(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161087
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】カーボン担体、燃料電池用触媒、燃料電池用触媒層、及び、カーボン担体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/86 20060101AFI20231030BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20231030BHJP
C01B 32/15 20170101ALI20231030BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20231030BHJP
【FI】
H01M4/86 B
H01M4/88 K
C01B32/15
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071227
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000104607
【氏名又は名称】株式会社キャタラー
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】王 宇楠
(72)【発明者】
【氏名】井元 瑠伊
(72)【発明者】
【氏名】野村 久美子
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 直樹
(72)【発明者】
【氏名】竹下 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】矢野 一久
(72)【発明者】
【氏名】南部 宏暢
(72)【発明者】
【氏名】笠間 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】浅倉 啓介
(72)【発明者】
【氏名】黒木 崇伸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】米内 翼
(72)【発明者】
【氏名】堀 彰宏
【テーマコード(参考)】
4G146
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB01
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AD24
4G146BA11
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4G146CB35
5H018AA06
5H018BB06
5H018BB08
5H018EE05
5H018EE10
5H018HH03
5H018HH04
5H018HH05
5H126BB06
(57)【要約】
【課題】燃料電池の発電性能を向上させることができる燃料電池触媒用のカーボン担体、燃料電池用触媒、燃料電池用触媒層、及び、カーボン担体の製造方法を提供する。
【解決手段】細孔を有するカーボン担体であって、窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造から導出する前記カーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下であり、且つ、カーボン壁含有量が60.3ml/g超過190.8ml/g未満である、燃料電池触媒用のカーボン担体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細孔を有するカーボン担体であって、
窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造から導出する前記カーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下であり、且つ、カーボン壁含有量が60.3ml/g超過190.8ml/g未満である、燃料電池触媒用のカーボン担体。
【請求項2】
3D-TEM観察により算出されるカーボン担体率が36%超過67%未満である、請求項1に記載のカーボン担体。
【請求項3】
前記カーボン担体は、前記細孔内に少なくとも1つのくびれ部を有し、
3D-TEM観察により算出される前記細孔のくびれ部の平均直径が1.9nm以上2.5nm未満である、請求項2に記載のカーボン担体。
【請求項4】
前記カーボン壁含有量が61.5ml/g以上168.4ml/g以下であり、
前記カーボン担体率が46%以上57%以下であり、
前記細孔のくびれ部の平均直径が1.9nm以上2.0nm以下である、請求項3に記載のカーボン担体。
【請求項5】
金属触媒を担持したカーボン担体を含む燃料電池用触媒であって、
前記カーボン担体が、請求項1~4のいずれか一項に記載のカーボン担体である、燃料電池用触媒。
【請求項6】
請求項5に記載の燃料電池用触媒を含む燃料電池用触媒層。
【請求項7】
細孔を有するシリカを鋳型として作製する、請求項1~4のいずれか一項に記載のカーボン担体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カーボン担体、燃料電池用触媒、燃料電池用触媒層、及び、カーボン担体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池に関して種々の研究がなされている。
例えば特許文献1では、低充填性であり、かつ、低コストであるメソ多孔カーボン及びその製造方法、並びに、これを用いた固体高分子形燃料電池が開示されている。
【0003】
特許文献2では、直径、細孔径、及び比表面積が特定の範囲にあり、かつ、固体高分子形燃料電池の空気極側触媒層の触媒担体に好適な単分散球状炭素多孔体、及びこれを用いた固体高分子形燃料電池が開示されている。
【0004】
特許文献3では、中心細孔径が2nmを超える球状メソポーラスカーボン及びその製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献4では、保水性が高く、低湿度環境下でも高い電池性能が得られる触媒層及びこれを用いた固体高分子型燃料電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-084852号公報
【特許文献2】特開2019-169317号公報
【特許文献3】特開2010-265125号公報
【特許文献4】特開2007-220414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低電流密度領域における高い発電性能(効率点性能)を実現するためには、カーボン担体は3次元細孔構造を有することが必要である。
従来技術では、カーボンの平均1次粒径、平均細孔径、細孔容積などの規定がなされているが、窒素吸着によるカーボン壁含有量、3D-TEMによるカーボン担体率、及び、細孔内のくびれ部の平均直径等に関する規定はなされておらず、従来技術では燃料電池の発電性能が不十分な場合がある。
【0008】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、燃料電池の発電性能を向上させることができる燃料電池触媒用のカーボン担体、燃料電池用触媒、燃料電池用触媒層、及び、カーボン担体の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のカーボン担体は、細孔を有するカーボン担体であって、
窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造から導出する前記カーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下であり、且つ、カーボン壁含有量が60.3ml/g超過190.8ml/g未満である、燃料電池触媒用のカーボン担体である。
【0010】
本開示のカーボン担体においては、3D-TEM観察により算出されるカーボン担体率が36%超過67%未満であってもよい。
【0011】
本開示のカーボン担体においては、前記カーボン担体は、前記細孔内に少なくとも1つのくびれ部を有し、
3D-TEM観察により算出される前記細孔のくびれ部の平均直径が1.9nm以上2.5nm未満であってもよい。
【0012】
本開示のカーボン担体においては、前記カーボン壁含有量が61.5ml/g以上168.4ml/g以下であり、
前記カーボン担体率が46%以上57%以下であり、
前記細孔のくびれ部の平均直径が1.9nm以上2.0nm以下であってもよい。
【0013】
本開示の燃料電池用触媒は、金属触媒を担持したカーボン担体を含む燃料電池用触媒であって、
前記カーボン担体が、上記記載のカーボン担体である。
【0014】
本開示の燃料電池用触媒層は、上記記載の燃料電池用触媒を含む。
【0015】
本開示のカーボン担体の製造方法は、細孔を有するシリカを鋳型として作製する、上記記載のカーボン担体の製造方法である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、燃料電池の発電性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、実施例1のカーボン担体の(1)平面TEM画像と(2)三次元再構成画像である。
【
図2】
図2は、比較例1のカーボン担体の(1)平面TEM画像と(2)三次元再構成画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示による実施の形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本開示の実施に必要な事柄(例えば、本開示を特徴付けないカーボン担体等の一般的な構成および製造プロセス)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本開示は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
また、図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
本明細書において数値範囲を示す「~」とは、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
また、数値範囲における上限値と下限値は任意の組み合わせを採用できる。
【0019】
1.カーボン担体
本開示のカーボン担体は、細孔を有するカーボン担体であって、
窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造から導出する前記カーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下であり、且つ、カーボン壁含有量が60.3ml/g超過190.8ml/g未満である、燃料電池触媒用のカーボン担体である。
【0020】
本開示によれば、3次元細孔構造を有するシリカを鋳型として用いることにより、カーボン壁の厚さ及びカーボン壁含有量を制御したカーボン担体が得られる。
本開示のカーボン担体は、所定の範囲の厚さのカーボン壁を有し、且つ所定量のカーボン壁を含有する3次元細孔構造を有することにより、当該カーボン担体の細孔内に金属触媒を均一に担持することを可能とする。金属触媒を均一に担持したカーボン担体を燃料電池用触媒として用いることにより燃料電池の発電性能を向上させることができ、特に効率点性能(低電流密度領域での発電性能)を向上させることができる。
【0021】
本開示のカーボン担体は、細孔を有し、多孔質体であってもよい。
細孔は、メソ孔であってもよい。カーボン担体は、メソポーラスカーボンであってもよい。
メソ孔の平均細孔径は、2nm~50nmであってもよい。平均細孔径は、無作為に選んだ複数の細孔の細孔径を測定し、これらの平均値を算出することにより得られる。平均細孔径は3D-TEM(透過型電子顕微鏡)等で測定することができる。
【0022】
本開示のカーボン担体における、窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造から導出する前記カーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下であり、且つ、カーボン壁含有量が60.3ml/g超過190.8ml/g未満である。カーボン壁含有量は、燃料電池の発電性能をより向上させる観点から、61.5ml/g以上168.4ml/g以下であってもよい。
本開示のカーボン担体は、3次元細孔構造を有するシリカを鋳型として、当該シリカの細孔内に炭素源を導入してシリカ-カーボン複合体を得て、シリカ-カーボン複合体中の炭素源を炭化させ、シリカ-カーボン複合体中のシリカを除去することにより得られる。そのため、本開示のカーボン担体は、シリカの構造が転写される。
したがって、カーボン担体のカーボン壁の厚さは、窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造の細孔径を測定することにより導出することができる。カーボン壁の厚さは、シリカ鋳型の3次元細孔構造の無作為に選んだ複数の細孔の細孔径を測定し、これらの平均値を算出することにより導出することができる。
なお、本開示において、カーボン壁とは、いわゆる細孔壁と同義であり、カーボン細孔壁を意味する。
また、カーボン壁含有量は、窒素吸着解析法によるシリカ鋳型の細孔容積測定により得られる当該シリカ鋳型の3次元細孔構造の細孔容積を測定することにより導出することができる。シリカ鋳型の3次元細孔構造の細孔容積は、例えば、当該シリカの細孔の窒素吸着相対圧が0.8のときの吸着量と0.4のときの吸着量との差から算出してもよい。
なお、本開示において、カーボン壁含有量とは、カーボン担体1g当たりのカーボン壁の容積(単位:ml/g)である。
【0023】
本開示のカーボン担体においては、3D-TEM観察により算出されるカーボン担体率が36%超過67%未満であってもよく、燃料電池の発電性能をより向上させる観点から、46%以上57%以下であってもよい。
なお、本開示において、カーボン担体率とは、カーボン担体全体が占める領域を100%としたときのカーボンが占める領域の割合を意味し、カーボンが占める領域以外の領域は空隙が占める。
カーボン担体の空隙率は、例えば33%~64%であってもよい。
【0024】
カーボン担体は、当該細孔内に少なくとも1つのくびれ部を有していてもよい。
くびれ部の直径は細孔径よりも小さい。
本開示のカーボン担体においては、3D-TEM観察により算出される前記細孔のくびれ部の平均直径が1.9nm以上2.5nm未満であってもよく、燃料電池の発電性能をより向上させる観点から、1.9nm以上2.0nm以下であってもよい。くびれ部の平均直径は、無作為に選んだ複数のくびれ部の直径を測定して得た平均値である。
【0025】
カーボン担体は、形状が粒子状であるカーボン担体粒子であってもよい。
カーボン担体粒子の粒径は、細孔径よりも大きければ特に限定されず、例えば、4nm以上100nm以下であってもよい。
カーボン担体粒子の粒径は3D-TEM等で測定することができる。
【0026】
2.カーボン担体の製造方法
本開示のカーボン担体の製造方法は、細孔を有するシリカを鋳型として作製する。
本開示のカーボン担体の製造方法は、(1)鋳型としての細孔を有するシリカを準備する工程、(2)シリカの細孔内にカーボンを析出させシリカ-カーボン複合体を得る工程、(3)シリカ-カーボン複合体からシリカを除去してカーボン担体を得る工程を有していてもよい。
【0027】
(1)シリカを準備する工程
準備するシリカは細孔を有し、且つ、3次元細孔構造を有する。シリカは、多孔質体であってもよく、メソポーラスシリカであってもよい。
3次元細孔構造は、後述する連珠構造(ランダム構造)等であってもよい。
シリカは、市販のものを用いてもよく、合成したものを用いてもよい。
シリカの製造方法は、通常、シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、シリカ源を縮重合させ、前駆体粒子を得る重合工程と、前記反応溶液から前記前駆体粒子を分離し、乾燥させる乾燥工程と、前記前駆体粒子を焼成し、細孔を有するシリカ粒子を得る焼成工程とを備えている。シリカの製造時、反応溶液中の界面活性剤の濃度及びシリカ源の濃度をそれぞれある特定の範囲に限定すると、連珠構造を備えており、かつ、細孔径、細孔容積等が特定の範囲にあるメソポーラスシリカが得られる。さらに、このような連珠構造を備えたメソポーラスシリカを鋳型に用いると、連珠構造を備えたメソポーラスカーボンが得られる。ここで、「連珠構造」とは、1次粒子が数珠状に連結している構造をいう。連珠構造を構成する1次粒子は、その内部に細孔を有する。連珠構造においては、細孔を有する1次粒子が連結しているため、1次粒子の細孔が連通した連通細孔が形成されていてもよい。1次粒子の形状は、通常、完全な球状とはならず、アスペクト比が1.1~3程度のいびつな形状を有し、連珠構造においては、連通した細孔内には細孔径よりも小さい直径を有するくびれ部が1つ以上形成されていてもよい。
【0028】
(1-1)重合工程
まず、シリカ源、界面活性剤及び触媒を含む反応溶液中において、前記シリカ源を縮重合させ、前駆体粒子を得る。
【0029】
シリカ源の種類は、特に限定されない。シリカ源としては、例えば、
(a)テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、テトラエチレングリコキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、
(b)3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、
などがある。
シリカ源には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
シリカ源の濃度が低すぎると、前駆体粒子の析出速度が遅くなり、1次粒子が連結している構造体は得られない。従って、シリカ源の濃度は、0.05mol/L以上であってもよい。
一方、シリカ源の濃度が高すぎると、前駆体粒子の析出速度が速くなりすぎ、1次粒子径が容易に300nmを超える。従って、シリカ源の濃度は、1.0mol/L以下であってもよい。
【0030】
シリカ源を反応溶液中で縮重合させる場合において、反応溶液に界面活性剤を添加すると、反応溶液中において界面活性剤がミセルを形成する。ミセルの周囲には親水基が集合しているため、ミセルの表面にはシリカ源が吸着する。さらに、シリカ源が吸着しているミセルが反応溶液中において自己組織化し、シリカ源が縮重合する。その結果、1次粒子内部には、ミセルに起因する細孔が形成される。細孔の大きさは、主として、界面活性剤の分子長により例えば1~50nmに制御することができる。
界面活性剤としては、例えば、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムハライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムハライド、ノニルトリメチルアンモニウムハライド、デシルトリメチルアンモニウムハライド、ウンデシルトリメチルアンモニウムハライド、及び、ドデシルトリメチルアンモニウムハライド等が挙げられる。
細孔を有するシリカを合成する場合において、1種類の界面活性剤を用いても良く、あるいは、2種以上を用いても良い。しかしながら、界面活性剤は、1次粒子内に細孔を形成するためのテンプレートとなるため、その種類は、細孔の形状に大きな影響を与える。より均一な細孔を有するシリカ粒子を合成する観点からは、1種類の界面活性剤を用いてもよい。
界面活性剤の濃度が低すぎると、前駆体粒子の析出速度が遅くなり、1次粒子が連結している構造体は得られない。従って、界面活性剤の濃度は、0.03mol/L以上であってもよい。
一方、界面活性剤の濃度が高すぎると、前駆体粒子の析出速度が速くなりすぎ、1次粒子径が容易に300nmを超える。従って、界面活性剤の濃度は、1.0mol/L以下であってもよい。
【0031】
シリカ源を縮重合させる場合、通常、反応溶液中に触媒を加える。触媒としては、水酸化ナトリウム、及び、アンモニア水等のアルカリ等が挙げられる。
触媒の濃度は、特に限定されない。一般に、触媒の濃度が低すぎると、前駆体粒子の析出速度が遅くなる。一方、触媒の濃度が高すぎると、前駆体粒子の析出速度が速くなる。最適な触媒の濃度は、シリカ源の種類、界面活性剤の種類、及び、目標とする物性値等に応じて選択してもよい。
【0032】
溶媒には、水、有機溶媒、及び、水と有機溶媒の混合溶媒等を用いる。
有機溶媒は、メタノール、エタノール、及び、プロパノール等の1価のアルコール、エチレングリコール等の2価のアルコール、グリセリン等の3価のアルコール等が挙げられる。
水と有機溶媒の混合溶媒を用いる場合、混合溶媒中の有機溶媒の含有量は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、溶媒中に適量の有機溶媒を添加すると、シリカ粒子の粒径及び粒度分布等の制御が容易化する。
【0033】
所定量の界面活性剤を含む溶媒中に、シリカ源を加え、加水分解及び重縮合を行う。これにより、界面活性剤がテンプレートとして機能し、シリカ及び界面活性剤を含む前駆体粒子が得られる。
反応条件は、シリカ源の種類、及び、前駆体粒子の粒径等に応じて、最適な条件を選択する。一般に、反応温度は、-20℃~100℃であってもよい。
【0034】
(1-2)乾燥工程
次に、前記反応溶液から前記前駆体粒子を分離し、乾燥させる。
乾燥は、前駆体粒子内に残存している溶媒を除去するために行う。乾燥条件は、溶媒の除去が可能な限りにおいて、特に限定されるものではない。
【0035】
(1-3)拡径工程
次に、必要に応じて、乾燥させた前駆体粒子に対して拡径処理を行っても良い。「拡径処理」とは、1次粒子内の細孔の直径を拡大させる処理をいう。
拡径処理は、具体的には、合成された前駆体粒子(界面活性剤の未除去のもの)を、拡径剤を含む溶液中で水熱処理することにより行う。この処理によって前駆体粒子の細孔径を拡大させることができる。
拡径剤としては、例えば、(a)トリメチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサン、トリイソプロピルベンゼン、ナフタレン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、及び、ドデカンなどの炭化水素、(b)塩酸、硫酸、及び、硝酸などの酸、等が挙げられる。
炭化水素共存下で水熱処理することにより細孔径が拡大するのは、拡径剤が溶媒から、より疎水性の高い前駆体粒子の細孔内に導入される際に、シリカの再配列が起こるためと考えられる。
また、塩酸などの酸共存下で水熱処理することにより細孔径が拡大するのは、1次粒子内部においてシリカの溶解及び再析出が進行するためと考えられる。製造条件を最適化すると、シリカ内部に放射状細孔が形成される。これを酸共存下で水熱処理すると、シリカの溶解及び再析出が起こり、放射状細孔が連通細孔に変換される。
拡径処理の条件は、目的とする細孔径が得られる限りにおいて、特に限定されない。通常、反応溶液に対して、0.05mol/L~10mol/Lの拡径剤を添加し、60℃~150℃で水熱処理する。水熱温度を制御することで得られる細孔径を制御してもよい。
【0036】
(1-4)焼成工程
次に、必要に応じて拡径処理を行った後、前記前駆体粒子を焼成する。これにより、細孔を有するシリカ粒子が得られる。
焼成は、OH基が残留している前駆体粒子を脱水及び結晶化させるため、及び、細孔内に残存している界面活性剤を熱分解させるために行われる。焼成条件は、脱水及び結晶化、及び界面活性剤の熱分解が可能な限りにおいて、特に限定されない。焼成は、通常、大気中において、400℃~700℃で1時間~10時間加熱することにより行われる。
【0037】
(2)シリカ-カーボン複合体を得る工程
シリカの細孔内にカーボンを析出させシリカ-カーボン複合体を得る方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適宜採用することができる。
細孔内へのカーボンの析出は、具体的には、細孔内にカーボン前駆体を導入し、細孔内において、カーボン前駆体を重合及び炭化させることにより行われる。
「カーボン前駆体」とは、熱分解によって炭素を生成可能なものをいう。このようなカーボン前駆体としては、具体的には、常温で液体であり、かつ、熱重合性のポリマー前駆体(例えば、フルフリルアルコール、及び、アニリン等)、炭水化物の水溶液と酸の混合物(例えば、スクロース(ショ糖)、キシロース(木糖)、及び、グルコース(ブドウ糖)などの単糖類、二糖類、及び、多糖類等の炭水化物と、硫酸、塩酸、硝酸、及び、リン酸などの酸との混合物)、及び、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物(例えば、フェノールとホルマリン等)、等が挙げられる。
液体又は溶液のカーボン前駆体を用いる場合、1回当たりの液体又は溶液の吸着量は、多いほど良く、細孔全体が液体又は溶液で満たされる量であってもよい。
また、カーボン前駆体として炭水化物の水溶液と酸の混合物を用いる場合、酸の量は、有機物を重合させることが可能な最小量としてもよい。
さらに、カーボン前駆体として、2液硬化型のポリマー前駆体の混合物を用いる場合、その比率は、ポリマー前駆体の種類に応じて、最適な比率を選択する。
【0038】
次に、重合させたカーボン前駆体を細孔内において炭化させる。
カーボン前駆体の炭化は、非酸化雰囲気中(例えば、不活性雰囲気中、及び真空中など)において、カーボン前駆体を含むシリカを所定温度に加熱することにより行う。加熱温度は、具体的には、500℃以上1200℃以下であってもよい。加熱温度が500℃未満であると、カーボン前駆体の炭化が不十分となる。一方、加熱温度が1200℃を超えると、シリカと炭素が反応する。加熱時間は、加熱温度に応じて、最適な時間を選択する。
【0039】
(3)シリカ除去工程
次に、シリカ-カーボン複合体から鋳型であるシリカを除去する。これにより、細孔を有するカーボン担体が得られる。
シリカ-カーボン複合体からシリカを除去する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を適宜採用することができる。シリカ-カーボン複合体からシリカを除去する方法は、例えば、シリカ-カーボン複合体を水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液中で加熱してシリカを溶解して除去する方法、シリカ-カーボン複合体中のシリカをフッ化水素酸水溶液でエッチングする方法等が挙げられる。
【0040】
(4)黒鉛化処理工程
次に、必要に応じて、カーボン担体を1500℃より高い温度で熱処理する。シリカの細孔内において炭素源を炭化させる場合において、シリカと炭素の反応を抑制するためには、熱処理温度を低くせざるを得ない。そのため、炭化処理後のカーボン担体の黒鉛化度は低い。高い黒鉛化度を得るためには、鋳型を除去した後、カーボン担体を高温で熱処理するのが好ましい。
熱処理温度が低すぎると、黒鉛化が不十分となる。従って、熱処理温度は、1500℃超であってもよい。
一方、熱処理温度を必要以上に高くしても、効果に差がなく、実益がない。従って、熱処理温度は、2300℃以下であってもよい。
【0041】
3.燃料電池用触媒
本開示の燃料電池用触媒は、金属触媒を担持したカーボン担体を含む燃料電池用触媒であって、前記カーボン担体が、上記記載のカーボン担体である。
【0042】
金属触媒は、本開示のカーボン担体に担持される。
金属触媒は、白金、及び、白金合金等が挙げられる。白金合金としては、白金とコバルト、ニッケル、鉄、マンガン、銅、チタン、タングステン、スズ、ガリウム、ジルコニウム、クロム、ガドリニウム、テルビウム、イッテルビウム、ハフニウム、及び、オスニウムからなる群より選ばれる1種又は2種以上の金属を含む合金であってもよい。これらの中でも、白金、白金-コバルト合金、及び、白金-ニッケル合金等であってもよく、特に白金-コバルト合金であってもよい。
金属触媒は、形状が粒子状である金属触媒粒子であってもよい。
金属触媒粒子の粒径は、特に限定されないが、1nm以上10nm以下であってもよい。金属触媒粒子の粒径は3D-TEM等で測定することができる。
金属触媒粒子は、その粒径がカーボン担体の細孔径以上の場合は、カーボン担体外周表面に担持されていてもよい。
金属触媒粒子は、その粒径がカーボン担体の細孔内のくびれ部の平均直径以上且つカーボン担体の細孔径未満の場合は、カーボン担体の細孔内のくびれ部よりも手前側の領域に担持されていてもよい。
金属触媒粒子は、その粒径がカーボン担体の細孔内のくびれ部の平均直径未満の場合は、カーボン担体の細孔内のくびれ部よりも奥側の領域に担持されていてもよい。
【0043】
4.燃料電池用触媒層
本開示の燃料電池用触媒層は、上記記載の燃料電池用触媒を含み、通常さらに電解質を含む。
電解質としては、プロトン伝導性を有するものであってもよく、フッ素系樹脂等であってもよい。フッ素系樹脂としては、例えば、Nafion(登録商標)等のパーフルオロスルホン酸系樹脂等を用いてもよい。
【0044】
本開示の触媒層は、燃料電池用である。
本開示の燃料電池は、本開示の触媒層を備える。
燃料電池は、単セルを1つのみ有するものであってもよいし、単セルを複数個積層した積層体である燃料電池スタックであってもよい。
単セルの積層数は特に限定されず、例えば、2~数百個であってもよい。
【0045】
燃料電池の単セルは、少なくとも膜電極ガス拡散層接合体を備える。
膜電極ガス拡散層接合体は、アノード側ガス拡散層及び、アノード触媒層及び、電解質膜及び、カソード触媒層及び、カソード側ガス拡散層をこの順に有する。
【0046】
カソード(酸化剤極)は、カソード触媒層を含み、必要に応じてカソード側ガス拡散層を含む。
アノード(燃料極)は、アノード触媒層を含み、必要に応じてアノード側ガス拡散層を含む。
本開示の燃料電池用触媒層は、カソード触媒層として用いてもよく、アノード触媒層として用いてもよいし、カソード触媒層及びアノード触媒層の両方として用いてもよい。
カソード触媒層及びアノード触媒層をまとめて触媒層と称する。
【0047】
カソード側ガス拡散層及びアノード側ガス拡散層をまとめてガス拡散層と称する。
ガス拡散層は、ガス透過性を有する導電性部材等であってもよい。
導電性部材としては、例えば、カーボンクロス、及びカーボンペーパー等のカーボン多孔質体、並びに、金属メッシュ、及び、発泡金属などの金属多孔質体等が挙げられる。
【0048】
電解質膜は、固体高分子電解質膜であってもよい。固体高分子電解質膜としては、例えば、水分が含まれたパーフルオロスルホン酸の薄膜等のフッ素系電解質膜、及び、炭化水素系電解質膜等が挙げられる。電解質膜としては、例えば、ナフィオン膜(デュポン社製)等であってもよい。
【0049】
単セルは、必要に応じて膜電極ガス拡散層接合体の両面を挟持する2枚のセパレータを備えてもよい。2枚のセパレータは、一方がアノード側セパレータであり、もう一方がカソード側セパレータである。本開示では、アノード側セパレータとカソード側セパレータとをまとめてセパレータという。
セパレータは、反応ガス及び冷媒等を単セルの積層方向に流通させるための供給孔及び排出孔を有していてもよい。冷媒としては、低温時の凍結を防止するために例えばエチレングリコールと水との混合溶液を用いることができる。
本開示においては、燃料ガス、及び、酸化剤ガスをまとめて反応ガスと称する。アノードに供給される反応ガスは、燃料ガスであり、カソードに供給される反応ガスは酸化剤ガスである。燃料ガスは、主に水素を含有するガスであり、水素であってもよい。酸化剤ガスは酸素、空気、及び、乾燥空気等であってもよい。
セパレータは、ガス拡散層に接する面に反応ガス流路を有していてもよい。また、セパレータは、ガス拡散層に接する面とは反対側の面に燃料電池の温度を一定に保つための冷媒流路を有していてもよい。
セパレータは、ガス不透過の導電性部材等であってもよい。導電性部材としては、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン、及び、プレス成形した金属(例えば、鉄、アルミニウム、及び、ステンレス等)板等であってもよい。また、セパレータが集電機能を備えるものであってもよい。
【実施例0050】
以下、実施例及び比較例を用いて本開示をより詳細に説明するが、本開示の技術的範囲はこれに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例は特許請求の範囲に包含されるか否かによって区別されるものではない。特に良好な結果が得られた実施形態を実施例とし、それ以外の実施形態を比較例とした。
【0051】
(実施例1)
メソポーラスシリカを準備し、当該メソポーラスシリカを鋳型としてカーボン担体を製造した。
メソポーラスシリカは、得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が168.4ml/gとなるものを鋳型として用いた。シリカの細孔の窒素吸着相対圧が0.8のときの吸着量と0.4のときの吸着量との差からシリカの3次元細孔構造の細孔容積を算出し、当該細孔容積からカーボン担体のカーボン壁含有量を導出した。
【0052】
(実施例2)
得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が166.6ml/gとなるメソポーラスシリカを鋳型として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で実施例2のカーボン担体を得た。
【0053】
(実施例3)
得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が61.5ml/gとなるメソポーラスシリカを鋳型として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で実施例3のカーボン担体を得た。
【0054】
(比較例1)
得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が42.5ml/gとなるメソポーラスシリカを鋳型として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で比較例1のカーボン担体を得た。
【0055】
(比較例2)
得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が40.6ml/gとなるメソポーラスシリカを鋳型として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で比較例2のカーボン担体を得た。
【0056】
(比較例3)
得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が190.8ml/gとなるメソポーラスシリカを鋳型として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で比較例3のカーボン担体を得た。
【0057】
(比較例4)
得られるカーボン担体のカーボン壁の厚さが3.3nm以上11.2nm以下の範囲内であり、カーボン壁含有量が60.3ml/gとなるメソポーラスシリカを鋳型として用いたこと以外は実施例1と同様の方法で比較例4のカーボン担体を得た。
【0058】
[3D-TEM観察]
得られた、実施例1~3、比較例1~4の各カーボン担体について、3D-TEMにより観察を行い、各カーボン担体のカーボン担体率(%)、カーボン担体の細孔内のくびれ部の平均直径(nm)を測定した。これらの測定結果を表1に示す。
図1は、実施例1のカーボン担体の(1)平面TEM画像と(2)三次元再構成画像である。
図2は、比較例1のカーボン担体の(1)平面TEM画像と(2)三次元再構成画像である。
図1及び表1に示すように、実施例1のカーボン担体は、カーボン壁の含有量が適当であり、且つ、カーボン担体率が適当であり、且つ、カーボン担体の細孔内のくびれ部の平均直径が適当である。
図2及び表1に示すように、比較例1のカーボン担体は、カーボン壁の含有量が少なく、且つ、カーボン担体率が低く、且つ、カーボン担体の細孔内のくびれ部の平均直径が大き過ぎる。
【0059】
[燃料電池用触媒の作成]
得られた、実施例1~3、比較例1~4の各カーボン担体に金属触媒として白金-コバルト合金を担持し、燃料電池用触媒として白金-コバルト合金担持カーボン担体を得た。
【0060】
[燃料電池用触媒の質量活性]
実施例1~3、比較例1~4の各燃料電池用触媒について、回転ディスク電極(RDE)法にて、白金1g当たりの質量活性(A/g-Pt)を評価した。
具体的には、燃料電池用触媒を超純水、アルコール、及びナフィオン(登録商標)を含む混合溶媒中に分散させ、触媒インクを作製した。この触媒インクをグラッシーカーボン(GC)電極上に塗布し、乾燥させ、評価用電極を得た。RDE法のセルは三極式とし、電解液には0.1M過塩素酸水溶液を用いた。参照極には可逆水素電極(RHE)を用い、対極にはPt黒メッシュを用いた。酸素還元反応(ORR)の質量活性(MA)は、リニアスイープボルタモグラム(LSV)の測定結果から求めた。この測定結果を表1に示す。
【0061】
<単セルの製造>
実施例1~3、比較例1~4の各燃料電池用触媒を有機溶媒に分散させた。得られた分散液をテフロン(登録商標)シートに塗布して電極を形成した。電極を2つ形成し、電解質膜を2つの電極で挟持しホットプレスによって貼り合わせ膜電極接合体を得た。膜電極接合体を2つの拡散層で挟持し、単セルを得た。
【0062】
<効率点性能の評価>
実施例1~3、比較例1~4の各単セルの温度を80℃に設定し、各単セルの2つの電極の相対湿度を85%とし、スモール単セル評価装置システム(株式会社東陽テクニカ製)を用いて、各単セルのIV測定を行った。
IV測定については、0.01A/cm2~4.0A/cm2の範囲で任意に電流を制御した。0.2A/cm2時の電圧値を効率点電圧と定義し、測定した。この測定結果を表1に示す。
【0063】
【0064】
実施例1~3のカーボン担体を用いた燃料電池用触媒は、比較例1~4のカーボン担体を用いた燃料電池用触媒よりも質量活性が高い。
実施例1~3のカーボン担体を用いた燃料電池用触媒を用いた単セルは、比較例1~4のカーボン担体を用いた燃料電池用触媒を用いた単セルよりも効率点電圧が高い。
これは、実施例1~3のカーボン担体を用いることにより、金属触媒を均一に担持でき、これにより発電性能、特に効率点性能が向上するためである。