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  • 特開-高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法 図1
  • 特開-高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法 図2
  • 特開-高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160708
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/48 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
G01N3/48
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146795
(22)【出願日】2022-09-15
(31)【優先権主張番号】202210427290.2
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521017642
【氏名又は名称】山東大学
【氏名又は名称原語表記】SHANDONG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.17923, Jingshi Road, Lixia District Jinan, Shandong 250061, China
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】季 忠
(72)【発明者】
【氏名】高 盈
(72)【発明者】
【氏名】王 建峰
(72)【発明者】
【氏名】侯 亜▲ぜん▼
(72)【発明者】
【氏名】盧 国▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 靭
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高歪率下での材料の硬度、弾性率、硬化指数、降伏強度等の力学的性質を測定し、高い測定効率と測定精度を有する高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法を提供する。
【解決手段】圧痕機構に向かって、短パルスレーザービームを圧痕機構の上端に発し、爆発性プラズマを引き起こすために使用されるレーザーフォーカサー3と、ハウジング内に位置し、垂直軸線に沿って移動するガイドロッドを含み、ガイドロッドのヘッドエンドが圧子11に接続され、ガイドロッドのテールエンドがレーザーフォーカサー3に向かって、発生した爆発性プラズマがガイドロッドと圧子11を押し、圧子11が試料載台1上に載置される被験材料を押し付ける圧痕機構と、圧子11の下のスペースに位置し、被験材料を載置するために使用され、被験材料が、圧子11の圧力を受けて圧痕を生じる試料載台1と、を含む高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧痕機構に向かって、短パルスレーザービームを圧痕機構の上端に発し、爆発性プラズマを引き起こすために使用されるレーザーフォーカサーと、
ハウジング内に位置し、垂直軸線に沿って移動するガイドロッドを含み、ガイドロッドのヘッドエンドが圧子に接続され、ガイドロッドのテールエンドがレーザーフォーカサーに向かって、発生した爆発性プラズマがガイドロッドと圧子を押し、圧子が試料載台上に載置される被験材料を押し付ける圧痕機構と、
圧子の下のスペースに位置し、被験材料を載置するために使用され、被験材料が、圧子の圧力を受けて圧痕を生じる試料載台と、を含む
ことを特徴とする高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項2】
前記試料載台、圧痕機構、レーザーフォーカサーはすべてフレームに接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項3】
前記試料載台は締め付け装置に接続され、締め付け装置により被験材料を試料載台の上面に固定する
ことを特徴とする請求項1に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項4】
前記レーザーフォーカサーは導光機構を介してパルスレーザー機器に接続され、パルスレーザー機器は制御モジュールに接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項5】
前記パルスレーザー機器は短パルスYAGレーザー機器または横方向励起TEA-COレーザー機器である
ことを特徴とする請求項1に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項6】
前記制御モジュールは、信号検出ユニットに接続され、変位および荷重信号を検出して収集するために使用され、信号検出ユニットは、ガイドロッドの下端に接続された変位センサおよび加速度センサを含み、変位センサおよび加速度センサは、信号コレクタを介して制御モジュールに接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項7】
前記ハウジングの内側には隙間が設けられ、隙間の上端は給気口に接続され、給気口にガスが充填されてガスキャビティが形成され、ガイドロッドの外側はガイドスリーブに同軸に接続され、ガイドスリーブはハウジングの内側に同軸に接続され、ガスキャビティが位置する領域をカバーする
ことを特徴とする請求項1に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項8】
前記ガイドスリーブとガイドロッドの断面はいずれも非円形を呈する
ことを特徴とする請求項7に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項9】
前記ハウジングの下端にはリセットポートが設けられ、リセットポートはハウジング内側の予約済スペースと連通し、空気を導入することでガイドロッドをリセットする
ことを特徴とする請求項7に記載の高歪率ナノ圧痕試験装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の装置による圧痕試験を実現する方法であって、
被験材料を試料載台に固定し、給気口からガスを導入し、ガスはガスキャビティに入り、ガイドスリーブとガイドロッドとの間にエアクッションを形成するステップと、
パルスレーザー機器がパルスレーザーを発射し、レーザーが導光機構とレーザーフォーカサーを介してガイドロッドのテールエンドに作用し、爆発性プラズマを生成し、爆発性プラズマが衝撃波圧力を発生させ、ガイドロッドを介して運動エネルギーを圧子に伝達し、圧子を押し下げて被験材料の表面に圧痕を生成するステップと、
信号コレクタが、検出された加速度と変位の出力信号を同期的に調整して収集し、それを制御モジュールに送信して荷重-変位曲線を取得するステップと、
リセットポートにガスを導入してガイドロッドをリセットするステップと、
圧痕の幾何学的パラメータを取得し、荷重-変位曲線を組み合わせて、高歪率下での材料の動的力学的性質パラメータを取得するステップと、を含む
ことを特徴とする圧痕試験を実現する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料力学の技術分野に関し、具体的に、高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この部分の記述は、本発明に関連する背景情報を提供するだけであり、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【0003】
ナノ圧痕技術は、圧子に作用する荷重と試料表面への圧痕の深さを測定することにより材料の荷重-変位(P-h)曲線を取得し、圧痕形状と組み合わせて、次に、相関関数を使用して材料の微小硬度、弾性率、破壊靭性、クリープ特性等のパラメータを取得するマイクロスケール材料向けの圧入測定技術である。
【0004】
ナノ圧痕測定時に、圧子のローディングプロセスは準静的プロセスと見なされることができ、静的または低速ローティング時に材料の力学的性質を測定するために使用できるが、高速ローディング、つまり高歪率での動的特性を測定することは困難であり、これによって爆発、高速衝突、動的破壊などの高歪率下での材料の動的応答を研究する場合に、正確な性能パラメータを使用することは困難であり、さらに材料の動的力学的性質を分析することも困難になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の背景技術に存在する技術的問題を解決するために、本発明は、レーザー誘起爆発性プラズマ衝撃波圧力を圧入荷重として使用し、ガイドロッドを介して圧子を高速で被験材料に圧入し、圧子の作用下で被験材料の高歪率塑性変形により、高歪率下での材料の硬度、弾性率、硬化指数、降伏強度等の力学的性質を測定し、高い測定効率と測定精度を有する高歪率ナノ圧痕試験装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を採用する。
【0007】
本発明の第1の態様は、
圧痕機構に向かって、短パルスレーザービームを圧痕機構の上端に発し、爆発性プラズマを引き起こすために使用されるレーザーフォーカサーと、
ハウジング内に位置し、垂直軸線に沿って移動するガイドロッドを含み、ガイドロッドのヘッドエンドが圧子に接続され、ガイドロッドのテールエンドがレーザーフォーカサーに向かって、発生した爆発性プラズマがガイドロッドと圧子を押し、圧子が試料載台上に載置される被験材料を押し付ける圧痕機構と、
圧子の下のスペースに位置し、被験材料を載置するために使用され、被験材料が、圧子の圧力を受けて圧痕を生じる試料載台と、を含む高歪率ナノ圧痕試験装置を提供する。
【0008】
試料載台、圧痕機構、レーザーフォーカサーはすべてフレームに接続される。
【0009】
試料載台は締め付け装置に接続され、締め付け装置により被験材料を試料載台の上面に固定する。
【0010】
レーザーフォーカサーは導光機構を介してパルスレーザー機器に接続され、パルスレーザー機器は制御モジュールに接続される。
【0011】
パルスレーザー機器は短パルスYAGレーザー機器または横方向励起強力TEA-COレーザー機器である。
【0012】
制御モジュールは、信号検出ユニットに接続され、変位および荷重信号を検出して収集するために使用され、信号検出ユニットは、ガイドロッドの下端に接続された変位センサおよび加速度センサを含み、変位センサおよび加速度センサは、信号コレクタを介して制御モジュールに接続される。
【0013】
ハウジングの内側には隙間が設けられ、隙間の上端は給気口に接続され、給気口にガスが充填されてガスキャビティが形成され、ガイドロッドの外側はガイドスリーブに同軸に接続され、ガイドスリーブはハウジングの内側に同軸に接続され、ガスキャビティが位置する領域をカバーする。
【0014】
ガイドスリーブとガイドロッドの断面はいずれも非円形を呈する。
【0015】
ハウジングの下端にはリセットポートが設けられ、リセットポートはハウジング内側の予約済スペースと連通し、空気を導入することでガイドロッドをリセットする。
【0016】
本発明の第2の態様は、
被験材料を試料載台に固定し、給気口からガスを導入し、ガスがガスキャビティに入り、ガイドスリーブとガイドロッドとの間にエアクッションを形成するステップと、
パルスレーザー機器がパルスレーザーを発射し、レーザーが導光機構とレーザーフォーカサーを介してガイドロッドのテールエンドに作用し、爆発性プラズマを生成し、爆発性プラズマが衝撃波圧力を発生させ、ガイドロッドを介して運動エネルギーを圧子に伝達し、圧子を押し下げて被験材料の表面に圧痕を生成するステップと、
信号コレクタが、検出された加速度と変位の出力信号を同期的に調整して収集し、それを制御モジュールに送信して荷重-変位曲線を取得するステップと、
リセットポートにガスを導入してガイドロッドをリセットするステップと、
圧痕の幾何学的パラメータを取得し、荷重-変位曲線を組み合わせて、高歪率下での材料の動的力学的性質パラメータを取得するステップと、を含む上記装置による圧痕試験を実現する方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
従来技術と比較して、上記の1つまたは複数の技術的解決手段には、次の有益な効果がある。
1、爆発性プラズマによりガイドロッドと圧子が被験材料へ押し付けるように駆動するプロセスは、爆発、高速衝突、動的破壊などの高速ローディングの影響下での材料の動的応答プロセスをシミュレートすることができ、それにより材料への高速ローディング、つまり高歪率での動的性能試験を実現する。
2、ガスキャビティとガイドスリーブによってガイドロッド側面に形成されたエアクッションをガス潤滑剤とすること、及びガイドスリーブとガイドロッドとの協働により、ガイドロッドと圧子の直線運動を保証するだけでなく、摩擦による運動エネルギーの損失を最小限に抑えることができ、且つ、圧子が被験材料に接触するときに、圧子が側面荷重の影響を受けないようにして、測定精度を確保することもできる。
3、ガイドロッドのテールエンドは、ほとんどすべてのレーザー放射を吸収し、すぐにプラズマを生成でき、複雑な前処理層及びアブレーション層の必要がなくなり、ガイドロッドを押す運動エネルギーを非常に短時間で発生させることができ、測定速度が速く、ハイスループット実験の要件を満たすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の一部を構成する明細書の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために使用され、本発明の例示的な実施例およびそれらの説明は、本発明を説明するために使用され、本発明に対する不適切な限定を構成するものではない。
【0019】
図1】本発明の実施例1で提供される圧痕試験装置の構造概略図である。
図2】本発明の実施例1で提供される圧痕試験装置における圧痕機構の構造概略図である。
図3】それぞれ、本発明の実施例1で提供される三角錐ベルコビッチ(berkovich)圧子の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0021】
指摘されるべきこととして、以下の詳細な説明はすべて例示的なものであり、本発明のさらなる説明を提供することを意図する。特に明記しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0022】
注意すべきこととして、本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明することのみを目的とし、本発明による例示的な実施形態を限定することを意図しない。本明細書で使用されるように、文脈上、別に明示しない限り、単数形は複数形を含むことも意図され、また、理解されるべきこととして、「含む」及び/又は「含み」という用語が本明細書で使用される場合に、それは、特徴、ステップ、操作、デバイス、構成要素及び/又はそれらの組み合わせの存在を示す。
【0023】
新しい材料の応用に伴って、材料は特徴サイズがますます小さくなり、フォース状況もますます複雑になっている。サイズが100μm以下である試料については、多くの従来の力学的性質試験方法、例えば硬度測定や引張試験で、材料試験の要件を満たすことができなくなったため、ナノ圧痕技術が徐々に使用されている。
【0024】
背景技術で説明したように、ナノ圧痕測定時に、静的または低速ローディング時に材料の力学的性質を測定するために使用できるが、高速ローディング、つまり高歪率での動的特性を測定することは困難であり、これによって爆発、高速衝突、動的破壊などの高歪率下での材料の動的応答を研究する場合に、正確な性能パラメータを使用することは困難であり、さらに材料の動的力学的性質を分析することも困難になる。
【0025】
したがって、次の実施例は、レーザー誘起爆発性プラズマ衝撃波圧力を圧入荷重として使用し、ガイドロッドを介して圧子を高速で被験材料に圧入し、圧子の作用下で被験材料の高歪率塑性変形により、高歪率下での材料の硬度、弾性率、硬化指数、降伏強度、等の力学的性質を測定し、高い測定効率と測定精度を有する高歪率ナノ圧痕試験装置を提供する。
【0026】
実施例1:
レーザーフォーカサーを使用して短パルスレーザービームを放出し、短パルスレーザービームが圧子ガイドロッドのテールエンドに作用して爆発性プラズマを発生させ、爆発性プラズマによる衝撃波圧がガイドロッド及び圧子を押し、圧子を数十ナノ秒又は数マイクロ秒で被験材料に圧入し、圧痕を発生させて荷重-変位曲線を得た。荷重-変位曲線と、圧痕から抽出された圧痕の幾何学的パラメータから、高歪率での材料の動的力学的性質を決定することできる。
【0027】
図1~3に示すように、高歪率ナノ圧痕試験装置であって、
圧痕機構に向かって、短パルスレーザービームを圧痕機構の上端に発し、爆発性プラズマを引き起こすために使用されるレーザーフォーカサー3と、
ハウジング内に位置し、垂直軸線に沿って移動するガイドロッド14を含み、ガイドロッド14の下端が圧子11に接続され、ガイドロッド14の上端がレーザーフォーカサー3に向かって、発生した爆発性プラズマがガイドロッド14と圧子11を押し、圧子11が試料載台1上に載置される被験材料を押し付ける圧痕機構と、
圧子11の下のスペースに位置し、被験材料を載置するために使用され、被験材料が、圧子11の圧力を受けて圧痕を生じる試料載台1と、を含む。
【0028】
本実施例において、圧子は高い剛性を有する必要があり、一般的に使用される圧子には、球状圧子、円錐状圧子、四角錐ビッカース圧子および三角錐ベルコビッチ(berkovich)圧子が含まれ、この実施では、図3に示すような三角錐ベルコビッチ(berkovich)圧子が使用されるが、要件に応じて異なる形状の他の圧子へ交換することもできる。
【0029】
試料載台1、圧痕機構、及びレーザーフォーカサー3はいずれもフレームに接続された。
【0030】
試料載台1は締め付け装置2に接続され、締め付け装置2により被験材料を試料載台1の上面に固定した。
【0031】
本実施例において、締め付け装置2の構造は特に限定されないが、試料載台1と締め付け装置2とから、試験中に被験材料を載置固定するための作業台を形成した。
【0032】
レーザーフォーカサー3は導光機構4を介してパルスレーザー機器5に接続され、パルスレーザー機器5は制御モジュール6に接続された。
【0033】
本実施例において、パルスレーザー機器5は、好ましくは短パルスYAGレーザー機器、または横方向励起高強度TEA‐COレーザー機器である。パルスレーザー機器は、試験要件に従ってさまざまなプロセスパラメータ、例えばレーザーパルスエネルギー、パルス持続時間、レーザースポットサイズ等のパラメータを調整することができる。
【0034】
制御モジュール6は、信号検出ユニットに接続され、変位および荷重信号を検出して収集するために使用され、信号検出ユニットは、ガイドロッド14の下端に接続された変位センサ9および加速度センサ8を含み、変位センサ9および加速度センサ8は、信号コレクタ7を介して制御モジュール6に接続された。
【0035】
ハウジングの内側には隙間が設けられ、隙間の上端は給気口15に接続され、給気口15に一定圧のガスが充填されてガスキャビティ12が形成され、ガイドロッド14の外側はガイドスリーブ13に同軸に接続され、ガイドスリーブ13はハウジングの内側に同軸に接続されるとともに、ガスキャビティ12が位置する領域をカバーした。
【0036】
本実施例において、給気口15に導入されるガスは空気であり、空気は、ガスキャビティ12およびガイドスリーブ13を通過して、ガイドロッド14の周辺側面にエアクッションを形成して、ガス潤滑剤として作用し、ガイドロッド14の外側面の摩擦からガイドロッド14の軸方向の動きへの妨げを低減した。
【0037】
本実施例において、ガイドスリーブ13は多孔質炭素材料であってもよく、ガイドロッド14は高炭素鋼材料であってもよい。
【0038】
本実施例において、ガイドスリーブ13およびガイドロッド14の断面は、ガイドロッドが回転するのを防止するために、いずれも非円形を呈し、この実施例は正方形を選択した。
【0039】
本実施例において、ガイドスリーブ13の内壁は、ガイドロッド14の外壁とが隙間ばめであり、ガスキャビティ12は、ガイドスリーブ13を固定するためのガイドスリーブ13のホルダーとしても機能した。
【0040】
ハウジングの下端にはリセットポート16が設けられ、リセットポート16はハウジング内側の予約済スペースと連通し、空気を導入することでガイドロッド14を上へ移動させてリセットした。
【0041】
本実施例において、ガイドロッド14の下部には、一回りの隆起したフランジが付けられ、隆起したフランジからガイドロッド14の上端までの領域は、ガイドスリーブ13とともに隙間ばめを形成し、隆起したフランジの下端は、ハウジングおよび圧子11と共にキャビティを形成し、該キャビティはリセットポート16と連通し、リセットポート16に空気が導入された後、空気はガイドロッド14を押すとともに圧子11を駆動して上へ移動させ、リセットを実現した。
【0042】
上記の構造は、レーザー機器を使用して短パルスレーザービームを放出し、短パルスレーザービームが圧子ガイドロッドのテールエンド(上端)に作用して爆発性プラズマを発生させ、爆発性プラズマによる衝撃波圧がガイドロッド及び圧子を押し、圧子を非常に短い時間(数十ナノ秒または数マイクロ秒)で被験材料に圧入して圧痕を発生させ、制御モジュールによって取得された荷重-変位曲線と、圧痕から抽出された圧痕の幾何学的パラメータにより材料の動的力学的性質を決定することができる。
【0043】
現在のナノ圧痕試験では、高速ローディングを得ることができないため、高歪率での材料の動的特性試験を行うことができない。一方、上記の構造は、爆発性プラズマによりガイドロッドと圧子が被験材料へ押し付けるように駆動するプロセスを利用して、爆発、高速衝突、動的破壊等の影響下での材料の動的応答プロセスをシミュレートすることができ、それにより材料への高速ローディング、つまり高歪率での動的性能試験を実現した。
【0044】
上記の構造は、爆発性プラズマを利用して高速ローディングを実現するだけでなく、さらにガスキャビティとガイドスリーブによってガイドロッド側面に形成されたエアクッションをガス潤滑剤とすることにより、高速運動時の摩擦効果を最小限に抑え、摩擦による運動エネルギーの損失を低減させるとともに、ガイドスリーブとガイドロッドとの協働により、ガイドロッドと圧子の直線運動を実現し、圧子が被験材料に接触するときに側面荷重の影響を受けないようにして、測定精度を確保した。
【0045】
YAGレーザーまたはTEA-COレーザーのいずれを使用する場合でも、スチールガイドロッドのテールエンドはほとんどすべてのレーザー放射を吸収し、即座にプラズマを生成でき、複雑な前処理層及びアブレーション層の必要がなく、ガイドロッドを押す運動エネルギーを非常に短時間で発生させることができ、測定速度が速く、ハイスループット実験の要件を満たすことができる。
【0046】
実施例2:
実施例1の装置による圧痕試験を実現する方法であって、
被験材料を試料載台に固定し、締め付け装置の締め付け力の大きさを調整することによりそれを固定するステップと、
制御モジュールの作用により、給気口にガスを導入し、ガスがガスキャビティに入り、ガイドスリーブとガイドロッドとの間にエアクッションを形成するステップと、
制御モジュールが、パルスレーザー機器がパルスレーザーを放出するように制御し、レーザーが導光機構とレーザーフォーカサーを介してガイドロッドのテールエンド(上端)に作用し、爆発性プラズマを生成し、爆発性プラズマが衝撃波圧力を発生させるとともに、ガイドロッドを介して運動エネルギーを圧子に伝達し、圧子を押し下げて、被験材料の表面に圧痕を生成するステップと、
加速度センサが圧子の加速度信号を検出し、変位センサが圧子の押し下げストロークを検出し、フィードバック信号として制御モジュールに戻し、パルスレーザー機器とガイドロッドに対して制御を行って閉ループを実現すると同時に、信号コレクタによって検出された加速度と変位の出力信号を同期的に調整して収集し、コンピュータ端末に送信して処理し、荷重-変位曲線を得るステップと、
終了後、制御モジュールによりリセットポートにガスを導入し、ガイドロッドを上へ移動させてリセットし、顕微鏡を介して圧痕の幾何学的パラメータを取得し、荷重-変位曲線と組み合わせて、関連する動的モデルに基づいて材料の動的力学的性質を得るステップと、を含む。
【0047】
爆発性プラズマによりガイドロッドと圧子が被験材料に押し付けるように駆動するプロセスは、爆発、高速衝突、動的破壊などの影響下での材料の動的応答プロセスをシミュレートすることができ、それにより材料への高速ローディング、つまり高歪率での動的性能試験を実現した。
【0048】
高速ローディングを実現するプロセスで、さらにガスキャビティとガイドスリーブによってガイドロッド側面に形成されたエアクッションをガス潤滑剤とすることにより、高速運動時の摩擦効果を最小限に抑え、摩擦による運動エネルギーの損失を低減させるとともに、ガイドスリーブとガイドロッドの協働により、ガイドロッドと圧子の直線運動を実現し、圧子が被験材料に接触するときに側面荷重の影響を受けないようにして、測定精度を確保した。
【0049】
YAGレーザーまたはTEA-COレーザーのいずれを使用する場合でも、スチールガイドロッドのテールエンドはほとんどすべてのレーザー放射を吸収し、即座にプラズマを生成でき、複雑な前処理層及びアブレーション層の必要がなく、ガイドロッドを押す運動エネルギーを非常に短時間で発生させることができ、測定速度が速く、ハイスループット実験の要件を満たすことができる。
【0050】
上記の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定することを意図するものではなく、当業者にとって、本発明は、様々な修正および変更を行うことができる。本発明の思想と原則の範囲内で行われた任意の修正、同等の置換、改善などについては、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0051】
1 試料載台
2 締め付け装置
3 レーザーフォーカサー
4 導光機構
5 パルスレーザー機器
6 制御モジュール
7 信号コレクタ
8 加速度センサ
9 変位センサ
10 ガスバルブ
11 圧子
12 ガスキャビティ
13 ガイドスリーブ
14 ガイドロッド
15 給気口
16 リセットポート
図1
図2
図3