続されている。間仕切壁55を設けることで、第2個室26のプライベート性を、より高めることができる。
【0074】
また、バッファ空間27に対して間仕切壁55が設けられる位置も、バッファ空間27の南側に限られず、バッファ空間27の長辺側にも限られない。但し、バッファ空間27に対して間仕切壁55が設けられる位置は、バッファ空間27の、リビング・ダイニング・キッチン24からの延在方向(本実施形態では東西方向)と、交差する方向(本実施形態では南北方向)であることが好ましい。このようにすることで、リビング・ダイニング・キッチン24から、バッファ空間27越しに、間仕切壁55に設けられる出入口55aが見え難くなる。そのため、リビング・ダイニング・キッチン24から、バッファ空間27を通じて、第2個室26内が見え難く、第2個室26のプライベート性を、より高めることができる。
【0075】
なお、本実施形態の間仕切壁55の出入口55aには、建具55bが設けられているが、この構成に限られない。出入口55aには、建具55bが設けられていなくてもよい。但し、第2個室26のプライベート性の観点では、間仕切壁55の出入口55aには、建具55bが設けられていることが好ましい。
【0076】
図2に示すように、本実施形態の第2個室26は、出入口が設けられていない間仕切壁59を挟んで、リビング・ダイニング・キッチン24に隣接している。このような構成とすることで、リビング・ダイニング・キッチン24から第2個室26に直接行き来することができず、リビング・ダイニング・キッチン24からバッファ空間27を介して第2個室26に行き来可能となる。これにより、リビング・ダイニング・キッチン24から第2個室26内が見え難くなり、第2個室26のプライベート性を、より高めることができる。また、リビング・ダイニング・キッチン24及び第2個室26が間仕切壁59を挟んで隣接することで、隣接せずに離れて配置される構成と比較して、リビング・ダイニング・キッチン24、第2個室26、及び、これらをつなぐバッファ空間27の一体性を高めることができる。更に、リビング・ダイニング・キッチン24に面する間仕切壁59に出入口がないため、リビング・ダイニング・キッチン24の意匠性を高めることができる。
【0077】
なお、本実施形態の間仕切壁59は、第2個室26と、リビング・ダイニング・キッチン24のうちリビング空間24aと、を区画している。つまり、本実施形態では、バッファ空間27、第1個室25及び第2個室26が、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aに隣接している。但し、上述したように、バッファ空間27は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aに接続されているのに対して、第1個室25及び第2個室26は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aに接続されていない。
【0078】
また、図2に示すように、本実施形態のバッファ空間27、第1個室25及び第2個室26はいずれも、リビング・ダイニング・キッチン24の西側で、リビング空間24aに隣接して配置されているが、この構成に限られない。バッファ空間27、第1個室25及び第2個室26はいずれも、リビング・ダイニング・キッチン24の西側以外の同じ方向(例えば東側など)で、リビング・ダイニング・キッチン24に隣接して配置されていてもよい。更に、バッファ空間27、第1個室25及び第2個室26の少なくとも1つが、リビング・ダイニング・キッチン24に対して異なる方向(例えば2つが西側で1つが南側など)で、隣接していてもよい。
【0079】
また、第2個室26は、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24a以外に隣接していてもよい。つまり、第2個室26は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24のうちダイニング空間24bに隣接していてもよい。また、第2個室26は、例えば、リビング・ダイニング・キッチン24のうち、キッチンセットが設けられているキッチン空間24cに隣接していてもよい。
【0080】
なお、上述した本実施形態の間仕切壁59は、平面視で、間仕切壁52、58と連続するように直線状に延在している。より具体的に、本実施形態の間仕切壁59は、平面視で、間仕切壁52、58と南北方向で連続するように直線状に延在している。
【0081】
更に、図2に示すように、本実施形態の第2個室26は、主動線空間Sに接続されていない。本実施形態の第2専用居室としての第2個室26は、この点で、上述した第1専用居室としての第1個室25と主に相違している。より具体的に、本実施形態の第2個室26は、上述した間仕切壁55の出入口55aを通じて、バッファ空間27に接続されているのみで、他の屋内空間に接続されていない。上述したように、間仕切壁59には出入口が設けられていない。更に、第2個室26を周囲空間から区画する、間仕切壁55及び間仕切壁59以外の区画壁は、西側の外壁61及び南側の外壁62である。
【0082】
本実施形態の西側の外壁61には、屋外空間から自然光を採光可能な窓61aが設けられている。本実施形態の窓61aは、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む建具を備える構成であるが、この構成に限られない。窓61aは、例えば、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む嵌め殺し窓であってもよい。また、西側の外壁61は、窓61aを備えない構成であってもよい。更に、本実施形態の南側の外壁62は、窓を備えない構成であるが、窓が設けられていてもよい。なお、西側の外壁61及び南側の外壁62に窓が設けられていない場合、第2個室26は、例えば、上述した外壁57の窓57a(図2参照)から、バッファ空間27、及び、間仕切壁55の出入口55aや間仕切壁55に設けられたその他の開口部を通じて、自然光を取り入れる構成であってもよい。
【0083】
このように、本実施形態の住宅100は、バッファ空間27を挟んで、第1専用居室としての第1個室25と反対側に、第2専用居室としての第2個室26を備える。そして、本実施形態のバッファ空間27は、共用居室としてのリビング・ダイニング・キッチン24、第1専用居室としての第1個室25、及び、第2専用居室としての第2個室26、をつなぎ、これらそれぞれと接続されている。このようなバッファ空間27を設けることで、共用居室及び複数(本実施形態では2つ)の専用居室の連続性と、複数の専用居室それぞれのプライベート性と、の両立を実現できる。
【0084】
また、上述したように、本実施形態の住宅100では、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24とは、常時連通している。このようにすることで、上述したように、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との連続性を強調できる。その結果、バッファ空間27を介してつながる、リビング・ダイニング・キッチン24及び第1個室25の連続性に加えて、バッファ空間27を介してつながる、リビング・ダイニング・キッチン24及び第2個室26の連続性についても、意識され易くなる。
【0085】
更に、上述したように、本実施形態のバッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24とは、間仕切壁58に設けられている、建具が配置されていない出入口58aを通じて、常時連通している。そのため、バッファ空間27を介してつながる、リビング・ダイニング・キッチン24、第1個室25及び第2個室26の連続性を保ちつつ、間仕切壁58により、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との境界が意識され易くなり、リビング・ダイニング・キッチン24からバッファ空間27の奥行き感、及び、このバッファ空間27に接続される第1個室25及び第2個室26のプライベート感を、強調できる。
【0086】
また更に、上述したように、本実施形態では、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との間の間仕切壁58の上端は、高天井部90aに連なっている(図3参照)。このようにすることで、間仕切壁58により、バッファ空間27とリビング・ダイニング・キッチン24との境界が、より意識され易くなり、リビング・ダイニング・キッチン24からバッファ空間27の奥行き感、及び、このバッファ空間27に接続される第1個室25及び第2個室26のプライベート感を、より強調できる。
【0087】
以下、図1図2を参照して、本実施形態の住宅100の間取りのその他の詳細について説明する。
【0088】
図1に示すように、住宅100の1階の玄関11には、屋外空間との間を行き来可能な玄関口11aが設けられている。玄関口11aには、建具としての玄関扉11bが設けられている。廊下12は、玄関11に連続している。また、1階のトイレ13、洗面室14、3つの個室16、17、18及び収納室19は、廊下12に接続されている。具体的に、トイレ13は、出入口63aが設けられた間仕切壁63を挟んで、廊下12に隣接している。出入口63aには、建具63bが設けられている。収納室19は、出入口80aが設けられた間仕切壁80を挟んで、廊下12に隣接している。出入口80aには建具80bが設けられている。なお、本実施形態の間仕切壁63、80は、平面視で連続するように直線状に延在している。また、洗面室14は、出入口64aが設けられた間仕切壁64を挟んで、廊下12に隣接している。出入口64aには、建具64bが設けられている。更に、本実施形態の洗面室14は、脱衣室20と接続されている。脱衣室20は、洗濯機を設置可能に構成されている。脱衣室20は、脱衣室20を挟んで洗面室14と反対側で、浴室15に接続されている。洗面室14と脱衣室20とは、出入口65aが設けられている間仕切壁65により区画されている。出入口65aには、建具65bが設けられている。また、浴室15と脱衣室20とは、出入口66aが設けられている間仕切壁66により区画されている。出入口66aには、建具66bが設けられている。なお、本実施形態の浴室15及び脱衣室20は、廊下12に接続されていない。
【0089】
個室16、17は、出入口が設けられていない間仕切壁67を挟んで、隣接している。また、個室16は、出入口68aが設けられている間仕切壁68を挟んで、廊下12に隣接している。出入口68aには、建具68bが設けられている。個室17は、出入口69aが設けられている間仕切壁69を挟んで、廊下12に隣接している。出入口69aには、建具69bが設けられている。本実施形態の間仕切壁68、69は、平面視で連続するように直線状に延在している。また、個室16、17は、外壁70、71により、屋外空間から区画されている。この外壁70、71には、個室16、17と屋外空間との間を行き来可能にする出入口70a、71aが設けられている。出入口70a、71aには、建具70b、71bが設けられている。
【0090】
個室18は、出入口72aにより、廊下12に接続されている。出入口72aには、建具72bが設けられている。また、個室18は、外壁73により、屋外空間から区画されている。この外壁73には、個室18と屋外空間との間を行き来可能にする出入口73aが設けられている。出入口73aには、建具73bが設けられている。
【0091】
図1図2に示すように、昇降部としての階段41は、1階の廊下12及び2階の廊下21に接続されている。
【0092】
図2に示すように、2階のトイレ22、リビング・ダイニング・キッチン24、及び、第1個室25は、廊下21に接続されている。具体的に、トイレ22は、出入口74aが設けられた間仕切壁74を挟んで、廊下21に隣接している。出入口74aには、建具74bが設けられている。リビング・ダイニング・キッチン24と廊下21との間には、2つの出入口75a、76aが設けられている。具体的に、リビング・ダイニング・キッチン24のリビング空間24aは、出入口75aが設けられた間仕切壁75を挟んで、廊下21に隣接している。また、リビング・ダイニング・キッチン24のキッチン空間24cは、出入口76aが設けられた間仕切壁76を挟んで、廊下21に隣接している。出入口75a、76aには、建具75b、76bが設けられている。なお、本実施形態において、リビング空間24aと廊下21とを区画する間仕切壁75は、リビング空間24aの北側に位置し、この間仕切壁75の上端についても、高天井部90aに連なっている。
【0093】
また、図2に示すように、リビング・ダイニング・キッチン24は、外壁77、78を挟んで、ベランダ23に隣接している。本実施形態の外壁77、78は、平面視で直交する方向に延在しており、相互に連なる位置で、出隅部を形成している。具体的に、本実施形態の外壁77は、リビング・ダイニング・キッチン24の東側に位置し、南北方向に延在している。また、本実施形態の外壁78は、リビング・ダイニング・キッチン24の南側に位置し、東西方向に延在している。外壁77には、ベランダ23に通じる出入口77aが設けられている。出入口77aには、建具77bが設けられている。外壁78には、窓78aが設けられている。窓78aは、屋外空間から自然光が透光可能なガラス板を含む嵌め殺し窓であってもよく、建具を含む構成であってもよい。
【0094】
本発明に係る住宅は、上述した実施形態に記載した具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明には住宅に関する。
【符号の説明】
【0096】
11:玄関
11a:玄関口
11b:玄関扉
12:廊下
13:トイレ
14:洗面室
15:浴室
16:個室
17:個室
18:個室
19:収納室
20:脱衣室
21:廊下
22:トイレ
23:ベランダ
24:リビング・ダイニング・キッチン(共用居室の一例)
24a:リビング空間
24b:ダイニング空間
24c:キッチン空間
25:第1個室(専用居室の一例)
26:第2個室(専用居室の一例)
27:バッファ空間
41:階段
51、52、53、55、58、59、63、64、65、66、67、68、69、74、75、76:間仕切壁
51a、53a、55a、58a、63a、64a、65a、66a、68a、69a、72a、74a、75a、76a:出入口
51b、53b、55b、63b、64b、65b、66b、68b、69b、72b、74b、75b、76b:建具
54:第1区画壁
56:第2区画壁
57、60、61、62、78:外壁
57a、60a、61a、78a:窓
70、71、73、77:外壁
70a、71a、73a、77a:出入口
70b、71b、73b、77b:建具
90:天井面
90a:高天井部
90b:標準天井部
100:住宅
S:主動線空間
H1:高天井部の天井高
H2:標準天井部の天井高

図1
図2
図3