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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023160975
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20231026BHJP
   H01F 27/00 20060101ALI20231026BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F27/00 160
H01F27/28 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148270
(22)【出願日】2023-09-13
(62)【分割の表示】P 2020136587の分割
【原出願日】2020-08-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】林井 研
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良太
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 香織
(57)【要約】
【課題】重ね巻き領域において第1ワイヤと第2ワイヤとの間の線間容量を小さくできるコイル部品を提供すること。
【解決手段】コイル部品10は、コア20、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41を備える。コア20は、角柱形状の巻芯部21を有する。巻芯部21には第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻き回されている。コイル部品10には、巻芯部21に第1ワイヤ31が巻き回され、その上から第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている重ね巻き領域50が設けられている。重ね巻き領域50は、第1ワイヤ31のうち、巻芯部21の側面211に巻かれている部分と、第2ワイヤ41のうちの側面211に巻かれている部分との間に隙間SPが介在するように第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている部分である所定部分51を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角柱形状の巻芯部、前記巻芯部の軸線方向における前記巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部、及び、前記軸線方向における前記巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、を備え、
前記巻芯部は、第1側面と、第1コーナを介して前記第1側面に接続されている第2側面と、第2コーナを介して前記第1側面に接続されている第3側面と、を有し、
前記巻芯部に前記第1ワイヤが巻き回され、且つ他の部材を間に介在させることなく当該第1ワイヤの上から前記第2ワイヤが当該巻芯部に巻き回されている領域である重ね巻き領域が設けられており、
前記重ね巻き領域は、前記第1ワイヤのうちの前記第1側面に巻かれている部分と、前記第2ワイヤのうちの前記第1側面に巻かれている部分との間に隙間が介在するように前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが前記巻芯部に巻き回されている部分である所定部分を有する
コイル部品。
【請求項2】
前記軸線方向における前記重ね巻き領域の一部のみが、前記所定部分である
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記軸線方向における前記重ね巻き領域の全域が、前記所定部分である
請求項1に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記所定部分における前記側面の両端に位置する一対の前記コーナの中間位置では、前記第2ワイヤが、前記巻芯部の中心軸を中心とする径方向における前記第1ワイヤの最外端よりも外側に位置している
請求項1~請求項3のうち何れか一項に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記所定部分における前記側面の両端に位置する一対の前記コーナの中間位置では、前記巻芯部の中心軸を中心とする径方向における前記第1ワイヤの最外端と前記第2ワイヤの最内端との間の間隔が前記第2ワイヤの直径よりも狭い
請求項1~請求項4のうち何れか一項に記載のコイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コアの巻芯部に複数のワイヤが巻き回されているコイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コモンモードチョークコイルの一例が記載されている。同コモンモードチョークコイルは、コアと、第1ワイヤと、第2ワイヤとを備えている。コアは、第1ワイヤ及び第2ワイヤが巻き回されている巻芯部と、巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部と、巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-183444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のコモンモードチョークコイルは、重ね巻きによって第1ワイヤ及び第2ワイヤが巻芯部に巻き回されている領域である重ね巻き領域を有している。当該重ね巻き領域は、第1ワイヤが巻芯部に巻き回され、その上から第2ワイヤが巻芯部に巻き回された多重巻き構造になっている。こうした多重巻き構造では、ワイヤの密度が高くなるため、第1ワイヤと第2ワイヤとの間の線間容量が大きくなりやすい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのコイル部品は、角柱形状の巻芯部、前記巻芯部の軸線方向における前記巻芯部の第1端に接続されている第1鍔部、及び、前記軸線方向における前記巻芯部の第2端に接続されている第2鍔部を有するコアと、前記巻芯部に巻き回されている第1ワイヤ及び第2ワイヤと、を備えている。前記巻芯部は、第1側面と、第1コーナを介して前記第1側面に接続されている第2側面と、第2コーナを介して前記第1側面に接続されている第3側面と、を有している。当該コイル部品には、前記巻芯部に前記第1ワイヤが巻き回され、その上から前記第2ワイヤが当該巻芯部に巻き回されている領域である重ね巻き領域が設けられている。前記重ね巻き領域は、前記第1ワイヤのうちの前記第1側面に巻かれている部分と、前記第2ワイヤのうちの前記第1側面に巻かれている部分との間に隙間が介在するように前記第1ワイヤ及び前記第2ワイヤが前記巻芯部に巻き回されている部分である所定部分を有している。
【0006】
上記構成によれば、重ね巻き領域の所定部分では、第1ワイヤのうちの第1側面に巻かれている部分と、第2ワイヤのうちの第1側面に巻かれている部分との間に隙間が介在するように第1ワイヤ及び第2ワイヤが巻芯部に巻き回されている。これにより、第1ワイヤと第2ワイヤとの距離の長い部分を設けることができる。すなわち、ワイヤの密度の低い部分を形成できる。その結果、第1ワイヤと第2ワイヤとの間の線間容量を小さくできる。
【発明の効果】
【0007】
上記のコイル部品によれば、重ね巻き領域において第1ワイヤと第2ワイヤとの間の線間容量を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態におけるコイル部品を示す斜視図。
図2】同コイル部品の平面図。
図3】同コイル部品の断面形状を模式的に示す図。
図4】同コイル部品の一部分の断面形状を模式的に示す図。
図5図4の一部を拡大した図。
図6】第1ワイヤと第2ワイヤとの位置関係を説明する模式図。
図7】同コイル部品の等価回路を示す図。
図8】第1ワイヤと第2ワイヤとの間で線間容量が発生する様子を説明する模式図。
図9】コイル部品に入力される信号の周波数と、同コイル部品への入力信号に対する出力信号の強度比との関係を示すグラフ。
図10】第2実施形態のコイル部品において、その一部分の断面形状を模式的に示す図。
図11図10の一部を拡大した図。
図12】変更例のコイル部品において、その一部分の断面形状を模式的に示す図。
図13】変更例のコイル部品において、その一部分の断面形状を模式的に示す図。
図14】変更例のコイル部品において、その一部分の断面形状を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、コイル部品の一実施形態を図1図9に従って説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。また、断面図ではハッチングを付しているが、理解を容易にするために一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0010】
図1及び図2に示すように、コイル部品10は、コア20と、コア20に巻き回されている複数のワイヤ31,41とを備えている。コイル部品10は、例えば、コモンモードチョークコイルである。
【0011】
コア20は、例えば電気絶縁性材料を含有している。具体的には、コア20は、アルミナや樹脂のような非磁性体、フェライトや磁性粉含有樹脂のような磁性材料を含有している。好ましくは、コア20は、アルミナ、フェライトのような焼結体で構成されている。
【0012】
コア20は、多角形状の巻芯部21と、軸線方向Z1における巻芯部21の第1端21aに接続されている第1鍔部22と、軸線方向Z1における巻芯部21の第2端21bに接続されている第2鍔部23とを有している。軸線方向Z1とは、巻芯部21の中心軸Fの延伸方向である。
【0013】
図3は、図2に示す線LN1でコイル部品10を切断した際の断面の模式図である。線LN1は、軸線方向Z1に直交する方向に延びるとともに、軸線方向Z1におけるコア20の中心を通る仮想直線である。すなわち、図3に示す巻芯部21の断面は、軸線方向Z1と直交する方向で巻芯部21を切断した場合の断面である。図3に示すように、巻芯部21は、四角柱であってもよい。もちろん、巻芯部21は、角柱形状であれば、四角柱でなくてもよい。
【0014】
図3に示すように巻芯部21が四角柱である場合、巻芯部21は、4つの側面211,212,213,214を有している。巻芯部21の中心軸Fを中心とする周方向Z3において、側面211の第1端は、側面212の第2端とコーナC1を介して接続されている。側面211の第2端は、側面213の第1端とコーナC2を介して接続されている。側面212の第1端は、側面214の第2端とコーナC3を介して接続されている。側面213の第2端は、側面214の第1端とコーナC4を介して接続されている。ここでいう「側面の第1端」とは図3における反時計回り方向の端であり、「側面の第2端」とは図3における時計回り方向の端である。
【0015】
なお、図3にあっては、説明理解の便宜上、各ワイヤ31,41を環状として図示しているが、実際には各ワイヤ31,41は環状ではない。
コーナC1からコーナC2までの最短距離である側面211の長さを第1距離L1とする。すなわち、第1距離L1は、コーナC1からコーナC2まで延びる直線のうち、軸線方向Z1に直交する方向に延びる直線である。より詳しくは、図3に示す巻芯部21の断面において、側面211を示す線の長さが、第1距離L1に相当する。コーナC1からコーナC3までの最短距離である側面212の長さを第2距離L2とする。すなわち、第2距離L2は、コーナC1からコーナC3まで延びる直線のうち、軸線方向Z1に直交する方向に延びる直線である。より詳しくは、図3に示す巻芯部21の断面において、側面212を示す線の長さが、第2距離L2に相当する。コーナC2からコーナC4までの最短距離である側面213の長さを第3距離L3とする。すなわち、第3距離L3は、コーナC2からコーナC4まで延びる直線のうち、軸線方向Z1に直交する方向に延びる直線である。より詳しくは、図3に示す巻芯部21の断面において、側面213を示す線の長さが、第3距離L3に相当する。コーナC3からコーナC4までの最短距離である側面214の長さを第4距離L4とする。すなわち、第4距離L4は、コーナC3からコーナC4まで延びる直線のうち、軸線方向Z1に直交する方向に延びる直線である。より詳しくは、図3に示す巻芯部21の断面において、側面214を示す線の長さが、第4距離L4に相当する。例えば図3に示す例では、第1距離L1は、第2距離L2よりも長いとともに、第3距離L3よりも長い。また例えば、第4距離L4は、第2距離L2よりも長いとともに、第3距離L3よりも長い。
【0016】
上述したように、図3は、軸線方向Z1における巻芯部21の中央でコイル部品10を切断した場合の図である。そのため、第1距離L1は、軸線方向Z1における巻芯部21の中央におけるコーナC1からコーナC2までの直線距離であるといえる。第2距離L2は、軸線方向Z1における巻芯部21の中央におけるコーナC1からコーナC3までの直線距離であるといえる。第3距離L3は、軸線方向Z1における巻芯部21の中央におけるコーナC2からコーナC4までの直線距離であるといえる。第4距離L4は、軸線方向Z1における巻芯部21の中央におけるコーナC3からコーナC4までの直線距離であるといえる。
【0017】
図1及び図2に示すように、巻芯部21には、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻き回されている。すなわち、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41の各々は、巻芯部21に螺旋状に巻き回されている。しかも、第1ワイヤ31が巻芯部21に巻き回されている方向は、第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている方向と同じである。さらに、巻芯部21への第1ワイヤ31の巻数は、巻芯部21への第2ワイヤ41の巻数と実質的に同じである。
【0018】
本実施形態では、巻芯部21には第1ワイヤ31が直接巻き回されている。そして、第1ワイヤ31が巻き回されている巻芯部21に第2ワイヤ41が巻き回されている。巻芯部21に第1ワイヤ31が巻き回され、その上から第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている領域を「重ね巻き領域50」と定義した場合、コイル部品10は重ね巻き領域50を有しているといえる。
【0019】
第1鍔部22には、第1端子電極11a及び第2端子電極11bが設けられている。すなわち、第2端子電極11bは、軸線方向Z1において、第1端子電極11aと同一位置に配置されている。また、第2端子電極11bは、軸線方向Z1と直交する方向において、巻芯部21の中心軸Fを挟んで第1端子電極11aの反対側に位置している。
【0020】
第2鍔部23には、第3端子電極12a及び第4端子電極12bが設けられている。すなわち、第4端子電極12bは、軸線方向Z1において、第3端子電極12aと同一位置に配置されている。また、第4端子電極12bは、軸線方向Z1と直交する方向において、中心軸Fを挟んで第3端子電極12aの反対側に位置している。
【0021】
第1端子電極11a及び第3端子電極12aは、軸線方向Z1と直交する方向における第1側(図2では右側)に位置している。第2端子電極11b及び第4端子電極12bは、軸線方向Z1と直交する方向における第2側(図2では左側)に位置している。
【0022】
第1端子電極11aには第1ワイヤ31の第1端部31aが電気的に接続されているとともに、第3端子電極12aには第1ワイヤ31の第2端部31bが電気的に接続されている。一方、第2端子電極11bには第2ワイヤ41の第1端部41aが電気的に接続されているとともに、第4端子電極12bには第2ワイヤ41の第2端部41bが電気的に接続されている。すなわち、第1ワイヤ31の第1端部31a及び第2端部31bは、軸線方向Z1と直交する方向における第1側(図2では右側)に位置する端子電極と電気的に接続されている。第2ワイヤ41の第1端部41a及び第2端部41bは、軸線方向Z1と直交する方向における第2側(図2では左側)に位置する端子電極と電気的に接続されている。
【0023】
次に、図3図6を参照し、重ね巻き領域50について詳述する。なお、図4は、図2に示す線LN2でコイル部品10を切断した場合における断面の一部を模式的に示している。側面211に沿う方向のうち、軸線方向Z1と直交する方向を「幅方向Z2」とした場合、線LN2は、軸線方向Z1に延びるとともに、幅方向Z2における側面211の中間位置を通過する仮想直線である。すなわち、図4に示す巻芯部21の断面は、幅方向Z2と直交する方向で巻芯部21を切断した場合の断面の一部分である。
【0024】
図3図4及び図5に示すように、重ね巻き領域50は、所定部分51を有している。本実施形態では、所定部分51は、重ね巻き領域50のうち、以下の条件(B1)、(B2)、(B3)及び(B4)の何れをも満たすように、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている部分である。(B1)第1ワイヤ31のうちの側面211に巻かれている部分と、第2ワイヤ41のうちの側面211に巻かれている部分との間に隙間SPが介在すること。(B2)第1ワイヤ31のうちの側面212に巻かれている部分と、第2ワイヤ41のうちの側面212に巻かれている部分との間に隙間SPが介在していること。(B3)第1ワイヤ31のうちの側面213に巻かれている部分と、第2ワイヤ41のうちの側面213に巻かれている部分との間に隙間SPが介在していること。(B4)第1ワイヤ31のうちの側面214に巻かれている部分と、第2ワイヤ41のうちの側面214に巻かれている部分との間に隙間SPが介在していること。
【0025】
なお、本実施形態では、所定部分51は、上記の各条件(B1)~(B4)の何れをも満たしている。しかし、これに限らない。例えば、所定部分は、上記の各条件(B1)~(A4)の何れか1つの条件を満たすように、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている部分であってもよい。すなわち、所定部分では、巻芯部21の各側面211~214のうち、少なくとも1つの側面に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間に隙間SPが介在していればよい。より好ましくは、所定部分51では、各距離L1~L4のうち、最も長い距離の側面上で、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間で隙間SPが介在していることである。
【0026】
側面211に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔H1について説明する。コーナC1では間隔H1が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。コーナC1からコーナC2に向かうにつれて間隔H1が広くなる。そして、コーナC1とコーナC2との中間位置で間隔H1が最大となる。間隔H1の最大値を、「最大間隔H1max」という。中間位置からコーナC2に近づくにつれて間隔H1が狭くなる。そして、コーナC2では間隔H1が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。
【0027】
側面214に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔H4について説明する。コーナC3では間隔H4が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。コーナC3からコーナC4に向かうにつれて間隔H4が広くなる。そして、コーナC3とコーナC4との中間位置で間隔H4が最大となる。間隔H4の最大値を、「最大間隔H4max」という。中間位置からコーナC4に近づくにつれて間隔H4が狭くなる。そして、コーナC4では間隔H4が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。
【0028】
側面212に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔H2について説明する。コーナC1では間隔H2が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。コーナC1からコーナC3に向かうにつれて間隔H2が広くなる。そして、コーナC1とコーナC3との中間位置で間隔H2が最大となる。間隔H2の最大値を、「最大間隔H2max」という。中間位置からコーナC3に近づくにつれて間隔H2が狭くなる。そして、コーナC3では間隔H2が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。
【0029】
側面213に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔H3について説明する。コーナC2では間隔H3が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。コーナC2からコーナC4に向かうにつれて間隔H3が広くなる。そして、コーナC2とコーナC4との中間位置で間隔H3が最大となる。間隔H3の最大値を、「最大間隔H3max」という。中間位置からコーナC4に近づくにつれて間隔H3が狭くなる。そして、コーナC4では間隔H2が「0」である。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。
【0030】
本実施形態では、第1距離L1及び第4距離L4の各々は、第2距離L2よりも長いとともに、第3距離L3よりも長い。そのため、図3に示すように、上記の最大間隔H1maxは、上記の最大間隔H2max及び最大間隔H3maxの双方よりも広い。同様に、上記の最大間隔H4maxは、最大間隔H2max及び最大間隔H3maxの双方よりも広い。
【0031】
なお、図6に示すように、上記の各最大間隔H1max,H2max,H3max,H4maxは、以下の(A1)及び(A2)を満たすように設定されている。下記の上限径方向位置とは、巻芯部21の中心軸Fを中心とする径方向Z4において、第1ワイヤ31の最外端311から第2ワイヤ41の直径D2だけ外側に離れている位置のことである。(A1)径方向Z4において、第2ワイヤ41の最内端411が、第1ワイヤ31の最外端311よりも外側(図6では上側)に位置していること。(A2)径方向Z4において、第2ワイヤ41の最内端411が上限径方向位置よりも内側(図6では内側)に位置していること。
【0032】
すなわち、第1ワイヤ31のうち、側面211に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の外側に位置する部分を最外端311とし、第2ワイヤ41のうち、側面211に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の内側に位置する部分を最内端411とする。この場合、最大間隔H1maxは、第1ワイヤ31のうちの側面211に巻かれている部分の最外端311よりも、第2ワイヤ41のうちの側面211に巻かれている部分の最内端411が径方向外側に位置すること、及び、当該第1ワイヤ31の最外端311から直径D2だけ離れている位置よりも当該第2ワイヤ41の最内端411が内側に位置することを満たすように設定されている。
【0033】
第1ワイヤ31のうち、側面212に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の外側に位置する部分を最外端311とし、第2ワイヤ41のうち、側面212に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の内側に位置する部分を最内端411とする。この場合、最大間隔H1maxは、第1ワイヤ31のうちの側面212に巻かれている部分の最外端311よりも、第2ワイヤ41のうちの側面212に巻かれている部分の最内端411が径方向外側に位置すること、及び、当該第1ワイヤ31の最外端311から直径D2だけ離れている位置よりも当該第2ワイヤ41の最内端411が内側に位置することを満たすように設定されている。
【0034】
第1ワイヤ31のうち、側面213に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の外側に位置する部分を最外端311とし、第2ワイヤ41のうち、側面213に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の内側に位置する部分を最内端411とする。この場合、最大間隔H1maxは、第1ワイヤ31のうちの側面213に巻かれている部分の最外端311よりも、第2ワイヤ41のうちの側面213に巻かれている部分の最内端411が径方向外側に位置すること、及び、当該第1ワイヤ31の最外端311から直径D2だけ離れている位置よりも当該第2ワイヤ41の最内端411が内側に位置することを満たすように設定されている。
【0035】
第1ワイヤ31のうち、側面214に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の外側に位置する部分を最外端311とし、第2ワイヤ41のうち、側面214に巻かれている部分の中で、最も径方向Z4の内側に位置する部分を最内端411とする。この場合、最大間隔H1maxは、第1ワイヤ31のうちの側面214に巻かれている部分の最外端311よりも、第2ワイヤ41のうちの側面214に巻かれている部分の最内端411が径方向外側に位置すること、及び、当該第1ワイヤ31の最外端311から直径D2だけ離れている位置よりも当該第2ワイヤ41の最内端411が内側に位置することを満たすように設定されている。
【0036】
上記(A1)を満たすことにより、側面の両端に位置する2つのコーナの中間位置では、第2ワイヤ41が、径方向Z4において第1ワイヤ31の最外端311よりも外側に位置するようになる。また、上記(A2)を満たすことにより、側面の両端に位置する2つのコーナの中間位置では、第1ワイヤ31の最外端311と第2ワイヤ41の最内端411との間の間隔が第2ワイヤ41の直径D2よりも狭くなる。
【0037】
ただし、コーナC1~C4では、第1ワイヤ31に第2ワイヤ41が接触している。そのため、コーナC1~C4の付近では、上記(A1)を満たしていないこともある。
ちなみに、巻芯部21の4つの側面211~214のうち、側面211を「第1側面」と見た場合、側面212が「第2側面」に該当し、側面213が「第3側面」に該当し、側面214が「第4側面」に該当する。また、側面211と側面212とを接続するコーナC1が「第1コーナ」に該当し、側面211と側面213とを接続するコーナC2が「第2コーナ」に該当する。また、側面212と側面214とを接続するコーナC3が「第3コーナ」に該当し、側面213と側面214とを接続するコーナC4が「第4コーナ」に該当する。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図7には、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との双方が1つの巻芯部21に巻き回されているコイル部品の等価回路が図示されている。この場合、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とによって擬似的にコンデンサ100が形成されてしまう。すなわち、第1ワイヤ31と、第2ワイヤ41のうち当該第1ワイヤ31の近くに位置する部分との間で、コンデンサ100の容量である線間容量LCが発生する。例えば、図8に示すように、第2ワイヤ41の1ターン目と、第2ワイヤ41の1ターン目との間に線間容量LCが発生する。第2ワイヤ41の1ターン目と、第1ワイヤ31の2ターン目との間に線間容量LCが発生する。線間容量LCの大きさは、ワイヤ31,41間の物理的な距離に比例する。そのため、線間容量LCは、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間隔が狭いほど大きくなる。そして、線間容量LCが大きいと、コイル部品の高周波特性が悪化するおそれがある。
【0039】
本実施形態におけるコイル部品10の重ね巻き領域50では、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間に隙間SPを介在させる領域が形成されている。すなわち、重ね巻き領域50は、所定部分51を有している。所定部分51では、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間隔が狭い箇所を少なくできる。
【0040】
重ね巻き領域50において第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間に隙間が介在しない比較例のコイル部品の線間容量LCAは、本実施形態のコイル部品10の線間容量LCよりも大きい。これは、本実施形態のコイル部品10の重ね巻き領域50では第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔が広い部分が存在する一方で、比較例のコイル部品の重ね巻き領域では第1ワイヤと第2ワイヤとの間の間隔が広い部分が存在しないためである。図9には、モード変換特性について、コイル部品に入力される信号の周波数と、コイル部品への入力信号に対する出力信号の強度比との関係が示されている。図9において、破線は比較例のコイル部品における当該関係を示し、実線は本実施形態のコイル部品10における当該関係を示している。コイル部品に入力される信号の周波数が比較的低い場合、本実施形態のコイル部品10における上記強度比の大きさは、比較例のコイル部品における上記強度比の大きさと同程度である。しかし、線間容量LCが小さいため、入力信号の周波数が高くなると、本実施形態のコイル部品10における上記強度比の大きさと、比較例のコイル部品における上記強度比の大きさとの間に差が生じる。具体的には、本実施形態のコイル部品10における上記強度比の大きさは、比較例のコイル部品における上記強度比の大きさよりも小さい。したがって、本実施形態のコイル部品10の高周波におけるモード変換特性は、比較例のコイル部品の高周波におけるモード変換特性よりも良好である。つまり、本実施形態のコイル部品10の高周波特性は、比較例のコイル部品の高周波特性よりも良好である。
【0041】
なお、本実施形態では、以下の効果をさらに得ることができる。
(1-1)所定部分51では、巻芯部21に巻き回されている第1ワイヤ31と、当該第1ワイヤ31の上から巻芯部21に巻き回されている第2ワイヤ41との間に隙間SPが介在する領域が形成されている。このように第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との距離が長い部分を設けることにより、ワイヤの密度の低い部分を形成できる分、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間に発生する線間容量LCを小さくできる。そして、線間容量LCを小さくすることにより、コイル部品10の高周波特性を向上させることができる。
【0042】
(1-2)本実施形態では、軸線方向Z1における重ね巻き領域50の全域を所定部分51としている。このように重ね巻き領域50のうち、所定部分51が占める割合が高いほど、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間に発生する線間容量LCの減少効果を高くできる。
【0043】
なお、ここでいう「重ね巻き領域50の全域」は、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41の巻き始めの部分、及び、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41の巻き終わりの部分を含まなくてもよい。これは、巻き回す方法によってはワイヤの巻き始めと巻き終わりではワイヤの張力が安定しないためである。ワイヤの張力が安定しない場合、第1ワイヤ31に対する第2ワイヤ41の相対的な位置を適切に調整するのが困難となる。もちろん、ワイヤの巻き始めと巻き終わりでワイヤの張力を安定させることができる場合では、所定部分51はワイヤの巻き初めを含んでもよいし、所定部分51はワイヤの巻き終わりを含んでもよい。
【0044】
(1-3)周方向Z3における第1端から第2端までの直線距離の長い側面に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔は、周方向Z3における第1端から第2端までの直線距離の短い側面に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔よりも広い。このように第1端から第2端までの直線距離の長い側面に巻かれている第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間の間隔を広くすることにより、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間に発生する線間容量LCの減少効果を高くできる。
【0045】
(1-4)本実施形態において、所定部分51では、上記の(A1)を満たすように第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている。これにより、第1ワイヤ31から第2ワイヤ41までの間隔を広くでき、ひいては線間容量LCを小さくできる。
【0046】
(1-5)本実施形態において、所定部分51では、上記の(A2)を満たすように第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている。これにより、第2ワイヤ41の巻き乱れが生じることなく第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されている状態を維持できる。
【0047】
(第2実施形態)
次に、コイル部品の第2実施形態を図10及び図11に従って説明する。以下の説明においては、第1実施形態と相違している部分について主に説明するものとし、第1実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0048】
図10に示すように、コイル部品10Aは、重ね巻き領域50を備えている。重ね巻き領域50は、所定部分51を有している。しかし、図10及び図11に示すように、重ね巻き領域50の軸線方向Z1における一部が所定部分51であるものの、残りの部分は所定部分51ではない。重ね巻き領域50のうち所定部分51ではない部分を「非所定部分52」という。
【0049】
図10に示す例では、軸線方向Z1において、重ね巻き領域50のうちの第1鍔部22に近い領域が所定部分51である。重ね巻き領域50のうち、所定部分51よりも第2鍔部23寄りの領域が非所定部分52である。非所定部分52において、側面の両側に位置する2つのコーナの間では第1ワイヤ31から第2ワイヤ41が離れていない。すなわち、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41とが互いに接触している。
【0050】
本実施形態では、重ね巻き領域50は、所定部分51と非所定部分52との双方を有している。この場合であっても、重ね巻き領域50が所定部分51を有していない場合と比較し、第1ワイヤ31と第2ワイヤ41との間で発生する線間容量LCを小さくできる。したがって、コイル部品10Aの高周波特性を向上させることができる。
【0051】
なお、非所定部分52を形成するために第2ワイヤ41を巻芯部21に巻き回す際に第2ワイヤ41に付与するテンションを基準テンションとする。所定部分51を形成する場合、第2ワイヤ41を巻芯部21に巻き回す際に第2ワイヤ41に付与するテンションを、基準テンションよりも小さくすると好ましい。これにより、側面の両側に位置する2つのコーナの間において、第1ワイヤ31を第2ワイヤ41から離すことができる。すなわち、所定部分51を形成できる。
【0052】
(変更例)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0053】
・第2実施形態において、重ね巻き領域50のうち、軸線方向Z1において第2鍔部23に近い部分を所定部分51とし、軸線方向Z1において第1鍔部22に近い部分を非所定部分52としてもよい。
【0054】
・コイル部品は、重ね巻き領域50に加え、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41がバイファイラ巻きによって巻芯部21に巻き回されている領域であるバイファイラ領域を有するものであってもよい。
【0055】
例えば図12に示すように、コイル部品10Bは、軸線方向Z1における第1鍔部22の近くに重ね巻き領域50を設け、重ね巻き領域50を挟んで第1鍔部22の反対側にバイファイラ領域60を配置した構成であってもよい。
【0056】
例えば図13に示すように、コイル部品10Bは、軸線方向Z1における第1鍔部22の近くに第1バイファイラ領域61を配置し、軸線方向Z1における第2鍔部23の近くに第2バイファイラ領域62を配置し、第1バイファイラ領域61と第2バイファイラ領域62との間に重ね巻き領域50を配置した構成であってもよい。
【0057】
例えば図14に示すように、コイル部品10Bは、軸線方向Z1における第2鍔部23の近くに重ね巻き領域50を設け、重ね巻き領域50を挟んで第2鍔部23の反対側にバイファイラ領域60を配置した構成であってもよい。
【0058】
例えば、コイル部品10Bは、軸線方向Z1における第1鍔部22の近くに第1重ね巻き領域を配置し、軸線方向Z1における第2鍔部23の近くに第2重ね巻き領域を配置し、第1重ね巻き領域と第2重ね巻き領域との間にバイファイラ領域60を配置した構成であってもよい。
【0059】
・重ね巻き領域は、所定部分51と非所定部分52とを軸線方向Z1に交互に配置した構成であってもよい。
・所定部分51の軸線方向Z1における寸法は、第1ワイヤ31の1ターンに相当する長さであってもよい。すなわち、重ね巻き領域にあっては、一箇所のみで、第1ワイヤ31のうちの第1側面に巻かれている部分と、第2ワイヤ41のうちの第1側面に巻かれている部分との間に隙間SPが介在していればよい。
【0060】
・所定部分51では、第1ワイヤ31のうち側面211に巻かれている部分から第2ワイヤ41のうち側面211に巻かれている部分が離れているのであれば、上記の(A1)を満たしていなくてもよい。すなわち、所定部分51は、側面211上で第1ワイヤ31から第2ワイヤ41が離れている部分が存在しているのであれば、側面211上で第1ワイヤ31に第2ワイヤ41が接触している部分が存在していてもよい。
【0061】
・所定部分51では、上記の(A2)を満たしていなくてもよい。
・上記の最大間隔H2maxを、上記の最大間隔H1maxと同じとしてもよいし、最大間隔H1maxよりも広くしてもよい。
【0062】
・上記の最大間隔H3maxを、上記の最大間隔H1maxと同じとしてもよいし、最大間隔H1maxよりも広くしてもよい。
・所定部分51では、コーナC1とコーナC2との中間位置とは異なる位置で間隔H1が最大となるように、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されていてもよい。
【0063】
・所定部分51では、コーナC1とコーナC3との中間位置とは異なる位置で間隔H2が最大となるように、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されていてもよい。
【0064】
・所定部分51では、コーナC2とコーナC4との中間位置とは異なる位置で間隔H3が最大となるように、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されていてもよい。
【0065】
・所定部分51では、コーナC3とコーナC4との中間位置とは異なる位置で間隔H4が最大となるように、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回されていてもよい。
【0066】
・所定部分51では、軸線方向Z1における一部でコーナC1とコーナC2との中間位置で間隔H1が最大となっているのであれば、所定部分51のうちの他の部分ではコーナC1とコーナC2との中間位置とは異なる位置で間隔H1が最大となっていてもよい。
【0067】
・所定部分51では、軸線方向Z1における一部でコーナC1とコーナC3との中間位置で間隔H2が最大となっているのであれば、所定部分51のうちの他の部分ではコーナC1とコーナC3との中間位置とは異なる位置で間隔H2が最大となっていてもよい。
【0068】
・所定部分51では、軸線方向Z1における一部でコーナC2とコーナC4との中間位置で間隔H3が最大となっているのであれば、所定部分51のうちの他の部分ではコーナC2とコーナC4との中間位置とは異なる位置で間隔H3が最大となっていてもよい。
【0069】
・所定部分51では、軸線方向Z1における一部でコーナC3とコーナC4との中間位置で間隔H4が最大となっているのであれば、所定部分51のうちの他の部分ではコーナC3とコーナC4との中間位置とは異なる位置で間隔H4が最大となっていてもよい。
【0070】
・上記各実施形態では、軸線方向Z1と直交する方向に巻芯部21を切断した際における断面が長方形状をなしているが、これに限らない。例えば、巻芯部21を切断した際における断面が正方形状をなす巻芯部を、巻芯部21としてもよい。
【0071】
・巻芯部21は、角柱形状をなしているのであれば、四角柱でなくてもよい。例えば、巻芯部は、三角柱状をなしていてもよいし、六角柱状をなしていてもよい。
・上記各実施形態では、巻芯部21は、軸線方向Z1と直交する方向に巻芯部21を切断した際における各側面211~214の形状が直線形状をなすように構成されているが、これに限らない。すなわち、巻芯部21は、軸線方向Z1と直交する方向に巻芯部21を切断した場合の断面に稜線が存在していればよい。
【0072】
・コイル部品10,10A,10Bは、第1ワイヤ31及び第2ワイヤ41に加え、第3ワイヤを備えるものであってもよい。この場合、重ね巻き領域50では、巻芯部21に第1ワイヤ31が巻き回され、その上から第2ワイヤ41が巻芯部21に巻き回され、さらにその上から第3ワイヤが巻芯部21に巻き回されることになる。このとき、第2ワイヤ41と第3ワイヤとの間隔を広くすることにより、第2ワイヤ41と第3ワイヤとの間に発生する線間容量LCを小さくできる。
【0073】
・コイル部品は、複数のワイヤが巻芯部21に巻き回されているのであれば、コモンモードチョークコイルでなくてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10,10A,10B…コイル部品
20…コア
21…巻芯部
21a…第1端
21b…第2端
211~214…側面
22…第1鍔部
23…第2鍔部
31…第1ワイヤ
311…最外端
41…第2ワイヤ
411…最内端
50…重ね巻き領域
51…所定部分
C1~C4…コーナ
F…中心軸
SP…隙間
図1
図2
図3
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図5
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図10
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