(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160773
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】流体部品および流体監視システム。
(51)【国際特許分類】
G01L 9/04 20060101AFI20231026BHJP
G01L 19/06 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
G01L9/04
G01L19/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067509
(22)【出願日】2023-04-18
(31)【優先権主張番号】P 2022070080
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000173795
【氏名又は名称】公益財団法人電磁材料研究所
(71)【出願人】
【識別番号】501415752
【氏名又は名称】日本ファインセラミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 英二
(72)【発明者】
【氏名】水尾 仙人
(72)【発明者】
【氏名】皆川 直祐
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA31
2F055BB01
2F055CC02
2F055DD01
2F055EE12
2F055FF38
2F055GG11
(57)【要約】
【課題】本発明は、従来の圧力センサよりも向上した優れた圧力分解能かつ優れた測定精度を有するとともに、反応性の高い流体に対する安定度も備えた圧力センサを備えた流体部品を提供し、該流体部品の流体監視システムを提供する。
【解決手段】流体部品は、流体が存在する空間を少なくとも部分的に画定する本体部と、本体部の流体が存在する空間側に設けられた少なくとも一つ以上の圧力センサと、を備えた流体部品である。圧力センサは、本体部において、流体が存在する空間側に一面が面するように設けられる基部と、基部の一面に形成された導電性部材と、を有する。導電性部材は、該導電性部材を取り付けた基部の一面の法線と直交する面方向について等方的ゲージ率を有し、該導電性部材を取り付けた基部の一面の法線方向または三次元方向からの応力に基づく出力変化から導電性部材が受けた圧力を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が存在する空間を少なくとも部分的に画定する本体部と、
前記本体部の前記空間側に設けられた少なくとも一つ以上の圧力センサと、を備えた流体部品であって、
前記圧力センサが、前記本体部において、前記空間側に一面が面するように設けられる基部と、前記基部の前記一面に形成された導電性部材と、を有し、
前記導電性部材が、前記導電性部材を取り付けた前記基部の前記一面の法線と直交する面方向について等方的ゲージ率を有し、前記導電性部材を取り付けた前記基部の前記一面の法線方向または三次元方向からの応力に基づく出力変化から前記導電性部材が受けた圧力を検出することを特徴とする流体部品。
【請求項2】
請求項1記載の流体部品であって、
前記基部が、外部空間に対して密閉された内部空間を有し、
前記導電性部材が形成される前記基部の前記一面が、前記内部空間を画定する壁部のうち一の壁部が相対的に肉薄になる肉薄部として形成されることを特徴とする流体部品。
【請求項3】
請求項2に記載の流体部品であって、
前記肉薄部の厚さが0.03~0.1mmの範囲内であることを特徴とする流体部品。
【請求項4】
請求項1に記載の流体部品であって、
前記本体部が、前記流体の流量または圧力を制御する流体調整部材を有し、
前記圧力センサが前記流体調整部材のうち、前記空間側に設けられることを特徴とする流体部品。
【請求項5】
請求項1に記載の流体部品であって、
前記本体部が、前記流体を前記空間内に保管または保持する流体貯蔵部材を有し、
前記圧力センサが前記流体貯蔵部材のうち、前記空間側に設けられることを特徴とする流体部品。
【請求項6】
請求項1に記載の流体部品であって、
前記本体部が、前記流体を前記空間内において連通または配送させる、流体連通部材を有し、
前記圧力センサが前記流体連通部材のうち、前記空間側に設けられることを特徴とする流体部品。
【請求項7】
請求項1に記載の流体部品であって、
前記基部がジルコニアにより構成されていることを特徴とする流体部品。
【請求項8】
請求項1に記載の流体部品であって、
前記導電性部材がCr薄膜またはCr-N薄膜により構成されていることを特徴とする流体部品。
【請求項9】
請求項1に記載の流体部品であって、
前記流体が水素ガスであることを特徴とする流体部品。
【請求項10】
請求項1~8のいずれかに記載の流体部品と、
少なくとも一つ以上の前記圧力センサの圧力データを記憶保持する記憶装置と、
前記圧力センサおよび前記記憶装置を制御する制御装置と
前記記憶装置の圧力データを演算処理することで、流体部品内の状態を判断する演算処理装置と、
前記演算処理装置によって実行された結果を出力する出力インターフェースと、を備えることを特徴とする流体監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の圧力を高精度に測定するとともに、反応性の高い流体、特に水素気体雰囲気中の高感度圧力測定に好適な圧力センサを内蔵した流体部品に関する。
【0002】
また、本発明は該流体部品の流体監視システムに関する。
【背景技術】
【0003】
近時、家庭用燃料電池の普及、燃料電池自動車の出現、およびそれにともなう水素ステーションの建設等、水素エネルギー社会の実現に向けた動きが加速しつつある。これらの水素を貯蔵し輸送するにあたって用いられる水素吸蔵合金に吸蔵する水素の量は印加する水素の圧力を変数として単調増加する。したがって、水素吸蔵合金を印加した水素の圧力を正確に計測することで、水素吸蔵合金に吸蔵した水素の量を正確に計測できる。
【0004】
しかし、水素をはじめとする反応性の高い流体は化学的活性が高いため、圧力センサの受感部と反応し、センサの精度および感度を低下させる。このことから、反応性の高い流体に対して化学的に安定である圧力センサの開発が求められている。さらに、水素エネルギー社会の実現に向けて、利便性を高めるために、圧力センサを小型にすることも求められている。
【0005】
また、水素をはじめとする反応性の高い流体は化学的活性が高いため、該流体のステーション、貯蔵容器や配送機器においては、流体の漏洩に関して最大限の注意を払う必要があり、種々の対策が取られている。水素気体を一例にすると、その一つとして、水素のステーション、貯蔵容器や配送機器に水素センサを配設して、これら容器等からの水素気体の漏洩を逐次モニタリングする方法が取られている。
【0006】
これに対して、特許文献1では、水素気体環境下で水素の影響を受けることなく安定して計測できるCrとNを主成分とする薄膜およびセラミックス基部を用いたひずみセンサが提案されている。また、特許文献2では、CrとNを主成分とする薄膜からなる起歪体を用いない圧力センサが提案されている。
【0007】
また、例えば、特許文献3では、水素ステーションや水素貯蔵容器を構成する密閉容器内に圧力センサを配設し、当該密閉容器内部の圧力値を読み取り、密閉容器内の圧力と所定値との差を算出し、その差が計測誤差程度のほぼ0であれば、システムは正常として終了する。また、その差が計測誤差程度を超えて、正、または負で有れば、水素漏洩が生じたとしシステム異常と判断する水素を供給する装置の水素漏洩発生時の引火を防止するシステムが提案されている。
【0008】
特許文献4では、水素気体用の圧力センサが開示され、該センサはSi半導体からなる凹部を有する第1の半導体基板とSi酸化物によって接合して形成した第2の半導体基板を備えている。また、該センサは第1の半導体基板と第2の半導体基板によって形成された、基準圧力室とダイアフラムによって、圧力を測定する。
【0009】
特許文献5では、圧力センサを取り付けた水素気体用の流体部品が開示されている。該流体部品によれば、透過してくる水素気体を系外に排出する通気孔を有するため、水素気体がダイアフラムを透過してセンサ素子に気泡を発生させることにより生じる圧力誤差を抑制する。係る構造によりセンサ素子の水素脆化ひいては変形が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2018-151204号公報
【特許文献2】特許第6850642号公報
【特許文献3】特開2004-165021号公報
【特許文献4】特許第6425794号公報
【特許文献5】特開2010-266425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献3のように、水素ステーションや水素貯蔵容器に配設される圧力センサは、水素に対して脆化の影響を受けないほどの耐久性および耐食性が必要となる。しかしながら、従来の圧力センサは水素をはじめとする反応性の高い流体に対して、脆化の影響を受けるので、水素漏洩を十分に検知することができないという問題がある。
【0012】
該問題に対して特許文献4に開示される、圧力センサを用いることが、考えられる。一方で。特許文献4開示の圧力センサは、ピエゾ抵抗およびSi酸化膜を水素脆化から抑制する観点から、Si3N4などの水素気体に対しての保護膜を必要とし、構造や製造方法が複雑となり、センサの自由度ひいては流体部品の自由度が低下する。
【0013】
また、特許文献5に開示される圧力センサは、水素気体の排気用の通気孔から水素気体が外部に漏洩するので、一定の危険性を有する。また、通気孔の存在は、水素の浸透を完全には抑制できず、ひずみゲージおよびダイアフラムが水素脆化する可能性がある。
【0014】
さらに、
図21によると、水素気体が0.1~1.0MPaの間で印加するときに、水素吸蔵量が大幅に変化するので、圧力センサを水素貯蔵合金の水素吸蔵量計測のために用いる場合、該区間の圧力を高精度かつ高感度で検出する必要がある。CrとNを主成分とする薄膜からなる特許文献2のような起歪体を用いないタイプの圧力センサは、1MPa以上の圧力に対して十分な大きさの出力を示し、圧力を安定的に測定できるのでその範囲においては非常に有用である。その一方、1MPa以下の低い圧力に対しては出力が小さくなるため、細かい圧力の変動を計測するには不向きという問題点がある。
【0015】
かかる問題に鑑みて、本発明は、従来の圧力センサよりも向上した優れた圧力分解能かつ優れた測定精度を有するとともに、反応性の高い流体を含めた、様々な流体に対する安定度も備えた小型可能な圧力センサを備えることで流体部品内の圧力を高感度で測定することができる、安全な流体部品および流体監視システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)
本発明の流体部品は、流体が存在する空間を少なくとも部分的に画定する本体部と、前記本体部の前記空間側に設けられた少なくとも一つ以上の圧力センサと、を備えた流体部品であって、前記圧力センサが、前記本体部において、前記空間側に一面が面するように設けられる基部と、前記基部の前記一面に形成された導電性部材と、を有し、前記導電性部材が、前記導電性部材を取り付けた前記基部の前記一面の法線と直交する面方向について等方的ゲージ率を有し、前記導電性部材を取り付けた前記基部の前記一面の法線方向または三次元方向からの応力に基づく出力変化から前記導電性部材が受けた圧力を検出することを特徴とする。
【0017】
かかる構成によれば、導電性部材が三次元方向からの等方的圧力に対する検知能力を有しているので、当該導電性部材が非等方的に形成されていたとしても、さまざまな形態の基部にかかる圧力に対して出力信号の強度が十分に確保される。よって、基部の一面上に取り付けられる導電性部材の形成の自由度の向上が図られる。また、構造が極めてシンプルであるので、安価な圧力センサを実現することができる。さらに、導電性部材の形成の自由度が高いこと及びシンプルな構造であることから小型化も可能であるため、設置場所の自由度を高め、限られた空間内に多数個配置することが可能となる。この結果、流体部品内の圧力を高感度で測定することができ、耐久性を備える、安価で自由度の高い圧力測定機器つき流体部品を提供することが可能となる。また、導電性部材が等方的ゲージ率を有しているので、特許第6084393号公報および特許第6874045号公報のように、当該導電性部材が非等方的に形成されていたとしても、さまざまな形態の起歪体のひずみに対して出力信号の強度が十分に確保される。よって、基部の一面上に取り付けられる導電性部材の形成の自由度の向上が図られる。
【0018】
(2)
また、本発明の流体部品において、前記基部が、外部空間に対して密閉された内部空間を有し、前記導電性部材が形成される前記基部の前記一面が、前記内部空間を画定する壁部のうち一の壁部が相対的に肉薄になる肉薄部として形成されることが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、構造が極めてシンプルであるので、安価な圧力センサを実現することができる。さらに、導電性部材の形成の自由度が高いこと及びシンプルな構造であることから小型化も可能であるため、設置場所の自由度を高め、限られた空間内に多数個配置することが可能となる。この結果、流体部品内の圧力を高感度で測定することができ、耐久性を備える、安価で自由度の高い圧力測定機器つき流体部品を提供することが可能となる。
【0020】
かかる構成によれば、基部が有する内部空間の圧力が任意に調整されるので、基部の外部空間と当該内部空間との圧力差の範囲が、起歪体として機能する当該基部の肉薄部に適当なひずみを生じさせる観点から適当に制御される。これにより、肉薄部のうち基部の外部空間に面した外側面に形成された導電性部材の、当該肉薄部のひずみに応じた信号の出力強度の向上が図られ、ひいては流体部品内の圧力の測定精度及び分解能の向上が図られる。
【0021】
(3)
また、本発明の流体部品において、前記肉薄部の厚さが0.03~0.1mmの範囲内であることが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、肉薄部が微小な圧力変動によって変化されるので、外部空間の圧力が高感度に測定される。加えて、肉薄部の耐久性が維持されるので、測定範囲の向上が図られる。
【0023】
(4)
また、本発明の流体部品において、前記本体部が、前記流体の流量または圧力を制御する流体調整部材を有し、前記圧力センサが前記流体調整部材のうち、前記空間側に設けられることが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、圧力センサが流体調整部材に配設される。したがって、流体部品内の流体の状態が高精度に検知され、流体部品内の流体の状態が正確に制御される。
【0025】
(5)
また、本発明の流体部品において、前記本体部が、前記流体を前記空間内に保管または保持する流体貯蔵部材を有し、前記圧力センサが前記流体貯蔵部材のうち、前記空間側に設けられることが好ましい。
【0026】
かかる構成によれば、圧力センサが流体貯蔵部材に配設される。したがって、流体部品内の流体の状態が高精度に検知され、流体部品内の損傷や孔によって発生する流体の状態が正確かつ迅速に把握される。
【0027】
(6)
また、本発明の流体部品において、前記本体部が、前記流体を前記空間内において連通または配送させる、流体連通部材を有し、前記圧力センサが前記流体連通部材のうち、前記空間側に設けられることが好ましい。
【0028】
かかる構成によれば、圧力センサが流体連通部材に配設される。したがって、流体部品内の流体の状態が高精度に検知され、流体部品内の流体の連通状態が正確かつ迅速に把握される。
【0029】
(7)
また、本発明の流体部品において、前記基部がジルコニアにより構成されていることが好ましい。
【0030】
かかる構成によれば、ジルコニアからなる基部を用いるので、反応性の高い流体を測定する際、化学的に安定するため、反応性の高い流体の影響を受けることなく、内部空間の圧力が維持され、外部空間の圧力が高精度かつ高感度に測定される。
【0031】
(8)
また、本発明の流体部品において、前記導電性部材がCr薄膜またはCr-N薄膜により構成されていることが好ましい。
【0032】
かかる構成によれば、Cr薄膜またはCr-N薄膜からなる導電性部材が用いられるので、高感度であり、外部空間に存在する流体が水素気体であり、圧力差が1MPaの圧力を外部空間の圧力として印加しても、水素の影響を受けることなく、水素気体雰囲気中で圧力が測定される。したがって、反応性が高い流体の圧力センサとして好適である。
【0033】
(9)
また、本発明の流体部品において、前記流体が水素ガスであることが好ましい。
【0034】
(10)
また、本発明の流体監視システムは、(1)~(9)のいずれか1つに記載の流体部品と、少なくとも一つ以上の前記圧力センサの圧力データを記憶保持する記憶装置と、前記圧力センサおよび前記記憶装置を制御する制御装置と、前記記憶装置の圧力データを演算処理することで、流体部品内の状態を判断する演算処理装置と、前記演算処理装置によって実行された結果を出力する出力インターフェースと、を備えることを特徴とする。
【0035】
かかる構成によれば、圧力センサが高分解能で流体の圧力を高感度で測定するので、流体部品内の状態を高精度で観測できる。例えば、流体部品内に微小な孔が発生した場合であっても、その孔によって発生する微小な圧力変動を検知することができる。また、圧力センサが小型なため、限られた空間内に多数個の圧力センサを配設することができるので、流体部品内の圧力の空間分解能を高めることができるとともに、多数個のデータをビッグデータとして処理してAIによる解析も可能である。従って、流体部品内の状態を迅速かつ正確に把握することができる。
【0036】
さらに、導電性部材がCr-N薄膜の場合、数kΩの高抵抗値を実現することができるので、自立電源によってセンサを駆動させることが可能であるとともに、例えば流体部品ごとに、測定した信号(データ)を無線により記憶装置(もしくは制御装置もしくは演算処理装置)に送達させることが可能である。したがって、構造や設置場所等に関してシンプルで自由度の高いシステムの構築が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の流体監視システムを示す説明図である。
【
図2】第1実施形態に係る圧力センサ又は第2実施形態に係る圧力センサを取り付けた流体部品を示す概略図である。
【
図3】複数の圧力センサを取り付けた流体部品を示す概略図である。
【
図4】
図3に示す流体部品内の圧力変化の検知を説明するための概略図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る圧力センサの概略構成を示す断面図である。
【
図7】圧力印加実験1の際の外部空間に印加される圧力の時系列変動を示す図である。
【
図8】圧力印加実験1の際の外部空間の温度の時系列変動を示す図である。
【
図9】圧力印加実験1の際の実施例1で構成された圧力センサの導電性部材(Cr-N薄膜)の抵抗値の時系列変動を示す図である。
【
図10】圧力印加実験1における外部空間に印加される圧力と実施例1で構成された圧力センサの導電性部材の抵抗値との関係を示す図である。
【
図11】実施例1の圧力センサの印加圧力とひずみの関係を大変形を導入した構造解析の計算値と実測値で表した図である。
【
図12】圧力印加実験1の際の実施例2で構成された圧力センサの導電性部材(Cr-N薄膜)の抵抗値の時系列変動を示す図である。
【
図13】圧力印加実験1における外部空間に印加される圧力と実施例2で構成された圧力センサの導電性部材の抵抗値との関係を示す図である。
【
図14】実施例2の圧力センサの印加圧力とひずみの関係を大変形を導入した構造解析の計算値と実測値で表した図である。
【
図15】各肉薄部の厚さに応じた、圧力とひずみ量の関係を示す図である。
【
図16】圧力印加実験2の際の実施例2で構成された圧力センサの導電性部材(Cr-N薄膜)の抵抗値の時系列変動を示す図である。
【
図17】圧力印加実験2における外部空間に印加される圧力と実施例2で構成された圧力センサの導電性部材の抵抗値との関係を示す図である。
【
図18】圧力印加実験3の際の外部空間(圧力容器内)の圧力の時系列変動及び実施例3で構成された圧力センサの導電性部材の抵抗値との関係を示す図である。
【
図19】PCT装置および実施例3を用いた際の、水素印加圧力と水素貯蔵量の関係を表す図である。
【
図20】
図19の実施例2を用いた際の、水素印加圧力と水素貯蔵量の関係に補正を施した図である。
【
図21】標準的な水素貯蔵合金を用いた際の、水素印加圧力と水素貯蔵量の関係を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態は下記の説明及び図において説明される。
図1は本発明の流体監視システムを示す説明図である。本発明の流体監視システムは、流体部品30と流体部品30内に配設される一または複数の圧力センサ10と、圧力センサ10からデータを有線または無線形式で伝達し、当該データを記憶保持する記憶装置(ROM、RAM、EEPROMなどのメモリ、SSD、HDDなど)と、圧力センサ10および記憶装置を制御する制御装置と、当該記憶装置から必要なソフトウェアおよび/またはデータを読み取って当該データを対象とする演算処理を実行する演算処理装置(シングルコアプロセッサ、マルチコアプロセッサ、CPUなど)と、演算処理装置から演算結果を有線または無線形式で伝達し、当該演算結果を出力する出力インターフェース(音響出力装置、画像出力装置など)と、を備える。当該演算処理装置によって、流体部品30内の流体圧力(静圧、動圧)の空間分布の時系列変動が監視される。
【0039】
図2は本発明の実施形態の概略を説明する図である。流体部品30は、流体が存在する空間を少なくとも部分的に画定する本体部35と、本体部35の該空間側に設けられた少なくとも一つ以上の圧力センサ10を備える。ここで、
図2の流体部品30の本体部35は一端部に底を有し、一端部とは反対の他端部が縮径され、開口した略有底筒状の流体貯蔵部材32と、流体貯蔵部材32の他端部に配置される流体調整部材31から構成される。流体貯蔵部材32および流体調整部材31の形状は一般的には略円筒形状として考えられるが、これに限定されず、角筒形状、円錐台形状または角錐台形状であってもよいし、筒の延在する方向に沿って曲がっていてもよい。また、本実施形態では他端部が縮径された形状であるが、縮径されなくてもよいし、拡径されてもよい。流体貯蔵部材32は流体を貯蔵する部材であって一般的には、キャニスターであるが、これに限定されず、タンクまたはカセットなどの流体貯蔵部材32により構成された本体部35を有した流体部品30であってもよい。流体調整部材31は、一端部が開口しており、他端部に底を有した略有底筒状の部材である。流体調整部材31の一端部は、流体貯蔵部材32の他端部に取り外し可能に取り付けられるため、流体調整部材31の一端部の筒の延在方向における断面積は、流体貯蔵部材32の他端部の筒の延在方向における断面積と略一致する。流体調整部材31の一端部は、流体貯蔵部材32の他端部に取り付けることで、流体部品30内の流体を外部に漏洩することを防ぐ。本実施形態の流体調整部材31は一般的には蓋であって、流体調整部材31の一端部および流体貯蔵部材32の他端部が螺合などによって取り付けられることで、本体部35内の流体の流出、流入および貯蔵を容易にする。また、流体調整部材31は蓋の形態のほかに、栓、弁、圧力レギュレータ、またはマスフローコントローラであってもよい。本実施形態では、本体部35は流体貯蔵部材32および流体調整部材31の組み合わせによって構成されているが、これに限定されず、流体調整部材31および流体貯蔵部材32の少なくとも一つによって構成されてもよい。
【0040】
図2に係る実施形態では、圧力センサ10は、本体部35の内壁部に配設され、本体部35とともに流体部品30を構成する。この場合、流体部品30の本体部35が、流体調整部材31単体によって構成されてもよいし、流体部品30の本体部35が、流体調整部材31および流体貯蔵部材32の組み合わせによって構成されてもよい。また、圧力センサ10は、本体部35の内、流体調整部材31に配設されるが、これに限定されず、流体貯蔵部材32に配設されてもよい。この場合、流体部品30の本体部35が、流体貯蔵部材32単体によって構成されてもよいし、流体部品30の本体部35が、流体調整部材31および流体貯蔵部材32の組み合わせによって構成されてもよい。また、圧力センサ10は、流体貯蔵部材32および流体調整部材31の両方に配設されてもよい。この場合、流体部品30の本体部35が、流体貯蔵部材32単体によって構成されてもよいし、流体部品30の本体部35が、流体調整部材31単体によって構成されてもよいし、流体部品30の本体部35が、流体調整部材31および流体貯蔵部材32の組み合わせによって構成されてもよい。また、圧力センサ10は、後述するように、基部11と、基部11上に形成された圧力を受感する導電性部材12を有する。この時、圧力センサ10は、導電性部材12が、流体が存在する空間に向くように、流体部品30内に配設される。
図2に示すように、圧力センサ10を本体部35の内部に配設することにより、本体部35内の圧力を直接検知することができるので、流体部品30内の圧力および圧力変動を高精度で検知し、ひいては流体の監視を容易にする。
【0041】
図3には、圧力センサ10を合計7つ配設した流体部品30の様子を示す概略図である。
図3に示された実施形態に係る流体部品30は、略筒状の流体貯蔵部材32と流体貯蔵部材32の一端部および他端部に接合される流体連通部材33とを本体部35として備えている。流体連通部材33は通常流体を連通する部材である配管(パイプ)であるが、これに限定されず、配管を連結するフランジ(継手)などであってもよい。流体貯蔵部材32が延在する方向において、流体貯蔵部材32の一端部および他端部は中心部に比べ縮径している。また、流体貯蔵部材32の一端部は一の流体連通部材33の他端部と取り外し可能に取り付けられ、流体貯蔵部材32の他端部は他の流体連通部材33の一端部と接合取り外し可能に取り付けられる。流体貯蔵部材32の一端部は、他の流体連通部材33の一端部と取り外し可能に取り付けられ、流体貯蔵部材32の他端部は、一の流体連通部材33の他端部と取り外し可能に取り付けられるため、他の流体連通部材33の一端部の筒の延在方向における断面積は、流体貯蔵部材32の他端部の筒の延在方向における断面積と略一致し、一の流体連通部材33の他端部の筒の延在方向における断面積は、流体貯蔵部材32の一端部の筒の延在方向における断面積と略一致する。流体貯蔵部材32、一の流体連通部材33および他の流体連通部材33は通常略円筒状であるが、円筒形状に限定されず、角筒形状、円錐台形状または角錐台形状であってもよいし、筒の延在する方向に沿って曲がっていてもよい。また、筒の延在する方向における一の流体連通部材33の一端部および他の流体連通部材33の他端部が開口していることが好ましいが、これに限定されず、一端部または他端部が底を有していてもよい。一の流体連通部材33の一端部および他の流体連通部材33の他端部が開口している場合、一の流体連通部材33の一端部および/または他の流体連通部材33の他端部に別の流体連通部材33、流体貯蔵部材32および流体調整部材31のいずれかが取り外し可能に取り付けられることで、本体部35が構成されてもよい。また、本体部35は流体貯蔵部材32および流体連通部材33の組み合わせによって構成されているが、これに限定されず、流体連通部材33および流体貯蔵部材32の少なくとも一つによって構成されてもよい。
【0042】
合計7つの圧力センサ10は、本体部35のうち、一の流体連通部材33に2つ、流体貯蔵部材32に4つ、他の流体連通部材33に1つ配設され、流体監視システムを構築する。この場合、流体部品30の本体部35が、一の流体連通部材33、流体貯蔵部材32および他の流体連通部材33のうち少なくとも一つによって構成されてもよい。例えば、一の流体連通部材33、流体貯蔵部材32および他の流体連通部材33は取り外し可能に構成されているが、互いの部材が取り付けられることで一体となって本体部35を構成している場合、一の流体連通部材33、流体貯蔵部材32および他の流体連通部材33が一体として流体部品30として機能してもよい。また、互いの部材が外されることでそれぞれが単体となって本体部35を構成している場合、一の流体連通部材33、流体貯蔵部材32および他の流体連通部材33のそれぞれが流体部品30として機能してもよい。本実施形態では流体部品30に合計7つの圧力センサ10を設けたが、7つに限定されない。また、圧力センサ10は、流体部品30内に相互間の距離が略均等になるように空間的に分散されて配設されることが好ましいが、これに限られない。例えば、圧力センサ10が流体貯蔵部材32のみに配設されてもよいし、流体連通部材33のみに配設されてもよい。当該流体監視システムは、例えば流体部品30内の流体の圧力を及び圧力変動の状態を含む流体の状態を高精度に検知することができる。
【0043】
また、本発明の流体調整部材31、流体貯蔵部材32および流体連通部材33のそれぞれは流体部品30内部に突出する突出部を備えていてもよく、該突出部の先端および/または途中に圧力センサ10が配設されてもよい。流体部品30内部の突出部に圧力センサ10を配設することで、35内部中央付近の圧力測定が可能となる。また、圧力センサ10を流体調整部材31に備えられた突出部に配設される場合、圧力センサ10と流体調整部材31が一体として構成されるので、圧力センサ10を取り出す場合、配線などとともに流体調整部材31を介して引き出される。したがって、内奥部に仕込む圧力センサの設置および交換等を容易に行うことができる。さらに、該構成によれば、流体貯蔵部材32に対して配線穴を通すことが無く、交換や検査が容易な流体調整部材31に強固な配線ポートを形成すれば良い。したがって、気体漏洩が生じにくく、安全に運用することができる。また、突出部の形状は当業者によって、任意に選択可能であり、利用する場面に応じて最適な形状を選択できる。
【0044】
また、本発明の流体監視システムは圧力センサ10を備えるが、他に温度センサ、流量センサおよび密度センサなどの流体の物理量を計測するセンサ並びに水素センサ、二酸化炭素センサ、窒素酸化物(NOx)センサ、硫化酸化物(SOx)センサおよび塩分センサなどの流体の物質量を計測するセンサを含んでもよい。これらのセンサを含むことでより精度の高い流体監視システムを構築する。
【0045】
例えば、
図4に示すように、
図3の流体部品30における本発明の流体監視システムは、流体漏洩検知装置の実施形態をとる。一の流体連通部材33の一端部および他の流体連通部材33の他端部は流体調整部材31などによって、閉じられている。この時、流体部品30内の圧力が流体部品30の外部よりも高い場合において、流体部品30の流体貯蔵部材にて、損傷などにより、流体部品30の流体を画定する空間に孔Aが生じると、孔A付近で圧力傾度力が発生し、流体は流体部品30から漏洩する。この場合、流体部品30内の平衡圧力P
0に対して、孔Aに最も近接した圧力センサ10においては、圧力がP
0-2pまで減少し、次に近接した圧力センサ10においては、圧力がP
0-pまで減少する。
【0046】
また、例えば、流体部品30内の圧力が流体部品30の外部よりも低い場合において、流体部品30の孔Aにて、損傷などにより、流体部品30の流体を画定する空間に孔が生じると、孔付近で圧力傾度力が発生し、流体部品30の外部から、別の流体が流体部品30内に流入する。この場合、流体部品30内の平衡圧力P0に対して、孔Aに最も近接した圧力センサ10においては、圧力がP0+2pまで増加し、次に近接した圧力センサ10においては、圧力がP0+pまで増加する。
【0047】
これらの場合、演算処理装置によって、損傷が無い場合の流体部品30内の圧力分布をシミュレーションにより算出し、このシミュレーション結果の圧力算出値と、実際に流体部品30に設置さたれ複数の圧力センサ10の測定値に基づく測定圧力分布をさらに演算処理装置によって求める。シミュレーション圧力分布と実測圧力分布との差が基準値より大きいか、小さいかにより、損傷の有無および損傷個所を判別する。判別結果を出力インターフェースに送信することで、漏洩状況を含む流体部品30内の流体の状態が高精度に監視される。
【0048】
図5は本発明の第1実施形態に係る圧力センサ10の断面図を示す図である。本発明の第1実施形態に係る圧力センサ10は、基部11と、基部11上に形成された導電性部材12が形成されている。基部11が金属など導電性に優れた素材である場合、導電性部材12に電気的な影響を与えるので、導電性部材12と基部11の間に絶縁層を設けてもよい。
【0049】
図6は本発明の第2実施形態に係る圧力センサ10の断面図を示す図である。本発明の第2実施形態に係る圧力センサ10は内部空間11Aを有した基部11と、内部空間11Aを画定する壁部のうち、一の壁部が相対的に肉薄になる肉薄部15を有し、導電性部材12は肉薄部15の内部空間11Aの外部に設けられる。基部11が金属など導電性に優れた素材である場合、導電性部材12に電気的な影響を与えるので、導電性部材12と肉薄部15の間に絶縁層を設けてもよい。圧力センサ10の構成要素の位置および姿勢の説明のため、導電性部材12の幾何重心を極点とする3次元円筒座標系(r、θ、Z)を用いる。
【0050】
圧力センサ10の基部11の外郭形状は四角柱として構成されるが、これに限られない。基部11の外郭形状は円柱、角柱、円錐台、角錐台及び測定装置に対して最適な形状となる任意の形状であってもよい。また、圧力測定装置として様々な回路に適用するために、それぞれの回路及び測定装置に倣った最適な形状を有してもよい。内部空間11Aの形状は円柱として、構成されるが、これに限られない。内部空間11Aの形状は円柱、円錐台、角錐台、円錐、角錐、角柱、または測定装置に対して最適な形状となる任意の形状であってもよい。また、内部空間11A及び基部11の外郭形状が異なっていても同じであってもよい。その他、基部11の厚さ、構造、および設置方法は、変形を誘起させず、内部空間11Aの圧力を保持できるように選択されてもよい。
【0051】
第2実施形態に係る圧力センサ10の基部11は内部空間11Aを画定する壁部のうち一の壁部が相対的に肉薄になる肉薄部15を備えるように構成されている。肉薄部15は基部11と一体に構成されているが、これに限られず、肉薄部15は基部11に対して着脱可能に取り付けられてもよい。この場合、肉薄部15は内部空間11Aを外部空間に対して密閉させるように取り付けられる。肉薄部15を基部11に取り付ける方法として、接着剤を用いた接着、ネジを用いた螺着、および吸引器を用いた吸着など内部空間11Aを外部空間に対して密閉させることができる取り付け機構により取り付けられる。
【0052】
内部空間11Aは内部空間の圧力を一定の圧力に保つように構成されている。内部空間11Aには予め既知の圧力を有する流体が導入される。内部空間11Aの圧力は、肉薄部15が取り付けられる前に、変圧可能なグローブボックス内にて調整された圧力下で任意の圧力に選択される。また、この時、グローブボックス内の流体も任意に選択されることで、内部空間の流体が任意に選択される。流体の例として、空気や窒素などが用いられるが、気体にかかわらず、オイルなどの液体も用いられる。
【0053】
肉薄部15が着脱可能な場合、肉薄部15は、肉薄部15の幾何重心を極点Oとし、Z方向を厚さ方向とし、一対の主面としてr-θ平面に略平行な一対の主面として、内部空間11Aに接する第1の面111および第1の面111の反対側で外部空間と接する第2の面112を有するように形成されている。肉薄部15の形状は矩形又は円形、楕円形、三角形、その他の多角形及び測定装置に対して最適な形状となる任意の形状から選択され、内部空間11Aを外部空間から密閉するような構造を有するように形成される。この時、肉薄部15の極点O及び内部空間11Aのz軸射影の幾何重心がr-θ平面上で一致していてもよいし、一致しなくてもよい。第1の面111には、極点Oを中心に肉薄部15の全周を連続的に基部11に取り付ける取り付け機構が備えられている。
【0054】
第2の面112には、導電性部材12が肉薄部15の一部または全体を覆うように水平姿勢となるように取り付けられる。第1実施形態に係る圧力センサ10も同様に基部11の一面において、導電性部材12が基部11の一部または全体を覆うように水平姿勢となるように取り付けられる。この時、導電性部材12のz軸射影の幾何重心が、r-θ平面上で極点Oと一致してもよいが、これに限られない。また、導電性部材12の形状は矩形によって構成される薄膜であるが、これに限られない。導電性部材12の形状は円形または楕円形、扇形、三角形、その他の多角形並びにこれら形状の輪郭線に沿った線状または帯状の形状及び測定装置に対して最適な形状となる任意の形状から選択され構成されてもよい。また、導電性部材12は特許第6874045号公報のような配置パターンをとってもよい。
【0055】
基部11は、反応性の高い流体中での使用を考慮すると、化学的に影響を受けないで、化学的に安定し、大圧力を印加しても変形を誘起させない、セラミックス、特にジルコニアにより構成されていることが好ましい。基部11にセラミックスを利用した場合、導電性部材12に電気的な影響を与えないため、絶縁層も不要となる。本実施形態では、基部11として、ジルコニアを用いているが、これに限らない。基部11として、絶縁層を形成した金属、ポリイミド等の樹脂、またはジルコニア以外のセラミックスなどその他測定装置に対して最適な部材を用いてもよい。
【0056】
導電性部材12は、ゲージ率(ゲージ率3以上)について、導電性部材12の法線と直交する面方向において、等方的ゲージ率を有しており、例えば、特許文献1に記載されているCrおよび不可避不純物からなるCr薄膜、または、Cr、Nおよび不可避不純物からなるCr-N薄膜により構成されている。Cr-N薄膜は、例えば、一般式Cr1 0 0-xNxで表され、組成比xは原子%で0.0001≦x≦30である。
【0057】
また、導電性部材12は、一般式Cr1 0 0-xMnx(xは原子%であり、0.1≦x≦34である)または一般式Cr1 0 0-xAlx(xは原子%であり、4≦x≦25である)で表されるCr基薄膜により構成されていてもよい。導電性部材12は、一般式Cr1 0 0-x-yAlxNy(x、yは原子%であり、4≦x≦25、0.1≦y≦20である。)で表されるCr基薄膜により構成されていてもよい。Cr-N薄膜は、抵抗温度係数(TCR)が極めて小さいため(<±50ppm/℃)、温度変動に対して安定であるため、圧力感度及び圧力測定精度は温度に依存しない。
【0058】
導電性部材12を構成するCr薄膜またはCr-N薄膜を成膜する手法は特に限定されないが、Cr薄膜またはCr-N薄膜の形成が可能な合金を原料とした蒸着法、CrターゲットまたはCr-N薄膜の形成が可能な合金ターゲット、複合ターゲットまたは多元ターゲットを用いたスパッタリング法、Cr-N薄膜の場合は、窒素気体を含む成膜雰囲気を用いた反応性スパッタリング法、上記薄膜の形成が可能な原料を用いた気相輸送法、もしくはめっきを含む液相法等により成膜してもよい。また、このような薄膜を形成する際に、マスク法などを用いて所望の形状の薄膜を形成してもよいし、薄膜を形成した後、ドライエッチング(プラズマエッチング、スパッタエッチング等)、化学エッチング(腐食法)、リフトオフ法、レーザトリミング法などのエッチングまたはトリミング加工などを施すことにより測定装置に対して最適な形状に加工してもよい。さらに、Cr薄膜またはCr-N薄膜は成膜したままで使用してもよいが、大気中、非酸化性気体中、還元性気体中または真空中で180℃以上1000℃以下の温度の加熱処理を行うことが好ましい。
【0059】
また、基部11のz軸射影、肉薄部15ならびに導電性部材12の形状は、極点Oを通り、導電性部材12の法線と平行な軸線(z軸)を基準とする回転対称性または極点Oを通り、導電性部材12に対して垂直な平面(例えば、r-z平面)を基準とする鏡像対称性を有してもよい。
【0060】
本発明の圧力センサ10を記憶装置および制御装置に接続する場合、圧力センサ10はハンダまたはワイヤーボンディングで配線接続され、4端子法で測定することで、ひずみの変化による導電性部材12の抵抗値の変化が出力変化として計測される。しかし、本発明の圧力センサ10の測定方法は4端子法に限定されず、ブリッジ法など、測定装置の構成にとって最適な測定方法が選択される。
【0061】
第1実施形態に係る圧力センサ10によれば、導電性部材12を構成するCr薄膜またはCr-N薄膜の電気抵抗値がダイアフラム式を含まない形状で測定されるので、高圧に対する耐久性を有し、流体の圧力を広範囲に検出することができる。また、第2実施形態に係る圧力センサ10によれば、導電性部材12を構成するCr薄膜またはCr-N薄膜の電気抵抗値がダイアフラム式測定されるので、圧力に対する感度が大きく、流体の圧力を高感度に検出することができる。また、圧力センサ10の構造は極めて簡易的であるため、圧力センサ10は小型化でき、超小型な流体部品30内に配設でき流体部品30内の圧力の微小変動を測定できる。このため、従来に無い簡便な構造からなる、高感度、高精度かつ小型可能な圧力センサを実現する。さらに、圧力センサ10を構成する部材が反応性の高い流体の影響を受けずに圧力測定することができるので、反応性の高い流体、特に水素気体雰囲気中における圧力を測定する測定器として好適である。
【0062】
第1実施形態に係る圧力センサ10および第2の実施形態に係る圧力センサ10を組み合わせることで、流体部品30内の急激な圧力変動および緩慢な圧力変動も検知できる。例えば、流体部品30内に破損が生じ、急激な圧力変動に伴って、第2実施形態に係る圧力センサ10の肉薄部15が破損したとしても、高圧力に対応できる第1実施形態に係る圧力センサ10によって圧力が監視される。反対に、緩慢な圧力変動によって、第1実施形態に係る圧力センサ10の分解能を下回る圧力変動があったとしても、高分解能を有する第2実施形態に係る圧力センサ10によって、圧力が監視される。従って、広範囲の圧力を高分解能で監視する。
【0063】
結果として、
図2に示すように、本体部35内に一つの圧力センサ10を配設または
図4に示すように、本体部35内に複数の圧力センサ10を配設し、
図1のように流体監視システムを構築することにより、流体部品30内の圧力および圧力変動、ひいては流体部品30からの流体の状態を検知することができる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態に限らず、本発明の技術的思想内で当該分野の通常の知識を有する者によってその変形や改良が可能である。
【実施例0065】
(実施例1)
実施例1は、
図6で示される第2実施形態に係るダイアフラム素子型の圧力センサ10の形で構成される。具体的には、5mm厚のセラミックス(10mm角)より構成された基部11に直径6mm、深さ1mmの凹部を形成し、基部の上に、0.1mm厚(メンブレン厚)の平板状のジルコニア(10mm角)より構成された肉薄部15を接着剤にて接着する。この時、凹部は肉薄部15によって外部空間に対して覆われて、内部空間11Aを形成し、内部空間11Aに0.1MPaの空気が導入され、内部空間11Aの圧力を0.1MPaに保持する。肉薄部15の外部空間と接する方の面の中央に、厚さ0.1mm、ミアンダ形状のCr-N薄膜より構成された導電性部材12を1つ配置し、該導電性部材をハンダにて配線接続し、4端子法の回路を形成し、外部空間の圧力を信号として取り出した。
【0066】
(実施例2)
実施例2では、基部11の上に、着脱可能な0.03mm厚(メンブレン厚)のジルコニア(10mm角)より構成された肉薄部15を接着剤にて接着する第2実施形態に係る圧力センサ10に関する。当該構成以外の構成については、実施例1に述べた構成と本質的に同じであるため、重複の観点から記載を省略する。
【0067】
(実施例3)
実施例3では、基部11の上に、着脱可能な0.07mm厚(メンブレン厚)のジルコニア(5mm角)より構成された肉薄部15を接着剤にて接着する第2実施形態に係る圧力センサ10に関する。当該構成以外の構成については、実施例1に述べた構成と本質的に同じであるため、重複の観点から記載を省略する。
【0068】
(圧力印加実験1)
各実施例の構成で形成された圧力センサ10の凹部に窒素気体(実験室内の空気)を導入し、内部空間11Aの圧力を0.1MPa(実験室内の大気圧)に保持し、肉薄部15が凹部を外部空間に対して密閉するように、接着剤を用いて基部に接着された。以上のような、内部空間11Aの圧力を調整した圧力センサ10が
図2に示される流体部品30内に装入されて、流体部品30内に不可避物質を含む窒素気体を導入した。
図7に示されているように、流体部品30内の圧力(外部空間の圧力)を0.1MPaから印加圧力としての加圧分を0.1MPaごとに上昇させて0.5MPaまで加圧させたのち、0.1MPaごとに減少させて0.1MPa(加圧分0MPa)まで減圧し、その後さらに加圧分として0.01、0.02、0.03、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9MPaと印加して、外部空間の圧力に対する圧力センサ10の出力信号を取り出した。その際に導電性部材12の温度変動を
図8に示す。この時、流体部品30内部の圧力(外部空間の圧力)は一般的な容器壁固定型の圧力計で測定された。また、導電性部材12の温度は圧力センサ10の基部上に接するように配置された、熱電対を用いた温度計で測定された。
【0069】
(結果1)
図9は圧力印加実験1の際の実施例1で構成された時の導電性部材12(Cr-N薄膜)の抵抗値の時系列変動を示す図であり、
図10は圧力印加実験1における外部空間の印加圧力と実施例1で構成された時の導電性部材の抵抗値との関係を示す図であり、
図12は圧力印加実験1の際の実施例2で構成された時の導電性部材(Cr-N薄膜)の抵抗値の時系列変動を示す図であり、
図13は圧力印加実験1における外部空間の印加圧力と実施例2で構成された時の導電性部材12の抵抗値との関係を示す図である。
【0070】
図9及び
図10に示すように、圧力印加実験1において、実施例1及び実施例2は特許文献2に対して、外部空間の圧力の変動に関連して、抵抗値変化が大きく、優れた感度を有することが確認された。実施例1において、外部空間の圧力が0.87MPaまで印加されても、素子の断線や導電性部材12の抵抗値の急激な変化は認めらなかった。また、0.5MPaまでの加減圧を施した際に、導電性部材12の抵抗値の初期値と加減圧後の抵抗値が変化しないので、圧力に対するヒステリシスも確認されない。さらに、
図8に示すように、温度が圧力印加実験1の際に最大3℃の変化がみられたが、導電性部材12の抵抗値の顕著な変化が認められないことから、導電性部材12の温度依存性も確認されなかった。
【0071】
図10によると、実施例1の圧力センサ10において0.87MPa以下の領域で導電性部材12の抵抗値は、外部空間の印加圧力に対して非線形的な変化を示した。この変化に際して、S/N(Signal/Noise)は良好である。また、大変形を導入した構造解析の計算結果と測定結果は
図11の通り一致している。
図10の結果及び
図11の結果から実施例1の圧力センサ10は適切に圧力を測定できる。さらに、大変形を導入した構造解析の計算結果を基準にして、実施例1の圧力センサ10を適切に校正できる。このことから実施例1は圧力を適切に測定する圧力センサとして利用できる。実施例1の圧力センサ10を含んだ測定回路に電流を0.1mAとして入力すると、その圧力感度は6.95mV/MPaと見積もられ、電圧分解能が0.1mVの測定装置を用いると、実施例1の圧力センサ10の分解能は0.014MPaとなる。さらに、電圧分解能が0.1mVよりも優れた測定装置を用いた場合(良好なS/Nの範囲でアンプを用いて信号を増幅した場合)、0.01MPaより小さい圧力分解能が実現される。
【0072】
実施例2においても実施例1同様に、外部空間の印加圧力が0.87MPaまで印加されても、素子の断線や導電性部材12の抵抗値の急激な変化は認めらなかった。また、0.5MPaまでの加減圧を施した際に、導電性部材12の抵抗値の初期値と加減圧後の抵抗値が変化しないので、圧力に対するヒステリシスも確認されない。さらに、
図8に示すように、温度が圧力印加実験1の際に最大3℃の変化がみられたが、導電性部材12の抵抗値の顕著な変化が認められないことから、導電性部材12の温度依存性も確認されなかった。
【0073】
図13によると、実施例2の圧力センサ10は0.87MPa以下の領域で導電性部材12の抵抗値と外部空間の印加圧力は単調増加的な変化を示した。この変化に際して、S/N(Signal/Noise)は良好である。
図14(大変形を考慮した構造解析結果)によると、印加圧力に対するひずみの測定結果が大変形を導入した構造解析の計算結果と一致する。
図13及び
図14の結果から、実施例2の圧力センサ10は実施例1同様に圧力を適切に評価できる。大変形を導入した計算結果を用いることで、実施例2の圧力センサ10を適切に校正できる。この結果と大変形を導入した構造解析結果を用いた校正により、実施例1同様に利用できる。また、
図15の肉薄部の各厚さの例の大変形を導入していない構造解析結果によると、実施例2の圧力センサ10は2.0~10atm(0.2~1.0MPa)の領域で実施例1に比べて、10倍の感度を有することが計算結果から予想される。肉薄部15の圧力の応答に対して大変形が及ばない区間であれば、実施例2の圧力センサ10を含んだ測定回路に電流を0.1mAとして入力すると、その圧力感度は70mV/MPaと見積もられ、さらなる感度向上が期待される。
【0074】
(圧力印加実験2)
実施例1の圧力センサ10は、
図2に示されるような、流体部品30に挿入され、流体部品30内の圧力を測定するために、外部空間の圧力が微小変動するように外部空間の圧力が印加された。各実施例の構成で形成された圧力センサ10の肉薄部15が取り外され、凹部に大気(実験室内の空気)を導入し、内部空間11Aの圧力を0.1MPa(実験室内の大気圧)に保持し、肉薄部15が凹部を外部空間に対して密閉するように、接着剤を用いて基部に接着された。以上のような、内部空間11Aの圧力を調整した圧力センサ10が流体部品30に装入されて、手動の圧力印加装置を用いて大気(実験室内の空気)を流体部品30の内部(外部空間)に導入した。大気圧(0.1MPa)から22回の加圧を施し、0.3MPaまで加圧し、流体部品30の圧力(外部空間の圧力)に応じた、導電性部材12の抵抗値が信号として、取り出された。
【0075】
(結果2)
図16は圧力印加実験2の際の導電性部材12の抵抗値の圧力の時系列変動を示す図であり、
図17は圧力印加実験2における外部空間に加圧した分の圧力と実施例1で構成された時の導電性部材12の抵抗値との関係を示す図である。圧力印加実験2において、手動の圧力印加装置(ハンドポンプ)であり、加圧動作中は印加圧力を上昇させる。また、加圧動作は連続されず、一定時間非加圧時間が存在する。非加圧時間において、加圧された圧力は維持されず、少量の圧力低下が生じる。したがって、
図16においてそれぞれの加圧動作間の非加圧時間において、少量の圧力低下が発生する。該圧力低下はハンドポンプの構造上避けられないが、本発明によれば、該圧力低下を検知するので、少量の流体漏洩を検知できる。また、該圧力低下を含む圧力変化は
図17に示すように、印加圧力によって導電性部材12の抵抗値は印加圧力に対して線形に変化する。したがって、本発明によれば、流体漏洩に起因する圧力変化を検知することができ、流体の状態を監視することができる。
【0076】
図17に示すように、0~0.3MPaの間で導電性部材12の抵抗値は外部空間への加圧分に対して、線形的な関係を示した。また、加圧分0.3MPaから流体部品30の内部の空気が解放され、外部空間の圧力が初期値(大気圧(=0.1MPa)、加圧分が0MPa)に降圧した場合において、導電性部材の抵抗値が初期値と一致したため、圧力に対するヒステリシスが確認されなかった。
図17に示す線形関係の傾きが63.53Ω/MPaであるので、0.1mAの電流が印加されると、6.35mV/MPaとなり、電圧分解能が0.1mVの測定装置を用いると、圧力センサ10の分解能は0.016MPaとなる。また、良好なS/Nの範囲の観点から、適当な増幅回路や適当な電圧分解能を有する電圧計を用いることで、0.01MPa以下の分解能が実現される。したがって、分解能が0.01MPa以上の分解能を有する特許文献2に記載の圧力センサに比べて優れた分解能を有する圧力センサ10によって、流体部品30の内部の高精度計測が実現される。
【0077】
(圧力印加実験3)
実施例3の構成で形成された圧力センサ10の肉薄部15が取り外され、凹部に窒素ガス(実験室内の空気)を導入し、内部空間11Aの圧力を0.1MPa(実験室内の大気圧)に保持し、肉薄部15が凹部を外部空間に対して密閉するように、接着剤を用いて基部に接着された。以上のような、内部空間11Aの圧力を調整した圧力センサ10が流体部品30を構成する圧力容器(流体貯蔵部材32の一例)としての本体部の内部に装入されて、流体部品30の内部に水素ガスを導入した。また、流体部品30の内部には、水素貯蔵合金(LaNi5合金)が含まれている。
【0078】
図18には、流体部品30に印加した圧力と、圧力センサ10の抵抗値の時系列変動を示している。なお、当該圧力印加実験3においては、流体部品30を40℃のウォーターバスに漬けて、流体部品30の内部の温度を40℃に保った。本実験では、
図18に示されているように、流体部品30の内部(外部空間の圧力)を0MPaから1MPaまで段階的に加圧させ、その後段階的に減圧させた。それぞれの加圧または減圧動作に移行する前に、約10分間の間隔をあけた。このとき、圧力および水素貯蔵合金の水素吸蔵量を計測しているが、計測にあたり、流体部品30は一般的なPCT(P:圧力、C:吸蔵量、T:温度)特性評価装置(PCT装置)に組み込まれ、圧力および水素貯蔵合金の水素貯蔵量はPCT装置を用いることで計測された。
【0079】
(結果3)
図18を参照するに、水素ガスをある一定量入れると圧力センサ10の抵抗値が圧力上昇と共に変化することが分かった。また、それぞれの加圧後、約10分間放置することで水素貯蔵合金が水素を吸蔵し、流体部品30の印加圧力を低下させるが、当該圧力低下分の変動も抵抗値に変化を及ぼしていることが分かった。反対に、水素ガスの印加圧力を1MPaから段階的に減少させると当該圧力の減少に伴った、抵抗値の変動も観測された。また、それぞれの減圧後、約10分間放置することで水素貯蔵合金が水素を放出し、流体部品30の印加圧力を上昇させるが、当該圧力上昇分の変動も抵抗値に変化を及ぼしていることが明らかとなった。また、当該実験中に、抵抗値の変動が圧力の変動と連動し、その連動が著しく逸脱していないことから、本発明における圧力センサ10および流体部品30は、水素ガス雰囲気中に好適に利用できる。
【0080】
したがって、本発明の圧力センサ10および流体部品30は水素ガスの圧力の変動を細かい範囲で取得することが明らかとなった。また、水素貯蔵合金が含まれた流体部品30における水素ガスの圧力の変動についても取得できるので、状態方程式等を用いることで、水素貯蔵合金の貯蔵量などを計測できることが明らかとなった。
【0081】
図19は、本発明の圧力センサ10によって測定された圧力変動に基づいて計測された水素貯蔵合金の水素貯蔵量と水素ガスの圧力変動との関係を示している。なお、圧力センサ10における圧力は、前述した、圧力と抵抗値との関係に関する結果に基づいて算出されている。
図19には、圧力センサ10で求めた結果とともに、PCT装置を用いて得られた結果が同時に示されている。
図19を参照するに、本発明の圧力センサ10は、既存のPCT装置と同様に水素貯蔵合金の水素貯蔵量およびその放出量を測定できることが明らかとなった。なお、本発明の圧力センサ10で得られた結果は、PCT装置で得られた結果に対して、同様の挙動を示していることから明らかなように、水素ガス雰囲気下においても、正確に水素ガスの増減をとらえることができる。PCT装置で測定された圧力に対して、本発明の圧力センサ10で測定された圧力は若干のずれがあるものの、これはPCT装置で測定された圧力と本発明の圧力センサ10で測定された圧力の測定位置および本発明の圧力センサ10の測定系における抵抗値の変動によるものである。PCT装置では、流体部品30の本体部外の圧力を測定していることから明らかなように、流体部品30を構成する流体部品30の本体部内の圧力を測定している本発明の圧力センサ10に対して、若干の誤差が生じている。また、本発明の圧力センサ10の抵抗値と圧力との校正時には4端子測定で測定しているところ、圧力印加実験3においては、測定の関係上2端子法で測定している。このとき、測定系の抵抗値の変化により若干の誤差が生じている。
【0082】
図20は、
図19の圧力センサ10の圧力の時系列変動の結果に測定系の変化により生じた抵抗値変動分を加味したものである。
図20を参照するに圧力センサ10の結果は、PCT装置の結果と略同一の結果を示すことが明らかとなった。したがって、圧力センサ10は、PCT装置のように大型の装置を要することなく水素ガスの圧力を直接的に計測できるとともに容易に計測できるので、水素ガスの印加圧力の測定精度及び分解能の向上が図られ、水素貯蔵合金における水素貯蔵量の測定などを含む幅広い分野で適用できる流体部品30および流体監視システムが提供される。
10‥圧力センサ、11‥基部、11A‥内部空間、12‥導電性部材(Cr薄膜またはCr―N薄膜)、15‥肉薄部、30‥流体部品、31‥流体調整部材、32‥流体貯蔵部材、33‥流体連通部材、35‥本体部、111・・第1の面、112・・第2の面、O‥極点