(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160858
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】制御方法、電力取引システム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20231026BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20231026BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20231026BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20231026BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20231026BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20231026BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H02J3/32
G06Q50/06
H02J3/38 110
H02J3/00 180
H02J3/38 130
H02J3/46
H02J7/35 K
H02J13/00 311T
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138628
(22)【出願日】2023-08-29
(62)【分割の表示】P 2022162442の分割
【原出願日】2018-10-10
(31)【優先権主張番号】62/637,441
(32)【優先日】2018-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】海上 勇二
(72)【発明者】
【氏名】松島 秀樹
(57)【要約】
【課題】不正な電力取引を抑制することができる制御方法等を提供する。
【解決手段】第1の電力設備から、蓄電設備に送電した送電電力の量を示す送電量情報等を含む第1のトランザクションデータを受け取るステップと(S104)、蓄電設備から、第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す受電量情報等を含む受電情報を取得するステップと(S105、106)、受電情報を参照して、第1のトランザクションデータを検証するステップと(S107)、第1のトランザクションデータの検証が成功した場合(S107でY)、第2のサーバとともに、第1のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップと(S110)、第1のコンセンサスアルゴリズムによって第1のトランザクションデータの正当性が検証された場合、第1のトランザクションデータを含むブロックを第1のサーバの分散台帳に記録するステップと、を含む。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが使用する電力設備と、蓄電設備と、前記電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおける、前記複数のサーバのうちの第1のサーバによって実行される制御方法であって、
ユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、前記ユーザの電子署名とを含むトランザクションデータを取得し、
蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を前記蓄電設備から取得し、
前記買電量情報と前記蓄電量情報とに基づいて、前記蓄電設備から電力設備に対して電力が送電可能か否かをスマートコントラクトを用いて判断し、
前記送電が可能である場合、前記蓄電設備に対して送電依頼を送信する、
制御方法。
【請求項2】
前記トランザクションデータの正当性を検証し、
前記正当性の検証が成功した場合、前記トランザクションデータを、前記複数のサーバのうちの前記第1のサーバとは異なる複数の第2のサーバに転送し、
前記第2のサーバとともに、前記トランザクションデータの前記正当性について合意するためのコンセンサスアルゴリズムを実行し、
前記コンセンサスアルゴリズムによって前記トランザクションデータの前記正当性について合意された場合、前記トランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録する、
請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記蓄電設備から前記電力設備に対して電力が送電された情報を取得し、
前記蓄電設備から前記電力設備に対して電力が送電されたことを示す第2トランザクションデータを生成し、
前記第2トランザクションデータを、前記複数のサーバのうちの前記第1のサーバとは異なる複数の第2のサーバに転送し、
前記第2のサーバとともに、前記第2トランザクションデータの正当性について合意するためのコンセンサスアルゴリズムを実行し、
前記コンセンサスアルゴリズムによって前記第2トランザクションデータの前記正当性について合意された場合、前記第2トランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録する、を含む、
請求項1または2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記蓄電設備から電力設備に対して電力が送電可能と判断した場合、前記蓄電設備から前記電力設備に対して電力が送電される旨の電力取引のマッチング結果を示す第3トランザクションデータを生成し、
前記第3トランザクションデータを、前記複数のサーバのうちの前記第1のサーバとは異なる複数の第2のサーバに転送し、
前記第2のサーバとともに、前記第3トランザクションデータの正当性について合意するためのコンセンサスアルゴリズムを実行し、
前記コンセンサスアルゴリズムによって前記第3トランザクションデータの前記正当性について合意された場合、前記第3トランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録する、を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記蓄電設備が保有している蓄電電力は、太陽光発電装置、ガス発電装置、風力発電装置の少なくとも一つによって発電された再生可能エネルギーである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項6】
ユーザが使用する電力設備と、蓄電設備と、前記電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムであって、
前記複数のサーバのうちの第1サーバは、
ユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、前記ユーザの電子署名とを含むトランザクションデータを取得し、
蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を前記蓄電設備から取得し、
前記買電量情報と前記蓄電量情報とに基づいて、前記蓄電設備から電力設備に対して電力が送電可能か否かをスマートコントラクトを用いて判断し、
前記送電が可能である場合、前記蓄電設備に対して送電依頼を送信する、
電力取引システム。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか1項に記載の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御方法に関し、特に家庭などで発生した電力を取引するシステムにおける制御方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電など再生可能エネルギーが普及してきている。太陽光発電では、自家発電した電力を利用するだけでなく、余剰の電力を電力事業者に売電するといったことも行われている。
【0003】
将来的には、電力事業者だけでなく、近隣住民に直接販売するといったことも想定される(例えば非特許文献1参照)。非特許文献1では、電力分野における電力の個人間取引に対してブロックチェーン技術を電力分野へ活用し、自律分散型のシステムを構築する技術が検討されている。例えば、太陽光発電を保有する住宅のユーザが、余った電力を他のユーザに売電したい場合、ブロックチェーンを使って売買契約を行うことができる。
【0004】
非特許文献1によれば、余った電力を売りたいユーザの住宅において、発電した電力を蓄電できる場合には、蓄電した電力を他のユーザに直接売買できる。すなわち電力会社などの仲介者を介さずに、個人間取引が可能となる。一方、余った電力を売りたいユーザの住宅において、発電した電力を蓄電できない場合は、蓄電設備を有する仲介業者を介して電力を個人間取引する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】みずほ産業調査、デジタルイノベーションはビジネスをどう変革するか-注目の取り組みから課題と戦略を探る-、電力 -ブロックチェーン技術を活用した電力シェアリングエコノミーの展望、Vol.57、No.1、2017(URL:https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/m1057.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蓄電設備を有する仲介業者に委ねて電力の個人間取引を行う場合、仲介業者が電力を平均的な買電希望価格よりも不当に安い価格で買い取ったり、買い取った電力を買い取った金額より不当に高い単価で売電したりすることも起こり得る。つまり、蓄電設備を有する仲介業者に委ねて電力の個人間取引を行う場合、不正な仲介取引による電力取引が行われることも起こり得る。
【0007】
本開示は、上述の事情を鑑みてなされたもので、不正な電力取引を抑制することができる制御方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の制御方法は、ユーザが使用する電力設備と、蓄電設備と、前記電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおける、前記複数のサーバのうちの第1のサーバによって実行される制御方法であって、ユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、前記ユーザの電子署名とを含むトランザクションデータを取得し、蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を前記蓄電設備から取得し、前記買電量情報と前記蓄電量情報とに基づいて、前記蓄電設備から電力設備に対して電力が送電可能か否かをスマートコントラクトを用いて判断し、前記送電が可能である場合、前記蓄電設備に対して送電依頼を送信する。
【0009】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータで読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の制御方法等によれば、不正な電力取引を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態に係る電力取引システムの全体構成の一例を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る住宅の全体構成の一例を示す図である。
【
図3】
図2に示すコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る買電依頼情報を入力するための入力画面の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態に係る認証サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図6A】ブロックチェーンのデータ構造を示す説明図である。
【
図6B】トランザクションデータのデータ構造を示す説明図である。
【
図7A】実施の形態に係る蓄電リストの一例を示す図である。
【
図7B】実施の形態に係る買電依頼リストの一例を示す図である。
【
図8】実施の形態に係る買電リストの一例を示す図である。
【
図9】実施の形態に係る管理サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図10】実施の形態に係る電力取引の全体シーケンス図である。
【
図11】実施の形態に係る売電処理のシーケンス図である。
【
図12】実施の形態に係る買電処理のシーケンス図である。
【
図13】実施の形態に係る買電処理のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の一態様に係る制御方法は、ユーザが使用する電力設備と、蓄電設備と、前記電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおける、前記複数のサーバのうちの第1のサーバによって実行される制御方法であって、ユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、前記ユーザの電子署名とを含むトランザクションデータを取得し、蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を前記蓄電設備から取得し、前記買電量情報と前記蓄電量情報とに基づいて、前記蓄電設備から電力設備に対して電力が送電可能か否かをスマートコントラクトを用いて判断し、前記送電が可能である場合、前記蓄電設備に対して送電依頼を送信する、制御方法である。
【0013】
また、電力取引システムは、ユーザが使用する電力設備と、蓄電設備と、前記電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムであって、前記複数のサーバのうちの第1サーバは、ユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、前記ユーザの電子署名とを含むトランザクションデータを取得し、蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を前記蓄電設備から取得し、前記買電量情報と前記蓄電量情報とに基づいて、前記蓄電設備から電力設備に対して電力が送電可能か否かをスマートコントラクトを用いて判断し、前記送電が可能である場合、前記蓄電設備に対して送電依頼を送信する、電力取引システムである。
【0014】
本開示の一態様に係る制御方法は、第1のユーザが使用する第1の電力設備と、前記第1の電力設備と電力線を介して接続された蓄電設備と、前記第1の電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおける、前記複数のサーバのうちの第1のサーバによって実行される制御方法であって、前記ネットワークを介して前記第1の電力設備から、前記第1の電力設備が前記電力線を介して前記蓄電設備に送電した送電電力の量を示す送電量情報と、前記第1のユーザの電子署名を含む第1のトランザクションデータを受け取るステップと、前記ネットワークを介して前記蓄電設備から、前記蓄電設備が前記第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す受電量情報を含む受電情報を取得するステップと、前記受電情報を参照して、前記第1のトランザクションデータを検証するステップと、前記第1のトランザクションデータを検証するステップにおいて、前記第1のユーザの電子署名の検証及び前記第1のトランザクションデータの正当性の検証が成功した場合、前記第1のトランザクションデータを、前記複数のサーバのうちの前記第1のサーバとは異なる複数の第2のサーバに転送するステップと、前記第2のサーバとともに、前記第1のトランザクションデータの前記正当性について合意するための第1のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップと、前記第1のコンセンサスアルゴリズムによって前記第1のトランザクションデータの前記正当性について合意された場合、前記第1のトランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録するステップと、を含む。
【0015】
このように、蓄電設備に送電された電力の取引のトランザクションデータを分散台帳に記録する。これにより、電力の取引のトランザクションデータが公開され、改ざん検知が可能になるので、蓄電池を保持するサービス業者による不正な電力取引を抑制することができる。
【0016】
また、前記第1のトランザクションデータを検証するステップでは、前記送電量情報及び前記受電量情報とを比較するステップと、前記第1のユーザの電子署名の検証を行うステップと、前記第1のトランザクションデータの正当性の検証を行うステップとを含むとしてもよい。
【0017】
これにより、蓄電設備に送電された電力と、蓄電設備で受電した電力との整合、および、第1のトランザクションデータの正当性などを検証することができるので、改ざん検知が可能になる。
【0018】
また、前記第1のトランザクションデータは、さらに、前記送電電力が送電された第1の日時を示す第1のタイムスタンプを含み、前記受電情報は、さらに、前記受電電力が受電された第2の日時を示す第2のタイムスタンプを含み、前記比較するステップでは、さらに、前記第1のタイムスタンプ及び第2のタイムスタンプとを比較するとしてもよい。
【0019】
また、前記電力取引システムは、さらに、第2のユーザが使用する第2の電力設備であって前記蓄電設備と前記電力線を介して接続され、前記複数のサーバと前記ネットワークを介して通信可能な第2の電力設備を備え、前記制御方法は、さらに、前記ネットワークを介して前記第2の電力設備から、前記第2のユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、前記第2のユーザの電子署名とを含む第2のトランザクションデータを受け取るステップと、受け取った前記第2のトランザクションデータを検証するステップと、前記第2のトランザクションデータを検証するステップにおいて、前記第2のユーザの電子署名の検証及び前記第2のトランザクションデータの正当性の検証が成功した場合、前記第2のトランザクションデータを、前記第2のサーバに転送するステップと、前記第2のサーバとともに、前記第2のトランザクションデータの前記正当性について合意するための第2のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップと、前記第2のコンセンサスアルゴリズムによって前記第2のトランザクションデータの前記正当性について合意された場合、前記第2のトランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの前記分散台帳に録するステップと、を含むとしてもよい。
【0020】
このように、買電依頼を示すブロックチェーンの第2のトランザクションデータを分散台帳に記録する。これにより、電力の取引のトランザクションデータが公開され、改ざん検知が可能になるので、蓄電池を保持するサービス業者による不正な電力取引を抑制することができる。
【0021】
また、前記制御方法は、さらに、前記ネットワークを介して前記蓄電設備から、前記蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を取得するステップと、前記買電量情報と前記蓄電量情報とを比較して、前記蓄電設備から前記第2の電力設備への送電が可能か否かを判断するステップと、前記蓄電設備から前記電力線を介して前記第2の電力設備への送電が可能である場合に、前記蓄電設備に対して前記第2の電力設備への送電を依頼し、前記蓄電設備から前記第2の電力設備に蓄電電力が送電される旨の電力取引のマッチング結果を示す第3のトランザクションデータを生成するステップと、前記第3のトランザクションデータを、前記第2のサーバに転送するステップと、前記第2のサーバとともに、前記第3のトランザクションデータの正当性について合意するための第3のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップと、前記第3のコンセンサスアルゴリズムによって前記第3のトランザクションデータの前記正当性について合意された場合に、前記第3のトランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録するステップと、を含むとしてもよい。
【0022】
このように、蓄電池を介した電力取引のマッチング結果を示すブロックチェーンの第3のトランザクションデータを分散台帳に記録する。これにより、電力の取引のトランザクションデータが公開され、改ざん検知が可能になるので、蓄電池を保持するサービス業者による不正な電力取引を抑制することができる。
【0023】
また、前記蓄電設備に対して前記第2の電力設備への送電を依頼するときには、前記蓄電設備から前記第2の電力設備に蓄電電力が送電依頼された旨の電力取引のマッチング結果を示す第4のトランザクションデータを生成するステップと、前記第4のトランザクションデータを、前記第2のサーバに転送するステップと、前記第2のサーバとともに、前記第4のトランザクションデータの正当性について合意するための第4のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップと、前記第4のコンセンサスアルゴリズムによって前記第4のトランザクションデータの前記正当性について合意された場合に、前記第4のトランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録するステップと、を含み、前記第3のトランザクションデータは、さらに、前記蓄電設備から前記第2の電力設備に蓄電電力が送電されたことを示す情報を含むとしてもよい。
【0024】
また、前記第1の電力設備及び前記第2の電力設備は、太陽光発電装置、ガス発電装置、風力発電装置の少なくとも一を含むとしてもよい。
【0025】
また、前記第2のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップでは、前記第2のサーバのそれぞれから前記第2のトランザクションデータの正当性検証が成功したか否かを示す第2報告を受け取るステップと、前記第2報告の数が所定の数を超えたか否かを判定するステップとを含み、前記第2報告の数が前記所定の数を超えたとき、前記第2のコンセンサスアルゴリズムによって前記第2のトランザクションデータの前記正当性について合意された場合であると判定するステップとを含むとしてもよい。
【0026】
また、前記第1のコンセンサスアルゴリズムを実行するステップでは、前記第2のサーバのそれぞれから前記第1のトランザクションデータの正当性の検証が成功したか否かを示す第1報告を受け取るステップと、前記第1報告の数が所定の数を超えたか否かを判定するステップと、前記第1報告の数が前記所定の数を超えたとき、前記第1のコンセンサスアルゴリズムによって前記第1のトランザクションデータの前記正当性について合意証された場合であると判定するステップとを含むとしてもよい。
【0027】
また、前記第1のトランザクションデータを含むブロックを前記分散台帳に記録するステップの後において、さらに、前記第1のサーバが、前記第1のユーザに対してインセンティブの支払いを行った後に、前記インセンティブの支払いを行った旨を通知するステップを含むとしてもよい。
【0028】
また、本開示の一態様に係るコントローラは、第1のユーザが使用する第1の電力設備と、前記第1の電力設備と電力線を介して接続可能な蓄電設備と、前記第1の電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおける、前記第1の電力設備を制御するコントローラであって、前記コントローラは、プロセッサと、前記プロセッサに所定の処理を実行させるプログラムが記憶されたメモリとを備え、前記所定の処理は、前記第1の電力設備の余剰電力量が所定の値以上であるか否かを判定するステップと、前記余剰電力量が所定の値以上である場合、前記余剰電力量の少なくとも一部を送電電力として電力線を介して前記蓄電設備に送電させるステップと、前記送電電力の量を示す送電量情報と、前記第1のユーザの電子署名とを含む第1のトランザクションデータを生成するステップと、前記ネットワークを介して、前記第1のトランザクションデータを前記複数のサーバのうちの第1のサーバに送信するステップと、前記第1のトランザクションデータの正当性が前記複数のサーバによって検証され、前記第1のトランザクションデータを含むブロックが前記複数のサーバそれぞれの分散台帳に記録された場合、前記送電電力の量に応じて前記第1のユーザに支払われる対価を示す対価情報をディスプレイに表示させるステップと、前記第1のトランザクションデータの正当性が前記複数のサーバによって検証されなかった場合、検証されなかった旨を示す失敗情報を前記ディスプレイに表示させるステップとを含む。
【0029】
また、本開示の一態様に係るコントローラの制御方法は、第1のユーザが使用する第1の電力設備と、前記第1の電力設備と電力線を介して接続された蓄電設備と、前記第1の電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおける、前記第1の電力設備の電力取引の情報を表示するディスプレイの制御方法であって、前記第1の電力設備の余剰電力量が所定の値以上である場合に、前記余剰電力量の少なくとも一部を送電電力として、前記電力線を介して前記蓄電設備に送電したことを示す送電情報を前記ディスプレイに表示させるステップと、前記送電電力の量を示す送電量情報と、前記第1のユーザの電子署名とを含む第1のトランザクションデータが、前記複数のサーバのうちの第1のサーバに送信されてから、前記複数のサーバによって前記第1のトランザクションデータの正当性が検証されるまでの間、前記第1のトランザクションデータの前記正当性を検証中であることを示す検証中情報を前記ディスプレイに表示させるステップと、前記第1のトランザクションデータの正当性が前記複数のサーバによって検証された場合に、前記送電電力の量に応じて前記第1のユーザに支払われた対価を示す対価情報を前記ディスプレイに表示させるステップと、前記第1のトランザクションデータの正当性が前記複数のサーバによって合意されなかった場合に、合意されなかった旨を示す失敗情報を前記ディスプレイに表示させるステップと、含む。
【0030】
また、本開示の一態様に係るデータ構造は、第1のユーザが使用する第1の電力設備と、前記第1の電力設備と電力線を介して接続された蓄電設備と、前記第1の電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおいてブロックチェーンとして記録されるブロックに用いられるデータ構造であって、前記データ構造は、ブロックチェーンのブロックに含まれ、前記第1のユーザの秘密鍵を用いて生成された、前記第1のユーザ及び前記第1の電力設備の少なくとも一方を識別する識別子であるブロックチェーンアドレスと、前記第1の電力設備が前記蓄電設備に送電した送電電力の量を示す送電量情報と、前記第1のユーザの電子署名とを含み、前記送電量情報は、前記蓄電設備が前記第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す買電量情報と比較されることで、前記送電に関する取引の正当性の検証に用いられる。
【0031】
また、本開示の一態様に係る電力取引システムは、第1のユーザが使用する第1の電力設備と、前記第1の電力設備と電力線を介して接続された蓄電設備と、ネットワークを介して前記第1の電力設備及び前記蓄電設備に通信可能に接続された複数のサーバと、を備える電力取引システムであって、前記第1の電力設備に含まれる第1コントローラは、前記電力線を介して、前記第1の電力設備の余剰電力量の少なくとも一部を送電電力として前記蓄電設備に送電させ、前記送電電力の量を示す送電量情報と、前記第1のユーザの電子署名とを含む第1のトランザクションデータを生成し、前記ネットワークを介して、前記第1のトランザクションデータを、前記複数のサーバのうちの第1のサーバに送信し、前記蓄電設備に含まれる第2コントローラは、前記蓄電設備が前記第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す受電量情報を含む受電情報を受電管理リストに記憶させ、前記第1のサーバは、前記ネットワークを介して前記蓄電設備から、前記受電情報を取得し、前記受電情報を参照して、前記第1のトランザクションデータを検証し、前記第1のトランザクションデータの検証において、前記第1のユーザの電子署名の検証及び前記第1のトランザクションデータの正当性の検証が成功した場合、前記第1のトランザクションデータを、複数の前記複数のサーバのうちの前記第1のサーバとは異なる複数の第2のサーバである第2のサーバに転送し、前記第1のサーバと前記第2のサーバは、前記第1のトランザクションデータについての第1のコンセンサスアルゴリズムを実行し、前記第1のコンセンサスアルゴリズムによって前記第1のトランザクションデータの正当性が検証された場合、前記第1のトランザクションデータを含むブロックを前記第1のサーバの分散台帳に記録する。
【0032】
以下、図面を参照しながら、実施の形態について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示す。つまり、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本開示は、請求の範囲の記載に基づいて特定される。したがって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素は、本開示の課題を達成するために必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成する構成要素として説明される。
【0033】
(実施の形態1)
まず、本開示のシステム構成について説明する。
【0034】
[1. システム構成]
本開示の電力取引システムは、蓄電池を保持するサービス業者を仲介者とした電力取引のトランザクションデータを分散台帳に記録するなどブロックチェーン技術を活用した電力取引を行うことで、不正な電力取引を抑制する。
【0035】
以下では、図面を参照しながら実施の形態における電力取引システム等の説明を行う。
【0036】
[1.1 電力取引システム10の全体構成]
図1は、本実施の形態に係る電力取引システム10の全体構成の一例を示す図である。
【0037】
電力取引システム10は、
図1に示すように、例えば住宅100a、100b、100cと、認証サーバ200a、200b、200cと、蓄電池300と、蓄電池300を管理する管理サーバ350とを備える。これらは、通信ネットワーク400で接続されている。また、住宅100a、100b、100c及び蓄電池300は、電力ネットワーク500で接続されている。電力ネットワーク500は、電力線の一例であり、住宅間で電力の融通ができるネットワークである。電力ネットワーク500は、専用線であってもよいし、電力会社が敷設した電力網を利用するとしてもよい。
【0038】
また、認証サーバ200a、200b、200c(以下、認証サーバ200a等とも表現する)は、記憶装置201a、201b、201cと接続する。認証サーバ200a等は、記憶装置201a等と通信ネットワーク400を介して接続されていてもよいし、内部に記憶装置201aを備えてもよい。記憶装置201aは、ブロックチェーンのトランザクションデータ及びブロックが電子的に記録される分散台帳を有する。
【0039】
なお、
図1では、電力取引システム10が、3つの住宅と3つの認証サーバを備える場合の例が示されているが、これに限らない。すなわち、電力取引システム10は、4つ以上の住宅と4つ以上の認証サーバを備えてもよい。
【0040】
[1.2 住宅100aの構成]
住宅100b、100cも同様の構成であるため、以下では、住宅100aを例に挙げて説明する。
【0041】
図2は、本実施の形態に係る住宅100aの全体構成の一例を示す図である。
【0042】
住宅100aは、
図2に示すように、コントローラ101と、太陽光発電102と、電力メータ103とを備える。コントローラ101、太陽光発電102及び電力メータ103は通信ネットワーク110で接続されている。また、太陽光発電102及び電力メータ103は、電力ネットワーク111で接続されており、電力メータ103から住宅100aの外の電力ネットワーク500に接続されている。
【0043】
ここで、住宅100a等は、第1ユーザまたは第2ユーザが使用する電力設備を有する建物の一例であり、例えば住家などの家屋であるが、これに限られない。住宅100a等は、工場、ビルなどの建物であってもよい。つまり、住宅100a等は、ユーザが使用する電力設備を有する建物であれば、その態様は問われない。
【0044】
<コントローラ101>
コントローラ101は、例えば、エネルギーマネジメントシステムのコントローラであり、電力取引システム10における第1の電力設備または第2の電力設備を制御するコントローラの一例である。
【0045】
本実施の形態では、コントローラ101は、太陽光発電102を表示したり、売電または買電の申請などを入力したりする。また、コントローラ101は、太陽光発電102を制御し、電力ネットワーク111または、電力ネットワーク500に電力を送電する。また、コントローラ101は、送電された電力量を管理し、認証サーバ200a等に通知する。詳細については後述する。
【0046】
<太陽光発電102>
太陽光発電102は、第1の電力設備または第2の電力設備に含まれる太陽光発電装置の一例である。太陽光発電102は、太陽電池を用いて太陽光を直接的に電力に変換する発電方式を搭載した装置である。太陽光発電102は、発電した電力を、住宅100a内で利用したり、電力ネットワーク111を介して電力ネットワーク500に送電したりする。
【0047】
なお、太陽光発電102は、太陽光発電装置である場合にかぎらず、ガス発電装置、風力発電装置などであってもよい。
【0048】
<電力メータ103>
電力メータ103は、第1の電力設備または第2の電力設備に含まれ、電力ネットワーク500に送電またはから受電される電力量を計測する。電力メータ103は、コントローラ101の送電指示により、太陽光発電102が電力を電力ネットワーク500に送電したとき、電力が送電された時刻と電力量とを計測し、コントローラ101に通知する。電力メータ103は、コントローラ101からの電力利用の指示により、電力ネットワーク500から受電して利用した電力量を計測する。なお、電力メータ103は、コントローラ101に含まれるとしてもよい。
【0049】
以下、コントローラ101の構成の一例について説明する。
【0050】
[1.3 コントローラ101の構成]
図3は、
図2に示すコントローラ101の機能構成を示すブロック図である。
【0051】
コントローラ101は、プロセッサと、プロセッサに所定の処理を実行させるプログラムが記憶されたメモリとを備える。つまり、コントローラ101は、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現される。本実施の形態では、コントローラ101は、入力部1011と、トランザクションデータ生成部1012と、制御部1013と、記録部1014と、通信部1015とを備える。以下、各構成要素について説明する。
【0052】
<入力部1011>
入力部1011は、ユーザが売電依頼または買電依頼する情報を入力するための入力画面を作成する。入力部1011は、作成した入力画面において、ユーザによって売電依頼情報または買電依頼情報が入力された場合、入力された売電依頼情報または買電依頼情報をトランザクションデータ生成部1012に送信する。
【0053】
図4は、本実施の形態に係る買電依頼情報を入力するための入力画面の一例を示す図である。例えば
図4に示すように、買電依頼情報を入力するための入力画面1011aでは、日付、売電量及び買電の単価がユーザにより入力される。なお、
図4に示す例では、買電量をkWhで表示しているが、これに限らない。太陽光発電102が発電した電力の割合であってもよい。また、売電量及び買電の単価は、ユーザに入力される場合に限らず、予め電力取引システム10により定められていてもよい。ユーザが買電の単価を設定する場合には、市場価格よりも高く支払うことで、電力を優先的に取得するといったことが可能となる。なお、入力部1011が、入力画面1011aにおいて日付、買電量及び買電の単価を仮に入力した状態で提示し、ユーザに「はい」、または「いいえ」などのように承諾の有無を入力してもらうとしてもよい。
【0054】
<トランザクションデータ生成部1012>
トランザクションデータ生成部1012は、入力部1011から受信した売電依頼情報または売電依頼情報とを基に、ブロックチェーンにおけるトランザクションデータを生成する。なお、トランザクションデータ生成部1012は、太陽光発電102の余剰電力量が所定の値以上であるか否かを判定し、所定の値以上であればトランザクションデータを生成してもよい。ここで、所定の値とは、例えば余剰電力量が入力部1011から受信した売電依頼情報に含まれる売電量である。
【0055】
トランザクションデータ生成部1012が生成するトランザクションデータは、第1のトランザクションデータ及び第2のトランザクションデータの一例である。
【0056】
第1のトランザクションデータは、第1の電力設備が電力線を介して蓄電設備に送電した送電電力の量を示す送電量情報と、第1のユーザの電子署名を含む。なお、第1のトランザクションデータには、さらに、第1のユーザ及び第1の電力設備の少なくとも一方を識別する識別子である第1のブロックチェーンアドレスと送電電力が送電された第1の日時を示す第1のタイムスタンプとが含まれる。第1のトランザクションデータが第1のタイムスタンプを含むことは必須ではない。第1のブロックチェーンアドレスは、第1のユーザ及び第1の電力設備の少なくとも一方を識別する識別子として機能すれば複数種類あってもよい。そして、そのうちの一を第1のトランザクションデータに含めればよい。第2のトランザクションデータは、第2のユーザが購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、第2のユーザの電子署名とを含む。なお、第2のトランザクションデータには、さらに、第2のユーザ及び第2の電力設備の少なくとも一方を識別する識別子である第2のブロックチェーンアドレスが含まれる。第2のブロックチェーンアドレスも、同様に、第2のユーザ及び第2の電力設備の少なくとも一方を識別する識別子として機能すれば複数種類あってもよい。そして、そのうちの一を第2のトランザクションデータに含めればよい。
【0057】
このように、トランザクションデータ生成部1012が生成するトランザクションデータは、ユーザまたはコントローラ101のブロックチェーンアドレスと、売電依頼情報または買電依頼情報と、ユーザの署名とが含まれる。
【0058】
トランザクションデータ生成部1012は、生成したトランザクションデータを記録部1014に記録する。また、トランザクションデータ生成部1012は、生成したトランザクションデータを、通信部1015を介して、認証サーバ200a等の少なくとも一に送信する。また、電力メータ103から電力ネットワーク500に送電した通知を受けると、通知に含まれる時刻と送電した電力量を含むトランザクションデータを生成し、記録部1014に記録する。生成したトランザクションデータは通信部1015を介して、認証サーバ200a等の少なくとも一に送信する。
【0059】
<制御部1013>
制御部1013は、第1の電力設備の余剰電力量が所定の値以上である場合、余剰電力量の少なくとも一部を送電電力として電力線を介して蓄電設備に送電させる。例えば、制御部1013は、電力を送電させる制御を行う場合、太陽光発電102で発電した電力を電力ネットワーク500に送電する旨を示す送電指示を太陽光発電102に送信する。また、制御部1013は、電力を利用させる制御を行う場合、電力ネットワーク500を介して買電した電力を利用する。
【0060】
また、制御部1013は、コントローラ101に内蔵または接続されるディスプレイを制御し、認証サーバ200a等に送信した売電依頼情報または買電依頼情報等を表示させてもよい。
【0061】
また、制御部1013は、余剰電力量の少なくとも一部を送電電力として、電力線を介して蓄電設備に送電したことを示す送電情報をディスプレイに表示させてもよい。制御部1013は、第1のトランザクションデータが、複数の認証サーバ200a等のうちの第1のサーバに送信されてから、複数の認証サーバ200a等によって第1のトランザクションデータの正当性が検証されるまでの間、第1のトランザクションデータの正当性を検証中であることを示す検証中情報をディスプレイに表示させてもよい。
【0062】
また、制御部1013は、第1のトランザクションデータの正当性が複数の認証サーバ200a等によって検証された場合、送電電力の量に応じてユーザに支払われる対価を示す対価情報をディスプレイに表示させてもよい。一方、制御部1013は、第1のトランザクションデータの正当性が複数の認証サーバ200a等によって検証されなかった場合、検証されなかった旨を示す失敗情報をディスプレイに表示させてもよい。
【0063】
<記録部1014>
記録部1014は、トランザクションデータ生成部1012で生成したトランザクションデータを記録する。本実施の形態では、記録部1014は、トランザクションデータ生成部1012で生成した第1のトランザクションデータ若しくは第2のトランザクションデータを記録する。
【0064】
<通信部1015>
通信部1015は、通信ネットワーク400を介して管理サーバ350及び認証サーバ200a等との通信を行う。この通信は、TLS(Transport Layer Security)によりなされてもよい。この場合、TLS通信用の暗号鍵は通信部1015で保持してもよい。
【0065】
本実施の形態では、通信部1015は、通信ネットワーク400を介して第1のトランザクションデータまたは第2のトランザクションデータを複数の認証サーバ200a等のうち第1のサーバに送信する。
【0066】
次に、認証サーバ200a等について説明する。
【0067】
[1.4 認証サーバ200aの構成]
図5は、本実施の形態に係る認証サーバ200aの機能構成を示すブロック図である。認証サーバ200b、200cも同様の構成であるため、認証サーバ200aを例に挙げて説明する。
【0068】
認証サーバ200aは、
図5に示すように、蓄電状態取得部211と、トランザクションデータ検証部212、ブロック生成部213、同期部214、取引生成部215、記録部216、通信部217とを備える。認証サーバ200aは、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。以下、各構成要素について説明する。
【0069】
<蓄電状態取得部211>
蓄電状態取得部211は、通信ネットワーク400を介して蓄電設備から、蓄電設備が第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す受電量情報を含む受電情報を取得する。また、蓄電状態取得部211は、通信ネットワーク400を介して蓄電設備から、蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む蓄電情報を取得する。なお、蓄電状態取得部211は、通信ネットワーク400を介して蓄電設備から、蓄電設備が第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す受電量情報と、受電電力が受電された第2の日時を示す第2のタイムスタンプとを含む受電情報を取得してもよい。
【0070】
このように、蓄電状態取得部211は、蓄電池300の蓄電状態を示す情報として受電情報と蓄電情報とを取得し、蓄電池300に確かに蓄電されていることを確認する。そして、蓄電状態取得部211は、取得した蓄電池300の蓄電状態を示す情報をトランザクションデータ検証部212と取引生成部215とに送信する。
【0071】
<トランザクションデータ検証部212>
トランザクションデータ検証部212は、第1のトランザクションデータを受け取った場合、受電情報を参照して、受け取った第1のトランザクションデータの正当性を検証する。より具体的には、トランザクションデータ検証部212は、受電情報を参照することで送電量情報及び受電量情報を比較し、送電された電力が確かに蓄電池300に蓄電されたことを確認する。その確認後、トランザクションデータ検証部212は、第1のユーザの電子署名の検証を行い、第1のトランザクションデータの正当性の検証を行う。なお、第1のトランザクションデータに第1のタイムスタンプが含まれ、受電情報に第2のタイムスタンプが含まれている場合もある。この場合には、トランザクションデータ検証部212は、受電情報を参照することで送電量情報及び受電量情報を比較し、送電された電力が確かに蓄電池300に蓄電されたことを確認すればよい。第1のタイムスタンプ及び第2のスタンプを用いることで、トランザクションデータ検証部212は、蓄電池に送電されたことを確認することに加えて、送電と受電のタイミングがあっていることを確認できる。
【0072】
また、トランザクションデータ検証部212は、第2のトランザクションデータを受け取った場合、受け取った第2のトランザクションデータを検証する。より具体的には、トランザクションデータ検証部212は、第2のトランザクションデータに含まれる第2のユーザの電子署名の検証及び第2のトランザクションデータの正当性の検証を行う。
【0073】
このように、トランザクションデータ検証部212は、受信したトランザクションデータを検証する。より具体的には、トランザクションデータ検証部212は、住宅100a等から、トランザクションデータを受信すると、トランザクションデータに含まれるブロックチェーンアドレスと、蓄電依頼情報または買電依頼情報と、電力の情報が正しいものであるかを検証する。トランザクションデータ検証部212は、検証した結果、トランザクションデータの正当性を確認した場合、トランザクションデータを記録部216に記録する。
【0074】
また、トランザクションデータ検証部212は、電力の情報が正しいものであるかの検証として、蓄電状態取得部211が取得した蓄電池300の蓄電状態を示す情報を参照し、正しく電力が送電または利用されているかを検証する。トランザクションデータ検証部212は、検証の結果、トランザクションデータの正当性を確認した場合、そのトランザクションデータを同期部214へ通知する。
【0075】
<ブロック生成部213>
ブロック生成部213は、トランザクションデータ検証部212においてトランザクションデータの正当性の検証が成功した場合、第1のサーバと異なる第2のサーバである他の認証サーバ200b、200cサーバとともに、トランザクションデータについてのコンセンサスアルゴリズムを実行する。ここでのコンセンサスアルゴリズムは、第1のコンセンサスアルゴリズム~第3のコンセンサスアルゴリズムを意味し、このトランザクションデータは、第1のトランザクションデータ~第3のトランザクションデータを意味する。
【0076】
このように、ブロック生成部213は、複数の認証サーバの間でコンセンサスアルゴリズムを実行する。コンセンサスアルゴリズムには、PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)とよばれるコンセンサスアルゴリズムを用いてもよいし、その他の公知のコンセンサスアルゴリズムを用いてもよい。なお、PBFTを用いる場合、ブロック生成部213は、まず、他の認証サーバ200b、200cのそれぞれからトランザクションの検証が成功したか否かを示す報告を受け取り、当該報告の数が所定の数を超えたか否かを判定する。そして、ブロック生成部213は、当該報告の数が所定の数を超えたとき、コンセンサスアルゴリズムによってトランザクションデータの正当性が検証された場合であると判定すればよい。
【0077】
また、ブロック生成部213は、コンセンサスアルゴリズムによってトランザクションデータの正当性が検証された場合、トランザクションデータを含むブロックを認証サーバ200aの記憶装置201aの分散台帳に記録する。
【0078】
このように、本実施の形態では、ブロック生成部213は、認証サーバ200a、認証サーバ200b及び認証サーバ200cの間でコンセンサスアルゴリズムを実行する。すなわち、ブロック生成部213は、まず、1以上のトランザクションデータを含むブロックチェーンのブロックを生成する。次に、ブロック生成部213は、コンセンサスアルゴリズムを実行する。そして、ブロック生成部213は、コンセンサスアルゴリズムを実行することで合意形成ができた場合、生成したブロックを記録部216に記録する。ブロック生成部213により生成されたブロックは、記録部216に記録されているブロックチェーンに接続されて記録される。
【0079】
ここで、ブロックチェーンのデータ構造と、トランザクションデータのデータ構造とについて説明する。
【0080】
図6Aは、ブロックチェーンのデータ構造を示す説明図である。
【0081】
ブロックチェーンは、その記録単位であるブロックがチェーン(鎖)状に接続されたものである。それぞれのブロックは、複数のトランザクションデータと、直前のブロックのハッシュ値とを有している。具体的には、ブロックB2には、その前のブロックB1のハッシュ値が含まれている。そして、ブロックB2に含まれる複数のトランザクションデータと、ブロックB1のハッシュ値とから演算されたハッシュ値が、ブロックB2のハッシュ値として、ブロックB3に含められる。このように、前のブロックの内容をハッシュ値として含めながら、ブロックをチェーン状に接続することで、接続されたトランザクションデータの改ざんを有効に防止する。
【0082】
仮に過去のトランザクションデータが変更されると、ブロックのハッシュ値が変更前と異なる値になり、改ざんしたブロックを正しいものとみせかけるには、それ以降のブロックすべてを作り直さなければならず、この作業は現実的には非常に困難である。
【0083】
本実施の形態では、各トランザクションデータは、売電依頼を示す第1のトランザクションデータ、買電依頼を示す第2のトランザクションデータ、及び、後述する電力取引のマッチング結果を示す第3及び/または第4のトランザクションデータを示している。
【0084】
図6Bは、トランザクションデータのデータ構造を示す説明図である。
【0085】
図6Bに示されるトランザクションデータD1は、第1トランザクションデータ~第5トランザクションデータの一例である。トランザクションデータD1は、保持者を示すアドレスP1と、提供先を示すアドレスP2と、アドレスP1及びP2のハッシュ値に対して、保持者の署名鍵で署名することで生成される電子署名P3とを含んでいる。なお、新たにトランザクションデータが生成されるときのトランザクションデータは、アドレスP1が空欄となる。
【0086】
<同期部214>
同期部214は、複数の認証サーバ(認証サーバ200a~200c)の間でブロックチェーンのブロック、または、トランザクションデータの同期を行う。
【0087】
より具体的には、同期部214は、住宅100aから取得されたトランザクションデータに含まれるユーザの電子署名の検証及びトランザクションデータの正当性の検証が成功した場合、他の認証サーバ200b及び200cにトランザクションデータの複製を転送する。ここでのトランザクションデータは、第1のトランザクションデータ~第3のトランザクションデータを意味し、ユーザの電子署名は、第1のユーザの電子署名または第2のユーザの電子署名を意味する。
【0088】
複数の認証サーバ200a~200cでは、peer to peerでブロックチェーンのトランザクションデータの同期が行われる。そして、同期部214は、同期が行われたブロックチェーンのトランザクションデータを記録部216に記録する。
【0089】
例えば、同期部214は、売電依頼を示す第1トランザクションデータまたは買電依頼を示す第2トランザクションデータの正当性が検証されると、他の認証サーバ200b及び200cに第1または第2のトランザクションデータ内容を転送する。また、同期部214はこれとともに、検証されたトランザクションデータを記録部216に記録する。
【0090】
また、同期部214は、他の認証サーバ200b及び200cからトランザクションデータを受信した場合、トランザクションデータを記録部216に記録する。
【0091】
<取引生成部215>
取引生成部215は、買電量情報と蓄電量情報とを比較して、蓄電設備から第2の電力設備への送電が可能か否かを判断し、蓄電設備から電力線を介して第2の電力設備への送電が可能である場合に、蓄電設備に対して第2の電力設備への送電を依頼する。また、取引生成部215は、蓄電設備から第2の電力設備に蓄電電力が送電される旨の電力取引のマッチング結果を示す第3のトランザクションデータを生成する。
【0092】
本実施の形態では、取引生成部215は、記録部216に記録されている蓄電リストと、買電依頼リストとをマッチングして、買電依頼した住宅が電力を買電可能かの判断を行う。取引生成部215は、買電可能であると判断した場合、蓄電池300を管理する管理サーバ350に対して買電依頼した住宅への送電を依頼するとともに、トランザクションデータを生成し、記録部216に記録する。
【0093】
図7Aは、本実施の形態に係る蓄電リストの一例を示す図である。
図7Aに示すように、蓄電リストは、ブロックチェーンアドレスと、蓄電した日付と、蓄電量と、署名とを含んで構成されており、記録部216に記録されている。例えば
図7Aに示す蓄電リストの1行目では、ブロックチェーンアドレス「0x03547921」で示される住宅が、日付「2017年12月14日の13時」までに電力量「30kWh」を蓄電池300に蓄電したことが記録されている。このように、蓄電リストの各行には、ブロックチェーンアドレスにより識別される住宅により、送電された蓄積された蓄電量と、蓄電された日付とが記載されている。なお、上述したが、ブロックチェーンアドレスは、住宅等により一意に定められるものでなくてもよく、住宅等を識別できればよい。また、送電時刻と受電時刻には厳密にはタイムラグが存在するので、日付は厳密な時刻等を示さなくてもよく、日付を正しく識別できればよい。同様に、送電損失も存在するので、蓄電量は、送電量と厳密には一致せず送電損失を加味した所定の範囲内であれば同一であると取り扱えばよい。
【0094】
図7Bは、本実施の形態に係る買電依頼リストの一例を示す図である。
図7Bに示すように、買電依頼リストは、ブロックチェーンアドレスと、買電希望の日付と、買電希望の電力量と、買電の単価と、署名とを含んで構成されている。例えば
図7Bの買電依頼リストの1行目では、ブロックチェーンアドレス「0x04587463」で示される住宅が、日付「2017年12月15日の13時30分」頃に電力量「10kWh」を単価「20円」で買電したいことが記録されている。このように、買電依頼リストの各行には、ブロックチェーンアドレスにより識別される住宅により、希望する日時に、買電したい単価と電力量とが記載されている。
【0095】
なお、
図7A及び
図7Bに示される認証サーバ200aが行う署名は必須ではなく、なくてもよい。
【0096】
したがって、取引生成部215は、例えば
図7Aで示される蓄電リストの日付及び電力量と、例えば
図7Bで示される買電依頼リストの日付及び買電の電力量とを参照及び比較してマッチングを行うことで、買電依頼した住宅へ送電が可能かの判断を行う。
【0097】
取引生成部215は、買電依頼した住宅の希望する電力の送電が可能と判断すると、送電先のブロックチェーンアドレスと、日付と、電力量と、単価とを含む、電力取引のマッチング結果を示すトランザクションデータを生成する。これとともに、取引生成部215は、蓄電池300を管理する管理サーバ350に対して買電依頼した住宅への送電を依頼する。そして、取引生成部215は、生成したトランザクションデータを記録部216に記録する。なお、取引生成部215は、管理サーバ350に対して買電依頼した住宅への送電を依頼するが、単価をより高く設定して買電依頼した住宅に優先的にマッチングしてもよい。
【0098】
図8は、本実施の形態に係る買電リストの一例を示す図である。
図8に示す買電リストは、取引生成部215により行われた電力取引のマッチング結果であり、誰にどれだけの電力をいつ売ったかを示す電力取引リストの一例である。
図8に示すように、買電リストは、買電先のブロックチェーンアドレスと、日付と、電力量と、単価とで構成されている。なお、買電リストに、さらに認証サーバの署名が含まれるがここでは図示しない。このように、買電リストの各行には、電力取引のマッチングが成立した買電依頼した住宅を示す買電元のブロックチェーンアドレスと、電力取引において取引される取引電力量と、その単価とが含まれている。
【0099】
また、取引生成部215は、
図8の買電リストの行に示される情報を含む電力取引のマッチング結果を示すトランザクションデータを生成し、記録部216に記録する。そして、取引生成部215は、この電力取引のマッチング結果を示す電力取引トランザクションデータを生成した後に、電力取引を行うすなわち買電が実施される住宅100a等に電力取引の内容を示す電力取引結果を通知する。なお、取引生成部215は、電力取引結果を、定期的にブロードキャストをしてもよいし、電力取引を行う住宅をブロックチェーンアドレスで識別できる場合は、直接通知するとしてもよい。
【0100】
また、取引生成部215は、第1のトランザクションデータを含むブロックを分散台帳に記録するステップの後において、さらに、第1の認証サーバが、第1のユーザに対してインセンティブの支払いを行った後に、インセンティブの支払いを行った旨を通知してもよい。本実施の形態では、取引生成部215は、電力を送電した住宅100aに対し、インセンティブの支払いを行う。取引生成部215は、電力を送電した住宅100aに対し、インセンティブの支払い後に、その旨を通知する。また、取引生成部215は、買電が実施される住宅100a等に電力取引の内容を示す電力取引結果を通知することで、インセンティブの支払いを促してもよい。
【0101】
なお、インセンティブを支払う方法としては、現金で振り込まれる方法を用いてもよいし、電力取引ポイントを支払う方法を用いてもよいし、ブロックチェーンを利用した仮想通貨で支払う方法を用いてもよい。これにより、買電された電力量を送電した住宅100a等にも、インセンティブが支払われる。そして、取引生成部215は、買電された電力量を送電した住宅100a等にも、インセンティブが支払われた後、買電された電力量を送電した住宅100a等にインセンティブの支払いを行った旨を通知してもよい。
【0102】
<記録部216>
記録部216は、ブロックチェーンのトランザクションデータをブロックで記憶装置201aに記録する。当該記憶装置201aは、記録部216の内部に構成されていてもよいし、
図1に示すように、認証サーバ200aの外部に構成されていてもよい。このトランザクションデータは、売電依頼を示す第1トランザクションデータ、買電依頼を示す第2トランザクションデータ売電依頼を示す第1トランザクションデータ、買電依頼を示す第2のトランザクションデータ及び電力取引のマッチング結果を示す第3のトランザクションデータを意味する。
【0103】
<通信部217>
通信部217は、2以上の住宅100a等、他の認証サーバ200b、200c、及び、管理サーバ350との通信を行う。より具体的には、通信部217は、2以上の住宅100a等、他の認証サーバ200b、200c、及び、管理サーバ350と通信を行う通信インタフェースである。2以上の住宅100a等及び管理サーバ350との通信は、TLSによりなされてもよい。この場合、TLS通信用の暗号鍵は通信部217で保持してもよい。
【0104】
[1.5 管理サーバ350の構成]
図9は、本実施の形態に係る管理サーバ350の機能構成を示すブロック図である。管理サーバ350は、
図9に示すように、電力制御部311と、蓄電池制御部312と、記録部313、通信部314とを備え、蓄電池300を管理する。蓄電池300及び管理サーバ350は、蓄電設備の一例であり、下記では蓄電池側と称することもある。
【0105】
<電力制御部311>
電力制御部311は、蓄電池制御部312に指示することで住宅100a等からの送電された電力を蓄電池300に蓄電させた蓄電量を、受電量として記録部313に記録する。また、電力制御部311は、認証サーバ200a等から送電依頼を取得すると、蓄電池制御部312に蓄電池300を制御して蓄電池300に蓄電されている電力を、送電依頼に含まれる送電先である住宅100a等に送電させる旨を指示する。
【0106】
また、電力制御部311は、認証サーバ200a等から、蓄電池300の蓄電状態の問い合わせを取得すると、蓄電池300の蓄電状態を示す情報として記録部313に記録されている、受電量を含む受電情報または蓄電量を含む蓄電情報を送信する。ここで、受電情報は、上述したように、蓄電設備が第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す受電量情報と、受電電力が受電された第2の日時を示す第2のタイムスタンプとを含む。つまり、受電情報は、住宅100a等から受電した受電電力の量を示す受電量情報と、受電電力を受電した日時とを含む。また、蓄電情報は、蓄電設備が保有している蓄電電力の量を示す蓄電量情報を含む。つまり、蓄電情報は、蓄電池300における現在の蓄電量を示す蓄電量情報を含む。
【0107】
<蓄電池制御部312>
蓄電池制御部312は、電力制御部311の指示を取得すると、蓄電池300の制御を行う。例えば、蓄電池制御部312は、蓄電池300を制御して、蓄電池300に蓄電されている電力を、送電依頼に含まれる送電先である住宅100a等に送電させる。蓄電池制御部312は、蓄電池300を制御して、蓄電池300に蓄電されている電力を、送電依頼に含まれる送電先である住宅100a等に送電させる。また、蓄電池制御部312は、蓄電池300の蓄電状態を示す情報として受電量を含む受電情報または蓄電量を含む蓄電情報を、蓄電池300から取得する。
【0108】
<記録部313>
記録部313は、蓄電池300から取得した蓄電池300の蓄電状態を示す情報を記録する。本実施の形態では、記録部313は、蓄電池300から取得した受電情報または蓄電情報を記録する。
【0109】
<通信部314>
通信部314は、通信ネットワーク400を介して住宅100a等及び認証サーバ200a等との通信を行う。この通信は、TLSによりなされてもよい。この場合、TLS通信用の暗号鍵は通信部314で保持してもよい。
【0110】
なお、管理サーバ350は電力取引システム10に備えられていなくてもよい。この場合、上述した管理サーバ350の機能構成のうち、蓄電池制御部312が認証サーバ200a等に構成され、電力制御部311、記録部313及び通信部314が蓄電池300に構成されればよい。そして、認証サーバ200a等と蓄電池300とは、管理サーバ350を介さずに、直接やりとりされればよい。なお、この場合、蓄電池300が蓄電設備の一例に該当することになる。
【0111】
[1.6 住宅と認証サーバ間の電力取引の全体シーケンス]
続いて、住宅100a等と認証サーバ200a等との間における電力取引のシーケンスについて説明する。
図10は、本実施の形態に係る電力取引の全体シーケンス図である。各処理については後述する。
【0112】
まず、ステップS100において、例えば住宅100aと認証サーバ200a、200b、200cとの間で売電処理が行われる。次に、ステップS200において、例えば住宅100cと認証サーバ200a、200b、200cとの間で買電処理が行われる。
【0113】
なお、ステップS100の売電処理と、ステップS200の買電処理とはどちらが先に実行されてもよく、非定期に行われる。
【0114】
[1.6.1 住宅と認証サーバ間の売電処理]
続いて、住宅100a等と認証サーバ200a等との間での売電処理について説明する。
【0115】
図11は、本実施の形態に係る売電処理のシーケンス図である。
図11では、一例として住宅100aが売電するとして説明するが、これに限らない。他の住宅100b等でもよく同様のシーケンスとなる。
【0116】
まず、ステップS101において、住宅100aのコントローラ101またはユーザは、太陽光発電102が余剰に発電した電力を売電することを希望する場合、電力の売電依頼情報を入力し、電力を送電する。例えば、太陽光発電102の発電量より住宅100aで利用される電力量の方が少ない場合など余剰電力が発生する場合がある。この場合、ユーザの電力の売電依頼情報を入力後、またはコントローラ101に自動的に送電させる設定がされているときには自動的に、余剰電力を蓄電池側に送電する。なお、蓄電池側とは、上述したように、蓄電池300を管理する管理サーバ350があるときには、管理サーバ350を意味し、管理サーバ350がない場合は、蓄電池300を意味する。
【0117】
次に、ステップS103において、住宅100aのコントローラ101は、入力された売電依頼情報に基づき、売電依頼を示すトランザクションデータ(以下、第1のトランザクションデータと称する)を生成する。第1のトランザクションデータは、上述したように、ブロックチェーンアドレス、日付、売電量、及び、署名を含んで構成される。
【0118】
次に、ステップS104において、住宅100aのコントローラ101は、生成した第1のトランザクションデータを認証サーバ200aに送信する。なお、
図11に示す例では、住宅100aのコントローラ101は、生成した第1のトランザクションデータを認証サーバ200aに送信しているが、他の認証サーバ200b、200cに送信してもよい。他の認証サーバ200b、200cに送信した場合も同様である。
【0119】
次に、ステップS105において、認証サーバ200aは、住宅100aから第1のトランザクションデータに受信すると、まず、蓄電池300の蓄電状態の問い合わせを行う。
【0120】
次に、ステップS106において、蓄電池側は、蓄電池300の蓄電状態の問い合わせに対する回答として、蓄電池300が住宅100aから受電した受電電力の量を示す受電量情報を含む受電情報を送信する。
【0121】
次に、ステップS107において、認証サーバ200aは、蓄電池側から受電情報を受信すると、住宅100aから受信した第1のトランザクションデータの検証を行う。なお、第1のトランザクションデータの検証には、上述したように、第1のトランザクションデータの正当性の検証と、正しく電力が送電され受電されたなど電力の情報が正しいものであるかの検証とを少なくとも行う。
【0122】
ステップS107において、認証サーバ200aは、第1のトランザクションデータの検証が成功しなかった場合(S107でN)、住宅100aにその旨の通知を送信し(S108)、処理を終了する。
【0123】
一方、ステップS107において、認証サーバ200aは、第1のトランザクションデータの検証に成功した場合(S107でY)、他の認証サーバ200b、200cに、第1のトランザクションデータを転送する(S109)。他の認証サーバ200b、200cでも、同様に、受信した第1のトランザクションデータを検証する。
【0124】
次に、ステップS110において、認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、コンセンサスアルゴリズムを実行する。認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、第1のトランザクションデータが正当なトランザクションデータであること(つまり正当性)を検証すると、それぞれ第1のトランザクションデータを含むブロックを生成する。そして、認証サーバ200a、200b、200cは、第1のトランザクションデータを含むブロックを記憶装置201a、201b、201cの分散台帳に記録する。
【0125】
次に、ステップS111において、認証サーバ200aは、電力を送電した住宅100aに対し、インセンティブの支払いを行う。インセンティブの支払い方法としては、現金を振り込む方法を用いてもよいし、電力取引ポイントを支払う方法を用いてもよいし、ブロックチェーンを利用した仮想通貨で支払う方法を用いてもよい。
【0126】
次に、ステップS112において、認証サーバ200aは、電力を送電した住宅100aに対し、インセンティブの支払いを行った旨の通知を送信する。
【0127】
[1.6.2 住宅と認証サーバ間の買電処理]
続いて、住宅100a等と認証サーバ200a等との間での買電処理について説明する。
図12及び
図13は、本実施の形態に係る買電処理のシーケンス図である。
図12及び
図13では、一例として住宅100cが買電するとして説明するが、これに限らない。他の住宅100b等でもよく同様の買電処理のシーケンスとなる。
【0128】
まず、ステップS201において、住宅100cのコントローラ101またはユーザは、買電を希望する場合、電力の買電依頼情報を入力する。住宅100cのコントローラ101またはユーザは、例えば、住宅100cにおいて電力の利用が多く、蓄電池300を保持するサービス業者から蓄電池300に蓄電されている余剰電力を買電したほうが電力会社から電力を購入するより安く済むなどに買電を行う。
【0129】
次に、ステップS203において、住宅100cのコントローラ101は、入力された買電依頼情報に基づき、買電依頼を示すトランザクションデータ(以下、第2のトランザクションデータと称する)を生成する。第2のトランザクションデータは、上述したように、ブロックチェーンアドレスと、購入を依頼する買電電力の量を示す買電量情報と、住宅100cのユーザの電子署名とを含んで構成される。
【0130】
次に、ステップS204において、住宅100cのコントローラ101は、生成した第2のトランザクションデータを認証サーバ200cに送信する。なお、
図12に示す例では、住宅100cのコントローラ101は、生成した第2のトランザクションデータを認証サーバ200cに送信しているが、他の認証サーバ200a、200bに送信してもよい。他の認証サーバ200a、200bに送信した場合も同様である。
【0131】
次に、ステップS205において、認証サーバ200cは、住宅100cから受信した第2のトランザクションデータの検証を行う。
【0132】
ステップS205において、認証サーバ200cは、第2のトランザクションデータの検証が成功しなかった場合(S205でN)、住宅100cにその旨の通知を送信し(S206)、処理を終了する。
【0133】
一方、ステップS205において、認証サーバ200cは、第2のトランザクションデータの検証に成功した場合(S205でY)、他の認証サーバ200a、200bに、第2のトランザクションデータを転送する(S207)。他の認証サーバ200b、200cでも、同様に、受信した第2のトランザクションデータを検証する。
【0134】
次に、ステップS208において、認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、コンセンサスアルゴリズムを実行する。認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、第2のトランザクションデータが正当なトランザクションデータであること(つまり正当性)を検証すると、それぞれ第2のトランザクションデータを含むブロックを生成する。そして、認証サーバ200a、200b、200cは、第2のトランザクションデータを含むブロックを記憶装置201a、201b、201cの分散台帳に記録する。
【0135】
次に、
図13に示すように、ステップS209において、認証サーバ200cは、蓄電池300の蓄電状態の問い合わせを行う。
【0136】
次に、ステップS210において、蓄電池側は、蓄電池300の蓄電状態の問い合わせに対する回答として、蓄電池300が現在保有している蓄電電力の量を示す蓄電情報を送信する。
【0137】
次に、ステップS211において、認証サーバ200cは、蓄電池側から蓄電情報を取得すると、取得した蓄電情報と買電依頼リストとに基づいて、買電依頼した住宅100cに送電が可能か否かを判断する。蓄電情報には、蓄電池300の蓄電状態が示されている。また、買電依頼リストには、ブロックチェーンアドレスにより識別される住宅により、希望する日時に、買電したい単価と電力量とが記載されている。
【0138】
ステップS211において、認証サーバ200cは、送電が可能ではないと判断した場合(S211でN)、住宅100cにその旨の通知を送信し(S212)、処理を終了する。
【0139】
一方、ステップS211において、認証サーバ200cは、送電が可能と判断した場合(S211でY)、蓄電池側に送電依頼を送信する(S213)。なお、認証サーバ200cは、送電依頼を送信するとともに、送電可能である旨を示す予約確認通知を住宅100cに通知してもよい。
【0140】
次に、ステップS214において、蓄電池側は、認証サーバ200cから送電依頼を取得すると、蓄電池300に蓄電されている電力を、送電依頼に含まれる送電先である住宅100cに送電する。
【0141】
次に、ステップS215において、認証サーバ200cは、蓄電池側から住宅100cに蓄電電力が送電される旨の電力取引のマッチング結果を示すトランザクションデータ(以下、第3のトランザクションデータと称する)を生成する。なお、認証サーバ200cは、蓄電側から住宅100cに送電されたことを確認してから、第3のトランザクションデータを生成してもよい。
【0142】
次に、ステップS216において、認証サーバ200cは、生成した第3のトランザクションデータを他の認証サーバ200a、200bに転送する。他の認証サーバ200a、200bでも、同様に、受信した第3のトランザクションデータを検証する。
【0143】
次に、ステップS217において、認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、コンセンサスアルゴリズムを実行する。認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、第3のトランザクションデータが正当なトランザクションデータであること(つまり正当性)を検証すると、それぞれ第3のトランザクションデータを含むブロックを生成する。そして、認証サーバ200a、200b、200cは、第3のトランザクションデータを含むブロックを記憶装置201a、201b、201cの分散台帳に記録する。
【0144】
なお、ステップS213において、認証サーバ200cは、蓄電池側に送電依頼を送信したときに、蓄電設備から第2の電力設備に蓄電電力が送電依頼された旨の電力取引のマッチング結果を示すトランザクションデータ(以下、第4のトランザクションデータと称する)を生成してもよい。この場合、認証サーバ200cは、生成した第4のトランザクションデータを他の認証サーバ200a、200bに転送する。次いで、認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、コンセンサスアルゴリズムを実行する。認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとは、第3のトランザクションデータが正当なトランザクションデータであること(つまり正当性)を検証すると、それぞれ第4のトランザクションデータを含むブロックを生成する。そして、認証サーバ200a、200b、200cは、第4のトランザクションデータを含むブロックを記憶装置201a、201b、201cの分散台帳に記録する。
【0145】
このように、第4のトランザクションデータを含むブロックを記録することで、電力送電の予約が完了したことを示すことができる。
【0146】
また、この場合、その後にステップS214~ステップS217に示すように、ステップS214で電力送信が完了した時点で、蓄電池側が送電した旨を示す情報をさらに含む第4のトランザクションをさらに生成し、認証サーバ200aと認証サーバ200bと認証サーバ200cとの間でコンセンサスアルゴリズムを実行して記録すればよい。
【0147】
これにより、電力取引のマッチング結果を示す第3のトランザクションを生成する前に、電力送電の予約を示す第4のトランザクションを生成して分散台帳に記録する。それにより、電力取引のマッチングのタイミングと送電時刻にタイムラグがあっても、電力取引のマッチング結果と電力送電の予約とを確実に証拠として残しておくことができる。
【0148】
[1.7 効果等]
以上のように、実施の形態に係る電力取引システム10等によれば、例えば蓄電池300に送電された電力の取引のトランザクションデータを分散台帳に記録する。これにより、電力の取引のトランザクションデータが公開され、改ざん検知が可能になるので、蓄電池を保持するサービス業者による不正な電力取引を抑制することができる。例えば、蓄電設備に送電された電力と、蓄電設備で受電した電力との整合、および、第1のトランザクションデータの正当性などを検証することができるので、改ざん検知が可能になる。
【0149】
また、実施の形態に係る電力取引システム10等は、買電依頼を示す第2のブロックチェーンのトランザクションデータを分散台帳に記録してもよい。また、実施の形態に係る電力取引システム10等は、蓄電池を介した電力取引のマッチング結果を示すブロックチェーンの第3のトランザクションデータを分散台帳に記録してもよい。これにより、電力の取引のトランザクションデータが公開され、改ざん検知が可能になるので、蓄電池300を保持するサービス業者による不正な電力取引を抑制することができる。
【0150】
このように、実施の形態に係る電力取引システム10等によれば、蓄電池300を有する仲介業者に委ねて電力の個人間取引を行う場合、ブロックチェーン技術を活用し、売電処理、買電依頼処理、及び、買電処理を示す電力取引のトランザクションデータを公開する。これにより、蓄電池300を保持する仲介業者は、電力を買い取った金額より不当に高い単価で売電したり、平均的な買電希望価格よりも不当に安い価格で電力を買い取られたり、蓄電した電力があるにもかかわらず買電を拒否したりすることができない。つまり、実施の形態に係る電力取引システム10等によれば、電力取引を行った価格に透明性をもたせることができることから、蓄電池300を保持するサービス業者による電力取引時の不正な価格操作を抑制でき、不正な電力取引を抑制することができる。
【0151】
また、仲介業者が蓄電池300を保持するので、各住宅が蓄電池を保持する必要がなく、買電するユーザは仲介業者に依頼をするだけでよい。このため、実施の形態に係る電力取引システム10等は実現しやすいシステムであるとの効果も奏する。
【0152】
[2. その他変形例]
なお、本開示を上記各実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示は、上記各実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本開示に含まれる。
【0153】
(1)認証サーバ200a等はインセンティブを支払ったときにトランザクションデータを生成し、認証サーバ200a等の記憶装置201a等に記録するとしてもよい。このトランザクションデータにはインセンティブを支払ったブロックチェーンアドレスとインセンティブの内容を示す情報と認証サーバ200a等の署名とを含むとしてもよい。
【0154】
(2)認証サーバ200a等は、買電依頼した住宅との電力取引が成立しなかった場合、買電依頼が再度行われるとしてもよい。これにより、買電依頼における時刻及び/または電力の単価を再設定することが可能となり、電力取引の成立可否を再度判断することができる。
【0155】
(3)買電依頼により電力を買い取った場合、買い取ったユーザは、その支払いを電力取引のサービス会社に直接支払いをするとしてもよいし、以前に売電したことで得たポイントまたは仮想通貨で支払いをするとしてもよい。
【0156】
(4)上記の実施の形態の
図11で説明した例では、蓄電池側に売電された後に認証サーバ200aが売電した住宅100aのユーザに対してインセンティブを支払っているが、これに限らない。認証サーバ200aは、買電した住宅100cのユーザからの支払い処理後に、売電した住宅100aのユーザに対してインセンティブを支払うとしてもよい。また、認証サーバ200aは、売電した住宅100aのユーザに対して、売電の取引ごとに支払うのではなく、期間ごとに一括して払うとしてもよい。
【0157】
(5)上記の実施の形態では、認証サーバ200a等で送電するかの判断をしているが、これに限らない。認証サーバ200a等は、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能を用いて、当該認証サーバ200a等にあらかじめ送電可否など電力取引の成立可否の判断プログラムを実装しておき、自動で電力取引の判断をするとしてもよい。
【0158】
(6)上記の実施の形態では、買電の単価をユーザが入力しているが、これに限らない。これに限定するわけではなく、認証サーバ200a等が売電単価及び/または買電単価を設定し、ユーザが選択するとしてもよい。また、売電単価と買電単価は、時刻によって変更されるとしてもよい。
【0159】
(7)上記の実施の形態では、認証サーバ200a等が、蓄電量と時刻と単価とを用いて送電可否を判断しているが、電力ネットワークにおける電力の送電の容易さも含めて判断するとしてもよい。例えば、認証サーバ200a等は、売電する住宅から買電する住宅まで電力ネットワークを経由する場合、距離が近い住宅から優先的に電力取引のマッチングを行うとしてもよい。また、認証サーバ200a等は、電力ネットワークの送電における電力の損失が少ない住宅から優先的に電力取引のマッチングを行うとしてもよい。これにより、電力取引サービス全体として電力の損失を少なくすることができる。
【0160】
(8)認証サーバ200a等は蓄電池の電力使用の権利のトークンを発行し、買電する住宅のユーザがトークンを購入するとしてもよい。これにより、買電するユーザが電力の利用権利を事前に購入することができる。
【0161】
(9)蓄電池300を管理する管理サーバ350は、蓄電池300に住宅から電力が送電された場合、日付と送電されて蓄電した電力量とを含んだトランザクションデータを生成するとしてもよい。また、蓄電池300を管理する管理サーバ350は、蓄電池300から住宅へ電力が送電された場合にも、日付と送電した電力量とを含んだトランザクションデータを生成するとしてもよい。管理サーバ350は、生成したトランザクションデータは認証サーバ200a等に送信することで、生成したトランザクションデータがブロックチェーンで管理されるとしてもよい。
【0162】
(10)上記実施の形態では、認証サーバ200a等は、蓄電情報及び買電依頼情報から送電可能か否かを判断している。認証サーバ200a等は、送電不可と判断した場合、さらに、各住宅に売電依頼の通知をするとしてもよい。また、通知後の売電依頼では売電の単価が上がるとしてもよい。これにより、蓄電池300の蓄電量を増加させることができ、住宅に送電することができる。
【0163】
(11)また、管理サーバ350は、定期的に、または蓄電池300の蓄電状態に変更があったときに、蓄電情報を認証サーバ200a等に送信するとしてもよい。このとき、管理サーバ350は、蓄電状態と日付とを含んだトランザクションデータを生成し、認証サーバ200a等に送信するとしてもよい。
【0164】
(12)また、蓄電池300の蓄電状態によって、売電価格及び/または買電価格が設定されるとしてもよい。
【0165】
(13)さらに、本開示には、上記実施の形態の電力取引システム10においてブロックチェーンとして記録されるブロックに用いられるデータ構造も含まれる。より具体的には、本開示のデータ構造は、第1のユーザが使用する第1の電力設備と、第1の電力設備と電力線を介して接続された蓄電設備と、第1の電力設備及び前記蓄電設備がネットワークを介して通信可能な複数のサーバとを備える電力取引システムにおいてブロックチェーンとして記録されるブロックに用いられるデータ構造である。当該データ構造は、ブロックチェーンのブロックに含まれ、第1のユーザの秘密鍵を用いて生成された、第1のユーザ及び第1の電力設備の少なくとも一方を識別する識別子であるブロックチェーンアドレスと、第1の電力設備が蓄電設備に送電した送電電力の量を示す送電量情報と、第1のユーザの電子署名とを含む。そして、本開示のデータ構造に含まれる送電量情報は、蓄電設備が第1の電力設備から受電した受電電力の量を示す買電量情報と比較されることで、送電に関する取引の正当性の検証に用いられる。なお、第1のトランザクションデータに第1のタイムスタンプが含まれ、受電情報に第2のタイムスタンプが含まれている場合もある。この場合には、第1のタイムスタンプ及び第2のスタンプを用いて、蓄電池に送電されたことを確認できることに加えて、送電と受電のタイミングがあっていることを確認できる。
【0166】
(14)上記の実施の形態における各装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウスなどから構成されるコンピュータシステムである。前記RAMまたはハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記録されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、各装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0167】
(15)上記の実施の形態における各装置は、構成する構成要素の一部または全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどを含んで構成されるコンピュータシステムである。前記RAMには、コンピュータプログラムが記録されている。前記マイクロプロセッサが、前記コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0168】
また、上記の各装置を構成する構成要素の各部は、個別に1チップ化されていても良いし、一部またはすべてを含むように1チップ化されてもよい。
【0169】
また、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用しても良い。
【0170】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0171】
(16)上記の各装置を構成する構成要素の一部または全部は、各装置に脱着可能なICカードまたは単体のモジュールから構成されているとしてもよい。前記ICカードまたは前記モジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAMなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ICカードまたは前記モジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、前記ICカードまたは前記モジュールは、その機能を達成する。このICカードまたはこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0172】
(17)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0173】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号をコンピュータで読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリなどに記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0174】
また、本開示は、前記コンピュータプログラムまたは前記デジタル信号を、電気通信回線、無線または有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0175】
また、本開示は、マイクロプロセッサとメモリを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記録しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムにしたがって動作するとしてもよい。
【0176】
また、前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、または前記プログラムまたは前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【0177】
(18)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0178】
本開示は、電力取引システムにおいて、売電及び買電、電力取引の情報のトランザクションデータを認証サーバで管理することで、不正を排除しつつ電力取引をすることができる。
【符号の説明】
【0179】
100a、100b、100c 住宅
101 コントローラ
102 太陽光発電
103 電力メータ
110、400 通信ネットワーク
111、500 電力ネットワーク
200a、200b、200c 認証サーバ
211 蓄電状態取得部
212 トランザクションデータ検証部
213 ブロック生成部
214 同期部
215 取引生成部
216、313 記録部
217、314 通信部
300 蓄電池
311 電力制御部
312 蓄電池制御部
1011 入力部
1012 トランザクションデータ生成部
1013 制御部
1014 記録部
1015 通信部