(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160633
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】送信装置、送信方法、及び受信装置
(51)【国際特許分類】
H04B 1/715 20110101AFI20231026BHJP
H04B 1/7143 20110101ALI20231026BHJP
【FI】
H04B1/715
H04B1/7143
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071116
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003410
【氏名又は名称】弁理士法人テクノピア国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌廣
(57)【要約】
【課題】周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う場合において、データ転送レートの向上を図る。
【解決手段】本発明に係る送信装置は、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置であって、データ送信を行う送信部と、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて送信部がデータ送信を複数回行うように制御する送信制御部とを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置であって、
データ送信を行う送信部と、
周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて前記送信部がデータ送信を複数回行うように制御する送信制御部と、を備えた
送信装置。
【請求項2】
前記送信制御部は、前記周波数チャンネルごとに行われる複数回のデータ送信について、少なくとも一部のデータ送信間隔を異ならせる
請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
周波数の切り替え周期が一定とされ、各前記周波数チャンネルにおけるデータ送信回数及び1データ送信あたりのデータ送信時間長が同じとされており、
前記周波数チャンネルごとのデータ送信回数をc、前記データ送信時間長をt、前記周波数チャンネルの切り替えタイミング間の期間である一周波数期間をc等分して形成されるそれぞれの期間である繰り返し送信期間の長さをfとしたとき、
前記送信制御部は、前記繰り返し送信期間をf/t等分して形成されるf/t個のスロットのうち、データ送信を行うスロットを少なくとも一部の前記繰り返し送信期間の間で異ならせることで、データ送信間隔を異ならせる
請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記f/t個のスロットのうちデータ送信を行う前記スロットである送信スロットを前記繰り返し送信期間ごとに定めた情報である送信スロットパターン情報として、前記繰り返し送信期間に対する前記送信スロットの割り当てパターンが異なる複数種の前記送信スロットパターン情報を含んだ情報である送信スロットパターン群情報が記憶される記憶部を備え、
前記送信制御部は、前記送信スロットパターン群情報から選択した一の前記送信スロットパターン情報に従って、前記送信部に前記繰り返し送信期間ごとのデータ送信を実行させる
請求項3に記載の送信装置。
【請求項5】
前記送信制御部は、前記繰り返し送信期間ごとの送信データとして、選択中の前記送信スロットパターン情報を示すパターン識別子と、データ送信回数を示す情報とを含む送信データを送信させる
請求項4に記載の送信装置。
【請求項6】
データ受信を行う受信部を備え、
前記送信制御部は、受信装置に対するデータ送信の開始前に、前記受信部により他の送信装置の送信データの受信動作を実行させ、前記他の送信装置の送信データに含まれる前記パターン識別子に基づき、前記他の送信装置が選択中の前記送信スロットパターン情報が、自装置が適用予定であった前記送信スロットパターン情報と一致するか否かを判定し、両者が一致すると判定した場合に、前記送信スロットパターン群情報から別の前記送信スロットパターン情報を選択する
請求項5に記載の送信装置。
【請求項7】
前記送信制御部は、前記周波数チャンネルごとに行われる複数回のデータ送信について、データ送信間隔をランダムに変化させる
請求項2から請求項6の何れかに記載の送信装置。
【請求項8】
周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置における送信方法であって、
周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいてデータ送信を複数回行う
送信方法。
【請求項9】
送信装置が周波数ホッピング方式により送信するデータを受信する受信装置であって、
データ受信を行う受信部と、
周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて前記送信装置が複数回送信するデータをそれぞれ受信するように前記受信部を制御する受信制御部と、を備える
受信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ送信を行う送信装置とその方法、及びデータ受信を行う受信装置とに関するものであり、特には、周波数ホッピング方式によるデータ通信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
無線データ通信の方式として、周波数ホッピング方式が知られている。例えば、下記特許文献1には、2.4GHz(ギガヘルツ)帯を使用して周波数ホッピング方式による無線データ通信を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来の2.4GHz帯を使用する周波数ホッピング方式として、例えばBLE(Bluetooth Low Energy:登録商標)等では、周波数チャンネルの切り替え周期が1.6ms(ミリ秒)周期等の比較的短い周期とされており、各周波数チャンネルにおけるデータ送信回数は1回とされている。
【0005】
一方で、近年、無線データ通信として920MHz(メガヘルツ)帯を使用する通信技術が注目されている。920MHz帯の通信では、規格上、2.4GHz帯の通信を行う場合よりも周波数チャンネルの切り替え周期が長く定められている。例えば、200ms周期等、比較的低速な切り替えが行われる。
【0006】
周波数ホッピング方式として、例えば上記した920MHz帯の規格のように周波数チャンネルの切り替えを比較的低速に行う方式が採用される場合には、従来の2.4GHz帯の方式のように周波数チャンネルごとのデータ送信回数を1回としたのでは、必要なデータ転送レートを満足できなくなる虞がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑み為されたものであり、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う場合において、データ転送レートの向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る送信装置は、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置であって、データ送信を行う送信部と、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて前記送信部がデータ送信を複数回行うように制御する送信制御部と、を備えたものである。
これにより、1周波数チャンネルあたりの送信データ量の増大化が図られる。
【0009】
また、本発明に係る送信方法は、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置における送信方法であって、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいてデータ送信を複数回行う送信方法である。
このような送信方法によっても、上記した本発明に係る送信装置と同様の作用が得られる。
【0010】
また、本発明に係る受信装置は、送信装置が周波数ホッピング方式により送信するデータを受信する受信装置であって、データ受信を行う受信部と、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて送信装置が複数回送信するデータをそれぞれ受信するように受信部を制御する受信制御部と、を備えるものである。
これにより、1周波数チャンネルあたりの受信データ量の増大化が図られる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、周波数ホッピング方式によるデータ通信が行われる場合において、データ転送レートの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一実施形態としての通信システムの構成例を説明するためのブロック図である。
【
図2】周波数ホッピング方式における周波数チャンネルの切り替えについての説明図である。
【
図3】周波数チャンネルごとに複数回のデータ送信を行う手法の例の説明図である。
【
図4】データ送信間隔を異ならせる手法の例の説明図である。
【
図6】送信スロットパターン群情報の例を示した図である。
【
図7】実施形態における送信データの例を示した図である。
【
図8】第一実施形態としての通信手法を実現するために送信制御部が実行すべき具体的な処理手順例を示したフローチャートである。
【
図9】第一実施形態としての通信手法を実現するために受信制御部が実行すべき具体的な処理手順例を示したフローチャートである。
【
図10】受信制御部が受信エラー対策のために実行する処理のフローチャートである。
【
図11】第二実施形態としての通信システムの構成例を説明するためのブロック図である。
【
図12】第二実施形態としての通信手法を実現するための処理手順例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を次の順序で説明する。
<1.第一実施形態>
(1-1.通信システムの構成)
(1-2.実施形態としての通信手法)
(1-3.処理手順)
<2.第二実施形態>
<3.変形例>
<4.実施形態のまとめ>
【0014】
<1.第一実施形態>
(1-1.通信システムの構成)
図1は、第一実施形態としての通信システム100の構成例を説明するためのブロック図であり、通信システム100を構成する送信機1と受信機20それぞれの内部構成例を示している。
実施形態としての通信システム100は、送信機1と受信機20との間で周波数ホッピング方式による無線データ通信を行うシステムとして構成されている。本例では、このような通信システム100を、例えば模型飛行機や模型自動車、各種ロボット等の被操縦体2を遠隔操縦するためのラジオコントロールシステムに適用する場合を例示する。この場合、送信機1としては、操作者からの操作入力を受け付け、操作情報を被操縦体2に設けられた受信機20に対して送信する装置として構成される。被操縦体2には、不図示の可動機構を駆動するためのアクチュエータ26が設けられる。被操縦体2における可動機構としては、例えば模型自動車の場合には操舵機構や車輪の駆動機構等が該当し、模型飛行機の場合にはプロペラの回転機構やエルロンやラダー等の可動翼の駆動機構等が該当する。また、ロボットの場合には各種関節部の可動機構等が該当する。アクチュエータ26としては、例えば、モータやソレノイド等、上記の可動機構を駆動するためのアクチュエータが用いられる。
【0015】
また、本例において、通信システム100における使用電波帯域は例えば920MHz(メガヘルツ)帯とされるものとする。さらに、周波数ホッピングにおける周波数CH(チャンネル)の切り替え周期は例えば200ms(ミリ秒)であるとする。
【0016】
図示のように送信機1は、操作部11、エンコーダ12、送信制御部13、メモリ部14、送信部15、及びアンテナ16を備える。
操作部11は、被操縦体2の操縦に係る各種操作を行うための操作子を包括的に示したものである。操作部11に設けられる操作子としては、例えば各種のレバーやボタン、ダイヤル(ホイール)、タッチセンサ等を挙げることができる。
ここで言う「操縦に係る操作」には、操縦内容を直接指示するための操作に限らず、例えばレバー等の操縦量を指示するための操作子の感度(操作量と操縦量との対応関係)の設定等、送信機1や受信機20の各種動作設定のための操作も含まれる。
操作部11は、操作子の操作に応じた操作情報を示す信号(操作信号)をエンコーダ12に対して出力する。
【0017】
なお、操作部11により実現されるユーザインターフェースとしてはGUI(Graphical User Interface)も有り得る。その場合、送信機1には例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等による表示部が設けられ、操作者としてのユーザは該表示部に表示されるメニュー画面に従って例えば各種設定のための操作を行う。
【0018】
エンコーダ12は、操作部11からの操作信号を所定のデータ形式による操作データにエンコードし、送信制御部13に出力する。
【0019】
送信制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、CPUがROM等のメモリに格納されたプログラムに従った処理を実行することで送信機1の全体制御を行う。主には、受信機20に対し周波数ホッピング方式によるデータ送信を行うための各種制御を行う。
【0020】
具体的に、送信制御部13は、送信部15の動作制御を行う。
送信部15は、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行うことが可能に構成され、アンテナ16からの送信電波の周波数切り替えを行うことが可能とされる。
送信制御部13は、エンコーダ12から入力された操作データを含む送信データを生成し、送信部15により該送信データを受信機20に対して送信させる。
なお、実施形態としてのデータ送信手法の具体例については後に改めて説明する。
【0021】
送信制御部13には、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成されたメモリ部14が接続されている。メモリ部14は、送信制御部13が各種処理を実行する上で用いる各種のデータの記憶に用いられる。特に、本例におけるメモリ部14には、送信スロットパターン群情報Isが記憶されるが、この送信スロットパターン群情報Isについては改めて説明する。
【0022】
ここで、送信制御部13は、エンコーダ12から入力される操作データに基づき、上述した各種動作設定のための処理を実行する場合もある。
【0023】
続いて、被操縦体2について説明する。
図示のように被操縦体2は、受信機20及びアクチュエータ26を備える。
受信機20は、アンテナ21、受信部22、受信制御部23、メモリ部24、デコーダ25を備えている。
【0024】
受信部22は、送信機1からの送信データをアンテナ21を介して受信する。周波数ホッピング方式によるデータ通信に対応するため、受信部22は、受信周波数の切り替え機能を有している。
【0025】
受信制御部23は、例えばCPUやROM、RAM等を備えたマイクロコンピュータを有して構成され、CPUがROM等のメモリに格納されたプログラムに従った処理を実行することで受信機20の全体制御、主には、周波数ホッピング方式によるデータ受信を行うための各種制御を行う。具体的に、受信制御部23は、周波数ホッピング方式によるデータ受信を実現するために、受信部22による受信周波数を順次切り替える制御を行う。
なお、実施形態としてのデータ受信手法の具体例については後に改めて説明する。
【0026】
また、受信制御部23は、受信部22により受信された、送信機1からの送信データに含まれる操作データを取得し、該操作データをデコーダ25に出力する処理を行う。
【0027】
メモリ部24は、受信制御部23に接続された例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、受信制御部23が各種処理を実行する上で用いる各種のデータの記憶に用いられる。特に、本例におけるメモリ部24には、送信スロットパターン群情報Isが記憶される。
【0028】
デコーダ25は、受信制御部23より入力される操作データをデコードすることで、アクチュエータ26の駆動制御信号を得る。
アクチュエータ26は、この駆動制御信号に基づき駆動される。これにより、送信機1における操作部11の操作に応じて被操縦体2における可動機構が駆動され、被操縦体2が操作者の操作に応じて動作する。すなわち、被操縦体2の操縦が実現される。
【0029】
ここで、上記のように構成される通信システム100においては、送信機1と受信機20との間で、データ通信開始前に、事前処理としてのプレ処理が行われる。このプレ処理は、例えば操作部11を介したユーザ操作に基づき行われる。
このプレ処理において、送信機1と受信機20との間で、周波数ホッピング方式における周波数の切り替えパターンが共有される。
【0030】
確認のため、
図2を参照し、周波数ホッピング方式における周波数CHの切り替えについて説明しておく。
図示のように本例では、周波数ホッピングで使用する周波数CHは、例えばCH1からCH22の22個であるとする。この場合、周波数の切り替えパターンは、この22個の周波数CHをどのような順序で切り替えるかについてのパターンを意味する。
【0031】
図中、点線で示す縦線は、周波数ホッピングにおける周波数の切り替え周期を表す。前述のように、本例の場合、この周波数の切り替え周期は200ms周期である。
以下の説明において、周波数ホッピングにおける周波数の切り替えタイミング間の期間のことを図示のように「一周波数期間」と表記する。
【0032】
本例では、200ms周期となる周波数切り替え周期により、22の周波数CHを順次切り替えていく。この場合、図中の一点鎖線で示す同一周波数CHの繰り返し周期は4.4sとされる。
【0033】
(1-2.実施形態としての通信手法)
ここで、先に触れたように、例えばBLE(Bluetooth Low Energy:登録商標)等の従来の2.4GHz帯を使用する周波数ホッピング方式では、周波数チャンネルの切り替え周期が1.6ms周期等の比較的短い周期とされており、各周波数チャンネルにおけるデータ送信回数は1回とされている。
【0034】
これに対し、本例のように920MHz帯を使用する無線データ通信を行う場合には、規格上、2.4GHz帯の通信を行う場合よりも周波数チャンネルの切り替え周期を長くすることが要請される。
具体的に、920MHz帯における現実的な周波数CHの数は概ね20から30程度であり、また、日本国内における920MHz帯特定小電力無線規格では以下のような条件が定められている。
1)1時間あたりの全ての周波数CHにおけるデータ送信時間の総和は720s以下とする(つまり無線設備あたりの送信Dutyは20%以下とする)
2)1周波数CHにおける1時間あたりのデータ送信時間の総和は36s以下とする(つまり1周波数CHあたりの送信Dutyは1%以下とする)
3)1周波数CHにおける連続送信時間は400ms以下とし、その周波数CHによる次のデータ送信までは4s以上送信を休止する
【0035】
特に、上記3)の条件から、920MHz帯を使用する周波数ホッピング方式の無線通信では、周波数チャンネルの切り替え周期を長くすることが要請される。
【0036】
このような920MHz帯の周波数ホッピング方式のように、周波数チャンネルの切り替えを比較的低速に行うことが要請される場合には、従来の2.4GHz帯の方式のように周波数チャンネルごとのデータ送信回数を1回としたのでは、必要なデータ転送レートを満足できなくなる虞がある。
特に、本例のようにラジオコントロールシステムへの適用を想定した場合、操作データの転送レートが低下すると、被操縦体2の操縦性悪化に繋がる虞があるため、データ転送レートの向上を図ることが要請される。
【0037】
そこで、本実施形態では、
図3に示すように、各周波数CHにおいてデータ送信を複数回行うという手法を採る。
図3の例では、上述した通信規格の条件を満足しつつデータ転送レートの向上を図るために、1周波数CHあたりに2msによるデータ送信を20回行うものとしている。
このように各周波数CHにおいてデータ送信を複数回行うことで、1周波数CHあたりの送信データ量の増大化が図られ、周波数ホッピング方式によるデータ通信が行われる場合において、データ転送レートの向上を図ることができる。
【0038】
ここで、周波数CHごとのデータ送信回数を「c」(
図3の例では20回)とおく。
以下の説明では、一周波数期間をc等分して形成されるc個の期間のことを「繰り返し送信期間」と表記する。
本例では、一周波数期間=200msであるため、繰り返し送信期間はc=20であれば10msの期間となる。
【0039】
ここで、
図3では、一周波数期間内の各繰り返し送信期間において、先頭の2msの期間でデータ送信を行う例を示したが、このように各繰り返し送信期間内においてデータ送信を行う期間が固定されていると、周波数ホッピング方式により通信を行う他の通信システム100が比較的近傍に存在し、この他の通信システム100と使用する周波数CHが重複した場合に、受信エラーが連続して生じる可能性がある。換言すれば、受信機20側で送信データを連続して受信できない期間が一周波数期間にわたって継続されてしまう虞がある。
また、周波数ホッピング方式では、先の
図2にも示した同一周波数CHの繰り返し周期で同じ周波数CHが選択されることになるため、他の通信システム100と周波数CHが重複したということは、その後に再度同一の周波数CHが選択された際に受信エラーが再発する虞もある。
【0040】
そこで、本実施形態では、受信エラーの発生頻度抑制を図るべく、
図4に示すように、周波数CHごとに行われる複数回のデータ送信について、少なくとも一部のデータ送信間隔を異ならせるという手法を採る。
具体的に本例では、周波数CHごとに行われる複数回のデータ送信について、データ送信間隔をランダムに変化させる。
【0041】
上記のように各周波数CHにおいてデータ送信間隔を異ならせることで、連続した受信エラーが生じ難くなるように図ることができ、周波数CHごとに複数回のデータ送信を行うことによるデータ転送レートの向上と、通信安定性の向上との両立を図ることができる。
また、データ送信間隔をランダムに変化させることで、他の送信機1との間でデータ送信タイミングが重複してしまう可能性のさらなる低減を図ることが可能となり、通信安定性の向上効果を高めることができる。
【0042】
以下、上記のように各周波数CHにおいてデータ送信間隔を異ならせるための具体的な手法について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、スロットSLの説明図である。
スロットSLは、繰り返し送信期間の長さを「f」(本例では10ms)、データ送信1回あたりのデータ送信時間長を「t」(本例では2ms)としたとき、繰り返し送信期間をf/t等分して形成される期間である。
【0043】
本実施形態では、各繰り返し送信期間を複数のスロットSLに分割し、データ送信を行うスロットSLを、少なくとも一部の繰り返し送信期間の間で異ならせることで、データ送信間隔を異ならせるという手法を採る。
具体的に本例では、繰り返し送信期間ごとにデータ送信を行うスロットSLをランダムに変化させることで、データ送信間隔をランダムに変化させる。
【0044】
本実施形態において、送信制御部13は、上記のようにデータ送信間隔を異ならせるにあたり、先の
図1に示した送信スロットパターン群情報Isを用いる。
【0045】
図6は、送信スロットパターン群情報Isの例を示した図である。
送信スロットパターン群情報Isは、「送信スロットパターン情報」を複数含んだ情報である。「送信スロットパターン情報」とは、f/t個のスロットSLのうち、データ送信を行うスロットである「送信スロット」を繰り返し送信期間ごとに定めた情報である。
この「送信スロットパターン情報」は、一周波数期間における送信回数ごとに、送信スロットを定めた情報と換言することができる。ここでの送信回数は、一周波数期間内における繰り返し送信期間の識別子と換言できる。
【0046】
送信スロットパターン群情報Isは、上記のような送信スロットパターン情報として、繰り返し送信期間(送信回数)に対する送信スロットの割り当てパターンが異なる複数種の送信スロットパターン情報を含んで構成されている。
具体的に、本例における送信スロットパターン群情報Isにおいては、各送信スロットパターン情報における繰り返し送信期間に対する送信スロットの割り当てがランダムに行われたものとされている。このランダムな割り当ては、例えばリードソロモン系列等の擬似乱数系列に基づき行うことができる。
【0047】
ここで、送信スロットパターン群情報Isにおいて、各送信スロットパターン情報を識別するための識別子を「パターン識別子」と表記する。
図示のように本例における送信スロットパターン群情報Isは、複数種類の送信スロットパターン情報と共に、それら送信スロットパターン情報ごとのパターン識別子を含む情報として構成されている。
【0048】
送信機1における送信制御部13は、上記のような送信スロットパターン群情報Isから選択した一の送信スロットパターン情報に従って、繰り返し送信期間ごと(送信回数ごと)のデータ送信タイミングを制御する。
これにより、繰り返し送信期間ごとにデータ送信を行うスロットSLをランダムに変化させることができ、データ送信間隔をランダムに変化させることができる。
【0049】
ここで、本実施形態において、送信機1における送信制御部13、及び受信機20における受信制御部23は、データ通信開始前に、データ通信に適用する送信スロットパターン情報を共有する。この共有は、例えば前述したプレ処理の際に行う。
具体的に、送信制御部13は、該プレ処理の際に、自身が選択した送信スロットパターン情報を示すパターン識別子を送信部15により受信制御部23に対して送信させる。
【0050】
パターン識別子を受信した受信制御部23は、メモリ部24に記憶された送信スロットパターン群情報Isを参照して、該パターン識別子が示す送信スロットパターン情報を特定する。そして、データ通信開始後は、該特定した送信スロットパターン情報に従って受信部22による受信動作を実行させる。具体的には、各繰り返し送信期間において、該特定した送信スロットパターン情報が示す送信スロットに応じた期間長による受信ウィンドウの設定を受信部22に指示し、送信データの受信動作を実行させる。ここで言う受信ウィンドウとは、受信部22が受信動作を行う期間を意味する。受信ウィンドウを送信スロットに応じた期間とすることで、他の通信システム100による送信データが誤受信されてしまうことの防止が図られる。
【0051】
ここで、本例では、受信機20において送信データについての受信エラーが生じた場合の対策として、送信制御部13は、送信データ中に送信回数とパターン識別子とを含ませる処理を行う。具体的に、送信制御部13は、繰り返し送信期間ごとの送信データとして、選択中の送信スロットパターン情報を示すパターン識別子と、データ送信回数を示す情報とを含む送信データを送信させる処理を行う。
【0052】
図7は、送信データの例を示している。
本例では、受信機20に対しては操作データを送信する。このため、上記の処理が行われることで、この場合の送信データには、操作データ、パターン識別子、及び送信回数の情報が含まれる。このとき、パターン識別子及び送信回数の情報は、送信データにおけるヘッダ領域等、実データ領域(本例では操作データの格納領域)とは異なる領域に格納することが考えられる。
【0053】
受信機20側において、受信エラーが発生した際には、一周波数期間における送信回数を正確に把握することが困難となる。具体的に、本例における受信制御部23は、受信部22による送信データの受信回数をカウントすることで送信回数を認識するようにされているが、この場合において、受信エラーが発生すると送信回数を正確に把握することが困難となる。
また、送信機1側において、データ通信に適用する送信スロットパターン情報はデータ通信開始以降に変更され得る。受信エラーが発生したタイミングや期間によっては、このような送信スロットパターン情報の変更を受信機20側で認識できない場合も考えられる。
【0054】
上記のように各送信データ中に送信回数の情報を含ませるようにすることで、受信エラーの発生に伴い受信機20側でカウントする受信回数(送信回数)と実際の送信回数とが不一致となったとしても、正確な送信回数を認識することが可能となり、現在の送信回数に対応する適切なスロットのタイミングで送信データを受信することができる。
また、上記のように各送信データ中にパターン識別子を含ませることで、送信機1が選択中の送信スロットパターンを受信機20側に通知することができ、受信機20側が繰り返し送信期間ごとに適切にスロットを選択し、送信データを適切に受信できるように図ることができる。
【0055】
(1-3.処理手順)
上記により説明した第一実施形態としての通信手法を実現するために送信制御部13及び受信制御部23が実行すべき具体的な処理手順例について、
図8から
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0056】
図8は、送信制御部13の処理を示したフローチャートである。
なお、
図8に示す処理は、前述したプレ処理が完了した後に開始されるものである。すなわち、
図8に示す処理が開始される時点では、送信機1と受信機20との間で適用する送信スロットパターン情報が共有された状態にある。
【0057】
先ず、送信制御部13はステップS101で、送信回数nを0リセットする。送信回数nは、一周波数期間内における送信データの送信回数を意味するものである。
【0058】
ステップS101に続くステップS102で送信制御部13は、選択中の送信スロットパターン情報のパターン識別子を取得し、さらに続くステップS103で、取得した送信スロットパターン情報と現在の送信回数nとを含む送信データを生成する。すなわち、先の
図7で説明したように、パターン識別子と送信回数nと操作データとを含む送信データを生成するものである。
【0059】
そして、ステップS103に続くステップS104で送信制御部13は、現在の送信回数nに対応するスロットのタイミングで送信データを送信させる。すなわち、適用中の送信スロットパターン情報における、現在の送信回数nに対応づけられたスロットSLのタイミングで、生成した送信データを送信部15に送信させる。
【0060】
ステップS104に続くステップS105で送信制御部13は、繰り返し送信期間が終了したか否かを判定する。つまり本例では、10msの時間が経過したか否かの判定を行う(
図5参照)。
ステップS105において、繰り返し送信期間が終了していないと判定した場合、送信制御部13はステップS106に進み、送信処理終了条件が成立したか否かを判定する。送信処理終了条件とは、例えば送信機1の電源OFF等、受信機20側に対するデータ送信処理を終了すべきとして予め定められた所定の条件を意味する。
送信処理終了条件が成立していないと判定した場合、送信制御部13はステップS105に戻る。すなわち、ステップS105及びS106の処理によっては、繰り返し送信期間の終了と送信処理終了条件の成立との何れかを待機するループ処理が形成される。
【0061】
ステップS105において、繰り返し送信期間が終了したと判定した場合、送信制御部13はステップS107に進み、周波数CH切り替えタイミングか否かを判定する。すなわち、周波数ホッピングにおける周波数CHの切り替えタイミングが到来したか否かを判定する。この処理は、送信回数nが周波数CHごとのデータ送信回数c(本例では20)に達したか否かの判定として行うことができる。
周波数CH切り替えタイミングではないと判定した場合、送信制御部13はステップS108に進んで送信回数nを1インクリメント(n←n+1)し、ステップS102に戻る。
これにより、一周波数期間内においては、繰り返し送信期間ごとに、ステップS102からS104の処理が実行されて送信データの送信処理が行われると共に、ステップS108で送信回数nがカウントされる。
【0062】
また、ステップS107において、周波数CH切り替えタイミングであると判定した場合、送信制御部13はステップS101に戻る。これにより、周波数CHごと(つまり一周波数期間ごと)に送信回数nが0リセットされる。
【0063】
送信制御部13は、ステップS106で送信処理終了条件が成立したと判定したことに応じて、
図8に示す一連の処理を終える。
【0064】
図9は、受信制御部23の処理を示したフローチャートである。
図9に示す処理としても、前述したプレ処理が完了した後に開始されるものであり、従って
図9に示す処理が開始される時点では、送信機1と受信機20との間で適用する送信スロットパターン情報が共有された状態にある。
【0065】
図9において、受信制御部23はステップS201で、受信回数mを0リセットとする。そして、続くステップS202で受信制御部23は、選択中の送信スロットパターン情報において、受信回数mと一致する送信回数に対応付けられているスロット番号(つまり送信スロット)を特定し、さらに続くステップS203で、特定したスロット番号に対応する受信ウィンドウによる受信動作の実行指示を行う。すなわち、受信部22に対し、特定した送信スロットに対応する受信ウィンドウの設定を指示して、送信データの受信動作を実行させる。
【0066】
ステップS203に続くステップS204で受信制御部23は、繰り返し送信期間終了か否かを判定する。
ステップS204において、繰り返し送信期間が終了していないと判定した場合、受信制御部23はステップS205に進み、受信処理終了条件が成立したか否かを判定する。受信処理終了条件とは、例えば送信機1側からのデータ送信の終了通知や受信機20の電源OFF等、送信機1からの送信データの受信処理を終了すべきとして予め定められた所定の条件を意味する。
受信処理終了条件が成立していないと判定した場合、受信制御部23はステップS204に戻る。すなわち、ステップS204及びS205の処理によっては、繰り返し送信期間の終了と受信処理終了条件の成立との何れかを待機するループ処理が形成される。
【0067】
ステップS204において、繰り返し送信期間が終了したと判定した場合、受信制御部23はステップS206に進み、周波数CH切り替えタイミングか否かを判定し、周波数CH切り替えタイミングではないと判定した場合は、ステップS207に進んで受信回数mを1インクリメント(m←m+1)し、ステップS202に戻る。
これにより、一周波数期間内においては、繰り返し送信期間ごとに、ステップS202及びS203の処理が実行されて送信データが適切なタイミングで受信されると共に、ステップS207で受信回数mがカウントされる。
【0068】
また、ステップ206において、周波数CH切り替えタイミングであると判定した場合、受信制御部23はステップS201に戻る。これにより、周波数CHごと(つまり一周波数期間ごと)に受信回数mが0リセットされる。
【0069】
受信制御部23は、ステップS205で受信処理終了条件が成立したと判定したことに応じて、
図9に示す一連の処理を終える。
【0070】
図10は、受信機20における受信エラー対策のための処理を示したフローチャートである。
受信制御部23は、
図9に示した処理と並行して
図10に示す処理を実行する。
【0071】
ステップS250で受信制御部23は、受信エラーの発生を待機し、受信エラーが発生した場合は、ステップS251で受信ウィンドウを最大化した受信動作の実行指示を行う。すなわち、受信部22に対し、繰り返し送信期間の全長まで最大化した受信ウィンドウの設定を指示して、受信動作を実行させる。
【0072】
ステップS251に続くステップS252で受信制御部23は、受信成功か否か、すなわち受信ウィンドウを最大化させた受信動作により送信データを受信できたか否かを判定し、受信成功でないと判定した場合は、ステップS251に戻る。すなわち、受信成功となるまで、受信ウィンドウを最大化した受信動作を繰り返し実行させるものである。
【0073】
ステップS252において、受信成功と判定した場合、受信制御部23はステップS253に進み、受信データに含まれるパターン識別子と送信回数の情報を取得する。そして、続くステップS254で受信制御部23は、取得したパターン識別子が示す送信スロットパターン情報を選択し、さらに続くステップS255で、取得した送信回数に基づく受信回数mの修正処理を行う。すなわち、受信回数mを、取得した送信回数+1の値に修正する処理を行う。なお、取得した送信回数がcであった場合には、受信回数mは0とする。
上記のような受信回数mの修正処理が行われることで、次の繰り返し送信期間からは、受信ウィンドウを送信スロットに応じた期間に短縮化した受信動作を行うことができ、他の通信システム100による送信データが誤受信されてしまうことの防止が図られる。
【0074】
受信制御部23は、ステップS255の修正処理を実行したことに応じて
図10に示す一連の処理を終える。
【0075】
<2.第二実施形態>
続いて、第二実施形態について説明する。
第二実施形態は、他の通信システムとの間で適用する送信スロットパターンが重複してしまうことの防止を図るものである。
なお以下の説明において、既に説明済みとなった部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図11は、第二実施形態としての通信システム100Aの構成例を説明するためのブロック図である。
図示のように通信システム100Aは、送信機1Aと、第一実施形態で説明した受信機20を含む被操縦体2とを備える。
【0077】
送信機1Aは、第一実施形態の送信機1と比較して、受信部18が追加された点と、送信制御部13に代えて送信制御部13Aが設けられた点が異なる。
受信部18は、受信部22と同様、周波数ホッピング方式によるデータ通信に対応するため受信周波数の切り替え機能を有しており、アンテナ16を介して、他の送信機1A(又は送信機1)による送信データを受信する。
【0078】
送信制御部13Aは、先の
図8に示した処理を実行する点は送信制御部13と同様となるが、受信部18による受信データに基づき、以下のような処理を実行する点が送信制御部13とは異なる。
すなわち、送信制御部13Aは、受信機20に対するデータ送信の開始前に、受信部18により他の送信機1A(又は送信機1:以下、第二実施形態において同様)の送信データの受信動作を実行させ、他の送信機1Aの送信データに含まれるパターン識別子に基づき、他の送信機1Aが選択中の送信スロットパターン情報が、自装置が適用予定であった送信スロットパターン情報と一致するか否かを判定し、両者が一致すると判定した場合に、送信スロットパターン群情報から別の送信スロットパターン情報を選択する処理を行う。
【0079】
図12のフローチャートを参照し、上記のような第二実施形態としての通信手法を実現するための送信制御部13Aの具体的な処理手順例を説明する。
なお、送信制御部13Aは、
図12に示す処理を、例えば受信機20に対する送信データの送信処理開始前のタイミングで開始する。
【0080】
送信制御部13AはステップS301で、受信動作実行指示として、受信部18による受信動作の実行指示を行う。この受信動作としては、前述した受信ウィンドウを最大化させて実行させることが考えられる。
【0081】
ステップS301に続くステップS302で送信制御部13Aは、データが受信され且つ受信データにパターン識別子が含まれているか否かを判定する。すなわち、ステップS301で実行させた受信動作によりデータが受信され、且つ受信されたデータ中にパターン識別子が含まれているか否かを判定する。
データが受信されてないか、又はデータが受信されたが受信データにパターン識別子が含まれておらず、ステップS302の条件を満たさないと判定した場合、送信制御部13Aは
図12に示す一連の処理を終える。
【0082】
一方、ステップS302において、データが受信され且つ受信データにパターン識別子が含まれていると判定した場合、送信制御部13AはステップS303に進み、適用予定の送信スロットパターン情報とパターン識別子が一致するか否かを判定する。すなわち、送信スロットパターン群情報Isにおける送信スロットパターン情報のうち自身が適用予定であった送信スロットパターン情報のパターン識別子と、受信データに含まれていたパターン識別子(つまり他の通信システム100A又は100で適用中の送信スロットパターン情報を表すパターン識別子)とが一致するか否かを判定するものである。
【0083】
ステップS303において、適用予定の送信スロットパターン情報とパターン識別子が一致しないと判定した場合、送信制御部13AはステップS304に進み、送信スロットパターン群情報Isから適用予定であった送信スロットパターン情報を選択する。つまり、この場合は自身が適用予定であった送信スロットパターン情報と他の通信システム100A(又は100)で適用中の送信スロットパターン情報とが重複しないため、適用予定であった送信スロットパターン情報を選択する。
【0084】
一方、ステップS303において、適用予定の送信スロットパターン情報とパターン識別子が一致すると判定した場合、送信制御部13AはステップS305に進み、送信スロットパターン群情報Isから別の送信スロットパターン情報(適用予定であった送信スロットパターン情報とは別の送信スロットパターン情報)を選択する。これにより、他の通信システム100A(又は100)との間で適用する送信スロットパターンが重複してしまうことの防止が図られる。
【0085】
送信制御部13Aは、ステップS304の処理、ステップS305の処理の何れかを実行したことに応じて
図12に示す一連の処理を終える。
【0086】
<3.変形例>
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は上記した具体例に限定されるものではなく、多様な変形例としての構成を採り得るものである。
例えば、上記では、本発明をラジオコントロールシステムにおけるデータ通信に適用する場合を例示したが、本発明は、周波数ホッピング方式による無線データ通信を行う通信システムに広く好適に適用可能なものである。
【0087】
また、無線データ通信における使用電波帯域、周波数CHの数、データ送信回数c、繰り返し送信期間の長さf、データ送信時間長tについて、実施形態で例示した数値はあくまで一例に過ぎず、それらの数値に限定されるものではない。
【0088】
<4.実施形態のまとめ>
上記のように実施形態としての送信装置(送信機1,1A)は、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置であって、データ送信を行う送信部(同15)と、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて送信部がデータ送信を複数回行うように制御する送信制御部(同13,13A)と、を備えたものである(
図3,4等参照)。
これにより、1周波数チャンネルあたりの送信データ量の増大化が図られる。
従って、周波数ホッピング方式によるデータ通信が行われる場合において、データ転送レートの向上を図ることができる。
【0089】
また、実施形態としての送信装置においては、送信制御部は、周波数チャンネルごとに行われる複数回のデータ送信について、少なくとも一部のデータ送信間隔を異ならせている(
図4等参照)。
周波数ホッピング方式により通信を行う他の通信システムが比較的近傍に存在する場合には、この他の通信システムとの間で周波数チャンネルが重複して受信装置側で送信データの受信がエラーとなる可能性があるが、本発明のように周波数チャンネルごとに複数回のデータ送信を行うようにした場合、他の通信システムとの間で周波数チャンネルが重複した際に、受信エラーが連続して生じる可能性がある。換言すれば、受信装置側で送信データを連続して受信できない期間が1周波数チャンネル分の期間にわたって継続されてしまう虞がある。そこで、上記のように周波数チャンネルごとに行われる複数回のデータ送信について、少なくとも一部のデータ送信間隔を異ならせるようにする。
これにより、連続した受信エラーが生じ難くなるように図ることができ、周波数チャンネルごとに複数回のデータ送信を行うことによるデータ転送レートの向上と、通信安定性の向上との両立を図ることができる。
【0090】
さらに、実施形態としての送信装置においては、周波数の切り替え周期が一定とされ、各周波数チャンネルにおけるデータ送信回数及び1データ送信あたりのデータ送信時間長が同じとされており、周波数チャンネルごとのデータ送信回数をc、データ送信時間長をt、周波数チャンネルの切り替えタイミング間の期間である一周波数期間をc等分して形成されるそれぞれの期間である繰り返し送信期間の長さをfとしたとき、送信制御部は、繰り返し送信期間をf/t等分して形成されるf/t個のスロット(同SL)のうち、データ送信を行うスロットを少なくとも一部の繰り返し送信期間の間で異ならせることで、データ送信間隔を異ならせている(
図5等参照)。
これにより、一部の繰り返し送信期間の間でデータ送信を行うスロットを異ならせるという簡易な処理で、各周波数チャンネルにおける少なくとも一部のデータ送信間隔を異ならせることが可能となる。
従って、データ送信間隔を異ならせることにより通信安定性の向上を図るための送信制御処理について、処理負担の軽減を図ることができる。
【0091】
さらにまた、実施形態としての送信装置においては、f/t個のスロットのうちデータ送信を行うスロットである送信スロットを繰り返し送信期間ごとに定めた情報である送信スロットパターン情報として、繰り返し送信期間に対する送信スロットの割り当てパターンが異なる複数種の送信スロットパターン情報を含んだ情報である送信スロットパターン群情報(同Is)が記憶される記憶部(メモリ部14)を備え、送信制御部は、送信スロットパターン群情報から選択した一の送信スロットパターン情報に従って、送信部に繰り返し送信期間ごとのデータ送信を実行させている(
図6,
図8等参照)。
これにより、送信スロットパターンを異なるパターンに切り替えることが可能となる。
従って、他の通信システムとの間で送信スロットパターンが重複し難くなるように図ることができ、受信エラーの頻度低減が図られ、通信安定性のさらなる向上を図ることができる。
【0092】
また、実施形態としての送信装置においては、送信制御部は、繰り返し送信期間ごとの送信データとして、選択中の送信スロットパターン情報を示すパターン識別子と、データ送信回数を示す情報とを含む送信データを送信させている(
図7,
図8等参照)。
送信データ中にパターン識別子を含ませることで、送信装置が選択中の送信スロットパターンを受信装置に通知することができ、受信装置が繰り返し送信期間ごとに適切なスロットを選択し、送信データを適切に受信できるように図ることができる。また、送信データ中にデータ送信回数を示す情報を含ませることで、仮に、受信装置が途中で送信データを受信不能となって受信装置側でカウントする受信回数(送信回数)と実際の送信回数とが不一致となったとしても、正確な送信回数を認識することが可能となり、現在の送信回数に対応する適切なスロットのタイミングで送信データを受信することができる。
【0093】
さらに、実施形態としての送信装置(送信機1A)においては、データ受信を行う受信部(同18)を備え、送信制御部(同13A)は、受信装置に対するデータ送信の開始前に、受信部により他の送信装置の送信データの受信動作を実行させ、他の送信装置の送信データに含まれるパターン識別子に基づき、他の送信装置が選択中の送信スロットパターン情報が、自装置が適用予定であった送信スロットパターン情報と一致するか否かを判定し、両者が一致すると判定した場合に、送信スロットパターン群情報から別の送信スロットパターン情報を選択している(
図11,
図12等参照)。
これにより、他の送信装置と送信スロットパターンが重複してしまう事態を、受信装置に対するデータ送信開始前の段階で事前に回避することが可能となる。
従って、他の送信装置と送信スロットパターンが重複することに起因した受信エラーの発生回避を図ることができ、通信安定性の向上を図ることができる。
【0094】
さらにまた、実施形態としての送信装置(送信機1,1A)においては、送信制御部(同13,13A)は、周波数チャンネルごとに行われる複数回のデータ送信について、データ送信間隔をランダムに変化させている。
データ送信間隔をランダムに変化させることで、他の送信装置との間でデータ送信タイミングが重複してしまう可能性のさらなる低減を図ることが可能となる。
従って、受信エラーの発生頻度のさらなる低減を図ることができ、通信安定性の向上効果を高めることができる。
【0095】
実施形態としての送信方法は、周波数ホッピング方式によるデータ送信を行う送信装置における送信方法であって、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいてデータ送信を複数回行う送信方法である。
このような送信方法によっても、上記した実施形態としての送信装置と同様の作用及び効果が得られる。
【0096】
また、実施形態としての受信装置(受信機20)は、送信装置が周波数ホッピング方式により送信するデータを受信する受信装置であって、データ受信を行う受信部(同22)と、周波数ホッピングにより切り替えられる各周波数チャンネルにおいて送信装置が複数回送信するデータをそれぞれ受信するように受信部を制御する受信制御部(同23)と、を備えるものである(
図1,
図9,
図11等参照)。
これにより、1周波数チャンネルあたりの受信データ量の増大化が図られる。
従って、周波数ホッピング方式によるデータ通信が行われる場合において、データ転送レートの向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0097】
100,100A 通信システム
1,1A 送信機
2 被操縦体
11 操作部
12 エンコーダ
13,13A 送信制御部
14 メモリ部
15 送信部
16,21 アンテナ
Is 送信スロットパターン群情報
SL スロット
18 受信部
20 受信機
22 受信部
23 受信制御部
24 メモリ部
25 デコーダ
26 アクチュエータ