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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160971
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】清掃具
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/10 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A47K11/10
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148184
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2019194387の分割
【原出願日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2019135427
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】金子 はるひ
(72)【発明者】
【氏名】市川 順一
(72)【発明者】
【氏名】十時 陵利
(72)【発明者】
【氏名】川崎 真吾
(57)【要約】
【課題】扱いやすく清掃作業を効率よく行うことができる清掃具を提供する。
【解決手段】対象物に接触させて対象物を清掃する清掃具であって、対象物に接触して対象物を洗浄する洗浄部と、洗浄部から延び出す把持部と、を備え、洗浄部は、把持部に接続する基部と、基部の端部から基部に対して傾く傾斜部と、を有し、把持部の大きさは、把持部を把持する使用者の手で覆うことができる大きさとされている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に接触させて前記対象物を清掃する清掃具であって、
前記対象物に接触して前記対象物を洗浄する洗浄部と、
前記洗浄部から延び出す把持部と、
を備え、
前記洗浄部は、前記把持部に接続する基部を有し、前記基部は、前記把持部が延び出す第1の面と、前記第1の面の反対側を向く第2の面と、前記第1の面及び前記第2の面の間において前記洗浄部の外側に張り出すように湾曲する第1の湾曲部とを有し、
前記把持部の大きさは、前記把持部を把持する使用者の手で覆うことができる大きさとされており、
前記第1の面から延び出す前記把持部が把持されて前記第2の面及び前記第1の湾曲部が前記対象物に当てられ、
前記洗浄部は、骨格部と、前記骨格部を覆う変形可能な被覆部と、を備え、
前記被覆部は、前記骨格部の全体を覆っている、
清掃具。
【請求項2】
前記洗浄部及び前記把持部の最小高さは70mm以上である、
請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記把持部は、前記洗浄部の前記基部に対して斜めに延びるグリップ部を有し、
前記グリップ部の長さは、150mm以下である、
請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記把持部は、手で握られるグリップ部と、前記洗浄部及び前記グリップ部を連結する連結部とを有し、
前記連結部は前記洗浄部の第1の面から直角に延び出しており、前記グリップ部は前記洗浄部から離れる方向に前記洗浄部に対して斜めに延び出している、
請求項1~3のいずれか一項に記載の清掃具。
【請求項5】
前記被覆部は、前記把持部が延び出す面に一対の前記被覆部を互いに接続する接続部を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の清掃具。
【請求項6】
前記被覆部は、前記被覆部の幅方向を向く端面から前記端面に対して傾斜して延びる一対の傾斜面を有する、
請求項5に記載の清掃具。
【請求項7】
前記傾斜面は、前記端面に向かうに従って前記把持部に近づく方向に傾斜している、
請求項6に記載の清掃具。
【請求項8】
前記被覆部は、前記一対の傾斜面の間に前記把持部に沿って延びると共に前記把持部に対向する対向面を有する、
請求項6又は7に記載の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から清掃具としては、種々のものが知られている。特許文献1には、便器清掃用具が記載されている。便器清掃用具は、清掃作業者が握持する柄部と、柄部の端部に取り付けられており便鉢内の被清掃面を接触清掃する清掃部と、を備える。柄部は、清掃部から長尺状に延びる柄の一端に形成された握持部と、柄の他端において清掃部が取り付けられる被嵌合孔とを備える。
【0003】
特許文献2には、トイレ清掃用具としてトイレ用ブラシが記載されている。トイレ用ブラシは、棒体から成る柄部と、柄部の下端に取り付けられたブラシ部と、を備える。柄部は、直棒状の把持部と、把持部の下端に連続する曲棒部とを含んでいる。曲棒部は、ブラシ部の外面を構成する巻き付け部材に固定された押さえ板の筒状部に挿入された状態でブラシ部に固定されている。曲棒部は、押さえ板から直線状に延びると共に、押さえ板の上方で湾曲しており、湾曲した部分から更に上方に直線状に延び出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-36002号公報
【特許文献2】特開2015-80522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した便器清掃用具及びトイレ用ブラシを含む清掃具では、清掃部及びブラシ部のそれぞれから棒状の柄又は曲棒部が延び出している。従って、対象物を洗浄する洗浄部から握られる把持部までの箇所が棒状に長く延びる棒状部とされていて、洗浄部から把持部までの距離が長いので、扱いづらく清掃作業の効率が低下することがある。洗浄部から把持部までの箇所が棒状部とされている場合、把持部によって洗浄部を上手く移動できないことがあり、洗浄部を細かい箇所に追従させづらい場合がある。また、前述した清掃具では、棒状部が持ちづらいことにより、棒状部の根元の部分を持って清掃が行われることがある。この場合、清掃中に棒状部が揺動することによって棒状部が他の部分に衝突することがあり、清掃具が傷ついてしまうといったことも起こりうる。従って、扱いやすく且つ清掃作業を効率よく行うことができる清掃具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態に係る清掃具は、対象物に接触させて対象物を清掃する清掃具であって、対象物に接触して対象物を洗浄する洗浄部と、洗浄部から延び出す把持部と、を備え、洗浄部は、把持部に接続する基部を有し、基部は、把持部が延び出す第1の面と、第1の面の反対側を向く第2の面と、第1の面及び第2の面の間において洗浄部の外側に張り出すように湾曲する第1の湾曲部とを有し、把持部の大きさは、把持部を把持する使用者の手で覆うことができる大きさとされており、第1の面から延び出す把持部が把持されて第2の面及び第1の湾曲部が対象物に当てられ、洗浄部は、骨格部と、骨格部を覆う変形可能な被覆部と、を備え、被覆部は、骨格部の全体を覆っている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一形態によれば、扱いやすく清掃作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る清掃具の一例を示す斜視図である。
図2】実施形態に係る清掃具の模式的な側面図である。
図3】実施形態に係る清掃具の骨格部の例を示す側面図である。
図4】実施形態に係る清掃具の骨格部の例を示す平面図である。
図5】実施形態に係る清掃具が把持されている例を示す側面図である。
図6】実施形態に係る清掃具が図5とは異なる態様で把持されている例を示す側面図である。
図7】実施形態に係る清掃具の排水管への進入が抑制されている状態を模式的に示す図である。
図8】実施形態に係る清掃具の排水管への進入が抑制されている状態を図7とは異なる態様で模式的に示す図である。
図9】実施形態に係る清掃具の被覆部及び骨格部のそれぞれを示す斜視図である。
図10図9の被覆部を骨格部に巻き付ける手順の例を示す斜視図である。
図11図10の手順の続きの例を示す斜視図である。
図12図11の手順の続きの例を示す斜視図である。
図13】変形例に係る被覆部を示す平面図である。
図14図13の被覆部が巻き付けられた清掃具を絞っている状態の例を示す斜視図である。
図15】種々の被覆部の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る清掃具の実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法及び角度等は図面に記載のものに限定されない。
【0010】
本実施形態に係る清掃具は、清掃の対象物を清掃して対象物に付着した汚れ等を除去するものである。本開示における「対象物」とは、清掃の対象となる物を示しており、例えば、トイレ、洗面所、風呂場及び台所を含む水回りの物、並びに、食器、調理器具、機械及び構造物等、種々の物を含んでいる。
【0011】
「清掃」は対象物を掃除することを示している。「洗浄」は清掃の過程において汚れを除去することを示しており、「洗浄部」は洗浄を行う部分又は部材を示している。「洗浄」は、例えば、洗浄部を対象物に擦りつけて対象物の汚れを掻き落とすこと、水又は洗剤等を用いて汚れを除去すること、及び錆等の付着物を磨いて除去することを含んでいる。本実施形態に係る清掃具は、洗浄部と、洗浄部から延び出す把持部とを備える。「把持」とは手で握って持つことを示しており、「把持部」は手で握って持たれる部分又は部材を示している。
【0012】
図1は、実施形態に係る例示的な清掃具1を示している。図1に示されるように、清掃具1は、対象物に接触して対象物を洗浄する洗浄部10と、洗浄部10から延び出す部位であって手で把持される把持部20とを備える。清掃具1は、一例として、トイレの掃除に用いられるトイレブラシであって、便器を磨いて便器を洗浄するものである。
【0013】
清掃具1は、例えば、ビルの清掃業者に用いられる業務用のトイレブラシであって、洗浄部10を直に便器に接触させることによって便器に付着した汚れを掻き落とすものである。具体的には、把持部20が把持されて洗浄部10が便器に当てられ、洗浄部10が汚れを掻き落とすことによって清掃が行われる。しかしながら、清掃具1は、トイレブラシ以外の用途で用いられるものであってもよい。
【0014】
図2は、清掃具1を模式的に示す側面図である。図1及び図2に示されるように、洗浄部10は、把持部20に接続すると共に把持部20に交差する方向D1に延び出している。一例として、把持部20の根元部分と洗浄部10との成す角度は直角であってもよい。洗浄部10は、把持部20から把持部20に交差する方向D1に延びる基部11と、基部11の方向D1の端部から傾く傾斜部12とを備える。
【0015】
基部11は、把持部20が延び出す第1の面11bと、第1の面11bの反対側を向く第2の面11cと、第1の面11b及び第2の面11cの間において洗浄部10の外側に張り出すように湾曲する第1の湾曲面11dとを有する。把持部20は第1の面11bから延び出している。例えば、第1の面11b及び第2の面11cのそれぞれは平坦面であり、第1の面11b及び第2の面11cは互いに平行に延びている。
【0016】
例えば、第1の湾曲面11dから基部11に平行に(方向D1に沿うように)把持部が延び出す場合、第1の湾曲面11dを対象物に当てることが困難となるので、第1の湾曲面11dを対象物の洗浄部分とすることが困難となりうる。これに対し、本実施形態に係る清掃具1では、第1の面11bから把持部20が延び出している。従って、清掃具1では、第1の面11bから延び出す把持部20を把持して第2の面11c及び第1の湾曲面11dを対象物に当てることができるので、第2の面11c及び第1の湾曲面11dを対象物の洗浄部分とすることが可能である。
【0017】
すなわち、把持部20を手で持って手首を捻りながら第2の面11c及び第1の湾曲面11dで対象物を擦ることにより、対象物の洗浄を効率よく行うことが可能である。また、第1の面11bから把持部20が延び出していることにより、対象物に対する基部11の押し付け力を強くすることができるので、洗浄部10による対象物の洗浄をより効果的に行うことが可能となる。
【0018】
傾斜部12は基部11の方向D1の一端から斜めに傾いており、例えば、基部11の方向D1の他端側から把持部20が延び出している。傾斜部12は、例えば、基部11の一端から把持部20寄り(把持部20が基部11の上方に位置する場合における、斜め上向き)に傾いており、把持部20側に斜めに突出している。このように把持部20側に突出する傾斜部12を備えることにより、便器の縁の裏等の狭隘な部分に傾斜部12を挿入して狭隘な部分を効率よく洗浄することが可能となる。
【0019】
傾斜部12は、第1の面11bに連続する第3の面12bと、第2の面11cに連続する第4の面12cと、第3の面12b及び第4の面12cの間において洗浄部10の外側に張り出すように湾曲する第2の湾曲面12dとを有する。一例として、第3の面12b及び第4の面12cのそれぞれは平坦面とされており、第3の面12b及び第4の面12cは互いに平行に延びている。
【0020】
第3の面12b、第4の面12c及び第2の湾曲面12dは、いずれも、対象物に当てることが可能な部位であり、対象物の洗浄部分とすることが可能である。このように、清掃具1では、少なくとも、第2の面11c、第1の湾曲面11d、第3の面12b、第4の面12c及び第2の湾曲面12dを対象物の洗浄部分とすることが可能であるため、洗浄部分の面積を広く確保することができる。従って、把持部20を手で持って手首を捻りながら対象物のあらゆる部分に第2の面11c、第1の湾曲面11d、第3の面12b、第4の面12c及び第2の湾曲面12dを当てることができるので、洗浄を効率よく且つ確実に行うことが可能となる。
【0021】
把持部20は、例えば、手H(図5又は図6参照)で握られるグリップ部21と、洗浄部10及びグリップ部21を連結する連結部22とを有する。一例として、連結部22は洗浄部10の第1の面11bから直角に延び出しており、グリップ部21は洗浄部10から離れる方向D2に、洗浄部10に対して斜めに延び出している。
【0022】
把持部20は、人の手Hで覆われる大きさとされており、例えば、グリップ部21を手Hで握ったときにグリップ部21が手Hからはみ出ることはない。このように、把持部20が手Hに収まる大きさとされていることにより、手Hを動かして洗浄部10をあらゆる方向に自在に動かすことができ、清掃具1のハンドリング性が高められている。
【0023】
グリップ部21及び連結部22は、例えば、手Hで覆われる程度の長さを有する棒状とされている。グリップ部21は、洗浄部10の反対側を向く第5の面21bと、洗浄部10側を向く第6の面21cと、第5の面21b及び第6の面21cの間において方向D2に延びる第7の面21gとを有する。更に、グリップ部21は、例えば、グリップ部21の端部を構成する先端部21dと、第5の面21b及び第6の面21cを貫通する孔部21fとを有する。
【0024】
第5の面21bは、平坦面であってもよいし、グリップ部21の外側に湾曲する湾曲面であってもよい。第7の面21gは、例えば、第5の面21bの幅方向(図2の紙面に直交する方向)の両側のそれぞれに設けられている。第7の面21gは、平坦面であってもよいし、グリップ部21の外側に湾曲する湾曲面であってもよい。
【0025】
第6の面21cは、例えば、グリップ部21の外側に張り出すように湾曲している。このように第6の面21cが外側に湾曲していることによって、グリップ部21は握りやすい形状とされている。孔部21fは、清掃具1をフック等の係止具に引っ掛けるための孔であり、一例として孔部21fはグリップ部21が延びる方向D2に延在している。
【0026】
先端部21dは、第7の面21gに連続する第8の面21hと、孔部21fのグリップ部21の先端側に位置する第9の面21jとを有する。第8の面21h及び第9の面21jは、例えば、グリップ部21の外側に張り出す曲面状とされている。以上のように、グリップ部21は、第5の面21b、第6の面21c、第7の面21g、第8の面21h及び第9の面21jを有するが、これらの面の境界部分はいずれも鈍角を成している。
【0027】
すなわち、第5の面21b、第6の面21c、第7の面21g、第8の面21h及び第9の面21jは鈍角の角部を介して互いに接続されており、例えば、グリップ部21は鋭角又は直角を成す角部を有しない。従って、グリップ部21全体として丸みを帯びた形状とされているので、グリップ部21は持ちやすい形状とされている。
【0028】
連結部22は洗浄部10から突出する柱状とされている。連結部22は、第6の面21cに連続する第10の面22bと、第7の面21gに連続する第11の面22cと、第11の面22cの第5の面21bとの反対側に位置する第12の面22dと、第12の面22d及び第5の面21bの間に位置する指接触面22fとを有する。
【0029】
第10の面22b、第11の面22c及び第12の面22dは、例えば、平坦面、又は連結部22の外側に張り出す湾曲面である。指接触面22fは第12の面22dに対して斜めに延在しており、方向D1に対する指接触面22fの傾斜角度は方向D1に対するグリップ部21(方向D2)の傾斜角度よりも大きい。
【0030】
指接触面22fは、把持部20を把持する手Hのうちの指H1が載せられる面である(図5又は図6参照)。指接触面22fは、平坦面、又は把持部20の内側に窪む湾曲面である。このように、指接触面22fが平坦面又は内側に窪む湾曲面であることにより、指H1を指接触面22fに載せやすくすることができるので、把持部20を一層握りやすくすることができる。
【0031】
指接触面22fは洗浄部10とグリップ部21との間に設けられており、例えば、指接触面22fに指H1(例えば親指又は人差し指)を載せてグリップ部21を握ることにより、把持部20は一層握りやすい形状とされている。なお、把持部20は、連結部22を有しなくてもよく、例えば、洗浄部10から直接グリップ部21が延び出していてもよい。
【0032】
把持部20は、例えば、樹脂製である。把持部20の材料は、可撓性材料であってもよく、この場合、把持部20を変形させることが可能となる。一例として、把持部20の材料は、ポリプロピレン樹脂(PP)又はエポキシ樹脂である。なお、把持部20は剛体であってもよく、把持部20の材料は適宜変更可能である。
【0033】
把持部20におけるグリップ部21の長さを長さL1、連結部22の長さ(洗浄部10に対する連結部22の高さ)を長さL2、とすると、例えば、長さL1は150mm以下である。また、長さL1の上限は、120mm、110mm、100mm、90mm、80mm又は70mmであってもよい。長さL1の下限は、例えば、30mm、40mm、50mm、60mm又は70mmであってもよい。一例として、長さL1は、80mm以上且つ110mm以下である。
【0034】
長さL2は、例えば、15mm以上である。この場合、連結部22の長さL2を指1本分以上とすることができるため、連結部22に指H1を載せやすくすることができる。また、長さL2の下限は、5mm、10mm又は20mmであってもよい。長さL2の上限は、例えば、50mmであり、40mm、30mm又は20mmであってもよい。一例として、長さL2は、15mm以上且つ50mm以下である。
【0035】
一例として、連結部22は洗浄部10から直角に延びており、連結部22とグリップ部21(方向D2)との成す角度θ1は、例えば、30°以上且つ300°以下である。すなわち、基部11(方向D1)に対するグリップ部21の傾斜方向は、基部11及び傾斜部12から離れる方向以外の方向であってもよく、基部11及び傾斜部12の少なくともいずれかに接近する方向であってもよい。なお、角度θ1の下限は、45°、60°、75°、90°又は120°であってもよい。角度θ1の上限は、270°、240°、225°、180°、150°又は120°であってもよい。一例として、角度θ1は、90°以上且つ270°以下である。
【0036】
基部11に対する傾斜部12の傾斜角度θ2は、例えば、10°以上且つ90°以下であるが特に限定されない。傾斜角度θ2の上限は、80°、75°、70°、60°又は50°であってもよい。傾斜角度θ2の下限は、10°、30°、45°又は50°であってもよい。
【0037】
清掃具1の最小高さを最小高さL3とすると、例えば、最小高さL3は70mm以上である。ここで、「清掃具の最小高さ」とは、側面視(洗浄部の上部に把持部が位置するように清掃具を配置したときにおける清掃具の側面視)における清掃具の高さの最小値を示しており、例えば、傾斜部12の第2の湾曲面12dからグリップ部21が延びる方向D2に沿って延びる直線A1と、基部11の第1の湾曲面11dからグリップ部21が延びる方向D2に沿って延びる直線A2と、の距離である。
【0038】
なお、最小高さL3の下限は、80mm、90mm、100mm又は110mmであってもよい。最小高さL3の上限は、200mm、180mm、150mm、120mm又は110mmであってもよい。一例として、最小高さL3は、70mm以上且つ150mm以下である。
【0039】
洗浄部10は、基部11及び傾斜部12に沿って延びる骨格部13と、骨格部13を覆う変形可能な被覆部14とを備える。図3は、骨格部13及び把持部20を含む清掃具1の骨格Sを示す例示的な側面図である。図1図3に示されるように、骨格部13は、基部11を構成する第1の骨部13bと、傾斜部12を構成する第2の骨部13c(先端部)とを含んでいる。第1の骨部13bは方向D1に延びる板状とされており、第2の骨部13cは第1の骨部13bの方向D1の一端から把持部20側に突出している先端部である。
【0040】
被覆部14は、例えば、骨格部13の全体を覆っている。この場合、変形可能な被覆部14が骨格部13の全体を覆っているため、骨格部13が傷つくことを抑制することができる。被覆部14は、骨格部13を覆うスポンジ14bと、スポンジ14bを覆う不織布14cとを備える。スポンジ14b及び不織布14cの素材は互いに異なっており、例えば、被覆部14は互いに異なる2種類の素材からなる2重構造を有する。スポンジ14bは、不織布14cの内側に位置しており、不織布14cよりも柔らかい素材によって構成されている。
【0041】
スポンジ14bは、変形自在とされている。例えば、スポンジ14bは、弾性発泡体であり、一例として、発泡ウレタン(ウレタンスポンジ)である。不織布14cは、例えば、研磨粒子(粒状の研磨剤)を含んでいてもよい。また、不織布14cは、基部11及び傾斜部12に沿うようにスポンジ14bを巻き付けており、スポンジ14bは不織布14cの幅方向D3を向く露出面14dを有する。以上のように構成される被覆部14は、第1の骨部13b及び第2の骨部13cに巻き付けられる。
【0042】
被覆部14は、把持部20が延び出す第1の面11bに一対の被覆部14を互いに接続する接続部14f(図11及び図12参照)を有する。被覆部14は、例えば、骨格部13(第1の骨部13b及び第2の骨部13c)に巻き付けられる前には方向D1に延びる長尺状とされている。方向D1に沿って骨格部13に巻き付けられるときの被覆部14の方向D1の一端14gと他端14hが互いに接続されることによって接続部14fが形成される。
【0043】
図4は、骨格部13及び把持部20を含む清掃具1の骨格Sを示す例示的な平面図である。図3及び図4に示されるように、第1の骨部13bは把持部20から把持部20に交差する方向D1に延在し、第2の骨部13cは第1の骨部13bの方向D1の端部から傾いている。第1の骨部13bは、把持部20の端部(下端)において把持部20を囲むように延在する第1の板状部13dと、第1の板状部13dから方向D1に延びる第2の板状部13fとを有する。
【0044】
把持部20側から見て(平面視において)、例えば、第2の板状部13fは方向D1に直線状に延びており、第1の板状部13dは第2の板状部13fの方向D1の端部から広がる形状とされている。すなわち、第1の板状部13dの幅は、第2の板状部13fから離れるに従って広くなっている。
【0045】
第1の板状部13dは、第2の板状部13fから第2の板状部13fの幅方向D4の両側のそれぞれに斜めに延びる一対の第1の辺13gと、一対の第1の辺13gの第2の板状部13fとの反対側において幅方向D4に延びる第2の辺13hとを有する。各第1の辺13gは、把持部20の外形に沿って延びており、例えば、外側に膨らむように湾曲している。第2の辺13hは、例えば、幅方向D4に沿って直線状に延びている。
【0046】
第1の板状部13d及び第2の板状部13fの厚さは、均一であってもよいし、把持部20に近づくに従って厚くなっていてもよい。第2の板状部13fは方向D1に沿って延びる一対の第3の辺13jを有し、例えば、一対の第3の辺13jは互いに平行に延びている。第2の板状部13fの幅W1は、特に限定されないが、一定とされていてもよい。
【0047】
第2の骨部13cは、第2の板状部13fに連続する板状とされており、第2の板状部13fの方向D1の端部から把持部20寄りに斜めに突出している。第2の骨部13cの厚さは、例えば、第1の骨部13bから離れる(第2の骨部13cの先端に向かう)に従って薄くなっていてもよい。
【0048】
例えば、第2の骨部13cの幅は第2の板状部13fの幅W1と同一であってもよい。すなわち、把持部20から方向D1に延び出す骨格部13の部分の幅W1は、一定とされていてもよく、例えば、5mm以上且つ30mm以下とすることができる。幅W1は、一例として、10mm以上且つ25mm以下であってもよい。
【0049】
幅W1は、被覆部14の幅W2(図1参照)の半分以下であってもよい。また、幅W1は、幅W2の40%以下、30%以下、25%以下、又は10%以下であってもよい。一例として、被覆部14の幅W2は50mm以上且つ70mm以下である。また、把持部20のグリップ部21の幅W3は、例えば、幅W1以上且つ幅W2以下である。幅W3は、一例として、15mm以上且つ35mm以下である。
【0050】
以上のように構成された清掃具1の製造方法について説明する。例えば、把持部20及び骨格部13を含む清掃具1の骨格Sを樹脂成形によって製造する(清掃具の骨格を用意する工程)。このように骨格Sを用意した後、帯状のスポンジ14bと帯状の不織布14cとを貼り合わせたものを用意する。その後、スポンジ14b及び不織布14cに孔を開けて当該孔に把持部20を通して骨格部13にスポンジ14b及び不織布14cを方向D1に沿って巻き付ける。そして、骨格部13にスポンジ14bを糊等で固定することで(スポンジを巻き付けて固定する工程)、清掃具1の製造が完了する。
【0051】
続いて、本実施形態に係る清掃具1の作用効果について説明する。前述したように、清掃具1では、洗浄部10が対象物に接触することによって対象物の汚れが除去されて清掃が行われる。図5及び図6に示されるように、把持部20は、手Hで清掃具1を持つときに握られる部位であり、洗浄部10の基部11に対して斜めに延び出している。更に、把持部20は、使用者の手Hで覆うことができる大きさとされている。従って、基部11から把持部20の先端までの距離を短くすることができるので、洗浄部10のハンドリング性を高めることができる。
【0052】
すなわち、把持部20を手Hで持って洗浄部10を自在に動かすことができるので、扱いやすい清掃具1とすることができ、清掃作業の効率を高めることができる。基部11から延びる把持部20が手Hで覆うことができる大きさであることにより、洗浄部10を上手く移動させることができると共に、洗浄部10の小回りを利かせることができるので、細かい箇所に洗浄部10を追従させることができる。例えば、指接触面22fに親指(指H1)を載せてグリップ部21を握ったり、指接触面22fに人指し指(指H1)を載せてグリップ部21を握ったりして、色々な握り方を実現できるため、清掃具1のハンドリング性が更に高められている。
【0053】
更に、把持部20が手Hで覆われる大きさであることにより、把持部20等が他の部分に衝突することを回避できるので、清掃具1を傷つきにくくすることができる。また、洗浄部10は基部11と基部11に対して傾く傾斜部12とを有し、傾斜部12は基部11の把持部20との反対側の端部に設けられる。従って、清掃の対象物の狭隘な部分に傾斜部12を挿入して狭隘な部分を清掃できるので、傾斜部12の挿入によって狭隘な部分を効率よく清掃することができる。
【0054】
洗浄部10及び把持部20の最小高さL3は70mm以上であってもよい。この場合、洗浄部10及び把持部20の最小高さL3が70mm以上であることにより、図7及び図8に示されるように、例えば清掃の対象物である便器Tの排水管T1への清掃具1の進入を抑制することができる。すなわち、洗浄部10及び把持部20の最小高さL3を排水管T1の直径以上とすることが可能となる。従って、排水管T1に清掃具1が入っていかないようにすることができるので、清掃中に誤って清掃具1が便器Tの排水管T1に落下しても、排水管T1の奥深くで清掃具1が詰まる等といった事態をより確実に回避することができる。
【0055】
把持部20は、洗浄部10の基部11に対して斜めに延びるグリップ部21を有し、グリップ部21の長さL1は、150mm以下であってもよい。この場合、基部11に対して斜めに延びるグリップ部21の長さL1が150mm以下であることにより、把持部20を把持する手Hにグリップ部21を確実に収めることができる。従って、清掃中に把持部20が他の部分に衝突することを抑制できると共に、清掃具1のハンドリング性を高めることができる。
【0056】
洗浄部10は、骨格部13と、変形可能な被覆部14と、を含んでおり、骨格部13は、基部11に対して傾斜する先端部(第2の骨部13c)を有し、傾斜部12は、傾斜する先端部(第2の骨部13c)を覆う被覆部14を含んでおり、骨格部13の幅W1は、被覆部14の幅W2の半分以下であってもよい。この場合、骨格部13の幅W1は、骨格部13を覆うと共に変形可能な被覆部14の幅W2の半分以下とされている。従って、被覆部14の幅W2に対する骨格部13の幅W1が狭いことにより、被覆部14を握って被覆部14に溜まった水を絞りやすくすることができる。
【0057】
更に、骨格部13の幅W1が被覆部14の幅W2の半分以下である場合、骨格部13に対する変形が可能な被覆部14の体積を大きくすることができるので、洗浄部10を変形しやすくすることができる。その結果、狭隘な部分に洗浄部10を挿入したとき等に洗浄部10を柔軟に追従させることができるので、洗浄を更に効率よく且つ確実に行うことができる。
【0058】
被覆部14は、骨格部13を覆うスポンジ14bと、スポンジ14bを覆う不織布14cとを含んでもよい。この場合、被覆部14ではスポンジ14bが不織布14cに覆われているので、被覆部14の組み立てを容易に行うことができると共に被覆部14のクッション性を高めることができる。
【0059】
帯状のスポンジ14bと帯状の不織布14cとを備えた被覆部14の例、及び骨格部13への被覆部14の巻き付けについて詳細に説明する。図9に示されるように、被覆部14は、方向D1に延びる長尺状とされている。被覆部14は、被覆部14の一端14gと他端14hとの間において方向D1に延びると共に被覆部14の幅方向D3を向く一対の端面14jを有する。例えば、各端面14jは平坦面とされている。一例として、被覆部14の一端14gは、幅方向D3の両端のそれぞれに位置する一対の端面14pと、一対の端面14pの間において方向D1に突出する凸部14kとを有する。被覆部14の他端14hは、幅方向D3の両端のそれぞれに位置する一対の端面14qと、一対の端面14qの間において方向D1に窪む凹部14mとを有する。
【0060】
被覆部14は、骨格部13(例えば第1の骨部13b及び第2の骨部13c)が挿通される孔部14rを有する。孔部14rは、例えば、板状とされた被覆部14を板厚方向に貫通している。孔部14rは、例えば、被覆部14の一端14g側に形成されている。一例として、孔部14rは、被覆部14の一端14gに形成された凸部14kの隣接位置に形成されている。例えば、孔部14rは、凸部14k側に位置する上底14s、上底14sよりも被覆部14の方向D1の中央側に位置する下底14t、及び上底14sと下底14tとを互いに接続する一対の脚14vとを有する台形状とされている。しかしながら、孔部14rの位置、形状及び大きさは上記の各例に限られず適宜変更可能である。
【0061】
骨格部13に対する被覆部14の巻き付けの方法の例について説明する。まず、図9及び図10に示されるように、被覆部14の孔部14rに第2の骨部13c及び第1の骨部13bを挿入し、孔部14rに骨格部13を押し込んで孔部14rを押し広げて、骨格部13を孔部14rに挿通させる。このとき、骨格部13が被覆部14の一端14gから方向D1に突出するように孔部14rに対する骨格部13の挿通を行う。
【0062】
次に、図11及び図12に示されるように、被覆部14を持ち上げると共に、被覆部14の一端14g及び骨格部13の下に被覆部14の他端14hを通し、被覆部14のスポンジ14bの一部を上に向けてスポンジ14bの上を向いた部分14wに接着剤を塗布する。このとき、例えば、端面14p、凸部14k、端面14q及び凹部14mにも接着剤を塗布する。その後、他端14hを持ち上げて骨格部13の上にスポンジ14bを被せると共に、他端14hの凹部14mを一端14gの凸部14kに上から嵌め込む。この状態で治具等(指でもよい)で他端14hを一定時間押さえることにより、骨格部13にスポンジ14bを接着させて接続部14fを形成し、被覆部14の巻き付けが完了する。他端14hを治具等で押さえる上記一定時間は、例えば、30秒以上且つ24時間以下であり、一例として1分以上且つ2分以下であってもよい。
【0063】
以上、図2及び図12に示されるように、被覆部14は、把持部20が延び出す第1の面11bに一対の被覆部14(一端14g及び他端14h)を互いに接続する接続部14fを有していてもよい。この場合、接続部14fが第1の面11bに形成されることにより、接続部14fを前述した洗浄部分(例えば、第2の面11c、第1の湾曲面11d、第3の面12b、第4の面12c及び第2の湾曲面12d)以外の箇所に形成することができる。従って、洗浄部10の洗浄部分から離れた位置に接続部14fが形成されるので、洗浄部10の洗浄部分の強度が低下する懸念を低減させて当該洗浄部分を長持ちさせることができる。
【0064】
ところで、被覆部14では、接続部14fに、幅方向D3に延びると共に各端面14jに露出する微小な隙間14xが形成される可能性がある。端面14jに露出する隙間14xが形成されると、隙間14xから被覆部14の内部に汚れ等が侵入する懸念がある。また、端面14jに露出する隙間14xは清掃具1を使用していくうちに広がる可能性があり、隙間14xが広がると骨格部13が隙間14xから露出して骨格部13が便器等を傷つける懸念がある。これに対し、後述する被覆部24では、上記の隙間14xの発生を抑制することが可能とされている。
【0065】
図13に示されるように、被覆部24は、方向D1に延びる長尺状とされている。被覆部24は、方向D1の一端24gと、方向D1における一端24gの反対側に位置する他端24hと、一端24g及び他端24hの間において方向D1に延びると共に被覆部24の幅方向D3を向く一対の端面24jとを有する。以上のように、被覆部24の一部の構成は、被覆部14の一部の構成と類似している。従って、以下の説明では、被覆部14の説明と重複する部分の説明を適宜省略し、被覆部14の構成と同一の被覆部24の構成には被覆部14の構成と同一の符号を付して説明する。
【0066】
被覆部24の一端24gは、幅方向D3の両端側のそれぞれに位置する一対の傾斜面24bと、一対の傾斜面24bの間において幅方向D3に延びる対向面24cとを有する。例えば、一端24gは、対向面24cを上底、各傾斜面24bを脚とした台形状とされている。一対の傾斜面24b及び対向面24cは、例えば、孔部14r(把持部20の連結部22)を囲むように形成される。
【0067】
各傾斜面24bは、例えば、方向D1に突出する方向に各端面24jから傾斜して延びている。この場合、傾斜面24bと端面24jとの成す角度θ3は、90°より大きく且つ180°未満(鈍角)である。角度θ3は、例えば、120°以上且つ150°以下であってもよいし、130°以上且つ140°以下であってもよい。また、幅方向D3の一方側の角度θ3と、幅方向D3の他方側の角度θ3とが互いに異なっていてもよい。
【0068】
各傾斜面24bは、孔部14rに対向するように孔部14rに沿って延びており、一例として、方向D1に対して孔部14rの脚14vと同じ側に傾斜している。例えば、各傾斜面24bは平坦面とされている。対向面24cは、例えば、方向D1に沿って孔部14rに対向している。すなわち、対向面24cは、被覆部24の方向D1の端部を形成しており、例えば、孔部14rの上底14sに沿って延びている。一例として、対向面24cは、幅方向D3に平行(又は上底14sに平行)に延びていてもよい。
【0069】
被覆部24の他端24hは、幅方向D3の両端のそれぞれに位置する一対の傾斜面24dと、一対の傾斜面24dの間において幅方向D3に延びる対向面24fとを有する。例えば、他端24hは、対向面24fを上底、各傾斜面24dを脚とした台形状の凹部を有する。各傾斜面24dは、被覆部24が方向D1に窪む方向に各端面24jから傾斜している。この場合、傾斜面24dと端面24jとの成す角度θ4は、0°より大きく且つ90°未満(鋭角)である。角度θ4は、例えば、30°以上且つ60°以下であってもよいし、40°以上且つ50°以下であってもよい。また、幅方向D3の一方側の角度θ4と、幅方向D3の他方側の角度θ4とが互いに異なっていてもよい。
【0070】
骨格部13に対する被覆部24の巻き付けの方法は、被覆部14の場合と同様である。但し、図11及び図12に示される状態において、被覆部14の場合には、凹部14mを凸部14kに上から嵌め込むのに対し、被覆部24の場合には、凹状の他端24hを凸状の一端24gに上から嵌め込むことができると共に横から(方向D1から)嵌め込むこともできる。従って、矩形状の凹凸を一端14g及び他端14hに有する被覆部14よりも、台形状の凹凸を一端24g及び他端24hに有する被覆部24の方が、一端24gに対する他端24hの接続を容易に行うことができ、接続部を形成しやすいという利点がある。
【0071】
以上のように、清掃具1は、被覆部14に代えて、台形状の凹凸を有する被覆部24を備えていてもよい。この場合、被覆部24は、被覆部24の幅方向D3を向く端面24jから端面24jに対して傾斜して延びる一対の傾斜面24b,24dを有する。被覆部24では、傾斜面24b,24d同士、及び対向面24c,24f同士を合わせることにより、被覆部24の一端24gに他端24hを強固に接続させることができる。また、一対の傾斜面24b,24dを有する被覆部24の場合、一対の傾斜面24b,24dを有しない(幅方向D3に延びる平面のみである)被覆部の場合と比較して、一端24gに対する他端24hの接触面積を増やすことができるので、接続部の接続強度を高めることができる。
【0072】
また、幅方向D3に延びる平面のみで一端と他端とが接続する被覆部の場合、被覆部の幅方向D3に平行に裂け目が入ることがあるため、図14に示されるように、洗浄のために被覆部を絞るときに裂け目が広がって骨格部が露出する懸念がある。これに対し、幅方向D3に対して斜めに延びる傾斜面24b,24dを有する被覆部24の場合、被覆部24を絞っても傾斜面24b,24dが方向D1に沿うように互いに密着するので上記の裂け目を生じにくくすることができる。従って、被覆部24の内部に汚れ等が侵入しないようにすることができるので、より衛生的な清掃具1とすることができる。
【0073】
傾斜面24b,24dは、端面24j(幅方向D3の両端側)に向かうに従って把持部20(孔部14r)に近づく方向に傾斜していてもよい。この場合、被覆部24を絞るときに、傾斜面24b,24dは把持部20に沿って変形しやすくなるので、前述の裂け目を一層生じにくくすることができると共にスポンジ14bの損傷を抑制することができる。
【0074】
被覆部24は、一対の傾斜面24b,24dの間に把持部20(孔部14r)に沿って延びると共に把持部20に対向する対向面24c,24fを有していてもよい。この場合、被覆部24が対向面24c,24fを有することにより、一端24gに他端24hを接続するときに幅方向D3への多少のずれが生じたときであっても、当該ずれを吸収することができる。従って、一端24gへの他端24hの接続をより効率よく行うことができるので、骨格部13に対する被覆部24の巻き付けを更に効率よく行うことができる。
【0075】
以上、本開示に係る清掃具の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、清掃具の各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0076】
例えば、前述の実施形態では、台形状の凹凸を一端24g及び他端24hのそれぞれに有する被覆部24について説明した。しかしながら、被覆部の一端及び他端の接続部の形状は適宜変更可能である。例えば、図15(a)に示されるように、方向D1の一端34gに湾曲凸部34bを有し、方向D1の他端34hに湾曲凹部34cを有し、湾曲凸部34bに湾曲凹部34cが接続する被覆部34であってもよい。
【0077】
この場合、湾曲凸部34b及び湾曲凹部34cのそれぞれの幅方向D3の両端側の部分は端面24jに対して傾斜している。従って、前述した被覆部24と同様、一端34gと他端34hとの接触面積を増やすことができ、被覆部34を絞るときに裂け目を生じにくくすることができると共に、骨格部13に対する被覆部34の巻き付けを効率よく行うことができる。なお、被覆部34を板厚方向から見たときの湾曲凸部34b及び湾曲凹部34cの形状は、円弧状であってもよいし、放物線状であってもよいし、適宜変更可能である。
【0078】
図15(b)に示されるように、方向D1の一端44gに複数の山部44bを有し、方向D1の他端44hに複数の谷部44fを有し、複数の山部44bのそれぞれに複数の谷部44fのそれぞれが接続する被覆部44であってもよい。例えば、各山部44bは、端面24jから方向D1に突出する方向に傾斜する第1傾斜面44cと、第1傾斜面44cの方向D1の突出端から方向D1に窪む方向に傾斜する第2傾斜面44dとを含む。各谷部44fは、例えば、端面24jから方向D1の窪む方向に傾斜する第3傾斜面44jと、第3傾斜面44jの最も窪んだ部分から方向D1に突出する方向に傾斜する第4傾斜面44kとを含む。
【0079】
この被覆部44の場合、山部44b及び谷部44fのそれぞれの幅方向D3の両端側の部分(例えば第1傾斜面44c及び第3傾斜面44j)が端面24jに対して傾斜している。従って、被覆部44では、前述した被覆部24及び被覆部34と同様の作用効果が得られる。なお、図15(b)の例では、一端44gに3つの山部44bが形成され、他端44hに3つの谷部44fが形成されている例を示している。しかしながら、山部44b及び谷部44fの数、形状、大きさ及び配置態様は適宜変更可能である。
【0080】
図15(c)に示されるように、方向D1の一端54gに山状を成す一対の傾斜面54bを有し、方向D1の他端54hに谷状を成す一対の傾斜面54cを有し、山状を成す一対の傾斜面54bに谷状を成す一対の傾斜面54cが接続する被覆部54であってもよい。例えば、各傾斜面54bは、方向D1に対して孔部14rの脚14vと同じ側に傾斜している。
【0081】
各傾斜面54bは、前述した被覆部24の傾斜面24bと同様、孔部14rに対向するように孔部14rに沿って延びている。従って、被覆部54からは被覆部24と同様の効果が得られる。すなわち、被覆部54では、絞るときに傾斜面54b,54cが把持部20に沿って変形しやすくなるので、前述した裂け目を生じにくくすることができると共にスポンジ14bの損傷を回避することができる。
【0082】
以上、図15(a)~図15(c)に示されるように、被覆部の種々の例について説明した。しかしながら、被覆部の方向D1の一端及び他端の形状は、図15(a)~図15(c)の例に対して更に変更することも可能である。また、図12では、接続部14f(隙間14x)が被覆部14の板厚方向に延びている例を示している。しかしながら、被覆部の一端及び他端を互いに接続する接続部は、被覆部の板厚方向から傾斜する方向に延びていてもよい。すなわち、接続部の傾斜面は3次元的に傾斜していてもよい。この場合も、被覆部に形成される隙間を目立ちにくくすることができるので、前述と同様の効果が得られる。
【0083】
また、前述の実施形態では、スポンジ14b及び不織布14cを備える被覆部14について説明した。しかしながら、骨格部13を被覆する被覆部は、例えば、不織布14cのみ、あるいは、スポンジ14bのみを備えるものであってもよく、被覆部の材料及び素材の種類等は適宜変更可能である。また、前述の実施形態では、被覆部14が骨格部13に固定される例について説明した。しかしながら、被覆部は骨格部に対して着脱可能とされていてもよい。また、洗浄部が把持部に対して着脱可能とされていてもよい。
【0084】
また、前述の実施形態では、トイレの掃除に用いられるトイレブラシである清掃具1について例示した。しかしながら、本開示に係る清掃具は、トイレ以外の対象物にも適用可能である。すなわち、本開示に係る清掃具は、洗面所、風呂場、台所、食器、調理器具、機械、建物又は構造物等の清掃に用いられるものであってもよい。これらの清掃の対象物に対しても本開示に係る清掃具を適用させることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…清掃具、10…洗浄部、11…基部、11b…第1の面(面)、12…傾斜部、13…骨格部、13b…第1の骨部、13c…第2の骨部(先端部)、14,24,34,44,54…被覆部、14b…スポンジ、14c…不織布、14f…接続部、14j,24j…端面、20…把持部、21…グリップ部、24b,24d,54b,54c…傾斜面、24c,24f…対向面、D3…幅方向、H…手、L3…最小高さ、W1,W2,W3…幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15