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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160674
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A63F5/04 652
A63F5/04 613A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071192
(22)【出願日】2022-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川田 亨
(72)【発明者】
【氏名】市原 聖之
【テーマコード(参考)】
2C182
2C518
【Fターム(参考)】
2C182CC21
2C518EB07
2C518EB16
2C518EC02
2C518EC03
2C518FA02
(57)【要約】
【課題】リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる遊技機を提供する。
【解決手段】スロットマシンは、擬似遊技において回転しているリールが停止する場合に、約435.08msが経過するまでに微小振動される仮停止の状態にする。擬似遊技は、左リール~右リールが仮停止した状態で終了する。擬似遊技が終了する場合には、約62.58msが経過するまでにリールが回転開始されるランダム遅延制御が実行される。仮停止によって動作が停止しているリールは、ランダム遅延制御が実行された場合に、約435.08msと約62.58msとを合わせた約497.66msが経過するまでに動作するため、約500msよりも短い時間が経過するまでに動作する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリールと、
回胴演出に係る制御を行う回胴演出制御手段と、を備え、
前記回胴演出は、特定回胴演出を含み、
前記特定回胴演出において回転しているリールが停止する場合には、第2時間が経過するまでに特定動作される仮停止の状態になり、
前記特定回胴演出は、前記複数のリールが仮停止した状態で終了し、
前記特定回胴演出が終了する場合に、前記複数のリールの回転開始が同期しないように各リールの回転開始のタイミングをランダムで遅延させるランダム遅延制御が実行され、
仮停止によって動作が停止しているリールは、前記ランダム遅延制御が実行された場合に、前記第2時間と第3時間とが経過するまでに動作し、
前記第2時間は、前記第3時間と合わせても第4時間よりも短くなる時間となっている、
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外周面に図柄が配列された複数のリールを備えた遊技機(回胴式遊技機、スロットマシン)が知られている。この種の遊技機は、メダルやパチンコ玉などの遊技媒体に対して一定の遊技価値を付与し、このような遊技媒体を獲得するための遊技を行うものである。また、この種の遊技機は、遊技者の回転開始操作を契機として、内部抽選を行うとともに複数のリールの回転を開始させ、遊技者の停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で複数のリールを停止させる制御を行っている。そして、遊技の結果は、複数のリールが停止した状態における入賞判定ライン上に表示された図柄組合せによって判定され、遊技の結果に応じてメダル等の払い出しなどが行われる。
【0003】
上述した遊技機においては、遊技の進行を遅延させるフリーズを設定し、該フリーズ中に擬似的に遊技を進行させる擬似遊技を実行可能にする構成が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-140685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の遊技機では、擬似遊技において遊技者によってストップボタンが押下された場合に、遊技者がストップボタンを押下したタイミングによらず特定の図柄を擬似停止表示可能に構成されており、複数のリールが擬似停止した場合に、複数のリールを振動させる等、本来の遊技とは異なる態様で動作させることで、遊技者が擬似遊技を実際の遊技と勘違いすることを防止している。このような遊技機においては、複数のリールを擬似停止した場合に、1回振動させるまでの停止している状態が継続する時間が長時間となると、遊技者が本来の遊技(本遊技)における停止と誤認し、本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまう虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のリールと、
回胴演出に係る制御を行う回胴演出制御手段と、を備え、
前記回胴演出は、特定回胴演出を含み、
前記特定回胴演出において回転しているリールが停止する場合には、第2時間が経過するまでに特定動作される仮停止の状態になり、
前記特定回胴演出は、前記複数のリールが仮停止した状態で終了し、
前記特定回胴演出が終了する場合に、前記複数のリールの回転開始が同期しないように各リールの回転開始のタイミングをランダムで遅延させるランダム遅延制御が実行され、
仮停止によって動作が停止しているリールは、前記ランダム遅延制御が実行された場合に、前記第2時間と第3時間とが経過するまでに動作し、
前記第2時間は、前記第3時間と合わせても第4時間よりも短くなる時間となっている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態の遊技機の外観構成を示す正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態の遊技機の機能ブロックを説明する図である。
図3】本発明の第1の実施形態の遊技機における内部抽選で当選可能な当選エリアと、各当選エリアに含まれる当選役と、を示す図である。
図4】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機における遊技状態の状態遷移図、(B)は、AT制御手段が制御する通常区間及び有利区間と、有利区間中における演出状態と、に係る遷移図である。
図5】本発明の第1の実施形態の遊技機におけるリールの図柄配列を説明する図である。
図6】本発明の第1の実施形態の遊技機において左リールが仮停止した場合に実行される微小振動に係る制御を説明する図である。
図7】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機において左リールが仮停止し微小振動を行っている状態で中リールが仮停止した状態を示す図、(B)は、(A)に示した状態から時間が経過し左リールが正回転方向に1ステップ分回転した状態を示す図、(C)は、(B)に示した状態から時間が経過し左リールが逆回転方向に1ステップ分回転した状態を示す図、(D)は、(C)に示した時間が経過し中リールが正回転方向に1ステップ分回転した状態を示す図、(E)は、(D)に示した時間が経過し左リールが正回転方向に1ステップ分回転した状態を示す図、(F)は、(E)に示した時間が経過し左リールと中リールとが逆回転方向に1ステップ分回転し微小振動が同期した状態を示す図である。
図8】本発明の第1の実施形態の遊技機において擬似遊技が終了しランダム遅延制御が実行される場合の制御を説明する図である。
図9】(A)は、本発明の第1の実施形態の遊技機において仮停止しているリールの微小振動が同期する時点における各リールの停止時間を示す図、(B)は、演出ウェイト制御が実行されている状態における各リールの微小振動と微小振動が実行される時点における各リールの停止時間とを示す図、(C)は、演出ウェイト制御が終了しランダム遅延制御が開始される場合における各リールの停止時間を示す図、(D)、(E)は、ランダム遅延制御が実行されている状態で中リール、右リールが微小振動する時点における各リールの停止時間を示す図、(F)は、ランダム遅延制御において左リールの回転が開始される場合における各リールの停止時間を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態の遊技機において左リールが仮停止した場合に実行される微小振動に係る制御を説明する図である。
図11】本発明の第2の実施形態の遊技機において擬似遊技が終了しランダム遅延制御が実行される場合の制御を説明する図である。
図12】(A)、(B)は、本発明の第2の実施形態の遊技機において仮停止しているリールうち左リールと中リールとが微小振動し右リールが停止している状態における各リールの停止時間を示す図、(C)は、擬似遊技が終了しランダム遅延制御が開始される場合における各リールの停止時間を示す図、(D)は、ランダム遅延制御が実行されている状態で左リール、中リールが微小振動する時点における各リールの停止時間を示す図、(E)は、ランダム遅延制御において右リールの回転が開始される場合における各リールの停止時間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。なお、以下に説明する第1の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、第1の実施形態で説明される構成のすべてが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1.遊技機の構成の概要
図1は、本発明の第1の実施形態に係るスロットマシン1の外観構成を示す正面図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、いわゆる回胴式遊技機と呼ばれるもので、メダルを遊技媒体として用いた遊技を行う種類の遊技機である。
【0012】
第1の実施形態のスロットマシン1は、筐体BX、前面上扉UD及び前面下扉DDからなる箱形の筐体内に複数のリールとしての左リールR1~右リールR3からなるリールユニット310(図2参照)が収められている。また、筐体内のリールユニット310の下部には、メダルの払出装置としてのホッパーユニット320(図2参照)が収められている。また、第1の実施形態のスロットマシン1の筐体内には、CPU、ROM(情報記憶媒体の一例)、RAM等を搭載し、スロットマシン1の動作を制御する制御基板も収められている。
【0013】
図1に示す左リールR1~右リールR3は、それぞれ外周面が一定の間隔で20の領域(以下、各領域を「コマ」と記載する)に区画されており、各コマに複数種類の図柄のいずれかが配列されている。
【0014】
前面上扉UDと前面下扉DDとは、個別に開閉可能に設けられている。前面上扉UDには、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種映像や画像から構成された演出を行うための表示手段としての表示装置330が設けられている。また、表示装置330は、画像を表示する表示領域330aのうち左リールR1~右リールR3と対向する特定領域330bが透過液晶ディスプレイから構成されており、表示装置330を介して左リールR1~右リールR3の回転状態及び停止状態を観察可能に構成されている。左リールR1~右リールR3の停止状態では、左リールR1~右リールR3それぞれの外周面に一定間隔で配列された複数種類の図柄のうち、外周面上に連続して配列されている3つの図柄(上段図柄、中段図柄、下段図柄)をスロットマシン1の正面から表示装置330を通じて観察できるようになっている。
【0015】
また、第1の実施形態のスロットマシン1では、表示装置330を通じて図柄を観察するための表示位置として、各リールについて上段、中段、下段が設けられており、各リールの表示位置の組合せによる有効ラインについて、有効ラインL1が設定されている。第1の実施形態のスロットマシン1では、1回の遊技に関して必要となるメダルの数、いわゆる規定投入数がいずれの遊技状態においても3枚に設定されており、規定投入数に相当するメダルが投入されると左リールR1~右リールR3の中段によって構成される有効ラインL1が有効化される。
【0016】
そして、遊技結果は、有効ラインL1上(有効ライン上)に停止表示された図柄組合せによって判定され、有効ラインL1上の図柄組合せが予め定められた役に対応した図柄組合せである場合に、その役が入賞したものとしてホッパーユニット320からメダルの払い出し等が行われる。
【0017】
前面上扉UDには、遊技情報表示部DSが設けられている。遊技情報表示部DSは、LED、ランプ、7セグメント表示器等からなり、メダルのクレジット数、1回の遊技におけるメダルの払出数あるいは獲得数、ボーナス状態でのメダルの払出数の合計あるいは獲得数の合計、今回の遊技で当選した役の情報、メダルの払い出しに関係するストップボタンB1、ストップボタンB2、ストップボタンB3の押し方を示唆する情報の表示等の各種遊技情報が表示される。
【0018】
遊技情報表示部DSには、7セグメント表示器から構成される主制御表示装置500が含まれており、規定投入数のメダルが投入されスタートレバーSLが操作された際に、今回の遊技で当選した役の情報である当選情報に基づき作成される制御信号である当選役コマンドに対応する表示である報知表示が表示され、報知表示の表示後左リールR1~右リールR3が停止した際に、報知表示が終了するとともにメダルの払出数あるいは獲得数が表示される。第1の実施形態のスロットマシン1では、当選役コマンドに応じた表示態様で主制御表示装置500の各セグメントが点灯及び消灯する報知表示が実行される。
【0019】
また、主制御表示装置500には、7セグメント表示器のドットであり、後述するAT制御手段200(図2参照)によって有利区間が開始され、小役の入賞が補助されることでメダルの獲得期待値が1以上となっている場合に点灯する区間報知部500Aが設けられている。また、第1の実施形態のスロットマシン1では、音を用いた演出を行うための音響装置340が前面下扉DDに複数設けられている。音響装置340からは、遊技を補助したり、遊技を盛り上げたりするための各種の音声が出力される。
【0020】
前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うための投入操作手段として、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMB、左リールR1~右リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる開始操作を遊技者に実行させるための遊技開始操作手段としてのスタートレバーSL、ステッピングモータにより回転駆動されている左リールR1~右リールR3のそれぞれを停止させる契機となる停止操作を遊技者に実行させるための停止操作手段としてのストップボタンB1~ストップボタンB3及びクレジットされたメダルを精算するための精算ボタンBSも設けられている。
【0021】
また、前面下扉DDの下部には、メダル払出口MOとメダル受け皿MPとが設けられており、遊技の結果に応じた枚数のメダルがメダル払出口MOからメダル受け皿MPへ払い出されるようになっている。また、遊技機内にクレジットされたメダルが記憶されている状態で、精算ボタンBSが押下された場合、精算ボタンBSの押下に伴ってホッパーユニット320からクレジット数(クレジットされたメダルの枚数)に相当する枚数のメダルを払い出す精算処理を実行し、メダル払出口MOからメダル受け皿MPへメダルを払い出す。
【0022】
図2は、第1の実施形態のスロットマシン1の機能ブロック図である。第1の実施形態のスロットマシン1は、制御基板としての遊技制御手段10によって制御される。遊技制御手段10は、複数の操作検出手段としてのメダル投入スイッチ210、ベットスイッチ220、スタートスイッチ230、ストップスイッチ240、設定変更スイッチ250及びリセットスイッチ260の入力手段からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて演出装置300、リールユニット310、ホッパーユニット320及び主制御表示装置500等の出力手段の動作を制御する。
【0023】
また、遊技制御手段10は、設定変更手段100、投入受付手段105、乱数生成手段110、内部抽選手段120、リール制御手段130、入賞判定手段140、払出制御手段150、リプレイ処理手段160、遊技状態移行制御手段170、演出制御手段180、記憶手段190、アシストタイム制御手段(AT制御手段)200及び擬似遊技制御手段400を含む。遊技制御手段10を構成する各手段は、各制御処理の実行時に、記憶手段190に予め記憶されている各制御プログラムを読み出して実行する。
【0024】
設定変更手段100は、記憶手段190の設定値記憶手段191に記憶されている設定値を変更する制御(設定変更制御)を行う。設定変更手段100は、設定変更スイッチ250がON状態となり設定変更を許可する状態において、電源装置に設けられているリセットスイッチ260から出力される入力信号を受け付けるごとに、設定値を設定1→設定2→・・・→設定6→設定1→・・・の順序で循環的に変動させ、スタートレバーSLが操作されスタートスイッチ230から出力されるスタート信号を受信したことに基づいて設定値を確定させる。スロットマシン1では、設定値記憶手段191において確定された設定値に応じて、内部抽選手段120による内部抽選で当選可能な当選エリアのうち一部の当選エリアの当選確率が変更される。つまり、設定変更手段100は、内部抽選手段120による内部抽選における役の当選確率を変更可能な値である設定値を変更可能に構成されている。
【0025】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1においては、設定変更手段100による設定変更制御が実行された場合に、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御が初期化されるように構成されており、遊技状態が後述する非リプレイタイム(以下、リプレイタイムを「RT」とも記載)状態に設定され、設定変更前においてAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、初期化されて通常区間が設定されるように構成されている。一方、スロットマシン1においては、遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され、その後再度電力の供給が再開された場合、遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態に係る制御及びAT制御手段200が実行する有利区間に係る制御について、電断前の状態から再開されるように構成されており、電断前にAT制御手段200が実行していた補助遊技に関する制御についても、電断前の状態が維持されるように構成されている。
【0026】
投入受付手段105は、メダルの投入を受け付ける投入受付期間内において、メダル投入口MI(図1参照)にメダルが投入されてメダル投入スイッチ210が作動した場合には、投入されたメダルを投入状態に設定し、メダルがクレジットされた状態でマックスベットボタンMBが押下されるベット操作が実行されるベットスイッチ220が作動した場合と、には、規定投入数(3枚)を限度として、クレジットされたメダルを投入状態に設定することで、規定投入数に相当するメダルが投入状態に設定されたことに基づいて、スタートレバーSLに対する遊技開始操作を有効化する処理を行う。
【0027】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、規定投入数に相当するメダルの投入に基づいて有効化されたスタートレバーSLの最初の押下操作が、遊技者による遊技の開始操作として受け付けられ、左リールR1~右リールR3の回転を開始させる契機となっているとともに、後述する内部抽選手段120が内部抽選を実行する契機となっている。
【0028】
乱数生成手段110は、抽選用の乱数を発生させる手段である。なお、第1の実施形態において、「乱数」には、数学的な意味でランダムに発生する値のみならず、発生自体は規則的であっても、取得タイミング等が不規則であるために実質的に乱数として機能し得る値も含まれる。
【0029】
内部抽選手段120は、遊技者がスタートレバーSLに対して開始操作を実行し、スタートスイッチ230が開始操作を検出することで出力されるスタート信号に基づいて、役の当否を決定する内部抽選を行う手段であって、抽選テーブル選択処理、乱数判定処理、抽選フラグ設定処理等を行う。
【0030】
抽選テーブル選択処理では、記憶手段190の内部抽選テーブル記憶手段192に記憶されている複数の内部抽選テーブルのうち、いずれの内部抽選テーブルを用いて内部抽選を行うかを現在の遊技状態に基づき選択する。各内部抽選テーブルでは、複数の乱数(例えば、0~65535の65536個の乱数)のそれぞれに対して、リプレイ、小役及びボーナスなどの各種の役や不当選(ハズレ)が対応付けられている。
【0031】
なお、以下の記載において、ボーナスとは、入賞することで役物又は役物連続作動装置を作動させる役を意味し、ボーナスが作動とは、ボーナスが入賞し役物又は役物連続作動装置を作動することを意味し、ボーナス状態とは、役物又は役物連続作動装置が作動した状態を意味する。
【0032】
乱数判定処理では、スタートスイッチ230から出力されるスタート信号に基づいて、遊技ごとに乱数生成手段110が生成する乱数(抽選用乱数)を取得し、取得した乱数を抽選テーブル選択処理で選択した内部抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき役に当選したか否かを判定する。
【0033】
抽選フラグ設定処理では、乱数判定処理の結果に基づいて、当選したと判定された役に対応する抽選フラグを非成立状態(第1のフラグ状態、OFF状態)から成立状態(第2のフラグ状態、ON状態)に設定する。第1の実施形態のスロットマシン1では、2種類以上の役が重複して当選した場合には、重複して当選した2種類以上の役のそれぞれに対応する抽選フラグが成立状態に設定される。なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞するまで次回以降の遊技に成立状態を持ち越し可能な抽選フラグ(持越可能フラグ)と、入賞の如何に関わらず次回以降の遊技に成立状態を持ち越さずに非成立状態にリセットされる抽選フラグ(持越不可フラグ)が用意されている。また、抽選フラグの設定情報は、記憶手段190の抽選フラグ記憶手段193に記憶される。
【0034】
リール制御手段130は、遊技者がスタートレバーSLへ開始操作を実行することにより作動するスタートスイッチ230からスタート信号が出力されたことに基づいて、左リールR1~右リールR3の回転駆動を開始し左リールR1~右リールR3の回転態様を制御するリール回転制御を実行する。また、リール制御手段130は、左リールR1~右リールR3の回転状態が、所定速度(例えば、約80rpm)で定常回転する回転状態となった場合に、各リールに対応するストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されることでストップスイッチ240によって検出される停止操作を有効化する制御を実行する。そして、リール制御手段130は、停止操作を検出したストップスイッチ240からリール停止信号が出力された場合に、停止操作を検出したストップスイッチ240に対応する左リールR1~右リールR3の各リールを停止させる制御(リール停止制御)を行う。
【0035】
なお、以下の記載において、リール制御手段130によって左リールR1~右リールR3の回転が開始され、遊技者が有効なストップボタンB1~ストップボタンB3をそれぞれ操作することについて、最初の操作を第1停止操作、2番目の操作を第2停止操作、3番目の操作を第3停止操作とも記載する。
【0036】
第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された時点(ストップスイッチ240が停止操作を検出した時点)から所定の期間としての190msが経過するまでに、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを停止するようになっている。なお、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3を押下することを操作とも記載する。また、スロットマシン1は、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下された場合に限らず、例えば、ストップボタンB1~ストップボタンB3が押下され、押しこまれたストップボタンB1~ストップボタンB3が解放される操作が実行されたタイミングでストップスイッチ240から停止信号が出力されるように構成されていてもよい。
【0037】
ここで、ストップボタンの押下時点から190ms以内に回転中のリールを停止させる場合、回転している各リールの停止位置は、各リールの直径及び回転速度より、ストップボタンの押下時点からリールが停止するまでに最大で4コマ分回転可能に構成されている。このため、第1の実施形態のスロットマシン1では、左リールR1~右リールR3について、ストップボタンの押下時点で有効ラインL1上に表示されているコマから4コマ回転するまでの計5コマが、有効ラインL1上に図柄を引き込み可能な範囲(引き込み範囲)となっている。
【0038】
リール制御手段130は、リール停止制御の実行時において、抽選フラグが成立状態に設定された役を可能な限り入賞させることができるように回転中のリールを停止させる引き込み処理と、抽選フラグが非成立状態に設定された役を入賞させることができないように回転中のリールを停止させる蹴飛ばし処理と、を含むロジック演算により予め設定された優先順位に基づき回転中のリールの停止位置を求めるロジック演算処理と、記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に記憶されている停止制御テーブルを参照して回転中のリールの停止位置を決定するテーブル参照処理と、を行い、回転中のリールを停止させ有効ラインL1上に図柄を表示(以下、リール停止制御によって回転中のリールを停止させて有効ラインL1上に図柄を表示することを「停止表示」とも記載)している。
【0039】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1において、内部抽選で複数種類の小役が当選した場合における停止位置の候補の優先度の求め方は、有効ラインL1上に表示可能な図柄組合せの数に応じて優先度を求める方法(個数優先制御)と、小役に予め定められている配当に基づくメダルの払出数に応じて優先度を求める方法(枚数優先制御)とが存在する。ただし、枚数優先制御を実行する場合に、配当が同一の小役が重複して当選した場合には、それぞれの小役を入賞させることができる停止位置の候補の優先度がそれぞれ同一のものとして扱われる。
【0040】
入賞判定手段140は、左リールR1~右リールR3の停止態様に基づいて、役が入賞したか否かを判定する入賞判定処理を行う。具体的には、記憶手段190の入賞判定テーブル記憶手段195に記憶されている入賞判定テーブルを参照しながら、左リールR1~右リールR3のすべてが停止した時点で有効ラインL1上に表示されている図柄組合せが、それぞれ予め定められた役の入賞の形態であるか否かを判定する。そして、各リールが停止した状態における有効ラインL1上に表示された図柄組合せによって、ボーナス、リプレイ、小役の入賞の有無を判定(以下、「入賞判定」と記載)できるように入賞判定テーブルが用意されている。なお、以下の記載において、役の入賞形態を示す図柄組合せを「入賞図柄組合せ」とも記載する。
【0041】
第1の実施形態のスロットマシン1では、入賞判定処理における入賞判定手段140の判定結果に基づいて各処理が実行される。入賞役の判定結果に基づき実行される各処理としては、例えば、小役が入賞した場合には払出制御手段150にメダルを払い出させる枚数を決定する処理が行われ、リプレイが入賞した場合にはリプレイ処理手段160に次回の遊技においてメダルを消費せずに実行させる処理を行わせ、ボーナス等の遊技状態を移行させる契機となる役が入賞した場合には遊技状態移行制御手段170に遊技状態を移行させる処理が行われる。
【0042】
払出制御手段150は、遊技結果に応じたメダルの払い出しに関する払出処理を行う。具体的には、小役が入賞した場合に、役ごとに予め定められている配当に基づいて遊技におけるメダルの払出数を決定し、決定された払出数に相当するメダルを、払出装置としてのホッパーユニット320に払い出させる制御を行う。
【0043】
ホッパーユニット320は、払出制御手段150によって指示された払出数のメダルを払い出す動作を行う。ホッパーユニット320には、メダルを1枚払い出すごとに作動する払出メダル検出スイッチ325が備えられている。払出制御手段150は、払出メダル検出スイッチ325からの入力信号に基づいて、ホッパーユニット320から実際に払い出されたメダルの数を管理することができるように構成されている。なお、メダルのクレジットが許可されている場合には、ホッパーユニット320によって実際にメダルの払い出しを行う代わりに、記憶手段190のクレジット記憶領域(図示省略)に記憶されているクレジット数(クレジットされたメダルの数)に対して払出数を加算するクレジット加算処理を行って仮想的にメダルを払い出す処理を行う。
【0044】
リプレイ処理手段160は、入賞判定手段140により有効ラインL1上に後述する複数種類のリプレイ役のうちいずれかのリプレイの入賞を示す図柄組合せが停止表示されたと判定され、リプレイが入賞した場合に、次回の遊技に関してメダルの投入を要さずに遊技を実行可能にする準備状態に設定するリプレイ処理(再遊技処理)を行う。すなわち、第1の実施形態のスロットマシン1では、リプレイが入賞した場合、規定投入数分のメダルを遊技者の手持ちのメダル(クレジットメダルを含む)を使わずに自動的に投入する自動投入処理が行われ、前回の遊技と同じ有効ラインL1を設定した状態で、次回のスタートレバーSLに対する開始操作を待機する。
【0045】
遊技状態移行制御手段170は、複数の遊技状態の間で遊技状態を移行させる処理と、ボーナスの作動及び終了に係る処理と、を行う。ここで、各遊技状態の移行条件は、1つの条件が定められていてもよいし、複数の条件が定められていてもよい。複数の条件が定められている場合には、複数の予め定められた条件のうちいずれか1つの条件が成立したこと、あるいは複数の予め定められた条件のすべてが成立したことに基づいて、遊技状態を別の遊技状態へ移行させることができる。
【0046】
演出制御手段180は、記憶手段190の演出制御データ記憶手段196に記憶されている演出データに基づいて、例えば、表示装置330を用いて行う画像、映像演出や、音響装置340を用いて行う音響演出等、遊技に関する演出に係る制御を行う。具体的には、メダルの投入、マックスベットボタンMB、スタートレバーSL、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対する操作等への遊技者によるスロットマシン1の各構成の操作時や、遊技状態の変動等の遊技イベントの発生時に、ランプ及びLEDの点灯あるいは点滅、音響装置340からの音の出力を用いた演出等を実行することにより、遊技を盛り上げる演出や、遊技を補助するための演出の実行制御を行う。また、演出制御手段180は、各演出状態に基づく演出を演出装置300を構成する各構成に実行させる。
【0047】
AT制御手段200は、特定役の入賞を補助する報知を主制御表示装置500に表示する補助遊技を含む指示機能に係る制御が実行可能となる区間(期間)である有利区間(有利期間)と、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御(指示機能に係る制御)が実行不能な区間(期間)である通常区間(非有利期間、非有利区間)と、の間での移行に係る制御を、AT制御データ記憶手段197に記憶されているデータを用いて実行し、通常区間、有利区間及び補助遊技に係る制御を行う補助遊技制御手段を構成する。
【0048】
AT制御データ記憶手段197には、有利区間内において実行される通常状態、AT状態を含む複数種類の演出状態に関する各種制御において用いられるデータ(所定の制御処理でON状態又はOFF状態にセットする各種フラグ、カウンタ等)が記憶されている。
【0049】
AT制御手段200は、有利区間において所定条件下で演出状態をAT状態(アシストタイム状態)に設定し、7セグメント表示器からなる主制御表示装置500に当選している特定役を入賞可能にするストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様に対応する情報(操作指示情報の一例)を表示することで、特定役の入賞を補助する操作報知を行う。また、スロットマシン1では、AT制御手段200による操作報知が実行される場合に、後述する演出制御手段180によって表示装置330に正解打順に対応する画像(指標)を表示する操作演出としてのナビ演出を実行する。このように、スロットマシン1では、AT状態において、操作報知とナビ演出との入賞補助によってストップボタンB1~ストップボタンB3の操作態様が報知されることで、遊技者にとって有利な補助遊技(AT遊技、報知遊技)が実行される。
【0050】
AT制御手段200は、より詳しくは後述する有利区間を終了する所定の終了条件が成立した際に、有利区間を終了し次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、有利区間内において設定した各種フラグ、数値等、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始し且つ入賞補助が実行されることで、メダルの獲得期待値が1以上となる場合に区間報知部500Aを点灯させる。このため、AT制御手段200は、有利区間を開始している場合であっても、入賞補助が実行されない演出状態である場合には、区間報知部500Aを消灯可能に構成されている。
【0051】
AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技において、1回の遊技が実行されるごとに、1ゲームに相当する値である値「1」を第1有利区間カウンタ197aに記憶される値(記憶値)に加算し、第1有利区間カウンタ197aの記憶値を累積的にインクリメント更新するゲーム数更新処理を実行する。また、AT制御手段200は、有利区間を開始した遊技からメダルの払出数をメダルの投入数で減算した差分の値(差枚数)を第2有利区間カウンタ197bに累積的に記録する差枚数更新処理を実行する。
【0052】
第1の実施形態のAT制御手段200は、有利区間に制御している場合、いずれの遊技状態である場合にも、1回の遊技が実行されるごとに1ゲームに相当する値である値「1」ずつ第1有利区間カウンタ197aの記憶値に累積的に加算(更新)するゲーム数更新処理と、メダルの差枚数に相当する値を第2有利区間カウンタ197bの記憶値に累積的に更新する差枚数更新処理と、を実行する。
【0053】
ここで、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を更新する差枚数更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ197bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を値「0」にセットする。これにより、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最下点となる際の値について、値「0」に固定することができるため、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理において、最下点における具体的な数値に応じて判定の閾値となる値を変動させる必要がなくなり、第2有利区間カウンタ197bの記憶値を用いた制御処理の負荷を軽減させることができる。
【0054】
AT制御手段200は、3000ゲームの遊技が実行された場合、つまり第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「3000」になった場合又は有利区間において最もメダルを消費した時点から2400枚を超えるメダルを遊技者が獲得した場合、つまり第2有利区間カウンタ197bの記憶値が最も低い値(最下点)であった時点から値「2401」になった場合に、有利区間を終了させる所定の終了条件として特定終了条件が成立したと判定し、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理を実行する。
【0055】
AT制御手段200は、所定の初期化処理において、有利区間においてON状態にセットした各フラグや有利区間において設定した値等の有利区間における各種制御処理で用いた情報をすべて初期化する。なお、AT制御手段200は、特定終了条件以外の予め設定されている所定の終了条件(通常終了条件)が成立した場合にも有利区間を終了可能であり、通常終了条件が成立した場合にも所定の初期化処理及び所定の終了処理を実行する。第1の実施形態のAT制御手段200が設定する通常終了条件の詳細については、後述する。
【0056】
擬似遊技制御手段400は、スタートレバーSLへの操作に基づき通常の遊技の進行を一時的に遅延させるフリーズを発生させ、スタートレバーSLへの操作によって左リールR1~右リールR3を回転させ、ストップボタンB1~ストップボタンB3への操作によって左リールR1~右リールR3を仮停止させることで、遊技者に遊技を擬似的に体験させる擬似遊技を実行可能(発生可能)に構成されている。
【0057】
ここで、仮停止とは、擬似遊技におけるストップボタンB1~ストップボタンB3への操作に基づき左リールR1~右リールR3の回転を中止する制御であり、擬似遊技中においては、仮停止しているリールについて、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間(第1の実施形態では500ms)が経過するまでにわずかに動くことで、実際の遊技(本遊技)におけるリールの停止とは異なることが明らかになる構成となっている。これにより、スロットマシン1では、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されて左リールR1~右リールR3を仮停止した際に、本遊技が終了したと遊技者に誤認され、本遊技が終了していないにも関わらず遊技者がスロットマシン1から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0058】
2.第1の実施形態における遊技機が備える構成
次に、図3図9を参照して、第1の実施形態におけるスロットマシン1が備える各構成の詳細について説明する。
【0059】
<内部抽選の対象となる当選エリア>
図3は、第1の実施形態のスロットマシン1における内部抽選の対象となる当選エリアと、各当選エリアに対応付けられている当選番号及び当選役と、を示す図である。
【0060】
なお、第1の実施形態のスロットマシン1では、ボーナスとして、第1種特別役物に係る役物連続作動装置としてのレギュラービッグボーナス(以下、レギュラービッグボーナスを「RBB」とも記載)を有している。また、スロットマシン1では、遊技状態移行制御手段170によって制御される遊技状態として、RBBが成立状態に設定されておらず、かつRBBが作動していない一般中としての非RT状態と、RBBが成立状態に設定された場合に移行され、RBBが作動するまで内部でRBBの成立状態が維持されているボーナス内部中(内部中)としてのボーナス成立状態と、RBBが作動した場合に移行され、RBBが作動しているボーナス作動中(作動中)としてのボーナス状態と、を有している。
【0061】
図3に示すように、第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選の対象となる当選エリアとして、当選エリア「全小役」、当選エリア「全1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「通常リプレイ2」、当選エリア「レアリプレイ」、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」及び当選エリア「RBB」を有しており、当選番号1番~当選番号20番の番号がそれぞれ対応付けらえている。また、スロットマシン1では、内部抽選の結果として不当選(ハズレ)に当選番号0番が対応付けられている。
【0062】
ここで、「打順」とは、ストップボタンB1~ストップボタンB3に対して操作を実行する順番を意味する。また、以下の記載において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されるタイミングを「操作タイミング」とも記載する。
【0063】
第1の実施形態のスロットマシン1において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の3つのストップボタンを操作する順序である打順は、打順1~打順6の6種類の打順から構成されている。打順1は、ストップボタンB1→ストップボタンB2→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される、いわゆる順押しと称される打順である。また、打順2は、ストップボタンB1→ストップボタンB3→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される、いわゆるハサミ打ちと称される打順である。また、打順3は、ストップボタンB2→ストップボタンB1→ストップボタンB3の順に停止操作が実行される打順である。また、打順4は、ストップボタンB2→ストップボタンB3→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される打順である。また、打順5は、ストップボタンB3→ストップボタンB1→ストップボタンB2の順に停止操作が実行される打順である。また、打順6は、ストップボタンB3→ストップボタンB2→ストップボタンB1の順に停止操作が実行される、いわゆる逆押しと称される打順である。
【0064】
内部抽選手段120は、乱数判定処理において、当選番号20番に対応付けられた当選エリアから当選番号0番に対応付けられた不当選に向かう順番で、各当選エリアの当否を決定していく。
【0065】
第1の実施形態のスロットマシン1では、内部抽選で当選した場合に入賞可能な小役として、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役を有しており、内部抽選で当選可能なリプレイとして、リプレイA、リプレイB、レアリプレイを有している。各小役及び各リプレイは、それぞれ図3に示す組合せで各当選エリアに対応付けられている。
【0066】
また、図3に示すように、スロットマシン1では、ボーナスと小役とを含む当選エリアとして、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」が設定され、ボーナスのみを含み当選エリアとして、当選エリア「RBB」が設定されている。
【0067】
スロットマシン1では、当選エリア「レアリプレイ」について、他のリプレイの当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。また、スロットマシン1では、当選エリア「RBB&レア役」について、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&1枚役」の小役を含む各当選エリアよりも低い当選確率に設定されている。
【0068】
ここで、第1の実施形態のスロットマシン1では、持越可能フラグが対応付けられる役としては、RBBがあり、小役及びリプレイは、持越不可フラグに対応付けられている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、内部抽選でRBBを含む当選エリアに当選すると、当選したRBBの抽選フラグの成立状態を、RBBが入賞するまで持ち越す処理を行う。このとき、内部抽選手段120は、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技でも、小役及びリプレイについての当否を決定する内部抽選を行っている。すなわち、抽選フラグ設定処理では、RBBの抽選フラグの成立状態が持ち越されている遊技において、小役やリプレイが当選した場合には、既に当選しているRBBの抽選フラグと内部抽選で当選した小役やリプレイの抽選フラグとからなる2種類以上の役に対応する抽選フラグを成立状態に設定する。
【0069】
<内部抽選テーブル>
第1の実施形態のスロットマシン1は、内部抽選手段120による内部抽選で用いられる抽選テーブルである内部抽選テーブルとして、非RT状態(一般中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルAと記載)と、ボーナス成立状態(内部中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルBと記載)と、ボーナス状態(作動中)で用いられる内部抽選テーブル(以下、内部抽選テーブルCと記載)と、を内部抽選テーブル記憶手段192に記憶させている。内部抽選テーブルA~内部抽選テーブルCの各内部抽選テーブルにおいては、抽選の対象となる各当選エリアに抽選値数が対応付けられている。
【0070】
<乱数判定処理>
第1の実施形態の内部抽選手段120は、乱数判定処理において、乱数生成手段110から取得した乱数を、内部抽選テーブル記憶手段192から取得した内部抽選テーブルにおいて各当選エリアに対応付けられている抽選値数で順次減算していき、減算した結果が負の値となった場合に、当該減算した抽選値数に対応する当選エリアに当選したと判定する。また、内部抽選手段120は、内部抽選テーブルに記憶されているすべての抽選値数で減算し終えた時点で減算した結果が正の値である場合、いずれの役にも当選しなかった不当選であると判定する。
【0071】
なお、第1の実施形態の乱数生成手段110は、内部抽選で用いる乱数として、0~65535の計65536個の乱数を生成可能に構成されている。また、内部抽選テーブルAにおいては、当選エリア「RBB」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっており、内部抽選テーブルBにおいては、当選エリア「RBB&レア役」~当選エリア「通常リプレイ1」に対応付けられている抽選値数の総数が65536となっているため、非RT状態又はボーナス成立状態における内部抽選においては、いずれかの役に当選し、不当選とならないように構成されている。
【0072】
<ボーナス当選判定処理>
上述した通り、第1の実施形態の内部抽選手段120は、ボーナス成立状態において、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」に抽選値数が設定されている。このため、内部抽選手段120は、遊技状態がボーナス成立状態である場合における内部抽選において、既にRBBが成立状態に設定されている状態で再度RBBが当選してしまう可能性があることから、新たに当選したRBBを成立状態に設定しないために、乱数判定処理で当否を決定される当選エリアがボーナスを含む当選エリアであるか否かを判定するボーナス当選判定処理を実行するように構成されている。
【0073】
内部抽選手段120は、ボーナス当選判定処理において、乱数判定処理でボーナスを含む当選エリアが当否を決定される対象となると判定した場合、ボーナスを含む当選エリアが当選し、かつ遊技状態がボーナス成立状態である場合に、ボーナスを成立状態に設定する処理をスキップする処理を実行する。このようにして、スロットマシン1は、既にRBBが成立状態に設定されている状態で、新たなRBBが成立状態に設定されてしまうことを防いでいる。
【0074】
<打順ベルの詳細>
第1の実施形態において、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、当選した場合にベルA~ベルFを入賞可能にする打順(正解打順)がそれぞれ設定されている。
【0075】
当選エリア「打順ベル1」、当選エリア「打順ベル7」は、ベルAを入賞可能にする正解打順が打順1に設定されており、当選エリア「打順ベル2」、当選エリア「打順ベル8」は、ベルBを入賞可能にする正解打順が打順2に設定されており、当選エリア「打順ベル3」、当選エリア「打順ベル9」は、ベルCを入賞可能にする正解打順が打順3に設定されており、当選エリア「打順ベル4」、当選エリア「打順ベル10」は、ベルDを入賞可能にする正解打順が打順4に設定されており、当選エリア「打順ベル5」、当選エリア「打順ベル11」は、ベルEを入賞可能にする正解打順が打順5に設定されており、当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル12」は、ベルFを入賞可能にする正解打順が打順6に設定されている。当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」は、各当選エリアに設定された正解打順とは異なる打順でストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された場合に、1/2の確率で1枚役A又は1枚役Bが入賞し、1/2の確率でいずれの役の入賞図柄組合せとも異なる図柄組合せが有効ラインL1上に停止表示される取りこぼし(非入賞)となるように構成されている。
【0076】
<リール制御手段>
第1の実施形態のスロットマシン1では、いずれの遊技状態である場合にも、リール停止制御において有効ラインL1上に停止させる役の優先順序が「リプレイ>小役>ボーナス」の順序で優先順位が定められている。つまり、リール制御手段130は、ボーナスと小役又はボーナスとリプレイが重複して当選している場合、ボーナスに優先して小役又はリプレイを入賞させる停止制御を実行する。
【0077】
また、第1の実施形態のリール制御手段130は、回転しているリールを停止させるために供給する全相励磁の駆動パルスについて、回転しているリールを確実に停止させるために、200ms経過するまで供給を継続する。
【0078】
リール制御手段130は、リールユニット310に設けられたフォトセンサが各リールに設けられたリール位置検出部を検出した場合に出力されるリールが1回転したことを示す情報であるリールインデックスと、リールインデックスが検出されるリールの基準位置からの回転角度(ステッピングモータに供給した駆動パルスの供給回数から算出)を用いて、ストップスイッチ240からリール停止信号を受信した時点におけるリールの回転状態を取得する。本遊技におけるリール停止制御と擬似遊技において仮停止する場合に実行するリール仮停止制御との詳細については、後述する。
【0079】
<小役の配当>
ベルA~ベルFの配当は、規定投入数(3枚)よりも多い枚数の払出数(15枚)に設定されている。また、1枚役A~1枚役C、レア役の配当は、規定投入数よりも少ない枚数の払出数(1枚)に設定されている。
【0080】
<遊技状態移行制御手段>
図4(A)は、第1の実施形態の遊技状態移行制御手段170が実行する遊技状態の移行に係る制御において、各遊技状態から移行可能な遊技状態を示す状態遷移図である。
【0081】
図4(A)に示すように、非RT状態は、複数種類の遊技状態の中で初期状態に相当する遊技状態(初期遊技状態、通常遊技状態)であり、ボーナスが作動及び成立していない非ボーナス状態となっている。非RT状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8978/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルAを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0082】
ボーナス成立状態は、非RT状態における内部抽選で当選エリア「RBB」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「RBB&レア役」のいずれかに当選し、RBBが成立状態に設定された場合に移行する遊技状態である。ボーナス成立状態において、遊技状態移行制御手段170は、リプレイの当選確率が8982/65536(約1/7.3)に設定されている内部抽選テーブルBを用いた内部抽選を内部抽選手段120に実行させる。
【0083】
ボーナス状態は、RBBが入賞しRBBが作動することで移行される遊技状態である。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、払い出されたメダルの合計数によって作動しているRBBの終了条件が成立したかを判定し、予め定められた所定の払出数(例えば、100枚)を超えるメダルが払い出された場合に、RBBの作動を終了させることでボーナス状態を終了させて、遊技状態を非ボーナス状態である非RT状態へ移行させる。ボーナス状態において、遊技状態移行制御手段170は、内部抽選手段120に内部抽選テーブルCを用いた内部抽選を実行させる。
【0084】
図3に示すように、内部抽選テーブルCでは、ベルA~ベルF、1枚役A~1枚役C、レア役のすべての小役に当選する当選エリア「全小役」と、1枚役A~1枚役C、レア役の配当が1枚に設定されたすべての小役に当選する当選エリア「全1枚役」と、に乱数が対応付けられている。
【0085】
図3を用いてボーナス状態について詳細に説明する。第1の実施形態のスロットマシン1において、内部抽選テーブルCが選択されるボーナス状態において当選エリア「全小役」又は当選エリア「全1枚役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて小役を含む当選エリアのいずれかに当選する確率よりも高い、つまりボーナス状態において小役に当選する確率が、ボーナス状態以外の遊技状態においていずれかの小役に当選する確率よりも高い確率に設定されている。また、内部抽選テーブルCにおいて、当選エリア「全小役」に当選する確率は、内部抽選テーブルA、内部抽選テーブルBにおいて当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」のいずれか1つと、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」のいずれか1つと、に当選する確率の合算と同じ確率に設定されている。
【0086】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態において、ボーナスの非作動時である非RT状態、ボーナス成立状態である場合よりもすべての小役の当選確率が上昇するとともに、いずれかの小役に当選する確率も同一又は上昇するように構成されている。
【0087】
また、スロットマシン1は、ボーナス状態において、当選エリア「全小役」に当選する確率が、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」のいずれかに当選する確率(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の各当選確率を合算した当選確率)よりも低くなるように構成されている。
【0088】
このように、第1の実施形態のスロットマシン1は、遊技を開始する際に必要となる遊技価値の投入数よりも多い配当に設定された複数種類の特定役(ベルA~ベルF)が互いに重複せずに他の小役と重複当選する複数種類の第1特定当選態様(当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル6」、当選エリア「打順ベル7」~当選エリア「打順ベル12」)と、複数種類の特定小役が重複して当選する第2特定当選態様(当選エリア「全小役」)と、を有し、内部抽選手段120が、通常遊技状態(非RT状態)、ボーナス成立状態において、複数種類の第1特定当選態様が存在するように内部抽選を行うとともに、ボーナス状態において、第2特定当選態様が存在するように内部抽選を行うように構成されている。また、スロットマシン1において、ボーナス状態における内部抽選で第2当選態様に当選する確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選で複数種類の第1当選態様のいずれかに当選する確率よりも低く、ボーナス状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率は、通常遊技状態、ボーナス成立状態における内部抽選でのすべての小役それぞれの当選確率以上となるように構成されている。
【0089】
このため、第1の実施形態のスロットマシン1は、ボーナス状態について、メダルの獲得率の期待値が100%未満となっている。
【0090】
ここで、ボーナス成立状態においては、より詳しくは後述するが、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、打順1~打順6から構成された正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作しないとベルA~ベルFを入賞させることができない構成であることから、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率は、6種類の打順から正解打順でストップボタンB1~ストップボタンB3を操作できた場合に限定される。一方、後述するAT制御手段200によって入賞補助が実行されるAT遊技が実行された場合には、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時に、正解打順がAT制御手段200による入賞補助及び演出制御手段180による入賞補助演出によって報知されるため、ベルA~ベルFのいずれかが入賞する確率について、入賞補助が実行されない場合に対して最大で6倍まで高めることができる。
【0091】
このように、第1の実施形態においては、正解打順で停止操作し、かつ第1停止操作の操作タイミングが適切な場合に入賞する規定投入枚数よりも多くのメダルを払い出す入賞役(特定役)として、ベルA~ベルFの6種類を設定している。そして、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/6に圧縮している。このように構成することで、ボーナス状態以外の遊技状態においてN種類の特定役を互いに重複せずに当選させる態様を設けて内部抽選を行い、ボーナス状態においてN種類の特定役を重複して当選させる態様を設けて内部抽選を行うことによって、ボーナス状態において特定役を含む当選態様が得られる確率を、ボーナス状態以外の遊技状態において特定役を含む当選態様が得られる確率の約1/Nに圧縮することができる。これにより、ボーナス状態でのメダルの獲得率の期待値の下限を100%未満にまで引き下げた上でAT遊技に関するメダルの獲得性能を設計することができるため、AT機能を備えたスロットマシン1の設計自由度を飛躍的に向上させることができる。
【0092】
<AT制御手段>
図4(B)は、第1の実施形態のAT制御手段200よって制御される通常区間及び有利区間と、有利区間中に制御される演出状態と、についての詳細を示す状態遷移図である。
【0093】
上述した通り、通常区間は、内部抽選手段120による内部抽選の結果に基づく補助遊技に関する制御が実行されない期間である。AT制御手段200は、通常区間内における遊技において、内部抽選手段120による内部抽選で当選した当選エリアに基づき、通常区間を終了し有利区間を開始するか否かを決定する抽選である有利区間抽選を実行する。
【0094】
有利区間抽選において、AT制御手段200は、まず、AT制御データ記憶手段197から、複数の乱数のそれぞれに対して「有利区間の開始」、「ハズレ(不当選)」が対応付けられているデータテーブルである有利区間移行抽選テーブルを取得する。そして、AT制御手段200は、乱数生成手段110から乱数を取得し、取得した乱数を有利区間移行抽選テーブルと比較して、比較結果に基づき、有利区間を開始するか否かを決定する。
【0095】
AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアの当選確率と、有利区間抽選における「有利区間の開始」の当選確率と、を乗算した確率について、1/17500以上となるように有利区間抽選を実行する。
【0096】
第1の実施形態のAT制御手段200は、非RT状態及びボーナス成立状態における内部抽選で当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」、当選エリア「RBB&レア役」、当選エリア「RBB&1枚役」、当選エリア「通常リプレイ1」、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合に、有利区間抽選を実行し、他の当選エリアに当選した場合には、有利区間抽選を実行しないように構成されている。また、AT制御手段200は、約1/1.5と高い確率で「有利区間の開始」に当選する有利区間抽選を実行する。
【0097】
有利区間において、AT制御手段200は、指示機能に係る状態(演出状態)として、通常状態と、CZ状態と、AT状態と、を有し、通常状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行しないように構成され、CZ状態及びAT状態においては、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助を実行可能に構成されている。また、第1の実施形態のスロットマシン1は、全体の遊技における有利区間の滞在比率が、7割以上となりうる構成となっている。
【0098】
通常状態は、他の演出状態に移行していない場合に設定される、複数種類の演出状態の中で通常の状態に相当する演出状態(通常演出状態)である。AT制御手段200は、演出状態が通常状態に移行した場合、通常状態における遊技回数をカウントする非ATゲーム数カウンタ(不図示)に、遊技が実行される都度、非ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」を加算するインリメント更新を実行する。AT制御手段200は、非ATゲーム数カウンタの記憶値が値「700」となった場合に、CZ状態への移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0099】
また、AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、において、CZ状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ抽選を実行する。
【0100】
AT制御手段200は、CZ抽選において、「CZ状態への移行」、「不当選」のいずれかに決定する抽選を行い、CZ抽選において「CZ状態への移行」に当選した場合には、CZ移行条件が成立したと判定し、演出状態を通常状態からCZ状態に移行する。
【0101】
CZ状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助が実行されることで、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0102】
AT制御手段200は、CZ状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のCZ補助遊技回数カウンタ(不図示)に、入賞補助を実行する所定の回数に対応する値(例えば、8回)をセットする。AT制御手段200は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」に当選し、入賞補助を実行する都度、CZ補助遊技回数カウンタの記憶値を1回に相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0103】
AT制御手段200は、CZ状態が開始された遊技において、AT状態への移行を決定するか否かを抽選するCZ中AT抽選を実行するように構成されている。CZ中AT抽選において「AT状態への移行」に当選した場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から8回の入賞補助が実行された後に、演出状態をCZ状態からAT状態に移行する。一方、CZ中AT抽選で「AT状態への移行」に当選しなかった場合、AT制御手段200は、CZ状態の開始から8回の入賞補助が実行された後に、CZ状態を終了する。AT制御手段200は、AT移行条件が成立していない状態でCZ状態を終了した場合、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0104】
CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選の結果によらず「AT状態への移行」に当選可能な抽選を実行する。また、CZ中AT抽選において、AT制御手段200は、内部抽選で当選した当選エリアを参照して抽選テーブルを取得することで、内部抽選で当選した当選エリアによって「AT状態への移行」に当選する確率が変化するように構成されている。AT制御手段200は、内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に他の当選エリアに当選した場合よりも高い確率で「AT状態への移行」に当選可能な抽選テーブルを取得する。
【0105】
AT状態は、当選エリア「打順ベル1」~当選エリア「打順ベル12」の当選時におけるベルA~ベルFの入賞補助が実行されることで、通常状態よりも遊技者にとって有利な演出状態である。
【0106】
AT制御手段200は、AT状態の開始時にAT制御データ記憶手段197のATゲーム数カウンタ(不図示)に所定の遊技回数に対応する初期値(50ゲーム)をセットし、遊技が実行される都度、ATゲーム数カウンタの記憶値を1ゲームに相当する値「1」で減算するデクリメント更新を実行する。
【0107】
また、AT制御手段200は、内部抽選手段120による内部抽選で当選エリア「RBB&レア役」に当選した場合と、当選エリア「レアリプレイ」に当選した場合と、に、ATゲーム数カウンタの記憶値に抽選により決定された値を加算するか否かを決定することで、AT状態が継続する期間を加算(上乗せ)するか否かを決定する上乗せ抽選を実行し、上乗せ抽選によって決定した値が1以上の値である場合に、決定した値をATゲーム数カウンタに加算する上乗せ処理を実行するように構成されている。
【0108】
AT制御手段200は、AT状態における毎回の遊技の実行の都度実行するデクリメント更新によってATゲーム数カウンタの記憶値が値「0」になった場合に、AT状態の終了条件(AT終了条件)が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに、有利区間の終了条件のうち通常終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0109】
また、AT制御手段200は、AT状態において第1有利区間カウンタ197aの記憶値が値「1500」に達した場合と、AT状態において第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2400」を超えた場合と、にも、AT終了条件が成立したと判定し、AT状態を終了するとともに、有利区間の終了条件のうち特定終了条件が成立したと判定し、有利区間に関する情報を初期化する処理である所定の初期化処理と、有利区間を終了させて次ゲームから通常区間を開始する所定の終了処理と、を実行する。
【0110】
<擬似遊技制御手段>
第1の実施形態の擬似遊技制御手段400は、AT制御手段200によってAT状態が開始される遊技において、擬似遊技を実行するように構成されている。擬似遊技において、擬似遊技制御手段400は、スタートレバーSLへの操作によって左リールR1~右リールR3を回転させ、ストップボタンB1~ストップボタンB3への操作によって、左リールR1~右リールR3を仮停止させるリールの制御をリール制御手段130に実行させる。擬似遊技制御手段400は、左リールR1~右リールR3が仮停止する場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングによらず、左リールR1~右リールR3の中段に白7図柄「白7」を仮停止表示させる制御をリール制御手段130に実行させるように構成されている。
【0111】
この、左リールR1~右リールR3の中段が、それぞれ第1の実施形態における仮停止位置を構成し、左リールR1~右リールR3に配列された白7図柄「白7」(図5参照)が、それぞれ第1の実施形態における仮停止図柄を構成する。
【0112】
スロットマシン1では、擬似遊技が実行される場合において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が操作された時点から所定の期間としての190msを超えた場合にも、白7図柄「白7」がリールの中段に達するまで回転を継続し、白7図柄「白7」がリールの中段に達した場合に、該リールを仮停止するように構成されており、ストップボタンの押下時点からリールが仮停止するまでに、本遊技における回転可能なコマ数(4コマ)を超えて回転可能に構成されている。擬似遊技におけるリールの仮停止制御の詳細については、後述する。
【0113】
また、第1の実施形態のリール制御手段130は、擬似遊技において仮停止しているリールについて、回転が停止した時点から本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間(第1の実施形態では500ms)が経過するまでに、該リールを正回転方向又は逆回転方向に1ステップ分(約1.43°)回転させる駆動パルスを、該リールを回転駆動するステッピングモータに出力する。リール制御手段130は、正回転方向にリールを1ステップ分回転させる駆動パルスと、逆回転方向にリールを1ステップ分回転させる駆動パルスと、を500ms以内の間隔で交互に出力することで、仮停止しているリールを微小振動させる。擬似遊技におけるリールの微小振動の詳細については、後述する。
【0114】
擬似遊技が終了した場合、スロットマシン1では、擬似遊技によって左リールR1~右リールR3の中段に所定の図柄組合せ(第1の実施形態では「白7-白7-白7」)が表示されていることから、左リールR1~右リールR3の回転開始が同期することで役の入賞が補助され遊技の公正が害されてしまうことを防ぐために、各リールの回転を開始させるタイミングについて、ランダムに遅延させるランダム遅延制御をリール制御手段130が実行する。第1の実施形態において、ランダム遅延制御は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3が停止した状態で、遊技者によってスタートレバーSLが操作されることで実行が決定される。ランダム遅延制御によって左リールR1~右リールR3の回転開始のタイミングが同期しないことで、スロットマシン1は、擬似遊技が実行された場合であっても、遊技の公正が担保される。
【0115】
また、第1の実施形態において、擬似遊技制御手段400は、擬似遊技を含むフリーズを発生した場合に、フリーズの発生によって遊技の進行がしていることを示す遊技中断信号を、中継基板(不図示)を介してスロットマシン1の外部に設けられた外部試験装置に向けて送信する。
【0116】
上述したように、擬似遊技は、遊技者の操作によって継続する期間を調整可能な回胴演出となっている。このため、第1の実施形態の擬似遊技制御手段400は、擬似遊技が開始されることで遊技中断信号を外部試験装置に出力した場合、外部試験装置を用いた試験に必要な時間を短縮するために、擬似遊技を短期に終了させるための識別情報(コマンド)である演出短縮要求コマンドを、遊技制御手段10と外部試験装置とを接続する中継基板に出力する。擬似遊技制御手段400は、所定の時間として左リールR1~右リールR3が1図柄分回転するまでに必要な時間(第1の実施形態においては37.5ms)よりも長い時間として、約50msが経過するごとに、演出短縮要求コマンドを中継基板に向けて送信する。
【0117】
中継基板は、演出短縮要求コマンドに対応するストップボタンが操作されたことを示すストップ信号を外部試験装置から出力させるためのストップボタン操作信号を外部試験装置に向けて出力する。
【0118】
このような構成により、スロットマシン1は、遊技者の操作によって継続する期間が変化する回胴演出である擬似遊技を有する構成において、外部試験装置を用いる試験で擬似遊技の実行が決定された場合に、左リールR1~右リールR3が所定の期間が経過するごとに1つずつ仮停止していく信号を出力することで、擬似遊技の特徴を維持したまま、短時間で擬似遊技を終了させることができ、適切でかつ迅速な試験の実行を実現することができる。
【0119】
また、上述した制御を実行することにより、スロットマシン1では、擬似遊技制御手段400が演出短縮要求コマンドを中継基板に向けて出力することで、演出短縮要求コマンドに対応した操作手段が操作された際に出力される信号の出力を中継基板を介して外部試験装置に要求することができるとともに、要求した信号が外部試験装置から中継基板を入力されることで、中継基板から演出短縮要求コマンドに対応した操作手段が操作された際に出力される信号が出力されるため、中継基板から出力された信号を、操作手段への操作と代替可能となっている。
【0120】
3.擬似遊技におけるリール停止制御の詳細
次に、第1の実施形態のスロットマシン1において擬似遊技を実行する場合に、リール制御手段130が実行するリールの仮停止に係る制御と、仮停止しているリールを微小振動させる制御と、の詳細について説明する。
【0121】
<図柄の配列>
図5は、第1の実施形態のスロットマシン1における左リールR1~右リールR3の周面に配列された各図柄を示す図である。図5に示すように、左リールR1~右リールR3の外周面に、白7図柄「白7」、BAR図柄「BAR」、リプレイ図柄「RP」、ベルA図柄「BLA」、ベルB図柄「BLB」、チェリー図柄「CH」、スイカ図柄「WM」、ブランクA図柄「BKA」、ブランクB図柄「BKB」及びブランクC図柄「BKC」が配列されている。また、左リールR1~右リールR3の周面には、それぞれ20コマの図柄が配列されている。図5に示すように、20コマの各コマには、それぞれ停止番号0番~停止番号19番の停止番号が対応付けられている。
【0122】
第1の実施形態において、BAR図柄「BAR」と、白7図柄「白7」と、は、正面視において他の図柄よりも広い幅を有しており、左リールR1~右リールR3の回転中において他の図柄よりも視認性が高い図柄として構成されている。
【0123】
<遊技制御手段が実行する制御の流れ>
第1の実施形態の遊技制御手段10では、内部抽選手段120による内部抽選が実行された後に、AT制御手段200による補助遊技に係る制御が実行される。AT制御手段200は、補助遊技に係る制御において、擬似遊技の実行の有無に係る制御も実行するように構成されている。
【0124】
遊技制御手段10では、AT制御手段200による補助遊技に係る制御の終了後に、擬似遊技制御手段400による擬似遊技処理が実行される。擬似遊技制御手段400は、擬似遊技を開始し左リールR1~右リールR3が仮停止し擬似遊技が終了するまでの処理を擬似遊技処理において実行する。
【0125】
遊技制御手段10では、擬似遊技制御手段400による擬似遊技処理が実行された後に、リール制御手段130によるリール回転制御及びリール停止制御を実行する。上述したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技が終了した場合、ランダム遅延制御によって左リールR1~右リールR3の回転開始のタイミングがランダムに遅延されるように構成されている。第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技制御手段400による擬似遊技処理が実行された後、リール制御手段130によってランダム遅延制御が実行されて左リールR1~右リールR3がランダムな順序で1つずつ回転開始される。ランダム遅延制御の詳細については、後述する。
【0126】
第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技制御手段400による擬似遊技処理においてリールを仮停止する際に用いられる停止制御プログラムと、本遊技においてリール制御手段130によって実行されるリール停止制御において用いられる停止制御プログラムと、で共通の停止制御プログラムを用いている。
【0127】
リール制御手段130は、停止制御プログラムを用いたリール停止制御において、リールに対応付けられているリールインデックスと、ステッピングモータに供給した駆動パルスの供給回数と、から、上段出現中の図柄に対応付けられた停止番号を取得し、取得した停止番号を停止位置に設定する。ここで、上段出現中の図柄とは、表示装置330の特定領域330bを正面視した場合に、上段において図柄の略下半分以上が見える状態を意味しており、特定領域330bの上端から8ステップ分(約11.44°)以上回転した状態を意味している。
【0128】
停止位置を設定した後、リール制御手段130は、設定した停止位置までにリールを回転させるコマ数(滑りコマ数)を設定する。リール制御手段130は、本遊技である場合、滑りコマ数としてストップボタンが操作されてから190ms以内に停止可能な範囲(4コマ)の範囲内のコマ数を設定可能であり、擬似遊技である場合、滑りコマ数として最大で19コマの範囲内のコマ数を設定可能に構成されている。
【0129】
滑りコマ数を設定した後、リール制御手段130は、設定した停止位置と、設定した滑りコマ数と、から、リールの上段に停止させる図柄の停止番号を算定する。リール制御手段130は、図柄の停止番号を算定した後に、割込み処理におけるリール制御においてリールの回転態様を停止動作中に変更するか否かを判定するために用いるデータであるリール停止要求を設定する。
【0130】
リール制御手段130は、割り込み処理におけるリール制御において、出現中図柄の停止番号が更新された場合に、出現中図柄の停止番号を更新したことを示すフラグデータである図柄更新フラグをONにセットし、図柄更新フラグをONにセットした割込み処理におけるリール制御が終了するまでの間、図柄更新フラグをONに維持し、次回の割込み処理におけるリール制御を開始する際に、図柄更新フラグをONからOFFにセットする。
【0131】
リール制御手段130は、リール停止要求を設定した後の割込み処理におけるリール制御において、出現中図柄の停止番号と、リールの上段に停止させる図柄の停止番号として算定された停止番号と、が一致するか否かを判定し、一致すると判定した場合には、擬似遊技の実行中であることを示す擬似遊技フラグがONであるか否かを判定し、擬似遊技フラグがOFFである場合と、擬似遊技フラグがONで且つ図柄更新フラグがONである場合に、停止要求において停止の対象に設定されたリールを回転させているステッピングモータに全相励磁の駆動パルスを供給開始し、リールの制御態様をリール停止動作中に設定する。
【0132】
上述したように、リール制御手段130は、擬似遊技において、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングによらず左リールR1~右リールR3の中段に白7図柄「白7」を仮停止表示するリール停止制御を実行するように構成されている。このため、リール制御手段130は、例えば、出現中図柄が停止番号13番のリプレイ図柄「RP」であるタイミングでストップボタンB1が操作され、ストップボタンB1の操作位置を停止番号12番のベルA図柄「BLA」に設定した場合、停止番号14番の白7図柄「白7」を左リールR1の中段に仮停止表示するために、停止番号13番のリプレイ図柄「RP」を擬似遊技に応じた停止番号に設定する。
【0133】
このような構成であることから、スロットマシン1では、擬似遊技が実行される場合において、仮に、出現中図柄の停止番号と算定された停止番号とが一致すると判定したと後に図柄更新フラグがONにセットされているか否か、つまり、今回の割込み処理が出現中図柄の停止番号を更新したタイミングであるか否かを判定しない構成であった場合に、ストップボタンB1が操作された時点における出現中図柄の停止番号と、擬似遊技に応じて設定した停止番号と、が一致してしまうことから、出現中図柄が設定した停止番号の図柄であると判定され、全相励磁の駆動パルスが供給開始されてしまい、左リールR1における各図柄の位置によらず直ちに回転停止されてしまうため、白7図柄「白7」が左リールR1の中段よりも正面視下方の位置に仮停止してしまい、本来仮停止させたい左リールR1の中段の位置に仮停止させることができなくなってしまう。
【0134】
このような仮停止における停止位置の不具合が発生することを防ぐために、第1の実施形態のリール制御手段130は、出現中図柄の停止番号と算定された停止番号とが一致しているか否かを判定した後に、擬似遊技フラグがONであると判定した場合には、図柄更新フラグがONであると判定した場合にリール停止動作中に変更するように構成されている。
【0135】
つまり、第1の実施形態のリール制御手段130は、擬似遊技でストップボタンが操作されたタイミングにおいて、操作されたストップボタンに対応するリールの中段に白7図柄「白7」の少なくとも一部が含まれる場合に、出現中図柄の停止番号が更新されることで白7図柄「白7」が中段に位置するまで全相励磁の駆動パルスの供給を開始せずリールの仮停止を開始しないことから、ストップボタンが操作されたタイミングにおいて図柄の一部がリールの中段に含まれている白7図柄「白7」を通過させ、該リールの中段を通過した以降に再度白7図柄「白7」が該リールの中段に位置するタイミングで仮停止するように構成されている。
【0136】
これにより、スロットマシン1では、擬似遊技においてリール停止制御が実行される場合に、上段出現中の図柄から設定した停止位置が停止番号14番の白7図柄「白7」の回転方向1コマ上段の停止番号13番の図柄であった場合に、滑りコマ数が最大で19コマに設定され、停止番号が停止番号13番に算定されるものの、ストップボタンの操作時に実行される割込み処理におけるリール制御では、出現中図柄の停止番号と算定された停止番号とが一致し、擬似遊技フラグがONであると判定されるものの、図柄更新フラグがONであると判定されないことから、リール停止動作中に変更されることがなく、ストップボタンが操作されてから19コマ分回転させて出現中図柄が停止番号13番の図柄に更新された後(19コマ滑りさせた後)にリール停止動作中に変更されるため、現在出現中の図柄の停止番号と擬似遊技に応じて設定した停止番号とがストップボタンの操作時に一致している場合であっても、その時点でリールを仮停止せず、19コマ分回転させて停止番号が擬似遊技に応じて設定した停止番号に更新されたタイミングで全相励磁の駆動パルスを供給開始して仮停止することで、擬似遊技において仮停止させたい図柄を適切な位置に仮停止して特定領域330b内において図柄を一列に揃えることができ、擬似遊技に対する遊技者の興趣が低下することを防止できる。
【0137】
また、第1の実施形態において、リール制御手段130は、本遊技が実行されている場合には、現在の出現中図柄の停止番号と、内部抽選の結果に応じた停止番号と、が一致することがないことから、擬似遊技フラグがOFFであると判定した場合には、図柄更新フラグがONであるか否かを判定することなくリールの制御態様をリール停止動作中に設定するように構成されている。
【0138】
これにより、スロットマシン1では、本遊技が実行される場合において、出現中図柄の停止番号と算定した停止番号とが一致したと判定した場合に、全相励磁の駆動パルスを供給開始する処理を実行する前に出現中図柄の停止番号が更新されるまで停止に係る処理を待機する、本遊技においては不要な一連の処理を実行することを防ぎ、プログラム容量及び処理の負荷が増加してしまうことを防止できる。
【0139】
また、このような構成により、スロットマシン1は、リール停止制御を本遊技と擬似遊技とで共通に実行する構成にすることで、擬似遊技専用のプログラムを別途用意する必要がなくなり、プログラム容量を削減できる。
【0140】
特に、スロットマシン1は、擬似遊技フラグがONであるか否かの判定によって処理を切り分けるだけで、本遊技と擬似遊技とで共通の制御プログラムを実行可能にしており、全相励磁の駆動パルスを供給開始する契機となる出現中図柄が現在通過中であるか否かを都度判定するような制御プログラムと比べ、簡易な制御プログラムによって本遊技と擬似遊技との制御プログラムを共通化することができ、プログラム容量及びデータ容量を削減することができる。
【0141】
4.擬似遊技において仮停止したリールの微小振動の詳細
次に、第1の実施形態のスロットマシン1において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に実行する左リールR1~右リールR3の微小振動の詳細について説明する。
【0142】
<微小振動に係る構成>
図2に示すように、スロットマシン1は、記憶手段190のリール制御データ記憶手段194に、左リールR1の振動を管理する左リールタイマ194aと、中リールR2の振動を管理する中リールタイマ194bと、右リールR3の振動を管理する右リールタイマ194cと、左リールR1~右リールR3の振動の同期を管理するために左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動において共通に使用される擬似遊技共通タイマ194dと、を有している。
【0143】
第1の実施形態のリール制御手段130は、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3のいずれかが操作され、操作されたストップボタンに対応するリールを仮停止させるための全相励磁の駆動パルスが供給開始された場合に、操作されたストップボタンに対応するリールの振動を管理するタイマ(例えば、ストップボタンB1が操作された場合であれば左リールタイマ194a)に第1値として値「160」をセットし、割込み処理を4回するごとに1ずつ減算(デクリメント更新)していく。また、リール制御手段130は、リールの振動を管理するタイマの値が値「1」から値「0」になる場合で且つ擬似遊技が継続している場合に、該タイマに第2値として値「78」をセットする。このように、リール制御手段130は、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されるまで、リールの振動を管理するタイマの値の更新を実行しない構成となっている。リールの振動を管理するタイマの更新に関する各種制御の詳細については、後述する。
【0144】
一方、第1の実施形態のリール制御手段130は、擬似遊技共通タイマ194dについて、擬似遊技が実行されている場合におけるストップボタンB1~ストップボタンB3の操作の有無によらず、割込み処理を4回するごとに擬似遊技共通タイマ194dに記憶されている値(記憶値)を1ずつ減算(デクリメント更新)し、デクリメント更新を実行する場合における擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」であった場合に、第3値(初期値)としての値「78」をセットする。リール制御手段130は、有利区間の終了に基づき実行される所定の初期化処理が実行される場合と、本遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されて左リールR1~右リールR3が停止し、1回の遊技が終了する場合と、に、擬似遊技共通タイマ194dを初期化し、値「78」をセットする。
【0145】
<微小振動の同期に係る制御>
次に、図6を参照してリールの振動を管理するタイマと擬似遊技共通タイマ194dとを用いた左リールR1~右リールR3の微小振動の同期に係る制御の詳細を説明する。図6は、擬似遊技においてストップボタンB1が操作され、左リールR1の仮停止が開始された場合における左リールR1の挙動と、左リールタイマ194aの記憶値の推移と、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値の推移と、左リールR1が停止した状態で経過した時間(停止時間)と、を説明する図である。
【0146】
図6に示すように、リール制御手段130は、左リールR1を回転させているステッピングモータに全相励磁の駆動パルスを供給開始したタイミングで、左リールタイマ194aに値「160」をセットする。図6に示す例では、この時点における擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「7」となっている。なお、上述したように、擬似遊技共通タイマ194dは、擬似遊技の進行によらずリール制御手段130によって割込み処理が4回実行されるごとに記憶値が値「1」で減算される構成となっており、リールの仮停止が開始されたタイミングによって値「0」~値「78」のいずれかの値がセットされた状態となっており、必ずしも値「7」がセットされているとは限らない構成となっている。
【0147】
スロットマシン1では、約1.49msに1回実行される割込み処理が4回実行されるごとに左リールタイマ194a及び擬似遊技共通タイマ194dがデクリメント更新されることから、左リールタイマ194a及び擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が更新されるごとに約5.96ms経過する構成となっている。
【0148】
リール制御手段130は、全相励磁の駆動パルスを供給する時間について、リールの動作回数を管理し、割込み処理が1回実行されることに更新される不図示の動作管理タイマによって管理しており、左リールタイマ194aの記憶値が値「128」から値「127」に更新されるタイミングで、動作管理タイマの記憶値が値「0」になることに基づき、全相励磁の駆動パルスの供給を停止して励磁開放する。
【0149】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「80」になる時点まで左リールR1を回転させるステッピングモータを励磁開放し、左リールタイマ194aの記憶値が値「79」に更新された時点で、1相を励磁させる駆動パルスを供給し、ステッピングモータが停止した状態を維持する。
【0150】
リール制御手段130は、左リールR1の回転を停止してから494.68ms経過している左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されることに基づき、正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。リール制御手段130は、1ステップ分左リールR1を正回転させた後、1相を励磁させる駆動パルスの供給を再開し、ステッピングモータが停止した状態を維持する。
【0151】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「73」である場合、デクリメント更新によって値「72」に更新する際に擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「78」に更新されるか否かを判定するように構成されている。リール制御手段130は、デクリメント更新によって左リールタイマ194aの記憶値を値「72」に更新する際に擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「78」に更新されないと判定した場合、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されるタイミングとなるまで、左リールタイマ194aの記憶値を値「73」に維持する。
【0152】
図6に示す例においては、左リールタイマ194aの記憶値が値「74」から値「73」にデクリメント更新されるタイミング(停止時間約23.84msの時点)で擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されており、左リールタイマ194aの記憶値が値「73」から値「72」にデクリメント更新する際(停止時間約29.8msの時点)に、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「78」から値「77」にデクリメント更新されることから、左リールタイマ194aの記憶値が値「73」に維持される。
【0153】
第1の実施形態のリール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値を値「73」に維持する場合において、左リールタイマ194aの記憶値を一度デクリメント更新した後に、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値を参照し、参照した記憶値が値「78」でなかったと判定したことに基づき左リールタイマ194aの記憶値に値「1」を加算することで、値「73」に維持している。これにより、スロットマシン1では、リールの振動を管理するタイマの更新に係る制御プログラムにおいて、デクリメント更新を実行するプログラムを変更することなく値の維持を実現でき、制御プログラムの設計コストを削減することができる。
【0154】
なお、スロットマシン1は、リールの振動を管理するタイマの記憶値を値「73」に維持する場合において、該タイマのデクリメント更新を実行する前に擬似遊技共通タイマ194dのデクリメント更新後の記憶値を参照するように構成することで、減算及び加算を行うことなく該タイマの記憶値を値「73」に維持可能に構成されていてもよい。
【0155】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値を値「73」に維持しつつ、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値のデクリメント更新を継続し、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されるタイミング(停止時間約494.68msの時点)で、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「78」に更新されることに基づき左リールタイマ194aの記憶値を値「73」をデクリメント更新し、値「72」にする。
【0156】
リール制御手段130は、デクリメント更新によって左リールタイマ194aの記憶値が値「72」に更新されることに基づき、逆回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。リール制御手段130は、1ステップ分左リールR1を逆回転させた後、1相を励磁させる駆動パルスの供給を再開し、ステッピングモータが停止した状態を維持する。
【0157】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値を値「72」から値「71」にデクリメント更新するとともに、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値を値「78」から値「77」にデクリメント更新する。以降、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値と擬似遊技共通タイマ194dの記憶値とのデクリメント更新を継続し、左リールタイマ194aの記憶値が値「1」から値「0」にデクリメント更新されるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値を値「78」に更新する。
【0158】
そして、リール制御手段130は、停止時間が約435.08msとなる左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されることに基づき、正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。また、リール制御手段130は、停止時間が約35.76msとなるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値が値「73」であり且つ擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されることから、左リールタイマ194aの記憶値が値「73」から値「72」に更新し、左リールタイマ194aの記憶値が値「72」に更新されることに基づき、逆回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。また、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されるタイミングと、値「72」に更新されるタイミングと、以外について、1相を励磁させる駆動パルスをステッピングモータに供給して左リールR1を停止した状態に維持するように構成されている。
【0159】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されステッピングモータへの全相励磁の駆動パルスが供給開始された場合に、一度正回転方向に1ステップ分回転した後に、逆回転方向に1ステップ分回転するタイミングについて、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングによらず擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されるタイミングに設定され、逆回転方向に1ステップ分回転した以降、約435.08ms経過すると正回転方向に1ステップ分回転し、約35.76ms経過すると逆回転方向に1ステップ分回転する微小振動を実行させることができる。
【0160】
また、図6においては、ストップボタンB1が操作された場合について例示したが、ストップボタンB2、ストップボタンB3が操作された場合についても、略同様に中リールタイマ194bのデクリメント更新、右リールタイマ194cのデクリメント更新を実行するとともに、左リールタイマ194a~右リールタイマ194cのデクリメント更新について、並行して実行するように構成されている。
【0161】
つまり、スロットマシン1では、左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動を管理するタイマである左リールタイマ194a~右リールタイマ194cの記憶値を値「73」から値「72」にデクリメント更新するタイミングについて、左リールタイマ194a~右リールタイマ194cとは独立した別のタイマであり擬似遊技の進行によらず更新され、左リールR1~右リールR3のいずれが仮停止した場合にも共通して参照されるタイマである擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「78」に更新されたタイミングに統一することで、擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「78」に更新されるまで左リールR1~右リールR3の微小振動を一時停止させた後に左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させることができる構成となっている。
【0162】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3が仮停止する場合において、左リールR1~右リールR3が仮停止を開始するタイミングがそれぞれ異なるタイミングであったとしても、左リールR1~右リールR3の仮停止時に実行する微小振動における左リールR1~右リールR3の動作を同期させることができ、複数のリールが仮停止した場合における演出内容に対する遊技者の興趣を向上させることができる。
【0163】
また、スロットマシン1は、左リールR1~右リールR3を仮停止させてから正回転方向に1ステップ分回転させた以降において、左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動を管理する左リールタイマ194a~右リールタイマ194cとは別に設けられ、擬似遊技の進行によらず更新される擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されたタイミングで逆回転方向に1ステップ分回転させて左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させるため、複数のリールの微小振動を同期させる場合に、一方のリールの微小振動に対して他方のリールの振動の動作を調整するような複雑な制御を実行する必要がなく、簡易な制御プログラムによって複数のリールが仮停止した場合における演出内容に対する遊技者の興趣を向上させることができるとともに、プログラム容量を低減することができる。
【0164】
また、スロットマシン1は、左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させる場合において、左リールR1~右リールR3を一時停止させて擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「78」に更新されたタイミングで左リールR1~右リールR3の振動を再開させるため、左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動周期や振動速度を調整して左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させる場合よりも簡易な制御プログラムによって複数のリールが仮停止した場合における演出内容に対する遊技者の興趣を向上させることができるとともに、プログラム容量を低減することができる。
【0165】
この、左リールR1~右リールR3を仮停止させた場合に実行される微小振動が、第1の実施形態における第1の動作を構成し、左リールR1~右リールR3のうちの2つのリールが、第1の実施形態における第1のリール及び第2のリールを構成し、正回転方向に1ステップ分回転させた後に一時停止させ、擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「78」に更新された所定のタイミングで逆回転方向に1ステップ分回転させる振動を再開させる動作が、第1の実施形態における左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させるための第2の動作を構成する。
【0166】
<微小振動の同期の詳細>
次に、図7を用いて、左リールR1~右リールR3の微小振動において複数のリールの微小振動が同期するまでの詳細について説明する。図7は、左リールR1が仮停止し微小振動を行っている状態で中リールR2が仮停止を開始し、左リールR1の微小振動と中リールR2の微小振動とが同期するまでの経過を示す図である。
【0167】
図7(A)に示す例においては、左リールタイマ194aの記憶値が値「40」で且つ擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「46」であるタイミングで中リールR2が仮停止したことに基づき中リールタイマ194bに値「160」がセットされる。スロットマシン1では、以降、左リールタイマ194a、中リールタイマ194b、擬似遊技共通タイマ194dの更新が並行して行われていく。
【0168】
図7(A)に示した状態から約244.36ms経過した図7(B)に示す状態において、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されることに基づき、左リールR1を正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。この時、リール制御手段130は、中リールタイマ194bの記憶値が値「119」であることから、中リールR2については振動させずに停止している状態を維持する。
【0169】
図7(B)に示した状態から約35.76ms経過した図7(C)に示す状態において、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「72」に更新されることに基づき、左リールR1を逆回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。この時、リール制御手段130は、中リールタイマ194bの記憶値が値「113」であることから、中リールR2については振動させずに停止している状態を維持する。
【0170】
図7(C)に示した状態から約214.56ms経過した図7(D)に示す状態において、リール制御手段130は、中リールタイマ194bの記憶値が値「77」に更新されることに基づき、中リールR2を正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。この時、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「36」であることから、左リールR1については振動させずに停止している状態を維持する。
【0171】
図7(D)に示した状態から約208.6ms経過した図7(E)に示す状態において、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「77」に更新されることに基づき、左リールR1を正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。この時、リール制御手段130は、中リールタイマ194bの記憶値が値「73」であることから、中リールR2については振動させずに停止している状態を維持する。なお、中リールタイマ194bは、図7(E)に示すタイミングの以前において記憶値が値「73」に更新されているが、図6に示したように、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されるタイミングになるまで値「73」に維持される構成であることから、図7(E)に示すタイミングにおいても値「73」に維持されている。
【0172】
図7(E)に示した状態から約35.76ms経過した図7(F)に示す状態において、リール制御手段130は、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されることに伴い左リールタイマ194aの記憶値が値「72」に更新され且つ中リールタイマ194bの記憶値が値「72」に更新されることに基づき、左リールR1を逆回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスと、中リールR2を逆回転方向に1パルス分回転させる駆動パルスと、を各ステッピングモータに供給する。
【0173】
図7(F)に示すタイミングにおいて、スロットマシン1では、左リールR1の微小振動と、中リールR2の微小振動と、が同期し、以降擬似遊技が継続している間、左リールタイマ194aの記憶値と中リールタイマ194bの記憶値とが同値となった状態が維持されることで、左リールR1の微小振動と、中リールR2の微小振動と、が同期した状態が維持される。
【0174】
このような制御が実行されることで、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技が実行され左リールR1~右リールR3が仮停止する場合における左リールR1~右リールR3の微小振動が同期するように構成されている。スロットマシン1では、右リールR3が仮停止する場合においても、左リールR1が仮停止した状態で中リールR2の仮停止が開始された場合と略同様に、右リールタイマ194cの更新と右リールR3の微小振動とが行われ、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されるタイミングまでに左リールタイマ194a~右リールタイマ194cの記憶値が値「73」になった場合に、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されるタイミングで左リールタイマ194a~右リールタイマ194cの記憶値が値「73」から値「72」に更新され、左リールR1~右リールR3がすべて逆回転方向に1ステップ分回転することで、以降の微小振動が同期する。
【0175】
<演出ウェイト制御>
図6に示したように、第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技においてリールが仮停止され、正回転方向に1ステップ分動作され、逆回転方向に1ステップ分動作されるまでは、最大で約494.68msが経過するまで停止するように構成され、逆回転方向に1ステップ分動作された以降においては、約435.08ms経過したタイミングで正回転方向に1ステップ分動作され、正回転方向に1ステップ分動作した後に約35.76ms経過したタイミングで逆回転方向に1ステップ分動作される微小振動が実行されるように構成されている。
【0176】
また、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3が仮停止した場合に、ランダム遅延制御を開始する前に擬似遊技を継続し回胴演出の進行を遅延する演出ウェイト制御を実行する。スロットマシン1では、演出ウェイト制御が実行されている場合おいて、最大で約435.08msの周期で左リールR1~右リールR3を微小振動させる制御を継続して実行するように構成されている。スロットマシン1では、演出ウェイト制御を終了した場合に、速やかにランダム遅延制御を開始するように構成されている。
【0177】
<ランダム遅延制御が実行される場合の停止時間>
次に、ランダム遅延制御の詳細について説明する。第1の実施形態のリール制御手段130は、ランダム遅延制御において、まず、開始時に最大で約5.96ms経過するまで左リールR1~右リールR3の回転開始をランダムに遅延させる処理を開始しない開始時ウェイトを実行する。上述したように、リール制御手段130は、約5.96msに1回左リールタイマ194a~右リールタイマ194c、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値を更新することから、開始時ウェイトとしてウェイトする時間を約2.98msに設定した場合に、開始時ウェイトが実行されている間に左リールタイマ194a~右リールタイマ194c、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が更新されないことから、左リールR1~右リールR3が微小振動しない構成となっている。
【0178】
リール制御手段130は、ランダム遅延制御を開始し、開始時ウェイトを実行した後、左リールR1~右リールR3の回転開始をランダムに遅延させるように構成されている。リール制御手段130は、開始時ウェイト以降に遅延させる時間(ランダム遅延時間)として、乱数生成手段110が生成する0~251の範囲の乱数のうちいずれか1つをリールごとに取得し、取得した値に2.98を乗算した結果を、各リールのランダム遅延時間として設定する。リール制御手段130は、例えば、左リールR1に値「5」、中リールR2に値「62」、右リールR3に値「251」の乱数を取得した場合、左リールR1のランダム遅延時間を約14.9msに設定し、中リールR2のランダム遅延時間を約184.76msに設定し、右リールR3のランダム遅延時間を約747.98msに設定する。
【0179】
リール制御手段130は、ランダム遅延制御においてランダム遅延させている状態においても、左リールタイマ194a~右リールタイマ194c、擬似遊技共通タイマ194dの更新を継続し、左リールタイマ194a~右リールタイマ194cの記憶値と、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値と、に応じた左リールR1~右リールR3の微小振動を実行するように構成されている。このため、スロットマシン1では、ランダム遅延制御において本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間(第1の実施形態では500ms)を超えてリールの回転開始が遅延される場合であっても、リールの回転開始までに微小振動されることで、リールが停止した状態が所定時間を超過することがないように構成されている。
【0180】
リール制御手段130は、ランダム遅延制御においてランダム遅延時間が経過したリールごとにリールの回転開始に係る処理を開始する。第1の実施形態のリール制御手段130は、リールの回転開始に係る処理を開始する場合に、左リールタイマ194a~右リールタイマ194cのうち回転開始に係る処理を実行するリールに対応するタイマの更新を停止するように構成されている。このため、スロットマシン1では、ランダム遅延制御のうちリールの回転開始に係る処理が開始された場合に、以降該リールが微小振動しない構成となっている。
【0181】
リール制御手段130は、リールの回転開始に係る処理において、励磁ポインタが奇数の状態でランダム遅延制御を開始した場合には約59.6ms経過した後にリールの回転を開始し、励磁ポインタが偶数の状態でランダム遅延制御を開始した場合には約0ms経過した後にリールの回転を開始する。
【0182】
このような構成であることから、第1の実施形態のスロットマシン1では、開始時ウェイトでウェイトする時間として約2.98msに設定され、且つリールをランダムに遅延させる時間として0msに設定された場合、ランダム遅延制御を実行している間に該リールが微小振動されない構成となっている。このため、スロットマシン1では、開始時ウェイトでウェイトする時間として約2.98msに設定され、且つリールをランダムに遅延させる時間として0msに設定された場合、開始時ウェイトの約2.98msと、リールの回転開始に必要となる約59.6msと、の合計の約62.58msが経過するまで、ランダムに遅延させる時間として0msが設定されたリールの停止した状態が維持される構成となっている。
【0183】
図8は、擬似遊技において左リールR1の微小振動と中リールR2の微小振動とが同期している状態でストップボタンB3が操作され、右リールR3が仮停止開始し、左リールR1~右リールR3が仮停止したことに基づき擬似遊技が終了しランダム遅延制御が実行される場合における左リールR1~右リールR3の停止時間の推移と、左リールタイマ194a~右リールタイマ194c、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値の推移と、を示す図である。図8に示す例においては、左リールR1~右リールR3の停止時間が約429.12ms経過したタイミングで演出ウェイト制御が終了する場合を例示している。また、図9は、図8に示す例における左リールR1~右リールR3の挙動を説明する図である。
【0184】
なお、擬似遊技制御手段400は、図8に示す左リールR1~右リールR3の停止時間が約429.12ms経過したタイミングに限らず、左リールR1~右リールR3が仮停止した後に遊技者によってスタートレバーSLが開始操作されたタイミングに対応するタイミングで演出ウェイト制御を終了可能に構成されている。図8に示す例が、第1の実施形態のスロットマシン1において演出ウェイト制御が終了してからランダム遅延制御によってリールの回転が開始されるまでにおけるリールの停止時間が最も長くなる場合となっている。
【0185】
また、図8に示す例においては、開始時ウェイトでウェイトする時間として約2.98msに設定され、且つ左リールR1~右リールR3のそれぞれに設定されたランダム遅延時間として、左リールR1のランダム遅延時間が0ms、中リールR2のランダム遅延時間が約208.6ms、右リールR3のランダム遅延時間が約378.46msに設定されている。また、図8に示す例においては、左リールR1について、励磁ポインタが奇数の状態でランダム遅延制御を開始されており、リールの回転開始に係る処理において、約59.6ms経過した後にリールの回転を開始するように設定されている。
【0186】
図8に示すように、スロットマシン1では、右リールR3が正回転方向に1ステップ分動作し、逆回転方向に1ステップ分動作した後に、再度正回転方向に1ステップ分動作した時点で、図9(A)に示すように左リールR1~右リールR3の微小振動が同期する。この時点において、スロットマシン1では、左リールR1、中リールR2の停止時間が約35.76ms、右リールR3の停止時間が約494.68msとなっている。
【0187】
スロットマシン1では、左リールR1~右リールR3が仮停止しており擬似遊技を終了可能な状態になっているものの、演出ウェイト制御を実行し、左リールR1~右リールR3を仮停止した状態を継続する。上述したように、スロットマシン1では、演出ウェイト制御が実行されている状態においても左リールR1~右リールR3の微小振動が実行され、図8図9(B)に示すように、左リールR1~右リールR3の停止時間が約435.08msとなったタイミングで左リールR1~右リールR3を正回転方向に1ステップ分動作させる。
【0188】
スロットマシン1では、図8図9(C)に示すように、左リールR1~右リールR3の停止時間が約429.12msとなったタイミングで演出ウェイト制御が終了し擬似遊技が終了したことに基づき、ランダム遅延制御が開始される。スロットマシン1では、ランダム遅延制御が開始されることで、約2.98msの開始時ウェイトが発生し、約2.98ms経過し開始時ウェイトが終了した後に、各リールに設定されたランダム遅延時間の経過が開始される。
【0189】
上述したように、図8に示す例において、リール制御手段130は、左リールR1のランダム遅延時間が0msであることから、左リールR1について、リールの回転開始に係る処理を開始し、左リールタイマ194aの記憶値の更新を停止する。リール制御手段130は、図8に示す例において左リールR1の励磁ポインタが奇数であることから、リールの回転開始に係る処理を開始してから約59.6ms経過したタイミング、つまり、左リールR1の停止時間が約491.7msとなったタイミングで左リールR1の回転を開始している(図9(F)参照)。
【0190】
また、図8に示す例において、リール制御手段130は、中リールR2と、右リールR3と、について、ランダム遅延時間として0msよりも長い時間が設定されていることから、中リールR2、右リールR3の停止時間が約435.08msとなったタイミングで中リールR2、右リールR3を正回転方向に1ステップ分動作させる(図9(D)参照)。また、リール制御手段130は、中リールR2と、右リールR3と、について、ランダム遅延時間として約59.6msよりも長い時間が設定されていることから、左リールR1が回転開始するまでに擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「78」に更新されることに伴い中リールタイマ194b、右リールタイマ194cの記憶値が値「72」に更新されることに基づき、中リールR2、右リールR3を逆回転方向に1ステップ分動作させる(図9(E)参照)。
【0191】
図8図9(F)に示すように、第1の実施形態のスロットマシン1では、ランダム遅延制御において開始時ウェイトの終了後に停止した状態が維持される時間として最も長い時間である約59.6msの時間が経過するまでリールの回転開始が遅延する場合、つまり、ランダム遅延制御において停止した状態が維持される最も長い時間である約62.58msであっても、リールが停止した状態に維持される時間が約491.7msとなるように構成されており、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間(第1の実施形態では500ms)を超過することがないように構成されている。
【0192】
このように、第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技において左リールR1~右リールR3のうち少なくとも1つのリールを仮停止した場合に、第1時間としての約494.68msが経過するまでに仮停止しているリールを微小振動させ、正回転方向に1ステップ分動作させ、逆回転方向に1ステップ分動作させる微小振動を実行した以降において、第2時間としての約435.08msが経過するまでに仮停止しているリールを微小振動させるように構成されている。また、スロットマシン1では、擬似遊技において左リールR1~右リールR3のすべてが仮停止した場合に、擬似遊技を終了する前に演出ウェイト制御を実行し、擬似遊技の終了を遅延するとともに、演出ウェイト制御を実行している間も約435.08msが経過するまでに仮停止している左リールR1~右リールR3を微小振動させるように構成されている。
【0193】
スロットマシン1では、擬似遊技において演出ウェイト制御を終了した場合に、ランダム遅延制御を開始するように構成されており、ランダム遅延制御において、左リールR1~右リールR3の回転開始をランダムに遅延させるとともに、左リールR1~右リールR3の微小振動に係る制御を終了した場合にも約62.58msが経過するまでに左リールR1~右リールR3を回転開始するように構成されている。
【0194】
つまり、第1の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合、約494.68msが経過するまでに微小振動させた後、微小振動させるまでに経過する時間が約435.08msと約494.68msよりも短い時間に切り替わり、約435.08msが経過した際には左リールR1~右リールR3が微小振動することから、左リールR1~右リールR3の停止した状態が維持される最大の時間が約429.12msとなる。そして、スロットマシン1では、約435.08msが経過するまでに仮停止している左リールR1~右リールR3が微小振動された後に擬似遊技が終了してランダム遅延制御が開始される場合のうち、約429.12msが経過するまで左リールR1~右リールR3の停止した状態が維持された時点においてランダム遅延制御が開始される場合で、且つランダム遅延制御において左リールR1~右リールR3の微小振動に係る制御を終了した場合であっても、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い約491.7msが経過するまでに左リールR1~右リールR3が回転開始される構成となっている。
【0195】
換言すると、スロットマシン1において、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合に微小振動させるまでに経過する最大の時間である約494.68msは、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短く、約494.68msと、ランダム遅延制御でリールが回転開始されるまでに経過する最大の時間である約62.58msと、の総和である約557.26msは、約500msよりも長い。また、演出ウェイト制御が実行されている状態においては、約435.08msが経過するまでに仮停止しているリールが微小振動する。また、仮停止によって動作が停止しているリールは、ランダム遅延制御でリールが回転開始されるまでにリールが停止した状態で経過する最大の時間である約62.58msと、演出ウェイト制御が実行されていた際に停止した状態で経過する最大の時間である約435.08msと、の総和である約497.66msよりも短い約491.7msが経過した時点で回転開始するため、仮停止によって動作が停止しているリールに対してランダム遅延制御が実行される場合にも、停止している状態で維持される時間が約500msよりも短い時間(第1の実施形態では約491.7ms)となるように構成されている。
【0196】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合には、約494.68msが経過するまでに微小振動させることで、仮停止しているリールの停止時間を延ばし擬似遊技中のリールの停止態様を本遊技におけるリールの停止態様に近づけ遊技者の演出に対する興趣を高めることができるとともに、擬似遊技を終了しランダム遅延制御を開始するまでに演出ウェイト制御を実行することで、約435.08msが経過するまでに仮停止している左リールR1~右リールR3を微小振動させるため、ランダム遅延制御が開始されるまでに停止した状態で経過する最大の時間が約429.12msとなることから、ランダム遅延制御によってリールが回転開始するまでに停止した状態が約62.58ms維持された場合にも、リールが停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0197】
また、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合には、約494.68msが経過するまでに微小振動させることで、仮停止しているリールの停止時間を延ばし擬似遊技中のリールの停止態様を本遊技におけるリールの停止態様に近づけ遊技者の演出に対する興趣を高めることができるとともに、微小振動するまでに停止した状態で経過する時間が最大で約435.08msとなった後に擬似遊技が終了してランダム遅延制御が実行されるため、ランダム遅延制御が開始されるまでに停止した状態で経過する最大の時間である約429.12msが経過し且つランダム遅延制御によってリールが回転開始するまでに停止した状態が約62.58ms維持された場合にも、リールが停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0198】
この、擬似遊技が、第1の実施形態における特定回胴演出を構成し、擬似遊技に係る制御を実行する擬似遊技制御手段400が、第1の実施形態における回胴演出制御手段を構成し、左リールR1~右リールR3が仮停止している場合に実行される微小振動が、第1の実施形態における特定動作を構成し、ランダム遅延制御が開始された場合に、リールが回転開始されるまでに仮停止によって動作が停止しているリールに対して、ランダム遅延制御が実行された場合に、動作が停止した状態で経過する時間のうち約435.08msに加えて経過する最大の時間である約62.58msが、第1の実施形態における第3時間を構成し、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msが、第1の実施形態における第4時間を構成する。
【0199】
5.擬似遊技中における電断復帰後の停止制御
次に、擬似遊技が実行されている状態で遊技制御手段10への電力の供給が遮断(電断)され且つまだ仮停止していないリールに対応するストップボタンを押下した状態で電力を復帰させた場合について説明する。
【0200】
第1の実施形態のスロットマシン1では、電断時においてまだ仮停止していないリールに対応するストップボタンを電源が切れている状態で押下し、押下した状態を維持して電力を復帰した場合に、電断が発生するまでに実行されていた割込み処理を電力の復帰とともに再開した時点でストップスイッチから出力される停止信号を有効化可能である場合には、押下されているストップボタンに対応するリールを仮停止させる。
【0201】
一方、スロットマシン1では、電断が発生するまでに実行されていた割込み処理を電力の復帰とともに再開した時点で、ストップスイッチから出力される停止信号を有効化できないタイミングで電断が発生していた場合には、押下が維持されているストップボタンに対応するリールを仮停止せず、リールの回転を継続する。
【0202】
このような場合において、スロットマシン1では、電断時から押下されているストップボタンの押下が維持され続けた場合に、擬似遊技において予め設定されている擬似遊技を継続可能な時間(第1の実施形態においては約1分)が経過した時点で、押下が維持されたストップボタンに対応するリールを含めるすべてのリールを仮停止する。また、スロットマシン1では、押下が維持されているストップボタンの押下が解放された以降において、ストップボタンが押下された場合に出力される停止信号を有効化し、回転しているリールに対応するストップボタンが押下された都度該リールを仮停止させるリール停止制御を実行する。
【0203】
このような構成により、第1の実施形態のスロットマシン1は、電断が発生し電力の復帰後速やかに擬似遊技を再開したい遊技者がストップボタンの押下を維持している場合に、ストップボタンを押下することでストップスイッチ240から出力される停止信号を有効化できる場合には押下が維持されているストップボタンに対応するリールを仮停止でき、擬似遊技の進行をスムーズに行うことができるとともに、ストップスイッチ240から出力される停止信号を有効化できない場合にはリールの回転を継続し、擬似遊技を継続可能な時間が経過した場合又は押下の維持が解放された以降に押下された場合にリールを仮停止することで、遊技を進行不能となるエラーを発生させることなく進行することができる。
【0204】
また、スロットマシン1では、電断時から1つのストップボタンを押下し、該ストップボタンの押下が維持されている場合において、他のストップボタンを押下した場合に出力される停止信号を無効化するように構成されている。スロットマシン1では、該ストップボタンの押下が解放された状態になった以降において、他のストップボタンに対応するリールが回転している場合には、他のストップボタンを押下した場合に出力される停止信号を有効化する。
【0205】
なお、スロットマシン1では、上述したように、本遊技である場合と、擬似遊技である場合と、でリール停止制御に係るプログラムを共通化している構成であることから、本遊技である場合にも、電断からの復帰時におけるリール停止制御として、擬似遊技である場合と略同様のリール停止制御が実行される。スロットマシン1では、電断時においてまだ停止していないリールに対応するストップボタンを電源が切れている状態で押下し、押下した状態を維持して電力を復帰した場合に、電断が発生するまでに実行されていた割込み処理を電力の復帰とともに再開した時点でストップスイッチから出力される停止信号を有効化可能である場合には、押下されているストップボタンに対応するリールを停止させる。
【0206】
一方、スロットマシン1では、電断が発生するまでに実行されていた割込み処理を電力の復帰とともに再開した時点で、ストップスイッチから出力される停止信号を有効化できないタイミングで電断が発生していた場合には、押下されているストップボタンに対応するリールを停止せず、リールの回転を継続する。このような場合において、スロットマシン1では、電断時から押下されているストップボタンの押下が維持され続けている限り、リールの回転を継続し、電断時から押下されているストップボタンの押下が解放された以降において、ストップボタンが押下された場合に出力される停止信号を有効化し、回転しているリールに対応するストップボタンが押下された都度該リールを停止させるリール停止制御を実行する。
【0207】
また、スロットマシン1では、電断時から1つのストップボタンを押下し、該ストップボタンの押下が維持されている場合において、他のストップボタンを押下した場合に出力される停止信号を無効化するように構成されている。スロットマシン1では、該ストップボタンの押下が解放された状態になった以降において、他のストップボタンに対応するリールが回転している場合には、他のストップボタンを押下した場合に出力される停止信号を有効化する。
【0208】
6.第1の実施形態のまとめ
以上のように、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合には、約494.68msが経過するまでに微小振動させることで、仮停止しているリールの停止時間を延ばし擬似遊技中のリールの停止態様を本遊技におけるリールの停止態様に近づけ遊技者の演出に対する興趣を高めることができるとともに、擬似遊技を終了しランダム遅延制御を開始するまでに演出ウェイト制御を実行することで、約435.08msが経過するまでに仮停止している左リールR1~右リールR3を微小振動させるため、ランダム遅延制御によってリールが回転開始するまでに停止した状態が約62.58ms維持された場合にも、ランダム遅延制御が開始されるまでに停止した状態で経過している時間を約429.12msにとどめることで、リールが停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0209】
また、第1の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合には、約494.68msが経過するまでに微小振動させることで、仮停止しているリールの停止時間を延ばし擬似遊技中のリールの停止態様を本遊技におけるリールの停止態様に近づけ遊技者の演出に対する興趣を高めることができるとともに、微小振動するまでに停止した状態で経過する時間が最大で約435.08msとなった後に擬似遊技が終了してランダム遅延制御が実行されるため、ランダム遅延制御が開始されるまでに停止した状態で経過する最大の時間である約429.12msが経過し且つランダム遅延制御によってリールが回転開始するまでに停止した状態が約62.58ms維持された場合にもリールが停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0210】
[第2の実施形態]
次に、第1の実施形態を一部変更した第2の実施形態のスロットマシン1について説明する。第2の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合に、約435.08msが経過するまでに微小振動させ、ランダム遅延制御が実行される前に演出ウェイト制御を実行しないように構成されている。これらの点について、第2の実施形態のスロットマシン1は、第1の実施形態とは異なっており、その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と共通する構成要素には同符号を付して説明を省略する。
【0211】
1.擬似遊技において仮停止したリールの微小振動の詳細
第2の実施形態のスロットマシン1において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に実行する左リールR1~右リールR3の微小振動の詳細について説明する。
【0212】
<微小振動に係る構成>
第2の実施形態のリール制御手段130は、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3のいずれかが操作され、操作されたストップボタンに対応するリールを仮停止させるための全相励磁の駆動パルスが供給開始された場合に、操作されたストップボタンに対応するリールの振動を管理するタイマ(例えば、ストップボタンB1が操作された場合であれば左リールタイマ194a)に第1値として値「140」をセットし、割込み処理を4回するごとに1ずつ減算(デクリメント更新)していく。また、リール制御手段130は、リールの振動を管理するタイマの値が値「1」から値「0」になる場合で且つ擬似遊技が継続している場合に、該タイマに第2値として値「68」をセットする。このように、リール制御手段130は、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されるまで、リールの振動を管理するタイマの値の更新を実行しない構成となっている。リールの振動を管理するタイマの更新に関する各種制御の詳細については、後述する。
【0213】
一方、第2の実施形態のリール制御手段130は、擬似遊技共通タイマ194dについて、擬似遊技が実行されている場合におけるストップボタンB1~ストップボタンB3の操作の有無によらず、割込み処理を4回するごとに擬似遊技共通タイマ194dに記憶されている値(記憶値)を1ずつ減算(デクリメント更新)し、デクリメント更新を実行する場合における擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」であった場合に、第3値(初期値)としての値「68」をセットする。リール制御手段130は、有利区間の終了に基づき実行される所定の初期化処理が実行される場合と、本遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されて左リールR1~右リールR3が停止し、1回の遊技が終了する場合と、に、擬似遊技共通タイマ194dを初期化し、値「68」をセットする。
【0214】
<微小振動の同期に係る制御>
次に、図10を参照してリールの振動を管理するタイマと擬似遊技共通タイマ194dとを用いた左リールR1~右リールR3の微小振動の同期に係る制御の詳細を説明する。図10は、擬似遊技においてストップボタンB1が操作され、左リールR1の仮停止が開始された場合における左リールR1の挙動と、左リールタイマ194aの記憶値の推移と、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値の推移と、左リールR1が停止した状態で経過した時間(停止時間)と、を説明する図である。
【0215】
図10に示すように、リール制御手段130は、左リールR1を回転させているステッピングモータに全相励磁の駆動パルスを供給開始したタイミングで、左リールタイマ194aに値「140」をセットする。図10に示す例では、この時点における擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「7」となっている。なお、上述したように、擬似遊技共通タイマ194dは、擬似遊技の進行によらずリール制御手段130によって割込み処理が4回実行されるごとに記憶値が値「1」で減算される構成となっており、リールの仮停止が開始されたタイミングによって値「0」~値「68」のいずれかの値がセットされた状態となっており、必ずしも値「7」がセットされているとは限らない構成となっている。
【0216】
スロットマシン1では、約1.49msに1回実行される割込み処理が4回実行されるごとに左リールタイマ194a及び擬似遊技共通タイマ194dがデクリメント更新されることから、左リールタイマ194a及び擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が更新されるごとに約5.96ms経過する構成となっている。
【0217】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「69」になるまで全相励磁の駆動パルスの供給を停止して励磁開放し、左リールタイマ194aの記憶値が値「68」に更新された時点で、1相を励磁させる駆動パルスを供給し、ステッピングモータが停止した状態を維持する。
【0218】
リール制御手段130は、左リールR1の回転を停止してから435.08ms経過している左リールタイマ194aの記憶値が値「67」に更新されるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値が値「67」に更新されることに基づき、正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。リール制御手段130は、1ステップ分左リールR1を正回転させた後、1相を励磁させる駆動パルスの供給を再開し、ステッピングモータが停止した状態を維持する。
【0219】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「63」である場合、デクリメント更新によって値「62」に更新する際に擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「68」に更新されるか否かを判定するように構成されている。リール制御手段130は、デクリメント更新によって左リールタイマ194aの記憶値を値「62」に更新する際に擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「68」に更新されないと判定した場合、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されるタイミングとなるまで、左リールタイマ194aの記憶値を値「63」に維持する。
【0220】
図10に示す例においては、左リールタイマ194aの記憶値が値「64」から値「63」にデクリメント更新されるタイミング(停止時間約23.84msの時点)で擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されており、左リールタイマ194aの記憶値が値「63」から値「62」にデクリメント更新する際(停止時間約29.8msの時点)に、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「68」から値「67」にデクリメント更新されることから、左リールタイマ194aの記憶値が値「63」に維持される。
【0221】
第2の実施形態のリール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値を値「63」に維持する場合において、第1の実施形態である場合と略同様に、左リールタイマ194aの記憶値を一度デクリメント更新した後に、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値を参照し、参照した記憶値が値「68」でなかったと判定したことに基づき左リールタイマ194aの記憶値に値「1」を加算することで、値「63」に維持している。
【0222】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値を値「63」に維持しつつ、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値のデクリメント更新を継続し、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されるタイミング(停止時間約435.08msの時点)で、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「68」に更新されることに基づき左リールタイマ194aの記憶値を値「63」をデクリメント更新し、値「62」にする。
【0223】
リール制御手段130は、デクリメント更新によって左リールタイマ194aの記憶値が値「62」に更新されることに基づき、逆回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。リール制御手段130は、1ステップ分左リールR1を逆回転させた後、1相を励磁させる駆動パルスの供給を再開し、ステッピングモータが停止した状態を維持する。
【0224】
リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値を値「62」から値「61」にデクリメント更新するとともに、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値を値「68」から値「67」にデクリメント更新する。以降、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値と擬似遊技共通タイマ194dの記憶値とのデクリメント更新を継続し、左リールタイマ194aの記憶値が値「1」から値「0」にデクリメント更新されるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値を値「68」に更新する。
【0225】
そして、リール制御手段130は、停止時間が約375.48msとなる左リールタイマ194aの記憶値が値「67」に更新されるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値が値「67」に更新されることに基づき、正回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。また、リール制御手段130は、停止時間が約35.76msとなるタイミングにおいて、左リールタイマ194aの記憶値が値「63」であり且つ擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されることから、左リールタイマ194aの記憶値が値「63」から値「62」に更新し、左リールタイマ194aの記憶値が値「62」に更新されることに基づき、逆回転方向に1ステップ分回転させる駆動パルスをステッピングモータに供給する。また、リール制御手段130は、左リールタイマ194aの記憶値が値「67」に更新されるタイミングと、値「62」に更新されるタイミングと、以外について、1相を励磁させる駆動パルスをステッピングモータに供給して左リールR1を停止した状態に維持するように構成されている。
【0226】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されステッピングモータへの全相励磁の駆動パルスが供給開始された場合に、一度正回転方向に1ステップ分回転した後に、逆回転方向に1ステップ分回転するタイミングについて、ストップボタンB1~ストップボタンB3の操作タイミングによらず擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されるタイミングに設定され、逆回転方向に1ステップ分回転した以降、約375.48ms経過すると正回転方向に1ステップ分回転し、約35.76ms経過すると逆回転方向に1ステップ分回転する微小振動を実行させることができる。
【0227】
また、図10においては、ストップボタンB1が操作された場合について例示したが、ストップボタンB2、ストップボタンB3が操作された場合についても、略同様に中リールタイマ194bのデクリメント更新、右リールタイマ194cのデクリメント更新を実行するとともに、左リールタイマ194a~右リールタイマ194cのデクリメント更新について、並行して実行するように構成されている。
【0228】
つまり、スロットマシン1では、左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動を管理するタイマである左リールタイマ194a~右リールタイマ194cの記憶値を値「63」から値「62」にデクリメント更新するタイミングについて、左リールタイマ194a~右リールタイマ194cとは独立した別のタイマであり擬似遊技の進行によらず更新され、左リールR1~右リールR3のいずれが仮停止した場合にも共通して参照されるタイマである擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「68」に更新されたタイミングに統一することで、擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「68」に更新されるまで左リールR1~右リールR3の微小振動を一時停止させた後に左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させることができる構成となっている。
【0229】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3が仮停止する場合において、左リールR1~右リールR3が仮停止を開始するタイミングがそれぞれ異なるタイミングであったとしても、左リールR1~右リールR3の仮停止時に実行する微小振動における左リールR1~右リールR3の動作を同期させることができ、複数のリールが仮停止した場合における演出内容に対する遊技者の興趣を向上させることができる。
【0230】
また、スロットマシン1は、左リールR1~右リールR3を仮停止させてから正回転方向に1ステップ分回転させた以降において、左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動を管理する左リールタイマ194a~右リールタイマ194cとは別に設けられ、擬似遊技の進行によらず更新される擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されたタイミングで逆回転方向に1ステップ分回転させて左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させるため、複数のリールの微小振動を同期させる場合に、一方のリールの微小振動に対して他方のリールの振動の動作を調整するような複雑な制御を実行する必要がなく、簡易な制御プログラムによって複数のリールが仮停止した場合における演出内容に対する遊技者の興趣を向上させることができるとともに、プログラム容量を低減することができる。
【0231】
また、スロットマシン1は、左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させる場合において、左リールR1~右リールR3を一時停止させて擬似遊技共通タイマ194dが値「0」から値「68」に更新されたタイミングで左リールR1~右リールR3の振動を再開させるため、左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動周期や振動速度を調整して左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させる場合よりも簡易な制御プログラムによって複数のリールが仮停止した場合における演出内容に対する遊技者の興趣を向上させることができるとともに、プログラム容量を低減することができる。
【0232】
<ランダム遅延制御が実行される場合の停止時間>
図11は、擬似遊技において左リールR1の微小振動と中リールR2の微小振動とが同期している状態でストップボタンB3が操作され、右リールR3が仮停止開始し、左リールR1~右リールR3が仮停止したことに基づき擬似遊技が終了しランダム遅延制御が実行される場合における左リールR1~右リールR3の停止時間の推移と、左リールタイマ194a~右リールタイマ194c、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値の推移と、を示す図である。図11に示す例においては、右リールR3の停止時間が約429.12ms経過したタイミングでランダム遅延制御が開始される場合を例示している。また、図12は、図11に示す例における左リールR1~右リールR3の挙動を説明する図である。
【0233】
なお、擬似遊技制御手段400は、図11に示す右リールR3の停止時間が約429.12ms経過したタイミングに限らず、左リールR1~右リールR3が仮停止した後に遊技者によってスタートレバーSLが開始操作されたタイミングに対応するタイミングで擬似遊技を終了可能に構成されている。図11に示す例が、第2の実施形態のスロットマシン1において擬似遊技が終了してからランダム遅延制御によってリールの回転が開始されるまでにおけるリールの停止時間が最も長くなる場合となっている。
【0234】
また、図11に示す例においては、開始時ウェイトでウェイトする時間として約2.98msに設定され、且つ左リールR1~右リールR3のそれぞれに設定されたランダム遅延時間として、左リールR1のランダム遅延時間が約414.22ms、中リールR2のランダム遅延時間が約104.3ms、右リールR3のランダム遅延時間が0msに設定されている。また、図11に示す例においては、右リールR3について、励磁ポインタが奇数の状態でランダム遅延制御を開始されており、リールの回転開始に係る処理において、約59.6ms経過した後にリールの回転を開始するように設定されている。
【0235】
図11に示すように、スロットマシン1では、左リールR1、中リールR2が正回転方向に1ステップ分動作してから約11.92msが経過したタイミングで右リールR3が正回転方向に1ステップ分動作し、その後、左リールR1、中リールR2の停止時間が約35.76msとなった時点で、図12(A)に示すように左リールR1、中リールR2が逆回転方向に1ステップ分動作する。スロットマシン1では、右リールR3について、右リールタイマ194cの記憶値が値「64」から値「63」に更新されるタイミングであることから、右リールR3を停止した状態に維持している。
【0236】
スロットマシン1では、左リールR1、中リールR2が逆回転方向に1ステップ分動作してから約375.48msが経過したタイミングで、図11図12(B)に示すように左リールR1、中リールR2が正回転方向に1ステップ分動作する。スロットマシン1では、右リールR3について、擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「5」に更新されるタイミングであり値「68」に更新されるタイミングではないから、右リールタイマ194cの記憶値を値「63」に維持し、停止時間として約399.32ms経過している右リールR3を停止した状態に維持している。
【0237】
スロットマシン1では、図11図12(C)に示すように、左リールR1、中リールR2の停止時間が約29.8ms、右リールR3の停止時間が約429.12msとなったタイミングで擬似遊技が終了することに基づき、ランダム遅延制御が開始される。スロットマシン1では、ランダム遅延制御が開始されることで、約2.98msの開始時ウェイトが発生し、約2.98ms経過し開始時ウェイトが終了した後に、各リールに設定されたランダム遅延時間の経過が開始される。
【0238】
上述したように、図11に示す例において、リール制御手段130は、右リールR3のランダム遅延時間が0msであることから、右リールR3について、リールの回転開始に係る処理を開始し、右リールタイマ194cの記憶値の更新を停止する。リール制御手段130は、図11に示す例において右リールR3の励磁ポインタが奇数であることから、リールの回転開始に係る処理を開始してから約59.6ms経過したタイミング、つまり、右リールR3の停止時間が約491.7msとなったタイミングで右リールR3の回転を開始している(図12(E)参照)。
【0239】
また、図11に示す例において、リール制御手段130は、左リールR1と、中リールR2と、について、ランダム遅延時間として0msよりも長い時間が設定されていることから、左リールR1、中リールR2の停止時間が約35.76msとなったタイミングにおいて、右リールR3が回転開始するまでに擬似遊技共通タイマ194dの記憶値が値「0」から値「68」に更新されることに伴い左リールタイマ194a、中リールタイマ194bの記憶値が値「62」に更新されることに基づき、左リールR1、中リールR2を逆回転方向に1ステップ分動作させる(図12(D)参照)。
【0240】
図11図12(E)に示すように、第2の実施形態のスロットマシン1では、ランダム遅延制御において開始時ウェイトの終了後に停止した状態が維持される時間として最も長い時間である約59.6msの時間が経過するまでリールの回転開始が遅延する場合、つまり、ランダム遅延制御において停止した状態が維持される最も長い時間である約62.58msであっても、リールが停止した状態に維持される時間が約491.7msとなるように構成されており、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間(第2の実施形態では500ms)を超過することがないように構成されている。
【0241】
このように、第2の実施形態のスロットマシン1では、擬似遊技において左リールR1~右リールR3のうち少なくとも1つのリールを仮停止した場合に、第2時間としての約435.08msが経過するまでに仮停止しているリールを微小振動させ、正回転方向に1ステップ分動作させ、逆回転方向に1ステップ分動作させる微小振動を実行した以降において、約375.48msが経過するまでに仮停止しているリールを微小振動させるように構成されている。つまり、スロットマシン1では、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に、仮停止したリールの停止時間が最大でも約435.08ms以内となるように構成されている。
【0242】
このため、スロットマシン1では、擬似遊技を終了してランダム遅延制御を開始した場合に、左リールR1~右リールR3の回転開始をランダムに遅延させるとともに、左リールR1~右リールR3の微小振動に係る制御を終了した場合にも約62.58msが経過するまでに左リールR1~右リールR3を回転開始するため、擬似遊技においてリールを仮停止し、左リールR1~右リールR3の微小振動が同期する直前である約429.12ms経過したタイミングでランダム遅延制御が開始された場合であっても、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い約491.7msが経過するまでに左リールR1~右リールR3が回転開始される構成となっている。
【0243】
換言すると、スロットマシン1において、仮停止によって動作が停止しているリールは、ランダム遅延制御でリールが回転開始されるまでにリールが停止した状態で経過する最大の時間である約62.58msと、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合に微小振動させるまでに経過する最大の時間である約435.08msと、の総和である約497.66msよりも短い約491.7msが経過した時点で回転開始するため、仮停止によって動作が停止しているリールに対してランダム遅延制御が実行される場合にも、停止している状態で維持される時間が約500msよりも短い時間(第2の実施形態では約491.7ms)となるように構成されている。
【0244】
このような構成により、第2の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合に、約435.08msが経過するまでに微小振動させるため、ランダム遅延制御が開始されるまでに停止した状態で経過する最大の時間が約429.12msとなることから、ランダム遅延制御によってリールが回転開始するまでに停止した状態が約62.58ms維持された場合にも、リールが停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0245】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において仮停止している左リールR1~右リールR3の微小振動が同期する以前にランダム遅延制御が開始された場合にも、左リールR1~右リールR3が停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms以内)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0246】
また、第2の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技を終了しランダム遅延制御を実行するまでに演出ウェイト制御を実行することなく、左リールR1~右リールR3が停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、擬似遊技において実行される制御プログラムにおいて演出ウェイト制御に係るプログラムコードを記載することなく擬似遊技を実現でき、プログラムコードの容量を削減することができる。
【0247】
この、擬似遊技が、第2の実施形態における特定回胴演出を構成し、擬似遊技に係る制御を実行する擬似遊技制御手段400が、第2の実施形態における回胴演出制御手段を構成し、左リールR1~右リールR3が仮停止している場合に実行される微小振動が、第2の実施形態における特定動作を構成し、ランダム遅延制御が開始された場合に、リールが回転開始されるまでに仮停止によって動作が停止しているリールに対して、ランダム遅延制御が実行された場合に、動作が停止した状態で経過する時間のうち約435.08msに加えて経過する最大の時間である約62.58msが、第2の実施形態における第3時間を構成し、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msが、第2の実施形態における第4時間を構成する。
【0248】
2.第2の実施形態のまとめ
以上のように、第2の実施形態のスロットマシン1は、擬似遊技において回転しているリールを仮停止した場合に、約435.08msが経過するまでに微小振動させるため、ランダム遅延制御が開始されるまでに停止した状態で経過する最大の時間が約429.12msとなることから、ランダム遅延制御によってリールが回転開始するまでに停止した状態が約62.58ms維持された場合にも、リールが停止している時間を本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間(約491.7ms)にとどめることができ、リールを用いた演出において本遊技が終了していないにも関わらず遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことを防止できる。
【0249】
[他の実施形態]
なお、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に、各リールの微小振動を同期させるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、左リールR1~右リールR3のそれぞれについて、仮停止されたタイミングに対応する周期で微小振動させることで、左リールR1~右リールR3の微小振動が同期しないように構成されていてもよい。
【0250】
また、第1の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に、正回転方向に1ステップ分動作させ、逆回転方向に1ステップ分動作させるまでは第1時間としての約494.68msが経過するまでに動作させ、逆回転方向に1ステップ分動作した以降においては、第2時間としての約435.08msが経過するまでに微小振動させるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、演出ウェイト制御が開始されるまでは、第1時間としての約494.68msが経過するまでに仮停止しているリールを微小振動させ、演出ウェイト制御か開始されてから、第2時間としての約435.08msが経過するまでに仮停止しているリールを微小振動させるように構成されていてもよい。
【0251】
このように構成される場合、スロットマシン1は、擬似遊技において演出ウェイト制御が実行され、演出ウェイト制御中に少なくとも1回左リールR1~右リールR3が微小振動した後に演出ウェイト制御を終了することで、ランダム遅延制御において第3時間としての約62.58msが経過したタイミングでリールが回転開始された場合であっても、リールが停止している時間を約500msよりも短い時間にすることができる。
【0252】
また、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に、正回転方向に1ステップ分動作させ、逆回転方向に1ステップ分動作させるまでは約435.08msが経過するまでに動作させ、逆回転方向に1ステップ分動作した以降においては、約435.08msよりも短い約375.48msが経過するまでに微小振動させるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、擬似遊技においてリールを仮停止した場合には、約435.08msが経過するまでに微小振動させるように構成され、微小振動させるまでに経過する時間が変化せずに常に一定の周期で微小振動するように構成されていてもよい。
【0253】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止した場合に、本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間が経過するまでに左リールR1~右リールR3を微小振動させるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、所定時間として約500msよりも長い時間(約520msや、約600ms等)が経過するまで仮停止しているリールが停止した状態を維持するように構成されていてもよい。
【0254】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技において仮停止しているリールを約435.08msが経過するまでに微小振動させることで、ランダム遅延制御が実行された場合に本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間が経過するまでに左リールR1~右リールR3を回転開始するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、擬似遊技において仮停止しているリールを約458.92msや約488.72ms等の、ランダム遅延制御が実行された場合には約500msを超過し得る又は略確実に超過する時間が経過するまでに微小振動させるように構成し、ランダム遅延制御が実行されない場合には本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間が経過するまでに左リールR1~右リールR3を動作させるものの、ランダム遅延制御が実行される場合には所定時間を超過し得るように構成されていてもよい。
【0255】
上述したように、スロットマシン1では、擬似遊技が実行された場合、左リールR1~右リールR3が仮停止された後に、遊技者によってスタートレバーSLが開始操作されたことに基づき擬似遊技を終了しランダム遅延制御を実行するように構成されている。このため、スロットマシン1では、ランダム遅延制御が実行されることで仮停止している左リールR1~右リールR3の停止している時間が約500msを超過した場合であっても、遊技者が開始操作をしており遊技者が遊技機から離れ遊技をやめてしまうことは略生じないため、擬似遊技において仮停止している左リールR1~右リールR3の停止時間を延ばし擬似遊技中のリールの停止態様を本遊技におけるリールの停止態様に近づけ遊技者の演出に対する興趣を高めることができる。
【0256】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技において、仮停止している左リールR1~右リールR3を微小振動させる場合に、正回転方向に1ステップ分動作させた後に逆回転方向に1ステップ分動作させるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、仮停止している左リールR1~右リールR3を動作させる場合に、正回転方向に1ステップ分動作させた後に逆回転方向に1ステップ分動作させる微小振動に加え、正回転方向に複数ステップ分動作させた後に逆回転方向に複数ステップ分動作させる振動動作、逆回転方向に1ステップ分動作させた後に正回転方向に1ステップ分動作させる逆微小振動等、左リールR1~右リールR3が停止指定状態を一時的に解除する動作として複数種類の動作パターンを有し、複数種類の動作パターンを予め定められた順序又はランダムに実行するように構成されていてもよい。
【0257】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技制御手段400による擬似遊技処理においてリールを仮停止する際に用いられる停止制御プログラムと、本遊技においてリール制御手段130によって実行されるリール停止制御において用いられる停止制御プログラムと、で共通の停止制御プログラムを用いているが、これに限定されない。スロットマシン1は、擬似遊技においてリールを仮停止する場合には、本遊技において用いられる停止制御プログラムとは異なる擬似遊技用の停止制御プログラムを用いるように構成されていてもよい。
【0258】
このように構成される場合、スロットマシン1は、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止する場合に、ストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されてから1周よりも多くリールを回転させてから仮停止するように構成されていてもよい。また、スロットマシン1は、擬似遊技においてストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されてから操作されたストップボタンに対応するリールを仮停止するまでに、左リールR1~右リールR3の回転速度を定常回転における速度よりも加速又は減速するように構成されていてもよい。
【0259】
仮停止される左リールR1~右リールR3の回転速度を加速又は減速するように構成される場合において、スロットマシン1は、本遊技においてリールの回転速度を変化させるために用いるに制御プログラム(加速シーケンスを用いた加速処理、減速シーケンスを用いた減速処理)の一方又は双方を用いないように構成されていてもよい。
【0260】
換言すると、スロットマシン1は、例えば、擬似遊技において左リールR1~右リールR3を仮停止する場合において、ストップボタンB1~ストップボタンB3が操作されたタイミングで操作されたストップボタンに対応するリールを定常回転における回転速度よりも高速で回転させ、1回転又は1回転以上の複数回(例えば3回転等)回転させてから、所定の図柄が中段に回転表示されるタイミングで急停止するように構成されていてもよい。
【0261】
スロットマシン1では、擬似遊技におけるリールの仮停止の際に実行される加速及び減速において、本遊技における左リールR1~右リールR3の加速及び減速とは異なる態様の加速及び減速が行われるように構成されていてもよい。具体的には、擬似遊技におけるリールの仮停止の際に実行される回転速度の加速について、単位時間あたりの速度の変化率(擬似遊技中加速度)が、本遊技において回転開始から定常回転となるまでの単位時間当たりの速度の変化率(本遊技中加速度)よりも大きくなるように構成され、擬似遊技におけるリールの仮停止の際に実行される回転速度の減速について、単位時間あたりの速度の変化率(擬似遊技中減速度)が、本遊技において定常回転から停止となるまでの単位時間当たりの速度の変化率(本遊技中減速度)よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0262】
なお、スロットマシン1では、例えば、擬似遊技中加速度が本遊技中加速度よりも小さく且つ擬似遊技中減速度が本遊技中減速度よりも小さくなるように構成されていてもよい。また、スロットマシン1では、例えば、擬似遊技中加速度が本遊技中加速度よりも大きく且つ擬似遊技中減速度が本遊技中減速度よりも小さくなるように構成されていてもよく、擬似遊技中加速度が本遊技中加速度よりも小さく且つ擬似遊技中減速度が本遊技中減速度よりも大きくなるように構成されていてもよい。
【0263】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、仮停止した左リールR1~右リールR3の停止している時間が本遊技における停止と遊技者が誤認することを防止するために予め定められた所定時間である約500msよりも短い時間となるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、仮停止した左リールR1~右リールR3の停止している時間について、本遊技において左リールR1~右リールR3を停止した場合に、左リールR1~右リールR3を回転させているステッピングモータの励磁状態が維持され停止した状態が維持される時間よりも短い時間となるように構成されていてもよい。
【0264】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、特定回胴演出として擬似遊技を有しているが、これに限定されない。スロットマシン1は、特定回胴演出として、遊技者が操作する操作手段(ストップボタンB1~ストップボタンB3に加えマックスベットボタンMB、スタートレバーSLを含む)を操作することで、回転しているリールを仮停止する回胴演出を特定回胴演出として有していてもよい。また、スロットマシン1は、特定回胴演出として、予め定められた時間が経過した時点で自動的にリールが仮停止する回胴演出を特定回胴演出として有していてもよい。
【0265】
また、第1、第2の実施形態において、リール制御手段130は、ランダム遅延制御を実行する場合に、リールの回転をランダムに遅延させる処理を実行する前に開始時ウェイトを実行するように構成されているが、これに限らず、開始時ウェイトを実行することなくリールの回転をランダムに遅延させる処理を実行するように構成されていてもよい。
【0266】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、AT制御手段200によって制御される演出状態がAT状態に移行した場合に擬似遊技を実行するように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、スタートレバーSLへの開始操作を検出したことに基づき擬似遊技を実行するか否かの抽選を実行し、該抽選において「擬似遊技の実行」に当選した場合に、擬似遊技を実行可能に構成されていてもよい。
【0267】
また、第1、第2の実施形態において、擬似遊技制御手段400は、擬似遊技において仮停止位置に仮停止する仮停止図柄について、擬似遊技が開始された時点で予め白7図柄「白7」と決定しているが、これに限定されない。擬似遊技制御手段400は、例えば、ストップボタンが操作されたタイミングに応じて仮停止図柄を決定するように構成されていてもよい。
【0268】
つまり、スロットマシン1では、仮停止図柄について、全相励磁の駆動パルスが供給開始されて仮停止されるまでに予め決定されるように構成されていればよく、決定されるタイミングについては、いずれのタイミングでもよい。
【0269】
また、第1、第2の実施形態において、リール制御手段130は、擬似遊技においてストップボタンが押下された場合に、仮停止に係る制御処理を実行するように構成されているが、これに限定されない。リール制御手段130は、例えば、ストップボタンに対する操作として、擬似遊技においてストップボタンが押下され、その後押下から解放されることでストップスイッチ240から出力される停止信号の出力が終了した場合に、仮停止に係る制御処理を実行するように構成されていてもよい。
【0270】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、擬似遊技における左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させる場合において、左リールR1~右リールR3を一時停止させて擬似遊技共通タイマ194dが特定の値(第1の実施形態では値「78」、第2の実施形態では値「68」)に更新されたタイミングで左リールR1~右リールR3の振動を再開させるように構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、擬似遊技における左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させる場合において、左リールR1~右リールR3を一時停止することなく左リールR1~右リールR3のそれぞれの振動周期又は振動速度を変更する第2の動作を実行して、左リールR1~右リールR3の微小振動を同期させるように構成されていてもよい。
【0271】
また、第1、第2の実施形態において、リール制御手段130は、電断時においてまだ仮停止していないリールに対応するストップボタンを電源が切れている状態で押下し、押下した状態を維持して電力を復帰した場合に、電断が発生するまでに実行されていた割込み処理を電力の復帰とともに再開した時点でストップスイッチ240から出力される停止信号を有効化できるか否かを判定し、停止信号を有効化できる場合には、押下が維持されているストップボタンに対応するリールを停止(仮停止)し、停止信号を有効化できない場合には、押下が維持されているストップボタンに対応するリールの回転を継続するように構成されているが、これに限定されない。
【0272】
リール制御手段130は、例えば、電断が発生した後に電力を復帰した際に、割込み処理においてストップスイッチ240から出力される停止信号を有効化するように構成されることで、電断が発生した時点における割込み処理の進行によらず、押下が維持されているストップボタンに対応するリールを停止(仮停止)するように構成されていてもよい。
【0273】
また、リール制御手段130は、例えば、電断が発生した後に電力を復帰した際に、復帰時にストップボタンの押下が維持されて出力されている停止信号を無効なものとして扱うように構成されることで、電断が発生した時点における割込み処理の進行によらず、押下が維持されているストップボタンに対応するリールの回転を継続するように構成されていてもよい。
【0274】
また、第1、第2の実施形態において、リール制御手段130は、電断時から1つのストップボタンを押下し、該ストップボタンの押下が維持されている場合において、他のストップボタンを押下した場合に出力される停止信号を無効化するように構成されているが、これに限定されない。リール制御手段130は、例えば、電断時から1つのストップボタンを押下し、該ストップボタンの押下が維持されている場合において、他のストップボタンを押下した場合に出力される停止信号を有効化し、他のストップボタンに対応するリールを停止(仮停止)するように構成されていてもよい。
【0275】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、規定投入数のメダルを投入するマックスベットボタンMBを有しているが、これに限らず、例えば、マックスベットボタンMBに加え、1枚のメダルを投入するシングルベットボタンを有するように構成されていてもよい。
【0276】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、遊技価値として、メダルを投入及び払出可能に構成されているが、これに限定されない。スロットマシン1は、例えば、スロットマシン1の外部に設けられ、遊技者が遊技の用に供することができる遊技価値の総数を電磁的方法によって記録可能な構成を有する遊技価値管理装置(専用ユニット)から出力される投入信号に基づき、遊技価値を投入状態に設定し、遊技価値の払い出しを行う場合に、遊技価値管理装置へ払出信号を出力し、遊技価値管理装置において所定の記録媒体に払出信号に対応する遊技価値を電磁的方法によって記録するように構成されていてもよい。つまり、スロットマシン1は、いわゆるメダルレス遊技機から構成されていてもよい。
【0277】
このように構成される場合、スロットマシン1は、例えば、遊技者によって遊技価値管理装置に投入された金額に対応するクレジット数を表示するクレジット数表示手段を有するように構成される。また、スロットマシン1は、最大で16368枚のメダルに相当する遊技価値をクレジット可能に構成され、16368枚を超える遊技価値がクレジットされた場合、遊技制御手段をエラー状態に設定し、遊技価値管理装置を介して所定の記録媒体に電磁的方法によって記録される方式によって遊技価値が払い出されることで16368枚以下のクレジット数になるまで、遊技不可(遊技価値が投入状態に設定されずスタートレバーSLへの開始操作が有効化されない状態)に構成されていてもよい。
【0278】
また、このように構成される場合において、スロットマシン1は、有利区間において実行可能な遊技回数の上限を設定しない構成であってもよく、有利区間の特定終了条件について、差枚数の上限のみが設定される構成であってもよい。また、このように構成される場合において、スロットマシン1は、区間報知部500Aを有さず、有利区間であるか否かやメダルの獲得期待値が1以上となっているか否かを報知しない構成であってもよい。
【0279】
また、第1、第2の実施形態において、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ198bの記憶値を更新する差枚更新処理において、当該遊技におけるメダルの払出数が規定投入数未満であることで第2有利区間カウンタ198bの記憶値を減算した際に、第2有利区間カウンタ198bの記憶値が値「0」未満となる場合、第2有利区間カウンタ198bの記憶値を値「0」にセットするように構成されているが、これに限定されない。AT制御手段200は、差枚更新処理に第2有利区間カウンタ198bの記憶値を減算した際に第2有利区間カウンタ198bの記憶値が値「0」未満となる場合に、第2有利区間カウンタ198bに負の値を記憶するように構成されていてもよい。
【0280】
このように構成された場合、AT制御手段200は、第2有利区間カウンタ198bの記憶値が値「2401」以上となるまで有利区間を継続可能に構成される。このため、スロットマシン1では、例えば、メダルを獲得可能な演出状態に移行するまでに第2有利区間カウンタ198bの記憶値が負の値として値「-900」であった場合、メダルを獲得可能な演出状態において、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「0」になるまでの900枚と、第2有利区間カウンタ197bの記憶値が値「2401」以上になるまでの2401枚と、の合計3301枚のメダルが獲得可能となる。
【0281】
つまり、スロットマシン1は、有利区間が開始されメダルを獲得可能な演出状態に移行するまでに投入されたメダルと、メダルを獲得可能な演出状態において差枚数が2400枚を超えるまで獲得されたメダルと、を遊技者に払い出すことができ、有利区間において投入されたメダルの枚数によらず2400枚を超えるメダルを遊技者に獲得させることができる構成となる。
【0282】
また、第1、第2の実施形態において、スロットマシン1は、各カウンタや記憶手段の記憶値に初期値として値をセットし、毎回の遊技の実行時に1ずつ減算するデクリメント更新や、毎回の遊技の実行時に1ずつ加算するインクリメント更新を実行するように構成されているが、これに限らず、各カウンタや記憶手段の更新方法については乗算や除算等を実行するように構成されていてもよく、特に限定されない。
【符号の説明】
【0283】
1 スロットマシン(遊技機)
400 擬似遊技制御手段(回胴演出制御手段)
R1 左リール
R2 中リール
R3 右リール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12