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特開2023-161009磁気粒子単離デバイスおよび使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161009
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】磁気粒子単離デバイスおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20231026BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
C12M1/26
C12M1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】27
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023149214
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2021502711の分割
【原出願日】2019-03-26
(31)【優先権主張番号】62/648,300
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/728,684
(32)【優先日】2018-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520373420
【氏名又は名称】レビタスバイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー フェイサー
(72)【発明者】
【氏名】ケビン トラバーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ヨヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス エバン デ グロート
(72)【発明者】
【氏名】ケレン ジブ
(57)【要約】
【課題】好適な磁気粒子単離デバイスおよび使用方法を提供すること。
【解決手段】本願の発明は、粒子を単離するデバイスおよび方法を提供する。流体工学粒子単離デバイスが、開示され、当該流体工学粒子単離デバイスは、それを通して延在する流体チャネルを有しており、流体チャネルの区画は、常磁性媒体内に粒子を含有している溶液が、磁場を通して通過されるときにおいて、粒子が溶液内で単離されるように、非対称磁場に暴露される。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子を単離する方法であって、
a)粒子と、常磁性媒体とを含む処理溶液を形成することと、
b)粒子単離デバイスを通して前記処理溶液を通過させることであって、前記デバイスは、流体チャネルを備える流体チャネル構造と、前記流体チャネルの反対側に位置付けられる少なくとも2つの磁気構成要素とを備え、前記2つの磁気構成要素は、前記流体チャネル内に非対称磁場を生成し、それによって、前記粒子が前記非対称磁場を通して通過するにつれて、それらを単離し、それによって、単離された粒子を発生させる、ことと、
c)前記単離された粒子を観察、分析、記録、および/または収集することと
を含む、方法。
【請求項2】
a)流体チャネル構造は、前記流体チャネルによって相互接続される少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを備え、前記流体チャネルは、前記入力ポートと流体連通する先端と、前記出力ポートと流体連通する末端とを備える略線形部分を含み、前記少なくとも2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルの略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられ、前記少なくとも2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルの略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成され、
b)随意に、1つ以上のポンプは、前記少なくとも1つの入力ポートから前記流体チャネルを通して、前記少なくとも1つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成され、
c)前記方法はさらに、前記流体チャネルを通して前記処理溶液を圧送することを含み、前記単離された粒子を観察、分析、および/または記録することは、前記流体チャネルの略線形部分に沿って前記単離された粒子を観察、分析、および/または記録すること、および/または前記少なくとも1つの出力ポートから前記単離された粒子を収集することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記常磁性媒体は、常磁性材料と、溶媒とを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記常磁性媒体は、常磁性材料と、塩と、細胞の完全性を維持するように機能する他の添加剤とを含む、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記常磁性媒体は、生体適合性である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記常磁性材料は、ガドリニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ガリウム、ジスプロシウム、それらのイオン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記常磁性材料は、チタン(III)イオン、ガドリニウム(III)イオン、バナジウム(I)イオン、ニッケル(II)イオン、クロム(III)イオン、バナジウム(III)イオン、ジスプロシウム(III)イオン、コバルト(II)イオン、またはガリウム(III)イオンを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記常磁性材料は、キレート化合物を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記常磁性材料は、ガドリニウムキレート、ジスプロシウムキレート、またはマンガンキレートを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記常磁性材料は、少なくとも10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、150mM、200mM、250mM、300mM、500mM、または1Mの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記常磁性材料は、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、約50mM~約100mM、約100mM~約150mM、約150mM~約200mM、約200mM~約250mM、約250mM~約300mM、約300mM~約500mM、または約500mM~約1Mの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記常磁性材料は、ガドリニウムを含み、少なくとも10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、または100mMの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記常磁性材料は、ガドリニウムを含み、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、または約50mM~約100mMの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記粒子の密度は、前記常磁性媒体の密度よりも大きく、前記下側磁石によって生成される磁場は、前記上側磁石によって生成される磁場よりも大きい、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記粒子の密度は、前記常磁性媒体の密度未満であり、前記下側磁石によって生成される磁場は、前記上側磁石によって生成される磁場未満である、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記処理溶液が、前記非対称磁場を通して通過するにつれて、前記粒子は、実質的に類似する平衡高度に到達する、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記処理溶液内に含有される前記粒子の実質的に全ては、平衡高度に到達し、前記粒子の最高平衡高度と前記粒子の最低平衡高度との間の差異は、前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の35%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の30%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の25%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の20%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の15%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の10%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の8%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の6%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の5%未満に等しい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子の実質的に全ての平衡高度分布は、約5,000ミクロン未満、4,000ミクロン未満、3,000ミクロン未満、2,000ミクロン未満、1,000ミクロン未満、500ミクロン未満、300ミクロン未満、または200ミクロン未満である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記粒子の実質的に全ての平衡高度分布は、約1ミクロン~約5,000ミクロン、または約1ミクロン~約3,000ミクロン、または約1ミクロン~約1,000ミクロン、または約1ミクロン~約500ミクロン、または約1ミクロン~約200ミクロンである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記実質的に全ての粒子は、前記粒子の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
いったん前記粒子の実質的に全てが平衡高度に到達すると、前記粒子は、前記処理溶液を複数の流出分画に幾何学的に分割するスプリッタを通して通過し、前記粒子の実質的に全てを含む前記複数の流出分画のうちの1つ以上の流出分画が、収集され、それによって、前記粒子を単離する、請求項に記載の方法。
【請求項22】
前記粒子の実質的に全ては、前記粒子の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含む、請求項1718、または21に記載の方法。
【請求項23】
前記常磁性媒体から前記単離された粒子を分離するステップをさらに含む、請求項1718、または21に記載の方法。
【請求項24】
前記粒子は、生体分子、細胞、細胞群、タンパク質、脂質、炭水化物、微生物、または細菌を含む、請求項に記載の方法。
【請求項25】
粒子を単離する方法であって、
a)前記粒子と、常磁性媒体とを含む処理溶液を形成することと、
b)粒子単離デバイスを通して前記処理溶液を通過させることであって、前記デバイスは、一連の流体チャネルを備える流体チャネル構造と、少なくとも2つの処理区画とを備え、前記少なくとも2つの処理区画のうちの各処理区画は、前記流体チャネルの一部の反対側に位置付けられる少なくとも2つの磁気構成要素を備え、前記2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルのそれらの対応する部分内に非対称磁場を生成し、それによって、前記処理溶液の一部は、並行して前記少なくとも2つの処理区画を通して通過し、および/または前記処理溶液の一部または前記処理溶液の全ては、連続して前記少なくとも2つの処理区画を通して通過し、それによって、前記粒子が前記処理区画の非対称磁場を通して通過するにつれて、それらを単離する、ことと、
c)前記単離された粒子を観察、分析、記録、および/または収集することと
を含む、方法。
【請求項26】
(i)前記流体チャネル構造は、前記一連の流体チャネルによって相互接続される少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも2つの出力ポートとを備え、前記一連の流体チャネルは、第1の略線形部分と、第2の略線形部分と、第3の略線形部分とを備え、前記流体チャネル構造は、
A.(i)第1の処理経路であって、前記少なくとも1つの入力ポートから前記第1の略線形部分まで延在し、前記第1の略線形部分から前記第2の略線形部分まで延在し、前記第2の略線形部分から前記少なくとも2つの出力ポートのうちの出力ポートまで延在する、第1の処理経路と、
B.(ii)第2の処理経路であって、前記少なくとも1つの入力ポートから前記第1の略線形部分まで延在し、前記第1の略線形部分から前記第3の略線形部分まで延在し、前記第3の略線形部分から前記少なくとも2つの出力ポートのうちの出力ポートまで延在する、第2の処理経路と
を含み、
(ii)それぞれ、前記第1の略線形部分、前記第2の略線形部分、および第3の略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる、第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素であって、前記第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素のうちの少なくとも1つは、その隣接する略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成され、
(iii)随意に、1つ以上のポンプは、前記少なくとも1つの入力ポートから前記一連の流体チャネルを通して、前記少なくとも2つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成され、
(iv)前記方法は、前記第1の処理経路を通して前記処理溶液の一部を通過させ、前記第2の処理経路を通して前記処理溶液の一部を通過させることを含み、それによって、前記粒子が前記第1の略線形部分内の前記非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の第1の単離が存在し、それらが前記第2の略線形部分または前記第3の略線形部分のいずれかの非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の第2の単離が存在する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
チャネルを備える粒子単離デバイスであって、前記チャネルの一方の端部は、少なくとも2つのチャネルに分岐され、前記2つのチャネルは、前記粒子単離デバイス内で相互と略平行であり、磁石が、前記2つの略平行チャネルの間に位置付けられ、前記磁石は、磁力によって前記チャネル内の粒子を分離するように構成される、粒子単離デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる、2018年3月26日に出願された米国仮出願第62/648,300号、および2018年9月7日に出願された米国仮出願第62/728,684号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、概して、媒体内の細胞または生体分子等の粒子を単離するために、そのような粒子の磁気浮上に関する。
【背景技術】
【0003】
媒体内に含有される粒子単離は、多くの化学および生物学的プロセスにおいて重要なステップである。いくつかのプロセスでは、粒子の使用または操作を促進するために、単に粒子を単離する必要性が存在し得る一方で、他のプロセスでは、媒体内に同様に存在する他の粒子から粒子を分離する必要性が存在し得る。デバイスは、粒子の異種集団から着目粒子を分離するために、粒子およびそれらの周辺媒体の磁気的性質に依拠し得る。
【0004】
例えば、浮上システムは、2つの磁石のセットの間に位置付けられるマイクロキャピラリチャネルを有することができる。磁気応答性媒体内の細胞の異種集団は、マイクロキャピラリチャネルを通して送られることができ、2つの隣接する磁石によって生成される磁場に暴露されることができる。磁場への暴露に応じて、細胞の異種集団内の同一のタイプの細胞が、マイクロキャピラリチャネル内で具体的高度まで浮上し、それによって、相互から細胞を分離することができる。所与の細胞の浮上高度は、個々の細胞上の磁力および補正された重力の平衡に基づいて決定されることができる。
【0005】
2つの磁石は、磁場強度分布が、キャピラリチャネルの各軸に対して対称であるように、キャピラリチャネルに対して対称に位置付けられることができる。ある場合には、磁石の対称構成は、粒子を分離するデバイスの能力を限定し得る。ある場合には、磁石の垂直対称構成を用いると、媒体自体よりも高密度である磁気応答性媒体内の粒子の全てが、対称軸の下方の位置(すなわち、2つの磁石の間の垂直中間点)まで浮上することができる。これは、2つの結果を有し得、すなわち、(1)浮上高度の広がりが、磁石の間の利用可能な空間の半分に制約され得る、(2)流体経路が、より小さい空間(すなわち、チャネルの下半分)内で捕捉され得、加工の困難を引き起こし得、流動抵抗を増加させ得る。磁石をさらに離して移動させ、より大型のキャピラリを使用することは、全ての他の要因が一致していると、粒子へのより弱い分離力をもたらし得る、より浅い磁場勾配をもたらし得る。
【0006】
故に、磁石の所与の表面強度に関して浮上位置の広がりを増加させることによって、選択性を改良し、浮上領域に結合される流体デバイスの製造可能性および動作可能性を改良する、細胞単離デバイスの必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の概要内で提供される発明の実施形態は、例証的にすぎず、本明細書に開示される選択された実施形態の概観を提供するように意図されている。例証的かつ選択的である、発明の概要は、いずれの請求項の範囲も限定せず、本明細書に開示または検討される発明の実施形態の範囲全体を提供せず、本開示または任意の請求される発明の実施形態の範囲を限定または制約するものとして解釈されるべきではない。
【0008】
本明細書で提供されるものは、流体チャネルと、略垂直軸に沿って流体チャネルの反対側に位置付けられる2つの磁気構成要素とを含む、粒子単離デバイスであり、2つの磁気構成要素は、流体チャネル内に非対称磁場を生成するように構成される。
【0009】
また、本明細書で提供されるものは、流体チャネル構造と、少なくとも2つの磁気構成要素と、入力ポートから流体チャネル構造を通して、出力ポートから外に流体を駆動するように構成される、1つ以上のポンプとを有する、粒子単離デバイスである。本実施形態によると、流体チャネル構造は、流体チャネルによって相互接続される、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを含み、流体チャネルは、入力ポートと流体連通する先端と、出力ポートと流体連通する末端とを含む、略線形部分を含む。本実施形態はさらに、流体チャネルの略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる、2つの磁気構成要素を含み、2つの磁気構成要素は、流体チャネルの略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成される。
【0010】
さらに、本明細書で提供されるものは、一連の流体チャネルによって相互接続される、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも2つの出力ポートとを有する、流体チャネル構造を備える、粒子単離デバイスであり、一連の流体チャネルは、第1、第2、および第3の略線形部分を含む。本実施形態によると、流体チャネル構造は、第1の処理経路と、第2の処理経路とを含む。第1の処理経路は、入力ポートから第1の略線形部分まで、および第1の略線形部分から第2の略線形部分まで、および第2の略線形部分から出力ポートまで延在する。第2の処理経路は、入力ポートから第1の略線形部分まで、および第1の略線形部分から第3の略線形部分まで、および第3の略線形部分から出力ポートまで延在する。本デバイスはさらに、それぞれ、流体チャネルの第1、第2、および第3の略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる、第1、第2、および第3の対の磁気構成要素を含み、一対の磁気構成要素のうちの少なくとも1つは、流体チャネルのその隣接する略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成される。本デバイスはさらに、少なくとも1つの入力ポートから流体チャネルを通して、少なくとも1つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成される、1つ以上のポンプを含む。
【0011】
一側面では、粒子単離デバイスの磁気構成要素は、非対称、好ましくは、略垂直軸に沿って非対称である、流体チャネル内に磁場を生成する。
【0012】
別の側面では、粒子単離デバイスは、2つの磁気構成要素のうちの第1の磁気構成要素が、2つの磁気構成要素のうちの第2の磁気構成要素によって生成される流体チャネル内の磁場よりも強い流体チャネル内の磁場を生成するように、流体チャネルに対して構成される、2つの磁気構成要素を備える。
【0013】
別の側面では、粒子単離デバイスは、永久磁石または電磁石である、2つの磁気構成要素を含む。磁気構成要素は、ネオジム-鉄、サマリウム-コバルト、アルミニウム-鉄-コバルト合金、またはフェライトを含む、恒久棒磁石を備えてもよい。
【0014】
別の側面では、粒子単離デバイスは、上側磁石と、下側磁石とを含む、2つの磁気構成要素を含み、上側磁石は、下側磁石よりも大型である、または下側磁石は、上側磁石よりも大型である。
【0015】
別の側面では、粒子単離デバイスは、流体チャネルを少なくとも2つのチャネルに区分化するスプリッタを含む。ある実施形態では、スプリッタは、流体チャネルの略線形部分の末端において流体チャネル内に位置付けられ、流体チャネルを2つ以上のチャネルに分割する。ある実施形態では、スプリッタは、流体チャネルが、2つの磁気構成要素の間にある位置において分割されるように、流体チャネル内に位置する。ある実施形態では、スプリッタは、流体チャネルを複数の垂直に離間されたコンパートメントに区分化する。
【0016】
さらなる側面では、粒子単離デバイスは、統合型流体チップまたはカートリッジを備える。
【0017】
別の側面では、粒子単離デバイスは、流体チャネル内の流体流および/または少なくとも1つの出力ポートの中へ、または少なくとも1つの出力ポートからの流体流を制御するための1つ以上の弁を含む。
【0018】
別の側面では、粒子単離デバイスは、粒子が非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の画像を可視化および/または記録するためのデバイスを含む。
【0019】
さらに、本明細書で提供されるものは、各処理区画が、両側に一対の磁気構成要素が並んだ略線形流体チャネル部分を備える、1つ以上の処理区画を備え、それによって、処理区画は、並列または直列に相互と流体連通する、粒子単離デバイスである。
【0020】
本発明のある側面では、粒子単離デバイスは、複数の略線形部分を有する、流体チャネル構造を含み、第1の対の磁気構成要素は、第1の略線形部分の流体チャネル内で対称磁場を生成するように構成され、第2の対の磁気構成要素は、第2の略線形部分の流体チャネル内で非対称磁場を生成するように構成され、第3の対の磁気構成要素は、第3の略線形部分の流体チャネル内で非対称磁場を生成するように構成される。ある実施形態によると、第1の略線形部分は、第2および第3の略線形部分と直列流体連通し、第2および第3の略線形部分は、並列に構成され、直接流体連通していない。
【0021】
一側面では、第1の対の磁気構成要素は、第1の線形部分の上方に位置付けられる第1の上側棒磁石と、第1の略線形部分の下方に位置付けられる第1の下側棒磁石とを含み、第1の上側磁石および第1の下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられ、第2の対の磁気構成要素は、第2の略線形部分の上方に位置付けられる第2の上側棒磁石と、第2の略線形部分の下方に位置付けられる第2の下側棒磁石とを備え、第2の上側磁石および第2の下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられ、第3の対の磁気構成要素は、第3の略線形部分の上方に位置付けられる第3の上側棒磁石と、第3の略線形部分の下方に位置付けられる第3の下側棒磁石とを備え、第3の上側磁石および第3の下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられる。さらなる側面では、第2の上側棒磁石は、第2の下側棒磁石よりも強い磁場を放出し、第3の下側棒磁石は、第3の上側棒磁石よりも強い磁場を放出する。さらなる側面では、第2の上側棒磁石は、第2の下側棒磁石よりも強い磁場を放出する、2つ以上の磁石を備え、第3の下側棒磁石は、第3の上側棒磁石よりも強い磁場を放出する、2つ以上の磁石を備える。
【0022】
別の側面では、粒子単離デバイスは、1つ以上の中心または散在磁石を共有する、平行流体チャネルの1つ以上のセットを備える。磁石は、各別個の流体チャネル内に磁場を成形するように位置付けられ、別個の流体チャネル毎の対向する磁石は、同じ極が面するように(すなわち、S-SまたはN-N)、位置付けられる。
【0023】
別の側面では、粒子単離デバイスは、検定形式で静的分離を実施するための1つ以上のウェルのセットを備える。隣接ウェルが、1つ以上の磁石、例えば、スタックされた磁石を共有し、磁場、例えば、媒体内の粒子を、例えば、媒体の中心の中に単離する、成形された磁場を生成してもよい。
【0024】
別の側面では、粒子単離デバイスはさらに、第1の略線形部分内の流体チャネルの終端に沿って開始する第1のスプリッタと、第2の略線形部分内の流体チャネルの終端に沿って開始する第2のスプリッタと、第3の略線形部分内の流体チャネルの終端に沿って開始する第3のスプリッタとを備える。さらなる側面では、第1のスプリッタは、第1の略線形部分に沿った流体チャネルを少なくとも2つの流体チャネルに分割し、それによって、該少なくとも2つの流体チャネルのうちの1つが、第2の略線形部分内の流体チャネルと流体連通し、該少なくとも2つの流体チャネルのうちの1つが、第3の略線形部分内の流体チャネルと流体連通する。別の側面では、第2のスプリッタは、第2の略線形部分に沿った流体チャネルを少なくとも2つの流体チャネルに分割し、それによって、該少なくとも2つの流体チャネルは、対応する出口ポートと流体連通する。さらなる側面では、第3のスプリッタは、第3の略線形部分に沿った流体チャネルを少なくとも2つの流体チャネルに分割し、それによって、該少なくとも2つの流体チャネルは、対応する出口ポートと流体連通する。
【0025】
本発明のある実施形態では、粒子を単離する方法が提供されている。本方法は、(a)粒子と、常磁性媒体を含む、処理溶液を形成するステップと、(b)粒子単離デバイスを通して処理溶液を通過させるステップであって、本デバイスは、流体チャネルを含む、流体チャネル構造と、流体チャネルの反対側に位置付けられる、少なくとも2つの磁気構成要素とを含み、2つの磁気構成要素は、流体チャネル内に非対称磁場を生成し、それによって、粒子が非対称磁場を通して通過するにつれて、それらを単離し、それによって、単離された粒子を発生させる、ステップと、(c)単離された粒子を観察、分析、記録、および/または収集するステップとを含む。
【0026】
一側面では、本発明の方法は、流体チャネルによって相互接続される、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを含む、流体チャネル構造を用いて実践され、流体チャネルは、入力ポートと流体連通する先端と、出力ポートと流体連通する末端とを有する、略線形部分を含み、少なくとも2つの磁気構成要素は、流体チャネルの略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられ、少なくとも2つの磁気構成要素は、流体チャネルの略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成され、随意に、1つ以上のポンプは、少なくとも1つの入力ポートから流体チャネルを通して、少なくとも1つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成され、本方法はさらに、流体チャネルを通して処理溶液を圧送するステップを含み、単離された粒子を観察、分析、および/または記録するステップは、流体チャネルの略線形部分に沿って単離された粒子を観察、分析、および/または記録するステップ、および/または少なくとも1つの出力ポートから単離された粒子を収集するステップを含む。
【0027】
さらなる側面では、常磁性媒体は、常磁性材料と、溶媒を含む。別の側面では、常磁性媒体は、常磁性材料と、塩と、細胞の完全性を維持するように機能する他の添加剤を含む。別の側面では、常磁性媒体は、生体適合性である。
【0028】
さらなる側面では、常磁性材料は、ガドリニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ガリウム、ジスプロシウム、それらのイオン、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。さらなる側面では、常磁性材料は、チタン(III)イオン、ガドリニウム(III)イオン、バナジウム(I)イオン、ニッケル(II)イオン、クロム(III)イオン、ジスプロシウム(III)イオン、バナジウム(III)イオン、コバルト(II)イオン、またはガリウム(III)イオンを含む。さらなる側面では、常磁性材料は、キレート化合物を含む。さらなる側面では、常磁性材料は、ガドリニウムキレート、ジスプロシウムキレート、またはマンガンキレートを含む。
【0029】
別の側面では、常磁性材料は、少なくとも10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、150mM、200mM、250mM、300mM、500mM、または1Mの濃度において常磁性媒体内に存在する。さらなる側面では、常磁性材料は、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、約50mM~約100mM、約100mM~約150mM、約150mM~約200mM、約200mM~約250mM、約250mM~約300mM、約300mM~約500mM、または約500mM~約1Mの濃度において常磁性媒体内に存在する。
【0030】
別の側面では、常磁性材料は、ガドリニウムを含み、少なくとも約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、または100mMの濃度において常磁性媒体内に存在する。さらなる側面では、常磁性材料は、ガドリニウムを含み、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、または約50mM~約100mMの濃度において常磁性媒体内に存在する。
【0031】
別の側面では、少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、粒子の密度は、常磁性材料の密度よりも大きく、下側磁石によって生成される磁場は、上側磁石によって生成される磁場よりも大きい。別の側面では、粒子の密度は、常磁性材料の密度未満であり、下側磁石によって生成される磁場は、上側磁石によって生成される磁場未満である。
【0032】
別の側面では、処理溶液が、非対称磁場を通して通過するにつれて、着目粒子は、実質的に類似する平衡高度に到達するであろう。さらなる側面では、少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、処理溶液内に含有される粒子の実質的に全ては、平衡高度に到達し、粒子の最高平衡高度と粒子の最低平衡高度との間の差異(すなわち、平衡高度分布)は、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の35%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の30%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の25%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の20%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の15%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の10%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の8%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の6%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の5%未満に等しい。ある側面では、実質的に全ての着目粒子の平衡高度分布は、約5,000ミクロン未満、4,000ミクロン未満、3,000ミクロン未満、2,000ミクロン未満、1,000ミクロン未満、500ミクロン未満、300ミクロン未満、または200ミクロン未満である、または着目粒子の実質的に全ての平衡高度分布は、約1ミクロン~約5,000ミクロン、または約1ミクロン~約3,000ミクロン、または約1ミクロン~約1,000ミクロン、または約1ミクロン~約500ミクロン、または約1ミクロン~約200ミクロンである。
【0033】
本発明の方法によると、いったん実質的に全ての粒子が、平衡高度に到達すると、粒子は、処理溶液を複数の流出分画に幾何学的に分割するスプリッタを通して通過し、実質的に全ての粒子を含有する、1つまたは複数の流出分画が、収集され、それによって、粒子を単離する。本発明のある側面では、実質的に全ての粒子は、粒子の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含む。
【0034】
別の側面では、本発明の方法はさらに、常磁性媒体から単離された粒子を分離するステップを含む。別の側面では、粒子は、生体分子、細胞、細胞群、タンパク質、脂質、炭水化物、微生物、または細菌を含む。
【0035】
ある実施形態によると、(a)粒子と、常磁性媒体を含む、処理溶液を形成するステップと、(b)粒子単離デバイスを通して処理溶液を通過させるステップであって、本デバイスは、一連の流体チャネルを含む、流体チャネル構造と、少なくとも2つの処理区画とを備え、少なくとも2つの処理区画のうちの各処理区画は、流体チャネルの一部の反対側に位置付けられる、少なくとも2つの磁気構成要素を含み、2つの磁気構成要素は、流体チャネルのそれらの対応する部分内に非対称磁場を生成し、それによって、処理溶液の一部は、並行して少なくとも2つの処理区画を通して通過し、および/または処理溶液の一部または処理溶液の全ては、連続して少なくとも2つの処理区画を通して通過し、それによって、粒子が処理区画の非対称磁場を通して通過するにつれて、それらを単離する、ステップと、(c)単離された粒子を観察、分析、記録、および/または収集するステップとを含む、粒子を単離する方法が、提供される。
【0036】
ある側面では、本発明の方法は、一連の流体チャネルによって相互接続される、少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも2つの出力ポートとを含む、流体チャネル構造を含み、一連の流体チャネルは、第1の略線形部分と、第2の略線形部分と、第3の略線形部分とを含み、流体チャネル構造は、(i)少なくとも1つの入力ポートから第1の略線形部分まで、および第1の略線形部分から第2の略線形部分まで、および第2の略線形部分から少なくとも2つの出力ポートのうちの出力ポートまで延在する、第1の処理経路と、(ii)少なくとも1つの入力ポートから第1の略線形部分まで、および第1の略線形部分から第3の略線形部分まで、および第3の略線形部分から少なくとも2つの出力ポートのうちの出力ポートまで延在する、第2の処理経路とを含み、それぞれ、第1の略線形部分、第2の略線形部分、および第3の略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる、第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素であって、第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、または第3の対の磁気構成要素のうちの少なくとも1つは、その隣接する略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成され、1つ以上のポンプは、少なくとも1つの入力ポートから一連の流体チャネルを通して、少なくとも2つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成され、本方法は、第1の処理経路を通して処理溶液の一部を通過させ、第2の処理経路を通して処理溶液の一部を通過させるステップを含み、それによって、粒子が第1の略線形部分内の非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の第1の単離が存在し、それらが第2の略線形部分または第3の略線形部分のいずれかの非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の第2の単離が存在する。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
粒子単離デバイスであって、前記粒子単離デバイスは、流体チャネルと、略垂直軸に沿って前記流体チャネルの反対側に位置付けられる2つの磁気構成要素とを備え、前記2つの磁気構成要素は、前記流体チャネル内に非対称磁場を生成するように構成される、粒子単離デバイス。
(項目2)
前記磁場は、略垂直軸に沿って非対称である、項目1に記載の粒子単離デバイス。
(項目3)
前記2つの磁気構成要素は、前記2つの磁気構成要素のうちの第1の磁気構成要素が、前記2つの磁気構成要素のうちの第2の磁気構成要素によって生成される前記流体チャネル内の磁場よりも強い前記流体チャネル内の磁場を生成するように、前記流体チャネルに対して構成される、項目1に記載の粒子単離デバイス。
(項目4)
前記流体チャネルは、略線形部分を含み、前記2つの磁気構成要素は、前記略線形部分に沿って位置付けられる、項目1に記載の粒子単離デバイス。
(項目5)
粒子単離デバイスであって、
a)流体チャネルによって相互接続される少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを備える流体チャネル構造であって、前記流体チャネルは、略線形部分を含み、前記略線形部分は、前記少なくとも1つの入力ポートと流体連通する先端と、前記少なくとも1つの出力ポートと流体連通する末端とを備える、流体チャネル構造と、
b)前記流体チャネルの略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる2つの磁気構成要素であって、前記2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルの略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成される、2つの磁気構成要素と、
c)随意に、前記少なくとも1つの入力ポートから前記流体チャネルを通して前記少なくとも1つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成される1つ以上のポンプと
を備える、粒子単離デバイス。
(項目6)
前記2つの磁気構成要素は、前記2つの磁気構成要素のうちの第1の磁気構成要素が、前記2つの磁気構成要素のうちの第2の磁気構成要素によって生成される前記流体チャネル内の磁場よりも強い前記流体チャネル内の磁場を生成するように、前記流体チャネルに対して構成される、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目7)
前記2つの磁気構成要素は、永久磁石または電磁石を備える、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目8)
前記2つの磁気構成要素は、ネオジム-鉄、サマリウム-コバルト、またはフェライトを含む恒久棒磁石を備える、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目9)
前記2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記上側磁石は、前記下側磁石よりも大型であるか、または、前記下側磁石は、前記上側磁石よりも大型である、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目10)
前記流体チャネルの略線形部分の末端は、前記流体チャネルを少なくとも2つのチャネルに区分化するスプリッタを備える、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目11)
前記スプリッタは、前記流体チャネルが、前記2つの磁気構成要素の間にある位置において分割されるように、前記流体チャネル内に位置する、項目10に記載の粒子単離デバイス。
(項目12)
前記スプリッタは、前記流体チャネルを複数の垂直に離間されたコンパートメントに区分化する、項目10に記載の粒子単離デバイス。
(項目13)
前記少なくとも1つの入力ポート、前記少なくとも1つの出力ポート、および前記流体チャネルは、統合型流体チップまたはカートリッジ内に含有される、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目14)
前記非対称磁場は、略垂直軸に沿って非対称である、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目15)
前記デバイスはさらに、前記流体チャネル内の流体流および/または前記少なくとも1つの出力ポートからの流体流を制御するための1つ以上の弁を備える、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目16)
前記デバイスはさらに、粒子が前記非対称磁場を通して通過するにつれて、前記粒子の画像を可視化および/または記録するためのデバイスを備える、項目5に記載の粒子単離デバイス。
(項目17)
前記デバイスはさらに、前記非対称磁場が生成される前記流体チャネルの一部の可視化を可能にするように構成される可視化窓を備える、項目16に記載の粒子単離デバイス。
(項目18)
粒子単離デバイスであって、
a)流体チャネル構造であって、前記流体チャネル構造は、一連の流体チャネルによって相互接続される少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも2つの出力ポートとを備え、前記一連の流体チャネルは、第1の略線形部分を備える第1の流体チャネルと、第2の略線形部分を備える第2の流体チャネルと、第3の略線形部分を備える第3の流体チャネルとを備え、前記流体チャネル構造は、第1の処理経路であって、前記少なくとも1つの入力ポートから前記第1の略線形部分まで延在し、前記第1の略線形部分から前記第2の略線形部分まで延在し、前記第2の略線形部分から前記少なくとも2つの出力ポートのうちの第1の出力ポートまで延在する、第1の処理経路と、第2の処理経路であって、前記少なくとも1つの入力ポートから前記第1の略線形部分まで延在し、前記第1の略線形部分から前記第3の略線形部分まで延在し、前記第3の略線形部分から前記少なくとも2つの出力ポートのうちの第2の出力ポートまで延在する、第2の処理経路とを備える、流体チャネル構造と、
b)それぞれ、前記第1の略線形部分、前記第2の略線形部分、および第3の略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる、第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素であって、前記第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、または第3の対の磁気構成要素のうちの少なくとも1つは、その隣接する略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成される、第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素と、
c)随意に、前記少なくとも1つの入力ポートから前記一連の流体チャネルを通して、前記少なくとも2つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成される、1つ以上のポンプと
を備える、粒子単離デバイス。
(項目19)
1つ以上の付加的処理区画をさらに備え、前記1つ以上の付加的処理区画はそれぞれ、両側に一対の磁気構成要素が並んだ略線形流体チャネル部分を備え、それによって、前記1つ以上の付加的処理区画は、前記第1の略線形部分、前記第2の略線形部分、または前記第3の略線形部分のうちの少なくとも1つと流体連通し、前記1つ以上の付加的処理区画は、前記第1の略線形部分、前記第2の略線形部分、または前記第3の略線形部分のうちの少なくとも1つと並列または直列に位置付けられる、項目18に記載の粒子単離デバイス。
(項目20)
前記第1の対の磁気構成要素は、前記第1の略線形部分内で略垂直軸に沿って対称磁場を生成するように構成され、前記第2の対の磁気構成要素は、前記第2の略線形部分内で略垂直軸に沿って非対称磁場を生成するように構成され、前記第3の対の磁気構成要素は、前記第3の略線形部分内で略垂直軸に沿って非対称磁場を生成するように構成される、項目18に記載の粒子単離デバイス。
(項目21)
前記第1の対の磁気構成要素は、前記第1の略線形部分の上方に位置付けられる第1の上側棒磁石と、前記第1の略線形部分の下方に位置付けられる第1の下側棒磁石とを備え、前記第1の上側磁石および第1の下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられ、前記第2の対の磁気構成要素は、前記第2の略線形部分の上方に位置付けられる第2の上側棒磁石と、前記第2の略線形部分の下方に位置付けられる第2の下側棒磁石とを備え、前記第2の上側磁石および第2の下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられ、前記第3の対の磁気構成要素は、前記第3の略線形部分の上方に位置付けられる第3の上側棒磁石と、前記第3の略線形部分の下方に位置付けられる第3の下側棒磁石とを備え、前記第3の上側磁石および第3の下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられる、項目20に記載の粒子単離デバイス。
(項目22)
前記第2の上側棒磁石は、前記第2の下側棒磁石よりも強い磁場を放出し、前記第3の下側棒磁石は、前記第3の上側棒磁石よりも強い磁場を放出する、項目21に記載の粒子単離デバイス。
(項目23)
前記第2の上側棒磁石は、前記第2の下側棒磁石よりも強い磁場を放出する2つ以上の磁石を備え、前記第3の下側棒磁石は、前記第3の上側棒磁石よりも強い磁場を放出する2つ以上の磁石を備える、項目21に記載の粒子単離デバイス。
(項目24)
前記第1の略線形部分内の前記第1の流体チャネルの終端に沿って開始する第1のスプリッタと、前記第2の略線形部分内の前記第2の流体チャネルの終端に沿って開始する第2のスプリッタと、前記第3の略線形部分内の前記第3の流体チャネルの終端に沿って開始する第3のスプリッタとをさらに備える、項目20に記載の粒子単離デバイス。
(項目25)
前記第1のスプリッタは、前記第1の略線形部分に沿った前記第1の流体チャネルを少なくとも2つの流体チャネルに分割し、それによって、前記少なくとも2つの流体チャネルのうちの第1のチャネルが、前記第2の略線形部分内の前記第2の流体チャネルと流体連通し、前記少なくとも2つの流体チャネルのうちの第2のチャネルが、前記第3の略線形部分内の前記第3の流体チャネルと流体連通する、項目24に記載の粒子単離デバイス。
(項目26)
前記第2のスプリッタは、前記第2の略線形部分に沿った前記第2の流体チャネルを少なくとも2つの流体チャネルに分割し、それによって、前記少なくとも2つの流体チャネルは、対応する出口ポートと流体連通する、項目24に記載の粒子単離デバイス。
(項目27)
前記第3のスプリッタは、前記第3の略線形部分に沿った前記第3の流体チャネルを少なくとも2つの流体チャネルに分割し、それによって、前記少なくとも2つの流体チャネルは、対応する出口ポートと流体連通する、項目24に記載の粒子単離デバイス。
(項目28)
粒子を単離する方法であって、
a)粒子と、常磁性媒体とを含む処理溶液を形成することと、
b)粒子単離デバイスを通して前記処理溶液を通過させることであって、前記デバイスは、流体チャネルを備える流体チャネル構造と、前記流体チャネルの反対側に位置付けられる少なくとも2つの磁気構成要素とを備え、前記2つの磁気構成要素は、前記流体チャネル内に非対称磁場を生成し、それによって、前記粒子が前記非対称磁場を通して通過するにつれて、それらを単離し、それによって、単離された粒子を発生させる、ことと、
c)前記単離された粒子を観察、分析、記録、および/または収集することと
を含む、方法。
(項目29)
a)流体チャネル構造は、前記流体チャネルによって相互接続される少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも1つの出力ポートとを備え、前記流体チャネルは、前記入力ポートと流体連通する先端と、前記出力ポートと流体連通する末端とを備える略線形部分を含み、前記少なくとも2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルの略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられ、前記少なくとも2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルの略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成され、
b)随意に、1つ以上のポンプは、前記少なくとも1つの入力ポートから前記流体チャネルを通して、前記少なくとも1つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成され、
c)前記方法はさらに、前記流体チャネルを通して前記処理溶液を圧送することを含み、前記単離された粒子を観察、分析、および/または記録することは、前記流体チャネルの略線形部分に沿って前記単離された粒子を観察、分析、および/または記録すること、および/または前記少なくとも1つの出力ポートから前記単離された粒子を収集することを含む、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記常磁性媒体は、常磁性材料と、溶媒とを含む、項目28に記載の方法。
(項目31)
前記常磁性媒体は、常磁性材料と、塩と、細胞の完全性を維持するように機能する他の添加剤とを含む、項目28に記載の方法。
(項目32)
前記常磁性媒体は、生体適合性である、項目28に記載の方法。
(項目33)
前記常磁性材料は、ガドリニウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ガリウム、ジスプロシウム、それらのイオン、またはそれらの組み合わせを含む、項目30に記載の方法。
(項目34)
前記常磁性材料は、チタン(III)イオン、ガドリニウム(III)イオン、バナジウム(I)イオン、ニッケル(II)イオン、クロム(III)イオン、バナジウム(III)イオン、ジスプロシウム(III)イオン、コバルト(II)イオン、またはガリウム(III)イオンを含む、項目30に記載の方法。
(項目35)
前記常磁性材料は、キレート化合物を含む、項目30に記載の方法。
(項目36)
前記常磁性材料は、ガドリニウムキレート、ジスプロシウムキレート、またはマンガンキレートを含む、項目30に記載の方法。
(項目37)
前記常磁性材料は、少なくとも10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、150mM、200mM、250mM、300mM、500mM、または1Mの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、項目30に記載の方法。
(項目38)
前記常磁性材料は、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、約50mM~約100mM、約100mM~約150mM、約150mM~約200mM、約200mM~約250mM、約250mM~約300mM、約300mM~約500mM、または約500mM~約1Mの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、項目30に記載の方法。
(項目39)
前記常磁性材料は、ガドリニウムを含み、少なくとも10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、または100mMの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、項目30に記載の方法。
(項目40)
前記常磁性材料は、ガドリニウムを含み、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、または約50mM~約100mMの濃度において前記常磁性媒体内に存在する、項目30に記載の方法。
(項目41)
前記少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記粒子の密度は、前記常磁性媒体の密度よりも大きく、前記下側磁石によって生成される磁場は、前記上側磁石によって生成される磁場よりも大きい、項目30に記載の方法。
(項目42)
前記少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記粒子の密度は、前記常磁性媒体の密度未満であり、前記下側磁石によって生成される磁場は、前記上側磁石によって生成される磁場未満である、項目30に記載の方法。
(項目43)
前記処理溶液が、前記非対称磁場を通して通過するにつれて、前記粒子は、実質的に類似する平衡高度に到達する、項目28に記載の方法。
(項目44)
前記少なくとも2つの磁気構成要素は、上側磁石と、下側磁石とを備え、前記処理溶液内に含有される前記粒子の実質的に全ては、平衡高度に到達し、前記粒子の最高平衡高度と前記粒子の最低平衡高度との間の差異は、前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の35%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の30%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の25%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の20%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の15%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の10%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の8%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の6%未満、または前記上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の5%未満に等しい、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記粒子の実質的に全ての平衡高度分布は、約5,000ミクロン未満、4,000ミクロン未満、3,000ミクロン未満、2,000ミクロン未満、1,000ミクロン未満、500ミクロン未満、300ミクロン未満、または200ミクロン未満である、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記粒子の実質的に全ての平衡高度分布は、約1ミクロン~約5,000ミクロン、または約1ミクロン~約3,000ミクロン、または約1ミクロン~約1,000ミクロン、または約1ミクロン~約500ミクロン、または約1ミクロン~約200ミクロンである、項目44に記載の方法。
(項目47)
前記実質的に全ての粒子は、前記粒子の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含む、項目45または項目46に記載の方法。
(項目48)
いったん前記粒子の実質的に全てが平衡高度に到達すると、前記粒子は、前記処理溶液を複数の流出分画に幾何学的に分割するスプリッタを通して通過し、前記粒子の実質的に全てを含む前記複数の流出分画のうちの1つ以上の流出分画が、収集され、それによって、前記粒子を単離する、項目28に記載の方法。
(項目49)
前記粒子の実質的に全ては、前記粒子の少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、または95%を含む、項目44、45、または48に記載の方法。
(項目50)
前記常磁性媒体から前記単離された粒子を分離するステップをさらに含む、項目28、44、45、または48に記載の方法。
(項目51)
前記粒子は、生体分子、細胞、細胞群、タンパク質、脂質、炭水化物、微生物、または細菌を含む、項目28に記載の方法。
(項目52)
粒子を単離する方法であって、
a)前記粒子と、常磁性媒体とを含む処理溶液を形成することと、
b)粒子単離デバイスを通して前記処理溶液を通過させることであって、前記デバイスは、一連の流体チャネルを備える流体チャネル構造と、少なくとも2つの処理区画とを備え、前記少なくとも2つの処理区画のうちの各処理区画は、前記流体チャネルの一部の反対側に位置付けられる少なくとも2つの磁気構成要素を備え、前記2つの磁気構成要素は、前記流体チャネルのそれらの対応する部分内に非対称磁場を生成し、それによって、前記処理溶液の一部は、並行して前記少なくとも2つの処理区画を通して通過し、および/または前記処理溶液の一部または前記処理溶液の全ては、連続して前記少なくとも2つの処理区画を通して通過し、それによって、前記粒子が前記処理区画の非対称磁場を通して通過するにつれて、それらを単離する、ことと、
c)前記単離された粒子を観察、分析、記録、および/または収集することと
を含む、方法。
(項目53)
(i)前記流体チャネル構造は、前記一連の流体チャネルによって相互接続される少なくとも1つの入力ポートと、少なくとも2つの出力ポートとを備え、前記一連の流体チャネルは、第1の略線形部分と、第2の略線形部分と、第3の略線形部分とを備え、前記流体チャネル構造は、
A.(i)第1の処理経路であって、前記少なくとも1つの入力ポートから前記第1の略線形部分まで延在し、前記第1の略線形部分から前記第2の略線形部分まで延在し、前記第2の略線形部分から前記少なくとも2つの出力ポートのうちの出力ポートまで延在する、第1の処理経路と、
B.(ii)第2の処理経路であって、前記少なくとも1つの入力ポートから前記第1の略線形部分まで延在し、前記第1の略線形部分から前記第3の略線形部分まで延在し、前記第3の略線形部分から前記少なくとも2つの出力ポートのうちの出力ポートまで延在する、第2の処理経路と
を含み、
(ii)それぞれ、前記第1の略線形部分、前記第2の略線形部分、および第3の略線形部分の反対側に略垂直に位置付けられる、第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素であって、前記第1の対の磁気構成要素、第2の対の磁気構成要素、および第3の対の磁気構成要素のうちの少なくとも1つは、その隣接する略線形部分内に非対称磁場を生成するように構成され、
(iii)随意に、1つ以上のポンプは、前記少なくとも1つの入力ポートから前記一連の流体チャネルを通して、前記少なくとも2つの出力ポートから外に流体を駆動するように構成され、
(iv)前記方法は、前記第1の処理経路を通して前記処理溶液の一部を通過させ、前記第2の処理経路を通して前記処理溶液の一部を通過させることを含み、それによって、前記粒子が前記第1の略線形部分内の前記非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の第1の単離が存在し、それらが前記第2の略線形部分または前記第3の略線形部分のいずれかの非対称磁場を通して通過するにつれて、粒子の第2の単離が存在する、項目52に記載の方法。
(項目54)
チャネルを備える粒子単離デバイスであって、前記チャネルの一方の端部は、少なくとも2つのチャネルに分岐され、前記2つのチャネルは、前記粒子単離デバイス内で相互と略平行であり、磁石が、前記2つの略平行チャネルの間に位置付けられ、前記磁石は、磁力によって前記チャネル内の粒子を分離するように構成される、粒子単離デバイス。
(項目55)
粒子単離デバイスであって、前記粒子単離デバイスは、ウェルのアレイと、磁石のアレイとを備え、前記磁石のアレイのうちの第1の磁石は、前記ウェルのアレイのうちの第1のウェルと第2のウェルとの間に位置付けられ、前記第1の磁石は、前記第1のウェルおよび第2のウェル内の粒子を分離するように構成される、粒子単離デバイス。
(項目56)
前記粒子単離デバイスは、前記第1のウェル内で流体サンプルを循環させるように構成される、請求求55に記載の粒子単離デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、従来技術のデバイスに存在する磁場の説明図である。
【0038】
図2図2は、本発明による、デバイスに存在する磁場の説明図である。
【0039】
図3図3Aおよび3Bは、本発明による、非対称磁場に起因する偏移中性線の説明図である。
【0040】
図4図4Aおよび4Bは、本発明による、粒子の単離への偏移中性線の影響の説明図である。
【0041】
図5図5は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の平面図である。
【0042】
図6図6は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の平面図である。
【0043】
図7図7は、図5の線7-7に沿って得られた処理区画50の終端60のキャピラリ32の断面図である。
【0044】
図8図8は、図5の線7-7に沿って得られた処理区画50の終端60のキャピラリ32の断面図の代替実施形態である。
【0045】
図9図9は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の平面図である。
【0046】
図10図10は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の斜視図である。
【0047】
図11図11は、いくつかの内部詳細が可視である、図10に示される粒子単離デバイスの図である。
【0048】
図12図12は、点線のボックス12によって示される、図11に示される粒子単離デバイスの一部の拡大斜視図である。
【0049】
図13図13は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の斜視図である。
【0050】
図14図14は、図13に示される処理チャネル78の末端の拡大斜視図である。
【0051】
図15図15は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の斜視図である。
【0052】
図16図16は、線B-Bに沿って得られ、磁石116が示される、図15に示されるデバイスの断面図である。
【0053】
図17図17Aおよび17Bは、本発明による、粒子単離デバイスの代替磁石構成の斜視図である。
【0054】
図18図18は、本発明による、粒子単離デバイスの代替磁石構成の斜視図である。
【0055】
図19図19は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の斜視図である。
【0056】
図20図20は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の斜視図である。
【0057】
図21図21は、本発明による、粒子単離デバイスの代替実施形態の斜視図である。
【0058】
図22図22Aおよび22Bは、本発明のある実施形態による、従来技術の流体チャネル(図22A)および流体チャネル(図22B)の断面図である。
【0059】
図23図23は、本発明による、粒子の単離を図示する写真である。
【0060】
図24図24は、図23に示される単離された粒子の粒子分布を示すグラフである。
【0061】
図25図25は、共有中心磁石を伴う分岐平行チャネルデバイスの概念図である。
【0062】
図26図26は、隣接ウェルの間で磁石を共有する、ウェル検定粒子分離デバイスの概念図である。
【0063】
図27図27は、粒子密度(gm/cm)対z軸に沿った位置(cm)の差異を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0064】
I. 定義/用語
以下の定義が、本発明の理解を補助するために提供される。別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語、表記法、および他の科学または工学用語または用語集は、当業者によって一般的に理解される意味を有することを意図している。ある場合には、一般的に理解される意味を伴う用語が、明確にするために、および/または容易な参照のために本明細書で定義され、本明細書のそのような定義の包含は、概して当技術分野内で理解されるものに対して実質的な差異を表すと仮定されるべきではなく、そのような一般的理解を補完することを意図している。本明細書の定義が、概して当技術分野内で理解されるものと矛盾する限りにおいて、別様に明示的に記述されない限り、本明細書で提供される定義および概して当技術分野内で理解されるものは両方とも、代替実施形態として本発明の範囲内に該当すると見なされるものとする。
【0065】
本明細書で使用されるように、別様に示されない限り、「contain(~を含有する)」、「containing(~を含有する)」、「include(~を含む)」、「including(~を含む)」、および同等物等の非制約的用語は、「comprising(~を備える)」を意味する。
【0066】
本明細書のいくつかの実施形態は、数値範囲を検討する。数値範囲が、提供されるとき、範囲は、別様に示されない限り、範囲終点を含む。別様に示されない限り、数値範囲は、明示的に書き出された場合のように、その中の全ての値および部分的範囲を含む。
【0067】
本明細書で使用されるように、冠詞「a」は、明示的に記述されない限り、「1つ以上の」を意味する。
【0068】
本明細書のいくつかの値は、用語「約」によって修飾される。いくつかの事例では、基準数値に関連する用語「約」は、その値からプラスまたはマイナス10%の値の範囲を含むことができる。例えば、量「約10」は、9~11の量を含むことができる。他の実施形態では、基準数値に関連する用語「約」は、その値からプラスまたはマイナス10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、または1%の値の範囲を含むことができる。一連の値が、用語「約」を前置きされる場合、本用語は、一連の中に含まれる各値を修飾することを意図している。
【0069】
本明細書で使用されるように、磁場についての用語「非対称」は、関連付けられる流体チャネルの領域内の磁場が、流体チャネルの中心を通して通過する、1つ以上の平面を中心として対称ではなく、好ましい実施形態によると、水平面を中心として対称ではないことを意味する。
【0070】
本明細書で使用されるように、用語「キャピラリ」、「マイクロキャピラリ」、または「キャピラリ管」は、下記に本明細書で定義されるようなチャネルを有する管を指す。
【0071】
本明細書で使用されるように、用語「チャネル」、「流動チャネル」、「流体チャネル(fluid channel)」、および「流体チャネル(fluidic channel)」は、同義的に使用され、流体が流動し得る、流体デバイス上の経路を指す。チャネルは、約30mm、約25mm、約20mm、約15mm、約10mm、約5mm、約5mm、約3mm、約2mm、約1mm、または約0.5mmの最大内部寸法(例えば、高度または厚さ)を伴う経路を含む。チャネルの内部高度は、その断面を横断して一様ではない場合があり、幾何学的に、断面は、円形、正方形、卵形、長方形、または六角形を含む、任意の形状であってもよい。用語「チャネル」は、限定ではないが、マイクロチャネルおよびナノチャネルを含み、本明細書のチャネルの任意の言及に関して、そのようなチャネルは、マイクロチャネルまたはナノチャネルを備えてもよい。
【0072】
本明細書で使用されるように、用語「濃度」は、第2の成分内に含有される第1の成分の量を意味し、単位体積あたりの粒子の数、単位体積あたりのモル量、単位体積あたりの重量に基づく、または複合成分の体積あたりの第1の成分の体積に基づいてもよい。
【0073】
本明細書で使用されるように、用語「流体的に結合される」または「流体連通」は、流体が、そのように結合される、または連通する、2つの構成要素の間で流動し得ることを意味する。
【0074】
本明細書で使用されるように、成分を参照した用語「単離する」または「単離すること」は、他の成分からそのような成分を分離することを意味し、溶液内の成分の濃度を増加させること、または溶液内の他の成分から成分を分離すること、または溶液内の他の成分からそのような成分を分離しながら、溶液内の成分の濃度を増加させることの両方の組み合わせを含む。溶液内の粒子は、溶液内の他の粒子から隔離された、および/または溶液の定義された部分内に位置付けられた場合に、「単離された」と見なされる。溶液内の粒子または成分はまた、溶液を処理した後に、そのような粒子または成分の濃度が、少なくとも約100:1、90:1、80:1、70:1、60:1、50:1、40:1、30:1、20:1、10:1、5:1、または2:1の比だけ増加される場合に、「単離された」と見なされる。他の粒子を含有する溶液内の着目粒子は、そのような溶液を処理した後に、そのような他の粒子の濃度に対するそのような着目粒子の濃度の比が増加される場合、またはそのような他の粒子の濃度に対するそのような着目粒子の濃度の比が、少なくとも約50%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、または1000%増加される場合、またはそのような他の成分の濃度が、それらの初期濃度に対して、または存在したままである類似サイズの粒子の割合として、約50%未満、20%未満、15%未満、10%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、または0.5%未満まで減少される場合に、「単離された」と見なされる。
【0075】
本明細書で使用されるように、用語「流体」は、本明細書の上記に定義されるような少なくとも1つの「チャネル」を含む、流体サンプルを取り扱う、処理する、放出する、および/または分析するためのシステム、デバイス、または要素を指す。用語「流体」は、限定ではないが、マイクロ流体およびナノ流体を含む。
【0076】
本明細書で使用されるように、用語「流体機能」は、限定ではないが、濾過、ポンプ、流体流調節、流体流の制御、および同等物を含む、流体システム内の流体またはサンプルに実施される、または表される、任意の動作、機能、またはプロセスを指す。
【0077】
本明細書で使用されるように、用語「粒子」は、任意の方向へのその最大寸法が、約3mm未満、2mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm未満、100ミクロン未満、75ミクロン未満、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、20ミクロン未満、または10ミクロン未満である、限定ではないが、原子、化学元素、分子、化合物、生体分子、細胞、タンパク質、脂質、炭水化物、微生物、細菌、または任意の物理的物質を含む、任意の物質を指す。
【0078】
本明細書で使用されるように、用語「ポート」は、例えば、流体チャネルを使用して、2つの要素の間に流体連通を提供するための構造を指す。
【0079】
本明細書に説明される方法およびステップは、ある順序で生じる、ある事象を示すが、当業者は、あるステップの順序付けが、修正され得、そのような修正は、本発明の変形例によるものであることを認識するであろう。加えて、あるステップが、可能であるときに並行プロセスにおいて並行して実施されるとともに、連続的に実施されてもよい。
II. 非対称磁場
【0080】
本開示は、磁気浮上を使用することによって、粒子を単離するためのデバイスを提供する。磁気浮上は、粒子への重力に対抗し、それによって、同様の粒子を媒体内で平衡高度まで上昇または降下させるための磁場の使用を指す。任意の所与の粒子に関する平衡高度は、粒子および媒体の相対磁化率、粒子および媒体の相対密度、粒子のサイズ、および磁場の強度を含む、多数の要因によって決定されることができる。いったん同様の粒子が、それらの平衡高度に到達すると、種々の分画が、次いで、同様の粒子を単離するように収集されることができる、または代替として、種々の処置が、次いで、1つ以上の分画に標的化され、それによって、そのような分画内の同様の粒子へのそのような処置を単離することができる。好ましい実施形態によると、そのような分画は、粒子および媒体を含有する流体チャネルの高度に沿って略垂直分画を備える。
【0081】
ある実施形態では、本デバイスは、流体チャネルと、流体チャネルの少なくとも一部に沿って非対称磁力を及ぼすように構成される磁場源とを含む。磁力の非対称性が、少なくとも流体チャネルの1つの軸に沿って存在する。好ましくは、磁力は、少なくとも流体チャネルの垂直軸に沿って非対称である。代替として、磁力は、流体チャネルの垂直軸のみに沿って非対称である。本発明の他の実施形態では、磁力は、流体チャネルの垂直軸および流体チャネルの少なくとも1つの付加的軸に沿って非対称である、または磁力は、流体チャネルの3つ全ての軸に沿って非対称である。
【0082】
従来技術のデバイスによると、同じ磁石が、それらの磁極に対して反発配向で流体チャネルの上方および下方に対称に設置され、それによって、流体チャネルの垂直軸に沿って対称磁力をもたらす。そのような従来技術のデバイスによる、2つの対向する同じ磁石の磁力線2が、図1に図示される。図1に示されるように、同じ磁石が、利用されるとき、2つの対向する磁石によって及ぼされる力が相互を打ち消す、中性線4(またはゼロ磁場面)が、2つの磁石の間の真中にある垂直位置において生じるであろう。
【0083】
本発明のある実施形態によると、流体チャネルの片側の粒子に及ぼされる力が、流体チャネルの反対側の同じ粒子に及ぼされる力よりも大きく、それによって、流体チャネルと垂直な非対称磁力をもたらす、磁石構成が、使用される。本力の不均衡は、1つのより強い磁石を使用すること、または流体チャネルの片側で複数の磁石を使用することによって達成され得る。より強い磁石が、類似幾何学形状であるが、より強い内部磁化を伴う単一の磁石、またはより大きい軸方向寸法および同一の磁化を伴う磁石を使用することによって、達成され得る。図2は、本発明による、下側磁石8が、上側磁石10よりも強い、2つの対向する磁石の磁力線2を図示する。図2に図示されるように、中性線6は、垂直に偏移する、またはより弱い磁石に向かって付勢される。図3Aおよび3Bは、本中性線偏移が、上側磁石10と下側磁石8との間に間置される流体チャネル12内で生じる磁力線2に影響を及ぼすであろう様子を図示する。図3Aは、従来技術の構成を図示し、図3Bは、本発明による構成を図示する。図3Bに図示されるように、流体チャネルの下のより大型の磁石の使用は、磁石が、同一の磁気強度を有し、2つの磁石の間の垂直中間点において生じる対称中性線4をもたらす、対称磁場を付与する、図3に示される構成と比較して、中性線6を偏移させる、またはより弱い上側磁石10に向かって上向きに付勢させる。
【0084】
製造の間に完全に磁化される、所与のグレードの磁石に関して、極表面における表面磁場強度は、磁化と平行な方向に磁石の寸法とともに増加する。したがって、磁石寸法のうちの2つを固定された状態に保つが、分離または磁場軸(すなわち、垂直軸)の長さを増加させることによって、磁石の強度が、増加されることができる。対称構成では、これは、単に、任意の点において磁場または勾配を増加させることができる。例えば、底部磁石のみが増加される、非対称構成では、対向する磁石の間のゼロ磁場面または中性線が、より弱い磁石に向かって(上向きに)押動されることができる。
【0085】
図4Aおよび4Bは、中性線4、6の垂直偏移が、第1の粒子14および第2の粒子16を単離するために、本発明による浮上デバイスの動作に影響を及ぼす様子の実施例を図示する。特に、本発明によると、着目粒子が、磁気応答性媒体と組み合わされ、流体チャネルの上方および下方に位置する磁石が両側に並んだ流体チャネルを通して通過される。媒体自体よりも高密度である磁気応答性媒体内の全ての粒子が、中性線の下方の位置において浮上するであろう。図4Bに図示されるように、本発明による非対称磁場の使用、および上向きの中性線6の結果として生じる偏移は、(図4Aに示される従来技術のデバイスと同様に)浮上高度の広がりを磁石の間の利用可能な垂直空間のちょうど半分に制約することを回避し、粒子分離のためのより広い場および分離の光学可視化のためのより広い場を可能にする。さらに、本発明は、流体チャネルのより大きい容積が利用され得るため、より大きい流体流を可能にする。
【0086】
逆に、一次着目粒子は、磁気応答性媒体よりも低密度であり、対称磁場が、粒子単離を流体チャネルの上半分に限定し得る。したがって、そのような用途では、より大型の磁場を流体チャネルの上側に付与し、それによって、中性線を下向きに偏移させる、磁気構成が、使用されることができる。
III. 浮上デバイス
【0087】
本発明による、浮上デバイスは、入力部分と、処理部分と、出力部分とを備えることができる。浮上デバイスは、入力、処理、および出力部分がそれぞれ、相互接続された個々の構成要素を備える、構成要素構成を備えてもよい。代替として、浮上デバイスは、入力、処理、および出力部分の部分が、例えば、流体チップ等の単一の構成要素に統合される、一体的構成を備えてもよい。本発明による、浮上デバイスの構成要素構成が、図5図6に図示され、一体的構成が、図9図16に図示される。
A. 構成要素構成
【0088】
図5および図6を参照すると、デバイスの入力部分、処理部分、および出力部分が、相互接続される別個の個々の構成要素を備える、本発明の浮上デバイス20の種々の実施形態が、示される。図5は、非対称磁場が、流体チャネル34の片側に1つのより大型の磁石36を含むことによって達成される、実施形態を図示する。図6は、非対称磁場が、流体チャネル34の片側に2つの磁石40を含むことによって達成され、2つの磁石40が、反発ではなく誘引配列で位置付けられる、実施形態を図示する。図6に示される様式で2つの磁石を組み合わせることは、図5に示されるようなモノリシックな単一の部品38よりもわずかに低い磁場強度を与えるが、依然として、有効非対称磁場をもたらす。
【0089】
図5を参照すると、浮上デバイス20は、支持構造と、支持構造搭載手段とを含む。図示される実施形態によると、支持構造は、支持構造22を備え、支持構造搭載手段は、複数の搭載孔24および搭載支柱26を備える。デバイスの入力部分は、入力マニホールド28を備える。デバイスの出力部分は、出力マニホールド42を備える。入力マニホールド28および出力マニホールド42は、それぞれ、図示される実施形態では、搭載孔およびねじを備える、入力マニホールド搭載手段30および出力マニホールド搭載手段44を使用して、支持構造22に搭載される。キャピラリ32が、その中に含有される保定スロットを介して、入力および出力マニホールド上に搭載される。
【0090】
デバイスの処理部分は、キャピラリ32と、上側磁石36と、下側磁石38とを備える。キャピラリ32は、キャピラリ32の長さに沿って、それを通して延在する流体チャネル34を含む。上側磁石36および下側磁石38は、それらが流体チャネル34に隣接して位置付けられ、上側磁石36が、キャピラリ32の上方に位置付けられ、下側磁石38が、キャピラリ32の下方に位置付けられるように、支持構造22上に搭載される。上側磁石36、下側磁石38、およびキャピラリ32は、略水平に平行であり、略垂直軸に沿って整合される。ある実施形態によると、キャピラリ32は、図5に図示されるように、上側磁石36と下側磁石38との間で垂直に心合されてもよい。代替として、キャピラリ32は、図6に図示されるように、2つの磁石のうちの1つに垂直により接近するように、上側磁石36と下側磁石38との間で垂直にオフセットされてもよい。
【0091】
上側磁石36および下側磁石38は、流体チャネル34内に非対称磁場を生成するように構成される。非対称磁場は、磁石のうちの一方から流体チャネル内で生成される磁場が、他方の磁石によって生成される磁場よりも大きい、磁石構成を選択することによって達成される。本明細書の下記により詳細に説明されるように、これは、磁石のサイズ、磁石の数、磁石のタイプ(例えば、磁性材料)、または流体チャネルに対する磁石の間隔に基づいて、種々の異なる磁気構成を使用することによって達成され得る。図5に示されるように、上側磁石36は、下側磁石38よりも大型であり、したがって、流体チャネル34内により大きい磁場を生成する。図6に示されるように、下側磁石38は、上側磁石36と同一のサイズである、2つのより小型の磁石を備え、したがって、組み合わせられた2つの下側磁石は、流体チャネル34内により大きい磁場を生成する。加えて、図6の下側磁石38によって流体チャネル34内で生成される磁場の強度は、上側磁石36よりも流体チャネル34の近くに下側磁石38を垂直に位置付けることによって向上される。
【0092】
ある実施形態によると、キャピラリ32は、入力開口部46と、出力開口部48と、流体チャネル処理区画50とを備える。処理区画50は、入力開口部46および出力開口部48と流体連通する、略線形流体チャネルを備える。ある場合には、処理区画50はさらに、上側磁石36と下側磁石38または40との間で整合する、流体チャネルのその部分として画定される。キャピラリ32は、流体チャネルを複数のチャネルに分割するスプリッタを含んでもよい。スプリッタは、好ましくは、磁石の間に流体を通過させることによって達成される任意の粒子単離が、流体がデバイスから退出するにつれて維持されるように、処理区画50内であるが、処理区画の終端60の近傍に位置付けられる。スプリッタは、処理区画50の終端60から出力開口部48まで延在する、1つ以上の略水平パーティションを備えてもよい。スプリッタ54の水平パーティション56は、図5の線7-7に沿って得られた処理区画50の終端60のキャピラリ32の断面図である、図7に図示される。図7に示されるスプリッタを組み込む実施形態によると、4つの垂直分画が、出力開口部48において収集されるであろう。加えて、スプリッタは、1つ以上の垂直パーティションを含み、それによって、出力開口部48に至る流出流体チャネルの水平および垂直グリッド(図8参照)を作成してもよい。
B. 一体的構成
【0093】
代替として、浮上デバイスは、入力部分、処理部分、および出力部分の部分が、例えば、流体チップ等の単一の構成要素に統合される、一体的構成を備えてもよい。図9図10、および図13に示されるように、入力マニホールド、流体チャネル、および出力マニホールドは、単一の統合型流体構成要素64を備えてもよい。本実施形態による、浮上デバイスは、統合型流体構成要素と、上側磁石と、下側磁石とを備える。統合型流体構成要素64は、単回使用使い捨てユニットであり得る、流体カートリッジ(図10および図15)またはチップ(図13)を備えてもよい。
【0094】
ここで図9図10、および図13を参照すると、好ましい実施形態では、浮上デバイス20は、統合型流体構成要素64と、支持構造22と、上側磁石36と、下側磁石38とを備える。図9に示されるように、統合型流体構成要素64、上側磁石36、および下側磁石38は、支持構造22上に搭載されてもよい。統合型流体構成要素64は、入力区分66と、出力区分68と、入力区分66と出力区分68との間に位置付けられる中心処理区分70とを備える。流体チャネル構造72は、入力区分66、出力区分68、および中心処理区分70を通して延在する。
【0095】
入力区分66は、流体チャネル構造72と流体連通する、1つ以上の入口ポート74を含む。入力区分66はまた、1つ以上の入力弁76(図13に示される)を含んでもよい。入力弁76は、流体チャネル構造72との入口ポートの連通の制御を可能にするように含まれてもよい。ある実施形態では、入力弁76は、チャネル内に位置付けられ、入口ポート74に隣接して位置付けられる。入力区分66はまた、図13に図示されるように、1つ以上のポンプ96を含んでもよい。
【0096】
流体チャネルは、入口ポート74から入力区分66を通して、中心処理区分70を通して延在する処理チャネル78の中に延在する。中心処理区分70は、上側磁石36および下側磁石38とともに、着目粒子が、磁場に暴露され、それによって、単離される、デバイスの機能部分である、デバイスの処理部分を形成する。下記により完全に説明されるように、上側磁石36および下側磁石38は、上側磁石36および下側磁石38が、処理チャネル78を横断して非対称磁力を生成するように、処理区分70を通して延在する処理チャネル78に隣接して位置付けられる。向上された動作可能性および製造可能性に関して、中心処理区分64は、入力区分60または出力区分62の平面からz軸においてオフセットされ、デバイスの全体を通して流体接続を維持し得る。
【0097】
処理チャネル78は、好ましくは、粒子が処理チャネル78内で(y軸に沿って)高度平衡により密接に接近するために要求される滞留時間に基づいて、かつシステムからの所望のスループットに基づいて、着目粒子を含有する流体を処理するための十分な時間を可能にするためにx軸(図13に示される)に沿って十分な長さを有する、伸長流体チャネルである。ある実施形態によると、処理チャネルは、約200ミクロン~約30mm、約200ミクロン~約20mm、約200ミクロン~約15mm、約200ミクロン~約10mm、約200ミクロン~約5mm、約200ミクロン~約2mm、約200ミクロン~約1mm、約0.5mm~約1mm、約0.5mm~約2mm、約0.5mm~約3mm、約1mm~約2mm、約1mm~約3mm、または約1.5mm~約2mmの高度を有する、流体チャネルである。ある実施形態によると、処理チャネル78は、約20mm~約200mm、約20mm~約150mm、約20mm~約100mm、約20mm~約50mm、約40mm~約100mm、約40mm~約90mm、または約40mm~約80mmの長さを有する。処理チャネル78は、任意の断面幾何学構成を有してもよく、正方形、長方形、円形、または卵形である断面幾何学構成を備えてもよい。本明細書に説明される処理チャネル78の幾何学的特性は、本発明の構成要素構成を参照して上記に説明される、キャピラリ32および流体チャネル34に等しく適用可能である。
【0098】
好ましい実施形態によると、処理チャネル78は、スプリッタとしての役割を果たす、1つ以上のチャネル分割器80を伴って終端する。本デバイスは、処理チャネル78の末端部分内に垂直に離間された略水平パーティションを備え得、処理チャネル78の末端部分に沿って複数の垂直に離間されたコンパートメント82を画定する、複数のチャネル分割器80を含んでもよい。代替として、チャネル分割器はまた、図8に図示されるような退出グリッドを作成するように、複数の水平に離間されたコンパートメントを画定する、1つ以上の水平に離間された略垂直パーティション84を含んでもよい。スプリッタは、デバイスによって処理される流体の種々の分画の収集を可能にし、それによって、流体内の単離された粒子の平衡位置に基づいて、単離された粒子が所与の分画で収集されることを可能にする。
【0099】
上側磁石36および下側磁石38が処理チャネル78のx軸に沿って生成する磁場は、x軸に沿った中心点において最も強い。処理流体が、処理チャネル78に沿って処理チャネル78の末端部分に向かって移動するにつれて、磁場は、減衰し始め得、配向もまた、変動し得る。流体経路が、このより空間的に可変の磁場を通して通過するにつれて、単離された粒子が、それらの平衡高度から移行し始める傾向が存在し得る。本傾向は、いったん粒子が磁石を越えて移動すると、悪化し得る。故に、好ましい実施形態によると、チャネル分割器80は、処理チャネル78の末端から処理チャネル78の中に戻るように延在し、図13に示される処理チャネル78の末端の拡大斜視図である、図14に図示されるように、上側磁石36の末端部分と下側磁石38の末端部分との間にある、処理チャネルの少なくとも一部に戻るように延在する。本構成は、磁場の空間的変動が単離の劣化をもたらす前に、単離された粒子の恒久分離を可能にすることができる。磁場減衰のレベルは、上側磁石と下側磁石との間の距離の関数であり得る。したがって、好ましい実施形態によると、チャネル分割器80は、上側磁石と下側磁石との間の間隙のサイズの少なくとも約10%~約300%、または約20%~約280%、約30%~約260%、約40%~約240%、約50%~約220%、約60%~約200%、約70%~約180%、または約80%~約160%である距離だけ、デバイスのx軸に沿って上側磁石36の末端部分および下側磁石38の末端部分と重複する。
【0100】
チャネル分割器は、複数の流出流体チャネル88(図9図11図12、および図14参照)を画定する。ある実施形態によると、本発明の浮上デバイスは、2、3、4、5、6、7、8、9、または10本の流出流体チャネルを画定する、スプリッタを含む。ある実施形態によると、本発明の浮上デバイスは、少なくとも2本、少なくとも3本、少なくとも4本、少なくとも5本、少なくとも6本、少なくとも7本、少なくとも8本、少なくとも9本、または少なくとも10本の流出流体チャネルを画定する、スプリッタを含む。ある実施形態によると、本発明の浮上デバイスは、2~4、5~7、または8~10本の流出流体チャネルを画定する、スプリッタを含む。本明細書に説明されるスプリッタ、および種々の結果として生じる流出流体チャネルは、本発明の構成要素構成を参照して上記に説明される、キャピラリ32および流体チャネル34の中に組み込まれてもよい。
【0101】
複数の流出流体チャネルは、処理チャネル78から対応する複数の出口ポート90まで延在する。複数の流出流体チャネルは、処理チャネル78から個別の流出チャネルを通して個別の出口ポートまでの流量を制御する、出力弁94等の流体流コントローラを含んでもよい。
【0102】
本発明による、流体カートリッジ98の代替実施形態が、図15および図16に示される。図16は、線B-Bに沿って得られた図15に示されるデバイスの断面図である。本実施形態によると、流体チャネル処理区画104を含む内部流体構造102と流体連通する、入口ポート100が含まれている。流体カートリッジ98はまた、流体チャネル処理区画104(図15に示される)に隣接し、磁石116(図16に示される)を受容するように適合される、2つの陥凹状部分106も含む。流体構造102は、流体チャネル処理区画104を、それぞれ出口ポート112に至る2つの流出チャネル110に分割する、スプリッタ108を含む。流体カートリッジ98はまた、流体チャネル処理区画104に隣接して位置付けられる可視化窓114も含む。可視化窓114は、図21に示されるデバイス等の光学デバイスが、流体チャネル処理区画104内の磁場に暴露されるにつれて粒子の観察および/またはビデオ録画を促進することを可能にするように適合される、実質的に透明な窓を備えてもよい。可視化窓114はまた、内容物の可視化が達成可能であるように、チャネルの十分に透明な区分を備えてもよい。
C. 磁石構成
【0103】
好ましい実施形態によると、磁石が、キャピラリ32(図5および図6)または中心処理区分70(図9および図13)の上方および下方に位置付けられ、流体チャネル34を横断して垂直に磁場を生成するように、相互に対して磁気反発配向に位置付けられ、流体チャネル34内の磁場は、少なくとも垂直方向に沿って非対称である。ある実施形態によると、磁石は、その長さに沿って(すなわち、図13に示されるx軸に沿って)流体処理チャネルを伴って心合される。
【0104】
好ましい実施形態によると、上側磁石36または下側磁石38のうちの少なくとも一方は、他方の磁石よりも大きい磁場を流体チャネル34上に生成するように構成され、それによって、例えば、図3Bに図示されるように、流体チャネル34内に非対称磁力をもたらす。このより大きい力は、(1)(図5のより大きい上側磁石36によって図示されるように)流体チャネル34の片側でより大型の磁石を使用すること、(2)(図6の下側磁石40によって図示されるように)(相互に対して反発ではなく誘引配列で)流体チャネル34の片側に複数の磁石を含むこと、(3)(図6に図示されるように)2つの磁石のうちの一方を他方の磁石よりも流体チャネル34に接近して位置付けること、または(4)それらのある組み合わせのいずれかによって、達成されることができる。
【0105】
ある実施形態によると、上側磁石36、下側磁石38、または下側磁石40の一方または両方は、流体チャネル34に対する磁石の垂直位置の制御された調節を可能にするように、かつ磁場の非対称性の調節を可能にするように、システム内に移動可能に搭載される。ある実施形態によると、浮上デバイスは、係合される(すなわち、流体チャネルの処理区分を横断して磁場を能動的に生成する)磁石の数が、制御され、それによって、磁場の規模および勾配プロファイルを制御し得るように、移動可能に搭載される複数の磁石を備える、上側磁石または下側磁石を含む。時間の関数としての磁場に対する制御は、実験または検定の間に随時、変更され得る、より複雑なプロトコルを可能にすることができる。静的システムに優る、いくつかある利点の中でも、これは、サンプルのより柔軟な区分化、粒子の分離におけるより高い分解能、流体経路をパージ、プライミング、および処置するためのより柔軟な方法、および実験または検定の実行時に分離パラメータを最適化または変更するためのフィードバックを可能にすることができる。
【0106】
ある実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38は、その寸法が、約2mm~約25mmの高度(図13からのy軸(垂直軸))、約30mm~約80mmの幅(図13からのx軸)、および約0.5mm~約7mmの深度(図13のz軸)に及ぶ、伸長な長方形の磁石(好ましくは、棒磁石)を備える。好ましくは、上側磁石36および下側磁石38は、約4mm~約20mmの高度(図13からのy軸)、約40mm~約60mmの幅(図13からのx軸)、および約1mm~約3mmの深度(図13からの(z軸)に及ぶ、寸法を有する。本明細書に説明される好ましい磁石サイズは、1つの磁石によって、または複数の磁石を組み合わせることによって、達成され得る。ある実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38の深度および幅は、実質的に同一である。ある実施形態によると、上側磁石36の高度は、下側磁石38の高度よりも少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%大きい。ある実施形態によると、上側磁石36の高度は、下側磁石38の高度よりも約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%大きい。ある実施形態によると、下側磁石38の高度は、上側磁石36の高度よりも少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%大きい。ある実施形態によると、下側磁石38の高度は、上側磁石36の高度よりも約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%大きい。
【0107】
ある実施形態によると、垂直軸に沿った、上側および下側磁石と、流体チャネル34、キャピラリ32、または中心処理区分70との間の距離は、少なくとも約1ミクロン、10ミクロン、50ミクロン、または100ミクロンである、および/または約500ミクロン、1mm、2mm、3mm、4mm、または5mm以下である。ある実施形態によると、磁石のいずれか一方と流体処理チャネルとの間の距離は、垂直軸に沿って約1ミクロン~約5mm、好ましくは、約10ミクロン~約2mmである。
【0108】
ある実施形態によると、上側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離は、下側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離を少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%上回る。ある実施形態によると、上側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離は、下側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離を少なくとも約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%上回る。
【0109】
ある実施形態によると、下側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離は、上側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離を少なくとも約25%、50%、75%、100%、125%、150%、175%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%上回る。ある実施形態によると、下側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離は、上側磁石と流体処理チャネルとの間の垂直距離を少なくとも約25%~約100%、約100%~約200%、約200%~約300%、約300%~約400%、約400%~約500%、または約500%~約600%上回る。
【0110】
ある実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38は、永久磁石または電磁石である。ある実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38の最大エネルギー積は、約1メガガウスエルステッド~約1,000メガガウスエルステッドに及び、より好ましくは、約 メガガウスエルステッド~約 メガガウスエルステッドに及ぶ。ある実施形態によると、上側および下側磁石の表面磁場強度は、約0.1テスラ~約100テスラに及び、より好ましくは、約1テスラ~約10テスラに及ぶ。ある実施形態によると、上側および下側磁石の残留磁気は、約0.5テスラ~約5テスラに及び、より好ましくは、約1テスラ~約3テスラに及ぶ。
【0111】
好ましい実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38は、鉄およびホウ素を伴うネオジム合金、ネオジム、鉄を伴うネオジム合金、サマリウム-コバルト、鉄を伴う希土類元素の他の合金、ニッケルを伴う希土類合金の合金、フェライト、鉄を伴うアルミニウムの合金、またはそれらの組み合わせを含む材料から作製される。ある実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38は、同一の材料から作製される、または異なる材料から作製される。
【0112】
好ましい実施形態によると、非対称磁場が、流体チャネルの片側のより強い磁性材料および流体チャネルの反対側のより弱い磁性材料を使用することによって、達成される。そのような実施形態によると、上側磁石36および下側磁石38は、実質的に同一のサイズであってもよいが、依然として、流体チャネル34を横断して非対称磁力を生じさせる。そのような実施形態によると、上側磁石36は、ネオジムを含んでもよく、下側磁石38は、サマリウム-コバルトを含んでもよく、両方の磁石は、実質的に同一のサイズである。代替として、上側磁石36は、サマリウム-コバルトを含んでもよく、下側磁石38は、ネオジムを含んでもよく、両方の磁石は、実質的に同一のサイズである。
【0113】
ある実施形態によると、代替磁石構成が、使用されてもよい。図17Aを参照すると、本発明によるデバイスは、流体チャネルの周囲に位置付けられる、複数の上側磁石および複数の下側磁石を含んでもよい。上側磁石は、前上側磁石118と、中心上側磁石120と、後上側磁石122とを含んでもよい。下側磁石は、前下側磁石126と、中心下側磁石128と、後下側磁石130とを含んでもよい。図17Aに図示されるように、前、後、および中心としての磁石の言及は、流体チャネル124に対するz軸に沿った磁石の位置を指し、上側および下側としての磁石の言及は、流体チャネル124に対するy軸に沿った磁石の位置を指す。矢印132は、磁石118、120、122、126、128、および130に関する磁場の配向を示し、図示されるように、上側および下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられる。
【0114】
別の実施形態によると、さらなる代替磁石構成が、使用されてもよい。図17Bを参照すると、本発明によるデバイスは、流体チャネルの周囲に位置付けられる、複数の上側磁石および複数の下側磁石を含んでもよい。上側磁石は、前上側磁石140と、中心上側磁石120と、後上側磁石146とを含んでもよい。下側磁石は、前下側磁石142と、中心下側磁石128と、後下側磁石144とを含んでもよい。図17Bに図示されるように、前、後、および中心としての磁石の言及は、流体チャネル124に対するz軸に沿った磁石の位置を指し、上側および下側としての磁石の言及は、流体チャネル124に対するy軸に沿った磁石の位置を指す。矢印132は、磁石140、120、146、142、128、および144に関する磁場の配向を示し、図示されるように、3つの上側磁石は、逆並列構成であり、3つの下側磁石は、逆並列構成であり、中心上側および中心下側磁石は、磁気反発配向で位置付けられる。
【0115】
図18を参照すると、別の磁石構成が、図示される。本実施形態によると、本デバイスは、前上側磁石334と、後上側磁石336と、前下側磁石338と、後下側磁石340とを含んでもよく、磁石は、流体チャネル342の周囲に位置付けられる。矢印344は、磁石に関する磁場の配向を示し、図示されるように、前上側磁石334および後下側磁石340は、磁気反発配向で位置付けられ、後上側磁石336および前下側磁石338は、磁気反発配向で位置付けられる。前および後磁石は、チャネル内の磁場プロファイルを修正し、性能を向上させる。
【0116】
図17A図17B、および図18に図示される実施形態によると、流体チャネル124および142に及ぼされる磁場は、非対称、好ましくは、x-y面内で非対称であり得る。非対称性は、流体チャネルに対する1つ以上の磁石の位置を調節することによるもの、および/または(1)下側の磁石に対して上側、(2)上側の磁石に対して下側、(3)後側の磁石に対して前側、および/または(4)前側の磁石に対して後側のいずれかで、より強い磁石(より大型の磁石または異なる磁性材料)を使用することによるものを含む、本明細書の上記に説明される方法に従って、達成され得る。図17Aまたは図17Bに示される磁気構成を有する、実施形態によると、中心下側磁石は、中心上側磁石よりも強い、および/または前下側磁石および後下側磁石のいずれか一方または両方よりも強い。図17Aまたは図17Bに示される磁気構成を有する、実施形態によると、中心上側磁石は、中心下側磁石よりも強い、および/または前上側磁石および後上側磁石のいずれか一方または両方よりも強い。
D. 直列および並列構成
【0117】
ある実施形態によると、本発明の単離デバイスまたは浮上デバイスは、直列および/または並列に相互接続される複数の処理区画を備えてもよい。そのような複数の相互接続された処理区画を伴うデバイスは、より高い特異性で粒子を分離するデバイスの能力を向上させ、広範囲の比において流体自体の体積を分割するデバイスの能力を向上させることができる。並列および直列構成のいずれかが、サンプルの増加した数量が所与の時間周期内に処理され得るという意味で、デバイスのスループットを増加させるために使用されてもよい。
【0118】
図19および図20を参照すると、粒子単離デバイス148が、示される。デバイス148は、それを通して延在する流体チャネル構造を含む。流体チャネル構造は、一連の流体チャネル154と、ポンプ156と、弁158とを備える、流体チャネル構造によって相互接続される、少なくとも1つの入力ポート150と、少なくとも2つの出力ポート152とを含む。一連の流体チャネルは、第1の略線形部分160と、第2の略線形部分162と、第3の略線形部分164とを含む。上側経路点線166(図19)によって示される第1の処理経路は、入口(入力)ポート150から該第1の略線形部分160まで、および該第1の略線形部分160から該第2の略線形部分162まで、および該第2の略線形部分162から出口(出力)ポート152まで延在する。下側経路点線168(図19)によって示される第2の処理経路は、入口ポート150から該第1の略線形部分160まで、および該第1の略線形部分160から該第3の略線形部分164まで、および該第3の略線形部分164から出口(出力)ポート152まで延在する。略線形部分160、162、および164は、主に、製造の容易性および動作可能性のために線形であるように設計され得ることが即座に理解されるはずである。一般に、それらは、それらの長さに沿った磁場が、浮上が生じるために好適であることを前提として、曲線状であり得る。
【0119】
デバイス148はさらに、それぞれ、流体チャネル構造の第1の略線形部分160、第2の略線形部分162、および第3の略線形部分164の反対側に略垂直に位置付けられる、第1の対の磁気構成要素170、第2の対の磁気構成要素172、および第3の対の磁気構成要素174を備える。ある実施形態によると、直列および/または並列に相互接続される複数の処理区画を有する、単離デバイスまたは浮上デバイスが、提供され、各処理区画は、一対の磁気構成要素を含み、該一対の磁気構成要素のうちの少なくとも1つは、流体チャネルのその隣接する略線形部分内で非対称磁力を及ぼすように構成される。本実施形態によると、磁力の非対称性は、本明細書の上記に説明される任意の様式で達成され得る。
【0120】
図19および図20に示される実施形態によると、第1の対の磁気構成要素170は、流体チャネルの第1の略線形部分160から等しく離間される同じ磁石を備え、第2の対の磁気構成要素172は、両方の磁石が流体チャネルの第2の略線形部分162から等しく離間された、下側磁石よりも大型である上側磁石を備え、第3の対の磁気構成要素174は、両方の磁石が流体チャネルの第3の略線形部分164から等しく離間された、下側磁石よりも小型である上側磁石を備える。本実施形態によると、流体チャネルの第1の略線形部分160内の磁気中性線は、流体チャネルの垂直中心に沿って位置し、流体チャネルの第2の略線形部分162内の磁気中性線は、流体チャネルの垂直中心の下方に位置し、流体チャネルの第3の略線形部分164内の磁気中性線は、流体チャネルの垂直中心の上方に位置する。
【0121】
デバイス148は、第1の略線形部分160の終端182に位置付けられる第1のスプリッタ176と、第2の略線形部分162の終端184に位置付けられる第2のスプリッタ178と、第3の略線形部分164の終端186に位置付けられる第3のスプリッタ180とを含む。ある実施形態によると、第1のスプリッタ、第2のスプリッタ、および第3のスプリッタは、チャネルを2つ以上のチャネルに分割する。ある実施形態によると、第1のスプリッタは、チャネルを2つのチャネルに分割し、それによって、そのような分割されたチャネルのうちの1つは、第2の略線形部分162に至り、そのような分割されたチャネルのうちの第2のものは、第3の略線形部分164に至る。代替として、そのような実施形態は、第1のスプリッタとして3方向スプリッタを含んでもよく、第3のチャネルは、未処理廃水に至る。
【0122】
ある実施形態によると、第1の対の磁気構成要素170は、第1の略線形部分160内に延在する流体チャネルに沿って磁力を及ぼすように構成され、そのような磁力は、そのような流体チャネルの垂直中心線を中心として垂直に対称である。本実施形態によると、第2の対の磁気構成要素172は、第2の略線形部分162内に延在する流体チャネルに沿って磁力を及ぼすように構成され、そのような磁力は、そのような流体チャネルの垂直中心線を中心として垂直に非対称であり、下向きに付勢される。また、本実施形態によると、第3の対の磁気構成要素174は、第3の略線形部分164内に延在する流体チャネルに沿って磁力を及ぼすように構成され、そのような磁力は、そのような流体チャネルの垂直中心線を中心として垂直に非対称であり、上向きに付勢される。本実施形態によると、磁力の非対称性は、本明細書の上記に説明される任意の様式で達成され得る。図19および図20に図示される実施形態によると、非対称性は、下側磁石38よりも大型である上側磁石36を有することによって、第2の略線形部分162内に延在する流体チャネル内で達成され、非対称性は、下側磁石38よりも小型である上側磁石36を有することによって、第3の略線形部分164内に延在する流体チャネル内で達成される。
【0123】
いくつかの実施形態では、粒子単離デバイスは、図25に示されるように、デバイスに分岐構造を与える、一連の平行チャネルの1つ以上のセットを備えてもよい。分岐粒子単離デバイスのいくつかの実施形態では、平行流体チャネルは、共通中心磁石を共有してもよい。随意に、本実施形態は、平行チャネルの間に一連の共有中心磁石を含有してもよい。磁石は、所望に応じて、達成される粒子分離の性質を改変する磁場を発生させるように位置付けられてもよい。粒子単離デバイスは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の磁石を備えることができる。いくつかの実施形態では、粒子単離デバイスは、粒子混合物の静力学的分離のための1つ以上のウェルを備えてもよい。いくつかの実施形態では、隣接ウェルまたはチャネルが、1つ以上の共通磁石を共有するであろう。随意に、複数の磁石が、図26に示されるように、ウェル内に集束中心線を生成する、成形された磁場を生成するように、スタックされてもよい。本中心線を画定する磁場は、粒子が、群、例えば、ウェルの中心線に沿った緊密な群で分離されることを可能にし、検出を容易にし得る、集束機構としての役割を果たすことができる。ウェルまたはチャネルを囲繞する磁石は、粒子平衡位置を広げるように水平に配列されてもよい。これは、それに比例してダイナミックレンジを減少させ得、平衡を保つために要する時間を増加させ得る。各ウェルに隣接する複数の磁石のスタックは、磁場勾配を急峻にし、分離効率を改良する方法で、磁場勾配の形状を修正し得る。スタックされた磁石構成は、磁力線を圧縮し、性能を改良し得る。ある場合には、サンプルが、各ウェルを通して循環することができる。ある場合には、ステップアンドホールド形式でこれを使用することは、希釈サンプルに有用であり得る、バッチ分析を可能にすることができる。図27は、密度(gm/cm)対z軸に沿った位置(cm)の差異を図示する。
【0124】
デバイス148はまた、入力ポート150から流体チャネルを通して、出力ポート152から外に流体を駆動するように構成される、1つ以上のポンプ156を含んでもよい。デバイス148はまた、流体チャネル構造内に含まれる種々の経路に沿って流動する流体の量の制御を可能にするための1つ以上の弁158を含んでもよい。
E. ポンプ
【0125】
本発明によると、本デバイスは、システムを通して流体を駆動するための1つ以上のポンプを含んでもよい。「ポンプ」は、チャネル構造内の異なる場所の間で圧力の差異を印加する、任意のデバイスを指すために使用される。ポンプは、システムの入口側(出口に向かって流体を押動する)、または出口(入口から液体を引動する)、または両方の組み合わせのいずれかに設置されてもよい。圧力の差異は、正または負であり得る。圧力差は、複数の出口または入口を横断して共通して印加されてもよい、または各出口または入口が直接印加された圧力差を有するように配列されてもよい。ポンプは、印加された圧力差の制御を可能にするように可変であり得る。ポンプタイプは、限定ではないが、シリンジポンプ等の容積型ポンプ、蠕動ポンプ、ダイヤフラムポンプ、調整型静圧源、上昇または低下した体積の液体等の重力制御型圧力源、およびプラスチックまたはホイルブリスタ等の手動圧力源を含む。
【0126】
いくつかの実施形態では、ポンプが、概して、チャネル構造を通して流体を駆動するように、入口ライン上に含まれ、また、ある出口ラインを通して、より多くの流体を選択的に駆動するように、(全てではなく)ある出口ライン上に含まれてもよい。例えば、ポンプが、1つ以上の着目粒子の1つまたは複数の平衡浮上高度と関連付けられる、1つ以上の出口ライン上に含まれてもよい。加えて、全ての出口ラインは、1つ以上の着目粒子の1つまたは複数の予想される平衡浮上高度に基づいてアクティブ化または非アクティブ化され得る、可変ポンプを含んでもよい。同様に、外部ポンプが、可変圧力差を提供するように制御されてもよい。
F. 付加的デバイス構成要素
【0127】
本発明による、浮上デバイスまたは粒子単離デバイスはまた、図21に図示されるような付加的構成要素を含んでもよい。本実施形態によると、粒子単離デバイス188は、入力マニホールド194と、出力マニホールド196と、処理チャネル192と、一対の磁石190とを含む。磁石190は、処理チャネル192の上方および下方に位置付けられ、処理チャネル192を横断して磁場を及ぼすように構成される。磁石190および処理チャネル192は、本明細書の上記に説明される磁石/チャネル構成および実施形態のうちのいずれかに従って構成されてもよい。デバイス188はさらに、可視化構成要素198と、照明構成要素200とを備える。可視化構成要素198は、粒子が処理チャネル192を通して通過するにつれて、それらをリアルタイムで視認する、および/または記録する能力を可能にし、または向上させ、それによって、粒子単離の程度および/または粒子単離率を含む、粒子の単離の観察および/または測定を可能にする、任意のデバイスを備えてもよい。可視化はまた、粒子および/またはサンプルの他の成分のサイズ、形状、または他の特性の分析を含んでもよい。ある実施形態によると、処理チャネル192を囲繞し、それによって、画定するために使用される材料は、それを通して通過する粒子の観察を促進するように、処理チャネル192の少なくとも一区画に沿って透明または透過性である。
【0128】
ある実施形態では、本デバイスは、チャネル192の反対側にそれぞれを伴って、2つの透明または透過性区画を含む。本実施形態によると、可視化構成要素198は、片側に位置付けられ、該透明または透過性区画のうちの1つを集束させ、照明構成要素200は、反対側に位置付けられ、該透明または透過性区画のうちの第2のものを集束させた。照明構成要素200は、可視化構成要素198による処理チャネル192内の粒子の可視化を促進するために十分な光を提供するように構成される。
【0129】
ある実施形態では、本発明の粒子単離デバイスはまた、テーパ状入口ポートも含む。図22Aに図示されるように、従来技術の流体デバイスは、流体チャネル204に至る流体入力ポート202を含む。図22Aの点線206は、従来技術の非テーパ状入口ポート内の流体流ベクトルを図示する。そのようなデバイスでは、渦が、流体チャネル204の入口に生成される。これらの渦は、細胞または他の粒子が、デバイスを通して流動するのではなく、循環経路内に閉じ込められ得る場所を提供することによって、サンプルを処理する効率または率を低減させ得る。渦流はまた、細胞等の粒子に剪断応力を誘発し得る。図22Bに図示されるような本発明の実施形態によると、流体入力ポート202は、流体チャネル204の中へのテーパ状遷移部210を含む。テーパ状遷移部は、渦を実質的に排除し、点ベクトル線208によって表されるような流体チャネル204の中へのより円滑な層流の流体流をもたらす。
【0130】
さらなる付加的構成要素は、1つ以上の出口収集管を保持するためのレセプタクル、1つ以上の入力管を保持するためのレセプタクル、温度制御される1つ以上の管のためのレセプタクル、例えば、摂氏4度に近い温度において1つ以上の出口管を格納する低温プレートを備える、構成要素、または入口または出口をマイクロプレート内のウェルに結合するための位置付け手段を含み得る、マイクロプレートホルダを含んでもよい。本デバイスはまた、デバイスを通した流体および/または粒子流および分離を記録、分析、および/または制御するようにプログラムされる、マイクロプロセッサまたはコンピュータと統合されてもよい。
IV. 粒子を単離する方法
【0131】
本発明の方法によると、粒子が、本明細書の上記に説明されるデバイスを使用して、単離されてもよい。多数の用途が、他の粒子からの同様の粒子の分離、粒子の識別、および粒子の処置または別様に操作を要求する用途を含む、粒子の単離を要求する。そのような用途は、限定ではないが、生および死細胞を分離すること、循環腫瘍細胞の単離および/または処置、エマルションPCR濃縮、循環胎児細胞の単離、多血小板血漿等の血漿の産生、性別選択等の具体的特質に関して精子を単離すること、細菌負荷試験、抗生物質抵抗試験、敗血症または血液汚染の識別、免疫細胞単離、化合物スクリーニング、エキソソーム分離、または細胞外小胞分離を含む。本発明の粒子単離方法は、これらの用途のうちのいずれかで利用されてもよい。
【0132】
本発明の方法によると、着目粒子を含有する物質が、処理溶液を生成するように常磁性媒体と組み合わせられる。常磁性媒体は、常磁性材料と、溶媒を含む。好ましい実施形態によると、常磁性媒体は、生体適合性である、すなわち、生体細胞と混合され、細胞の生存能力に影響を及ぼさない、または細胞挙動に影響を及ぼさない、例えば、遺伝子発現に影響を及ぼさないことが可能である。常磁性材料は、それらのイオンおよびそれらの組み合わせを含む、ガドリニウム、チタン、バナジウム、ジスプロシウム、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ガリウムを含む群から選択されてもよい。ある実施形態によると、常磁性材料は、チタン(III)イオン、ガドリニウム(III)イオン、バナジウム(I)イオン、ニッケル(II)イオン、クロム(III)イオン、バナジウム(III)イオン、ジスプロシウム(III)イオン、コバルト(II)イオン、およびガリウム(III)イオンを含む群から選択される。好ましい実施形態によると、常磁性材料は、キレート化合物を含む。好ましい実施形態によると、常磁性材料は、ガドリニウムキレート、ジスプロシウムキレート、またはマンガンキレートを含む。ある実施形態によると、常磁性媒体は、常磁性材料と、塩と、細胞の完全性を維持するように機能する他の添加剤を含む。
【0133】
ある実施形態によると、常磁性材料は、少なくとも約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、120mM、150mM、200mM、250mM、300mM、500mM、または1Mの濃度において常磁性媒体内に存在し得る。ある実施形態によると、常磁性材料は、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、約50mM~約100mM、約100mM~約150mM、約150mM~約200mM、約200mM~約250mM、約250mMt~約300mM、約300mM~約500mM、または約500mM~約1Mの濃度において常磁性媒体内に存在し得る。
【0134】
ある実施形態によると、常磁性材料は、ガドリニウムを含み、少なくとも約10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、または100mMの濃度において常磁性媒体内に存在する。ある実施形態によると、常磁性材料は、ガドリニウムを含み、約10mM~約50mM、約25mM~約75mM、または約50mM~約100mMの濃度において常磁性媒体内に存在する。
【0135】
処理溶液は、粒子単離デバイスの入口ポートの中に注入され、流体チャネル構造を通して処理チャネルに流入する。処理チャネルは、両側に上側磁気構成要素および下側磁気構成要素が並んだ略線形流体チャネルを備える。処理流体が、処理チャネル内の流体チャネルを通して通過するにつれて、処理流体は、上側磁気構成要素および下側磁気構成要素によって生成される非対称磁場に暴露される。本方法で使用される磁気構成要素の正確な構成は、常磁性媒体の密度に対する着目粒子の密度に基づいて事前決定される。着目粒子が、常磁性媒体よりも高密度である場合、下側磁気構成要素によって及ぼされる磁力が、上側磁気構成要素によって及ぼされる磁力よりも大きい、磁気構成要素構成が、選択される。逆に、常磁性媒体が、着目粒子よりも高密度である場合、上側磁気構成要素によって及ぼされる磁力が、下側磁気構成要素によって及ぼされる磁力よりも大きい、磁気構成要素構成が、選択される。
【0136】
処理流体が、処理チャネル内の非対称磁場を通して通過するにつれて、着目粒子は、実質的に類似する平衡高度に到達するであろう。本発明の方法の実施形態によると、処理流体内に含有される着目粒子の実質的に全ては、粒子がゼロ流体流速条件において定常のままである、粒子位置の垂直成分として定義される平衡高度に到達するであろう。平衡高度は、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙(例えば、図6に示される垂直間隙52参照)の35%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の30%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の25%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の20%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の15%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の10%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の8%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の6%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の5%未満を表す、範囲に及ぶ。本発明の方法の実施形態によると、処理流体内に含有される着目粒子の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、または95%が、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の35%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の30%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の25%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の20%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の15%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の10%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の8%未満、上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の6%未満、または上側磁石と下側磁石との間の垂直間隙の5%未満を表す範囲に及ぶ、平衡高度に到達するであろう。
【0137】
磁石の間の浮上した粒子の平衡高度は、底部磁石の上面から上部磁石の下面までの高度の割合の観点から考慮されることができる。平衡高度は、本高度の割合または「相対高度」として表されることができ、0%の相対高度は、底部磁石にあり、100%の相対高度は、上部磁石にあり、50%は、磁石の間に垂直に心合される高度にある。本発明のある実施形態によると、処理流体内に含有される実質的に全ての着目粒子の平衡相対高度分布は、約35%、または約30%、または約25%、または約20%、または約15%、または約10%、または約5%以下だけ変動するであろう。本発明のある実施形態によると、処理流体内に含有される着目粒子の少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、または95%の平衡相対高度分布は、約35%、または約30%、または約25%、または約20%、または約15%、または約10%、または約5%以下だけ変動するであろう。
【0138】
いったん着目粒子がそれらの平衡高度に到達すると、処理溶液を複数の分画に幾何学的に分割するスプリッタを通して通過する。着目粒子が処理溶液内で幾何学的に単離されるため、実質的に全ての着目粒子は、ある幾何学的分画の流出内で留保される。着目粒子を含有する1つまたは複数の幾何学的流出分画は、次いで、着目粒子が1つよりも多くの分画に存在する場合に、収集および再結合され、それによって、着目粒子を単離する。いくつかの実施形態では、常磁性媒体から細胞を分離する必要があり得る。これは、常磁性媒体からの細胞の分離が所望される場合に、希釈を通して行われてもよい。
【0139】
代替として、各流出分画への処理溶液の分割は、分割の比が修正され得るように、個々の出口に向かって流体流を増加または減少させることによって達成され得る。ある実施形態によると、比は、最大50%修正されてもよい。例えば、スプリッタが、等しい断面を伴う2つのチャネルを備える場合、分割の幾何学的な比は、1:1である。他方の分画に適用されるものよりも大きい(または小さい)ポンプ率の適用を通して、一方の分画の中により多い(またはより少ない)量の流体を引き込むことによって、分割の比は、例えば、約3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、または10:1に改変されることができる。好ましい実施形態では、そのような幾何学的な比に関する分割は、約2:1~約1:2の範囲内であろう。
V. 開示される実施形態は、非限定的である
【0140】
本発明の種々の実施形態が、本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態は、一例のみとして提供されることが強調される。多数の変形例、変更、および代用が、その種々の実施形態において本明細書の発明から逸脱することなく行われ得る。具体的には、任意の範囲が本明細書に説明されるとき、別様に明確に記述されない限り、その範囲は、その中の全ての値およびその中の全ての部分的範囲を含む。
【0141】
また、より一般的には、本明細書の開示、議論、実施例、および実施形態によると、当技術分野内で従来の流体工学、分子生物学、細胞生物学、微生物学、および組み換えDNA技法が採用され得る。そのような技法は、文献で完全に解説される。(例えば、Sambrook and Russell, “Molecular Cloning: A
Laboratory Manual,” Third Edition 2001 (volumes 1-3), Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.; Animal Cell Culture, R. I. Freshney, ed., 1986参照。)これらの公開されたリソースは、その中で見出される標準研究室方法のそれらの個別の教示に関して、参照することによって本明細書に組み込まれる。そのような組み込みは、最低限でも、本明細書で参考文献を引用するときに記述され得る、具体的教示および/または他の目的のためのものとされる。具体的教示および/または他の目的が、そのように記述されない場合には、公開されたリソースは、参考文献の題名、要約、および/または概要のうちの1つ以上のものによって示される教示に関して、具体的に組み込まれる。そのような具体的に識別される教示および/または他の目的が、そのように関連し得ない場合には、公開されたリソースは、本発明が関連する最先端技術をより完全に説明するため、および/または適用可能であり得るものとして当業者に概して公知であるような教示を提供するために、組み込まれる。しかしながら、本明細書の公開されたリソースの引用は、そのようなものが本発明にとって従来技術であるという承認として解釈されないものとすることが、具体的に記述される。また、組み込まれる公開されたリソースのうちの1つ以上のものが、限定ではないが、定義された用語、用語の用法、説明される技法、または同等物を含む、本願と異なる、または矛盾する場合において、本願が、好ましい実施形態として優先し、任意の矛盾が、代替実施形態と見なされ得る。実施例における主題は、既存ではない程度に本節に組み込まれる。
【実施例0142】
本発明によるデバイスが、本明細書の上記に説明される細胞および他の粒子等の着目粒子をシミュレートする、ポリマービーズを分離するために使用された。本実験で使用されたデバイスは、長さが80mmであり、高度が1.78mmであった、卵形のチャネルを含んだ。ネオジム磁石が、底部磁石上に静置するチャネル、および約400ミクロンの垂直距離にチャネルと上側磁石との間の分離を伴って、チャネルの上方および下方に位置付けられた。上側磁石は、高さが5mmであった。下側磁石は、高さが10mmであり、それぞれ5mmの2つの磁石のスタックを含んだ。ビーズおよびガドブトロール混合物が、キャピラリの入口側に位置する単一のシリンジを用いてキャピラリの中に押動された。
【0143】
3つの異なる密度を有するポリマービーズの3つの群のほぼ等量が、ともに混合された。ビーズは、それぞれ、1.091g/cc、1.014g/cc、および1.05g/ccの密度、および35ミクロン、35ミクロン、および10ミクロンの対応する直径を伴うビーズを含んだ。混合されたビーズは、1倍リン酸緩衝生理食塩水(PBS)内のガドブトロールの100mM溶液と組み合わせられた。ビーズ/ガドブトロール流体混合物は、デバイスのチャネルに注入された。混合物が、チャネルを通して流動するにつれて、磁石によって及ぼされる磁場に暴露され、3つのタイプのビーズが、異なる高度まで浮上することによって異なるように応答した。
【0144】
結果は、図23および図24に示される。図23は、磁場を通して通過した際のビーズの画像であり、3つのタイプのビーズの分離が、明確に可視である。図24は、種々のビーズの高度分布を示すグラフであり、再度、ビーズの明確な分離を図示する。
【0145】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されたが、そのような実施形態は、一例のみとして提供されることが当業者に明白であろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される本発明の実施形態の種々の代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。
図1
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【外国語明細書】