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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160637
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】端末装置、基地局装置及び通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/08 20090101AFI20231026BHJP
   H04W 4/40 20180101ALI20231026BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20231026BHJP
   H04W 92/18 20090101ALI20231026BHJP
   H04W 36/24 20090101ALI20231026BHJP
【FI】
H04W48/08
H04W4/40
H04W84/06
H04W92/18
H04W36/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071122
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】示沢 寿之
(72)【発明者】
【氏名】内山 博允
(72)【発明者】
【氏名】草島 直紀
(72)【発明者】
【氏名】菅井 廉
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA23
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】非地上波ネットワークのカバレッジ外における信頼性をより向上することができる仕組みを提案する。
【解決手段】本開示の端末装置は、非地上基地局装置との間で衛星通信を行う。端末装置は、制御部を備える。制御部は、非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を非地上基地局装置から取得する。制御部は、非地上基地局装置のカバレッジ内からカバレッジ外に移動した場合に、非衛星通信情報を用いて非衛星通信を行う。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非地上基地局装置との間で衛星通信を行う端末装置であって、
前記非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記非地上基地局装置から取得し、
前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う、制御部、
を備える端末装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて、地上基地局装置と前記非衛星通信を行う、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記非衛星通信情報は、前記地上基地局装置へのハンドオーバーに関する情報、前記非地上基地局装置からのデタッチに関する情報、及び、次以降のハンドオーバー先に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて、前記非衛星通信として、他の端末装置とサイドリンク通信を行う、請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記非衛星通信情報は、サイドリンク通信に関する情報を含む、請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記非衛星通信情報は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外への移動トリガーに関する情報を含む、請求項1に記載の端末装置。
【請求項7】
前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外への前記移動トリガーに関する前記情報は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内での受信電力に関する閾値情報、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外への移動を実施するタイマーに関する情報、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外への移動を実施する時刻に関する情報、及び、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外への移動の実行に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記非地上基地局装置は、第1の非地上基地局装置であり、
前記制御部は、前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外から前記カバレッジ内に移動した場合、第2の非地上基地局装置と前記衛星通信を行う、請求項1に記載の端末装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外から前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内に移動したときの前記衛星通信で使用する衛星通信情報を取得する、請求項8に記載の端末装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記衛星通信情報を前記第1の非地上基地局装置から取得する、請求項9に記載の端末装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記衛星通信情報を前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外で前記非衛星通信を行う地上基地局装置から取得する、請求項9に記載の端末装置。
【請求項12】
前記第2の非地上基地局装置は、前記第1の非地上基地局装置である、請求項8に記載の端末装置。
【請求項13】
前記非衛星通信情報は、前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外への移動トリガーに関する情報を含み、
前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外への前記移動トリガーに関する前記情報は、即時移動の情報、移動実施までのタイマー情報、受信電力に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項12に記載の端末装置。
【請求項14】
前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外から前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内に移動したときの前記衛星通信で使用する衛星通信情報は、前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内への移動トリガーに関する情報を含み、
前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内への前記移動トリガーに関する前記情報は、受信電力に関する情報、タイマー情報、時刻情報、トリガー検出動作の実施開始時刻に関する情報、タイマー終了後の動作に関する情報、及び、周辺環境情報の少なくとも1つを含む、請求項12に記載の端末装置。
【請求項15】
前記第2の非地上基地局装置は、前記第1の非地上基地局装置と異なる、請求項8に記載の端末装置。
【請求項16】
前記第2の非地上基地局装置は、前記第2の非地上基地局装置のカバレッジ内に移動したときの前記衛星通信で使用する衛星間情報を、前記第1の非地上基地局装置から取得する、請求項15に記載の端末装置。
【請求項17】
前記制御部は、端末情報を前記非地上基地局装置に通知し、
前記非地上基地局装置は、前記端末情報を用いて、前記端末装置が前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外となるタイミングを推定する、
請求項1に記載の端末装置。
【請求項18】
端末装置との間で衛星通信を行う基地局装置であって、
前記基地局装置のカバレッジ外で前記端末装置が非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記端末装置に通知する、制御部、
を備え、
前記端末装置は、前記基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う、
基地局装置。
【請求項19】
端末装置が非地上基地局装置との間で衛星通信を行う通信方法であって、
前記非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記非地上基地局装置から取得することと、
前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行うことと、
を含む通信方法。
【請求項20】
基地局装置が端末装置との間で衛星通信を行う通信方法であって、
前記基地局装置のカバレッジ外で前記端末装置が非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記端末装置に通知すること、
を含み、
前記端末装置は、前記基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置、基地局装置及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラー移動通信の無線アクセス方式および無線ネットワーク(以下、「Long Term Evolution(LTE)」、「LTE-Advanced(LTE-A)」、「LTE-Advanced Pro(LTE-A Pro)」、「New Radio(NR)」、「New Radio Access Technology(NRAT)」、「Evolved Universal Terrestrial Radio Access(EUTRA)」、または「Further EUTRA(FEUTRA)」とも称する。)が、第三世代パートナーシッププロジェクト(3rd Generation Partnership Project:3GPP(登録商標))において検討されている。なお、以下の説明において、LTEは、LTE-A、LTE-A Pro、およびEUTRAを含み、NRは、NRAT、およびFEUTRAを含む。LTEでは基地局装置(基地局)はeNodeB(evolved NodeB)、NRでは基地局装置(基地局)はgNodeB、LTEおよびNRでは端末装置(移動局、移動局装置、端末)はUE(User Equipment)とも称する。LTEおよびNRは、基地局装置がカバーするエリアをセル状に複数配置するセルラー通信システムである。単一の基地局装置は複数のセルを管理してもよい。
【0003】
NRは、LTEに対する次世代の無線アクセス方式として、LTEとは異なるRAT(Radio Access Technology)である。NRは、eMBB(Enhanced mobile broadband)、mMTC(Massive machine type communications)およびURLLC(Ultra reliable and low latency communications)を含む様々なユースケースに対応できるアクセス技術である。NRは、それらのユースケースにおける利用シナリオ、要求条件、および配置シナリオなどに対応する技術フレームワークを実施することが可能である。
【0004】
更に、NRでは、広域カバレッジ、接続安定性などの要求の高まりから、空中や宇宙に浮遊する装置から無線ネットワークが提供される非地上波ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)の検討が開始されている。非地上波ネットワークでは、衛星局や航空機を介して端末装置に無線ネットワークが提供される。また、非地上波ネットワークでは、地上波ネットワークと同一の無線アクセス方式を用いることで、地上波ネットワークおよび非地上波ネットワーク間の統合的な運用が容易となる。
【0005】
非地上波ネットワークは地上波ネットワークと比較してカバレッジが広いため、地上波ネットワークでカバーできないエリアを非地上波ネットワークでカバーすることは非常に有効である。例えば、ユースケースの一つに、V2X(Vehicle-to-X)通信が考えられる。V2X通信では、通信のエラーが事故に直結するため、他のユースケースと比較して高信頼な通信が要求される。前述したように、地上波ネットワークのカバレッジ外のエリアでは、衛星通信などの非地上波ネットワークにより、通信カバレッジを提供することが考えられる。非地上波ネットワークは地上波ネットワークとの通信と比較して電波伝搬距離が長いため、通信品質が比較的悪くなる。そのため、基地局と端末間で見通し外通信となった場合、通信を継続することが困難となる。例えば、車がトンネルなどに入った場合、非地上波ネットワークとの通信を継続できなくなる可能性が高い。しかしながら、V2X通信は運転制御などで使用されることがあり、通信が予期せず切断されてしまうことは安全性で大きな問題となる。
【0006】
非地上波ネットワークの不連続カバレッジ環境に関連して、非特許文献1では、IoT(Internet of Things)端末と衛星通信の通信において、非地上波ネットワークの不連続カバレッジ環境でIoT端末の省電力化を達成するための技術が検討されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R2-2110834, Ericsson,“Discontinuous coverage in IoT NTN”, 3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #116-e E-meeting, 1-12 November 2021,[Online],[令和4年4月13日検索],インターネット<https://www.3gpp.org/ftp/TSG_RAN/WG2_RL2/TSGR2_116-e/Docs/R2-2110843.zip>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1では、非地上波ネットワークの不連続カバレッジ環境に置いてIoT端末の省電力化を目的とした検討がなされている。しかしながら、非特許文献1では、非地上波ネットワークのカバレッジ外における信頼性向上に関する検討はなされていない。そのため、V2X通信などの信頼性が求められるユースケースにおいて、非地上波ネットワークの不連続カバレッジ環境における信頼性向上を目的とした技術が望まれる。
【0009】
そこで、本開示では、非地上波ネットワークのカバレッジ外における信頼性をより向上することができる仕組みを提案する。
【0010】
なお、上記課題又は目的は、本明細書に開示される複数の実施形態が解決し得、又は達成し得る複数の課題又は目的の1つに過ぎない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の端末装置は、非地上基地局装置との間で衛星通信を行う。端末装置は、制御部を備える。制御部は、前記非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記非地上基地局装置から取得する。制御部は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
図2】通信システムが提供する無線ネットワークの一例を示す図である。
図3】通信システムが提供する衛星通信の概要を示す図である。
図4】非静止衛星が構成するセルの一例を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係る管理装置の構成例を示す図である。
図6】本開示の実施形態に係る地上局の構成例を示す図である。
図7】本開示の実施形態に係る衛星局の構成例を示す図である。
図8】本開示の実施形態に係る端末装置の構成例を示す図である。
図9】ハンドオーバーの流れの一例を説明するためのシーケンス図である。
図10】ハンドオーバーの流れの他の例を説明するためのシーケンス図である。
図11】本開示の実施形態に係る通信システムの第1のケースの一例について説明するための図である。
図12】本開示の実施形態に係る通信システムの第1のケースの他の例について説明するための図である。
図13】本開示の実施形態に係る通信システムの第1のケースの他の例について説明するための図である。
図14】本開示の実施形態に係る通信システムによる通信の一例について説明するための図である。
図15】本開示の実施形態に係る端末情報の通知処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図16】本開示の実施形態に係る端末情報の通知処理の流れの他の例を示すシーケンス図である。
図17】本開示の実施形態に係るハンドオーバー処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図18】本開示の実施形態に係る通信システムによる通信の他の例について説明するための図である。
図19】本開示の実施形態に係る通信システムの第2のケースの一例について説明するための図である。
図20】本開示の実施形態に係る移動処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図21】本開示の実施形態に係る通信システムの第2のケースの他の例について説明するための図である。
図22】本開示の実施形態に係る移動処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字又はアルファベットを付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を、必要に応じて端末装置40、40、及び40のように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、端末装置40、40、及び40を特に区別する必要が無い場合には、単に端末装置40と称する。
【0015】
また、本明細書及び図面において、具体的な値を示して説明する場合があるが、値は一例であり、別の値が適用されてもよい。
【0016】
また、本明細書及び図面におけるリソースは、Frequency、Time、Resource Element(REG、CCE、CORESETを含む)、Resource Block、Bandwidth Part、Component Carrier、Symbol、Sub-Symbol、Slot、Mini-Slot、Subslot、Subframe、Frame、PRACH occasion、Occasion、Code、Multi-access physical resource、Multi-access signature、Subcarrier Spacing (Numerology)などを表す。
【0017】
以下に説明される1又は複数の実施形態(実施例、変形例を含む)は、各々が独立に実施されることが可能である。一方で、以下に説明される複数の実施形態は少なくとも一部が他の実施形態の少なくとも一部と適宜組み合わせて実施されてもよい。これら複数の実施形態は、互いに異なる新規な特徴を含み得る。したがって、これら複数の実施形態は、互いに異なる目的又は課題を解決することに寄与し得、互いに異なる効果を奏し得る。
【0018】
<<1.概要>>
LTE(Long Term Evolution)、NR(New Radio)等の無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)が3GPP(登録商標)で検討されている。LTE及びNRは、セルラー通信技術の一種であり、基地局がカバーするエリアをセル状に複数配置することで端末装置の移動通信を可能にする。このとき、単一の基地局は複数のセルを管理してもよい。
【0019】
なお、以下の説明では、「LTE」には、LTE-A(LTE-Advanced)、LTE-A Pro(LTE-Advanced Pro)、及びEUTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)が含まれるものとする。また、NRには、NRAT(New Radio Access Technology)、及びFEUTRA(Further EUTRA)が含まれるものとする。なお、単一の基地局は複数のセルを管理してもよい。以下の説明において、LTEに対応するセルはLTEセルと呼称され、NRに対応するセルはNRセルと呼称される。
【0020】
NRは、LTEの次の世代(第5世代)の無線アクセス技術(RAT)である。NRは、eMBB(Enhanced Mobile Broadband)、mMTC(Massive Machine Type Communications)及びURLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)を含む様々なユースケースに対応できる無線アクセス技術である。NRは、これらのユースケースにおける利用シナリオ、要求条件、及び配置シナリオなどに対応する技術フレームワークを目指して検討されている。
【0021】
さらに、NRでは、広域カバレッジ、接続安定性などの要求の高まりから、非地上波ネットワークの検討が開始されている。非地上波ネットワークでは、衛星局や航空機局等の地上局以外の基地局を介して、端末装置に無線ネットワークが提供されることが予定されている。この地上局以外の基地局は、非地上局又は非地上基地局と称される。地上局により提供される無線ネットワークは地上波ネットワーク(TN:Terrestrial Network)と称される。地上波ネットワークと非地上波ネットワークとを同一の無線アクセス方式とすることで、地上波ネットワーク及び非地上波ネットワークの統合的な運用が可能となる。
【0022】
上述したように、例えば、V2X通信では、通信のエラーが事故に直結するため、他のユースケースと比較して高信頼な通信が要求される。上述したように、地上波ネットワークのカバレッジ外のエリアでは、衛星通信などの非地上波ネットワークにより、通信カバレッジを提供することが考えられる。
【0023】
一方、非地上波ネットワークは地上波ネットワークとの通信と比較して電波伝搬距離が長いため、通信品質が比較的悪くなる。そのため、非地上基地局と端末間で見通し外通信となった場合、通信を継続することが困難となる。例えば、車がトンネルなどに入った場合、非地上波ネットワークとの通信を継続できなくなる可能性が高い。しかしながら、V2X通信は運転制御などで使用されることがあり、通信が予期せず切断されてしまうことは安全性で大きな問題となる。
【0024】
そのため、V2X通信などの信頼性が求められるユースケースにおいて、非地上波ネットワークの不連続カバレッジ環境における信頼性向上を目的とした技術が求められる。
【0025】
そこで、本実施形態では以下の手段によりこの要求を解決する。
【0026】
例えば、本実施形態の端末装置は、非地上基地局装置との間で衛星通信を行う端末装置である。端末装置は、非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を非地上基地局装置から取得する。端末装置は、非地上基地局装置のカバレッジ内からカバレッジ外に移動した場合に、非衛星通信情報を用いて非衛星通信を行う。
【0027】
これにより、端末装置は、非地上基地局装置のカバレッジ外でスムーズに非衛星通信を行うことができる。そのため、端末装置は、非地上波ネットワークの不連続カバレッジ環境における通信の信頼性をより向上させることができる。
【0028】
以上、本実施形態の概要を述べたが、以下、本実施形態に係る通信システムを詳細に説明する。
【0029】
<<2.通信システムの構成>>
通信システム1は、Bent-pipe(Transparent)型の移動衛星通信システムである。通信システム1は、LTE、NR等の無線アクセス技術を使ったセルラー通信システムであり、地上の端末装置に対して、衛星局を介した無線通信を提供する。通信システム1が使用する無線アクセス方式は、LTE、NRに限定されず、W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)、cdma2000(Code Division Multiple Access 2000)等の他の無線アクセス方式であってもよい。
【0030】
以下、通信システム1の構成を具体的に説明する。
【0031】
<2.1.通信システムの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る通信システム1の構成例を示す図である。通信システム1は、管理装置10と、地上局20と、衛星局30と、端末装置40と、を備える。通信システム1は、通信システム1を構成する各無線通信装置が連携して動作することで、ユーザに対し、移動通信が可能な無線ネットワークを提供する。本実施形態の無線ネットワークは、例えば、無線アクセスネットワークとコアネットワークとで構成される。なお、本実施形態において、無線通信装置は、無線通信の機能を有する装置のことであり、図1の例では、地上局20、衛星局30、及び端末装置40が該当する。
【0032】
通信システム1は、管理装置10、地上局20、衛星局30、及び端末装置40をそれぞれ複数備えていてもよい。図1の例では、通信システム1は、管理装置10として管理装置10、10等を備えており、地上局20として地上局20、20等を備えている、また、通信システム1は、衛星局30として衛星局30、30等を備えており、端末装置40として端末装置40、40、40等を備えている。
【0033】
図2は、通信システム1が提供する無線ネットワークの一例を示す図である。地上局20(衛星局30)及び基地局60はセルを構成する。セルとは無線通信がカバーされるエリアである。セルは、マクロセル、マイクロセル、フェムトセル、及びスモールセルの何れであってもよい。なお、通信システム1は、単一の基地局(衛星局)で複数のセルを管理するよう構成されていてもよいし、複数の基地局で1つのセルを管理するよう構成されていてもよい。
【0034】
図2の例では、基地局60、60は地上波ネットワークTN1を構成し、基地局60、60、60は地上波ネットワークTN2を構成する。地上波ネットワークTN1及び地上波ネットワークTN2は、例えば、電話会社等の無線通信事業者により運営されるネットワークである。地上波ネットワークTN1及び地上波ネットワークTN2は、異なる無線通信事業者により運営されてもよいし、同じ無線通信事業者により運営されてもよい。地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2とを1つの地上波ネットワークとみなすことも可能である。
【0035】
地上波ネットワークTN1と地上波ネットワークTN2はそれぞれコアネットワークに接続される。図2の例では、地上波ネットワークTN2を構成する基地局60は、例えば、管理装置10等により構成されるコアネットワークCNに接続される。地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がLTEなのであれば、コアネットワークCNはEPCである。また、地上波ネットワークTN2の無線アクセス方式がNRなのであれば、コアネットワークCNは5GCである。勿論、コアネットワークCNは、EPCや5GCに限られず、他の無線アクセス方式のコアネットワークであってもよい。なお、図2の例では、地上波ネットワークTN1はコアネットワークに接続されていないが、地上波ネットワークTN1はコアネットワークCNに接続されてもよい。また、地上波ネットワークTN1は、コアネットワークCNとは異なる不図示のコアネットワークに接続されてもよい。
【0036】
コアネットワークCNはゲートウェイ装置や関門交換機等を備え、ゲートウェイ装置を介して公衆ネットワークPNに接続されている。公衆ネットワークPNは、例えば、インターネット、地域IP網、電話網(携帯電話網、固定電話網等)、等の公衆データネットワークである。ゲートウェイ装置は、例えば、インターネットや地域IP網等に繋がるサーバ装置である。関門交換機は、例えば、電話会社の電話網に繋がる交換機である。管理装置10がゲートウェイ装置や関門交換機としての機能を有していてもよい。
【0037】
図2に示す衛星局30、50、及び航空機局70は、何れも、衛星局や航空機局等の非地上局である。非地上波ネットワークを構成する衛星局群(又は衛星局)はスペースボーンプラットフォーム(Spaceborne Platform)と称される。また、非地上波ネットワークを構成する航空機局群(又は航空機局)はエアボーンプラットフォーム(Airborne Platform)と称される。図2の例では、衛星局30、30、30がスペースボーンプラットフォームSBP1を構成し、衛星局50がスペースボーンプラットフォームSBP2を構成する。また、航空機局70がエアボーンプラットフォームABP1を構成する。
【0038】
端末装置40は、地上局と非地上局の双方と通信可能である。図2の例では、端末装置40は、地上波ネットワークTN1を構成する地上局と通信可能である。また、端末装置40は、スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する非地上局と通信可能である。また、端末装置40は、エアボーンプラットフォームABP1を構成する非地上局とも通信可能である。なお、端末装置40は、他の端末装置40(図2の例では端末装置40)と直接通信可能であってもよい。また、端末装置40は、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する非地上局と通信可能である。
【0039】
衛星局30等の非地上局は、中継局を介して地上波ネットワーク又はコアネットワークと接続可能であってもよい。非地上局は中継局を介さずに非地上局同士で直接通信することも可能である。
【0040】
中継局は、例えば、航空局や地球局である。航空局は、航空機局と通信を行うために、地上又は地上を移動する移動体に設置された無線局である。また、地球局は、衛星局(宇宙局)と通信するために、地球(空中を含む。)に位置する無線局である。地球局は、大型地球局であってもよいし、VSAT(Very Small Aperture Terminal)等の小型地球局であってもよい。なお、地球局は、VSAT制御地球局(親局、HUB局ともいう。)であってもよいし、VSAT地球局(子局ともいう。)であってもよい。また、地球局は、地上を移動する移動体に設置される無線局であってもよい。例えば、船舶に搭載される地球局として、船上地球局(ESV:Earth Stations on board Vessels)が挙げられる。また、地球局には、航空機(ヘリコプターを含む。)に設置され、衛星局と通信する航空機地球局が含まれていてもよい。また、地球局には、地上を移動する移動体に設置され、衛星局を介して航空機地球局と通信する航空地球局が含まれていてもよい。なお、中継局は、衛星局や航空機局と通信する携帯移動可能な無線局であってもよい。中継局は通信システム1の一部とみなすことが可能である。
【0041】
スペースボーンプラットフォームSBP1、SBP2を構成する各装置は、端末装置40と衛星通信を行う。衛星通信とは、衛星局と通信装置との無線通信のことである。図3は、通信システム1が提供する衛星通信の概要を示す図である。衛星局は、主に、静止衛星局と低軌道衛星局とに分けられる。
【0042】
静止衛星局は、高度およそ35786kmに位置し、地球の自転速度と同じ速度で地球を公転する。図3の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP2を構成する衛星局50が静止衛星局である。静止衛星局は地上の端末装置40との相対速度がほぼ0であり、地上の端末装置40からは静止しているかのように観測される。衛星局50は、地球上に位置する端末装置40、40、40等と衛星通信を行う。
【0043】
低軌道衛星局は、静止衛星局や中軌道衛星局に比べて低い高度で周回する衛星局である。低軌道衛星局は、例えば、高度500kmから2000kmの間に位置する衛星局である。図3の例であれば、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局302、30が低軌道衛星局である。なお、図3には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局として衛星局30と衛星局30の2つしか示されていない。しかしながら、実際には、スペースボーンプラットフォームSBP1を構成する衛星局は、2以上(例えば、数十から数千)の衛星局30によって低軌道衛星コンステレーションが形成されている。低軌道衛星局は、静止衛星局とは異なり、地上の端末装置40との相対速度があり、地上の端末装置40からは移動しているかのように観測される。衛星局302、30はそれぞれセルを構成し、地球上に位置する端末装置40、40、40等と衛星通信を行う。
【0044】
図4は、非静止衛星が構成するセルの一例を示す図である。図4には、低軌道衛星局である衛星局30が形成するセルC2が示されている。低軌道を周回する衛星局は、地上に所定の指向性を持って地上の端末装置40と通信を行う。例えば、図4に示す角度R1は40°である。図4の場合、衛星局30が形成するセルC2の半径D1は、例えば、1000kmである。低軌道衛星局は、一定の速度をもって移動する。低軌道衛星局が地上の端末装置40に衛星通信を提供することが困難になった場合には、後続の低軌道衛星局(neighbor satellite station)が衛星通信を提供する。図4の例の場合、衛星局30が地上の端末装置40に衛星通信を提供することが困難になった場合は、後続の衛星局30が衛星通信を提供する。なお、上記した角度R1及び半径D1の値はあくまで一例であり上記に限られない。
【0045】
中軌道、低軌道衛星は、上述の通り上空を非常に高速なスピードで軌道上を移動しており、例えば高度600kmにある低軌道衛星の場合は、7.6km/Sのスピードで軌道上を移動している。低軌道衛星は半径数10km~数100kmのセル(またはビーム)を地上に形成するが、衛星の移動にあわせて地上に形成されたセルも移動するため、地上の端末装置40は移動していなくても、ハンドオーバーが必要となる場合がある。例えば、地上に形成されたセル直径が50kmで地上の端末装置40が移動していないケースを想定した場合、約6~7秒でハンドオーバーが発生する。
【0046】
上述したように、端末装置40は非地上波ネットワークを使った無線通信が可能である。また、通信システム1の衛星局30は、非地上波ネットワークを構成する。これにより、通信システム1は、地上波ネットワークがカバーできないエリアに位置する端末装置40へサービスを拡張することが可能になる。例えば、通信システム1は、IoT(Internet of Things)デバイスやMTC(Machine Type Communications)デバイス等の通信装置に対し、パブリックセーフティ通信やクリティカル通信を提供することが可能になる。また、非地上波ネットワークを使用することによりサービス信頼性や復帰性が向上するので、通信システム1は、物理攻撃又は自然災害に対するサービスの脆弱性を低減することが可能になる。また、通信システム1は、飛行機の乗客やドローンなど航空機端末装置へのサービス接続や船や電車などの移動体端末装置へのサービス接続を実現できる。その他、通信システム1は、A/Vコンテンツ、グループ通信、IoTブロードキャストサービス、ソフトウェアダウンロードサービス、緊急メッセージなどの高効率マルチキャストサービス、高効率ブロードキャストサービス等の提供を実現できる。さらに、通信システム1は、地上波ネットワークと非地上波ネットワーク間のトラフィックオフロードも実現できる。これらの実現のため、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、上位層で運用統合がなされることが望ましい。また、通信システム1が提供する非地上波ネットワークは、通信システム1が提供する地上波ネットワークと、無線アクセス方式が共通であることが望ましい。
【0047】
なお、図中の装置は、論理的な意味での装置と考えてもよい。つまり、同図の装置の一部が仮想マシン(VM:Virtual Machine)、コンテナ(Container)、ドッカー(Docker)などで実現され、それらが物理的に同一のハードウェア上で実装されてもよい。
【0048】
また、本実施形態において地上局は、基地局と言い換えることができる。衛星局は、中継局と言い換えることができる。衛星局が基地局としての機能を備えるのであれば、衛星局は、基地局と言い換えることができる。
【0049】
なお、LTEの基地局は、eNodeB(Evolved Node B)又はeNBと称されることがある。また、NRの基地局は、gNodeB又はgNBと称されることがある。また、LTE及びNRでは、端末装置40(移動局、又は端末ともいう。)はUE(User Equipment)と称されることがある。なお、端末装置40は、通信装置の一種であり、移動局、又は端末とも称される。
【0050】
本実施形態において、通信装置という概念には、携帯端末等の持ち運び可能な移動体装置(端末装置40)のみならず、構造物や移動体に設置される装置も含まれる。構造物や移動体そのものを通信装置とみなしてもよい。また、通信装置という概念には、端末装置40のみならず、基地局及び中継装置も含まれる。通信装置は、処理装置及び情報処理装置の一種である。また、通信装置は、送信装置又は受信装置と言い換えることが可能である。
【0051】
以下、通信システム1を構成する各装置の構成を具体的に説明する。なお、以下に示す各装置の構成はあくまで一例である。各装置の構成は、以下に示す構成とは異なっていてもよい。
【0052】
<2.2.管理装置の構成>
次に、管理装置10の構成を説明する。
【0053】
管理装置10は、無線ネットワークを管理する装置である。例えば、管理装置10は地上局20の通信を管理する装置である。コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、例えば、MME(Mobility Management Entity)としての機能を有する装置である。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、例えば、AMF(Access and Mobility Management Function)及び/又はSMF(Session Management Function)としての機能を有する装置である。勿論、管理装置10が有する機能は、MME、AMF、及びSMFに限られない。例えば、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、NSSF(Network Slice Selection Function)、AUSF(Authentication Server Function)、UDM(Unified Data Management)としての機能を有する装置であってもよい。また、管理装置10は、HSS(Home Subscriber Server)としての機能を有する装置であってもよい。
【0054】
なお、管理装置10はゲートウェイの機能を有していてもよい。例えば、コアネットワークがEPCなのであれば、管理装置10は、S-GW(Serving Gateway)やP-GW(Packet Data Network Gateway)としての機能を有していてもよい。また、コアネットワークが5GCなのであれば、管理装置10は、UPF(User Plane Function)としての機能を有していてもよい。なお、管理装置10は必ずしもコアネットワークを構成する装置でなくてもよい。例えば、コアネットワークがW-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やcdma2000(Code Division Multiple Access 2000)のコアネットワークであるとする。このとき、管理装置10はRNC(Radio Network Controller)として機能する装置であってもよい。
【0055】
図5は、本開示の実施形態に係る管理装置10の構成例を示す図である。管理装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を備える。なお、図5に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、管理装置10の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。例えば、管理装置10は、複数のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0056】
通信部11は、他の装置と通信するための通信インタフェースである。通信部11は、ネットワークインタフェースであってもよいし、機器接続インタフェースであってもよい。例えば、通信部11は、NIC(Network Interface Card)等のLAN(Local Area Network)インタフェースであってもよいし、USB(Universal Serial Bus)ホストコントローラ、USBポート等により構成されるUSBインタフェースであってもよい。また、通信部11は、有線インタフェースであってもよいし、無線インタフェースであってもよい。通信部11は、管理装置10の通信手段として機能する。通信部11は、制御部13の制御に従って地上局20等と通信する。
【0057】
記憶部12は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部12は、管理装置10の記憶手段として機能する。記憶部12は、例えば、端末装置40の接続状態を記憶する。例えば、記憶部12は、端末装置40のRRCの状態やECMの状態を記憶する。記憶部12は、端末装置40の位置情報を記憶するホームメモリとして機能してもよい。
【0058】
制御部13は、管理装置10の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部13は、管理装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部13は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0059】
<2.3.地上局の構成>
次に、地上局20の構成を説明する。
【0060】
地上局20は、端末装置40と衛星局30を介して無線通信する無線通信装置である。なお、地上局20は、衛星局30を介さずに、端末装置40と通信するよう構成されていてもよい。
【0061】
地上局20は通信装置の一種である。より具体的には、地上局20は、無線基地局(Base Station、Node B、eNB、gNB、など)或いは無線アクセスポイント(Access Point)に相当する装置である。地上局20は、無線リレー局であってもよい。また、地上局20は、RRH(Remote Radio Head)と呼ばれる光張り出し装置であってもよい。また、地上局20は、FPU(Field Pickup Unit)等の受信局であってもよい。また、地上局20は、無線アクセス回線と無線バックホール回線を時分割多重、周波数分割多重、或いは、空間分割多重で提供するIAB(Integrated Access and Backhaul)ドナーノード、或いは、IABリレーノードであってもよい。
【0062】
なお、地上局20が使用する無線アクセス技術は、セルラー通信技術であってもよいし、無線LAN技術であってもよい。勿論、地上局20が使用する無線アクセス技術は、これらに限定されず、他の無線アクセス技術であってもよい。例えば、地上局20が使用する無線アクセス技術は、LPWA通信技術であってもよい。勿論、地上局20が使用する無線通信は、ミリ波を使った無線通信であってもよい。また、地上局20が使用する無線通信は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線や可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。
【0063】
地上局20は、端末装置40とNOMA(Non-Orthogonal Multiple Access)通信が可能であってもよい。ここで、NOMA通信は、非直交リソースを使った通信(送信、受信、或いはその双方)のことである。なお、地上局20は、他の地上局20とNOMA通信可能であってもよい。
【0064】
なお、地上局20は、基地局-コアネットワーク間インタフェース(例えば、S1 Interface等)を介してお互いに通信可能であってもよい。このインタフェースは、有線及び無線のいずれであってもよい。また、基地局は、基地局間インタフェース(例えば、X2 Interface、S1 Interface等)を介して互いに通信可能であってもよい。このインタフェースは、有線及び無線のいずれであってもよい。
【0065】
なお、基地局(基地局ともいう。)という概念には、ドナー基地局のみならず、リレー基地局(中継局、或いは中継局ともいう。)も含まれる。また、基地局という概念には、基地局の機能を備えた構造物(Structure)のみならず、構造物に設置される装置も含まれる。
【0066】
構造物は、例えば、高層ビル、家屋、鉄塔、駅施設、空港施設、港湾施設、スタジアム等の建物である。なお、構造物という概念には、建物のみならず、トンネル、橋梁、ダム、塀、鉄柱等の構築物(Non-building structure)や、クレーン、門、風車等の設備も含まれる。また、構造物という概念には、陸上(狭義の地上)又は地中の構造物のみならず、桟橋、メガフロート等の水上の構造物や、海洋観測設備等の水中の構造物も含まれる。基地局は、情報処理装置と言い換えることができる。
【0067】
地上局20は、ドナー局であってもよいし、リレー局(中継局)であってもよい。また、地上局20は、固定局であってもよいし、移動局であってもよい。移動局は、移動可能に構成された無線通信装置(例えば、基地局)である。このとき、地上局20は、移動体に設置される装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。例えば、移動能力(Mobility)をもつリレー局は、移動局としての地上局20とみなすことができる。また、車両、ドローン、スマートフォンなど、もともと移動能力がある装置であって、基地局の機能(少なくとも基地局の機能の一部)を搭載した装置も、移動局としての地上局20に該当する。
【0068】
ここで、移動体は、スマートフォンや携帯電話等のモバイル端末であってもよい。また、移動体は、陸上(狭義の地上)を移動する移動体(例えば、自動車、自転車、バス、トラック、自動二輪車、列車、リニアモーターカー等の車両)であってもよいし、地中(例えば、トンネル内)を移動する移動体(例えば、地下鉄)であってもよい。
【0069】
また、移動体は、水上を移動する移動体(例えば、旅客船、貨物船、ホバークラフト等の船舶)であってもよいし、水中を移動する移動体(例えば、潜水艇、潜水艦、無人潜水機等の潜水船)であってもよい。
【0070】
なお、移動体は、大気圏内を移動する移動体(例えば、飛行機、飛行船、ドローン等の航空機)であってもよい。
【0071】
また、地上局20は、地上に設置される地上基地局(地上局)であってもよい。例えば、地上局20は、地上の構造物に配置される基地局であってもよいし、地上を移動する移動体に設置される基地局であってもよい。より具体的には、地上局20は、ビル等の構造物に設置されたアンテナ及びそのアンテナに接続する信号処理装置であってもよい。勿論、地上局20は、構造物や移動体そのものであってもよい。「地上」は、陸上(狭義の地上)のみならず、地中、水上、水中も含む広義の地上である。なお、地上局20は、地上基地局に限られない。例えば、地上局20は、航空機局であってもよい。衛星局30から見れば、地球に位置する航空機局も地上局とみなすことができる。
【0072】
航空機局は、航空機等、大気圏内を浮遊可能な無線通信装置である。航空機局は、航空機等に搭載される装置であってもよいし、航空機そのものであってもよい。なお、航空機という概念には、飛行機、グライダー等の重航空機のみならず、気球、飛行船等の軽航空機も含まれる。また、航空機という概念には、重航空機や軽航空機のみならず、ヘリコプターやオートジャイロ等の回転翼機も含まれる。なお、航空機局(又は、航空機局が搭載される航空機)は、ドローン等の無人航空機であってもよい。
【0073】
なお、無人航空機という概念には、無人航空システム(UAS:Unmanned Aircraft Systems)、つなぎ無人航空システム(tethered UAS)も含まれる。また、無人航空機という概念には、軽無人航空システム(LTA:Lighter than Air UAS)、重無人航空システム(HTA:Heavier than Air UAS)が含まれる。その他、無人航空機という概念には、高高度無人航空システムプラットフォーム(HAPs:High Altitude UAS Platforms)も含まれる。
【0074】
地上局20のカバレッジの大きさは、マクロセルのような大きなものから、ピコセルのような小さなものであってもよい。勿論、地上局20のカバレッジの大きさは、フェムトセルのような極めて小さなものであってもよい。また、地上局20はビームフォーミングの能力を有していてもよい。この場合、地上局20はビームごとにセルやサービスエリアが形成されてもよい。
【0075】
図6は、本開示の実施形態に係る地上局20の構成例を示す図である。地上局20は、無線通信部21と、記憶部22と、制御部23と、を備える。なお、図6に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、地上局20の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0076】
無線通信部21は、他の無線通信装置(例えば、端末装置40)と無線通信するための信号処理部である。無線通信部21は、制御部23の制御に従って動作する。無線通信部21は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部21は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部21は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma2000に対応していてもよい。また、無線通信部21は、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)等の自動再送技術に対応していてもよい。
【0077】
無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、アンテナ213を備える。無線通信部21は、受信処理部211、送信処理部212、及びアンテナ213をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部21が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部21の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部211及び送信処理部212は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。また、アンテナ213は複数のアンテナ素子(例えば、複数のパッチアンテナ)で構成されていてもよい。この場合、無線通信部21は、ビームフォーミング可能に構成されていてもよい。無線通信部21は、垂直偏波(V偏波)と水平偏波(H偏波)とを使用した偏波ビームフォーミングが可能に構成されていてもよい。
【0078】
受信処理部211は、アンテナ213を介して受信された上りリンク信号の処理を行う。例えば、受信処理部211は、上りリンク信号に対して、ダウンコンバート、不要な周波数成分の除去、増幅レベルの制御、直交復調、デジタル信号への変換、ガードインターバル(サイクリックプレフィックス)の除去、高速フーリエ変換による周波数領域信号の抽出等を行う。そして、受信処理部211は、これらの処理が行われた信号から、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)、PUCCH(Physical Uplink Control Channel)等の上りリンクチャネル及び上りリンク参照信号を分離する。また、受信処理部211は、上りリンクチャネルの変調シンボルに対して、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase shift Keying)等の変調方式を使って受信信号の復調を行う。復調に使用される変調方式は、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、64QAM、又は256QAMであってもよい。この場合、コンステレーション上の信号点は必ずしも等距離である必要はない。コンステレーションは、不均一コンステレーション(NUC:Non Uniform Constellation)であってもよい。そして、受信処理部211は、復調された上りリンクチャネルの符号化ビットに対して、復号処理を行う。復号された上りリンクデータ及び上りリンク制御情報は制御部23へ出力される。
【0079】
送信処理部212は、下りリンク制御情報及び下りリンクデータの送信処理を行う。例えば、送信処理部212は、制御部23から入力された下りリンク制御情報及び下りリンクデータを、ブロック符号化、畳み込み符号化、ターボ符号化等の符号化方式を用いて符号化を行う。そして、送信処理部212は、符号化ビットをBPSK、QPSK、16QAM、64QAM、256QAM等の所定の変調方式で変調する。この場合、コンステレーション上の信号点は必ずしも等距離である必要はない。コンステレーションは、不均一コンステレーションであってもよい。そして、送信処理部212は、各チャネルの変調シンボルと下りリンク参照信号とを多重化し、所定のリソースエレメントに配置する。そして、送信処理部212は、多重化した信号に対して、各種信号処理を行う。例えば、送信処理部212は、高速フーリエ変換による時間領域への変換、ガードインターバル(サイクリックプレフィックス)の付加、ベースバンドのデジタル信号の生成、アナログ信号への変換、直交変調、アップコンバート、余分な周波数成分の除去、電力の増幅等の処理を行う。送信処理部212で生成された信号は、アンテナ213から送信される。
【0080】
アンテナ213は、電流と電波を相互に変換するアンテナ装置(アンテナ部)である。アンテナ213は、1つのアンテナ素子(例えば、1つのパッチアンテナ)で構成されていてもよいし、複数のアンテナ素子(例えば、複数のパッチアンテナ)で構成されていてもよい。アンテナ213が複数のアンテナ素子で構成される場合、無線通信部21は、ビームフォーミング可能に構成されていてもよい。例えば、無線通信部21は、複数のアンテナ素子を使って無線信号の指向性を制御することで、指向性ビームを生成するよう構成されていてもよい。なお、アンテナ213は、デュアル偏波アンテナであってもよい。アンテナ213がデュアル偏波アンテナの場合、無線通信部21は、無線信号の送信にあたり、垂直偏波(V偏波)と水平偏波(H偏波)とを使用してもよい。そして、無線通信部21は、垂直偏波と水平偏波とを使って送信される無線信号の指向性を制御してもよい。
【0081】
記憶部22は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部22は、地上局20の記憶手段として機能する。
【0082】
制御部23は、地上局20の各部を制御するコントローラ(controller)である。制御部23は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部23は、地上局20内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部23は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0083】
なお、基地局60は、衛星局30を介さずに、端末装置40と通信する装置であり、地上局20と同様に構成され得る。
【0084】
<2.4.衛星局の構成>
次に、衛星局30の構成を説明する。
【0085】
衛星局30は、地上局20と端末装置40との通信を中継する中継局である。なお、衛星局30は、端末装置40に基地局の機能を提供する基地局であってもよい。
【0086】
衛星局30は、大気圏外を浮遊可能な無線通信装置である。衛星局30は、人工衛星等の宇宙移動体に搭載される装置であってもよいし、宇宙移動体そのものであってもよい。宇宙移動体は、大気圏外を移動する移動体である。宇宙移動体としては、人工衛星、宇宙船、宇宙ステーション、探査機等の人工天体が挙げられる。
【0087】
なお、衛星局30となる衛星は、低軌道(LEO:Low Earth Orbiting)衛星、中軌道(MEO:Medium Earth Orbiting)衛星、静止(GEO:Geostationary Earth Orbiting)衛星、高楕円軌道(HEO:Highly Elliptical Orbiting)衛星の何れであってもよい。勿論、衛星局は、低軌道衛星、中軌道衛星、静止衛星、又は高楕円軌道衛星に搭載される装置であってもよい。
【0088】
図7は、本開示の実施形態に係る衛星局30の構成例を示す図である。衛星局30は、無線通信部31と、記憶部32と、制御部33と、を備える。なお、図7に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、衛星局30の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0089】
無線通信部31は、他の無線通信装置(例えば、地上局20、端末装置40、衛星局50、他の衛星局30)と無線通信する無線通信インタフェースである。無線通信部31は1又は複数の無線アクセス方式に対応する。例えば、無線通信部31は、NR及びLTEの双方に対応する。無線通信部31は、NRやLTEに加えて、W-CDMAやcdma3000に対応していてもよい。無線通信部31は、受信処理部311、送信処理部312、アンテナ313を備える。無線通信部31は、受信処理部311、送信処理部312、及びアンテナ313をそれぞれ複数備えていてもよい。なお、無線通信部31が複数の無線アクセス方式に対応する場合、無線通信部31の各部は、無線アクセス方式毎に個別に構成されうる。例えば、受信処理部311及び送信処理部312は、LTEとNRとで個別に構成されてもよい。受信処理部311、送信処理部312、及びアンテナ313の構成は、上述の受信処理部311、送信処理部312、及びアンテナ313の構成と同様である。なお、無線通信部31は、無線通信部21と同様に、ビームフォーミング可能に構成されていてもよい。
【0090】
記憶部32は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部32は、衛星局30の記憶手段として機能する。
【0091】
制御部33は、衛星局30の各部を制御するコントローラである。制御部33は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部33は、衛星局30内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部33は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0092】
<2.5.端末装置の構成>
次に、端末装置40の構成を説明する。
【0093】
端末装置40は、地上局20、衛星局30、50、基地局60、航空機局70等の他の通信装置と無線通信する無線通信装置である。端末装置40は、例えば、携帯電話、スマートデバイス(スマートフォン、又はタブレット)、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータである。また、端末装置40は、通信機能が具備された業務用カメラといった機器であってもよいし、FPU(Field Pickup Unit)等の通信機器が搭載されたバイクや移動中継車等であってもよい。また、端末装置40は、M2M(Machine to Machine)デバイス、又はIoT(Internet of Things)デバイスであってもよい。
【0094】
なお、端末装置40は、地上局20とNOMA通信が可能であってもよい。また、端末装置40は、地上局20と通信する際、HARQ等の自動再送技術を使用可能であってもよい。端末装置40は、他の端末装置40とサイドリンク通信が可能であってもよい。端末装置40は、サイドリンク通信を行う際も、HARQ等の自動再送技術を使用可能であってもよい。なお、端末装置40は、他の端末装置40との通信(サイドリンク)においてもNOMA通信が可能であってもよい。また、端末装置40は、他の通信装置(例えば、地上局20、及び他の端末装置40)とLPWA通信が可能であってもよい。また、端末装置40が使用する無線通信は、ミリ波を使った無線通信であってもよい。なお、端末装置40が使用する無線通信(サイドリンク通信を含む。)は、電波を使った無線通信であってもよいし、赤外線や可視光を使った無線通信(光無線)であってもよい。
【0095】
また、端末装置40は、移動体装置であってもよい。移動体装置は、移動可能な無線通信装置である。このとき、端末装置40は、移動体に設置される無線通信装置であってもよいし、移動体そのものであってもよい。例えば、端末装置40は、自動車、バス、トラック、自動二輪車等の道路上を移動する車両(Vehicle)、或いは、当該車両に搭載された無線通信装置であってもよい。なお、移動体は、モバイル端末であってもよいし、陸上(狭義の地上)、地中、水上、或いは、水中を移動する移動体であってもよい。また、移動体は、ドローン、ヘリコプター等の大気圏内を移動する移動体であってもよいし、人工衛星等の大気圏外を移動する移動体であってもよい。
【0096】
端末装置40は、同時に複数の基地局または複数のセルと接続して通信を実施してもよい。例えば、1つの基地局が複数のセル(例えば、pCell、sCell)を介して通信エリアをサポートしている場合に、キャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)技術やデュアルコネクティビティ(DC:Dual Connectivity)技術、マルチコネクティビティ(MC:Multi-Connectivity)技術によって、それら複数のセルを束ねて地上局20と端末装置40とで通信することが可能である。或いは、異なる地上局20のセルを介して、協調送受信(CoMP:Coordinated Multi-Point Transmission and Reception)技術によって、端末装置40とそれら複数の地上局20が通信することも可能である。
【0097】
図8は、本開示の実施形態に係る端末装置40の構成例を示す図である。端末装置40は、無線通信部41と、記憶部42と、制御部43と、を備える。なお、図8に示した構成は機能的な構成であり、ハードウェア構成はこれとは異なっていてもよい。また、端末装置40の機能は、複数の物理的に分離された構成に分散して実装されてもよい。
【0098】
無線通信部41は、他の無線通信装置(例えば、地上局20、及び他の端末装置40)と無線通信するための信号処理部である。無線通信部41は、制御部43の制御に従って動作する。無線通信部41は、受信処理部411と、送信処理部412と、アンテナ413とを備える。無線通信部41、受信処理部411、送信処理部412、及びアンテナ413の構成は、地上局20の無線通信部21、受信処理部211、送信処理部212及びアンテナ213と同様であってもよい。また、無線通信部41は、無線通信部21と同様に、ビームフォーミング可能に構成されていてもよい。
【0099】
記憶部42は、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスク等のデータ読み書き可能な記憶装置である。記憶部42は、端末装置40の記憶手段として機能する。
【0100】
制御部43は、端末装置40の各部を制御するコントローラである。制御部43は、例えば、CPU、MPU等のプロセッサにより実現される。例えば、制御部43は、端末装置40内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムを、プロセッサがRAM等を作業領域として実行することにより実現される。なお、制御部43は、ASICやFPGA等の集積回路により実現されてもよい。CPU、MPU、ASIC、及びFPGAは何れもコントローラとみなすことができる。
【0101】
<<3.衛星通信でのハンドオーバー>>
次に、衛星局30間のハンドオーバーについて説明する。衛星通信にハンドオーバー技術を適用することは、端末装置40のスムーズなセル間移動の実施という観点で有効である。
【0102】
ここで、図9を用いて、ハンドオーバーの一例について説明する。図9は、ハンドオーバーの流れの一例を説明するためのシーケンス図である。図9では、端末装置40が、ハンドオーバー元であるSource基地局装置のSource cellからハンドオーバー先であるTarget基地局装置のTarget cellにハンドオーバーする場合について示している。
【0103】
図9に示すように、端末装置40は、メジャメントを実施し、メジャメントレポートをSource基地局装置に送信する(ステップS101)。同様に、端末装置40は、メジャメントを実施し、メジャメントレポートをTarget基地局装置に送信する(ステップS102)。
【0104】
Source基地局装置は、メジャメントレポートに基づき、端末装置40のハンドオーバーが必要か否かを判定する(ステップS103)。Source基地局装置は、ハンドオーバーが必要であると判定すると、Target基地局装置に対してハンドオーバーをリクエストする(ステップS104)。
【0105】
Target基地局装置は、ハンドオーバーリクエストを受け取ると流入制御(Admission Control)を行い(ステップS105)、ハンドオーバーリクエストに対するAcknowledgeをSource基地局装置に通知する(ステップS106)。
【0106】
続いて、Source基地局装置は、端末装置40に、ハンドオーバーコマンドを含むRRC Reconfigurationを送信し(ステップS107)、ハンドオーバーの実施を通知する。
【0107】
端末装置40は、RRC Reconfigurationを受信すると、Source基地局装置のSource cellからデタッチして(ステップS108)、Target基地局装置と初期アクセス手続きを実施する。例えば、端末装置40は、PRACH(Physical Random Access Channel)をTarget基地局装置に送信する(ステップS109)。Target基地局装置は、Random Access responseを端末装置40に送信する(ステップS110)。端末装置40がTarget基地局装置にRandom Access responseを端末装置40に送信する(ステップS111)ことで、初期アクセス手続きが完了し、ハンドオーバー処理が完了する。
【0108】
なお、ここでは、初期アクセス手続きとして、端末装置40が2ステップのランダムアクセス手続き(2-step RACH)を行う場合について示したが、これに限定されない。端末装置40が、初期アクセス手続きとして、4ステップのランダムアクセス手続き(4-step RACH)を行うようにしてもよい。
【0109】
このように、図9に示すハンドオーバーでは、Source基地局装置からハンドオーバーコマンドを受信したタイミングで、端末装置40がハンドオーバーを開始する。
【0110】
また、ハンドオーバーの他の例として、Source基地局装置が予めハンドオーバー候補先の情報を端末装置40に通知しておくConditionalハンドオーバーがある。図10は、ハンドオーバーの流れの他の例を説明するためのシーケンス図である。図10では、端末装置40が、ハンドオーバー先の候補である第1、第2Target基地局装置のいずれかを選択してハンドオーバーを実行する場合について示している。なお、第1Target基地局装置は、Target candidate cell#1を有し、第2Target基地局装置は、Target candidate cell#2を有する。
【0111】
図10に示すように、端末装置40は、メジャメントを実施し、メジャメントレポートをSource基地局装置に送信する(ステップS201)。
【0112】
Source基地局装置は、メジャメントレポートに基づき、端末装置40のConditionalハンドオーバーが必要か否かを判定する(ステップS202)。Source基地局装置は、Conditionalハンドオーバーが必要であると判定すると、第1Target基地局装置に対してハンドオーバーをリクエストし(ステップS203)、第2Target基地局装置に対してハンドオーバーをリクエストする(ステップS204)。
【0113】
第1Target基地局装置は、ハンドオーバーリクエストを受け取ると流入制御(Admission Control)を行う(ステップS205)。同様に、第2Target基地局装置は、ハンドオーバーリクエストを受け取ると流入制御(Admission Control)を行う(ステップS206)。第1Target基地局装置は、ハンドオーバーリクエストに対するAcknowledgeをSource基地局装置に通知する(ステップS207)。第2Target基地局装置は、ハンドオーバーリクエストに対するAcknowledgeをSource基地局装置に通知する(ステップS208)。
【0114】
続いて、Source基地局装置は、端末装置40に、RRC Reconfigurationを送信する(ステップS209)。RRC Reconfigurationには、例えば、ハンドオーバー先の候補である第1、第2Target基地局装置に関する情報や、Conditionalハンドオーバーを実施するための実施トリガーに関する情報が含まれる。
【0115】
端末装置40は、RRC Reconfigurationを受信すると、RRC Reconfiguration completeをSource基地局装置に送信し(ステップS210)、Conditionalハンドオーバーを実施するための実施トリガーを評価する(ステップS211)。端末装置40は、実施トリガーを評価し、当該実施トリガーを検出すると(ステップS212)、Source cell(Source基地局装置)からデタッチし(ステップS213)、ハンドオーバー先の基地局との初期接続手続きを開始する。なお、図10では、第1Target基地局装置をハンドオーバー先の基地局として検出したものとする。
【0116】
図10に示すように、端末装置40は、第1Target基地局装置との間で初期接続手続きを実行する。なお、初期接続手続きは、図9に示す手続きと同じである。
【0117】
初期接続手続きを完了し、端末装置40と接続した第1Target基地局装置は、Source基地局装置に対して、ハンドオーバーが成功したことを示すHandover Successを通知する(ステップS214)。Handover Successを受信したSource基地局装置は、ハンドオーバー先として選出されなかった第2Target基地局装置にHandover Cancelを通知することで(ステップS215)、第2Target基地局装置へのハンドオーバーをキャンセルする。
【0118】
このように、Conditionalハンドオーバーでは、Source基地局装置がハンドオーバー先のTarget基地局装置を決定するのではなく、候補となるTarget基地局装置を端末装置40に通知する。これによりに、端末装置40は、ハンドオーバーを行う時点で接続可能なTarget基地局装置を選択してハンドオーバーを実施することができる。
【0119】
また、Conditionalハンドオーバーでは、シームレスなハンドオーバーを実現するために、端末装置40は、例えば、図10のステップS212でConditionalハンドオーバーの実施トリガーを検出してから、次のステップS213でSource基地局装置からデタッチする。換言すると、Source基地局装置およびTarget基地局装置候補の全てと通信不可能になる期間、及び、初期接続の実施が不可能となる期間を発生させないために、端末装置40は、例えば、図10のステップS212でConditionalハンドオーバーの実施トリガーを検出してから、次のステップS213でSource基地局装置からデタッチする。
【0120】
なお、以降の説明における衛星局30は、ドローン、気球、飛行機など、通信装置として動作する非地上基地局装置に置き換えることが可能である。さらに、トランスパレントペイロードまたはベントパイプなどと呼称される通信においては、基地局装置は衛星装置を介して通信される地上基地局を表してもよい。また、これらに限定されず、地上基地局装置と端末装置40間の通信でも、本技術は適用可能である。
【0121】
また、以降の説明において衛星局30を単に基地局装置(Source基地局装置、Target基地局装置等)と記載する場合がある。
【0122】
<<4.技術的特徴>>
以上、衛星局30のハンドオーバーについて説明した。続いて、通信システム1の動作を説明する。上述したように、本開示の通信システム1では、衛星局30と端末装置40との間で見通し外通信となった場合に、通信を継続することを目的とする。
【0123】
ここで、衛星局30と端末装置40との間で見通し外通信となるケースとして、雲やトンネルのような障害物によって見通し外通信となるケースや、複数の衛星局30のカバレッジが重複していないケースなど、いくつかのケースが考えられる。そこで、以下、ケースごとに通信システム1の動作を説明する。
【0124】
なお、以下の説明では、通信システム1でV2X通信が行われるものとするが、本開示の技術の適用範囲はV2X通信に限定されない。例えば、通信システム1で高速大容量通信や音声通信、IoT通信が行われる場合にも本開示の技術が適用され得る。
【0125】
また、以下の説明において、地上の基地局装置を表している場合は、地上基地局装置60と明記して記載する。単に基地局装置と記載している場合は、衛星局30などを含む非地上基地局装置を表しているとする。
【0126】
また、上述したように、基地局装置は、衛星装置を介して通信されるトランスパレントペイロードまたはベントパイプなどと呼称される通信を実施する基地局装置を含んでもよい。
【0127】
なお、以下では、説明を簡略化するために、基地局装置(非地上基地局装置)は、衛星局30であるとして、衛星局30を基地局装置30とも記載する。また、衛星局30が形成するセルによって基地局装置のカバレッジが形成されるものとする。
【0128】
<4.1.第1のケース>
まず、第1のケースとして、複数の基地局装置30のカバレッジが重複していないケースについて説明する。図11は、本開示の実施形態に係る通信システム1の第1のケースの一例について説明するための図である。
【0129】
図11に示す例では、複数の基地局装置30、30がそれぞれカバレッジC3、C3を形成する。基地局装置30、30は、カバレッジC3、C3内の端末装置40と通信(衛星通信、あるいは、非地上波ネットワーク通信)を行う。
【0130】
図11に示すように、カバレッジC3、C3は重複しておらず、基地局装置30のカバレッジC3外となる領域90が存在する。領域90では、基地局装置30と衛星通信が行えない。
【0131】
ここで、端末装置40が移動体(例えば車両など)である場合、移動にともなって、端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外の領域90に移動することがある。また、移動にともなって、端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3外の領域90から基地局装置30のカバレッジC3内に移動することがある。
【0132】
このように、端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外に移動する場合に、端末装置40の通信が継続されることが求められる。また、端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内に移動する場合に、端末装置40の通信が継続されることが求められる。
【0133】
なお、複数の基地局装置30、30のカバレッジC3、C3の間にカバレッジC3外になる領域90が存在するケースは、図11の例に限定されない。
【0134】
図12は、本開示の実施形態に係る通信システム1の第1のケースの他の例について説明するための図である。
【0135】
図12に示す例では、基地局装置30、30のカバレッジC3、C3は隣接(あるいは重複)しているが、障害物80(図12の例では雲)によって基地局装置30、30のカバレッジC3、C3外となる領域90が存在する。領域90では、端末装置40は、基地局装置30と衛星通信が行えない。なお、障害物80は、雲などの自然物に限定されない。例えば、トンネルなどの構造物も障害物80になり得る。
【0136】
このように、基地局装置30、30のカバレッジC3、C3が隣接(あるいは重複)していても障害物80の影響で、端末装置40が基地局装置30と通信が行えない領域90が存在するケースがある。
【0137】
また、基地局装置30の数は2つに限定されない。例えば、基地局装置30の数が3つ以上であっても、端末装置40が基地局装置30と通信が行えない領域90が存在するケースがある。
【0138】
図13は、本開示の実施形態に係る通信システム1の第1のケースの他の例について説明するための図である。
【0139】
図13では、基地局装置30が3つの場合を示している。基地局装置30、30は、カバレッジC3、C3内の端末装置40と通信(衛星通信)を行う。しかしながら、基地局装置30は、障害物80(図13の例では雲)によって端末装置40と通信(衛星通信)が行えない。このように、障害物80によって基地局装置30のカバレッジC3外である領域90が発生するケースがある。
【0140】
上述したように、端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外に移動する場合に、端末装置40の通信が継続されることが求められる。また、端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内に移動する場合に、端末装置40の通信が継続されることが求められる。
【0141】
そこで、本開示の実施形態では、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外に移動した場合、非衛星通信を行うことで、通信を継続する。また、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内に移動した場合、衛星通信を行うことで、通信を継続する。
【0142】
なお、非衛星通信には、地上基地局装置60と端末装置40との間で行われる地上通信、及び、端末装置40間で行われるサイドリンク通信が含まれる。
【0143】
<4.1.1.地上通信によって通信を継続する場合>
図14は、本開示の実施形態に係る通信システム1による通信の一例について説明するための図である。図14では、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外で地上基地局装置60と地上通信を行う。
【0144】
図14に示すように、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3内に位置する場合、基地局装置30と衛星通信を行う。このとき、基地局装置30は、端末装置40から端末情報を収集し得る。基地局装置30は、この端末情報を使用して、例えば、端末装置40がいつ基地局装置30のカバレッジC3外に移動するかを判定する。
【0145】
端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外の領域90に移動すると、端末装置40は、地上基地局装置60と通信を行う。端末装置40と地上基地局装置60との間の通信は、地上波ネットワークを介して行われる非衛星通信である。このように、端末装置40は、基地局装置30から地上基地局装置60にハンドオーバーを行うことで、高信頼な通信を担保することができる。
【0146】
このとき、端末装置40は、基地局装置30から取得した非衛星通信情報を使用して、地上基地局装置60と非衛星通信を行う。例えば、端末装置40は、非衛星通信情報を用いて、基地局装置30から地上基地局装置60へのハンドオーバー(第1のハンドオーバーとも記載する)を実行する。なお、このハンドオーバーとして、図9に示したハンドオーバー又は図10に示すConditionalハンドオーバーが適用されてもよい。
【0147】
端末装置40は、例えば、タイマーベースで第1のハンドオーバーを実行し得る。この場合、基地局装置30は、端末装置40に対して、第1のハンドオーバーを実施するまでのタイマーを設定する。端末装置40は、タイマーがExpireしたタイミングで第1のハンドオーバーの手続きを開始する。
【0148】
あるいは、端末装置40は、自装置の位置情報や衛星(基地局装置30)の軌道情報に基づき、第1のハンドオーバーを行うタイミングを判断し得る。端末装置40が、自装置の位置情報や衛星の軌道情報に基づき、第1のハンドオーバーを行うタイミングを決定してもよい。あるいは、端末装置40は、基地局装置30から提供される第1のハンドオーバーのタイミングに関するトリガー情報に従って、第1のハンドオーバーを行ってもよい。
【0149】
これにより、端末装置40は、よりスムーズに基地局装置30から地上基地局装置60へのハンドオーバーを実行することができ、より高信頼な通信を担保することができる。
【0150】
また、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外から基地局装置30のカバレッジC3内に移動すると、基地局装置30とは異なる基地局装置30と衛星通信を行う。このように、端末装置40は、地上基地局装置60から基地局装置30にハンドオーバーを行うことで、高信頼な通信を担保することができる。
【0151】
このとき、端末装置40は、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60から取得した衛星通信情報を使用して、基地局装置30と衛星通信を行う。例えば、端末装置40は、衛星通信情報を用いて、地上基地局装置60から基地局装置30へのハンドオーバー(以下、第2のハンドオーバーとも記載する)を実行する。なお、このハンドオーバーとして、図9に示したハンドオーバー又は図10に示すConditionalハンドオーバーが適用されてもよい。
【0152】
端末装置40は、例えば、タイマーベースで第2のハンドオーバーを実行し得る。この場合、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60は、端末装置40に対して、第2のハンドオーバーを実施するまでのタイマーを設定する。端末装置40は、タイマーがExpireしたタイミングで第2のハンドオーバーの手続きを開始する。
【0153】
あるいは、端末装置40は、自装置の位置情報や衛星(基地局装置30)の軌道情報に基づき、第2のハンドオーバーを行うタイミングを判断し得る。端末装置40が、自装置の位置情報や衛星の軌道情報に基づき、第2のハンドオーバーを行うタイミングを決定してもよい。あるいは、端末装置40は、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60から提供される第2のハンドオーバーのタイミングに関するトリガー情報に従って、第1のハンドオーバーを行ってもよい。
【0154】
これにより、端末装置40は、よりスムーズに地上基地局装置60から基地局装置30へのハンドオーバーを実行することができ、より高信頼な通信を担保することができる。
【0155】
なお、図14に示す第1のケースでは、端末装置40が非地上通信カバレッジ外に入る前と、非地上通信カバレッジ外から出た後で、接続する基地局装置(衛星局)30が異なる。図14に示すように、端末装置40は、カバレッジC3では、基地局装置30に接続し、カバレッジC3では、基地局装置30に接続する。
【0156】
このように、端末装置40が非地上通信カバレッジ外に入る前と、非地上通信カバレッジ外から出た後で、接続する基地局装置(衛星局)30が異なる場合がある。このような場合に、例えば、後述するシグナリング情報(例えば、非衛星通信情報など)の少なくとも1つを含む情報が基地局装置30間で共有され得る。
【0157】
すなわち、基地局装置30は、後述するシグナリング情報の少なくとも1つを含む情報を基地局装置30に通知し得る。例えば、基地局装置30は、後述するTarget cellへのハンドオーバー手続きに関する情報やTarget cellへのハンドオーバートリガーに関する情報などを基地局装置30に通知しておく。
【0158】
これにより、端末装置40は、よりスムーズなハンドオーバーを実施することができる。
【0159】
また、基地局装置30、30間で情報(衛星間情報の一例)が共有されることで、端末装置40は、トランスパレントなハンドオーバーを実施し得る。ここで、トランスパレントなハンドオーバーとは、端末装置40が、非地上通信カバレッジ外に入る前と、非地上通信カバレッジ外から出た後で、接続する基地局装置30が同じであるかまたは異なるかを意識せずに、基地局装置30との通信を再開する手段である。端末装置40は、トランスパレントなハンドオーバーを実施することで、端末装置40の視点では、接続する基地局装置30が同じであるか、又は、異なるかを意識せずに衛星通信を再開することができる。
【0160】
この場合、基地局装置30は、ハンドオーバーに関する情報(例えば、第1のHO(Handover)情報及び/又は第2のHO情報)を端末装置40に通知しなくてもよい。例えば、基地局装置30及び端末装置40は、後述する第2のケースと同様にしてハンドオーバーを含む通信を実施し得る。
【0161】
[シグナリング例]
以下、第1のケースにおける通信で使用されるシグナリング情報の一例について説明する。
【0162】
(端末情報)
端末装置40は、例えば、基地局装置30に非地上通信カバレッジ外への移動に関する情報を端末情報として通知し得る。当該端末情報は、例えば、基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外、すなわち、非地上通信カバレッジエリア内から非地上通信カバレッジエリア外に端末装置40が移動する前に通知され得る。
【0163】
端末情報には、以下の情報が少なくとも1つ含まれ得る。
・端末装置40の位置情報など、ロケーションに関する情報
・端末装置40の速度情報、移動方向など、モビリティに関する情報
・端末装置40のセンシング情報
・端末装置40の端末状態に関する情報
【0164】
端末装置40のセンシング情報には、例えば、トンネルや雲などの障害物に関する情報、周囲の他の端末装置40の位置情報やモビリティ情報、天候などの情報、周囲の明るさに関する情報、などが含まれ得る。
【0165】
端末装置40の端末状態に関する情報には、例えば、端末装置40のケイパビリティ、端末装置40の燃料や電池残量情報、端末装置40の事故履歴情報、端末装置40の気温情報、端末装置40の点検実施履歴情報、などが含まれ得る。
【0166】
端末装置40は、例えば、基地局装置30のカバレッジC3内に位置するなど基地局装置30と通信可能であれば、いつでも端末情報を基地局装置30に通知し得る。
【0167】
例えば、端末装置40は、基地局装置30からの要求(情報通知の実施要求)が通知されたタイミングで、端末情報を通知してもよい。すなわち、端末装置40は、基地局装置30からの要求に応じて端末情報を基地局装置30に通知する。あるいは、端末装置40は、予め設定された定期的なタイミング(Semi-persistentなタイミング)で、端末情報を基地局装置30に通知してもよい。
【0168】
(非衛星通信情報)
非衛星通信情報は、基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外、すなわち、非地上通信カバレッジエリア内から非地上通信カバレッジエリア外への移動に使用されるシグナリング情報である。非衛星通信情報は、基地局装置30から端末装置40に通知される。
【0169】
非衛星通信情報には、例えば、第1のハンドオーバーの実施に関する第1のHO情報や、非地上通信カバレッジ外への移動トリガーに関する第1のトリガー情報などが含まれ得る。
【0170】
(第1のHO情報)
第1のHO情報は、例えば、地上基地局装置60への第1のハンドオーバー実施に関する情報を含む。なお、第1のHO情報に、地上基地局装置60から基地局装置30へのハンドオーバー(上述した第2のハンドオーバー)実施に関する情報が含まれていてもよい。
【0171】
第1のHO情報には、以下の情報が少なくとも1つ含まれ得る。
・Target cellへのハンドオーバー手続きに関する情報
・Target cellへのハンドオーバー実施トリガーに関する情報
・Source cellからのデタッチ実施に関する情報
・次以降のハンドオーバー先の情報
【0172】
Target cellへのハンドオーバー手続きに関する情報は、例えば、Target cell(地上基地局装置60)への第1のハンドオーバー手続きに関する情報である。当該情報は、例えば、以下のような情報を少なくとも1つ含み得る。
・Target cellのPRACH(Physical Random Access Channel)送信リソース
・Target cellのPRACH送信Preambleシーケンス
・Target cellのセルID
・Target cellのUplink/Downlinkキャリア周波数
・Target cellの帯域幅
・ハンドオーバー後の端末固有ID(C-RNTI(Cell-Radio Network Temporary ID))
・ハンドオーバー後のRadio Resource Configuration
・ハンドオーバーに関する情報セットを更新する条件
・ハンドオーバーを実施するためのトリガー情報
・Target cellのタイミングアドバンス情報
・Target cellのSSB index
・送信重みに関する情報
・2-STEP初期アクセスに関する情報
【0173】
Target cell(地上基地局装置60)へのハンドオーバー実施トリガーに関する情報は、例えば、以下のような情報を含み得る。
・Target cell候補のRSRP(Reference Signal Received Power)情報
・Target cell候補のRSRQ(Reference Signal Received Quality)情報
・Target cell候補のRSSI(Received Signal Strength Indication)情報
・Target cell候補のハンドオーバー実施に関するタイマー情報
・Target cell候補のハンドオーバー実施の開始時刻に関する情報
・Target cell候補のハンドオーバー実施トリガー検出動作の実施開始時刻に関する情報
・Target cell候補のハンドオーバー実施に関するタイマーがExpireした後の動作に関する情報
・Target cell候補以外のcellの同期信号を受信した場合の動作
【0174】
Source cell(基地局装置30)からのデタッチ実施に関する情報は、例えば、以下のような情報を少なくとも1つ含み得る。
・Source cellのRSRP情報
・Source cellのRSRQ情報
・Source cellのRSSI情報
・Source cellからデタッチを実施するタイマーに関する情報
・Source cellからデタッチを実施する時刻に関する情報
・Source cellからデタッチ実施の実行に関する情報
【0175】
次以降のハンドオーバー先の情報は、次のハンドオーバー先(例えば、地上基地局装置60)の情報に追加して基地局装置30から端末装置40に通知され得る。次以降のハンドオーバー先の情報は、Target cellが次以降のハンドオーバー先(例えば、基地局装置30)であり、Source cellが次のハンドオーバー先(例えば、地上基地局装置60)である点を除き、第1のHO情報と同じであり得る。また、次以降のハンドオーバー先の情報に、連続したハンドオーバー実施タイミングに関する情報が含まれていてもよい。
【0176】
(第1のトリガー情報)
上述したように、非衛星通信情報には、例えば、非地上通信カバレッジ外への移動トリガーに関する第1のトリガー情報などが含まれ得る。基地局装置30は、端末装置40に、第1のトリガー情報を予め通知してもよい。端末装置40は、第1のトリガー情報を受信した場合、第1のトリガー情報に基づいて非地上通信カバレッジ外への移動を実施する。
【0177】
第1のトリガー情報は、例えば、以下のような情報を少なくとも1つ含み得る。
・非地上通信セル(非地上通信カバレッジ内)の受信電力に関する閾値情報(例えば、RSRP閾値情報、RSRQ閾値情報、RSSI閾値情報など)
・非地上通信カバレッジ内から非地上通信カバレッジ外への移動を実施するタイマーに関する情報
・非地上通信カバレッジ内から非地上通信カバレッジ外への移動を実施する時刻に関する情報
・非地上通信カバレッジ内から非地上通信カバレッジ外への移動の実行に関する情報
【0178】
(衛星通信情報)
衛星通信情報は、基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内、すなわち、非地上通信カバレッジエリア外から非地上通信カバレッジエリア内への移動に使用されるシグナリング情報である。衛星通信情報は、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60から端末装置40に通知される。
【0179】
衛星通信情報には、例えば、第2のハンドオーバーの実施に関する第2のHO情報や、非地上通信カバレッジ内への移動トリガーに関する第2のトリガー情報などが含まれ得る。
【0180】
(第2のHO情報)
第2のHO情報は、例えば、基地局装置30への第2のハンドオーバー実施に関する情報を含む。なお、第2のHO情報は、Target cellが、例えば基地局装置30であり、Source cellが、例えば地上基地局装置60である点を除き、第1のHO情報と同様の情報を含み得る。
【0181】
(第2のトリガー情報)
第2のトリガー情報は、例えば、非地上通信カバレッジ内への移動トリガーに関する情報が含まれ得る。基地局装置30又は/及び地上基地局装置60は、端末装置40に、第2のトリガー情報を予め通知してもよい。端末装置40は、第2のトリガー情報を受信した場合、第2のトリガー情報に基づいて非地上通信カバレッジ内への移動を実施する。
【0182】
第2のトリガー情報は、例えば、以下のような情報を少なくとも1つ含み得る。
・地上通信セルのRSRP閾値情報
・地上通信セルのRSRQ閾値情報
・地上通信セルのRSSI閾値情報
・非地上通信カバレッジ外から非地上通信カバレッジ内への移動を実施するタイマーに関する情報
・非地上通信カバレッジ外から非地上通信カバレッジ内への移動を実施する時刻に関する情報
・非地上通信カバレッジ外から非地上通信カバレッジ内への移動の実行に関する情報
【0183】
(第2の端末情報)
端末装置40は、例えば、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60に非地上通信カバレッジ内への移動に関する情報を第2の端末情報として通知し得る。当該第2の端末情報は、例えば、基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内、すなわち、非地上通信カバレッジエリア外から非地上通信カバレッジエリア内に端末装置40が移動する前に通知され得る。
【0184】
第2の端末情報は、例えば、上述した端末情報と同様の情報を含み得る。端末装置40は、例えば、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60と通信可能であれば、いつでも第2の端末情報を基地局装置30又は/及び地上基地局装置60に通知し得る。
【0185】
例えば、端末装置40は、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60からの要求(情報通知の実施要求)が通知されたタイミングで、第2の端末情報を通知してもよい。すなわち、端末装置40は、基地局装置30又は/及び地上基地局装置60からの要求に応じて端末情報を基地局装置30又は/及び地上基地局装置60に通知する。あるいは、端末装置40は、予め設定された定期的なタイミング(Semi-persistentなタイミング)で、第2の端末情報を基地局装置30又は/及び地上基地局装置60に通知してもよい。
【0186】
[通信処理例]
以下、通信システム1が、非地上通信カバレッジ外で地上通信を行うことで、通信を継続する場合の通信処理例について説明する。なお、以下で説明する通信処理例は、一例であり、本開示の実施形態に係る通信システム1で以下に挙げる通信処理例以外の処理が実行されてもよい。
【0187】
(通知処理)
図15は、本開示の実施形態に係る端末情報の通知処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図15に示す通知処理は、非地上通信カバレッジ内で、端末装置40と基地局装置30との間で行われる。
【0188】
基地局装置30は、同期信号及びシステム情報を端末装置40に送信する(ステップS301)。システム情報は、本開示の実施形態に係る通信を実施するための明示的な通知を含み得る。
【0189】
次に、基地局装置30は、端末装置40との間で、Random Access Procedureを実施する(ステップS302)。このとき、端末装置40は、基地局装置30に、自装置の情報やセンシング情報などの情報データを通知してもよい。
【0190】
端末装置40は、端末Capabilityを基地局装置30に通知する(ステップS303)。端末Capabilityには、本開示の実施形態に係る通信(例えば、第1のハンドオーバー及び/又は第2のハンドオーバー)に関するCapabilityが含まれ得る。すなわち、端末Capabilityには、例えば、第1のハンドオーバー及び/又は第2のハンドオーバーを実施可能か否か示す情報が含まれ得る。
【0191】
基地局装置30は、準静的な制御情報を端末装置40に通知する(ステップS304)。当該制御情報には、本開示の実施形態に係る通信に関する情報が含まれ得る。
【0192】
基地局装置30は、下りリンク制御情報を端末装置40に通知する(ステップS305)。当該制御情報には、DCI(Downlink Control Information)など本開示の実施形態に係る通信に関する情報が含まれ得る。
【0193】
基地局装置30は、下りリンクデータを端末装置40に送信する(ステップS306)。基地局装置30は、例えばPDSCH(Physical Downlink Shared Channel)などを用いて下りリンクデータを送信する。
【0194】
端末装置40は、下りリンクデータを受信すると、再送制御に関する情報を基地局装置30に通知する(ステップS307)。再送制御に関する情報には、例えば、ACK/NACKなどが含まれ得る。
【0195】
ここで、端末装置40に端末情報(端末の情報やセンシング情報などの情報データ)が発生したとする(ステップS308)。
【0196】
この場合、端末装置40は、Scheduling requestを基地局装置30に送信する(ステップS309)。
【0197】
基地局装置30は、下りリンク制御情報を端末装置40に通知する(ステップS310)。当該制御情報には、DCI(Downlink Control Information)など本開示の実施形態に係る通信に関する情報が含まれ得る。
【0198】
端末装置40は、上りリンクデータを基地局装置30に送信する(ステップS311)。上りリンクデータには、端末情報(端末の情報やセンシング情報などの情報データ)が含まれ得る。
【0199】
図16は、本開示の実施形態に係る端末情報の通知処理の流れの他の例を示すシーケンス図である。図16に示す通知処理は、非地上通信カバレッジ内で、端末装置40と基地局装置30との間で行われる。なお、ステップS308で端末情報が発生するまでの処理は図15と同じである。
【0200】
端末情報が発生すると、端末装置40は、Configured grantで通知された情報に基づいて上りリンクデータを基地局装置30に送信する(ステップS401)。上りリンクデータには、端末情報(端末の情報やセンシング情報などの情報データ)が含まれ得る。
【0201】
このように、端末装置40は、基地局装置30と通信(衛星通信)を行っている場合に、端末情報が発生すると、端末情報を基地局装置30に通知する。
【0202】
なお、端末装置40は、基地局装置30からの指示に応じて端末情報を基地局装置30に通知してもよく、定期的に端末情報を基地局装置30に通知してもよい。
【0203】
(ハンドオーバー処理)
図17は、本開示の実施形態に係るハンドオーバー処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図17に示すハンドオーバー処理には、上述した第1のハンドオーバー(非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動)、及び、第2のハンドオーバー(非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動)が含まれる。
【0204】
図17に示すSource基地局装置は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動前に端末装置40と衛星通信を行う基地局装置30図14参照)である。
【0205】
図17に示す地上基地局装置は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動後に端末装置40と地上通信を行う地上基地局装置60(図14参照)である。
【0206】
図17に示すTarget基地局装置は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動後に端末装置40と衛星通信を行う基地局装置30図14参照)である。
【0207】
また、図17に示すハンドオーバー処理の実行前に、Source基地局装置と端末装置40との間で、例えば図15又は図16に示す通知処理が実行されているものとする。すなわち、Source基地局装置が、端末装置40に関する端末情報を取得しているものとする。
【0208】
図17に示すように、Source基地局装置は、端末情報を基に、非地上通信カバレッジ外となるタイミングを計測する(ステップS501)。
【0209】
Source基地局装置は、端末装置40に、準静的な制御情報を通知するとともに、非衛星通信情報を通知する(ステップS502)。
【0210】
また、Source基地局装置は、Target基地局装置に対してハンドオーバーをリクエストする(ステップS503)。
【0211】
Target基地局装置は、ハンドオーバーリクエストを受け取ると流入制御(Admission Control)を行い(ステップS504)、ハンドオーバーリクエストに対するAcknowledgeをSource基地局装置に通知する(ステップS505)。
【0212】
また、非衛星通信情報を受信した端末装置40は、非地上通信カバレッジ外への移行タイミングの計測を開始する(ステップS506)。例えば、端末装置40は、非衛星通信情報に含まれる第1のトリガー情報に基づき、第1のハンドオーバーを実施するタイミングの計測を開始する。
【0213】
ここで、計測の結果、端末装置40が、非地上通信カバレッジ外への移行トリガーを検知したとする(ステップS507)。この場合、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外での通信(地上通信)を開始する。例えば、端末装置40は、第1のハンドオーバーを実施する。
【0214】
地上通信を開始すると、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内への移行タイミングの計測を開始する(ステップS508)。
【0215】
その後、端末装置40は、地上基地局装置60との間で地上通信を実行する(ステップS509)。
【0216】
ここで、端末装置40が、非地上通信カバレッジ内への移行トリガーを検知したとする(ステップS510)。この場合、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内での通信(衛星通信)を開始する。例えば、端末装置40は、第2のハンドオーバーを実施する。
【0217】
端末装置40は、Random Access PreambleをTarget基地局装置に送信する(ステップS511)。端末装置40は、例えば、非衝突ベースのRandom Access PreambleをTarget基地局装置に送信する。
【0218】
Target基地局装置は、Random Access Responseを端末装置40に送信する(ステップS512)。端末装置40は、RRC Reconfiguration CompleteをTarget基地局装置に送信する(ステップS513)。
【0219】
以降、端末装置40は、Target基地局装置と衛星通信を実行する。
【0220】
以上のように、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動した場合、地上基地局装置60と地上通信を行う。また、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動した場合、Target基地局装置と非地上通信を行う。
【0221】
このとき、端末装置40は、Source基地局装置から取得した非衛星通信情報を使用して、地上基地局装置60と、例えば第1のハンドオーバーを含む地上通信を行う。また、端末装置40は、Source基地局装置及び/又は地上基地局装置60から取得した衛星通信情報を使用してTarget基地局装置と、例えば第2のハンドオーバーを含む非地上通信を行う。
【0222】
これにより、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外へ、又は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内へ移動する場合であっても信頼性の高い通信を担保することができる。
【0223】
<4.1.2.サイドリンク通信によって通信を継続する場合>
上述した例では、非地上通信カバレッジ外で端末装置40が非衛星通信として、地上基地局装置60と地上通信を行うとしたが、端末装置40が行う非衛星通信は地上通信に限定されない。例えば、端末装置40が、非衛星通信として他の端末装置40とサイドリンク通信を行ってもよい。
【0224】
例えば、非地上通信カバレッジ外が、地上基地局装置60のカバレッジ外(地上通信カバレッジ外)であることも考えられる。このように、非地上通信カバレッジ外で地上通信が行えない場合、端末装置40は、他の端末装置40とサイドリンク通信を行うことで、非地上通信カバレッジ外での通信を継続することができる。
【0225】
図18は、本開示の実施形態に係る通信システム1による通信の他の例について説明するための図である。図18では、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外で他の端末装置40とサイドリンク通信を行う。
【0226】
図18に示すように、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3内に位置する場合、基地局装置30と衛星通信を行う。このとき、基地局装置30は、端末装置40から端末情報を収集し得る。基地局装置30は、この端末情報を使用して、例えば、端末装置40がいつ基地局装置30のカバレッジC3外に移動するかを判定する。
【0227】
端末装置40が基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外の領域90に移動すると、端末装置40は、他の端末装置40とサイドリンク通信(例えば、V2V通信)を行う。端末装置40と地上基地局装置60との間のサイドリンク通信は、非衛星通信である。このように、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外でサイドリンク通信を行うことで、信頼性を担保した通信を行うことができる。
【0228】
なお、端末装置40と他の端末装置40との間で行われるサイドリンク通信は、ネットワーク非アシステッドのデバイス間通信である。このように、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外へ移動することで、ネットワークアシステッド通信(衛星通信)からネットワーク非アシステッド通信に移行する。
【0229】
このとき、基地局装置30は、端末装置40にネットワーク非アシステッドデバイス間通信への移行とネットワーク非アシステッドデバイス間通信で必要となる情報(非衛星通信情報の一例)を通知してもよい。
【0230】
端末装置40は、基地局装置30から非衛星通信情報を受信した場合、通知された非衛星通信情報に基づいて、ネットワーク非アシステッド通信への移行、及び、デバイス間通信を実行する。
【0231】
なお、ネットワーク非アシステッドデバイス間通信への移行する場合、基地局装置30は、端末装置40に対して、ネットワーク非アシステッドデバイス間通信への移行することをアラートしてもよい。アラートを受信した端末装置40は、例えば、運転手など端末装置40を使用するユーザ(制御者)に対して、ネットワーク非アシステッド通信へ移行することを示すアラートを出す。
【0232】
これにより、ユーザは、ネットワーク非アシステッド通信へ移行することを知ることができる。
【0233】
また、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外から基地局装置30のカバレッジC3内に移動すると、基地局装置30と衛星通信を行う。このとき、端末装置40は、早急に基地局装置30との衛星通信に移行することが望ましい。
【0234】
これは、非地上通信カバレッジ外では、他の端末装置40とのネットワーク非アシステッド通信が行われるからである。端末装置40は、基地局装置30との衛星通信に移行することでネットワークアシステッド通信を行うことができ、より信頼性の高い通信を担保することができる。
【0235】
なお、ネットワークアシステッド通信への移行する場合、基地局装置30は、端末装置40に対して、ネットワークアシステッド通信への移行することをアラートしてもよい。アラートを受信した端末装置40は、例えば、運転手など端末装置40を使用するユーザ(制御者)に対して、ネットワークアシステッド通信へ移行することを示すアラートを出す。
【0236】
これにより、ユーザは、ネットワークアシステッド通信へ移行することを知ることができる。
【0237】
[シグナリング例]
端末装置40が、非衛星通信として他の端末装置40とサイドリンク通信を行う場合に、基地局装置30及び/又は地上基地局装置60とやり取りを行うシグナリングの一例について説明する。
【0238】
端末装置40が基地局装置30に通知する端末情報は、端末装置40が、非衛星通信として地上通信を行う場合の端末情報と同じ情報を含み得る。
【0239】
基地局装置30が端末装置40に通知する非衛星通信情報は、端末装置40が非衛星通信として地上通信を行う場合の非衛星通信情報に加えて、サイドリンク通信に関するサイドリンク情報を含み得る。サイドリンク情報は、以下の情報を少なくとも1つ含み得る。ただし、以下の情報は一例であり、以下の情報以外にも、サイドリンク通信で必要となり得る既存のサイドリンクに関する情報も同様に、サイドリンク情報として含み得る。
・通信リソースプールに関する情報
・通信リソース選択手段に関する情報
・サブキャリア間隔やスロット長などのリソースに関する情報
・繰り返し送信回数に関する情報
・変調方式に関する情報
・誤り訂正符号に関する情報
・Redundancy Versionに関する情報
・再送に関する情報
・予約リソースに関する情報
・Measurementに関する情報
・サイドリンク通信を実施する帯域に関する情報
・サイドリンク通信で送信される参照信号に関する情報
・TDD configurationに関する情報
・サイドリンク通信で使用される同期信号に関する情報
・送信電力に関する情報
・送信タイミングに関する情報
【0240】
このように、端末装置40が非衛星通信として地上通信を行う場合、基地局装置30は、非衛星通信情報として、第1のHO情報、及び、第1のトリガー情報を端末装置40に通知するようにしてもよい。また、端末装置40が非衛星通信として地上通信を行う場合、基地局装置30は、非衛星通信情報としてサイドリンク通信に関するサイドリンク情報を通知してもよい。
【0241】
また、基地局装置30が端末装置40に通知する衛星通信情報は、端末装置40が非衛星通信として地上通信を行う場合の衛星通信情報と同じ情報を含み得る。また、端末装置40が基地局装置30に通知する第2の端末情報は、端末装置40が非衛星通信として地上通信を行う場合の第2の端末情報と同じ情報を含み得る。
【0242】
[通信処理例]
端末装置40が非衛星通信として他の端末装置40とサイドリンク通信を行う場合に、通信システム1で実行される通知処理は、図15及び図16に示す通知処理と同様に行われ得る。また、ハンドオーバー処理は、ステップS509で地上基地局装置60との間で行われる地上通信が、他の端末装置40との間のサイドリンク通信に置き換わる点を除き、図17に示すハンドオーバー処理と同様に行われ得る。
【0243】
以上のように、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動した場合、他の端末装置40との間のサイドリンク通信を行う。また、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動した場合、Target基地局装置と非地上通信を行う。
【0244】
このとき、端末装置40は、Source基地局装置から取得した非衛星通信情報を使用して、他の端末装置40と、例えば第1のハンドオーバーを含むサイドリンク通信を行う。また、端末装置40は、Source基地局装置から取得した衛星通信情報を使用してTarget基地局装置と、例えば第2のハンドオーバーを含む非地上通信を行う。
【0245】
これにより、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外へ、又は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内へ移動する場合であっても信頼性の高い通信を担保することができる。また、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外が地上通信カバレッジ外であっても通信を継続することができ、信頼性の高い通信を担保することができる。
【0246】
<4.2.第2のケース>
<4.2.1.地上通信によって通信を継続する場合>
上述した第1のケースでは、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外に移動する前に非地上通信を行っていた基地局装置30と、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内に移動した後に非地上通信を行う基地局装置30とが異なる装置であるとした。しかしながら、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外に移動する前に非地上通信を行っていた基地局装置30と、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内に移動した後に非地上通信を行う基地局装置30とが同じ装置であってもよい。
【0247】
図19は、本開示の実施形態に係る通信システム1の第2のケースの一例について説明するための図である。
【0248】
図19に示す例では、基地局装置30がカバレッジC3を形成する。基地局装置30は、カバレッジC3内の端末装置40と通信(衛星通信、あるいは、非地上波ネットワーク通信)を行う。
【0249】
ここで、図19に示すように、障害物80(図19の例では雲)が存在すると、基地局装置30のカバレッジ外となる領域90がでてくる。領域90では、端末装置40は、基地局装置30と衛星通信が行えない。
【0250】
この場合、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外に移動すると、例えば、地上基地局装置60と地上通信を行うことで、通信を継続する。
【0251】
また、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内に移動すると、例えば、再び基地局装置30と非地上通信を行うことで、通信を継続する。
【0252】
これにより、端末装置40は、より高信頼な通信を担保することができる。
【0253】
[シグナリング例]
第2のケースにおいて、基地局装置30及び端末装置40は、第1のケースでやり取りを行うシグナリング情報に加えて/代えて、以下のシグナリング情報をやり取りし得る。
【0254】
基地局装置30は、第1のケースで端末装置40に通知する非衛星通信情報に加えて/代えて、以下の非衛星通信情報を端末装置40に通知し得る。
【0255】
基地局装置30は、例えば、非衛星通信情報として、非地上通信カバレッジ内に戻ってくるまでの情報を予め端末装置40に通知し得る。端末装置40は、当該情報を基に、非地上通信カバレッジ内に戻ってくるまでの動作を実施し得る。また、基地局装置30は、例えば、非衛星通信情報に、第1のケースで説明した衛星通信情報を含めて端末装置40に通知するようにしてもよい。
【0256】
また、基地局装置30は、非地上通信カバレッジ外となる位置情報や時間情報を端末装置40に通知してもよい。端末装置40は、この情報から、非地上通信カバレッジ外がどの位置からどの位置までなのか、あるいは、どれくらいの時間、非地上通信カバレッジ外となるかなどを推定してもよい。
【0257】
例えば、基地局装置30から端末装置40に通知される非衛星通信情報は、以下のような情報の少なくとも1つを含む。当該非衛星通信情報は、例えば、一時的な非地上通信カバレッジ外への移動の実施に関する情報である。
・即時移動の情報
・移動実施までのタイマー情報
・受信電力に関する情報(RSRP情報、RSRQ情報、RSSI情報など)
【0258】
例えば、基地局装置30から端末装置40に通知される衛星通信情報は、以下のような情報の少なくとも1つを含む。当該衛星通信情報は、例えば、非地上通信カバレッジ内へへの移動を実施するトリガーに関する情報である。
・受信電力に関する情報(RSRP情報、RSRQ情報、RSSI情報など)
・タイマー情報
・時刻に関する情報
・トリガー検出動作の実施開始時刻に関する情報
・タイマーがExpireした後の動作に関する情報
・周辺環境の情報
【0259】
なお、周辺環境の情報には、例えば、地図情報、トンネルの明度情報、天気情報、雨雲情報などが含まれ得る。
【0260】
[通信処理例]
以下、第2のケースにおいて通信システム1が、非地上通信カバレッジ外で地上通信を行うことで、通信を継続する場合の通信処理例について説明する。なお、通知処理は第1のケースにおける通知処理(図15及び図16参照)と同様である。
【0261】
(移動処理)
図20は、本開示の実施形態に係る移動処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図20に示す移動処理には、上述した非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動、及び、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動が含まれる。なお、図20に示す処理のうち、図17に示すハンドオーバー処理と同じ処理については、同一符号を付し説明を省略する。
【0262】
ステップS510で非地上通信カバレッジ内への移行トリガーを検知した端末装置40は、非地上通信カバレッジ内での通信(衛星通信)を開始する。
【0263】
端末装置40は、Random Access Preambleを基地局装置30に送信する(ステップS601)。端末装置40は、例えば、非衝突ベースのRandom Access Preambleを基地局装置30に送信する。端末装置40は、Random Access Preambleを非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外へ移動する前に通信を行っていた基地局装置30に送信する。
【0264】
基地局装置30は、Random Access Responseを端末装置40に送信する(ステップS602)。端末装置40は、RRC Reconfiguration Completeを基地局装置30に送信する(ステップS603)。
【0265】
以降、端末装置40は、基地局装置30と衛星通信を再開する。
【0266】
以上のように、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動した場合、地上基地局装置60と地上通信を行う。また、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動した場合、基地局装置30と非地上通信を再開する。
【0267】
このとき、端末装置40は、基地局装置30から取得した非衛星通信情報を使用して、地上基地局装置60と、例えば第1のハンドオーバーを含む地上通信を行う。また、端末装置40は、基地局装置30及び/又は地上基地局装置60から取得した衛星通信情報を使用して基地局装置30と、例えば第2のハンドオーバーを含む非地上通信を行う。
【0268】
これにより、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外へ、又は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内へ移動する場合であっても信頼性の高い通信を担保することができる。
【0269】
<4.2.2.サイドリンク通信によって通信を継続する場合>
第2のケースでも上述した第1のケースと同様に、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外において、地上通信の代わりにサイドリンク通信を行い得る。
【0270】
図21は、本開示の実施形態に係る通信システム1の第2のケースの他の例について説明するための図である。
【0271】
図21に示す例では、カバレッジ外となる領域90がでてくる。領域90では、端末装置40は、基地局装置30と衛星通信が行えない。また、図21の例では、領域90は、地上基地局装置60のカバレッジ(地上通信カバレッジ)外である。そのため、領域90では、端末装置40は、地上基地局装置60と地上通信を行うことができない。
【0272】
この場合、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3内からカバレッジC3外に移動すると、例えば、他の端末装置40とサイドリンク通信を行うことで、通信を継続する。
【0273】
また、端末装置40は、基地局装置30のカバレッジC3外からカバレッジC3内に移動すると、例えば、再び基地局装置30と非地上通信を行うことで、通信を継続する。
【0274】
これにより、端末装置40は、より高信頼な通信を担保することができる。
【0275】
[シグナリング例]
第2のケースにおいて、サイドリンク通信によって通信を継続する場合、基地局装置30及び端末装置40は、第1のケース、及び、第2のケースにおいて地上通信によって通信を継続する場合と同様のシグナリング情報をやり取りし得る。
【0276】
[通信処理例]
以下、第2のケースにおいて通信システム1が、非地上通信カバレッジ外でサイドリンク通信を行うことで、通信を継続する場合の通信処理例について説明する。なお、通知処理は第1のケースにおける通知処理(図15及び図16参照)と同様である。
【0277】
(移動処理)
図22は、本開示の実施形態に係る移動処理の流れの一例を示すシーケンス図である。図22に示す移動処理には、上述した非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動、及び、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動が含まれる。なお、図20に示す処理のうち、図17に示すハンドオーバー処理と同じ処理については、同一符号を付し説明を省略する。
【0278】
ステップS507で非地上通信カバレッジ外への移行トリガーを検知した端末装置40は、非地上通信カバレッジ内への移行タイミングの計測を開始する(ステップS508)。また、端末装置40は、他の端末装置40と、非地上通信カバレッジ外でのサイドリンク通信を開始する(ステップS701)。
【0279】
ステップS510で非地上通信カバレッジ内への移行トリガーを検知した端末装置40は、非地上通信カバレッジ内での通信(衛星通信)を開始する。
【0280】
例えば、基地局装置30は、端末接続確認を行う(ステップS702)。基地局装置30は、端末装置40に、例えば、RRC Reconfigurationを送信する。基地局装置30は、端末接続応答を行う(ステップS703)。端末装置40は、基地局装置30に、例えば、RRC Reconfiguration Completeを送信する。
【0281】
以降、端末装置40は、基地局装置30と衛星通信を再開する。
【0282】
以上のように、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外への移動した場合、他の端末装置40とサイドリンク通信を行う。また、端末装置40は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内への移動した場合、基地局装置30と非地上通信を再開する。
【0283】
このとき、端末装置40は、基地局装置30から取得した非衛星通信情報を使用して、他の端末装置40と、例えば第1のハンドオーバーを含むサイドリンク通信を行う。また、端末装置40は、基地局装置30から取得した衛星通信情報を使用して基地局装置30と、例えば第2のハンドオーバーを含む非地上通信を行う。
【0284】
これにより、端末装置40は、非地上通信カバレッジ内からカバレッジ外へ、又は、非地上通信カバレッジ外からカバレッジ内へ移動する場合であっても信頼性の高い通信を担保することができる。
【0285】
<<5.その他の実施形態>>
上述した通信システム1を使用して、MDT(Minimization of Driving Test)が行われ得る。
【0286】
例えば、無線通信ネットワークでは、端末装置40や試験機を車などの移動体に載せてネットワークに関するデータを収集することで、ネットワークの最適化が行われている。当該最適化は、ドライブテストとも呼ばれる。
【0287】
このドライブテストには、時間及び費用が掛かるため、ネットワーク運用者としてはドライブテストの負担を減らしたいという要求がある。そこで、必要なデータ(Measurement)を端末装置40から収集することで、ドライブテストを減らす、又は、無くすことが、MDTの目的として挙げられる。
【0288】
本開示の実施形態に係る通信システム1がMDTで応用され得る。例えば、端末装置40は、上述した端末情報(例えば、端末装置の位置情報、端末装置の速度情報、移動方向など、モビリティに関する情報、端末装置のセンシング情報、端末装置の端末状態に関する情報)を基地局装置30に通知する。基地局装置30は、通知された情報を利用することで、ネットワークの最適化を実施することが可能となる。
【0289】
このとき、端末装置40は、MDTで収集される情報の収集能力の保有有無や、情報の提供可否について、端末のCapability情報(端末Capability)に含めて基地局装置30に通知してもよい。
【0290】
基地局装置30は、端末装置40から通知された情報を基に、ネットワークの最適化や通信制御を実施してもよい。
【0291】
<<6.変形例>>
上述の実施形態は一例を示したものであり、種々の変更及び応用が可能である。
【0292】
例えば、上述の実施形態は、端末装置40は、衛星局30を介して地上局20を通信するものとしたが、端末装置40は、航空機局を介して地上局20と通信してもよい。この場合、上述の実施形態で登場する衛星局30は、航空機局に読み替えてもよい。その他、上述の実施形態で登場する衛星局30は、非地上局(非地上基地局)と読み替えることが可能である。
【0293】
また、端末装置40は、地上局(地上基地局)を介して地上局20と通信してもよい。この場合、上述の実施形態で登場する衛星局30は、地上局に読み替えてもよい。地上局には、端末装置が含まれていてもよい。その他、上述の実施形態で登場する衛星局30は、基地局、端末装置、或いは中継局と読み替えることが可能である。
【0294】
本実施形態の管理装置10、地上局20、衛星局30、端末装置40、を制御する制御装置は、専用のコンピュータシステムにより実現してもよいし、汎用のコンピュータシステムによって実現してもよい。
【0295】
例えば、上述の動作を実行するための通信プログラムを、光ディスク、半導体メモリ、磁気テープ、フレキシブルディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布する。そして、例えば、該プログラムをコンピュータにインストールし、上述の処理を実行することによって制御装置を構成する。このとき、制御装置は、管理装置10、地上局20、衛星局30、端末装置40の外部の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)であってもよい。また、制御装置は、管理装置10、地上局20、衛星局30、端末装置40の内部の装置(例えば、制御部13、制御部23、制御部33、制御部43)であってもよい。
【0296】
また、上記通信プログラムをインターネット等のネットワーク上のサーバ装置が備えるディスク装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。また、上述の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションソフトとの協働により実現してもよい。この場合には、OS以外の部分を媒体に格納して配布してもよいし、OS以外の部分をサーバ装置に格納しておき、コンピュータにダウンロード等できるようにしてもよい。
【0297】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0298】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0299】
また、上述の実施形態は、処理内容を矛盾させない領域で適宜組み合わせることが可能である。また、上述の実施形態のフローチャートに示された各ステップは、適宜順序を変更することが可能である。
【0300】
また、例えば、本実施形態は、装置またはシステムを構成するあらゆる構成、例えば、システムLSI(Large Scale Integration)等としてのプロセッサ、複数のプロセッサ等を用いるモジュール、複数のモジュール等を用いるユニット、ユニットにさらにその他の機能を付加したセット等(すなわち、装置の一部の構成)として実施することもできる。
【0301】
なお、本実施形態において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、全ての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0302】
また、例えば、本実施形態は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0303】
<<7.むすび>>
【0304】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の各実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0305】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0306】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
非地上基地局装置との間で衛星通信を行う端末装置であって、
前記非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記非地上基地局装置から取得し、
前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う、制御部と、
を備える端末装置。
(2)
前記制御部は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて、地上基地局装置と前記非衛星通信を行う、(1)に記載の端末装置。
(3)
前記非衛星通信情報は、前記地上基地局装置へのハンドオーバーに関する情報、前記非地上基地局装置からのデタッチに関する情報、及び、次以降のハンドオーバー先に関する情報の少なくとも1つを含む、(2)に記載の端末装置。
(4)
前記制御部は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて、前記非衛星通信として、他の端末装置とサイドリンク通信を行う、(1)~(3)のいずれか1つに記載の端末装置。
(5)
前記非衛星通信情報は、サイドリンク通信に関する情報を含む、(4)に記載の端末装置。
(6)
前記非衛星通信情報は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外への移動トリガーに関する情報を含む、(1)~(5)のいずれか1つに記載の端末装置。
(7)
前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外への前記移動トリガーに関する前記情報は、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内での受信電力に関する閾値情報、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外への移動を実施するタイマーに関する情報、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外への移動を実施する時刻に関する情報、及び、前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外への移動の実行に関する情報の少なくとも1つを含む、(6)に記載の端末装置。
(8)
前記非地上基地局装置は、第1の非地上基地局装置であり、
前記制御部は、前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外から前記カバレッジ内に移動した場合、第2の非地上基地局装置と前記衛星通信を行う、(1)~(7)のいずれか1つに記載の端末装置。
(9)
前記制御部は、前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外から前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内に移動したときの前記衛星通信で使用する衛星通信情報を取得する、(8)に記載の端末装置。
(10)
前記制御部は、前記衛星通信情報を前記第1の非地上基地局装置から取得する、(9)に記載の端末装置。
(11)
前記制御部は、前記衛星通信情報を前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外で前記非衛星通信を行う地上基地局装置から取得する、(9)又は(10)に記載の端末装置。
(12)
前記第2の非地上基地局装置は、前記第1の非地上基地局装置である、(8)~(11)のいずれか1つに記載の端末装置。
(13)
前記非衛星通信情報は、前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外への移動トリガーに関する情報を含み、
前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外への前記移動トリガーに関する前記情報は、即時移動の情報、移動実施までのタイマー情報、受信電力に関する情報の少なくとも1つを含む、(12)に記載の端末装置。
(14)
前記第1の非地上基地局装置の前記カバレッジ外から前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内に移動したときの前記衛星通信で使用する衛星通信情報は、前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内への移動トリガーに関する情報を含み、
前記第2の非地上基地局装置の前記カバレッジ内への前記移動トリガーに関する前記情報は、受信電力に関する情報、タイマー情報、時刻情報、トリガー検出動作の実施開始時刻に関する情報、タイマー終了後の動作に関する情報、及び、周辺環境情報の少なくとも1つを含む、(12)又は(13)に記載の端末装置。
(15)
前記第2の非地上基地局装置は、前記第1の非地上基地局装置と異なる、(8)~(11)のいずれか1つに記載の端末装置。
(16)
前記第2の非地上基地局装置は、前記第2の非地上基地局装置のカバレッジ内に移動したときの前記衛星通信で使用する衛星間情報を、前記第1の非地上基地局装置から取得する、(15)に記載の端末装置。
(17)
前記制御部は、端末情報を前記非地上基地局装置に通知し、
前記非地上基地局装置は、前記端末情報を用いて、前記端末装置が前記非地上基地局装置の前記カバレッジ外となるタイミングを推定する、
(1)~(16)のいずれか1つに記載の端末装置。
(18)
端末装置との間で衛星通信を行う基地局装置であって、
前記基地局装置のカバレッジ外で前記端末装置が非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記端末装置に通知する、制御部、
を備え、
前記端末装置は、前記基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う、
基地局装置。
(19)
端末装置が非地上基地局装置との間で衛星通信を行う通信方法であって、
前記非地上基地局装置のカバレッジ外で非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記非地上基地局装置から取得することと、
前記非地上基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行うことと、
を含む通信方法。
(20)
基地局装置が端末装置との間で衛星通信を行う通信方法であって、
前記基地局装置のカバレッジ外で前記端末装置が非衛星通信を行うための非衛星通信情報を前記端末装置に通知すること、
を含み、
前記端末装置は、前記基地局装置の前記カバレッジ内から前記カバレッジ外に移動した場合に、前記非衛星通信情報を用いて前記非衛星通信を行う、
通信方法。
【符号の説明】
【0307】
1 通信システム
10 管理装置
20 地上局
30、50 衛星局
40 端末装置
60 地上基地局装置
70 航空機局
11 通信部
21、31、41 無線通信部
12、22、32、42 記憶部
13、23、33、43 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22