(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160659
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】蓋体、即席食品容器、蓋体の製造方法、および即席食品容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20231026BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20231026BHJP
B29D 22/00 20060101ALI20231026BHJP
B29D 7/01 20060101ALI20231026BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20231026BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20231026BHJP
B65D 53/00 20060101ALN20231026BHJP
【FI】
B65D77/20 N
B65D81/34 B
B29D22/00
B29D7/01
B32B27/10
B32B27/00 H
B65D53/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071160
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】谷口 正幸
(72)【発明者】
【氏名】今井 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂口 梨紗
(72)【発明者】
【氏名】金澤 岳
【テーマコード(参考)】
3E013
3E067
3E084
4F100
4F213
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BC01
3E013BC04
3E013BC13
3E013BC14
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3E013BH45
3E067AA11
3E067AB01
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3E084KA20
4F100AK01A
4F100AK70B
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4F213WB01
(57)【要約】
【課題】蓋体の開封操作に要する負荷を軽減可能にした蓋体、即席食品容器、蓋体の製造方法、および即席食品容器の製造方法を提供する。
【解決手段】即席食品容器の容器本体部における開口を閉じる蓋本体部20Sを備えた蓋体20であって、蓋本体部20Sの開封方向を示す指標を備え、蓋本体部20Sは、金属箔層を備えず、延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、表面樹脂層とシーラント層とに挟まれた紙層と、から構成され、開封方向と交差する方向に連なる脆弱部22を紙層のみに備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
即席食品容器の容器本体部における開口を閉じる蓋本体部を備えた蓋体であって、
前記蓋本体部の開封方向を示す指標を備え、
前記蓋本体部は、
金属箔層を備えず、
延伸フィルムを備える表面樹脂層と、
アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、
前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成され、
前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに備える
ことを特徴とする蓋体。
【請求項2】
前記指標は、前記蓋本体部の外周部から突き出る摘まみ部を備え、
前記紙層は、前記摘まみ部の全体において、前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を備えず、連続する構造を有する
請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記脆弱部は、前記紙層を貫通しない窪みであり、
前記紙層の表面に印刷層を有する
請求項1に記載の蓋体。
【請求項4】
前記脆弱部は、前記紙層のなかで前記表面樹脂層と対向する第1面に位置し、
前記紙層は、前記紙層のなかで前記シーラント層と対向する第2面に印刷層を有する
請求項3に記載の蓋体。
【請求項5】
前記蓋本体部は、前記蓋本体部に設定された開封範囲の端を示す指標を備え、
前記脆弱部は、少なくとも前記端を含む領域に位置する
請求項1に記載の蓋体。
【請求項6】
前記脆弱部は、前記開封方向に間隔を空けて並ぶ
請求項1に記載の蓋体。
【請求項7】
前記蓋本体部は、前記脆弱部の密度が高い領域と、前記脆弱部の密度が低い領域とを、前記開封方向に向けて繰り返す
請求項6に記載の蓋体。
【請求項8】
前記脆弱部の密度が高い領域において、前記開封方向における前記脆弱部の間隔が1mm以下である
請求項7に記載の蓋体。
【請求項9】
前記脆弱部は、レーザー加工痕である
請求項8に記載の蓋体。
【請求項10】
即席食品を収容する容器本体部と、
前記容器本体部の開口を閉じる蓋本体部を備えた蓋体と、
を備える即席食品容器であって、
前記蓋体は、
前記蓋本体部の開封方向を示す指標を備え、
前記蓋本体部は、
延伸フィルムを備える表面樹脂層と、
アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、
前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成され、かつ、
金属箔層を含有せず、
前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに備える
ことを特徴とする即席食品容器。
【請求項11】
即席食品容器の容器本体部を閉じる蓋本体部を備えた蓋体の製造方法であって、
延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成される積層体から、金属箔層を含有しない前記蓋体を形成することを含み、
前記蓋体を形成することは、
前記蓋体に、前記蓋本体部の開封方向を示す指標を形成することと、
前記蓋本体部において前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに形成することと、を含む、
ことを特徴とする蓋体の製造方法。
【請求項12】
容器本体部に蓋体の蓋本体部を熱融着する即席食品容器の製造方法であって、
延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成される積層体から、金属箔層を含有しない前記蓋体を形成することを含み、
前記蓋体を形成することは、
前記蓋体に、前記蓋本体部の開封方向を示す指標を形成することと、
前記蓋本体部において前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに形成することと、を含む、
ことを特徴とする即席食品容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓋体、即席食品容器、蓋体の製造方法、および即席食品容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
即席麺や即席スープなどの即席食品を収容する容器の蓋体は、調理の利便性を高める観点から、デッドホールド性を求められる。即席食品容器の蓋体は、容器本体部の開口から一部を剥離されて、容器本体部にお湯を注ぐための注入口を区切る。デッドホールド性は、剥離後の蓋体が自ら注入口を塞ぐような姿勢に戻ることを抑える性質である。近年、即席食品容器の蓋体は、環境保護や資源循環の機能付与を目的として、アルミニウムをはじめとする金属箔層を省くことも求められる。
【0003】
上記蓋体の第1例は、所定の厚さを有する紙層と、シーラント層とから構成される。シーラント層の構成材料例は、アイオノマー樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体のいずれか1つである。紙層は、紙層の剛性を低めるような微細な孔を備える。紙層の微細な孔は、折り曲げられた紙層の反発力を抑えて、蓋体にデッドホールド性を発揮させる(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
上記蓋体の第2例は、表面樹脂層、所定の厚さを有する紙層、およびシーラント層から構成される。表面樹脂層は、二軸延伸フィルムである。表面樹脂層の構成材料例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンのいずれか1つである。シーラント層の構成材料例は、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンのいずれか1つである。表面樹脂層は、レーザー加工によって局所的に削り取られた加工痕を備える。表面樹脂層の加工痕は、蓋体を折り曲げやすくすると共に、蓋体に折り曲げ姿勢を保持させる(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-79955号公報
【特許文献2】特開2019-182497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した第1例の紙層における微細な孔、および上述した第2例の表面樹脂層における加工痕は、いずれも蓋体に折り曲げ姿勢を保持させる。一方、第1例の紙層における微細な孔であれ、第2例の表面樹脂層における加工痕であれ、蓋体の表面に溝や孔を備える蓋体は、折り曲げ姿勢を得るために、利用者に蓋体の折り曲げ操作を要求する。蓋体の折り曲げ操作は、例えば、蓋体のなかで剥離された部分と、容器本体部に融着されている部分との境界を指などで押さえながら、蓋体に折り曲げ癖を付与する。このような折り曲げ操作を蓋体の開封操作から省略することが可能となれば、即席食品容器の利便性をさらに高めること、ひいては即席食品容器の普及をさらに広げることが可能ともなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための蓋体は、即席食品容器の容器本体部における開口を閉じる蓋本体部を備えた蓋体であって、前記蓋本体部の開封方向を示す指標を備え、前記蓋本体部は、金属箔層を備えず、延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成され、前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに備える。
【0008】
上記課題を解決するための即席食品容器は、即席食品を収容する容器本体部と、前記容器本体部の開口を閉じる蓋本体部を備えた蓋体と、を備える即席食品容器であって、前記蓋体は、前記蓋本体部の開封方向を示す指標を備え、前記蓋本体部は、延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成され、かつ、金属箔層を含有せず、前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに備える。
【0009】
上記課題を解決するための蓋体の製造方法は、即席食品容器の容器本体部を閉じる蓋本体部を備えた蓋体の製造方法であって、延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成される積層体から、金属箔層を含有しない前記蓋体を形成することを含み、前記蓋体を形成することは、前記蓋体に、前記蓋本体部の開封方向を示す指標を形成することと、前記蓋本体部において前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに形成することと、を含む。
【0010】
上記課題を解決するための容器の製造方法は、容器本体部に蓋体の蓋本体部を熱融着する即席食品容器の製造方法であって、延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層と、前記表面樹脂層と前記シーラント層とに挟まれた紙層と、から構成される積層体から、金属箔層を含有しない前記蓋体を形成することを含み、前記蓋体を形成することは、前記蓋体に、前記蓋本体部の開封方向を示す指標を形成することと、前記蓋本体部において前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を前記紙層のみに形成することと、を含む。
【0011】
上記各構成によれば、蓋本体部が金属箔層を含有せず樹脂層と紙層とから構成されるため、環境保護や資源循環の機能が蓋本体部に付与される。
ここで、容器本体部にシーラント層を熱融着するための熱は、表面樹脂層の収縮などに起因した、蓋本体部を反らせる内部応力を、蓋本体部に少なからず残留させる。開封方向と交差する方向に延びる紙層の脆弱部は、蓋本体部を反らせることに抗する紙層の反力を開封方向で分断し、これによって蓋体の内部応力による蓋本体部の反りを開封方向において促す。結果として、剥離後の蓋本体部が自ら注入口を塞ぐような姿勢に戻ることを抑えると共に、蓋本体部に折り曲げ癖を付与するような折り曲げ操作の負荷を、蓋体の開封操作において軽減できる。また、脆弱部が紙層のみに位置するため、表面樹脂層に施される印刷の美粧性が脆弱部によって低められることも抑えられる。
【0012】
上記蓋体において、前記指標は、前記蓋本体部の外周部から突き出る摘まみ部を備え、前記紙層は、前記摘まみ部の全体において、前記開封方向と交差する方向に連なる脆弱部を備えず、連続する構造を有してもよい。この構成によれば、紙層の剛性が摘まみ部の全体で得られる。そのため、上述したように、蓋本体部の折り曲げ操作を省略可能にしながらも、摘まみ部に付与された折り曲げ癖が蓋本体部の再度の閉蓋に有効であることを保つ。
【0013】
上記蓋体において、前記脆弱部は、前記紙層を貫通しない窪みであり、前記紙層の表面に印刷層を有してもよい。この構成によれば、紙層に印刷層を積層したり、紙層に印刷を施したりすることが容易であり、また印刷の美粧性が脆弱部によって低められることも抑えられる。
【0014】
上記蓋体において、前記脆弱部は、前記紙層のなかで前記表面樹脂層と対向する第1面に位置し、前記紙層は、前記紙層のなかで前記シーラント層と対向する第2面に印刷層を有してもよい。この構成によれば、紙層のなかでシーラント層と対向する第2面、すなわち容器本体部に面する蓋体の内面において、印刷の美粧性が脆弱部によって低められることが抑えられる。
【0015】
上記蓋体において、前記蓋本体部は、前記蓋本体部に設定された開封範囲の端を示す指標を備え、前記脆弱部は、少なくとも前記端を含む領域に位置してもよい。即席食品容器の利用シーンにおいて、蓋本体部のなかで容器本体部から剥離される範囲は、蓋本体部における外周部の一部から開封方向に向けて蓋本体部の中心付近まで至ることが多い。上記構成によれば、紙層のなかで反力の分断される領域が開封範囲の端を含むため、脆弱部による紙層の反力抑制がさらに有効的に作用する。
【0016】
上記蓋体において、前記脆弱部は、前記開封方向に間隔を空けて並んでもよい。この構成によれば、紙層において反力の分断される度合い、すなわち開封時における蓋本体部の反りの度合いが、脆弱部の間隔設定によって調整されやすい。
【0017】
上記蓋体において、前記蓋本体部は、前記脆弱部の密度が高い領域と、前記脆弱部の密度が低い領域とを、前記開封方向に向けて繰り返してもよい。また、前記脆弱部の密度が高い領域において、前記開封方向における前記脆弱部の間隔が1mm以下でもよい。また、前記脆弱部は、レーザー加工痕でもよい。これらの構成によれば、折り曲げ操作を蓋体の開封操作から省略することの実効性が高まる。
【発明の効果】
【0018】
本開示の蓋体、即席食品容器、蓋体の製造方法、および即席食品容器の製造方法によれば、蓋体の開封操作に要する負荷を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】
図4は、形状Bの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図5】
図5は、形状Cの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図6】
図6は、形状Dの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図7】
図7は、形状Eの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図8】
図8は、形状Fの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図9】
図9は、形状Gの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図10】
図10は、形状Hの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図11】
図11は、形状Iの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図12】
図12は、形状Jの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図13】
図13は、形状Kの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図14】
図14は、形状Lの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図15】
図15は、形状Mの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図16】
図16は、形状Nの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図17】
図17は、形状Pの蓋体を表面から見た平面図である。
【
図18】
図18は、試験例1~19の蓋体について評価結果を示す表である。
【
図19】
図19は、試験例20~40の蓋体について評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、蓋体、即席食品容器、蓋体の製造方法、および即席食品容器の製造方法を説明する。まず、
図1を参照して、蓋体20の平面構造を説明する。次に、
図2を参照して、即席食品容器の側面構造を説明する。次に、
図3を参照して、蓋体20の断面構造を説明する。そして、
図4から
図19を参照して、蓋体20に関する試験例を説明する。
【0021】
[蓋体20の平面構造]
図1が示すように、蓋体20は、蓋本体部20Sと、摘まみ部21とを備える。
蓋本体部20Sは、円板状を有する。なお、蓋本体部20Sは、四角板状や六角板状などの多角板状を有してもよい。蓋本体部20Sは、中心Cを備える。中心Cは、蓋本体部20Sの縁に属する全ての点から導かれる幾何中心である。
【0022】
蓋本体部20Sの中心Cは、開封止め指標の一例である。開封止め指標は、蓋本体部20Sに設定された開封止めの位置を示す。開封止めは、蓋本体部20Sの開封範囲における開封方向の端である。開封範囲における開封方向の端は、即席食品容器の利用シーンにおいて、容器本体部10にお湯を注ぐため、蓋本体部20Sが容器本体部10から一度剥離される範囲の開封方向における端である。なお、開封止め指標は、中心Cに代えて、開封止めの位置を示す文字や、開封止めの位置を示す指示線などのように、開封止めの位置を示す印刷層でもよい。
【0023】
蓋本体部20Sは、脆弱部22を備える。脆弱部22は、開封方向と交差する方向に連なる。開封方向と交差する方向は、開封方向と直交する方向でもよいし、曲線に沿って曲がる方向でもよい。脆弱部22の連なる方向は、開封方向と交差する分断方向である。分断方向に連なることは、脆弱部22の構成要素が分断方向に連続することでもよいし、脆弱部22の構成要素が分断方向に並ぶことでもよい。
【0024】
摘まみ部21は、蓋本体部20Sの外周部から蓋本体部20Sの外側に向けて突き出る。摘まみ部21は、開封方向指標の一例である。開封方向指標は、蓋本体部20Sの開封方向を示す。摘まみ部21は、摘まみ部21から中心Cに向く方向を開封方向として示す。なお、開封方向指標は、摘まみ部21に代えて、開封方向を示す文字や、開封方向を示す矢印などのように、開封方向を示すように印刷された表示でもよい。
【0025】
[即席食品容器]
図2が示すように、即席食品容器は、容器本体部10と、蓋体20とを備える。
容器本体部10は、即席食品を収容するための開口を備える。容器本体部10は、即席食品を収容する。容器本体部10は、開口を囲うフランジ部11を備える。蓋体20の蓋本体部20Sは、容器本体部10の開口を閉じ、かつ摘まみ部21をフランジ部11からはみ出させるように、容器本体部10のフランジ部11に熱融着されている。
【0026】
蓋体20の開封操作において、摘まみ部21が指などによって摘ままれた状態で、蓋本体部20Sが開封方向に向けてフランジ部11から剥離される。開封止め指標が蓋本体部20Sの中心Cである場合、蓋本体部20Sの剥離が、中心Cの付近まで続けられる。蓋本体部20Sの剥離によって開けられた開口は、容器本体部10の内部から調味料などを取り出したり、容器本体部10の内部に熱湯を注ぎ入れたりすることに用いられる。摘まみ部21は、こうした開口を再び塞ぐように、フランジ部11に引っ掛けられたり、蓋本体部20Sの全体をフランジ部11から剥離したりすることに用いられる。
【0027】
ここで、容器本体部10に蓋本体部20Sを熱融着した熱は、蓋本体部20Sを反らせる内部応力を、蓋本体部20Sに少なからず残留させている。分断方向に連なる脆弱部22は、蓋本体部20Sを反らせることに抗する反力を開封方向で分断し、これによって蓋体20の内部応力による蓋本体部20Sの反りを開封方向において促す。結果として、
図2の二点鎖線に示すように、一部を剥離された蓋本体部20Sは、開封方向とは反対方向に突き出る弧状にカールする。これにより、蓋本体部20Sが自ら注入口を塞ぐような姿勢に戻ることが抑えられる。そして、蓋本体部20Sに折り曲げ癖を別途付与するような折り曲げ操作の負荷が、蓋体20の開封操作において軽減される。
【0028】
剥離後の蓋本体部20Sにおける姿勢の戻りは、反り角度θによって評価される。反り角度θは、即席食品容器の側面視において、フランジ部11と、仮想直線との形成する角度である。仮想直線は、蓋本体部20Sのなかで開封方向とは反対方向に最も突き出る部位20Tと、開封止めである中心Cとを通る直線である。蓋本体部20Sにおける姿勢の戻りは、反り角度θが30°以上であることによって抑えられる。
【0029】
[蓋体20の断面構成]
図3が示すように、蓋体20は、表面層25、接着層26、紙層27、およびシーラント層28を備える。表面層25、および接着層26は、表面樹脂層を構成する。表面層25において接着層26と対向する面は、印刷層を備えてもよい。紙層27は、表面樹脂層とシーラント層28とに挟まれている。蓋体20は、金属箔層を含有していない。蓋体20が金属箔層を含有していないこととは、金属箔からなる層を蓋体20が含有していないことである。蓋体20は、金属箔からなる層を含有せず、かつ蓋体20を構成する少なくとも1つの層の構成元素に、金属元素、または半金属元素を含有してもよい。構成元素に金属元素、または半金属元素を含有する層は、酸化物蒸着層でもよい。
【0030】
表面層25は、延伸フィルムを備える。延伸フィルムは、二軸延伸フィルムでもよいし、一軸延伸フィルムでもよい。表面層25は、一層の延伸フィルムからなる単層体でもよいし、延伸フィルムを含む二層以上のフィルムからなる積層体でもよい。表面層25の構成材料例は、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される少なくとも一種である。表面層25は、シーラント層28よりも高い熱収縮力を備える。
【0031】
紙層27の坪量は、例えば40g/m2以上150g/m2以下である。紙層27の坪量が40g/m2以上であれば、摘まみ部21が開口を塞ぐための摘まみ部21の折り曲げに十分な剛性が得られる。紙層27の坪量が150g/m2以下であれば、蓋本体部20Sを反らせることに抗する紙層27の反力を脆弱部22によって低減できる確度が高まる。紙層27において紙繊維の配向する方向である紙目は、開封方向と平行でもよいし、分断方向と平行でもよいし、紙層27の広がる面内において不規則であってもよい。
【0032】
紙層27は、第1面27Fと、第2面27Bとを備える。第1面27Fは、表面樹脂層と対向する面であり、接着層26と接する。第2面27Bは、シーラント層28と接する。紙層27は、切断部27Sを備える。切断部27Sは、紙層27のなかで紙繊維が切断されている間隙である。切断部27Sは、レーザー加工によって紙繊維を切断されたレーザー加工痕でもよいし、打ち抜き加工によって紙繊維を切断された打ち抜き加工痕でもよい。
【0033】
切断部27Sは、開封方向と直交する方向に連なる。切断部27Sの連なる方向は、上述した分断方向である。切断部27Sは、紙層27を第1面27Fから第2面27Bまで貫通する。切断部27Sは、開封方向にピッチ27Wを空けて並ぶ。切断部27Sは、紙層27の脆弱部22を構成する。蓋体20は、蓋本体部20Sにおいて分断方向に連なる脆弱部22を、紙層27のみに備える。
【0034】
シーラント層28は、アイオノマー樹脂を含む。アイオノマー樹脂の一例は、エチレン系アイオノマー樹脂である。シーラント層28は、イージーピール性と、ヒートシール性とを備える。シーラント層28は、一層のアイオノマー樹脂フィルムからなる単層体でもよいし、アイオノマー樹脂フィルムを含む二層以上のフィルムからなる積層体でもよい。シーラント層28は、表面層25よりも低い熱収縮力を備える。
【0035】
シーラント層28が積層体である場合、シーラント層28は、エチレン系樹脂からなるフィルムを備える。アイオノマー樹脂を含有しないエチレン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体からなる群から選択される少なくとも一種である。
【0036】
[脆弱部22の平面構成]
図1に戻り、脆弱部22は、紙層27の切断部27Sを備える。切断部27Sが連続する線である場合、脆弱部22は、切断部27Sのみから構成される。切断部27Sが隙間を空けて連なる線である場合、脆弱部22は、切断部27Sと、当該切断部27Sの延在方向において切断部27Sに挟まれた紙層27の一部とから構成される。すなわち、脆弱部22は、脆弱部22の延在方向に連続する欠陥構造でもよいし、ミシン目線のように、脆弱部22の延在方向に間欠的に連なる欠陥構造でもよい。
【0037】
脆弱部22は、分断方向の一例として、開封方向と直交する方向に連なり、かつ紙層27のみに配置された欠陥構造である。なお、
図1は、1つの脆弱部22が、脆弱部22の延在方向に連続する1つの切断部27Sから構成される例であり、1つの欠陥構造である例を示す。
【0038】
脆弱部22は、開封方向と直交する直線状を有する。なお、脆弱部22は、開封方向と交差する直線状を有してもよいし、開封方向と交差する直線状と、開封方向に延びる直線状とを組み合わせた形状を有してもよい。脆弱部22は、開封方向と交差する曲線状を有してもよいし、開封方向と交差する曲線状と、開封方向に延びる直線状とを組み合わせた形状を有してもよい。
【0039】
脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて、分断方向の一例である開封方向と直交する方向の全幅にわたる。なお、脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて開封方向と直交する方向の一部のみに配置されてもよい。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて開封方向と直交する方向の端部以外に配置されてもよいし、蓋本体部20Sにおいて開封方向と直交する方向の中央に配置されてもよい。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて開封方向と直交する方向に間欠的に配置されてもよい。
【0040】
脆弱部22は、開封方向に1mm程度の間隔を空けて開封方向に並ぶ。なお、脆弱部22は、開封方向に3mm以上の間隔を空けて開封方向に並んでもよいし、開封方向における間隔が分断方向において変わるように配置されてもよい。例えば、脆弱部22の開封方向における間隔であるピッチ27Wは、分断方向の両端部から分断方向の中央に向けて、漸減してもよいし、漸増してもよい。
【0041】
脆弱部22は、蓋本体部20Sのなかで中心Cを含む領域に配置されている。脆弱部22は、蓋本体部20Sのなかで開封止めの位置を含む領域に配置されている。脆弱部22の位置する領域は、開封方向において中心Cを含む。脆弱部22の位置する領域は、開封方向において開封止めの位置を含む。なお、脆弱部22は、蓋本体部20Sのなかで中心Cよりも摘まみ部21の側のみに位置してもよい。
【0042】
脆弱部22の位置する領域の開封方向における長さは、摘まみ部21と中心Cとの間の開封方向における長さの2/3以上3/4以下である。脆弱部22の位置する領域は、開封方向において、摘まみ部21と中心Cとの間の1/2以上の範囲を占める。なお、脆弱部22の位置する領域の開封方向における長さは、蓋本体部20Sの開封方向における長さと等しくてもよいし、摘まみ部21と中心Cとの間の開封方向における長さの2/3未満でもよい。
【0043】
脆弱部22の位置する領域は、脆弱部22の密度が高い領域の一例である。蓋本体部20Sにおいて、脆弱部22の位置する領域は、脆弱部22の密度が高い領域の一例である。脆弱部22は、摘まみ部21、および蓋本体部20Sのなかで摘まみ部21の近傍に位置しない。蓋本体部20Sにおいて、脆弱部22の位置しない領域は、脆弱部22の密度が低い領域の一例である。脆弱部22の密度は、開封方向における単位長さ当たりの脆弱部22の数量である。なお、脆弱部22は、蓋本体部20Sの全体に位置してもよいし、摘まみ部21を含み、蓋体20の全体に位置してもよい。
【0044】
[製造方法]
即席食品容器の製造方法は、蓋体20の製造方法を含み、容器本体部10に蓋体20の蓋本体部20Sを熱融着することとを含む。熱融着は、例えば、ヒートシール、超音波シール、高周波シールなどによって行われる。即席食品容器の製造方法は、容器本体部10の内部に即席食品や調味料などの内容物を収容することを含む。
【0045】
蓋体20の製造方法は、積層体から蓋体20を形成することを含む。積層体は、延伸フィルムを備える表面樹脂層と、アイオノマー樹脂を含むシーラント層28と、表面樹脂層とシーラント層28とに挟まれた紙層27と、から構成される。蓋体20の製造方法は、蓋体20に、蓋本体部20Sの開封方向を示す指標を形成することと、蓋本体部20Sにおいて開封方向と交差する方向に連なる脆弱部22を紙層27のみに形成することと、を含む。
【0046】
蓋体20の製造方法の一例は、まず、紙層27に切断部27Sを形成する。切断部27Sの形成は、レーザー加工でもよいし、打ち抜き加工でもよいし、レーザー加工と打ち抜き加工との組み合わせでもよい。切断部27Sを形成するレーザーは、炭酸ガスレーザーでもよいし、YAGレーザーでもよい。
【0047】
蓋体20の製造方法の一例は、次に、表面層25の一側面に接着剤を塗工し、ドライラミネート法を用いて、切断部27Sを備えた紙層27の第1面27Fに、表面層25を接着する。この際、表面層25は、接着剤の塗工に先駆けて、表面層25に印刷を施されてもよい。これによって、表面層25、接着層26、および紙層27からなる積層体を形成する。
【0048】
蓋体20の製造方法の一例は、次に、押出ラミネート法を用いて、紙層27の第2面27Bにシーラント層28を貼り合わせる。紙層27の第2面27Bは、アンカーコートを形成されてもよいし、アンカーコートを形成されなくてもよい。そして、表面層25、接着層26、紙層27、およびシーラント層28からなる積層体から、摘まみ部21と蓋本体部20Sとが含まれるように、蓋体20を切り出すことによって、蓋体20を製造する。
【0049】
[試験例]
以下、上述した脆弱部22の作用を示す試験例について説明する。まず、
図4から
図17を参照して、試験例における脆弱部22の形状を説明する。次に、
図18、および
図19を参照して、各試験例の評価結果を説明する。なお、試験例は、
図1に示す脆弱部22を形状Aとして用い、
図4から
図17に示す脆弱部22を、それぞれ形状Bから形状Pとして用いる。
【0050】
[脆弱部22の形状]
図4が示すように、形状Bの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する直線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて分断方向の全幅にわたる。脆弱部22の位置する領域は、開封方向において中心Cを挟む開封止め領域と、当該開封止め領域よりも摘まみ部21の側に位置する中間領域とである。形状Bの蓋体20は、摘まみ部21から開封方向に向けて、脆弱部22が位置しない領域、中間領域、脆弱部22が位置しない領域、開封止め領域を、この順に配置する。
【0051】
すなわち、形状Bの蓋体20は、脆弱部22の密度が低い領域と、脆弱部22の密度が高い領域とを、開封方向に交互に繰り返す。開封止め領域、および中間領域の開封方向における長さは、摘まみ部21と中心Cとの間の開封方向における長さの1/4以上1/3以下である。
【0052】
図5が示すように、形状Cの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する直線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて分断方向の全幅にわたる。脆弱部22の位置する領域は、開封方向において中心Cを含む開封止め領域のみである。形状Cの開封止め領域の開封方向における長さは、摘まみ部21と中心Cとの間の開封方向における長さの1/4以上1/3以下である。
【0053】
すなわち、形状Cの脆弱部22は、形状Aの脆弱部22よりも、中心Cの近傍に集中するように配置されている。
図6が示すように、形状Dの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する直線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて分断方向の全幅にわたる。脆弱部22の位置する領域は、摘まみ部21を含み、蓋体20の全体である。
【0054】
図7が示すように、形状Eの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する直線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて分断方向の一部分に配置されている。脆弱部22が開封方向に並ぶ領域は、脆弱部22の密度が高い矩形領域である。脆弱部22の配置されていない部分が開封方向に連なる領域は、脆弱部22の密度が低い矩形領域である。形状Eの蓋体20は、蓋本体部20Sの全体において、脆弱部22の密度が高い矩形領域と、脆弱部22の密度が低い矩形領域とを、千鳥格子状に配置する。
【0055】
図8が示すように、形状Fの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する直線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて分断方向の全幅にわたる。脆弱部22の位置する領域は、蓋体20のなかで摘まみ部21を除き、蓋本体部20Sのなかで中心Cを含む。開封方向において相互に隣り合う脆弱部22のピッチ27Wは、摘まみ部21から中心Cに向けて漸減している。
【0056】
図9が示すように、形状Gの脆弱部22は、蓋本体部20Sの周方向を分断方向とし、分断方向に連続する曲線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sの中心Cを同心とする同心円上に配置されている。脆弱部22の位置する領域は、蓋体20のなかで摘まみ部21を除き、蓋本体部20Sのなかで中心Cよりも摘まみ部21の側にのみ配置されている。
【0057】
図10が示すように、形状Hの蓋体20は、形状Dの脆弱部22のうち、摘まみ部21、および摘まみ部21の開封方向において、脆弱部22が省略されている。
図11が示すように、形状Iの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する折れ線状を有する。脆弱部22は、蓋本体部20Sにおいて分断方向の全幅にわたる。脆弱部22の位置する領域は、摘まみ部21を含み、蓋体20の全体である。
【0058】
図12が示すように、形状Jの脆弱部22は、弧の延在方向を分断方向とし、分断方向に連続する曲線状を有する。脆弱部22の延在方向を定める弧は、摘まみ部21に対する中心Cの側とは反対側に曲率中心を有する。脆弱部22の位置する領域は、蓋体20のなかで摘まみ部21を除き、蓋本体部20Sの全体である。
【0059】
図13が示すように、形状Kの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に間隔を空けて、間欠的に配置されている。1つの脆弱部22は、分断方向に延在する1つの直線と、開封方向に延在する1つの直線との組み合わせであり、十字状を有する。脆弱部22の位置する領域は、摘まみ部21を含み、蓋体20の全体である。
【0060】
図14が示すように、形状Lの脆弱部22は、開封方向と直交する方向を分断方向とし、分断方向に連続する直線状を有する。脆弱部22は、分断方向において蓋本体部20Sの両端以外に配置されている。脆弱部22の位置する領域は、摘まみ部21、および蓋本体部20Sの周縁部を除き、蓋本体部20Sのほぼ全体である。
【0061】
図15が示すように、形状Mの脆弱部22は、蓋本体部20Sに含まれる円の周方向を分断方向とし、開封方向、および開封方向と直交する方向に、それぞれ間隔を空けて、間欠的に配置されている。1つの脆弱部22は、1つの円状を有する。脆弱部22の位置する領域は、摘まみ部21を含み、蓋体20の全体である。
【0062】
図16が示すように、形状Nの脆弱部22は、開封方向に延在する直線状を有する。脆弱部22は、蓋体20において開封方向の全幅にわたる。脆弱部22の位置する領域は、摘まみ部21を含み、蓋体20の全体である。すなわち、形状Nの蓋体20は、開封方向と交差する方向に連なる脆弱部22を備えず、開封方向と交差する方向に連なる切断部27Sを紙層27に備えない。
【0063】
図17が示すように、形状Pの蓋体20は、蓋体20の全体から脆弱部22を省略されている。すなわち、形状Pの蓋体20は、紙層27の全体にわたり切断部27Sを備えない。
【0064】
図18が示すように、試験例1から試験例3の蓋体20として、形状Aを有する蓋体20を得た。試験例4から試験例6の蓋体20として、形状Bを有する蓋体20を得た。試験例7から試験例9の蓋体20として、形状Bを有する蓋体20を得た。試験例10から試験例17の蓋体20として、形状Dを有する蓋体20を得た。試験例18から試験例19の蓋体20として、形状Eを有する蓋体20を得た。試験例20から試験例21の蓋体20として、形状Fを有する蓋体20を得た。試験例22から試験例27の蓋体20として、形状Gを有する蓋体20を得た。
【0065】
試験例28から試験例31の蓋体20として、形状Hを有する蓋体20を得た。試験例32から試験例33の蓋体20として、形状Iを有する蓋体20を得た。試験例34の蓋体20として、形状Jを有する蓋体20を得た。試験例35の蓋体20として、形状Kを有する蓋体20を得た。試験例36の蓋体20として、形状Lを有する蓋体20を得た。試験例37の蓋体20として、形状Mを有する蓋体20を得た。試験例38の蓋体20として、形状Nを有する蓋体20を得た。試験例39から試験例40の蓋体20として、形状Pを有する蓋体20を得た。
【0066】
[試験例1]
試験例1の蓋体20を形成するに際して、まず、レーザー加工を用い、坪量が81.1g/m2の下記紙層27に、形状Aに準じた切断部27Sを形成した。この際、紙層27の紙目が開封方向に沿うように、紙層27に切断部27Sを形成した。また、ピッチ27Wに1mmを設定した。
【0067】
次に、表面層25として、下記二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を用い、かつ接着層26を形成するための下記接着剤を用いた。そして、表面層25の一側面に印刷を施すと共に、印刷を施された一側面に接着剤を塗工し、ドライラミネート法によって、紙層27に表面層25を接着した。
【0068】
次に、シーラント層28として、下記エチレン系アイオノマー樹脂(IOPE)と、低温接着性ポリオレフィン樹脂(LTS)とを用いた。そして、紙層27とIOPE層との間にアンカーコートを用いず、紙層27、IOPE層、およびLTS層がこの順に接合するように、二層の共押出ラミネート法によって、紙層27にシーラント層28を貼り合わせた。紙層27にシーラント層28を貼り合わせた原反から、試験例1の蓋体20を切り出した。
・OPP :FOR(品種名)フタムラ化学社製/厚さ20μm
・接着剤 :A626/A50(製品名)三井化学社製
・紙層27:特コーモG(製品名)富士加工社製
・IOPE:AM79021(製品名)三井ダウポリケミカル社製/厚さ20μm
・LTS :VN503(製品名)三井ダウポリケミカル社製/厚さ20μm
【0069】
[試験例2~試験例40]
試験例2の蓋体20は、試験例1の蓋体20におけるIOPEを、下記低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)に変更し、それ以外を試験例1と同様にして得られた。
・LDPE:ミラソン11P(製品名)三井ダウポリケミカル社製/厚さ20μm
【0070】
試験例3の蓋体20は、表面樹脂層に、切断部27Sに追従する貫通溝を形成し、それ以外を試験例1と同様にして得られた。この際、紙層27のレーザー加工に先駆けて紙層27に表面層25を接着し、紙層27に表面層25を接着した積層体に対し、表面層25から紙層27までを貫通するようにレーザー加工を施し、これによって形状Aに準じた切断部27S、および貫通溝を形成した。
【0071】
試験例4の蓋体20は、形状Bに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。この際、ピッチ27Wに1mmを設定した。試験例5の蓋体20は、紙層27の紙目が開封方向と直交するように切断部27Sを形成し、それ以外を試験例4の蓋体20と同様にして得られた。試験例6の蓋体20は、形状Bに準じた切断部27S、および貫通溝を形成し、それ以外を試験例3の蓋体20と同様にして得られた。
【0072】
試験例7の蓋体20は、形状Cに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。この際、ピッチ27Wに1mmを設定した。試験例8の蓋体20は、紙層27の紙目が開封方向と直交するように切断部27Sを形成し、それ以外を試験例7の蓋体20と同様にして得られた。試験例9の蓋体20は、形状Cに準じた切断部27S、および貫通溝を形成し、それ以外を試験例3の蓋体20と同様にして得られた。
【0073】
試験例10の蓋体20は、形状Dに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。この際、ピッチ27Wに1mmを設定した。試験例11の蓋体20は、ピッチ27Wを3mmに変更し、それ以外を試験例10の蓋体20と同様にして得られた。試験例12の蓋体20は、ピッチ27Wを5mmに変更し、それ以外を試験例10の蓋体20と同様にして得られた。
【0074】
試験例13の蓋体20は、紙層27の紙目が開封方向と直交するように変更し、それ以外を試験例10の蓋体20と同様にして得られた。試験例14の蓋体20は、表面層25を一軸延伸ポリプロピレンフィルムに変更し、それ以外を試験例10の蓋体20と同様にして得られた。
【0075】
試験例15の蓋体20は、形状Dに準じた切断部27S、および貫通溝を形成し、かつ紙層27の紙目が開封方向と直交するように変更し、それ以外を試験例3の蓋体20と同様にして得られた。試験例16の蓋体20は、表面層25、および接着層26を省略し、それ以外を試験例10の蓋体20と同様にして得られた。試験例17の蓋体20は、表面層25、および接着層26を省略し、かつ紙層27の坪量を120g/m2に変更し、それ以外を試験例10の蓋体20と同様にして得られた。
【0076】
試験例18の蓋体20は、形状Eに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを3mmに変更し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例19の蓋体20は、形状Eに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを5mmに変更し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。
【0077】
試験例20の蓋体20は、形状Fに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを1mmから5mmまで漸増し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例21の蓋体20は、形状Fに準じた切断部27S、および貫通溝を形成すると共に、ピッチ27Wを1mmから5mmまで漸増し、それ以外を試験例3の蓋体20と同様にして得られた。
【0078】
試験例22の蓋体20は、形状Gに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例23の蓋体20は、形状Gに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを3mmに変更し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例24の蓋体20は、表面層25を一軸延伸ポリプロピレンフィルムに変更し、それ以外を試験例22の蓋体20と同様にして得られた。
【0079】
試験例25の蓋体20は、形状Gに準じた切断部27S、および貫通溝を形成し、それ以外を試験例3の蓋体20と同様にして得られた。試験例26の蓋体20は、表面層25、および接着層26を省略し、それ以外を試験例22の蓋体20と同様にして得られた。試験例27の蓋体20は、表面層25、および接着層26を省略し、かつ紙層27の坪量を120g/m2に変更し、それ以外を試験例22の蓋体20と同様にして得られた。
【0080】
試験例28の蓋体20は、形状Hに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例29の蓋体20は、形状Hに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを3mmに変更し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例30の蓋体20は、形状Hに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを5mmに変更し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例31の蓋体20は、形状Hに準じた切断部27S、および貫通溝を形成し、それ以外を試験例3の蓋体20と同様にして得られた。
【0081】
試験例32の蓋体20は、形状Iに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例33の蓋体20は、形状Iに準じた切断部27Sを紙層27に形成すると共に、ピッチ27Wを3mmに変更し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。
【0082】
試験例34から試験例38の蓋体20は、それぞれ形状Jから形状Nに準じた切断部27Sを紙層27に形成し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例39の蓋体20は、形状Pに準じて切断部27Sの加工を省略し、それ以外を試験例1の蓋体20と同様にして得られた。試験例40の蓋体20は、表面層25を一軸延伸ポリプロピレンフィルムに変更し、それ以外を試験例39の蓋体20と同様にして得られた。
【0083】
[開封性評価]
摘まみ部21を指で摘まみながら、反り角度θが135°に達するように、中心Cの付近まで蓋体20を剥離した後に、摘まみ部21から指を離した。そして、剥離後の蓋体20の姿勢が安定した状態で、反り角度θを測定した。
図18、および
図19の開封性に、各試験例における反り角度θの評価結果を示す。なお、
図18、および
図19には、反り角度θが30°未満である試験例に、開封性が良好でない旨を示す「×」印を付す。また、反り角度θが30°以上45°未満である試験例に、開封性が良好である旨を示す「黒塗り△」印を付す。また、反り角度θが45°以上60°未満である試験例に、開封性がさらに良好である旨を示す「△」印を付す。そして、反り角度θが60°以上である試験例に、開封性が非常に良好である旨を示す「○」印を付す。
【0084】
[再封性評価]
開封性評価の後、フランジ部11に摘まみ部21を引っ掛けるように、摘まみ部21に折り曲げ癖を付与し、摘まみ部21から指を離した。そして、蓋体20の姿勢が安定した状態で、蓋本体部20Sがフランジ部11に仮留めされるか否かを測定した。
図18、および
図19の再封性に、各試験例における仮留めの評価結果を示す。なお、
図18、および
図19には、仮留めされることが認められた試験例に「○」印を付し、仮留めされることが認められなかった試験例に「×」印を付す。
【0085】
[美粧性評価]
表面層25と対向する視点から、紙層27の第1面27Fに施された印刷を目視で確認し、蓋体20の美粧性を評価した。
図18、および
図19の美粧性に、各試験例における美粧性の評価結果を示す。なお、
図18、および
図19には、切断部27Sによる印刷層の途切れが認められなかった試験例に「○」印を付す。また、切断部27Sによる印刷層の途切れが認められた試験例に「×」印を付す。
【0086】
[アイオノマー樹脂]
図18、および
図19が示すように、形状Aの脆弱部22を備えた試験例1と試験例2との比較から、試験例1の開封性が試験例2の開封性よりも優れていることが認められた。これにより、シーラント層28にアイオノマー樹脂を含めることが開封性の向上に寄与することが認められた。
【0087】
[切断部27S]
形状Aの脆弱部22を備えた試験例1と試験例3との比較から、試験例1の開封性が試験例3の開封性よりも優れており、また形状Bを備えた試験例4と試験例6との比較から、試験例4の開封性が試験例6の開封性よりも優れていることも認められた。また、形状Cを備えた試験例7と試験例9との比較から、試験例7の開封性が試験例9の開封性よりも優れており、また形状Dを備えた試験例10と試験例15との比較から、試験例10の開封性が試験例15の開封性よりも優れていることも認められた。これにより、紙層27のみに脆弱部22を備えることが開封性の向上に寄与することが認められた。また、これらの試験例における美粧性の比較から、紙層27のみに脆弱部22を備えることが美粧性の向上に寄与することも認められた。
【0088】
形状Fを備えた試験例20と試験例21との比較から、試験例20の開封性が試験例21の開封性よりも優れていることが認められ、また形状Gを備えた試験例22と試験例25との比較から、試験例22の開封性が試験例25の開封性よりも優れていることも認められた。さらに、形状Hを備えた試験例28と試験例31との比較から、試験例28の開封性が試験例31の開封性よりも優れていることも認められた。これにより、脆弱部22の形状相違に関わらず、紙層27のみに脆弱部22を備えることが開封性の向上に寄与することも認められた。また、これらの試験例における美粧性の比較においても、紙層27のみに脆弱部22を備えることが美粧性の向上に寄与することが認められた。
【0089】
なお、試験例3、6、9、15、21、25、31のように、切断部27Sに追従した貫通溝を表面樹脂層に備える蓋体20は、試験例39の蓋体20と同じ程度の開封性を備え、いずれも切断部27Sによる開封性の向上を認められなかった。
【0090】
形状J、形状K、形状Lを備えた試験例34、35、36と、形状M、形状Nを備えた試験例37、38との比較から、試験例34、35、36の開封性が試験例37、38の開封性よりも優れていることが認められた。これにより、脆弱部22が無端環状や開封方向に延びる線状ではなく、脆弱部22が開封方向と交差する方向に延びる有端線状であることが開封性の向上に寄与することが認められた。
【0091】
形状Dを備えた試験例11、12と、形状Eを備えた試験例18、19との比較から、試験例11、12の開封性が試験例18、19の開封性と同じ程度であることが認められた。これにより、分断方向における蓋本体部20Sの長さの1/2以上に脆弱部22が配置される構成であれば、分断方向における蓋本体部20Sの全幅にわたる脆弱部22と同じ程度に、開封性を高められることも認められた。
【0092】
[ピッチ27W]
形状Dを備えた試験例10と試験例11、12との比較から、試験例10の開封性が試験例11、12の開封性よりも優れていることが認められた。形状Gを備えた試験例22と試験例23との比較から、試験例22の開封性が試験例23の開封性よりも優れていることも認められた。形状Hを備えた試験例28と試験例29、30との比較から、試験例28の開封性が試験例29、30の開封性よりも優れていることも認められた。形状Iを備えた試験例32と試験例33との比較から、試験例32の開封性が試験例33の開封性よりも優れていることも認められた。これにより、脆弱部22の形状相違に関わらず、脆弱部22のピッチ27Wが1mmであることが開封性の向上に寄与することも認められた。
【0093】
[紙層27の紙目]
形状Cを備えた試験例7と試験例8との比較から、試験例7の開封性が試験例8の開封性と同じ程度であることが認められた。また、形状Dを備えた試験例10と試験例13との比較から、試験例10の開封性が試験例13の開封性と同じ程度であることが認められた。これにより、紙層27の紙目が分断方向と平行であるか、あるいは直交するかが開封性の向上に寄与しないことも認められた。
【0094】
[表面層25]
形状Dを備えた試験例10と試験例14との比較から、試験例10の開封性が試験例14の開封性と同じ程度であることが認められた。形状Gを備えた試験例22と試験例24との比較から、試験例22の開封性が試験例24の開封性よりも若干良好であることが認められた。これにより、表面層25が二軸延伸フィルムであることが、表面層25が一軸延伸フィルムである場合よりも、若干開封性を高められることも認められた。
【0095】
形状Dを備えた試験例10と試験例16、17との比較から、試験例10の開封性が試験例16、17の開封性よりも優れていることが認められた。形状Gを備えた試験例22と試験例26、27との比較から、試験例22の開封性が試験例26、27の開封性よりも優れていることが認められた。これにより、表面層25を備えることが開封性の向上に寄与することが認められた。
【0096】
[摘まみ部21]
形状AからCを備えた試験例1から試験例9と、形状Dを備えた試験例13から試験例17との比較から、試験例1から試験例9の再封性が、いずれも試験例13から試験例17の再封性よりも優れていることが認められた。また、形状Dを備えた試験例10から試験例17のなかでの比較から、試験例11、12の再封性が他の試験例の再封性よりも優れていることが認められた。また、形状Hを備えた試験例28から試験例31と、形状Dを備えた試験例13から試験例17との比較から、試験例28から試験例31の再封性が、いずれも試験例13から試験例17の再封性よりも優れていることが認められた。これにより、摘まみ部21に配置される脆弱部22が小さいほど、また脆弱部22が少ないほど、再封性を向上できることが認められた。
【0097】
[本実施形態の効果]
以上、上記実施形態によれば以下の効果が得られる。
(1)分断方向に延びる紙層27の脆弱部22は、蓋本体部20Sを反らせることに抗する紙層27の反力を開封方向で分断し、これによって蓋体20の内部応力による蓋本体部20Sの反りを開封方向において促す。結果として、剥離後の蓋本体部20Sが自ら注入口を塞ぐような姿勢に戻ることを抑える。そして、蓋本体部20Sに折り曲げ癖を付与するような折り曲げ操作を蓋体20の開封操作から省略することが可能となる。
【0098】
(2)また、脆弱部22が紙層27のみに位置するため、表面層25に施された印刷の美粧性が脆弱部22によって低められることも抑えられる。
(3)脆弱部22が蓋本体部20Sのみに配置される場合、紙層27の剛性が摘まみ部21の全体で確保される。これにより、蓋本体部20Sの折り曲げ操作を省略可能にしながらも、摘まみ部21に付与された折り曲げ癖が蓋本体部20Sの再度の閉蓋に有効であることが保たれる。
【0099】
(4)脆弱部22の位置する領域が中心Cを含む場合、紙層27のなかで反力の分断される領域が開封範囲の端を含むため、脆弱部22による紙層27の反力抑制がさらに有効的に作用する。
【0100】
[変更例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。
[印刷層]
・
図20が示すように、紙層27は、第1面27Fに印刷層29Fを備えてもよい。
・
図21が示すように、紙層27は、第1面27Fに印刷層29Fを備え、かつ第2面27Bに印刷層29Bを備えてもよい。
なお、表面層25のなかで接着層26と対向する面に印刷層を備える構成であれば、上記(2)に記載のように、紙層27の切断部27Sによる美粧性の低下が抑えられる。
【0101】
[脆弱部22]
・
図22が示すように、切断部27Sは、紙層27を貫通しない、第1面27Fに配置された窪みでもよい。脆弱部22は、窪みである切断部27Sから構成されてもよい。また、切断部27Sは、紙層27を貫通しない、第2面27Bに配置された窪みでもよい。また、切断部27Sは、紙層27を貫通しない、第1面27Fと第2面27Bとにそれぞれ配置された窪みでもよい。これら、脆弱部22が紙層27を貫通しない構成であれば、紙層27に印刷を施すことが容易であり、また、脆弱部22が紙層27を貫通する構成と比べて、印刷層の美粧性が脆弱部22によって低められることも抑えられる。
【0102】
・
図23が示すように、切断部27Sは、紙層27を貫通しない、第1面27Fに配置された窪みであり、かつ紙層27は、第1面27Fと第2面27Bとに、それぞれ印刷層29F,29Bを備えてもよい。こうした構成であれば、紙層27の第2面27B、すなわち容器本体部10に面する蓋体20の内面において、印刷層の美粧性が脆弱部22によって低められることが抑えられる。
【0103】
・切断部27Sは、紙層27を貫通しない、第2面27Bに配置された窪みであり、かつ紙層27は、第1面27Fと第2面27Bとに、それぞれ印刷層29F,29Bを備えてもよい。こうした構成であれば、紙層27の第1面27F、すなわち蓋体20の表面において、印刷層の美粧性が脆弱部22によって低められることが抑えられる。
【0104】
・脆弱部22は、紙層27のなかで周囲よりも薄い部分であってもよい。紙層27のかなで周囲よりも薄い部分は、紙層27における紙繊維を切断することによって形成されてもよいし、紙層27の形成に際して予め薄く形成されてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10…容器本体部
11…フランジ部
20…蓋体
21…摘まみ部
22…脆弱部
25…表面層
26…接着層
27…紙層
27B…第2面
27F…第1面
27S…切断部
27W…間隔
28…シーラント層