(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160873
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】熱交換器クロージャ組立体、並びに同熱交換器クロージャ組立体を使用及び設置する方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20231026BHJP
F28D 7/16 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
F28F9/02 C
F28D7/16 A
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023139495
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2020550640の分割
【原出願日】2019-03-20
(31)【優先権主張番号】62/645,662
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391011227
【氏名又は名称】ルマス テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジブブ、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ、トレバー
(72)【発明者】
【氏名】ボークホウダー、ヘンク
(72)【発明者】
【氏名】グロッピ、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ブリニョーネ、ビンチェンツォ、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】エバリー、ランディー
(72)【発明者】
【氏名】クリーチ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ミーチャム、エリザベス
(57)【要約】
【課題】変化する熱荷重に対応するように構成された、改良された熱交換器クロージャ組立体を提供すること。
【解決手段】内部チャンバを画定する細長い管状の熱交換器エンクロージャを有する熱交換器組立体が提供される。チューブシートが熱交換器エンクロージャの内部チャンバの中に配置され、内部チャンバをシェル側とチャンネル側とに分離する。内部部分が、内部チャンバのシェル側の中に配置されるチューブ・バンドルを取り外し可能に受けるように構成される。環状スリーブ部材が、熱交換器エンクロージャの内部チャンバのチャンネル側の中に配置される。環状の弾性ねじれ部材が熱交換器の内部チャンバのチャンネル側の中に配置され、その結果、スリーブ部材がチューブシートと弾性ねじれ部材との間に配置される。弾性ねじれ部材が、弾性ねじれ部材を捻じるために、その外周部を基準として撓むことができる内周部を有する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チューブ熱交換器組立体を組み立てるためのプロセスであって:
内部チャンバを有し、長手方向軸を画定し、且つ開いている円筒形チャンネル端部を有する細長い熱交換器エンクロージャを提供するステップと;
前記細長い熱交換器エンクロージャの前記開いている円筒形チャンネル端部に固定されるように構成されたロック組立体を有するクロージャ組立体を提供するステップと;
前記クロージャ組立体の前記ロック組立体を、前記熱交換器の前記内部チャンバの前記長手方向軸に沿って、前記開いている円筒形チャンネル端部の中へ軸方向に挿入するステップであって、前記クロージャ組立体及び前記細長い熱交換器エンクロージャの内部壁の各々の耐荷重面は互いに接触しない、ステップと;
前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸を中心として前記クロージャ組立体を旋回させるステップであって、それにより前記ロック組立体が、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記内部壁の上に設けられた協働するロック組立体に取り外し可能に固定され、それにより前記耐荷重面が互いに接触し、それにより前記クロージャ組立体と前記細長い熱交換器との間で荷重が伝えられる、ステップと
を含むプロセス。
【請求項2】
前記クロージャ組立体が360度未満で旋回させられて、それにより前記クロージャ組立体の前記ロック組立体が、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記内部壁の上に設けられた前記協働するロック組立体に取り外し可能に固定される、請求項1に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項3】
前記クロージャ組立体の前記ロック組立体、及び前記細長い熱交換器エンクロージャの前記内部壁上に設けられた前記ロック組立体が、協働的にバヨネット式ロック組立体を形成する、請求項2に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項4】
前記バヨネット式ロック組立体が:
前記クロージャ組立体の外側表面部分の上に設けられた複数の離間したロック・リング差込孔セクションと;
前記細長い熱交換器エンクロージャの前記内部壁の上に設けられた複数の離間したロック・リング差込孔セクションであって、前記クロージャ組立体上に形成された対応するチャンネル差込孔セクションと相互嵌合するように構成された複数の離間したロック・リング差込孔セクションと
を有する、請求項3に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項5】
前記ロック組立体を挿入する前に、
前記細長い熱交換器エンクロージャ内に形成されるチャンネル・ショルダ構成に隣接して配置されるように、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸に沿って、前記開いている円筒形チャンネル端部の中にチューブシート・ガスケットを軸方向に挿入するステップと;
前記チューブシート・ガスケットに隣接して配置されるように、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸に沿って、前記開いている円筒形チャンネル端部の中にチューブシートを軸方向に挿入し、それにより前記細長い熱交換器エンクロージャの前記内部チャンバの中にシェル側及びチャンネル側を画定するステップであって、前記内部チャンバは、前記内部チャンバの前記シェル側内に配置されるチューブ・バンドルを取り外し可能に受けるように構成される、ステップと;
前記チューブシートに隣接して配置されるように、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸に沿って、前記開いている円筒形チャンネル端部の中に環状スリーブ部材を軸方向に挿入するステップと;
前記スリーブ部材に隣接して配置されるように、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸に沿って、前記開いている円筒形チャンネル端部の中に弾性ねじれ部材を挿入するステップと;
前記弾性ねじれ部材に隣接して配置されるように、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸に沿って、前記円筒形のチャンネルの前記開端部の中に軸受リングを挿入するステップと;
前記軸受リングに隣接して配置されるように、前記細長い熱交換器エンクロージャの前記長手方向軸に沿って、前記円筒形のチャンネルの前記開端部の中にダイアフラムを挿入するステップと
をさらに含む、請求項3に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項6】
前記クロージャ組立体の前記長手方向軸に沿って同軸に前記クロージャ組立体内に延びる前記クロージャ組立体の外径部分に沿って設けられる複数の第1の細長い外側圧縮部材を調整するステップであって、それにより第1の圧縮リングに力を伝達し、それにより前記ダイアフラムのリム部分及び前記ダイアフラム・ガスケットに力を伝達し、それにより前記ダイアフラムに対して前記ダイアフラム・ガスケットを押し付ける、ステップと;
前記クロージャ組立体の前記長手方向軸に沿って同軸に前記クロージャ組立体内に延びる前記クロージャ組立体の内径部分に沿って設けられる複数の第2の細長い内側圧縮部材を調整するステップであって、それにより第2の圧縮リングに力を伝達し、それにより、前記クロージャ組立体が前記熱交換器エンクロージャに対して固定されたときに、前記ダイアフラムの一部分に力を伝達して、前記ダイアフラムの一部分を前記クロージャ組立体から前記熱交換器組立体の前記弾性ねじれ部材の方へ遠位に撓ませる、ステップと
をさらに含む、請求項5に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項7】
前記チューブシート、前記スリーブ部材、前記第1及び第2の圧縮リング、前記クロージャ組立体、並びに前記第1及び第2の細長い圧縮部材のそれぞれは、前記クロージャ組立体が前記熱交換器エンクロージャに対して固定されたときに、予荷重、熱荷重、及び圧力荷重からの合計の軸方向荷重を限度として、又はそれを超えて、弾性を維持するように構成される、請求項6に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項8】
前記細長い圧縮部材が予荷重を受けたとき、前記圧縮部材が第1の軸方向荷重経路を通して前記弾性ねじれ部材の第1の接触エリアに前記予荷重を与え、それにより前記弾性ねじれ部材を通るねじれ荷重経路を通して前記弾性ねじれ部材の第2の接触エリアに前記予荷重を伝達し、それにより第2の軸方向荷重経路を通してチューブシート・ガスケットに前記予荷重を伝達する、請求項7に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項9】
前記ねじれ荷重が、応力の増大及びねじれ回転により抵抗され、それにより前記弾性ねじれ部材の前記第1の接触エリアが前記チューブシートの方に移動することが可能になる、請求項8に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項10】
前記クロージャ組立体は、円筒形の外側表面部分及び円筒形形状の内部部分を画定する円筒形形状のロック・リング部材の内部部分に同心的に固定されるようになっている外径を有する円筒形形状のカバー部材を位置決めすることを含み、前記外側表面部分が前記クロージャ組立体の前記ロック組立体を備える、請求項9に記載のチューブ熱交換器を組み立てるためのプロセス。
【請求項11】
熱交換器組立体の内部チャンバの、開いているチャンネル端部に取り外し可能に固定されるように構成されたクロージャ組立体であって:
円筒形の外側表面部分及び円筒形形状の内部部分を画定する円筒形形状のロック・リング部材であって、前記外側表面部分が、複数の離間したロック・リング差込孔セクションを備え、前記複数の離間したロック・リング差込孔セクションが、前記熱交換器組立体の円筒形の内側表面部分の上に形成された対応するチャンネル差込孔セクションと相互嵌合するように構成される、円筒形形状のロック・リング部材と;
前記ロック・リング部材の前記内部部分に同心に固定される円筒形形状のカバー部材と
を有するクロージャ組立体。
【請求項12】
前記カバー部材が前記ロック・リング部材に取り外し可能に固定され、前記ロック・リング部材が、ショルダ構成を有する内径表面を有し、前記ショルダ構成が、前記カバー部材の外径表面の上に設けられた協働するショルダ構成を受けるように構成される、請求項11に記載のクロージャ組立体。
【請求項13】
各ロック・リング差込孔セクションが、前記ロック・リング部材の前記外側表面部分から所定の角度で延び、前記熱交換器組立体の前記円筒形の内側表面部分の上に形成される各チャンネル差込孔セクションの中に設けられた角度のついた対応する差込孔セクションと相互嵌合するように構成される、請求項11に記載のクロージャ組立体。
【請求項14】
前記熱交換器組立体の前記内部チャンバの中への前記クロージャ組立体の回転を停止させるように構成される、前記ロック・リング部材の上に設けられた上方に延びるフランジ部材をさらに有する、請求項11に記載のクロージャ組立体。
【請求項15】
前記ロック・リング及び前記カバー部材に隣接して配置されるように構成されたダイアフラムをさらに有する、請求項11に記載のクロージャ組立体。
【請求項16】
前記ロック・リング部材の中に取り外し可能に固定可能である複数の調整可能な細長い外側ロック・リング圧縮部材であって、各々の細長い外側ロック・リング圧縮部材が、前記ロック・リング部材内の長手方向軸と同軸に形成されたそれぞれの孔を通過し、それにより第1の圧縮リングに力を伝達し、それにより前記ダイアフラムのリム部分に力を伝達する、複数の調整可能な細長い外側ロック・リング圧縮部材と;
前記ダイアフラムに対して押し付けられるダイアフラム・ガスケットであって、それにより、前記ロック・リング部材が前記管状の熱交換器組立体の前記内部チャンバに対して取り外し可能に固定されるとき、前記細長い外側ロック・リング圧縮部材を調整することによって前記ダイアフラムが前記ダイアフラム・ガスケットと前記第1の圧縮リングとの中間に配置される、ダイアフラム・ガスケットと
をさらに有する、請求項15に記載のクロージャ組立体。
【請求項17】
前記カバー部材の中に取り外し可能に固定可能である複数の調整可能な細長い内側カバー圧縮部材をさらに有し、前記熱交換器組立体の前記内部チャンバの開端部に対して前記クロージャ組立体が取り外し可能に固定されたとき、各々の細長い内側カバー圧縮部材が、前記カバー部材内の長手方向軸と同軸に形成されるそれぞれの孔を通過し、それにより第2の圧縮リングに力を伝達し、それにより前記ダイアフラムの一部分に力を伝達し、それにより前記ダイアフラムの一部分を前記カバー部材から遠位に前記熱交換器組立体の前記内部チャンバの方へ撓ませる、請求項16に記載のクロージャ組立体。
【請求項18】
前記クロージャ組立体が前記熱交換器組立体の前記内部チャンバの前記開端部に対して取り外し可能に固定されたときに、前記第1及び第2の圧縮リング、圧縮ロッド、及び圧縮ボルトが、予荷重、熱荷重、及び圧力荷重からの合計の軸方向荷重まで、又はそれを超えて、弾性を維持するように構成される、請求項17に記載のクロージャ組立体。
【請求項19】
前記ロック部材の前記外側表面部分が、前記ロック・リング部材の前記長手方向軸に対して実質的に垂直に形成された直立方向の溝を備え、前記直立方向の溝が、前記熱交換器軸の前記長手方向軸に対して垂直に前記熱交換器組立体の前記内側表面部分内に形成された対応するノッチ内に摺動可能に受けられるように構成され、それにより前記熱交換器組立体の前記内側表面部分の中に前記ロック・リング部材を挿入するのを容易にする、請求項11に記載のクロージャ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2018年3月20日に出願した米国特許出願第62/645,662号の優先権を主張するものである。
【0002】
開示される実施例は、熱交換器クロージャ組立体、及び同熱交換器クロージャ組立体を使用及び設置するための方法に関し、より詳細には、取り外し可能なチューブ・バンドルを有する高圧のシェルアンドチューブ・タイプの熱交換器を密閉するためのクロージャ・システム及び方法に関し、より詳細には、ロック組立体を使用して熱交換器のチャンネルに固定されるクロージャ・プラグ組立体を有する、変化する熱荷重に対応するように構成される熱交換器クロージャ組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
シェルアンドチューブ・タイプの熱交換器は、化学プラント、精油所、蒸気プラント、及び同様の施設で、不焼成の(unfired)熱伝達装置の大部分を構成する。U字チューブ及び浮動ヘッドを備えるような熱交換器などの、取り外し可能なチューブ・バンドルを有する熱交換器、又は固定されるチューブシートを備える取り外し不可のバンドルを有する熱交換器は、主要なタイプである電流利用のシェルアンドチューブ熱交換器の、最も一般的な交換器である。実際には、熱交換器を設備から定期的に取り外すのを可能にするために取り外し可能なチューブ・バンドルを有することが通常は所望され、ここではチューブ・バンドルが洗浄及び点検のために取り外され、後で再び組み付けられる。また、取り外し可能なチューブ・バンドルを用いて管状の熱交換器のシェル側を流体静力学的に又は空気圧的に試験することが所望される可能性があり、その結果、チューブ継手及びチューブシート・ガスケットの点検又は検査が行われ得、漏洩が容易に見つけられて補修され得る。バンドルを取り外すためには、変化する熱荷重及び圧力荷重下での長期間の運転後に高い信頼性で迅速に開けられ得るクロージャが設けられていなければならない。管状の熱交換器が比較的大型(直径が91.4cm(36インチ)を超える)であって6.9MPa(1000psi)を超える高圧運転のためのものである場合、分解、取り外し、流体静力学的な及び空気圧的な試験、及び再組み付けに付随する問題が特に悪化する。その理由は、必要となる構成要素の重量が増すからである。この目的のために開発された特定の種類のクロージャとして、ロック・リング・カバー組立体を定位置で固定するために複数のインターロックされるねじ部を使用する「ブリーチロック」タイプのクロージャとしても知られる「スクリュー・プラグ」がある。この種類のシステムの主要な利点は、他の従来の高圧の交換器デザインの大きいチャンネル・カバー・フランジ及びボルト留めを排除することである。従来技術で説明されるスクリュー・プラグ・タイプの熱交換器には2つの一般的な種類が存在する。チューブシートの両側で圧力が6.9MPa(1000psi)を超えて、したがってチューブシート自体では小さい圧力差のみしか受けないような用途では、完全に取り外し可能な「A-Style」クロージャを提供することが可能であり、ここでは、シェル・カバーを取り外すことなくバンドルが取り外され得る。圧力差が過度に大きい場合、バンドルにアクセスするのにシェル・カバーを取り外すことがより好都合である可能性があり、このような事例では、「B-Style」クロージャが使用され得る。
【0004】
また、この種類の熱交換器で使用されるクロージャ組立体は、チャンネルを基準としてクロージャ組立体を有意に移動させることなく内部圧力を有するのに十分な剛性を有さなければならない。その理由は、チャンネルを基準としてクロージャ組立体を有意に移動させる場合には、クロージャ組立体を固定するのに使用されるねじ部が部分的に又は完全に外されることになるからである。しかし、組立体は、運転中に生じる予期される熱荷重に対応するのに十分な可撓性も有さなければならない。予期される熱荷重は、初期の起動時若しくはその後の修理時に起こる可能性がある経時的な温度変化であるか、又はアップセット若しくはプラント・トリップ時にチャンネルを基準とした内部構成要素の熱膨張差を引き起こす可能性のある特異事象のうちの任意の特異事象である。1つ又は複数の実施例で適切に対応されない場合の熱荷重により、内部部品が非一様に塑性変形する可能性があり、その結果、ガスケットの荷重が一様に分布されず、最終的に組立体に漏洩が生じ始める。特には、熱膨張率が多様であることにより、又は薄い内部部品が厚いチャンネル材料よりもより迅速に加熱され得ることにより、熱交換器の内部構成要素がしばしばチャンネルより大きい熱膨張を受けることを理由として、高い剛性を有するクロージャ組立体は、内部部品を塑性変形させてそれによりガスケットを脱着させて漏洩を発生させてしまうような場合には、また、クロージャ組立体及びチャンネルのねじ部分により大きい荷重がかかってそれによりねじ部が変形する可能性があるような場合には、望ましくない。上記の状況及び運転状態のすべてで、多くの異なる技術的解決策が採用されており、これらの多くの異なる技術的解決策は、特に、温度が高かったり、圧力が大きかったり、サイズが大きかったりするような用途では、これらの問題の一部しか解決せず、一方で他の問題も生じさせることを理由として、部分的にしか成功を収めていない。
【0005】
これらの従来技術の解決策のすべてで、熱交換器のチャンネル内のねじ部に対してロック・リング内のねじ部を完全に係合させるには、ねじ部を有するロック・リング-カバー組立体(又は、「クロージャ・プラグ」)が、複数回(通常は20回以上)、回転させられなければならない。これにより取扱いに関する特別な注意事項が出てくる。その理由は、ロック・リング組立体が、チャンネルの外側にあって定位置まで回転させられるときに正確にセンタリングされて支持されていなければならないからである。特には、クロージャ・プラグの重量がねじ部の上で支えられ得ないことを理由として、装置の重い部片(9525.4kg(21,000lb)程度)を正確に取り扱うには、熱交換器と共に専用のジグを供給することが必要となる。多様なジグ・デザインが開発されている。いくつかの事例では、ロック・リングの重量の平衡状態を維持するのに片持ち型の釣り合いおもりが使用される。他の事例では、ジグがチャンネルに直接に取り付けられる。
【0006】
しかし、この特別なジグは他の機能を有さず、使用されるのは非常に稀である可能性もあることから、交換器の作業を行う作業員が不慣れであり、製造業者によって提供される説明書に完全に依存することになる。最悪の事例では、重い組立体がジグに正確に固定されていない場合、交換器の作業を行う工場作業員が怪我をするリスクが存在する。クロージャ・プラグが固まってしまうリスク、或いは挿入中又は取り外し中にねじ部が損傷し得るリスクも常に存在する。これは特に、熱交換器のチャンネルに最初にクロージャ・プラグが挿入されるような事例に当てはまる。工場のターンアラウンドにおいて、又は修理において、時間は非常に重要なものであることから、動かなくなるクロージャ・プラグに付随する計画外のダウンタイムは工場又は精製所にとって有意な経済的損失に繋がり得る。
【0007】
ロック・リングを取り扱うことの困難さは、保守管理中に2回以上にわたってロック・リングを挿入したり取り外したりすることが望ましくない、ということを意味する。チューブ又は他の圧力維持構成要素を修理する必要がある場合、点検を行って漏洩がないことを確認するためには、カバーが定位置にない状態で、シェル側の流体静力学的試験又は空気圧的試験が実施されなければならない。初期のデザインは、熱交換器のシェル側のハイドロ試験を行うときに一時的な内部フランジを使用しており、それによりガスケットを装着する。米国特許第4,750,554号に示されるようなデザインなどのより最近のデザインの場合、内側の列のボルトからの荷重と平行となるように内部フランジからの荷重を適用するような機構が提供される。これらのより最近のデザインの場合、外部ロック・リング内に位置する内側の列のボルトが、漏洩の場合にのみ、チューブシート・ガスケットに装着するのに使用される。この機能を果たすのに必要となる内部構成要素は非常に複雑になる可能性がある。またこのデザインは良好に最適化されているものであるが、部品の数及び複雑さにより、不正確に設置されること、さらには製作コストが上がることのリスクが増大する。内部フランジがプロセス流体に接触することを理由として、ボルトが腐食する可能性があるか又はコークス生成時に被覆される可能性があり、切断される必要があるか又は削り出される必要がある。また、内部構成要素の熱膨張差により内部フランジ組立体が損傷する可能性があるか又は変形する可能性があり、それにより組立体を取り外すこと及び再使用することが困難となる。
【0008】
このように、従来技術は、内部部品の単純なデザインを維持しながら、挿入中に/取り外し中にクロージャ・プラグを取り扱うという課題及び圧力試験を可能にするという課題に対処していない。
【0009】
スクリュー・クロージャ・プラグ熱交換器が耐圧部に関しての適用可能な設計基準を満たすことができる一方で、この種類の装置の信頼性及び寿命サイクル・コストに影響するような、装置デザインの圧力境界の内部にある他の構成要素も存在する。予期される熱荷重状態下で内部部品の損傷を回避しながら、且つ極端な熱荷重状態下で耐圧構造(ねじ部)などに対してフェイルセーフ保護を提供しながら、圧力荷重下で移動を制限するのに十分な剛性を有するようなデバイスが必要とされる。
【0010】
したがって、当技術分野では、専用の取扱い用の装置を使用することなく必要に応じて容易に設置され得且つ取り外され得るロック・リング及びカバーを有する、変化する熱荷重に対応するように構成される熱交換器クロージャ組立体に対しての未だに満たされていない需要が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下で説明される示される実施例の目的及び利点が下記の記述に記載されており、また下記の記述から明らかとなる。示される実施例の追加の利点が、記載される説明及び本発明の特許請求の範囲に具体的に示され、またさらには添付図面からの、デバイス、システム、及び方法により、実現され、獲得される。
【0013】
これらの及び他の利点を達成することを目的として、示される実施例の目的に従って、一態様では、シェルアンドチューブ・タイプの熱交換器のためのクロージャ・システム及び方法が説明され、ここでは、熱交換器クロージャ組立体が、変化する熱荷重に対応するように、及びインターロックされる複数の差込孔(hub)又はねじ部を使用して熱交換器のチャンネルに固定されるロック・リングを有するように、構成される。
【0014】
既に述べたように、下記はシェルアンドチューブ・タイプの熱交換器の最終使用者にとっての際立つ懸案事項である。すなわち、水素/炭化水素などのプロセス流体を環境へ逃すことになるようなガスケットを通しての漏洩;シェル側の流体とチューブ側の流体との間でのプロセス漏洩;挿入中及び取り外し中にクロージャ・プラグが動かなくなることを原因とする、予期される保守管理時間の超過;挿入中又は取り外し中にクロージャ・プラグを支持するのに必要である多数の内部構成要素及び専用の装置の複雑さ。
【0015】
本明細書で示される特定の実施例によると、高圧熱交換器を開けるための、閉じるための、及び密閉するための、本明細書で開示される方法/システムが、カバー及びロック・リング組立体(例えば、クロージャ・プラグ)を採用し、ここでは、1回の線形的な動作でクロージャ・プラグが熱交換器チャンネルの中に挿入され、好適には一回転未満で(例えば、360度未満の旋回で)ロック位置まで回転させられる。最終的な回転が適用されてクロージャ・プラグが高圧熱交換器に効果的にロックされるまで、耐荷重面(例えば、差込孔)が好適には接触しない。高圧熱交換器のチャンネルが、好適には、第1のセットの差込孔を有するように機械加工され、ロック・リングが相補的な第2のセットの差込孔を有するように機械加工され、その結果、クロージャ・プラグが回転させられるとき、第1のセットの差込孔が第2のセットの差込孔に解除可能に係合される。特定の実施例では、レールがロック・リング上の及び/又はチャンネル上の1つ又は複数のセットの差込孔に隣接するように取り付けられ、それにより、一方側に沿って隆起セクションを提供し、それにより:(i)過度の回転を防止し:(ii)ロック・リング組立体の挿入のための支承面を提供し;(iii)耐荷重面の損傷を防止する。
【0016】
特定の例示の実施例では、ロック・リングが所定の数(例えば、8個)のロック・リング差込孔のセットを有するように機械加工され、熱交換器チャンネルが対応する数のチャンネル差込孔のセットを有するように機械加工される。本開示の本発明の態様から逸脱することなく、対応する差込孔のセットの数が変更され得ることが当業者には容易に認識されよう。特定の例示の実施例では、差込孔プロフィールが控え壁形状である。
【0017】
示される実施例の特定の利点には、専用のジグ又は工具を必要とすることなく1回の線形的な動作で設置され得るクロージャ・プラグ組立体が含まれることを認識されたい。クロージャ・プラグ組立体が定位置にあって熱交換器チャンネルによって完全に支持されるときのみ、1回の部分的な旋回(例えば、プラグ部材の22.5°の旋回)により定位置でロックされる。熱交換器チャンネルに対してクロージャ・プラグが動かなくなるリスクが排除される。加えて、プラグ部材の取扱いがより安全となる。その理由は、熱交換器に対してクロージャ・プラグが完全に支持されるようになるまで回転させる必要がないからである。クレーン、バンドル・プリング・トラック(bundle pulling truck)、及びフォーク・リフト・トラックなどの、容易に利用可能である工場装置が、クロージャ・プラグ部材を定位置まで移動させるのに使用され得、それにより専用のジグに付随するコストが排除される。設置もより安全となる。その理由は、ロック・リング組立体/プラグが、釣り合いおもり又はカンチレバーを使用して吊り下げられてセンタリングされるときに同時に回転させられるのを必要とせず、代わりに、好適には、回転停止部を提供する働きもする特別に設計されたレールに沿ってその中を摺動させられるからである。レールは、クロージャ・プラグのロック・リング組立体のその全重量を差込孔の耐荷重面の上で支えるように、サイズ決定される。
【0018】
示される実施例によると、クロージャ・プラグ組立体の挿入及び取り外しが、従来技術のねじ部を用いるデザインより迅速に達成され得る。より迅速な挿入及び取り外しにより、特には内部フランジの必要性が排除されることで、単純化された内部部品を使用することが可能となる。特定の実施例では、クロージャ・プラグ組立体のリングを定位置でロックするために、従来技術のデザインでの通常は20回以上回転させることとは異なり、熱交換器チューブを基準としたクロージャ・プラグ組立体の部分的な旋回(例えば、22.5°)のみが必要となる。その結果、最適となるようにクロージャ・プラグの耐荷重面の形状を選択することにおいて、従来技術で使用される従来の2.54cm(1インチ)のACMEねじよりも高い柔軟性が得られる。
【0019】
従来技術のデザイン及び方法では、ねじ機構を締め付けることが、摩擦を介してくさび部分が迅速に動かなくなってわずかに塑性変形するまでくさび部分が隙間の中に押し込まれることを意味する。したがって、完全に係合されるには、ねじ部が回転しながらある程度の線形距離にわたって前進しなければならない。従来技術のデザインは通常、通常は2.54cm(1インチ)のピッチでACMEスタイルのねじ部を使用し、その結果、1回転によりプラグがチャンネルの中へ2.54cm(1インチ)前進させられる。対照的に、本発明の示される特定の実施例の差込孔デザインは、例えば、単一面内での回転を介して係合されるインターロックされる又は相互嵌合する雄雌の幾何形状であり、これは好適には、より高いスティフネスを有するような、及び差込孔にかかる力が主として一方向である事例により適するような、差込孔形状(例えば、控え壁構成)を使用するものである。差込孔の上にレールが設けられ、挿入中にプラグ組立体のロック・リングを正確にセンタリングして、過度に回転させ得ないように、構成される。レールが、クロージャ・プラグ部材を熱交換器チューブに組み付けるときに差込孔を保護するようにも機能する。
【0020】
したがって、示される実施例によって提供される明確な利点としては、回転させながらロック・リングを支持してセンタリングするのに必要となるような専用の「ジグ」の必要性が排除されるということがある。本発明の示される実施例によると、プラグのロック・リングがチャンネルの中に完全に挿入されるときにクロージャ・プラグが回転することから、このロック・リングのデザインでは、保守管理作業のために熱交換器を開けたり閉じたりするのに要する時間が有意に短縮され、特別な装置/特別な取扱いの必要性が排除され、ひいては、不正確な設置により漏洩が発生するようなリスクが低減される。開閉時間を短縮することにより、圧力試験のために使用される内部フランジを排除することも可能となり、それによりチューブ・バンドルへのアクセスを実現するのに設置しなければならない/取り外さなければならない構成要素の数が大幅に減少する。
【0021】
本発明の示される実施例が、弾性ねじれ部材を使用することを介して、運転中に変化する熱荷重下で熱膨張を可能にする熱交換器構成を対象とすることを認識されたい。弾性ねじれ部材を用いて予期される熱膨張に対応することにより、クロージャ・プラグ上に設けられる圧縮ボルトを調整することなく複数の運転サイクルにわたって密閉状態が維持され得る。予期される熱荷重には、起動、停止、流体流量の変動、及びプラント・トリップ又は急停止などの低頻度であるが予見し得る事象を原因とする、構成要素の加熱及び冷却が含まれる。このデザインで考えられる範囲を超えるような内部部品の熱膨張を生じさせる過度の熱荷重の場合、クロージャ組立体の差込孔を損傷から保護することが重要であり、したがって、ねじれ部材が特定の範囲の弾性撓みを越えて塑性的に変形するように設計及び構成される。従来のデザイン及び方法を用いる場合、運転中に圧縮ボルトを再び締め付けることをしばしば伴う形で、内部チューブシート・ガスケットの密閉状態を維持するのに、専用の組立て手順を使用することが必要とされることを認識されたい。これらの手順を用いる場合でも、熱膨張差を原因として、運転中に内部部材の塑性変形が起こり得る。上で述べたように、これは本発明によって未然に防がれる。
【0022】
本発明の示される特定の実施例によると、クロージャ組立体が高圧のシェルアンドチューブ熱交換器を密閉するように設計され、圧力下で、及び変化する熱荷重下で、熱交換器チューブシートのところにあるシールを維持する「スクリュー・プラグ」タイプとして構成される。クロージャ組立体を外部から密閉することが、好適には、ダイアフラム・ガスケット組立体によって実現される。ダイアフラム・ガスケット・シールが、好適には、外側の列のプッシュ・ボルトによって維持され、内部の密閉が、好適には、内側の列のプッシュ・ボルトによって装着される、チューブ-シートのところに位置する第2のガスケットによって実現される。示される特定の実施例によると、熱交換器チューブシートの内部の密閉の負荷が、圧縮リング、弾性ねじれ部材、及びスリーブ部材を通して、伝達される。弾性ねじれ部材が、スリーブ部材及び圧縮リングに接触する場所であるエリアにおいて枢動する。
【0023】
本発明の示される特定の実施例の組立て手順中、チューブシート・ガスケットを備えるチューブ・バンドルが熱交換器チューブの中に挿入され、次いで、スリーブ部材と、弾性ねじれ部材と、カバー-ロック・リング組立体を好適には有するクロージャ・プラグ部材とが挿入される。さらに、ダイアフラム及びダイアフラム・ガスケットが、漏洩防止シールを提供するために、熱交換器チューブ内のクロージャ・プラグに隣接するところに設けられる。ロック位置に配置するために、1回の線形的な動作で熱交換器の長手方向軸を中心として同軸にクロージャ・プラグ部材を旋回させることにより、また好適には1回転未満で回転させることにより、クロージャ・プラグ部材が熱交換器チューブの開端部チャンネルに取り外し可能に固定される。クロージャ・プラグの最後の回転が適用されるまで、耐荷重面が互いに耐荷重的に接触しないことを認識されたい。
【0024】
本発明の示される特定の実施例によると、上記の、クロージャ・プラグ及び熱交換器チューブの開端部チャンネルの耐荷重面が、好適には、クロージャ・プラグの上に設けられる(例えば、機械加工される)第1のセットの差込孔、及び熱交換器チューブの開端部チャンネルの部分の上に設けられる(例えば、機械加工される)相補的な第2のセットの差込孔を有し、その結果、クロージャ・プラグが回転させられるとき、第1のセットの差込孔が第2のセットの差込孔に係合される(相互嵌合する)。(i)過度の回転を防止するように、(ii)クロージャ・プラグの挿入のための支承面を提供するように、同時に(iii)クロージャ・プラグ及び熱交換器チューブの開端部チャンネルの両方の耐荷重面の損傷を防止するように、構成される隆起セクション(例えば、レール)を組み込むために、1つ又は複数のセットの差込孔セクションがクロージャ・プラグ及び/又は熱交換器の開端部チャンネルの上に設けられてよいことを認識されたい。
【0025】
別の態様では、内部チャンバを画定する細長い管状の熱交換器エンクロージャを有する熱交換器組立体が提供される。チューブシートが熱交換器エンクロージャの内部チャンバの中に配置され、内部チャンバをシェル側とチャンネル側とに分離する。内部部分が、内部チャンバのシェル側の中に配置されるチューブ・バンドルを取り外し可能に受けるように構成される。環状スリーブ部材が、熱交換器エンクロージャの内部チャンバのチャンネル側の中に配置される。環状の弾性ねじれ部材が熱交換器の内部チャンバのチャンネル側の中に配置され、その結果、スリーブ部材がチューブシートと弾性ねじれ部材との間に配置される。弾性ねじれ部材が、弾性ねじれ部材を捻じるために、その外周部を基準として撓む(変位する)ことができる内周部を有する。さらに、熱交換器が下記のうちの1つ又は複数をさらに有することができる:i)パーティション組立体であって、ここでは、スリーブ部材が熱交換器エンクロージャの内部チャンバのチャンネル側の中に配置され、エンクロージャを通って延在するポートからチューブ・バンドル内の少なくとも2つ以上のチューブまで流体を誘導する;ii)チューブシートと熱交換器エンクロージャの内部チャンバ内に形成されるショルダとの間に配置されるチューブシート・ガスケット、及び熱交換器エンクロージャの内部チャンバの中に配置される軸受リング、であって、ここでは、スリーブ部材と軸受リングとの間に弾性ねじれ部材が配置される;iii)熱交換器エンクロージャの内部チャンバのチャンネル側に流体が出入りするのを可能にするための、エンクロージャを通って延在する少なくとも2つのポート;iv)弾性ねじれ部材が、弾性撓み限界まで弾性的に撓むように及び弾性撓み限界を超えて塑性的に撓むように構成され、その結果、弾性ねじれ部材が、熱膨張差に対応するように及び熱交換器が予荷重下に及び予期される圧力荷重・熱荷重下にあるときに熱交換器の構成要素を損傷させるのを回避するように、弾性的に撓む;v)弾性ねじれ部材は、弾性ねじれ部材がスリーブ部材に接触する場所である第1の接触エリアにおいて、及び弾性ねじれ部材が軸受リングに接触する場所である第2の接触エリアにおいて、枢動するように構成される;vi)弾性ねじれ部材が丸みのある角部を有する四角形断面を有する;vii)互いに連続するように積み重ねられた複数の弾性ねじれ部材;viii)弾性ねじれ部材が外径「A」及び内径「B」を有するように構成され、ここでは、外径が、チューブ・バンドルを受けるように構成される内部チャンバのチャンネルの内径より小さく、ここでは、「B」に対する「A」の比が3未満である;ix)弾性ねじれ部材がその弾性撓み限界の約50%である高さ「H」を有するように構成されると共に、厚さ「T」を有し、その結果、弾性ねじれ部材がその弾性撓み限界を超えて塑性的に変形する;x)熱交換器エンクロージャの内部チャンバのチャンネル側を密閉するためのクロージャ組立体であって、ここでは、クロージャ組立体が、ロック組立体を用いて熱交換器エンクロージャに取り外し可能に固定されるロック・リング部材及びカバー部材を有する;xi)ロック組立体が、熱交換器エンクロージャの円筒形の内側表面部分の上に形成される対応するチャンネル差込孔セクションと相互嵌合するように構成される複数の離間されたロック・リング差込孔セクションを有する;xii)ロック・リング及びカバー部材に隣接するように内部チャンバのチャンネル側に配置されるダイアフラム、及び熱交換器エンクロージャに対してロック・リング部材が取り外し可能に固定されるときにダイアフラムに対して押し付けられるダイアフラム・ガスケット;xiii)クロージャ組立体が、第1の圧縮リングに力を伝達してそれによりダイアフラムのリム部分及びダイアフラム・ガスケットに力を伝達するための、クロージャ組立体の外径部分に沿って設けられる複数の第1の細長い圧縮部材、及び熱交換器エンクロージャに対してクロージャ組立体を取り外し可能に固定するときに第2の圧縮リングに力を伝達してそれによりダイアフラムの一部分に力を伝達してそれによりダイアフラムの一部分をカバー部材から弾性ねじれ部材の方へ遠位側に撓ませるための、クロージャ組立体の内径部分に沿って設けられる複数の第2の細長い圧縮部材をさらに有する;xiv)チューブシート、スリーブ部材、軸受リング、第1及び第2の圧縮リング、ロック・リング、並びに第1及び第2の圧縮部材が、熱交換器エンクロージャに対してクロージャ組立体を固定するときに、予荷重、熱荷重、及び圧力荷重からの合計の軸方向荷重を限度として又はそれを超えて弾性を維持するように構成される;xv)細長い圧縮部材が予荷重を受けると、圧縮部材が第1の軸方向荷重経路を通して弾性ねじれ部材の第1の接触エリアに予荷重を与え、それにより弾性ねじれ部材を通るねじれ荷重経路を通して弾性ねじれ部材の第2の接触エリアに予荷重を伝達し、それにより第2の軸方向荷重経路を通してチューブシート・ガスケットに予荷重を伝達する;xvi)熱交換器内のプロセス流体からの圧力荷重が標準的な所定の閾値の範囲内にあり、弾性ねじれ部材が、その外周部をクロージャ組立体の方へ軸方向に移動させるのを可能にするように弾性的に変形するように構成され、熱交換器エンクロージャ内のプロセス流体からの圧力荷重がクロージャ組立体をチューブシートから遠位側に変形させることにより弾性ねじれ部材にかかる荷重を低減し、弾性ねじれ部材が、弾性撓み限界まで弾性的に撓むように、及び弾性撓み限界を超えて塑性的に撓むように、構成され、その結果、弾性ねじれ部材が熱膨張差に対応して、それにより、熱交換器が予荷重下に及び予期される圧力荷重・熱荷重下にあるときに熱交換器の構成要素を損傷させるのを回避する。
【0026】
別の態様では、内部チャンバを有し、長手方向軸を画定し、開いている円筒形チャンネル端部を有する、細長い熱交換器エンクロージャを提供することを含む、チューブ熱交換器組立体を組み立てるためのプロセスが提供される。細長い熱交換器エンクロージャの開いている円筒形チャンネル端部に固定されるように構成されるロック組立体を有するクロージャ組立体が提供される。クロージャ組立体のロック組立体が、熱交換器の内部チャンバの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中へ軸方向に挿入され、その結果、クロージャ組立体及び細長い熱交換器エンクロージャの内部壁の、各々の耐荷重面が互いに接触することがない。クロージャ組立体が細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸を中心として旋回させられ、それによりロック組立体が、細長い熱交換器エンクロージャの内部壁の上に設けられる協働するロック組立体に取り外し可能に固定され、それにより耐荷重面が互いに接触し、その結果、クロージャ組立体と細長い熱交換器との間で荷重が伝えられる。さらに、チューブ熱交換器を組み立てるためのプロセスが以下のうちの1つ又は複数をさらに含むことができる:i)クロージャ組立体が360度未満で旋回させられてそれによりクロージャ組立体のロック組立体が細長い熱交換器エンクロージャの内部壁の上に設けられる協働するロック組立体に取り外し可能に固定されること;ii)クロージャ組立体のロック組立体及び細長い熱交換器エンクロージャの内部壁の上に設けられるロック組立体が協働的にバヨネット式のロック組立体を形成すること;iii)バヨネット式のロック組立体が、クロージャ組立体の外側表面部分の上に設けられる複数の離間されたロック・リング差込孔セクション、及びクロージャ組立体の上に形成される対応するチャンネル差込孔セクションと相互嵌合するように構成される、細長い熱交換器エンクロージャの内部壁の上に設けられる複数の離間されたロック・リング差込孔セクションを有する;iv)ロック組立体を挿入する前に、細長い熱交換器エンクロージャ内に形成されるチャンネル・ショルダ構成に隣接して配置するように、細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って、開いている円筒形チャンネル端部の中にチューブシート・ガスケットを軸方向に挿入すること、細長い熱交換器エンクロージャの内部チャンバの中にシェル側及びチャンネル側を画定するために、チューブシート・ガスケットに隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中にチューブシートを軸方向に挿入することであって、内部チャンバが内部チャンバのシェル側内に配置されるチューブ・バンドルを取り外し可能に受けるように構成される、こと、チューブシートに隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中に環状スリーブ部材を軸方向に挿入すること、スリーブ部材に隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中に弾性ねじれ部材を挿入すること、弾性ねじれ部材に隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って円筒形のチャンネルの開端部の中に軸受リングを挿入すること、並びに軸受リングに隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って円筒形のチャンネルの開端部の中にダイアフラムを挿入すること;v)クロージャ組立体の長手方向軸に沿って同軸に、クロージャ組立体の中を延在するクロージャ組立体の外径部分に沿って設けられる複数の第1の細長い外側圧縮部材を調整することであって、それにより、第1の圧縮リングに力を伝達し、それによりダイアフラムのリム部分及びダイアフラム・ガスケットに力を伝達し、それによりダイアフラムに対してダイアフラム・ガスケットを押し付ける、こと、並びに熱交換器エンクロージャに対してクロージャ組立体を固定するとき、クロージャ組立体の長手方向軸に沿って同軸に、クロージャ組立体の中を延在するクロージャ組立体の内径部分に沿って設けられる複数の第2の細長い内側圧縮部材を調整することであって、それにより第2の圧縮リングに力を伝達し、それによりダイアフラムの一部分に力を伝達してダイアフラムの一部分をクロージャ組立体から熱交換器組立体の弾性ねじれ部材の方へ遠位側に撓ませる、こと;vi)チューブシート、スリーブ部材、第1及び第2の圧縮リング、クロージャ組立体、並びにそれぞれの第1及び第2の細長い圧縮部材が、熱交換器エンクロージャに対してクロージャ組立体を固定するとき、予荷重、熱荷重、及び圧力荷重からの合計の軸方向荷重を限度として又はそれを超えて弾性を維持するように構成される;vii)細長い圧縮部材が予荷重を受けると、圧縮部材が第1の軸方向荷重経路を通して弾性ねじれ部材の第1の接触エリアに予荷重を与え、それにより弾性ねじれ部材を通るねじれ荷重経路を通して弾性ねじれ部材の第2の接触エリアに予荷重を伝達し、それにより第2の軸方向荷重経路を通してチューブシート・ガスケットに予荷重を伝達する;viii)ねじれ荷重が応力の増大及びねじれ回転の抵抗を受け、それにより弾性ねじれ部材の第1の接触エリアがチューブシートの方に移動することが可能になる;ix)クロージャ組立体が、円筒形の外側表面部分及び円筒形形状の内部部分を画定する円筒形形状のロック・リング部材の内部部分に同心的に固定されることになる外径を有する円筒形形状のカバー部材を位置決めすることを含み、外側表面部分がクロージャ組立体のロック組立体を装備する。
【0027】
別の態様では、円筒形の外側表面部分及び円筒形形状の内部部分を画定する円筒形形状のロック・リング部材を有する、熱交換器組立体の内部チャンバの開いているチャンネル端部に取り外し可能に固定されるように構成されるクロージャ組立体が提供される。外側表面部分が、熱交換器組立体の円筒形の内側表面部分の上に形成される対応するチャンネル差込孔セクションと相互嵌合するように構成される複数の離間されたロック・リング差込孔セクションを装備する。固定される円筒形形状のカバー部材がロック・リング部材の内部部分と同心である。加えて、クロージャ組立体が以下のうちの1つ又は複数をさらに有することができる:i)カバー部材がロック・リング部材に取り外し可能に固定され、ここでは、ロック・リング部材が、カバー部材の外径表面の上に設けられる協働するショルダ構成を受けるように構成されるショルダ構成を有する内径表面を有する;ii)各ロック・リング差込孔セクションがロック・リング部材の外側表面部分から所定の角度で延在し、熱交換器組立体の円筒形の内側表面部分の上に形成される各々のチャンネル差込孔セクションの中に設けられる角度のついた対応する差込孔セクションと相互嵌合するように構成される;iii)熱交換器組立体の内部チャンバの中へのクロージャ組立体の回転を停止させるように構成される、ロック・リング部材の上に設けられる上方に延在するフランジ部材;iv)ロック・リング及びカバー部材に隣接して配置されるように構成されるダイアフラム;v)ロック・リング部材の中に取り外し可能に固定可能である複数の調整可能な細長い外側ロック・リング圧縮部材であって、各々の細長い外側ロック・リング圧縮部材が、長手方向軸と同軸にロック・リング部材の中に形成されるそれぞれの孔を通過し、それにより第1の圧縮リングに力を伝達し、それによりダイアフラムのリム部分に力を伝達する、複数の調整可能な細長い外側ロック・リング圧縮部材、並びにダイアフラムに対して押し付けられるダイアフラム・ガスケットであって、その結果、管状の熱交換器組立体の内部チャンバに対してロック・リング部材を取り外し可能に固定するとき、細長い外側ロック・リング圧縮部材を調整することにより、ダイアフラムがダイアフラム・ガスケットと第1の圧縮リング部材との中間に配置される、ダイアフラム・ガスケット;vi)カバー部材の中に取り外し可能に固定可能である複数の調整可能な細長い内側カバー圧縮部材であって、熱交換器組立体の内部チャンバの開端部に対してクロージャ組立体が取り外し可能に固定されるとき、各々の細長い内側カバー圧縮部材が、長手方向軸と同軸にカバー部材の中に形成されるそれぞれの孔を通過し、それにより第2の圧縮リングに力を伝達し、それによりダイアフラムの一部分に力を伝達してそれによりダイアフラムの一部分をカバー部材から熱交換器組立体の内部チャンバの方へ遠位側に撓ませる;vii)熱交換器組立体の内部チャンバの開端部に対してクロージャ組立体を取り外し可能に固定するとき、第1及び第2の圧縮リング、圧縮ロッド、及び圧縮ボルトが、予荷重、熱荷重、及び圧力荷重からの合計の軸方向荷重を限度として又はそれを超えて弾性を維持するように構成される;viii)ロック部材の外側表面部分が、ロック・リング部材の長手方向軸に対して実質的に垂直に形成される直立方向の溝を装備し、この直立方向の溝が、熱交換器軸の長手方向軸に対して垂直に熱交換器組立体の内側表面部分内に形成される対応するノッチの中で摺動可能に受けられるように構成され、それにより熱交換器組立体の内側表面部分の中にロック・リング部材を挿入するのを容易にする。
【0028】
別の態様では、加熱及び冷却のシークエンス中に熱交換器エンクロージャの内部チャンバの中の内部構成要素の熱膨張差に対応するように構成される管状の熱交換器エンクロージャを有する熱交換器組立体のための動作方法が提供され、この動作方法が、熱交換器エンクロージャの内部チャンバ内で弾性ねじれ部材によって予荷重を受けることを含み、その結果、弾性ねじれ部材がねじれ荷重を受けて弾性的に撓んでそれにより予荷重に対応する。熱荷重が、熱交換器エンクロージャの内部チャンバ内の内部構成要素を異なるように熱膨張させるために熱交換器組立体によって受けられ、その結果、弾性ねじれ部材によって受けられるねじれ荷重が増大してさらに弾性的に撓んでそれにより熱荷重に対応する。加えて、熱交換器のための動作方法が以下のうちの1つ又は複数をさらに含むことができる:i)圧力荷重に対応することを目的として、熱交換器エンクロージャに取り外し可能に取り付けられたクロージャ組立体を弾性的に撓ませて弾性ねじれ部材を緩めることにより、弾性ねじれ部材によって受けられるねじれ荷重を低減するように圧力荷重を熱交換器エンクロージャの内部チャンバ内で受けること;ii)内部構成要素を異なるように熱膨張させることが、少なくとも、軸受リング、弾性ねじれ部材、及びスリーブ部材を塑性変形させることなく、少なくとも、軸受リング、弾性ねじれ部材、スリーブ部材、及びチューブシートの熱膨張差に対応することを含む;ii)弾性ねじれ部材に予荷重を与えるために細長い圧縮部材が使用され、その結果、圧縮部材が、第1の軸方向荷重経路を通して弾性ねじれ部材の第1の接触エリアに予荷重を与え、それにより弾性ねじれ部材を通るねじれ荷重経路を通して弾性ねじれ部材の第2の接触エリアに予荷重を伝達し、それにより第2の軸方向荷重経路を通してチューブシート・ガスケットに予荷重を伝達する;iii)弾性ねじれ部材は、弾性ねじれ部材がスリーブ部材に接触する場所である第1の接触エリアにおいて、及び弾性ねじれ部材が軸受リングに接触する場所である第2の接触エリアにおいて、枢動するように構成される;iv)細長い熱交換器エンクロージャ内に形成されるチャンネル・ショルダ構成に隣接して配置するように、細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って、開いている円筒形チャンネル端部の中にチューブシート・ガスケットを軸方向に挿入すること、細長い熱交換器エンクロージャの内部チャンバの中にシェル側及びチャンネル側を画定するために、チューブシート・ガスケットに隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中にチューブシートを軸方向に挿入することであって、内部チャンバが内部チャンバのシェル側内に配置されるチューブ・バンドルを取り外し可能に受けるように構成される、こと、チューブシートに隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中に環状スリーブ部材を軸方向に挿入すること、スリーブ部材に隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って開いている円筒形チャンネル端部の中に弾性ねじれ部材を挿入すること、弾性ねじれ部材に隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って円筒形のチャンネルの開端部の中に軸受リングを挿入すること、並びに軸受リングに隣接して配置するように細長い熱交換器エンクロージャの長手方向軸に沿って円筒形のチャンネルの開端部の中にダイアフラムを挿入すること;v)内部チャンバの開端部分にクロージャ組立体を添着することであって、クロージャ組立体が撓むことができるダイアフラム及び軸受リングを有し、また、弾性ねじれ部材に予荷重を与えるための機構をさらに有する、こと。
【0029】
以下の説明及び添付図面から、本明細書で説明されるクロージャ組立体のこれらの及び他の独自の特徴がより容易に明らかとなる。
【0030】
開示されるシステム及び方法の属する当技術分野の当業者が、示される特定の実施例による種々の非限定の例としての発明の態様を示す同システム及び同方法を如何にして作って使用するかを容易に理解できるようにするためには、図面が参照され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】米国特許第4,750,554号で説明される、従来技術の管状の熱交換器-クロージャ組立体を示す部分断面図である。
【
図1B】示される実施例に従って構成された管状の熱交換器-クロージャ組立体を示す部分断面図である。
【
図2】示される実施例による弾性ねじれ部材を示す、
図1Bの分解部分断面図である。
【
図3】示される実施例による圧縮されたダイアフラム・シールを示す分解部分断面図である。
【
図4】示される実施例による、
図1Bのロック・リング部材を示す部分斜視図である。
【
図5】
図1Bの熱交換器の開いているチャンネル端部分の内径を示す部分斜視図である。
【
図6】示される実施例による、
図5の熱交換器の開いているチャンネル端部分の中に線形的に挿入された
図4のロック部材を示す部分斜視図である。
【
図7】別の示される実施例による、複数の弾性ねじれ部材を有する管状の熱交換器-クロージャ組立体を示す部分断面図である。
【
図8】別の示される実施例による、Bスタイルの熱交換器クロージャ・プラグ組立体を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、本発明の示される特定の実施例を示す添付図面を参照して本発明をより完全に説明する。当業者には認識されるであろうが、以下で説明される示される実施例が種々の形態で具現化され得る単に本発明の例示であることを理由として、本発明は示される実施例のみに限定されることは一切ない。したがって、本明細書で開示されるいかなる構造的細部及び機能的細部も限定的であると解釈されず、単に、特許請求の範囲のための土台として及び本発明を多様な形で採用することを当業者に教示するための典型例として解釈されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語及びフレーズは限定的であることを意図されず、むしろ本発明の理解可能な説明を提供することを意図される。
【0033】
特に明記しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語が、本発明の属する当技術分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書で説明される方法及び材料と同様の又はそれらと等価の任意の方法及び材料が本発明の実施及び試験でも使用され得るが、ここでは例示の方法及び材料が説明される。本明細書で言及されるすべての特許公報は、公報を引用するときの関連の方法及び/又は材料を開示して説明するために、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合の単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明確に他の意味を意味しない限り、複数の対象物も含む、ことに留意されたい。したがって、例えば、「a stimulus(刺激)」を参照することは、複数のこのような刺激(stimuli)も含み、「signal(信号)」を参照することは、当業者に既知の1つ又は複数の信号(signals)及びその均等物を参照することも含む、などである。
【0035】
本開示を不明瞭にするのを回避するために、よく知られる構成要素、材料、又は方法は必ずしも詳細に説明されるわけではない。本明細書で開示されるいかなる具体的な構造的細部及び機能的細部も限定的であると解釈されず、単に、特許請求のための土台として及び本発明を多様な形で採用することを当業者に教示するための例示の土台として解釈される。
【0036】
ここでは本開示をより完全に説明するが、本開示のすべての実施例が必ずしも示されるわけではない。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正形態が作られ得る。
【0037】
本発明が、従来技術の熱交換器クロージャ組立体に付随する問題のうちの多くの問題を解消するものであることを認識されたい。例えば、
図1Aを参照すると、米国特許第4,750,554号で説明されているような、シェルアンドチューブ熱交換器のための従来技術のクロージャ組立体が描かれている。シェルアンドチューブ熱交換器の1セクションが示されており、ここではシェル及びチャンネルが管状バンドルを含む。チャンネルが、流体がバンドルのチューブに出入りするためのアクセス経路を提供するポートを有する。端部クロージャ組立体又は「プラグ」が、ロック・リング9及びカバー19から構成され、それによりダイアフラム8及びダイアフラム・ガスケット10を組み込む。クロージャ・プラグ組立体が取り外し可能であり、それにより、取り外し可能な管状バンドルを挿入すること及び引き抜くことが可能となり、一方で、タイト・シールを維持すること及び高圧力下で生じる荷重を吸収することも可能となる。熱交換器の開いているチャンネルが、クロージャ・プラグ組立体(すなわち、カバー19及びロック・リング9)によりその端部のところで閉じられる。ロック・リング部材9が、ボルト11及び圧縮リング20を使用してガスケット10を圧縮することによりダイアフラム8に対して交換器チャンネルを密閉するための機構を含む。
【0038】
シェル側の流体が、チューブシート1及びチューブシート・ガスケット6により、チューブ(図示せず)に入るチャンネルの流体から分離される。通常、熱交換器が、2つの通路を有するチューブ側の流れ構成に対応するためのパーティション組立体を必要とする。パーティション組立体が、チャンネル入口ノズルから2つ以上のチューブ通路を通して出口ポートまで流体を誘導するために、スリーブ部材2、パーティション・プレート3、パーティション・カバー4、及び/又はリング17を有することができる。当業者であれば、パーティションが入口又は出口のいずれに適用されてもよいことを認識するであろう。
【0039】
継続して
図1Aの従来技術の熱交換器を参照すると、ロック・リング部材9が、ねじ部を使用して、熱交換器のシェルのチャンネルに対して固定され、ここではロック・リング9が雄ねじを有し、チャンネルが対応する雌ねじを有する。ねじ部が耐荷重面であり、その結果、熱交換器を組み立てるとき、ねじ部がボルトの予荷重を吸収することを理解及び認識されたい。さらに、熱交換器の運転中、流体静力学的荷重がプラグ・カバー組立体19に加えられ、この流体静力学的荷重が上で言及したねじ部に直接に伝えられる。
【0040】
次に
図1Bを参照すると、全体として参照符号100を付される、本発明の示される実施例に従って構成された管状の熱交換器-クロージャ組立体の部分断面図が示されている。
図1Aの従来技術の熱交換器と同様に、熱交換器100がエンクロージャ70を有するシェルアンドチューブ熱交換器であり、ここでは、エンクロージャ70がチャンネル部材7と一体に形成されるか又はチャンネル部材7に接合されるシェル部材15を有し、ここでは、エンクロージャ70がチューブ・バンドル(図示せず)を受けるように構成される。熱交換器チャンネル部材7が、好適には、挿入されたバンドルのチューブに流体流れが出入りするためのアクセス経路を提供する少なくとも2つのポートを有する。端部クロージャ組立体又は「クロージャ・プラグ」が、好適には、環状ロック・リング部材9、圧縮リング21及び22、並びに環状カバー部材19から構成される。さらに、ダイアフラム8及びダイアフラム・ガスケット10が含まれる。クロージャ・プラグが取り外し可能であり、それにより、取り外し可能な管状バンドルを挿入すること及び引き抜くことが可能となり、一方で、熱交換器100の運転中に、タイト・シールを維持すること及び高圧力下で生じる荷重を吸収することも可能となる。チャンネル部材7の開端部がクロージャ・プラグ(例えば、カバー19及びロック・リング9)によって閉じられる(密閉される)。ロック・リング部材9が、好適には、ボルト12、プッシュ・ロッド14、及び圧縮リング21を使用して、ガスケット10を圧縮することにより、ダイアフラム8に対して熱交換器チャンネル7を密閉するための手段を含む。
図1Bに示されるように、カバー部材19がロック・リング部材9に取り外し可能に固定され、その結果、ロック・リング部材9が、カバー部材9の外径表面の上に設けられる協働する皿穴構成を受けるように構成される皿穴構成を有するように好適には形成される内径表面を有する。示される実施例によると、カバー部材19の最も小さい内径が、好適には、ロック・リング部材9の最も大きい外径より小さく、それによりそれらの間に皿穴構成が形成される。
【0041】
継続して
図1Bを参照すると、シェル側の流体流れが、チューブシート1及びチューブシート・ガスケット6により、チューブ(図示せず)に入るチャンネルの流体流れから分離される。熱交換器100が、通常、2つの通路を有するチューブ側の流れ構成に対応するためのパーティション組立体を必要とする。しかし、本開示の本発明の態様が単一通路の熱交換器又は2つの通路以上の通路を備える熱交換器と共に使用されてもよいことを当業者であれば認識するであろう。パーティション組立体が、この実施例では、チャンネル入口ノズルから2つ以上のチューブ通路を通して出口ポートまで流体を誘導するために、スリーブ部材2、パーティション・プレート3、及びパーティション・カバー4を有する。パーティションが入口又は出口のいずれに適用されてもよいことが理解されよう。
【0042】
クロージャ・プラグ組立体のロック・リング部材9が、形成される差込孔セクション23A及び23Bから好適には構成されるバヨネット・スタイルのロック組立体を好適には使用して、熱交換器100のシェルのチャンネル7の開端部分に対して固定される。ここで
図4~6を参照すると(及び、
図1Bを継続して参照すると)、ロック・リング部材9が、好適には、リング部材9の円周方向の外側表面部分の上に形成される差込孔セクション23Aを有するように形成され、各差込孔セクション23Aが部分的円筒形の差込孔を有さないセクション24Aによって分離される。同様に、熱交換器100のチャンネル7の開端部分が、好適には、部分的円筒形の差込孔を有さないセクション24Bによって分離される、熱交換器チャンネル7の内側の円周方向の端部分の上に形成される差込孔セクション23Bを有するように形成される。ロック・リング9の複数の離間されたロック・リング差込孔セクション23Aが、熱交換器100のチャンネル7の円筒形内側表面部分の上に形成される対応するチャンネル差込孔セクション23Bと相互嵌合するように構成される。
【0043】
示される実施例によると、熱交換器100のチャンネル7の端部分内でのクロージャ・プラグ部材(例えば、リング部材9及びカバー部材19)の組み付け中、ロック・リング部材9が、熱交換器100の内部チャンバの長手方向軸に沿って同軸に、開いている円筒形チャンネル端部7の中に挿入され、その結果、リング部材9、及び熱交換器100の開いている円筒形チャンネル端部7の内径の、各々の耐荷重面、その結果、上で言及した従来技術の構造及び方法とは異なり、クロージャ・プラグ組立体のリング部材9と熱交換器100との間で荷重が伝えられない。細長い熱交換器100との係止的な係合のためにロック・リング部材9が旋回させられた後でのみ、熱交換器100からクロージャ・プラグ部材まで荷重が伝えられる。これが、細長い熱交換器100の内部チャンバの長手方向軸を中心としてクロージャ・プラグ組立体のリング部材9を旋回させて、リング部材9の差込孔セクション23Aを、熱交換器100の開いている円筒形チャンネル端部7の内径の上に設けられる協働する差込孔セクション23Bに取り外し可能に固定し、それにより熱交換器100のチャンネル7からクロージャ・プラグ組立体のリング部材9への荷重の伝達を容易にすることにより、達成される。リング部材の差込孔セクション23Aを、熱交換器100の開いている円筒形チャンネル端部7の内径部分の上に形成される対応する差込孔セクション23Bに取り外し可能に固定する(相互嵌合させる)のに、リング部材9が360度未満で旋回させられることを認識されたい。一実施例では、リング部材9が約22.5度旋回させられ、ここでは、各差込孔セクション23A及び23Bが、それらをそれぞれ形成しているところであるリング部材9の円周部分及び熱交換器100の開いている円筒形チャンネル端部7に沿って約22.5度にわたって延在する。
【0044】
他の実施例では、ロック・リング部材9及びカバー部材19が単一の一体構成要素となるように一体化されてもよいことをさらに認識されたい。加えて、他の実施例では、ロック・リング部材9が2つ以上の構成要素に分割されてもよい。別の実施例では、差込孔セクション23A及び23Bが、ロック・リング部材9の一部分のところで互いに異なる形状又はデザインを有してもよい。
【0045】
示される実施例によると、上記の差込孔構成が8つのセクションとなるよう構成され得、その結果、リング部材9の上に及び熱交換器100の開いている円筒形チャンネル端部7の内径の上にそれぞれ設けられる、8つの差込孔セクション(23A及び23B)及び8つの差込孔を有さない領域(24A及び24B)が存在する。しかし、本開示の本発明の態様から逸脱することなく、差込孔領域の数が変化してよいことを当業者であれば容易に認識するであろう。例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の差込孔を有さない領域と組み合わされる、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の差込孔領域が存在し得る。
【0046】
熱交換器の開いているチャンネル7に対してのクロージャ・プラグの組み付け中、上述した従来技術とは対照的に、差込孔23A及び23Bの耐荷重面が、熱交換器チャンネル7の中へのクロージャ・プラグ組立体の挿入中に損傷することがない。また、この構成により、熱交換チャンネル7に対してダイアフラム8が適切に位置合わせされることが保証される。加えて、上記の差込孔セクション23A及び23Bが、回転時にクロージャ・プラグ組立体を熱交換器100のチャンネル7の中へ内側に軸方向に前進させるようなねじピッチを有するように形成(例えば、機械加工)され得ることを認識されたい。
【0047】
図4~6を継続して参照すると、特定の実施例によると、直立方向のレール部材25がチャンネル差込孔23B又はロック・リング差込孔23Aに隣接するように、或いはその両方に隣接するように形成され、それにより挿入中に差込孔23A、23Bを任意の金属表面に接触させるのを防止する。ロック・リング部材9の上にレール25を設けることが好ましい可能性があることを認識されたい。その理由は、製作中に熱交換器100のチャンネル7が独立して回転させられ得ないのに対してロック・リング9が独立して回転させられ得ることで、製作が容易になり得るからである。
【0048】
示される別の実施例によると、直立方向の環状停止部材26(フランジ)がロック・リング部材9の上に設けられ得、これが本明細書で参照されるダイアフラム8のロケーションに対応する。停止部材26が、好適には、ロック・リング部材9の外周部の周りを延在し、それにより、ロック・リング9を定位置まで回転させたときに形成される差込孔を有さないスロット形状の空洞が確実に覆われるようになり、異物が入ることができなくなる。これにより、外部測定に基づいて「推定」するのを必要とすることなく、カバー部材19及びダイアフラム8が正確に位置決めされることが促進されることに留意されたい。これは、変化を取り入れることができる旋回数及びねじピッチによりロック・リング部材のロケーションが決定され得るような従来技術のスクリュー・プラグ・デザインとは対照的である。ロック・リング9を定位置まで回転させたときに形成される差込孔を有さないスロット形状の空洞が確実に覆われるようにして異物が入ることができなくするために、他の構成が提供されてもよいことを理由として、
図6に示される停止部材26の構成が例示の構成として理解されるものであることを認識されたい。
【0049】
図4~6に示されるように、差込孔セクション23A、23Bが、好適には、熱交換器100のロック・リング部材9及びチャンネル7の長手方向軸に対して垂直となるように位置合わせされる。他の実施例では、差込孔セクションがロック・リング部材9及び熱交換器100のチャンネル7の長手方向軸に対してある角度で形成(例えば、機械加工)され得、その結果、ロック・リング部材の回転時に、ロック・リング部材9がチャンネル7の中へよりわずかな距離で前進するようになる。ロック・リング部材9の長さ及びチャンネル7の組立体がロック・リング部材9をチャンネル7の中へ自由に挿入するのを可能にし、且つロック・リング部材9及びチャンネル7の差込孔セクション23A及び23Bが互い対応していることを条件として、差込孔セクション23A及び23Bのための差込孔のサイズ及び形状がすべての差込孔セクションにおいて等しくなる必要がないことをさらに認識されたい。
【0050】
次に特に
図6を参照すると、クロージャ・プラグ組立体のロック・リング部材9が熱交換器のチャンネル7の開端部の中に挿入されて示されている。ロック・リング部材9がチャンネル7の中に挿入され、その結果、ロック・リング9及びチャンネル7のそれぞれの差込孔を有さない領域24A、24Bが差込孔領域23A、23Bを摺動させて通過させるのを可能にすることが認識されよう。例えば、クロージャ・プラグ組立体が、最終的なロック状態の向きから約22.5°の角度で熱交換チャンネル7の中に装着され得(ロック・リング部材9)、その結果、ロック・リング9及びチャンネル7のそれぞれの差込孔を有さない領域24A、24Bが差込孔領域23A、23Bを摺動させて通過させるのを可能にし、その結果、耐荷重面がレールに接触することが防止される。クロージャ・プラグ部材が熱交換器のチャンネル7の中に完全に挿入されると、クロージャ・プラグ部材がロック位置まで回転させられる。例えば、クロージャ・プラグ組立体がロック位置まで時計回りに22.5°旋回させられ得る。この回転は多様な手法で達成され得、例えば、ロック・リング部材9を手動で旋回させるのに十分な、てこの作用を提供するためにロック・リング部材9にボルトで留められる棒を使用するか、上向きの接線力を提供するためにロック・リング部材9に取り付けられるケーブル及びクレーンを使用するか、或いは熱交換器チャンネル7に据え付けられる円形ラック・ギア及びロック・リング部材9に据え付けられる対応するピニオン・ギアを使用する(ピニオン・ギアを旋回させるのにレバーが使用され、それによりロック・リング部材9を回転させるための接線力が加えられる)。別の安全性のための特徴が提供されてもよく、ここでは、ロック・リング部材9の1つの差込孔のセットの中にノッチ27が設けられ、熱交換器のチャンネル7の開端部分の中に対応するガイド・ノッチ28が形成され、それによりロック・リング部材7がチャンネル7を基準として1つの向きのみで挿入され得るようになる。
【0051】
図4を参照すると、ロック・リング9及びチャンネル7の外側部分にある印が、ロック・リング部材9の正確な向きをさらに強調しており、直立方向のストッパ部材29が差込孔を有さない領域24Bに隣接するようにチャンネル7の開端部分の中に形成され得、差込孔セクション23A内に設けられるレール27の幅より大きい幅を有し、それにより、それぞれの差込孔23A及び23Bが挿入中に誤って回転したり永久的に係合されたりし得なくなり、一方でロック・リング9の挿入を誘導するのも補助し、その結果、差込孔23A及び23Bが保護される状態を維持する。
【0052】
次に
図1B及び
図3を参照すると、ダイアフラム8が好適にはチャンネル・カバー部材19に係合され、その結果、熱交換器のチャンネル7内の流体流れからの圧力荷重がダイアフラム8を横断してチャンネル・カバー部材19まで伝達される。さらに、チャンネル・カバー部材19にかかる圧力荷重がロック・リング部材9に伝達される。チャンネル7が好適にはダイアフラム・ガスケット10によって密閉される。ダイアフラム・ガスケット10が、好適には、ロック・リング部材9の外側の列に沿って軸方向に設けられる複数の圧縮ボルト12及びプッシュ・ロッド14(まとめて「圧縮部材」と称する)によって圧縮され、複数の圧縮ボルト12及びプッシュ・ロッド14がロック・リング部材9内に好適には形成されるねじ孔を通過している。これらの圧縮ボルト12及びプッシュ・ロッド14が、ロック・リング部材9及びダイアフラム8の中間に設けられる緩んだ状態の外側圧縮リング21を介して、ダイアフラム8のリム部分及びそのダイアフラム・ガスケット10に力を伝達する。後で説明するように、弾性ねじれ部材60及び軸受リング50の直径により必要に応じて、内側の列の圧縮ボルト11、13が、環状カバー部材19又はロック・リング9の部材のいずれの半径に沿って位置してもよいことを理解されたい。
【0053】
ダイアフラム8が好適にはボルトの予荷重下で及び内部圧力下で特定の量だけ撓むように構成され、ここでは、クロージャ・プラグ部材組立体が熱交換器100のチャンネル7の中へ内側に軸方向に十分には挿入されていない場合、ロック・リング部材9の外側の列のプッシュ・ボルト14がダイアフラム・ガスケット10により密閉するためにさらに前進させられることを必要とし、カバー部材19の内側の列のプッシュ・ボルト13がチューブシート・ガスケット6により密閉するためにさらに前進させられることを必要とし、それにより、チャンネル7に圧力が加えられるときにダイアフラム8がより大きく変形するようになる。製造中、クロージャを適切に配置するのに機械加工公差を確実に許容し得るものとするために寸法検査が実施され得る。製造後、シムがダイアフラム8とクロージャ・プラグ組立体との間に加えられ得る。別法として、クロージャ・プラグ組立体上の差込孔が、回転時にクロージャ・プラグ組立体を熱交換器100のチャンネル7の中へ内側に軸方向に前進させるようなピッチを有するように機械加工され得る。ダイアフラム8に接触させるまでクロージャ・プラグ組立体を回転させて、次いで外側の列のプッシュ・ボルト14を前進させてガスケット21を圧縮して、次いで外側の列のプッシュ・ボルト14を後退させることにより、クロージャ・プラグ組立体とダイアフラム8との間の隙間を最小にするようにクロージャ・プラグがさらに回転させられ得る。寸法検査が実施されると、クロージャ・プラグ組立体が1回の線形的な動作で熱交換器100のチャンネル7の中に挿入され、これが、チューブ・バンドルを取り扱うのに既に必要であったような、フォーク・リフト・トラック、クレーン、又は他の装置の組合せを使用して達成され得、上で言及した従来技術とは対照的に特別な工具類及び装置が必要ない。
【0054】
ここで
図1B及び
図3を参照すると、組立て中、カバー部材19の内側の列の圧縮ボルト13が締め付けられると、軸方向荷重がプッシュ・ロッド11を介して緩んだ状態の(内側)圧縮リング22に伝えられ、ダイアフラム8を通して、軸受リング50と、弾性ねじれ部材60と、スリーブ部材2とから構成されるチューブシート装着組立体に伝えられ、その結果、チューブシート・ガスケット6がチューブシート1の後面及びシェル15に押し付けられることを認識されたい。この軸方向荷重は予荷重と称される。この予荷重が、熱交換器100のシェル側とチューブ側との間の圧力差を原因とする漏洩を防止することを認識されたい。
【0055】
上で言及したチューブシート装着組立体が、好適には、チャンネル7と、チューブシート1と、上記のチューブシート装着組立体(例えば、軸受リング50、弾性ねじれ部材60、及びスリーブ部材2)との間での熱膨張差を引き起こす熱荷重に対応することをさらに認識されたい。熱膨張差は2つのメカニズムによって引き起こされる。第1のメカニズムは、スリーブ部材2によりチャンネル7から大部分が遮蔽されるが内部構成要素に密に接触しているプロセス流体流れが高温であることを理由として、及びチャンネル7において周囲環境への熱損失が存在すること又は流体温度が迅速に変化して比較的薄い内部構成要素の温度が比較的厚いチャンネルより迅速に変化することを理由として、チャンネル7が、チューブシート1より、及びチューブシート装着組立体(例えば、軸受リング50、弾性ねじれ部材60、及びスリーブ部材2)より、低温であるときのメカニズムである。このような状態は、起動時(加熱時)に、アップセット中又はプラント・トリップ中に、及びその後の運転温度の回復中に、必然的に生じるものである。第2のメカニズムは、チャンネル7を形成するのに使用される材料が、チューブシート1及びチューブシート装着組立体(例えば、軸受リング50、弾性ねじれ部材60、及びスリーブ部材2)のために使用される材料より低い熱膨張係数を有する場合のメカニズムである。例えば、これは、チャンネル7のために炭素鋼が使用され、熱交換器の内部の構成要素のためにステンレス鋼が使用される場合によく見られるものである。
【0056】
チューブシート1及びチューブシート装着組立体(例えば、軸受リング50、弾性ねじれ部材60、及びスリーブ部材2)の全熱膨張がチャンネル7の全熱膨張がチャンネル7の全熱膨張より大きい場合、生じる熱膨張差が熱交換器100内での変形によって対応されなければならない。圧力を安全に格納するのに必要であるチャンネル7の比較的高いスティフネスにより、変形は主としてチューブシート装着組立体(例えば、軸受リング50、弾性ねじれ部材60、及びスリーブ部材2)内の比較的低スティフネスの部材で起こる。この変形によって生じる応力が部材の降伏応力を超える場合、回復不可の変形すなわち塑性変形が起こる。熱交換器100の内部チャンバの中に流体が入るのを可能にするためのスリーブ部材2の中に形成される貫通孔が存在することにより、スリーブ部材2は全体として一様なスティフネスを有さない。したがって、熱荷重によりスリーブ部材2が非一様に塑性変形する可能性があり、その結果、内側の列の圧縮ボルト13を単純に再び締め付けてもガスケット22にかかる荷重が復元され得ない。熱荷重が正常に戻ると、チューブシート装着組立体(軸受リング50、弾性ねじれ部材60、及びスリーブ部材2)内に残る軸方向圧縮荷重が、カバー部材の圧縮ボルト13を締め付けるときに加えられる荷重未満まで低下する。この荷重は、塑性変形が非常に大きい場合、チューブシート・ガスケット6を密閉するのに必要な最小の荷重未満まで低下する可能性がある。これにより、熱交換器100のシェル側とチューブ側との間に望ましくない漏洩が生じる。
【0057】
示される実施例によると、熱交換器内で塑性変形を生じさせることなく熱膨張差に対応するために、以下で説明されるコンプライアント部材が提供される。コンプライアント部材は、
図1B及び2に示されるように、弾性ねじれ部材60を実装することによって得られる。示されるように、環状の弾性ねじれ部材60が好適には、その外径に近いところにおいて、外周部分の、第1の接触エリア61のところで、チューブシート1に対向する側でスリーブ部材2に接触し、また、その内径に近いところにおいて、内周部分の、第2の接触エリア63のところで、ダイアフラム8に対向する側で軸受リング50に接触する。内側圧縮ボルト13が予荷重を受けると、軸方向の力が、上で言及した接触エリア61及び63のところで、弾性ねじれ部材60を通して伝達される。弾性ねじれ部材60の多様な半径のところに加えられるこれらの力が弾性ねじれ部材60にかかるねじれ荷重を生じさせ、その結果、その内周部がその外周部に対して軸方向に撓んで弾性ねじれ部材60を捻じることができ、その結果、このねじれ荷重が応力の増大及びねじれ回転の抵抗を受け、それにより弾性ねじれ部材60の外径がクロージャ・プラグ組立体のダイアフラム8の方に移動すること及びその内径がチューブシート1の方に移動することが可能となる。
【0058】
軸受リング50が、回転中に弾性ねじれ部材60に接触して損傷しないようにダイアフラム8を保護することを認識されたい。熱交換器100の運転中、圧力荷重が、クロージャ・プラグ組立体をチューブシート1から離すように変形させることにより、弾性ねじれ部材60にかかる荷重を低下させるが、熱膨張差によりこの荷重が増大することになる。弾性ねじれ部材60が、必要とされる最大限の熱膨張差に達するまで、上方に弾性的に変形するように設計及び構成されることを理解されたい。熱交換器の運転中に荷重がこの最大閾値未満を維持する場合、熱荷重及び圧力荷重が取り除かれると弾性ねじれ部材60の荷重が初期の予荷重に戻ることになる。示される実施例によると、弾性ねじれ部材60が25mmから75mmの間の撓み範囲を有するように形成され得る。しかし、弾性ねじれ部材60は、熱交換器100の寸法サイズの規模に応じて構成され得ることを理由として上記の撓み範囲のみに限定されるものとして理解されるべきではない。しかし、プロセス流体の意図されない熱サイクル中などで、過度に熱膨張差が発生すると、弾性ねじれ部材60が、クロージャ・プラグ組立体に加えられる荷重を制限するように塑性変形し、それによりクロージャ・プラグ組立体の及び/又はダイアフラム8によって提供されるシールの故障を防止する。熱荷重及び圧力荷重が取り除かれると、弾性ねじれ部材60にかかる荷重が初期の予荷重未満まで低下することになり、またゼロ程度まで低下する可能性もあることを認識されたい。弾性ねじれ部材60が、腐食作用、クリープ、及び高温時での強度損失を受けないような材料で形成され得、好適には、インコネル625及びインコネル718を含む(しかし、これらのみに限定されない)高ニッケル合金で形成され得る。
【0059】
次に
図2を参照して、弾性ねじれ部材60の設計のための例示の関連寸法を説明する。寸法「a」が弾性ねじれ部材60の外径であり、寸法「b」が弾性ねじれ部材60の内径であり、寸法「h」が弾性ねじれ部材60の高さであり、寸法「t」が弾性ねじれ部材60の厚さであることを理解されたい。寸法「a」が、熱交換器100のチャンネル7によって画定される内径より小さく、それにより荷重下での径方向の熱膨張及び回転のためのクリアランスを提供する。軸方向荷重により弾性ねじれ部材60の中にねじれ荷重を生じさせるために、比a/bが1より大きく、好適には3未満である。寸法「h」は、予荷重及び動作荷重(圧力荷重及び熱荷重)が加えられるときのその弾性撓み限界の約50%である。寸法「t」は、軸方向の荷重を、予荷重による変位と設計上の熱膨張差との合計値により弾性ねじれ部材60を圧縮するときにチューブシート・ガスケット6にかかる許容される最大荷重未満にするように選択され、その結果、弾性ねじれ部材60が弾性的に変形することになる。弾性ねじれ部材60の材料は、この許容される最大荷重を超えて塑性変形するように、選択される。チューブシート1、スリーブ部材2、軸受リング50、圧縮リング22、圧縮ロッド11、及び圧縮ボルト13が、予荷重、熱荷重、及び圧力荷重からの合計の軸方向荷重を限度として又はそれを超えて弾性を維持するように設計されることを認識されたい。
【0060】
示される実施例(例えば、
図2及び
図3)では、弾性ねじれ部材60が丸みのある角部分を有する四角形断面を有するものとして理解されるべきであることを認識されたい。示される代替の実施例では、長方形形状又は概して丸みのある側面を有する形状を含めた、弾性ねじれ部材60のための他の断面構成が使用されてもよい。加えて、本明細書で示される実施例では、チューブシート装着組立体が単一の弾性ねじれ部材60を有する。いくつかの実施例では、チューブシート・ガスケット6に加えられる最小の圧力及びダイアフラム8に適用される最大変位のための設計要求を満たすために、弾性ねじれ部材60が高いスティフネスを有するように設計され得、その結果、塑性変形せずに最大熱膨張が対応され得ないようになることを理解されたい。このような例では、2つ以上の弾性ねじれ部材60が連続するように(すなわち直列に)積み重ねられ得、それにより熱膨張能力を向上させる。例えば、
図7が、3つの弾性ねじれ部材60を使用するデザインを示す。奇数個の弾性ねじれ部材60が利用される場合、内側圧縮ボルト(11、13、及び22)が、カバー・プレート部材19の中に設けられる一般的なボルト円半径(bolt circle radius)の中にあってよいことを認識されたい。偶数個の弾性ねじれ部材60が利用される場合、内側圧縮ボルトは、好適にはロック・リング部材9の中のより大きいボルト円半径のところに位置する。さらに、複数の弾性ねじれ部材60を有するデザインでは、好適には互いのアライメントを維持するためのアライメント・リングが含まれる。
【0061】
次に
図3を参照すると、圧縮ボルト13及び14が予荷重を受けて熱交換器100のチャンネル7から圧力が加えられた後のダイアフラム8の挙動が示されている。示されるように、ダイアフラム・ガスケット10のところで、圧縮リング21がクロージャ・プラグ組立体のロック・リング部材9から離れるように変位させられ、それによりダイアフラム8及びダイアフラム・ガスケット10を圧縮する。熱交換器100のチャンネル7から圧力が加えられると、ダイアフラム8が、領域31内でロック・リング部材9及びカバー・プレート部材19に接触する状態で静止するまで、変形させられる。これにより、ダイアフラム8内の、圧縮リング21の半径より小さい半径のところに高曲げひずみエリアが形成される。ダイアフラム8が破裂するのを防止するために、圧縮リング21が好適には幅広であり、曲げひずみを低減するための湾曲表面を有するように形成される。
【0062】
外側圧縮リング21と同様に、内側圧縮リング22がクロージャ・プラグ組立体のカバー部材19から離れるように変位させられ、それによりダイアフラム8及びチューブシート装着組立体を圧縮する。示されるように、熱交換器のチャンネル7から圧力が加えられると、ダイアフラム8が内側圧縮リング22の両側で湾曲し、それによりダイアフラム8の中に2つの高曲げひずみエリアが形成される。ダイアフラム8が破裂するのを防止するために、やはり内側圧縮リング22が幅広に作られ得、曲げひずみを低減するための湾曲表面を与えられ得る。
【0063】
上述の示される特定の実施例では、具体的な用途のために、別個の形で、組み合わされる形で、又は選択的に組み合わされる形で、本明細書で説明される種々の非限定の実施例が使用され得ることを認識されたい。さらに、上記の非限定の実施例の種々の特徴のうちのいくつかの特徴は、説明される他の特徴の対応する使用なしで使用されてもよい。したがって、上記の説明は、本発明の原理、教示、及び例示の実施例の単に例示として見なされるべきであり、本発明を限定するものとして見なされるべきではない。
【0064】
例えば、Aスタイル及びBスタイルのブリーチロック・クロージャが存在する。上で示される実施例はフィード・エフルエント・タイプの用途で通常使用されるAスタイルに関連し、ここでは、シェル側の流体及びチューブ側の流体が独立し、その結果、チューブシートが圧力差のみのために設計され得る。しかし、示される実施例は、Bスタイルのクロージャも包含することから、このようなAスタイルのブリーチロック・クロージャのみに限定されるものとして理解されるべきではなく、Bスタイルのクロージャでは、例えば
図8に示されるように、チューブシートがチャンネルに溶接され、チューブシート・ガスケットを装着する必要がなく、したがって内側の列のボルトが存在しない。さらに、示される実施例が、内部の密閉を達成するための多様な従来技術の方法と共に利用され得ることを理解されたい。
【0065】
上述の配置構成が示される実施例の原理の適用の単に例示であることを理解されたい。示される実施例の範囲から逸脱することなく多数の修正形態及び代替の配置構成が当業者によって案出され得、添付の特許請求の範囲はこのような修正形態及び配置構成を包含することを意図される。
【外国語明細書】