(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160644
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】精米機
(51)【国際特許分類】
B02B 7/00 20060101AFI20231026BHJP
B02B 3/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B02B7/00 P
B02B7/00 101A
B02B3/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071133
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保田 郁哉
(72)【発明者】
【氏名】白石 昌載
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 良平
(72)【発明者】
【氏名】金子 真也
【テーマコード(参考)】
4D043
【Fターム(参考)】
4D043AA03
4D043DA03
4D043DL02
4D043JA05
4D043JA14
4D043JD01
4D043JF02
4D043LA04
4D043MA26
4D043MB06
(57)【要約】
【課題】
本体部の側方から精米かごを設置可能な精米機を提供する。
【解決手段】
米を収容するかご部と、本体部とを有し、前記かご部は、該かご部内において起立した軸部を有し、前記本体部は、ヘッド部およびベース部を有し、前記ヘッド部は、前記ベース部側へ突出する突出部を有し、前記かご部は、前記本体部の前記ヘッド部および前記ベース部の間に設置され、前記軸部は、前記かご部が前記本体部に設置されている状態において前記突出部と連結される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米を収容するかご部と、本体部とを有する精米機であって、
前記かご部は、該かご部内において起立した軸部を有し、
前記本体部は、ヘッド部およびベース部を有し、
前記ヘッド部は、前記ベース部側へ突出する突出部を有し、
前記かご部は、前記本体部の前記ヘッド部および前記ベース部の間に設置され、
前記軸部は、前記かご部が前記本体部に設置されている状態において前記突出部と連結される
ことを特徴とする精米機。
【請求項2】
前記かご部は、開口部を有する蓋部を有し、
前記軸部と前記突出部は、前記かご部が前記本体部に設置されている状態において、少なくともいずれか一方が前記蓋部の前記開口部を貫通して連結される
ことを特徴とする請求項1に記載の精米機。
【請求項3】
前記かご部は、該かご部内に収容された米を攪拌する攪拌部と、台部を有し、
前記本体部は、前記攪拌部を回転する回転機構と、制御部を有し、
前記ヘッド部は、センサ部を有し、
前記センサ部は、精米処理時において前記台部上の米の搗精度合を測定し、
前記制御部は、前記センサ部により測定した米の搗精度合に基づき前記回転機構の動作を制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の精米機。
【請求項4】
前記かご部は、該かご部内に収容された米を攪拌する攪拌部を有し、
前記本体部は、前記攪拌部を回転する回転機を有し、
前記ヘッド部は、ベース部側へ開口した開口部と、ファンと、を有し、
前記ファンは、前記回転機構の駆動により回転し、
前記開口部から送風する
ことを特徴とする請求項1または3に記載の精米機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精米機に関する。特に、一般家庭で使用される家庭用精米機に関する。
【背景技術】
【0002】
米(例えば玄米)を投入するためのホッパーが本体部上部に設けられている精米機が知られている。特許第3909459号(以下、特許文献1とする)の
図1に示されている精米機は、そのような精米機の一例である。
【0003】
また、本体部上部に精米かごが装着される精米機が知られている。特許第5508072号(以下、特許文献2とする)の
図1に示されている精米機は、そのような精米機の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3909459号
【特許文献2】特許第5508072号
【0005】
こうした精米機を用いて精米する場合、精米機の使用者は、例えば以下のような作業を行っていた。精米機の使用者は、まず、精米機上部に設けられたホッパーまたは精米かごの蓋を取り外す。次に、別途計量した米をホッパーまたは精米かご内に投入する。そして、ホッパーまたは精米かごに蓋を取り付ける。
【0006】
あるいは、着脱可能な精米かごを有する精米機の場合、精米機の使用者は、例えば以下のような作業を行っていた。精米機の使用者は、まず、本体部から精米かごを引き上げて取り外す。次に、精米かごの蓋を取り外す。次に、精米かご内に米を投入する。次に、精米かごに蓋を取り付ける。そして、精米かごを本体部に戻す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした精米機は、本体部上部から米を投入するという構造や、本体部上部に精米かごを装着するという構造ゆえに種々の問題を抱えていた。例えば、ホッパーに米を投入するにしても、本体部から精米かごを引き上げて取り外すにしても、精米機の使用時において本体部の上方に作業可能な空間が必要であるという問題があった。すなわち、こうした従来の精米機は、家庭の台所の狭い空間などで用いるには不便であった。上方に作業可能な空間が必要であるという特性から、例えば棚の中などには設置し辛く、不便であった。
【0008】
また、こうした従来の精米機は、例えば米の投入しやすさの兼ね合いから、ホッパー付近や精米かごの上部付近に様々な機能を搭載し辛いという問題もあった。
【0009】
本発明の一目的は、こうした従来の精米機が有する問題点に鑑み、本体部の側方から精米かごを設置可能な精米機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一解決手段に係る精米機は、米を収容するかご部と、本体部とを有し、前記かご部は、該かご部内において起立した軸部を有し、前記本体部は、ヘッド部およびベース部を有し、前記ヘッド部は、前記ベース部側へ突出する突出部を有し、前記かご部は、前記本体部の前記ヘッド部および前記ベース部の間に設置され、前記軸部は、前記かご部が前記本体部に設置されている状態において前記突出部と連結されることを一特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一解決手段によれば、本体部の側方から精米かごを設置し、精米することができる。これにより、例えば上方から精米かごを設置するような従来の精米機が抱えていた種々の問題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態における精米機10の側面視からの概略図である。
【
図2】
図1に示す精米機10の上面視からの概略図である。
【
図3】
図1に示す精米機10の筒部34の説明図である。
【
図4】
図1に示す精米機10のぬか受け部35の説明図である。
【
図5】
図1に示す精米機10の、
図2に示す線A-Aに沿った断面図である。
【
図6】
図1に示す精米機10が有するカップリング部55の要部拡大図である。
【
図7】
図1に示す精米機10が有する精米かご30を斜め上方向から見た斜視図である。
【
図8】
図1に示す精米機10が有する制御部90の構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の他の実施形態における精米機10Aの、
図2の線A-Aに沿った断面図である。
【
図10】
図9に示す精米機10Aが有する制御部90Aの構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の他の実施形態における精米機10Bの、
図2の線A-Aに沿った断面図である。
【
図12】
図11に示す精米機10Bが有するファン280の説面図である。
【
図13】
図11に示す精米機10Bが有するヘッド部13Bの、斜め下方向からの斜視図である。
【
図14】
図11に示す精米機10Bが有する精米かご30Bの、斜め上方向からの斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0014】
(第1実施形態)
図面を基に本発明の第1実施形態について説明する。まず、
図1および
図2を用いて、精米機10の外観上の特徴について説明する。
図1は本実施形態における精米機10の側面視からの概略図、
図2は上面視からの概略図である。
【0015】
精米機10は、本体部11を有している。本体部11は合成樹脂などからなるケース(筐体)であり、その内部に精米機10の精米動作に係る種々の装置や機構部を有している。また、本体部11は、ベース部12と、ヘッド部13と、接続部14を有している。
【0016】
ベース部12は、載置台15と、支持脚16を有している。載置台15には、後述する精米かご30が載置される。そのため、載置台15は、例えば精米かご30の底面より大きい面積を有する水平面として設けられる。支持脚16は、テーブルなどの水平面上で本体部11を支持することができる。精米動作時における本体部11の転倒防止のため、支持脚16は複数設けられてもよいし、防振用のゴム部材などが取り付けられてもよい。なお、本説明において、支持脚16が設けられている側(すなわちベース部12側)を本体部11の下側とする。
【0017】
ヘッド部13は、ベース部12の上方に設けられる。より具体的には、ヘッド部13は、
図1に示すように精米かご30が載置台15に載置されている際、精米かご30がベース部12とヘッド部13により上下に挟み込まれる位置関係となるよう設けられる。
【0018】
ヘッド部13は、操作パネル17を有している。操作パネル17は、複数のボタン18を有している。操作パネル17が有する複数のボタン18は、後述する制御部90と電気的に接続されている。精米機10の使用者は、複数のボタン18を操作することにより精米機10の精米動作を制御することができる。より具体的には、例えば精米機10の電源をONあるいはOFFしたり、好みの精米の度合い(例えば3分、5分、7分など)を設定したりすることができる。
【0019】
なお、操作パネル17を設ける位置は本体部11の大きさや構造などに応じて適宜変更可能である。操作パネル17は、例えば本実施形態で示すようにヘッド部13の天面に設けてもよいし、後述する接続部14などに設けてもよい。また、操作パネル17の操作は必ずしも複数のボタン18によりなされなければならないものではなく、例えば複数のボタン18の代わりにタッチパネルなどを用いてもよい。
【0020】
接続部14は、ヘッド部13とベース部12を接続している。接続部14は、精米かご30が載置台15に載置されている際に精米かご30の側面に位置するように設けられる。
【0021】
精米機10は、さらに精米かご30を有している。精米かご30は、かご部31と、蓋部32と、把持部33を有している。
【0022】
かご部31は、筒部34と、ぬか受け部35を有している。筒部34は、例えば透明性を有する合成樹脂やガラスなどの部材からなる容器であり、玄米などの米を投入可能なように中空の円筒状に設けられる。投入された米の量がわかりやすいよう、筒部34の表面には計量用の目盛りなどを設けてもよい。さらに、筒部34は、複数の孔36が設けられ、すり鉢状に形成されたパンチングメタル37を有している。精米機10は、筒部34内に投入された米をパンチングメタル37で削ることにより精米処理を行う。
【0023】
ぬか受け部35は、合成樹脂などの部材からなる容器である。ぬか受け部35は、精米機10の精米処理によって生じるぬかを貯留することができるよう、中空状に設けられている。
【0024】
筒部34とぬか受け部35の構造について、
図3および
図4を用いて説明する。
図3は筒部34の説明図、
図4はぬか受け部35の説明図である。
【0025】
筒部34は、筒部34とぬか受け部35の着脱に係る嵌合溝310および複数の係合突起315を有している。嵌合溝310は、後述するぬか受け部35の嵌合片312を収容可能な大きさの溝を有している。複数の係合突起315は、嵌合片312が嵌合溝310に収容された状態において後述する複数の係合突起316と係合する。
【0026】
ぬか受け部35は、貯留されたぬかを取り除きやすいよう、筒部34と着脱(分離)可能に設けるとよい。ぬか受け部35は、筒部34とぬか受け部35の着脱に係る嵌合片312および複数の係合突起316を有している。嵌合片312はぬか受け部35に起立して設けられており、筒部34の嵌合溝310に収容されることで、筒部34とぬか受け部35を連結する。複数の係合突起316は、嵌合片312が嵌合溝310に収容された状態において複数の係合突起315と係合し、筒部34とぬか受け部35を連結する。
【0027】
蓋部32は合成樹脂などの部材からなり、筒部34の上側開口部に開閉可能に設けられる。蓋部32は、閉じ状態において筒部34の上側開口部を塞ぐことができる。蓋部32の構造については後の段落で説明する。
【0028】
把持部33は、例えばユーザが精米かご30を持ち運ぶ際にユーザの手により把持される部分である。把持部33は、例えば合成樹脂などの部材からなり、ぬか受け部35と接続されて(例えばぬか受け部35と一体的に)設けられる。
【0029】
次に、
図5および
図6を用いて精米機10の内部的な特徴について説明する。
図5は
図2の線A-Aに沿った精米機10の断面図、
図6は精米機10が有するカップリング部55の要部拡大図である。
【0030】
精米機10は、精米かご30の内部に攪拌部材40を有している。攪拌部材40は、例えば長手方向の両端部に立ち上げ部41が設けられた短冊状の板材などとして構成され、回転軸42に固定されて設けられる。回転軸42は、凹部を有し、凹部により軸43に回動自在に嵌挿されて起立した状態で設けられる。軸43は、ぬか受け部35内に起立するよう、下端部がぬか受け部35のパンチングメタル37に固定されて設けられる。攪拌部材40は回転軸43の回転に伴い回転し、精米かご30内に収容された米を攪拌することができる。攪拌された米は遠心力によりパンチングメタル37に押し付けられ、パンチングメタル37が有する孔36によりその表面が削られる。また、米は攪拌されて米同士が擦られることによってもその表面が削られる。
【0031】
回転軸42(および回転軸42に固定された攪拌部材40)は、本体部11が有する回転機構50の動作により回転する。回転機構50の構成について、引き続き
図5を用いて説明する。
【0032】
回転機構50は、モータ51と、さらにモータ51の回転力を回転軸42に伝達する手段を有している。回転機構50は、モータ51の回転力を回転軸42に伝達する手段として、回転体52と、伝達体53と、回転軸54と、カップリング部55を有している。
【0033】
回転体52は、例えばプーリやスプロケットといった部品からなり、伝達体53が捲回される。伝達体53は、例えばベルトやチェーンといった部品からなり、回転体52と、モータ51の動作に伴い回転するモータ駆動軸56に捲回される。伝達体53は、モータ駆動軸56の回転を回転体52に伝達することができる。回転軸54は、回転体52に設けられた図示しない軸孔に固定されており、ベアリング57を介して回転体52の回転に伴い回転する。
【0034】
カップリング部55は、回転軸54の回転に伴い回転可能なように回転軸54と連結されて設けられている。より具体的には、カップリング部55は、上カップリング部58と下カップリング部59とを有しており、上カップリング部58で回転軸54と連結されて設けられている。
【0035】
上カップリング部58は凸部60を有しており、下カップリング部59は凹部61を有している。上カップリング部58と下カップリング部59は凸部60と凹部61により連結されている。上カップリング部58は、回転軸54に固定的に設けられている。一方、下カップリング部59は、凸部60が有する爪62と凹部61が有する係止部63により規定される範囲内で上下摺動可能に設けられている。なお、上カップリング部58と下カップリング部59の連結に係る構造は凹凸によるものでなくてもよい。上カップリング部58に凹部を設け、下カップリング部59に凸部を設けてもよい。
【0036】
さらに、上カップリング部58と下カップリング部59の間には、ばね64が設けられている。下カップリング部59は、ばね64により本体部11のベース部12側に突出するよう付勢されている。なお、下カップリング部59はばね以外の手段(例えば自重)によりベース部12側に突出されるよう設けてもよい。
【0037】
下カップリング部59は、精米かご30が本体部11に載置される際、蓋部32との当接により上カップリング部58側に摺動する。当接に伴い下カップリング部59を上下摺動させる蓋部32の構造について、
図5および
図7を用いて説明する。
図7は精米かご30を斜め上方から見た斜視図である。蓋部32は、凹部70を有している。凹部70は、蓋部32の天面71及び側周部72の一部に設けられた切り欠き状の一つの窪みである。凹部70は、精米かご30を本体部11に設置する際、突出した下カップリング部59を収容可能に設けられる。
【0038】
また、凹部70は、凹部70を形成する対向する壁面である側壁面73を有している。側壁面73の少なくとも一方には勾配部74が設けられている。勾配部74は凹部70の相対する壁面側に向かって突出しており、蓋部32の天面71側の突出面に勾配を有している。勾配部74の勾配は、蓋部32の側周部72側が低く、精米かご30の中心側が高くなるよう設けられる。
【0039】
また、凹部70は、蓋部32の閉じ状態において回転軸42の上部となる位置に開口部75を有している。開口部75は、少なくとも下カップリング部59の突出部より大きな直径を有する。開口部75により、回転軸42と下カップリング部59は、蓋部32越しに嵌合可能である。
【0040】
蓋部32は、回転軸42と下カップリング部59の嵌合を解消するための機構として、操作部76と、摺動部77を有する。操作76は、例えば上下動可能なレバーなどからなり、摺動部77は、操作部76の動作に伴い上下に摺動する。摺動部77は、回転軸76と下カップリング部59が嵌合している状態において下カップリング部59と当接している。操作部76が操作され摺動部77が上方に摺動すると、下カップリング部59も同様に上方に摺動し、回転軸42と下カップリング部59の嵌合が解消される。
【0041】
精米機10は、本体部11の精米動作を制御する電子基板などから成る制御部90を有している。
図8は制御部90の構成例を示すブロック図である。制御部90は、モータ駆動手段91と、記憶手段92を有しており、操作パネル17と接続されている。モータ駆動手段91は、操作パネル17から送られる信号に基づき、モータ51の回転を制御することができる。記憶手段92は、予め組み込まれたプログラムを記憶するほか、操作パネル17により入力されたデータなどを記憶することができる。
【0042】
本実施形態における精米機10の動作について説明する。
【0043】
精米機10の使用者は、まず、精米機を使用するための準備として、精米かご30に所望量の米を投入する。精米かご30の蓋部32が閉じられている場合には、蓋部32を開けて米を投入するとよい。
【0044】
精米機10の使用者は、次に、米が投入された精米かご30を本体部11のベース部12上に載置する。より具体的には、精米かご30の蓋部32を閉じ、精米かご30を本体部11のベース部12とヘッド部13の間に置き、奥へ押し込む。この際、ヘッド部13から突出する下カップリング部59が蓋部32の凹部70に収まる向きで精米かご30を押し込む。すると、下カップリング部59は、凹部70に設けられた勾配部74により徐々に上カップリング部58側に持ち上げられる。下カップリング部59が持ち上げられるとともにばね64は縮められる。
【0045】
精米かご30が押し込まれていき、下カップリング部59と回転軸42の位置が合うと、持ち上げられていた下カップリング部59が開口部75により解放される。縮められていたばね64が伸び、ばね64の弾性力により下カップリング部59と回転軸42が連結される。
【0046】
このようにして下カップリング部59と回転軸42が連結されることで、精米かご30は本体部11に固定される。精米かご10は本体部11から引き抜くこともさらに押し込むことも不可能となるため、精米機10の使用者は、精米かご30が正しい位置に載置されたことがわかる。
【0047】
精米かご30の載置が完了したら、精米機10の使用者は、電源コードの電源プラグをコンセントに差し込み、操作パネル17を操作して本体部11の電源を入れる。
【0048】
次に、精米機10の使用者は、操作パネル17の指示に従い所望の精米度合いをボタン18で設定する。その後、使用者が精米開始のボタンを押すことにより、精米機10の精米動作が開始される。
【0049】
精米動作が開始されると、制御部90の制御により回転機構50が動作し、攪拌部材40が回転する。攪拌部材40の回転により、精米かご30内の米が対流する。米の対流により米同士が擦られ、米表面の糠が削り取られる。また、米の対流により、米がぬか受け部35の孔36に削られ、米表面の糠が削り取られる。削り取られた糠は、ぬか受け部35の孔36から排出され、ぬか受け部35内に貯留される。精米動作開始後、使用者が設定した精米度合いに基づく所定の時間が経過したら、制御部90の制御により回転機構50の動作が停止する。以上で精米機10による精米処理は終了となる。
【0050】
精米処理が終了したら、精米機10の使用者は、精米かご30の操作部76を操作し、回転軸42と下カップリング部59の連結を解除して精米30を本体部11から取り外す。その後、把持部33を抑えたまま筒部34を回し、筒部34とぬか受け部35の着脱(連結)に係る各部の嵌合を解除する。ぬか受け部35内に貯留されたぬかはぬか受け部35を傾けることで処理することができる。ぬか受け部35と筒部34を再装着するには、ぬか受け部35に筒部34を載置し、外すために回した方向と逆方向に回せばよい。
【0051】
このようにして、精米かご30の設置段階において、精米機10の使用者は、米や精米かご30を本体部11より高い位置に持ち上げたりする必要がない。精米かご30の設置は精米かご30を本体部11に側方から押し込むだけで完了する。そのため、本実施形態の精米機は、狭い作業空間(例えば棚の中など)でも使用することができる。
【0052】
さらに、本実施形態に示す精米機10は攪拌部材40を上方から回転駆動するため、ぬか受け部35に貯留されたぬかを取り出しやすい。本体部の上方に精米かごを取り付ける従来の精米機は、往々にして回転機構を精米かごの取り付け位置より下側に設け、攪拌部材などを精米かごの下方から回転駆動していた(例えば特許文献1の精米機はそのような精米機の一例である)。精米かごの下方から攪拌部材を駆動する場合、精米かごやぬか受け部に攪拌部材に回転力を伝達するための回転軸などを通す孔が必要となる。こうしてぬか受け部に設けられた孔からは、精米後にぬかを取り出す際などにぬかがこぼれ落ちてしまうことがあった。その点、本実施形態に示す精米機10は精米かご30を本体部11に側方から押し込んで設置する構造のため、精米かごの上部に回転機構を設けることができ、ぬか受け部35に回転軸を通すための孔を設ける必要がない。そのため、ぬか受け部35に貯留されたぬかを取り出しやすい。例えばぬか受け部35を一方向に傾けるだけで貯留されたぬかをこぼすことなく処理することができる。
【0053】
また、本実施形態に示す精米機10は、精米かご30を本体部11に側方から押し込んで設置する構造を有しつつも、精米かご30の設置に伴いカップリング部55を除く回転機構50の各部が上下に動くことがない。そのため、精米かご30の設置に伴いカップリング部55を除く回転機構50の各部に負荷がかかることがない。そのカップリング部55も、下カップリング部59が上下に摺動する構造のため、精米かご30の設置に伴い負荷がかかることがない。
【0054】
なお、本実施形態におけるカップリング部55と回転軸42(ひいては本体部11と精米かご30)の連結構造は、容器と攪拌部材を有する装置に幅広く適用可能であり、その適用は精米装置に限定されるものではない。容器と攪拌部材を有する装置としては、例えばコーヒー豆などの豆類を挽くための装置や、容器内の食材をかき混ぜたり破砕したりすりおろしたりするミキサー装置などが挙げられる。
【0055】
(第2実施形態)
本発明の精米機10は、精米かご30を本体部11に側方から押し込む構成を有しているため、精米動作中に米の上方から種々の処理を行うことが可能である。精米動作中に米の上方から行う処理の手段として、例えばヘッド部13に米の搗精度合を測定するためのセンサなどを設けてもよい。第2実施形態では、米の搗精度合を測定するための米色測定機構としてのカラーセンサ201と、台220と、さらに米色測定に係る種々の機能を有する精米機10Aについて、図面を参照して説明する。
【0056】
図9は
図2の線A-Aに沿った精米機10Aの断面図である。精米機10Aは、本体部11Aを有しており、本体部11Aは、ヘッド部13Aを有している。ヘッド部13Aは、突出部200を有している。突出部200は、ヘッド部13Aからベース部12に向かって突出しており、カラーセンサ201を有している。カラーセンサ201は、例えば反射型の光センサからなり、測定対象物にRGB光を投光する投光素子と、反射された光を受光する受光素子を有している。カラーセンサ201は、受光素子で受光した光の成分(RGB値)から、測定対象物の色を測定することができる。さらにカラーセンサ201は、制御部90Aと接続されており、制御部90Aからの信号に基づき動作する。
【0057】
精米機10Aは、精米かご30Aを有しており、精米かご30Aは、蓋部32Aを有している。蓋部32Aは、凹部70Aを有している。凹部70Aは、精米かご30Aをベース部12に載置する際、ヘッド部13Aから突出する突出部200が蓋部32Aと干渉しないよう設けられた窪みである。すなわち、凹部70Aは、少なくともヘッド部13Aから突出する突出部200を収容可能な高さ、幅、および奥行を有する窪みである。
【0058】
凹部70Aには、台220が設けられている。台220は筒部34が形成する空間内に位置しており、相対する接続部221―1および221-2により凹部70Aと接続されている。台220は、精米かご30Aが本体部11Aに載置され、下カップリング部59が回転軸42と連結されているとき、カラーセンサ201の投光素子で照射可能な位置に設けられる。
【0059】
台220は、筒部34内に許容精米量の最大量(例えば5合まで精米可能に本発明の精米機を構成する場合、5合)まで米が投入されている状態において、全体が米に埋もれないような位置(高さ)において設けられるとよい。筒部34内に精米可能な最大量の米が投入されている際に、台220の底部が米と接する高さにおいて台220を設ける場合には、台220の底部にテーパ部を設けるとよい。台220の底部が米に差し込まれるようになるため、筒部34内に精米可能な最大量の米が投入されていても蓋部32Aの取り付けが容易となる。
【0060】
また、台220および接続部221-1、221-2は、必ずしも凹部70A(ひいては蓋部32A)と一体的に設けられなければならないものではなく、別個の部材として凹部70Aに設けられてもよい。
【0061】
精米機10Aは、本体部11Aの精米動作を制御する制御部90Aを有している。
図10は制御部90Aの構成例を示すブロック図である。制御部90Aは、米色測定手段225と、モータ駆動手段91Aを有している。米色測定手段225は、本体部11Aの精米動作時において、カラーセンサ201を駆動し、台220上の米の色を測定することができる。精米処理中の米は精米度合いに応じて(すなわち米のぬか層がどの程度取り除かれているかに応じて)変色するため、台220に載せられた米の色を測定することにより、精米処理の進捗状況(搗精度合い)を知ることができる。モータ駆動手段91Aは、操作パネル17から送られる信号と、米色測定手段225による測定結果に基づき、モータ51の回転を制御することができる。より具体的には、例えばカラーセンサ201により米のRGB値を経時的に取得し、取得された値が所定の値でない場合には、精米度合が十分でないとして、精米動作の終了に係る所定時間が経過してもモータ51の駆動(すなわち精米動作)を続行するよう制御したりすることができる。精米動作終了に係る所定のRGB値は、操作パネル17で選択可能な精米度ごとにあらかじめ実際の米のRGB値を測定するなどして設定しておくとよい。
【0062】
なお、こうした制御手法は、言うまでもなく他のモータ制御手法と組み合わせることも可能である。例えば、前記した米のRGB値に基づく手法を精米動作開始からの経過時間に伴いモータ回転数を増減させる制御手法と組み合わせてもよい。米のRGB値が所定の値になった際にモータ回転数を増減させる制御手法と組み合わせてもよい。
【0063】
本実施形態における精米機10Aの精米動作について説明する。
【0064】
精米機10Aの使用者は、まず、精米機を使用するための準備として、精米かご30Aに所望量の米を投入する。その後、第一実施形態において説明した方法と同様に、精米かご30Aを本体部11Aのベース部12に載置する。精米かご30Aを本体部11Aに押し込み、下カップリング部59が回転軸42と連結されたら、操作パネル17を操作し、精米処理を開始する。
【0065】
精米処理が開始されると、米色測定手段225はカラーセンサ201を駆動し、投光素子による投光を開始する。さらに、モータ駆動手段91Aはモータ51を駆動し、攪拌部材40を回転させる。攪拌部材40の回転により、精米かご30内の米が対流する。米の対流により米表面の糠が削り取られるとともに、一部の米がかき上げられて台220に載せられる。
【0066】
台220に載せられた米は、カラーセンサ201によりその色が測定される。精米処理中の米は精米度合いに応じて(すなわち米のぬか層がどの程度取り除かれているかに応じて)変色するため、台220に載せられた米の色を測定することにより、精米処理の進捗状況(搗精度合い)を知ることができる。そして、精米処理の進捗状況を、モータ駆動部91Aの制御に反映することができる。
【0067】
精米かご30Aが本体部11Aの側方から押し込まれ設置されるという精米機10Aの構造により、台220は本体部11Aの奥まった場所に位置することとなる。そのため、台220には外光が差し込み辛く、カラーセンサ201は台220上の米の色を安定して測定することができる。接続部221―1および221-2も台220に差し込む外光を妨げることができるため、カラーセンサ201は台220上の米の色を安定して測定することができる。
【0068】
そのうえ、台220に載せられた米は、攪拌されている米よりもカラーセンサ201に近く、かつ動きが少ない。そのため、カラーセンサ201は台220上の米の色を安定して測定することができる。
【0069】
米の攪拌に伴い、台220に載置される米は入れ替わる。カラーセンサ201により取得された米のRGB値が、操作ボタン18により設定された精米度と対応するRGB値であった場合、モータ駆動部91Aはモータ51の動作を停止する。以上で精米機10Aによる精米処理は終了となる。
【0070】
このように構成される米色測定機構により、精米機10Aは、精米中の米の色を上方から測定し、実際の精米処理の進捗状況に基づき精米動作を制御することができる。上方から精米かごを設置するタイプの従来の精米機は、かごの設置しやすさや米の投入しやすさ、蓋の分離構造などの兼ね合いから、精米かごやその周辺へのセンサ類の取り付けが困難であった。しかしながら、精米機10Aは精米かご30Aを本体部11Aに側方から押し込む構成を有しているため、精米かご30Aの上方に効率よくこうした装置や手段を配することができる。また、それによってかごの設置しやすさや米の投入しやすさが損なわれることもない。
【0071】
さらに、カラーセンサ201が奥まった位置に配置されているため、精米動作中の米の様子がわかるよう精米かご30Bの筒部34を透明な素材としても、外光により色の測定が妨げられることがない。
【0072】
なお、精米時における米色測定の精度向上のため、台220を精米前後の米と異なる色(例えば黒)の部材により構成してもよい。
【0073】
また、米色測定の精度向上のため、台220上を米が激しく飛び交うことがないよう、台220および接続部221により形成される開口部の開口面積を狭めてもよい。
【0074】
精米終了後に台220上の米を排出しやすいよう、接続部221に米排出用の孔を設けてもよい。
【0075】
本実施形態においては、米の色をRGB値として測定し、精米処理中の精米度合を測定する精米機10Aについて説明した。しかしながら、精米度合は他の手段を用いて測定してもよい。例えば青色の光を照射可能な青色LEDなどからなる投光部と、光の青色成分を測定可能な受光部を設け、受光部が測定した光の青色成分量を精米度合とし、精米動作を制御してもよい。同様に、例えば米の白度に基づき精米動作を制御してもよいし、受光部の受光量に基づき精米動作を制御してもよい。精米処理中の米は精米度合いに応じて白く変色するため、米が反射する光の量などによっても精米処理の進捗状況(搗精度合い)を知ることができる。
【0076】
(第3実施形態)
本発明の精米機10は、精米かご30を本体部11に側方から押し込む構成を有しているため、精米処理中に米の上方から種々の処理が可能であることは、第2実施形態において説明した通りである。精米処理中に米の上方から処理を行う手段としては、例えば、カップリング部55にファンなどの送風機構を設けてもよい。精米時において、精米かご内は米同士の摩擦により温度が上昇することが知られている。精米動作時に精米かご内が高温になると、米の風味が落ちてしまう。第3実施形態では、米の風味を保つため精米動作中に米に送風可能な送風機構を有する精米機10Bについて図面を参照して説明する。
【0077】
図11は
図2の線A-Aに沿った精米機10Bの断面図である。精米機10Bは本体部11Bを有しており、本体部11Bは上カップリング部58Bにファン280を有している。ファン280は、上カップリング部58Bと一体化されて(あるいは別体として)設けられており、回転軸54の回転に伴い回転する。
図12はファン280の説明図である。ファン280は本体部11Bのヘッド部13Bに収容されている。
【0078】
図13は本体部11Bが有するヘッド部13Bの、斜め下方向からの斜視図である。ヘッド部13Bは、吸気孔281と、排気孔282を有している。吸気孔281および排気孔282はいずれも開口部を有している。ファン280の回転により吸気孔281からヘッド部13内へ外気が吸い込まれると、吸い込まれた外気は排気孔282から精米かご30B内へ送風される。
【0079】
図14は精米かご30Bの斜め上方向からの斜視図である。精米かご30Bの蓋部32Bは、天面71Bに吸気孔285を有している。吸気孔285は開口部を有しており、精米かご30Bが本体部11Bに精米可能に載置されている状態において(すなわち下カップリング部59が回転軸42と連結している状態において)、開口部が本体部11Bの排気孔282の開口部と相対するよう設けられる。吸気孔285と排気孔282のこのような位置関係により、ファン280の回転に伴い、精米かご30B内には外気が取り込まれる。
【0080】
さらに、蓋部32Bは、排気孔286を有している。排気孔286は、例えば蓋部32Bの側周部72Bに設けられる複数の孔であり、精米かご30B内の空気はこの孔から吹き出される。
【0081】
このように構成される送風機構により、精米機10Bは、精米かご30B内に効率よく外気を取り込むことができる。取り込まれた外気は精米かご30B内の米に上方から吹き付けられるので、精米動作中における精米かご30Bの温度は低下する。
【0082】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0083】
例えば本体部11のベース部12や接続部14に精米かご30との当接に伴いオンまたはオフされるスイッチを設け、精米かご30がヘッド部13およびベース部12の間に正しく設置されているかを検出可能としてもよい。その際、制御部90による精米動作は、精米かご30が正しく設置されている場合のみ開始されるように制御するとよい。
【0084】
また、第2実施形態で説明した米色測定機構と第3実施形態で説明した送風機構は精米機10に同時に採用してもよい。例えば精米機10Bに第2実施形態で説明した米色測定機構を採用する場合、送風機構はカラーセンサ201の曇りを抑制する効果を発揮する。精米機10Aは台220上が吹き抜けとなっているため、精米動作時にかご内部の温度が上昇すると、米から水蒸気が生じて立ち昇り、カラーセンサ201やカラーセンサ201を覆うカバー部材に付着するおそれがある。第3実施形態で説明した送風機構は、かご内部に外部の空気を取り込みかご内部の温度上昇を防止するため、カラーセンサ201やカラーセンサ201を覆うカバー部材を曇りにくくすることができる。
【符号の説明】
【0085】
10 精米機
11 本体部
12 ベース部
13 ヘッド部
30 精米かご
40 攪拌部材
42 回転軸
43 軸
50 回転機構
55 カップリング部