(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161011
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】低液量センサを有するリザーバ
(51)【国際特許分類】
A61M 5/168 20060101AFI20231026BHJP
【FI】
A61M5/168 514Z
A61M5/168 514C
A61M5/168 514D
A61M5/168 550
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023149270
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2020512484の分割
【原出願日】2018-08-29
(31)【優先権主張番号】15/692,887
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417-1880, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ.リチャード ギョリー
(57)【要約】
【課題】リザーバ交換の必要性の警告のための低液量検出器を有する、コンパクトでより費用効率的なリザーバの提供。
【解決手段】使用者に液体薬剤治療を施すための、低液量センサを有する医療装置であって、医療装置は、液体薬剤供給物を収容するためのリザーバと、リザーバと流体連絡し、チャンバーおよび出口/入口を有する剛直構造と、チャンバー内に取り付けられ、チャンバーの端面を封止し、チャンバー内を出口/入口に向かって移動可能なように設計されているプランジャと、チャンバー内のプランジャの位置を検出し、柔軟性リザーバ内の液体の低液量を検出するためのセンサとを含み、リザーバの液量レベルが低いときに、チャンバーおよびリザーバから抜き取られる液体薬剤が、プランジャを出口/入口に向かって移動させ、およびプランジャの移動がセンサを活性化して柔軟性リザーバ内の低液量を示す信号を送信する医療装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に対して液体薬剤治療を施すための、低液量センサを有する医療装置であって、前記医療装置は、
液体薬剤の供給物を収容するためのリザーバと、
リザーバと流体連絡し、チャンバーおよび出口/入口を有する剛直構造と、
チャンバー内に取り付けられ、チャンバーの端面を封止し、チャンバー内を出口/入口に向かって移動可能なように設計されているプランジャと、
チャンバー内のプランジャの位置を検出し、柔軟性リザーバ内の液体の低液量を検出するためのセンサと
を含み、リザーバの液量レベルが低いときに、チャンバーおよびリザーバから抜き取られる液体薬剤が、プランジャを出口/入口に向かって移動させ、およびプランジャの移動がセンサを活性化して柔軟性リザーバ内の低液量を示す信号を送信することを特徴とする医療装置。
【請求項2】
センサは、電気スイッチを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項3】
電気スイッチは、ボタンにより始動されることを特徴とする請求項2記載の医療装置。
【請求項4】
センサは、光学センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項5】
センサは、磁気センサを含むことを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項6】
低液量信号を受信するための、センサに接続される制御モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項7】
リザーバの液体の低液量状態を警告するための警報システムをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項8】
警報システムは、リザーバの液体の低液量状態の警告として、光信号を送信することを特徴とする請求項7に記載の医療装置。
【請求項9】
警報システムは、リザーバの液体の低液量状態の警告として、音信号を送信することを特徴とする請求項7に記載の医療装置。
【請求項10】
警報システムは、リザーバの液体の低液量状態の警告として、振動信号を送信することを特徴とする請求項7に記載の医療装置。
【請求項11】
警報システムは、リザーバの液体の低液量状態の警告として、光、音および振動の組み合わせ信号を送信することを特徴とする請求項7に記載の医療装置。
【請求項12】
チャンバーおよび柔軟性リザーバから液体をポンプ送液するポンプ機構をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
【請求項13】
使用者に対して液体薬剤治療を施すための、低液量センサを有する医療装置であって、前記医療装置は、
液体を収容するためのリザーバと、
出口/入口を有するチャンバーを有し、チャンバーはリザーバと流体連絡している剛直構造と、
チャンバーおよび柔軟性リザーバから液体をポンプ送液するための、チャンバーと流体連絡しているポンプ機構と、
チャンバー内の自由移動可能なプランジャであって、自由移動可能なプランジャは、リザーバの流体レベルが低いときにポンプ機構によって発生する負圧に応じて移動するプランジャと、
ポンプ機構による負圧によって自由移動可能なプランジャがセンサに対して移動する時点を検出するためのセンサと、
センサからの液量信号を受信するための、センサと機能的接続される制御モジュールと
を含むことを特徴とする医療装置。
【請求項14】
プランジャはセンサと接触する第1の位置にあり、プランジャの移動がセンサからプランジャを分離し、センサを活性化することを特徴とする請求項13に記載の医療装置。
【請求項15】
剛直構造は、チャンバーがリザーバと流体連絡する孔を有することを特徴とする請求項14に記載の医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、液体を送達するためのリザーバに関する。本発明の具体的実施形態は、インシュリンのような液体医薬製品を送達するための、低液量センサを有する柔軟性リザーバに関する。追加の実施形態は、柔軟性リザーバの交換が必要であるとの警告を提供することを含む、低液量センサを有する柔軟性リザーバを作動させる方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は、糖尿病患者が必要とされる際の適切なレベルのインシュリン生産を維持することができないことに起因する、高濃度の血中グルコースに特徴づけられる一群の疾患である。糖尿病を有する人は、グルコース濃度の制御を維持するために何らかの形態の日常的インシュリン治療を必要とするであろう。糖尿病は、治療されない場合、罹患された患者にとって危険であり、重大な健康上の障害(合併症)および時期尚早な死をもたらすおそれがある。しかしながら、そのような障害は、1つまたは複数の治療上の選択肢を用いて糖尿病の制御を補助し、障害のリスクを低減させることによって、最小化することができる。
【0003】
糖尿病患者の治療上の選択肢は、特化された食餌、経口投薬、および/またはインシュリン治療を含む。糖尿病治療の主たる目標は、糖尿病患者の血中グルコース濃度すなわち血中糖濃度を制御することである。しかしながら、適切な糖尿病管理を維持することは面倒である。なぜなら、それは糖尿病患者の活動とのバランスをとらなければならないからである。
【0004】
1型糖尿病の治療において、日常的インシュリン治療の2つの主要な方法がある。第1の方法において、糖尿病患者は、必要とされる際に、シリンジまたはインシュリンペンを用いてインシュリンを自己注射する。この方法は、注射の度にニードル穿刺を必要とし、糖尿病患者は毎日3~4回の注射を必要とする可能性がある。インシュリンを注射するのに用いられるシリンジおよびインシュリンペンは比較的に使用が容易であり、費用効率的である。
【0005】
インシュリン治療および糖尿病管理の別の有効な方法は、インシュリンポンプを用いるインシュリン治療である。インシュリンポンプは、必要とされるインシュリンを生産する非糖尿病患者の膵臓を適切に作動させる機能および行動により厳密に合致させるために、糖尿病患者に対するインシュリンの可変速度での連続注入を提供することを可能にする。また、インシュリンポンプは、糖尿病患者が、糖尿病患者の個々の要求に基づく目標範囲内に患者の血中グルコース濃度を維持することを補助する。
【0006】
インシュリン治療を容易にするために、概して2種のインシュリンポンプ、すなわち、慣用のポンプおよびパッチポンプが存在する。慣用のポンプは、典型的には注入セット、配管セット、またはポンプセットと呼ばれる、ポンプ内のリザーバから使用者の皮膚へとインシュリンを搬送する使い捨て部品の使用を必要とする。対照的に、パッチポンプは、流体リザーバ、ポンプ機構およびカニューレを自動的に挿入するための機構を含む、大部分または全ての流体部品が患者の皮膚の注入部位に接着貼付される単一のハウジング中に集約され、別個の注入セットまたは配管セットの使用を必要としない、一体型装置である。ある種のパッチポンプは、別個の制御器(Insulet CorporationからOmniPod(登録商標)のブランド名で販売されている装置内のようなもの)と無線交信してもよく、一方、他のものは、完全に自立型である。そのような装置は、インシュリンリザーバが枯渇した際、3日毎のような頻繁に交換される。
【0007】
パッチポンプは、糖尿病患者によって着用される自立型ユニットとして設計されるため、可能な限り小さく、使用者の活動に干渉しないようにすることが好ましい。しかしながら、パッチポンプの全体寸法を最小限にするためには、その構成部品の寸法を可能な限り縮小しなければならない。そのような部品の1つは、インシュリンを収容するリザーバである。
【0008】
シリンジポンプのような慣用の剛直なリザーバは、プランジャの位置を制御して液体を送出する。そのような機構の主要な制限は寸法である。なぜなら、リザーバの長さおよびプランジャの長さの両方に対応する必要があるからである。よって、慣用の剛直なリザーバは、コンパクトな構成において展開することが難しい。したがって、パッチポンプの全体寸法をさらに縮小させるコンパクトな構成に有効に展開することができる改良されたリザーバに対する要求が存在する。
【0009】
リザーバ中の低液量レベルの検出は、パッチポンプシステムが正しく機能することを保証すること、および/またはリザーバまたはパッチポンプの交換の必要を知らせることにおいて重要である。種々の異なる用途において、種々の充填レベル検出システムが提案されてきた。現在、充填レベル検出のための2つの主要な方法がある。1つは、投与量を計量するための電気的接点を提供する。他方は、静電容量測定を用いる非接触型充填レベル検出を実装する。
【0010】
流速および充填レベルを常時監視および/または常時調整する必要のある場合、慣用の充填レベル検出システムには多くの利点が存在する。慣用の充填レベル検出システムは、常時または複数の時点における正確な充填レベルデータを提供する。そのようなシステムは、常時監視および常時調整が必要とされる場合によく適合する。リザーバの交換の必要を知らせるために低液量警告のみが必要とされる場合、充填レベル検出機能を有するシステムは、不必要なほどに高コストかつ複雑である。
【0011】
パッチポンプの全体寸法を縮小するアプローチは、流体リザーバから抜き取る下流ポンプシステムによってシリンジ型投与機構を置換することである。そのような装置において、小型化されたポンプは流体リザーバの下流に配置されて、リザーバからその目的地へと流体を運搬する負の圧力勾配を生じさせる。あるいはまた、小型化されたポンプは、別の大きな流体源からリザーバ中へと流体を運搬してリザーバを充填する正の圧力勾配を生じるように配置することができる。
【0012】
したがって、当該技術において、リザーバを交換する必要性の警告のための低液量検出器を有する、コンパクトでより費用効率的なリザーバを提供して、より多くの糖尿病患者がパッチポンプシステムが提供する利点に得られるようにする必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の例示的実施形態の目的は、低液量検出器を有する柔軟性液体リザーバを提供することである。本発明の例示的実施形態のさらなる目的は、柔軟性リザーバ中の低液体レベルの通知を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の1つの態様によれば、使用者に対して液体薬剤治療を施すための、低液量センサを有する医療装置が提供され、前記医療装置は、液体薬剤の供給物を収容するための柔軟性リザーバと、柔軟性リザーバと流体連絡するチャンバーおよび側面孔を有する剛直構造と、チャンバーの内部に取り付けられ、チャンバーの1つの側面を封止するように設計されたプランジャと、柔軟性リザーバ中の液体の低液量を検出するためのセンサとを含み、プランジャの内側端が側面孔を通過する際に、センサが起動して柔軟性リザーバ中の液体の低液量を示す信号を送出する。
【0015】
本発明の第3の態様は、システム中の液体の低液量を検出し、空までの時間(time-to-empty)を使用者に通知する方法のための方法を提供し、当該システムは、液体薬剤の供給物を収容するための柔軟性リザーバと、柔軟性リザーバと流体連絡するチャンバーおよび側面孔を有する剛直構造と、チャンバーの内部に取り付けられ、チャンバーの1つの側面を封止するように設計されたプランジャと、柔軟性リザーバ中の液体の低液量を検出するためのセンサと、ポンプ機構と機能的接続している、ポンプ機構の動作を制御するための制御モジュールとを含み、プランジャの内側端が側面孔を通過する際に、センサが起動して柔軟性リザーバ中の液体の低液量を示す信号を送出し、当該方法は、柔軟性リザーバに連結されるチャンバーを有する剛直構造を提供する工程と、剛直構造の端部Aに負圧を印加する工程と、柔軟性リザーバから流体を取り出す工程と、プランジャがスイッチとの接触を喪失する瞬間を検出する工程と、現在の流速ならびにチャンバーおよび導管の体積から空までの時間の推定値を計算する工程と、使用者に液量が少ないことを警告し、システムから液体が尽きるであろう時間の概算値を使用者に通知する工程とを含む。
【0016】
本発明の別の目的、利点および顕著な特徴は、添付の図面と組み合わせられる本発明の例示的実施形態を開示する、以下の詳細な説明から当業者に明瞭になるであろう。
【0017】
本発明の上記および他の例示的特徴および特定の例示的実施形態の利点が、添付の図面と組み合わせられる際に、本発明の特定の例示的実施形態の以下の記載から明らかになるであろう。
【0018】
図面全体を通して、類似の参照符号は、類似の要素、特徴および構造を意味すると理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態にしたがう医療装置を表す図である。
【
図4】パッチポンプシステムに実装される柔軟性リザーバの透視図である。
【
図5】
図4のパッチポンプシステムの流体構成および計量サブシステムの略図である。
【
図6】低液体体積を検出し、空までの時間の推定値を使用者に通知する方法を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書に例示される事項は、本発明の例示的実施形態の包括的理解を補助するために提供され、添付の図面を参照する。当業者であれば、特許請求される発明の範囲および真意から逸脱することなしに、本明細書に記載される例示的実施形態における種々の変更および修正ができることを認識するであろう。また、明瞭性および簡潔性のため、よく知られている機能および構造に関する記載を省略する。
【0021】
図1に示されるように、本発明の例示的実施形態は、液体薬剤の供給物を収容するための柔軟性リザーバ101と、柔軟性リザーバ101と流体連絡するチャンバー102および側面孔104を有する剛直構造120と、チャンバー内に取り付けられ、チャンバー102の1つの側面を封止するように設計されたプランジャ105とを含む。用語「柔軟性リザーバ」は、折りたたみ可能な流体パウチまたは流体のうのような完全に柔軟性であるリザーバ構造、および柔軟性壁部および剛直性壁部の両方を有することに基づいて部分的にのみ柔軟性であるリザーバ構造の両方を含む。チャンバー102の出口/入口103は、チャンバー102に入る流体およびチャンバー102から出る流体を可能にする。プランジャ105は、チャンバーを充填するための端部Aから端部Bへ向かうチャンバー102の軸方向において移動することが可能であり、あるいはまたチャンバーを排出するための端部Bから端部Aに向かうチャンバー102の軸方向において移動することが可能である。プランジャ105は、チャンバーからの液体の漏れを防止するようにチャンバー102内に配置される。プランジャ105が充填のために端部Aから端部Bへと移動する際に、流体源が端部Aに接続される。プランジャ105が側面孔104を通過する際に、流体がチャンバー102を満たし、柔軟性リザーバ101が充填されるまで、側面孔104を通して柔軟性リザーバに流入する。同時に、センサ106が始動され、液量信号を送信する。プランジャ105が排出のために端部Bから端部Aへと移動する際に、最初に柔軟性リザーバ101から排出される。プランジャ105が側面孔104を通過する際に、柔軟性リザーバ101は空になっている。再び、センサ106が始動され、リザーバ内の流体の低液量を示す別の液量信号を送信する。
【0022】
当業者であれば、センサ106が電気スイッチである場合に、
図1に示される医療装置が完全に機能するように設計されることを理解するだろう。たとえば、プランジャ105が側面孔104を通過する際に、センサ106から電気信号が送信され、液量情報を示す。あるいはまた、センサ106は、光学センサを用いて実装されてもよい。たとえば、プランジャ105が側面孔104を通過する際に、センサ106から光学信号が送信され、液量情報を示す。あるいはまた、センサ106は、磁気センサを用いて実装されてもよい。
【0023】
柔軟性リザーバ101から排出して、柔軟性リザーバ101を空にする際に、柔軟性リザーバ101およびチャンバー102の下流にポンプまたは手段を配置して、流体を柔軟性リザーバ101からその目的地へと運搬する負圧を生じさせることができる。柔軟性リザーバ101を充填する際に、同様の手段を配置して、流体を別の流体源から出口/入口103を通って柔軟性リザーバ101へと運搬する正圧を生じさせることができる。
【0024】
本発明の1つの例示的実施形態において、センサ106は、チャンバー102の端部Bに整列される電気スイッチである。スイッチ106のボタンまたはアクチュエータ107は、チャンバー102の開口部に向いている。プランジャ105が端部Aから端部Bに向かって移動し、側面孔104を通過する際に、プランジャ105の端部が電気スイッチのボタン107に接触し、スイッチ106を始動して液量信号を送信する。当業者であれば、上記の部品を支持または収納するために追加の支持および収納構造が存在してもよいことを理解するであろう。
【0025】
図2は、ポンプ機構を有する本発明の低液量状態の例示である。柔軟性リザーバ101を空にするために、柔軟性リザーバ101の下流にポンプ機構110が配置される。プランジャ105の初期位置は、位置Bである。ポンプ機構はチャンバー102および柔軟性リザーバ101内の流体に負圧を生じさせる。柔軟性リザーバ101内の流体は、側面孔104を通ってチャンバー102中へ、そしてチャンバーの出口/入口103を通って導管111へ、ポンプ機構110へと流動する。負圧は、柔軟性リザーバ101が最初に空にさせる。柔軟性リザーバ101が空になった際に、ポンプ機構110由来の継続する負圧は、プランジャ105を位置Bから位置Aに向かって移動させ、スイッチ106のボタン107を起動して、制御モジュール109に低液量信号を送信する。制御モジュール109は、使用者に対して、低液量警告信号を送出する。
【0026】
図3は、
図2の装置の高液量状態の例示である。柔軟性リザーバ101を充填するために、充填シリンジまたは他の装置を用いて、バルブまたはシールを通して、出口/入口103中に流体を強制的に注入させる。プランジャ105の初期位置は、位置Aである。充填装置により生じるチャンバー102内の正圧により、プランジャ105は押し戻される。プランジャ105がチャンバー102中の側面孔104を通過する際に、流体は、側面孔104を通して柔軟性リザーバ101中へと流動し始める。柔軟性リザーバ101が満たされた際に、正圧が上昇し、プランジャ105を位置Bまでさらに押し下げて、スイッチ106のボタン107を起動し、制御モジュール109に高液量信号を送信する。その後、ポンプ手段110が予め定められた速度で運転を開始することができ、柔軟性リザーバ101中の液体は使用者にポンプ送液され、センサ106が起動して液体の低液量信号を送信する時には柔軟性リザーバ101は
図2に例示されるように空になるであろう。
【0027】
図4は、カバーなしに例示されるパッチポンプ1Aに実装される柔軟性リザーバ101の透視図である。そのような配置は、柔軟性リザーバ101がパッチポンプ内の空隙を充填する状態で、パッチポンプ1Aの外側寸法をさらに縮小させる可能性がある。パッチポンプ1Aは、使用者の皮膚の表面にカニューレを挿入するカニューレ装入装置7Aとともに例示されている。パッチポンプ1Aは、バッテリーの形態にある動力源5Aと、インシュリンの液量を監視し、低液量検出手段を含む計量サブシステム41と、装置の部品を制御するための制御電子部品8Aと、リザーバ101を充填するための充填シリンジ45を受容するリザーバ充填ポート43とをさらに含む。
【0028】
図5は、
図4のパッチポンプ1Aの流体構成および計量サブシステムの図である。パッチポンプ1A用の動力貯蔵サブシステムは、電池5Aを含む。パッチポンプ1A用の制御電子部品8Aは、パッチポンプ1Aの動作を制御する、マイクロコントローラ81、センシング電子部品82、ポンプおよびバルブ制御器83、センシング電子部品85、および展開電子部品87を含んでもよい。パッチポンプ1Aは、リザーバ101、リザーバ101用の液量センサ48、およびリザーバ4Aを充填するための充填シリンジ45を受容するためのリザーバ充填ポート43とを含む、流体サブシステムを含む。流体サブシステムは、ポンプおよびバルブアクチュエータ411と、一体型ポンプおよびバルブ機構413とを含む計量システムを含んでもよい。流体サブシステムは、使用者の皮膚の注入部位への挿入のためのカニューレ47に加えて、閉塞センサ49、展開アクテュエータまたはカニューレ装入装置7をさらに含んでもよい。本発明の1つの実施形態において、液量センサは、
図1、
図2および
図3のセンサ106を用いて実装される。
【0029】
図6は、液体の低液量を検出し、空までの時間の推定値を使用者に通知するための方法を例示するフローチャートである。工程602において、チャンバー102の端部Aに対する負圧の印加により柔軟性リザーバ101が空にされる際に、流体は柔軟性リザーバ101から出て、チャンバー102を通して流動する。工程603において、全ての流体が柔軟性リザーバ101から取り出されるまで、これは継続される。この時点において、負圧は、プランジャ105をチャンバー102中を前方に摺動させるのに充分になるまで蓄積される。プランジャ105が移動を開始する際に、プランジャ105の後位端は、スイッチのボタン107との接触を喪失し、低液量信号を制御モジュール109に送信させる。工程604において、プランジャ105がスイッチ106のボタン107との接触を喪失する瞬間を検出する。この時点においてシステム中に残存する正確な液量は知られている。なぜなら、それは、導管111およびプランジャ105によって占有されていないチャンバー102の部分の体積と等しいからである。工程605において、この液量を、ポンプ機構の作動速度から知られる液体の現在の流速で除算して、システムの流体が空になるまでに残された時間の推定値を得る。工程606において、システムの使用者は、液量が低いことを警告される。流速が知られている場合、工程607において、使用者に、システムから液体が尽きるであろう時間の概算値を通知することができる。
【0030】
当業者であれば、上記の例示的実施形態の特徴を、多数の用途において同様に提供してもよく、上記の開示に限定されないことを理解するであろう。
【0031】
本発明を特定の例示的実施形態を参照しつつ提示および記載してきたが、本発明は、例示的実施形態に拘束されるものではなく、添付の特許請求の範囲およびその等価物によってのみ拘束されるものである。本発明の範囲および真意から逸脱することなしに当業者が例示的実施形態を変更または修正できること、ならびに、互いに矛盾しない限りにおいて、別個の実施形態および請求項の特徴を互いに組み合わせることができることは理解されるであろう。
【外国語明細書】