(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161092
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ケーブルドラム
(51)【国際特許分類】
B65H 75/22 20060101AFI20231030BHJP
B65H 75/14 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B65H75/22
B65H75/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071244
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 孝明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慶吾
【テーマコード(参考)】
3F058
【Fターム(参考)】
3F058AA03
3F058AA04
3F058AB03
3F058AC07
3F058BB11
3F058BB12
3F058CA00
3F058CA01
3F058DA05
3F058DB03
3F058DB05
3F058DC01
3F058JA04
3F058KA01
3F058KA04
(57)【要約】
【課題】利便性を向上することができるケーブルドラムを提供することを目的とする。
【解決手段】ケーブルドラム1は、軸方向Xに沿って間隔をあけて対向して位置し、当該軸方向Xに沿う中心軸線X1を中心とした円板状に形成される一対の鍔部100と、一対の鍔部100の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成され、中心軸線X1を回転中心として、一対の鍔部100に対して相対回転可能な回転胴200とを備え、一対の鍔部100は、軸方向Xに対して回転胴200を挟んで位置する鍔部本体110と、当該鍔部本体110に対して着脱可能な分割部材120とをそれぞれ有する。また、鍔部本体110は、前分割部材120の着脱部位に形成される設置部112を有し、一対の鍔部100は、設置面Pに設置される際に、分割部材120が外された状態で設置部112を介して自立可能となることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って間隔をあけて対向して位置し、当該第1方向に沿う中心軸線を中心とした円板状に形成される一対の鍔部と、
前記一対の鍔部の間に位置し、前記中心軸線を中心とした円筒状に形成され、前記中心軸線を回転中心として、前記一対の鍔部に対して相対回転可能な回転胴とを備え、
前記一対の鍔部は、前記第1方向に対して前記回転胴を挟んで位置する鍔部本体と、当該鍔部本体に対して着脱可能な分割部材とをそれぞれ有し、
前記鍔部本体は、前記分割部材の着脱部位に形成される設置部を有し、
前記一対の鍔部は、設置面に設置される際に、前記分割部材が外された状態で前記設置部を介して自立可能となることを特徴とする、
ケーブルドラム。
【請求項2】
前記鍔部は、
前記鍔部本体に対して前記分割部材を嵌合可能な嵌合機構と、
前記鍔部本体に前記分割部材を嵌め合わせた状態で、当該分割部材の位置をロック可能なロック機構とを有する、
請求項1に記載のケーブルドラム。
【請求項3】
前記一対の鍔部の間に位置し、前記中心軸線を中心とした円筒状に形成され、前記一対の鍔部本体に固定される固定胴と、
前記固定胴と前記回転胴との間に介在し、前記固定胴の外面に対して前記回転胴の内面を回転支持するベアリングとを備える、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【請求項4】
前記一対の鍔部の間に位置し、前記中心軸線を中心とした円筒状に形成され、前記一対の鍔部本体に固定される固定胴とを備え、
前記固定胴の外面、又は、当該外面と向かい合う前記回転胴の内面の少なくともいずれか一方は、他方に向けて突出した摺動突起部を有し、
前記摺動突起部は、前記他方に対して摺動することで、前記固定胴の外面に対して前記回転胴の内面を回転支持する、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【請求項5】
前記一対の鍔部の間に位置し、前記中心軸線を中心として周方向に沿って間隔をあけて配置され、前記一対の鍔部本体に固定され、前記回転胴の内面を回転支持する複数のローラーを備える、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【請求項6】
前記一対の鍔部に対する前記回転胴の回転角度を固定可能な角度固定機構を備える、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【請求項7】
前記一対の鍔部に対する前記回転胴の回転角度を調整可能な角度調整機構を備える、
請求項1または2に記載のケーブルドラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルドラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電線やケーブルを巻き付け可能な略筒状の胴部と、当該胴部の軸方向における両端部にそれぞれ設けられた一対の端板とを備えたケーブルドラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のように、胴部と一対の端板(鍔部)が一体に成形されたケーブルドラムは、胴部を回転させると鍔部も回転する。そのため、電線やケーブルを巻き取る、または、引き出す際には、ケーブルドラムを持ち上げた状態で回転させる必要があり、載置台や駆動装置などの専用の設備が必要になる等、利便性の点で更なる改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、利便性を向上させることができるケーブルドラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るケーブルドラムは、第1方向に沿って間隔をあけて対向して位置し、当該第1方向に沿う中心軸線を中心とした円板状に形成される一対の鍔部と、前記一対の鍔部の間に位置し、前記中心軸線を中心とした円筒状に形成され、前記中心軸線を回転中心として、前記一対の鍔部に対して相対回転可能な回転胴とを備え、前記一対の鍔部は、前記第1方向に対して前記回転胴を挟んで位置する鍔部本体と、当該鍔部本体に対して着脱可能な分割部材とをそれぞれ有し、前記鍔部本体は、前記分割部材の着脱部位に形成される設置部を有し、前記一対の鍔部は、設置面に設置される際に、前記分割部材が外された状態で前記設置部を介して自立可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るケーブルドラムは、利便性を向上することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す斜視図であり、鍔部本体から分割部材を取り外した状態を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す斜視図であり、回転胴と、当該回転胴を回転支持する固定胴の説明をするための図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す断面斜視図であり、回転胴と、当該回転胴を回転支持する固定胴の説明をするための図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す斜視図であり、鍔部に対する回転胴の回転を固定可能、または、調整可能な機構の説明をするための図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す断面斜視図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す断面斜視図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るケーブルドラムの概略構成を表す断面斜視図であり、回転胴と、当該回転胴を回転支持する複数のローラーの説明をするための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
なお、
図2、
図7に示すケーブルドラムは、説明の便宜上、一対の鍔部のうち、片方の鍔部を取り外した状態で図示している。
【0011】
[第1実施形態]
図1~
図4に示す本実施形態に係るケーブルドラム1は、各装置間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる配索材Wを運搬し、所定の場所まで配索できるようにしたものである。
【0012】
配索材Wは、例えば、導電性を有する複数の金属素線を束ねた芯線を絶縁被覆部によって被覆した絶縁電線である。配索材Wは、複数の絶縁電線を束ねたものであってもよい。
【0013】
ケーブルドラム1は、一対の鍔部100と、回転胴200と、回転支持部300とを備える。また、一対の鍔部100は、回転胴200を挟んで位置する鍔部本体110と、当該鍔部本体110に対して着脱可能な分割部材120とをそれぞれ有する。ケーブルドラム1は、必要に応じて、回転胴200を回転させることにより、当該回転胴200に配索材Wを巻き付けたり、当該回転胴20から配索材Wを引き出したりすることができるものである。
【0014】
本実施形態のケーブルドラム1は、回転胴200が一対の鍔部100に対して相対回転可能であり、かつ、鍔部100から分割部材120が取り外されることによって、一対の鍔部本体110が設置面Pに対して自立可能となるものである。すなわち、ケーブルドラム1は、設置面Pに対して一対の鍔部100を固定した状態で、回転胴200を回転させることができ、これらの構成により、利便性の向上を図ることができるものである。以下、
図1~
図4を参照して、ケーブルドラム1の各構成について詳細に説明する。
【0015】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「軸方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。軸方向Xと幅方向Yと高さ方向Zとは、相互に直交する。軸方向Xは、典型的には、回転胴200の中心軸線X1に沿う方向等に相当し、高さ方向Zは、典型的には、ケーブルドラム1が設置される設置面Pに対する鉛直方向等に相当する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りのない限り、ケーブルドラム1が設置面Pに設置された状態での方向として説明する。
【0016】
[鍔部]
一対の鍔部100は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料、金属材料等によって形成され、回転胴200を挟持することで、当該回転胴200の外周面に巻回される配索材Wをガイドすることができる部分である。
図1に示すように、鍔部100は、軸方向Xが板厚方向である側板であり、当該軸方向Xに沿って間隔をあけて対向して位置し、中心軸線X1を中心とした円板状に形成される。
【0017】
鍔部本体110は、鍔部100の大部分を形成するとともに、軸方向Xに対して回転胴200を挟んで位置する部分である。
図1に示すように、鍔部本体110は、鍔部100の外周100gの一部である円弧部111と、設置部112とで構成され、当該設置部112は、幅方向Yに沿って形成される平面部を有している。そのため、鍔部本体110は、設置部112を設置面Pに接地させることで、円弧部111が設置面P上を回転して移動することを防ぎ、当該設置面Pに対して固定された状態、すなわち、自立した状態で設置される。
【0018】
一方で、分割部材120は、
図1に示すように、鍔部100の一部分を形成するとともに、鍔部本体110の設置部112に対して着脱可能に構成される部分である。分割部材120は、円弧部121と、取付部122とで構成され、当該取付部122は、幅方向Yに沿う平面部を有している。円弧部121は、分割部材120が鍔部本体110に取り付けられると、鍔部100の外周100gの一部となる。一方で、分割部材120が鍔部本体110に取り付けられると、取付部122は、設置部112と向かい合うように配置される。
【0019】
なお、鍔部100は、
図1に示すように、鍔部本体110に対して分割部材120を嵌合可能な嵌合機構400と、鍔部本体110に分割部材120を嵌め合わせた状態で、当該分割部120の位置をロック可能なロック機構500とを有している。鍔部本体110は、これらの機構によって分割部材120を所定の位置で係止することができる。
【0020】
より具体的には、嵌合機構400は、鍔部本体110に形成される複数の凹部410と、分割部材120に形成される複数の突起部420を含んで構成されている。凹部410は、設置部112から分割部材120の着脱方向に相当する高さ方向Zに沿って形成される凹部である。一方で、突起部420は、取付部122から高さ方向Zに沿って形成される凸部である。そのため、鍔部100は、各収容部410に突起部420がそれぞれ収容されることで、鍔部本体110に対して分割部材120を嵌め合わせることができる。なお、鍔部100は、上述したように円板状の部材であり、鍔部本体110に対して分割部材120が嵌め合わされた状態で、全体として円板状となる。
【0021】
ロック機構500は、鍔部本体110に形成される係止部510と、分割部材120に形成される被係止部520を含んで構成されている。係止部510は、設置部112から高さ方向Zに沿って形成される溝部であり、鍔部本体110の軸方向X外方に位置する側面に形成されている。一方で、被係止部520は、取付部122から高さ方向Zに沿って形成されるアーム部であり、その先端には爪部が形成されている。そのため、鍔部100は、係止部510に、被係止部520の爪部が引っ掛かることで、鍔部本体110に対する分割部材120の位置をロックすることができる。
【0022】
[回転胴]
回転胴200は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料、金属材料等によって形成され、その外周面に配索材Wは巻回される部分である。
図2に示すように、回転胴200は、回転胴本体210と、接続部220とを含んで構成されている。回転胴本体210は、一対の鍔部本体110の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成される。一方で、接続部220は、軸方向Xが板厚方向である側板であり、回転胴本体210の軸方向Xにおいて両端部にそれぞれ設けられ、回転胴200の外面側から中心軸線X1が位置する中心側に向かって形成される。回転胴200は、接続部220が回転支持部300に支持されている状態で、回転胴本体210を回転させることにより、一対の鍔部100に対して回転胴200を相対回転させることができる。
【0023】
[回転支持部]
回転支持部300は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料、金属材料等によって形成され、回転胴200の内面側に位置し、当該回転胴200に接するように位置することで、回転胴200を回転支持することができる部分である。
図2に示すように、回転支持部300は、固定胴310と、ベアリング320とを含んで構成されている。固定胴310は、一対の鍔部本体110の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成され、一対の鍔部本体110に対して固定されることにより、回転胴200の軸として機能する。一方で、ベアリング320は、固定胴310の軸方向Xにおいて両端部にそれぞれ設けられ、固定胴310と回転胴200との間に介在することにより、回転胴200の軸受として機能する。ベアリング320は、その内面側が固定胴310に接し、その外面側が回転胴200の接続部220に接している状態で、中心軸線X1を中心として回転することにより、固定胴310を軸として回転胴200を回転させることができる。なお、ベアリング320の種類は特に限定されず、例えば、玉軸受、ころ軸受、滑り軸受等から適宜選択することができる。
【0024】
[角度固定機構、角度調整機構]
また、ケーブルドラム1は、
図3、
図4に示すように、一対の鍔部100に対する回転胴200の回転角度を固定可能な角度固定機構600と、当該回転角度を調整可能な角度調整機構700とを有している。ケーブルドラム1は、これらの機構により、回転胴200を所定の角度まで回転させ、配索材Wの引き出し量(または、巻き取り量)を調整することができる。
【0025】
より具体的には、角度固定機構600は、鍔部本体110に形成される複数の鍔部側挿通孔610と、回転胴200に形成される複数の胴部側挿通孔620と、固定部材630とを含んで構成されている。鍔部側挿通孔610、胴部側挿通孔620の各々は、軸方向Xに沿って開口する孔部であり、中心軸線X1を中心として周方向に規則的に設けられている。また、鍔部側挿通孔610、胴部側挿通孔620の各々は、同心円上に形成され、鍔部100に対して回転胴200を回転させることにより、一の鍔部側挿通孔610に対して、一の胴部側挿通孔620を連通させることができる。一方で、固定部材630は、連通した鍔部側挿通孔610と胴部側挿通孔620に挿入可能なピンであり、各挿通孔に挿入可能な挿入部分631と、当該挿入部分631に端部に形成され、各挿通孔に挿入不可能な取手部分632とを有している。
【0026】
鍔部側挿通孔610、胴部側挿通孔620の大きさは、固定部材630の挿入部分631の外形と略同一な大きさに設定されている。そのため、固定部材630は、挿入部分631が鍔部側挿通孔610に挿入されると、鍔部本体110に対する固定部材630に対する位置を固定することができる。そして、当該挿入部分631が鍔部側挿通孔610を介して胴部側挿通孔620に挿入されると、鍔部本体110に対する回転胴200の位置を固定することができる。
【0027】
角度調整機構700は、鍔部本体110に形成される複数のスリット710と、上述した固定部材630とを含んで構成されている。スリット710の各々は、軸方向Xに沿って開口する開口部であり、中心軸線X1を中心として周方向に規則的に設けられている。また、スリット710は、
図4に示すように、各鍔部側挿通孔610が位置する中心軸線X1を中心とした円に沿って形成され、その円周上において各鍔部側挿通孔610に挟まれるように位置する。
【0028】
スリット710の幅は、定部材630の挿入部分631の幅(すなわち、直径)と略同一な大きさに設定され、鍔部100に対して回転胴200を回転させることで、スリット710の開口部分から胴部側挿通孔620の各々を外部に向けて露出させることができる。そのため、固定部材630の挿入部分631がスリット710を介して胴部側挿通孔620に挿入され、かつ、鍔部本体110の外面側に突出して位置する固定部材630の取手部分632が把持された状態で、当該固定部材630がスリット710に沿って移動することにより、回転胴200が操作され、鍔部本体110に対して回転胴200を相対回転させることができる。
【0029】
次に、ケーブルドラム1の動作を説明する。
【0030】
まず、作業者は、ケーブルドラム1を準備する。そして、作業者は、必要に応じて、ケーブルドラム1を所定の場所まで移動させる。このとき、ケーブルドラム1の鍔部100は、嵌合機構400、及び、ロック機構500を介して、鍔部本体110に分割部材120が嵌め合わされた状態であり、全体として円形状である。そのため、作業者は、鍔部100の形状を利用してケーブルドラム1を転がすことができ、所望の位置までケーブルドラム1を移動させることができる。
【0031】
そして、作業者は、
図1に示すように、各鍔部本体110から分割部材120を取り外し、分割部材120の着脱部位に形成されている各設置部112を設置面Pに接地させる。このとき、ケーブルドラム1は、一対の鍔部本体110が固定胴310に支持されることで、鍔部本体110の各々が軸方向Xに倒れることを防止することができる。また、ケーブルドラム1は、設置部112が固定胴310の軸方向Xと交差する方向に沿って形成されることで、各鍔部本体110の円弧部111が設置面P上を回転して移動することを防止することができる。そのため、作業者は、ケーブルドラム1を設置面Pに対して固定させ、自立した状態で設置することができる。
【0032】
そして、作業者は、ケーブルドラム1の各部を操作することで、回転胴200に巻回された配索材Wを引き出す(または、当該回転胴200に配索材Wを巻き付ける)。このとき、ケーブルドラム1は、設置面Pに一対の鍔部本体110を設置した状態で、回転胴200を回転させることができる。そのため、作業者は、一対の鍔部本体110に対して回転胴200を回転させるために、ケーブルドラム1を持ち上げたり、専用設備を用意したりする必要がなく、より簡易な方法で作業を実施することができる。
【0033】
そして、作業者は、必要に応じて、角度調整機構700を用いて一対の鍔部本体110に対する回転胴200の回転角度を調整する。このとき、ケーブルドラム1は、一対の鍔部本体110に対して回転胴200を回転させることにより、鍔部本体110のスリット710の開口部分から回転胴200の胴部側挿通孔620を露出させることができる。そのため、作業者は、スリット710を介して胴部側挿通孔620に固定部材630の挿入部分631を挿入することができる。そして、作業者は、鍔部本体110の外面側に突出して位置する固定部材630の取手部分632を把持した状態で、当該固定部材630をスリット710に沿って移動させることにより、鍔部本体110に対して回転胴200を相対回転させることができる。そのため、作業者は、固定部材630の取手部分632を把持して操作することにより、配索材Wを巻き取ったり、配索材Wを引き出したりすることができる。
【0034】
そして、作業者は、必要に応じて、角度固定機構600を用いて一対の鍔部本体110に対する回転胴200の回転角度を固定する。このとき、ケーブルドラム1は、一対の鍔部本体110に対して回転胴200を回転させることにより、鍔部側挿通孔610と胴部側挿通孔620を連通させることができる。そのため、作業者は、連通した鍔部側挿通孔610と胴部側挿通孔620に固定部材630の挿入部分631を挿入することで、鍔部本体110に対して回転胴200を固定させることができる。
【0035】
そして、作業者は、必要に応じて、嵌合機構400、及び、ロック機構500を用いて、各鍔部本体110に分割部材120を取り付ける。このとき、ケーブルドラム1は、鍔部本体110の収容部410に分割部材120の突起部420が収容されることで、鍔部本体110に対して分割部材120を嵌め合わせることができる。また、ケーブルドラム1は、鍔部本体110の係止部510に、分割部材120の被係止部520の爪部を引っ掛けることで、鍔部本体110に対する分割部材120の位置をロックすることができる。そのため、作業者は、鍔部本体110に対して分割部材120を取り付ける際に、ボルトやナットなどの固定部材を用意する必要がなく、より簡易な方法で作業を実施することができる。
【0036】
以上で説明したケーブルドラム1は、第1方向に相当する軸方向Xに沿って間隔をあけて対向して位置し、当該軸方向Xに沿う中心軸線X1を中心とした円板状に形成される一対の鍔部100と、一対の鍔部100の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成され、中心軸線X1を回転中心として、一対の鍔部100に対して相対回転可能な回転胴200とを備え、一対の鍔部100は、軸方向Xに対して回転胴200を挟んで位置する鍔部本体110と、当該鍔部本体110に対して着脱可能な分割部材120とをそれぞれ有する。また、鍔部本体110は、分割部材120の着脱部位に形成される設置部112を有し、一対の鍔部100は、設置面Pに設置される際に、分割部材120が外された状態で設置部112を介して自立可能となる。
【0037】
このような構成によれば、ケーブルドラム1は、設置面Pに対して一対の鍔部100を固定した状態で、回転胴200を回転させることができる。そのため、ケーブルドラム1は、配索材Wを巻き取る、または、配索材Wを引き出す際に、設置面Pから持ち上げられた状態で回転胴200を回転させる必要がなく、より簡易な方法で各種作業を実施することができる。したがって、ケーブルドラム1は、利便性を向上させることができる。
【0038】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1の鍔部100は、鍔部本体110に対して分割部材120を嵌合可能な嵌合機構400と、鍔部本体110に分割部材120を嵌め合わせた状態で、当該分割部材120の位置をロック可能なロック機構500とを有する。このような構成によれば、鍔部本体110は、分割部材120を所定の位置で係止することができる。そのため、ケーブルドラム1は、鍔部本体110に対して分割部材120を取り付ける際に、ボルトやナットなどの固定部材で分割部材120を固定する必要がなく、より簡易な方法で作業を実施することができる。したがって、ケーブルドラム1は、利便性を向上させることができる。
【0039】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1は、一対の鍔部100の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成され、一対の鍔部本体110に固定される固定胴310と、固定胴310と回転胴200との間に介在し、固定胴310の外面に対して回転胴200の内面を回転支持するベアリング320とを備える。このような構成によれば、ベアリング320は、回転胴200の軸受として機能し、回転胴210をよりスムーズに回転させることできる。したがって、ケーブルドラム1は、利便性を向上させることができる。
【0040】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1は、一対の鍔部100に対する回転胴200の回転角度を固定可能な角度固定機構600を備える。このような構成によれば、ケーブルドラム1は、一対の鍔部100に対して回転胴200が回転しないように、当該回転胴200を固定することができ、配索材Wの引き出し量(または、回転胴200に巻回される配索材Wの巻き取り量)を固定することができる。したがって、ケーブルドラム1は、利便性を向上させることができる。
【0041】
さらに、以上で説明したケーブルドラム1は、一対の鍔部100に対する回転胴200の回転角度を調整可能な角度調整機構700を備える。このような構成によれば、ケーブルドラム1は、一対の鍔部100に対する回転胴200の回転量を調整することができ、配索材Wの引き出し量(または、回転胴200に巻回される配索材Wの巻き取り量)を調整することができる。したがって、ケーブルドラム1は、利便性を向上させることができる。
【0042】
[第2実施形態]
次に、
図5に示す第2実施形態に係るケーブルドラム1Aについて説明する。ケーブルドラム1Aは、回転胴200A、及び、回転支持部300Aの形状の点で上記第1実施形態に係るケーブルドラム1と異なる。なお、第2実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
回転胴200Aは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料等によって形成される。
図5に示すように、回転胴200Aは、回転胴本体210Aと、当該回転胴本体210Aの内面に形成される複数の回転胴側リブ230とを含んで構成されている。回転胴本体210Aは、一対の鍔部本体110の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成される。一方で、回転胴側リブ230は、中心軸線X1を中心とする周方向に沿って連続的に形成され、軸方向Xに沿って規則的に配置されている。回転胴200Aは、回転胴側リブ230が回転支持部300Aに回転支持されている状態で、回転胴本体210Aを回転させることにより、一対の鍔部100に対して回転胴200Aを相対回転させることができる。
【0044】
回転支持部300Aは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料等によって形成され、回転胴200Aの内面側に位置している。
図5に示すように、固定胴310Aと、当該固定胴310Aを一対の鍔部100に対して固定する固定部材330と、当該固定胴310Aの外面に形成される複数の固定胴側リブ340とを含んで構成されている。固定胴310Aは、一対の鍔部本体110の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成され、固定部材330を介して一対の鍔部本体110に対して固定されることで、回転胴200Aの軸として機能する。また、固定部材330は、ボルト331やナット332であり、固定胴310Aの同心円上に配置され、当該固定胴310Aの内面と接するように位置することにより、一対の鍔部本体110に対する固定胴310Aの位置を固定することができる。一方で、固定胴側リブ340は、中心軸線X1を中心とする周方向に沿って連続的に形成され、軸方向Xに沿って規則的に配置される。また、固定胴側リブ340は、外面側が回転胴200の回転胴側リブ230に少なくとも部分的に接している状態で、中心軸線X1を中心として回転することにより、固定胴310Aを軸として回転胴200Aを回転させることができる。
【0045】
なお、ケーブルドラム1Aは、固定胴200Aの外面、又は、当該外面と向かい合う回転胴200の内面の少なくともいずれか一方に、他方の面に向けて突出する摺動突起部Rとしてのリブを有していればよい。ケーブルドラム1Aは、摺動突起部Rが他方の面に接している状態で、中心軸線X1を中心として回転し、他方に対して摺動することにより、固定胴310Aの外面に対して回転胴200Aの内面を回転支持することができる。
【0046】
このような構造によれば、一の摺動突起部Rとしての固定胴側リブ340は、他の摺動突起部Rとしての回転胴側リブ230に対して摺動することで、固定胴310Aの外面に対して回転胴200Aの内面を回転支持することができる。そのため、ケーブルドラム1Aは、回転胴200Aが回転支持部300Aによって回転支持される範囲を第1実施形態と比べて狭めることができ、回転胴210をよりスムーズに回転させることできる。したがって、ケーブルドラム1Aは、利便性を向上させることができる。
【0047】
[第3実施形態]
次に、
図6、
図7に示す第3実施形態に係るケーブルドラム1Bについて説明する。ケーブルドラム1Bは、回転胴200B、及び、回転支持部300Bの形状の点で上記第1実施形態に係るケーブルドラム1と異なる。なお、第3実施形態では、上記第1実施形態と同一の構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
回転胴200Bは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料、金属材料等によって形成される。
図5に示すように、回転胴200Bは、回転胴本体210Bを含んで構成されている。回転胴本体210Bは、一対の鍔部本体110の間に位置し、中心軸線X1を中心とした円筒状に形成される。回転胴200Bは、その内面が回転支持部300Bに支持されている状態で、回転胴本体210Bを回転させることにより、一対の鍔部100に対して回転胴200Bを相対回転させることができる。
【0049】
回転支持部300Bは、例えば、絶縁性を有する樹脂材料等によって形成され回転胴200Bの内面側に位置している。
図6、
図7に示すように、複数のローラー350を含んで構成されている。ローラー350の各々は、一対の鍔部本体110の間に位置し、中心軸線X1を中心として周方向に沿って間隔をあけて配置され、一対の鍔部本体110に固定されている。また、ローラー350の各々は、回転胴本体210Bの同心円上に配置され、回転胴200Bの内面と接する位置に形成されることで、回転胴200Bを回転支持することができる。
【0050】
このような構造によれば、ローラー350の各々が回転胴200Bの内面を回転支持することができる。そのため、ケーブルドラム1Bは、回転胴200Bが回転支持部300Bによって回転支持される範囲を第1実施形態と比べて狭めることができ、回転胴210をよりスムーズに回転させることできる。
【0051】
なお、上述した本発明の実施形態に係るケーブルドラム1、1A、1Bは、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
例えば、鍔部本体に形成される設置部の形状は、設置面と接地可能な箇所(接地部位)が断続的または連続的に設けられており、接地部位の各々が所定の距離を隔てて位置している限り、特に限定されない。例えば、設置部の形状は、軸方向Xから視てアーチ状であってもよく、設置部が設置面と複数箇所において点接触することにより、当該設置部を介して自立可能となってもよい。
【0053】
また、鍔部本体に対して着脱可能に構成される分割部材は、ボルトやナットなどの固定部材によって鍔部本体に対して固定されていてもよい。
【0054】
また、回転胴が回転支持部によって回転支持される範囲は、特に限定されない。
【0055】
また、一対の鍔部に対して回転支持部が固定される方法は、特に限定されない。
【0056】
また、回転支持部の構成は、以上で説明した形態に限定されない。
【0057】
また、ケーブルドラムは、一対の鍔部に対する回転胴の回転角度を固定可能な角度固定機構を備えていなくてもよく、当該回転角度を調整可能な角度調整機構を備えていなくてもよい。
【0058】
本実施形態に係るケーブルドラムは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1A、1B ケーブルドラム
100 鍔部
110 鍔部本体
120 分割部材
200、200A、200B 回転胴
210、210A、210B 回転胴本体
220 接続部
230 回転胴側リブ
300、300A、300B 回転支持部
310、310A 固定胴
320 ベアリング
330 固定部材
340 固定胴側リブ
350 ローラー
400 嵌合機構
500 ロック機構
600 回転角度固定機構
700 回転角度調整機構
P 設置面
R 摺動突起部
W 配索材
X 軸方向(第1方向)
X1 中心軸線
Y 幅方向
Z 高さ方向