(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161069
(43)【公開日】2023-11-06
(54)【発明の名称】流体の紫外線殺菌のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20231027BHJP
C02F 1/32 20230101ALI20231027BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231027BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023066278
(22)【出願日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】17/720,910
(32)【優先日】2022-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523141079
【氏名又は名称】ドーバー ブルック アソシエイツ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジョン ディジェロニモ
【テーマコード(参考)】
4C058
4C180
4D037
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB06
4C058DD07
4C058EE02
4C058KK02
4C058KK14
4C058KK22
4C058KK46
4C180AA07
4C180DD03
4C180HH19
4C180LL04
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】 (修正有)
【課題】十分かつ一貫したUV線量を提供するUV殺菌のためのシステム及び方法を提供する。
【解決手段】流体の流れを殺菌するための反応器は、長手方向の寸法を有するフレーム構造と、フレーム構造の長手方向の寸法に沿って一連に延在するフレーム構造に取り外し可能に挿入可能な複数のUVプレート反応器120、125とを含み、複数のUVプレート反応器のそれぞれは、流体の流れが輸送される、選択された直径の単一チャネルまたは複数のチャネルを含み、選択された放射束を有する少なくとも1つの紫外光源は、チャネルのうちの1つまたは複数に結合される。複数のチャネルの直径及び紫外線光源の放射束は、複数のチャネルの限られた空間内の流体の流れに正確な線量の紫外線照射を供給して流体の流れの殺菌を得るように選択される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流れを殺菌するための紫外線(UV)反応器であって、
長手方向の寸法を有するフレーム構造と、
前記フレーム構造の前記長手方向の寸法に沿って一連に延在する、前記フレーム構造に取り外し可能に挿入可能な複数のプレート反応器であって、前記複数のプレート反応器のそれぞれが、前記流体の流れが輸送される少なくとも1つのチャネルを含む、前記複数のプレート反応器と、
前記少なくとも1つのチャネルを照射するように配置される選択された放射束を有する少なくとも1つの紫外光源と、を含む前記反応器。
【請求項2】
少なくとも1つのチャネルの直径及び前記紫外線光源の前記放射束が、前記流体の流れの殺菌を得るために、前記少なくとも1つのチャネルの限られた空間内の前記流体の流れに選択された線量の紫外線照射を提供するように選択される、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記少なくとも1つのチャネルの前記直径が3mm~10mmである、請求項2に記載の反応器。
【請求項4】
前記紫外光源が、UVCスペクトル範囲で放射する複数の発光ダイオード(LED)を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項5】
前記複数のプレート反応器のそれぞれが、石英スリーブと、前記複数のチャネル内の流体を、前記流体を照射する前記複数のLEDから分離するハウジングとを含む、請求項4に記載の反応器。
【請求項6】
冷却剤が前記反応器を通って輸送され前記複数のLEDを冷却する、請求項1に記載の反応器。
【請求項7】
前記フレーム及びプレート反応器が、ステンレス鋼から成る、請求項1に記載の反応器。
【請求項8】
前記複数のプレート反応器の各々が、殺菌される流体を輸送するための複数のチャネルを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項9】
前記複数のプレート反応器のそれぞれが、流体の流れを前記少なくとも1つのチャネル内に閉じ込めるために、処理される前記流体の流れに適合したシーリングシステムを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項10】
前記シーリングシステムが、エラストマーガスケットを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項11】
前記シーリングシステムが、レーザー溶接を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項12】
流体の流れを殺菌する方法であって、
長手方向の寸法に沿って配置された一連のモジュラープレート反応器を有する反応器を通して前記流体の流れを輸送することであって、各プレート反応器は選択された直径の複数のチャネルを含む、前記輸送することと、
前記流体の流れが前記プレート反応器の前記複数のチャネルを通って輸送される際に、選択された放射束の紫外線照射を前記流体の流れに照射することと、を含み、
前記複数のチャネルの前記直径及び前記紫外線光源の前記放射束が、前記複数のチャネルの限られた空間内の前記流体の流れに正確な線量の紫外線照射を供給して前記流体の流れの殺菌を最適化するように選択される、前記方法。
【請求項13】
前記照射ステップが、110nm~280nmのUVCスペクトル範囲で放射する複数の発光ダイオード(LED)を使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
輸送される前記流体から前記複数のLEDを分離することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のLEDが、ハウジング及びUV放射に対して透過的な水晶シースを使用して輸送される前記流体から分離される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
冷却剤を循環させて前記プレート反応器から熱を伝達及び放散させることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記冷却剤が、殺菌される前記流体の流れとは異なる経路に沿って向流方式で循環される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体が、連続的に前記反応器に投入され、前記反応器を通して輸送される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線(UV)光照射を使用する水及び他の流体の殺菌処理の分野に関する。より具体的には、本開示は、制御された深さ及び表面積を使用して流体をUV放射に曝露するプレート及びフレームUV反応器を使用する流体のUV殺菌のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)放射は、殺菌目的でしばらくの間使用されてきた。UVCとして知られる特定の高周波帯域のUV放射は、殺菌に特に効果的である。複数の研究により、細菌、ウイルス、カビ、酵母、原生動物などの微生物が100nm~280nmのスペクトル波長範囲の深UVC放射に露光されると、DNA、RNA、及びタンパク質に吸収されることが示されている。より具体的には、実際に紫外線を吸収するのは、タンパク質を構成するアミノ酸の一部である。これにより、微生物の細胞膜が破壊され、微生物を死滅させることができる。DNAによるUVCの吸収は、チミン-チミンの二量体化及び生物の死を引き起こし得る。十分な数の鎖が不活性化されると、DNA/RNAの複製プロセスが中断され、細胞は複製できなくなる。
【0003】
UV照射技術は、その利点により、食品業界で消毒/殺菌プロセスの用途にしばらくの間使用されてきた。照射処理では化学物質が処理された液体物質に導入されないため、一般的に好ましい処理方法である。さらに、照射プロセスは好ましくない副産物を生成しない。
【0004】
微生物殺菌の重要なパラメータは、微生物が露光されるUV照射の量である、UV線量である。線量は、UV照射の強度及び露光時間によって異なる。多くの生物学的研究により、消毒における最も一般的な標的微生物に対して広く受け入れられた典型的なUV線量要件が生み出された。例えば、B.Subtillus(ATCC6633)の3log減少(99.9%)を達成するには、60mJ/cm2の線量が必要である。
【0005】
今日まで、従来のUVシステムは、不十分で一貫性のないUV曝露による非効率性に悩まされてきた。したがって、十分かつ一貫したUV線量を提供するUV殺菌のためのシステム及び方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本開示は、流体の流れを殺菌するための反応器を記載する。上記反応器は、長手方向の寸法を有するフレーム構造と、フレーム構造の長手方向の寸法に沿って一連に延在するフレーム構造に取り外し可能に挿入可能な複数のUVプレート反応器とを含み、複数のUVプレート反応器のそれぞれは、流体の流れが輸送される、通過する少なくとも1つの選択された直径のチャネルを含み、選択された放射束を有する少なくとも1つの紫外光源は、複数のチャネルのうちの1つまたは複数に結合される。
【0007】
別の態様では、本開示は、流体の流れを殺菌する方法を記載する。上記方法は、長手方向の寸法に沿って配置された単一のチャネルまたは複数のチャネルを備えた一連のモジュール式UVプレートを有する反応器を通して流体の流れを輸送することを含み、各UVプレート反応器は、選択された直径の単一または複数のチャネルを含み、流体の流れがUVプレート反応器の複数のチャネルを通って輸送されるとき、選択された放射束の紫外線照射によって流体の流れを照射する。複数のチャネルの直径及び紫外線光源の放射束は、複数のチャネルの限られた空間内の流体の流れに正確な線量の紫外線照射を供給して流体の流れの殺菌を達成するように選択される。
【0008】
別の態様では、線量及び流量の特性を選択して流体の流れの殺菌を最適化することができる。
【0009】
これら及び他の態様、特徴、及び利点は、以下の本発明の特定の実施形態の説明、ならびに添付の図面及び特許請求の範囲から理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の一実施形態による一方向流路に一連に配置された2つのプレート反応器を示すUV反応器システムのセクションの斜視図である。
【
図2】UVリアクタシステムの上記実施形態のさらなる斜視図であり、単一のチャネル流を有する一連に組み立てられた合計10枚のプレートを示している。流体は、UV照射に露光されながら、各プレートを順番に通過する。
【
図3】単一チャネルまたは複数チャネルの流れのためのプレート反応器の例示的な配置の側面図である。
【
図4】各プレート反応器を順番に通過し、UV放射に露光されている生成物流体の流れを示す概略側面図である。
【
図5】本開示の他の実施形態によるUV反応器の概略側面図である。
【
図6】フィッシュボーン設計を有する本開示による個別UVプレート反応器の一実施形態の平面図である。
【
図7】複数の流体チャネルが複数の側面から照射される、本開示による例示的なプレート反応器のセクションの断面図である。
【
図8】本開示によるプレート反応器の別の実施形態のセクションの断面図であり、複数の流体チャネルが片側で照射される。
【
図9】単一の流体チャネルが複数の側面で照射されるプレート反応器のさらなる実施形態のセクションの断面図である。
【
図10】単一の流体チャネルが単一の側面で照射されるプレート反応器のさらなる実施形態のセクションの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、紫外(UV)放射、好ましくはUVC放射を使用した、有機化合物含有の有無に関わらず、水または液体食品などの流体の殺菌のためのシステム及び方法を説明する。紫外線の全スペクトルは100nm~400nmの波長範囲をカバーし、3つの領域に分けられ、そのうち最も短いものは100nm~280nmの範囲内のUVCであり、非常に効果的な殺菌力を放出する。260mmのUVC殺菌波長は、空気、水、及び表面上の有害な微生物を殺すのに最も効果的である。
【0012】
本明細書に開示されるシステムの実施形態は、一連のモジュラープレート反応器を含む反応器(「UV反応器」)を含む。いくつかの実施形態では、プレート反応器は、ステンレス鋼ハウジング、水晶スリーブ、UV放射源、及び殺菌される流体が輸送される少なくとも1つのチャネルを含む。スチールハウジングと石英スリーブが、紫外線照射源を流体の流れから分離する。UV反応器内で、流体の流れは、一連のプレート反応器のチャネルを通過する。流体は、VFD(可変周波数駆動)ポンプの制御下で、入口と出口を通ってUV反応器に出入りする。紫外線殺菌法は、照射前に液体から酸素を除去する必要がない。さらに、この方法は、殺菌中の液体の温度範囲の制限も必要としない。開示されたシステムは、殺菌が望まれる流体の流れの正確な寸法及び流体の流れに向けられるUV光束の線量を制御することにより、従来の方法をさらに改善する。
【0013】
紫外線殺菌法は、特定のUV発光ダイオード(LED)を使用して液体を照射するが、非LEDライトの適応を採用することができる。複数のLEDのアレイが各プレート反応器に取り付けられている。流体に向けられるUV放射、好ましくはUVC放射の線量は、LEDアレイのUV光束の線量だけでなく、流体が通過するプレート反応器の数にも依存する(「滞留時間」と呼ばれる)。本発明者らは、流体の流れを、例えば約4mmであり得るほぼ一貫した小径のチャネルに通過させることで殺菌目的のための十分な、好ましくは最適な線量が得られることを発見した。
【0014】
一実施形態では、開示されたUV反応器は、バッチモードではなく、連続モードで動作するように適合されている。この実施形態では、殺菌方法は、より効率的かつ効果的な殺菌プロセスを提供する連続フローシステムである。いくつかの殺菌反応器は、一定の長さの曝露時間にわたって流体を照射し、その後照射曝露を停止することにより、バッチモードで所望の線量を達成する。代わりに、本明細書に開示されるUV反応器の実施形態では、必要な線量を達成するためにオフする必要のない連続システムにおける線量の制御を提供する。ダウンタイムを回避することで、より高い殺菌スループットが可能になる。使用されるすべての流体接触材料は、FDA(食品医薬品局)によって承認されていることに注意されたい。
【0015】
プレート反応器は、複数の流体チャネルを有する波形の金属プレート、またはフレーム内に圧縮された単一のチャネルを含むことができる。UV放射源は、プレート反応器内のチャネル(複数可)の片側に配置され、殺菌される液体は、プレート反応器内のチャネルの反対側を流れる。UV放射源に冷却システムを結合することができる。冷却システムは、液体または空気を使用して、UV放射源から発生した熱を放散することができる。
図1は、ハウジングの入口端110及び一連に配置された2つのプレート反応器120、125を示す、本開示の一実施形態によるUV反応器100のセクションの斜視切断図である。示されているプレートの数は単なる例示であり、UV反応器は典型的には3つ以上のプレートを含むが、より少ないプレートを含むこともできる。プレート反応器120、125は、流体がUV反応器を通って流れる方向を規定する長手方向軸に沿って一連に配置される。いくつかの実施形態では、プレート反応器間の間隔は、4mm~10mmであり得るが、より大きなまたはより小さな間隔が可能である。プレート反応器120、125は、波形であり、複数のチャネルを含むことができ、あるいは、プレート反応器は、殺菌される流体がUV反応器の長手方向軸に対して実質的に横方向に流れる単一のチャネルを含むことができる。
【0016】
図1に示される実施形態では、ハウジング110の入口端に3つの入口ポート112、114、116がある。殺菌される流体の流れが各ポートを通って流れる。殺菌される流体は、本明細書では「生成物」フローとも呼ばれる。流体の各流れは、入口端110から一方向に(長手方向軸に対して横方向に)第1のプレート反応器120を通って下方に流れ、ここで流体は第1のプレート反応器120の露光領域122でUV放射に露光され、殺菌される。プレート反応器120の底部から出てくる流体は、流体圧力下である距離だけ長手方向に流れ、次に第2のプレート反応器125を通って上向きに流れ、ここで流体は第2のプレート反応器125の曝露領域128でUV放射に再び露光され、さらに殺菌される。したがって、入口ポート112、114、116を通って反応器に入る流体は、UV反応器を通るその長手方向経路に沿ってUV光源を有する一連のプレート反応器内でかなりの量の放射線に露光される。
【0017】
図2は、セクションが
図1に示されているUV反応器の実施形態全体を示す斜視切断図である。
図2に示すUV反応器100は、ハウジング内の長手方向軸に沿って一連に配置された10枚のプレート反応器120、125、130、135、140、145、150、155、160、165を含む(切欠図には示されていない)。UV反応器100に入る流体は、各プレート反応器120~165を順番に通過し、各プレート反応器内でUV照射に露光される。図示の実施形態では、各プレート反応器120~170は、流体が輸送されてUV放射に露光される単一のチャネルを含む。プレート反応器120~165によって提供される総放射照度は、流体の完全な殺菌に必要な線量を達成するように較正及び設定される。プレート反応器120~170を通って流れた完全に殺菌された流体は、UV反応器のハウジングの出口端170の出口ポートを通って出る。反応器を通る流体の望ましいスループットを達成するために、反応器のサイズ及び所望の用途に応じて、毎分10~1000ガロンの流量が使用される。
【0018】
エンドプレートの各々は、殺菌用の生成物流体を受け取って出力するための外部インフラストラクチャに結合する入口と出口を含む。UV光源は熱を発生し、熱は光源の寿命に影響する。したがって、UV光源は動作中に冷却する必要がある。LEDを冷却し、適切な熱伝達を提供するために、冷却液もまた、生成物流の流体の方向とは異なり、場合によっては向流方式でUV反応器内を循環する。
図2はまた、この冷却剤の循環を概略的に示している。図示の実施形態では、低温冷却剤210は、図の上部でUV反応器に入り、プレートのそれぞれの低温流体入口オリフィスを介して、最初は水平に進み、次に垂直に上から下に進む。流れは、他の実施形態では同様に下から上になり得る。低温流体210がUV反応器の裏側を通って進むにつれて、UVLEDを冷却する。UVLEDからの熱が伝達された冷却材は、反応器の後部の下部から排出される。各プレート反応器120~165は、生成物の流れに加えて冷却剤の流れのためのそれぞれの入口及び出口を含む。
【0019】
単一チャネルまたは複数チャネルの流れのためのプレート反応器の例示的な配置の側面図を
図3に示す。
図2に示した実施形態と同様に、長手方向に延びるフレーム105上に、10枚のプレート反応器(そのうちの2つが130、155と説明を容易にするためにラベル付けされている)が一連に組み立てられている。殺菌される流体は入口112に入り、プレート反応器を通って流れ、殺菌された流体は出口175から出る。プレート反応器はモジュール式で、反応器フレームに簡単かつ安全に挿入したり、取り外したりすることができる。プレート反応器のサイズ(及び表面積)も、用途によって大きく異なり得る。例えば、例示的な寸法は、高さ/幅が5フィート~11フィートの範囲である。
図3に示すように、プレートは、フレームのエンドプレートの間で長手方向に延びる一連の垂直方向に組み立てられる。
【0020】
図4は、UV反応器を通る流体の流れを示す概略側面図である。示されるように、流体は、図の上部でUV反応器に入り、最初に第1のプレート110のそれぞれの入口オリフィス112を介して反応器を通って右から左の方向に長手方向に進む。流体がUV反応器を通って進行するにつれて、流体は交互に下向き及び上向きにチャネル、例えば、410、420、430を通過する。例えば、第1のプレート反応器120を出た後、流体は向きを変えて、流体が出る第2のプレート125の上部に垂直に流れる。第2のプレート反応器から、流体は下方に運ばれる。この移動は、反応器のハウジングに隣接し、流体がさらに長手方向に流れるのを阻止し、流れを垂直方向に向け直すバッフル、例えば、445、450によって促進される。バッフルは、パーツであり得るか、示されているようにプレート反応器からの拡張部であり得るか、または流れを方向転換する別個の構成要素であり得る。最後のプレート165を出る流体は、流体出口175に向かい、UV反応器の外に排出される。
【0021】
図5は、代替設計を有する本開示によるUV反応器の概略側面図である。このUV反応器500では、殺菌される流体が底部入口512に入り、ハウジング505の底部に沿って反応器の端部まで水平に移動する。反応器の底が流体で満たされると、液体は、プレート反応器、例えば520、530の間のチャネル、及びプレート反応器とハウジング505との間の反応器の長手方向端部に位置する2つのチャネル510、550に入る(図示の実施形態では、全部で11のチャネルがある)。チャネルのそれぞれにおいて、流体は、垂直経路を一方向に上向きに運ばれる。垂直チャネルを出た後、液体はUV反応器の上部に沿って出口560まで水平に移動する。
【0022】
上述の実施形態のすべてにおいて、プレート反応器のチャネルの数及び寸法は、所望の放射線露光及び滞留時間を提供するように設計される。例えば、いくつかの実装形態では、チャネル直径が約3~5ミリメートルであり、各プレート内の滞留時間が30秒~1.5分の範囲であることが望ましい。もちろん、これらは、流体殺菌を達成するのに十分な投与量を提供する目的で調整できる例示的なパラメータであることに留意されたい。
【0023】
前述のように、放射源は、好ましくは、EMスペクトルの紫外範囲、より好ましくは、前述のように、100~280ナノメートルの電磁スペクトルの波長範囲であるUVC範囲の放射線を放出するLEDである。特定の実施形態では、プレート反応器は波形であり、深さが4mm~11.5mmの範囲であり得る溝もしくはスロットまたは単一のチャネルを含む。プレートのスロットは、多数のUVLED、または多数のUVLEDを備えた単一のチャネルを含むことができる。例えば、各スロットは約100個のLEDを含むことができるが、所望の用途に応じてより多くのまたはより少ない数のLEDを使用することができる。
【0024】
LEDが位置するチャネルに対する反応器内のLED間の間隔は、所望の放射照度を達成するための重要なパラメータである。LEDの高さに対する距離の比率(DHR)は、隣接する2つのLED間の距離とチャネルの高さの比率として定義される。DHRは、流体を殺菌するために必要な放射照度を提供するようにチャネルの面積によって決定される。石英シースの表面で屈折した光は、流体のターゲット面に放射照度パターンを提供し、均一な放射照度分布の生成を可能にする。
【0025】
図6は、本開示による個別UVプレート反応器の実施形態の平面図である。図示の実施形態は、フィッシュボーン設計で配置されたチャネルを含む。プレート反応器600は、エラストマーガスケットシーリングシステム、及び本開示の実施形態によるプレート上に組み込まれたUVLED光源、例えば605、610、615を含む。プレート反応器600は、生成物が出入りするための外部インフラストラクチャへの入口及び出口/開口部(本明細書ではオリフィスと呼ぶ)を含む。例えば、
図6に示されるプレート反応器は、生成物流体が入る頂部オリフィス620を示す。上部オリフィス620に入る流体は、チャネルを通って流体が出る底部オリフィス625まで下方に流れる。流体は、例えばフィッシュボーン設計によって形成されたチャネル630を通過する。オリフィス620、625は、好ましくは、反応器内に配置された他のプレート反応器のオリフィスと位置合わせされる。プレート反応器の外縁は、周縁シールを形成する弾性ガスケット640を含むことができる。ガスケットシールは、流体の流れを意図したチャネル以外でのプレート反応器間の流体の流れを妨げる。各プレート反応器には、流体をチャネル内に保持する働きもする追加のシーリング、例えば650を装備することができる。シーリングの材料と設計は、処理する液体に基づいて選択され、例えば、エラストマーガスケットからレーザー溶接まで、様々な方法で実装することができる。
【0026】
前述のように、本開示のUV反応器及び紫外線殺菌方法は、UV反応器アセンブリの各部分を必要に応じて変更できるようにするモジュラーアプローチを採用する。プレート反応器ユニットを、新しい任務のために追加または削除することができ、プレート反応器及びその他の構成要素は、拡大された容量要件に対応するためにユーザーが簡単に変更することができる。プレート反応器を解体すると、食品加工、乳製品、及び製薬業界で要求される厳格な基準に従って洗浄及び検査することができる。プレート反応器は、好ましくは、ステンレス鋼などの衛生材料を使用して形成される。同様に、シーリング材も、食品と接触する部分に適切な衛生材料を使用して形成される。UV光源とプレート反応器を通る流体経路との間のギャップは、比較的粘性の流体または微粒子を含む流体を処理するために、より広い分離に適合させることもできる。
【0027】
図7は、複数の流体チャネルが複数の側面から照射される、例示的なプレート反応器700のセクションの断面図である。プレート反応器のセクションは、プレートの間に2つのアイレット704、708が形成されるように、溶接または他の方法で接合されたプレートセクションで形成される。第1の流体チャネル710は、第1のアイレット704を通っている。流体チャネル710は、石英スリーブ715内に閉じ込められている。石英スリーブ715は、UV放射に対して実質的に透過的である。第1及び第2のUV放射源722、724は、アイレット704内の石英スリーブ715の両側に配置される。UV光源722、724の両方から放射されたUV放射は、石英スリーブを通過し、したがって、チャネル710内の流体は、光源722、724両方からの放射線に露光される。同様に、第2の流体チャネル730は、第2のアイレット708を通っている。流体チャネル730は、第2の石英スリーブ735内に閉じ込められる。第3及び第4のUV光源742、744は、石英スリーブ735の反対側に配置され、光源742、744両方からのUV放射である。それによって、第2のチャネル730内の流体は、光源742、744から放出される放射線に露光される。UV放射源722、724、742、744は、石英スリーブとプレート(例えば、ステンレス鋼)の両方によって流体との接触から保護される。
【0028】
図8は、プレート反応器800の別の実施形態のセクションの断面図であり、複数の流体チャネルが片側で照射される。プレート反応器のセクションは、
図2に示す実施形態と同様に、プレートの間に2つのアイレット804、808が形成されるように、溶接または他の方法で接合されたプレートセクションで形成される。しかしながら、この実施形態におけるアイレット804、808は、
図7に示されるものとは異なり、非対称である。第1の流体チャネル810は、第1のアイレット804を通っている。流体チャネル810は、プレート812と石英スリーブ815との間に閉じ込められている。UV放射源820は、石英スリーブ815のチャネル810とは反対側に配置され、チャネル810内を流れる流体を照射する。同様に、第2の流体チャネル830は、第2のアイレット808を通っている。流体チャネル830は、第2の石英スリーブ835内のプレート832の間に閉じ込められる。第2のUV放射源840は、石英スリーブ835のチャネル830とは反対側に配置される。第2のUV放射源840は、チャネル830内を流れる流体を照射する。
【0029】
図9は、単一の流体チャネルが複数の側面で照射されるプレート反応器900のさらなる実施形態のセクションの断面図である。プレート反応器900は、互いに平行に配置された第1及び第2のプレート904、908を含む。UVLEDの第1のセット、例えば912、914は、プレート間の領域において第1のプレート904上に配置され、LEDの第2のセット、例えば922、924は、第2のプレート908上の第1の複数のLEDの反対側に配置される。流体チャネル940を取り囲む石英スリーブ930が、UVLEDの第1セットと第2セットとの間に配置される。流体がチャネル940を通って流れるとき、流体は、UVLEDの第1及び第2のセットの両方によって照射される。プレート反応器900は、第1の端部に第1のフランジ942及びガスケット944を含み、第2の端部に第2のフランジ946及びガスケット948を含む。フランジとガスケットは、流体の流れを制御するための周辺シーリング及びUVリアクター内のプレートリアクターの簡単な取り付けと取り外しを可能にする固定具を提供する。他の実施形態と同様に、この実施形態では、UV放射源は、プレート(例えば、ステンレス鋼)及び石英スリーブによって液体の流れから分離される。
【0030】
図10は、単一の流体チャネルが単一の側面で照射されるプレート反応器1000の実施形態のセクションの断面図である。プレート反応器1000は、例えば1012、1014などのUVLEDのセットが配置される照射プレート1004と、ベースプレート1008とを含む。スリーブ1020とベースプレート1008との間の空間は、流体チャネル1030を画定する。流体がチャネル1030を通って流れると、UVLEDのセット、例えば1012、1014によって照射される。プレート反応器1000は、第1の端部に第1のフランジ942及びガスケット944を含み、第2の端部に第2のフランジ946及びガスケット948を含む。フランジとガスケットは、流体の流れを制御するための周辺シーリング及びUVリアクター内のプレートリアクターの簡単な取り付けと取り外しを可能にする固定具を提供する。他の実施形態と同様に、この実施形態では、UV放射源は、プレート(例えば、ステンレス鋼)及び石英スリーブによって液体の流れから分離される。
【0031】
開示されたUVC反応器システムは、関連技術に対していくつかの利点を有する。開示された反応器システムは、強化されたUV照射伝達エリアプレートとコンパクトな設計を提供し、より効率的な殺菌プロセスをもたらす。従来のUV殺菌システムのようにシャドーイングがほとんどまたはまったくない。UV光は直進するため、影や障害物があると効率が低下する。本開示の設計は、シャドーイングを排除し、液体全体を照射線に露光する。
【0032】
フレーム構造にモジュラープレートを追加するだけで、殺菌の「致死率」を効率的かつ効果的に高めることができる。従来のシステムでは、プラズマ放電ランプを完全に再設計し、新しいシステムを構築する必要があるだろう。さらに、反応器は、異なる殺菌仕様の異なるタイプの製品を殺菌するために、簡単かつ安価に適合させることができる。さらに、リアクターの設計により、UV光源のより効果的な冷却が可能になり、光源の寿命を延ばすことに役立つ。
【0033】
さらに、本明細書に開示される紫外線殺菌反応器及び方法は、照射前に流体から酸素を除去することも、液体を効果的に殺菌するために硝酸態窒素の存在も必要としない。さらに、この方法は、殺菌中の液体の温度範囲の制限も必要としない。
【0034】
本明細書に開示される構造的及び機能的詳細は、システム及び方法を限定するものとして解釈されるべきではなく、当業者に本法を実装するための様々な方法を教示するための代表的な実施形態及び/または構成として提供されることを理解されたい。図面における同様のパーツは、いくつかの図面を通した同様の要素を表すものであり、図面を参照して説明されるすべての構成要素及び/またはステップがすべての実施形態または構成に対して必要とされるわけではないことをさらに理解すべきである。
【0035】
本明細書において用いる用語は、特定の実施形態を記述するだけの目的であって、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明らかに示さない限り、複数形も含むことを意図する。用語「含む(comprise)」及び/または「含んでいる(comprising)」は、本明細書で使用されるとき、述べられる特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されよう。
【0036】
方位の用語は、慣例及び参照の目的でのみ本明細書で使用され、限定と解釈されるべきではない。ただし、これらの用語はビューアーに関して使用できることが認識されている。したがって、いかなる制限も暗示されず、または推測されない。
【0037】
また、本明細書で使用される表現及び用語は、説明を目的としており、限定的なものとみなされるべきではない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」及びこれらの変形の使用は、その後に列挙される項目及びそれらの等価物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0038】
本発明を例示の実施形態に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変更を行うことができ、また均等物をその要素に代えて置換できることを当業者ならば理解するであろう。加えて、本発明の必須の範囲から逸脱することなく、多くの修正が、特定の装置、状況または材料を本発明の教示に適合させるために当業者によって理解されよう。したがって、本発明は、本発明を実施するために企図された最良の態様として開示される特定の実施形態に限定されるのではなく、本発明は、当業者によって理解される開示の範囲内に収まる全ての実施形態を含むことが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】削除
【補正の内容】
【外国語明細書】