(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160786
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】割卵機
(51)【国際特許分類】
A23J 1/08 20060101AFI20231026BHJP
A23L 15/00 20160101ALI20231026BHJP
【FI】
A23J1/08 A
A23L15/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068934
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】P 2022070469
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000162238
【氏名又は名称】共和機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 一良
(72)【発明者】
【氏名】國政 公夫
(72)【発明者】
【氏名】高田 芳次
(72)【発明者】
【氏名】堀 達也
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛
【テーマコード(参考)】
4B042
【Fターム(参考)】
4B042AC10
4B042AD40
4B042AH09
4B042AH10
4B042AH11
4B042AT10
(57)【要約】
【課題】クラッカーおよびセパレートカップの洗浄を従来よりも簡単かつ洗浄性を向上することができる割卵機を提供する。
【解決手段】割卵機1は、本体11と、本体11の内部に設けられ、平面視で周回するチェーン搬送部12と、チェーン搬送部12よりも上方に設けられ、チェーン搬送部12を駆動するチェーン駆動部13と、チェーン搬送部12に着脱可能に設けられる複数のクラッカー・セパレートカップユニットと、洗浄液を溜め、クラッカー・セパレートカップユニットが少なくとも当該洗浄液に浸漬されるように、本体11に設けられる洗浄浸漬部15とを備える。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体の内部に設けられ、平面視で周回するチェーン搬送部と、
前記チェーン搬送部よりも上方に設けられ、前記チェーン搬送部を駆動するチェーン駆動部と、
前記チェーン搬送部に着脱可能に設けられる複数のクラッカー・セパレートカップユニットと、
前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)に対し卵を載置するためのトランスファー機構部と、
洗浄液を溜め、前記クラッカー・セパレートカップユニットが少なくとも当該洗浄液に浸漬されるように、前記本体に設けられる洗浄浸漬部と、
を備える、
割卵機。
【請求項2】
前記洗浄浸漬部の底部には、前記クラッカー・セパレートカップユニットで分離された、卵黄を受ける卵黄受容部と、卵白を受ける卵白受容部とが形成されている、
請求項1に記載の割卵機。
【請求項3】
前記洗浄浸漬部の上部を覆い、上下可動可能に構成されている屋根部が設けられる、
請求項1または2に記載の割卵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割卵機に関する。
【背景技術】
【0002】
割卵機は、複数のクラッカーおよびセパレートカップと、複数のクラッカーおよびセパレートカップとを平面視で周回するチェーン搬送部と、卵黄受容部と、卵白受容部と、卵殻受容部、チェーン搬送部の駆動部とを備える。クラッカーおよびセパレートカップ、チェーン搬送部は、むき出しに設けられている。割卵機は、定期的に洗浄を行う必要がある。一般的には、高圧スプレー洗浄、泡洗浄、エア乾燥を行う。
特許文献1は、液卵受容器が取り付けられた割卵機を開示している。特許文献2は、割卵機の駆動装置および割卵機構(クラッカーおよびセパレートカップ)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6636270号公報
【特許文献2】特許第2995523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、クラッカーおよびセパレートカップの洗浄を従来よりも簡単かつ洗浄性を向上することができる割卵機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
割卵機(1)は、
本体(11)と、
前記本体(11)の内部に設けられ、平面視で周回するチェーン搬送部(12)と、
前記チェーン搬送部(12)よりも上方に設けられ、前記チェーン搬送部(12)を駆動するチェーン駆動部(13)と、
前記チェーン搬送部(12)に着脱可能に設けられる複数のクラッカー・セパレートカップユニット(14_i、i=1、2、3・・n)と、
前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)に対し卵を載置するためのトランスファー機構部(10)と、
洗浄液を溜め、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)(および前記チェーン搬送部(12))が少なくとも当該洗浄液に浸漬されるように、前記本体(11)に設けられる洗浄浸漬部(15)と、
を備える。
前記洗浄浸漬部(15)は、周側壁(151)と、底部(152)を有していてもよい。
前記底部(152)は、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)で分離された、卵黄を受ける卵黄受容部(1522)と、卵白を受ける卵白受容部(1521)とが形成されていてもよい。
前記周側壁(151)は、複数の側壁で構成されていてもよい。
前記周側壁(151)は、1つ以上の透明窓(151a)(のぞき窓)が設けられていてもよい。
前記本体(11)は、前記洗浄浸漬部(15)の上部を覆う、屋根部(16)が設けられていてもよい。前記屋根部(16)は、透明窓(163a、163b:のぞき窓)が設けられていてもよい。
前記屋根部(16)は、上下方向および/または左右方向の任意で複数に分割された分割屋根部(161a、162b、162a、162b)で構成されていてもよい。上下2段の第一、第二分割屋根部(161、162)は上下可動できるように構成され、内部を視認したり、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)の交換などを行うスペースが確保されていてもよい。
前記本体(11)は、その内部に、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)へ向かってエアを噴射するエア乾燥用ノズル、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)へ向かって泡洗浄水を噴射する洗浄水噴射ノズル(すすぎ水噴射ノズルと兼用でもよい)が、設けられていてもよい。
【0006】
前記トランスファー機構部(10)は、第一搬送部(41)から送られる卵を受けるエッグキャリア(29)と、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)の動きに連動して間欠的に前記エッグキャリア(29)を、クラッカー(14_i_a)側に傾斜させる(卵を乗り移らせる)傾斜機構と、を備えていてもよい。
前記傾斜機構は、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)を回転運動させるチェーン駆動部(13)からの駆動力を伝達する伝達系(20)と、伝達系(20)からの連続回転を間欠運動に変換するカム機構(26)と、カム機構(26)の動きに連動して上下運動し、エッグキャリア(29)を傾斜させ、卵をクラッカー卵受部へ送るための傾斜バー(27)とを備えていてもよい。
前記エッグキャリア(29)は無端のキャリアコンベヤ(不図示)に複数取り付けられており、キャリアコンベヤは、速度0の停止状態から加速し前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)の進行方向及び速度に同調させた状態と、減速して速度0の停止状態となる間欠動作を、前記第一搬送部が1列進むごとに繰り返す間欠動作をしてもよい。この際に、前記傾斜機構は、前記エッグキャリア(29)の速度が前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)の速度に同調した状態で傾斜させて卵を前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)に送り出した後、傾斜状態から水平状態に戻り後列の卵の受け取りにそなえていてもよい。
前記周側壁(151)は、洗卵搬送部(40)と連接される連接部(1511)を備え、前記連接部(1511)は、開口部(1511a)を有し、前記開口部(1511a)に洗卵搬送部(40)の跳ね上げ構造の第一搬送部(41)が配置されてもよい。
【0007】
[効果]
(1)浸漬洗浄により、より簡便で洗浄性を向上でき、菌数を低減できる。
(2)屋根部と洗浄浸漬部で、複数のクラッカー・セパレートカップユニットおよび卵黄受容部と、卵白を受ける卵白受容部が覆われ、衛生環境を向上でき、菌数を低減できる。
(3)チェーン駆動部を上方に設けたことで、液卵や洗浄水による汚染を抑制できる。
(4)底部に卵黄受容部と卵白受容部の両方を形成し、別途設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4A】トランスファー機構部を説明する図を示す。
【
図4C】第一搬送部への伝達系を説明する図を示す。
【
図4D】第一搬送部からエッグキャリアへの乗り移りを説明する図を示す。
【
図4E】エッグキャリアからクラッカーへの乗り移りを設明する図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1Aに割卵機1の構成の正面視図を示し、
図1Bに側面視図を示し、
図2Aに平面視図を示す。
図2Bは底部の平面視図を示す。
割卵機1は、本体11と、本体11を支える第一から第四脚部111、112、113とを備える。また、本体11の内部に平面視で周回するチェーン搬送部12が設けられている。本実施形態では、チェーン搬送部12は、上下一対のチェーン121、122を有する。
チェーン搬送部12を駆動するチェーン駆動部13は、その上方に設けられる。チェーン駆動部13は、モータ131、減速機(ギヤボックス)132、第一スプロケット133、第二スプロケット135、伝達チェーン134、エンコーダ137、回転シャフト136、第三スプロケット138および第四スプロケット139を備える。
モータ131の回転力が減速機132で速度調整され、第一スプロケット133から伝達チェーン134を介して第二スプロケット135へ伝わる。第二スプロケット135は回転シャフト136と連結され、回転数はエンコーダ137で検出される。
回転シャフト136は、下に伸び、第三スプロケット138と第四スプロケット139と連結される。第三スプロケット138がチェーン121と噛み合い、第四スプロケット139がチェーン122と噛み合って、その回転力を、チェーン121、122へ伝達する。また、チェーン121、122は、従動回転軸とも噛み合い、また、スラシ構造に沿って回転移動する。
複数のクラッカー・セパレートカップユニット14_1、14_2、14_nは、チェーン搬送部12(チェーン121、122)に着脱可能に設けられる。
トランスファー機構部10は、クラッカー・セパレートカップユニット14_iに対し、洗卵装置からコンベアで送られてくる卵を載置するための機構である。
【0010】
割卵機1は、その上流側から卵を搬送する洗卵搬送部40と連結される。洗卵搬送部40は、跳ね上げ構造の第一搬送部41と、第一搬送部41と連接される第2搬送部42を備える。第二搬送部42は洗卵装置の搬送部から送られる卵を受け取り、第一搬送部41側へ搬送する。第一搬送部41は、後述する伝達系20からの駆動力を回転する。第二搬送部42は、第一搬送部41とは別の回転駆動部からの駆動力で回転してもよい。
【0011】
各クラッカー・セパレートカップユニット14_iは、従来構成であり、例えば、クラッカー卵受部C1と、卵上部抑えレバーC2と、不図示のカッターと、卵黄カップC3と、液卵カップC4とを備える(
図3、
図4A参照)。
【0012】
図4Aから
図4Eを参照し、トランファー機構部10を説明する。トランスファー機構部10は、第一搬送部41から送られる卵を受けるエッグキャリア29と、クラッカー・セパレートカップユニット14_iの動きに連動して間欠的にエッグキャリア29を、クラッカー側に傾斜させる(卵を乗り移らせる)傾斜機構とを備える。
傾斜機構は、クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)を回転運動させるチェーン駆動部13からの駆動力を伝達する伝達系20と、伝達系20からの連続回転を間欠運動に変換するカム機構26と、カム機構26の動きに連動して上下運動する傾斜バー27とを備える。
【0013】
伝達系20は、回転シャフト136に設けられる第五スプロケット21と、第五スプロケッット21と噛み合うチェーン22aを介して第六スプロケット22と、第六スプロケット22の回転力を伝達するギヤボックス23とを備える。ギヤボックス23は、偏心回転する第一回転軸23aと第二回転軸23bとを備える。第一回転軸23aは、間欠駆動部24へ回転力を伝達する。
第二回転軸23bの回転力は、チェーン23cを介してギヤボックス28へ伝達される。ギヤボックス28の回転力は、チェーン28aを介して第一搬送部41のスプロケット415へ回転力として提供される。
間欠駆動部24は、第一回転軸23aと連結される第一スプロケット241と、第一スプロケット241と噛み合うチェーン24aと、チェーン24aと噛み合う第二、第三、第四、第五スプロケット242、243、244、245と、第五スプロケット245と連結する第一、第二傘歯車251、252を備える。第一回転軸23aが偏心回転するため、間欠駆動部24は間欠的に回転する。
第一、第二傘歯車251、252を介して回転力が、カム機構26へ伝達され、傾斜バー27が連動して上下運動し、エッグキャリア29を傾斜させて、卵をクラッカー卵受部C1へ送る。この際に、カム機構26と同軸にエッグキャリア29を複数取り付けられたキャリアコンベヤを駆動するスプロケットが取り付けられており、キャリアコンベヤも間欠動作する。
【0014】
割卵機1は、洗浄液を溜めることができる洗浄浸漬部15を備える。
洗浄浸漬部15は、周側壁151と、底部152を備える。底部152は、クラッカー・セパレートカップユニット14_iで分離された、卵黄を受ける卵黄受容部1522と、卵白を受ける卵白受容部1521とが形成されている。卵黄受容部1522と卵白受容部1521とを分離する隔壁1523が形成されている。卵黄受容部1522にはその排出口1522aが設けられている。卵白受容部1521には、その排出口1521aが設けられている。
底部152には、底部の中央部の隔壁1524、底部152の各排出口152a、152b、152c、152dが設けられている。
【0015】
周側壁151は、複数の側壁で構成されている。周側壁151は、透明窓151aが設けられている。周側壁151は、洗卵搬送部40(第一搬送部41)と連接される連接部1511を有する。周側壁151は、卵殻を排出するシューターと連接するシューター連接部151bを有していてもよい。
連接部1511は、開口部1511aを有し、開口部1511aに跳ね上げ構造の第一搬送部41が配置される。第一搬送部41を跳ね上げた場合に、油圧ダンパーなどで跳ね上げ状態が保持される。跳ね上げた後、後述する洗浄時に、開口部1511aを、板部などの着脱自在の部材を取り付ける。
【0016】
本体11は、洗浄浸漬部15の上部を覆う、屋根部16が設けられている。屋根部16は、透明窓163a、163b(のぞき窓)が設けられている。屋根部16は、上下2段の第一、第二分割屋根部161a、162aと、上下2段の第三、第四分割屋根部161b、162bは、分割されて構成されている。第三、第四分割屋根部161b、162bは、上下可動できるように構成される(
図1B参照)。内部を視認したり、クラッカー・セパレートカップユニット14_iの交換などを行うスペースが確保される。第一、第二分割屋根部161a、162aも同様に上下可動に構成されている。各分割屋根部は、上に開けたとき、屋根部の重量を支えて停止可能な開閉機構、ガススプリングなどが設けられていてもよい。
【0017】
洗浄する際に、洗浄浸漬部15に洗浄液を入れる。
図3に浸漬の液位関係を示す。第一液位L1では、クラッカー・セパレートカップユニット14_iおよびチェーン搬送部12(121、122)、取付部材、トランスファー機構部10などが浸漬される。第二液位L2では、クラッカー・セパレートカップユニット14_iと、チェーン122、トランスファー機構部10などが浸漬される。
第一液位L1では、チェーン搬送部12を回転させながら洗浄する。クラッカー・セパレートカップユニットとチェーン搬送部12との取付部位における取付部材の洗浄も簡単に行える。
各排出口をすべて開け、洗浄液を排出し、すすぎ水を溜め、チェーン搬送部12を回転させながらすすぎをする。すすぎは数回繰り返してもよい。
【0018】
(別実施形態)
(1)本体11は、その内部に、クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)へ向かってエアを噴射するエア乾燥用ノズル、前記クラッカー・セパレートカップユニット(14_i)へ向かって泡洗浄水を噴射する洗浄水噴射ノズル(すすぎ水噴射ノズルと兼用でもよい)が、設けられていてもよい。
(2)本体11および洗浄浸漬部15は平面視で八角形に限定されず、角丸みの長方形、楕円、四角形などであってもよい。
(3)トランスファー機構部10は、上記実施形態に限定されない。例えば、特開昭63-262334号公報の構成を採用してもよい。
伝達系20の構成および間欠駆動24の構成も上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0019】
1 割卵機
11 本体
12 チェーン搬送部
13 チェーン駆動部
14_i クラッカー・セパレートカップユニット
15 洗浄浸漬部
16 屋根部