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特開2023-160940パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160940
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法
(51)【国際特許分類】
   B41M 3/06 20060101AFI20231026BHJP
   B41M 1/04 20060101ALI20231026BHJP
   B41M 1/18 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
B41M3/06 C
B41M1/04
B41M1/18
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023146939
(22)【出願日】2023-09-11
(62)【分割の表示】P 2022004637の分割
【原出願日】2018-07-03
(31)【優先権主張番号】17179770.7
(32)【優先日】2017-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グラント ロバート メドウズ
(72)【発明者】
【氏名】ハラルド デ ブール
(57)【要約】
【課題】高速かつ費用効果の高い方法で、様々な基材上に3Dマイクロ光学効果を作り出すための新しいプロセスを提供する。
【解決手段】本発明は、インラインプロセスにおいてパッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法に関し、方法は、基材を提供する工程と、複数の画像を基材の第1の主表面の少なくとも一部に印刷する工程と、基材の印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を塗布する工程と、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、を含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法であって、
a.第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程と、
b.前記基材の前記第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程と、
c.前記基材の前記印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程であって、前記ワニス層は、前記基材の前記印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、工程と、
d.前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、前記レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される剛性の非多孔質ポリマー材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像は、インクジェット印刷、インモールドラベリング、転写印刷、輪転グラビア、シルクスクリーン印刷、凸版印刷、オフセットリソグラフィ、及びフレキソ印刷から選択されるプロセスによって印刷される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像はマイクロ画像である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記画像は規則的なパターンで配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像のサイズは、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲にあり、前記画像間の距離は、1μm~1mm、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10~50μmの範囲にある、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ワニスは、熱硬化性若しくは光硬化性、又はその両方であり、好ましくはUV硬化性であり、好ましくは前記ワニスはアクリルワニスである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ワニス層上の前記レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記レリーフ特徴部は、50nm~150μm、好ましくは10~30μmの範囲の高さ、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲の直径、及び部分球の形状を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レリーフ特徴部と前記画像とは同一のパターンを有し、好ましくは画像の各々はレリーフ特徴部に重ね合わされており、前記レリーフ特徴部は前記画像と少なくとも同じ最大直径を有し前記画像の上部で中心に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷されるか、若しくは前記レリーフフィーチャは、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成されるか、又はその両方であり、前記フレキソ印刷プレート、前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記フレキソ印刷プレート若しくは前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は可撓性であり、プラスチック材料、好ましくはポリプロピレンで作製されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記フレキソ印刷プレート若しくは前記フレキソキャスティングプレート、又はその両方は、以下のステップ:
i.可撓性の、パターン付き基材を用意するステップと、
ii.前記パターン付き基材のパターン付き表面を未硬化の軟質フォトポリマープレート上に押圧して、未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを用意するステップと、
iii.前記未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを硬化させて、パターン付きフレキソプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記フレキソキャスティングプレートは、以下のステップ:
(i)レーザーパルスエングレービングによって作製された、パターン付き剛性基材、好ましくはパターン付き鋼板を用意するステップと、
(ii)前記パターン付き剛性基材上に、射出成形プロセスで、ポリマー材料、好ましくはポリプロピレンを適用して、前記フレキソキャスティングプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.前記第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された前記画像を重ね合わせた前記基材の前記第1の主表面上の透明なワニス層であって、前記透明なワニス層が前記基材の印刷された前記第1の主表面と接触している内側表面及び前記基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、 を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、前記ワニス層は、前記ワニス層の前記外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、前記レリーフ特徴部はマイクロレンズである、
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法、及び3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品及びパッケージで使用されるフィルムは、マイクロサイズのパターンから便益を得ることができる。このようなパターンは、光学効果(例えば、レンズ、ホログラム)、触覚効果(例えば、知覚される柔軟性)、及び/又は機能的効果(例えば、表面特性)などの様々な効果を提供することができる。モアレ拡大原理を利用することによって3D効果を付与することができ、基材は特定の相対配置を有する画像及びマイクロサイズパターンを備える。特に、パッケージングシステムの分野では、3Dマイクロ光学装飾技術には大きな関心がある。その理由は、それが製品の第一印象に強い影響を与え、消費者が製品に目を留めるための高い保留力を有するアイキャッチャとして機能するからである。
【0003】
3Dマイクロ光学フィルムは、例えば、Nanoventions,Inc.、Visual Physics,/LLC、Rolling Optics,AB、及びGrapac Japan Co.,Inc.により提供される。市販のフィルムは、一方の側に印刷された画像と、他方の側に印刷されたマイクロサイズのレンズとを有するか、又は、画像が一方の側に印刷され、同じ側に溝形状の連続的なレリーフ特徴部を有するかのいずれかであり得る。
【0004】
しかし、これら市販のフィルムはいくつかの大きな欠点を有する。すなわち、画像とレンズが基材の異なる側にある場所では、レンズが配置されている側から画像が明瞭となるように、基材は透明でなければならない。レリーフ特徴部が連続的な場所では、所望のモアレ拡大効果は実現できない。
【0005】
レンズが、1mm以上の範囲を有し、可撓性のフィルム又はラベル上の連続的なレリーフ特徴部設計を有するレンズ形設計は、多くの場合、その可撓性を低下させるなどの望ましくない特性をもたらす。
【0006】
更に、1mm以上の範囲を有するレンズを有する既知のレンズ形設計は、多くの場合、外側表面上にこのようなレンズ形設計を有するパッケージングシステムを取り扱う際に、粗い表面が不快な感触をもたらすゆえに、消費者にとって魅力的ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の欠点に基づいて、高速かつ費用効果の高い方法で、様々な基材上に3Dマイクロ光学効果を作り出すための新しいプロセスが依然として必要とされている。
【0008】
本発明によれば、3Dマイクロ光学パッケージングシステムを作製するプロセスが提供される。本方法は、基材を提供する工程と、複数の画像を基材の第1の主表面の少なくとも一部に印刷する工程と、基材の印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程と、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、を含む。
【0009】
このプロセスにより、透明及び非透明であってもよい様々な異なる基材上にモアレ拡大効果を提供する3Dマイクロ光学画像が印刷された多種多様なパッケージングシステムを作製することが可能になる。マイクロレンズ設計は、パッケージングシステムの可撓性のフィルム及びラベルに容易に組み込むことができる。その理由は、これらが典型的には薄くかつ小さいからである。マイクロレンズ設計は、パッケージングシステムとしてのその適合性、例えば、その可撓性、厚さ、重量、感触に関する特性を著しく変化させることなく、パッケージングシステムに組み込むことができる。したがって、マイクロレンズ設計は、様々なパッケージングシステムに好適である。マイクロレンズ設計は、滑らかな表面を提供することができ、それにより消費者に訴求する。これらは薄く軽量であり、それにより可撓性のフィルム及びラベルの可撓性を保持することができる。
【0010】
(本発明の簡単な説明)
本発明は、パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法に関する。本方法は、第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程と、基材の第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程と、基材の印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程であって、ワニス層は、基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び基材から離れる方向に面した外側表面を有する、工程と、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、を含む。
【0011】
本発明は更に、第1及び第2の主表面を有する基材と、第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、印刷された画像を重ね合わせた基材の第1の主表面上の透明なワニス層であって、透明なワニス層が基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び基材から離れる方向に面した外側表面を有し、ワニス層は、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、レリーフ特徴部はマイクロレンズである、透明なワニス層と、を備える3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本明細書は、本発明を詳細に示しかつ明確に特許請求する「特許請求の範囲」をもって結論とするが、添付図面と共に以下に記載する説明を参照することにより、本明細書の内容がよりよく理解されると考えられる。
図1】インクジェット印刷プロセスの概略図である。
図2a】インモールドラベリングプロセスの概略図である。
図2b】インモールドラベリングプロセスの概略図である。
図2c】インモールドラベリングプロセスの概略図である。
図2d】インモールドラベリングプロセスの概略図である。
図3a】転写印刷プロセスの概略図である。
図3b】転写印刷プロセスの概略図である。
図3c】転写印刷プロセスの概略図である。
図4】輪転グラビア印刷プロセスの概略図である。
図5】シルクスクリーン印刷プロセスの概略図である。
図6】凸版印刷プロセスの概略図である。
図7】オフセットリソグラフィプロセスの概略図である。
図8】フレキソ印刷プロセスの概略図である。
図9a】画像が印刷された基材の概略図である。
図9b】画像が印刷された基材の概略図である。
図9c】画像が印刷された基材の概略図である。
図10a】マイクロレンズを有するワニス層の上面図である。
図10b】マイクロレンズを有するワニス層の上面図である。
図10c】マイクロレンズを有するワニス層の上面図である。
図10d】マイクロレンズを有するワニス層の上面図である。
図10e】マイクロレンズを有するワニス層の上面図である。
図10f】マイクロレンズを有するワニス層の上面図である。
図11a】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図11b】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図11c】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図11d】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図11e】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図11f】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図11g】レリーフ特徴部を有するワニス層の側面図である。
図12】観察者の視点からの3Dマイクロ光学画像の概略図である。
図13】3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムを作製するための方法の概略図である。
図14】3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムを作製するフローチャートである。
図15】3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムを作製するためのフレキソ印刷機の概略図である。
図16】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するフローチャートである。
図17a】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17b】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17c】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17d】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17e】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17f】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17g】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17h】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17i】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図17j】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図18】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するフローチャートである。
図19a】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図19b】パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップの端面図である。
図20】3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による「3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム」は、観察者に対して3D光学効果を呈する画像がその表面上に印刷されたパッケージングシステムである。
【0014】
本発明による「基材」は、印刷に好適であって第1及び第2の主表面を有する全ての材料である。好ましくは、基材はシート状の形状を有する。
【0015】
本発明による「剛性基材」は、印加された力に応答した変形に対して抵抗性を有し、したがってインライン印刷プロセスでの使用に好適ではない基材である。
【0016】
本発明による「レリーフ特徴部」は、基材表面から垂直方向へと、ワニスの最小範囲から突出する特徴部である。
【0017】
「画像サイズ」は、画像の最大範囲を規定する。
【0018】
本発明による「マイクロ」という用語は、1mm未満、好ましくは1μm以上、1mm未満の範囲を意味する。
【0019】
本発明による「マイクロ画像」は、1mm未満の画像サイズを有する画像である。
【0020】
本発明による「マイクロレンズ」は、1mm未満の最大高さ及び幅を有するレンズである。
【0021】
本発明によれば、「画像間距離」は、画像間の最小距離を特徴付ける。したがって、「レリーフ特徴部間の距離」は、レリーフ特徴部間の最小距離を特徴付ける。
【0022】
本発明による「高さ」は、表面から垂直方向への範囲として定義される。例えば、ワニス層の高さは、基材表面から垂直方向への範囲である。例えば、レリーフ特徴部の高さは、基材表面から垂直方向へのワニスの最大範囲と、基材表面から垂直方向へのワニスの最小範囲との間の差である。
【0023】
層に関連して、高さはまた、「厚さ」と呼ばれてもよく、構造化層の厚さは、表面から垂直方向への層の最小範囲として説明される。
【0024】
本発明による「複数」は2つ以上である。
【0025】
本発明によれば、「透明」は、400~780nmの波長範囲及び10mmの材料層厚において、少なくとも0.5の透明性(I/I0)を有することを意味する。
【0026】
本発明による「多孔性」は、少なくとも1nmの細孔径を有する材料を定義する。より小さい細孔径、すなわち、サブナノメートル範囲の細孔径を有する材料、又は細孔を持たない材料は、非多孔性材料である。細孔径は、ASTM D4404により決定され得る。
【0027】
審査中の本出願による「フォトポリマー」は、電磁照射、例えば光によって硬化され得るポリマー材料である。
【0028】
本発明は、パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法に関し、本方法は、
a.第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程と、
b.基材の第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程と、
c.基材の印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程であって、ワニス層は、基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び基材から離れる方向に面した外側表面を有する、工程と、
d.ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、を含む。
【0029】
ステップa。
本方法は、第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程を含む。基材は、可撓性又は剛性であってもよい。好ましくは、基材は剛性である。
【0030】
基材は任意の形状であってもよい。例えば、基材は、シート状、例えば箔又はフィルムであってもよく、パッケージングシステムの形状を有してもよく、又はパッケージングシステムの一部の形状を有してもよい。基材は任意の厚さを有してもよい。例えば、基材は、1μm~10cm、又は2μm~5cm、又は5μm~1cm、又は10μm~5mm、又は20μm~1mmの厚さを有する。
【0031】
基材は、ポリマー材料、ガラス、木材、石、セラミック、金属、織布若しくは不織布、紙、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、基材はポリマー材料を含む。より好ましくは、ポリマー材料は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0032】
剛性基材は、ポリマー材料、ガラス、木材、石、セラミック、エナメル金属、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。好ましくは、基材はポリマー材料を含む。より好ましくは、ポリマー材料は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0033】
基材はまた、可撓性であってもよい。可撓性基材は、ポリマー材料、金属材料、織布若しくは不織布、紙、又はこれらの組み合わせ、好ましくはポリマー材料を含んでもよい。可撓性基材は、好ましくはプラスチック箔又はプラスチックフィルムである。ポリマー材料は、好ましくは、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0034】
基材は多孔質、又は非多孔質であってもよい。多孔質基材は、例えば、1μm未満、例えば500nm未満、又は1~500nm若しくは2~200nmの範囲の細孔径を有する微多孔性基材であってもよい。本発明による好ましい基材は非多孔質である。
【0035】
ステップb。
本方法は、基材の第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程を含む。
【0036】
画像は、基材の主表面上に画像を印刷するのに好適な当該技術分野において既知の任意の方法によって印刷されてもよい。好ましくは、画像は、インクジェット印刷、インモールドラベリング、転写印刷、輪転グラビア、シルクスクリーン印刷、凸版印刷、オフセットリソグラフィ、及びフレキソ印刷から選択されるプロセスによって印刷されてもよい。これらの印刷手順は、当該技術分野において周知である。
【0037】
インクジェット印刷は、一般に、液体インクを収容容器から、ガン本体及び微小ノズルを介して誘導して、インク液滴を作り出す高圧ポンプを含む。インク液滴は、それらが形成されるにつれて静電界にさらされるので、各液滴を個々に帯電させることができる。次に、インク液滴は静電偏向プレートによって誘導されて基材上に印刷される。このプロセスを、図1を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0038】
インモールドラベリングは、プラスチック成形プロセスであり、プラスチック材料を成形し、一方で同時にその表面を装飾するために使用される。プラスチック部品に転写される装飾を保持するキャリア箔を、開いた成形装置の金型の内側に配置する。真空又は静電荷帯電を使用することにより、箔を金型内に固定する。プラスチック材料、例えばポリプロピレンを、溶融又は軟化した状態で金型内に導入する。成形装置を閉じる。熱及び/又は圧力を加えることによって、プラスチック材料は所望の形状に成形される。このステップでは、キャリア箔及びプラスチック材料は融解されて、印刷が基材と一体部分となった、印刷された基材が形成される。このプロセスを、図2a~図2dを参照して以下に更に詳細に説明する。
【0039】
転写印刷は、一般に、転写装置を使用して、液体ベースのインクをインクパッドから基材上に転写する工程を含む。好適な転写装置は、例えば、銅板若しくは鋼板のようなエングレービングされた金属プレート、又はゴム印のような構造化されたポリマースタンプである。このプロセスを、図3a~図3cを参照して以下に更に詳細に説明する。
【0040】
輪転グラビアは、画像を画像キャリア、すなわち回転印刷機の一部であるシリンダにエングレービングする工程を伴う回転印刷機を使用する印刷プロセスである。インクは、シリンダに直接適用され、シリンダから基材に転写される。このプロセスを、図4を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0041】
シルクスクリーン印刷は、メッシュスクリーン上にデザインが付与され、メッシュスクリーンを使用して基材上にインクを転写する印刷技術である。メッシュスクリーンは、任意のメッシュ材料、好ましくはポリエチレンテレフタレートで作製することができる。開いたメッシュ孔をインクで充填する。インクを充填したメッシュを基材と接触させ、それにより、インクが基材を濡らしメッシュ孔から引き出される。このプロセスを、図5を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0042】
凸版印刷は、印刷機を使用してレリーフを印刷する技術である。これにより、基材のシート又はロールに対してインク付き隆起表面の直接型押しを繰り返すことによって、多くの複製を製作することができる。このプロセスはいくつかのステップを含み、それは、構成、すなわち、可動片を組み立てて所望の画像を形成するステップと、組付け、すなわち、構成ステップからの様々なアセンブリを配置してプレス機で使用する準備が整った形態にするステップと、ロックアップ、すなわち、印刷エラーを回避するためにアセンブリを固定し、アセンブリのレリーフにインク付けし、それを基材表面上に押し付けることによって印刷するステップである。このプロセスを、図6を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0043】
オフセットリソグラフィは、インク付き画像が画像キャリアプレートから基材表面へと間接的に転写される印刷プロセスである。リソグラフィプロセスは、油と水の反発力に基づいている。リソグラフィプロセスは、平坦な画像キャリアプレート、すなわち、印刷される画像がインクローラからインクを取得する、平坦な、エングレービングされていない表面を有するプレートを使用する。画像キャリアプレートの非印刷領域が水性フィルムを引き付けるので、これら領域にはインクがないままである。画像キャリアプレートは、画像を転写ブランケットに転写し、次に、転写ブランケットはその画像を基材表面上に印刷する。一般に、このプロセスは、回転印刷機を使用して連続的に実行され、画像キャリアプレート及び転写ブランケットは、回転シリンダ、すなわち、版胴及びオフセットシリンダであり、基材はオフセットシリンダと圧胴との間を通過する。このプロセスを、図7を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0044】
例示されたフレキソ印刷手順は、以下のように説明される。画像のポジティブの鏡映マスタがフレキソ印刷プレート内に作成される。そのようなプレートは、以下に更に詳細に説明する、アナログ又はデジタルプレート作製プロセスによって作製することができる。そこにおいて、画像領域はプレート上の非画像領域の上方に隆起している。インクは、均一な厚さでプレートに転写される。次に、基材を、例えば、プレートと圧胴との間に挟むことによって、インク付きフレキソ印刷プレートに押し付けて画像を転写する。インクを乾燥させるために、基材を乾燥機に通すように供給する、又は基材にUV光を照射することによってインクを硬化させる、などの様々な方法が利用可能である。画像が複数の色を含む場合、好ましくは各色に対して異なるフレキソ印刷プレートが使用される。この場合、プレートを作製し、印刷機内に配置されたシリンダ上に置く。画像を完成させるためには、各フレキソ印刷プレートからの画像が基材に転写される。フレキソ印刷は、可撓性基材を印刷するのに好ましい。このプロセスを、図8を参照して以下に更に詳細に説明する。
【0045】
基材上に印刷された画像は、そのサイズ、形状、及び色において限定されない。画像は、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは、少なくともいくつかの画像は同じである。例えば、全ての画像は同じである。印刷表面は、2つ以上、例えば2つ、又は3つ、又は4つ、又は5つ、又は6つ以上の画像アレイを含んでもよく、アレイ内の画像は同じである。
【0046】
画像は、規則的なパターンで配置されてもよい。基材が画像アレイを含む場合、アレイ内の画像は、好ましくは規則的なパターンで配置されている。異なるアレイ内のパターンは、同じであっても異なっていてもよい。
【0047】
好ましくは、画像はマイクロ画像である。画像サイズは、少なくとも20μm、好ましくは20μm~300μmの範囲、例えば50~100μmの範囲にあってもよい。画像は、画像サイズが同じであっても異なっていてもよい。基材が画像アレイを含む場合、アレイ内の画像は、好ましくは同じ画像サイズを有する。異なるアレイ内の画像サイズは異なっていてもよい。
【0048】
画像間の距離は、1μm~1mmの範囲、好ましくは5μm~100μmの範囲、より好ましくは10~50μmの範囲にあってもよい。画像間の距離は画像サイズの程度であり、その違いが、例えば、50%以下、又は30%以下、又は10%以下であることが好ましい場合がある。画像サイズと画像距離との比は、10:1~1:100の範囲、好ましくは5:1~1:50、又は2:1~1:10の範囲にあってもよい。基材が画像アレイを含む場合、アレイ内の画像は、好ましくは同じ画像距離を有する。異なるアレイ内の画像距離は異なっていてもよい。
【0049】
画像の好適な配置の例を、図9a~図9cに示す。
【0050】
ステップc。
本方法は、基材の印刷された第1の主表面に透明なワニス層を適用する工程を含む。ワニス層は、基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面、及び基材から離れる方向に面した外側表面を有する。
【0051】
本発明によれば、ワニス層は、印刷された基材の印刷された第1の主表面にワニス組成物を適用し、その後硬化させてワニス層を形成することによって形成されてもよい。例えば、ワニス組成物は、噴霧、滴下、圧延、フラッディング、スピンコーティング、又はディップコーティングプロセスによって適用されてもよい。
【0052】
ワニス組成物は、可撓性基材をコーティングするのに好適であって、インラインプロセスでの使用に好適な、対応する基材材料に適合する、当該技術分野において既知の任意のワニスであってもよい。好ましくは、ワニスは、熱硬化性若しくは光硬化性、又はその両方であり、好ましくはUV硬化性である。
【0053】
ワニスは、例えば、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、好ましくはLLDPE、LDPE、MDPE、HDPE、又はポリプロピレン;ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート;ポリアミド、例えばナイロン;ハロゲン化ビニル樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリレート、生分解性プラスチック、ポリウレタン、アルキド樹脂、エポキシフェノール樹脂、又はこれらの2つ以上の組み合わせ、を含んでもよい。
【0054】
生分解性プラスチックは、細菌のような生体の作用によって分解されるプラスチックであり、特にバイオプラスチックである。これらは、例えば、脂肪族ポリエステル、ポリ無水物、ポリビニルアルコール、デンプン誘導体、セルロースアセテート及びニトロセルロースのようなセルロースエステル、並びにポリエチレンテレフタレートから選択されてもよい。バイオプラスチックは、植物性油脂、トウモロコシデンプン、又は微生物叢のような再生可能バイオマス源に由来するプラスチックであり、好ましくはデンプン、セルロース、又はバイオポリマーで構成される。これらは、例えば、デンプン系プラスチック、セルロース系プラスチック、タンパク質系プラスチック、ポリ-3-ヒドロキシブチレートのようなポリヒドロキシアルカノエート、ポリヒドロキシバレレート、ポリヒドロキシヘキサノエート、ポリ乳酸、及びポリヒドロキシウレタンから選択されてもよい。
【0055】
好ましくは、ワニスはアクリルワニスである。本発明によるアクリルワニスは、ポリ(メタ)アクリレートを含むワニス、すなわち、ポリアクリル酸;ポリメタクリル酸;ポリアクリル酸誘導体、例えばカルボキシレート、エステル、アミド若しくはその塩;ポリメタクリル酸誘導体、例えばカルボキシレート、エステル、アミン若しくはその塩;これらのコポリマー;又はこれらの2つ以上の組み合わせ、を含むワニスであってもよい。好ましくは、塩は、アルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩、特にポリアクリル酸ナトリウムである。
【0056】
好ましくは、アクリルワニスは、化学式(I)又は(II)の構造要素を含む。
【0057】
【化1】
式中、X及びYは、N及びO、好ましくはOから選択されてもよく、
1及びR2は、H、C1~C18アルキル、C1~C18アルケニル、C6~C14アリール、好ましくはH、メチル及びエチルから選択され得る。
【0058】
ステップd。
本方法は、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程を含む。レリーフ特徴部は、インラインプロセスでコーティングを構築するのに好適な当該技術分野において既知の任意の方法によって、ワニス層上に形成されてもよい。
【0059】
ワニス層上のレリーフ特徴部は、上述の印刷プロセスと同様のプロセスによって形成されてもよく、そのプロセスでは、画像の代わりにレリーフ特徴部が印刷される。好ましくは、レリーフ特徴部は、転写印刷、輪転グラビア、及びフレキソキャスティングから選択されるプロセスによって形成されてもよい。
【0060】
レリーフ特徴部は、転写印刷によって形成されてもよい。転写印刷によってレリーフ特徴部を形成する一般的な手順は、上記のような、画像を印刷する転写印刷プロセスにしたがう。転写装置は、基材と接触するその下側表面が基材上に印刷されるレリーフ特徴部の反転形状、例えば、部分球を反転した形状を有するポストを備える。
【0061】
レリーフ特徴部は、輪転グラビアによって形成されてもよい。輪転グラビアによってレリーフ特徴部を形成する一般的な手順は、上記のような、画像を印刷する輪転グラビアプロセスにしたがう。回転印刷機の画像キャリアシリンダの表面は、基材上に印刷されるレリーフ特徴部の形状の反転、例えば、部分球の反転の窪みを有する。
【0062】
好ましくは、レリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成される。フィルムレスキャスティングプロセスでは、レリーフ特徴部の鏡映マスタがフレキソキャスティングプレート内に作成される。そのようなプレートを作製する方法を、以下に更に詳細に説明する。レリーフ特徴部領域は、プレート上の非レリーフ特徴部領域の上方に隆起している。ワニスをプレートに転写する。次に、印刷された基材を、例えば、プレートと圧胴との間に挟むことによって、フレキソキャスティングプレートに押し付けてワニスを転写し、それによりレリーフ特徴部を形成する。
【0063】
ワニスを硬化させるために、熱硬化又はUV硬化などの異なる方法が利用可能である。好ましくは、ワニスは、UV硬化によって硬化される。
【0064】
ワニス層の外側表面上に形成されたレリーフ特徴部はマイクロレンズである。本発明によれば、マイクロレンズは不連続なレリーフ特徴部であり、すなわち、基材の一方向に連続しておらず、1つのレリーフ特徴部の最小範囲と最大範囲との比は、1:1000~1:1、好ましくは1:100~1:1、より好ましくは1:10~1:1の範囲にある。平面図で見て、マイクロレンズは、円形であってもよく又は角を有してもよく、例えば、円形、楕円形、又は、3つ、若しくは4つ、若しくは5つ、若しくは6つ、若しくは8つ、若しくは9つ以上の角を有してもよい。好ましくは、角度方向マイクロレンズは、三角形、正方形、矩形、菱形、及び正多角形、例えば五角形、六角形、又は八角形からなる群から選択される。不連続なレリーフ特徴部の形状の例を図10a~図10fに示す。
【0065】
側面図で見て、レリーフ特徴部は、例えば、三角形、台形、正方形、矩形、又は部分円の形状を有してもよい。レリーフ特徴部の好ましい側面視形状を図11a~図11gに示す。
【0066】
好ましくは、レリーフ特徴部は、部分球、部分楕円体、円筒形、円錐形、四面体、角錐、六角形角錐、八角形角錐、立方体、直方体、五角プリズム、六角プリズムの形状である。レリーフ特徴部は、好ましくは、部分球の形状である。
【0067】
レリーフ特徴部は、規則的なパターンで配置されてもよい。基材がレリーフ特徴部のアレイを含む場合、アレイ内のレリーフ特徴部は、好ましくは規則的なパターンで配置されている。異なるアレイ内のパターンは、同じであっても異なっていてもよい。
【0068】
好ましくは、レリーフ特徴部は、50nm~150μm、好ましくは10~30μmの範囲の高さを有する。
【0069】
好ましくは、レリーフ特徴部のサイズは、少なくとも20μm、好ましくは20μm~300μmの範囲、例えば50~100μmの範囲にある。レリーフ特徴部は、色が同じであっても異なっていてもよい。基材がレリーフ特徴部のアレイを含む場合、アレイ内のレリーフ特徴部は、好ましくは同じサイズを有する。異なるアレイ内のレリーフ特徴部のサイズは異なっていてもよい。
【0070】
干渉パターン(モアレ拡大効果)が形成される限り、レリーフ特徴部及び画像の任意の繰り返しパターン、及びそれらの互いに対する任意の配置を使用することができる。この原理を図12に示す。
【0071】
レリーフ特徴部及び画像のパターンは、同じであっても異なっていてもよい。レリーフ特徴部と画像は、同一パターンを有することが好ましい。各画像がレリーフ特徴部と重ね合わされることが好ましい場合もある。
【0072】
レリーフ特徴部の最大直径と画像の最大直径との比は、少なくとも1であってもよく、例えば、比は、50:1~1:10、又は10:1~1:2、又は5:1~1:1.2、又は2:1~1:1、より好ましくは1.3:1~1:1の範囲にある。画像及び/又はレリーフ特徴部の異なるアレイが基材上に配置される場合、上述の直径比は、好ましくは少なくとも1つのアレイ、より好ましくは全てのアレイに関する。
【0073】
本発明では、レリーフ特徴部と画像とは同一のパターンを有し、各画像はレリーフ特徴部に重ね合わされており、レリーフ特徴部は画像と少なくとも同じ最大直径を有し画像の上部で中心に配置されていることが、本発明にとって最も好ましい場合がある。
【0074】
プロセスの好ましい例を、図13図15を参照して更に詳細に説明する。
【0075】
フレキソ印刷プレート/フレキソキャスティングプレート
画像がフレキソ印刷によって印刷される場合、好ましくはフレキソ印刷プレートが使用される。レリーフ特徴部がフィルムレスキャスティングプロセスによって形成される場合、好ましくはフレキソキャスティングプレートが使用される。
【0076】
フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、プラスチック材料、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせ、好ましくはポリプロピレンから作製されてもよい。
【0077】
フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、可撓性又は剛性、好ましくは可撓性であってもよい。
【0078】
フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製されてもよい。
【0079】
本発明によると、フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、以下のステップ:
i.パターン付き可撓性基材を用意するステップと、
ii.パターン付き基材のパターン付き表面を未硬化の軟質フォトポリマープレート上に押圧して、未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを用意するステップと、
iii.未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを硬化させて、パターン付きフレキソプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製されることが好ましい場合がある。
【0080】
例えば、パターン付き基材を未硬化の軟質フォトポリマープレートに押し付けて、パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを形成することができ、これを使用して、マイクロサイズパターンをフィルム上の硬化性コーティングに付与することができる。このアナログインプレッションプロセスは、精密な機器制御、又は先行出願から既知のようなウォッシュアウトステップの使用を必要としない。得られたフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートは、従来のフレキソ装置上で市販のコーティングと共に使用することができ、数千サイクルにわたって持ちこたえることができるので、プレートは使用が容易かつ安価でもある。このプロセスを、図16及び図17a~図17jを参照して更に詳細に説明する。
【0081】
パターン付き基材は、可撓性又は剛性であってもよい。本発明に好適な、パターン付き可撓性基材、Overland Park,Kansas,United StatesのBreit Technologiesから入手可能なCAST AND CUREホログラムフィルムなどの、パターン付き可撓性フィルムの形態で商業的に購入することができる。パターン付き可撓性基材は、可撓性(例えば、薄く柔軟なシート状材料)であって、好適なレリーフ特徴部のパターンを有し、図16を参照して説明したように処理できる、任意の好適な材料であってもよい。パターン付き可撓性基材の例としては、テクスチャ加工された紙、布地、マイクロエンボス加工されたフィルム、光学レンズフィルムが挙げられる。パターン付き剛性基材、例えば金属シート、成形プラスチックシート、又はシリコンウェハなどもまた本発明に好適であり得る。好ましくは、パターン付き基材は可撓性である。
【0082】
未硬化の軟質フォトポリマープレートは、例えば、0.1mm~10.0mm、又は0.5~5mm、又は0.8~3mm、好ましくは1.0~2mmの、様々な全体的な厚さを有することができる。未硬化の軟質フォトポリマープレートは、例えば、1.14mm、又は1.70mmの厚さを有してもよい。しかし、未硬化の軟質フォトポリマープレートはまた、保護マスク無しに提供されてもよい。未硬化のソフトフォトポリマーは、例えばWilmington,Delaware,United StatesのDuPontから入手可能なCYREL FAST(例えば、DFUV、DFR、DFM、及びDFPのタイプ)フレキソプレートなどのフレキソプレート(マスク層有り及び無し)、又は例えば、Morristown,Tennessee,United StatesのMacDermid,Inc.から入手可能なUVR、MAX、及びMVPなどのフレキソプレートの形態で市販されている。未硬化の軟質フォトポリマープレートは、1つ以上の好適な材料(例えば、モノマー、オリゴマー、及び/又は光開始剤の混合物などであって、一般的な形態はアクリレート及びシリコーンを含む)から作製されてもよく、この材料は、当該技術分野において既知の通り、可視光及び/又はUV光に露出させることにより硬化して硬化状態になる。
【0083】
本発明によると、フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、以下のステップ:
(i)パターン付き剛性基材を用意するステップと、
(ii)パターン付き剛性基材上に、射出成形プロセスで、ポリマー材料、好ましくはポリプロピレンを適用して、パターン付きフレキソプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製されることが好ましい場合がある。
【0084】
パターン付き剛性基材は、ポリマー材料、金属材料、ガラス、セラミック、鉱物、これらの2つ以上の組み合わせ、及び前述の材料のうちの1つ以上の複合材料、から選択される材料で作製されてもよい。好ましくは、パターン付き剛性基材は、パターン付き鋼板である。
【0085】
剛性基材内のパターンは、剛性基材にパターンを形成するための任意の好適な方法、例えば、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせによって形成することができる。好ましくは、パターン付き剛性基材のパターンは、レーザーパルスエングレービングによって作製される。
【0086】
ポリマー材料は、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの2つ以上の組み合わせ、から選択される熱可塑性樹脂であってもよい。好ましくは、ポリマー材料はポリプロピレンである。
【0087】
ポリマー材料は、射出成形プロセスでパターン付き剛性基材上に適用されてもよい。射出成形の通常動作は、当該技術分野において一般に既知である。例えば、以下の手順が続いてもよい。
【0088】
ポリマー材料を加熱して溶融又は可鍛性状態にする。次に、材料を、強制的にノズルを通して、金型キャビティとして機能するパターン付き剛性基材上に載せる。次に、プラスチック材料は、例えば、冷えたままの金型によって、外部冷却によって、又はその両方によって金型上で冷却される。このプロセスを、図18及び図19a~図19bを参照して更に詳細に説明する。
【0089】
本発明は更に、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムに関し、このシステムは、
A.第1及び第2の主表面を有する可撓性基材と、
B.第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された画像を重ね合わせた基材の第1の主表面上の透明なワニス層と、を含む。
【0090】
そこでは、ワニス層は、基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面、及び基材から離れる方向に面した外側表面を有する。更に、ワニス層は、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有する。
【0091】
本発明による方法に関して上述した可撓性基材、画像、ワニス層、及びレリーフ特徴部の好ましい実施形態はまた、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムの可撓性基材、画像、ワニス層、及びレリーフ特徴部にも適用される。1つの例示的な3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムを図20に示す。
【0092】
3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムは、例えば、パーソナルケア製品及び薬用製品、家庭用及びガーデニング製品、娯楽及びメディア製品、電子デバイス、玩具、スポーツ製品をパッケージングするための、食品及び非食品のパッケージングシステムに好適である。
【0093】
発明を実施するための形態
1)パッケージングシステム上に3Dマイクロ光学画像を印刷する方法であって、
a.第1及び第2の主表面を有する基材を用意する工程と、
b.基材の第1の主表面の少なくとも一部に複数の画像を印刷して、印刷された第1の主表面を有する基材を用意する工程と、
c.基材の印刷された第1の主表面上に透明なワニス層を適用する工程であって、ワニス層は、基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び基材から離れる方向に面した外側表面を有する、工程と、
d.ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程であって、レリーフ特徴部がマイクロレンズである、工程と、
を含む、方法。
【0094】
2)基材は剛性基材である、実施形態1)に記載の方法。
【0095】
3)基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択されるポリマー材料である、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0096】
4)基材は非多孔質である、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0097】
5)基材は、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンテレフタレートからなる群から選択される剛性の非多孔質ポリマー材料である、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0098】
6)画像は、インクジェット印刷、インモールドラベリング、転写印刷、輪転グラビア、シルクスクリーン印刷、凸版印刷、オフセットリソグラフィ、及びフレキソ印刷から選択されるプロセスによって印刷される、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0099】
7)画像はマイクロ画像である、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0100】
8)画像は規則的なパターンで配置されている、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0101】
9)画像のサイズは、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲にある、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0102】
10)画像の間の距離は、1μm~1mm、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10~50μmの範囲にある、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0103】
11)画像のサイズは、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲にあり、画像間の距離は、1μm~1mm、好ましくは5μm~100μm、より好ましくは10~50μmの範囲にある、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0104】
12)ワニスは、熱硬化性若しくは光硬化性、又はその両方であり、好ましくはUV硬化性である、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0105】
13)ワニスはアクリルワニスである、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0106】
14)ワニス層上のレリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成される、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0107】
15)レリーフ特徴部は、50nm~150μm、好ましくは10~30μmの範囲の高さを有する、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0108】
16)レンズのサイズが、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲にある、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0109】
17)レリーフ特徴部は部分球の形状を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0110】
18)レリーフ特徴部は、50nm~150μm、好ましくは10~30μmの範囲の高さ、少なくとも20μm、好ましくは20~300μmの範囲の直径、及び部分球の形状を有する、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0111】
19)レリーフ特徴部と画像とは同一のパターンを有し、好ましくは画像の各々はレリーフ特徴部に重ね合わされており、レリーフ特徴部は画像と少なくとも同じ最大直径を有し画像の上部で中心に配置されている、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0112】
20)画像は、フレキソ印刷プレートを使用してフレキソ印刷によって印刷される、若しくはレリーフ特徴部は、フレキソキャスティングプレートを使用するフィルムレスキャスティングプロセスによって形成される、又はその両方であり、フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、射出成形、ブロー成形、エンボス加工、印刷、エングレービング、又はこれらの組み合わせを含むプロセスによって作製される、前述の実施形態のいずれかに記載の方法。
【0113】
21)フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は可撓性であり、プラスチック材料、好ましくはポリプロピレンで作製されている、実施形態20に記載の方法。
【0114】
22)フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は可撓性である、実施形態20又は21に記載の方法。
【0115】
23)フレキソ印刷プレート若しくはフレキソキャスティングプレート、又はその両方は、以下のステップ:
i.パターン付き可撓性基材を用意するステップと、
ii.パターン付き基材のパターン付き表面を未硬化の軟質フォトポリマープレート上に押圧して、未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを用意するステップと、 iii.未硬化の、パターン付きフォトポリマープレートを硬化させて、パターン付きフレキソプレートを用意するステップと、
を含むプロセスによって作製される、実施形態20~22のいずれかに記載の方法。
【0116】
24)フレキソキャスティングプレートは、以下のステップ:
(i)パターン付き剛性基材を用意するステップと、
(ii)パターン付き剛性基材上に、射出成形プロセスで、ポリマー材料、好ましくはポリプロピレンを適用して、フレキソキャスティングプレートを用意するステップと、 を含むプロセスによって作製される、実施形態20~22のいずれかに記載の方法。
【0117】
25)パターン付き剛性基材はパターン付き鋼板である、実施形態24に記載の方法。
【0118】
26)パターン付き剛性基材のパターンが、レーザーパルスエングレービングによって作製される、実施形態24又は25に記載の方法。
【0119】
27)3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、
A.第1及び第2の主表面を有する基材と、
B.第1の主表面の少なくとも一部上の複数の画像と、
C.印刷された画像を重ね合わせた基材の第1の主表面上の透明なワニス層であって、透明なワニス層が基材の印刷された第1の主表面と接触している内側表面及び基材から離れる方向に面した外側表面を有する、透明なワニス層と、を備える、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムであって、ワニス層は、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を有し、レリーフ特徴部はマイクロレンズである、3Dマイクロ光学画像パッケージングシステム。
【0120】
図面の詳細な説明
図1はインクジェット印刷プロセスを示す。高圧ポンプ103が、ガン本体及びノズル105を通して液体インク102を誘導する。圧電性結晶104が音波を生成し、それによりインク102が液滴106になる流れを切断する。インク液滴は、帯電電極107により静電界にさらされる。別の静電界109において、液滴は、静電偏向プレート108により誘導されて、基材101上に印刷されるか、又は偏向されないまま再使用のための回収樋110へと至る。その結果、基材101上にインク液滴111が配置され画像が形成されている。
【0121】
図2a~図2dは、インモールドラベリングプロセスを示す。インモールドラベリングに使用される成形装置は、2つの部品、すなわち、金型205を備える下部部品201と、金型を閉鎖し、プラスチック材料を金型205の中に充填するための上部部品202とを備える。第1のステップでは、ハンドリング装置204を使用して、印刷されたラベル203を金型205の中に導入する。ハンドリング装置204を取り除く。印刷されたラベル203は、空気溜り又はしわが製品に悪影響を及ぼさないように、金型205に固定される。成形装置を閉じる。開口部207を通して、プラスチック材料206を金型205の中に導入する。加熱及び圧力処理、並びにその後の冷却の後、成形装置を開き、印刷表面208を有する成形プラスチック材料を得る。
【0122】
図3a~図3cは、転写印刷プロセスを示す。転写装置302は、複数のポスト303を含む。ポスト302は、インクパッド301から液体ベースのインク304をピックアップすることができる。次に、ピックアップされたインク304を、転写装置302のポスト303から基材305の表面上に転写することができる。転写装置302を取り除いた後、印刷された画像306が、基材305の表面上に配置されている。
【0123】
図4は、輪転グラビア印刷プロセスを示す。ここでは、基材401は、回転印刷機を方向406に通過することにより連続的に印刷される。回転印刷機は、グラビアシリンダ403及び圧胴402を備える。グラビアシリンダ403上には画像がエングレービングされている。グラビアシリンダ403は、インクリザーバ404と接触している。余分なインクは、印刷される基材401の主表面と接触する前に、ドクターブレード405によってグラビアシリンダ403から除去される。圧胴402は、基材401の他方の側から、すなわち、基材401の第2の主表面に圧力を印加する。これにより、印刷表面を有する基材が得られる。
【0124】
図5は、シルクスクリーン印刷プロセスを示す。ここでは、好ましくはポリエチレンテレフタレートで作製され、メッシュ孔1902を有する、メッシュ1901が提供される。メッシュ1901は、インクがメッシュ孔1902を充填するようにインク1903と接触する。次に、インクが充填されたメッシュを基材1904と接触させる。スクィーザ1906を使用することにより、インクはメッシュ孔1902から押し出されて基材1904上に移る。メッシュ1901を除去して1905、印刷された基材1907を得る。
【0125】
図6は、凸版印刷プロセスを示す。ここでは、ベッド2001を用意する。ベッド2001において、可動片2002が組み立てられて画像が形成される。可動片2002は、可動片2002の上面がインク2003でコーティングされるようにインクが塗られている。次に、基材2004は可動片2002に押し付けられ、その結果、インクを塗った面2003が基材2004に接触し、それによりインクが基材2004に転写されて印刷された基材2005が得られる。
【0126】
図7は、オフセットリソグラフィプロセスを示す。ここでは、基材501は、回転印刷機を方向502に通過することにより連続的に印刷される。回転印刷機は、圧胴503、オフセットシリンダ504、及び版胴505を備える。版胴505は更に、水溜め及び湿しシリンダ507を備える湿しユニットと、インク溜め及びインクシリンダ506を備えるインキングユニットとに接触する。インキングユニット及び湿しユニットは、インク及び水を版胴505上に供給する。版胴505は、オフセットシリンダ504を覆うブランケット上にインクを転写する。基材501は、圧胴503によってオフセットシリンダ504に押し付けられ、インクが基材上に転写されて印刷された画像が形成される。
【0127】
図8はフレキソ印刷プロセスの概略図である。可撓性基材601は、フレキソ印刷機を示された方向602に通過する。フレキソ印刷機を通過する間、複数の画像605を備えるインク層603が、インクステーション604を介して基材601上に印刷され、インクステーション604の各々が画像605の一部に寄与する。
【0128】
図9a~図9cは、異なる画像の異なる規則的パターンを有する印刷された基材の概略図を示す。
【0129】
図10a~図10fは、マイクロレンズの異なる上面形状を有するワニス層の上面図を示す。図10a及び図10bは、円形形状のレリーフ特徴部を示す。図10d~図10eは、正方形形状のレリーフ特徴部を示す。図10fは、菱形形状のレリーフ特徴部を示す。
【0130】
図11a~図11gは、好ましい側面形状のレリーフ特徴部を有するワニス層の側面図を示す。図11aは、三角形形状のレリーフ特徴部を示す。図11bは、台形形状のレリーフ特徴部を示す。図11cは、正方形形状のレリーフ特徴部を示す。図11d及び図11eは、矩形形状のレリーフ特徴部を示す。図11fは、部分球形状のレリーフ特徴部を示す。図11gは、部分楕円体形状のレリーフ特徴部を示す。
【0131】
図12は、観察者の視点から見た、3Dマイクロ光学画像の提示のモアレ拡大原理の概略図であり、規則的なパターンのマイクロ画像1001を有する印刷された基材が、円形マイクロレンズ1002を有するワニス層と重ね合わされている。得られた3Dマイクロ光学画像1003は、モアレ拡大効果によって引き起こされている。
【0132】
図13は、3Dマイクロ光学画像をパッケージングシステム上に印刷するステップを示すフローチャートである。ステップ1101は、基材を用意する工程を含む。ステップ1102は、基材の第1の主表面上に複数の画像を印刷する工程を含む。ステップ1103は、基材の印刷された第1の主表面上にワニス層を適用する工程を含む。ステップ1104は、ワニス層の外側表面上に複数のレリーフ特徴部を形成する工程を含む。結果1105は、ステップ1101~1104から得られる3Dマイクロ光学画像パッケージングシステムである。3Dマイクロ光学効果は、画像とレリーフ特徴部との重ね合わせによって引き起こされ、その結果、モアレ拡大効果がもたらされる。
【0133】
図14は、本発明によるプロセスを示す。基材1201を用意する。フレキソ印刷プロセスにおいて、画像が、インクステーション1202を介して基材1201上に印刷され、基材1201の1つの表面上に、マイクロ画像1204を有するインク層1203を有する印刷された基材がもたらされる。次に、フレキソキャスティングプレート1205を使用して、ワニス層1206を適用し、マイクロ画像と重ね合わされるワニスマイクロレンズ1207をキャスティングする。
【0134】
図15は、3Dマイクロ光学画像をパッケージングシステム上に印刷するのに好適なフレキソ印刷機の概略図である。基材1301は、フレキソ印刷機を示された方向1305に通過する。フレキソ印刷機を通過する間、複数の画像1303を含むインク層1302が、インクステーション1306を介して基材1301上に印刷され、インクステーション1306の各々が画像1303の一部に寄与する。複数のレリーフ特徴部1034を含むワニス層は、ワニスステーション1307を介してキャスティングされる。
【0135】
図16は、本発明による、パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップを表すフローチャートである。ステップ1401は、パターン付き基材、好ましくはパターン付き可撓性基材を用意する工程を含み、図17aに関連して更に詳細に説明する。ステップ1402は、図17bに関連して説明されるように、未硬化の軟質フォトポリマープレートを用意する工程を含む。ステップ1403は、図17c~図17eに関連して説明するように、任意選択の、プレートの前処理ステップを含む。ステップ1404は、図17f及び図17gに関連して説明するように、基材をプレートに型押しする工程を含む。ステップ1405は、図17h~図17jに関連して説明するように、プレートを硬化させる工程を含む。結果1406は、ステップ1401~1405から得られるフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートである。
【0136】
図17aは、パターン付き可撓性基材の端面図を示す。基材1510の1つの主表面の少なくとも一部はレリーフ特徴部を含む。レリーフ特徴部は、突出部1511及び凹部1512によって特徴付けられる。それらは、例えば、50nm~150μmの高さ(最も深い凹部から最も高い突出部まで基材に対して垂直に測定して)を有してもよい。突出部1511及び凹部1512は、一緒に例示的なパターンを形成し、これは、図16の方法で作製されたフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートのマスタパターンとしての役割を担う。基材上のパターンは、任意の種類、任意の形状、任意のアスペクト比を有し、当該技術分野において既知の任意の分布を有する、任意の数の突出部及び/又は凹部を含むレリーフ特徴部を有することができ、好ましくは、パターンが50nm~150μm、例えば、50nm~75μm、50nm~37μm、50nm~15μm、又は50nm~7μmの高さを有する限り、これら構成のいずれも、いかなる形であれ可変である。
【0137】
図17bは、保護マスク1520及びフォトポリマー材料1521を含む未硬化の軟質フォトポリマープレートの端面図を示す。未硬化の軟質フォトポリマープレート中の保護マスク1520の存在は任意選択である。
【0138】
図17cは、図17bのプレートと同じプレートの一面を硬化させるステップの端面図を示す。UV光又は電子ビームエミッタなどの硬化源1534が硬化エネルギー1533(例えば、熱及び/又は光)を放出し、これが、フォトポリマー材料の外側部分を少なくとも部分的に硬化させ、その結果、フォトポリマー材料は硬化部分1532及び未硬化部分1531を有する。一例として、(本明細書に開示される任意の硬化ステップと共に使用する)硬化源は、DeGraf Concept 400 ECLFプレート硬化システム(Ringsted、DenmarkのGLUNZ&JENSENから入手可能)であってもよい。
【0139】
図17dは、マスク1540をプレートから除去するステップの端面図を示す。除去プロセス1543(例えばレーザーアブレーション)は、マスク1540を方向1544に除去する工程と、フォトポリマー材料の未硬化部分1541の表面上のマスクされていない領域1542を露出させる工程を含む。後述するような、後続の処理及び/又は型押し1540のためのプレートを作製するために、第1の側1542の全てがマスクされていない領域となるように、全てのマスクが除去されてもよい。保護マスク1540の一部のみが除去され得ることも可能である。この場合、マスクされていない領域は、連続又は不連続であってもよい。一例として、CDI Spark 4835 Inline UV Digital Flexo image setter(Ghent,BelgiumのESKOから入手可能)を使用してマスクをアブレーションすることができる。
【0140】
図17eは、プレートを前処理するステップの端面図を示す。スプレーノズル、ドクターブレード、又はドローダウンロッドなどの処理源1552は処理1553を提供し、この処理は、例えば、接触後に表面を解放する能力を改善させるために、プレートの未硬化部分1550の外側部分の少なくとも一部を部分的に処理する。当該処理の一例は、薄いシリコーンコーティングを噴霧することである。未硬化部分1551は、部分的に又は完全に処理されてもよい。
【0141】
図17fは、パターン付き可撓性基材1560を、軟質フォトポリマープレートの未硬化部分1561の露出面に型押しするステップの端面図を示す。対向する内向きの力1563及び1564が、基材1560とプレートとを互いに押し付ける圧力を与え、その結果、基材1560のパターンがプレート上に付与され、パターン形状の突出部及び凹部が未硬化部分1561の少なくとも外側部分に付与され、基材1560のパターンの反転であるパターンになる。基材1560のレリーフ特徴部の突出部及び凹部は、プレート上のレリーフ特徴部の凹部及び突出部になる。対向する内向きの力は、例えば、図17gに示すような圧力ローラを含む、当該技術分野において既知の様々な種類の機械装置によって加えることができる。型押しステップはまた、(例えば、伝導、対流、及び/又は放射を提供するヒータによって)熱を加えて、型押しの前及び/又は最中に軟質フォトポリマープレートを更に軟化させる工程を含んでもよい。
【0142】
図17gは、パターン付き可撓性基材1570を、軟質フォトポリマープレートの未硬化部分1571の露出面に型押しするステップで使用できる機械装置の一部の端面図を示す。第1のローラ1574は、反時計回りに回転し1576、第2のローラ1575は時計回りに回転する1577。ローラ1574及び1575は共に、基材1570とプレートとを互いに押し付ける、対向する内向きの力を分配し、その結果、基材1570及びプレートがローラ1574と1575との間を通過する1573につれて、基材1570のパターンがプレートに付与される。一対のローラ1574及び1575は、例えば、Morristown,Tennessee,United StatesのMacDermid,Inc.から入手可能なLUX Laminator Model 62 Pro Sを含む、当該技術分野において既知の(加熱された又は加熱されていない)ロールラミネート機によって提供され得る。基材及びプレートは、1回以上、いずれかの側又は両方の側にキャリアシート有り又は無しで、そのようなローラの1つ以上の対を通過させてもよい。当該技術分野において既知の他の種類のラミネート機又はプレス機(ローラ有り又は無しで)を代替として使用してもよい。
【0143】
図17hは、プレートの面を部分的に硬化させるステップの端面図を示す。ここでは、プレートは、図17f及び/又は図17gの型押しステップからのパターン付き可撓性基材1580と接触している。基材1580は、硬化エネルギーの伝達を可能にする材料特性、例えば、透光性を有する。第1の硬化源1586が、基材1580の外側に位置し、硬化エネルギー1585を放出し、それが基材1580を通って進行する。硬化エネルギーが、フォトポリマー材料の未硬化部分1581の少なくとも一部を部分的に硬化させる。第2の硬化源1584が、プレート1582の硬化部分の外側に位置し、硬化エネルギー1583を放出し、それがプレートを通って進行する。プレートは、硬化エネルギーの伝達を可能にする材料特性、例えば、透光性を有する。これにより、未硬化部分1581が少なくとも部分的に硬化されるように、フォトポリマー材料の未硬化部分1581の少なくとも一部が硬化される。これにより、プレート上に形成されたパターンを歪める又は損傷することなく、基材1580をプレートからより容易に除去することができる。1つ以上の硬化源が1つの側のみで使用されることも可能である。典型的には、硬化エネルギーは、紫外線A(波長315~400nm)、紫外線B(波長280~315nm)、及び紫外線C(波長100~280nm)などの紫外線スペクトルの範囲に含まれ、このような波長を供給するように構成された水銀球又はLED器具などの様々な供給源によって提供され得る。代替として、部分的に硬化された部分1581が完全に硬化されるように、部分硬化のステップが完全硬化のステップで置換される。更なる代替として、部分的に硬化された部分1581が硬化されないように、部分硬化のステップは省略される。
【0144】
図17iは、プレートの面の端面図を示す。パターン付き可撓性基材1590は、例えば、引張り又は剥ぎ取りによって、プレートから除去される1595。プレートのフォトポリマー材料は、硬化部分1592と、前のステップに応じて未硬化、部分硬化、又は完全硬化であり得る部分1591を有する。部分1591の少なくとも一部は、突出部1594及び凹部1593を含み、これらは共に、フレキソ印刷プレート上の付与されたパターンである例示的なパターンを形成している。
【0145】
図17jは、プレートのフォトポリマー材料を完全に硬化させるステップの端面図を示す。プレートの部分1501の外側に位置する第1の硬化源1506が硬化エネルギー1505を放出し、それが部分1501に進み、部分1501の完全に硬化させることに寄与する。プレートの硬化部分1502の外側に位置する第2の硬化源1504が硬化エネルギー1503を放出し、それが、硬化エネルギーの伝達を可能にする材料特性(例えば、透光性)を有する硬化部分1502を通って進行する。当該硬化エネルギー1503は、部分1501が完全に硬化されるように、部分1501を完全に硬化させることに寄与する。これにより、プレート上に形成されたパターンが最終的に硬化され、プレートは最終用途のために更に処理される。
【0146】
代替として、1506は粘着性除去エネルギー1505を放出する第1の処理源であり、粘着性除去エネルギー1505は部分1501に進行し、フォトポリマー材料の更なる重合によって部分1501を完全に硬化させることに寄与する。1504は粘着性除去エネルギー1503を放出する第2の処理源であり、粘着性除去エネルギー1503は硬化部分1502を通って進行し、フォトポリマー材料の更なる重合に寄与する。これにより、プレート上に形成されたパターンが最終的に硬化され、プレートは最終用途のために更に処理される。
【0147】
1つ以上の処理源が1つの側のみに使用されてもよい。硬化されたフォトポリマープレートは、当該技術分野において既知の任意の他の方法で、例えば、1つ以上の化学溶液(例えば、ハロゲン溶液)中にプレートを浸漬することによって、粘着性を除去することができる。プレートを粘着性除去するステップは任意選択である。典型的には、粘着性除去エネルギーは、紫外線Cスペクトル(波長100~280nm)の範囲に含まれる。
【0148】
図18は、本発明による、パターン付きのフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートを作製するステップを表すフローチャートである。ステップ1601は、パターン付き剛性基材、好ましくはパターン付き鋼板を用意する工程を含み、図19aに関連して更に詳細に説明する。ステップ1602は、ポリマー材料、好ましくはポリプロピレンを用意する工程を含む。ステップ1603は、ポリマー材料を溶融又は可鍛性状態にするために、ポリマー材料を加熱する工程を含む。ステップ1604は、例えば、図19bに関連して説明されるように、溶融された又は可鍛性のポリマー材料を基材上に押し当てる工程を含む。ステップ1605は、ポリマー材料を冷却する工程を含む。結果1606は、ステップ1601~1605から得られるフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートである。
【0149】
図19aは、パターン付き剛性基材の端面図を示す。基材1701の1つの主表面の少なくとも一部はレリーフ特徴部を含む。レリーフ特徴部は、突出部1702及び凹部1703によって特徴付けられる。それらは、例えば、50nm~150μmの高さ(最も深い凹部から最も高い突出部まで基材に対して垂直に測定して)を有してもよい。突出部1702及び凹部1703は共に例示的なパターンを形成し、これは、図18の方法で作製されたフレキソ印刷プレート又はフレキソキャスティングプレートのマスタパターンとしての役割を担う。基材上のパターンは、任意の種類、任意の形状、任意のアスペクト比を有し、当該技術分野において既知の任意の分布を有する、任意の数の突出部及び/又は凹部を含むレリーフ特徴部を有することができ、好ましくは、パターンが50nm~150μm、例えば、50nm~75μm、50nm~37μm、50nm~15μm、又は50nm~7μmの高さを有する限り、これら構成のいずれも、いかなる形であれ可変である。
【0150】
図19bは射出成形装置を示す。固体ポリマー材料が、ホッパー1724を介して容器1723内に装填される。容器1723は加熱可能であり、その結果、ポリマー材料は、容器1723内で溶融され得るか又は可鍛性にされ得る。代替として、ポリマー材料を、既に溶融した又は可鍛性の状態で、容器1723の中に装填することができる。容器1723から、溶融した又は可鍛性のポリマー材料が、ノズル1722を通して、金型1720によって画定される空洞1721の中に押し込まれる。金型1720は、図19aに示すように、パターン付き剛性基材を備える。
【0151】
図20は、側面から見た、マイクロ光学画像パッケージングシステム1800の実施例を示す。システムは、基材1810、マイクロ画像1830を含むインク層1820、及びワニス層1840を含む。ワニス層1840はインク層1820上に重ね合わされている。ワニス層1840の内側表面はインク層と接触している。ワニス層1840の外側表面は、インク層1820及び基材1810から離れる方向に面している。ワニス層1840の外側表面には、複数のレリーフ特徴部1850が配置されている。画像1830の各々は1つのレリーフ特徴部1850に重ね合わされており、レリーフ特徴部は画像1830と少なくとも同じ最大直径を有し画像1830の上部で中心に配置されている。
【0152】
本明細書において開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図10d
図10e
図10f
図11a
図11b
図11c
図11d
図11e
図11f
図11g
図12
図13
図14
図15
図16
図17a
図17b
図17c
図17d
図17e
図17f
図17g
図17h
図17i
図17j
図18
図19a
図19b
図20
【外国語明細書】