(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160751
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ユニークな給油配置のジャーナル軸受
(51)【国際特許分類】
F01D 25/16 20060101AFI20231026BHJP
F16C 17/02 20060101ALI20231026BHJP
F16N 7/38 20060101ALI20231026BHJP
F16N 31/00 20060101ALI20231026BHJP
F16N 29/02 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F01D25/16 A
F16C17/02 Z
F16N7/38 C
F16N31/00 A
F16N31/00 B
F16N29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061938
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/363,429
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】シャロウ、エドワード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】スワート、トーマス ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】メンドーサ バレラ、ヘラルド
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA06
3J011BA02
3J011BA13
3J011JA02
3J011KA02
3J011PA03
3J011RA03
(57)【要約】
【課題】構成の異なる複数のタービンエンジンからなるタービンフリート全体でレトロフィットによって均一な供給配置をもたらす。
【解決手段】
ジャーナル軸受アセンブリ(100)の第2の側(210)に外部給油ポート(220)を形成し、第1の側(200)の内部給油ポート(250)と連通する供給穴(240)から第2の側(210)の外部給油ポート(220)まで接続穴(230)を穴あけ加工することによって、外部給油ポート(220)をジャーナル軸受アセンブリ(100)の第1の側(200)から第2の側(210)に移動する。ジャーナル軸受アセンブリ(100)は、外側シェル(150)と、外側シェル(150)の第1の側(200)の内部給油ポート(250)と、外側シェル(150)の第2の側(210)にある外部給油ポート(220)と、内部給油ポート(250)及び外部給油ポート(220)と連通する接続穴(230)とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービンエンジン(10)のロータ軸(45)で使用するためのジャーナル軸受アセンブリ(100)であって、
外側シェル(150)と、
前記外側シェル(250)の第1の側(200)の内部給油ポート(250)と、
前記外側シェル(250)の第2の側(210)の外部給油ポート(220)と、
前記内部給油ポート(250)及び前記外部給油ポート(220)と連通する接続穴(230)と
を含むジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項2】
前記外側シェル(150)が上半部(110)及び下半部(120)を含む、請求項1に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項3】
前記外側シェル(150)が内側軸受面(170)を含む、請求項1に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項4】
前記内側軸受面(170)が軸開口(180)を含む、請求項3に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項5】
前記内部給油ポート(250)が前記内側軸受面(170)と連通している、請求項3に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項6】
前記軸開口(180)を通して前記ロータ軸(45)が収容されている、請求項4に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項7】
前記内側軸受面(170)と連通する内部排油ポート(260)をさらに含む、請求項3に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項8】
前記内部排油ポート(260)が、前記外側シェル(150)の第2の側(210)に位置する、請求項7に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項9】
前記内部排油ポート(260)と連通する排油穴(270)をさらに含む、請求項7に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項10】
前記外側シェル(150)が、その上に配置される複数の支持パッド(160)を含む、請求項9に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項11】
前記排油穴(270)が、前記複数の支持パッド(150)から分離されている、請求項10に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項12】
前記内部給油ポート(250)及び前記接続穴(230)と連通する供給穴(240)をさらに含む、請求項1に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項13】
前記接続穴(230)が、その上にキャップ(290)を含む、請求項1に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項14】
当該ジャーナル軸受アセンブリの内部を通る油の流れ(280)をさらに含む、請求項1に記載のジャーナル軸受アセンブリ(100)。
【請求項15】
外部給油ポート(220)をジャーナル軸受アセンブリ(100)の第1の側(200)から第2の側(210)に移動する方法であって、
第2の側(210)に外部給油ポート(220)を形成するステップと、
第1の側(200)の内部給油ポート(250)と連通する供給穴(240)から第2の側(210)の外部給油ポート(220)まで接続穴(230)を穴あけ加工するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願及びその成果として特許は、広義には回転機械に関し、さらに具体的には、製造業者が異なり構成の異なる複数の蒸気タービンエンジンのフリート全体で均一な給油ポートをもたらすユニークな給油配置を有するレトロフィットジャーナル軸受アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンエンジンなどでは、複数の圧力セクションを貫通する回転軸を支持するために複数のジャーナル軸受が常用される。油又は他の種類の潤滑剤が軸受の内面と軸との間に流すことがある。油その他の潤滑剤は、給油ポートを介してジャーナル軸受に入り、ロータ軸の周りを流れ、排油ポートを介して排出される。タービン製造業者が異なると、給油ポートが異なる位置に配置されることがある。例えば、ある製造業者は給油ポートを上向き側に配置し、他の製造業者は給油ポートを下向き側に配置することがある。しかし、全体的な運転及び保守効率を向上させるため、蒸気タービンエンジンなどのフリート全体で均一性をもたせることが望ましい。好ましくは、こうしたレトロフィットは、他の形式のタービンエンジン部品の現場改修をほとんど必要とせずに、最小限のダウンタイムで達成し得る。
【発明の概要】
【0003】
そこで、本出願及びその成果として特許は、タービンエンジンのロータ軸で使用するためのジャーナル軸受アセンブリを提供する。本ジャーナル軸受アセンブリは、外側シェルと、外側シェルの第1の側の内部給油ポートと、外側シェルの第2の側の外部給油ポートと、内部給油ポート及び外部給油ポートと連通する接続穴とを含む。
【0004】
本出願及びその成果として特許は、さらに、外部給油ポートをジャーナル軸受アセンブリの第1の側から第2の側に移動する方法を提供する。本方法は、第2の側に外部給油ポートを形成するステップと、第1の側の内部給油ポートと連通する供給穴から第2の側の外部給油ポートまで接続穴を穴あけ加工するステップとを含む。
【0005】
本出願及びその成果として特許は、さらに、蒸気タービンエンジンを提供する。蒸気タービンエンジンは、複数の圧力セクションと、それらの圧力セクションを貫通するロータ軸と、ロータ軸を支持する複数のジャーナル軸受アセンブリとを含む。ジャーナル軸受アセンブリは、その第1の側の内部給油ポートと、その第2の側の外部給油ポートとを含む。
【0006】
本出願及びその成果として特許の上記その他の特徴及び改良については、以下の詳細な説明を図面及び特許請求の範囲の記載と併せて参照することにより、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】複数の圧力セクションとロータ軸と複数のジャーナル軸受とを備える例示的な蒸気タービンエンジンの概略図。
【
図2】本願に記載のジャーナル軸受アセンブリの分解図。
【
図3】
図2のジャーナル軸受アセンブリの部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照するが、図面を通して同様の部材には同様の符号を付した。
図1は、蒸気タービン10の一例の概略図を示す。概説すると、蒸気タービン10は、高圧セクション15と中圧セクション20とを含むことがある。他のセクションでの他の圧力も使用し得る。外側シェル又はケーシング25は、上半セクション30と下半セクション35とに軸方向に分割し得る。ケーシング25の中央セクション40は、高圧蒸気入口45及び中圧蒸気入口50を含んでいてもよい。ケーシング25内で、高圧セクション15及び中圧セクション20をロータ軸55の周りに配置し得る。ロータ軸55は、複数のジャーナル軸受60によって支持し得る。蒸気シールユニット65をジャーナル軸受60の各々の中央よりに配置してもよい。環状セクション仕切り70が、中央セクション40からロータに向かって半径方向内向きに延在していてもよい。環状セクション仕切り70は、複数のパッキンケーシング75を含んでいてもよい。その他の部品及びその他の構成も使用し得る。
【0009】
運転中、高圧蒸気入口45は、蒸気源から高圧高温の蒸気を受け取る。蒸気は高圧セクション15に導かれ、ロータ軸55の回転によって蒸気から仕事を抽出する。蒸気は高圧セクション15を出て、次いで再加熱のため蒸気源に戻してもよい。再熱蒸気は、次いで中圧蒸気入口50に導くことができる。蒸気は、高圧セクション15に入る蒸気よりも低圧ではあるが高圧セクション15に入る蒸気の温度とほぼ等しい温度で、中圧セクション20に戻すことができる。
【0010】
図2は、本願に記載のジャーナル軸受アセンブリ100の分解図を示す。概説すると、ジャーナル軸受アセンブリ100は、第1の半部又は上半部110と、第2の半部又は下半部120とを含んでいてもよい。上半部110及び下半部120は、複数のボルト130その他の留め具で固定し得る。上半部110及び下半部120は、外側シェル150に形成された複数の支持パッド陥凹部140を有していてもよい。そこに支持パッド160を固定してもよい。支持パッド160は、全体的な支持構造の一部であってもよい。内側軸受面170は、軸開口180を画成する。軸開口180は、所期のロータ軸55の構成に応じた寸法とすることができる。その他の部品及びその他の構成も使用し得る。
【0011】
図3は、蒸気タービン10(発電機端とは反対側)から観たジャーナル軸受アセンブリ100の断面図を示し、ロータ軸55の回転方向を矢印190で示す。この方向から観て、外側シェル150は、第1の側又は左側200と、第2の側又は右側210とを有する。ジャーナル軸受アセンブリ100は、外部給油ポート220を外側シェル150の下半部120の右側210に有していてもよい。左側200の既存の供給穴240から右側210の外部給油ポート220まで、外側シェル150の下半部120を通して接続穴230を穴あけ加工してもよい。既存の供給穴240は、内部給油ポート250と連通している。内部給油ポート250は、内側軸受面170を貫通して、軸開口180と連通していてもよい。外部給油ポート220と内部給油ポート250は、ジャーナル軸受アセンブリ100全体の両側にある。
【0012】
内部排油ポート260は、内部給油ポート250と反対側の軸開口180の右側に配置してもよい。内部排油ポート260は、排油穴270と連通している。排油穴270は、軸開口180から油の流れを排液するように他の構成要素と連通している。その他の部品及びその他の構成も使用し得る。
【0013】
使用に際して、油280その他の種類の潤滑剤の流れは、外部給油ポート220に入り、接続穴230、供給穴240及び内部給油ポート250を順次通って軸開口180に流れ込み、そこでのロータ軸55の円滑な回転をもたらすことができる。このように、流入する油280の流れは、右側210の外部給油ポート220から始まり、左側200の内部給油ポート250へと流れる。油280の流れは、内側軸受面170に沿ってロータ軸55の回転方向190に進み、内部排油ポート260及び排油穴270を通って出る。
【0014】
既存のジャーナル軸受60をレトロフィットして外部給油ポート220をジャーナル軸受アセンブリ100の右側210に配置するために、外部給油ポート220を外側シェル150に穴あけ加工その他の方法で形成してもよい(或いは、従前の排液ポートなどの既存のポートを利用してもよい)。外部給油ポート220と既存の供給穴240とを接続するために接続穴230を穴あけ加工してもよい。接続穴230を塞ぐためにキャップ290を外側シェル150内に配置してもよい。排油穴270も同様に、内部排油ポート260から、軸方向に外側シェル150から出るように穴あけ加工し得る(従来の軸受支持構造との界面まで半径方向に延在していた既存の通路とは対照的に)。
【0015】
本ジャーナル軸受アセンブリ100は、こうして、外部給油ポート220及び内部給油ポート250を外側シェル150の両側に配置することができるようになる。さらに、軸受支持構造を貫通する外部排油ポートは必要なく、現場での改修が不要となる。ジャーナル軸受アセンブリ100は、このように、蒸気タービン10のフリート全体に均一性を提供する。蒸気タービン10に関してジャーナル軸受アセンブリ100を説明してきたが、本ジャーナル軸受アセンブリ100は、ガスタービンエンジンその他のタイプの回転機械にも適用できる。
【0016】
以上の説明は、本出願及びその成果として特許の幾つかの実施形態に関するものにすぎない。当業者であれば、以下の特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想及び技術的範囲並びにその均等の範囲から逸脱せずに、様々な変更及び修正をなすことができる。
【符号の説明】
【0017】
10 タービンエンジン
45 ロータ軸
100 ジャーナル軸受アセンブリ
110 上半部
120 下半部
150 外側シェル
170 内側軸受面
180 軸開口
200 外側シェルの第1の側
210 外側シェルの第2の側
220 外部給油ポート
230 接続穴
250 内部給油ポート
【外国語明細書】