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  • 特開-光学測定機構 図1
  • 特開-光学測定機構 図2
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  • 特開-光学測定機構 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161100
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】光学測定機構
(51)【国際特許分類】
   G01J 4/04 20060101AFI20231030BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20231030BHJP
   G01J 1/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G01J4/04 Z
G01J1/02 S
G01J1/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071253
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】井上 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
(72)【発明者】
【氏名】松本 弘
【テーマコード(参考)】
2G065
【Fターム(参考)】
2G065AA03
2G065AA11
2G065AB10
2G065AB27
2G065AB28
2G065BB32
2G065BB44
2G065BB49
2G065DA05
(57)【要約】
【課題】ひとつの照度測定子および検光子で照度および消光比を簡便に測定することのできる光学測定機構を提供する。
【解決手段】光学測定機構10を、光源102から放射された光Lの照度を測定するための照度測定子20と、光Lの消光比を測定する際に光源102と照度測定子20との間に配置される検光子40と、検光子40を照度測定子20に対して回動させる検光子回動装置44と、検光子40に対する照度測定子20の位置を相対的に移動させる相対移動装置24とで構成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から放射された光の照度を測定するための照度測定子と、
前記光の消光比を測定する際に前記光源と前記照度測定子との間に配置される検光子と、
前記検光子を前記照度測定子に対して回動させる検光子回動装置と、
前記検光子に対する前記照度測定子の位置を相対的に移動させる相対移動装置とを備える
光学測定機構。
【請求項2】
前記光の照射方向に対する前記照度測定子の角度を調整する照度測定子回転装置を更に備えている
請求項1に記載の光学測定機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶パネルを製造する際の露光に用いられる配向膜露光装置に使用される光学測定機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、例えば液晶パネルを製造する際の露光に用いられる配向膜露光装置では、ワークが載置される照射面の各ポイントにおいて、照度や消光比等の測定が行われている(消光比測定器の一例として、特許文献1がある)。
【0003】
照度を測定する際には照度測定子が使用される。また、例えば消光比を測定する際には、この照度測定子における光源に向かう面側に検光子(基準偏光素子)を配置する。
【0004】
消光比の測定について具体的に説明すると、最初の測定では露光時に使用される偏光素子による偏光方向に平行な方向に向けた状態となるように検光子を設定し、この状態の検光子を透過して照度測定子で受けた光の照度をp波強度とする。然る後、p波強度を測定した状態から検光子を90°回転させた状態(この場合、検光子の偏光軸方向は、偏光素子による偏光方向に直交する状態となる)の検光子を透過して照度測定子で受けた光の照度をs波強度とする。
【0005】
そして、このようにして得られたp波強度の値をs波強度の値で除することにより、消光比が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-218098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、照射面の各ポイントにおいて照度および消光比を測定しようとすると、照度測定子に対する検光子の付け外しが必要となる。そのため、例えば、照射面におけるひとつのポイントで照度を測定した後、照度測定子を原点までも戻して検光子を取り付けたうえで、再び同じポイントまで移動をさせて消光比を測定するといった面倒な手順が必要であった。
【0008】
あるいは、照度を測定するための照度測定子と、消光比を測定するための別個の照度測定子および検光子とを準備しておくことで、消光比を測定する際の検光子の付け外しを不要するというアイデアもあるが、この場合、高価な照度測定子を2セット用意する必要があることから不経済であった(照度測定子の校正等の手間も2倍になる)。
【0009】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ひとつの照度測定子および検光子で照度および消光比を簡便に測定することのできる光学測定機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面によれば、
光源から放射された光の照度を測定するための照度測定子と、
前記光の消光比を測定する際に前記光源と前記照度測定子との間に配置される検光子と、
前記検光子を前記照度測定子に対して回動させる検光子回動装置と、
前記検光子に対する前記照度測定子の位置を相対的に移動させる相対移動装置とを備える
光学測定機構が提供される。
【0011】
好適には、
前記光の照射方向に対する前記照度測定子の角度を調整する照度測定子回転装置を更に備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る光学測定機構によれば、検光子に対する照度測定子の位置を相対的に移動させる相対移動装置を備えているので、照度測定子が光源からの光の照度を測定するときは、照度測定子を検光子から離間させて、当該照度測定子が光を直接受けられるように設定し、消光比を測定するときは、光源と照度測定子との間に検光子を位置させることができる。
【0013】
これにより、ひとつの照度測定子および検光子で照度および消光比を簡便に測定することのできる光学測定機構を提供できた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明が適用された光学測定機構10を備える配向膜露光装置100を示す図である。
図2】本発明が適用された実施形態に係る光学測定機構10(照度測定子20と検光子40とが離間した状態)を示す図である。
図3】本発明が適用された実施形態に係る光学測定機構10(照度測定子20が検光子40の直下に位置する状態)を示す図である。
図4】主に照度測定子モジュール12および検光子モジュール14を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(光学測定機構10の構成)
本発明が適用された実施形態に係る光学測定機構10は、主に液晶パネルを製造する際の露光に用いられる配向膜露光装置100に使用される。配向膜露光装置100について簡単に説明する。配向膜露光装置100は、図1に示すように、大略、光源102と、ワーク搬送装置104と、光学測定機構10とを備えている。
【0016】
光源102は、ワークXに対して所定の角度で所定の波長の光Lを放射する部材であり、本実施形態では、光源素子110と、偏光素子112と、フィルタ114とで構成されている。
【0017】
光源素子110は、光Lを放射する部材であり、例えば、LEDやレーザーダイオード、放電灯や白熱灯等が考えられる。
【0018】
偏光素子112は、光源素子110から放射された光Lを偏光するための部材であり、例えば、ワイヤーグリッド偏光子等が考えられる。
【0019】
フィルタ114は、必要に応じて設けられる部材であり、例えば、所定の波長よりも長い波長の光Lをカットしたり、逆に、所定の波長よりも短い波長の光Lをカットしたりするものが考えられる。
【0020】
ワーク搬送装置104は、配向膜露光装置100で露光されるワークXが載置され、当該ワークXを所定の方向に搬送するための装置であり、光源102からの光Lが照射される照射面Aに対してワークXを的確な位置に移動させることができるように、ワークXを長手方向(スキャン方向)に移動させる第1搬送装置116と、幅方向に移動させる第2搬送装置118とを備えている。
【0021】
次に、光学測定機構10は、図2および図3に示すように、大略、照度測定子モジュール12と、検光子モジュール14と、全体移動装置16とを備えている。
【0022】
照度測定子モジュール12は、照度測定子20と、照度測定子支持機構22と、相対移動装置24と、照度測定子回転装置60とを備えている。
【0023】
照度測定子20は、光源102から放射された光Lの照度を測定する素子であり、光Lを受ける受光面26を有している。
【0024】
照度測定子支持機構22は、照度測定子20を所定の位置で支持するための機構であり、本実施形態では、支持アーム28と、支持ベース30とで構成されている。
【0025】
支持アーム28は、その一端が支持ベース30に取り付けられており、他端に照度測定子20が取り付けられている。
【0026】
支持ベース30は、その下端が相対移動装置24に対して一方向に移動可能に取り付けられている。
【0027】
相対移動装置24は、照度測定子支持機構22を一方向に移動させることにより、後述する検光子40に対する照度測定子20の位置を移動させる役割を有している。本実施形態では、相対移動装置24により、照度測定子20は、検光子40の直下に対応する位置(図3)と、検光子40から完全に離間した位置(図2)との間を移動できるようになっている。
【0028】
また、相対移動装置24は、全体移動装置16の上に載置されている。
【0029】
なお、相対移動装置24には、例えばエアスライドテーブルが使用されるが、これに限定されるものではなく、例えば電動のスライドテーブルでもよい。
【0030】
照度測定子回転装置60は、支持ベース30と支持アーム28との間に配置されており、照度測定子20から水平方向に延びる軸を中心として当該照度測定子20および支持アーム28を回転させる役割を有する装置である。
【0031】
照度測定子回転装置60により、光源102(光Lの照射方向)に対する照度測定子20の角度を調整できるようになるので、光源102から照射面Aに照射される光Lの光軸CLが照射面Aに対して直角ではない場合において、照度測定子20を当該光軸CLに対して直角に向けることができるので、正しい照度を測定できる点で好適である。
【0032】
検光子モジュール14は、検光子40と、検光子ホルダ42と、検光子回動装置44とを備えている。
【0033】
図4に示すように、検光子40は、光Lの消光比を測定する際に光源102と照度測定子20との間に配置される部材である。また、検光子40は予め偏光方向が明確になっており、例えば、当該検光子40の周縁に偏光方向を示すケガキ線Kが形成されている。
【0034】
検光子ホルダ42は、検光子40を保持するための部材であり、本実施形態では、中央部に検光子40が嵌め込まれる検光子嵌込孔46が形成された円板状の保持部材48と、この保持部材48に対して略平行に配置された同じく円板状のベース部材50と、保持部材48とベース部材50との間に架設され、保持部材48とベース部材50との間に照度測定子20が収容される収容空間52を形成する3本の架設部材54とで構成されている。
【0035】
3本の架設部材54は、円板状の保持部材48およびベース部材50の周縁において、保持部材48およびベース部材50の中心から見て90°間隔で取り付けられている。これにより、架設部材54が存在しない領域が略180°分あるので、照度測定子20はこの領域から収容空間52に出入りすることができる。
【0036】
検光子回動装置44は、検光子40を照度測定子20に対して回動させる役割を有する装置であり、本実施形態では、検光子ホルダ42のベース部材50が検光子回動装置44に取り付けられている。
【0037】
検光子回動装置44は、検光子40の中心位置を中心として回動させるようにして、ベース部材50を回動させるようになっている。これにより、検光子ホルダ42の収容空間52に照度測定子20が収容された状態で、検光子40を90°回動させることができるので、上述したように、検光子40を透過して照度測定子20で受けた光Lのp波強度およびs波強度を測定できる。
【0038】
また、検光子回動装置44は、全体移動装置16の上に載置されている。
【0039】
図2および図3に戻り、全体移動装置16は、配向膜露光装置100の第1搬送装置116上に配置されており、当該第1搬送装置116上を長手方向(スキャン方向)に移動できるようになっている。また、全体移動装置16は、載置されている相対移動装置24および検光子回動装置44を長手方向(スキャン方向)に直交する方向に移動させるようになっている。これにより、照度測定子20および検光子40を照射面Aのすべてのポイントに移動させることができる。
【0040】
なお、全体移動装置16には、例えば電動アクチュエータが使用されるが、これに限定されるものではない。
【0041】
(光学測定機構10の特徴)
本実施形態に係る光学測定機構10によれば、照射面Aの特定のポイントにおける照度を測定したい場合は、照度測定子20が検光子ホルダ42の収容空間52から離脱した状態となるように相対移動装置24によって照度測定子支持機構22および照度測定子20が移動され、かつ、全体移動装置16および第1搬送装置116によって当該ポイントに照度測定子20が配置される。この状態で、当該ポイントにおける照度が測定できる。
【0042】
また、照射面Aの特定のポイントにおける消光比を測定したい場合は、照度測定子20が検光子ホルダ42の収容空間52に収容された状態となるように相対移動装置24によって照度測定子支持機構22および照度測定子20が移動され、かつ、全体移動装置16および第1搬送装置116によって当該ポイントに照度測定子20および検光子40が配置される。この状態で、当該ポイントにおける消光比が測定できる。
【0043】
このように、本実施形態に係る光学測定機構10によれば、検光子40に対する照度測定子20の位置を相対的に移動させる相対移動装置24を備えているので、照度測定子20が光源102からの光Lの照度を測定するときは、照度測定子20を検光子40から離間させて、当該照度測定子20が光Lを直接受けられるように設定し、消光比を測定するときは、光源102と照度測定子20との間に検光子40を位置させることができる。
【0044】
これにより、ひとつの照度測定子20および検光子40で照度および消光比を簡便に測定することのできる光学測定機構10を提供できる。
【0045】
(変形例1)
上述した実施形態では、相対移動装置24が照度測定子モジュール12に含まれており、照度測定子20を移動させるようになっていたが、これに変えて、相対移動装置24を検光子モジュール14に組み入れて、検光子40、検光子ホルダ42、および検光子回動装置44を移動させるようにしてもよい。
【0046】
この場合、照度を測定する場合は、相対移動装置24によって検光子40や検光子ホルダ42が移動して照度測定子20が検光子ホルダ42の収容空間52から離脱した状態とする。また、消光比を測定する場合は、相対移動装置24によって検光子40や検光子ホルダ42が移動して照度測定子20が検光子ホルダ42の収容空間52に収容された状態とする。
【0047】
(変形例2)
また、上述した実施形態では、照度測定子回転装置60が支持ベース30と支持アーム28との間に配置されていたが、これに限定されることなく、照度測定子回転装置60が照度測定子支持機構22全体を回動させるようにしてもよい。また、光学測定機構10から照度測定子回転装置60を省略してもよい。
【0048】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0049】
10…光学測定機構、12…照度測定子モジュール、14…検光子モジュール、16…全体移動装置
20…照度測定子、22…照度測定子支持機構、24…相対移動装置、26…受光面、28…支持アーム、30…支持ベース
40…検光子、42…検光子ホルダ、44…検光子回動装置、46…検光子嵌込孔、48…保持部材、50…ベース部材、52…収容空間、54…架設部材
60…照度測定子回転装置
100…配向膜露光装置、102…光源、104…ワーク搬送装置
110…光源素子、112…偏光素子、114…フィルタ、116…第1搬送装置、118…第2搬送装置
A…照射面、L…光、X…ワーク、CL…光軸、K…ケガキ線
図1
図2
図3
図4