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特開2023-160763硬化性組成物、被覆材組成物およびそれらの硬化物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160763
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】硬化性組成物、被覆材組成物およびそれらの硬化物
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20231026BHJP
   C08F 290/04 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F290/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065014
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2022070233
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513026399
【氏名又は名称】三菱ケミカルインフラテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】小高 一義
【テーマコード(参考)】
4J127
【Fターム(参考)】
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB021
4J127BB022
4J127BB031
4J127BB032
4J127BB091
4J127BB092
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC022
4J127BC131
4J127BD071
4J127BD412
4J127BG021
4J127BG272
4J127CB141
4J127CB152
4J127CC092
4J127DA15
4J127DA16
4J127DA39
4J127DA46
4J127DA66
4J127EA07
4J127FA48
(57)【要約】
【課題】硬化性組成物の引火性が低く、硬化物の機械特性(引張強度)および耐衝撃性に優れ、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料として有用なアクリル系の硬化性組成物の提供。
【解決手段】分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと、ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水素添加されたポリブタジエン骨格または水素添加されたポリイソプレン骨格を有する1種以上の化合物Bと、前記化合物A以外の化合物であって、炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物由来の構成単位を10質量%以上有するアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ならびにポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の化合物Cと、還元剤Dと、を特定の比率で含む硬化性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと、
ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水素添加されたポリブタジエン骨格または水素添加されたポリイソプレン骨格を有する1種以上の化合物Bと、
前記化合物A以外の化合物であって、炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物由来の構成単位を10質量%以上有するアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ならびにポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の化合物Cと、
還元剤Dと、を含み、
前記化合物A~C、任意成分である前記化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、前記化合物Aを10~90質量部、前記化合物Bを1~50質量部、前記化合物Cを3~60質量部、前記還元剤Dを0.01~20質量部含む、硬化性組成物。
【請求項2】
前記化合物A~C、任意成分である前記化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、ワックスEを0.01~5質量部含む請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記化合物Bが(メタ)アクリロイル基を有する化合物である請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記硬化性組成物の引火点が15℃以上である請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物を含む、被覆材組成物。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の硬化性組成物の硬化物であって厚さが0.1~20cmである、硬化物。
【請求項7】
請求項5に記載の被覆材組成物の硬化物であって厚さが0.1~20cmである、硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物、被覆材組成物およびそれらの硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面や壁面等を被覆するために、不飽和ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂を使用する方法が知られている。しかし、不飽和ポリエステル系樹脂は、耐溶剤に優れるが、耐候性に劣り、低温施工性が悪い。エポキシ系樹脂は、下地との密着性に優れるが、耐候性に劣り、硬化時間が長く、低温での硬化性に劣る。ポリウレタン系樹脂は、弾力性、柔軟性に優れるが、硬化時間が長い。
【0003】
そこで、これらの樹脂に代えて、硬化時間が短く、低温硬化性に優れ、耐候性、耐薬品性に優れるアクリル系硬化性組成物が、一般に使用されている。しかしながら、アクリル系硬化性組成物は、一般に引火性の高いメタクリル酸メチルを主成分としており、引火による火災の危険性を有している。
【0004】
一方、メタクリル酸メチルを含まないアクリル系硬化性組物が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、アルキルシクロヘキシル骨格を有する(メタ)アクリレート類を主成分とするアクリル系レジンコンクリート組成物が記載されている。しかし、特許文献1に記載の組成物は、硬化被膜の表面の硬化性が劣る傾向にある。
【0005】
特許文献2には、イソボルニルメタクリレートおよびヒドロキシプロピルメタクリレート等を単量体として含有する組成物が記載されている。特許文献3には、炭素数6~16のアルキル(メタ)アクリレートを含むポリマーコンクリート用樹脂組成物が記載されている。しかし、特許文献2、3に記載のいずれの組成物も、臭気低減に対する効果は不十分であり、被膜表面の硬化性が劣る傾向にある。
【0006】
特許文献4には、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートを含有する硬化性樹脂組成物が記載されている。特許文献5には、ジシクロペンテニルオキシアルキル(メタ)アクリレートを含む樹脂組成物が記載されている。しかし、特許文献4、5に記載のいずれの組成物も、塗膜の表面の硬化性が不十分である。
【0007】
特許文献6には、メタクリル酸テトラヒドロフルフリルを含む樹脂組成物が記載されている。しかし、特許文献6の樹脂組成物は、硬化物の靭性が乏しく硬化物の機械特性(引張強度)および耐衝撃性を両立できないという問題点を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平1-141851号公報
【特許文献2】特開平5-186539号公報
【特許文献3】特開平6-329456号公報
【特許文献4】特開平10-87770号公報
【特許文献5】特開平10-158364号公報
【特許文献6】特開2015-78264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、引火性が低く、硬化物の機械特性(引張強度)および耐衝撃性に優れ、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料として有用なアクリル系の硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の[1]~[7]を要旨とする。
[1]分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する1種以上の化合物Aと、
ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水素添加されたポリブタジエン骨格または水素添加されたポリイソプレン骨格を有する1種以上の化合物Bと、
前記化合物A以外の化合物であって、炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物由来の構成単位を10質量%以上有するアクリル重合体、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ならびにポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上の化合物Cと、
還元剤Dと、を含み、
前記化合物A~C、任意成分である前記化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、前記化合物Aを10~90質量部、前記化合物Bを1~50質量部、前記化合物Cを3~60質量部、前記還元剤Dを0.01~20質量部含む、硬化性組成物。
[2]前記化合物A~C、任意成分である前記化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、ワックスEを0.01~5質量部含む[1]に記載の硬化性組成物。
[3]前記化合物Bが(メタ)アクリロイル基を有する化合物である[1]または[2]に記載の硬化性組成物。
[4]前記硬化性組成物の引火点が15℃以上である[1]~[3]のいずれかに記載の硬化性組成物。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物を含む、被覆材組成物。
[6][1]~[4]のいずれかに記載の硬化性組成物の硬化物であって、厚さが0.1~20cmである、硬化物。
[7][5]に記載の被覆材組成物の硬化物であって、厚さが0.1~20cmである、硬化物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、引火性が低く、硬化物の機械特性(引張強度)および耐衝撃性に優れ、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料として有用なアクリル系の硬化性組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタクリレートの総称である。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の総称である。「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルの総称である。
【0013】
〔硬化性組成物〕
本発明の硬化性組成物は、化合物A~Cおよび還元剤Dを含む。
本発明の硬化性組成物は、必要に応じて、任意成分として、ワックスE、化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、可塑剤およびその他の化合物のいずれか1種以上をさらに含んでいてもよい。
【0014】
(化合物A)
本発明に用いられる化合物Aは、分子内に炭素数2~6のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。
引火性の観点から、化合物Aのアルキル基の炭素数は3以上が好ましく、4以上がより好ましい。一方、硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、化合物Aのアルキル基の炭素数は5以下が好ましく、4以下がより好ましい。
硬化物の強度の観点から、化合物Aとしてはメタクリル酸エステル化合物が好ましい。
【0015】
化合物Aの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル等の直鎖状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル等の分岐状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物が挙げられる。
【0016】
化合物Aとしては、上記の中でも、引火性と硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、炭素数4のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルが好ましい。
これらの中でも、引火性と硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、炭素数4の分岐状アルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物がより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルがより好ましく、(メタ)アクリル酸i-ブチルがさらに好ましい。
これらの化合物Aは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0017】
化合物Aの含有量は、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、10~90質量部である。化合物Aの含有量が10質量部以上であると、硬化性組成物の粘度が低くなり、塗工の際の作業性が向上する。化合物Aの含有量が90質量部以下であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。塗工の際の作業性および硬化性組成物の硬化性の観点から、化合物Aの含有量は、前記合計100質量部に対し、20~85質量部が好ましく、30~80質量部がより好ましい。
【0018】
(化合物B)
本発明に用いられる化合物Bは、ポリブタジエン骨格、ポリイソプレン骨格、水素添加されたポリブタジエン骨格または水素添加されたポリイソプレン骨格を有する1種以上の化合物である。
化合物Bは、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加されたポリブタジエンまたは水素添加されたポリイソプレンであってよい。
また、化合物Bは、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加されたポリブタジエンまたは水素添加されたポリイソプレンと、スチレン等の他の重合性単量体との共重合物であってもよい。
化合物Bは、化合物Aとの相溶性および硬化物の耐衝撃性の観点から、ポリブタジエン骨格または水素添加されたポリブタジエン骨格を有することが好ましく、ポリブタジエン骨格を有することがより好ましい。
化合物Bは、ヒドロキシ基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基等の官能基を有していてもよい。化合物Aとの相溶性、および硬化物の耐衝撃性の観点から、化合物Bとしては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
【0019】
化合物Bの具体例としては、例えば、1,2-ブタジエンホモポリマー(例えば、商品名:NISSO-PB B-1000、B-2000、B-3000、日本曹達(株)製)、1,2-ブタジエンホモポリマーの水素添加物(例えば、商品名:NISSO-PB BI-2000、BI-3000、日本曹達(株)製)、スチレン・ブタジエンブロック共重合物(例えば、商品名:JSR TR-2000、JSR(株)製)、両末端にヒドロキシ基を有するポリブタジエン(例えば、商品名:NISSO-PB G-1000、G-2000、G-3000、日本曹達(株)製)、両末端にヒドロキシ基を有する水素化ポリブタジエン(例えば、商品名:NISSO-PB GI-1000、GI-2000、GI-3000、日本曹達(株)製)、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、商品名:NISSO-PB JP-100、JP-200、日本曹達(株)製)、1,2-ポリブタジエンアクリレート(例えば、商品名:NISSO-PB TE-2000、日本曹達(株)製)、1,2-ポリブタジエンアクリレートの水素添加物(例えば、商品名:NISSO-PB TEAI-1000、日本曹達(株)製)、イソプレン重合体(例えば、商品名:LIR-30、(株)クラレ製)、イソプレン重合体のマレイン酸モノメチルエステル付加物(例えば、商品名:LIR-410、(株)クラレ製)、イソプレン重合体の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物(例えば、商品名:UC-102、(株)クラレ製)が挙げられる。水素化ポリブタジエンは、水素添加されたポリブタジエンのことである。
これらの化合物Bは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0020】
化合物Bの数平均分子量は、500~100000が好ましく、500~50000がより好ましく、500~10000がさらに好ましく、500~5000が特に好ましい。数平均分子量が500以上であると硬化物の耐衝撃性が良くなる。一方、数平均分子量が100000以下であると化合物Aとの相溶性が良くなり、50000以下であると相溶性がより良くなり、10000以下であると相溶性がさらに良くなり、5000以下であると相溶性が特に良くなる。
化合物Bの数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(Gel Permeation Chromatography;以下、「GPC」とも記す。)法により測定される標準ポリスチレン換算の値であって、以下の測定条件により測定することができる。
(GPC測定条件)
カラム:「TSK-gel superHZM-M」、「TSK-gel HZM-M」、「TSK-gel HZ2000」
溶離液:THF
流量:0.35mL/min
注入量:10μL
カラム温度:40℃
検出器:UV-8020
化合物Bとして市販品を用いる場合、簡便のため、数平均分子量として、カタログ、ホームページ、特許文献等に記載された文献値を採用してもよい。ただし、上記測定方法による測定値と文献値とが異なる場合は、上記測定方法による測定値を化合物Bの数平均分子量とする。
【0021】
化合物Bの含有量は、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、1~50質量部である。化合物Bの含有量が1質量部以上であると、硬化物の耐衝撃性が向上する。化合物Bの含有量が50質量部以下であると、化合物Aと化合物Bの相溶性が良くなる。硬化物の耐衝撃性の観点から、化合物Bの含有量は、前記合計100質量部に対し、2質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。一方、化合物Aとの相溶性の観点から、化合物Bの含有量は、前記合計100質量部に対し、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。上記上限および上記下限は適宜組み合わせることができ、例えば2~40質量部であってよく、5~30質量部であってよい。
【0022】
(化合物C)
本発明に用いられる化合物Cは、化合物A以外の化合物であって、特定のアクリル重合体(以下、「アクリル重合体C1」とも記す。)、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ならびにポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である。化合物Cは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硬化性組成物の硬化性および硬化物の機械強度(最大引張強度)の観点から、化合物Cとしては、アクリル重合体C1が好ましい。
【0023】
アクリル重合体C1は、炭素数2~18のアルキル基および(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、「化合物m1」とも記す。)由来の構成単位を有する。アクリル重合体C1は、化合物m1以外のラジカル重合性化合物由来の構成単位をさらに有していてもよい。
化合物Aへの溶解性の観点から、アクリル重合体C1中の化合物m1由来の構成単位の含有量は、アクリル重合体C1を構成する全構成単位の合計100質量%に対し、10質量%以上であり、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、化合物m1のアルキル基の炭素数は2~8が好ましく、4~6がより好ましい。
【0024】
化合物m1の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルが挙げられる。これらの化合物m1は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0025】
化合物m1以外のラジカル重合性化合物は、化合物m1と共重合可能な化合物であれば特に限定されない。化合物m1以外のラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニルが挙げられる。これらのラジカル重合性化合物は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0026】
硬化性組成物の硬化性および硬化物の機械強度(最大引張強度)の観点から、アクリル重合体C1の質量平均分子量は、5000~200000が好ましく、10000~180000がより好ましい。
アクリル重合体C1の質量平均分子量は、前記の化合物Bの数平均分子量の測定方法と同様の方法により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
【0027】
アクリル重合体C1は、化合物m1および必要に応じて化合物m1以外のラジカル重合性化合物を、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の従来知られる各種の方法で重合することによって得ることができる。
【0028】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートと、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとの反応物が挙げられる。
【0029】
ウレタン(メタ)アクリレートを合成するために用いるポリオールは、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する化合物である。前記ポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等の2価フェノールと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとの付加反応生成物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ブチレングリコール、メチルペンタンジオール等の多価アルコールと、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸等の多塩基酸およびその無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種との反応で得られるポリエステルポリオール類;アルキレングリコールとラクトンとから得られるポリラクトンジオール類;ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール等のジオールと、ホスゲン、ジメチルカーボネート等のカーボネート化剤との反応で得られるカーボネート結合を有するポリカーボネートジオール類が挙げられる。これらポリオールは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】
これらポリオールの中では、硬化性の観点から、ポリカーボネートジオール類が好ましく、ブタンジオール、ペンタンジオールまたはヘキサンジオールを用いて合成したポリカーボネートジオールがより好ましい。一方、低温での硬化物の機械特性(破断点伸度)の観点から、ポリブチレングリコールが好ましい。
【0031】
ウレタン(メタ)アクリレートを合成するために用いるポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。前記ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。また、これら化合物と水やトリメチロールプロパン等とのアダクト化合物や三量体環化化合物等もポリイソシアネートとして使用できる。これらポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0032】
ウレタン(メタ)アクリレートを合成するために用いるヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトンと2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの付加物が挙げられる。これらのヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0033】
必要に応じて、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートの代わりに、アリル基を有するアルコールを使用してもよい。前記アリル基を有するアルコールとしては、例えば、アリルアルコール、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、プロピレングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコールモノアリルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、グリセリンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが挙げられる。
【0034】
ウレタン(メタ)アクリレートの質量平均分子量は、特に制限は無いが、塗装の際の作業性および硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、30000以下であることが好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートの質量平均分子量の下限は、例えば1000以上である。
【0035】
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる。エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応ではエポキシ基が消費され、得られるエポキシ(メタ)アクリレートは実質的にエポキシ基を有さないが、エポキシ樹脂が原料であるので、慣用に従いこのように命名されている。
エポキシ(メタ)アクリレートを合成するために用いるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0036】
エポキシ(メタ)アクリレートの質量平均分子量は、特に制限は無いが、塗装の際の作業性の観点から、30000以下であることが好ましい。エポキシ(メタ)アクリレートの質量平均分子量の下限は、例えば200以上である。
【0037】
ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、例えば、多塩基酸または多塩基酸無水物と、多価アルコール化合物と、(メタ)アクリル酸またはグリシジル(メタ)アクリレートとの反応物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸が挙げられる。多塩基酸無水物としては、例えば、前記多塩基酸の無水物が挙げられる。多価アルコール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールが挙げられる。これらは公知の方法で反応させることができる。
【0038】
ポリエステル(メタ)アクリレートの質量平均分子量は、特に制限は無いが、塗装の際の作業性の観点から、30000以下であることが好ましい。ポリエステル(メタ)アクリレートの質量平均分子量の下限は、例えば1000以上である。
【0039】
化合物Cの含有量は、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、3~60質量部である。化合物Cの含有量が3質量部以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。化合物Cの含有量が60質量部以下であると、硬化性組成物の塗工性が良くなる。硬化性組成物の硬化性の観点から、化合物Cの含有量は、前記合計100質量部に対し、5質量部以上が好ましく、7質量部以上がより好ましい。一方、硬化性組成物の塗工性の観点から、化合物Cの含有量は、前記合計100質量部に対し、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。前記上限および前記下限は適宜組み合わせることができ、例えば3~50質量部であってよく、5~40質量部であってよく、7~30質量部であってよい。
【0040】
(還元剤D)
本発明に用いられる還元剤Dは、硬化反応を促進させることができる。
還元剤Dとしては、具体的には、例えば、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、N,N-ジ(2-ヒドロキシプロピル)-p-トルイジン、トリ-n-ブチルアミン、N-エチル-N-ヒドロキシエチルアニリン、N,N-ジメチルアニリン等のアミン類;ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、アセトアセチル酸コバルト等の多価金属触媒が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0041】
還元剤Dの含有量は、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、0.01~20質量部である。還元剤Dの含有量が0.01質量部以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。還元剤Dの含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物のポットライフや作業性が良くなる。硬化性とポットライフや作業性とのバランス等の観点から、還元剤Dの添加量は、前記合計100質量部に対し、0.1~5質量部が好ましく、0.2~2質量部がより好ましい。
【0042】
(任意成分であるワックスE)
本発明の硬化性組成物は、任意成分として、ワックスEを含むことができる。ワックスEは、空気遮断作用を有し、硬化性を高める働きがある。
ワックスEの具体例としては、例えば、パラフィン類、ポリエチレン類、ステアリン酸等の高級脂肪酸類が挙げられ、空気遮断作用の観点からパラフィンワックスが好ましい。これらのワックスは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0043】
硬化性組成物の硬化性の観点から、ワックスEの含有量は、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がさらに好ましい。一方、硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、ワックスEの含有量は、前記合計100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。前記上限および前記下限は適宜組み合わせることができ、例えば0.01~5質量部であってもよく、0.1~3質量部であってもよい。
【0044】
(任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物)
本発明の硬化性組成物は、任意成分として、化合物A~C以外のラジカル重合性化合物を含むことができる。
任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物としては、具体的には、例えば、化合物A以外の(メタ)アクリル酸エステル化合物、スチレン、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル等のビニル基含有単量体が挙げられる。化合物A以外の(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸i-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸i-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸i-デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸2-ジシクロペンテノキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸フェノキシポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸フェニルフェニル、(メタ)アクリル酸フェニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシベンジル、(メタ)アクリル酸フェニルベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸(1-ナフチル)メチル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリロイルモルフォリン等の単官能の(メタ)アクリレート;ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,9-ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、ジ(メタ)アクリル酸ジメタノール、ジ(メタ)アクリル酸ポリカーボネートジオール等の2官能の(メタ)アクリレート;トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス((メタ)アクロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能の(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能の(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能の(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのラジカル重合性化合物は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ただし、(メタ)アクリル酸メチルは、硬化性組成物の引火性および化合物Bとの相溶性の観点から、多量に添加することは好ましくない。(メタ)アクリル酸メチルの含有量は、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、5質量部以下が好ましく、0質量部であってもよい。
【0045】
(任意成分である可塑剤)
本発明の硬化性組成物は、任意成分として、可塑剤を含むことができる。
任意成分である可塑剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ジ-2-エチルヘキシルアジペート、オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ジブチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート等のセバシン酸エステル類;ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、オクチルアゼレート等のアゼラインエステル類等の2塩基性脂肪酸エステル類;アセチルクエン酸トリブチル;塩素化パラフィン、ノルマルパラフィン系、パラフィンワックス系等のパラフィン類;アルキルスルホン酸フェニルエステルが挙げられる。硬化物の機械特性(破断点伸度)を高める観点から、前記可塑剤としては、フタル酸エステル類、アジピン酸エステル類、パラフィン類、アルキルスルホン酸フェニルエステルが好ましく、アジピン酸エステル類、パラフィン類、アルキルスルホン酸フェニルエステルがより好ましい。これらの可塑剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0046】
可塑剤の含有量は、硬化物の機械特性(最大引張強度)の観点から、化合物A~C、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物、および任意成分である可塑剤の合計100質量部に対し、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、0質量部であってもよい。本発明の硬化性組成物が任意成分として可塑剤を含む場合には、可塑剤の含有量は、硬化物の耐衝撃性の観点から、前記合計100質量部に対し、1質量部以上が好ましい。
【0047】
(任意成分であるその他の化合物)
本発明の硬化性組成物は、任意成分として、種々の特性を改善する目的で、例えば、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、離型剤、染料、顔料、消泡剤、重合抑制剤、充填剤等の各種添加剤を含有することができる。これらの添加剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0048】
本発明の硬化性組成物の引火点は、引火性の観点から、15℃以上であることが好ましい。
本発明において、硬化性組成物の引火点とは、硬化性組成物の総量に対して5質量%以上含まれるラジカル重合性化合物(化合物A、化合物B、ならびに化合物Aおよび化合物B以外のラジカル重合性化合物)のうち、最も引火点の低いラジカル重合性化合物の引火点(最低引火点)を意味する。
【0049】
本発明の硬化性組成物の製造方法としては、通常使用される撹拌機を使用して前記の各化合物を混合撹拌する方法を挙げることができる。
【0050】
本発明の硬化性組成物の硬化方法としては、従来知られるレドックス系触媒を用いて硬化する方法を挙げることができる。
硬化に用いる硬化剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;ジアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
低温硬化性と短時間硬化性等の観点から、硬化剤としては、過酸化ベンゾイルが好ましい。過酸化ベンゾイルは、取り扱い上の危険を避けるため、不活性の液体または固体として、濃度25~50質量%程度に希釈した溶液状、ペースト状または粉体状の状態で用いることが好ましい。
【0051】
硬化剤は、硬化性組成物を硬化させる直前に硬化性組成物に添加してもよい。
硬化剤の添加量は、硬化性とポットライフや作業性とのバランス等の観点から、硬化性組成物100質量部に対し、0.1~10質量部が好ましい。
本発明の硬化性組成物を硬化させる際には、得られる硬化物の厚さが0.1~20cmとなるように硬化することが好ましい。硬化物の厚みが前記範囲内であれば、硬化物表面にベタツキを生じにくくなる。
【0052】
本発明の硬化性組成物の用途は特に限定されないが、例えば、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料に好適に使用することができる。例えば、本発明の硬化性組成物を用いて被覆材を製造すれば、前記被覆材は、低温硬化性、耐候性、耐薬品性に優れるというアクリル系重合体本来の特性に加えて、低引火性であり安全面に優れたものとなる。
【0053】
〔被覆材組成物〕
本発明の被覆材組成物は、本発明の硬化性組成物を含む。
被覆材組成物が本発明の硬化性組成物を含むことで、被覆材組成物の引火性が低くなる。また、被覆材組成物の硬化物の機械特性として最大引張強度および耐衝撃性が良好となる。
本発明の被覆材組成物は、本発明の硬化性組成物と同様にして製造できる。
本発明の被覆材組成物は、例えば、床面、壁面、天面、道路、舗装等を被覆するために用いることができる。被覆方法としては、例えば、床面等の被覆対象面に本発明の被覆材組成物を塗布し、硬化させる方法が挙げられる。被覆対象面に予め、プライマーが塗布されていてもよい。
本発明の被覆材組成物の硬化方法としては、本発明の硬化性組成物の硬化方法と同様の方法が挙げられる。
【0054】
〔硬化物〕
本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物または本発明の被覆材組成物の硬化物である。本発明の硬化物は、本発明の硬化性組成物または本発明の被覆材組成物を硬化させて得られる。
本発明の硬化物の厚さは、0.1~20cmであることが好ましい。硬化物の厚みが前記範囲内であれば、硬化物表面にベタツキを生じにくくなる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、以下の記載中、「部」は「質量部」を意味する。
実施例および比較例で使用した材料の詳細を以下に示す。引火点は、メーカー発行のSDS記載値を採用した。
【0056】
<化合物A>
i-BMA:メタクリル酸i-ブチル、三菱ケミカル(株)製、商品名「アクリエステルIB」、引火点45℃(引用SDS改訂日:2017年4月1日)。
EMA:メタクリル酸エチル、三菱ケミカル(株)製、商品名「アクリエステルE」、引火点20.5℃(引用SDS改訂日:2017年4月1日)。
<化合物B>
TE-2000:1,2-ポリブタジエンアクリレート、日本曹達(株)製、商品名「NISSO-PB TE-2000」、引火点210℃以上(引用SDS改訂日:2015年1月29日)。
TR2000:スチレン-ブタジエンブロック共重合体、数平均分子量=98619{質量平均分子量(10万、特開2021-20983号公報記載値)およびMw/Mn(1.014、特開2014-240461号公報記載値)より算出}、JSR(株)製。
G1000:1,2-ポリブタジエングリコール、数平均分子量=1400{日本曹達(株)ホームページ記載値}、商品名:NISSO-PB G-1000、日本曹達(株)製、引火点231℃(引用SDS改定日:2021年12月8日)。
B1000:1,2-ポリブタジエン、数平均分子量=1200{日本曹達(株)ホームページ記載値}、商品名:NISSO-PB B-1000、日本曹達(株)製、引火点190℃(引用SDS改定日:2021年12月8日)。
GI1000:水素添加1,2-ポリブタジエングリコール、数平均分子量=1500{日本曹達(株)ホームページ記載値}、商品名:NISSO-PB GI-1000、日本曹達(株)製、引火点225℃(引用SDS改定日:2022年1月31日)。
BI2000:水素添加1,2-ポリブタジエン、数平均分子量=2200{日本曹達(株)ホームページ記載値}、商品名:NISSO-PB BI-2000、日本曹達(株)製、引火点>250℃(引用SDS改定日:2022年1月31日)。
LIR30:イソプレン重合体、数平均分子量=28000(特開2019-177798号公報記載値)、商品名:LIR-30、(株)クラレ製、引火点240℃(引用SDS改定日:2022年4月1日)。
LIR410:イソプレン重合体のマレイン酸モノメチルエステル付加物、数平均分子量=25000(特開2021―31578号公報記載値)、商品名:LIR-410、(株)クラレ製、引火点160℃(引用SDS改定日:2022年4月1日)。
UC102M:イソプレン重合体の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物、数平均分子量=17000(特許第5695102号公報記載値)、商品名:UC-102、(株)クラレ製、引火点>250℃(引用SDS改定日:2022年4月1日)。
<化合物C>
重合体1:共重合比率(質量比)がメタクリル酸メチル/メタクリル酸n-ブチル=60/40の共重合体、質量平均分子量65000。
SUA-017:ウレタンアクリレート、亜細亜工業(株)製、商品名「EXCELATE SUA-017」、引火点130℃(固化、引用SDS改訂日:2018年3月14日)。
<還元剤D>
PTEO:N,N-ジ(2-ヒドロキシエチル)-p-トルイジン、日本乳化剤(株)製、商品名「PTEO」、引火点110℃以上(引用SDS改訂日:2018年5月9日)。
【0057】
<任意成分であるワックスE>
ワックス1:融点55℃のパラフィンワックス、日本精蝋(株)製、商品名「パラフィンワックス115」。
ワックス2:融点66℃のパラフィンワックス、日本精蝋(株)製、商品名「パラフィンワックス130」。
ワックス3:融点75℃のパラフィンワックス、日本精蝋(株)製、商品名「パラフィンワックス150」。
ワックス4:ワックス分散液、ビックケミー・ジャパン(株)製、商品名「BYK-S780」。
<任意成分である可塑剤>
DINCH:フタル酸ジイソノニル、BASF CORPORTION製、商品名「HEXAMOLL DINCH」、引火点224℃(引用SDS改訂日:2014年10月23日)。
メザモール:フェノールのアルキルスルホン酸エステル、ランクセス(株)製、商品名「MESAMOLL」、引火点210℃以上(引用SDS改訂日:2011年4月20日)。
P-300:アジピン酸ポリエステル、(株)ADEKA製、商品名「アデカサイザーP-300」、引火点230℃(引用SDS改訂日:2015年9月30日)。
ATBC:アセチルクエン酸トリブチル、(株)ジェイ・プラス製、商品名「ATBC」、引火点204℃(引用SDS改訂日:2014年2月1日)。
<任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物>
HPMA:メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、三菱ケミカル(株)製、商品名「アクリエステルHP」、引火点106℃(引用SDS改訂日:2021年4月1日)。
4HBA:アクリル酸4-ヒドロキシブチル、大阪有機化学工業(株)製、商品名「4HBA」、引火点134℃(引用SDS改訂日:2013年4月15日)。
2EHA:アクリル酸2-エチルへキシル、三菱ケミカル(株)製、引火点86℃(引用SDS改訂日:2012年6月2日)。
FA-512M:メタクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、日立化成工業(株)製、商品名「ファンクリルFA-512M」、引火点176℃(引用SDS改訂日:2009年2月27日)。
THFMA:メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、三菱ケミカル(株)製、商品名「アクリエステルTHF」、引火点106℃(引用SDS改訂日:2017年4月1日)。
PDE-150:ジメタクリル酸トリエチレングリコール、日油(株)製、商品名「ブレンマーPDE-150」、引火点176℃(引用SDS改訂日:2016年3月23日)。
A-SA:2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、新中村化学工業(株)製、商品名「NKエステルA-SA」、引火点178℃(引用SDS改訂日:2016年6月13日)。
<任意成分であるその他の化合物>
MEHQ:4-メトキシフェノール。
FCS-42:有機アミド化合物、三木理研工業(株)製、商品名「リケンレジンFCS-42」。
【0058】
[シラップ組成物(S-1)の製造]
冷却器を備えた反応容器内に、化合物Aとしてi-BMAの37部、化合物BとしてTE-2000の2部、還元剤DとしてPTEOの0.4部、ワックスEとしてワックス1の0.5部、ワックス2の0.4部およびワックス3の0.3部を添加した。さらに、任意成分である化合物A~C以外のラジカル重合性化合物としてHPMAの28部およびPDE-150の5部、可塑剤としてDINCHの5部、その他の化合物としてMEHQの0.03部およびFCS-42の1部を加えた。
反応容器内のこれらの化合物を撹拌しながら、化合物Cとして重合体1の23部を加えた。
次いで、反応容器内の溶液を70℃に昇温し、温度を70℃に維持したまま2時間撹拌した。重合体1が完全に溶解したことを確認した後、反応容器内の溶液を23℃に降温し、シラップ組成物(S-1)を得た。
【0059】
[シラップ組成物(S-2)~(S-25)の製造]
各成分を、表1~表4に記載の割合にした以外は、シラップ組成物(S-1)の製造と同様にしてシラップ組成物(S-2)~(S-17)を得た。なお、表1~表4中の数字は、部数を表す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
[実施例1~13、比較例1~10]
(S-1)~(S-15)、(S-18)~(S-25)の各シラップ組成物100部に、硬化剤としてパーカドックスCH-50L(過酸化ベンゾイルおよびフタル酸ジシクロヘキシルの混合物、化薬アクゾ(株)製、商品名、過酸化ベンゾイルの含有率:50質量%)2部を加え、混合することで、硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物について、以下の評価方法に従い、引火性を評価した。また、以下の評価方法に従い、硬化性組成物の硬化物の機械特性および耐衝撃性を評価した。評価結果を表5、表6および表7に示す。
【0065】
(評価方法)
<引火性>
硬化性組成物の総量に対して5質量%以上含まれるラジカル重合性化合物のうち、最も引火点の低いラジカル重合性化合物の引火点を最低引火点とし、以下の評価基準に従い評価した。
評価基準
◎:最低引火点が35℃以上。
〇:最低引火点が15℃以上、35℃未満。
×:最低引火点が15℃未満。
【0066】
<機械特性(最大引張強度)>
硬化性組成物を23℃の環境下でセルキャストに流し込み、硬化性組成物を硬化させた。厚み3mmで硬化させた硬化物を、JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム」に規定する打ち抜き具にて、ダンベル状1号形に5本成形した。
成形した5本の試験片について引張試験機((株)エー・アンド・デイ製、商品名:「テンシロン万能引張試験機」)にて引張試験を実施し、最大引張強度(単位:N/mm)を測定し、以下の評価基準に従い評価した。ただし、JIS K 6251に記載の引張速度は500mm/minであるが、本実施例では引張速度20mm/minにて引張試験を実施した。
評価基準
◎:最大引張強度が25N/mm以上。
〇:最大引張強度が20N/mm以上25N/mm未満。
×:最大引張強度が20N/mm未満。
【0067】
<耐衝撃性>
・プライマー用組成物の調製
(S-16)のシラップ組成物100部に、硬化剤としてパーカドックスCH-50L(過酸化ベンゾイルおよびフタル酸ジシクロヘキシルの混合物、化薬アクゾ(株)製、商品名、過酸化ベンゾイルの含有率:50質量%)2部を加えた後、混合することでプライマー用組成物を得た。
【0068】
・ベースコート用組成物の調製
(S-17)のシラップ組成物200部に、着色顔料としてアクリトーンフロア用顔料MRT-41(三菱ケミカルインフラテック(株)製)10部、充填剤としてアクリトーンフロア用骨材KC-1A(三菱ケミカルインフラテック(株)製)426部、硬化剤としてパーカドックスCH-50L(過酸化ベンゾイルおよびフタル酸ジシクロヘキシルの混合物、化薬アクゾ(株)製、商品名、過酸化ベンゾイルの含有率:50質量%)4部を加え、混合することでベースコート用組成物を得た。
【0069】
・トップコート用組成物の調製
(S-1)~(S-15)、(S-18)~(S-25)の各シラップ組成物100部に、着色顔料としてアクリトーンフロア用顔料MRT-41(三菱ケミカルインフラテック(株)製)7部、硬化剤としてパーカドックスCH-50L(過酸化ベンゾイルおよびフタル酸ジシクロヘキシルの混合物、化薬アクゾ(株)製、商品名、過酸化ベンゾイルの含有率:50質量%)2部を加えた後、混合することでトップコート用組成物(硬化性組成物)を得た。
【0070】
・試験体の作製
JIS A 5371「プレキャスト無筋コンクリート製品」に規定される縦300×横300×高さ60mmのコンクリート平板の表面を、JIS R 6252「研磨紙」に規定されるP150研磨紙により十分研磨し、表面のレイタンス層を除去した。
23℃環境下で、研磨したコンクリート平板の表面に前記プライマー用組成物36gを厚みが均一となるように刷毛を用いて塗布後、2時間静置させ、プライマー用組成物を硬化させた。その上にベースコート用組成物を厚み3mmとなるようにコテを用いて塗布後、2時間静置させ、ベースコート用組成物を硬化させた。さらに、トップコート用組成物27gを厚みが均一となるように刷毛を用いて塗布後、2時間静置させ、トップコート用組成物を硬化させることで試験体を得た。
【0071】
・耐衝撃性の評価
深さ50mmの型枠に5号珪砂を敷き詰め、その上に作製した試験体を水平になるように載せた。塗り床の衝撃強さの試験方法(塗り床ハンドブック(令和2年版)、日本塗り床工業会編著、P.141~P.143)に記載されている落球試験機に載せ、同一点に1mの高さから1kgの鋼球を8回落下させ、目視にて外観を確認することで以下の評価基準で耐衝撃性を評価した。
評価基準
○:ひび割れ、浮き、はがれがない。
×:ひび割れ、浮き、はがれがある。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
【表7】
【0075】
実施例1~13の硬化性組成物は引火性が低かった。また、その硬化物は良好な機械特性(最大引張強度)および耐衝撃性を示した。
一方、比較例1~2の硬化性組成物は、化合物Aを含まず、機械特性が不良であった。
比較例3の硬化性組成物は、化合物Bを含まず、耐衝撃性が不良であった。
比較例4の硬化性組成物は、実施例3の硬化性組成物中の化合物BをDINCH(可塑剤)に置き換えたものであるが、その硬化物は、耐衝撃性は良好であるものの機械特性が不良であった。
比較例5の硬化性組成物は、比較例4の硬化性組成物中の可塑剤を減量し、機械特性の改善を図ったものであるが、機械特性が改善した反面、耐衝撃性が不良であった。
比較例6~8の硬化性組成物は、比較例4の硬化性組成物中の可塑剤の種類を変えたものであるが、いずれも機械特性と耐衝撃性を両立できなかった。
比較例9の硬化性組成物は、実施例3の硬化性組成物中の化合物Bをホモポリマーのガラス転移温度が低いラジカル重合性単量体である2-EHAに置き換えたものであるが、その硬化物は、耐衝撃性は良好であるものの機械特性が不良であった。
比較例10の硬化性組成物は、比較例9の硬化性組成物中の2-EHAを減量し、機械特性の改善を図ったものであるが、機械特性が改善した反面、耐衝撃性が不良であった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の硬化性組成物は、引火性が低く、硬化物の機械特性(引張強度)および耐衝撃性に優れており、被覆材、塗り床材、路面舗装材、壁材、補修用充填材のような土木建築用材料に好適に使用することができる。