(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160787
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】射出成形セラミックコアのための球状溶融シリカ組成物、及びかかる組成物を用いたパーツの製造方法
(51)【国際特許分類】
B22C 9/10 20060101AFI20231026BHJP
B22C 1/20 20060101ALI20231026BHJP
B22C 9/24 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B22C9/10 F
B22C1/20
B22C9/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068994
(22)【出願日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】17/660,038
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515253614
【氏名又は名称】クロマロイ ガス タービン エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド・シー・ドッズ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・エス・ヘイバー
(72)【発明者】
【氏名】ザカリー・イー・ベイアール
【テーマコード(参考)】
4E092
4E093
【Fターム(参考)】
4E092AA01
4E092AA36
4E092AA60
4E092CA03
4E093QB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来よりも優れた特性を有する鋳造プロセスのためのセラミックコア組成物、およびタービンブレードを形成する方法を提供する。
【解決手段】単結晶セラミックコア組成物は、無機部分と有機部分とを有する。無機部分は、セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を構成し、有機部分は、セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を構成する。無機部分は、約94~98重量%の球状溶融シリカ、及び約2~6重量%のジルコン細粉を含む。有機部分は、約84~88重量%のバインダー、約1~2重量%の染料、約6~12重量%の界面活性剤、及び約1~5重量%のポリマー繊維を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶セラミックコア組成物であって、
前記セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を成す無機部分であって、
約94~98重量%の球状溶融シリカ、及び
約2~6重量%のジルコン細粉、
を含む、無機部分と、
前記セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を成す有機部分であって、
約84~88重量%のバインダー、
約1~2重量%の染料、
約6~12重量%の界面活性剤、及び
約1~5重量%のポリマー繊維、
を含む、有機部分と、
を含む、単結晶セラミックコア組成物。
【請求項2】
前記セラミックコア組成物の前記無機部分が、
約95~97重量%の球状溶融シリカ、及び
約3~5重量%のジルコン細粉、
を含み、
前記セラミックコア組成物の前記有機部分が、
約86~87重量%のバインダー、
約1.2~1.6重量%の染料、
約8~10重量%の界面活性剤、及び
約2~4重量%のポリマー繊維、
を含む、請求項1に記載のセラミックコア組成物。
【請求項3】
前記球状溶融シリカが、以下
【表1】
の粒径分布を有する複数の粒子を含む、請求項2に記載のセラミックコア組成物。
【請求項4】
前記球状溶融シリカが、以下
【表2】
の粒径分布を有する複数の粒子を含む、請求項1に記載のセラミックコア組成物。
【請求項5】
前記バインダーが、熱可塑性材料である、請求項4に記載のセラミックコア組成物。
【請求項6】
前記熱可塑性材料が、パラフィン系ワックスである、請求項5に記載のセラミックコア組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤が、有効量のステアリン酸ナトリウム、有効量のステアリン酸アルミニウム、及び有効量のオレイン酸を含む、請求項5に記載のセラミックコア組成物。
【請求項8】
前記ポリマー繊維が、レーヨン繊維を含む、請求項7に記載のセラミックコア組成物。
【請求項9】
前記球状溶融シリカが、以下
【表3】
の粒径分布を有する複数の粒子を含む、請求項1に記載のセラミックコア組成物。
【請求項10】
前記球状溶融シリカが、以下
【表4】
の粒径分布を有する複数の粒子を含む、請求項1に記載のセラミックコア組成物。
【請求項11】
単結晶セラミックコア組成物であって、
前記セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を成す無機部分であって、
約94~98重量%の球状溶融シリカ、及び
約2~6重量%のジルコン細粉、
を含む、無機部分と、
前記セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を成す有機部分であって、
約84~88重量%のバインダー、並びに
約12~16重量%の界面活性剤及び染料、
を含む、有機部分と、
を含む、単結晶セラミックコア組成物。
【請求項12】
前記界面活性剤が、前記有機部分の約6~12重量%を成す、請求項11に記載のセラミックコア組成物。
【請求項13】
前記バインダーが、パラフィン系ワックスである、請求項12に記載のセラミックコア組成物。
【請求項14】
前記球状溶融シリカが、前記無機部分の約96重量%を成し、前記無機部分の重量の残部は、ジルコンである、請求項11に記載のセラミックコア組成物。
【請求項15】
前記バインダーが、前記有機部分の約86.5重量%を成し、前記有機部分の重量の残部は、界面活性剤及び染料である、請求項14に記載のセラミックコア組成物。
【請求項16】
前記界面活性剤が、有効量のステアリン酸ナトリウム、有効量のステアリン酸アルミニウム、及び脂肪酸を含む、請求項11に記載のセラミックコア組成物。
【請求項17】
前記球状溶融シリカが、以下
【表5】
の粒径分布を有する複数の粒子を含む、請求項11に記載のセラミックコア組成物。
【請求項18】
タービンブレードを形成する方法であって、
単結晶セラミックコア組成物をモールド中へ注入して、タービンブレードの内部プロファイルを有するコアを形成することであって、前記単結晶セラミックコア組成物は、
約94~98重量%の球状溶融シリカを含み、前記単結晶セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を成す、無機部分と、
約85~89重量%のバインダーを含み、前記単結晶セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を成す、有機部分と、
を含む、コアを形成すること、
前記モールドから前記コアを取り出すこと、
前記コアを焼成プロセスに供すること、
前記焼成したコアをダイに挿入すること、
前記焼成したコアと前記ダイとの間に形成された領域に液体ワックスを注入することであって、前記焼成したコアと前記ダイとの間に形成された前記領域は、前記タービンブレードの外部プロファイルを有する、液体ワックスを注入すること、
前記ワックスで覆われた焼成したコアを前記ダイから取り出すこと、
前記ワックスで覆われた焼成したコアの周りに固化されたセラミックシェルを形成すること、
前記固化されたシェルと前記焼成したコアとの間から前記ワックスを除去することによって、前記固化されたシェルと前記焼成したコアとの間に空隙を形成すること、
前記空隙中に溶融金属を流し込み、前記溶融金属を冷却させて、前記焼成したコアが前記タービンブレード内に位置するように前記タービンブレードを形成すること、
前記シェルを前記タービンブレードから取り除くこと、及び
前記焼成したコアを前記タービンブレード内から浸出させること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記単結晶セラミックコアの前記無機部分が、約96重量%のシリカを含み、前記単結晶セラミックコアの前記有機部分が、約87%のバインダーを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記単結晶セラミックコア組成物の前記無機部分が、約4重量%のジルコンを含み、前記単結晶セラミックコア組成物の前記有機部分が、約13重量%の界面活性剤、染料、及びポリマー繊維を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、射出成形セラミックコアのための組成物全般に関する。より詳細には、本開示は、タービンブレード、翼、及び高温ステージタービンコンポーネント用の射出成形セラミックコアを形成するための球状溶融シリカ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な鋳造プロセスによると、セラミックコア混合物が、有機バインダーとセラミック粒子との複合体として提供され、それが特別に設計されたプロファイルを有するダイに注入される。タービンブレードの場合、ダイは、タービンブレードの所望される内部プロファイルの形状とされる。材料が固化してコアが形成されると、コアは、ダイから取り出され、有機物を除去してコアを焼結するための焼成プロセスを受ける。コアは、続いて、タービンブレードの所望される外部プロファイルに成形されているワックスダイに挿入される。コアとワックスダイとの間にギャップが形成され、そのギャップにワックスが注入され、外部プロファイルの形状の中で冷却される。続いて、ワックスは冷却され、ダイが開かれて、バインダーコア複合体が排出される。
【0003】
ワックスで被覆されたセラミックコアは、次に、セラミックシェルスラリーで被覆(例:浸漬)されて、コアの周囲に固化された外部シェルを形成する。続いて、ワックスが除去され(例:溶融によって)、固化された外部シェルとセラミックコアとの間に空隙が残される。次に、最終パーツに所望される組成の液体金属で空隙が充填される。液体金属は、鋳造パーツを形成するための所定の方法に従って冷却される。例えば、鋳造パーツは、当業者に公知であるように、等軸(EQ)、一方向凝固(DS)、又は単結晶であり得る。
【0004】
液体金属が冷却されると、外部シェルは、叩くことで鋳造金属パーツから外され、コアは化学的に内部から浸出されて、金属パーツだけが残される。金属パーツは、続いて用途に合わせて機械加工及びコーティングが成される。
【0005】
鋳造プロセスでの使用のために、様々なセラミックコア組成物が開発されてきた。しかし、これらの組成物は、本質的な欠点を有する。先行技術の組成物と比較して優れた特性を有する鋳造プロセスのためのセラミックコア組成物があれば有益であろう。
【発明の概要】
【0006】
以下では、本発明のいくつかの態様の基本的な理解を提供する目的で、本発明の簡便な概要を提示する。概要は、本発明の広範な全体像ではない。本発明の不可欠な要素を識別することも、本発明の範囲を詳細に述べることも意図するものではない。その唯一の目的は、本明細書の他所で提示されるより詳細な記述に対する導入として、本発明のいくつかの発想を簡便な形で提示することである。
【0007】
1つの実施形態では、単結晶セラミックコア組成物は、無機部分と有機部分とを有する。無機部分は、セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を構成し、有機部分は、セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を構成する。無機部分は、約94~98重量%の球状溶融シリカ、及び約2~6重量%のジルコン細粉を含む。有機部分は、約84~88重量%のバインダー、約1~2重量%の染料、約6~12重量%の界面活性剤、及び約1~5重量%のポリマー繊維を含む。
【0008】
本発明のいくつかの態様によると、セラミックコア組成物の無機部分は、約95~97重量%の球状溶融シリカ、及び約3~5重量%のジルコン細粉を含み、セラミックコア組成物の有機部分は、約86~87重量%のバインダー、約1.2~1.6重量%の染料、約8~10重量%の界面活性剤、及び約2~4重量%のポリマー繊維を含む。
【0009】
本発明の他の態様では、球状溶融シリカは、以下の粒径分布を有する複数の粒子を含む。
【0010】
【0011】
本発明のさらなる態様によると、バインダーは、熱可塑性材料である。いくつかの態様では、熱可塑性材料は、改質パラフィン系ワックスである。
本発明のなおさらなる態様では、界面活性剤は、有効量のステアリン酸ナトリウム、有効量のステアリン酸アルミニウム、及び有効量のオレイン酸を含む。ポリマー繊維は、本発明のなお別の態様によると、レーヨン繊維を含む。
【0012】
いくつかの態様によると、球状溶融シリカは、以下の粒径分布を有する複数の粒子を含む。
【0013】
【0014】
本発明のなおさらなる態様では、球状溶融シリカは、以下の粒径分布を有する複数の粒子を含む。
【0015】
【0016】
本発明の別の実施形態では、単結晶セラミックコア組成物は、セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を成す無機部分と、セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を成す有機部分とを含む。無機部分は、約94~98重量%の球状溶融シリカ、及び約2~6重量%のジルコン細粉を含む。有機部分は、約84~88重量%のバインダー、並びに約12~16重量%の界面活性剤及び染料を含む。
【0017】
本発明のいくつかの態様によると、界面活性剤は、有機部分の約6~12重量%を成し、有機部分の残りは、染料である。
ある特定の態様では、バインダーは、パラフィン系ワックスである。
【0018】
本発明のさらなる態様では、球状溶融シリカは、無機部分の約96重量%を成し、無機部分の重量の残部は、ジルコンである。本発明のなおさらなる態様では、バインダーは、有機部分の約86.5重量%を成し、有機部分の重量の残部は、界面活性剤及び染料である。
【0019】
本発明の1又は複数の態様によると、界面活性剤は、有効量のステアリン酸ナトリウム、有効量のステアリン酸アルミニウム、及び脂肪酸を含む。
なおさらなる態様では、球状溶融シリカは、以下の粒径分布を有する複数の粒子を含む。
【0020】
【0021】
本発明のなお別の実施形態によると、タービンブレードを形成する方法は、(a)単結晶セラミックコア組成物をモールド中へ注入して、タービンブレードの内部プロファイルを有するコアを形成すること、(b)モールドからコアを取り出すこと、(c)コアを焼成プロセスに供すること、(d)焼成したコアをダイに挿入すること、(e)焼成したコアとダイとの間に形成された領域に液体ワックスを注入することであって、焼成したコアとダイとの間に形成された領域は、タービンブレードの外部プロファイルを有する、液体ワックスを注入すること、(f)ワックスで覆われた焼成したコアをダイから取り出すこと、(g)ワックスで覆われた焼成したコアの周りに固化されたセラミックシェルを形成すること、(h)固化されたシェルと焼成したコアとの間からワックスを除去することで、固化されたシェルと焼成したコアとの間に空隙を形成すること、(i)空隙中に溶融金属を流し込み、溶融金属を冷却させて、焼成したコアがタービンブレード内に位置するようにタービンブレードを形成すること、(j)シェルをタービンブレードから取り除くこと、及び(k)焼成したコアをタービンブレード内から浸出させること、を含む。単結晶セラミックコア組成物は、約94~98重量%の球状溶融シリカを含む無機部分であって、単結晶セラミックコア組成物の総重量の約85重量%を成す、無機部分と、約85~89重量%のバインダーを含む有機部分であって、単結晶セラミックコア組成物の総重量の約15重量%を成す、有機部分と、を含む。
【0022】
本発明のいくつかの態様では、単結晶セラミックコアの無機部分は、約96重量%のシリカを含み、単結晶セラミックコアの有機部分は、約87%のバインダーを含む。なおさらなる態様によると、単結晶セラミックコア組成物の無機部分は、約4重量%のジルコンを含み、単結晶セラミックコア組成物の有機部分は、約13重量%の界面活性剤、染料、及びポリマー繊維を含む。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、針状のガラス断片の分布を示すシリカ粉末の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図2】
図2は、様々なシリカコア組成物の安定性を示すセラミックコアコンポーネントの写真である。
【
図3】
図3は、様々なシリカコア組成物における温度に対する熱膨張及び焼結を示すプロットである。
【
図4】
図4は、様々なシリカコア組成物における時間に対する熱膨張及び焼結を示すプロットである。
【
図5】
図5は、球状粒子の分布を示すシリカ粉末の走査型電子顕微鏡画像である。
【
図6】
図6は、時間の関数としての、様々なシリカコア組成物の粘度を示すプロットである。
【
図7】
図7は、時間の関数としての、様々なシリカコア組成物の粘度を示す別のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
セラミックコア組成物の実施形態を本明細書で記載する。以下でより詳細に記載されるように、セラミックコアは、一方向凝固(DS)パーツ、及び/又は単結晶(SX)パーツの鋳造に用いられ得る。いくつかの実施形態では、本明細書で述べる組成物を有するセラミックコアは、さらに、等軸鋳造物の鋳造にも用いられ得る。本明細書で述べるセラミックコア組成物では、これまでのコア組成物で可能であったよりも薄い鋳造物が可能となり、これまでのコア組成物と比較して、再現性が向上する。したがって、セラミックコア組成物は、高い信頼性と一貫性でパーツを生産する手段を提供する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によると、単結晶(SX)セラミックコア組成物は、従来の溶融シリカと、ステアリン酸アルミニウム及びステアリン酸ナトリウムなどのアルミニウム及びナトリウム化合物を含むがこれらに限定されない鉱化剤と、のミックスを含む。ワックスを含むバインダー、染料、界面活性剤、及び他の有機化合物も、混合物の様々な態様を制御するためにミックスに添加されてよい。溶融シリカは、
図1の走査型電子顕微鏡画像に示されるように、高アスペクト比を有する高純度溶融シリカの標準グレードに基づいて、針状断片の分布を含む。シリカと組み合わされることで、元素状態のアルカリ鉱化剤は、これまでのセラミックコア組成物が呈する不安定性を取り除く手助けとなる。
【0026】
実施形態では、溶融シリカは、コアミックスの総重量の約80~90重量%を成す。バインダー材料、染料、及び界面活性剤を含む有効量の有機成分が提供される。合計で、有機成分は、コアミックスの総重量の約10~20%を成す。
【0027】
図2は、本明細書で述べるSXセラミックコア組成物と比較した場合の、先行技術のセラミックコア組成物の安定性を示す。
図2に示されるように、先行技術のコアミックスで作製したコア本体(すなわち、図の奥にある2つのコア本体)は、2850°Fで著しい不安定性を呈し、コア本体は明らかに変形している。SXコアミックスで作製したコア本体(すなわち、図の手前側の4つのコア本体)は、高温でより優れた安定性を呈し、2850°Fでのたわみは0.020”未満である。
【0028】
図3及び
図4は、SXコアミックスの改善された性能をさらに示す。
図3は、先行技術のハイブリッドコアミックスとSXコアミックスとの、膨張計熱分析時の膨張-温度曲線を示す。
図3では、下部の破線が、典型的な先行技術のハイブリッドコアミックスの膨張-温度曲線を表す。約2850°F又はセラミックミックスの鋳造温度において、ハイブリッドコアミックスは、材料の激しい収縮を呈しており、高度の不安定性を示している。それと比較して、
図3で実線で示されるSXコアミックスは、ほとんど収縮を呈していない。一般に、収縮度が小さいほど、材料は高温でより安定である。したがって、
図3は、ハイブリッドコアミックスと比較して、SXコアミックスが、非常により高い安定性を呈することを示している。
【0029】
図4は、先行技術のハイブリッドコアミックスとSXコアミックスとに対する、時間の関数としての膨張-温度曲線を示す。やはりここでも、SXコアミックスが、ハイブリッドコアミックスと比較して、経時で及び様々な温度でより優れた安定性を呈していることが分かる。
【0030】
SXコアミックスは、従来のコアミックスの安定性に対して明らかに改善している一方で、SXコアミックスが、流動性が悪く、小さく精密なパーツ用に注入することができないことが見出された。したがって、SXコアミックスと比較してさらに改善された流動性及び注入性を示すが、SXコアミックスと同じ改善された安定性も有するコアミックスが所望された。驚くべきことに、従来の溶融シリカ粉末ではなく、球状溶融シリカを用いることで、高温での混合物の安定性を維持しながら、セラミック材料の流動性が高まることが見出された。
【0031】
本発明の実施形態によると、本明細書でさらに述べるように、別のSXセラミックコア組成物は、球状溶融シリカを含む有効量の無機混合物と、様々な鉱化剤を含む有効量のバインダーと、を含む。実施形態では、無機混合物は、セラミックコア組成物の総重量の約80~90重量%を成す。いくつかの実施形態では、無機混合物は、セラミックコア組成物の総重量の約83~87重量%を成す。なおさらなる実施形態では、無機混合物は、セラミックコア組成物の総重量の約84~86重量%、又は約85重量%を成す。
【0032】
シリカは、セラミックコア組成物の無機部分の約90~99重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約76~84重量%)を成す。実施形態では、シリカは、セラミックコア組成物の無機部分の約94~98重量%(又は、組成物の総重量の約80~83重量%)、セラミックコア組成物の無機部分の約95~97重量%(又は、組成物の総重量の約81~82重量%)、又はセラミックコア組成物の無機部分の約96重量%(又は、組成物の総重量の約81.6重量%)を形成する。
【0033】
図5は、本発明の実施形態に従う球状溶融シリカ粒子を示す走査型電子顕微鏡画像である。
図5は、球状溶融シリカ粒子が、様々な粒径で提供されることを示している。本発明の様々な実施形態によると、組成物中に存在する複数の球状溶融シリカ粒子は、約0.58ミクロン~約296ミクロンの粒径範囲の粒子を含む。いくつかの実施形態によると、組成物は、すべて体積基準のパーセントで報告する以下の粒径分布を有する。粒子の約0~3%は、1.16ミクロン未満であり、粒子の約0~1.5%は、1.16~1.64ミクロンであり、粒子の約0~1.8%は、1.64~2.31ミクロンであり、粒子の約1.4~2.4%は、2.31~3.27ミクロンであり、粒子の約1.6~2.6%は、3.27~4.62ミクロンであり、粒子の約2.0~3.0%は、4.62~6.54ミクロンであり、粒子の約2.9~3.9%は、6.54~9.25ミクロンであり、粒子の約4.4~5.4%は、9.25~13.08ミクロンであり、粒子の約6.6~7.6%は、13.08~18.50ミクロンであり、粒子の約9.2~10.2%は、18.50~26.16ミクロンであり、粒子の約12.7~13.7%は、26.16~37.00ミクロンであり、粒子の約16.9~17.9%は、37.00~52.33ミクロンであり、粒子の約16.7~17.7%は、52.33~74.00ミクロンであり、粒子の約9.6~10.6%は、74.00~104.7ミクロンであり、粒子の約3.9~4.9%は、104.7~148.0ミクロンであり、粒子の約1.4~2.4%は、148.0~209.3ミクロンであり、粒子の約1.4~2.4%は、209.3~296.0ミクロンであり、粒子の約0~2%は、296ミクロン超である。
【0034】
いくつかの実施形態では、粒子の約0~2.8%は、1.16ミクロン未満であり、粒子の約0.3~1.2%は、1.16~1.64ミクロンであり、粒子の約0.4~1.5%は、1.64~2.31ミクロンであり、粒子の約1.7~2.1%は、2.31~3.27ミクロンであり、粒子の約1.9~2.3%は、3.27~4.62ミクロンであり、粒子の約2.3~2.7%は、4.62~6.54ミクロンであり、粒子の約3.2~3.6%は、6.54~9.25ミクロンであり、粒子の約4.7~5.1%は、9.25~13.08ミクロンであり、粒子の約6.9~7.3%は、13.08~18.50ミクロンであり、粒子の約9.5~9.9%は、18.50~26.16ミクロンであり、粒子の約13.0~13.4%は、26.16~37.00ミクロンであり、粒子の約17.2~17.6%は、37.00~52.33ミクロンであり、粒子の約17.0~17.4%は、52.33~74.00ミクロンであり、粒子の約9.9~10.3%は、74.00~104.7ミクロンであり、粒子の約4.2~4.6%は、104.7~148.0ミクロンであり、粒子の約1.7~2.1%は、148.0~209.3ミクロンであり、粒子の約1.7~2.1%は、209.3~296.0ミクロンであり、粒子の約0~1.5%は、296ミクロン超である。
【0035】
なお他の実施形態では、粒子の約0~2.7%は、1.16ミクロン未満であり、粒子の約0.9~1.1%は、1.16~1.64ミクロンであり、粒子の約1.2~1.4%は、1.64~2.31ミクロンであり、粒子の約1.8~2.0%は、2.31~3.27ミクロンであり、粒子の約2.0~2.2%は、3.27~4.62ミクロンであり、粒子の約2.4~2.6%は、4.62~6.54ミクロンであり、粒子の約3.3~3.5%は、6.54~9.25ミクロンであり、粒子の約4.8~5.0%は、9.25~13.08ミクロンであり、粒子の約7.0~7.2%は、13.08~18.50ミクロンであり、粒子の約9.6~9.8%は、18.50~26.16ミクロンであり、粒子の約13.1~13.3%は、26.16~37.00ミクロンであり、粒子の約17.3~17.5%は、37.00~52.33ミクロンであり、粒子の約17.1~17.3%は、52.33~74.00ミクロンであり、粒子の約10.0~10.2%は、74.00~104.7ミクロンであり、粒子の約4.3~4.5%は、104.7~148.0ミクロンであり、粒子の約1.8~2.0%は、148.0~209.3ミクロンであり、粒子の約1.8~2.0%は、209.3~296.0ミクロンであり、粒子の約0~1.3%は、296ミクロン超である。
【0036】
なお他の実施形態では、粒子の約0%は、1.16ミクロン未満であり、粒子の約1.0%は、1.16~1.64ミクロンであり、粒子の約1.3%は、1.64~2.31ミクロンであり、粒子の約1.9%は、2.31~3.27ミクロンであり、粒子の約2.1%は、3.27~4.62ミクロンであり、粒子の約2.5%は、4.62~6.54ミクロンであり、粒子の約3.4%は、6.54~9.25ミクロンであり、粒子の約4.9%は、9.25~13.08ミクロンであり、粒子の約7.1%は、13.08~18.50ミクロンであり、粒子の約9.7%は、18.50~26.16ミクロンであり、粒子の約13.2%は、26.16~37.00ミクロンであり、粒子の約17.4%は、37.00~52.33ミクロンであり、粒子の約17.2%は、52.33~74.00ミクロンであり、粒子の約10.1%は、74.00~104.7ミクロンであり、粒子の約4.4%は、104.7~148.0ミクロンであり、粒子の約1.9%は、148.0~209.3ミクロンであり、粒子の約1.9%は、209.3~296.0ミクロンであり、粒子の約0%は、296ミクロン超である。
【0037】
なおさらなる別の実施形態によると、粒子の約0%は、1.16ミクロン未満であり、粒子の約1%は、1.16~1.64ミクロンであり、粒子の約1%は、1.64~2.31ミクロンであり、粒子の約2%は、2.31~3.27ミクロンであり、粒子の約2%は、3.27~4.62ミクロンであり、粒子の約3%は、4.62~6.54ミクロンであり、粒子の約3%は、6.54~9.25ミクロンであり、粒子の約5%は、9.25~13.08ミクロンであり、粒子の約7%は、13.08~18.50ミクロンであり、粒子の約10%は、18.50~26.16ミクロンであり、粒子の約13%は、26.16~37.00ミクロンであり、粒子の約17%は、37.00~52.33ミクロンであり、粒子の約17%は、52.33~74.00ミクロンであり、粒子の約10%は、74.00~104.7ミクロンであり、粒子の約4%は、104.7~148.0ミクロンであり、粒子の約2%は、148.0~209.3ミクロンであり、粒子の約2%は、209.3~296.0ミクロンであり、粒子の約0%は、296ミクロン超である。
【0038】
球状溶融シリカは、様々な形態のシリカの組み合わせを含み得る。例えば、球状溶融シリカは、ある量の溶融シリカを、単独で、又はクリストバライトなどの他の形態のシリカと一緒に含み得る。
【0039】
シリカは、セラミックコア組成物の無機部分の約1重量%~約10重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約.8~8重量%)の範囲内の量のジルコンと混合される。実施形態では、ジルコンは、セラミックコア組成物の無機部分の約2~6重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約1.7~5.1重量%)、又はセラミックコア組成物の無機部分の約3~5重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約2.5~4.2重量%)の範囲内の量でシリカと組み合わされる。さらに他の実施形態では、ジルコンは、セラミックコア組成物の無機部分の約4重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約3.4重量%)に等しい量でセラミックコア組成物の無機部分に存在する。
【0040】
ジルコンは、ジルコン粉末を含んでよく、粉末を構成するジルコン粒子は、すべて実質的に同じ粒径である。いくつかの実施形態では、ジルコン粉末は、ジルコン粒子の第二の部分の粒径よりも僅かに大きい粒径を有するジルコン粒子の第一の部分を含み得る。
【0041】
次に進むと、バインダー(又は有機部分)は、SXセラミックコア組成物の総重量の約15重量%を成す。バインダーは、バインダー材料、染料、1又は複数の界面活性剤を含み、さらに繊維も含み得る。有機部分のうち、バインダー材料は、約80~90重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約12~13.5%)を成す。いくつかの実施形態では、バインダー材料は、有機部分の約82~89重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約12.3~13.3%)、有機部分の約84~88重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約12.6~13.2%)、有機部分の約85~87.5重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約12.75~13.1%)、又は有機部分の約86~87重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約12.9~13.05%)を成す。さらなる実施形態では、バインダーは、有機部分の約86.6重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約13%)を成す。実施形態では、バインダー材料は、熱可塑性材料である。熱可塑性材料は、例えば、パラフィン系ワックスであってよい。
【0042】
SXセラミックコア組成物の有機部分は、さらに染料を含み得る。染料は、有機部分の約1~2重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約.15~.3%)を成し得る。実施形態では、染料は、有機部分の約1.2~1.6重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.18~0.24%)を成す。なおさらなる実施形態では、染料は、有機部分の約1.4重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.22%)を成す。
【0043】
バインダー材料及び染料に加えて、セラミックコア組成物の有機部分は、1又は複数の界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、焼成したセラミック材料の高温での安定性を制御可能とする補助となり得る。本発明の実施形態によると、界面活性剤は、1又は複数のステアレートを含み得る。ステアレートとしては、限定されないが、ステアリン酸ナトリウム及び/又はステアリン酸アルミニウムが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ステアリン酸ナトリウム及びステアリン酸アルミニウムの両方の有効量を含み得る。さらなる実施形態では、界面活性剤は、加えて、又は別の選択肢として、有効量の脂肪酸を含み得る。脂肪酸は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプリン酸、リノール酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸などであってよい。
【0044】
組み合わせにおいて、界面活性剤は、有機部分の約6~12重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.9~1.8重量%)を構成する。実施形態では、界面活性剤は、有機部分の約7~11重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約1.1~1.7重量%)、又は有機部分の約8~10重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約1.2~1.5重量%)を成し得る。さらなる実施形態によると、界面活性剤は、有機部分の約9重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約1.35重量%)を成す。
【0045】
いくつかの実施形態によると、界面活性剤は、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アルミニウム、及び/又はオレイン酸を含む。いくつかの実施形態では、ステアリン酸ナトリウムは、有機部分の約1~5重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.15~0.75重量%)を成す。実施形態では、ステアリン酸ナトリウムは、有機部分の約2~4重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.6~0.6重量%、を成し得る。さらなる実施形態によると、ステアリン酸ナトリウムは、有機部分の約3重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約.45重量%)を成し得る。
【0046】
実施形態では、ステアリン酸アルミニウムは、有機部分の約0.5~4重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.01~0.6重量%)、又は有機部分の約1~3重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.15~0.45重量%)を成す。いくつかの実施形態によると、ステアリン酸アルミニウムは、有機部分の約2重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.3重量%)を成し得る。
【0047】
本発明の実施形態は、有機部分の約2~6重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.3~0.9重量%)、又は有機部分の約3~5重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.45~0.75重量%、の範囲内の量でオレイン酸を含み得る。実施形態では、オレイン酸は、有機部分の約4重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.6重量%)を成し得る。
【0048】
バインダーは、本明細書で述べるSXセラミックコア組成物で作製される最終コア製品をさらに強化するために、有効量のポリマー材料をさらに含み得る。実施形態では、ポリマー材料は、例えば、ポリアミドナイロン、ポリエステル、モダール、竹繊維、レーヨン繊維、ジアセテート繊維、及び/又はトリアセテート繊維であってよい。
【0049】
本発明の実施形態は、有機部分の約1~5重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.15~0.75重量%)、又は有機部分の約2~4重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.3~0.6重量%、の範囲内の量でポリマー材料を含み得る。実施形態では、ポリマー材料は、有機部分の約3重量%(又は、SXセラミックコア組成物の総重量の約0.45重量%)を成し得る。
【0050】
本明細書で述べる球状溶融シリカを有するSXセラミックコア組成物を用いて製造したコアコンポーネントを、組成物の強度及び流動特性を特定するために試験した。
図6は、球状形態の溶融シリカを含むSXセラミックコア組成物において、粘度が経時で比較的一定に維持されていることを示すものであり、組成物が比較的安定であることを示している。反対に、これまでのコア組成物(すなわち、
図6の上側にある線の群)は、ガラスシャード(glass shards)(針状ガラス断片を含む組成物中)が流体の移動方向と整列されるまで、経時で粘度が大きく低下した。さらに、
図6は、球状形態の溶融シリカを含むSXセラミックコア組成物の粘度が、他のコア組成物の粘度よりも著しく低いことも示す。球状溶融シリカを含むSXセラミックコア組成物の粘度の方が低いことは、他のコア組成物と比較して、流動特性が非常に改善されていることを示す。
【0051】
図7は、これまでの組成物と比較した球状溶融シリカコア組成物の粘度を示す別のグラフである。
図7では、下側の線が、球状溶融シリカを含むSXセラミックコア組成物の粘度を表し、上側の線が、従来のコアミックスを表す。約150°Fの注入温度において、従来のミックスは、本明細書で述べるコアミックスよりも高い粘度を示していることが分かる。ここでも、球状溶融シリカを含むSXセラミックコア組成物の粘度の方が低いことは、他のコア組成物と比較して、特に注入温度において、流動特性が非常に改善されていることを示す。
【0052】
球状溶融シリカコア組成物の改善された流動特性に少なくとも部分的に起因して、組成物は、これまでに利用可能であったコアミックスで可能であるよりも著しく薄いセラミックコアの形成に用いることができることが見出された。1つの実施形態によると、これまでは不可能ではないにしても実現が極めて困難であった厚さ約0.012”の特徴を有するコアを製造することが可能であり得る。重要なことには、球状溶融シリカコア組成物の粘度がより低いことは、大型のコンポーネントを製造する能力を妨げるものではない。例えば、20”超の長さを有し厚さ約0.040”のトレーリングエッジの特徴を有するコアが、本明細書で述べる球状溶融シリカコア組成物を用いて良好に射出成形及び鋳造された。したがって、本発明のコア組成物は、広く様々なサイズ及び形状のコアの形成に用いることができる。
【0053】
セラミック材料が、加熱された場合に収縮率として知られるある特定の比率で収縮することは周知である。収縮率は、各材料組成物に対して特異的であり、その材料組成物の、具体的にはセラミックコアミックスの収縮率を知ることが、最終セラミックコアが正確なサイズであることを確保するために必要である。収縮率が既知である場合、セラミックコアミックスが注入されるモールドは、セラミックコアミックスが焼成された際に(必然的に収縮する)、モールドから取り出される最終セラミックコアが所望されるサイズとなるように、収縮率を考慮に入れて過大なサイズとされてよい。興味深いことに、本明細書で述べる本発明のセラミックコアミックスは、必要に応じて収縮率を増加又は減少させるために、ミックス中のシリカの粒径分布を僅かに改変可能であるという点で独特である。これは、本明細書で述べる球状溶融シリカSXセラミックコア組成物に典型的であるよりも大きい(又は小さい)収縮率を有する組成物に対して機械設備が開発されている場合に、特に有用であり得る。
【0054】
示される様々なコンポーネント、さらには示されていないコンポーネントの多くの異なる配列が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能である。本開示の実施形態を、限定的ではなく例示的であることを意図して記載してきた。その範囲から逸脱しない別の選択肢としての実施形態は、当業者に明らかとなるであろう。当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく、上述の改善を実行する別の選択肢としての手段を開発するであろう。ある特定の特徴及びサブ組み合わせが、有用であり、他の特徴及びサブ組み合わせを参照することなく用いられてよく、本開示の範囲内であることが企図されることは理解される。様々な図面で列挙されるすべての工程は、記載の具体的な順番で実施される必要はない。本明細書は、具体的に記載される実施形態に限定されるべきではない。
【外国語明細書】