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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160893
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6461 20110101AFI20231026BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20231026BHJP
【FI】
H01R13/6461
H01R12/71
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141127
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2019222578の分割
【原出願日】2019-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】染谷 敏行
(72)【発明者】
【氏名】笹山 直人
(72)【発明者】
【氏名】宮本 竜之介
(72)【発明者】
【氏名】有近 謙太
(57)【要約】
【課題】シールド効果を高くし、クロストークを確実に低減し、信頼性が高くなるようにする。
【解決手段】第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、前記第1コネクタ及び第2コネクタの各々は4つの補強金具を有し、該補強金具は、相互に接続されている端壁覆部及び側壁覆部を有し、前記端壁覆部は第1外カバー部を有し、前記側壁覆部は第2外カバー部を有し、前記第1外カバー部及び第2外カバー部は、それぞれ、接続足部を有し、前記第1コネクタの各補強金具は、該各補強金具に対向する前記第2コネクタの各補強金具に接触する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタ及び第2コネクタの各々は4つの補強金具を有し、
該補強金具は、相互に接続されている端壁覆部及び側壁覆部を有し、
前記端壁覆部は第1外カバー部を有し、前記側壁覆部は第2外カバー部を有し、
前記第1外カバー部及び第2外カバー部は、それぞれ、接続足部を有し、
前記第1コネクタの各補強金具は、該各補強金具に対向する前記第2コネクタの各補強金具に接触する、コネクタ組立体。
【請求項2】
前記端壁覆部の第1外カバー部の接続足部は、前記第1コネクタ又は第2コネクタの長手方向外側に位置し、
前記側壁覆部の第2外カバー部の接続足部は、前記第1コネクタ又は第2コネクタの幅方向外側に位置する請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項3】
前記接続足部の下面は、前記第1コネクタ又は第2コネクタに取付けられる端子のテール部の下面とほぼ面一である請求項1又は2に記載のコネクタ組立体。
【請求項4】
前記第1コネクタの側壁覆部は傾斜弾性腕部を有し、該傾斜弾性腕部は前記第2コネクタの側壁覆部の第2外カバー部と接触する請求項1又は2に記載のコネクタ組立体。
【請求項5】
前記端壁覆部は上面部を介して前記側壁覆部に接続され、前記第1外カバー部及び第2外カバー部は、それぞれ、前記上面部における前記第1コネクタ又は第2コネクタのハウジングの外側端縁から下方に向けて延在する請求項1又は2に記載のコネクタ組立体。
【請求項6】
第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、第1ハウジングと、該第1ハウジングの幅方向の中心に位置するシールド板とを含み、
前記第2コネクタは、第2ハウジングを含み、該第2ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具を有し、
前記シールド板の両端は前記大型第2補強金具に接触する、コネクタ組立体。
【請求項7】
前記大型第2補強金具及び小型第2補強金具の各々は端壁覆部及び側壁覆部を有し、
前記大型第2補強金具の端壁覆部の遠位端は前記第2ハウジングの幅方向の中心を越えた位置にある請求項6に記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具は、平面視において、前記第2ハウジングの対角線上で互いに対向する位置に配設されている請求項6又は7に記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記第1コネクタは、前記第1ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第1補強金具及び一対の小型第1補強金具を有し、前記第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合すると、前記第1コネクタの大型第1補強金具が前記第2コネクタの大型第2補強金具と接触し、前記第1コネクタの小型第1補強金具が前記第2コネクタの小型第2補強金具と接触する請求項6又は7に記載のコネクタ組立体。
【請求項10】
第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、
前記第1コネクタは、第1ハウジングを含み、該第1ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第1補強金具及び一対の小型第1補強金具を有し、
前記第2コネクタは、第2ハウジングを含み、該第2ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具を有し、
前記一対の大型第1補強金具及び一対の小型第1補強金具は、平面視において、前記第1ハウジングの対角線上で互いに対向する位置に配設され、
前記一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具は、平面視において、前記第2ハウジングの対角線上で互いに対向する位置に配設されている、コネクタ組立体。
【請求項11】
前記大型第1補強金具及び小型第1補強金具の各々は端壁覆部及び側壁覆部を有し、
前記大型第1補強金具の端壁覆部の遠位端は前記第1ハウジングの幅方向の中心を越えた位置にある請求項10に記載のコネクタ組立体。
【請求項12】
前記大型第2補強金具及び小型第2補強金具の各々は端壁覆部及び側壁覆部を有し、
前記大型第2補強金具の端壁覆部の遠位端は前記第2ハウジングの幅方向の中心を越えた位置にある請求項10又は11に記載のコネクタ組立体。
【請求項13】
前記第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合すると、前記第1コネクタの大型第1補強金具が前記第2コネクタの大型第2補強金具と接触し、前記第1コネクタの小型第1補強金具が前記第2コネクタの小型第2補強金具と接触する請求項10又は11に記載のコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の平行な回路基板同士を電気的に接続するために、基板対基板コネクタ等のコネクタが使用されている。このようなコネクタは、一対の回路基板における相互に対向する面の各々に取付けられ、互いに嵌合して導通するようになっている。また、信号端子同士間でのクロストークを防止するために、信号端子同士の間にシールド部材を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図10は従来の端子とシールド部材とを示す斜視図である。
【0004】
図において、851は、図示されない回路基板に実装されるコネクタのハウジングの長手方向両端に取付けられる補強金具であり、ハウジングの側壁部に取付けられる側壁覆部852に接続されており、該側壁覆部852は回路基板の接地トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されている。また、ハウジングの左右両側の側壁部の各々には、複数の信号端子861が並んで取付けられ、各信号端子861は回路基板の信号トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されている。
【0005】
そして、左右両側に並んだ信号端子861の列の間には、ハウジングの長手方向に延在するシールド板856が配設されている。各シールド板856は、前記補強金具851の側壁覆部852に対向する位置においてハウジングの側壁部に取付けられる側壁覆部857に接続されており、該側壁覆部857は回路基板の接地トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されている。これにより、互いに向い合う両側の信号端子861同士の間がシールド板856によってシールドされるので、高周波信号の伝送が行われた場合でも、信号端子861同士間でのクロストークを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-110087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、ハウジングの長手方向に延在する各シールド板856の長手方向の一端のみが側壁覆部857を介して回路基板の接地トレースに接続されているので、各シールド板856の長手方向の他端近傍では、接地トレースまでの導電経路の長さが長くなり、前記シールド板856によるシールド効果が低下してしまう。また、信号端子861同士の間隔が短いので、クロストークを確実に防止することは困難である。
【0008】
ここでは、前記従来のコネクタの問題点を解決して、シールド効果を高くし、クロストークを確実に低減し、信頼性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのために、コネクタ組立体においては、第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、前記第1コネクタ及び第2コネクタの各々は4つの補強金具を有し、該補強金具は、相互に接続されている端壁覆部及び側壁覆部を有し、前記端壁覆部は第1外カバー部を有し、前記側壁覆部は第2外カバー部を有し、前記第1外カバー部及び第2外カバー部は、それぞれ、接続足部を有し、前記第1コネクタの各補強金具は、該各補強金具に対向する前記第2コネクタの各補強金具に接触する。
【0010】
他のコネクタ組立体においては、さらに、前記端壁覆部の第1外カバー部の接続足部は、前記第1コネクタ又は第2コネクタの長手方向外側に位置し、前記側壁覆部の第2外カバー部の接続足部は、前記第1コネクタ又は第2コネクタの幅方向外側に位置する。
【0011】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記接続足部の下面は、前記第1コネクタ又は第2コネクタに取付けられる端子のテール部の下面とほぼ面一である。
【0012】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記第1コネクタの側壁覆部は傾斜弾性腕部を有し、該傾斜弾性腕部は前記第2コネクタの側壁覆部の第2外カバー部と接触する。
【0013】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記端壁覆部は上面部を介して前記側壁覆部に接続され、前記第1外カバー部及び第2外カバー部は、それぞれ、前記上面部における前記第1コネクタ又は第2コネクタのハウジングの外側端縁から下方に向けて延在する。
【0014】
更に他のコネクタ組立体においては、第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、前記第1コネクタは、第1ハウジングと、該第1ハウジングの幅方向の中心に位置するシールド板とを含み、前記第2コネクタは、第2ハウジングを含み、該第2ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具を有し、前記シールド板の両端は前記大型第2補強金具に接触する。
【0015】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記大型第2補強金具及び小型第2補強金具の各々は端壁覆部及び側壁覆部を有し、前記大型第2補強金具の端壁覆部の遠位端は前記第2ハウジングの幅方向の中心を越えた位置にある。
【0016】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具は、平面視において、前記第2ハウジングの対角線上で互いに対向する位置に配設されている。
【0017】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記第1コネクタは、前記第1ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第1補強金具及び一対の小型第1補強金具を有し、前記第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合すると、前記第1コネクタの大型第1補強金具が前記第2コネクタの大型第2補強金具と接触し、前記第1コネクタの小型第1補強金具が前記第2コネクタの小型第2補強金具と接触する。
【0018】
更に他のコネクタ組立体においては、第1コネクタと、該第1コネクタと嵌合する第2コネクタとを備えるコネクタ組立体であって、前記第1コネクタは、第1ハウジングを含み、該第1ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第1補強金具及び一対の小型第1補強金具を有し、前記第2コネクタは、第2ハウジングを含み、該第2ハウジングの長手方向両端の各々に配設された一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具を有し、前記一対の大型第1補強金具及び一対の小型第1補強金具は、平面視において、前記第1ハウジングの対角線上で互いに対向する位置に配設され、前記一対の大型第2補強金具及び一対の小型第2補強金具は、平面視において、前記第2ハウジングの対角線上で互いに対向する位置に配設されている。
【0019】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記大型第1補強金具及び小型第1補強金具の各々は端壁覆部及び側壁覆部を有し、前記大型第1補強金具の端壁覆部の遠位端は前記第1ハウジングの幅方向の中心を越えた位置にある。
【0020】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記大型第2補強金具及び小型第2補強金具の各々は端壁覆部及び側壁覆部を有し、前記大型第2補強金具の端壁覆部の遠位端は前記第2ハウジングの幅方向の中心を越えた位置にある。
【0021】
更に他のコネクタ組立体においては、さらに、前記第1コネクタと第2コネクタとが互いに嵌合すると、前記第1コネクタの大型第1補強金具が前記第2コネクタの大型第2補強金具と接触し、前記第1コネクタの小型第1補強金具が前記第2コネクタの小型第2補強金具と接触する。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、コネクタは、シールド効果を高くし、クロストークを確実に低減することができ、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の斜視図である。
図2】本実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合前の斜視図である。
図3】本実施の形態における第1コネクタの斜視図であって、(a)は嵌合面側から観た斜視図、(b)は実装面側から観た斜視図である。
図4】本実施の形態における第1コネクタの二面図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図5】本実施の形態における第1コネクタの分解図である。
図6】本実施の形態における第2コネクタの斜視図であって、(a)は嵌合面側から観た斜視図、(b)は実装面側から観た斜視図である。
図7】本実施の形態における第2コネクタの二面図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図8】本実施の形態における第2コネクタの分解図である。
図9】本実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の三面図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図、(c)は(a)におけるB-B矢視断面図である。
図10】従来の端子とシールド部材とを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
図1は本実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の斜視図、図2は本実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合前の斜視図、図3は本実施の形態における第1コネクタの斜視図、図4は本実施の形態における第1コネクタの二面図、図5は本実施の形態における第1コネクタの分解図である。なお、図3において、(a)は嵌合面側から観た斜視図、(b)は実装面側から観た斜視図であり、図4において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0026】
図において、101は本実施の形態におけるコネクタであって、コネクタ組立体(コネクタアセンブリ)である一対のコネクタの一方としての第2コネクタである。該第2コネクタ101は、実装部材としての図示されない基板である第2基板の表面に実装される表面実装型のコネクタであって、相手方コネクタとしての第1コネクタ1と互いに嵌合される。また、該第1コネクタ1は一対のコネクタの他方であり、実装部材としての図示されない基板である第1基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。
【0027】
なお、本実施の形態における第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、好適には、基板としての第1基板及び第2基板を電気的に接続するために使用するものであるが、他の部材を電気的に接続するためにも使用することができる。前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC)、フレキシブル回路基板(FPC)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0028】
また、本実施の形態において、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0029】
そして、前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された相手方コネクタ本体としての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面11a側(Z軸正方向側)には、周囲が囲まれた概略長方形の凹部であって、第2コネクタ101の第2ハウジング111と嵌合する凹部としての第1凹部12が形成されている。そして、該第1凹部12内には第2コネクタ101の嵌合面111a側に形成された後述される凹溝部113と嵌合する中島としての第1凸部13が第1ハウジング11と一体的に形成されている。
【0030】
また、前記第1凸部13の両側(Y軸正方向側及び負方向側)には該第1凸部13と平行に延在し、前記第1凹部12の両側を画定する相手方側壁部としての第1側壁部14が第1ハウジング11と一体的に形成されている。そして、前記第1凸部13及び第1側壁部14は、第1凹部12の底面を画定する底板18から上方(Z軸正方向)に向けて突出し、第1ハウジング11の長手方向に延在する。これにより、前記第1凸部13の両側には、第1凹部12の一部として、第1ハウジング11の長手方向に延在する細長い凹部である凹溝部12aが形成される。
【0031】
ここで、前記第1凸部13の両側の側面から凹溝部12aの底面にかけては、第1端子収容キャビティ15が形成されている。図に示される例において、第1端子収容キャビティ15は、前記底板18を板厚方向(Z軸方向)に貫通するように形成される。なお、前記第1端子収容キャビティ15のうちで、第1凸部13の両側の側面に形成された凹溝状の部分を第1端子収容内側キャビティ15aと称し、第1側壁部14における第1凸部13と対向する側面に形成された凹溝状の部分を第1端子収容外側キャビティ15bと称する。
【0032】
本実施の形態において、第1端子収容キャビティ15は、第1ハウジング11の長手方向に並んで2本の列を形成するように、第1凸部13の両側に、所定のピッチで複数個(図示される例においては、3個)ずつ形成されている。なお、前記第1端子収容キャビティ15のピッチ及び数は適宜変更することができる。そして、第1端子収容キャビティ15の各々に収容されて第1ハウジング11に装填される相手方端子としての第1端子61も、第1凸部13の両側に、同様のピッチで同様の数ずつ配設されている。
【0033】
なお、各第1側壁部14に沿って複数ずつ配設された第1端子61はすべて同一のものであるが、本実施の形態においては、図2に示されるように、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。また、第2コネクタ101が備える第2端子161も、すべて同一のものであるが、第1端子61に対応して、同様に、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。
【0034】
図2に示される例では、第1ハウジング11の幅方向右側(Y軸負方向側)に位置する第1端子61は、第1端子61Aと総称され、さらに、第1端子61Aのグループ内では、第1ハウジング11の長手方向手前側(X軸負方向側)から順に、第1端子61A1、第1端子61A2、及び、第1端子61A3と個別に称される。また、第1ハウジング11の幅方向左側(Y軸正方向側)に位置する第1端子61は、第1端子61Bと総称され、さらに、第1端子61Bのグループ内では、第1ハウジング11の長手方向奥側(X軸正方向側)から順に、第1端子61B1、第1端子61B2、及び、第1端子61B3と個別に称される。そして、第2端子161は、第1端子61A及び第1端子61Bに対応するグループが、それぞれ、第2端子161A及び第2端子161Bと総称され、第2端子161Aのグループ内では、第1端子61A1、第1端子61A2、及び、第1端子61A3に対応するものが、それぞれ、第2端子161A1、第2端子161A2、及び、第2端子161A3と個別に称され、第2端子161Bのグループ内では、第1端子61B1、第1端子61B2、及び、第1端子61B3に対応するものが、それぞれ、第2端子161B1、第2端子161B2、及び、第2端子161B3と個別に称される。
【0035】
前記第1端子61は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部63と、該被保持部63の下端に接続されたテール部62と、前記被保持部63の上端に接続された上側接続部67と、該上側接続部67の下端に接続され、前記被保持部63と対向する外側接触部66と、該外側接触部66の下端に接続された下側接続部64と、該下側接続部64における外側接触部66と反対側の端に接続された内側接続部65とを備える。
【0036】
そして、前記被保持部63は、上下方向(Z軸方向)、すなわち、第1ハウジング11の厚さ方向に延在し、前記第1端子収容外側キャビティ15b内に圧入されて保持される部分である。なお、第1端子61は、必ずしも圧入によって第1ハウジング11に取付けられるものでなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング11と一体化されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、被保持部63が第1端子収容外側キャビティ15b内に圧入されて保持されるものである場合について、説明する。
【0037】
また、前記テール部62は、被保持部63に対して曲げて接続され、左右方向(Y軸方向)、すなわち、第1ハウジング11の幅方向の外方を向いて延出し、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。
【0038】
さらに、前記上側接続部67は、上方(Z軸正方向)を向いて突出するように約180度湾曲した部分である。前記上側接続部67における被保持部63と反対側の下端には、下方(Z軸負方向)に向けて延在する外側接触部66が接続されている。該外側接触部66の一部は、第1ハウジング11の幅方向に内方を向いて突出することが望ましい。
【0039】
また、前記下側接続部64は、前記外側接触部66の下端に接続された略U字状の側面形状を備える部分である。さらに、前記内側接続部65の上端には、上方に向って、かつ、外側接触部66に向って突出するように約180度湾曲した内側接触部65aが接続されている。
【0040】
前記第1端子61は、第1ハウジング11の下面(Z軸負方向面)である実装面11bから、第1端子収容キャビティ15内に圧入され、被保持部63が第1側壁部14の内側の側面に形成された第1端子収容外側キャビティ15bの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。この状態、すなわち、第1端子61が第1ハウジング11に装填された状態において、前記内側接触部65aと外側接触部66とは、凹溝部12aの左右両側に位置し、互いに向合っている。また、第1ハウジング11の長手方向(X軸方向)から観て、被保持部63は大部分が第1端子収容外側キャビティ15b内に収容され、内側接触部65aは大部分が第1端子収容内側キャビティ15a内に収容されている。さらに、テール部62の下面は、実装面11b(底板18の下面)より下方に位置する。
【0041】
なお、第1端子61は、金属板に加工を施すことによって一体的に形成された部材であるので、ある程度の弾性を備える。そして、その形状から明らかなように、互いに向合う内側接触部65aと外側接触部66との間隔は、弾性的に変化可能である。すなわち、内側接触部65aと外側接触部66との間に第2コネクタ101が備える第2端子161が挿入されると、それにより、内側接触部65aと外側接触部66との間隔は弾性的に伸長する。
【0042】
また、前記第1ハウジング11の長手方向両端には相手方嵌合ガイド部としての第1突出端部21が各々配設されている。各第1突出端部21には、前記第1凹部12の一部として嵌合凹部22が形成されている。該嵌合凹部22は、略長方形の凹部であり、各凹溝部12aの長手方向両端に接続されている。そして、前記嵌合凹部22内には、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101の後述される第2突出端部122が挿入される。
【0043】
さらに、前記第1凸部13の幅方向(Y方向)中央には、長手方向(X軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に延在するスリット状の凹溝であるシールド板収容スリット13aが形成されている。該シールド板収容スリット13aは、底板18の下面に連続して開口するとともに、第1凸部13の上面に開口する。なお、前記シールド板収容スリット13aの第1凸部13の上面に開口する部分は、スリット分割部13bによって長手方向に二分されている。また、前記シールド板収容スリット13aは、嵌合凹部22の底板18に形成された水平腕収容スリット22aに連接されている。該水平腕収容スリット22aは、底板18を厚さ方向(Z軸方向)に貫通するように形成されている。さらに、前記水平腕収容スリット22aは、第1突出端部21の第1端壁部21bに形成された垂直腕収容スリット23cに連接されている。
【0044】
そして、前記シールド板収容スリット13a、水平腕収容スリット22a及び垂直腕収容スリット23cには、導電性の金属板に打抜き等の加工を施すことによって形成された第1ハウジング11の厚さ方向(Z軸方向)及び長手方向に延在する帯状の板材であるシールド板56が収容されて保持される。該シールド板56は、概略矩形の本体部56aと、該本体部56aの上端縁から下方に凹入する被保持凹部56bと、前記本体部56aの下端縁から下方に突出する複数の下凸部56cと、前記本体部56aの長手方向両端から第1ハウジング11の長手方向に延出する一対の細長水平腕56dと、各細長水平腕56dの遠位端から上方(Z軸正方向)に延出する垂直腕56eと、各垂直腕56eの上端近傍から本体部56aに向けて突出する係合凸部56fとを含んでいる。前記細長水平腕56d及び垂直腕56eは、弾性的に変形可能であって、ばね部材として機能するので、係合凸部56fは、前記本体部56aから離れる方向に弾性的に変位可能である。そして、底板18の下面側からシールド板56がシールド板収容スリット13a内に挿入乃至圧入されると、スリット分割部13bが相対的に被保持凹部56b内に進入して係合される。これにより、シールド板56は、シールド板収容スリット13aに収容されて保持される。また、細長水平腕56d及び垂直腕56eは、それぞれ、水平腕収容スリット22a及び垂直腕収容スリット23cに収容される。
【0045】
なお、シールド板56は、必ずしも挿入乃至圧入によって第1ハウジング11に取付けられる必要はなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング11と一体化されたものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、挿入乃至圧入によってシールド板収容スリット13a内に収容されて第1ハウジング11に取付けられたものである場合について、説明する。
【0046】
このようにして、第1ハウジング11にシールド板56が取付けられると、左右の凹溝部12aに沿って配列された第1端子61の2本の列の間にシールド板56が位置するので、2本の列の第1端子61同士間のクロストークが効果的に防止される。なお、第1ハウジング11にシールド板56が取付けられた状態で、嵌合面11a側においては、本体部56aが第1凸部13の上面より下方に位置し、細長水平腕56d及び垂直腕56eが、それぞれ、底板18及び第1端壁部21bから嵌合凹部22内に突出していないが、係合凸部56fは、少なくともその先端が第1端壁部21bから嵌合凹部22内に突出している。もっとも、前記細長水平腕56d及び垂直腕56eは、底板18及び第1端壁部21bから嵌合凹部22内に突出していてもよい。また、実装面11b側において、下凸部56c及び細長水平腕56dは、実装面11b(底板18の下面)より下方には突出していない。
【0047】
また、前記第1突出端部21は、第1側壁部14の長手方向両端から第1ハウジング11の長手方向に延出する相手方嵌合ガイド側壁部としての第1側壁延長部21cと、第1ハウジング11の幅方向に延在し、両端が第1側壁延長部21cに接続された第1端壁部21bとを備える。各第1突出端部21において、第1端壁部21bとその両端に接続された第1側壁延長部21cとは、連続した略コ字状の側壁を形成し、略長方形の嵌合凹部22の三方を画定する。そして、前記第1端壁部21bにおいて、外側面には凹入する外端凹部23aが形成され、内側面には凹入する内端凹部23bが形成されている。また、前記第1側壁延長部21cにおいて、外側面には凹入する外側凹部23eが形成され、内側面には凹入する内側凹部23dが形成されている。
【0048】
そして、前記第1ハウジング11には、そこに装填される相手方補強金具としての第1補強金具51が取付けられる。本実施の形態において、第1補強金具51は、金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第1ハウジング11の長手方向(X軸方向)両端に位置し、第1突出端部21の第1端壁部21bの外側を覆う第1端壁覆部52と、第1側壁延長部21cの外側を覆う第1側壁覆部53とを含み、平面視において略L字状の形状を有する。
【0049】
また、前記第1補強金具51は、図3及び5に示されるように、第1端壁覆部52が第1端壁部21bの半分以上の範囲を覆う大型第1補強金具51Lと、第1端壁覆部52が第1端壁部21bの半分未満の範囲を覆う小型第1補強金具51Sとを含んでいる。なお、第1側壁覆部53については、大型第1補強金具51L及び小型第1補強金具51Sにおいて、その寸法及び構成が同様であり、第1端壁覆部52についても、第1ハウジング11の幅方向に関する寸法を除き、大型第1補強金具51L及び小型第1補強金具51Sにおいて、その寸法及び構成がほぼ同様である。そこで、前記大型第1補強金具51Lと小型第1補強金具51Sとを統合的に説明する場合には、第1補強金具51として説明する。
【0050】
なお、一対の大型第1補強金具51L同士、及び、一対の小型第1補強金具51S同士は、平面視において略矩形の第1ハウジング11の対角線上で互いに対向する位置に配設されている。また、大型第1補強金具51L同士のそれぞれは同一のものであり、小型第1補強金具51S同士のそれぞれは同一のものであるが、本実施の形態においては、図2に示されるように、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。また、第2コネクタ101が備える第2補強金具151も、第1補強金具51に対応して、同様に、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。
【0051】
図2に示される例では、第1ハウジング11の幅方向右側(Y軸負方向側)に位置する第1補強金具51は、第1ハウジング11の長手方向手前側(X軸負方向側)の隅に位置するものが大型第1補強金具51Lであって第1補強金具51LAと称され、第1ハウジング11の長手方向奥側(X軸正方向側)の隅に位置するものが小型第1補強金具51Sであって第1補強金具51SAと称される。また、第1ハウジング11の幅方向左側(Y軸正方向側)に位置する第1補強金具51は、第1ハウジング11の長手方向手前側の隅に位置するものが小型第1補強金具51Sであって第1補強金具51SBと称され、第1ハウジング11の長手方向奥側の隅に位置するものが大型第1補強金具51Lであって第1補強金具51LBと称される。そして、第2補強金具151は、第1補強金具51LA、第1補強金具51SA、第1補強金具51SB及び第1補強金具51LBに対応するものが、それぞれ、第2補強金具151LA、第2補強金具151SA、第2補強金具151SB及び第2補強金具151LBと称される。
【0052】
前記第1端壁覆部52は、第1ハウジング11の幅方向に延在して第1端壁部21bの上面21aを覆う上面部52aと、該上面部52aにおける第1端壁部21bの内側端縁から斜め下方に向けて延出する誘込み部としての傾斜内カバー部52bと、該傾斜内カバー部52bの下端から下方に向けて延出する垂直内カバー部52cと、該垂直内カバー部52cの側縁から突出する係合突起52dと、前記上面部52aにおける第1端壁部21bの外側端縁から下方に向けて延出する外カバー部52eと、該外カバー部52eの側縁から突出する係合突起52fと、前記外カバー部52eの下端における接続足部52gとを含んでいる。
【0053】
また、前記第1側壁覆部53は、第1ハウジング11の長手方向に延在して第1側壁延長部21cの上面21aを覆う上面部53aと、該上面部53aにおける第1側壁延長部21cの内側端縁から斜め下方に向けて延出する相手方補強金具端子としての傾斜弾性腕部53bと、該傾斜弾性腕部53bの下端近傍において、嵌合凹部22の中央に向けて膨出する接触凸部53cと、前記上面部53aにおける第1側壁延長部21cの外側端縁から下方に向けて延出する外カバー部53dと、該外カバー部53dの側縁から突出する係合突起53eと、前記外カバー部53dの下端における接続足部53fとを含んでいる。
【0054】
前記第1補強金具51は、傾斜内カバー部52b、垂直内カバー部52c、外カバー部52e、外カバー部53d等が、第1ハウジング11の上面(Z軸正方向面)である嵌合面11a側から、第1端壁部21bの内端凹部23bや外端凹部23a、第1側壁延長部21cの外側凹部23e等に挿入乃至圧入されて、第1ハウジング11に取付けられる。なお、第1補強金具51は、必ずしも挿入乃至圧入によって第1ハウジング11に取付けられる必要はなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング11と一体化されたものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、挿入乃至圧入によって第1ハウジング11に取付けられたものである場合について、説明する。
【0055】
そして、第1補強金具51が第1ハウジング11に取付けられた状態において、第1端壁覆部52の上面部52aは第1端壁部21bの上面21aの過半を覆い、傾斜内カバー部52b及び垂直内カバー部52cは、少なくともその一部が内端凹部23b内に収容され、係合突起52dは内端凹部23bの側面の一部に食込んで係合し、外カバー部52eは、少なくともその一部が外端凹部23a内に収容され、係合突起52fは外端凹部23aの側面の一部に食込んで係合し、接続足部52gは、その下面が実装面11b(底板18の下面)より下方に位置し、第1端子61のテール部62の下面とほぼ面一となる。また、第1側壁覆部53の上面部53aは第1側壁延長部21cの上面21aの過半を覆い、傾斜弾性腕部53bは、少なくともその一部が内側凹部23dの底面から離間した状態で該内側凹部23d内に収容され、接触凸部53cは第1側壁延長部21cの方向に弾性的に変位可能であり、外カバー部53dは、少なくともその一部が外側凹部23e内に収容され、係合突起53eは外側凹部23eの側面の一部に食込んで係合し、接続足部53fは、その下面が実装面11bより下方に位置し、第1端子61のテール部62の下面とほぼ面一となる。
【0056】
このように、第1端壁部21bと第1側壁延長部21cの表面の過半が第1補強金具51によって覆われるので、第1端壁部21bと第1側壁延長部21cの強度が増加し、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合作業等において、第1端壁部21bと第1側壁延長部21cに力や衝撃が加えられても、第1端壁部21bと第1側壁延長部21cの破損や変形を確実に防止することができる。
【0057】
なお、大型第1補強金具51Lの第1端壁覆部52の上面部52aは、反対側の第1側壁延長部21cに向けて延在し、その遠位端が第1ハウジング11の幅方向の中心を越えた位置にまで到達する。したがって、第1ハウジング11の幅方向の中心に配設されたシールド板56の垂直腕56eは、前記大型第1補強金具51Lの第1端壁覆部52の上面部52aの下方に位置することとなる。しかし、シールド板56の垂直腕56eは、いずれの第1補強金具51のいずれの部分にも接触も、干渉もしていない。このように、第1ハウジング11の長手方向の両端に取付けられた第1補強金具51と、第1ハウジング11の長手方向に延在しその両端の第1端壁部21bにまで到達するシールド板56とが互いに独立しているので、第1ハウジング11は、全体としてある程度柔軟に変形することができ、力や衝撃が加えられても、破損や変形を防止することができる。
【0058】
また、前記傾斜弾性腕部53bは、弾性的に変形可能であって、その先端近傍に形成された接触凸部53cが第2補強金具151の外カバー部153dと接触して導通する端子としても機能する。すなわち、傾斜弾性腕部53bは、第1端子61と同様の機能を備える。そのため、傾斜弾性腕部53bは、図2に示されるように、第1端子61と同様に、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。
【0059】
図2に示される例では、第1ハウジング11の幅方向右側に位置する傾斜弾性腕部53bは、第1ハウジング11の長手方向手前側から順に、第1補強金具端子53A1及び第1補強金具端子53A2と個別に称され、第1ハウジング11の幅方向左側に位置する傾斜弾性腕部53bは、第1ハウジング11の長手方向奥側から順に、第1補強金具端子53B1及び第1補強金具端子53B2と個別に称される。また、第2補強金具151の外カバー部153dは、第1補強金具端子53A1及び第1補強金具端子53A2、並びに、第1補強金具端子53B1及び第1補強金具端子53B2に対応するものが、それぞれ、第2補強金具端子153A1及び第2補強金具端子153A2、並びに、第2補強金具端子153B1及び第2補強金具端子153B2と個別に称される。
【0060】
そして、第1端壁覆部52の接続足部52g及び第1側壁覆部53の接続足部53fは、第1端子61のテール部62と同様に、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。これにより、第1補強金具51の傾斜弾性腕部53bも、第1端子61と同様に、電流乃至電気信号を伝送するための端子として機能させることができ、第1端子61の数を増加させることなく、第1コネクタ1の極数を増加させることができるので、第1コネクタ1を小型化することができる。また、第1ハウジング11の長手方向に延在するシールド板56が、第1端子61の2本の列の間であって、第1ハウジング11の幅方向の中心に配設されているので、2本の列の第1端子61同士間のクロストークが効果的に防止される。
【0061】
次に、第2コネクタ101の構成について説明する。
【0062】
図6は本実施の形態における第2コネクタの斜視図、図7は本実施の形態における第2コネクタの二面図、図8は本実施の形態における第2コネクタの分解図である。なお、図6において、(a)は嵌合面側から観た斜視図、(b)は実装面側から観た斜視図であり、図7において、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【0063】
本実施の形態におけるコネクタとしての第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたコネクタ本体としての第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備える。そして、第2ハウジング111の第1コネクタ1に嵌入される側、すなわち、嵌合面111a側(Z軸負方向側)には、第2ハウジング111の長手方向(X軸方向)に延在する凹溝部113と、該凹溝部113の幅方向(Y軸方向)両側を画定するとともに、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凸部である側壁部としての第2側壁部112と、前記凹溝部113の長手方向(X軸方向)両側を画定するとともに、第2ハウジング111の幅方向(Y軸方向)に延在して、第2側壁部112の長手方向両端を連結する嵌合ガイド部としての第2突出端部122とが一体的に形成されている。
【0064】
前記第2側壁部112は、凹溝部113の両側に沿って、かつ、第2ハウジング111の両側に沿って形成されている。また、各第2側壁部112には、端子としての第2端子161が配設されている。該第2端子161は、第1端子61に対応するピッチで、かつ、対応する数だけ配設されている。前記凹溝部113は、第2基板に実装される側、すなわち、実装面側(Z軸正方向側)が底板118によって閉止されている。
【0065】
前記第2端子161は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、図8に示されるように、外側接触部165と、該外側接触部165の上端(Z軸負方向端)に接続された上側接続部164と、該上側接続部164に上端が接続され、前記外側接触部165と平行に延在する内側接触部166と、該内側接触部166の下端(Z軸正方向端)に接続されたテール部162とを備える。
【0066】
なお、各第2側壁部112に沿って複数ずつ配設された第2端子161はすべて同一のものであるが、前記第1端子61と同様に、本実施の形態においては、図2に示されるように、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。
【0067】
そして、前記第2端子161はオーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング111と一体化される。すなわち、第2ハウジング111は、第2端子161をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に合成樹脂等の絶縁性材料を充填することによって成形される。これにより、第2端子161は、少なくとも一部が第2ハウジング111内に埋没するようにして、第2ハウジング111に一体的に取付けられる。なお、第2端子161は、必ずしもオーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング111と一体化するのではなく、圧入等によって第2ハウジング111に取付けられてもよいが、ここでは、説明の都合上、オーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング111と一体化されたものである場合について、説明する。
【0068】
前記外側接触部165は、少なくとも一部が第2側壁部112における第2ハウジング111の幅方向外側を向いた面に露出する。また、上側接続部164は第2側壁部112における上側(Z軸負方向)の面に露出し、該面と略面一となる。さらに、内側接触部166は第2ハウジング111の幅方向内側を向いた面に露出し、該面と略面一となる。なお、前記テール部162は、第2側壁部112における第2ハウジング111の幅方向外側を向いた面の下端から、第2ハウジング111の幅方向の外方を向いて延出し、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。
【0069】
また、前記第2突出端部122において、第2ハウジング111の長手方向外側を向いた端側面122bには、凹入する外端凹部123aが形成され、第2ハウジング111の幅方向外側を向いた側面122cには、凹入する外側凹部123eが形成されている。
【0070】
そして、前記第2ハウジング111には、そこに装填される補強金具としての第2補強金具151が取付けられる。本実施の形態において、第2補強金具151は、金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第2ハウジング111の長手方向両端に位置し、第2突出端部122の上面122a及び端側面122bの過半を覆う第2端壁覆部152と、該第2端壁覆部152の側端に接続され、側面122cの過半を覆う第2側壁覆部153とを含んでいる。
【0071】
また、前記第2補強金具151は、図6及び8に示されるように、第2端壁覆部152が第2突出端部122の半分以上の範囲を覆う大型第2補強金具151Lと、第2端壁覆部152が第2突出端部122の半分未満の範囲を覆う小型第2補強金具151Sとを含んでいる。なお、第2側壁覆部153については、大型第2補強金具151L及び小型第2補強金具151Sにおいて、その寸法及び構成が同様であり、第2端壁覆部152についても、第2ハウジング111の幅方向に関する寸法を除き、大型第2補強金具151L及び小型第2補強金具151Sにおいて、その寸法及び構成がほぼ同様である。そこで、前記大型第2補強金具151Lと小型第2補強金具151Sとを統合的に説明する場合には、第2補強金具151として説明する。
【0072】
なお、一対の大型第2補強金具151L同士、及び、一対の小型第2補強金具151S同士は、平面視において略矩形の第2ハウジング111の対角線上で互いに対向する位置に配設されている。また、大型第2補強金具151L同士のそれぞれは同一のものであり、小型第2補強金具151S同士のそれぞれは同一のものであるが、本実施の形態においては、図2に示されるように、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。図2に示されるように、大型第2補強金具151L及び小型第2補強金具151Sは、第2コネクタ101の嵌合面111aが第1コネクタ1の嵌合面と対向した状態において、第1コネクタ1の大型第1補強金具51L及び小型第1補強金具51Sと、それぞれ、対向するように配置されている。
【0073】
前記第2端壁覆部152は、第2ハウジング111の幅方向に延在して第2突出端部122の上面122aを覆う上面部152aと、該上面部152aにおける第2突出端部122の外側端縁から下方に向けて延出する外カバー部152eと、該外カバー部152eの側縁から突出する係合突起152fと、前記外カバー部152eの下端における接続足部152gとを含んでいる。
【0074】
また、前記第2側壁覆部153は、第2ハウジング111の長手方向に延在して第2突出端部122の上面122aの側縁近傍を覆う上面部153aと、該上面部153aにおける第2側壁覆部153の側端縁から下方に向けて延出する外カバー部153dと、該外カバー部153dの側縁から突出する係合突起153eと、前記外カバー部153dの下端における接続足部153fとを含んでいる。
【0075】
前記第2補強金具151は、外カバー部152e、外カバー部153d等が、第2ハウジング111の上面(Z軸負方向面)である嵌合面111a側から、第2突出端部122の外端凹部123a、外側凹部123e等に挿入乃至圧入されて、第2ハウジング111に取付けられる。なお、第2補強金具151は、必ずしも挿入乃至圧入によって第2ハウジング111に取付けられる必要はなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング111と一体化されたものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、挿入乃至圧入によって第2ハウジング111に取付けられたものである場合について、説明する。
【0076】
そして、第2補強金具151が第2ハウジング111に取付けられた状態において、第2端壁覆部152の上面部152aは第2突出端部122の上面122aの過半を覆い、外カバー部152eは、少なくともその一部が外端凹部123a内に収容され、係合突起152fは外端凹部123aの側面の一部に食込んで係合し、接続足部152gは、その下面が実装面111b、すなわち、底板118の下面(Z軸正方向面)と同一面上又はより下方に位置し、第2端子161のテール部162の下面とほぼ面一となる。また、第2側壁覆部153の上面部153aは第2突出端部122の上面122aの側端近傍を覆い、外カバー部153dは、少なくともその一部が外側凹部123e内に収容され、係合突起153eは外側凹部123eの側面の一部に食込んで係合し、接続足部153fは、その下面が実装面111bと同一面上又はより下方に位置し、第2端子161のテール部162の下面とほぼ面一となる。
【0077】
このように、第2突出端部122の表面の過半が第2補強金具151によって覆われるので、第2突出端部122の強度が増加し、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合作業等において、第2突出端部122に力や衝撃が加えられても、第2突出端部122の破損や変形を確実に防止することができる。
【0078】
なお、大型第2補強金具151Lの第2端壁覆部152の上面部152a及び外カバー部152eは、反対側の第2側壁部112に向けて延在し、その遠位端が第2ハウジング111の幅方向の中心を越えた位置であって、第1コネクタ1の大型第1補強金具51Lにおける第1端壁覆部52の上面部52aの遠位端と同様の位置にまで到達する。そのため、図1に示されるように、第2コネクタ101が第1コネクタ1と嵌合した状態において、大型第2補強金具151Lの外カバー部152eは、第1ハウジング11の幅方向の中心に配設されたシールド板56の垂直腕56eと対向し、該垂直腕56eの係合凸部56fと係合して接触する。
【0079】
そして、第2端壁覆部152の接続足部152g及び第2側壁覆部153の接続足部153fは、第2端子161のテール部162と同様に、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。これにより、第2補強金具151の外カバー部153dも、第2端子161と同様に、電流乃至電気信号を伝送するための端子として機能させることができ、第2端子161の数を増加させることなく、第2コネクタ101の極数を増加させることができるので、第2コネクタ101を小型化することができる。なお、前記外カバー部153dはすべて同一のものであるが、本実施の形態においては、図2に示されるように、便宜上、配設された位置に応じて識別可能な符号を付与し、これらの符号を使用した説明がなされ得ることに留意されたい。
【0080】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる動作について説明する。
【0081】
図9は本実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の三面図である。なお、図において、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図、(c)は(a)におけるB-B矢視断面図である。
【0082】
ここで、第1コネクタ1は、第1端子61のテール部62が図示されない第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続され、第1補強金具51の第1端壁覆部52の接続足部52g及び第1側壁覆部53の接続足部53fの下端が第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第1基板に表面実装されているものとする。同様に、第2コネクタ101は、第2端子161のテール部162が図示されない第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続され、第2補強金具151の第2端壁覆部152の接続足部152g及び第2側壁覆部153の接続足部153fの下端が第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続されることにより、第2基板に表面実装されているものとする。
【0083】
まず、オペレータは、第1コネクタ1の第1ハウジング11の嵌合面11aと第2コネクタ101の第2ハウジング111の嵌合面111aとを対向させた状態とし、図2に示されるように、第2コネクタ101の第2側壁部112の位置が第1コネクタ1の対応する凹溝部12aの位置と合致し、第2コネクタ101の第2突出端部122の位置が第1コネクタ1の対応する嵌合凹部22の位置と合致すると、第1コネクタ1と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
【0084】
この状態で、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向(Z軸方向)に移動させると、第2コネクタ101の第2側壁部112及び第2突出端部122が第1コネクタ1の凹溝部12a及び嵌合凹部22内に挿入される。これにより、図1及び9に示されるように、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、第1端子61と第2端子161とが導通し、第1補強金具51と第2補強金具151とが導通した状態となる。
【0085】
具体的には、各第1端子61の内側接触部65aと外側接触部66との間に対応する第2端子161が挿入され、第1端子61の内側接触部65aと第2端子161の内側接触部166とが接触し、第1端子61の外側接触部66と第2端子161の外側接触部165とが接触する。これにより、互いに対応する第1端子61と第2端子161とは、2箇所で接触する、いわゆる、複数接点の状態となるので、衝撃や振動を受けたときに、一方の接点が離間しても、導通状態を維持することができる。
【0086】
また、図9(c)に示されるように、各第1補強金具51の傾斜弾性腕部53bの接触凸部53cが対応する第2補強金具151の外カバー部153dと係合して接触する。これにより、互いに対応する第1補強金具51と第2補強金具151とは、衝撃や振動を受けたときでも、弾性的に変位可能な接触凸部53cが外カバー部153dとの接触を維持するので、導通状態を維持することができる。
【0087】
さらに、図9(b)に示されるように、シールド板56は、少なくとも一部が凹溝部113内に収容され、その垂直腕56eの係合凸部56fが、大型第2補強金具151Lの外カバー部152eと係合して接触する。これにより、シールド板56と大型第2補強金具151Lとが導通して等電位となり、かつ、大型第2補強金具151Lの外カバー部153dと傾斜弾性腕部53bの接触凸部53cが接触する大型第1補強金具51Lも、シールド板56と等電位となる。したがって、シールド性が向上する。
【0088】
本実施の形態における第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、種々の電流乃至電気信号を伝送する導電トレースを接続するためのコネクタ組立体として使用可能であるが、例えば、それぞれが2本のグラウンドラインを伴う2本の高周波(例えば、周波数10〔GHz〕以上)信号ラインの導電トレースと、二対の直流電源ライン用の導電トレースとを接続するために使用する例について説明する。
【0089】
この場合、第1コネクタ1においては、例えば、第1端子61A1のテール部62を第1基板における第1の高周波信号ラインの導電トレースに連結された接続パッドに接続し、第1端子61A2のテール部62及び第1補強金具51LAの第1端壁覆部52の接続足部52g及び第1側壁覆部53の接続足部53fを前記第1の高周波信号ラインが伴う2本のグラウンドラインの導電トレースに連結された接続パッドに接続する。すなわち、第1基板の第1の高周波信号ラインの導電トレースを高周波端子として機能する第1端子61A1に接続し、第1の高周波信号ラインが伴う2本のグラウンドラインの導電トレースを、それぞれ、グラウンド端子として機能する第1補強金具端子53A1及び第1端子61A2に接続する。同様にして、第1基板の第2の高周波信号ラインの導電トレースを高周波端子として機能する第1端子61B1に接続し、第1の高周波信号ラインが伴う2本のグラウンドラインの導電トレースを、それぞれ、グラウンド端子として機能する第1補強金具端子53B1及び第1端子61B2に接続する。
【0090】
また、第2コネクタ101においては、第2基板の第1の高周波信号ラインの導電トレースを高周波端子として機能する第2端子161A1に接続し、第1の高周波信号ラインが伴う2本のグラウンドラインの導電トレースを、それぞれ、グラウンド端子として機能する第2補強金具端子153A1及び第2端子161A2に接続する。同様にして、第2基板の第2の高周波信号ラインの導電トレースを高周波端子として機能する第2端子161B1に接続し、第2の高周波信号ラインが伴う2本のグラウンドラインの導電トレースを、それぞれ、グラウンド端子として機能する第2補強金具端子153B1及び第2端子161B2に接続する。
【0091】
これにより、第1及び第2の高周波信号ラインに接続された高周波端子である第1端子61A1及び第1端子61B1の両側に、それぞれ、グラウンドに接続されたグラウンド端子である第1補強金具端子53A1及び第1端子61A2、並びに、第1補強金具端子53B1及び第1端子61B2が位置するので、あたかも、第1端子61A1を中心とする擬似的な導波路、及び、第1端子61B1を中心とする擬似的な導波路が形成された状態となる。したがって、第1及び第2の高周波信号は、外部からのノイズの影響を受けることなく、かつ、外部にノイズの影響を及ぼすことなく、伝送される。
【0092】
また、シールド板56の垂直腕56eの係合凸部56fが、第2補強金具151LA及び第2補強金具151LBの外カバー部152eと係合して接触するので、シールド板56は、グランドラインに接続された前記第2補強金具端子153A1及び第2補強金具端子153B1と等電位となり、シールド性が向上する。
【0093】
さらに、平面視において、第1端子61A1と第1端子61B1とは、シールド板56の中心線(図示せず)を通る第1ハウジング11の幅方向の中心線(図示せず)に関して線対称となっておらず、第1端子61A1と第1端子61B1とを結ぶ直線は、第1ハウジング11の幅方向の中心線に対して直交せずに傾斜している。そのため、第1端子61A1と第1端子61B1とが第1ハウジング11の幅方向の中心線に関して線対称となっている場合より、第1端子61A1と第1端子61B1との距離が長くなっている。同様に、第2端子161A1と第2端子161B1とは、シールド板56の中心線を通る第2ハウジング111の幅方向の中心線(図示せず)に関して線対称となっておらず、第2端子161A1と第2端子161B1とを結ぶ直線は、第2ハウジング111の幅方向の中心線に対して直交せずに傾斜している。そのため、第2端子161A1と第2端子161B1とが第2ハウジング111の幅方向の中心線に関して線対称となっている場合より、第2端子161A1と第2端子161B1との距離が長くなっている。したがって、第1の高周波信号と第2の高周波信号とが相互に干渉しにくくなり、クロストークがより一層低減される。
【0094】
さらに、第1端子61A3及び第1補強金具端子53A2、並びに、第1端子61B3及び第1補強金具端子53B2は、第1基板における二対の直流電源ライン用のプラス及びマイナスの導電トレースに接続され、電源端子として機能する。同様にして、第2端子161A3及び第2補強金具端子153A2、並びに、第2端子161B3及び第2補強金具端子153B2は、第2基板における二対の直流電源ライン用のプラス及びマイナスの導電トレースに接続され、電源端子として機能する。
【0095】
なお、必ずしもこの例に限定される必要はなく、第1端子61、第1補強金具51、第2端子161及び第2補強金具151の各々に接続される導電トレースの種類は、適宜変更することができる。例えば、第1端子61A3及び第1補強金具端子53A2、並びに、第1端子61B3及び第1補強金具端子53B2には、高周波でない信号ラインを接続することもできる。また、第1端子61及び第2端子161の数も変更することが可能であり、例えば、第1端子61A3及び第1端子61B3、並びに、第2端子161A3及び第2端子161B3を省略することもできる。
【0096】
このように、本実施の形態において、第2コネクタ101は、第2ハウジング111と、第2ハウジング111に取付けられる第2端子161及び第2補強金具端子153A1、153A2、153B1、153B2とを有し、第1コネクタ1と嵌合する。そして、第2ハウジング111は、凹溝部113と、第2ハウジング111の長手方向に延在し、凹溝部113の両側を画定する第2側壁部112とを含み、第2端子161及び第2補強金具端子153A1、153A2、153B1、153B2は各第2側壁部112に沿って複数ずつ配設され、各第2側壁部112に沿って配設された複数の第2端子161及び第2補強金具端子153A1、153A2、153B1、153B2は、1つの高周波端子として機能する第2端子161A1及び第2端子161B1と、第2端子161A1及び第2端子161B1の両側にそれぞれ配設されたグラウンド端子として機能する第2端子161A2及び第2端子161B2並びに第2補強金具端子153A1及び第2補強金具端子153B1とを含み、平面視において、両側の第2側壁部112に沿って配設された第2端子161A1と第2端子161B1とを結ぶ直線は、第2ハウジング111の幅方向の中心線に対して傾斜し、第1コネクタ1と嵌合すると、第1コネクタ1のシールド板56は、少なくとも一部が凹溝部113内に収容され、中心線に沿って延在する。
【0097】
これにより、シールド板56が第2ハウジング111の幅方向の中心線に沿って延在するとともに、高周波端子の両側にグラウンド端子がそれぞれ配設されることになり、シールド効果が向上するとともに、両側の第2側壁部112に沿って配設された高周波端子同士を結ぶ直線が、第2ハウジング111の幅方向の中心線に対して傾斜することによって高周波端子同士間の距離が長くなるので、クロストークを確実に低減することができ、信頼性が向上する。
【0098】
また、第2端子161及び第2補強金具端子153A1、153A2、153B1、153B2のうち、高周波端子及びグラウンド端子以外の端子は、電源端子である。さらに、第2端子161及び第2補強金具端子153A1、153A2、153B1、153B2は各第2側壁部112に沿って少なくとも4つずつ配設される。さらに、第2ハウジング111は、長手方向の両端に形成され、第1ハウジング11の第1突出端部21に形成された嵌合凹部22に挿入される第2突出端部122を含み、第2突出端部122の各々には、第2ハウジング111の幅方向に2分割された第2補強金具151が取付けられ、2分割された第2補強金具151の一方は、高周波端子の両側にそれぞれ配設されたグラウンド端子のうちの1つである第2補強金具端子153A1、153B1を含んでいる。さらに、高周波端子の両側にそれぞれ配設されたグラウンド端子のうちの1つである第2補強金具端子153A1、153B1を含む2分割された第2補強金具151の一方は、平面視において、略矩形の第2ハウジング111の対角線上で互いに対向するように第2突出端部122に取付けられている。さらに、第1コネクタ1と嵌合すると、シールド板56は、その長手方向両端が2分割された第2補強金具151の一方と接触する。さらに、2分割された第2補強金具151の一方は、他方よりも第2ハウジング111の幅方向の寸法が大きい。
【0099】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 第1コネクタ
11 第1ハウジング
11a、111a 嵌合面
11b、111b 実装面
12 第1凹部
12a、113 凹溝部
13 第1凸部
13a シールド板収容スリット
13b スリット分割部
14 第1側壁部
15 第1端子収容キャビティ
15a 第1端子収容内側キャビティ
15b 第1端子収容外側キャビティ
18、118 底板
21 第1突出端部
21a、122a 上面
21b 第1端壁部
21c 第1側壁延長部
22 嵌合凹部
22a 水平腕収容スリット
23a、123a 外端凹部
23b 内端凹部
23c 垂直腕収容スリット
23d 内側凹部
23e、123e 外側凹部
51、51LA、51LB、51SA、51SB 第1補強金具
51L 大型第1補強金具
51S 小型第1補強金具
52 第1端壁覆部
52a、53a、152a、153a 上面部
52b 傾斜内カバー部
52c 垂直内カバー部
52d、52f、53e、152f、153e 係合突起
52e、53d、152e、153d 外カバー部
52g、53f、152g、153f 接続足部
53 第1側壁覆部
53A1、53A2、53B1、53B2 第1補強金具端子
53b 傾斜弾性腕部
53c 接触凸部
56、856 シールド板
56a 本体部
56b 被保持凹部
56c 下凸部
56d 細長水平腕
56e 垂直腕
56f 係合凸部
61、61A、61A1、61A2、61A3、61B、61B1、61B2、61B3 第1端子
62、162 テール部
63 被保持部
64 下側接続部
65 内側接続部
65a、166 内側接触部
66、165 外側接触部
67、164 上側接続部
101 第2コネクタ
111 第2ハウジング
112 第2側壁部
122 第2突出端部
122b 端側面
122c 側面
151、151LA、151LB、151SA、151SB 第2補強金具
151L 大型第2補強金具
151S 小型第2補強金具
152 第2端壁覆部
153 第2側壁覆部
153A1、153A2、153B1、153B2 第2補強金具端子
161、161A、161A1、161A2、161A3、161B、161B1、161B2、161B3 第2端子
851 補強金具
852、857 側壁覆部
861 信号端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10