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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160806
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】ブレーシングアクセサリ
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/76 20060101AFI20231026BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
E04B1/76 400J
E04B1/76 500G
E04B1/82 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023070078
(22)【出願日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】FR2203760
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン スリエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-ベルナン シドル
(72)【発明者】
【氏名】エルベ ドビュ
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001DF01
2E001EA05
2E001EA08
2E001FA03
2E001FA06
2E001FA10
2E001FA14
2E001FA15
2E001GA23
2E001GA24
2E001GA29
2E001HA32
2E001HA33
2E001HA34
2E001HD01
2E001HF11
2E001HF14
2E001HF15
2E001KA05
2E001LA02
2E001LA03
2E001LA07
2E001LA11
2E001LA12
2E001LA13
2E001LA14
(57)【要約】
【課題】従来技術の不利益を解決する、遮断製品を被ライニング壁表面に取り付けるのに適したブレーシングアクセサリを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの遮断製品(3)を、被ライニング壁表面(1)上に取り付けるために適合されたブレーシングアクセサリ(5)であって、
ロッド(5A)を含み、その第1の末端部が、前記壁(1)の構造要素に取り付けられるように適合されており、かつ、その第2の末端部が、前記遮断製品(3)及び封止膜(4)を貫通するように適合されている、ブレーシングアクセサリ(5)。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの遮断製品(3)を、被ライニング壁表面(1)に取り付けるのに適したブレーシングアクセサリ(5)であって、
前記ブレーシングアクセサリ(5)は、ロッド(5A)を有し、その第1の末端部が、前記壁表面(1)の構造要素に取り付けられるように適合されており、かつ、その第2の末端部が、前記遮断製品(3)及び封止膜(4)を貫通するように適合されており、
前記ブレーシングアクセサリ(5)は、孔(7A)、好ましくは貫通孔を有する封止要素(7)を有し、この孔の周縁が、前記ロッド(5A)の断面と相補的な形状を有しており、前記ロッド(5A)上での前記封止要素(7)の摩擦による可逆的な弾性取り付けを可能にするのに適した弾性材料で作られていることを特徴とし、かつ、前記ロッド(5A)は、実質的に平坦な形状であり、好ましくは金属性であることを特徴とする、
ブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項2】
前記封止要素(7)が、隆起部(7B)を含み、この隆起部に、前記孔(7A)が形成されており、これが、好ましくは、前記ロッド(5A)の軸に沿って、2mm超、好ましくは5mm超、好ましくは10mm超の距離にわたって、延在することを特徴とする、請求項1に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項3】
前記隆起部(7B)が、好ましくは接着剤及び/又はグリップコーティングでコーティングされた、好ましくは円形、楕円形、正方形又は菱形の、平坦な基部(7C)から延在し、前記平坦な基部は、前記ロッド(5A)への前記封止要素(7)の挿入の際に前記封止膜(4)に当接するように適合されている、ことを特徴とする、請求項2に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項4】
少なくとも前記孔(7A)の周縁、そうでなければ前記封止要素の全体、を構成する前記弾性材料が、20~100、好ましくは30~80、のショアA硬度を有し、好ましくは、エラストマー、例えば、ゴム、ブチル、以下を含む化合物:スチレン、ブタジエン若しくはエチレン、以下を含む化合物:ポリエステル、ポリプロピレン若しくはEPDM、ポリウレタン、又は熱可塑性オレフィンを含む群に属する、ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項5】
前記封止要素(7)が、少なくとも1つのいわゆる剛性材料を含み、これが、100MPa超、好ましくは1000MPa超の曲げ弾性率を有し、かつ好ましくは金属及び熱可塑性プラスチックを含む群に属し、かつ、前記平坦な基部及び/又は前記隆起部の周縁を構成する、ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項6】
前記封止要素(7)が、前記ロッド(5A)上における前記封止要素(7)の可逆的な固定部材(9)、好ましくはくさび、を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項7】
前記封止要素(7)が、前記ロッド(5A)上での前記封止要素(7)の摩擦による可逆的な弾性取り付け構造において、前記ロッド(5A)を掴むように適合された2つのあご部から形成されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項8】
前記ロッド(5A)が、その第2の末端部に先端部(5D)を有し、この先端部(5D)は、好ましくは、前記先端部(5D)が前記ロッド(5A)の延在方向内に配置される、いわゆる差し込み構造と、前記先端部(5D)の全て又は一部が前記ロッド(5A)の軸の外側に傾斜する構造、との間で折り畳み可能である、ことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項9】
前記ロッド(5A)が、その第2の末端部に、フィラープレート(6)に締結するための装置を有し、この装置が、好ましくは、前記ロッドの軸に直交する理論的平面内で、前記ロッドの周縁において配置された2つの溝を含む、ことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項10】
前記ロッド(5A)が、前記遮断製品(3)を保持するための、前記ロッド(5A)上で突出する、少なくとも1つの部材(5E)を含み、この部材が、好ましくは、歯又はフラップを含む、ことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項11】
前記ロッド(5A)が、前記封止要素(7)の前記孔(7A)の周縁と接触するように適合された粗い表面を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項12】
カップ(8)を含み、これが、前記遮断製品(3)と前記膜(4)との間に配置されるように適合されており、かつ、前記膜(4)をその挿入開口部の周囲でクランプするために、前記封止要素(7)に対する対向支持体を形成するように適合されていることを特徴とする、請求項1~11までのいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項13】
前記ロッド(5A)が、その側方縁に、折り目及び/又はエンボス線を含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのブレーシングアクセサリ(5)が取り付けられる構造要素(1A)を備えた被ライニング壁(1)を有するアセンブリであって、このブレーシングアクセサリが、少なくとも1つの遮断製品(3)及び少なくとも1つの封止膜(4)を貫通している、アセンブリ。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのブレーシングアクセサリがフィラープレート(6)に取り付けられており、フィラープレート(6)自体は被覆材(2)に取り付けられている、ことを特徴とする、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記ブレーシングアクセサリ(5)と前記フィラープレート(6)との間の界面に、少なくとも1つの音響減衰部材を有することを特徴とする、請求項14又は15に記載のアセンブリ。
【請求項17】
少なくとも1つの遮断製品(3)を、被ライニング壁表面(1)に取り付ける方法であって、少なくとも以下のステップを、この順序で含む、方法:
- 請求項1~13のいずれか一項に記載のブレーシングアクセサリ(5)のロッド(5A)の第1の末端部を、前記壁表面の構造要素(1A)に取り付けるステップ
- 少なくとも1つの遮断製品(3)を、前記ロッド(5A)がその中を貫通するように、前記壁表面(1)に対して配置するステップ、
- 前記ロッド(5A)の第2の末端部へ、封止膜(4)及び前記ブレーシングアクセサリ(5)の封止要素(7)を差し込むステップ。
【請求項18】
壁(1)をライニングする方法であって、下記を行うための方法を実施することを含む、方法:前記ブレーシングアクセサリ(5)に、請求項17に従って少なくとも1つの遮断製品(3)を取り付けること、及び少なくとも1つのフィラープレート(6)を据え付けること、並びに、前記フィラープレート(6)に被覆材(2)を据え付けること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、遮断又は審美的な目的のための壁表面ライニングに関する。具体的
には、被ライニング壁表面(ライニングされる壁表面)から被覆材(クラッディング)を遠ざけるために、被ライニング壁表面と被覆材との間に配置されたブレーシングアクセサリ(留めアクセサリ)に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、建物の壁、天井、屋根などの、壁表面の内部からのライニングは、建物又は特定の部屋の音響的又は熱的な遮断を得る又は向上させるために、改装又は新築中に、しばしば実施される。この目的のために、被覆材2がライニングフレームに取り付けられ、ライニングフレーム自体は、ライニングフレームから所与の距離において、被ライニング壁表面1の構造要素1Aに取り付けられる。熱及び/又は音響遮断パッキング(しばしば遮断コーティングと呼ばれる)を、被ライニング壁表面1と被覆材2との間に挿入させる。
【0003】
遮断パッキングは、典型的に、一方で、折り畳み可能なパネル又はロールの形態で、ミネラルウール(ガラス、石)、木繊維などの生物由来の遮断体、又は多孔性反射遮断体など、遮断製品3の1つ以上の層を含み、並びに、一方で、少なくとも1つの封止膜4、すなわち蒸気バリア膜及び/又は浸食蒸気抑制材を含む。この膜4は、最も多くの場合、遮断製品3と被覆材2との間に介在し、典型的には被覆材に隣接し、かつ/又は随意に2つの遮断製品の層の間に挿入される。代替的には、遮断製品3にしっかりと接続することもでき、又は遮断製品と被覆材2との間に別個に追加することもできる。
【0004】
ライニングフレームは、一般に天井及び屋根ライニング用の「ハンガー」、並びに壁ライニング用の「ブレーシング(留め具)」と呼ばれる、規則的に間隔を置いて配置されたブレーシングアクセサリ5(留めアクセサリ5)によって、被ライニング壁表面1の構造要素1Aに取り付けられる。各ブレーシングアクセサリは、被ライニング壁表面1に対してかつ被覆材2に対して横断方向に延在するロッド状の本体5Aを含む。アクセサリの第1の末端部には、被ライニング壁表面1の構造要素1Aに片持ち梁で取り付けられる(カンチレバーされる)アタッチメント5Bが提供され、第2の末端部には、ライニングフレームのフィラープレート6上への締結具5Cが提供される。
【0005】
設置中において、遮断パッキングが、ブレーシングアクセサリ5のロッド5A上に差し込まれ、遮断製品3及び膜4に複数の穿孔を生じさせる。この場合、膜4の、永続的又は選択的な、封止機能が損なわれるので、この穿孔は、特には膜4に損傷を与える。膜4の穿孔はまた、破断の引き金を構成する場合もあり、破断は、膜4に張力が及ぼされた場合に広がりうる。
【0006】
仏国特許出願公開第2925929号明細書には、封止の継続性を確保するために、ハンガーのロッドの第2の末端部において配置された溝内に挟むことで固定した後、次いでロッドによる穿孔点付近で封止膜をクランプする、一対のあご部(ジョー)の実装が記載されている。
【0007】
このようなハンガーは効果的ではあるが、あご部が破壊されない限り、その取り付けが不可逆的であるなど、いくつかの欠点が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前述した不利益に対する技術的解決策を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
より具体的には、少なくとも1つの実施形態において、提案される技術は、少なくとも1つの遮断製品を、被ライニング壁表面に取り付けるのに適したブレーシングアクセサリに関し、ロッドを含み、その第1の末端部が上記壁表面の構造要素に取り付けられるように適合しており、かつ、その第2の末端部が上記遮断製品及び封止膜を貫通するように適合しており、
上記ブレーシングアクセサリは、孔、好ましくは貫通孔を含む封止要素を含み、その周縁がロッドの断面と相補的な形状を有し、ロッドの上記封止要素の摩擦による可逆的な弾性取り付けを可能にするのに適した弾性材料でできていることを特徴とし、かつ、上記ロッドは実質的に平坦な形状であり、好ましくは金属性であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、建物の内部の一部を切り取った斜視図であり、その屋根及び壁は、従来技術から知られているライニングアセンブリによって遮断されている。
図2図2は、本発明の第1の実施形態によるブレーシングアクセサリのロッドの概略斜視図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態によるブレーシングアクセサリの封止要素の概略斜視図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態による、被ライニング壁表面、ブレーシングアクセサリ、及びフィラープレートによって形成されるアセンブリの概略斜視図である。
図5図5は、本発明の第2の実施形態によるブレーシングアクセサリのロッドの概略斜視図である。
【0011】
図6図6は、本発明の第2の実施形態によるブレーシングアクセサリの封止要素の概略斜視図である。
図7図7は、本発明の第2の実施形態による、被ライニング壁表面、ブレーシングアクセサリ、及びフィラープレートによって形成されるアセンブリの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
「可逆的な弾性取り付け」という表現は、弾性変形によるある部品と別の部品との非決定的な取り付けを指す。被ライニング壁表面にブレーシングアクセサリを取り付けた後、実装される遮断製品の密度に応じて、ロッドに遮断製品(ミネラルウール、ハニカム反射遮断材)を直接差し込むか、又はロッドに遮断製品(硬質木質繊維遮断パネル)を取り付け、これによりロッドを2つの連続する遮断パネルの間にスライドさせる。どちらの場合も、ロッドの第2の末端部は、本発明の意味の範囲内で、上記遮断製品中を貫通する。類似的に、ロッドは、一方では、この目的のために提供された孔において、好ましくは、封止要素を貫通する。ロッドの第2の末端部上に封止膜を差し込んだ後、オペレータは、この目的のために提供された孔を介して、ロッドの周囲に封止要素を挿入し、次いで、上記封止要素を上記膜にスライドさせる。封止要素の弾性特性により、弾性戻りの影響下で、ロッドに圧縮力を加えながら、ロッドの周縁に一致するように封止要素が弾性変形することが可能になる。このようにして、封止要素は、その取り外しに対する、摩擦抵抗、すなわちトライボロジーの性質に対抗することによって、ロッドに弾性的に取り付けられる。それにもかかわらず、このような封止要素は、オペレータによって十分な牽引力が加えられた場合には、取り外し可能なままである。ロッドと封止要素の間の界面に存在する材料の弾性特性により、ロッドの表面に封止要素が完全に追従し、従ってこの界面における接触表面及び望ましい封止特性が最大化される。
【0013】
従って、本発明は、ロッド周囲に満足のいく気密性を提供しながら、使用が簡単であり、かつ取り外し可能なブレーシング要素(留め要素)を提供することからなる発明概念に依る。ロッドへの封止アクセサリの可逆的な弾性取り付けの実装により、オペレータの要件、例えば、1又は複数の遮断製品の厚さ、及び特に封止膜の最終的な位置に応じて、封止アクセサリの位置を適合することも可能になる。換言すれば、ブレーシングアクセサリを製造する時点で、封止要素をロッドに取り付けるための領域を事前に画定する必要はない。
【0014】
本発明の意味の範囲内で、上記ロッドは、大部分が同じ理論的平面内に延在するという意味で、「実質的に平坦」であると言われ、一方、好ましくは、剛性を高めるために、その側方縁においてわずかな折り目及び/又はエンボス線を有する。実質的に平坦な形状のロッドは、封止アクセサリのための接触面を増加させるという利点を有し、従って満足のいく封止及び信頼性を向上させる。
【0015】
特定の実施形態によれば、上記封止要素は、上記孔が形成される隆起部を含み、これは、好ましくは、ロッドの軸に沿って、2mm超、好ましくは5mm超、好ましくは10mm超の距離にわたって、延在する。
【0016】
このような隆起により、封止要素とロッドとの間の接触面を増加させることができ、従ってこの界面での封止を強化することができる。
【0017】
特定の実施形態によれば、上記隆起部は、好ましくは接着剤及び/又はグリップ性のあるコーティングでコーティングされた、好ましくは円形、楕円形、正方形又は菱形の、平坦な基部から延在し、上記平坦な基部は、ロッド上への封止要素の挿入の際に封止膜に当接するように適合されている。
【0018】
このような平坦な基部は、ロッドの軸に直交する平面に沿って、封止膜と接触することによって、挿入開口部の周囲の膜における、ありうる裂け目を覆うことができ、従って封止力を強化することができる。
【0019】
特定の実施形態によれば、少なくとも孔の周縁、そうでなければ上記封止要素の全体、を構成する弾性材料は、20~100、好ましくは30~80、のショアA硬度を有し、好ましくは、エラストマー、例えば、ゴム、ブチル、以下を含む化合物:スチレン、ブタジエン若しくはエチレン、以下を含む化合物:ポリエステル、ポリプロピレン若しくはEPDM、ポリウレタン、又は熱可塑性オレフィン、を含む群に属する。
【0020】
このような弾性材料を選択することにより、孔において、信頼性が高く、耐漏洩性であり、かつ可逆的な取り付けを容易に実現することが可能になる。
【0021】
特定の実施形態によれば、上記封止要素の全体は、上記弾性材料で構成される。このような一体型封止要素の製造は、複数の異なる材料で形成された封止要素と比較して、生産が容易である。
【0022】
特定の実施形態によれば、上記封止要素は、少なくとも1つのいわゆる剛性材料を含み、これは、100MPa超、好ましくは1000MPa超の曲げ弾性率を有し、好ましくは金属及び熱可塑性プラスチックを含む群に属し、かつ上記平坦な基部及び/又は隆起部の周縁を構成する。
【0023】
このような比較的硬い材料を選択することにより、貫通孔の周縁上に配置された弾性材料と比較して、上記平坦な基部と膜との接触を改善すること、かつ/又はオペレータによる上記封止アクセサリの掴みを容易にすることが可能になる。
【0024】
特定の実施形態によれば、上記封止要素は、上記封止要素をロッドに可逆的に固定するための手段、好ましくはくさびを含む。
【0025】
追加の可逆的固定部材の実装により、封止要素によってその孔において既に提供されている摩擦による可逆的弾性取り付けに加えて、ロッドへの封止要素の取り付けを強化することが可能になる。これにより、例えば、遮断製品の重量をよりよく支えることができる。
【0026】
特定の実施形態によれば、上記封止要素は、ロッド上への上記封止要素の摩擦による可逆的な弾性取り付け構造において、ロッドを掴むように適合された2つのあご部から形成される。
【0027】
このようなあご部の実装により、ロッドの第2の末端部から、特にその先端を通して上記封止要素をスライドさせる必要なく、上記封止要素をロッドに直接締結することが可能になる。
【0028】
特定の実施形態によれば、2つのあご部は旋回可能(枢動可能)に接続される。
【0029】
特定の実施形態によれば、2つのあご部は、2つの別々の部品であり、好ましくは蝶番(ヒンジ)によって接続される。特定の代替実施形態によれば、2つのあご部は、同じ部品の一部を形成しており、この部品は、一方のあご部の他方のあご部に対する旋回を可能にするように適合された折り線を有する。
【0030】
特定の実施形態によれば、上記ロッドは、その第2の末端部に先端部を含み、先端部は、好ましくは、上記先端部がロッドの延在方向内に配置される、いわゆる差し込み構造と、先端部の全ての又は一部がロッドの軸の外側に傾斜する構造、との間で折り畳み可能である。
【0031】
ロッドの末端部における先端部により、1又は複数の遮断製品及び膜の差し込みを容易にすることができる。一方、差し込んだ後に先端部を横に傾けると、取り付け後にオペレータがこの先端部に触れるのを避けることができ、かつ随意にフィラープレートのクリップ留めが可能になる。
【0032】
特定の実施形態によれば、上記ロッドは、その第2の末端部に、フィラープレートに締結するための装置を含み、これは、好ましくは、ロッドの軸に直交する理論的平面内において、ロッドの周縁において配置された2つの溝を含む。
【0033】
これにより、ブレーシングアクセサリのロッドを、封止要素とは独立して、満足のいく機械的接続を確保するために、フィラープレートに直接取り付けることができる。
【0034】
特定の実施形態によれば、上記ロッドは、遮断製品を保持するための、ロッド上で突出する、少なくとも1つの部材を有し、これは、好ましくは、歯又はフラップを有する。
【0035】
このような保持部材により、例えば遮断パネルが自重下でロッド上を滑る傾向があるとき、遮断パネルを留め置くことが可能になる。
【0036】
特定の実施形態によれば、上記ロッドは、上記封止要素の孔の周縁と接触するように適合された粗い表面を有する。
【0037】
ロッドの残りの部分と比較して、粗さが増加したこのような表面領域は、緩んできたロッドの摩擦抵抗を増加させることによって、ロッドへの封止アクセサリの取り付けを強化することを可能にする。
【0038】
特定の実施形態によれば、上記ブレーシングアクセサリは、カップを有し、これは、上記遮断製品と膜との間に配置されるように適合されており、かつ、膜の挿入開口部の周囲で膜をクランプするために、上記封止要素に対する対向支持体を形成するように適合されている。
【0039】
特定の実施形態によれば、上記カップは、ロッドの周囲でスライド可能に旋回して据え付けられるように適合されている。
【0040】
代替実施形態によれば、上記カップは、摩擦による可逆的な弾性取り付け及び/又は可逆的な固定部材によって、ロッドに取り付けられる。
【0041】
本発明はまた、少なくとも1つのそのようなブレーシングアクセサリが取り付けられる構造要素を備える被ライニング壁表面を含むアセンブリに関し、ブレーシングアクセサリが、少なくとも1つの遮断製品及び少なくとも1つの封止膜を貫通している。
【0042】
代替実施形態によれば、遮断パネルには、封止膜が予め備え付けられているか、又は封止膜が無く、この場合、上記膜は、ブレーシングアクセサリのロッドに別個に差し込まれる。
【0043】
特定の実施形態によれば、上記少なくとも1つのブレーシングアクセサリは、フィラープレートに取り付けられ、フィラープレート自体は被覆材に取り付けられる。
【0044】
特定の実施形態によれば、上記アセンブリは、ブレーシングアクセサリとフィラープレートとの間の界面において、少なくとも1つの音響減衰部材を有する。
【0045】
特定の実施形態によれば、上記音響減衰部材は、ロッドとフィラープレートとの間の音波の伝播及びありうるクリック音を制限するために、ロッドの折り目付近の末端部とフィラープレートとの間に配置される。
【0046】
本発明はまた、少なくとも1つの遮断製品を、被ライニング壁表面に取り付ける方法に関し、少なくとも以下のステップを、この順序で含む。
【0047】
- そのようなブレーシングアクセサリのロッドの第1の末端部を、上記壁表面の構造要素に取り付けるステップ、
【0048】
- 少なくとも1つの遮断製品を、上記ロッドがその中を貫通するように、壁表面に対して配置するステップ、
【0049】
- ロッドの第2の末端部に、封止膜及び上記ブレーシングアクセサリの封止要素を差し込むステップ。
【0050】
本発明はまた、壁表面をライニングする方法に関し、これは、下記の方法の実施を含む:上記ブレーシングアクセサリに、少なくとも1つのそのような遮断製品を取り付けること、及び、少なくとも1つのフィラープレートを据え付けること、並びに上記フィラープレート上に被覆材を据え付けること。
【0051】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単に例示的かつ非限定的な例として与えられる、特定の実施形態の以下の説明、並びに添付の図面から明らかになるであろう。
【0052】
図に示される様々な要素は、必ずしも実際の縮尺で示されているわけではなく、本発明の一般的な動作を表すことに重点が置かれている。様々な図において、別段の指示がない限り、同一の参照番号は類似又は同一の要素を表す。
【0053】
本発明のいくつかの特定の実施形態を以下に示す。本発明は、これらの特定の実施形態によって決して限定されるものではないこと、かつ他の実施形態も完全に可能であることが理解される。
【0054】
図2及び図3はそれぞれ、本発明の第1の実施形態によるブレーシングアクセサリ5のロッド5A及び封止要素7を示し、アクセサリ5のロッド5Aは実質的に平坦な形状であり、金属性である。図4は、被ライニング壁表面1、このようなブレーシングアクセサリ5、及びフィラープレート6によって形成されるアセンブリを示す。
【0055】
この第1の実施形態によるライニング方法の文脈において、まず、ブレーシングアクセサリ5のロッド5Aの第1の末端部を、壁表面1の構造要素1Aに取り付ける。より具体的には、図4に示すように、この取り付けは、ロッド5Aのプレート形状の部分5Bに形成された、ネジが螺合する穿孔を介して実施される。
【0056】
代替実施形態によれば、上記ロッドの上記構造要素へのそのような締結は、任意の同等の締結システムによって、例えば、ロッドの上記第1の末端部において配置されており、かつフィラープレート自体が被ライニング壁表面に固定されている、フィラープレートに取り付けられるように適合された、ヘッドによって、提供されうる。
【0057】
ブレーシングアクセサリ5が壁表面1に取り付けられると、図4に示すように、少なくとも1つの遮断製品3を壁表面1に対して配置し、その結果として、上記ロッド5Aが遮断製品3中を一方の側から他方の側まで貫通するようにする。
【0058】
代替実施形態によれば、ロッド2Aに遮断製品3を直接差し込むか、又は、ロッド2Aを遮断製品3に取り付け、そのようにして、ロッド2Aを2つの連続する遮断パネル3の間にスライドさせる。図4は、これらの2つの代替実施形態を考慮しており、遮断製品3の見かけの切断面は、第1の場合には断面として、又は第2の場合にはロッドが貼り付けられる遮断製品3の端部として、考慮される必要がある。
【0059】
特に、遮断製品3を据え付けるこのステップ中において、ロッド上に遮断製品を保持することを可能にする、ロッド上における歯5Eの実装に留意されたい。この歯は、遮断製品の厚さ内又はその直下にあってもよい。
【0060】
続いて、封止膜4を、ロッド5Aに差し込む。ロッド5Aの第2の末端部において先端部5Dを実装することにより、膜4の穿孔及びその後の差し込みが容易になる。
【0061】
代替実施形態によれば、膜4は、その製造中において遮断製品3に固定され、この場合、それらは同時に一緒に差し込まれること、又は別個に製造され、この場合、遮断製品3及び膜4の設置は2つの異なるステップで実行されることに留意されたい。
【0062】
その後、上記ブレーシングアクセサリ5の封止要素7を、ロッドに差し込む。より具体的には、図3に示すように、このような封止要素は、円形の基部7Cを有し、その中心において、貫通孔7Aが、形成されており、高さ10mm超の隆起部7Bによって、この平坦な基部と直交する軸に沿って、延在している。この第1の実施形態によれば、上記孔7Aは、ロッドの断面と相補的な形状を有するために、実質的に平坦な形状のスロットである。封止要素7の平坦な基部7C及び隆起部7Bの大部分は、曲げ弾性率が100MPaより大きい、いわゆる硬質熱可塑性材料からなる。スロット7Aのみが、30~80のショアA硬度である、軟質ゴムでコーティングされている。
【0063】
封止要素7に差し込むために、オペレータは、この目的のために提供されたスロット7Aを介してロッド5Aの周囲に封止要素7を挿入し、次いで、上記封止要素7、特にその平坦な基部7Cを膜4にスライドさせる。この第1の実施形態によれば、封止要素7の基部7Cの外面、すなわち膜4に向けられることを意図されている面は、その封止力を強化するために接着剤でコーティングされる。スロット7Aの内側を構成するゴムの弾性特性により、弾性戻りの効果の下、ロッド5Aに圧縮力を加えながら、ロッド5Aの周縁に適合するように弾性変形することができる。封止要素7もまた、その取り外しに対する摩擦抵抗、すなわちトライボロジーの性質に対抗することによって、ロッド5Aに弾性的に取り付けられる。それにもかかわらず、このような封止要素7は、オペレータによって十分な牽引力が加えられた場合には、取り外し可能なままである。また、ロッド5Aと封止要素7との間の界面に使用されるゴムの弾性性質により、封止要素7がロッド5Aの表面に完全に追従することを可能にし、従ってこの界面での接触表面及び望ましい封止特性を最大化することができる。
【0064】
フィラープレート6を据え付ける前に、図4に示すように、先端部5Dの末端部は、図1の破線によって示される折り線に沿って、ロッド(5A)の軸の外側に傾けられる。続いて、先端部5Dの後部に配置された2つの専用溝5C内へフィラープレート6を挿入する。特定の実施形態(図示せず)によれば、ロッド5Aとフィラープレート6との間における音波の伝播及びありうるクリック音を制限するために、音響減衰部材がこれらの溝内に、又は折り目付近のロッド5Aの末端部とフィラープレートとの間に、配置される。
【0065】
最後に、このライニング方法は、被覆材2(図4には示されていないが、図1に示されている)をフィラープレート6に、例えばねじ止めによって、取り付けることによって完了されうる。従って、被覆材2は、ブレーシングアクセサリ5によって壁表面1から距離を置いて保たれる。
【0066】
図5及び図6はそれぞれ、第2の実施形態によるブレーシングアクセサリ5のロッド5A及び封止要素7を示す。この実施形態は、ロッド5Aが中実の管状形状を有し、熱可塑性材料で作られている点で、第1の実施形態と主に異なる。この第2の実施形態によれば、ロッド5Aは、第1の末端部において、壁表面1の構造要素1Aにねじ止めされるように適合されたプレート5Bを有する。図示されていない代替実施形態によれば、そのような締結具5Bは、任意の同等のシステムによって、例えば、ロッドに沿って、ロッドの軸に沿って、配置された穿孔されたプレートによって提供されうる。ロッド5A上にフラップ5Eを実装することにより、特に遮断製品3を据え付けるステップ中において、遮断製品3をロッド上に保持することが可能になる。
【0067】
この第2の実施形態によれば、図7に示すように、遮断製品3及び封止膜4は別個に提供され、最終組立体(最終アセンブリ)において、ロッド5A上にスライド可能に旋回して据え付けられたカップ8によって、互いに分離される。この第2の実施形態によれば、上記カップ8は、封止要素7と同様の幾何学的形状を有し、封止要素7とともに、カップ8は、結合開口部の周囲で膜4をクランプするための対向支持体を形成する。しかしながら、代替実施形態によれば、上記カップは、この対向支持機能を果たすように適合された任意の幾何学的形状を有してよく、かつ、ロッドとの任意の種類の機械的接続、例えば、不可逆的な取り付け、摩擦による可逆的な弾性取り付け、又はねじ止み式若しくはバヨネット式による可逆的な取り付け、を有してもよい。後者の場合、カップ8は、遮断製品3によって封止要素7に加えられる応力を低減するために、遮断製品3を留め置くという補完的な機能を提供しうる。
【0068】
図6及び図7に示すように、封止要素7は、円錐形の平坦な基部7Cに加えて、円筒形の貫通孔7Aを含み、この平坦な基部7Cに直交する軸方向に沿って高さ10mmを超える管状形状7Bによって延在されている。第1実施形態と同様に、孔7Aの周縁には軟質ゴムがコーティングされている。第1の実施形態と類似の様式で、孔7Aの内側を構成するゴムの形状相補性及び弾性特性により、弾性戻りの効果の下、ロッド5Aに圧縮力を加えながら、孔7Aの内側を構成するゴムが弾性変形してロッド5Aの周縁に適合することができる。従って、この界面での満足のいく封止、及び摩擦による可逆的な取り付けが確保される。補足的かつ必須ではない様式で、止まり孔9Aがロッド5Aの周囲上に作り出され、封止要素7の上方9Bにおいて作り出された貫通孔と協働して、くさび9を挿入できるようになっている。これにより、封止要素7のロッド9Aへの取り付けを強化することができ、その結果、例えば遮断製品の重量をよりよく支持できる。補足的又は代替的な方法において、ロッド5Aは、緩んできたロッドの摩擦抵抗を増大させることによって、ロッドへの封止アクセサリの取り付けを強化するために、その周縁の一部上に、粗さが増大した表面を有しうる。
【0069】
封止要素を結合した後、第1の実施形態と同様に、フィラープレート6を取り付けることによって、かつ、次に被覆材2を取り付けることによって、ライニング方法を完了しうる。従って、被覆材2は、ブレーシングアクセサリ5によって壁表面1から距離を有して保たれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】