(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160697
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】電流センサとその製造方法
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G01R15/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022082614
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】595176098
【氏名又は名称】甲神電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA04
2G025AA05
2G025AA15
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】端子ガイド板および、前記端子ガイド板を用いて磁気検出素子のリードピンをプリント配線基板のスルーホールに誘い込む工程を廃止し、高信頼性で安価で小型の電流センサを得る。
【解決手段】樹脂ケース2に、あらかじめ磁気検出素子4以外の部品を実装したプリント配線基板3を取り付け、その後、プリント配線基板3に設けられた貫通孔部10に、プリント配線基板3に接触しないように、磁気検出素子4の本体パッケージ部12を挿入、貫通し、樹脂ケース2に設けられた穴部11に沿わせて挿入し、磁気検出素子4のリード曲げ部16をプリント配線基板3のランド24に半田付けする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定電流が通電されるバスバーを保持する樹脂ケースと、
前記被測定電流を検出する検出素子と、
前記樹脂ケースに固定され、前記検出素子を搭載するプリント配線基板を有する電流センサであって、
前記検出素子は、検出素子本体を収容した本体パッケージ部から延出し、前記延出方向に対し略90度曲がった部分を含むリード曲げ部を有するように屈曲した複数のリードピンを有し、
前記樹脂ケースは、前記検出素子の本体パッケージ部を収容する穴部を有し、
前記プリント配線基板は、前記検出素子の本体パッケージ部が貫通する貫通穴を有することを特徴とする電流センサ。
【請求項2】
前記検出素子のリードピンは、異方向に屈曲したことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記検出素子は、複数個あることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記プリント配線基板は、前記貫通穴の周囲に、前記検出素子のリードピンと半田付けするランドを複数個有し、隣接する前記ランドの前記リード曲げ部の延伸方向の位置は、お互い重ならないようにずれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電流センサ。
【請求項5】
被測定電流が通電されるバスバーを保持する樹脂ケースにプリント配線基板を固定する工程と、
前記被測定電流を検出する検出素子の検出素子本体を収容した本体パッケージ部から延出したリードピンの少なくとも一部を略90度屈曲させた状態で、
前記検出素子の本体パッケージ部を、前記プリント配線基板に設けた貫通穴に貫通させた後、前記樹脂ケースに設けた穴部に収容し、前記検出素子のリードピンの屈曲部が前記プリント配線基板に接触した状態で保持する工程と、
前記検出素子のリードピンの屈曲部を、前記プリント配線基板に設けたランドに半田付けする工程とを備えた電流センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電流センサとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、モータ制御に用いられるインバータに搭載される電流センサは、2相以上が一体となっていて、各相ごとに、被測定電流を通電するためのバスバーと、被測定電流によりバスバー周囲に発生する磁束を集磁するためのコアと、コアで集磁した磁束を電気信号に変換する磁気検出素子と、前記磁気検出素子を搭載するための基板と、で構成されている。(例えば特許文献1参照)
【0003】
例えば特許文献1においては、電流センサのコアと検出素子の素子本体(磁気検出素子の本体パッケージ部)との組み付け精度を粗く設定すると、検出精度が低下するおそれがある。ハウジング(樹脂ケース)の保持部(穴部)にあらかじめ磁気検出素子の本体パッケージ部を挿入し、コアと磁気検出素子の本体パッケージ部の相対位置を精度よく配置しておき、そこに、複数のガイド孔を設けた板状部材である端子ガイド板を用いて、検出素子の接続端子(磁気検出素子のリードピン)を回路基板(プリント配線基板)の貫通孔(スルーホール)に誘い込み、はんだ付けにより固定する、という方法が用いられてきた。
また、本体パッケージ部から延出したリードピンはプリント配線基板上でのランド同士の絶縁距離を確保するために、予め、本体パッケージ部を挟んで互いに離間するように屈曲させ、さらに夫々のリードピンの端部を屈曲させ、プリント配線基板側に向かって延出するように加工されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電流センサにおいては、センサ特性に重要であるバスバーと磁気検出素子の相対位置関係、コアと磁気検出素子の相対位置関係を精度よく決めるため、複数の磁気検出素子を、あらかじめ1個ずつ、樹脂ケースに設けた穴部に位置決めしておき、その後、端子ガイド板を用いて、複数ある磁気検出素子のリードピンを、同時にプリント配線基板のスルーホールに誘い込みながら基板を組み付ける、という方法が用いられてきた。
【0006】
そのため、端子ガイド板を用いて、磁気検出素子のリードピンを矯正しながらプリント配線基板のスルーホールに誘い込む時に、磁気検出素子のリードピンが変形し、磁気検出素子の本体パッケージ部にストレスが加わり、故障や信頼性低下のリスクがあった。
また、磁気検出素子のリードピンをプリント配線基板のスルーホールに誘い込むための端子ガイド板が必要なため部品コストが高く、端子ガイド板は樹脂ケースとプリント配線基板の間に配置する必要があるため、電流センサの高さ方向の体格が大きくなるという問題があった。
さらに、磁気検出素子のリードピンの曲げ形状が複雑なため加工コストが高いという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、端子ガイド板などの追加部品を必要とせず、磁気検出素子のリードピン加工がシンプルで、これにより、高信頼性で、安価な電流センサを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電流センサにおいては、被測定電流が通電されるバスバーを保持する樹脂ケースと、被測定電流を検出する検出素子と、樹脂ケースに固定され、検出素子を搭載するプリント配線基板を有し、検出素子は、検出素子本体を収容した本体パッケージ部から延出し、延出方向に対し略90度曲がった部分を含むリード曲げ部を有するように屈曲した複数のリードピンを有し、樹脂ケースは、検出素子の本体パッケージ部を収容する穴部を有し、プリント配線基板は、検出素子の本体パッケージ部が貫通する貫通穴を有するものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、検出素子の複雑なリードピン曲げを必要とせず、樹脂ケースとプリント配線基板の間に、端子ガイド板等の部品を配置することなく、検出素子の本体パッケージ部にストレスを与えることなく、検出素子を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】 本発明の実施の形態1における電流センサを示す斜視図である。
【
図2】 本発明の実施の形態1における電流センサの内部構造を示す断面図である。
【
図3】 本発明の実施の形態1における電流センサの磁気検出素子を示す斜視図である。
【
図4】 本発明の実施の形態1における電流センサの内部構造を示す断面図の磁気検出素子挿入部の拡大図である。
【
図5】 本発明の実施の形態1における電流センサの磁気検出素子周辺の上面視拡大図である。
【
図6】 本発明の実施の形態1における電流センサの組立て方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の実施の形態1における電流センサ1を示す斜視図であり、
図2は、そのA-A断面図である。
図1において、5はバスバーであり、例えば銅からなり、電流センサ1が測定する被測定電流が流れる。
ここではバスバー5が3つある場合を示しており、これらのバスバー5は例えば一方は三相モータ(図示せず)の各相に接続され、もう一方は三相インバータ(図示せず)に接続され、電流センサ1は三相モータの3つの相電流を測定する。
2は樹脂ケースであり例えばPPS(ポリフェニルサルファイド)から成る。
3は、プリント配線基板であり、磁気検出素子4、図示しない電子部品、コネクタ6が半田付けにより実装されている。
プリント配線基板3は樹脂ケース2にネジ7などにより固定されている。
本発明においては以降特に説明しない場合、バスバー5の延伸方向をY方向、それと90度の角度を有しバスバー5が並ぶ方向をX方向、XY方向と90度の角度を有する方向をZ方向と称し、矢印の方向を正方向、その逆を負方向とする。
【0012】
図2において、8は例えばケイ素鋼板から成るコアで、バスバー5を周回する略C字形状を有している。
バスバー5を流れる被測定電流が発生する磁束は、コア8により集磁され、コア8に設けられたギャップ9内に配置された磁気検出素子4の感磁部により検出され、電気信号に変換、増幅されコネクタ6を介して外部に出力される。
樹脂ケース2は、バスバー5及びコア8をインサートなどにより固定し、インサートされたコア8のギャップ9の中央に矩形形状の穴部11を有す。
穴部11の内部とバスバー5やコア8は絶縁されており、磁気検出素子4の本体パッケージ部12が挿入されている。
【0013】
図3は、本発明の実施の形態1における電流センサ1の磁気検出素子4を示す斜視図であり、
図3において、12はX方向に感磁軸を持つ感磁部13(例えばホール素子等)や、感磁部13の出力を増幅する増幅回路等を、エポキシ樹脂等の絶縁材で収容(パッケージ)する本体パッケージ部であり、磁気検出素子4の電気信号を出力するためのリードピン14が例えば4本(図示手前からリードピン14a、14b、14c、14dと称す)Y方向に並んでいて、本体パッケージ部12からZ方向に延出し、所定の長さの後X方向に曲がっていて、所定の長さの後カットされている。
この延出方向(Z方向)の部分をリードストレート部15と称し(リードピン14aのリードストレート部15を15aとし、図示手前から15a、15b、15c、15dと称す)、延出方向に対して90度曲げた方向(X方向)の部分をリード曲げ部16と称し(リードピン14aのリード曲げ部16を16aとし、図示手前から16a、16b、16c、16dと称す)、カットされている端部をリード先端部17と称す(リードピン14aのリード先端部17を17aとし、図示手前から17a、17b、17c、17dと称す)。
リードストレート部15は、リードピン14a、14b、14c、14dとも同一の長さ(この長さについては後述する)であり、リード曲げ部16は、リードピン14aと14cがX負方向への曲げ、リードピン14bと14dがX正方向への曲げとなっている。リードピン14の曲げ加工は1本当たり1回である。
【0014】
リード曲げ部16の曲げ方向は、リードピン14aと14cがX正方向への曲げ、リードピン14bと14dがX負方向への曲げでもよい。また、リードピン14の本数は2本以上あればよく、リード曲げ部16は、全てのリードピン14が同方向(例えばX負方向)へ曲がっていてもよく、X負方向及びX正方向にそれぞれ少なくとも1本のリードピン14が異方向へ曲がっていてもよい。またリード曲げ部16は、その一部に延出方向(Z方向)に対して90度曲がっている部分があればよい。
【0015】
図4は、
図2におけるB部分の拡大図である。
プリント配線基板3には、磁気検出素子4の本体パッケージ部12を貫通することができる貫通孔部10が設けられており、貫通孔部10の図示左端面18aと磁気検出素子4の本体パッケージ部12の図示左側面19aとは距離22a離れており、貫通孔部10の図示右端面18bと磁気検出素子4の本体パッケージ12の図示右側面19bとは距離22b離れている。
距離22a、22bは例えば1mmである。
距離22a、22bは貫通孔部10と磁気検出素子4の本体パッケージ部12とのX方向のクリアランスであるが、Y方向にも所定のクリアランスを有しており、例えば1mmである。
また、貫通孔部10は、磁気検出素子4のリード曲げ部16は貫通しない大きさであり、X負方向へ曲げられたリード先端部17(リードピン14aと14cの先端部17aと17c)とX正方向へ曲げられたリード先端部17(リードピン14bと14dの先端部17bと17d)の距離、またはリード曲げ部16のX方向長さより、貫通孔部10の図示左端面18aから図示右端面18bの距離は小さい。
【0016】
プリント配線基板3の貫通孔部10と磁気検出素子4の本体パッケージ部12とのX方向のクリアランスは、プリント配線基板3の貫通孔部10に、磁気検出部素子4の本体パッケージ部12を挿入する際に、プリント配線基板3の貫通孔部10と磁気検出素子4の本体パッケージ部12とのX方向の位置ずれを考慮し、プリント配線基板3の貫通孔部10に、磁気検出部素子4の本体パッケージ部12が接触しない必要十分な距離を確保できていればよい。
プリント配線基板3の貫通孔部10と磁気検出素子の4の本体パッケージ部12とのY方向のクリアランスは、プリント配線基板3の貫通孔部10に、磁気検出部素子4の本体パッケージ部12を挿入する際に、プリント配線基板3の貫通孔部10と磁気検出素子の4の本体パッケージ部12とのY方向の位置ずれを考慮し、プリント配線基板3の貫通孔部10に、磁気検出部素子4の本体パッケージ部12が接触しない必要十分な距離を確保できていればよい。
【0017】
図5は、
図4における貫通孔部10周辺部分をZ負方向に見た図である。
図5において、24は磁気検出素子4のリード曲げ部16をプリント配線基板3にはんだ付けするためのランドである。
ランド24aは、リードピン14a用のランドであり、リード曲げ部16の延伸方向(X方向)幅は例えば2mmで、プリント配線基板3の貫通孔部10の図示左端面18aとランド24aの図示右端26aとの距離は例えば0.5mm離れている。
ランド24cは、リードピン14c用のランドであり、X方向幅は例えば2mmで、ランド24aと重ならないようによりX負方向に配置されていて、ランド24aの図示左端25aとランド24cの図示右端26cとの距離は例えば0.5mm離れており、ランド24cの図示左端25cと磁気検出素子4のリード先端部17cとの距離は例えば1mm離れている。
ランド24dは、リードピン14d用のランドであり、X方向の寸法は例えば2mmで、プリント配線基板3の貫通孔部10の図示右端面18bとランド24dの図示左端25dとの距離は例えば0.5mm離れている。
ランド24bは、リードピン14b用のランドであり、X方向の寸法は例えば2mmで、ランド24dと重ならないようによりX正方向に配置されていて、ランド24dの図示右端26dとランド24bの図示左端25bとの距離は例えば0.5mm離れており、ランド24bの図示右端26bと磁気検出素子4のリード先端部17bとの距離は例えば1mm離れている。
このように配置することで、プリント配線基板3のランド24と磁気検出素子4のリード曲げ部16のX方向の位置ずれを吸収でき、安定して信頼性の高い半田付けができる。
【0018】
ランド24aの、Y方向幅は例えば4mmで、磁気検出素子4のリード曲げ部16aのY方向幅の中心とランド24aの幅の中心が一致するように配置されている。
ランド24bの、Y方向幅は例えば4mmで、磁気検出素子4のリード曲げ部16bのY方向幅の中心とランド24bの幅の中心が一致するように配置されている。
ランド24cの、Y方向の寸法は例えば4mmで、磁気検出素子4のリード曲げ部16cのY方向幅の中心とランド24cの幅の中心が一致するように配置されている。
ランド24dの、Y方向の寸法は例えば4mmで、磁気検出素子4のリード曲げ部16dのY方向幅の中心とランド24dの幅の中心が一致するように配置されている。
ランド24aと24c、ランド24bと24dのリード曲げ部16の延伸方向(X方向)の位置を、ランド24のX方向幅を超えてずらして配置することで、ランド24のY方向の寸法を大きく設定することができ、プリント配線基板3のランド24と磁気検出素子4のリード曲げ部16のY方向の位置ずれを吸収でき、安定して信頼性の高い半田付けができる。
【0019】
プリント配線基板3の貫通孔部10の図示左端面18aとランド24aの図示右端26aとの距離と、プリント配線基板3の貫通孔部10の図示右端面18bとランド24dの図示左端25dとの距離は、プリント配線基板の製造において必要十分な距離を確保できていればよい。
ランド24dの図示右端26dとランド24bの図示左端25bとの距離と、ランド24aの図示左端25aとランド24cの図示右端26cとの距離は、所定の絶縁が確保できる必要十分な距離を確保できていればよい。
ランド24bの図示右端26bと磁気検出素子4のリード先端部17bとの距離と、ランド24cの図示左端25cと磁気検出素子4のリード先端部17cとの距離は、ランド24に対するリード先端部17の飛び出し量であるが、プリント配線基板3のランド24と磁気検出素子の4のリード先端部17とのX方向の位置ずれを考慮し、ランド24とリード曲げ部16が安定して信頼性の高い半田付けができる飛び出し量となるようリード先端部17とランド24が必要十分な距離を確保できていればよい。
ランド24のY方向幅は、他のリード曲げ部16と所定の絶縁が確保できる必要十分な距離を確保できていればよい。
なおランド24と他のリード曲げ部16とのY方向の距離が確保できるなら、ランド24aと24cやランド24bと24dは一方をX方向にずらすことなく、両者を同一のX方向位置に配置してもよい。
【0020】
図4において、樹脂ケース2の穴部11には、磁気検出素子4の本体パッケージ部12が挿入されるが、このとき、磁気検出素子4の本体パッケージ部12の図示左側面19aと、樹脂ケース2に設けられた穴部11の図示左側面20aとの距離23aは例えば0.05mmである。
また、磁気検出素子4の本体パッケージ部12の図示右側面19bと、樹脂ケース2に設けられた穴部11の図示右側面20bとの距離23bは例えば0.05mmである。
距離23a、23bは磁気検出素子4の本体パッケージ部12と樹脂ケース2に設けられた穴部11とのX方向のクリアランスであるが、Y方向にも所定のクリアランスを有しており、例えば0.05mmである。
また、磁気検出素子4の本体パッケージ部12の底面19cと、樹脂ケース2に設けられた穴部11の底面20cとの距離23cは例えば1mmである。
【0021】
前述の
図3のリードストレート部15の長さは、感磁検出素子4の感磁部13のZ方向の位置が、
図4に示すコア8のギャップ9のZ方向の略中心位置になるように設定されている。
【0022】
磁気検出素子4の本体パッケージ部12と樹脂ケース2に設けられた穴部11とのX方向、Y方向のクリアランスは、磁気検出素子4の本体パッケージ部12を樹脂ケース2の穴部11に挿入した状態において、磁気検出素子4の本体パッケージ部12と樹脂ケース2とのがたつきが小さくなるよう、できるだけ小さく設定するとよい。
【0023】
磁気検出素子4の本体パッケージ部12の底面19cと、樹脂ケース2に設けられた穴部11の底面20cと、の距離23cは、樹脂ケース2の穴部11に磁気検出素子4の本体パッケージ部12を挿入する際に、磁気検出素子4のリード曲げ部16の図示下面21がプリント配線基板3のランド24にあたる前に、磁気検出素子4の本体パッケージ部12の底面19cと、樹脂ケース2に設けられた穴部11の底面20cとが接触しないよう、必要十分な距離を確保していればよい。
【0024】
図6は、本発明の実施の形態1における電流センサ1のプリント配線基板3、磁気検出素子4、ネジ7を分解して示した斜視図である。
ここでは、電流センサ1の組立方法を説明する。
まず、バスバー5とコア8(
図2参照)をインサートなどにより固定した樹脂ケース2に、あらかじめ磁気検出素子4以外の部品を半田付け実装したプリント配線基板3をネジ7により組み付ける。
続いて、プリント配線基板3に接触しないように、磁気検出素子4の本体パッケージ部12をプリント配線基板3の貫通孔部10に貫通させ、樹脂ケース2の穴部11の左側面20aまたは右側面20b(
図4参照)に沿わせ樹脂ケース2の穴部11内に挿入し、磁気検出素子4のリード曲げ部16の図示下面21(
図4参照)がプリント配線基板3のランド24にあたるまで挿入する。
その後、レーザーはんだ等で、磁気検出素子4のリード曲げ部16とプリント配線基板3のランド24を半田固定する。
【0025】
このように構成された電流センサ1においては、あらかじめ樹脂ケース2に固定されたプリント配線基板3の貫通孔部10を貫通させるかたちで、プリント配線基板3に接触させることなく、磁気検出素子4の本体パッケージ部12を樹脂ケース2の穴部11に挿入し、その後磁気検出素子4のリードピン14をプリント配線基板3のランド24に乗せるかたちで位置決めし半田付けしているので、磁気検出素子4の本体パッケージ部12を樹脂ケース2の穴部11に挿入する際に、リードピン14が変形することはなく、磁気検出素子4の本体パッケージ部12にストレスが加わらないため、高信頼性な電流センサ1を得ることができる。
さらに、樹脂ケース2とプリント配線基板3の間に、リードピン14をランド24に導くための端子ガイド板を使用しないため、電流センサ1のZ方向の体格を小型化でき、部品追加によるコストアップを防ぎ、磁気検出素子4のリードピン14の曲げも1本あたり1回なので、小型で、安価な電流センサ1を得ることができる。
【0026】
なお上記では、被測定電流が流れるバスバーの周囲にコアを配置し、コアのギャップ内に磁気検出素子の本体パッケージ部を挿入配置し、感磁部を1つ有する磁気検出素子により、電流を測定する電流センサに、本発明を適用した場合について説明したが、本発明はコアを有さない電流センサに適用してもよく、例えば、特開2022-052554の
図11に示すようなコアを有さない電流センサで一般的に用いられる方法である、被測定電流が流れるバスバーの一部に板厚方向に貫通するスリットを設け、そのスリット内に磁気検出素子の本体パッケージ部を挿入配置し感磁部を2つ有する磁気検出素子により、そのスリット周辺の2点の磁束密度の差分を取る方法で電流を測定する電流センサにも適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 電流センサ
2 樹脂ケース
3 プリント配線基板
4 磁気検出素子
5 バスバー
6 コネクタ
7 ネジ
8 コア
9 (コアの)ギャップ
10 (プリント配線基板の)貫通孔部
11 (樹脂ケースの)穴部
12 (磁気検出素子の)本体パッケージ部
13 (磁気検出素子の)感磁部
14、14a、14b、14c、14d (磁気検出素子の)リードピン
15、15a、15b、15c、15d リードストレート部
16、16a、16b、16c、16d リード曲げ部
17、17a、17b、17c、17d リード先端部
18a (プリント配線基板の貫通孔部の)左端面
18b (プリント配線基板の貫通孔部の)右端面
19a (磁気検出素子の本体パッケージ部の)左側面
19b (磁気検出素子の本体パッケージ部の)右側面
19c (磁気検出素子の本体パッケージ部の)底面
20a (樹脂ケースの穴部の)左側面
20b (樹脂ケースの穴部の)右側面
20c (樹脂ケースの穴部の)底面
21 (磁気検出素子のリード曲げ部の)下面
22a (磁気検出素子の本体パッケージ部の左側面とプリント配線基板の貫通孔部の左端の)クリアランス
22b (磁気検出素子の本体パッケージ部の右側面とプリント配線基板の貫通孔部の右端の)クリアランス
23a (磁気検出素子の本体パッケージ部の左側面と樹脂ケースの穴部の左側面の)クリアランス
23b (磁気検出素子の本体パッケージ部の右側面と樹脂ケースの穴部の右側面の)クリアランス
23c (磁気検出素子の本体パッケージ部の底面と樹脂ケースの穴部の底面の)クリアランス
24a、24b、24c、24d ランド
25a (リードピン14a用のランドの)左端
25b (リードピン14b用のランドの)左端
25c (リードピン14c用のランドの)左端
25d (リードピン14d用のランドの)左端
26a (リードピン14a用のランドの)右端
26b (リードピン14b用のランドの)右端
26c (リードピン14c用のランドの)右端
26d (リードピン14d用のランドの)右端