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特開2023-160698梱包時の包装資材との係止構造を備えた電流センサ
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  • 特開-梱包時の包装資材との係止構造を備えた電流センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160698
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】梱包時の包装資材との係止構造を備えた電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20231026BHJP
   B65D 85/38 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G01R15/20 C
B65D85/38 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022082615
(22)【出願日】2022-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】595176098
【氏名又は名称】甲神電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】牧野 哲士
【テーマコード(参考)】
2G025
3E096
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB02
2G025AB14
2G025AC01
3E096AA09
3E096BA08
3E096BB08
3E096CA02
3E096CA06
3E096CB03
3E096DA04
3E096DA05
3E096EA01X
3E096EA02X
3E096FA09
3E096FA10
3E096FA30
3E096GA09
3E096GA11
3E096GA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電流センサに係る梱包資材のコストを低減し,なおかつ梱包時の製品保護強度の確保に優れた電流センサを提供する。
【解決手段】電流センサ100は,包装資材2に施した山形の形成部4に嵌合させるための略円筒形状となる係止構造1を備え,この略円筒形状となる係止構造1は,図1に示すように電流センサ100の筐体を介し一対で対向配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装資材に施した電流センサへの嵌合部と,これに嵌合させるための係止構造を備えることを特徴とする電流センサ
【請求項2】
前記包装資材は山形の形成部とし,前記係止構造は略円筒形状であり,前記係止構造は左右に一対を備え,平行もしくは千鳥状に配置することを特徴とする,請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
前記略円筒形状となる係止構造において,前記略円筒形状にテーパーまたは,前記略円筒形状の一部を略C字状となるように切り欠いた構造を特徴とする,請求項1または2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記包装資材はスリット状の溝とし,前記係止構造は略平板状であり,前記係止構造は左右に一対を備え,平行もしくは千鳥状に配置することを特徴とする,請求項1に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記包装資材はスリット状の溝とし,前記係止構造は略コの字形状であり,前記係止構造は左右に一対を備え,平行もしくは千鳥状に配置することを特徴とする,請求項1に記載の電流センサ
【請求項6】
前記係止構造は,電流センサの外殻にそれぞれ任意の数で配置されることを特徴とする,請求項1または2または4または5に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,出荷販売時の梱包形態として主に段ボール材を用いる電流センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電流センサでは,その出荷時の梱包形態として段ボール材等で製作され,およそ立方体をなす収納箱の中に,同じく段ボール材等で短冊状の帯を格子状に組み合わせた仕切り枠,もしくはポリスチロール材等で真空成型し製造されたパックトレイに電流センサを収め,およそ段ボール製の仕切り板とを組み合わせて複数段配置し,個々の電流センサが輸送時の衝撃や積層時の荷重などの外乱を受けても破損しないよう,またそれぞれの電流センサ外殻が相互に干渉しないようにするなど,収納箱への梱包後の荷役等で発生する外乱に対しての強度を十分に確保した上,電流センサ複数個を1箱の収納箱に収め梱包していた。
((図13),(図14)参照)
【0003】
しかしながら,梱包される電流センサの外殻形状は一様ではなく,例えば電流センサの筐体内に収納される構成部材の形状によっては,単純な立方体のような外殻形状ではなく,半円弧状を外殻の一端に有するとか,外部との電気的接続端子が外殻面から突出する部位を有するとか,機器への取付け締結用のため外殻端から突出させた部位を有する形状を併せ持つことが常である。
【0004】
このため,梱包形態において近似のサイズを有する電流センサの包装資材を共用させた場合,1台の電流センサを例えば格子状に組み合わされた仕切り枠で取り囲む梱包方法にあっては,仕切り枠のその格子状に直交する4平面で囲まれた空間内の寸法と電流センサ外殻寸法との差異によってクリアランスが生じる。
((図15)参照)
また,パックトレイに配置する梱包方法にあっては,パックトレイの製造工法において必要なパックトレイの抜き勾配面と電流センサ外殻平面との傾き差によりクリアランスが生じる。
((図16)参照)
これらの包装資材の形態と,そこに収めた電流センサとの間に生じるクリアランスにより,電流センサは梱包された箱内で移動しガタつく成分が発生する。
この梱包形態において生じる電流センサと包装資材とのクラアランス量にあっては,梱包後の荷役等で発生する外乱,つまり衝撃力や振動が加わることで電流センサの質量から慣性モーメントを増幅させ,電流センサの梱包状態での姿勢が移動・変化し,筐体外殻の破損や電気的接続端子が変形する原因となる。
また,電流センサの機種毎に異なっている外殻の形状やサイズに合わせ,より最適化するよう梱包仕様を設定するためには,包装資材となる仕切り枠やパックトレイ,並びに収納箱の形状やサイズを電流センサの機種毎に一品一様的に製作せざるを得ず,梱包のための包装資材の種類が増加し,非常にコストのかかる梱包形態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】なし
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流センサの機種毎に異なっている外殻の形状やサイズに合わせ,より最適化するよう梱包仕様を設定するためには,包装資材となる仕切り枠やパックトレイ,並びに収納箱の形状やサイズについて,電流センサの外殻形状が異なっている機種毎それぞれに,この包装資材と電流センサとのクリアランス量を抑制減少させた包装資材を一品一様で製作せざるを得ず,そのため梱包用の包装資材の種類が増加し,非常にコストのかかる梱包形態となる。
これに合わせて前記のように,包装資材の種類が増加することに伴い,電流センサの生産時における包装資材の調達・在庫管理・識別管理においても負荷の大きい作業となるという問題があった。
【0006】
また,電流センサを複数台並べて使用するような配置形態において,電流センサは,その本体内部に電流検出のために磁界を発生させ,これを検出する構造を有しており,配置する相互の電流センサ間の距離が設定する距離より近く設置してしまうと,本来は検出する必要のない隣接する他の電流センサが発生した磁界を検出してしまい測定電流値に誤差を生じる。そのため複数台を並べて使用するように配置する電流センサにあっては,一定の空間距離を保ち相互の磁界影響が及ばないよう設置する必要がある。
ただし,この設置のための空間距離は,取扱い説明書などで注意喚起を行うものの利用者側に任せられており,物理的に制限されるものでなく,誤った使用方法においては,電流センサの本来の電流測定の性能を損なう可能性があった。
【0007】
本発明は,かかる問題を解決するためになされたもので,梱包時の包装資材との係止構造を備えた電流センサにより,包装資材に対し電流センサを容易に,かつ位置決め精度を向上させた上で定位置に固定でき,梱包後の外乱に対しても十分な強度を確保する。 また,包装資材の共有化による仕様数の削減により,梱包に係る材料費,資材管理費用両面のコストを低減し,かつパックトレイのような樹脂製の梱包材料を排除することにより,環境負荷の改善においても効果をなす。
更に電流センサを隣接して配置,使用される場合において,電流センサそれぞれの外殻に設けた係止構造により,磁界発生部及び検出部を内包する電流センサの電流測定に係る性能誤差を生じるような密接して設置されてしまう行為を物理的に防止するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電流センサは,係止構造なるものを外殻表面から突出するよう配置し,およそ3mmから5mmの厚さを持つ主に段ボール製である包装資材には,略山形となる形状やスリット状の溝などを形成し,電流センサ側には,包装資材側に施した略山形の形状部と勘合させるための略円筒形状の係止構造や,包装資材側に施したスリット状の溝と嵌合させるための略平板形状の突起部となる係止構造を有するものである。
また,複数台の電流センサを相互に密接して配置しようとすると,隣り合う電流センサのそれぞれに設けた係止構造が相互に干渉することとなり,物理的に電流測定に係る測定誤差を生じるような距離で密接配置されることを防止するものである。
なお,この係止構造にあっては,電流センサを使用する機器側への設置時に,その機器への取付け面に実装される他の電子部品等におよそ干渉しない位置に配置される。
((図17)参照)
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば,電流センサの外殻に配置した係止構造により,外殻の寸法が近似サイズの電流センサであっても,係止構造の配置や大きさを揃えることで包装資材の共有による資材種類の削減を可能とし,梱包に係るコストを低減すると共に,包装資材に収納した電流センサを容易に,なおかつ位置決め精度を向上させた上で定位置に固定できることから,梱包後の外乱に対しても十分な強度を確保しやすくするとともに,梱包箱への収納や取り出しという作業動作の自動化への展開も可能とした。
また,エンドユーザの使用環境下において,複数台配置する電流センサにあって,密接する他の電流センサからの磁界影響を排除し,電流測定に係る誤差が生じることのない相互の空間距離を保てるようなされたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態1における電流センサと包装資材との嵌合形態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施の形態1における電流センサの対向する係止構造が平行に備わる際の密着取付け時の形態を示す正面図及び平面図である。
図3】本発明の実施の形態1における電流センサの対向する係止構造が千鳥状に備わる際の密着取付け時の形態を示す正面図及び平面図である。
図4】本発明の実施の形態1における係止構造の略円筒部にテーパ面を付加する形状を示す正面図と断面図である。
図5】本発明の実施の形態1における係止構造の略円筒形状の一部を略C字状となるように切り欠いた形態を示す正面図ならびに平面図である。
図6】本発明の実施の形態2における電流センサと包装資材との嵌合形態を示す斜視図である。
図7】本発明の実施の形態2における電流センサの対向する係止構造が平行に備わる際の密着取付け時の形態を示す正面図及び平面図である。
図8】本発明の実施の形態2における電流センサの対向する係止構造が千鳥状に備わる際の密着取付け時の形態を示す正面図及び平面図である。
図9】本発明の実施の形態2における係止構造を複数の略柱状なる突起形状とする形態を示す正面図及び側面図である。
図10】本発明の実施の形態2における係止構造を略コの字状とする形態を示す正面図及び側面図,並びに斜視図である。
図11】本発明の実施の形態3における係止構造1を複数配置した例を示す正面図及び側面図である。
図12】本発明の実施の形態3における係止構造1,並びに係止構造2の混在配置した例を示す正面図及び側面図である。
図13】従来電流センサの段ボールによる梱包形態の概要を示す斜視図である。
図14】従来電流センサのパックトレイによる梱包形態の概要を示す斜視図である。
図15】従来電流センサの段ボールによる仕切り枠を用いた梱包形態における梱包姿勢を示す平面図である。
図16】従来電流センサのパックトレイによる梱包形態における梱包姿勢を示す平面図と断面図である。
図17】本発明の全ての実施の形態に共通し,周辺機器への取付け面に実装された電流センサにあって,他の電子部品類におよそ干渉しない位置に配置された係止構造の形態を示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1における梱包時の係止構造1を有する電流センサ100と,その係止構造1に嵌合させる包装資材2を組合せた状態を示す斜視図,図2はその係止構造1を略円筒形状とする電流センサ100において,複数個の電流センサ100を密着し取付けされる際に,電流センサ相互の距離3を確保する姿勢を示した正面図及び平面図である。
【0012】
図1において,電流センサ100は,包装資材2に施した山形の形成部4を嵌合させるための,略円筒形状となる係止構造1を電流センサ筐体左右に一対を備え,この略円筒形状となる係止構造2は,図2に示すように電流センサの筐体を介して対向配置される一対の係止構造1が平行に配置される他,図3に示すように対向配置される一対の係止構造1を千鳥状に配置することにより,密着し取付けされる際の電流センサ相互の距離3を必要最小限で適正な距離を確保するよう形成するものである。
なお,係止構造1の略円筒形状にあっては,電流センサ100の筐体を射出成形する際の射出成形金型の上下分割の位置,射出成形後の樹脂の収縮応力による係止形状の変形予防,包装資材2の山形の形成部4との嵌合作業性の向上,包装資材2の山形形成部4と嵌合後の電流センサ100との固定位置精度の向上等を鑑みて,図4のように略円筒形状にテーパを付ける,図5のように略円筒形状の一部を略C字状となるように切り欠くなどしてもよい。
【0013】
実施の形態2.
実施の形態1では,包装資材と嵌合させるべく,電流センサの係止構造を略円筒形状としていたが,ここでは別形状の形態について説明する。
図6はこの発明の実施の形態2における梱包時の係止構造21を有する電流センサ200と,その係止構造21に嵌合させる包装資材22を組合せた状態を示す斜視図,図7はその係止構造21を略平板形状とする電流センサ200において,複数個の電流センサ200を密着し取付けされる際に,電流センサ相互の距離3を確保する姿勢を示した正面図である。
【0014】
図6において,電流センサ200は,包装資材22に施したスリット状の溝23と嵌合させるための,略平板形状の突起部となる係止構造21を電流センサ筐体左右に一対を備え,この略平板形状となる係止構造21は,図7に示すように電流センサの筐体を介して対向配置される一対の係止構造21が平行に配置される他,図8に示すように対向配置される一対の係止構造21を千鳥状に配置することにより,密着取付けされる際の電流センサ相互の距離3を必要最小限で適正な距離を確保するよう形成するものである。
なお,係止構造21の略平板形状にあっては,電流センサ200の筐体を射出成形する際の射出成形金型の上下分割位置の都合,射出成形後の樹脂の収縮応力による係止形状の変形予防,係止構造21の周辺部材との干渉による折損に備えた強度向上,包装資材22に設けたスリット状の溝23と嵌合後の電流センサ200との固定位置精度の向上等を鑑みて,例えば図9のように略平板形状を複数の柱状なる突起形状とする,図10のように略平板形状を略コの字形状にするなどしてもよい。
【0015】
実施の形態3.
実施の形態1並びに2では,電流センサの係止構造を一対としていたが,ここでは別形状の形態について説明する。
図11はこの発明の実施の形態3における梱包時の係止構造1を有する電流センサ300を示す斜視図である。
【0016】
図11において,外形サイズの縦・横寸法差が大きいものや,製品の重心位置に片寄りがあるものに対し,その梱包時の姿勢をより安定化させるため,電流センサ300のように包装資材と嵌合させるための係止構造1を電流センサ筐体周囲の任意箇所に複数箇所を備えるものである。
なお,係止構造1にあっては,包装資材との嵌合作業性の向上,包装資材と電流センサ300との固定位置精度の向上等を鑑みて,図12のように係止構造を配置する箇所毎に係止構造1と係止構造21とを混在する形態にしてもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 係止構造
2 包装資材
3 電流センサ相互の距離
4 山形の形成部
21 係止構造
22 包装資材
23 スリット状の溝
24 収納箱
25 仕切り枠
26 仕切り板
27 パックトレイ
28 従来の電流センサ例
29 従来の電流センサ28と近似サイズとなる従来の電流センサ
30 従来の電流センサと仕切り枠とのクリアランス
31 従来の電流センサとパックトレイ抜き勾配とのクリアランス
32 周辺機器に実装される電子部品等
100 電流センサ
200 電流センサ
300 電流センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17