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特開2023-161014表皮の処置を目的とするペプチドの使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161014
(43)【公開日】2023-11-02
(54)【発明の名称】表皮の処置を目的とするペプチドの使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20231026BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231026BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20231026BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20231026BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231026BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20231026BHJP
   A61P 17/16 20060101ALI20231026BHJP
   A61P 17/18 20060101ALI20231026BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231026BHJP
   C07K 5/00 20060101ALI20231026BHJP
   C07K 7/06 20060101ALI20231026BHJP
【FI】
A61K8/64
A61K8/06
A61K8/92
A61K8/55
A61Q19/00
A61Q17/04
A61P17/16
A61P17/18
A61P17/00
C07K5/00 ZNA
C07K7/06
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023149532
(22)【出願日】2023-09-14
(62)【分割の表示】P 2020554226の分割
【原出願日】2019-04-04
(31)【優先権主張番号】1852950
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】503432445
【氏名又は名称】セダーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】モンドン,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】リンゲンバッハ,キャロリン
(72)【発明者】
【氏名】グラシオソ,オルガ
(57)【要約】
【課題】ペプチドは、一般式X-(Xaa)n*TFK*-(Xaa)m-Zを有する。ペプチドは、表皮の状態を維持または改善するのに役立つ。
【解決手段】一般式において、K*は、リジン(K)、オルニチン、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸、もしくはそれらの水酸化誘導体から選択される。(Xaa)nおよび(Xaa)mは、Gly、Ala、Pro、Val、Leu、IleおよびPheから互いに独立して選択されるnまたはm個のアミノ酸Xaaの配列に互いに独立して対応し、nおよびmは、0から5までの間で等しい、または異なっていてもよい整数である。N末端のXは、H、-CO-R1、-SO2-R1またはビオチノイル基から選択される。C末端のZは、OH、OR1、NH2、NHR1またはNR12から選択される。R1およびR2は、互いに独立して、アルキル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、アルコキシ基、糖およびアリロキシ基から選択され、直鎖状、分枝状、環状、多環状、不飽和、水酸化、カルボニル化、リン酸化および/または硫化されていてもよく、前記基は、1から24個の炭素原子を有し、その骨格にO、Sおよび/またはNのヘテロ原子を有していてもよい。好ましいペプチドは、Pal-KTFKである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮の状態を維持または改善するための非治療的な美容処置のための、以下の一般式1を有するペプチドおよび生理学的に許容される媒体を含む化粧品成分または皮膚科学的成分であって、
【化1】
前記一般式1において:
・K*は、リジン(K)、オルニチン、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸を含む群から選択され、2つのK*は、同一または異なっており;
・(Xaa)nおよび(Xaa)mは、GlyおよびAlaから互いに独立して選択されるn個またはm個のアミノ酸Xaaの配列に互いに独立して対応し、nおよびmは、0または1または2の等しい、または異なっていてもよい整数であり;
・N末端のXは、Hまたは-CO-R1から選択され;
・C末端のZは、OH、OR1、NH2またはNHR1から選択され;
・ここで、R1は、から24個の炭素原子を有するアルキル基から選択され、
前記生理学的に許容される媒体は、前記ペプチドの皮膚への浸透を遅くして表皮に作用させることができ、
前記媒体が、油-ワックス界面活性剤および水のミクロエマルジョンであり、その中に前記ペプチドが可溶化されており、前記ペプチドがワックス粒子に取り込まれているため、その浸透が遅くなり、表皮の部位での皮膚の表面における生理学的な利用可能性が高まる、
成分。
【請求項2】
レシチン系界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の成分。
【請求項3】
*が、リジン(K)またはオルニチンであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の成分。
【請求項4】
X=HおよびZ=OHの場合を除いて、前記ペプチドが、N末端位置またはC末端位置で修飾されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の成分。
【請求項5】
Xが、アシル基CO-R1であり、かつZが、OH、OMe、OEtおよびNH2から選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の成分。
【請求項6】
前記ペプチドが、Pal-KTFK(SEQ ID NO5)であることを特徴とする、請求項からのいずれか1項に記載の成分。
【請求項7】
前記美容処置が、表皮のバリアを改善および/または強化することを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の成分。
【請求項8】
前記ペプチドが、外部環境の分子および攻撃から皮膚、特に敏感肌を保護することができることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の成分。
【請求項9】
前記ペプチドが、角質層の脱落および皮膚の自然な剥離を促進することを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の成分。
【請求項10】
前記ペプチドが、紫外線、炎症および酸化型の攻撃から皮膚を保護するために、α-クリスタリンの産生を刺激することができることを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の成分。
【請求項11】
前記美容処置により、セルフタンニング活性剤の塗布前に、自然で柔らかな平滑化を達成することが可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の成分。
【請求項12】
前記ペプチドが、前記セルフタンニング活性剤の塗布前に、少なくとも3日間塗布されることを特徴とする、請求項11に記載の成分。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか1項に記載の活性成分を含むことを特徴とする、化粧品組成物または皮膚科学的組成物。
【請求項14】
別個のコンパートメントに、
a)請求項13に記載の組成物、および
b)生理学的に許容される媒体中にセルフタンニング活性剤を含む組成物
を含むセルフタンニング美容処置を行うためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容または皮膚科学的なペプチドに基づいた処置、このペプチドに基づいた新規の化粧品成分または皮膚科学的成分、およびそれを含む組成物に関する。より詳細には、本発明は、ヒトまたは哺乳動物の、皮膚およびその付属器の処置を目的とするペプチドに関する。
【0002】
これは特に、化粧品、皮膚科学的製品、衛生製品、およびパーソナルケア製品の産業に関係している。
【背景技術】
【0003】
ペプチドは、重要なシグナル機能を有し、多くの生化学的プロセスを調整する。その結果、ペプチドは、特に化粧品産業において、長い間、不可欠で有望な活性成分となっている。その新しい化合物は、皮膚およびその付属器を美しくするために、すなわちそれらの通常の状態を改善するために、常に探索されている。
【0004】
現在提案されているペプチドのほとんどは、細胞外マトリックス成分、主にコラーゲンおよびエラスチンの刺激を介して真皮に作用するペプチドである。これを主軸とする多数のペプチドが、特に出願人によって提案されている。例えば、マトリキシル(MATRIXYL)(登録商標)の商標名で販売されているPal-KTTKS(SEQ ID NO 1)、マトリキシル(MATRIXYL)(登録商標)3000の商標名で販売されているPal-GHKおよびPal-GQPR(SEQ ID NO 2)を含む混合物、マトリキシル(MATRIXYL)(登録商標)シンセ’6(Synthe’ 6)(登録商標)の商標名で販売されているPal-KMO2K(MO2は、二酸化メチオニンに相当)、または最近では、マトリキシル(MATRIXYL)(登録商標)モルフォミックス(Morphomics)(商標)の商標名で販売されているPal-K(P)HG(リジンにグラフトされたプロリンを有する)、ダーマキシル(Dermaxyl)(商標)もしくはバイオペプタイドEL(Biopeptide EL)(商標)の商標名で販売されているPal-VGVAPG(SEQ ID NO 3)、またはイデアリフト(Idealift)(商標)もしくはカルモセンシン(Calmosensine)(商標)の商標名で販売されているN-アセチル-Tyr-Arg-O-ヘキサデシルが挙げられる。
【0005】
皮膚の美しさおよび健康は、特にケラチノサイトの最適な分化と、表皮がその最外層である角質層を形成する能力を通じて、そして、脱落による定期的な最外層の再生を通じて、表皮の質および厚さに大きく依存している。表皮、特に角質層は、実際、外部環境の分子および攻撃(光照射、汚染物質など)から身を守るために不可欠な天然の皮膚のバリアを形成している。例えば、この皮膚のバリアをしっかりと保護することによって、皮膚の早期老化の原因となり得る表皮の微小炎症のリスクを有利に制限できる。上記保護は、敏感肌に必要である。また、それは、水分損失のリスクを制限し、表皮の良好な保湿を維持するのに役立つ。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、表皮、特に角質層の特性に作用する活性を有するペプチド、すなわち皮膚表面の第1層に作用することが可能なペプチドを提供することを目的とする。
【0007】
この目的のために、第1の形態によれば、本発明は、表皮の状態を維持または改善するための非治療的な美容処置のための、以下の一般式1を有するペプチドの使用を提供する。
【0008】
【化1】
【0009】
前記一般式1において:
・K*は、リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸、もしくはそれらの水酸化誘導体を含む群から選択され、2つのK*は、同一または異なっており;
・(Xaa)nおよび(Xaa)mは、Gly、Ala、Pro、Val、Leu、IleおよびPheから互いに独立して選択されるn個またはm個のアミノ酸Xaaの配列に互いに独立して対応し、nおよびmは、0から5までの間で等しい、または異なっていてもよい整数であり;
・N末端のXは、H、-CO-R1、-SO2-R1、またはビオチノイル基から選択され;
・C末端のZは、OH、OR1、NH2、NHR1またはNR12から選択され;
・ここで、R1およびR2は、互いに独立して、アルキル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、アルコキシ基、糖およびアリロキシ基から選択され、直鎖状、分枝状、環状、多環状、不飽和、水酸化、カルボニル化、リン酸化および/または硫化されていてもよく、前記基は、1から24個の炭素原子を有し、その骨格に1個以上のO、Sおよび/またはNのヘテロ原子を有していてもよい。
【0010】
したがって、本発明に記載の使用されるペプチドは、表皮上で生理学的に活性のあるアミノ酸配列K*TFK*を少なくとも含むことを特徴とする。活性配列K*TFK*の両側には、Gly、Ala、Pro、Val、Leu、IleおよびPheから選択される、好ましくはGly、Ala、Pro、Valから選択される、好ましくはGlyおよびAlaから選択される1から5個の非極性アミノ酸の配列が付加されていてもよい。
【0011】
好ましくは、本発明によれば、K*は、リジンまたはオルニチンであり、より好ましくはリジンである。好ましい水酸化誘導体は、ヒドロキシリジンである。
【0012】
より好ましくは、本発明によれば、nおよびmは、0から2の間であり、好ましくは0に等しく、前記ペプチドは、以下の一般式2を有する。
【0013】
【化2】
【0014】
好ましくは、前記ペプチドは、以下の一般式3を有する。
【0015】
【化3】
【0016】
Kは、リジン(Lys)であり、かつTは、トレオニン(Thr)であり、かつFは、フェニルアラニン(Phe)であり、かつXおよびZは、上記で定義された通りである。
【0017】
(ケラチノサイトの培養物、皮膚外植片、または再建皮膚における)インビトロ試験の結果を以下に記載する。この結果は、本発明に係るペプチドによって、特に皮膚のバリア機能を強化し、表皮の自然な成熟過程を調和させることにより、表皮の状態の維持/保護および改善が得られることを示す。
【0018】
これらの試験は、いくつかの部位において本発明に係るペプチドの標的化された作用を実証し、特に以下を実証した:
・ペプチドは、皮膚のバリアを構成する、またはバリアの起始部でのケラチノサイトの分化に積極的に介入するいくつかの分子の産生を刺激する;
・ペプチドは、表皮上部の保湿を高める;
・ペプチドは、脱落による角質層の再生を改善する;
・ペプチドは、α-クリスタリンの産生を刺激する;
・ペプチドは、多様な小さな日常的攻撃(光照射、汚染物質など)によって引き起こされる皮膚の微小炎症に関与する多くの分子の量を低下させる。
【0019】
以下で説明されるインビボ試験の結果は、本発明に係るペプチドに関連したその後の実際の美容上の利点を示している:皮膚の平滑化、より良い保湿(したがって、皮膚は、より透明で、しなやかで、柔らかい)、および顔色の改善された輝きおよび均質化。本発明によって、皮膚の欠陥が、回避、または低減される。
【0020】
好ましくは、本発明に係るペプチドは、X=HおよびZ=OHの場合を除いて、N末端位置またはC末端位置で修飾されている。
【0021】
本発明の他の好ましい特徴によれば:
・R1および/またはR2が、1から24個の炭素原子のアルキル鎖、好ましくは3から24個の炭素原子の親油性アルキル鎖であり;および/または、
・Xが、アシル基CO-R1であり;好ましくは、オクタノイル(C8)、デカノイル(C10)、ラウロイル(C12)、ミリストイル(C14)、パルミトイル(C16)、ステアロイル(C18)、ビオチノイル、エライドイル、オレオイルおよびリポイルから選択され;より好ましくは、ラウロイル(C12)、ミリストイル(C14)およびパルミトイル(C16)から選択され;および/または、
・Zが、OH、OMe、OEtおよびNH2から選択され、好ましくはOHであり;
および/または
・Xが、パルミトイル(C16)、ミリストイル(C14)およびラウロイル(C12)から選択され;より好ましくはパルミトイル(C16)であり、かつZが、OHである。
【0022】
N末端位置またはC末端位置に、アスコルビン酸、レチノイン酸、ケイ皮酸、オレアノール酸、ヒアルロン酸、ニコチン酸、リポ酸、ガリック酸、またはパントテン酸のような特定の酸誘導体を含むペプチドもまた、本発明に包含される。
【0023】
本発明に係る好ましいペプチドは、以下の式4における、N末端側のパルミトイル鎖置換(X=Pal)およびC末端側の無置換(Z=OH)に対応するPal-KTFK-OH(Pal-KTFK、SEQ ID NO5とも呼ばれる)である。
【0024】
【化4】
【0025】
本発明に係るペプチドは、光学的に純粋なものであってもよく、L異性体またはD異性体、またはそれらの混合物からなっていてもよい。天然に存在するL異性体が好ましいこともある。ペプチドは、適切な場合には、塩の形態、特に塩酸塩または酢酸塩であってもよい。
【0026】
本発明はまた、(化学的機能の改良および/または付加を有するが、炭素骨格は変化しない)ペプチド誘導体、(化学的機能の改良および/または付加を有するが、炭素骨格はさらに変化する)ペプチド類似体、および金属イオン(例えば、銅、亜鉛、マンガン、およびマグネシウムなど)のような他の種との複合体も包含する。
【0027】
本発明に係る使用のために、ペプチドは、想定されるガレノス製剤の形態に応じて、適切な場合には可溶化剤を用いて、生理学的に許容される親油性マトリックスまたは親水性マトリックスに可溶化することができる。
【0028】
「生理学的に許容される媒体」とは、本発明によれば、限定されるものではないが、水溶液または水-アルコール溶液、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、ミクロエマルジョン、水性ゲル、無水物ゲル、セラム、ベシクル分散液、または粉末を意味する。
【0029】
「生理学的に許容される」とは、本発明のペプチドを含む成分および組成物が、毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などの危険性なしで摂取または皮膚に注入することが可能であって、哺乳類、より詳細にはヒトの粘膜、爪、頭皮、毛髪、体毛および皮膚に接触させての局所的使用または経皮的使用に適していることを意味する。この「生理学的に許容される媒体」は、一般に、組成物の賦形剤と呼ばれるものを形成する。
【0030】
本発明に係るペプチドはまた、カプセル、スフィア、リポソーム、オレオソーム、カイロミクロン、スポンジのようなマクロ-、ミクロ-もしくはナノ粒子上に/へ、ミクロもしくはナノエマルジョンの形態で、結合され、取り込まれ、もしくは吸収されることによって、または、例えば、有機ポリマー粉末、タルク、ベントナイト、胞子もしくはエキシン、および他の無機もしくは有機支持体上に吸着されることによって、ベクター化された形態で使用されてもよい。
【0031】
好ましくは、本発明に係るペプチドは、その浸透を遅くし、皮膚の表面、すなわち表皮の部位においてより生理学的に利用可能にするために、油-ワックス界面活性剤および水のミクロエマルジョンに「捕獲」された特定の形態で使用される。
【0032】
この特定の形態によって、ペプチドは、真皮に入ることを実質的に防止され、角質層から、そして表皮のすべての部位において、ゆっくりと均一にその生理学的作用を発現させ
ることができる。
【0033】
本発明の第2の形態によれば、以下の一般式1を有するペプチドを含む化粧品成分または皮膚科学的成分が提供される。
【0034】
【化5】
【0035】
一般式1において:
・K*は、リジン、オルニチン、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸、もしくはそれらの水酸化誘導体から選択され、2つのK*は、同一または異なっており;
・(Xaa)nおよび(Xaa)mは、Gly、Ala、Pro、Val、Leu、IleおよびPheから互いに独立して選択されるn個またはm個のアミノ酸Xaaの配列に互いに独立して対応し、nおよびmは、0から5までの間で等しい、または異なっていてもよい整数であり;
・N末端のXは、H、-CO-R1、-SO2-R1、またはビオチノイル基から選択され;
・C末端のZは、OH、OR1、NH2、NHR1またはNR12から選択され;
・ここで、R1およびR2は、互いに独立して、アルキル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、アルコキシ基、糖およびアリロキシ基から選択され、直鎖状、分枝状、環状、多環状、不飽和、水酸化、カルボニル化、リン酸化および/または硫化されていてもよく、前記基は、1から24個の炭素原子を有し、その骨格に1個以上のO、Sおよび/またはNのヘテロ原子を有していてもよく、
前記生理学的に許容される媒体は、前記ペプチドの皮膚への浸透を遅くして表皮に作用させることができる。
【0036】
本発明の第1の形態によれば、ペプチドは、より正確には上記で定義された通りである。
【0037】
好ましくは、媒体またはベクターは、油-ワックス界面活性剤および水のミクロエマルジョンであり、その中にペプチドが可溶化され、より好ましくは、レシチンを含むワックス相を含む。
【0038】
形成されたミクロエマルジョンでは、ペプチドは、ペプチドとワックス粒子との間に、界面活性剤を介して、イオン結合、水素結合、およびファンデルワールス結合の弱い結合を確立し、溶媒和によってそれ自体が「捕捉」されていることがわかる。
【0039】
局所的に塗布する間に誘導された力およびエネルギーは、その後、これらの弱い結合を壊すことにより、ゆっくりと徐々に脱溶媒することによって、角質層内のペプチドの放出を可能にする。
【0040】
本発明の第3の形態によれば、本発明の第2の形態に係る成分を含む化粧品組成物または皮膚科学的組成物が提供される。
【0041】
本発明に係るペプチド、特に本発明の第3の形態に係るペプチドを含む組成物は、最終的に使用者によって塗布されるものである。
【0042】
組成物は、任意のガレノス製剤の形態(例は、以下の説明で示される)で提供されてもよく、また、皮膚/織物との接触によって美容または皮膚科学的効果を発揮し連続的な局所的伝達を可能にするように、天然繊維、合成繊維、羊毛、もしくは皮膚に接触するように適合された任意の材料の織物支持体を介して伝えられてもよく、または、昼間もしくは夜間の下着などの衣服、ハンカチ、もしくは組織に使用されてもよい。
【0043】
特定の有利な形態において、本発明によれば、ペプチドは、活性の補強として作用するように適合された、および/または1つ以上の他の活性に対して相補的に作用するように適合された少なくとも1つの付加的活性剤と組み合わされてもよい。
【0044】
この目的のための様々な付加的活性剤は、以下の詳細な説明に記載されている。
【0045】
第4の形態によれば、本発明は、上述した本発明の第3の形態に係る美容または皮膚科学的組成物の有効な量を皮膚に局所的に塗布することを含む、皮膚の美的外観を改善する方法を提供する。
【0046】
第5の形態によれば、本発明は、別個のコンパートメントに以下を含むセルフタンニング美容処置を行うためのキットを提案する。
a)上記で定義されたような本発明に係る組成物、または生理学的に許容される媒体中に第1の形態に記載の上記で定義されたような本発明に係るペプチドを含む組成物。
b)生理学的に許容される媒体中にセルフタンニング活性剤を含む組成物。
【0047】
特に有利には、本発明に係るペプチドは、セルフタンニング活性剤の塗布前に、自然で柔らかな平滑化を達成するために使用することができ、ペプチドは、特に、セルフタンニング活性剤の塗布前に、少なくとも3日間、好ましくは6日間、より好ましくは8日間塗布される。
【0048】
「局所的処置」または「局所的使用」とは、本発明によれば、それが塗布される場所、すなわち皮膚、粘膜および付属器で作用することが意図される塗布を意味する。
【0049】
ペプチドまたはペプチドを含む本発明に係る組成物は、標的領域に局所的に塗布することができる。
【0050】
「有効な」量とは、様々な因子、例えば、年齢、患者の状態、障害または病理の重症度、投与様式などに依存する。有効な量は、所望の効果を達成するのに十分な非毒性量を意味する。
【0051】
本発明に係る化粧品組成物において、有効な量で存在するペプチドは、一般的に、組成物の総重量に対して0.000001%から5%の範囲、好ましくは0.00001%から0.1%、より好ましくは約0.0005%から0.005%の範囲の割合であり、組成物の目的および大なり小なり顕著な所望の効果に依存する。
【0052】
本明細書で使用される全てのパーセンテージおよび比は、組成物全体の重量によるものであり、他に指定がない限り、全ての測定は、25℃で行われる。
【0053】
例えば、顔の美容処置について、欧州化粧品指令(the European Cosmetics Directive)は、1人当たり2.72mg/cm2/日のクリームの標準適用量、および1人当たり0.5mg/cm2/日のボディーローションの標準適用量を設定している。
【0054】
他の特徴によれば、本発明に係る美容処置方法は、例えば、光療法、温熱療法、振動療法、電気療法、マイクロニードルパッチまたはアロマセラピー処置などの皮膚を標的とする1つ以上の他の処置方法と組み合わされてもよい。
【0055】
本発明によれば、上記に記載の方法の実施を意図されたいくつかのコンパートメントを有するデバイスまたはキットを提示することが可能であり、それは、例えば、限定されないが、第1のコンパートメントに本発明に係る活性成分を含む組成物を、第2コンパートメントに付加的賦形剤および/または活性剤を含むことができる。ここで、第1コンパートメントおよび第2コンパートメントに含まれる組成物は、特に、上記の処置方法の1つにおいて、同時の、別々のまたは段階的な使用のための組み合わせの組成物とみなされる。
【0056】
本発明に係る組成物は、治療的処置、特に皮膚の処置、特に疾患を有する表皮を有する皮膚の処置に適している。
【0057】
第6の形態によれば、本発明に係る化粧品的使用、方法、組成物、およびキットを目的とするペプチドが提供され、前記ペプチドは、以下の一般式1を有する。
【0058】
【化6】
【0059】
前記一般式1において:
・K*は、リジン(K)、オルニチン、ジアミノ酪酸またはジアミノプロピオン酸、もしくはそれらの水酸化誘導体を含む群から選択され、2つのK*は、同一または異なっており;
・(Xaa)nおよび(Xaa)mは、Gly、Ala、Pro、Val、Leu、IleおよびPheから互いに独立して選択されるn個またはm個のアミノ酸Xaaの配列に互いに独立して対応し、nおよびmは、0から5までの間で等しい、または異なっていてもよい整数であり;
・N末端のXは、H、-CO-R1、-SO2-R1、またはビオチノイル基から選択され;
・C末端のZは、OH、OR1、NH2、NHR1またはNR12から選択され;
・ここで、R1およびR2は、互いに独立して、アルキル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、アルコキシ基、糖およびアリロキシ基から選択され、直鎖状、分枝状、環状、多環状、不飽和、水酸化、カルボニル化、リン酸化および/または硫化されていてもよく、前記基は、1から24個の炭素原子を有し、その骨格に1個以上のO、Sおよび/またはNのヘテロ原子を有していてもよく、
ペプチドPal-KTFK-OHおよびペプチドEla-KTFK-OHは、除かれる。
【0060】
ペプチドの好ましい特徴によれば
・K*が、リジン(K)またはオルニチンであり、;および/または
・nおよびmが、独立して他の0、1または2のいずれか1つであり;および/または
・X=HおよびZ=OHの場合を除いて、前記ペプチドが、N末端位置またはC末端位置で修飾されており;および/または
・R1および/またはR2が、1から24個の炭素原子のアルキル鎖であり;および/または
・Xが、アシル基CO-R1であり、かつZが、OH、OMe、OEtおよびNH2から選択され;および/または
・前記ペプチドが可溶化され、好ましくは、媒体またはベクターは、油-ワックス界面活性剤および水のミクロエマルジョンであり、その中に前記ペプチドが可溶化され、より好ましくは、レシチンを含むワックス相を含む。
【詳細な説明】
【0061】
本発明は、以下の実施形態の説明およびインビトロ試験およびインビボ試験を参照して、よりよく理解されるであろう。
【0062】
A)本発明に係るPal-KTFKペプチド(SEQ ID NO 5)の調製例
Pal-KTFKペプチドは、ペプチド合成によって調製される。リジンは、その末端の酸官能基を介して樹脂とカップリングされる(カップリング剤、例えば、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)/NHS(N-ヒドロキシコハク酸イミド)またはHBTU(2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)/HOBT(1-ヒドロキシ-ベンゾトリアゾール)を用いる)。このようにして保護されたリジンは、次にカップリング剤の存在下でトレオニン誘導体と反応され、次に同じ操作を行ってフェニルアラニンを添加され、同様に第2のリジンを添加される。後者は、その後、塩基の存在下で活性化されたパルミチン酸誘導体(例えば、塩化パルミトイル)を用いて、そのアミン官能基でアシル化される。酸性媒体中で樹脂からペプチド鎖を切断し、沈殿、洗浄、および乾燥の後、パルミトイル-リシル-トレオニル-フェニルアラニル-リジン生成物が、固体状で得られる。
【0063】
B)Pal-KTFK(SEQ ID NO5)を含む本発明に係る化粧品活性成分の調製例
Pal-KTFKペプチドは、両親媒性であり、Pal鎖は、疎水性であり、フェニルアラニル部分は、親水性である。このペプチドは、適切な界面活性剤を用いて水/グリコールマトリックスに可溶化されている。
【0064】
C)ベクター化ペプチドを有する本発明に係る化粧品活性成分の調製例
手順:
【0065】
ステップ1:「賦形剤」相の調製
水相:水+界面活性剤
+ワックス相:ワックス+レシチン系界面活性剤
+油相:油+界面活性剤
【0066】
強い撹拌によって、水中油エマルジョンを形成する。このステップによって、液体部分と、ワックス粒子を含む固体部分とを含む不均一な相が形成される。
【0067】
ステップ2:本発明に係る活性ペプチドを含む相の調製
水相:水+Pal-KTFKペプチド(200ppm)
【0068】
ステップ3:中程度の撹拌下で「賦形剤」相に「活性」相を添加する。
【0069】
ステップ4:任意に、最終的なエマルジョン中に、防腐剤を含む1つ以上の相を添加する。
【0070】
ステップ5:任意に、最終的なエマルジョンにpH調整剤(所望のpHは約4.5)を添加する。
【0071】
ワックスは、油と同様に、複数のワックスから構成されていてもよい。
【0072】
得られた製品:
形成されたエマルジョンでは、ペプチドは、ペプチドとワックス粒子との間に、レシチンを介して、イオン結合、水素結合、およびファンデルワールス結合の弱い結合を確立し、先に形成された水中油型エマルジョン中に溶媒和によってそれ自体が「捕捉」されていることがわかる。
【0073】
Pal-KTFKペプチドは、両親媒性であるため、脱溶媒後に拡散して均一に作用し、角質細胞間の結合と高い親和性を有する。
【0074】
D)インビトロ有効性試験
試験は、本発明に係る好ましいペプチドであるPal-KTFKについて、その非溶媒和形態で実施された。
【0075】
以下のインビトロ試験を、表皮細胞:正常ヒトケラチノサイト(NHK)、皮膚外植片、または再建皮膚において実施した。本発明に係るペプチドは、不活性溶媒(エタノール)中の溶液中で、皮膚における使用の推奨濃度で試験された。
【0076】
1/表皮のバリアの改善および表皮の成熟の調和
角層または角質層は、一方では、互いに強く結合している平らな核のない細胞と、他方では、脂質およびタンパク質とを、結び付ける、非常に複雑な集合体であり、その組成および集合体により、環境の物理的、化学的、および生物学的な攻撃に対して非常に耐性のあるこの構造の独特な特性が確保される。
【0077】
以下の試験は、3つの異なる生物学的系(ヒトケラチノサイト薄層培養物、または、ヒト皮膚外植片もしくは再建皮膚の培養物)において表皮分化およびバリア形成に関与する様々なマーカーを分析することによって、本発明に係るペプチドが表皮の恒常性および皮膚バリアの強化を誘導することを示している。
【0078】
ケラチノサイトは、カルシウム感受性の酵素であるトランスグルタミナーゼの介在によって相互に連結されたインボルクリンおよびロリクリンと呼ばれるタンパク質で形成された強固な外殻のために、徐々に成熟していく。角質層の成熟および恒常性維持に関与する他のタンパク質である、SPRR(プロリンに富む小タンパク質)は、トランスグルタミナーゼの活性を介してタンパク質間に柔軟かつ強力な架橋結合を形成することによって、このタンパク質の殻を強化する役割を果たしている。NICE-1は、多くの層タンパク質と同じ場所に遺伝子を有するタンパク質である。その組成物は、トランスグルタミナーゼの理想的な基質となり、ロリクリンの組成物に類似する。また、LEC(角化膜の後期タンパク質)も、成熟期に架橋される最後の成分の1つである。さらに、ケラチン10、ケラチン1、およびセラミドは、角質層およびそのプロテオリピドマトリックスの形成および質に非常に重要な役割を果たしており、それらの合成を刺激する化粧品活性剤も重要である。
【0079】
優れたバリア機能はまた、ケラチノサイトによって産生されるフィラグリンおよびフィラグリン-2に大きく依存しており、これらは著しい代謝を受ける。これらは、ケラチンと結合することによって角質細胞を安定化させ、最終的にはアミノ酸に分解され、角質層に存在する天然保湿因子(NMF)の必須成分を生成する働きをする。また、ケラチノサイトを取り囲んでいるヒアルロン酸が、表皮の水分を保持しており、その重量の1000倍もの水分を引き寄せて保持する天然のスポンジとしての役割を果たしている。
【0080】
最後に、α-クリスタリンは、HSPファミリー(または熱ショックタンパク質)に関連する小さなタンパク質である。α-クリスタリンは、表皮に存在し、上皮細胞を保護し、ミトコンドリア機能を回復させ、酸化ストレスに対する抵抗力を高める。このタンパク質は、細胞内およびそのごく近辺に存在するという特性を有する。このタンパク質が存在することによって、皮膚は、紫外線、炎症、およびより一般的には酸化型の攻撃から保護される。
【0081】
1.1/DNA-アレイ
原理:
本発明に係るペプチドを、コンフルエントに達したKHN(n=3)と6時間または24時間接触させた。その後、KHNマットを洗浄し、細胞を破砕してそのmRNAを抽出した。これらのmRNAは、DNAチップ上に堆積させて、qRT-PCR(リアルタイム定量逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)と同様の方法によって増幅した後、小さなDNA配列に変換されて解析される。ペプチドによるmRNAの変化は、コントロール例(ペプチド溶媒)と比較される。
【0082】
結果:
表1:表皮分化タンパク質をコードする遺伝子の発現制御に関する変化。本発明に係るペプチド4ppmの効果。
【0083】
【表1】
毒性の影響は認められなかった。*6時間の接触;**24時間の接触
【0084】
これらの試験は、いくつかの生理学的標的が、本発明に係るペプチドに接触したNHKにおいて早期(6時間から24時間)に誘導されたことを示す。角質細胞の構築または角質層の保湿に関与する3つのタンパク質である、ロリクリン、フィラグリンおよびフィラグリン2の遺伝子は、溶媒コントロールと比較して統計的に良好に発現していた(p<0.01)。フィラグリン遺伝子の発現についてさらにqRT-PCR解析を行ったところ、本発明のペプチド4ppm相当量および6ppm相当量は、コントロールと比較して、それぞれ2.87倍および3.66倍に発現を増加させることが観察された(p<0.01)。
【0085】
1.2/LC-MS/MS(質量分析と組み合わせた液体クロマトグラフィー)による検討
原理:
DNA-アレイ(上記1.1/)と同じ培養手順を使用したが、培養時間を長くした(7日)ため、このLC-MS/MS法ではタンパク質産生の検出により時間がかかった。NHK培地(n=3)は、3日ごとに交換した。この接触の終わりに、細胞を溶解してタンパク質を抽出し、破砕物の形態で、破砕物に対するプロテアーゼの作用、液体クロマトグラフィーと質量分析との組み合わせによる断片の分離、ならびに得られた断片の性質および量に応じた既存のタンパク質の同定および濃度の分析(LC-MS/MS)を結び付ける方法で分析を行った。当量のタンパク質についてLC-MS/MS分析を行うために、破砕物のタンパク質濃度を測定した。
【0086】
結果の有意性を評価するために、分散分析およびStudent t-検定を行った。
【0087】
結果:
表2:表皮の恒常的成熟に関連するタンパク質の制御に関する変化。本発明に係るペプチド4ppmの効果。
【0088】
【表2】
毒性の影響は認められなかった。
【0089】
これらの結果は、本発明に係るペプチドが、分化に関連するタンパク質の産生をポジティブに誘導することを裏付けている:フィラグリン、NICE-1およびSPRR1Aの、3つすべてが増加した。同時に、ケラチン-10が増加し、ケラチン-10も、表皮の分化現象の間に産生されることが知られている。ケラチンは、デスモソーム(細胞間結合)を介して表皮を強化するために用いられ、表皮の恒常性によい影響を与えている。
【0090】
興味深いことに、そして予想外に、α-クリスタリンタンパク質の発現は、コントロール例よりも影響力があるように見え、相補的な探究につながった。
【0091】
1.3/再建皮膚のα-クリスタリン
原理:
正常なヒト線維芽細胞を、マトリックス中に播種した。数日後、ケラチノサイトをこの真皮相当のものの上に堆積させ、細胞の均一な層を形成した。この段階で、全体を気液界面(浸漬)に移し、多層化表皮を形成するようにした。(約)21日後には、成熟した皮膚が(角質層を含む表皮を伴って)得られた。
【0092】
浸漬段階の前夜に、これらの皮膚のコンフルエントに達したヒトケラチノサイトの層に本発明に係るペプチドを24時間、その後18日間(表皮の形成期間)添加した。凍結切片(7μm)にし、α-クリスタリンを蛍光抗体で標識した(免疫組織学)。蛍光は、写真で解析し、全ての写真について等価面を解析した(n=51から59)。Student t-検定を行った。
【0093】
結果:
表3:再建皮膚表皮におけるα-クリスタリンタンパク質の発現。本発明に係るペプチドの4ppmおよび6ppmの効果。
【0094】
【表3】
毒性の影響は認められなかった。
【0095】
これらの結果は、α-クリスタリンが、本発明に係るペプチドによって、皮膚において非常に明確に刺激されていることを示している(コントロールと比較して+61%および+164%、p<0.01)。このタンパク質は、表皮に存在するケラチノサイト、そのタンパク質、およびそのミトコンドリアの保護効果を発揮することが記載されている。
【0096】
1.4/表皮の分化および保湿成分の制御
原理:
コンフルエントに達したNHK(n=3)を本発明に係るペプチドの存在下または非存在下(コントロール)で、前回のように7日間培養した後、表皮の成熟に特性のあるタンパク質:インボルクリン、ロリクリン、およびフィラグリン、または保湿に特性のあるタンパク質:フィラグリン、およびセラミド(角質層の構造化要素)に対する抗体を用いて免疫細胞化学的なマーキングを行った。
【0097】
ケラチノサイトが産生したヒアルロン酸をELISA法で分析することによって、保湿性を評価した。
【0098】
最後に、トランスグルタミナーゼの活性およびトランスグルタミナーゼ-5遺伝子の発現に対する本発明に係るペプチドの影響を評価した。
【0099】
このために、コンフルエントに達したNHKを本発明に係るペプチドと21日間に至るまで接触させた。トランスグルタミナーゼ活性を、これらの酵素によって角質層タンパク質に結合する蛍光性ダンシルカダベリンを用いた手順を用いて評価した。蛍光の分析を行い、その結果を溶媒コントロールと比較した。
【0100】
トランスグルタミナーゼ-5に関して、本発明に係るペプチドとKHNとの72時間の接触後にqRT-PCRを行った。
【0101】
このパートに記載されている4つの試験については、結果を細胞数に還元するために、細胞数の定量化を並行して行った。
【0102】
結果:
表4:NHKにおけるインボルクリン、ロリクリン、フィラグリン、およびセラミド形成の誘導(免疫蛍光)。本発明に係るペプチド2ppmの効果。
【0103】
【表4】
毒性の影響は認められなかった。
【0104】
これらの結果は、本発明に係るペプチドがNHKの成熟を効果的に促進することを示している。その効果は、2ppmで明らかである。
【0105】
表5:NHKにおけるヒアルロン酸分泌の誘導。本発明に係るペプチド4ppmおよび6ppmの効果。
【0106】
【表5】
毒性の影響は認められなかった。
【0107】
これらの結果は、本発明に係るペプチドが表皮の保湿に関与していることを示している。
【0108】
表6:KHNにおけるトランスグルタミナーゼ活性およびトランスグルタミナーゼ-5遺伝子発現の変化。本発明に係るペプチド4ppmおよび6ppmの効果。
【0109】
【表6】
【0110】
これらの結果は、本発明に係るペプチドが、特にロリクリンタンパク質、インボルクリンと結合することが知られているトランスグルタミナーゼ-5遺伝子の発現に及ぼす効果を示しており、それによって角質層の形成に寄与することを示している。同時に、ケラチノサイトにおけるトランスグルタミナーゼタンパク質の活性が実際に増加している。
【0111】
相補的な方法によって得られたこれらの結果のすべては、NHKと本発明に係るペプチドとの接触が、起こり得る環境の攻撃に関して皮膚のバリアの強化をもたらし、かつ表皮の表層の保湿を促進する主要な細胞成分の合成の刺激を誘導することを示している。
【0112】
1.5/成熟の刺激の機構:TRPC6
TRPC6受容体(一過性受容体電位カノニカル6)は、カルシウム誘導性ケラチノサイトの分化に関与している。その単純な刺激は、表皮の分化およびその後の角質層の形成に必要な構造の構築を誘発するのに十分である。TRPC6は、基底層のケラチノサイトには存在しない。TRPC6は、表皮の成熟部分に特異的である。
【0113】
DNA-アレイ(上記1.1参照)は、角質層の形成をコードする遺伝子の刺激に加えて、細胞内カルシウムフラックスを供給するタンパク質であるTRPC6をコードするmRNAの産生の増加を明らかにした。本発明に係るペプチド(4ppm)に関連するこの非常に有意な増加は、6時間における溶媒コントロールと比較して、6.05倍であった。
【0114】
原理:
コンフルエントに達したケラチノサイトに、特定のカルシウムプローブを負荷した。この分子は、細胞内遊離カルシウムの存在下で非常に蛍光を発する。顕微鏡下での蛍光の出現をモニターした。細胞は、一旦負荷されると、洗浄され、その後、本発明に係るペプチド6ppmまたは15ppm、もしくはポジティブコントロール(ブラジキニン)を添加された。
【0115】
結果の有意性を評価するために、分散分析およびStudent t-検定を行った(各条件でn=3)。
【0116】
結果:
視覚的な結果は、本発明に係るペプチドが、コンフルエントに達したケラチノサイトにおいて細胞内カルシウム動員を実際に誘導することを示す(細胞とペプチドとの約30分の接触後に蛍光顕微鏡下で可視化される)。このカルシウム放出機構は、角質層の要素の協調的な形成を可能にすることによって、ケラチノサイトの分化を促進することがよく知られている。
【0117】
1.6/成熟のエピジェネティック制御:ANCR
ANCR(抗分化ノンコーディングRNA)は、855塩基からなるLnc-RNA(長鎖ノンコーディングRNA)である。ANCRは、表皮の恒常性維持に不可欠である。ANCRは、その基底部において過剰に発現し、逆にその分化部および成熟部において非常に少なくなる。ANCRは、表皮の再生および表皮バリアの形成に関与する機構の複雑なネットワークの一部である。実験的にケラチノサイトにおいてANCRが枯渇すると、表皮の成熟の初期および終期のマーカー:フィラグリン、ロリクリン、インボルクリンの発現を伴うケラチノサイトの後期分化が促進される。これは、皮膚バリアの形成に適用されるエピジェネティックな制御の一例である。
【0118】
原理:
この試験では、コンフルエントに達したケラチノサイトを本発明に係るペプチドと24時間接触させた後、細胞を洗浄し、破砕し、そのRNAを抽出し、DNAに変換し、その後qRT-PCRにより分析した。
【0119】
結果の有意性を評価するために、分散分析およびStudent t-検定を行った(各条件のn=4)。
【0120】
結果:
表7:24時間におけるLnc-RNAであるANCRの発現の変化;本発明に係るペプチドの効果(結果はコントロールに対する比率)。
【0121】
【表7】
【0122】
これらの結果は、本発明に係るペプチドが、表皮分化のエピジェネティックな制御因子であるこのLnc-RNAを、中程度ではあるが用量依存的に有意に減少させることを可能にすることを示している。
【0123】
1.7/デスモソーム
デスモソームは、ケラチノサイト同士を接合するプラークを形成している。これらのプラークは、非常に耐性がある。これらのプラークは、特にデスモグレインで形成されている。デスモソームは、ケラチン-10線維の細胞内固定を可能にし、表皮の細胞結合に関与している。
【0124】
原理:
本発明に係るペプチド6ppmを含むクリームまたはプラセボクリームを添加した腹部皮膚(女性、白人、54歳)の切片上においてデスモグレインを探索した。(クリームを毎日塗布した)6日後に、このタンパク質に対する抗体を用いてデスモグレインを探索するために、皮膚を凍結し切片化した(蛍光免疫組織学)。蛍光顕微鏡を用いて写真を撮影し、画像を適当なソフトウェアを用いて解析した。結果をプラセボクリームと比較した。
【0125】
結果:
表8:腹部皮膚外植片モデルの6日目におけるデスモグレイン産生の変化;本発明に係るペプチドの効果(結果はコントロールに対する比率)。
【0126】
【表8】
【0127】
これらの結果は、デスモソームの必須成分である、デスモグレインタンパク質の発現が有意に増加することから、本発明に係るペプチドによってデスモソームの形成が有利であることを示している。
【0128】
1.8/脱落への影響
KLK5(カリクレイン5)は、角質層の再生に関与する酵素で、自然な脱落を可能にし、柔らかい自然な研磨効果(「ソフトポリッシュ」)を発揮する。
【0129】
原理:
デスモグレインに使用したのと同じ切片および同じ方法(蛍光免疫組織学)を用いて、この脱落マーカーに対する本発明に係るペプチドの効果を分析し、定量化した。
【0130】
結果:
表9:腹部皮膚外植片モデルの6日目におけるKLK5産生の変化;本発明に係るペプチドの効果(結果はコントロールに対する比率)。
【0131】
【表9】
【0132】
皮膚の恒常性には、効果的な皮膚バリアの形成に加えて、脱落による角質細胞の再生を確実にする可能性が必要とされる。KLK5の有意な増加が、本発明に係るペプチドを用いるときに観察され、柔らかで自然な平滑化現象を確実にすることが知られている。
【0133】
2/炎症マーカーの産生の緩和
皮膚は、一定のストレス(紫外線、煙、汚染物質などへの暴露)にさらされており、中には直接的または間接的な炎症反応を引き起こすものもある。制御されていないまたは一定の炎症反応は、強度は低いが、IL-1α、IL-1β、IL-6、TNFαのようなサイトカイン、およびPGE2のような脂質の産生を誘導し、他の細胞を誘引または刺激して、カスケード反応を引き起こす。このようにして形成された炎症誘発性微小環境は、皮膚の恒常性を改変し、細胞および組織の生体分子を徐々に改変するか、または破壊すらする。皮膚のバリアの完全性の破壊も誘発される。このように、炎症メディエーターであるIL-6およびPGE-2は、微小な炎症を介して、早期老化現象を引き起こすことが知られている。さらに、敏感で炎症性の皮膚は、サイトカイン、炎症誘発性ペプチド(例えば、IL-1、IL-6)、および炎症誘発性脂質(例えば、PGE-2)の異常に高い分泌を特徴とする。
【0134】
活性を試験するために、ケラチノサイトを軽度のストレス条件下(UVB照射の適用)で培養し、皮膚の実験的な微小炎症を再現した。この状況において、炎症メディエーターのセクレトームの有意な減少は、皮膚の修復および保護作用の意味で解釈される。
【0135】
原理:
培養中のNHKおよびコンフルエントに達したNHKを、それらの生存を可能にする培地中で24時間、本発明に係るペプチド(またはその溶媒)に接触させ、次に、それらのマットに生理的緩衝液中でUVBを照射し、試験品と24時間接触させるように戻した。このインキュベーションの終了時に、照射に反応してこれらの細胞によって産生される炎症誘発性メディエーターの量を知るために、培養基をELISA法によって分析した。その結果を、照射有/無における溶媒コントロールと比較した。細胞呼吸試験は、細胞数を評価し、結果を標準化するために実施した。
【0136】
結果の有意性を評価するために、分散分析およびStudent t-検定を行った。
【0137】
結果:
表10:UVBに暴露されたNHKによる炎症誘発性メディエーターのセクレトームの変化。本発明に係るペプチドの効果。
【0138】
【表10】
【0139】
これらの結果は、UVB照射に暴露されたNHKによる炎症誘発性メディエーターの分泌を緩和するための本発明に係るペプチドに対する非常に興味深い効果を示す。この効果は、特に敏感で炎症性の皮膚のために、皮膚のバリアを強化し、微小炎症を引き起こす照射および様々な汚染物質への暴露によって誘発される皮膚の老化を遅らせる。
【0140】
E)ガレノス製剤/本発明に係る組成物の調製
本発明に係るペプチドは、成分の形態で、または消費者のための最終的な化粧品組成物の製造時に、任意に、その活性を支持および/または補完する付加的化粧品活性成分を配合してもよい。この組成物は、顔、身体、首回り、頭皮、毛髪、睫毛または体毛に適用されてもよく、当業者に公知であるいかなる形態または媒体であってもよく、特に溶液、分散液、エマルジョン、ペーストまたは粉末の形態で、単独でもしくはプレミックスされて、または、単独でまたはプレミックスとして伝達されてもよい。
【0141】
化粧品においては、特に、顔、身体、毛髪、体毛のスキンケア範囲、およびメイクアップケア範囲での用途が提案されてもよい。
【0142】
これらの成分は、その機能、適用される場所(身体、顔、首、バスト、手、毛髪、睫毛、眉毛、体毛等)、所望の最終効果および対象とする消費者に応じて、どのようなカテゴリーのものであってもよい。所望の最終効果は、例えば、抗酸化作用、シワ伸ばし作用、保湿作用、栄養補給作用、保護作用、平滑化作用、リモデリング作用、ボリュームアップ作用(リポフィリング)、顔色の輝きへの作用、目の下のたるみおよびくまに対する作用、老化防止作用、しわ防止作用、痩身作用、鎮静作用、筋弛緩作用、抗赤み作用、抗妊娠線作用、日焼け止め作用などが挙げられる。
【0143】
CTFA(ワシントンDCの「米国化粧品工業会」によって発行された「International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook」(第18版、2018年))は、本発明の組成物中の付加的成分としての使用に適している、スキンケアおよび頭皮ケア業界において一般的に使用される化粧品成分の非限定的な広範な種類について記載している。
【0144】
ビタミンB3化合物、ならびに、ナイアシンアミドまたはトコフェロールのような化合物、ならびに、レチノール、ヘキサミジン、α-リポ酸、レスベラトロールまたはDHEAのようなレチノイド化合物、ならびに、ヒアルロン酸、ならびにペプチドから選択される少なくとも1つの化合物が挙げられ、これらは化粧品組成物または皮膚科学的組成物に広く使用される活性成分である。ペプチドは、特に、N-アセチル-Tyr-Arg-O-ヘキサデシル、Pal-VGVAPG(SEQ ID NO:3)、Pal-KTTKS(SEQ ID NO:1)、Pal-GHK、Pal-KMO2K、Pal-GQPR(SEQ ID NO:2)、およびPal-K(P)HGである。
【0145】
特に有用なその他の付加的スキンケア活性物質は、Sederma社の商業文献およびwww.sederma.comまたはwww.crodarom.frに掲載されている。
【0146】
表皮および/または角質層の特性に対する活性を強化するに当たって、付加的活性剤は、以下を含む群から選択されてもよい。リン脂質、各種セラミド、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、グリコスフィンゴ脂質、コレステロールおよびその誘導体、ステロール(特に、キャノーラおよび大豆のもの)、脂肪酸(特に、リノール酸、パルミチン酸、リポ酸、およびチオクト酸)、(特にオリーブの)スクワラン、(特にヤシ油の)トリグリセリド、ラノリン、ラノリンアルコール、ラノステロール、ビタミンD3、ニコチン酸トコフェロール、各種油(特に、アルガン、ローズ、およびバオバブ)、アスコルビン酸、N-アセチルシステインおよびN-アセチル-L-セリン、ビタミンB3化合物(ナイアシンアミド、ニコチン酸など)、パンテノール、シュードフィラグリン、アルギニン、セリン、PCA(ピロリドンカルボン酸)塩、ツボクサ葉抽出物(マデカッソシドおよびアジアチコサイドで滴定)、一部の植物抽出物(ワイルドヤムの根、クリ、スギの芽、およびナス科)、プランクトン、および酵母。また、Sederma社から販売されている以下の活性成分を挙げることができる:ヴェニュセアンヌ(Venuceane)(商標)(サーマス・サーモフィルスの発酵培地抽出物)、モイスト24(Moist 24)(商標)(チガヤの根のグリコール酸抽出物)、ダーマキシル(Dermaxyl)(商標)(セラミド2とPal-VGVAPGペプチドとの結合物)、セネステム(Senestem)(商標)(ヘラオオバコのインビトロ植物細胞培養物の抽出物)、セラミド2(Ceramide 2)(商標)(セラミド)、セラミドHO3(Ceramide HO3)(商標)(ヒドロキシセラミド)、オプティムヒアル(Optim Hyal)(商標)(いくぶんかアセチル化されたグルクロン酸のオリゴ糖)、メイリテイジ(Meiritage)(商標)(ミシマサイコ、キバナオウギおよびオオバナオケラの根の抽出物の結合物)、リバイドラット(Revidrat)(商標)(ミリスチルホスホリンゴ酸塩)、パシフィール(Pacifeel)(商標)(オシロイバナの抽出物)、ハイドロノネシス(Hydrononesis)(商標)(サリノコッカスヒスパニカス(Salinococcus hispanicus)の発酵物)、シアバター(商標)の不けん化物およびシティステム(Citystem)(商標)(ホアハウンドのインビトロ植物細胞培養物の抽出物)。
【0147】
より一般的には、以下の市販の活性剤も例として挙げることができる。例えば、ベタイン、グリセロール、アクチモイストバイオ2(ActimoistBio2)(商標)(Active organics社)、アクアカクティーン(AquaCacteen)(商標)(Mibelle AG Cosmetics社)、アクアフィリン(Aquaphyline)(商標)(Silab社)、アクアグルK(AquaregulK)(商標)(Solabia社)、カリシリン(Carciline)(商標)(Greentech社)、コディアベレーン(Codiavelane)(商標)(Biotech Marine社)、ダーマフラックス(Dermaflux)(商標)(Arch Chemicals, Inc社)、ハイドラ’フロー(Hydra’ Flow)(商標)(Sochibo社)、ハイドロモイストL(Hydromoist L)(商標)(Symrise社)、レノブヒアル(RenovHyal)(商標)(Soliance社)、シーモス(Seamoss)(商標)(Biotech Marine社)、アルジルリン(Argireline)(商標)(Lipotec社のアセチルヘキサペプチド-3の商標名)、スピラントール(spilanthol)、もしくは、ガチュリンエクスプレッション(Gatuline Expression)(商標)の商品名で知られるオランダセンニチの抽出物、ボスウェリン(Boswellin)(商標)の商品名で知られるボスウェリア・セラータの抽出物、ディーパリンPVB(DeepalinePVB)(商標)(Seppic社)、シン-AKE(Syn-AKE)(商標)(Pentapharm社)、アメリオックス(Ameliox)(商標)、バイオキシリフト(Bioxilift)(商標)(Silab社)、フィトセルテック(PhytoCellTec)(商標)アルガン(Argan)(Mibelle社)、パピルアクチルD(PapilactylD)(商標)(Silab社)、プレベンセリア(Preventhelia)(商標)(Lipotec社)、または、Sederma社が販売する以下の活性成分のうちの1つもしくは1つ以上のもの、サブリスキン(Subliskin)(商標)、ヴェニュセアンヌ(Venuceane)(商標)、モイスト24(Moist 24)(商標)、ベジソームモイスト24(Vegesome Moist 24)(商標)、エッセンスキン(Essenskin)(商標)、ジュビニティー(Juvinity)(商標)、リビラット(Revidrat)(商標)、レジステム(Resistem)(商標)、クロノディン(Chronodyn)(商標)、コンブチカ(Kombuchka)(商標)、クロモケア(Chromocare)(商標)、カルモセンシン(Calmosensine)(商標)、グリコカインファクターS(Glycokin factor S)(商標)、バイオブスチル(Biobustyl)(商標)、イデアリフト(Idealift)(商標)、セラミド2(Ceramide 2)(商標)、セラミドA2(Ceramide A2)(商標)、セラミドHO3(Ceramide HO3)(商標)、レガンス(Legance)(商標)、インテンスリム(Intenslim)(商標)、プロディジア(Prodizia)(商標)、ビューティーファイ(Beautifeye)(商標)、パシフィール(Pacifeel)(商標)、ジンガースリム(Zingerslim)(商標)、メイリテイジ(Meiritage)(商標)、セネステム(Senestem)(商標)、セブレス(Sebuless)(商標)、マジェステム(Majestem)(商標)、アピスカルプ(Apiscalp)(商標)、ルビステム(Rubistem)(商標)、シティステム(Citystem)(商標)、ネオニカ(Neonyca)(商標)、シアバターのNG不けん化物(NG Insaponifiables de Beurre de Karite)(商標)、マジェステム(Majestem)(商標)、ハイドロノネシス(Hydroonesis)(商標)、およびポアテクト(Poretect)(商標)、もしくはそれらの混合物。
【0148】
本発明に係るペプチドと組み合わせることができる植物抽出物(従来の抽出物の形態で、またはインビトロによって調製された)の中で、アイビー、特にイングリッシュアイビー、マンシュウサイコ、ミシマサイコ、アルニカ、ローズマリー、マリーゴールド)、セージ、チョウセンニンジン、イチョウ、セントジョーンズワート、ナギイカダ、ヨーロピアンシモツケソウ、ビッグフラワージャワティー、アーティチョーク、藻類、カバノキ、緑茶、コーラナッツ、セイヨウトチノキ、竹、ツボクサ)、ヘザー、ヒバマタ、ヤナギ、ヤナギタンポポ、エスシン、カンズー、クリサンテルムインジクム、アルメニアセア属の植物、アトラクチロディスプラティコドン、シノメニウム、ファルビチジス、フレミンギア、コレウス、例えば、コレウスフォルスコリ、コレウスブルメイ、コレウスエスキロリ、コレウススクテラロイド、コレウスキサントスおよびコレウスバルバトスの抽出物、例えばコレウスバルバトスの根の抽出物、バロッテ、グイオア、ダバリア)、ターミナリア、バリングトニア、トレマ、アンチロビア、セクロピア、アルガン、ディオスコレア属、例えばディスコレアオッポシタまたはメキシカンの抽出物、アンミビスナガ、メナモミ、特にツクシメナモミの抽出物、ツツジ科の植物抽出物、特にコケモモまたはクマコケモモの抽出物、アロエベラ、ステロールを含む植物(すなわち植物ステロール)、マンジスタ(アカネ属植物、特にルビアコーディフォリアの抽出物)、およびグッガル(コンミフォラ属植物、特にグッグルの抽出物)、コーラの抽出物、カモミール、ムラサキツメクサの抽出物、カバの抽出物(カバカバ(Kava Kava)(商標)、Sederma社)、オトメアゼナの抽出物(バコカルミン(Bacocalmine)(商標)、Sederma社)およびムチヤギの抽出物、スペインカンゾウ、クワ、コバノブラシノキ(ティーツリー)、ラレアディバリケータ、ラブドシア・ルベッセンス、ユーグレナグラシリス、フィブラウレアレシサヒルディネア、シャラパルソルガムの抽出物、ヒマワリの抽出物、エナンチアクロランタ、ミトラカーパススケーパー、ブチューバロマス、ヘンナL、ホウライシダL、クサノオウ、ヘチマ、ジャパニーズマンダリン、チャノキ、チガヤ、ツノゲシ、サイプレス、ソロモンズシール、ラブリーヘムスレイア、セイヨウニワトコ、アオイマメ、シマセンブリ、オオウキモ、トゥルネラ・ディフサ、ハナスゲ、ヒメマツバボタン、ホップ、コーヒーノキ、イェルバマテ、グロブラリア・コルディフォリア、ネムノキ、サワーウッド、ハナショウガ、キバナオウギ、オオバナオケラ、ヘラオオバコ、セイヨウウスユキソウ、オシロイバナ、ホアハウンド、セロリ、または蘭の抽出物を、特に挙げることができる。
【0149】
本発明の組成物は、1つまたは1つ以上の付加的なペプチド類を含んでもよく、特に限定されないが、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、およびヘキサペプチドならびにこれらの誘導体を含んでもよい。特定の実施形態によれば、組成物中の付加的ペプチドの濃度は、1×10-7重量%から20重量%の範囲であり、1×10-6重量%から10重量%の範囲が好ましく、1×10-5重量%から5重量%の範囲が好ましい。本明細書において、「ペプチド」という用語は、10種類以下のアミノ酸を含むペプチド、これらの誘導体、同位体および例えば金属イオン(銅、亜鉛、マンガン、マグネシウム等)等の他の種類との複合体を表す。「ペプチド類」という用語は、天然ペプチド類および合成ペプチド類の両方を示す。「ペプチド類」は、自然界において見出されるおよび/または商業上入手可能なペプチド類を含む組成物も示す。
【0150】
本発明での使用に適したジペプチドは、カルノシン(βAH)、YR、VW、NF、DF、KT、KC、CK、KP、KK、TT、PA、PM、またはPPを含むが、これらに限定されない。
【0151】
本発明での使用に適したトリペプチドは、RKR、HGG、GKH、GHK、GGH、GHG、KFK、KAvaK、KβAK、KAbuK、KAcaK、KPK、KMOK、KMO2K(MO2は、二酸化スルホキシドメチオニン)、KVK、PPL、PPR、SPR、QPA、LPA、またはSPAを含むが、これらに限定されない。
【0152】
本発明での付加的なペプチドとしての使用に適したテトラペプチドは、RSRK(SEQ ID NO:6)、GQPR(SEQ ID NO:7)、KTAK(SEQ ID NO:8)、KAYK(SEQ ID NO:9)またはKFYK(SEQ ID NO:10)を含むが、これらに限定されない。
【0153】
適したペンタペプチドは、KTTKS(SEQ ID NO:11)を含むが、これに限定されない。
【0154】
適したヘキサペプチドは、GKTKS(SEQ ID NO: 12)、VGVAPG(SEQ ID NO: 13)を含むが、これらに限定されない。
【0155】
本発明に係る使用に適した他のペプチドは、以下の中から選択することができるが、このリストは限定的なものではない:ペプチド類の親油性誘導体、好ましくはパルミトイル(Pal)誘導体またはミリストイル(Myr)、および前記の金属複合体(例えば、トリペプチドHGGの銅錯体)。好ましいジペプチドは、例えば、N-パルミトイル-ベータ-Ala-His、N-アセチル-Tyr-Arg-ヘキサデシルエステル(カルモセンシン(Calmosensine)(商標)、イデアリフト(Idealift)(商標)、Sederma社)、Pal-RTまたはPal-KT(Sederma社)を含む。好ましいトリペプチド誘導体は、例えば、Pal-GKHおよびPal-GHK(Sederma社)、HGGの銅誘導体(ラミン(Lamin)(商標)、Sigma社)、リポスポンディン(Lipospondin)(N-エライドイルーKFK)およびその保存的置換をした類似体、N-アセチル-RKR-NH2(ペプチドCK+)、N-Biot-GHK(Sederma社)、Pal-KAvaK、Pal-KβAlaK、Pal-KAbuK、Pal-KAcaK、またはPal-KMO2K(商標マトリキシル(Matrixyl)(登録商標)シンセ’6(Synthe’ 6)(登録商標)、Sederma社)、Pal-KVK(シン-コル(Syn-Coll)(商標)、DSM社)、およびこれらの誘導体を含む。
【0156】
ここで、WO2015181688出願に記載されている一般式X-Pro*-Pro*-Xaa-Yの抗老化トリペプチドについても言及されてもよい。Xaaは、N末端において、Leu、Arg、Lys、Ala、Ser、およびAspから選択される。Xは、C末端において、H、-CO-R1および-SO2-R1から選択される。Yは、OH、OR1、NH2、NHR1またはNR12から選択される。R1およびR2は、互いに独立して、それぞれ、直鎖状、分枝状、環状、多環状、不飽和、水酸化、カルボニル化、リン酸化および/または硫化された、アルキル基、アリル基、アラルキル基、アルキルアリル基、アルコキシ基およびアリロキシ基から選択され、前記基は、場合によってはその骨格にヘテロ原子、特にO、Sおよび/またはNを有している。Pro*は、プロリン、その類似体またはその誘導体に対応している;例えば、一般式X-Pro*-Pro*-Xaa-Yは、Myr-PPL-OHおよびMyr-PPR-OHを含む。
【0157】
ここではさらに、WO2014/080376に開示されている一般式X-(Xaa1)n-Pro*-Xaa2-Yの色素沈着促進および/またはECM促進の、ジペプチドおよびトリペプチドを引用することができる。n=0、1または2の場合、Xaa1は、Ala、Val、Met、Leu、Iso、Phe、およびProならびにそれらの類似体および誘導体から選択される疎水性アミノ酸、もしくはSer、Thr、Tyr、Asp、およびGlu、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される極性アミノ酸である;n=2の場合、2つのアミノ酸Xaa1は、同じまたは異なる;Xaa2は、Ala、Val、Met、Leu、Iso、およびPhe、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される疎水性アミノ酸、もしくはArg、Lys、およびHis、ならびにそれらの類似体および誘導体から選択される塩基性アミノ酸である;N末端において、Xは、H、-CO-R1および-SO2-R1から選択される;C末端において、Yは、OH、OR1、NH2、NHR1またはNR12から選択される;R1およびR2は、互いに独立して、アルキル基、アリル基、アラルキル基、アラルキル基、アルキルアリル基、アルコキシ基およびアリルオキシ基から選択され、それは、直鎖状、分枝状、環状、多環状、飽和、不飽和、水酸化、カルボニル化、リン酸化および/または硫化であり得、前記基は、骨格中にO、Sおよび/またはNのヘテロ原子を有するか否かを問わず、Pro*がプロリン、その類似体またはその誘導体に対応している;例えば、一般式X-(Xaa1)n-Pro*-Xaa2-Yは、以下のペプチドPal-SPR-OH、Pal-PPR-OH、Pal-QPA-OH、Pal-LPAOH、Myr-SPA-OH、Pal-PM-OH、Pal-PA-OHおよびPal-PP-OHを含む。
【0158】
本発明に係る付加的なペプチドとしての使用に適したテトラペプチド誘導体としては、Pal-GQPR(SEQ ID NO:2)(Sederma社)、Ela-KTAK(SEQ ID NO:14)、Ela-KAYK(SEQ ID NO:15)またはEla-KFYK(SEQ ID NO:16)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において付加的なペプチドとしての使用に適したペンタペプチド誘導体としては、Pal-KTTKS(SEQ ID NO:1)(Sederma社からマトリキシル(Matrixyl)(登録商標)として入手可能)、XaaがLeuまたはProであるPal-YGGFXaa(SEQ ID NO:17)、またはそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0159】
本明細書において使用に適したヘキサペプチド誘導体は、Pal-VGVAPG(SEQ ID NO:3)、Pal-GKTTKS(SEQ ID NO:18)、XaaがTrp、Phe、Tyr、Tic、7-ヒドロキシ-TicまたはTpi(7-hydroxy-Tic ou Tpi)(SEQ ID NO:19)であるPal-HLDIIXaa、およびそれらの誘導体を含むが、これらに限定されない。また、Pal-GHKおよびPal-GQPR(SEQ ID NO:2)(マトリキシル(Matrixyl)(登録商標)3000、Sederma社)の混合物も挙げることができる。
【0160】
トリペプチドまたは誘導体を含む市販の好ましい組成物には、Sederma社のバイオペプタイドCL(Biopeptide-CL)(商標)、マキシリップ(Maxilip)(商標)、バイオブスチル(Biobustyl)(商標)、プロキャピル(Procapil)(商標)およびマトリキシル(Matrixyl)(登録商標)シンセ’6(Synthe’ 6)(登録商標)が含まれる。テトラペプチドの市販の好ましい供給源である組成物は、50から500ppmの間のPal-GQPR(SEQ ID NO:2)およびSederma社によって提示される賦形剤を含むリジン(Rigin)(商標)、アイリス(Eyelis)(商標)、マトリキシル(Matrixyl)(登録商標)リローデッド(Reloaded)およびマトリキシル3000(Matrixyl 3000)(登録商標)を含む。
【0161】
付加的活性成分としては、以下の市販されているペプチドも挙げることができる。
・Pentapharm社から販売されている、バイアロックス(Vialox)(商標)(INCI名=ペンタペプチド-3(アラニン、アルギニン、イソロイシン、グリシン、およびプロリンを含む合成ペプチド))、シン-Aake(Syn-Aake)(商標)(β-Ala-Pro-Dab-NH-Bzl)またはシン-コル(Syn-Coll)(商標)(Pal-Lys-Val-Lys-OH);
・Lipotec社から販売されている、アルジルリン(Argireline)(商標)(Ac-Glu-Glu-Met-Gln-Arg-Arg-NH2(INCI名=アセチルヘキサペプチド-3))(SEQ ID NO:20)、ルーファシル(Leuphasyl)(商標)(Tyr-D-Ala-Gly-Phe-Leu)(SEQ ID NO:21)、アルデニン(Aldenine)(商標)(Gly-His-Lys)、トリラーゲン(Trylagen)(商標)(INCI名=シュードアルテロモナス発酵抽出物、コムギタンパク質加水分解物、ダイズタンパク質加水分解物、トリペプチド-10シトルリン(シトルリンとトリペプチド-10(アスパラギン酸、イソロイシン、およびリジンからなる合成ペプチド)の反応生成物)、トリペプチド-1)、アイセリル(Eyeseryl)(商標)(Ac-β-Ala-His-Ser-His)(SEQ ID NO:22)、セリレシン(Serilesine)(商標)(Ser-Ile-Lys-Val-Ala-Val)(SEQ ID NO23)またはデコリニル(Decorinyl)(商標)(INCI名:トリペプチド-10シトルリン=シトルリンとトリペプチド-10(アスパラギン酸、イソロイシン、リジンからなる合成ペプチド)の反応生成物;
・Vincience社から販売されている、コラキシル(Collaxyl)(商標)(Gly-Pro-Gln-Gly-Pro-Gln(SEQ ID NO:24))またはクインテスシン(Quintescine)(商標)(Cys-Gly);
・Les Laboratoires Serobiologiques/Cognis社から販売されている、サイトキノール(Cytokinol)(商標)LS(カゼイン加水分解物);
・欧州生物学研究所(L'Institut Europeen de Biologie Cellulaire)から販売されている、コラレン(Kollaren)(商標)(Gly-His-Lys)、IP2000(商標)(Pal-Val-Tyr-Val)またはメディプレン(Meliprene)(商標)(INCI名=モノフルオロヘプタペプチド-1:酢酸と、アルギニン、グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン、ノルロイシン、p-フルオロフェニルアラニンおよびトリプトファンを含む合成ペプチドとの反応生成物);
・Introvations社から販売されている、ニュートラゼン(Neutrazen)(商標)(Pal-His-D-Phe-Arg-NH2);
・lnfinitec Activos社から販売されているボント-L-ペプチド(BONT-L-Peptide)(商標)(INCI名=パルミトイルヘキサペプチド-19:パルミチン酸とヘキサペプチド-19(アスパラギン、アスパラギン酸、リジンおよびメチオニンからなる合成ペプチド)との反応生成物)、Timp-ペプチド(Timp-Peptide)(商標)(INCI名=アセチルヘキサペプチド-20:ヘキサペプチド-20(アラニン、グリシン、リジン、バリンおよびプロリンからなる合成ペプチド)のアセチル化によって得られた反応生成物))、またはECMモジューリン(ECM Moduline)(商標)(INCI名=パルミトイルトリペプチド-28:パルミチン酸とトリペプチド-28(アルギニン、リジンおよびフェニルアラニンからなる合成ペプチド)との反応生成物))。
【0162】
本発明に係る様々な組成物/製剤を、付加的活性成分の例を挙げて以下に記載する。
【0163】
本発明に係る活性成分は、項目C/に記載の通りであり、すなわち、ベクター化されたペプチドを含む。
【0164】
この成分は、一般的に、1%から5%、好ましくは3%の間で配合される。
【0165】
1)クリーム形態、例えば、顔の老化防止デイクリーム
【0166】
【表10B】
【0167】
付加的活性成分の例:
1.以下のような保湿/平滑化成分:
・オプティムヒアル(OPTIM HYAL)(商標)、Sederma社から販売され、ヒアルロン酸の断片に類似した構造を有するアセチル化グルクロン酸のオリゴ糖を含む。
2.以下のような皮脂調整成分:
・セブレス(SEBULESS)(商標):Sederma社から販売され、インビトロ細胞培養により得られたライラックの抽出物を含む皮脂調整剤で、肌を清潔にし、テカリを抑え、清涼感を与え、小じわを目立たなくさせる。
・ポアテクト(PORETECT)(商標):Sederma社から販売され、亜麻仁およびセロリの抽出物にセロリノペプチド(cylolinopeptides)およびセンキュノライド(senkyunolides)を滴定して配合したもので、肌に張り、色調、および密度を与え、加齢とともに崩れていく毛穴保持構造を強化する。
3.以下のような皮膚/皮膚のバリアの弾性特性に作用する成分:
・イデアリフト(IDEALIFT)(商標):Sederma社から販売され、リポジペプチドであるN-アセチル-チロシル-アルギニル-O-ヘキサデシルエステルを含み、特にエラスチンを刺激することにより、顔のたるみに対抗し、重力に対する抵抗力を向上させる。
4.ダーマキシル(DERMAXYL)(商標):Sederma社から販売され、角質層の結合剤であるセラミド2と、しわを平滑化し、皮膚のバリアを修復する、パルミトイル配合のマトリカインである「Pal-Val-Gly-Val-Ala-Pro-Gly」とを組み合わせている。
【0168】
1)刺激性の弱い水性セラムの形態
【0169】
【表10C】
【0170】
付加的活性成分の例
1.以下のような老化防止成分:
・セネステム(SENESTEM)(商標)、Sederma社から販売され、ヘラオオバコのインビトロ細胞培養により得られた植物細胞を含み、特に皮膚の粘弾特性を向上させ、老化色素斑を薄くする効果がある。
2.以下のような抗酸化成分:
・マジェステム(MAJESTEM)(商標)、Sederma社から販売され、レオントポジン酸で滴定し、インビトロ細胞培養で得られたセイヨウウスユキソウの植物細胞をベースにしたもの;酸化ストレス(汚染、紫外線)を中和し、皮膚の張りを回復させる。
【0171】
2)ゲル形態
【0172】
【表10D】
【0173】
付加的活性成分の例:
1.以下のような汚染防止成分:
・シティステム(Citystem)(商標)、Sederma社から販売され、高濃度のForsythoside Bを有するホアハウンドからインビトロで得られた植物細胞をベースにしており;汚染の攻撃に対して使用される。肌がより柔らかく、より滑らかになり、肌の質感が洗練され、にきびの視認性が低下し、肌が明るく、浄化される。
2.以下のような敏感肌のための鎮静成分。
・パシフィール(Pacifeel)(商標)、Sederma社から販売され、オシロイバナの抽出物を含む。
3.以下のような保湿成分:
・アクアランス(AQUALANCE)(商標)、Sederma社から販売され、ホマリンおよびエリスリトールからなる浸透圧保護保湿の活性成分である。
【0174】
3)スプレーマスクを形成するためのゲル形態
【0175】
【表10E】
【0176】
付加的活性成分の例:
1.以下のような顔色の輝きに作用する成分:
・エバーマット(EVERMAT)(商標):Sederma社から販売され、プロトベルベリンを豊富に含むエナンチアクロランタ抽出物とオレイン酸との配合を含み;毛穴のサイズおよびテカリを減少させ;にきびができやすい肌のキメを整える。
2.以下のような活性化作用を有する成分:
・フルーツリキッド(Fruitliquid)(商標) カムクアット(Kumquat)(商標)、Crodarom社から販売されている。
【0177】
4)クリーム形態、化粧下地用
【0178】
【表10F】
【0179】
付加的活性成分の例:
1.以下のような目の下のくま/目の輪郭などに作用する成分:
・ハロキシル(HALOXYL)(商標)、Sederma社から販売され、Pal-GHKおよびPal-GQPRの2つのマトリカインに、N-ヒドロキシコハク酸イミドおよびフラボノイドであるクリシンを配合。
・アイリス(EYELISS)(商標)、Sederma社から販売され、3つの成分を配合:ヘスペリジンメチルカルコン、ジペプチドバリルトリプトファン(VW)、およびリポペプチドであるPal-GQPR。
・プロディジア(PRODIZIA)(商標)、Sederma社から販売され、ネムノキの抽出物を含み、糖化によるダメージから肌を修復し保護することによって、疲労の目に見える兆候である、くま、目の下のたるみ、くすみ、顔色の悪さ、および引きつった顔といった特徴を軽減する。
2.以下のようなペプチドに基づいた抗しわ/抗老化成分:Sederma社から販売されている、マトリキシル(MATRIXYL)(登録商標)、マトリキシル(MATRIXYL)3000(商標)、マトリキシル(MATRIXYL)シンセ’6(Synthe’ 6)(商標)および/またはマトリキシルモルフォミックス(MATRIXYL Morphomics)(商標)。
【0180】
F)インビボ有効性試験
試験品:上記ガレノス製剤の項目E)のクリーム1)
【0181】
原理
本発明に係るペプチドの有効性評価は、一定数のボランティアを対象に以下の3つの相補的な試験で実施された:
【0182】
1.第1プラセボコントロール試験は、欠陥のある皮膚の改善を測定し、以下の異なるパラメータを試験するためにいくつかの相補的な技術を使用する:
・標準写真に対して行われる欠陥評価;
・イプシロン(Epsilon)(商標)装置を使用して行われる保湿の画像評価;
・カラーカメラを使用して行われる皮膚の平滑化の評価;および
・「剥離」(接着支持体上の細胞層の剥離)の画像解析による角質細胞の大きさ(角質層の状態)の評価。
【0183】
2.第2試験は、顔全体の試験であり、CLCT臨床評価法(色、明度、明瞭度、透明度)による顔色への知覚効果を定量化する。
【0184】
3.第3プラセボコントロール試験は、セルフタンニング製品の塗布の均質性および消失を分析することによって、ペプチドのソフト「ポリッシュ」効果を実証することを目的とする。
【0185】
1/第1試験
手順
具体的な包含基準
この試験は、中間年齢が41歳(30歳から50歳)の女性29名のパネルを対象に実施された。見かけ上欠陥のある肌、すなわち、くすみ/疲れ/薄汚れた顔色および/または不規則な肌質、荒れた肌を有する女性を対象とした。一方で、酒さ、吹き出物、赤みなどの欠陥は、除外されている。
【0186】
ボランティアは、ただ一つの保湿剤を用いて1か月間の洗い流し期間を観察し、スクラブまたはマスクタイプの美容行為、および強い日差しを排除しなければならなかった。
【0187】
試験、期間、および塗布のタイプ
試験は、顔面および両前腕に対して単盲検法で実施された。6週間、ボランティアは、朝および夜に、本発明に係るクリームを、反対側にはプラセボクリームを塗布した。
【0188】
試験の概要は、以下のようにまとめられる。
【0189】
【表10G】
【0190】
統計
統計的試験は、Student t-検定、または必要に応じてノンパラメトリックWilcoxon検定を用いて行った。両側検定は、一致した系列について実施した。専門家の評価には、カイ二乗検定を行った。
【0191】
方法と結果
欠陥の評価
標準写真は、高解像度デジタルカメラ、特定の照明、およびボランティアの拘束システムを使用した写真台を使用して、T0週目およびT6週目に撮影された。顔の位置、写真、および照明の設定を標準化し、経時的に再現できるように制御した。
【0192】
得られた写真は、5人の専門家審査のパネルによって評価された。各ボランティアについて、専門家は、処置前および処置後の写真を視覚化し、「顔色が改善された」という陳述に対して意見を述べた。「顔色が改善された」ということは、顔色がより均質であり、肌が滑らかでより欠陥が少ないということである。
【0193】
その結果を以下に示す。
【0194】
【表10H】
**不評と比較した有意差は、p<0.01/
$プラセボとの有意差は、p<0.05。
【0195】
本発明に係るクリームの塗布は、不評3%に対して好評が54%であり、顔色に目に見える有意な改善をもたらす。一方、プラセボの使用では、好評は36%のみであり、かつ不評は8%であったことから、明確に有意に異なっていた(p<0.05)。
【0196】
保湿の評価
イプシロン(Epsilon)(商標) E100装置(Biox社)を使用した。この装置は、単一の値だけでなく、数千点以上の平均値、および保湿の画像(「静電容量イメージング」)も提供する特徴を有する。50μmの空間分解能を有するその静電容量式センサーによって、画像領域は、12.8×15mmで、76800ピクセルに相当する。各ピクセルは、空気=1、水=80をベンチマークとして、0から85の間の皮膚の誘電率であるε値を与える。測定深度は、約50ミクロンに達する。この2D測定では、図像的な関心に加えて、皮膚のトポグラフィーに関する情報も得ることができ、ひいては、皮膚の均質性、さらには、保湿がこのパラメータを向上させることが知られているため、潜在的に皮膚のしなやかさに関する情報までも得ることができる。
【0197】
表11:前腕の保湿の変化(n=3測定、ボランティア25名)
【0198】
【表11】
*対プラセボ:ノンパラメトリック検定、片側検定;両側検定は、p<0.1。Nsd:意差なし
【0199】
本発明に係るクリームを6週間塗布した後、保湿値は、+25.8%増加している。同時に、プラセボの塗布は、+11.3%の小さな増加をもたらしている(通常、両腕にクリームを塗布していないので、プラセボが効果を有するのは正常である)。
【0200】
イプシロン(Epsilon)(商標)で得られた画像は、5名の専門家審査パネルでも評価された。
【0201】
各ボランティアについて、専門家は、本発明に係るクリームで処置した後の写真およびプラセボクリームで処置した後の写真を視覚化し、どちらの画像が最も均質性が高いかを選択した。
【0202】
表12:皮膚の均質性に関する好評または不評の割合(n=25名のボランティア、5名の審査員)
【0203】
【表12】
**「プラセボクリームの方が皮膚はより均質になる」については、p<0.01で有意な変化を示した。
【0204】
画像上では、各黒領域は、情報を与えないが、各ピクセルは、情報を与える。保湿の分布は、2つの画像の間で変化している:本発明に係るクリームを塗布した場所に対応する画像は、プラセボを塗布した場所に対応する画像よりもピクセルが「濃く」なっている。このことは、より良い水分保湿に加えて、皮膚がより滑らかになり、潜在的にしなやかになったことを示す。
【0205】
平滑化評価
今回の評価にはカラーカメラを使用した。これは、偏光を伴う拡散した一定のLED照明を使用し、テカリを回避するようにしたカメラである。画像補正アルゴリズムを有し、それにより、瞬時に色校正ができ、画像の均一性(エッジ部の影をなくす)も確保している。測定視野は、16×12mmであり、解像度は、1000万ピクセルである。また、20μm以下の構造物を見ることができる50倍ズームを有している。さらに、ステレオフォトメトリー技術に基づくシステムによって、異なる照明条件の下で複数の画像を記録し、画像を3Dで再構成し、それにより、皮膚のトポグラフィーを分析することができる。
【0206】
この最後の機能は、本発明に係るクリームの試験のために使用され、トポグラフィーの2つのパラメータ、すなわち、微小起伏の複雑さおよび深さが評価された。
【0207】
表13:前腕における微小起伏のトポグラフィーの変化(平滑化効果)(2つの場所の平均、ボランティア28名)
【0208】
【表13】
*対プラセボ:パラメトリック片側検定;p<0.08および両側検定ではp<0.05
【0209】
まず、プラセボの平滑化効果(各パラメータにつき-8.5%、-14.3%)があるが、これは前回と同様に、この場所におけるクリームの異常な摂取により説明できる。
【0210】
しかしながら、本発明に係るクリームの効果は、微小起伏の深さ(-12.8%、p<0.04対プラセボ)、またはその複雑さ(-20.9%、p<0.05対プラセボ)のいずれについても、顕著で、かつ有意に高い。
【0211】
角質細胞の大きさの評価
いくつかの研究では、ミクロストレスの条件下において角質細胞の大きさが減少することが示されており、これは角質細胞の未成熟を引き起こす表皮の割合の増加と相関している。
【0212】
T0週目およびT6週目に、接着剤を用いた標準化された方法でボランティアの皮膚から角質細胞を採取し、蛍光試薬を用いて標識し、顕微鏡下で角質細胞の表面を可視化し、定量化した。ボランティアおよびケース別に約300個の角質細胞を定量化した。
【0213】
表14:顔の角質細胞の大きさの変化(n=300個の角質細胞、29名のボランティアの平均)
【0214】
【表14】
【0215】
これらの結果は、角質細胞の大きさが、本発明に係るクリームで処置された側において、T0週およびT6週の間に、有意に変化しなかった場合を示している。角質細胞の大きさの減少は、プラセボ側で観察された(-2.4%、p<0.01)。
【0216】
試験は、天候および気温の変化の多い季節である、秋に行われた。ボランティアの皮膚は、角質細胞の大きさのわずかな減少につながるストレスとしてこれらの変化を「記録」した可能性がある。本発明に係るクリームの使用は、特に炎症誘発性メディエーターを減少させ、皮膚バリアを強化するという特性によって、表皮上部の恒常性を維持でき、これにより、表皮上部を鎮静化することができた。
【0217】
2/第2試験
手順
具体的な包含基準
この試験は、くすみのある顔色(Spincontrol研究所のCLCTスケール(色、明度、明瞭度、透明度)に基づく)およびフォトタイプIからフォトタイプIIIの肌を有する中間年齢36歳の女性(22歳から44歳)26名のパネルを対象として実施された。
【0218】
試験、期間、および塗布のタイプ
試験は、顔を対象として実施された。ボランティアは、6週間、朝および夜に本発明に係るクリームを塗布した。
【0219】
統計
CLCT指数については、理論的平均値に対して片側のStudentのt検定を行った。ボランティアによる自己評価の場合は、カイ二乗検定を行った。
【0220】
方法と結果
1/CLCTによる顔色の評価
顔色を評価するために、CLCT法は、訓練された審査員による顔色に特徴的な7つの記述子の視覚的な分析に基づいている。
・肌の色は、白人の肌を特徴づける4つの色合いで定義されている:ピンクレッド、オリーブ、ベージュ、ソフトピンク;
・明度は、顔の目立つ部分の「光の斑点」の強さによって定義される;
・明瞭度は、肌の色の均一性および質感の規則性(均質性)を合わせたものである;および
・透明度は、肌が透けて見えることが特徴で、肌のきめ細かさが反映されている。
【0221】
評価対象者は、2つの「昼間」のランプの間に座り、外部からの影響を避けるためにマントおよび黒のシャルロットを着用する。審査員は、4色をカラーチャートで評価し、他の3つの記述子は、0から100までのアナログスケールで評価する。
【0222】
7つの記述子から“i”指数を算出し、デルタi(T6)-i(T0)を計算して、“I”というCLCT指数を算出する。この指数が有意性の確率で5以上であれば、製品が顔色の輝きに効果があるといえる。
【0223】
表15:顔面における顔色知覚の変化(n=3名の審査員、26名のボランティア)
【0224】
【表15】
【0225】
本発明に係るクリームの6週間の塗布は、CLCT指数を+8.4単位(T0に対して、33.5%、p<0.01)変化させ、これは顔色の輝きに効果的な製品となった。最も有意に改善された記述子は、オリーブ(25%減少)、ベージュ(4%減少)、ソフトピンク(16%改善)(いずれもT0に対してp<0.01)であった。
【0226】
自己評価による顔色の評価
本発明に係るクリームを塗布した6週間の終了時に、ボランティアはいくつかの点について意見を述べた。
【0227】
結果は、ボランティアが、快適(68%)、すぐに吸収(71%)、メイクを邪魔しない(84%)と非常に良い認識を示している。顔への効果は、肌が潤いかつざらつきが少ない(68%および69%)と興味深く、特に肌のくすみが少ない(59%)という印象である。これらはすべて、より美しい肌を有すること(66%)およびより良い外観(62%)に貢献している。
【0228】
3/第3試験
手順
具体的な包含基準
この試験は、フォトタイプIからフォトタイプIIIの皮膚を有する37歳(20歳から49歳)の女性20名のパネルを対象に行われた。
【0229】
試験、期間、および塗布のタイプ
研究は、両腕において単盲検法で実施された。6週間、ボランティアは、朝および夜に、本発明に係るクリームを、反対側にはプラセボクリームを塗布した。
【0230】
統計情報
カイ二乗検定を用いて統計的研究を行った。
【0231】
方法と結果
DHA染色(ドコサヘキサエン酸)モニタリングによる「ソフトポリッシュ」の効果の評価
この試験は、セルフタンナーを塗布する前に、皮膚をより滑らかにし、その結果、皮膚のセルフタンナーの塗布がより均一で長持ちすることを確実にするために、皮膚の非常に柔らかな研磨または剥離を行う必要があるという事実に基づいている。
【0232】
本発明に係るクリームの「ソフトポリッシュ」効果を実証するために、本クリームを6週間塗布し、次に、その領域にDHA(従来のセルフタンナー)を付与し、発色およびその後の退色をC-キューブ(Cube)(商標)カメラで取得した。
【0233】
T2日目からT7日目の間の退色の強度および均質性に対する影響を評価するために、C-キューブ(Cube)(商標)カメラで取得した画像を専門家パネルで評価した。各ボランティアについて、専門家は、退色(変色が少ない)および/または均質性(茶色の小さな斑点が少ない)の観点から、どの画像ペア(本発明に係るクリームまたはプラセボクリーム)が最も許容できる変化を示したかを証明しなければならなかった。
【0234】
結果は、プラセボを選択する25%の票と比較して63%の票で、本発明に係るクリームを付与した場所に対する非常に明確な選好性を示している。この結果は、p<0.01で統計的に有意である。したがって、本発明に係るクリームを用いた皮膚の調製は、物理的な剥離に匹敵する、角質層の柔らかく自然な平滑化をもたらした。
【配列表】
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