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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160919
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】薬剤フィーダ及び薬剤払出し装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20231026BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
B65B1/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023143101
(22)【出願日】2023-09-04
(62)【分割の表示】P 2022049906の分割
【原出願日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2021075382
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】浅岡 千晴
(72)【発明者】
【氏名】吉川 克朗
(72)【発明者】
【氏名】宮本 有
(72)【発明者】
【氏名】深森 亮輔
(57)【要約】
【課題】ロボット機構を有さない薬剤払出し装置において好適に採用可能な薬剤フィーダと、そのような薬剤フィーダを採用した薬剤払出し装置を提供する。
【解決手段】散薬が収容される薬剤容器20と、当該薬剤容器20を保持する容器保持部16と、薬剤容器20の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段25とを有し、薬剤容器20を振動させて薬剤容器20から散薬を排出し、重量測定手段25によって散薬の排出量を検知することが可能である薬剤フィーダ5において、薬剤容器20は、散薬排出部を開閉する開閉部材を備え、開閉機構部をさらに有し、開閉機構部は、開閉部材に直接又は間接的に力を付与し、開閉部材の少なくとも一部を移動させて散薬排出部を開閉させるものであり、散薬排出部を開状態とする際と、閉状態とする際のそれぞれにおいて開閉部材に力を付与するものとする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散薬が収容される薬剤容器と、当該薬剤容器を保持する容器保持部と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記薬剤容器を振動させて前記薬剤容器から散薬を排出し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検知することが可能である薬剤フィーダにおいて、
前記薬剤容器は、散薬排出部から散薬を外部に排出するものであり、前記散薬排出部を開閉する開閉部材を備え、
開閉機構部をさらに有し、
前記開閉機構部は、前記開閉部材に直接又は間接的に力を付与し、前記開閉部材の少なくとも一部を移動させて前記散薬排出部を開閉させるものであり、前記散薬排出部を開状態とする際と、閉状態とする際のそれぞれにおいて前記開閉部材に力を付与するものであり、
前記散薬排出部を閉じた状態で、前記開閉部材をロックするロック機構を有し、前記薬剤容器を前記容器保持部に保持させることによって前記ロック機構が解除される、薬剤フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬を所定量計量して取り出す薬剤フィーダに関するものである。本発明の薬剤フィーダは、散薬を分配する散薬分配装置に対して散薬を供給する装置として好適に使用される。
また本発明は、薬剤フィーダを内蔵した薬剤払出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、大病院や、大規模の薬局では、散薬分包装置や散薬分包機能を備えた薬剤払出し装置が導入されている。
特許文献1に開示された旧来の薬剤払出し装置は、人手によって薬棚から処方された散薬が入った薬瓶を取り出し、天秤等の秤を使用して処方された特定の散薬の総重量を量り出す作業を行う必要があり、完全自動装置とは言いがたい。
本出願人は、この問題に対処するため、特許文献2、3に開示された薬剤払出し装置を実用化した。
【0003】
特許文献2、3に開示された薬剤払出し装置(従来技術の薬剤払出し装置)は、薬剤容器と容器載置装置とが組み合わされてなる薬剤フィーダを採用している。
容器載置装置は、水平姿勢の振動部材と、薬剤容器の重量を測定する重量測定手段を有している。そして薬剤容器を振動部材に載置し、振動部材を振動させて前記散薬排出部から薬剤を少量ずつ排出し、重量測定手段によって薬剤の排出量を検知する。
【0004】
特許文献2、3に開示された薬剤容器は、略四角柱形状であり、横置き姿勢で容器載置装置に設置される。
特許文献2に開示された薬剤フィーダは、略四角柱形状の薬剤容器が容器載置装置に横置きされており、薬剤フィーダとして組み合わされた状態においては、薬剤容器は水平方向の長さに比べて高さが低い。
また、特許文献2、3に開示されている薬剤払い出しのための装置では、ロボットによって薬剤容器を所定位置に搬送し、ロボットによって薬剤容器の蓋の開閉を行っている。
【0005】
また、特許文献4には、散薬分包機に用いる散薬供給装置が開示されている。特許文献4の散薬供給装置では、複数のカセットのそれぞれに散薬が収容されており、カセットを供給位置に移動させた後にカセット内から散薬を排出する。詳細には、カセットがスクリューと、円筒先端からなる排出口を閉塞するシャッターと、スクリューと共に回転する攪拌羽根を有しており、シャッターがばねによって強制的に閉鎖状態を維持するように構成されている。そして、供給位置にある作動装置とスクリューの回転軸後端を連結することで、スクリューが回転しながら移動する。このことにより、スクリューがシャッターを押圧し、シャッターがばねの付勢力に抗して移動することで排出口が開状態となる。その一方、スクリューと攪拌羽根が回転することで、散薬が排出口に向かって流れる。これらのことから、散薬がカセットから排出される。
【0006】
特許文献4の散薬供給装置では、カセットの供給位置までの移動と、供給位置からの移動を自動で実行する。また、この散薬供給装置における散薬フィーダは、上記したように、攪拌羽根とスクリューが回転することで散薬を排出するものであり、振動によって(カセット全体を振動させて)散薬を排出するものではない。また、散薬フィーダは、供給位置にある作動装置と、一つのカセットによって形成されるものであり、作動装置は、単にカセットのスクリューに対して動力を供給するものにすぎない。つまり、散薬を排出するための機構を全てカセットが有している。さらに、シャッターの閉方向への移動がバネによってなされる。即ち、閉状態を常時維持しようするシャッターに対し、一時的に開方向へ向かう力を加えることでシャッターが開くものであり、閉状態とする際には、シャッターに付与する力を解除することでシャッターを閉じる。つまり、シャッタの開度の調整がされないものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-85703号公報
【特許文献2】特開2018-35001号公報
【特許文献3】WO2015/076267/A1号公報
【特許文献4】特開平7-132135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2、3に開示された薬剤フィーダは、設置した際に専有する面積が大きいという問題がある。
また特許文献2、3に開示された薬剤払出し装置は、部品点数が多いという問題がある。
さらに、特許文献2、3には、ロボットによって薬剤容器を搬送し、薬剤容器の蓋を開閉する薬剤払出し装置が開示されているが、このような薬剤払出し装置は、装置全体が大型化する場合が多く、小規模の薬局等には導入し難いという問題があった。また、このような問題を解決するため、ロボット機構を無くし、手動によって薬剤容器を所定位置に載置するという装置を考えた場合、蓋を開閉させる機構をできるだけコンパクト化して他の部材に具備させ、装置全体の小規模化を図りたいという欲求があった。なお、この場合、手動で薬剤容器を搬送するため、人の持ちやすさを考慮することが好ましい。
また、特許文献4に開示された薬剤払出し装置は、簡易な構造で薬剤の排出量を細かく調整するという観点から、改良の余地があった。
【0009】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、ロボット機構を有さない薬剤払出し装置において好適に採用可能な薬剤フィーダを提供することを課題とする。また、そのような薬剤フィーダを採用した薬剤払出し装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した課題を解決するための本発明の一つの態様は、散薬が収容される薬剤容器と、当該薬剤容器を保持する容器保持部と、前記薬剤容器の重量を直接的または間接的に測定する重量測定手段とを有し、前記薬剤容器を振動させて前記薬剤容器から散薬を排出し、前記重量測定手段によって散薬の排出量を検知することが可能である薬剤フィーダにおいて、前記薬剤容器は、散薬排出部から散薬を外部に排出するものであり、前記散薬排出部を開閉する開閉部材を備え、開閉機構部をさらに有し、前記開閉機構部は、前記開閉部材に直接又は間接的に力を付与し、前記開閉部材の少なくとも一部を移動させて前記散薬排出部を開閉させるものであり、前記散薬排出部を開状態とする際と、閉状態とする際のそれぞれにおいて前記開閉部材に力を付与する、薬剤フィーダである。
【0011】
本態様の薬剤フィーダでは、開閉部材を開閉させる開閉機構部が、開閉部材に対して力を付与して開閉するため、開閉部材を開く動作と閉じる動作の細かな制御が可能となる。これにより、散薬排出部の開き具合(開放度合いであり、開度)を調整することにより、排出量の細かな調整が可能となる。即ち、振動量の調整だけで排出量の調整を行う場合に比べ、さらに細かな排出量の調整が可能となる。
【0012】
上記した態様において、前記薬剤容器は、前記容器保持部に手動で保持させることが可能であり、前記容器保持部から手動で取り外すことが可能であって、前記薬剤容器を前記容器保持部から取り外すことで、前記薬剤容器が前記容器保持部及び前記開閉機構部から離反することが望ましい。
【0013】
本態様の薬剤フィーダは、薬剤払出し装置に採用することで、装置の小型化を図ることができる。
【0014】
上記した態様において、前記散薬排出部を開状態とするとき、前記散薬排出部の開度を段階的に調節可能であることが望ましい。
【0015】
本態様によると、散薬の排出量の精密な調整が可能となる。
【0016】
上記した態様において、前記散薬排出部は、斜め方向に延びるスリットであり、前記開閉部材は、前記散薬排出部の下方側で移動する閉鎖壁を備え、前記閉鎖壁は、前記薬剤容器の幅方向に延びた形状であり、前記開閉部材が閉方向に移動するにつれて、前記閉鎖壁と前記散薬排出部の重なり部分が大きくなり、前記散薬排出部における散薬の排出のために有効な開口幅が小さくなることが望ましい。
【0017】
本態様においても、散薬の排出量の精密な調整が可能となる。
【0018】
上記した各態様において、前記容器保持部は縦壁を有し、当該縦壁が加振手段によって振動し、前記縦壁に前記薬剤容器が固定されて振動されることが望ましい。
【0019】
本態様の薬剤フィーダによると、薬剤フィーダを縦置き姿勢とすることができ、専有する面積を小さくできる。即ち、相当量の散薬を収容可能であり、且つ、設置した際における専有面積が小さいという効果がある。
【0020】
上記した各態様において、前記薬剤容器は、大面積側側面と小面積側側面を有していて、幅に対して高さが高く、底面の辺部及び/又は底面近傍の側面に前記散薬排出部があり、底面の近傍に開口を有する仕切り部材があり、散薬が前記開口を通過して前記仕切り部材と前記底面との間に入り、前記薬剤容器を振動させた際に、前記開口を通過した散薬が、仕切り板と前記底との間を移動して前記散薬排出部に至ることが望ましい。
【0021】
本態様で採用する薬剤容器は、幅が狭く高さが高い。そのため従来の薬剤容器と同等の薬剤を収容可能であるにも関わらず幅が狭い。
本態様の薬剤フィーダは、幅が狭く、小さいスペースにより多くの薬剤フィーダを並べることができる。
【0022】
上記した各態様において、前記散薬排出部は斜め方向に延びるスリット状であることが望ましい。
【0023】
本態様によると、散薬を排出する領域を広くすることができる。
【0024】
上記した各態様において、前記薬剤容器は、大面積側側面と小面積側側面を有していて、幅に対して高さが高く、前記大面積側側面を開放可能であり、前記薬剤容器は、前記容器保持部に対して着脱可能であり、前記薬剤容器を前記容器保持部から外した状態で前記大面積側側面を開放して散薬を充填するものであることが望ましい。
【0025】
本態様によると、散薬を薬剤容器に入れやすい。
【0026】
上記した各態様において、前記薬剤容器の高さ方向の中間部に庇状の仮受け板が設けられていることが望ましい。
【0027】
本態様によると、上層の散薬の重量を仮受け板で支持することができ、下層の散薬が押し付けられない。そのため薬剤容器を振動させた際における散薬の移動が妨げられにくい。
【0028】
上記した各態様において、前記散薬排出部を閉じた状態で、前記開閉部材をロックするロック機構を有し、前記薬剤容器を前記容器保持部に保持させることによって前記ロック機構が解除されることが望ましい。
【0029】
本態様によると、薬剤容器を容器保持部から取り外した際に薬剤がこぼれにくい。
【0030】
上記した各態様において、前記容器保持部は縦壁を有し当該縦壁に保持部側係合部があり、前記薬剤容器は前記保持部側係合部が係合して前記薬剤容器が前記容器保持部に保持され、前記薬剤容器に係合部があり、前記容器保持部に前記係合部と係合し前記薬剤容器を前記容器保持部から離脱する方向に押圧する離脱補助部材を有することが望ましい。
【0031】
本態様によると、薬剤容器を容易に容器保持部から取り外すことができる。
【0032】
上記した各態様において、前記薬剤容器内に前記散薬排出部に繋がる散薬通路があり、散薬は前記散薬通路を移動して前記散薬排出部から排出されるものであり、前記散薬通路には天井壁があり、前記開閉部材は、前記散薬排出部を閉鎖したときに前記散薬通路側に突出する突出部を有し、前記天井壁に前記散通路内の下に向かって突出する仕切部があり、前記開閉部材が前記散薬排出部を閉鎖したときに前記突出部が仕切部の近傍に至ることが望ましい。
【0033】
本態様によると、開閉部材を開放状態にしたときに散薬排出部から薬剤が零れ落ちにくい。更に本態様によると、薬剤の払い出しをしている状態での散薬通路からの散薬の跳ね等の吹き出しを防止することができる。
【0034】
薬剤払出し装置に関する発明は、薬剤容器から所定量の散薬を取り出し、これを所定の数に分割し、さらに個別に包装して排出する薬剤払出し装置であって、薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿を有し、当該分配皿の近傍に、上記したいずれかに記載の薬剤フィーダが複数設置され、薬剤容器から散薬を排出させて分配皿の薬剤投入溝に投入するものである。
【0035】
ところで、上記した従来の薬剤払出し装置は、装置全体の小型化が困難であるという点の他、散薬を払い出す動作をより速く完了させるという点において、改良の余地があった。即ち、上記した薬剤払出し装置では、散薬を払い出す動作の実行が決定すると、薬剤容器を保管している位置から供給している位置まで移動させた後、散薬の払い出しを実行する。つまり、薬剤容器を搬送するための時間が必要となり、散薬を払い出す動作を高速化するという点において、改良の余地があった。
【0036】
そこで、このような課題を解決するための本発明の関連発明の一つの態様は、払出される一服用分の量より多い量の散薬が一対一に割り付けされ、散薬を収容した薬剤容器と、薬剤容器を保持する載置台と、薬剤容器を振動させる振動装置とを有する複数の薬剤フィーダと、散薬を保持する投入溝を有し動力によって回転される分配皿とを有し、複数の薬剤フィーダは、分配皿の周囲に固定され、複数の薬剤フィーダの中から薬剤フィーダが選択され、選択された薬剤フィーダから一服用分の量の散薬を分配皿に払出されることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0037】
また、上記関連発明における一つの態様は、環状の薬剤投入溝が設けられ動力によって回転される分配皿と、複数の薬剤フィーダを有し、前記薬剤フィーダは、散薬が収容された薬剤容器と、当該薬剤容器を保持する載置部材と、前記薬剤容器から散薬を排出させる散薬排出手段とを有し、前記各載置部材に予め決められた散薬が収容された薬剤容器が保持され、前記複数の薬剤フィーダの中から一又は複数の薬剤フィーダが選択され、選択された薬剤フィーダから所定量の散薬が分配皿に払出されることを特徴とする薬剤払出し装置である。
【0038】
これらの態様によると、装置全体の小型化が可能であり、且つ、散薬を払い出す動作を高速化が可能となる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によると、ロボット機構を有さない薬剤払出し装置において好適に採用可能な薬剤フィーダ、並びに、そのような薬剤フィーダを備えた薬剤払出し装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の実施形態の薬剤払出し装置の斜視図であって上蓋を開いた状態を示す。
図2図1の薬剤払出し装置の分配皿周辺の斜視図である。
図3】本発明の実施形態の薬剤フィーダの斜視図である。
図4図3の薬剤フィーダから情報読書手段を省略して示す斜視図である。
図5】薬剤フィーダを図4とは異なる方向から観察した斜視図である。
図6】薬剤フィーダのフィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外した状態の斜視図である。
図7】薬剤フィーダのフィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外した状態の側面図である。
図8図7をモデル化して表示したフィーダ本体の側面図である。
図9】薬剤フィーダのフィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外し、図6とは異なる方向から観察した斜視図である。
図10】フィーダ本体であって、薬剤容器を保持部材から取り外し、図6図9とは異なる方向から観察した斜視図であり、シャッター開閉機構の概要を拡大して示す。
図11】フィーダ本体の保持部材の分解斜視図である。
図12】フィーダ本体の保持部材をさらに詳細に分解した分解斜視図である。
図13】(a)、(b)、(c)は、薬剤容器をフィーダ本体に装着し、散薬を排出するに至るまでの様子を示す説明図、及びその一部の拡大断面図である。
図14】(a)は、左図が図10のフィーダ本体の係合用部材を示す斜視図であり、右図がシャッター開閉機構の係合片保持部56を示す斜視図である。(b)は、左図がフィーダ本体の係合片が開口内に没入している様子を示す説明図であり、右図がフィーダ本体の係合片が開口から突出している様子を示す説明図である。
図15】(a)は、蓋部材を開いた状態における薬剤容器の斜視図であり、(b)は、その正面図である。
図16】薬剤容器に散薬を充填する際の姿勢を示す斜視図である。
図17】(a)、(b)、(c)は、薬剤容器の蓋部分の正面図であり、容器本体に蓋部材を固定する際の様子を示す。
図18】(a)は、上記した薬剤容器において、蓋部材を閉じた状態の締め付け片の周辺を示す図であり、左図が斜視図、右図が平面図である。(b)は、(a)とは異なる実施形態に係る薬剤容器において、蓋部材を閉じた状態の締め付け片の周辺を示す図であり、左図が斜視図、右図が平面図である。
図19】薬剤容器のシャッターの分解斜視図である。
図20】薬剤容器のシャッターの動作を示す説明図であり、(a)は、シャッターを閉じた状態における斜視図であり、(b)は、シャッターを開いた状態における斜視図である。
図21】薬剤容器の伝動部材の係合部が、シャッター開閉機構の係合部と係合した状態を示す斜視図である。
図22】薬剤フィーダと分配皿の位置関係を示す説明図である。
図23】(a)は、シャッターを全開にして分配皿に薬剤を落下させた際における散薬の広がりを示す説明図であり、(b)は、シャッターを半開にして分配皿に薬剤を落下させた際における散薬の広がりを示す説明図である。
図24】(a)は、シャッターを全開にした際における薬剤容器の底面図であり、(b)は、シャッターを半開にした際における薬剤容器の底面図であり、(c)は、シャッターを閉じた際における薬剤容器の底面図であり、(d)は、容器本体の下部と、シャッターの斜視図である。
図25】(a)は、シャッター部材に図19とは異なるシール部材を取り付けた様子を示す斜視図であり、下方側から見た様子を示す。(b)は、(a)のシール部材を示す斜視図であり、(c)は、(a)のシール部材を示す底面図である。
図26図25で示すシール部材を採用した薬剤容器を示す底面図であり、(a)は、シャッターを全開にした状態を示し、(b)は、シャッターを少し開いた状態を示し、(c)は、シャッターを閉じた状態を示す。
図27】上記した実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤容器の底面図であり、(a)は、シャッターを全開にした状態を示し、(b)は、シャッターを少し開いた状態を示し、(c)は、シャッターを閉じた状態を示す。
図28】本発明の他の実施形態の薬剤フィーダの正面図である。
図29】本発明のさらに他の実施形態の薬剤容器の内部を示す斜視図であり、(a)は、第二仕切のシャッターを閉じた状態を示し、(b)は、第二仕切のシャッターを開いた状態を示す。
図30図29に示す薬剤容器で採用するシャッターの開閉機構を示す説明図である。
図31】本発明の他の実施形態の、薬剤払出し装置の分配皿周辺の斜視図である。
図32】分配皿と散薬投入ホッパーの位置関係を示す説明図であり、(a)は、分配皿に散薬を撒き終えた状態を示し、(b)は、分配皿に掻き出し装置のディスクを入れた状態を示し、(c)は分配皿から散薬を掻き出す際の様子を示す。
図33】上記した実施形態とは異なる実施形態に係る薬剤容器を示す斜視図であり、(a)は、蓋部材を閉状態とした様子を示し、(b)は、蓋部材を開状態とした様子を示す。
図34】(a)は、図33(a)の薬剤容器を別方向からみた様子を示す斜視図であり、(b)は、(a)の薬剤容器を模式的に示す底面図である。
図35図33(a)の薬剤容器を示す断面図であり、蓋部材と他の部分とを異なる切断面で切断した様子を示す。
図36図33(a)の薬剤容器の分解斜視図である。
図37図36の仕切り部材を示す図であって、(a)は下方からみた斜視図、(b)は正面図である。
図38】(a)は、図2の薬剤フィーダ及び分配皿を模式的に示す平面図であり、(b)は、図1の錠剤手撒き装置を姿勢変更させた様子を示す斜視図である。
図39】(a)は、第二実施形態の薬剤フィーダをモデル化して表示した側面図であり、(b)はそのシャッター開閉機構の分解斜視図である。
図40】(a)、(b)、(c)は、第二実施形態の薬剤フィーダであって、薬剤容器をフィーダ本体に装着する際の様子を示す説明図である
図41】(a)、(b)、(c)は、第二実施形態の薬剤フィーダであって、薬剤容器をフィーダ本体から取り外す際の様子を示す説明図である
図42】(a)は、第三実施形態の薬剤容器を示す断面図であり、(b)は、シャッターを開いた状態におけるシャッターの近傍の断面図である。
図43】本発明のさらに他の実施形態の薬剤フィーダの正面図であり、(a)は、薬剤容器をフィーダ本体に取り付けられている状態を示し、(b)は、薬剤容器をフィーダ本体から取り外す際の状態を示す。
図44】本発明のさらに他の実施形態のフィーダ本体の正面図であり、(a)は、薬剤容器をフィーダ本体に取り付けられている際におけるフィーダ本体の状態を示し、(b)は、薬剤容器をフィーダ本体から取り外す際におけるフィーダ本体の状態を示す。
図45】第三実施形態の薬剤容器のシャッターの分解斜視図である。
図46図45の仕切り部材を示す図であって、(a)は下方からみた斜視図であり、(b)は正面図である。
図47】仕切り部材の変形例を示す図であって、(a)はその斜視図であり、(b)は仕切り板の水平部の断面図である。
図48】電光表示の正面図である。
図49】上蓋の変形例を示す薬剤払出し装置の斜視図であり、(a)は、カバーが閉じられた状態を示し、(b)は、カバーが開かれた状態を示す。
図50】上蓋の他の変形例を示す薬剤払出し装置の斜視図であり、(a)は、カバーが閉じられた状態を示し、(b)は、カバーが開かれた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下さらに本発明の実施形態の薬剤払出し装置1について説明する。理解を容易にするため、先に薬剤払出し装置1の概要と大まかな動作について説明し、その後に各部材や装置を詳細に説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1は、筐体2によって囲まれており、その内部は、錠剤手撒き領域300と、散薬分割領域301と、薬剤包装領域302に分かれている。
筐体2には、図1の様に上蓋3がある。上蓋3は、図示しないヒンジで筐体2の本体部に取り付けられている。
錠剤手撒き領域300には錠剤手撒き装置303が設けられている。
錠剤手撒き装置303は公知であるから、詳細な説明を省略する。
薬剤包装領域302には、図2に概念的に表示した様に薬剤包装装置305が内蔵されている。薬剤包装装置305は、薬剤を一服用分ずつ包装する機械であり、分包紙供給装置306(分包紙供給部)と、分包装置308(シール部)を有する。また薬剤包装装置305には、分包装置308の上方に、薬剤を投入する散薬投入ホッパー310が設けられている。
作図の関係上、散薬投入ホッパー310を分配皿6から離れた位置に図示しているが、実際には、散薬投入ホッパー310の上端は、分配皿6の機材収納開口15内にある。
【0042】
薬剤包装装置305は、分包紙供給装置306の本体(図示しない)の装着部に、ロールペーパーを装着して使用する。ロールペーパーは、帯状の分包紙(包装紙)を管状の芯部材に巻いてロール状にしたものである。なお、特に限定されるものではないが、本実施形態のロールペーパーは、二つ折りされた状態で帯状となった分包紙をロール状にしたものである。
また、薬剤包装装置305は、図示しない印刷機構(印刷部)を有している。
薬剤包装装置305では、ロールペーパーから繰り出された分包紙が印刷機構に導入され、患者名、薬剤名称、服用日時等の情報(処方に関する情報であり、提供する薬剤に関する情報)が印刷される。その後、所定の情報が印刷された分包紙は、上向きに開口された状態にされる。そして、その状態で、散薬投入ホッパー310から落下(供給)された薬剤(散薬)を受け入れる。
さらに、薬剤を受け入れた分包紙が、シール部(分包装置308)に導入され、シール部で縦方向と横方向にシールされ、受け入れた薬剤を順次包装していく。このことにより、薬剤を一服用分内包した薬剤包装が形成され、薬剤包装が装置外部まで搬送される。
このとき、薬剤包装が複数包連続した薬剤包装帯を形成し、装置外部まで搬送する。しかしながら、薬剤包装帯ではなく、一又は複数の個別の薬剤包装を形成し、装置外部まで搬送してもよい。
なお、上記した横方向は、分包紙の繰出方向(送出方向)であり、縦方向は、分包紙の繰出方向と交差する(直交する)方向である。
【0043】
また、上記したロールペーパーの芯部材は、識別子が装着されていてもよい。識別子は、ロールペーパーを個別に識別可能な情報(製造メーカー等に関する情報(メーカー名等)や、製造年月日等に関する情報、当該芯に巻かれたロールペーパーの種類、受注No.、出荷日、納品先の顧客情報、当該ロールペーパーが装着される分包機の機種名、機種コード、その他ID等)が記憶された記憶手段であり、例えば、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。
そして、ロールペーパーを分包紙供給装置306に装着するとき、装着しようとする装置との照合、即ち、所定のロールペーパーが正しく装置に装着されようとしているか否かを判別する動作を実行してもよい。また、識別子にロールペーパーが未使用であることを識別するための情報を記憶させ、装着する際に、ロールペーパーが未使用か否かを判別する動作を実行してもよい。さらに、ロールペーパー(分包紙ロール)を分包紙供給装置306の本体に装着したときの分包紙の残量に関する情報を記憶させてもよい。また、薬剤を包装する分包動作が実行されたとき、分包動作中の適宜な時点での残量を記憶させてもよい。この残量に関する情報は、例えば、分包動作中に記憶させてもよい。この他、分包動作後に分包動作の終了時の残量を記憶させてもよい。即ち、薬剤払出し装置1を運用する際、適宜なタイミングで残量に関する情報を記憶させていってもよい。
【0044】
散薬分割領域301は、図2の様に、分配皿6が設置された領域であり、その周辺に薬剤フィーダ5と、清掃装置7が配置されている。また散薬分割領域301には、掻出装置8が設けられている。
分配皿6及び掻出装置8は公知であり、簡単に説明する。
分配皿6は、「凹溝」とも称され薬剤投入溝13(投入溝)が設けられた円板状の部材である。薬剤投入溝13は、分配皿6の外縁を環状に取り巻いている。分配皿6は、中央に機材収納開口15が設けられている。なお図2ではその大部分が蓋で覆われている。
機材収納開口15に、前記した散薬投入ホッパー310が設置されている。
分配皿6は、一定速度で回転させることができる。また所定の角度だけ回転させることもできる。
【0045】
掻出装置8は、掻出用アームの先端に回転板12を有する。具体的には、掻出用アームの先端にモータによって回転駆動可能な取付基台(図示しない)が設けられており、この取付基台に掻き板等(図示しない)を有する回転板12を取り付けられている。即ち、回転板12は、モータの動力によって回転する。
掻出装置8の根本部分は、分配皿6の機材収納開口15内に設置されている。そして分配皿6の中央からは、掻出装置8の掻出用アームが突出している。なお、掻出装置8は、ターンテーブルを設けず、全体が旋回しないものであって、掻出用アームが揺動可能であるものでもよい。
ここで、本実施形態の薬剤払出し装置1は、図2で示されるように、散薬投入ホッパー310の薬剤投入口となる上部開口が分配皿6の内側に位置する。即ち、散薬投入ホッパー310の外側で分配皿6が環状(円環状)に連続しており、平面視において分配皿6で囲まれた領域に散薬投入ホッパー310が位置する。そして、掻出装置8もまた、分配皿6の内側に位置させている。
そして、掻出装置8によって分配皿6上の散薬を掻き出して散薬投入ホッパー310に投入する際、散薬を分配皿6の内側に向かって掻き出している。即ち、分配皿6上の散薬を分配皿6の内側に移動させるように、回転板12を回転させて掻き板を移動させている(掻き板が分配皿6の外縁側から内縁側に向かって横断する方向で移動するように、回転板12を回転させている)。
本実施形態では、分配皿6の内側に掻出装置8を設け、分配皿6の内側に向かって散薬を掻き出すことで、分配皿6の外側の部材数を少なくしている。即ち、分配皿6の外側であり、薬剤フィーダ5の周辺に広いスペースを確保し、フィーダ本体10に対する薬剤容器20の着脱を手作業で行う際、作業をやり易くすると共に、薬剤払出し装置1の装置全体の小型化に寄与している。
【0046】
薬剤フィーダ5は、図4の様に、フィーダ部22に重量校正部21が設けられたものである。また、薬剤フィーダ5は、後述する情報記憶手段65(図4参照)に対して情報の読み取り及び書き込みが可能な情報読書手段66(図3参照)を有する。フィーダ部22は、図4乃至図10の様に、散薬が収容される薬剤容器20と、薬剤容器20を保持するフィーダ本体10とを有している。
フィーダ本体10は、図8の様に、機構上、容器支持部23と、重量測定部24と、土台部26に分けられる。
容器支持部23は、図8の様に、支持台27と、振動部材16(容器保持部)及び加振手段30a,30bを有している。加振手段30a,30bは、圧電素子であり、板状を呈している。この振動部材16及び加振手段30a,30bは、薬剤容器20を振動させる振動装置でもある。
【0047】
支持台27及び振動部材16は、共に側面形状が「L」型の部材であり、水平部と垂直壁部を有している。
即ち支持台27は、図7図8図11の様に、支持側水平部30と、支持側垂直壁部31を有している。
振動部材16は、容器保持部としても機能するものであり、振動側水平部32と、振動側垂直壁部33(縦壁)を有している。振動側垂直壁部33には、薬剤容器20と係合する係合部(保持部側係合部であり、後述する溝状の係合部48(台形の係合部47)と、係合片(保持部側係合部)50の2つ。図10参照)が設けられている。
【0048】
支持台27と、振動部材16の間が、二枚の加振手段30a,30bによって接続されている。
振動側水平部32と支持側水平部30との間は実質的に非接触である。従って、加振手段30a,30bに通電すると、振動部材16が振動する。
【0049】
図8の様に、容器支持部23の下部に重量測定部24が配されている。重量測定部24は、重量測定手段25と防振手段18を備えている。重量測定手段25は、公知のロードセルである。防振手段18は防振部材28を有している。
重量測定手段25の検知部に容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)が接続されている。また土台部26は、重量測定部24の防振部材28を介して、上部の部材(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)を支持している。
容器支持部23の重量は、重量測定手段25で検知される。防振手段18の重量は、土台部26に掛かるが、重量測定手段25には掛からない。従って、容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)の重量は、重量測定手段25によって検知される。
【0050】
薬剤容器20は、散薬が充填される容器であり、その形状は、側面形状が略正方形の直方体である。
薬剤容器20は、正面壁35と、背面壁36と、左右側面壁37と、天面壁38及び底面壁40に囲まれている。
薬剤容器20の底面壁40であって、正面壁35近傍に開閉可能な散薬排出部11がある。
また背面壁36の縦辺と、下部に係合部(係合溝130、係合凹部131、図6参照)がある。
【0051】
薬剤容器20には散薬が充填され、図4図5の様に、フィーダ本体10に固定される。即ち薬剤容器20の背面壁36が容器保持部たる振動部材16の、振動側垂直壁部33(竪壁)と接し、薬剤容器20の底面壁40の背面壁36側が振動側水平部32と接し、薬剤容器20の大部分が、片持ち状に張り出した状態で、フィーダ本体10に固定される。つまり、振動側水平部32は、薬剤容器20の少なくとも一部が載置される載置部材(載置台)でもある。
また薬剤容器20の係合部が、それぞれ振動部材16の二か所の係合部(後述する溝状の係合部48(台形の係合部47 保持部側係合部)と、係合片(保持部側係合部)50の2つであり、図10参照)と係合している。そのため、薬剤容器20は、振動部材16と一体化されており、振動部材16と共に振動する。
【0052】
ここで、2つの左右側面壁37の一方には、情報記憶手段65が都立られている(図4参照)。情報記憶手段65には、薬剤容器20に関する情報(薬剤容器20に収容されている散薬に関する情報)が記憶されている。例えば、収容された薬剤を特定する識別情報(薬剤名や各種コード等の情報)や、収容された薬剤の現在の残量に関する残量情報が記憶されている。情報記憶手段65に記憶された情報は、処方データ等と関連付けて使用可能な情報であり、情報記憶手段65に記憶された情報を取得することで、薬剤容器20に収容された散薬の種類を特定する動作等が可能となる。この情報記憶手段65は、ICタグ等のメモリであってもよい。また、一次元コード(バーコード)や二次元コードのようなコードであってもよく、コードを採用する場合、ラベルに付されていてもよい。
【0053】
なお、薬剤フィーダ5は、上記したように、情報記憶手段65に対して情報の読み取り及び書き込みが可能な情報読書手段66(図3参照)を有する。本実施形態では、この情報読書手段66としてRFIDリーダライタを採用しており、無線通信によって情報記憶手段65に対する情報の読書が可能である。そして、情報記憶手段65からカセット情報を読み取る動作と、薬剤容器20から散薬を払い出した後に残量を書き込む(書き換える)動作が可能となっている。なお、カセット情報は、上記した薬剤容器20に関する情報であり、例えば、薬剤名と残量が挙げられる。
この情報読書手段66は、フィーダ本体10に薬剤容器20が取り付けられた状態において、情報記憶手段65の外側となる位置であり、情報記憶手段65からやや離れた位置に配される(図3図4参照)。なお、情報読書手段66に替わって、情報の読取と書き込みのそれぞれが可能な情報読取手段、情報書込手段等を設けることも考えられる。
【0054】
重量校正部21は、重量測定手段25が正常であるか否かを検知するものである。重量校正部21は、分銅42と、分銅42が載置される分銅載置部材43と、分銅42を中空に持ち上げる分銅支持部材45を有している。
分銅載置部材43は、フィーダ本体10の容器支持部23に固定されている。従って分銅載置部材43の重量は、重量測定手段25に付加される。
一方、分銅支持部材45は、フィーダ本体10の土台部26に荷重が付加されるように配されている。従って分銅支持部材45の重量は、重量測定手段25に付加されない。
【0055】
本実施形態では、分配皿6の周囲に、薬剤フィーダ5が6基、固定されている。薬剤容器20は、正面壁35側が分配皿6に向かって突き出しており、散薬排出部11は、薬剤投入溝13の真上の位置にある。
【0056】
本実施形態の薬剤払出し装置1では、あらかじめ各薬剤フィーダ5の薬剤容器20に異なる薬剤が充填されている。
そして処方箋に基づき、特定の薬剤フィーダ5が駆動され、散薬が分配皿6に投入される。具体的には、図示しない制御装置の信号によって、特定の薬剤フィーダ5の加振手段30a,30bに一定周波数の電流を通電して振動を発生させ、この振動によって振動部材16(容器保持部)を振動させる。
また振動開始と前後して分配皿6を回転させる。
【0057】
また振動開始と前後して、薬剤容器20の重量が測定される。薬剤容器20の重量は、重量測定手段25の検知重量から、一定値を引いたものである。より具体的には、薬剤容器20の重量は、重量測定手段25の検知重量から、容器支持部23の重量を引いたものである。
散薬排出前の薬剤容器20の重量は、原重量Gとして記憶される。また薬剤容器20の重量は、常時監視される。即ち薬剤容器20の現在の重量は、現重量gとして監視される。
【0058】
振動部材16が振動を開始すると、薬剤容器20が共に振動する。ここで、本実施形態では、薬剤容器20は、二か所に設けられた係合部(後述する溝状の係合部48(台形の係合部47 保持部側係合部)と、係合片50の2つであり、図10参照)によって強固に振動部材16の振動側垂直壁部33(縦壁)に接合されており、且つ振動部材16との密着度合いも高いから、薬剤容器20は、振動部材16と同一周波数で振動する。その結果、薬剤容器20に貯留された散薬が、散薬排出部11側に向かってゆっくりと移動する。
【0059】
そして散薬は、散薬排出部11から落下し、下の分配皿6の薬剤投入溝13に入る。
【0060】
散薬が落下中であることは、薬剤容器20の重量が減少することによって確認される。即ち本実施形態では、散薬が薬剤容器20から落下中においても、薬剤容器20の現在の重量が、現重量gとして監視され続けている。そして振動部材16に設置直後の薬剤容器20の原重量Gと、現重量gとを比較し、散薬の落下量H(Gマイナスg)を常時演算している。
そして散薬の総落下量Hが所望の重量となったところで、振動部材16の振動を停止する。
【0061】
その後の動作は、掻出装置8の回転板12を分配皿6の薬剤投入溝13内に落とす。さらにその後、分配皿6を分配個数に応じた角度だけ回転させ、一服用分の散薬を回転板12の前面側に集める。そして回転板12を回転し、図示しない掻き板によって散薬を分配皿6の外に掻き出して、散薬投入ホッパー310に投入する。散薬投入ホッパー310から落下した散薬は、薬剤包装装置305で一服用分ずつ包装される。
【0062】
上記した一連の薬剤排出動作は、重量校正部21の分銅支持部材45によって分銅42が持ち上げられた状態で行われる。そのため、分銅42の重量は、重量測定手段25に検知されない。
重量測定手段25が正常であるか否かを確認する際には、分銅支持部材45を動作させて分銅42を分銅載置部材43に載せる。
その結果、分銅42の重量が、重量測定手段25に掛かり、分銅42の重量が検知される。
ここで分銅42の重量は既知であるから、分銅42を載せたことによる検知重量の増加分が、分銅42の重量と等しければ、重量測定手段25が正常であと言える。逆に、分銅42を載せたことによる検知重量の増加分が、分銅42の重量と異なっていれば、重量測定手段25が故障していると言える。
【0063】
次に、薬剤払出し装置1の各部材や装置について説明する。
(1)フィーダ本体10
フィーダ本体10は、前記した様に、容器支持部23と、重量測定手段25と、土台部26に分けられる。
また容器支持部23は、支持台27と、振動部材16(容器保持部)及び加振手段30a,30bを有している。
振動部材16の外観形状は、図4乃至図12の通りであり、略「L」形状である。即ち振動部材16は、振動側水平部32と、縦壁たる振動側垂直壁部33を有している。
【0064】
振動側垂直壁部33は、図9乃至図12の様に、金属で形成された本体部63に樹脂で形成された内張り部材46が設けられたものである。
内張り部材46は、図10の様に、全体形状が概ね長方形の板状であり、表面側に係合部47が設けられている。
係合部47は、正面視が、長方形に近い台形である。ただし一方の斜辺の下部には膨らみ部58がある。そして当該台形形状の斜辺に相当する辺に、あり溝状の係合部(保持部側係合部)48が設けられている。
【0065】
振動側垂直壁部33の裏面には、図11図12の様に、四角形の凹部132が上下2か所に設けられている。また各凹部132の下辺部は、傾斜面133となっている。傾斜面133は、上辺側に比べて下辺側が奥側となる様に傾斜している。当該傾斜面133は、加振手段30a,30bを取り付ける座面として機能する。
【0066】
また係合部47の正面であって、その下部には、図10図13の様に、略四角形の開口51が設けられている。そして当該開口51内に、係合片50が収容されている。
係合片50は、出し入れ機構に接続されており、開口51から出没する。
【0067】
振動側水平部32は、金属で作られた板状の部材である。
振動側水平部32の一方の辺部には、図9図10図13の様に、シャッター開閉機構55(開閉機構部)が設けられている。シャッター開閉機構55は、薬剤容器20から散薬を定量排出するための開閉機構である。
シャッター開閉機構55は、図10図13の様に、係合片保持部56とアーム57によって構成されている。また、アーム57を動作(直線移動)させる動力部を有する。この動力部は、モータ等から構成されている。
係合片保持部56は、略直方体形状であり、上面に係合部60となる凹部が設けられている。
アーム57は、一端側が係合片保持部56に接続されており、他端側は、振動側垂直壁部33内に収容されている。
そして、前記した出し入れ機構に接続されている。
【0068】
なお、本実施形態では、詳細に説明すると、本実施形態のフィーダ本体10は、係合用部材210(図14(a)左図参照)を有しており、この上部が係合片50を構成する。つまり、係合用部材210は、係合片50を形成する上側の係合片形成部210aと、下側の当接部210bと、これらを繋ぐ中間部210cを有する。この係合用部材210は、コイルバネ等の付勢部材により、支持側垂直壁部31から振動側垂直壁部33へ向かう方向に常時付勢されている。
また、係合片保持部56は、側面に押圧突起部56a(図14(a)右図参照)を有する。
そして、係合片保持部56が振動側垂直壁部33の近傍に位置した状態では、図14(b)の左図で示されるように、押圧突起部56aが当接部210bを振動側垂直壁部33に向かう方向に押圧する。このことにより、係合用部材210が付勢力に抗して押圧され、係合片50が開口51に没入された状態となる。
対して、係合片保持部56が振動側垂直壁部33から離れた位置に移動した状態では、図14(b)の右図で示されるように、係合用部材210が付勢部材によって押圧されて移動し、係合片50が開口51から突出した状態となる。このように、係合用部材210が振動側水平部32に形成された溝(凹部)内で移動する。
【0069】
支持台27の外観形状は、図12図13の通りであり、略「L」形状である。即ち支持台27は、支持側水平部30と、支持側垂直壁部31を有している。
支持側垂直壁部31の前面側にも、図示されない傾斜面があり、当該傾斜面は、加振手段30a,30bを取り付ける座面として機能する
【0070】
振動部材16が支持台27の上に設置され、支持側水平部30の上に振動側水平部32がある。また支持側垂直壁部31の凹面側に、振動側垂直壁部33の凸面側が面している。
そして、支持側垂直壁部31の凹面側と、振動側垂直壁部33の凸面側の間が、二枚の加振手段30a,30bで接続されている。加振手段30a,30bは、いずれも、支持側垂直壁部31側が上、振動側垂直壁部33側が下となる方向に傾斜して取り付けられている。
振動側水平部32と支持側水平部30との間は実質的に非接触である。
【0071】
重量測定部24は、重量測定手段25と防振手段18を備えている。防振手段18は、防振枠135と防振部材28によって構成されている。
防振枠135は、図12に示すように、高部枠136と、支持台部137を有している。
高部枠136は、平行に配された防振部材取り付け板140を有している。支持台部137は、防振部材取り付け板140の間であって、高部枠136よりも下の位置に設けられている。
防振部材取り付け板140の四隅であって、下部側に、防振部材28が取り付けられている。
また支持台部137の上に、重量測定手段25が固定されている。支持台部137は、高部枠136よりも下の位置にあるから、重量測定手段25の大部分は、高部枠136よりも下の位置にあるが、重量測定手段25の上面は、高部枠136よりも上の位置にある。
【0072】
土台部26は、金属で作られた板状の部材であり、中央に凹部が設けられている。
重量測定部24の重量測定手段25の上面に、容器支持部23が固定されている。具体的には、容器支持部23の支持側水平部30が、高部枠136から突出する重量測定手段25の上面に固定されている。
また重量測定部24の防振部材28が土台部26に設置されている。
本実施形態では、重量測定手段25の上面に載置されているのは、容器支持部23(支持台27、振動部材16、加振手段30a,30b)であり、重量測定手段25は、これらの重量を正確に測定することができる。
【0073】
本実施形態のフィーダ本体10は、薬剤容器20を保持する容器保持部と、立設状の支持部(支持側垂直壁部31)を有し、前記容器保持部は、縦部材(振動側垂直壁部33)を有し、前記支持部と前記縦部材との間に加振手段30a,30bが設けられたものである。
【0074】
本実施形態のフィーダ本体10は、薬剤容器20の一つの側面側に加振手段30a,30bがある。即ち薬剤容器20と加振手段30a,30bが並立している。
そのため加振手段30a,30bが薬剤容器20の下にあるようなレイアウトに比べて薬剤容器20を低い位置に置くことができ、薬剤容器20の散薬排出部11を分配皿6に近づけることができ、散薬の跳ねを少なくすることができる。
【0075】
(2)薬剤容器20
次に薬剤容器20について説明する。以下の説明において、縦横の方向は、薬剤容器20がフィーダ本体10に設置された姿勢を基準とする。
薬剤容器20は、密閉可能な容器本体70を有している。
また薬剤容器20は、図6図15の様に、内部に仕切り板68(仕切り部材)と、整流部材72と、シャッター構造部73を有している。
【0076】
容器本体70の外観形状は、フィーダ本体10の容器支持部23に取り付けられた姿勢を基準として正面側(散薬排出部11側)から見ると、細長い箱状の部材である。
容器本体70は、側面形状が略正方形の直方体である。即ち薬剤容器20は、大面積側側面61と小面積側側面62を有していて、幅Wに対して高さHが高い。
容器本体70は、正面壁35と、背面壁36と、左右側面壁37と、天面壁38及び底面壁40が囲まれている。
正面壁35及び背面壁36とは、小面積側側面62であり、縦長の長方形である。左右側面壁37は、正方形に近い長方形であり、大面積側側面61である。天面壁38及び底面壁40は長方形である。
【0077】
背面壁36には、図6図9の様に、一対の係合溝130と、一つの係合凹部131が設けられている。
係合溝130は、背面壁36の左右の縦辺に沿って設けられた内側に向かって開く縦溝である。
係合凹部131は、背面壁36の下部に設けられたくぼみである。
【0078】
図19の様に、正面壁35の下部から底面壁40の正面壁35側にかけての領域に、欠落部77がある。底面壁40の正面壁35側の部位は、斜めに欠落している。そのため底面壁40の正面壁35側の端部は、図24の様に斜辺となっている。本実施形態では、欠落部77の端部の傾斜は、急傾斜部150と緩傾斜部151が組み合わされたものとなっている。
【0079】
容器本体70は、一面が開口した箱部71と、蓋部材75によって構成されている。
箱部71は、容器本体70の各壁の内、一方の側面壁を除く5面を構成するものである。箱部71の開口部には図示しないパッキンが装着されている。箱部71の正面壁35の開口側には図17の様に、係合部81が設けられている。
蓋部材75は、容器本体70の各壁の内、一方の側面壁(大面積側側面61)を構成するものである。
蓋部材75は、箱部71の背面壁36にヒンジ120(図15(a)参照)を介して揺動可能に取り付けられている。
蓋部材75の自由端側には、締め付け部材76が設けられている。締め付け部材76は、トグル式の締め付け手段を採用するものであり、ヒンジ121(図15(a)参照)を介して揺動可能な締め付け片78を備えている。締め付け片78の内側には、係合凹部80が設けられている。
【0080】
蓋部材75で箱部71の開口部を閉じる際には、図17(a)の様に蓋部材75の自由端を箱部71に近づけ、締め付け片78の係合凹部80を図17(b)の様に箱部71の係合部81と当接させ、図17(c)の様に締め付け片78を正面壁35と接する程度まで倒す。
その結果、蓋部材75の自由端側が、箱部71の開口部に引き寄せられ、蓋部材75の内面側が、箱部71のパッキンと接して容器本体70の内部が密閉される。
また締め付け片78は、箱部71の正面壁35と略平行姿勢となる。
【0081】
ここで、本実施形態の薬剤容器20は、箱部71の開口部を閉じた状態から開いた状態とするとき、図示しない外部の装置や治具を使用することを想定している。つまり、蓋部材75の締め付け状態(ロック状態)を解除するとき、締め付け片78を手で直接操作せず、外部の装置等で姿勢変更させることを想定している。
このため、図18(a)で示されるように、締め付け片78は、外形が略三角柱状であり、自由端側に向かうにつれて厚さが薄くなる形状としている。そして、締め付け片78は、閉じた状態で正面壁35側とは逆側となる部分に傾斜面が形成される一方で、正面壁35側の部分の一部を除いた略全体が正面壁35と隙間なく密着する。詳細には、締め付け片78の自由端側に切り欠き部78aが形成されており、この切り欠き部78aと隣接する部分(締め付け片78の基端側に位置する部分)では、正面壁35との間に微細な隙間(図示しない)が形成されている。そして、外部の装置や治具の一部を切り欠き部78aからこの隙間に挿入し、締め付け片78を姿勢変更することで締め付け状態を解除する。この切り欠き部78aや、切り欠き部78aと隣接する隙間は、一般的な成人の指が入らない大きさとしている。
【0082】
しかしながら、上記した薬剤容器20に替わって、図18(b)で示されるように、締め付け状態(ロック状態)を手動で解除することを想定した薬剤容器を採用してもよい。
この薬剤容器は、締め付け片278が上記した薬剤容器20とは異なる。したがって、締め付け状態としたとき、図18(b)で示されるように、締め付け片278と正面壁35との間に隙間279が形成される。この隙間279は、比較的大きな隙間であり、一般的な成人の指が余裕をもって入る程度の大きさとしている。
詳細には、締め付け状態とした締め付け片278を平面視したとき、締め付け片278の正面壁35側の縁部分のうち、半分以上の部分が正面壁35から離れた位置に配される。また、図18(b)の右図で示すように、隙間279は、締め付け片278の自由端側(図18の上側)が最も広く、同基端側(図18の下側)に向かうにつれて狭くなる。
以上のことから、使用者が隙間279に指を挿入して締め付け片278を姿勢変更することで、締め付け状態(ロック状態)の解除が可能となる。
【0083】
仕切り板68(仕切り部材)は、帯状の板を折り曲げて成形されたものであり、図15の様に、接壁部141、142と大傾斜部143と、小傾斜部145と、水平部146を有している。
仕切り板68(仕切り部材)は、中央部に水平部146あり、その両脇に大傾斜部143と小傾斜部145が形成され、さらにその両脇に接壁部141、142が形成されたものである。
【0084】
水平部146は、容器本体70に設置された際に水平姿勢となるものであり、小孔(開口)146が多数設けられている。本実施形態で採用する小孔(開口)146は、容器本体70の幅W方向にのびるスリット状である。
大傾斜部143と小傾斜部145は、容器本体70に設置された際に水平部146に向かって傾斜する姿勢となる部位であり、大傾斜部143は、小傾斜部145に比べて長い。傾斜部143、145の傾斜角度は、同等である。
接壁部141、142は、容器本体70に設置された際に垂直姿勢となる部位である。
【0085】
整流部材72は、コイル状の部材である。
【0086】
シャッター構造部73は、図19に示すように、ガイド部材90と、シャッター部材91(開閉部材)と、伝動部材92及び付勢部材93によって構成されている。
ガイド部材90は、側面形状が凹形の部材であり、上部側水平壁95と、下部側水平壁96と、両者を繋ぐ奥壁97を有している。
【0087】
シャッター部材91は、図19図20図21の様に、閉鎖壁110と、ガイド壁部111と、連結壁112と、ストッパ壁113を有している。また、閉鎖壁110の上側となる位置にシール部材(パッキン)が取り付けられる。
閉鎖壁110は、取り付けられた状態では水平姿勢となるものである。閉鎖壁110は、斜辺138を有している。
ガイド壁部111は、閉鎖壁110に対して平行となる壁面である。連結壁112は、ガイド壁部111と閉鎖壁110を接続する垂直壁である。
閉鎖壁110と連結壁112とガイド壁部111によって凹形が形成されている。
ストッパ壁113は、ガイド壁部111の自由端側から垂直に立ち上がる小壁である。
【0088】
伝動部材92は、スティック状の部材である。本実施形態では、細長い金属板によって作られている。
伝動部材92の一端には、シャッター側取り付け部118が設けられている。伝動部材92の他端には、切り欠き部115があり、切り欠き部115よりも先の部分が係合部116となっている。
伝動部材92は、シャッター側取り付け部118がシャッター部材91に取り付けられており、シャッター部材91と一体となっている。
【0089】
付勢部材93は、ばねである。
【0090】
仕切り板68(仕切り部材)と、整流部材72は、容器本体70内に収容されている。シャッター構造部73は、大部分が容器本体70内にあり、伝動部材92だけが容器本体70の外面に沿ってのびている。
【0091】
仕切り板68(仕切り部材)は、接壁部142が、容器本体70の正面壁35の内側に固定され、接壁部141が容器本体70の背面壁36の内側に固定された状態で、容器本体70に固定されている。
仕切り板68(仕切り部材)の傾斜部143、145と、水平部146は、あたかも容器本体70の正面壁35と背面壁36のから吊り下げられた状態となっている。仕切り板68(仕切り部材)の大傾斜部143は、正面壁35から容器本体70の中心に至る位置にある。
水平部146は、容器本体70の底面壁40の近傍にあるが、底面壁40とは接しておらず、両者の間に散薬が通過する散薬通路117が形成されている。
【0092】
シャッター構造部73は、大傾斜部143の下部側に収容されている。
シャッター構造部73のガイド部材90は、奥壁97を背面壁36側に向けた姿勢で配置されている。
シャッター部材91は閉鎖壁110と連結壁112とガイド壁部111によって構成される凹形部分が、ガイド部材90の凹部と噛み合う様な姿勢となっている。即ち、シャッター部材91のガイド壁部111の下面が、ガイド部材90の下部側水平壁96と接している。
またシャッター部材91の閉鎖壁110は、容器本体70の底面壁40の外側と接している。
【0093】
付勢部材93は、容器本体70の正面壁35の内面と、シャッター部材91のストッパ壁113の間にあり、シャッター部材91をガイド部材90の奥壁97に向かって付勢している。
伝動部材92は、図21に示すように、前記した様に容器本体70の外にあり、側面壁に沿って背面壁36側にのびている。
【0094】
伝動部材92は、シャッター部材91と一体であり、伝動部材92を容器本体70の前後方向に摺動させると、シャッター部材91も直線移動する。
シャッター部材91は、凹部がガイド部材90と、容器本体70に接しており、これらに規制されて直線移動する。
伝動部材92が、最も背面壁36側にある際は、シャッター部材91の閉鎖壁110が、容器本体70の下部の欠落部77を覆い、散薬が排出される開口部であるところの当該欠落部77を封鎖する。
伝動部材92が、最も正面壁35側にある際は、シャッター部材91の閉鎖壁110が、容器本体70の下部の欠落部77の傾斜辺(背面壁36側の斜辺)を離れ、容器本体70の下部が開く。
ここで、容器本体70の欠落部77の開口端(欠落部77の底面壁40の正面壁35側の部位)は、傾斜であり、シャッター部材91の自由端も傾斜辺138であるから、散薬排出部11となる開口は、図24(a)(b)の様な斜め姿勢のスリット148となる。
本実施形態の薬剤フィーダ5は、スリット148の幅の開き具合を調整可能であり、制御装置(図示しない)からの信号に基づいて開き具合の変更(開き具合を調整する制御)が可能となっている。この制御は、伝動部材92の移動距離の制御でもある。なお、スリット148の開き具合は、薬剤容器20から排出させる薬剤の種類(散薬の種類であり、流れ易さや粒径等)や、薬剤の排出量に応じて(基づいて)変更してもよい。
シャッター部材91は、付勢部材93によって散薬排出部11が閉じる方向に押圧されており、伝動部材92を正面壁35側に移動させることによって散薬排出部11が開く。
【0095】
次に、薬剤フィーダ5と分配皿6との位置関係について説明する。
薬剤フィーダ5は、図2の様に、分配皿6の周囲に複数個並べて設置されている。
薬剤フィーダ5は、いずれも分配皿6に対して法線方向に向いている。
本実施形態の薬剤フィーダ5は、幅が狭いので狭い領域に多数配置することができる。このため、多数、分配皿6の周囲に並べることができる。本実施形態では、分配皿6の手前側半周部分に、薬剤フィーダ5が6個、放射状に並べられている。
本実施形態の薬剤フィーダ5は、薬剤容器20の背面壁36をフィーダ本体10の振動側垂直壁部33で片持ち状に支持するものであるから、薬剤容器20の多くの部分は、フィーダ本体10から片持ち状に突出する。
そして図22図23の様に、薬剤容器20の正面壁35側に設けられた散薬排出部11の位置が、分配皿6の薬剤投入溝13の真上の位置となる。
【0096】
本実施形態の薬剤フィーダ5は、散薬排出部11の形状がスリット状であり、且つ薬剤容器20に対して傾斜している。そのため、散薬排出部11は、図22図23の様に、薬剤投入溝13の幅A方向に広がりがある。
【0097】
次に、薬剤フィーダ5の動作について説明する。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、前記した様に、あらかじめ各薬剤フィーダ5の薬剤容器20に異なる薬剤が充填されている。
散薬の充填時には、薬剤容器20をフィーダ本体10から取り外し、図16の様に薬剤容器20を平置きにする。そして蓋部材75を開き、薬剤容器20の大面積側側面61側
から散薬を充填する。
その後、蓋部材75を閉じて薬剤容器20内を密閉状態とする。
【0098】
続いて、図13の様に薬剤容器20をフィーダ本体10に装着する。
その際、フィーダ本体10は、図13(a)の様に待機状態となっている。具体的には、フィーダ本体10の出し入れ機構が収納姿勢となっており、振動側垂直壁部33の係合片50は開口51内に没入している。
またシャッター開閉機構55は、アーム57が振動側垂直壁部33側に引き寄せられており、係合片保持部56は、振動側垂直壁部33の近傍にある。
一方、薬剤容器20は、伝動部材92を背面壁36側に引き、容器本体70の下部の開口を封鎖しておく。
【0099】
この状態で、図13(a)の様に薬剤容器20の背面壁36をフィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込む。
ここで、振動側垂直壁部33には、台形の係合部47があり、当該台形形状の斜辺に相当する辺に、あり溝状の係合部(保持部側係合部)48がある。一方、容器本体70の背面壁36には、一対の係合溝130がある。
そのため、薬剤容器20の背面壁36をフィーダ本体10の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込むことにより、容器本体70の係合溝130を、振動側垂直壁部33の係合部48に係合させることができる。
なおこのとき、振動側垂直壁部33の係合片50は開口51内に没入しているから、薬剤容器20を差し込む際の障害とはならない。
【0100】
またこのとき、図13(b)の様に伝動部材92の係合部116をフィーダ本体10の係合片保持部56と係合させる。ここで、本実施形態では、薬剤容器20を装着するとき、上記したように、あり溝状の係合部48が薬剤容器20の移動方向を規制するガイドとして機能する。このため、薬剤容器20を係合部48に沿って移動させるだけで、薬剤容器20の装着が可能であり、且つ、伝動部材92の係合部116と係合片保持部56の係合が可能となる。つまり、伝動部材92の係合部116と係合片保持部56を係合させるために細かな位置合わせをすることなく(係合させるための作業を意識することなく)、薬剤容器20を装着するだけで自然に係合させることが可能となる。
そして前記した様に、処方箋に基づき、特定の薬剤フィーダ5が選択されて駆動される。ここで、本実施形態では、選択された薬剤フィーダ5は、出し入れ機構が突出姿勢となり、図13(c)の様に、振動側垂直壁部33の係合片50が開口51から突出する。その結果、振動側垂直壁部33の係合片50が、薬剤容器20の背面壁36の係合凹部131と係合し、薬剤容器20が振動部材16に強固に固定される。
また出し入れ機構が突出姿勢となることにより、図13(c)の様に、係合片保持部56が正面壁35側に移動し、伝動部材92が前方に摺動して、シャッター部材91を移動させ、容器本体70の下部の散薬排出部11が開く。
【0101】
続いて振動部材16の振動を開始し、前記した様に、薬剤容器20が共に振動する。ここで、本実施形態では、薬剤容器20は、二か所に設けられた係合部によって強固に振動部材16に接合されており、且つ振動部材16との密着度合いも高いから、薬剤容器20は、振動部材16と同一周波数で振動する。
本実施形態の薬剤容器20では、内部に仕切り板68(仕切り部材)が設けられており、容器本体70の中が上下に仕切られている。そして、仕切り板68の下部に、散薬が通過する空間(散薬通路117)が確保されている。
そのため、散薬通路117内の散薬に、上部側の散薬の重量が掛かりにくく、散薬が動きやすい。
【0102】
本実施形態の薬剤容器20は、幅が狭いので、散薬を収容する容積を確保する必要から、高さが高い。散薬に掛かる圧力は、高さと相関する関数であり、散薬の積み重ね高さが高いほど下部側の散薬は、強い力で押し付けられる。
そのため、仕切り板68(仕切り部材)が無ければ、底面壁40の近傍の散薬は、上部の散薬に押し付けられて固まり、動きが悪くなる懸念がある。
本実施形態では、上部側の散薬の重量を、仕切り板68で支持するので、底面壁40の近傍の散薬が押し付けられず、振動による流れが円滑である。さらには、散薬の排出動作の際に薬剤容器20を振動させることで、薬剤容器20内の散薬は、仕切り板68(水平部146)の上側の空間である貯留空間内で攪拌される。この際、貯留された散薬の一部が大傾斜部143を上る方向に移動し、水平部146よりも上方向で、水平部146側へと移動することとなる。このため、水平部146の小孔(スリット)上において、散薬による上方から下方に押し付ける力が掛かり難く、攪拌によって流れる散薬が適切に小孔(スリット)から落下するので、散薬の円滑な排出が可能となる。
散薬通路117内の散薬が不足すると、水平部146に設けられた小孔147から散薬通路117に散薬が落下し、散薬が散薬通路117に補充される。
【0103】
また本実施形態では、散薬通路117への散薬の補充は、水平部146からのみ行われる。水平部146は、水平方向には、正面壁35よりも背面壁36に近い位置にあり、排出部から離れている。
また水平部146と正面壁35との間には、大傾斜部143があるので、散薬の進行方向の前側は、空間がより広くなっている。具体的には、空間の高さが高くなっている。そのため、散薬通路117を流れる散薬の上に空間ができる。そのため散薬は、散薬通路117を進むうちに散薬の流れが整流され、層流化が進み、高度に層流化する。
【0104】
また本実施形態では、散薬通路117内の散薬が散薬排出部11側に向かって進む際、整流部材72を通過し、コイルの線の隙間を通る。そのため薬剤の流れが平滑化する。
散薬は、シャッター部材91の散薬排出部11から落下し、下の分配皿6の薬剤投入溝13に入る。
【0105】
また本実施形態では、閉鎖壁110端面に傾斜辺138を有する構成とすることにより、有効な開度を調節することができる。
即ち、本実施形態の薬剤フィーダ5は、散薬排出部11の形状がスリット状であり、且つ容器本体70に対して傾斜している。
そのため、前記した様に散薬排出部11は、薬剤投入溝13の幅A方向に広がりがある。散薬は、薬剤投入溝13の幅A方向に広がりをもって落下するから、薬剤投入溝13の幅A方向にまんべんなく落下する。
そのため、後の工程で散薬をかき寄せる際に、かき寄せた散薬の集合が崩れにくい。
【0106】
また容器本体70の欠落部77の端部の傾斜は、急傾斜部150と緩傾斜部151が組み合わされたものとなっている。
そのため図24(a)の様に、閉鎖壁110の移動量を大きくすると、底面壁40の全幅から散薬を落下させることができる(図23(a)参照)。
これに対して、図24(b)の様に、閉鎖壁110の移動量が少ないと、閉鎖壁110の急傾斜部150と底面壁40の斜辺との間だけが開口するので、有効な開口幅が狭くなる(図23(b)参照)。
散薬を大量に排出する必要がある場合には、図23(a)、図24(a)の様に、閉鎖壁110の移動量を大きくして底面壁40の全幅から散薬を落下させ、散薬の排出量が少ない場合には、、図23(b)、図24(b)の様に閉鎖壁110の移動量を少なくして狭い幅から散薬を落下させる。
【0107】
所定量の散薬が排出されると振動部材16の振動を停止する。
その後、フィーダ本体10の出し入れ機構を引き込み側に動作させる。その結果、係合片保持部56が背面壁36側に移動し、伝動部材92が後方に摺動して、シャッター部材91を移動させ、容器本体70の下部の開口が閉じる。
同時に、フィーダ本体10の出し入れ機構が収納姿勢となり、振動側垂直壁部33の係合片50が、薬剤容器20の係合凹部131から離脱する。
【0108】
以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0109】
上記した実施形態における薬剤容器20の内部空間の底部分(底面)、即ち、散薬排出部11と連なる散薬通路117(図15図16等参照)の底部分(底面)を傾斜させてもよい。例えば、底面は、薬剤容器20の幅方向の片側に向かうにつれて高さが低くなるように傾斜させた傾斜面であってもよい。つまり、2つの左右側面壁37の一方側から他方側に向かうにつれて低くなるように傾斜させた傾斜面であり、例えば、蓋部材75を閉じた状態で、蓋部材75側に向かうにつれて下り勾配となるように形成してもよい。
このような構造によると、散薬を排出させる際、散薬が薬剤容器20の幅方向の片側に集まり易くなるため、散薬を少量排出させる場合であっても正確且つ安定した排出が可能となる。
なお、この底面を散薬排出部11に向かって下り勾配となるように形成することも考えられる。即ち、平面視で幅方向と直交する方向において、一方端側から他方端側に向かうにつれて下り勾配となるように形成することも考えられる。
【0110】
上記したシャッター部材91は、図25で示されるような、シール部材250を取り付けてもよい。シール部材250は、立板状の取付片部251と、取付片部251の一主面から外側に突出する平板部280とを有しており、これらが一体に形成されている。
取付片部251は、図25(c)で示されるように、斜め方向に延びている。なお、斜め方向とは、平面視において、上記した薬剤容器20の幅方向(図25(c)の左右方向)と、排出時における散薬の流れ方向(図25(c)の上下方向)のそれぞれと傾斜する方向となる。
【0111】
平板部280は、薬剤容器20の幅方向(図25(c)の左右方向)において、片側から他方側に向かって第一突出片部260、第二突出片部261、第三突出片部262に区画されている。
なお、以下のシール部材250の説明において、薬剤容器20の幅方向(図25(c)の左右方向)を左右方向とも称し、散薬の流れ方向(図25(c)の上下方向)を前後方向とも称す。このとき、図25(c)の下方を前方とする。
【0112】
第一突出片部260、第二突出片部261、第三突出片部262は、取付片部251からの突出長さであり、取付片部251の主面と直交する方向(図25(c)の矢印Xで示す方向)における突出長さが異なる。具体的には、第一突出片部260、第二突出片部261、第三突出片部262の順で突出長さが長くなっている。
このため、第一突出片部260の突出端面と、第二突出片部261の突出端面は段差を介して連続している。そして、第二突出片部261の突出端面は、上記した取付片部251の主面と直交する方向において、第一突出片部260の突出端面よりも後方側に位置する。そして、第三突出片部262の突出端面は、同方向において、第二突出片部261の突出端面よりもさらに後方側に位置する。
【0113】
なお、特に限定されるものではないが、第一突出片部260の突出端の内で最も後方に位置する部分(図中P1で示す部分)と、第三突出片部262の突出端の内で最も後方に位置する部分(図中P2で示す部分)は、前後方向の位置が同じ位置となっている。
即ち、平板部280は、平面視形状が略台形状となる板状体に対して切り欠き状の欠落部を形成し、一部を欠落させた形状となっている。
【0114】
このシャッター部材91は、図26で示されるように、シール部材250が薬剤容器20の内部空間(散薬通路117、図15等参照)に挿入された状態で前後(図26では左右)に移動し、散薬排出部11の開閉動作を実行する。
具体的には、図26(a)乃至図26(c)のように、シャッター部材91を移動させて閉状態と開状態を切り替えるとき、第三突出片部262の少なくとも一部が薬剤容器20の内部に常時挿入された状態で、シャッター部材91が移動する。このため、シール部材250は、シャッター部材91を移動させる際のガイドとしても機能する。
【0115】
例えば、図26(a)で示されるように、シャッター部材91(閉鎖壁110)の移動量を大きくし、散薬排出部11を全開状態とする。このとき、第一突出片部260、第二突出片部261が散薬排出部11から外側に離れた位置に配される一方で、第三突出片部262の一部が散薬排出部11の内側(薬剤容器20の内部)に挿入された状態となる。
このため、散薬排出部11のうち、第一突出片部260と離間対向する部分と、第二突出片部261と離間対向する部分の双方から散薬が排出される。また、散薬排出部11を形成する開口の一部が第三突出片部262によって閉塞される。言い換えると、散薬排出部11と第一突出片部260の間の空間と、散薬排出部11と第二突出片部261の間の空間から散薬が落下することとなる。
【0116】
対して、図26(b)で示されるように、シャッター部材91(閉鎖壁110)の移動量を少なくし、散薬排出部11をやや開いた状態とする。このとき、第一突出片部260が散薬排出部11から外側に離れた位置に配される一方で、第二突出片部261の一部と第三突出片部262の一部が散薬排出部11の内側(薬剤容器20の内部)に挿入された状態となる。
このため、散薬排出部11のうち、第一突出片部260と離間対向する部分が内外を連通した状態となり、この部分から散薬が排出される。また、散薬排出部11を形成する開口の一部が第二突出片部261、第三突出片部262によって閉塞される。言い換えると、散薬排出部11と第一突出片部260の間の空間から散薬が落下することとなる。このように、シャッター部材91の移動量が少ない場合、散薬の排出のために有効な開口幅が小さくなる。換言すると、散薬排出部11のうちで散薬を排出するのに有効な部分の開口面積が小さくなる。
【0117】
また、図26(c)で示されるように、シャッター部材91を閉状態とすると、第一突出片部260、第二突出片部261、第三突出片部262が散薬排出部11の内側(薬剤容器20の内部)に挿入された状態となる。このことにより、散薬の排出後、シャッター部材91を閉状態とすることで、散薬を散薬排出部11の付近から奥側に押し戻すことができる。
【0118】
以上のように、本実施形態では、散薬排出部11を段階的に開口させることが可能であり、散薬を大量に排出する必要がある場合には、図26(a)の様に、閉鎖壁110の移動量を大きくして比較的広い範囲から散薬を落下させる。そして、散薬の排出量が少ない場合には、図26(a)の様に閉鎖壁110の移動量を少なくして比較的狭い範囲から散薬を落下させる。上記した実施形態では、散薬排出部11の開放度合い(開度)を2段階で調節可能な構造としたが、3段階以上となる複数段階の調節を可能してもよい。すなわい、突出片部の数を4以上としてもよい。
【0119】
また、上記した散薬排出部11の開度を段階的に調節可能な構造の他、図27のように、散薬排出部11のうちで散薬の排出のために有効な部分の開口面積(開口幅)を、シャッター部材231(開閉部材)の移動量に応じて連続的に増減させる構造としてもよい。
【0120】
本実施形態のシャッター部材231は、図27で示されるように、閉鎖壁232の平面視形状(底面視形状)が上記と異なり、略四角形状(略長方形状)となっている。つまり、閉鎖壁232は、平面視において、薬剤容器の薬剤容器の幅方向に長さを有する形状であり、最も後方側(図27では左側)の辺232aは、薬剤容器の幅方向と同方向に延びる辺である。言い換えると、最も後方側の部分に直線状に延びた部分を有する。
対して、散薬排出部11は、斜め方向に延びている。そして、底面壁40の前端部分もまた平面視で斜め方向に延びている。なお、この底面壁40の前端部分は、底面壁40と、正面壁35側の欠落部77(図19等参照)の境界部分でもある。
【0121】
そして、閉鎖壁232は、図27(a)のように全開状態としたとき、平面視で底面壁40と重ならない位置に配される。つまり、閉鎖壁232の全体が散薬排出部11及び底面壁40の前端(図27では右端)よりも前方に配される。この場合、散薬排出部11の全域から散薬が排出される。即ち、平面視(底面視)で散薬排出部11と辺232aの間に位置する空間から散薬が落下する。
図27(a)の状態からシャッター部材231が閉方向に移動すると、図27(b)で示されるように、閉鎖壁232の一部が底面壁40の下方側に位置し、底面壁40と上下方向(図27(a)では奥行方向)で重なった状態となる。このとき、平面視において、散薬排出部11の一部(底面壁40の前端部分の一部)が辺232aよりも前方に位置し、他の部分が辺232aよりも後方に位置した状態となる。
【0122】
この状態では、散薬排出部11のうち、辺232aよりも後方側に位置する部分が、散薬の排出のために有効な部分となる。つまり、この辺232aよりも後方側に位置する部分と、辺232aの間に位置する空間から散薬が落下する。
このため、シャッター部材231が閉方向に移動し、底面壁40と閉鎖壁232の重なりが大きくなるにつれ、散薬の排出のために有効な部分の開口幅が小さくなる。反対に、シャッター部材231が閉方向に移動し、底面壁40と閉鎖壁232の重なり部分が小さくなるにつれ、散薬の排出のために有効な部分の開口幅が大きくなる。
なお、全閉状態とするときには、図27(c)で示されるように、散薬排出部11及び底面壁40の前端(図27では右端)の全体が、辺232aよりも前方に配された状態となる。
【0123】
上記した実施形態では、シャッター部材91の閉鎖壁110は、容器本体70の底面壁40の外側と接している。また上記した実施形態では、閉鎖壁110端面の輪郭が単純な傾斜線である。
これに対して、シャッター部材91の閉鎖壁110を、容器本体70の底面壁40の内側と接する構成としてもよい。
【0124】
シャッター部材91の閉鎖壁110を、容器本体70の底面壁40の内側と接する構成とすると、閉鎖壁110を閉じたとき、シャッター部材91の端部が、薬剤容器20の底面壁40の開口近傍に至っている散薬を、奥側に押し入れる。
そのため、次回、閉鎖壁110を開いたときに、散薬が零れ落ちることが防がれる。
【0125】
上記した実施形態では、容器本体70の下部近傍に仕切り板68(仕切り部材)を設けたが、これに加えて、あるいは仕切り板68(仕切り部材)に代えて、図28の様に、薬剤容器の高さ方向の中間部に庇状の仮受け板152を設けてもよい。
仮受け板152を設けることにより、上部側の散薬の重量が下の散薬にかかることを防ぐことができる。
仮受け板152に開口が設けられていてもよい。
【0126】
容器本体70の下部近傍に設けられた仕切り板68(仕切り部材)に加えて、図29(a)の様に、容器本体70内を仕切る第二仕切160を設けてもよい。また図29(b)の様に、第二仕切160にシャッター161を設けることが推奨される。
シャッター161は、手動で開閉されるものである。
第二仕切160を設けることにより、散薬の先入れ・先出を促進することができる。
【0127】
薬剤容器20内の散薬は、全部使いきってから新たな散薬を薬剤容器20に補充することが望ましいが、使い残りが生じてしまう場合もある。この場合には、第二仕切160の下に、残った散薬を落とし、その後にシャッター161を閉じて薬剤容器の下部と上部を仕切る。そして、上部に散薬を充填する。そしてその後に、シャッター161を開く。そうすることにより、新しい散薬は、元の散薬の上に積まれ、古いものから排出されていくこととなる。
【0128】
第二仕切160のシャッター161を、散薬排出部11のシャッター部材91と連動させてもよい。
例えば図30の様に、シャッター部材91と、第二仕切160のシャッター161をばね170で連結し、シャッター部材91と、第二仕切160のシャッター161を連動させる。
連動させるばね170は、シャッター部材91を閉方向に付勢する付勢部材93のばねよりも弱いばねであることが望ましい。
この理由は、散薬の残量が多い場合、第二仕切160のシャッター161に散薬が詰まって第二仕切160のシャッター161が閉じなくなる場合があるためである。
第二仕切160のシャッター161は、必ずしも全閉にする必要が無い。ばね170を弱くすることにより、第二仕切160のシャッター161を半開き状態とすることができる。
【0129】
以上説明した薬剤容器は、側面側から直接的に散薬を充填するが、散薬を充填する面は任意である。
例えば、薬剤容器の上面側から散薬を導入してもよい。
また図31の様に、上面側が解放された薬剤容器172を使用してもよい。例えば、一つ又は複数のフィーダ本体10に上面側が解放された薬剤容器172を装着しておく。そして、使用頻度が少ない散薬を分包する場合、当該散薬を直接的に、上部の開口から投入し、分包する。
【0130】
以上説明した実施形態では、散薬投入ホッパー310は、分配皿6の機材収納開口15内に設置されている。
ここで、散薬投入ホッパー310の開口部の高さは、図32の様に分配皿6よりもわずかに低いことが望ましい。
散薬投入ホッパー310の開口部の高さを散薬投入ホッパー310よりも低くし、且つ回転板12を比較的ゆっくり回転させることにより、散薬を散らすことなく散薬投入ホッパー310に入れることができる。
【0131】
上記した薬剤フィーダ5は、上記の薬剤容器20に替わって、図33で示されるような第二実施形態の薬剤容器420を採用してもよい。第二実施形態の薬剤容器420は、上記した薬剤容器20と同様に、フィーダ本体10に対して着脱可能である。つまり、上記したフィーダ本体10と共に薬剤フィーダを構成する。
【0132】
この薬剤容器420もまた、小面積側側面となる正面壁435及び背面壁436と、大面積側側面となる2つの側面壁437と、天面壁438と、底面壁440に囲まれている。つまり、この薬剤容器420もまた、縦に細長い箱状の部材となっている。また、背面壁436には、上記と同様に、係合溝130と係合凹部(係合片50と係合する凹部であり、図示しない)が形成されている。
そして、薬剤容器420は、底面壁440のうちで正面壁435の近傍となる位置に、開閉可能な散薬排出部411(図35参照)がある。また、薬剤容器420は、シャッター構造部473を有する。
【0133】
シャッター構造部473は、図34(a)で示されるように、シャッター部材491(開閉部材)と、伝動部材492を有する。即ち、ガイド部材90、付勢部材93(図19等参照)を有していない点が上記した実施形態とは異なる。そして、上記した実施形態と同様に、伝動部材492が直線移動することで、シャッター部材491が移動し、散薬排出部411が開閉する。即ち、上記した実施形態と同様に、伝動部材492の背面壁436側の一部分が外部に露出した状態となっており、薬剤容器420をフィーダ本体10に保持させることで、伝動部材492がシャッター開閉機構55と係合する。
【0134】
なお、本実施形態の薬剤容器420は、伝動部材492の中途部分を保持する保持突起部525と、係止突起部526を有している。この係止突起部526は、薬剤容器420をフィーダ本体10から取り外して持ち運ぶ際に、散薬排出部411が(シャッターが)不用意に開かないように閉鎖状態を維持するロック機構を形成する部分である。
保持突起部525は、上下それぞれから互いに近づく方向に延びる一対の突起部分である。この保持突起部525の内側に形成された溝状部分に、伝動部材492の一部が挿通されている。
係止突起部526は、前後に位置する板ばね部材520の平板状部分と一体に形成された突起であり、2つの平板状部分の間で側面視略V字状に延びる板状の部分である。この係止突起部526は、前後の平板状部分と共に薬剤容器420の幅方向外側に片持ち状に張り出しており、平板状部分と共に弾性変形する。この係止突起部526は、伝動部材492の上方(係合部116の上方)に形成された切欠部分(係止部)と係合することで、伝動部材492の意図しない移動を規制する。
【0135】
そして、薬剤容器420をフィーダ本体10に取り付けることで、係止突起部526と伝動部材492との係合(ロック状態)が解除され、伝動部材492が移動可能な状態となる。具体的には、薬剤容器420がフィーダ本体10に装着されることで、上記と同様に、係合片保持部56の係合部60(図13図14等参照)と、伝動部材492の係合部116が係合する(伝動部材492の一部である係合部116よりも後方側の部分が、係合片保持部56の係合部60に上側から挿入された状態となる)。即ち、本実施形態では、この際に、係止突起部526の後側(背面壁436側)の平板状部分が、係合部60が形成されている係合片保持部56の上面により、下方から持ち上げられた状態となる。このことにより、係止突起部526と平板状部分が共にしなるように弾性変形し、係止突起部526と伝動部材492の係合が解除される。
【0136】
本実施形態の薬剤容器420は、図33で示されるように、蓋部材475が各壁のうちで天面壁438を構成している。上面が開口した箱部471に対して蓋部材475が取り付けられ、蓋部材475がヒンジ421によって揺動可能となっている。そして、蓋部材475を開状態とすることで上側から散薬の充填が可能であり、閉状態とすることで薬剤容器420を密閉することが可能である。なお、本実施形態の薬剤容器420は、フィーダ本体10に保持させた状態のまま散薬の充填が可能となる。
【0137】
本実施形態の蓋部材475は、図35で示されるように、蓋本体部475aと小蓋部475bを有している。そして、小蓋部475bが蓋本体部475aの下側(閉状態としたときの下側)に取り付けられ、ヒンジ421によって揺動可能となっている。
ここで、蓋部材475は、乾燥剤等を収容可能な空間である蓋内収容部527を有している。本実施形態の蓋内収容部527には、調湿剤が収納される。そして、小蓋部475bを揺動させることで蓋内収容部527の開閉が可能となる。即ち、蓋内収容部527は、蓋本体部475aと小蓋部475bの間に形成される空間である。詳細には、蓋部材475を閉状態とし、小蓋部475bを閉状態としたとき、小蓋部475bの大部分の上方に位置する空間である。
【0138】
また、蓋部材475は、図34(a)、図35で示されるように、箱部471との連結部分とは逆側に、蓋側係止片部476を有する。蓋側係止片部476は、ヒンジ421によって揺動可能な状態で、蓋本体部475aの正面側の端部に連結される。
蓋側係止片部476は、図35で示されるように、立てた姿勢で内側となる面に係止突起476aを有する。この係止突起476aは、蓋部材475を閉状態としたとき、正面側から背面側に向かって延びる突起であり、箱部471に形成された突起部600と係合可能な突起である。つまり、係止突起476aと突起部600は、対となる係合部であって互いに係合する。そして、これらが係合することで、蓋部材475がロック状態(強固に閉状態を維持した状態)となる。なお、箱部471には、蓋部材475を操作するための操作用切欠部601(図34(a)参照)が形成されている。この操作用切欠部601は、蓋部材475をロック状態としたとき、蓋部材475の側方(幅方向の片側側方)に位置する。
【0139】
箱部471は、図36で示されるように、箱部本体605に対して正面側の開口部分から仕切り部材606を挿入し、押さえ板部材607を取り付け、さらにシャッター構造部473を取り付けることで形成されている。
仕切り部材606は、平板状の本体部606aと、本体部606aの上面から上方に突出する被押さえ板部606bと、本体部606aの下面側に形成された整流部472(図37参照)を有する。
仕切り部材606を境として下部側が散薬通路517となっている。散薬通路517は、散薬排出部411に至る通路であり、箱部471の底部と、側壁下部と、仕切り部材606で囲まれている。
【0140】
本体部606aは、背面壁436側に連通孔形成部546を有する。連通孔形成部546は、小孔(開口)547が多数設けられる部分であり、本実施形態では、長孔列が形成されている。なお、この長孔列は、複数の長孔が前後方向に並んで形成されている。それぞれの長孔は、本体部606aを厚さ方向に貫通し、薬剤容器20の幅方向に延びている。本実施形態で採用する小孔(開口)547は、容器本体70の幅W方向にのびるスリット状である。
【0141】
本実施形態の整流部472は、図37(a)で示されるように、複数の突起部によって構成される突起群である。整流部472に属するそれぞれの突起部は、外形が略直方体状であり、本体部606aの下面から下方(図37(a)では上面から上方)に突出している。また、それぞれの突起部は、薬剤容器420の幅方向に厚さを有し、前後方向に延びた形状となっている。
ここで、整流部472に属する複数の突起部は、千鳥状に配列されている。つまり、整流部472は、前側の第一突起列472aと、後側(連通孔形成部546側)の第二突起列472bから構成される。それぞれの突起列では、複数(本実施形態では4つ)の突起部が、薬剤容器420の幅方向で間隔を空けて並列している。そして、第一突起列472aに属する突起部の後側部分が、第二突起列472bに属する突起部の前側部分の側方に位置する。したがって、第一突起列472aに属する突起部の一部は、後側部分が第二突起列472bに属する2つの突起部の間に配される。そして、薬剤容器20の幅方向で向かいあう位置に配された第一突起列472aに属する突起部の側面と、第二突起列472bに属する突起部の側面との間には、隙間が形成される。
なお、図37(b)で示されるように、整流部472に属する複数の突起部は、それぞれの下端面の高さ方向における位置が異なる。即ち、突起部の配置位置が、幅方向の一方端(図10(b)では右側)に近づくにつれ、下端面の位置がより低位置となる。
【0142】
押さえ板部材607は、図35図36で示されるように、2つの取付用操作部610と、押圧突起部611(図35参照)を有する。取付用操作部610は、使用者が操作することで弾性変形する摘み部である。2つの取付用操作部610は、幅方向で離れた位置にそれぞれ形成されており、いずれも幅方向外側に突出する突起部分を有する。
ここで、図36で示されるように、箱部本体605の左右側面壁のそれぞれには、箱側係合部612が形成されている。箱側係合部612は、側面壁を貫通する孔であり、取付用操作部610の突起部分と係合する。つまり、2つの取付用操作部610と、2つの箱側係合部612が係合することで、押さえ板部材607が箱部本体605に取り付けられる。
【0143】
押圧突起部611は、図35で示されるように、前側から後側(図35では右側から左側)に延びる突起部分であり、仕切り部材606の被押さえ板部606bに前方から当接する部分である。具体的には、突出端の面が、被押さえ板部606bの前面と面接触する。このことにより、仕切り部材606の意図しない位置ずれを防止できる。
【0144】
シャッター部材491は、図36で示されるように、閉鎖壁510(図34(b)等参照)と、ガイド壁部511と、連結壁512を有している。その一方で、上記したストッパ壁113(図19等参照)が形成されていない。また、閉鎖壁110の上側となる位置にシール部材550が取り付けられている。
【0145】
本実施形態の薬剤容器420では、図34(b)で示されるように、散薬排出部411を閉じた状態において、閉鎖壁510が底面壁440よりも前方に位置する。つまり、閉鎖壁510の一部が底面壁440と上下方向で重ならない。本実施形態では、底面壁440を散薬排出部411に近接させ、シール部材550を散薬排出部411に押し当てることで、散薬排出部411を閉状態とする。また、シール部材550を散薬排出部411から前方に離した状態とすることで、散薬排出部411を開状態とする。なお、閉じた状態としたとき、シール部材550の一部が散薬排出部411から散薬通路517に入り込んだ状態となる(図35参照)。
【0146】
本実施形態の薬剤容器420の内部では、図35で示されるように、平板状の部分である連通孔形成部546が、仕切板部(仕切り部材)となる。即ち、散薬を貯留する貯留空間613と、散薬通路517の境界に仕切板部(仕切り部材)が配される。散薬通路517は、散薬を排出する際に散薬が通過する部分であり、連通孔形成部546の下側に位置する空間であって、連通孔形成部546と底面壁440の間の部分を含む空間である。
【0147】
なお、本実施形態では、散薬通路517の底部分(底面壁440の上面)が傾斜している。具体的には、薬剤容器420の幅方向において、片側端部(図35では手前奥方向の奥側端部)に向かうにつれて下り勾配となるように傾斜している。さらに、薬剤容器420の前後方向(図35では左右方向)において、散薬排出部411に向かうにつれて下り勾配となるように傾斜している。つまり、全体として、散薬排出部411のうち、薬剤容器420の幅方向における片側端部に向かって傾斜している。
また、整流部472に属する複数の突起部は、いずれも下端部分が散薬通路517の底部分と密着している。このため、散薬が整流部472を通過するとき、2つの突起部の間、又は、一つの突起部と薬剤容器420の側面壁437の間を通過する。つまり、散薬が整流部472を通過するとき、小さな隙間(幅の狭い流路)を通過し、薬剤の流れが平滑化される。
【0148】
連通孔形成部546は、薬剤容器420をフィーダ本体10に保持させたとき、水平姿勢となる部分である。また、仕切板となる連通孔形成部546と隣接する部分には、大傾斜部543と小傾斜部545が設けられている。
【0149】
大傾斜部543と、小傾斜部545は、薬剤容器420をフィーダ本体10に保持させた際、共に連通孔形成部546に向かって傾斜する傾斜面を形成する。大傾斜部543は、小傾斜部545よりも長く、それぞれの傾斜角度は同等である。つまり、大傾斜部543と小傾斜部545の間の空間(貯留空間613の下側部分)は、連通孔形成部546に向かって収斂する。
【0150】
薬剤容器420から薬剤を排出する際には、フィーダ本体10に薬剤容器420を保持させた状態で散薬排出部411を開状態とし、薬剤容器420を振動させる。このとき、薬剤容器420内の散薬は、散薬通路517の散薬が排出によって少なくなると、連通孔形成部546の上側の空間である貯留空間613から散薬通路517に移動し、散薬排出部411に向かって進む。そして、散薬排出部411から排出される。
本実施形態においても、薬剤容器420を振動させることで、散薬が貯留空間613内で攪拌される。この際、貯留された散薬の一部が大傾斜部543を上る方向に移動し、連通孔形成部546よりも上方向で、連通孔形成部546側へと移動する。つまり、上記と同様に、連通孔形成部546に対して散薬による押し付ける力が掛かり難く、散薬の円滑な排出が可能となる。
【0151】
次に、第二実施形態の薬剤フィーダ700について図39乃至図42を参照しつつ説明する。薬剤フィーダ700は、第三実施形態の薬剤容器701と、薬剤容器701を保持する第二実施形態のフィーダ本体702とを有している。
薬剤容器701及びフィーダ本体702の基本構成と、機能は前記した薬剤容器20,172,420及びフィーダ本体10と同じであるから、改良点のみ説明する。
本実施形態のフィーダ本体702は、薬剤容器701を取り外す際に使用する離脱補助部材705を備えている。またフィーダ本体702は、シャッター開閉機構706に、シャッター707をロックする機能が付加されている。
一方、第三実施形態の薬剤容器701には前記した離脱補助部材705が係合する係合部710が設けられている。また薬剤容器701も散薬排出部711が(シャッター)不用意に開かないように閉鎖状態を維持するロック機構を備えているが、その構造は、前記した薬剤容器420とは異なる。
さらに、薬剤容器701は、図42の様に、散薬排出部711及びシャッター構造部713の構造が前記した薬剤容器20,172,420とは異なる。以下、説明する。
【0152】
本実施形態のフィーダ本体702では、振動部材16(容器保持部)の振動側垂直壁部33(縦壁)に、薬剤容器701を取り外す際に使用する離脱補助部材705が設けられている。
離脱補助部材705は、図39図40図41の様に、水平に設けられた軸720を中心として回動するレバーであり、操作部721と作用部722を有している。
操作部721は、上向きの弓状であり、係合用押圧部723と解除用押圧部725とを有している。
作用部722は、爪である。
【0153】
操作部721と作用部722は、略「L」状の連結部726で結合されている。連結部726は、薬剤容器701が振動部材16(容器保持部)に装着されている状態を基準として、垂直姿勢となる縦辺部727と水平姿勢となる横辺部728を有している。そして縦辺部727と横辺部728の接続部分に軸720が相通されている。
縦辺部727と横辺部728の接続部分であって外側の部分は、着座部731として機能する部分であり、平面である。
【0154】
振動側垂直壁部33(縦壁)には、ばね等の付勢部材732が設けられており、離脱補助部材705を常時付勢している。具体的には、付勢部材732は横辺部728を上方に押圧しており、離脱補助部材705を回動方向に付勢している。
【0155】
またフィーダ本体702のシャッター開閉機構706は、前記した実施形態と同様に、係合片保持部735とアーム57によって構成されている。前記した実施形態と同様に、係合片保持部735の上面に係合部60となる凹部が設けられている。
本実施形態では、それに加えて、係合片保持部735の上面に突起物737が設けられている。突起物737は、傾斜面738を有している。傾斜面738の傾斜方向は、アーム57の突出方向側を基準として前側が低く,後方が高い。
【0156】
第三実施形態の薬剤容器701は、前記した第二実施形態の薬剤容器420と同様に、上面が開口した箱部471に対して蓋部材475が取り付けられ、蓋部材475がヒンジ421によって揺動可能となっている。
前記した様に、薬剤容器701には前記した離脱補助部材705が係合する係合部710が設けられている。係合部710は、背面壁436に設けられた凸部である。係合部710の位置は任意であり、側面壁437や底面壁440にあってもよい。
【0157】
図39に示すように、シャッター構造部713は、前記した第二実施形態と同様に、シャッター707と、シャッター部材740(開閉部材)と、伝動部材741を有する。そして、伝動部材741が直線移動することで、シャッター部材740が移動し、散薬排出部711が開閉する。
伝動部材741の上辺には、第二実施形態の薬剤容器420と同様、図39の様に、切り欠き742が設けられている。切り欠き742の前方側傾斜743は緩傾斜であり、後方側傾斜745は急傾斜である。
また本実施形態の薬剤容器701も、板ばね部材748と、係止突起部747を有している。
板ばね部材748は、薬剤容器701の幅方向外側に片持ち状に取り付けられている。係止突起部747は、概略三角形の部材であり、板ばね部材748に一体的に固定されている。
係止突起部747の下面には、図39の様に前方側傾斜750と、後方側傾斜751がある。係止突起部747の前方側傾斜750は緩傾斜であり、後方側傾斜751は急傾斜である。
【0158】
シャッター部材740(開閉部材)は、図42の様に、散薬排出部711を閉鎖したときに薬剤容器701側に突出する突出部760を有している。
突出部760の断面形状は、図42の様な略三角形であり、上面761が略水平であり、下面762が傾斜面である。突端部763は、略垂直面である。
下面762が傾斜角度は、30度以下である。下面762の傾斜角度は、薬剤容器701に収容する散薬の安息角よりも小さいことが望ましい。
【0159】
薬剤容器701内には、散薬排出部711に繋がる散薬通路517があり、散薬通路517を移動して散薬排出部711から排出される.
本実施形態では、散薬通路517の天井壁に相当する仕切り部材620に、散薬通路517側(下側)に向かって突出する仕切部766がある(図42図45図46)。仕切部766の高さ(垂下量)は、1.2mm~3.0mm、もしくは、通路高さに対して、5分の1~5分の3の高さである。
シャッター部材740(開閉部材)が散薬排出部711を閉鎖したときに突出部760の突端部763が仕切部766に極めて近づく。
また突出部760の上面761は、散薬通路517の天井壁に相当する仕切り部材620に、極めて近づく。
突出部760の下面762と散薬通路517の底面との間の角度Dは、散薬の安息角以下の角度をなす。
【0160】
そのため、シャッター部材740(開閉部材)を開いた直後において、散薬Pの進行方向の先端の斜面の角度Eは、図42(b)の様に安息角以下の角度となっており、零れ落ちにくい。
またシャッター部材740の突出部760の上面761と散薬通路517の天井壁との間は散薬が入り込む空間が小さいので、突出部760の上面761に散薬が乗りにくく、シャッター部材740を開いたときに、突出部760の上面761から散薬が零れ落ちにくい。
シャッター部材740の突出部760の突端部763と仕切部766の間は散薬が入り込む空間が小さいので、突出部760の突端部763に散薬が付着しにくく、シャッター部材740を開いたときに、突出部760の突端部763から散薬が零れ落ちにくい。
【0161】
次に、薬剤容器701をフィーダ本体702に装着する際の動作について説明する。
薬剤容器701が取り付けられていない状態においては、フィーダ本体702は、図40(a)の様に待機状態となっている。具体的には、離脱補助部材705の横辺部728が、付勢部材732に押圧され、離脱補助部材705が全体的に傾斜姿勢となっている。振動側垂直壁部33の係合片50は開口51内に没入している。
【0162】
この状態で、図40(b)の様に薬剤容器701の背面壁436をフィーダ本体702の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込む。
なおこの時、一旦、薬剤容器701の散薬排出部711が上になるように傾斜させてから振動側垂直壁部33に差し込むことが望ましい。こうすることにより、薬剤容器701の散薬通路517の散薬が、散薬排出部711から離れ、シャッター部材740を開いたときに、散薬が零れ落ちにくい。
【0163】
薬剤容器701の背面壁36をフィーダ本体702の振動側垂直壁部33に沿って上部から差し込むことにより、薬剤容器701の係合溝130を、振動側垂直壁部33の係合部(保持部側係合部)48に係合させることができる。
振動側垂直壁部33の係合片(保持部側係合部)50は開口51内に没入している。
【0164】
薬剤容器701を差し込んでいくと、離脱補助部材705の作用部722が薬剤容器701の係合部710と接触する。
さらに薬剤容器701を差し込んでいくと、離脱補助部材705の作用部722が薬剤容器701に押されて回動し、縦辺部727が垂直姿勢となり、横辺部728が水平姿勢となって離脱補助部材705が安定した姿勢となる。
前記した様に、薬剤容器701を差し込んでいくことによって、離脱補助部材705を回動させることができるが、補助的に操作部721の係合用押圧部723を押して離脱補助部材705を回動させてもよい。
いずれにしても、薬剤容器701が正しくフィーダ本体702に装着されると、離脱補助部材705の横辺部728が図40(c)のように水平姿勢となる。そのため、上から見て操作部721が水平になっていることを目視で確認することによって、確実に薬剤容器701がフィーダ本体702に装着されたことを認識することができる。
【0165】
薬剤容器701をフィーダ本体702から取り外す場合は、図41の矢印の様に、操作部721の解除用押圧部725を押す。その結果、離脱補助部材705が逆方向に回動して、離脱補助部材705の作用部722が上昇する。そのため、作用部722が薬剤容器701の係合部710に係合して薬剤容器701を押し上げ、薬剤容器701が上方に移動して、フィーダ本体702から外れる。
【0166】
本実施形態によると、フィーダ本体702から薬剤容器701を容易に取り外すことができる。
即ち本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤フィーダ5、700が密に配置されているから、薬剤容器701間の隙間が少なく、指を入れにくい。本実施形態の薬剤フィーダ700によると、薬剤容器701の間に指を入れる必要が無いので、薬剤容器701の取り外しが容易である。
【0167】
次に、薬剤容器701のシャッター707をロックする機構について説明する。薬剤容器701では、シャッター部材740が閉じた状態においては、伝動部材741が後退しており、伝動部材741の切り欠き742に板ばね部材748に取り付けられた係止突起部747が係合している。ここで、切り欠き742の後方側傾斜745及び係止突起部747の後方側傾斜751はともに急傾斜である。そのため、伝動部材741がシャッター707を開く方向に移動しようとしても、切り欠き742と係止突起部747の急斜面同士が係合し、伝動部材741のシャッター707を開く方向への移動が阻止される。
そのため、薬剤容器701のシャッター707は、ロック状態となり、シャッター707は開かない。
【0168】
一方、薬剤容器701から散薬を排出すべく、係合片保持部735を正面壁35側に移動させると、係合片保持部735が移動して突起物737が薬剤容器701の係止突起部747と当接する。この時の突起物737側の当接面は、傾斜面738であり、突起物737の前進に伴って薬剤容器701の係止突起部747を板ばね部材748に抗して上に押し上げる。
その結果、板ばね部材748に取り付けられた係止突起部747が、伝動部材741の切り欠き742を離れ、板ばね部材748に取り付けられた係止突起部747と伝動部材741の切り欠き742との係合が解除される。
係合片保持部735が正面壁35側に移動し、伝動部材741が前方に摺動して、シャッター707を移動させ、薬剤容器701の散薬排出部711が開く。
【0169】
薬剤容器20(以下、他の構造の薬剤容器でもよい)の取り外しをさらに容易にする方策として、図43の様に、フィーダ本体10にばね等の付勢部材770を設け、当該付勢部材770で薬剤容器20を上方に常時付勢することが考えられる。
本実施形態では、振動側垂直壁部33の係合片50が引き込むと、薬剤容器20を固定する規制が解除され、付勢部材770によって薬剤容器20が上方に持ち上げられる。
【0170】
以上説明した実施形態では、薬剤容器20と係合する係合片50は、出し入れ機構に接続されており、シャッター開閉機構55と連動する構造となっているが、係合片50が独立して出没するような構成であってもよい。
例えば図44の様に、ばね780で係合片50が突出する方向に付勢されており、レバー781を操作することにより、係合片50を引き入れ、薬剤容器20との係合を解消することができる。
本実施形態によると、シャッター開閉機構55のアクチェータに頼ることなく係合片50を引き入れ、薬剤容器20をフィーダ本体から取り外すことができる。
【0171】
第一実施形態の容器本体70に設けられた小孔(開口)146や、第二実施形態の容器本体70に設けられた小孔(開口)547は、いずれも容器本体70の幅W方向にのびるスリット状であるが。当該開口の形状はこの構成に限定されるものではない。
例えば、図45図46に示す小孔(開口)782は、容器本体70の背面壁36側から、正面壁35にのびるスリット状である。
小孔(開口)782の平面視は、細長い三角形であり、正面壁35側に向かうにつれて開口幅が広くなっている。
実験によると、小孔(開口)782の形状を、図45図46の形状としたことにより、散薬の流れがより円滑なものとなった。開口の形状は図45図46に示した形に限定されるものではない。
【0172】
図46に示す仕切り部材620は、前記した様に、下面に仕切部766がある。また図46に示す仕切り部材620では、整流部621の形状が柱状である。
【0173】
また図47に示す仕切り部材622の様に、上面側に凹凸625を設けてもよい。本実施形態によると、薬剤容器20内で散薬が押し固められることを防ぐことができる。 本実施形態で採用する凹凸625は、鋸刃状や波型であり、傾斜をもっている。そのため、仕切り部材622の近傍において上部側の散薬自体の重量を逃がし、仕切り部材622の近傍の散薬が押し固められることを抑制することができる。
凹凸の形状は鋸刃状や波型に限定されるものではなく、例えば゛円錐形な三角錐といった錐形でもよい。
【0174】
以上説明した実施形態では、いずれも薬剤容器20をフィーダ本体10に取り付けて使用するものである。ここで、薬剤容器20がフィーダ本体10に正しく装着されているか否かを確認するセンサが設けられていることが望ましい。
センサの構造は任意であるが,光電センサや近接センサの様に、物体を検知することができるものが望ましい。センサの取り付け位置は任意であるが,フィーダ本体10の振動側垂直壁部33や振動側水平部32が取り付け位置の候補としてあげられる。
【0175】
以上説明した実施形態では、薬剤容器20に情報記憶手段65としてRFIDタグが取り付けられている。RFIDタグに代わって、あるいはRFIDタグに加えて、ARマーカーを設けてもよい。ARマーカーは、あらかじめ登録しておいた写真やイラストその他の図形である。ARマーカーを印刷したラベルを薬剤容器20の見える位置に貼付する。
ARマーカーは、カメラで認識することができる。ここで近年、薬剤の払い出し工程を監視し、後で確認することができるように、装置内にカメラが複数設置される傾向がある。例えば、薬剤フィーダ5の近くに、払い出し監視用のカメラが設置される場合がある。例えばそのカメラを利用してARマーカーを撮影し、薬剤容器20の識別を行う。
これにより処方情報に基づく薬剤情報と照合し正しく薬剤容器がセットされているかの確認を行うことができる。
RFIDタグは、検出距離を確保する必要があるのに対し、ARマーカーはそのような制約が少ない。また監視用カメラを、ARマーカーの撮影に兼用することができるので、RFIDタグに代わってARマーカーを採用すると、RFIDタグ読み取り用の部品を減らすことができる。
【0176】
上記した薬剤払出し装置1では、図1図2等で示されるように、複数の薬剤フィーダ5が分配皿6の周囲に固定されている。また、これら複数の薬剤フィーダ5は、放射線状に配置されている。即ち、図38(a)で示されるように、それぞれの薬剤フィーダ5は、平面視において、自身の幅方向の中心と重なり、自身の長手方向と同方向に延びる仮想線が分配皿6の回転中心(図中P3で示す点)と重なるように配されている。
また、上記した薬剤払出し装置1では、一つの薬剤フィーダ5の薬剤容器20内に一種類の散薬が収容されている。つまり、一つの薬剤フィーダ5の薬剤容器20と予め決められた散薬とが一対一に割り付けされている。このとき、薬剤容器20には、一服用分以上の量を収容してもよい。そして、上記した散薬を排出する動作を実行する際には、複数の薬剤フィーダ5の中から排出する散薬が割り当てられた薬剤フィーダ5が選択され、選択された薬剤フィーダから一服用分の量の散薬を排出させることが可能である。
また、一又は複数の薬剤フィーダ5から一又は複数種類の散薬を排出させる際、選択された一又は複数の薬剤フィーダ5から所定量の散薬を分配皿6に排出(払い出し)してもよい。
【0177】
上記した実施形態の薬剤払出し装置1を使用し続けると、いずれかの薬剤フィーダ5において薬剤容器20内の散薬が無くなってしまう場合がある。即ち、消耗品である散薬が無くなってしまう場合がある。
本実施形態の薬剤払出し装置1では、このような場合、使用者(薬剤師等)が薬剤容器20をフィーダ本体10から取り外し、薬剤容器20に散薬を充填した後、薬剤容器20を再度フィーダ本体10に取り付ける作業を行う。つまり、いずれかの薬剤フィーダ5で散薬が無くなった(又は無くなることが予測された)場合、報知動作等でその報知を受けた使用者が、上記の作業を行う。
ここで、本実施形態の薬剤払出し装置1では、薬剤容器20を再度取り付ける際、薬剤容器20が元々取り付けられていたフィーダ本体10に加え、他のフィーダ本体10にも取り付けが可能である。即ち、元々のフィーダ本体10の他に薬剤容器20が取り付けられていないフィーダ本体10があれば、そのフィーダ本体10にも取り付けが可能である。つまり、再度の取り付けをする際には、その時点で薬剤容器20を保持していない全てのフィーダ本体10から選択される任意の一つに対し、薬剤容器20の取り付けが可能である。このことから、使用者が薬剤容器20をどこに取り付ければよいか考える必要がなく、上記作業が容易となる。
【0178】
薬剤容器の散薬排出部は、上記したように、散薬の排出のために有効な開口幅(散薬の出口幅)を変更可能であることが好ましい。例えば、上記のように、散薬排出部の開口部分のうち、閉塞されている部分を段階的又は連続的に変更可能としてもよい。このような構成とすると、振動量を可変して散薬の流量を変更する制御と組み合わせる等することが可能であり、より正確な散薬の排出動作が可能となる。
【0179】
ところで、上記した薬剤払出し装置1は、小型化を想定したものである。ここで、装置全体が小型化すると、受ける衝撃が小さくても筐体2(装置全体)が傾いてしまうおそれがある。そして、薬剤払出し装置1を移動させたり、設置時に筐体2が衝撃を受けたりすることで筐体2が傾き、筐体2が傾いたまま薬剤払出し装置1を運用すると、各種動作(例えば、散薬の重量を測定する動作)で、不具合が生じてしまうおそれがある。
そこで、上記した薬剤払出し装置1は、ジャイロセンサ(傾き検知手段であり、水平器)を備えたものであってもよい。また、ジャイロセンサが検知した情報(ジャイロセンサから発信された信号)に基づいて、筐体2の傾きを報知する傾き報知動作を実行してもよい。
この傾き報知動作は、ジャイロセンサによって検知した装置全体の傾きが規定値を超過したことを条件として、その旨を報知する動作である。この動作は、薬剤払出し装置1の電源を投入したことを条件として実行される動作であってもよい。また、例えば、薬剤払出し装置1にスピーカ等の音声発生手段を設け、警告音(アラート)やメッセージを出力する動作であってもよい。
【0180】
また傾き検知手段として、3軸加速度センサを採用することも推奨される。例えば3軸加速度センサを実装した基板を、筐体2内の水平に支持された仕切や板に取り付ける。
3軸加速度センサは加速度の測定を目的とした慣性センサの1つで、3次元の慣性運動(直行3軸方向の並進運動)を検出することができる。3軸加速度センサは、重力、動き、振動、衝撃を測定する事ができる。
例えば薬剤払出し装置1を所定の位置に設置し、筐体2の水平調整を行った後の3軸加速度センサの各軸に関する出力値を記憶しておく。3軸加速度センサは、重力加速度を検知することができ、垂直方向には常に重力加速度が掛かっているため、筐体2が傾くと、3軸の各検出値が変化する。
当該検出値の変化に基づいて、筐体2の傾き具合を演算し、筐体2の傾きを検出する。どの様に姿勢を修正すれば、水平姿勢に戻るかを表示してもよい。
逆に、3軸の各検出値の変化が一定未満である場合には、薬剤払出し装置1は傾いておらず姿勢が安定しいていると判断できる。
【0181】
ところで、上記した薬剤フィーダ5における散薬の排出動作は、散薬排出部11を閉状態としたまま(シャッターを閉じたまま)薬剤容器20を振動させ、その後に、散薬排出部11を開状態とし、薬剤容器20を振動させて薬剤を排出させる動作でもよい。つまり、散薬排出部11を開状態として薬剤容器20を振動させる動作(以下、開状態振動動作とも称す)に先立って、散薬排出部11を閉状態として薬剤容器20を振動させる動作(以下、閉状態振動動作とも称す)を実行してもよい。
ここで、閉状態振動動作は、開状態振動動作よりも薬剤容器20を強振動させる動作であってもよい。つまり、薬剤フィーダ5は、振動数(周波数)や振幅の大きさを変更可能な構成としてもよい。そして、閉状態振動動作を開状態振動動作よりも振動量(振動の大きさ)が大きな動作としてもよく、より単位時間当たりの振動回数が多い動作としてもよい。また、閉状態振動動作は、最も強い振動で薬剤容器20を振動させる動作、即ち、最大振動としたり、単位時間当たりの振動回数を最大としたりする動作でもよい。
詳細に説明すると、薬剤容器20に薬剤を充填した直後等では、散薬排出部11の付近に散薬がない状態となることがある。このような状態で通常の散薬の排出動作を実行したのでは、少量の散薬を排出させる場合に時間がかかってしまう可能性がある。即ち、散薬排出部11を開いて薬剤容器20を強振動で振動させると、散薬が実際に排出され始めた際に一度に多量の散薬が落下してしまうことがある。このため、少量の排出を行う際には、薬剤容器20を強振動で振動させることが難しい。また、振動を弱くすると、散薬が実際に排出され始めるまでに長い時間が必要となってしまう。
そこで、上記した閉状態振動動作、開状態振動動作を実行して散薬を排出させることで、上記した少量の散薬を排出させる場合においても、散薬の排出のために必要な時間を短縮できる。
【0182】
ここで、図1図38(b)で示されるように、上記した錠剤手撒き装置303は、全体の概形が略直方体状の部材であって、揺動可能な状態で取り付けられている。即ち、上面の升状部分の開口が上方を向く通常姿勢(図1参照)と、同開口が後方上側を向く傾斜姿勢(図38(b)参照)の間で姿勢変更が可能となっている。
また、図1図2で示されるように、上記した清掃装置7は、錠剤手撒き装置303の下側に配されている(図1参照)。ここで、清掃装置7は、図示しない吸引装置に接続された吸引口7aを有しており、負圧を発生させて空気と共に汚れ(残存散薬や塵等)を吸い込む装置である。詳細には、清掃装置7は、分配皿6の外側から内側に向かって延びる延設部7bを有し、この延設部7bに吸引口7aが形成されている。また、清掃装置7は、分配皿6を清掃するものであり、通常、吸引口7aが下側を向いた状態となっている。
【0183】
ここで、本実施形態の薬剤払出し装置1では、錠剤手撒き装置303と清掃装置7が連動する。即ち、錠剤手撒き装置303を使用時の姿勢である通常姿勢から傾斜姿勢に姿勢変更すると、図38(b)で示されるように、それに伴って清掃装置7が自動で回転動作を実行する。具体的には、この回転動作は、延設部7bが一回転する動作であり、この際の回転軸は、延設部7bの延び方向と同方向となる。このことにより、吸引口7aが下側を向いた状態から、側方(通常時を基準として側方)を向いた状態、上側を向いた状態を経て、下側を向いた状態に戻る。
このような構成によると、清掃装置7の吸引口7aの周辺が汚れているか否かを使用者が確認しやすくなる。即ち、使用者が錠剤手撒き装置303を姿勢変更することで、図示しないセンサ等によってこの姿勢変更が検知され、清掃装置7が自動で回転を始める。このように清掃装置7が動くことで、清掃装置7に使用者の目を行き易くすることができる(使用者の注意を引き易くすることができる)。また、吸引口7aの周辺の汚れやすい部分であり、通常姿勢のままでは見え難い部分が見易くなる。つまり、吸引口7aの周辺が汚れていた場合、使用者に汚れを気付かせることができる。延いては、使用者に対し、清掃装置7に対する清掃(清掃装置7のメンテナンス)が必要か否かの判断を促すことができる。
【0184】
薬剤容器20の内部に水や洗浄液等を入れ、この状態で薬剤容器をフィーダ本体10に装着して薬剤容器20を振動させることによって、薬剤容器20の内部を洗浄することができる。
【0185】
次に上蓋3について説明する。上蓋3には、図48のような電光表示800が設けられている。
電光表示800は、複数の発光部802が列状に並んだ複数の発光群801aから801fがある。各発光群801aから801fは、散薬分割領域301の薬剤フィーダ5と対応している。即ち散薬分割領域301には、薬剤フィーダ5が6基設置されている。
発光群801aは薬剤フィーダ5aに対応し、発光群801bは薬剤フィーダ5bに対応し、発光群801cは薬剤フィーダ5cに対応し、発光群801dは薬剤フィーダ5dに対応し、発光群801eは薬剤フィーダ5eに対応し、発光群801fは薬剤フィーダ5fに対応している。
本実施形態では、発光群801a-801fは、扇状に配列されている。
発光群801に属する発光部802は、色及び又は輝度が異なるものが混在しており、中心側から外側に向かって色等がなだらかに変化するよう段階的に配列されている。本実施形態では、中心側が淡い色であり、外側に向かうほど濃い色に発光する。
【0186】
発光群801は、使用者が薬剤払出し装置1の動作状況を把握しやすいように電光で知らせるものである。
薬剤払出し装置1を起動し、準備段階である場合は、準備状況に応じて発光群の発光部が順次発光してゆく。輝度や色彩が変わってもよい。例えばヒートシールのヒータの温度上昇に応じて順次発光する。錠剤手撒き装置303が準備段階である場合も同様に、準備段階に応じて発光状態が変化する。
薬剤払出し装置1の停止時は、ヒータを冷却するためのファンを駆動し、冷却状況に応じて、発光群の発光部を消灯してゆく。発光群が複数ある場合には、発光群ごと消灯してもよい。
【0187】
また各薬剤フィーダ5における薬剤容器20の装着状況に応じて発光状況が変わる。さらに薬剤容器20の取り外し忘れの警告がなされる。
一日の作業完了後は、薬剤容器20をフィーダ本体10から取り外すが、取り外し忘れがある場合は、該当する発光群801の発光部802を発光させて警告する。時間の経過とともに、発光させる発光部802や発光群801の数を減らしてゆくことが望ましい。発光色や輝度を変えてもよい。
【0188】
薬剤容器20から散薬が払い出されている場合は、対応する発光群801の発光部802が所定の順番で発光する。例えば奥から手前に向かって発光させたり、薄い色から濃い色に発光する等が考えられる。
要求される払い出し量に対して、薬剤容器20が保有する薬剤量が足りない場合は、対応する発光群801の発光部802が通常とは異なる表示を行う。例えば、通常の場合とは逆に手前から奥に向かって発光させたり、濃い側から薄い側に向かって発光させる。
薬剤容器20の内の薬剤がすべて払い出されてしまい、薬剤容器20が空になってしまった場合は、対応する発光群801が特定の発光状態となる。
【0189】
何らかのエラーがある場合は、明らかに異なる表示を行う。例えばすべての発光部802を赤色に発光させる。
エラーの種類は限定されるものではなく、薬剤容器20の異常、フィーダ本体10の異常、その他の異常が考えられる。またその他の異常には錠剤手撒き装置303の異常も含まれる。
【0190】
薬剤容器20の取り付け状況に応じて発光群801を発光させることが望ましい。
以下に示す発光状態は例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
例えば薬剤容器20が取り付けられていない場合は、対応する発光群801が所定の発光状態となり、薬剤容器20が取り付けられている場合は、これとは異なる発光状態となる。例えば、薬剤容器20が取り付けられていない場合は、対応する発光群801が消灯しており、薬剤容器20が取り付けられている場合は淡い色や、輝度が低い状態で発光する。
薬剤容器20から薬剤が払い出されている場合は、対応する発光群801が所定の発光状態となり、薬剤容器20からの払い出しを一時停止している場合は、これとは異なる発光状態となる。例えば、薬剤容器20から薬剤が払い出されている場合は、対応する発光群801の発光部802が連続点灯し、薬剤容器20からの払い出しを一時停止している場合は、対応する発光群801の発光部802が点滅する。
薬剤容器20の払い出しが終了した場合は、発光していた発光部802が消灯する。
特定のフィーダ本体10に薬剤容器20を設置すべき場合には、対応する発光群801が所定の発光状態となる。
【0191】
また分配皿6の回転に応じて、発光群801を順に発光させてもよい。
たとえば、yuyamaロゴに最も近い円弧の発光部802aが回転方向と同じ方向に細かく分割されて点灯点滅する。
メンテナンス要員が、所定の操作をすることにより、薬剤払出し装置1の状況に応じて所定の発光状態となるものであってもよい。
【0192】
上蓋3の開閉構造は、ヒンジに限定されるものでない。例えば図49図50の様に上蓋615にカバー616、617を設けてもよい。
図49に示したカバー616は、図49(b)の様に、奥側にスライドさせることが可能であり、カバー616を奥側に移動させて上蓋615の一部を開放することができる。
【0193】
図50に示したカバー617は、図50(b)の様に、手前側にスライドさせ、さらに下側に織り込むことが可能である。図50に示したカバー617についても、カバー617の姿勢を変更して上蓋615の一部を開放することができる。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本願発明は、薬剤を調剤する装置であり、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。
本発明の薬剤払い出し装置は、薬剤師のような有資格者が実施すべき散薬秤量等の散薬監査作業を無くすことで、テクニシャン等の非薬剤師においても実施できる装置である。具体的には、作業者は薬剤であることを意識することなく、処方情報に基づいて指定された薬剤容器の番号、または棚等に配置されている場合はランプ等で指定された薬剤容器を取り出して、薬剤払い出し装置に載置するだけで、処方に必要な分包作業を確実に実行し完了できるものである。これにより、有資格者である薬剤師は調剤作業という対物業務から、患者と向き合う対人業務にシフトできると共に、必要な調剤作業を非薬剤師等で実施できることから、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」という持続可能な開発目標(SDGs)の第3の目標を達成し得るものである。
また本発明は、人件費を低減し、経済生産性を向上させることができる。これによっても、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0195】
1;薬剤払出し装置、5;薬剤フィーダ、6;分配皿、8;掻出装置、10;フィーダ本体、11,411;散薬排出部、13;薬剤投入溝、16;振動部材(容器保持部)、18;防振手段、20,172,420,701;薬剤容器、22;フィーダ部、23;容器支持部、24;重量測定部、25;重量測定手段、26;土台部、27;支持台、28;防振部材、30;支持側水平部、30a;加振手段、30b;加振手段、31;支持側垂直壁部、32;振動側水平部、33;振動側垂直壁部(縦壁)、55;シャッター開閉機構(開閉機構部)、56;係合片保持部、61;大面積側側面、62;小面積側側面、68;仕切り板、70;容器本体、71,471;箱部、72;整流部材、73,473;シャッター構造部、75,475;蓋部材、76;締め付け部材、91,231,491,740;シャッター部材(開閉部材)、110,232,510;閉鎖壁、117,517;散薬通路、130;係合溝、131;係合凹部、132;凹部、152;仮受け板、301;散薬分割領域、302;薬剤包装領域、310;散薬投入ホッパー
705;離脱補助部材、710;係合部、760:突出部、766;仕切部
図1
図2
図3
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