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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023016077
(43)【公開日】2023-02-02
(54)【発明の名称】ホーム監視システム
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20230126BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20230126BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20230126BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230126BHJP
   B61B 1/02 20060101ALI20230126BHJP
【FI】
B61L23/00 Z
G08B21/02
G08B25/00 510M
H04N7/18 D
B61B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021120134
(22)【出願日】2021-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100181146
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 啓
(72)【発明者】
【氏名】江上 司
(72)【発明者】
【氏名】松原 達也
【テーマコード(参考)】
3D101
5C054
5C086
5C087
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AD11
5C054FC12
5C054FF06
5C054FF07
5C054HA26
5C086AA22
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA14
5C086DA33
5C086FA06
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA25
5C087AA44
5C087BB18
5C087BB73
5C087BB74
5C087CC22
5C087DD03
5C087DD15
5C087EE18
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG83
5C087GG85
5H161AA01
5H161MM02
5H161MM15
5H161NN10
5H161PP06
5H161PP12
5H161QQ01
5H161QQ03
(57)【要約】
【課題】駅のホーム上を監視するに際して、駅側から利用者に対して行う注意喚起について、的確な判断と判断結果の確実な通知が可能となるホーム監視システムを提供すること。
【解決手段】ホーム監視システム500は、ホームPFの所定範囲について画像データを取得する撮像部10と、撮像部10で取得された画像データから歩行者の位置を抽出する画像処理部GPと、画像処理部GPでの抽出結果に基づき危険な位置に歩行者PDがいるか否かを判断する判断部JDと、所定範囲において歩行者の携帯物である通信端末と通信し、判断部JDでの判断結果に対応した注意喚起の通知をする通知部50とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホームの所定範囲について画像データを取得する撮像部と、
前記撮像部で取得された画像データから歩行者の位置を抽出する画像処理部と、
前記画像処理部での抽出結果に基づき危険な位置に歩行者がいるか否かを判断する判断部と、
前記所定範囲において歩行者の携帯物と通信し、前記判断部での判断結果に対応した注意喚起の通知をする通知部と
を備えるホーム監視システム。
【請求項2】
前記通知部は、前記所定範囲に設置されて近距離無線通信を行い、通信可能な範囲内に存在する前記携帯物に対して通知をする、請求項1に記載のホーム監視システム。
【請求項3】
前記通知部は、前記ホームにおいて列車の進行方向に沿って複数に区切られた前記所定範囲ごとに対応して設置される複数の通信機を含み、
前記複数の通信機は、個々に独立して、前記携帯物に対して注意喚起の通知をする、請求項1及び2のいずれか一項に記載のホーム監視システム。
【請求項4】
前記複数の通信機は、列車を構成する各車両の停止範囲に対応して設置されている、請求項3に記載のホーム監視システム。
【請求項5】
前記撮像部は、前記ホームにおいて列車の進行方向に沿って配置される複数のカメラを含み、
前記画像処理部は、前記複数のカメラに対応する複数の画像処理回路を有し、
前記判断部は、前記複数の画像処理回路での抽出結果に基づき、前記複数の通信機に対して、個別に判断結果を出力する、請求項3及び4のいずれか一項に記載のホーム監視システム。
【請求項6】
前記撮像部は、前記ホームにおいて列車の進行方向に沿って配置される複数のカメラを含み、
前記画像処理部は、前記複数のカメラに対応する複数の画像処理回路を有し、
前記判断部は、前記複数の画像処理回路に対応して複数の判断回路を有し、
前記複数の判断回路は、対応する前記複数の通信機に対して判断結果をそれぞれ出力する、請求項3及び4のいずれか一項に記載のホーム監視システム。
【請求項7】
前記携帯物は、音、振動及び光のうち少なくともいずれかを変化させることで前記通知部からの通知に応じた報知をする、請求項1~6のいずれか一項に記載のホーム監視システム。
【請求項8】
前記判断部における判断結果に応じた注意喚起の放送をするスピーカーを備え、
前記通知部による前記携帯物に対する注意喚起の通知と、前記スピーカーによる注意喚起の放送を並行して行う、請求項1~7のいずれか一項に記載のホーム監視システム。
【請求項9】
前記判断部から出力される判断結果を受け付けるとともに、装置全体を制御する総合制御部を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のホーム監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅のホーム上を監視するためのホーム監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビーコンを利用して監視を行う警報システムとして、利用者が携帯するビーコン端末と駅構内に配置されるビーコンとの距離に応じてアラームを鳴らすもの(特許文献1参照)が知られている。
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている警報システムの場合、危険性等の判定が、ビーコンまでの距離に基づいて、利用者側のビーコン端末においてなされる態様となっているため、判定精度が、当該ビーコンの精度に依存することになり、適切なものにならない可能性がある。また、駅を監視する側において、危険が発生したことを的確に把握できない可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-176982号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、駅のホーム上を監視するに際して、駅側から利用者に対して行う注意喚起について、的確な判断と判断結果の確実な通知が可能となるホーム監視システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するためのホーム監視システムは、ホームの所定範囲について画像データを取得する撮像部と、撮像部で取得された画像データから歩行者の位置を抽出する画像処理部と、画像処理部での抽出結果に基づき危険な位置に歩行者がいるか否かを判断する判断部と、所定範囲において歩行者の携帯物と通信し、判断部での判断結果に対応した注意喚起の通知をする通知部とを備える。
【0007】
上記ホーム監視システムでは、画像処理部における画像解析からホームにおいて歩行者が危険な位置にあるか否かを監視側で判断可能とするとともに、通知部が所定範囲において歩行者の携帯物と通信して注意喚起の通知をすることで、的確な判断とその判断結果についての確実な通知が可能となる。
【0008】
本発明の具体的な側面では、通知部は、所定範囲に設置されて近距離無線通信を行い、通信可能な範囲内に存在する携帯物に対して通知をする。この場合、近距離無線通信による通知可能な範囲に存在する携帯物に対して通知をすることで、これを所持する歩行者に注意喚起をすることが可能になる。
【0009】
本発明の別の側面では、通知部は、ホームにおいて列車の進行方向に沿って複数に区切られた所定範囲ごとに対応して設置される複数の通信機を含み、複数の通信機は、個々に独立して、携帯物に対して注意喚起の通知をする。この場合、区切られた所定範囲の単位で通知を行うことができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面では、複数の通信機は、列車を構成する各車両の停止範囲に対応して設置されている。この場合、撮像から通知までの処理を車両単位で行うことが可能になる。
【0011】
本発明のさらに別の側面では、撮像部は、ホームにおいて列車の進行方向に沿って配置される複数のカメラを含み、画像処理部は、複数のカメラに対応する複数の画像処理回路を有し、判断部は、複数の画像処理回路での抽出結果に基づき、複数の通信機に対して、個別に判断結果を出力する。この場合、各画像処理回路における抽出結果を、判断部において一括処理して、各通信機を介した通知が行える。
【0012】
本発明のさらに別の側面では、撮像部は、ホームにおいて列車の進行方向に沿って配置される複数のカメラを含み、画像処理部は、複数のカメラに対応する複数の画像処理回路を有し、判断部は、複数の画像処理回路に対応して複数の判断回路を有し、複数の判断回路は、対応する複数の通信機に対して判断結果をそれぞれ出力する。この場合、一のカメラで撮像した画像に基づく通知までの処理と、他のカメラで撮像した画像に基づく通知までの処理とを、対応関係にあるカメラ、画像処理回路及び判断回路の単位で、それぞれ個別に行うことができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面では、携帯物は、音、振動及び光のうち少なくともいずれかを変化させることで通知部からの通知に応じた報知をする。この場合、例えば障がいの有無等といった歩行者の状況に応じて最適な通知態様とし、かつ、着信通知等の他の内容についての通知と注意喚起の通知とを識別可能なものにできる。
【0014】
本発明のさらに別の側面では、判断部における判断結果に応じた注意喚起の放送をするスピーカーを備え、通知部による携帯物に対する注意喚起の通知と、スピーカーによる注意喚起の放送を並行して行う。この場合、スピーカーによる通知と携帯物への通知とを並行させることで、より的確な注意喚起の通知ができる。
【0015】
本発明のさらに別の側面では、判断部から出力される判断結果を受け付けるとともに、装置全体を制御する総合制御部を備える。この場合、駅側の総合制御部において、全体の状況把握が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係るホーム監視システムを設置した駅の様子を示す概念図である。
図2】駅におけるホーム監視システムの動作について説明するための概念図である。
図3】(A)及び(B)は、ホーム監視システムの一構成例及び具体的動作の一例について説明するための概念図である。
図4】ホーム監視システムの一構成例について示すブロック図である。
図5】ホーム監視システムのうち、一の監視ユニットの一構成例について示すブロック図である。
図6】ホーム監視システムによる検知から通知までの流れについて説明するための概念図である。
図7】(A)~(C)は、ホーム監視システムでの処理に際して取り扱われる各種データについて例示するデータ表である。
図8】ホーム監視システムにおける一連の処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1等を参照して、一実施形態に係るホーム監視システムについて説明する。図1は、本実施形態に係るホーム監視システム500を設置した駅のホーム(プラットホーム)PFの様子を示す図である。図示のように、駅のホームPFにおいて、矢印A1に示す列車TRの進行方向に沿って、ホーム監視システム500を構成する各部が設置され、ホームPFのうち、歩行者等の転落のおそれがある線路側端部である領域(危険領域)DDについて監視が可能になっている。なお、領域DDについては、図示において、複数のハッチングパターンにより分割された部分領域DD1~DD4として示している。
【0018】
上記のような領域DDについての監視を可能とすべく、ホーム監視システム500は、複数の監視ユニット100と、総合制御部90とを備える。
【0019】
複数の監視ユニット100は、矢印A1すなわち列車TRの進行方向に沿って配列されている。図示の一例では、2つの監視ユニット100A,100Bで構成されるものとしているが、監視ユニット100の個数については、監視する範囲(発着し得る列車の長さを踏まえたホームPFの範囲)等に応じて、適宜変更可能である。
【0020】
各監視ユニット100(例えば監視ユニット100A)は、例えば、撮像部10を構成するカメラCAや、中継接続箱BR、モニター30、スピーカー40、通知部50等で構成されている。なお、中継接続箱BRには、撮像部10で撮像した画像についての解析処理等を行うための画像処理端末20等が格納されている(図3図5等参照)。
【0021】
監視ユニット100は、カメラCAで領域DDを撮像して取得した画像について画像解析を行い、歩行者の線路内への転落等の危険性がある場合には、スピーカー40を利用した報知に加えて、近距離無線通信を行う通知部50を利用して、歩行者の所持するスマートフォン(スマホ)等の携帯物に対して通知を行う態様となっている。また、監視ユニット100は、カメラCAで撮像した画像をモニター30に映し出すことも可能である。なお、モニター30は、例えば列車TRが停車して乗客が乗降する間のように、ホーム監視システム500による監視を行わない時間帯においても、表示動作が可能となっている。
【0022】
総合制御部90は、例えばハブ91と、管理側判定制御部92と、総合制御盤93等で構成され、ホームPF全体の監視を行う。このため、総合制御部90は、例えばハブ91において、中継接続箱BRを介して各監視ユニット100と接続され、各監視ユニット100における監視結果についての情報等の各種情報の取得が可能となっている。また、管理側判定制御部92は、列車TRの存在の確認(在線確認)や到着・出発等をすべく、各種センサー等で構成される列車検知部DTと接続されている。総合制御盤93は、各種情報の管理を行って、ホームPF全体の統括的制御を行う。例えば、総合制御盤93は、管理側判定制御部92における在線確認の結果に応じて、各監視ユニット100による歩行者の監視を行うか否かを決定し、ハブ91を介して当該決定の結果を各監視ユニット100に通知する。すなわち、列車TRが停止している間においては、乗客の乗り降りがあるため、各監視ユニット100による歩行者の監視を要せず、この間においては、各監視ユニット100の動作を中止させる一方、列車TRの出発に際しては、再び各監視ユニット100による歩行者の監視を開始(再開)させる。
【0023】
特に、本実施形態では、以上のような構成のホーム監視システム500において、カメラCAで撮像した領域DDを、ハッチングで示す部分領域DD1~DD4に分割して個別に監視を行っている。なお、図示の一例では、4両編成の列車TRを想定し、これを構成する一両分の車両CRの停車範囲として想定される範囲にそれぞれ対応して、上記4つの部分領域DD1~DD4が形成され、また、部分領域DD1~DD4全体としての領域DDにより、歩行者の転落防止のための監視として必要な範囲が覆われるようにている。
【0024】
通知部50は、分割した部分領域DD1~DD4ごとにおいて近距離無線通信による発信を行い、各領域の範囲内すなわち通信可能な範囲内に存在する携帯物(スマホ等)に対して通知をすべく、複数(2つ)の通信機である第1通信機50αと、第2通信機50βとを有する構成となっている。より具体的には、監視ユニット100Aの通知部50を構成する第1通信機50αと第2通信機50βとが、部分領域DD1と部分領域DD2とに対応して配置され、監視ユニット100Bの通知部50を構成する第1通信機50αと第2通信機50βとが、部分領域DD3と部分領域DD4とに対応して配置されている。この結果として、図2のように、通知部50を構成する複数(4つ)の通信機50α,50βは、同心円状に拡がる図形により概念的に示されるような範囲について注意喚起のための発信をそれぞれ行うものとなっており、この際、各通信機50α,50βによる発信範囲(受信可能範囲)は、それぞれ対応する部分領域DD1~DD4を含むようになっている。すなわち、各監視ユニット100A,100Bに設けられた複数の通信機50α,50βは、ホームPFにおいて列車TRの進行方向に沿って複数に区切られた所定範囲である部分領域DD1~DD4ごとに対応して設置され、個々に独立して、歩行者が所持する携帯物(スマホ等)に対して注意喚起の通知をするようになっている。したがって、各通信機50α,50βと通信可能な携帯物(スマホ等)を所持する歩行者が、部分領域DD1~DD4に存在する場合に、これらの間で通信が可能となる。通信可能な範囲としては、例えば、各部分領域DD1~DD4の長さが、大凡車両一両分とすると、約20m程度であると考えられ、これに応じて、各部分領域DD1~DD4の中心位置から同心円状に拡がる通信可能範囲は、半径10m程度となるように設定することが考えられる。
【0025】
また、以上の場合、複数の通信機50α,50βは、列車TRを構成する各車両CRの停止範囲に対応して設置されているものともなっている。一方、スピーカー40は、図示のように、通信機50αと通信機50βとの中間位置に配置され、双方の対応領域に対して、音声出力が可能となっている。
【0026】
以下、図3を参照して、ホーム監視システム500の一構成例及び具体的動作の一例について説明する。
【0027】
図3(A)に示すように、上記のような動作態様が可能とすべく、ホーム監視システム500のうち、撮像部10として、各監視ユニット100A,100Bにそれぞれ設けたカメラCAにおいて、すなわち複数(2つ)のカメラCAにおいて、領域DDの全体が撮像されるようになっている。このうち、監視ユニット100A側のカメラCAは、ホームPFのうち、列車TRの進行方向(前方向)に対して後方側半分に相当する部分領域DD1,DD2について撮像し、監視ユニット100B側のカメラCAは、ホームPFのうち、前方側半分に相当する部分領域DD3,DD4について撮像する。さらに、各カメラCAで撮像された画像において、上記部分領域DD1~DD4に分かれて画像解析がなされる。つまり、監視ユニット100A側のカメラCAで撮像した画像の一部が部分領域DD1に対応する範囲を映し出し、他の一部が部分領域DD2に対応する範囲を映し出している。同様に、監視ユニット100B側のカメラCAで撮像した画像の一部が部分領域DD3に対応する範囲を映し出し、他の一部が部分領域DD4に対応する範囲を映し出している。
【0028】
また、ホーム監視システム500のうち、監視ユニット100Aは、中継接続箱BRに格納された画像処理端末20に各部が接続されている。すなわち、画像処理端末20は、撮像部10(カメラCA)から画像データを取得すると、これを解析して、解析結果から注意喚起を要する箇所が存在する場合には、通知部50のうち該当箇所に設置されている通信機(例えば通信機50α)から注意喚起についての信号発信を行う。また、これと並行して、スピーカー40から注意喚起について報知をする。監視ユニット100Bにおいても、画像処理端末20における動作により、同様の動作がなされる。
【0029】
また、一方で、監視ユニット100A,100Bにおいて、画像処理端末20は、撮像部10(カメラCA)から画像データをモニター30に映し出すための処理を行うものとしてもよい。モニター30は、図示のように、例えば列車の最後尾に相当する位置にまとめて設けられており、例えば複数の表示画面で構成され、各監視ユニット100A,100Bにおける画像処理端末20からの画像データを当該複数の表示画面にそれぞれ表示して、列車TRの停車時において(図1等参照)、車掌がホームの状況確認に際して利用可能となっている。
【0030】
以上のような構成により、例えば図3(B)に例示するように、通知部50と近距離無線による通信が可能な携帯物としてのスマートフォン(スマホ)等の通信端末SMを所持する歩行者PDは、通信端末SMを介して音声(音)VOや、振動VB、さらには、表示部SMdにおける表示(光)DSにより、危険な箇所にいることの通知を受けるものとなる。言い換えると、携帯物としての通信端末SMは、音、振動及び光のうち少なくともいずれかを変化させることで通知部50からの通知に応じた報知をする。
【0031】
なお、図示では、領域DD3にいる歩行者PDが、監視ユニット100Bの第1通信機50αから通知を受ける様子を一例として示している。なお、この場合、スピーカー40からも併せて音声VOsによる報知がなされる。
【0032】
図4は、上記のようなホーム監視システム500の一構成例について示すブロック図である。さらに、図示では、歩行者PDが所持する携帯物としての通信端末SMの一構成例についても併せて示している。
【0033】
図示のように、また、既述のように、ホーム監視システム500のうち、各監視ユニット100において、画像処理端末20は、監視ユニット100を構成する各部と接続され、各種情報の入出力が可能になっている。図示の一例では、画像処理端末20を格納する中継接続箱BRには、画像処理端末20に加え、スピーカー40用の音源装置SD(アンプAP)と、通知部50や総合制御部90等の各部と接続するためのI/O基板BOとが設けられており、画像処理端末20は、音源装置SDやI/O基板BOを介して、スピーカー40や、通知部50、総合制御部90等と接続されている。
【0034】
一方、通信端末SMは、近距離無線通信部SMtと、表示部SMdと、タッチパネルSMpと、スピーカーSMsと、振動子SMvと、記憶部SMmと、主制御部SMcとを備える。通信端末SMは、歩行者(利用者)PDが所持するスマートフォンにおいて、タッチパネルSMpによる操作等を適宜行って、事前に専用アプリをインストールしておくことで構成される。すなわち、駅の利用に際して、予め当該専用アプリが起動していることで、通信端末SMは、通知部50との近距離無線による通信が可能になっている。ここで、近距離無線通信として採用する方式は種々のものが考えられるが、ここでは、一例として、Bluetooth(登録商標)を利用した近距離無線通信が可能となっており、既述のような通信可能範囲の設定についても、予めなされているものとする。
【0035】
通信端末SMの主制御部SMcは、近距離無線通信部SMtを介して、通知部50との通信すなわち近距離無線通信を必要に応じて行い、通信結果に対応して、記憶部SMmに事前に登録されている内容にしたがって、スピーカーSMsによる音声や、振動子SMvによる振動、さらには、表示部SMdによる表示の動作を行う。なお、図4では、図3(B)を参照して説明した例示に合わせて、通信端末SMが、監視ユニット100Bの第1通信機50αと通知している様子を示している。
【0036】
さらに、画像処理端末20は、総合制御部90と接続されており、上記のような通知部50を介した通信端末SMとの通信がなされた場合、通信内容について、総合制御部90へ送信する。これにより、総合制御部90側において、複数の監視ユニット100における監視のための各種動作履歴を把握することが可能となる。
【0037】
なお、通信端末SMまで含めて、ホーム監視システム500である、と捉えることも可能である。すなわち、ホーム監視システム500は、通信端末SMを構成要素として含む、と考えることもできる。
【0038】
図5は、ホーム監視システム500のうち、一の監視ユニットである監視ユニット100Aの一構成例について示すブロック図である。ここでは、特に、画像処理端末20の一構成例について、より詳細に説明する。
【0039】
上記のような動作を可能とすべく、画像処理端末20は、例えばCPUや電子回路等で構成され主制御部21と、各種ストレージデバイス等で構成される記憶部22とを備える。さらに、主制御部21は、撮像部10で取得された画像データから歩行者PDの位置を抽出する画像処理回路である画像処理部GPと、画像処理部GPでの抽出結果に基づき危険な位置に歩行者PDがいるか否かを判断する判断回路である判断部JDとを備える。あるいは、主制御部21は、これらのものとして機能する、と捉えてもよい。
【0040】
画像処理部GPは、取得した画像のうち、部分領域DD1(図1等参照)における歩行者の抽出を行う第1歩行者抽出部PE1と、部分領域DD2における歩行者の抽出を行う第2歩行者抽出部PE2とで構成されている。
【0041】
また、記憶部22には、撮像部10で取得された画像データから部分領域DD1,DD2に相当する領域をそれぞれ抽出するための領域抽出データDA1や、画像データから人物画像を抽出して人物の有無を判定可能にするための人物抽出データDA2、さらには、通知部50やスピーカー40において報知を行うための報知用データDA3等が格納されている。
【0042】
なお、図示や説明を省略するが、監視ユニット100Bについても、上記と同様の構成とすることが可能である。すなわち、監視ユニット100A,100Bの全体で捉えた場合、ホーム監視システム500は、複数(2つ)のカメラCAに対応する複数(2つ)の画像処理部(画像処理回路)GPを有し、判断部(判断回路)JDは、複数(2つ)の画像処理部(画像処理回路)GPに対応して複数(2つ)で構成され、複数(2つ)の判断部(判断回路)JDは、対応する複数(4つ)の通信機50α,50βに対して判断結果をそれぞれ出力するものとなっている。
【0043】
以下、図6を参照して、ホーム監視システム500あるいは監視ユニット100による監視についての一連の動作、すなわち歩行者の検知から歩行者に対する通知までの流れについてまとめたものの一例を示す。
【0044】
図6において、まず、監視ユニット100のうち、撮像部10(カメラCA)は、ホームPFの所定範囲(領域DD)について撮像し、画像データGD1を取得すると、これを監視ユニット100を構成する画像処理端末20の画像処理部GPに送信する。画像処理部GPは、取得した画像データGD1についての解析を行い、人物(歩行者)について映し出されているかを確認する。ここで、人物(歩行者)が抽出された場合、その位置(歩行者位置)PS1の情報が併せて抽出される。次に、画像処理端末20の判断部JDにおいて、画像処理部GPにおける抽出結果に基づき、危険が発生しているか否かの判断がなされる。判断部JDによる判断結果は、必要に応じて、通知部50に送信され、当該判断結果に応じた内容の通知(注意喚起の通知)が、通知部50から領域DDに存在する通信端末SMに対してなされる。
【0045】
また、判断部JDによる判断結果等については、スピーカー40や、総合制御部90に対しても併せて通知される。スピーカー40からは、当該判断結果に応じた注意喚起の放送がなされる。つまり、通知部50による通信端末SMに対する注意喚起の通知と、スピーカー40による注意喚起の放送とが並行してなされる。
【0046】
また、以上において、総合制御部90は、判断部JDから出力される判断結果を受け付けるとともに、各種情報を管理することで、ホーム監視システム500全体を制御するものとなっている。
【0047】
図7は、上述したホーム監視システム500での各種処理に際して取り扱われる各種データについて例示するデータ表であり、例えば、図7(A)は、通信端末SMとして機能するためのスマホについての事前登録の内容に関して一例を示すデータ表である。また、図7(B)は、通知部50から通信端末SMに対して送信される送信IDについて一例を示すデータ表である。また、図7(C)は、通信端末SMに格納される送信IDに対応した動作パターン(報知態様パターン)について一例を示すデータ表である。なお、図7(C)は、通信端末SMにおける動作態様のうち、音声の動作パターンについて一例を示している。
【0048】
まず、図7(A)に示すように、ここでは、歩行者(利用者)側において、所持するスマホ等を通信端末SMとして利用する際の事前登録の内容として、例えば当該スマホを特定するためのID(スマホID)が登録される。さらに、ここでの一例では、当該スマホIDのほか、報知を行う際にどのような態様で通信端末SMを動作させるかについて、予め選択された内容が、スマホIDに紐づけされて登録されているものとする。より具体的には、音声についてであれば、音量や言語について事前に登録可能となっており、表示についてであれば、表示サイズや表示言語等についての選択が可能となっている。また、振動についても、振動パターンの選択が可能となっており、振動の態様の差異から、通常の通話着信やメール着信等との区別が可能になっている。仮に、既述のようなスピーカー40による放送のみを行うものとした場合、ホームPFにおける周囲環境等の影響によっては、危険な状態にある者に対して的確な報知ができない可能性がある。このため、本実施形態では、上記のように、歩行者が所持するスマホ等を通信端末SMとして利用し、かつ、その報知態様について歩行者が自ら選択可できるようにしておくことで、より的確な注意喚起ができるものとしている。また、この場合、例えば視覚や聴覚に障害がある場合等を考慮した報知態様の選択も可能となる。なお、以上に加えて、当該スマホである通信端末SMを所持する者、つまり歩行者PDに関する各種情報も併せて事前登録事項として紐づけしておくものとしてもよい。なお、図7(A)に示すデータについては、例えば総合制御部90において管理されているものとしてもよい。
【0049】
また、図7(B)に示すように、近距離無線通信による通知部50から通信端末SMへの送信については、報知を行う位置や、画像解析の結果に基づく転落危険性の度合い等に応じて、報知する内容が予め決まっており、各報知内容に対応する複数のパターン(パターンα,β,…)として、事前に登録がなされている。さらに、通信端末SM側では、図7(C)に示すように、上記パターンと、事前に設定登録されている音声態様についての選択肢とについての参照用のデータが記憶部SMmに格納されている。以上により、図7(B)に示す複数のパターンα,β,…を特定する一の送信IDが通知部50から発信されると、これを受けた通信端末SMは、送信されたIDと、図7(A)に示した事前に選択されている音声・振動・表示の態様に対応する動作パターンに応じた動作を開始する。例えば、図中黒地に白抜きで示す場合のように、図7(A)に示した事前登録において選択されている自己の報知選択態様に応じた音声データが、「標準音量」であり、図7(B)に示す複数のパターンのうち、「パターンγ」に対応する内容が出力されるべきものとして通知された場合、図7(C)において、これらに対応する音声データが抽出され、この音声データを報知内容として、スピーカーSMsから出力(再生)がなされる。なお、表示の動作や、振動の動作においても、併せて同様に動作する。
【0050】
以下、図8として示すフローチャートを参照して、ホーム監視システム500における監視動作のための一連の処理について説明する。ここでは、画像処理端末20の主制御部21における動作処理を中心として、各部の動作を説明する。
【0051】
まず、画像処理端末20の主制御部21は、総合制御部90から監視動作についての停止指令が来ているか否かを確認する(ステップS101)。具体的には、列車検知部DTにおいて在線確認がなされ列車TRが駅に停車していて乗客の乗り降りがある、というような場合には、ホーム監視システム500による監視やこれに伴う注意喚起の動作がなされないように、動作を停止させておく。ステップS101において、動作停止指令があると判定された場合(ステップS101:Yes)、主制御部21は、動作を停止させて(ステップS102)、動作の再開指令を待つ(ステップS103)。
【0052】
列車TRの出発に際して、総合制御部90から監視動作についての停止解除(監視再開)指令があると(ステップS103:Yes)、主制御部21は、動作を開始(再開)させ(ステップS104)、撮像部10からの画像データが更新されたか否かを確認し(ステップS105)、更新がなければ、すなわち新規画像の取得が無ければ(ステップS105:No)、ステップS101からの動作に戻る。
【0053】
一方、ステップS105において、更新があった場合(ステップS105:Yes)、主制御部21は、画像処理部GPにおいて、新たに取得した画像データから人物抽出を行い(ステップS106)、判断部JDにおいて、危険領域に、すなわち領域DDに人が存在しているか否かを判断する(ステップS107)。
【0054】
ステップS106において、危険領域において人の存在が確認されなければ(ステップS107:No)、主制御部21は、異常がない旨の通知を総合制御部90に対して行い(ステップS108)、ステップS101からの動作に戻る。
【0055】
一方、ステップS107において、危険領域において人の存在が確認された場合ステップS107:Yes)、主制御部21は、人の存在が確認された領域(例えば図3(B)における領域DD3)における報知の動作を、通知部50やスピーカー40により行うステップS109)。また、これとともに、異常があった旨の通知を総合制御部90に対して行う(ステップS110)。なお、この場合において、さらに、当該異常に関する位置等の情報を、総合制御部90に送信する態様としてもよい。
【0056】
ステップS110の動作を終了すると、主制御部21は、ステップS101からの動作に戻る。
【0057】
上記のうち、例えばステップS109における通知部50と通信端末SMとの近距離無線通信に際して、さらに、通信端末SM側からも、通知部50に対して自己のID(スマホID)を送信するようにしてもよい。この場合、通信端末SM側からのスマホIDの情報を、通知部50から画像処理端末20へ、さらには、ステップS110において、総合制御部90へ送信することで、例えば上記ステップS109において通知部50による通知を受けた通信端末SMの所持者(歩行者)を、駅側において特定可能となる。
【0058】
以上のように、本実施形態に係るホーム監視システム500は、ホームPFの所定範囲である領域DDについて画像データGD1を取得する撮像部10と、撮像部10で取得された画像データGD1から歩行者PDの位置を抽出する画像処理部GPと、画像処理部GPでの抽出結果に基づき危険な位置に歩行者PDがいるか否かを判断する判断部JDと、所定範囲において歩行者の携帯物である通信端末SMと通信し、判断部JDでの判断結果に対応した注意喚起の通知をする通知部50とを備える。このホーム監視システム500では、画像処理部GPにおける画像解析からホームPFにおいて歩行者PDが危険な位置にあるか否かを監視側すなわち駅側で判断可能とするとともに、通知部50が所定範囲である領域DDにおいて歩行者PDの携帯物である通信端末SMと通信して注意喚起の通知をすることで、的確な判断とその判断結果についての確実な通知が可能となる。
【0059】
〔その他〕
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0060】
まず、上記実施形態では、報知の態様についての説明を分かりやすくするため、例えば図1に示したように、4両編成の列車TRに対して、2組の監視ユニット100(監視ユニット100A,100B)を設け、各監視ユニット100において、1つの撮像部10により2両分の範囲に相当する危険領域について撮像を行い、さらに、通知部50を構成する複数(2つ)の通信機50α,50βにより1両分の範囲ずつにおいて近距離無線通信を行うものとしていた。しかし、このような態様に限らず、列車TRの編成数や、撮像部10を構成するカメラCAの性能等に応じて、各部の個数や、配置、近距離無線の通信可能範囲等について、適宜変更することが可能である。
【0061】
また、近距離無線通信として採用する方式についても、所望の通信範囲に調整が可能であれば、種々のものが考えられ、上述したBluetooth(登録商標)のほかにも、種々のものを採用できる。
【0062】
また、上記では、通信端末SMにおける報知の態様を、音声(音)VOや、振動VB、表示部SMdにおける表示(光)DS、あるいはこれらの組合せとしているが、これらに限らず、さらに別の態様としてもよい。また、通信端末SMについても、スマホに限らず、同等の機能を備える種々の携帯物を採用することが可能である。
【0063】
また、上記では、人の検知から注意喚起の報知までを、各監視ユニット100において簡潔可能な態様として説明しているが、監視のための各種処理を、総合制御部90において行う態様とすることも可能である。すなわち、各監視ユニット100に設けられていた画像処理端末20を、総合制御部90に一括集約し、各中継接続箱BRにおいては、各種データの通信を行う機能のみを設けた構成とすることも考えられる。また、画像処理端末20を構成する各部のうち、一部の機能を総合制御部90が担う構成とすることも可能であり、例えば、総合制御部90の管理側判定制御部92が、各監視ユニット100の判断部JDとして機能するものとしてもよい。すなわち、判断部JDとしての管理側判定制御部92が、各監視ユニット100に設けられた複数(2つ)の画像処理部(画像処理回路)での抽出結果に基づき、複数(4つ)の通信機50α,50βに対して、個別に判断結果を出力する態様とすることも考えられる。なお、この場合、管理側判定制御部92は、列車検知部DTにおける判断結果に基づく動作処理と合わせて判断部JDとしての動作を行う態様となる。
【0064】
また、上記では、各監視ユニット100において、撮像部10として1つのカメラCAで1つの領域を撮像するものとしているが、これに限らず、各監視ユニット100において、複数(2以上)のカメラCAで撮像部10を構成するものとしてもよい。
【符号の説明】
【0065】
10…撮像部、20…画像処理端末、21…主制御部、22…記憶部、30…モニター、40…スピーカー、50…通知部、50α…第1通信機、50β…第2通信機、90…総合制御部、91…ハブ、92…管理側判定制御部、93…総合制御盤、100,100A,100B…監視ユニット、500…ホーム監視システム、A1…矢印、AP…アンプ、BR…中継接続箱、CA…カメラ、CR…車両、DA1…領域抽出データ、DA2…人物抽出データ、DA3…報知用データ、DD…領域(危険領域)、DD1~DD4…部分領域、DS…表示(光)、DT…列車検知部、GD1…画像データ、GP…画像処理部(画像処理回路)、JD…判断部(判断回路)、PD…歩行者(利用者)、PE1…第1歩行者抽出部、PE2…第2歩行者抽出部、PF…ホーム(プラットホーム)、PS1…位置(歩行者位置)、SD…音源装置、SM…通信端末、SMc…主制御部、SMd…表示部、SMm…記憶部、SMp…タッチパネル、SMs…スピーカー、SMt…近距離無線通信部、SMv…振動子、TR…列車、VB…振動、VO…音声(音)、VOs…音声
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8