(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160811
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】搬送コンベヤのキャリアから家禽を自動的に吊り下げるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A22C 21/00 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A22C21/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070333
(22)【出願日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】2031668
(32)【優先日】2022-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】514175841
【氏名又は名称】メイン フード プロセシング テクノロジー ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファン ステイン、アロイシウス クリスチャヌス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ストラーレン、リック セバスティアーン
(72)【発明者】
【氏名】アル、ルネ ヘラードゥス ヘンドリクス
【テーマコード(参考)】
4B011
【Fターム(参考)】
4B011FA01
(57)【要約】
【課題】家禽吊り下げシステムにおいて、経費削減、信頼性向上を図り、システムをより簡素化、非複雑化する。
【解決手段】キャリアコンベア5のキャリア6から家禽8を吊り下げるためのシステムおよび方法である。吊り下げられる家禽8のための供給ライン1を有する。同システムは、供給ライン1の家禽8の画像を処理するために決定ツール12に接続された撮像装置11、13と、供給ライン1から家禽8をピックアップしてキャリアコンベヤ5のキャリア6から家禽8を吊り下げるための視覚誘導ロボット4とを備える。決定ツール12は、供給ライン1に掛けられた家禽8の頭部を検出するとともに、視覚誘導ロボット4を制御して、頭部またはその下を掛けて家禽8を供給ライン1からピックアップするとともに、続いてキャリアコンベヤ5のキャリア6から頭部を上にして家禽8を吊り下げる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)から家禽(8)を自動的に吊り下げるためのシステムであって、このシステムは、吊り下げるべき家禽(8)のための供給ライン(1)を備え、このシステムが、決定ツール(12)に接続されて、受け取った供給ライン(1)上の家禽(8)からの画像を処理するようにされたた撮像装置(11、13)を有し、前記画像は撮像装置(11、13)から受信したものであり、前記システムは、供給ライン(1)から家禽(8)をピックアップして、この家禽(8)をキャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)から吊り下げるための視覚誘導ロボット(4)を有したものにおいて、
決定ツール(12)は、家禽(8)の頭部を検出するように構成されるとともに、視覚誘導ロボット(4)を制御して、家禽(8)の、頭部またはその下を掛けて家禽(8)を供給ライン(1)からピックアップするとともに、続いてキャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)から家禽(8)を頭部を上にして吊り下げるものであることを特徴とするシステム。
【請求項2】
供給ライン(1)に、複数の家禽(8)を非整理的な順序で供給ライン(1)に送り出す供給ステーション(3)が設けられていることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
供給ステーション(3)が、家禽(8)を、1つずつ、あるいは箱状のコンテナ(7)に入れた状態で受け取るようにされていることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
供給ステーション(3)は、家禽(8)をコンテナ(7)から移送部(9)を通して供給ライン(1)に送り出すように構成され、移送部(9)が、家禽(8)を別々の列または家禽の移動する列で供給ライン(1)に供給するためのガイドチャネル(10)を備え、供給ライン(1)に受け入れられた隣接する家禽(8)が互いに接触しないことを特徴とする請求項2または3記載のシステム。
【請求項5】
決定ツール(12)は、視覚誘導ロボット(4)を制御して、視覚誘導ロボット(4)によって、供給ライン(1)から家禽(8)を任意の向きで掛からせてピックアップすることを特徴とする請求項1または2記載のシステム。
【請求項6】
決定ツール(12)は、視覚誘導ロボット(4)を制御して、ピックアップされた家禽(8)を、所定の向きにし、キャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)から頭部を上にして家禽(8)を吊り下げることを特徴とする請求項1または2記載のシステム。
【請求項7】
決定ツール(12)は、視覚誘導ロボット(4)によって家禽(8)がピックアップされた後、ピックアップされた家禽(8)を、撮像装置(11、13)から出力される家禽(8)の画像に基づいて所定の向きにするように、視覚誘導ロボット(4)を制御することを特徴とする請求項1または2記載のシステム。
【請求項8】
撮像装置(13)は視覚誘導ロボット(4)に搭載されていることを特徴とする請求項1または2記載のシステム。
【請求項9】
家禽(8)の所定の向きは、家禽の胸部(8′)がキャリア(6)に面した向きか、または家禽の胸部(8′)がキャリア(6)とは反対側に面した向きかのいずれかであることを特徴とする請求項6記載のシステム。
【請求項10】
胸部(8′)の向きは、くちばしのような家禽(8)の顕著な特徴を検出することによって決定されることを特徴とする請求項9記載のシステム。
【請求項11】
決定ツール(12)は、家禽(8)が吊り下げられるか、または吊り下げられる予定のキャリアコンベヤ(5)の種類に応じて、家禽(8)の予め定められた向きを選択するようにされていることを特徴とする請求項5記載のシステム。
【請求項12】
キャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)にて家禽(8)を自動的に吊り下げるための方法であって、
-供給ライン(1)の家禽(8)を視覚誘導ロボット(4)に向けて供給し、
-視覚誘導ロボット(4)によって、供給ライン(1)から家禽(8)をピックアップし、
-視覚誘導ロボット(4)によって、キャリヤコンベヤ(5)のキャリヤ(6)から家禽(8)を吊り下げるに際し、
-供給ライン(1)の家禽(8)の画像を取得し、
-前記画像を処理して、家禽(8)の頭部を検出し、
-家禽(8)の頭部またはその下を掛けて供給ライン(1)からピックアップするように視覚誘導ロボット(4)を制御し、
-キャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)から家禽(8)を頭部を上にして吊り下げるように視覚誘導ロボット(4)を制御することを特徴とする方法。
【請求項13】
複数の家禽(8)を非整理的な順序で供給ライン(1)に送り出し、そのときに、供給ライン(1)に送り出された隣接する家禽(8)が互いに接触しないようにすることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
視覚誘導ロボット(4)を制御して、供給ライン(1)からの家禽(8)を視覚誘導ロボット(4)に任意の向きで掛けてピックアップすることを特徴とする請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
視覚誘導ロボット(4)を制御して、ピックアップされた家禽(8)を所定の向きにし、キャリアコンベヤ(5)のキャリア(6)から頭部を上にして家禽(8)を吊り下げることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
視覚誘導ロボット(4)を制御して、前記供給ライン(1)から家禽(8)をピックアップしている間に家禽(8)の画像を収集し、さらに、ピックアップされた家禽(8)を、撮像装置(11、13)から出力される家禽(8)の画像に基づいて所定の向きにすることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
視覚誘導ロボット(4)を制御して、家禽(8)の胸部(8′)がキャリア(6)に面した第1の向きと、家禽(8)の胸部(8′)がキャリア(6)とは反対側に面した第2の向きとを含むグループから選択された所定の向きで、家禽(8)を動かすことを特徴とする請求項12または13記載の方法。
【請求項18】
家禽(8)の画像を処理するステップと、視覚誘導ロボット(4)を制御するステップとの少なくとも1つを、コンピュータで実施することを特徴とする、請求項12または13記載の方法。
【請求項19】
請求項1~11のいずれか1項に記載のシステムの一部を形成するコンピュータにロードされたときに、コンピュータに請求項12~17のいずれか1項に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載のコンピュータプログラムを備える、コンピュータが読むことができる媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げられる家禽のための供給ラインを含むキャリアコンベアのキャリアから家禽を自動的に吊り下げるためのシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、家禽を箱に入れ窒素ガス室に向けてコンベヤで移送するシステムと方法を開示している。殺処分された鶏は、ガス室から、出口コンベヤによって、吊り下げ式の鶏配置スタンドに移送される。鶏配置スタンドでは、殺処分された鶏はカメラで監視される。カメラが鶏の状態を画像で把握することで、ロボットと搬入・搬出装置とを用いて、鶏肉を自動鶏肉処理ラインのハンガーコンベヤに自動的に吊り下げることができる。
【0003】
特許文献2は、胴体、首、脚、および場合によっては頭や足を有する鳥をオーバーヘッドコンベヤに吊り下げるための装置を開示している。この装置は、以下のものを含む。
-鳥の首を受け入れるのに適した首端部と、鳥の脚および/または足を突き出すことができる第1開口とを有する複数のホルダ
-各鳥の脚および/または足の向きを決定するためのモニタリングステーション
-前記ホルダの第1開口によって画定される平面と、前記ホルダの首端によって画定される平面との間に延びる回転軸を中心として前記鳥を回転させる回転ステーション
【0004】
特許文献2の装置では、胴体、首、脚、場合によっては頭や足を持つ鳥を頭上コンベヤから吊り下げるための方法を実施できる。この方法は、以下の一連のステップを含む。
A)各鳥は、ホルダ内に配置されて、その脚および/または足がホルダの中の第1開口から突出し、その首がホルダの首端に位置した状態とされる
B)脚および/または足の向きが決定される
C)鳥は、脚および/または足が所定の向きに達するまで、ホルダの第1開口によって規定される平面と、ホルダの首端によって規定される平面との間に位置する回転軸のまわりに回転される、そして
D)鳥の脚および/または足が、コンベヤ上のシャックルに配置される
【0005】
特許文献3は、豚の屠殺場の分野において、内部または外部における輸送および/または貯蔵のために、通常「クリスマスツリー」と呼ばれる特定の輸送手段に肉片を吊り下げることが一般的であることを教示している。このクリスマスツリーは、本質的に、垂直なロッドに取り付けられた多数のフックを有する。このロッドは、オーバーハングするレールから吊り下げられるように構成されるか、またはスタンドに取り付けられるように構成されて、肉製品を収集し輸送する手段を構成する。
【0006】
豚の屠殺場では、豚の前端側や腹側などを処理する場合、これらの肉類を異なる重量クラスに分類するのが通例である。そのため、出発製品を異なる製品ライン(待機スペース)に分け、保管し、そしてさらなる処理を待つ必要がある。
【0007】
特許文献3は、大きく重い豚肉片を、例えば商品の貯蔵および/または輸送のためのラックに吊り下げることに関連する手作業の重労働を回避するためのシステムおよびプロセスを提案する。したがって、特許文献3は、1つまたは複数の豚肉製品を、入口コンベヤから、豚肉製品の貯蔵および/または輸送のための手段まで、移動および懸架するように構成された豚肉処理システムを教示する。このシステムは、
1つまたは複数の処理手段と、
豚肉製品を到着エリアに輸送し供給するための入口コンベヤベルトと、
到着エリアに設置された、または到着エリアから動作距離内に設置された、到着エリアへの豚肉製品の到着を検出するためのセンサとを備え、
処理手段は、入口コンベヤベルト、前記センサ、および1つまたは複数の産業用ロボット、および/または貯蔵/運搬手段と一緒に動作するように構成され、
前記システムは、さらに、
到着した豚肉製品の正確な位置を決定し、また豚肉製品の適切な把持点の位置を決定するために、ロッドを回転させる手段と、
産業用ロボットに搭載され、豚肉製品の移動中に、到着した豚肉製品を、摘み、掴み、挟み、または保持して、コンベヤから持ち上げ、最終的に保管/運搬手段に掛けることができる、把持ツールとを備え、
前記した保管/運搬手段は、保管/運搬される豚肉製品を受け取るための、先端が上向きになった多数のフックを備え、このフックは、垂直なロッドに取り付けられる。このロッドは、このロッドを回転させる手段に動作可能に接続されることで、産業用ロボットに装着された把持ツールによって送られる豚肉製品を受け取るために、フックを一定の位置に持っていくようにされている。
【0008】
特許文献4は、キャリアコンベヤのキャリアから家禽を自動的に吊り下げるためのシステムおよび方法を開示する。このシステムは、吊り下げられる家禽の供給ラインを含む。このシステムは、決定ツールに接続された画像装置を備える。決定ツールは、画像装置からの、供給ライン上の家禽の画像を処理する。画像は、撮像装置から受信される。このシステムは、さらに視覚誘導ロボットを備える。この視覚誘導ロボットは、供給ラインから家禽をピックアップして、家禽をキャリアコンベヤのキャリアに吊り下げる。このシステムは、家禽の向きを決定するシステムと、家禽の向きを変化させるシステムと、向き決定合格システムと、家禽をシャックルするシステムとを備える。これによって、直列に配置された複数の視覚誘導ロボットと、3軸回転能力を有し家禽胸肉の輪郭に一致する輪郭を有するツールとを用いて、家禽をロボット的に家禽シャックル内に挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005-245348号公報
【特許文献2】国際公開第2014/040604号
【特許文献3】国際公開第2020/126893号
【特許文献4】アメリカ特許第10881115号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
キャリアコンベヤのキャリアから家禽を自動で吊り下げるこの特許文献4の既知のシステムおよび方法の大きな欠点は、その実装のために多くの装置を必要とし、高価で複雑で、しかも失敗しやすいという点にある。
【0011】
本発明の目的は、搬送コンベヤのキャリアから家禽を自動的に吊り下げるためのシステムにおいて、経費を削減し、信頼性を向上させ、システムおよびその運用方法をより簡素化、非複雑化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、添付の請求項に従ってシステムおよび方法が提案される。同システムおよび方法はまた、本発明の方法およびシステムをサポートするための、コンピュータ、コンピュータプログラム、およびそのようなコンピュータプログラムを記録した記録媒体を対象とする。
【0013】
本発明の第1の態様によれば、請求項1の前提部に記載の、キャリアコンベヤのキャリアから家禽を自動的に吊り下げるシステムにおいて、決定ツールは、家禽の頭部を検出して選択するように構成されるとともに、視覚誘導ロボットを制御して、家禽を頭部またはその下、例えば首のところで掛けることによって供給ラインからピックアップし、その後、家禽を頭部を上にしてキャリアコンベアのキャリアから吊り下げる。家禽は、キャリアから頭部によって吊り下げられることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、さらに、先行技術のシステムおよび方法において必要とされる複雑な合否判定システムを回避し、妥協することなく、供給ラインから家禽をピックアップし、その後コンベヤのラインで家禽を脚で吊るすプロセスにおいて達成される信頼性を改善することが可能である。
【0015】
本発明によれば、以下のことが要求される。
-供給ラインの家禽の画像を取得する、
-前記画像を処理して、家禽の頭部を検出する、
-選択された家禽の頭部またはその下の位置を掛けて供給ラインからピックアップするように視覚誘導ロボットを制御する、そして
-キャリアコンベヤのキャリアから家禽を頭部を上にして吊り下げるように視覚誘導ロボットを制御する。「頭部を上にして」という表現は、家禽をキャリアから吊り下げる方法として、家禽を頭部の下の首の部分で掛ける方法と、家禽を頭部で吊り下げるように掛ける方法の2つの選択肢があることを表す。
【0016】
好ましくは、少なくとも家禽の画像を処理するステップおよび/または視覚誘導ロボットを制御するステップは、コンピュータを利用して実施される。ただし、必ずしもこれだけが実施方法ではない。これに対応して、本発明は、コンピュータにロードされると、コンピュータが本発明のシステムおよびその動作方法をサポートするように構成するコンピュータプログラムにも具現化される。また、本発明のコンピュータプログラムが格納されているところの、コンピュータによって読み取り可能な媒体についても、排他的権利が要求される。
【0017】
大量の家禽を高速で処理できるようにするために、供給ラインには、複数の家禽を非整理的な順序で供給ラインに送り出す供給ステーションが備えられていることが好ましい。もちろん、供給ラインが整理された順序で家禽を受け取ることも可能である。これにより、家禽が視覚誘導ロボットによって供給ラインからピックアップされた後、視覚誘導ロボットが家禽をキャリアコンベヤの適切なキャリアから吊り下げる前において、その後に家禽を適切に方向付けるための負担を軽減することができる。
【0018】
供給ステーションは、家禽を1羽ずつ、あるいは箱状のコンテナに入れた状態で受け取るようにされている。
【0019】
望ましくは、供給ステーションは、家禽をコンテナから移送部を通して供給ラインに送り出すように構成され、移送部が、家禽を別々の列または家禽を移動列で供給ラインに供給するためのガイドチャネルを備える。これにより、隣り合う別々の列の家禽が互いに接触することがなくなり、個々の家禽の撮影がより容易になるとともに、視覚誘導ロボットによる供給ラインからの家禽のピックアップの補助となる。結局、供給ラインにおいて隣り合う家禽どうしが触れ合うことがないことが好ましい。
【0020】
決定ツールが、視覚誘導ロボットを制御して、供給ラインから家禽を任意の向きで掛けてピックアップすることが、本発明の有益な特徴である。これは、供給ステーションが家禽を供給ラインに送り出す順序が非整理的であるために、特に有益である。その後、決定ツールは、視覚誘導ロボットを制御して、ピックアップされた家禽を所定の方向に配置することができる。この所定の向きにおいて、視覚誘導ロボットは、家禽を頭部を上にしてキャリアコンベアのキャリアから吊り下げる。
【0021】
したがって、視覚誘導ロボットが供給ラインから家禽をピックアップしている間、例えば、家禽が視覚誘導ロボットからぶら下がっているときなどに、家禽の画像を収集し、そして吊り下がっている家禽の当該画像に基づいて、ピックアップされた家禽を所定の向きに配置するように視覚誘導ロボットをさらに制御することが望ましい。画像は、撮像装置によって提供される。したがって、このシステムは、決定ツールが、撮像装置から提供される家禽の画像に基づいて、ピックアップされた家禽を所定の向きに配置するように視覚誘導ロボットを制御することを特徴として提供される。
【0022】
視覚誘導ロボットの制御の信頼性は、撮像装置が視覚誘導ロボットに搭載されるように配置することで、向上させることができる。しかし、これは本質的なことではなく、撮像装置は、視覚誘導ロボットの隣に設けられた独立した装置であってもよい。
【0023】
本発明のシステムは、家禽を任意の方向に操作することが可能であるが、家禽の所定の吊り下げ方向は、家禽の胸部がキャリアを向く方向、または家禽の胸部がキャリアから離れる向きの方向であることが好ましい。すべての実際的な目的のために、これらのオプションは、家禽処理工場における大部分の状況に対応することができる。家禽が吊り下げられるキャリアコンベヤのタイプに応じて、決定ツールが家禽の所定の向きを選択するように構成することによって、さまざまなことが好ましく達成される。多くの実施形態では、決定ツールが、家禽が胸部をキャリアに向けた状態でキャリアにてピックアップされ吊り下げられるように、視覚誘導ロボットを制御するように構成されることが好ましい。これは特にバッファステーションに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明によるシステムの一部を構成する供給ステーションと供給ラインとを示す図である。
【
図2】供給ラインと、視覚誘導ロボットと、キャリアコンベヤとを備えた本発明のシステムを示す図である。家禽は、第1の向きで供給ラインに送り込まれる。
【
図3】供給ラインと、視覚誘導ロボットと、キャリアコンベヤとを備えた本発明のシステムを示す図である。家禽は、第1の向きで供給ラインに送り込まれる。
【
図4】供給ラインと、視覚誘導ロボットと、キャリアコンベヤとを備えた本発明のシステムを示す図である。家禽は、第2の向きで供給ラインに送り込まれる。
【
図5】本発明のシステムであって、家禽が胸で供給ラインに掛けられる状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の特許請求の範囲に関して限定的ではない、本発明によるシステムの例示的な実施形態の図面を参照しながら、本発明をさらに解明していく。
【0026】
図中、同じ符号が付されている場合、これらの符号は同じ部分を指す。
【0027】
本発明は、搬送コンベヤのキャリアにて家禽を自動的に吊り下げるシステムおよび方法に関する。このシステムはいくつかの部品から構成され、
図1では、中央部に家禽の供給ライン1が、家禽の供給ステーション3と共に示されている。さらに、このシステムは、
図2~
図5に示されている視覚誘導ロボット4およびキャリアコンベヤ5を備える。キャリアコンベヤ5は、一連のキャリア6を備え、そのうちのいくつかだけが示されている。キャリア6は、当業者に完全に知られている方法で、キャリアコンベヤ5の搬送方向に移動可能である。したがって、これ以上の説明を必要としない。
【0028】
供給ライン1は、供給ステーション3から家禽8を受け取る。供給ステーション3は、家禽8を1つずつあるいは木箱などのコンテナ7に入れた状態で受け取り、コンテナ7で受け取る場合はコンテナ7から供給ライン1へ家禽8を放出させる。
【0029】
供給ステーション3は、供給ライン1への移送部9を備えている。箱状のコンテナ7から家禽8が放出されたとき、家禽8は、移送部9に移送され、供給ライン1に移動される。移送部9は、家禽8を別々の列または家禽の移動列で供給ライン1に供給するためのガイドチャネル10を備える。好ましくは、隣接する家禽8は、互いに接触しないようにして、供給ライン1に供給される。
【0030】
図2~
図5では、わかりやすくするために、供給ライン1のみを示しているが、
図2および
図4では、家禽8が、視覚誘導ロボット4に向かって供給されている様子を示している。
図2と
図4の違いは、
図2が一羽の家禽8が背中で供給ライン1に掛かっているのに対し、
図4は一羽の家禽8が横向きになって供給ライン1に掛かっていることである。
図2および
図4に描かれているように、視覚誘導ロボット4は、供給ライン1の上に横たわる家禽8の位置を区別することなく、供給ライン1から家禽8をピックアップする。システムは、決定ツール12に接続された撮像装置11を有する。決定ツール12は、撮像装置11から受信した家禽8の画像を処理する。決定ツール12は、家禽8の頭部を検出するように構成される。これらの構成は、
図2にのみ描かれているが、
図3~
図5も同様に構成される。撮像装置11は、視覚誘導ロボット4の隣にある独立設置構造の装置として示されているが、この構成に限定されない。撮像装置11は、下記に示すように、視覚誘導ロボット4に搭載されるように構成されても良い。
【0031】
図2および
図4は、家禽8の頭部の検出の後に続く方法ステップの初期動作を示す。方法ステップにおいては、決定ツール12は、視覚誘導ロボット4を制御して、視覚誘導ロボット4に、検出された頭部またはその下の位置で家禽8を掛けることにより、家禽8を供給ライン1からピックアップさせる。その後、家禽8は、任意の向きで視覚誘導ロボット4から吊り下げられる。決定ツール12は、後続のステップにて視覚誘導ロボット4を制御して、最終的に、家禽8をキャリアコンベア5のキャリア6から頭部を上にして吊り下げさせる。
【0032】
キャリアコンベア5のキャリア6に家禽8が頭部を上にして吊り下げられる最終ステップに移る前に、視覚誘導ロボット4は、家禽8が所定の向きとなるように家禽8を操作する。家禽8が所定の向きとなるように家禽8を移動させるために、決定ツール12は、視覚誘導ロボット4から掛けられている状態の家禽8の画像に基づいて、視覚誘導ロボット4を制御して、ピックアップした家禽8を移動させる。この画像は、撮像装置11から得られる。撮像装置11は、供給ライン1上に横たわる家禽8を撮像するために使用される撮像装置11と同じもので構成されることが実際に可能である。しかし、多くの実施形態では、撮像装置11に追跡機能を持たせて、視覚誘導ロボット4によってピックアップされた後の家禽8を追跡することが求められる。別の選択肢は、
図4に描かれているように、好ましくは視覚誘導ロボット4に搭載された、さらなる撮像装置13を使用することである。
【0033】
視覚誘導ロボット4は、家禽8の移動を、家禽8の多くの向きで実現可能である。但し、家禽8の所定の向きは、家禽の胸部8′がキャリア6に向く向きと、家禽の胸部8′がキャリア6から離れる方向に向く向きとのいずれかであることが好ましい。
図3および
図5は、家禽の胸部8′がキャリア6に面しているという選択肢を示している。これは最も一般的に望ましい向きであり、特にキャリアコンベア5がバッファステーションの一部である場合nに望ましい。決定ツール12は、家禽8が吊り下げられるか又は吊り下げられる予定のキャリアコンベヤ5の種別に依存して、家禽8の所定の向きを選択するように構成される。
【0034】
本発明の実施形態は、互いに独立して本明細書に開示されている特徴のあらゆる組合せを含むことができる。本発明は、本発明の方法の例示的な実施形態を参照して前述で議論されてきたが、本発明は、本発明から逸脱することなく多くの方法で変化させることができるところの、この特定の実施形態に制限されない。したがって、説明した例示的な実施形態は、添付の請求項をそれに従って厳密に解釈するために使用されないものとする。それどころか、この実施形態は、単に添付の特許請求の範囲の文言を説明するためのものであり、特許請求の範囲をこの例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。したがって、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲のみに従って解釈されるものとし、特許請求の範囲の文言における起こり得る曖昧さは、この例示的な実施形態を使用して解決されるものとする。
【0035】
本発明の変形および修正は、当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲にそのような修正および同等のものをすべて包含することを意図している。上記で「必須」であると特に記載されていない限り、様々な構成要素またはそれらの相互関係は、いずれも本発明に必須ではない。むしろ、望ましい結果は、様々な構成要素を代用すること、および/またはそれらの相互の関係を再構成することによって、達成することができる。
【0036】
任意に、本発明の実施形態は、上述のステップを実装するコンピュータソフトウェアでプログラムされた汎用または特定目的のコンピュータまたは分散システムを含み得る。このコンピュータソフトウェアは、C++、FORTRAN、ALGOL、BASIC、Java、Python、Linux(登録商標)、アッセンブリ言語、マイクロコード、ディストリビューテッド・プログラミング言語などを含むところの、任意の適切なコンピュータ言語であることができる。本発明の装置は、様々なハードウェア実装において、複数のそのようなコンピュータ/分散システム(たとえば、インターネットおよび/または1つ以上のイントラネットを介して接続されている)を含むことができる。たとえば、データ処理は、適切にプログラムされたマイクロプロセッサ、コンピューティングクラウド、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等によって、適切なメモリ要素、ネットワーク要素、バス要素と連携して実行することができる。1つまたは複数のプロセッサおよび/またはマイクロコントローラは、コンピュータコードの命令を介して動作することができ、ソフトウェアは、好ましくは、1つまたは複数の有形非転写メモリ記憶デバイス(tangible non-transitive memory-strage)に格納される。