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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160896
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】飲料容器、及び、飲料容器の中栓
(51)【国際特許分類】
   A47J 41/00 20060101AFI20231026BHJP
   A47J 41/02 20060101ALI20231026BHJP
   B65D 47/24 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A47J41/00 301A
A47J41/02 101A
A47J41/02 104A
A47J41/00 304A
B65D47/24 120
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023141277
(22)【出願日】2023-08-31
(62)【分割の表示】P 2019043477の分割
【原出願日】2019-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092875
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 孝治
(74)【代理人】
【識別番号】100116159
【弁理士】
【氏名又は名称】玉城 信一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 正弘
(57)【要約】
【課題】
容器本体の開口部外周面に螺条部を形成することなく、容器本体の開口部に中栓及びコップを取り付けられるようにする。
【解決手段】
飲料を収容する容器本体1と、この容器本体1の開口部内周面に螺合されて当該容器本体1に対して固定される中栓2と、この中栓2の上記容器本体1の開口部よりも上方に露出した外周面に螺合されて容器本体1に固定されるコップ3とを備え、上記中栓2を上記容器本体1の開口部内周面に螺合することにより、上記中栓2を介して上記コップ3を上記容器本体1の開口部に取り付けられるようにした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、該容器本体の開口部内周面に螺合される中栓と、該中栓の上記容器本体開口部から露出した外周面に螺合固定されるコップとを備えてなることを特徴とする飲料容器。
【請求項2】
容器本体が有底筒状の内容器および外容器の上端側開口縁部同士を相互に接合一体化してなる真空二重壁構造の金属製容器であって、開口部上端は、断面逆U字形状となっていることを特徴とする請求項1記載の飲料容器。
【請求項3】
中栓は、外筒部の外周面を容器本体の開口部内周面に螺合して固定されていると共に、内筒部内に飲料注出用の開閉弁の弁軸を昇降自在に支持している栓下本体と、該栓下本体の内側にあって、下端側小径の筒体部を上記内筒部の外周面に螺合固定され、上記栓下本体の外筒部との間で飲料注出通路を形成していると共に、上記開閉弁の弁軸操作機構を備えた筒状の栓上本体とからなることを特徴とする請求項1又は2記載の飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、中栓を備えた飲料容器の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、飲料を収容する携帯型の飲料容器(ステンレスボトル)がマイボトルとして生活必需品化しており、スクリュー型の着脱栓を備え、同着脱栓を取り外して容器本体(ボトル本体)上端側の開口部から直飲みするマグタイプ型のものや、飲料注出口を有するワンプッシュ開閉型の中栓を備え、同中栓の飲料注出口からコップに注いで飲む注出型のものなど、種々の形態のものが提供されている。
【0003】
そして、上記後者の中栓を備えた飲料容器では、容器本体の開口部に嵌合される栓体の外周に栓体とは別に栓体を容器本体の開口部に螺合するための筒体部を設け、該筒体部の内周面に雌ネジを形成して容器本体の開口部外周面に設けた雄ネジに螺合して固定する一方、コップの内周面に雌ネジを形成して、容器本体開口部の外周面に設けた雄ネジに螺合することにより、中栓を覆う形で容器本体の開口部に取り付けられるようになっている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4-4668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記構成の場合、容器本体の開口部外周面の上端側に中栓を取り付けるための雄ネジ部、下端側にコップを取り付けるための雄ネジ部を設ける必要があり、どうしても容器本体の開口部(開口縁部)の長さが長くなってしまう。また、それぞれの部分の外径を変える必要があるので、同容器本体の開口部(開口縁部)に段差ができてしまう。
【0006】
それらの結果、容器本体開口部の成型工数が多くなることに加え、コップを取り外した時のデザイン性が悪くなる(煩雑さによる美感の低下)。また、中栓部分は、飲料収容時やお手入れ時に取り外されるが、上記の構成では、その後、中栓を取り付けるのを忘れても、コップの取り付けが可能となっており、そのまま携帯されるということも起こり得る。その場合、飲料漏れが生じることも想定される。
【0007】
一方、同構成の場合、コップ及び中栓を取り外せば、容器本体の開口部から直飲みすることも一応可能ではあるが、上記のように、容器本体の開口部外周面上端に雄ネジ部があるため、口当たりが良くない。しかも、同開口部の縁部が長いので、飲みにくい。
【0008】
また、最近では、製品多様化の反面、基本的な構成部品を共用化するプラットフォーム化の流れがあり、本件飲料容器の場合にも、機能的に大きな変化がないにも拘らず、製造コストが大きい容器本体(ボトル本体)部分のプラットフォーム化が望まれているが、上記構成では、そのような課題に対応することができない。
【0009】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、中栓を容器本体の開口部内周面に螺合して固定する一方、コップを中栓の外周面に螺合して固定することにより、容器本体開口部の外周面を滑らかにした飲料容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の飲料容器における課題解決手段は、開口部を有する容器本体と、該容器本体の開口部内周面に螺合される中栓と、該中栓の上記容器本体開口部から露出した外周面に螺合固定されるコップとを備えて構成されている。
【0012】
このような構成によれば、容器本体の開口部に取り付けられる中栓が容器本体の開口部の内周面に螺合して固定され、また、従来容器本体の開口部の外周面に螺合して固定されていたコップが中栓の容器本体開口部から露出した外周面に螺合して固定されるから、螺条部は容器本体の開口部の内周面側にのみ形成すれば良くなり、外周面側は滑らかな口当たりの良い面に形成することができる。また、等径で、上下方向の長さも短いものに形成することができる。
【0013】
したがって、コップを取り外して、中栓自体を従来のスクリュー型の栓と同様に着脱型のものとして使用するようにすれば、容器本体を直飲み可能なマグカップタイプの飲料容器として構成することが可能となる。
【0014】
また、中栓を、飲料注出口、オープンスイッチ(ボタン)、クローズスイッチ(ボタン)を備え、容器本体の開口部に螺合した状態のままでワンプッシュ操作でコップに注出することができるように構成すれば、コップ付き・ワンプッシュ注液型の飲料容器に構成することができる。
【0015】
これらの結果、容器本体を各種の構造の中栓に対して共通に使用することができるようになり、飲料容器本体のプラットフォーム化が可能となる。その結果、メーカーサイドから見た場合、製品の製造コストが低下する。
【0016】
他方、ユーザーサイドから見ると、いったん購入した容器本体を使用して、機能の異なる中栓を購入することにより、低コストに製品機能を向上させることができるメリットが生じる。
【0017】
また、同構成の場合、中栓が容器本体の開口部に取り付けられていない場合には、コップ自体を取り付けることができないから、中栓を付け忘れてコップを取り付けるということがなくなる。
【0018】
また、同構成では、容器本体開口部の成型工数が減少し、デザイン的な美感も向上する。
【0019】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、容器本体が有底筒状の内容器および外容器の上端側開口縁部同士を相互に接合一体化してなる真空二重壁構造の金属製容器であって、開口部上端は、断面逆U字形状となっている。
【0020】
このような構成によれば、保温機能を備えた直飲み型のマグカップタイプの飲料容器を構成するのに適したものとなる。そして、使用する中栓の構造をスクリュー型の脱着栓構造とすれば、コップを使うことなく、同断面形状の開口部を利用して直飲みすることができるマグタイプ型の飲料容器を構成することができる。
【0021】
他方、同中栓を飲料注出口を有するワンプッシュ開閉型の中栓構造に変更すれば、当該中栓の飲料注出口から飲料をコップに注いで飲む飲料注出型の飲料容器に構成することができる。しかも、このようにした場合においても、中栓は単に容器本体の開口部内周面の雄ネジに螺合されているだけであるから、中栓自体の螺合を解除して取り外せば、上記同様の直飲み型の飲料容器として使用することも可能となる。
【0022】
この結果、容器本体の、より効果的なプラットフォーム化が可能となる。
【0023】
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1または2の発明の課題解決手段の構成において、中栓は、外筒部の外周面を容器本体の開口部内周面に螺合して固定されているとともに、内筒部内に飲料注出用の開閉弁の弁軸を昇降自在に支持している栓下本体と、該栓下本体の内側にあって、下端側小径の筒体部を上記内筒部の外周面に螺合固定され、上記栓下本体の外筒部との間で飲料注出通路を形成している共に、上記開閉弁の弁軸操作機構を備えた筒状の栓上本体とから構成されている。
【0024】
このような構成の場合、容器本体の開口部内周面に螺合固定される栓下本体の内筒部に対して、栓上本体の下端側小径の筒体部を螺合しさえすれば、飲料の注出通路を有するワンプッシュ開閉型の飲料注出型飲料容器を簡単に構成することができる。しかも、同螺合状態を解除すれば、栓上本体と栓下本体を容易に分離することができ、それぞれの分解、洗浄も容易である。
【0025】
また、栓下本体内側の内筒部に対して、栓上本体下端側の小径の筒体部を螺合固定した一体状態のままで容器本体の開口部から分離すれば、容器本体を直飲み型マグタイプの飲料容器として使用することができ、スクリュー型栓体の場合と同様の使用形態を実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上の結果、本願発明によれば、容器本体の開口部を基本的に直飲みが可能な滑らかで長さが短いものに形成することができると共に、飲料注出口を有するワンプッシュ開閉栓構造、その他各種の中栓構造のものにも所望に対応できるようになり、飲料容器本体を各種の飲料容器に適用可能なプラットフォーム・タイプの容器として活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本願発明の実施の形態に係る飲料容器の容器本体、中栓、コップを一体化した状態の断面図である。
図2図1の飲料容器の上端部分の拡大断面図である。
図3図2の拡大図からコップを取り外した中栓露出状態における拡大断面図である。
図4図2の拡大図から取り外されたコップの拡大断面図である。
図5】同飲料用容器の容器本体から、中栓下本体、中栓上本体、コップをそれぞれ分離して示す分解斜視図である。
図6】同飲料用容器における中栓下本体部分の構成を示す拡大斜視図である。
図7】同飲料用容器におけるコップの内面部分の構成を示す拡大斜視図である。
図8】同飲料用容器の容器本体の構成を示す断面図である。
図9】同飲料用容器の中栓部分の構成を示す拡大断面面図である。
図10】同飲料用容器の中栓の中栓下本体部分の構成を示す拡大断面図である。
図11】同飲料用容器の中栓の中栓上本体部分の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付の図1図11を参照して、本願発明に係る中栓を備えた飲料容器の構造の実施の形態について、詳細に説明する。この実施の形態では、飲料容器の容器本体の構成の一例として、保温機能(断熱保温機能)の高い真空二重容器よりなるステンレスボトルが採用されており、ここでいう保温には、暖かい状態での保温及び冷たい状態での保温の両方を含んでいる。
【0029】
<飲料容器全体の概略的な構成について>
まず図1には、同本願発明の実施の形態に係る飲料容器全体の断面構成が示されており、また図2には、その上端側の栓本体部分を拡大した断面構成が示されている。
【0030】
図1から明らかなように、この実施の形態の飲料容器(ステンレスボトル)は、大きく分けて、飲料を収容する縦長の容器本体1と、該容器本体1の上端側開口部内に螺合する形で着脱自在に取り付けられた中栓2と、該中栓2および容器本体1の上端側開口部外周を覆う形で中栓2の外周に螺合固定されたコップ3とから構成されている。
【0031】
以下、これら容器本体1、中栓2、コップ3、それぞれの構成について、詳細に説明して行く。
【0032】
<容器本体1の構成について:図1図5図8
容器本体1は、たとえば図1図5図8に示すように、有底筒状構造のステンレス製の内容器(内ケース)11と、同じく有底筒状構造で、内容器11よりも所定寸法大径のステンレス製の外容器(外ケース)12とからなり、それら内容器11、外容器12の上端側開口縁部11a、12a同士を相互に断面逆U字形状の曲面構造に接合一体化することによって、上端側に十分な大きさの開口部を有する真空断熱構造の容器本体に形成されている。
【0033】
この容器本体1の開口部外周(開口縁部外周)には、段部構造の肩部(小径部)12bが、また内周面側中間部には中栓2を螺合固定するための雄ネジ部(螺条部)11b、同内周面側下部には部分的に小径のネック部(ヒートキープ部)11cが、それぞれ設けられている。そして、同開口部に対して、次に述べる中栓2が着脱可能に螺合されている。
【0034】
<中栓2の構成について:図1図2図3図5
中栓2は、大きく分けて、下部側にあって上記容器本体1の開口部内周面に設けられた上記雄ネジ部11bに螺合される雌ネジ部(螺条部)21bを備えた栓下本体21と、該栓下本体21の中央部にあって、上下方向に昇降可能に支持された開閉弁(中子)22と、該栓下本体21に螺合固定されて栓上カバー24を支持している栓上本体23と、該栓上カバー24により支持されたオープンスイッチ25、回転体25A、クローズスイッチ26とから構成されている。
【0035】
<栓下本体21の構成について:図2図3図6図9図10
栓下本体21は、外側大径の外筒部21Aと内側小径の内筒部21Bとの2つの筒体部を底壁部21Cを介して同軸一体構造に樹脂成型されており、大径の外筒部21Aの下部部分を上記容器本体1の上端側開口部内(開口縁部内)に螺合固定することにより、容器本体1に対して取り付けられている。そして、上記小径の内筒部21B内に上記開閉弁22の弁軸部(中子本体)22aを昇降可能に支持している。
【0036】
大径の外筒部21Aは、筒体部上下方向の略中間部よりも下方側に位置してその外径が上記容器本体1の上端側開口部の内径よりも小さい下部側小径の筒部と、同筒体部上下方向の略中間部よりも上方側に位置して上記容器本体1の上端側開口部から上方に露出し、その外径が上記容器本体1の上端側開口部の内径よりも少し大きい上部側大径の筒部とからなっている。
【0037】
そして、上記下部側小径の筒部は、その外周面側に設けられた雌ネジ部21bを上記容器本体1の上端側開口部内周面(開口縁部内周面)に設けられた雄ネジ部11bに螺合されている一方、上記上部側大径の筒部は、その下端部外周面に後述するコップ3の内周面の雌ネジ部(螺条部)31bに螺合する雄ネジ部(螺条部)21aを備えて構成されている。そして、上記下部側小径の筒部の雌ネジ部21bを上記容器本体1の上端側開口部内周面の雄ネジ部11bに螺合した、上記中栓2(大径の外筒部21A)を上記容器本体1の上端側開口部に取付けた状態において、当該中栓2(大径の外筒部21A)の外周にコップ3が嵌合され、同コップ3内周面側の雌ネジ部(螺条部)31bが上記上部側大径の筒部の下端部外周の雄ネジ部(螺条部)21aに螺合されることによって、中栓2(大径の外筒部21A)を介してコップ3が容器本体1に取り付けられる。
【0038】
この場合において、上記中栓2の大径の外筒部21Aの上方側部分を形成する、上記容器本体1の上端側開口部から上方に露出した上部側大径の筒部は、その外径が上記容器本体1の上端側開口部の内径よりも少し大きく形成され、しかも、その下端部外周面に位置して後述するコップ3の内周面の雌ネジ部(螺条部)31bに螺合する雄ネジ部(螺条部)21aを備えて構成されている。したがって、上記中栓2の大径の外筒部21Aの下方側部分を形成する下部側小径の筒部の雌ネジ部21bを上記容器本体1の上端側開口部内周面の雄ネジ部11bに螺合した中栓2(大径の外筒部21A)の上記容器本体1の上端側開口部への取り付け状態において、上記コップ3の内周面の雌ネジ部(螺条部)31bに螺合する雄ネジ部(螺条部)21aの下面が上記容器本体1の上端側開口部の上端に当接係合する形で、中栓2の大径の外筒部21Aが上記容器本体1の上端側開口部に確実に支持固定される。したがって、中栓2の大径の外筒部21Aはもちろん、同中栓2の大径の外筒部21Aを介した上記容器本体1へのコップ3の取り付け状態も安定したものとなる。
【0039】
また、上記大径の外筒部21Aの下端部外周、すなわち上記下部側小径の筒部下端の外周には、シール用のパッキン21cが設けられており、同パッキン21cを上記容器本体1の開口部内側のネック部11c部分に当接する形で固定されている。
【0040】
一方、小径の内筒部21Bは、その上端側外周面に雌ネジ部(螺条部)21dを有し、この雌ネジ部21d部分に対して、後述する栓上本体23の下端側小径の筒体部23A内周面の雄ネジ部(螺条部)23aが螺合固定されている。この小径の内筒部21Bの内側には、開閉弁22を嵌装支持するためのボス型のスリーブ21fが下方側及び上方側両方向に開口する形で一体成型されており、その内側嵌装孔21e部分に開閉弁22の弁軸(中子本体)22aが昇降可能に遊嵌されている。また、同弁軸22aの上端側外周にはリング状の凹溝部22dが設けられ、この凹溝部22dを利用して傘状のコイルバネ係止片22fが係止されている。そして、同係止片22fの下面と上記スリーブ21f外周の底壁部21C上面との間には、当該弁軸22aを常時上方に付勢した状態で支持するコイルバネ21gが介装されており、それによって弁軸22aの下端側に一体に設けられたタペット形状の弁体22bが常時上記底壁部21Cの下面側に当接し、注液口(飲料導入口)21iを閉じる状態に維持されるように構成している。この場合、弁軸22aのスリーブ21f内軸部外周には弁軸パッキン22eが、また弁体22bの外周には、弁体パッキン22cがそれぞれ設けられており、必要なシール作用を行うようになっている。
【0041】
注液口21iは、上記小径の内筒部21Bの下端部分に位置して周方向に複数個開口されており、それぞれ上記弁体22bのシール域内に位置して開口されている。したがって、弁軸22aが、後述するオープンスイッチ25及び回転体25A、ラチェット爪25e,25e・・等よりなる弁体開閉機構により下方に押圧操作されていない状態では、図示のように、弁体22b及び弁体パッキン22cによって確実にシールされ、同部分に飲料が侵入するようなことがないようになっている。
【0042】
<栓上本体23の構成について:図2図3図5図9図11
栓上本体23は、下端側小径の筒体部23Aと、その上端側底壁部を有する中径の筒体部23Bと、さらに、その上端側大径の筒体部23Cとの3段構造の筒体部を略同じ高さ毎に一体に樹脂成型して構成されている。
【0043】
そして、下端側小径の筒部23Aの内径は、上記栓下本体21の内筒部21Bの外径に対応したものとなっており、上記栓下本体21の内筒部21B外周面の雌ネジ部21d部分に、その内周面側の雄ネジ部23a部分を螺合することにより一体に連結固定して支持されている(図2および図9を参照)。この栓上本体23の上記栓下本体21に対する螺合は、上記上段側大径の筒部23C部分を操作してなされる。
【0044】
一方、底壁部を有する中径の筒部23Bおよび底壁部のない大径の筒部23Cは、その内側に相互に連続する下部側小径及び上部側大径の連続した2段構造の収容空間を形成しており、同収容空間内に回転体25A及び同回転体25Bを回転させるオープン操作ボタン25Bを備えた開閉弁22開閉操作用のオープンスイッチ25およびオープンスイッチ25の外周を囲む形で設けられたクローズスイッチ26等の弁体開閉機構を内装すると共にクローズスイッチ26のクローズボタン26cを昇降操作可能に支持する栓上カバー24を設置して構成されている。
【0045】
オープンスイッチ25は、その断面ハット型のオープン操作ボタン25Bの操作面部25f部分を押圧すると、その下端側大径の押圧部25g部分が上記回転体25Aの中間部側大径の周壁部25dを回転するように押し下げ、同回転体25Aの中心部から下方に延びた筒体部25a先端の開閉弁押圧部25bで、上述した栓下本体21側開閉弁22の弁軸22aの上端を下方に所定寸法押し下げ、同所定寸法押し下げられた状態でラチェット爪25e,25e・・によりロックされる。なお、中段部中径の筒部23Bの底壁部中央には、筒体部25a先端の開閉弁押圧部25bが昇降する貫通孔23cが形成されている。そして、この状態では、上述した開閉弁22の弁体部22bも所定寸法下降し、上述した注液口(飲料導入口)21iを容器本体1内の注液通路21jに連通させる。注液通路21jは、上記栓下本体21の大径の外筒部21A及び底壁部21C内周面と上記栓上本体23の下段部小径の筒部23A及び中段部中径の筒部23B外周面との間に形成されている。そして、その上端が周方向に連続する注出口(飲料注出口)21kとなっている。
【0046】
その結果、この状態で、上記容器本体1を所定角以上傾斜させると、上記注液口(飲料導入口)21iを介して、上記注液通路21jに飲料が導入され、同注液通路21jを介して、その上端側注出口21kから飲料が注出される。
【0047】
他方、この状態から、上記下降状態にあるオープンスイッチ25のオープンボタン25B又は同開弁状態において少し上方に上昇(突出)した状態に維持されるクローズスイッチ26のクローズボタン26cを下方に押すと、上記ラチェット爪25e、25e・・による回転体25Aのロック状態が解除され、同回転体25A及びオ―プンスイッチ25のオープン操作ボタン25Bが、コイルバネ21gの付勢力により元の状態に復帰し、再び注液口21iが閉じられて止水状態となる。
【0048】
なお、クローズスイッチ26のクローズボタン26cは、断面逆U字構造の環状部材に形成されており、その内周側縦壁部26aがオープンスイッチ25のオープンボタン25Bの下端側大径の外周部25c上に係合されているとともに、外周側縦壁部26bが上記栓カバー24に係合されている。また、符号24aは上記オープン操作ボタン25B及び回転体25A、ラチェット爪25e,25e・・等の弁体開閉機構を内装する栓カバー24下部の筒体部、24bは断面U字形状の栓カバー24の上端側クローズボタン係合部、24cは同栓カバー24上端の上壁面部(カバー面部)を示している。これら弁体開閉機構の基本的な構成および作用は、先に掲記した本願出願人の従来例(実公平4-4668号公報)のものと同様である。
【0049】
<コップ3の構成について:図2図4図6図7
コップ3は、たとえば図4図7に示されるように、内側樹脂部材31の外周面側にステンレス材32を重合してなり、その開口縁側にはシール材33が介装され、相互の開口縁部31a,32a同士を図4のように確実に係合させることによって固定している。そして、その内周面側樹脂部材31部分には、上記のようにして容器本体1の開口部内に螺合固定された中栓2の容器本体1の開口部から上方に露出している栓下本体21の外筒部21Aの外周面に形成されている雄ネジ部(螺条部)21aに螺合する雌ネジ部(螺条部)31bを有し、同雌ネジ部31bを栓下本体21の外筒部21A外周面の雄ネジ部21aに螺合することにより、中栓2の上部を覆う形で容器本体1の開口部に嵌合固定されている。
【0050】
この場合、コップ3の内周面側雌ネジ部(螺条部)31b部分の螺合方向終端部には、増締め用の突起31cが設けられている一方、栓下本体21の外筒部21A外周面の雄ネジ部21aにも、それに対応した凹部21hが設けられており、確実な螺合が可能となっている。
【0051】
<本願発明の実施の形態に係る飲料容器の基本的な構成と作用について>
本願発明の実施の形態に係る飲料容器は、上述したように、基本的に、飲料を収容する容器本体1と、この容器本体1の上端側開口部の内周面部分に螺合されて当該容器本体1に対して固定される中栓2と、この中栓2の上記容器本体1の開口部よりも上方に露出した外周面部分に螺合されて容器本体1に対して固定されるコップ3とを備えて構成されている。
【0052】
このような構成によれば、まず飲料を収容する容器本体1の開口部に取り付けられる中栓2が容器本体1の開口部の内周面に螺合して固定され、さらに、同コップ3が当該中栓2の上記容器本体1の開口部よりも上方に露出した外周面部分に螺合され、当該中栓2を介して容器本体1に対して固定されることになる。
【0053】
そのため、容器本体1の開口部における螺条部は容器本体1の開口部の内周面側に1カ所だけ形成すれば良いことになり、容器本体1の開口部の外周面側は滑らかな口当たりの良い面に形成することができる。また、等径で、上下方向の長さも短いものに形成することができる。その結果、容器本体1の開口部の成型工数が減少し、製造コストが低減されるとともに、デザイン的な美感も向上する。
【0054】
また、コップ3を取り外して、中栓2自体を従来のスクリュー型の栓と同様に着脱型のものとして使用するようにすれば(たとえば図9の一体状態で着脱するようにすれば)、容器本体1を直飲み可能なマグカップタイプの飲料容器として構成することが可能となる。
【0055】
また、中栓2を、飲料注出口、オープンスイッチ(ボタン)25、クローズスイッチ(ボタン)26を備え、容器本体1の開口部に螺合した状態のままでワンプッシュ操作でコップ3に注出することができるように構成すれば、コップ3付き・ワンプッシュ注液型の飲料容器に構成することができる。
【0056】
これらの結果、容器本体1を各種の構造の中栓2に対して共通に使用することができるようになり、容器本体1のプラットフォーム化が可能となる。その結果、メーカーサイドから見た場合、製品の製造コストが低下する。
【0057】
他方、ユーザーサイドから見ると、一旦購入した容器本体を使用して、機能の異なる新たな中栓2を購入することにより、容器本体1を変えることなく、低コストに製品機能を向上させることができるメリットが生じる。
【0058】
また、以上の構成の場合、中栓2が容器本体1の開口部に取り付けられていない場合には、コップ3自体を取り付けることができない。その結果、中栓2を取り付けるのを忘れてコップ3を取り付けるということがなくなる。
【0059】
また、以上の構成では、容器本体1が、有底筒状の内容器11および外容器12の上端側開口縁部11a,12a同士を相互に接合一体化してなる真空二重壁構造の金属製容器により構成されていて、その開口部の上端が断面逆U字状の曲面形状となっている。
【0060】
このような構成によれば、より飲み口部の口当たりを良くすることができ、保温機能を備えた直飲み型のマグカップタイプの飲料容器を構成するのに適したものとなる。そして、使用する中栓2の構造をスクリュー型の脱着栓構造とすれば、コップ3を使うことなく、同断面逆U字形状の滑らかな開口部を利用して直飲みすることができるマグタイプ型の飲料容器を構成することができる。
【0061】
他方、同中栓2を飲料注出口を有するワンプッシュ開閉型の中栓構造に変更すれば、中栓を開口部に固定したままで、当該中栓2の飲料注出口から飲料をコップに注いで飲む飲料注出型の飲料容器に構成することができる。しかも、このような構成にした場合においても、上記中栓2は、単に容器本体1の開口部内周面のネジ部11bに螺合されているだけであるから、上記中栓2自体の螺合を解除して取り外せば(図9の状態で取り外すようにすれば)、上記同様の直飲み型の飲料容器として使用することも可能となる(図8の状態を参照)。これらの結果、容器本体1のより効果的なプラットフォーム化が可能となる。
【0062】
さらに、以上の構成の場合、上記中栓2は、より具体的には、図9に示すように、外筒部21A外周面のネジ部(雌ネジ部)21bを上記容器本体1の開口部内周面のネジ部(雄ネジ部)11bに螺合して固定されるとともに、内筒部21B内に飲料注出用の開閉弁22の弁軸22aを昇降自在に支持する栓下本体21(図10参照)と、該栓下本体21の外筒部21A内側にあって、下端側筒部23Aを上記栓下本体21の内筒部21Bの外周面に螺合固定され、上記栓下本体21の外筒部21Aとの間で注液通路21jを形成している共に、上記開閉弁22の弁軸操作機構を備えた筒状の栓上本体23(図11参照)とから構成されている。
【0063】
このような構成の場合、容器本体1の開口部内周面に螺合固定される栓下本体21の内筒部21Bに対して、筒状の栓上本体23の下端部23Aを螺合しさえすれば、飲料の注出通路を有するワンプッシュ開閉型の飲料注出型飲料容器を簡単に構成することができる。
【0064】
しかも、同構成の場合、栓上本体23の栓下本体21との螺合状態を解除すれば、栓上本体23と栓下本体21を容易に分離することができ、分解、洗浄も容易である(図10図11参照)。
【0065】
また、栓下本体21の内筒部21Bに対して栓上本体23Aを螺合固定した一体化状態のままで(図9の状態を参照)、中栓2を容器本体1の開口部から分離すれば、容器本体1を直飲み型マグタイプの飲料容器として使用することができる。
【0066】
(変形例)
なお、中栓2部分の構成は、種々の変形が可能であり、例えば上記開閉弁機構に変えて、茶漉し部を設けることも可能である。
【0067】
また、開閉弁機構も、上述の構成のものに限られるわけではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0068】
1は容器本体、11は内容器、11aは開口縁部、11bは雄ネジ部、12は外容器、12aは開口縁部、2は中栓、21は栓下本体、21Aは外筒部、21Bは内筒部、22は開閉弁、22aは弁本体、22bは弁体、23は栓上本体、23Aは小径の筒体部、23Bは中径の筒体部、23Cは大径の筒体部、25はオープンスイッチ、26はクローズスイッチ、3はコップである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する容器本体と、
前記容器本体の開口部に対して着脱可能に取り付けられる筒体構造の中栓と、
前記中栓に対して着脱可能に取り付けられるコップと、を備え、
前記中栓は、
筒体部下部が前記容器本体の開口部内周面に螺合されると共に、筒体部上部の外周面に前記コップが螺合され、
筒体部内には、
機能の異なる所定の中栓構造が選択的に採用されるようになっている、
飲料容器。
【請求項2】
所定の中栓構造が、
外部操作可能な開閉弁機構を備えた中栓構造である、
請求項1に記載の飲料容器。
【請求項3】
所定の中栓構造が、
茶漉し部を備えた中栓構造である、
請求項1に記載の飲料容器。
【請求項4】
容器本体の開口部に対して着脱可能に取り付けられる筒体構造の中栓と、
前記中栓に対して着脱可能に取り付けられるコップと、を備え、
前記中栓は、
筒体部下部が前記容器本体の開口部内周面に螺合されると共に、筒体部上部の外周面に前記コップが螺合され、
筒体部内には、
選択可能な所定の中栓構造が採用される、
前記容器本体をプラットフォーム化可能とした、
飲料容器の中栓。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、中栓を備えた飲料容器、及び、飲料容器の中栓の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近では、飲料を収容する携帯型の飲料容器(ステンレスボトル)がマイボトルとして生活必需品化しており、スクリュー型の着脱栓を備え、同着脱栓を取り外して容器本体(ボトル本体)上端側の開口部から直飲みするマグタイプ型のものや、飲料注出口を有するワンプッシュ開閉型の中栓を備え、同中栓の飲料注出口からコップに注いで飲む注出型のものなど、種々の形態のものが提供されている。
【0003】
そして、上記後者の中栓を備えた飲料容器では、容器本体の開口部に嵌合される栓体の外周に栓体とは別に栓体を容器本体の開口部に螺合するための筒体部を設け、該筒体部の内周面に雌ネジを形成して容器本体の開口部外周面に設けた雄ネジに螺合して固定する一方、コップの内周面に雌ネジを形成して、容器本体開口部の外周面に設けた雄ネジに螺合することにより、中栓を覆う形で容器本体の開口部に取り付けられるようになっている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公平4-4668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記構成の場合、容器本体の開口部外周面の上端側に中栓を取り付けるための雄ネジ部、下端側にコップを取り付けるための雄ネジ部を設ける必要があり、どうしても容器本体の開口部(開口縁部)の長さが長くなってしまう。また、それぞれの部分の外径を変える必要があるので、同容器本体の開口部(開口縁部)に段差ができてしまう。
【0006】
それらの結果、容器本体開口部の成型工数が多くなることに加え、コップを取り外した時のデザイン性が悪くなる(煩雑さによる美感の低下)。また、中栓部分は、飲料収容時やお手入れ時に取り外されるが、上記の構成では、その後、中栓を取り付けるのを忘れても、コップの取り付けが可能となっており、そのまま携帯されるということも起こり得る。その場合、飲料漏れが生じることも想定される。
【0007】
一方、同構成の場合、コップ及び中栓を取り外せば、容器本体の開口部から直飲みすることも一応可能ではあるが、上記のように、容器本体の開口部外周面上端に雄ネジ部があるため、口当たりが良くない。しかも、同開口部の縁部が長いので、飲みにくい。
【0008】
また、最近では、製品多様化の反面、基本的な構成部品を共用化するプラットフォーム化の流れがあり、本件飲料容器の場合にも、機能的に大きな変化がないにも拘らず、製造コストが大きい容器本体(ボトル本体)部分のプラットフォーム化が望まれているが、上記構成では、そのような課題に対応することができない。
【0009】
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、容器本体の開口部に対して着脱可能に取り付けられる筒体構造の中栓と、該中栓に対して着脱可能に取り付けられるコップを備え、前記中栓は、その筒体部下部が前記容器本体の開口部内周面に螺合されると共に、筒体部上部の外周面に前記コップが螺合されるようにし、それによって前記容器本体の開口部外周面におけるコップ取付用の螺条部を不要にする一方、筒体部内に任意に選択可能な機能を異にする所定の中栓構造を採用することによって、前記容器本体のプラットフォーム化が可能な、飲料容器、及び、飲料容器の中栓を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、上記の課題を解決するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
【0011】
(1)請求項1の発明の課題解決手段
この発明の飲料容器における課題解決手段は、開口部を有する容器本体と、前記容器本体の開口部に対して着脱可能に取り付けられる筒体構造の中栓と、前記中栓に対して着脱可能に取り付けられるコップとを備え、前記中栓は、筒体部下部が前記容器本体の開口部内周面に螺合されると共に、筒体部上部の外周面に前記コップが螺合され、筒体部内には、任意に選択可能な機能の異なる所定の中栓構造が採用されるように構成されている。
【0012】
このような構成によれば、容器本体の開口部に着脱可能に取り付けられる筒体構造の栓下部が容器本体の開口部の内周面に螺合して固定され、また、従来容器本体の開口部の外周面に螺合して固定されていたコップが筒体構造の栓上部の容器体の開口部から上方に露出した外周面に螺合して固定されるから、容器本体側における螺条部は容器本体開口部の内周面にのみ形成すれば良くなり、容器本体の開口部の外周面側は滑らかな口当たりの良い面に形成することができる。また、容器本体の開口部そのものを等径で、上下方向の長さも短いものに形成することができる。
【0013】
しかも、同構成の場合、筒体構造の中栓の筒体部内には、任意に選択可能な機能の異なる所定の中栓構造が採用されるように構成されている。
【0014】
したがって、コップを取り外して、筒体構造の中栓自体を従来のスクリュー型の栓と同様に着脱型のものとして使用するようにすれば、容器本体を直飲み可能なマグカップタイプの飲料容器として構成することが可能となる。
【0015】
また、筒体構造の中栓を、飲料注出口、オープンスイッチ(ボタン)、クローズスイッチ(ボタン)を備え、容器本体の開口部に螺合した状態のままワンプッシュ操作でコップに注出することができるように構成すれば、コップ付き・ワンプッシュ注液型の飲料容器に構成することができる。
【0016】
これらの結果、同構成によれば、容器本体を機能の異なる各種の構造の中栓に対して共通に使用することができるようになり、飲料容器本体のプラットフォーム化が可能となる。その結果、メーカーサイドから見た場合、製品の製造コストが低下する。
【0017】
他方、ユーザーサイドから見ると、いったん購入した容器本体を使用して、機能の異なる中栓を購入することにより、低コストに製品機能を向上させることができるメリットが生じる。
【0018】
また、同構成の場合、中栓が容器本体の開口部に取り付けられていない場合には、コップ自体を取り付けることができないから、中栓を付け忘れてコップを取り付けるということがなくなる。
【0019】
また、同構成では、容器本体開口部の成型工数が減少し、デザイン的な美感も向上する。
【0020】
(2)請求項2の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、所定の中栓構造が、外部操作可能な開閉弁機構を備えた中栓構造となっている。
【0021】
このような構成の場合、容器本体の開口部内周面に対して筒体構造の中栓の筒体部下部を螺合しさえすれば、外部操作可能な開閉弁機構を備えた飲料の注出通路を有するワンプッシュ開閉型の飲料注出型飲料容器(コップ付き・ワンプッシュ注液型の飲料容器)を簡単に構成することができる。
【0022】
また、同筒体構造の中栓を容器本体の開口部から分離すれば、容器本体を直飲み型マグタイプの飲料容器として構成することができ、スクリュー型栓体の場合と同様の使用形態を実現することができる。
【0023】
(3)請求項3の発明の課題解決手段
この発明の課題解決手段は、上記請求項1の発明の課題解決手段の構成において、所定の中栓構造が、茶漉し部を備えた中栓構造となっている。
【0024】
このような構成の場合、容器本体の開口部内周面に対して筒体構造の中栓の筒体部下部を螺合しさえすれば、茶漉し機能を備えた中栓構造を実現することができ、
飲料としてお茶を収容するのに適したものとなる。
【0025】
(4)請求項4の発明の課題解決手段
この発明の飲料容器における課題解決手段は、容器本体の開口部に対して着脱可能に取り付けられる筒体構造の中栓と、前記中栓に対して着脱可能に取り付けられるコップとを備え、前記中栓は、筒体部下部が前記容器本体の開口部内周面に螺合されると共に、筒体部上部の外周面に前記コップが螺合され、筒体部内には、任意に選択可能な機能の異なる所定の中栓構造が採用される、前記容器本体をプラットフォーム化可能な構成となっている。
【0026】
このような構成の場合、所定の中栓構造として、外部操作可能な開閉弁機構を備えた中栓構造や茶漉し機能を備えた中栓構造など、任意に選択可能な機能の異なる所定の中栓構造を選択して筒体構造の中栓を構成し、容器本体の開口部内周面に対して同筒体構造の中栓の筒体部下部を螺合しさえすれば、外部操作可能な開閉弁機構を備えた中栓構造や茶漉し機能を備えた中栓構造を容易に実現することができるようになる。
【0027】
したがって、機能の異なる新たな構造の中栓を購入し、それまで使用している容器本体の開口部に螺合しさえすれば、同容器本体を機能の異なる新な飲料容器として構成することが可能となり、容器本体をプラットフォーム化することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
以上の結果、本願発明によれば、容器本体の開口部外周面における螺条部がなくなり、容器本体の開口部を直飲みが可能な滑らかで長さが短いものに形成することができると共に、中栓内部の構造を、機能を異にする所定の構造、たとえば飲料注出口を有するワンプッシュ開閉栓構造、茶漉し部を備えた茶漉し構造、その他各種の構造のものに構成することができるようになり、飲料容器本体を機能を異にする各種の飲料容器に適用可能なプラットフォーム・タイプの容器として共通に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本願発明の実施の形態に係る飲料容器の容器本体、中栓、コップを一体化した状態の断面図である。
図2図1の飲料容器の上端部分の拡大断面図である。
図3図2の拡大図からコップを取り外した中栓露出状態における拡大断面図である。
図4図2の拡大図から取り外されたコップの拡大断面図である。
図5】同飲料用容器の容器本体から、中栓下本体、中栓上本体、コップをそれぞれ分離して示す分解斜視図である。
図6】同飲料用容器における中栓下本体部分の構成を示す拡大斜視図である。
図7】同飲料用容器におけるコップの内面部分の構成を示す拡大斜視図である。
図8】同飲料用容器の容器本体の構成を示す断面図である。
図9】同飲料用容器の中栓部分の構成を示す拡大断面面図である。
図10】同飲料用容器の中栓の中栓下本体部分の構成を示す拡大断面図である。
図11】同飲料用容器の中栓の中栓上本体部分の構成を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図1図11を参照して、本願発明に係る中栓を備えた飲料容器の構造の実施の形態について、詳細に説明する。この実施の形態では、飲料容器の容器本体の構成の一例として、保温機能(断熱保温機能)の高い真空二重容器よりなるステンレスボトルが採用されており、ここでいう保温には、暖かい状態での保温及び冷たい状態での保温の両方を含んでいる。
【0031】
<飲料容器全体の概略的な構成について>
まず図1には、同本願発明の実施の形態に係る飲料容器全体の断面構成が示されており、また図2には、その上端側の栓本体部分を拡大した断面構成が示されている。
【0032】
図1から明らかなように、この実施の形態の飲料容器(ステンレスボトル)は、大きく分けて、飲料を収容する縦長の容器本体1と、該容器本体1の上端側開口部内に螺合する形で着脱自在に取り付けられた中栓2と、該中栓2および容器本体1の上端側開口部外周を覆う形で中栓2の外周に螺合固定されたコップ3とから構成されている。
【0033】
以下、これら容器本体1、中栓2、コップ3、それぞれの構成について、詳細に説明して行く。
【0034】
<容器本体1の構成について:図1図5図8
容器本体1は、たとえば図1図5図8に示すように、有底筒状構造のステンレス製の内容器(内ケース)11と、同じく有底筒状構造で、内容器11よりも所定寸法大径のステンレス製の外容器(外ケース)12とからなり、それら内容器11、外容器12の上端側開口縁部11a、12a同士を相互に断面逆U字形状の曲面構造に接合一体化することによって、上端側に十分な大きさの開口部(開口縁部)を有する真空断熱構造の容器本体に形成されている。
【0035】
この容器本体1の開口部外周(開口縁部外周)には、段部構造の肩部(小径部)12bが、また内周面側中間部には中栓2を螺合固定するための雄ネジ部(螺条部)11b、同内周面側下部には部分的に小径のネック部(ヒートキープ部)11cが、それぞれ設けられている。そして、同開口部に対して、次に述べる中栓2が着脱可能に螺合されている。
【0036】
<中栓2の構成について:図1図2図3図5
中栓2は、大きく分けて、下部側にあって上記容器本体1の開口部内周面に設けられた上記雄ネジ部11bに螺合される雌ネジ部(螺条部)21bを備えた栓下本体21と、該栓下本体21の中央部にあって、上下方向に昇降可能に支持された開閉弁(中子)22と、該栓下本体21に螺合固定されて栓上カバー24を支持している栓上本体23と、該栓上カバー24により支持されたオープンスイッチ25、回転体25A、クローズスイッチ26とから構成されている。
【0037】
<栓下本体21の構成について:図2図3図6図9図10
栓下本体21は、外側大径の外筒部21Aと内側小径の内筒部21Bとの2つの筒体部を底壁部21Cを介して同軸一体構造に樹脂成型されており、大径の外筒部21Aの下部部分を上記容器本体1の上端側開口部内(開口縁部内)に螺合固定することにより、容器本体1に対して取り付けられている。そして、上記小径の内筒部21B内に上記開閉弁22の弁軸部(中子本体)22aを昇降可能に支持している。
【0038】
大径の外筒部21Aは、筒体部上下方向の略中間部よりも下方側に位置してその外径が上記容器本体1の上端側開口部の内径よりも小さい下部側小径の筒部と、同筒体部上下方向の略中間部よりも上方側に位置して上記容器本体1の上端側開口部から上方に露出し、その外径が上記容器本体1の上端側開口部の内径よりも少し大きい上部側大径の筒部とからなっている。
【0039】
そして、上記下部側小径の筒部は、その外周面側に設けられた雌ネジ部21bを上記容器本体1の上端側開口部内周面(開口縁部内周面)に設けられた雄ネジ部11bに螺合されている一方、上記上部側大径の筒部は、その下端部外周面に後述するコップ3の内周面の雌ネジ部(螺条部)31bに螺合する雄ネジ部(螺条部)21aを備えて構成されている。そして、上記下部側小径の筒部の雌ネジ部21bを上記容器本体1の上端側開口部内周面の雄ネジ部11bに螺合した、上記中栓2(大径の外筒部21A)を上記容器本体1の上端側開口部に取付けた状態において、当該中栓2(大径の外筒部21A)の外周にコップ3が嵌合され、同コップ3内周面側の雌ネジ部(螺条部)31bが上記上部側大径の筒部の下端部外周の雄ネジ部(螺条部)21aに螺合されることによって、中栓2(大径の外筒部21A)を介してコップ3が容器本体1に取り付けられる。
【0040】
この場合において、上記中栓2の大径の外筒部21Aの上方側部分を形成する、上記容器本体1の上端側開口部から上方に露出した上部側大径の筒部は、その外径が上記容器本体1の上端側開口部の内径よりも少し大きく形成され、しかも、その下端部外周面に位置して後述するコップ3の内周面の雌ネジ部(螺条部)31bに螺合する雄ネジ部(螺条部)21aを備えて構成されている。したがって、上記中栓2の大径の外筒部21Aの下方側部分を形成する下部側小径の筒部の雌ネジ部21bを上記容器本体1の上端側開口部内周面の雄ネジ部11bに螺合した中栓2(大径の外筒部21A)の上記容器本体1の上端側開口部への取り付け状態において、上記コップ3の内周面の雌ネジ部(螺条部)31bに螺合する雄ネジ部(螺条部)21aの下面が上記容器本体1の上端側開口部の上端に当接係合する形で、中栓2の大径の外筒部21Aが上記容器本体1の上端側開口部に確実に支持固定される。したがって、中栓2の大径の外筒部21Aはもちろん、同中栓2の大径の外筒部21Aを介した上記容器本体1へのコップ3の取り付け状態も安定したものとなる。
【0041】
また、上記大径の外筒部21Aの下端部外周、すなわち上記下部側小径の筒部下端の外周には、シール用のパッキン21cが設けられており、同パッキン21cを上記容器本体1の開口部内側のネック部11c部分に当接する形で固定されている。
【0042】
一方、小径の内筒部21Bは、その上端側外周面に雌ネジ部(螺条部)21dを有し、この雌ネジ部21d部分に対して、後述する栓上本体23の下端側小径の筒体部23A内周面の雄ネジ部(螺条部)23aが螺合固定されている。この小径の内筒部21Bの内側には、開閉弁22を嵌装支持するためのボス型のスリーブ21fが下方側及び上方側両方向に開口する形で一体成型されており、その内側嵌装孔21e部分に開閉弁22の弁軸(中子本体)22aが昇降可能に遊嵌されている。また、同弁軸22aの上端側外周にはリング状の凹溝部22dが設けられ、この凹溝部22dを利用して傘状のコイルバネ係止片22fが係止されている。そして、同係止片22fの下面と上記スリーブ21f外周の底壁部21C上面との間には、当該弁軸22aを常時上方に付勢した状態で支持するコイルバネ21gが介装されており、それによって弁軸22aの下端側に一体に設けられたタペット形状の弁体22bが常時上記底壁部21Cの下面側に当接し、注液口(飲料導入口)21iを閉じる状態に維持されるように構成している。この場合、弁軸22aのスリーブ21f内軸部外周には弁軸パッキン22eが、また弁体22bの外周には、弁体パッキン22cがそれぞれ設けられており、必要なシール作用を行うようになっている。
【0043】
注液口21iは、上記小径の内筒部21Bの下端部分に位置して周方向に複数個開口されており、それぞれ上記弁体22bのシール域内に位置して開口されている。したがって、弁軸22aが、後述するオープンスイッチ25及び回転体25A、ラチェット爪25e,25e・・等よりなる弁体開閉機構により下方に押圧操作されていない状態では、図示のように、弁体22b及び弁体パッキン22cによって確実にシールされ、同部分に飲料が侵入するようなことがないようになっている。
【0044】
<栓上本体23の構成について:図2図3図5図9図11
栓上本体23は、下端側小径の筒体部23Aと、その上端側底壁部を有する中径の筒体部23Bと、さらに、その上端側大径の筒体部23Cとの3段構造の筒体部を略同じ高さ毎に一体に樹脂成型して構成されている。
【0045】
そして、下端側小径の筒部23Aの内径は、上記栓下本体21の内筒部21Bの外径に対応したものとなっており、上記栓下本体21の内筒部21B外周面の雌ネジ部21d部分に、その内周面側の雄ネジ部23a部分を螺合することにより一体に連結固定して支持されている(図2および図9を参照)。この栓上本体23の上記栓下本体21に対する螺合は、上記上段側大径の筒部23C部分を操作してなされる。
【0046】
一方、底壁部を有する中径の筒部23Bおよび底壁部のない大径の筒部23Cは、その内側に相互に連続する下部側小径及び上部側大径の連続した2段構造の収容空間を形成しており、同収容空間内に回転体25A及び同回転体25Bを回転させるオープン操作ボタン25Bを備えた開閉弁22開閉操作用のオープンスイッチ25およびオープンスイッチ25の外周を囲む形で設けられたクローズスイッチ26等の弁体開閉機構を内装すると共にクローズスイッチ26のクローズボタン26cを昇降操作可能に支持する栓上カバー24を設置して構成されている。
【0047】
オープンスイッチ25は、その断面ハット型のオープン操作ボタン25Bの操作面部25f部分を押圧すると、その下端側大径の押圧部25g部分が上記回転体25Aの中間部側大径の周壁部25dを回転するように押し下げ、同回転体25Aの中心部から下方に延びた筒体部25a先端の開閉弁押圧部25bで、上述した栓下本体21側開閉弁22の弁軸22aの上端を下方に所定寸法押し下げ、同所定寸法押し下げられた状態でラチェット爪25e,25e・・によりロックされる。なお、中段部中径の筒部23Bの底壁部中央には、筒体部25a先端の開閉弁押圧部25bが昇降する貫通孔23cが形成されている。そして、この状態では、上述した開閉弁22の弁体部22bも所定寸法下降し、上述した注液口(飲料導入口)21iを容器本体1内の注液通路21jに連通させる。注液通路21jは、上記栓下本体21の大径の外筒部21A及び底壁部21C内周面と上記栓上本体23の下段部小径の筒部23A及び中段部中径の筒部23B外周面との間に形成されている。そして、その上端が周方向に連続する注出口(飲料注出口)21kとなっている。
【0048】
その結果、この状態で、上記容器本体1を所定角以上傾斜させると、上記注液口(飲料導入口)21iを介して、上記注液通路21jに飲料が導入され、同注液通路21jを介して、その上端側注出口21kから飲料が注出される。
【0049】
他方、この状態から、上記下降状態にあるオープンスイッチ25のオープンボタン25B又は同開弁状態において少し上方に上昇(突出)した状態に維持されるクローズスイッチ26のクローズボタン26cを下方に押すと、上記ラチェット爪25e、25e・・による回転体25Aのロック状態が解除され、同回転体25A及びオ―プンスイッチ25のオープン操作ボタン25Bが、コイルバネ21gの付勢力により元の状態に復帰し、再び注液口21iが閉じられて止水状態となる。
【0050】
なお、クローズスイッチ26のクローズボタン26cは、断面逆U字構造の環状部材に形成されており、その内周側縦壁部26aがオープンスイッチ25のオープンボタン25Bの下端側大径の外周部25c上に係合されているとともに、外周側縦壁部26bが上記栓カバー24に係合されている。また、符号24aは上記オープン操作ボタン25B及び回転体25A、ラチェット爪25e,25e・・等の弁体開閉機構を内装する栓カバー24下部の筒体部、24bは断面U字形状の栓カバー24の上端側クローズボタン係合部、24cは同栓カバー24上端の上壁面部(カバー面部)を示している。これら弁体開閉機構の基本的な構成および作用は、先に掲記した本願出願人の従来例(実公平4-4668号公報)のものと同様である。
【0051】
<コップ3の構成について:図2図4図6図7
コップ3は、たとえば図4図7に示されるように、内側樹脂部材31の外周面側にステンレス材32を重合してなり、その開口縁側にはシール材33が介装され、相互の開口縁部31a,32a同士を図4のように確実に係合させることによって固定している。そして、その内周面側樹脂部材31部分には、上記のようにして容器本体1の開口部内に螺合固定された中栓2の容器本体1の開口部から上方に露出している栓下本体21の外筒部21Aの外周面に形成されている雄ネジ部(螺条部)21aに螺合する雌ネジ部(螺条部)31bを有し、同雌ネジ部31bを栓下本体21の外筒部21A外周面の雄ネジ部21aに螺合することにより、中栓2の上部を覆う形で容器本体1の開口部に嵌合固定されている。
【0052】
この場合、コップ3の内周面側雄ネジ部(螺条部)31b部分の螺合方向終端部には、増締め用の突起31cが設けられている一方、栓下本体21の外筒部21A外周面の雌ネジ部21aにも、それに対応した凹部21hが設けられており、確実な螺合が可能となっている。
【0053】
<本願発明の実施の形態に係る飲料容器の基本的な構成と作用について>
本願発明の実施の形態に係る飲料容器は、上述したように、基本的に、飲料を収容する容器本体1と、この容器本体1の上端側開口部の内周面部分に螺合されて当該容器本体1に対して固定される中栓2と、この中栓2の上記容器本体1の開口部よりも上方に露出した外周面部分に螺合されて容器本体1に対して固定されるコップ3とを備えて構成されている。
【0054】
このような構成によれば、まず飲料を収容する容器本体1の開口部に取り付けられる中栓2が容器本体1の開口部の内周面に螺合して固定され、さらに、同コップ3が当該中栓2の上記容器本体1の開口部よりも上方に露出した外周面部分に螺合され、当該中栓2を介して容器本体1に対して固定されることになる。
【0055】
そのため、容器本体1の開口部における螺条部は容器本体1の開口部の内周面側に1カ所だけ形成すれば良いことになり、容器本体1の開口部の外周面側は滑らかな口当たりの良い面に形成することができる。また、等径で、上下方向の長さも短いものに形成することができる。その結果、容器本体1の開口部の成型工数が減少し、製造コストが低減されるとともに、デザイン的な美感も向上する。
【0056】
また、コップ3を取り外して、中栓2自体を従来のスクリュー型の栓と同様に着脱型のものとして使用するようにすれば(たとえば図9の一体状態で着脱するようにすれば)、容器本体1を直飲み可能なマグカップタイプの飲料容器として構成することが可能となる。
【0057】
また、中栓2を、飲料注出口、オープンスイッチ(ボタン)25、クローズスイッチ(ボタン)26を備え、容器本体1の開口部に螺合した状態のままでワンプッシュ操作でコップ3に注出することができるように構成すれば、コップ3付き・ワンプッシュ注液型の飲料容器に構成することができる。
【0058】
これらの結果、容器本体1を各種の構造の中栓2に対して共通に使用することができるようになり、容器本体1のプラットフォーム化が可能となる。その結果、メーカーサイドから見た場合、製品の製造コストが低下する。
【0059】
他方、ユーザーサイドから見ると、一旦購入した容器本体を使用して、機能の異なる新たな中栓2を購入することにより、容器本体1を変えることなく、低コストに製品機能を向上させることができるメリットが生じる。
【0060】
また、以上の構成の場合、中栓2が容器本体1の開口部に取り付けられていない場合には、コップ3自体を取り付けることができない。その結果、中栓2を取り付けるのを忘れてコップ3を取り付けるということがなくなる。
【0061】
また、以上の構成では、容器本体1が、有底筒状の内容器11および外容器12の上端側開口縁部11a,12a同士を相互に接合一体化してなる真空二重壁構造の金属製容器により構成されていて、その開口部の上端が断面逆U字状の曲面形状となっている。
【0062】
このような構成によれば、より飲み口部の口当たりを良くすることができ、保温機能を備えた直飲み型のマグカップタイプの飲料容器を構成するのに適したものとなる。そして、使用する中栓2の構造をスクリュー型の脱着栓構造とすれば、コップ3を使うことなく、同断面逆U字形状の滑らかな開口部を利用して直飲みすることができるマグタイプ型の飲料容器を構成することができる。
【0063】
他方、同中栓2を飲料注出口を有するワンプッシュ開閉型の中栓構造に変更すれば、中栓を開口部に固定したままで、当該中栓2の飲料注出口から飲料をコップに注いで飲む飲料注出型の飲料容器に構成することができる。しかも、このような構成にした場合においても、上記中栓2は、単に容器本体1の開口部内周面のネジ部11bに螺合されているだけであるから、上記中栓2自体の螺合を解除して取り外せば(図9の状態で取り外すようにすれば)、上記同様の直飲み型の飲料容器として使用することも可能となる(図8の状態を参照)。これらの結果、容器本体1のより効果的なプラットフォーム化が可能となる。
【0064】
さらに、以上の構成の場合、上記中栓2は、より具体的には、図9に示すように、外筒部21A外周面のネジ部(雌ネジ部)21bを上記容器本体1の開口部内周面のネジ部(雄ネジ部)11bに螺合して固定されるとともに、内筒部21B内に飲料注出用の開閉弁22の弁軸22aを昇降自在に支持する栓下本体21(図10参照)と、該栓下本体21の外筒部21A内側にあって、下端側筒部23Aを上記栓下本体21の内筒部21Bの外周面に螺合固定され、上記栓下本体21の外筒部21Aとの間で注液通路21jを形成している共に、上記開閉弁22の弁軸操作機構を備えた筒状の栓上本体23(図11参照)とから構成されている。
【0065】
このような構成の場合、容器本体1の開口部内周面に螺合固定される栓下本体21の内筒部21Bに対して、筒状の栓上本体23の下端部23Aを螺合しさえすれば、飲料の注出通路を有するワンプッシュ開閉型の飲料注出型飲料容器を簡単に構成することができる。
【0066】
しかも、同構成の場合、栓上本体23の栓下本体21との螺合状態を解除すれば、栓上本体23と栓下本体21を容易に分離することができ、分解、洗浄も容易である(図10図11参照)。
【0067】
また、栓下本体21の内筒部21Bに対して栓上本体23Aを螺合固定した一体化状態のままで(図9の状態を参照)、中栓2を容器本体1の開口部から分離すれば、容器本体1を直飲み型マグタイプの飲料容器として使用することができる。
【0068】
(変形例)
なお、中栓2部分の構成は、種々の変形が可能であり、例えば上記開閉弁機構に変えて、茶漉し部を設けることも可能である。
【0069】
また、開閉弁機構も、上述の構成のものに限られるわけではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1は容器本体、11は内容器、11aは開口縁部、11bは雄ネジ部、12は外容器、12aは開口縁部、2は中栓、21は栓下本体、21Aは外筒部、21Bは内筒部、22は開閉弁、22aは弁本体、22bは弁体、23は栓上本体、23Aは小径の筒体部、23Bは中径の筒体部、23Cは大径の筒体部、25はオープンスイッチ、26はクローズスイッチ、3はコップである。