(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161104
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071257
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】ワタリ エイリ
(72)【発明者】
【氏名】桧作 雅史
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353GG01
5E353HH30
5E353JJ14
5E353JJ21
5E353JJ45
5E353JJ48
5E353QQ08
5E353QQ21
(57)【要約】
【課題】作業ヘッドの操作エア供給部が消耗しない部品実装装置を提供する。
【解決手段】部品実装装置が備える作業ヘッド8は、回転軸を中心に回転して複数のシャフトのうちのいずれかを昇降作業ステーションに位置させる回転体11と、帯状領域BAに微小隙間Gをおいて対峙する対向面30aを有し、第1操作流路23と第2操作流路24の開口に切換弁を操作するための操作エアを供給する第1操作エア供給流路31と第2操作エア供給流路32の開口が対向面30aの内側に設けられた操作エア供給部30と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持して基板に搭載する作業ヘッドを備えた部品実装装置であって、
前記作業ヘッドが、
本体フレームと、
負圧によって部品を保持するノズルを下端部に有し、内部に前記ノズルに負圧を導くためのシャフト内流路を有する複数のシャフトと、
前記本体フレームに回転軸を中心に回転可能に保持され、前記回転軸を中心とする円周上に前記複数のシャフトを等間隔で保持し、前記回転軸を中心に回転して前記複数のシャフトのうちのいずれかを作業ステーションに位置させる回転体と、
前記作業ステーションにおいて前記シャフトを昇降させるシャフト昇降部と、
前記回転体に形成され、前記シャフト内流路に連通するエア流路であって前記シャフト毎に設けられた第1エア流路と、
前記回転体に形成され、負圧源で発生した負圧を前記回転体の内部に導入する第2エア流路と、
前記第1エア流路毎に設けられ、空圧によって操作されることにより前記第1エア流路と前記第2エア流路を接続または遮断する切換弁と、
前記回転体に形成され、前記回転体の表面であって前記回転軸を中心に環状かつ一定の幅を有する帯状領域の内側に一端が開口するとともに他端が前記切換弁に接続された一対の操作流路と、
前記本体フレームに固定されて前記帯状領域に微小隙間をおいて対峙する対向面を有し、前記操作流路の開口に前記切換弁を操作するためのエアを供給する操作エア供給流路の開口を前記対向面の内側に設けた操作エア供給部と、を備えた、部品実装装置。
【請求項2】
前記回転体に形成され、前記回転体の表面に一端が開口するとともに他端が前記切換弁に接続された第3エア流路を更に備え、
前記切換弁は、前記第1エア流路と前記第2エア流路を遮断して前記第1エア流路と前記第3エア流路を接続し、
前記操作エア供給部に、前記第3エア流路にブロー用のエアを供給する時だけ前記回転体の表面に接触して前記第3エア流路の開口に接続されるエア供給プラグを設けた、請求項1記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記エア供給プラグは、前記対向面に開口したブロー用エア供給路に突没可能に配置され、ブロー用のエアの圧力で前記対向面から前記帯状領域に向かって突出して接触する、請求項2記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を負圧により保持して基板に実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装装置は、負圧源で発生した吸引力を利用して部品を保持するノズルを備えた作業ヘッドにより、部品供給部から部品を取り出して基板に搭載する。この作業ヘッドとして、下端にノズルが装着される複数のシャフトをインデックス回転する回転体に等間隔に備えるロータリー式のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の搭載ヘッド(作業ヘッド)は、ノズルが部品を保持するための負圧と、保持した部品をノズルから離脱させるための正圧を切り替える切換弁をノズル毎に回転体の内部に備えている。さらに、切換弁を操作するエアを供給する操作エア供給部を所定の作業ステーションの位置に固定して備えている。特許文献1の操作エア供給部は、バネ部材によって回転体の表面に押されて常時接触しているエア供給プラグを備えている。操作エア供給部は、作業ステーションの位置に停止したノズルの切換弁に対して、エア供給プラグから回転体の内部に形成されている流路を通じて切換弁に操作用のエアを供給し、ノズルの負圧と正圧を切り換えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の作業ヘッドは、回転体の外部から操作用のエアを供給してノズルの負圧と正圧を切り換える構造により、作業ヘッドのコンパクト化とコスト低減を実現しているものの、エア供給プラグが常に回転体に押し付けられる構成であるため次の問題点があった。すなわち、回転体の回転によってエア供給プラグが摩耗して粉塵が生じ、また、消耗したエア供給プラグを定期的に交換する必要があるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、作業ヘッドの操作エア供給部が消耗しない部品実装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装装置は、部品を保持して基板に搭載する作業ヘッドを備えた部品実装装置であって、前記作業ヘッドが、本体フレームと、負圧によって部品を保持するノズルを下端部に有し、内部に前記ノズルに負圧を導くためのシャフト内流路を有する複数のシャフトと、前記本体フレームに回転軸を中心に回転可能に保持され、前記回転軸を中心とする円周上に前記複数のシャフトを等間隔で保持し、前記回転軸を中心に回転して前記複数のシャフトのうちのいずれかを作業ステーションに位置させる回転体と、前記昇降作業ステーションにおいて前記シャフトを昇降させるシャフト昇降部と、前記回転体に形成され、前記シャフト内流路に連通するエア流路であって前記シャフト毎に設けられた第1エア流路と、前記回転体に形成され、負圧源で発生した負圧を前記回転体の内部に導入する第2エア流路と、前記第1エア流路毎に設けられ、空圧によって操作されることにより前記第1エア流路と前記第2エア流路を接続または遮断する切換弁と、前記回転体に形成され、前記回転体の表面であって前記回転軸を中心に環状かつ一定の幅を有する帯状領域の内側に一端が開口するとともに他端が前記切換弁に接続された一対の操作流路と、前記本体フレームに固定されて前記帯状領域に微小隙間をおいて対峙する対向面を有し、前記操作流路の開口に前記切換弁を操作するためのエアを供給する操作エア供給流路の開口を前記対向面の内側に設けた操作エア供給部と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業ヘッドの操作エア供給部が消耗しない部品実装装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の全体構成を示す斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える作業ヘッドの要部の構成説明図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える作業ヘッドの部分断面図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える作業ヘッドの要部の底面図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える作業ヘッドが有する切換弁における(a)ノズルが部品を保持するための操作の説明図(b)ノズルが部品を開放するための操作の説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える作業ヘッドの回転体と操作エア供給部が対峙する部分の断面図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品実装装置が備える作業ヘッドが有する操作エア供給部が(a)ブロー用エアを供給していない時のエア供給プラグの状態の説明図(b)ブロー用エアを供給している時のエア供給プラグの状態の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。まず
図1を参照して、部品実装装置1の構造を説明する。以下、基板の搬送方向をX軸方向、X軸方向と水平面内において直交する方向をY軸方向、XY平面に対して直交する方向をZ軸方向、Z軸方向を軸として回転する水平面内の方向をθ方向と定義する。
【0011】
図1において、部品実装装置1は、ノズルのノズル開口に負圧を作用させて部品を真空吸着により保持して基板に搭載する機能を有する。基台1aの中央部には、X軸に沿って延びた一対の搬送コンベアを備えた基板搬送機構2が配置されている。基板搬送機構2は部品搭載対象の基板3を上流の装置から受け取って搬送し、以下に説明する部品搭載機構による搭載作業位置に位置決め保持する。
【0012】
基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されている。部品供給部4は、フィーダテーブル4a上に複数のテープフィーダ5をX軸に沿って並列に配置して構成されている。テープフィーダ5は、基板3に搭載される部品を収納したキャリアテープをピッチ送りすることにより、搭載対象の部品を部品搭載機構の作業ヘッド8による取り出し位置に供給する。
【0013】
次に、部品搭載機構について説明する。
図1において、基台1aのX軸方向の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6が配置されている。Y軸テーブル6には、リニア駆動機構7a(
図2参照)を備えたビーム7がY軸に沿って移動自在に装着されている。ビーム7には、作業ヘッド8の本体フレーム9がX軸に沿って移動自在に装着されている。
【0014】
作業ヘッド8は、基板3に搭載される部品をノズル13(
図2参照)によって部品供給部4からピックアップして保持する機能を有している。ノズル13は、先端部のノズル開口に負圧源によって発生された負圧を作用させて部品を保持する。作業ヘッド8は、Y軸テーブル6、ビーム7を駆動することによりX方軸向、Y軸方向へ水平移動し、ノズル13に保持された部品を基板搬送機構2に位置決め保持された基板3に搭載する。部品実装装置1の各部は、部品実装装置1が備える制御装置Cによって制御される。
【0015】
次に、
図2を参照して、作業ヘッド8の要部の構造を説明する。作業ヘッド8の本体フレーム9の下部には、ロータ保持部10が水平方向に延出して設けられている。ロータ保持部10には、回転体11がZ軸方向の回転軸CLを回転軸として回転自在に保持されている。回転体11の回転軸CLを中心とする円周上には、複数(この例では12本)のシャフト12が昇降可能な状態で等間隔に保持されている。シャフト12には、下端部に部品を保持するノズル13がそれぞれ装着されている。
【0016】
回転体11の上部には、回転シャフト14が接続されている。回転シャフト14は、本体フレーム9に固定して設けられたロータ駆動部15によって、回転軸CLを回転軸として回転される。制御装置Cがロータ駆動部15を制御して、回転シャフト14を回転駆動させることにより、回転体11が回転軸CLを中心としてθ方向に回転する。回転体11が回転することにより、複数のシャフト12は回転軸CLを中心に周回移動する。
【0017】
図2において、ロータ駆動部15は、回転体11を回転させることによって複数のシャフト12を、作業ヘッド8に設定された複数(この例では12箇所)のステーションST1~ST12に順番に位置させる。本体フレーム9には、複数のステーションST1~ST12のうちの作業ステーションST1に停止したシャフト12を昇降させるシャフト昇降部16が固定して配置されている。
【0018】
このように、回転体11は、本体フレーム9に回転軸CLを中心に回転可能に保持され、回転軸CLを中心とする円周上に複数のシャフト12を等間隔で保持し、回転軸CLを中心に回転して複数のシャフト12のうちのいずれかを作業ステーションST1に位置させる。そして、制御装置Cはシャフト昇降部16を制御して、作業ステーションST1の位置に停止したシャフト12を昇降させる。これにより、シャフト12に装着されたノズル13が昇降する。
【0019】
次に
図3~7を参照して、作業ヘッド8におけるシャフト12の吸引・排気系の構成を説明する。
図3は、回転体11における作業ステーションST1と、作業ステーションST1と対角に位置するステーションST7を含む部分断面を示している。シャフト12は、回転体11を上下に貫通して設けられた貫通孔11aに挿通されている。
【0020】
図3、
図5において、シャフト12の内部には、下端部がノズル13に通じるシャフト内流路12aが設けられている。シャフト内流路12aは、ノズル13の内部に設けられたノズル内流路13aを通じてノズル13の下面のノズル開口13bに連通する。貫通孔11aの一部には、シャフト12の外周面に開口するシャフト開口部12bを介してシャフト内流路12aに連通する空隙部11bが形成されている。空隙部11bは、シャフト12が上下動してもシャフト開口部12bが空隙部11b内に位置する領域内に形成されている。
【0021】
回転体11の内部には、シャフト12毎に切換弁20が配置されている。空隙部11bと切換弁20の第1ポート20aは、回転体11の内部に形成された第1エア流路17により接続されている。また、回転体11の内部には、一端が負圧源18に連通する第2エア流路19が形成されている。第2エア流路19は回転体11の内部でシャフト12の数に対応して分岐している。そして、第2エア流路19の他端は、複数の切換弁20の第2ポート20bにそれぞれ接続されている。
【0022】
このように、第1エア流路17は、回転体11に形成され、空隙部11bとシャフト開口部12bを通じてシャフト内流路12aに連通するエア流路であってシャフト12毎に設けられている。また、第2エア流路19は、回転体11に形成され、負圧源18で発生した負圧を回転体11の内部に導入する。また、切換弁20は、第1エア流路17毎に設けられ、後述するように空圧(操作エア)によって操作されることにより第1エア流路17と第2エア流路19を接続または遮断する。
【0023】
切換弁20によって第1エア流路17と第2エア流路19が接続されると、シャフト内流路12aが負圧源18に連通し、ノズル13のノズル開口13bに負圧が供給される。すなわち、複数のシャフト12は、負圧によって部品を保持するノズル13を下端部に有し、内部にノズル13に負圧を導くためのシャフト内流路12aを有する。
【0024】
ここで、
図5を参照して、切換弁20の詳細な構成と機能について説明する。切換弁20は、上下方向(Z軸方向)に延びて上下を密閉したチューブ21の中に、チューブ21の内壁を摺動しながら上下に移動するスプール22が配置されている。チューブ21の上部には、スプール22を押し下げる操作エアを供給する第1操作流路23が連通する第3ポート20cが形成されている。
【0025】
チューブ21の下部には、スプール22を押し上げる操作エアを供給する第2操作流路24が連通する第4ポート20dが形成されている。第1操作流路23と第2操作流路24は、切換弁20を操作する操作エア(空圧)を供給する一対の操作流路を構成する。チューブ21において、第3ポート20cと第4ポート20dの間の位置には、ノズル13のノズル開口13bから吐出させる正圧のブロー用エアを供給する第3エア流路25が連通する第5ポート20eが形成されている。
【0026】
図3、
図4において、第1操作流路23、第2操作流路24、第3エア流路25は、回転体11の内部に形成されており、切換弁20の第3ポート20c、第4ポート20d、第5ポート20eに接続された端部とは反対側の端部は回転体11の下面11cに開口している。第1操作流路23、第2操作流路24、第3エア流路25の回転体11の下面11cの開口は、回転軸CLを中心に環状かつ一定の幅を有する帯状領域BAの内側に形成されている。
【0027】
すなわち、一対の操作流路(第1操作流路23と第2操作流路24)は、回転体11に形成され、回転体11の表面であって回転軸CLを中心に環状かつ一定の幅を有する帯状領域BAの内側に一端が開口するとともに他端が切換弁20に接続されている。また、第3エア流路25は、回転体11に形成され、回転体11の表面に一端が開口するとともに他端が切換弁20に接続されている。
【0028】
次に、
図3、
図4、
図6、
図7を参照して、作業ステーションST1に位置するノズル13の切換弁20にエアを供給する操作エア供給部30について説明する。
図3、
図4、
図6において、作業ステーションST1における回転体11の帯状領域BAに対向する位置には、本体フレーム9に固定された操作エア供給部30が微小隙間Gをあけて配置されている。操作エア供給部30には、作業ステーションST1の位置に停止したシャフト12の切換弁20に供給する操作エアを供給する第1操作エア供給流路31と第2操作エア供給流路32、ブロー用エアを供給するブロー用エア供給路33が形成されている。
【0029】
操作エア供給部30の上面である対向面30aには、帯状領域BAの第1操作流路23の開口に対峙する位置に第1操作エア供給流路31の一端が開口している。同様に、操作エア供給部30の対向面30aには、帯状領域BAの第2操作流路24の開口に対峙する位置に第2操作エア供給流路32の一端が開口している。第1操作エア供給流路31と第2操作エア供給流路32の他端には、制御装置Cによって制御される所定のタイミングで切換弁20を操作する操作エアが供給される。
【0030】
図6において、第1操作エア供給流路31と第2操作エア供給流路32から供給される操作エアは、ブロー用エア供給路33から供給されるブロー用エアより高圧である。微小隙間Gの大きさは、操作エア供給部30の第1操作エア供給流路31(または第2操作エア供給流路32)の開口から帯状領域BAの第1操作流路23(または第2操作流路24)の開口に流れる操作エアが受ける抵抗と比較して、帯状領域BAと対向面30aの間に流出する操作エアが受ける抵抗が十分に大きくなるように設計される。帯状領域BAと対向面30aの間に流出する操作エアが受ける抵抗は操作エアの圧力と正の相関があるため、操作エアの圧力が大きな場合は微小隙間Gを大きくすることができる。
【0031】
また、第1操作流路23の開口(または第1操作エア供給流路31の開口)と第2操作流路24の開口(または第2操作エア供給流路32の開口)の間隔は、供給される操作エアが帯状領域BAと対向面30aの間の微小隙間Gを通じて流入しない距離に設計される。このように、操作エア供給部30は、本体フレーム9に固定されて帯状領域BAに微小隙間Gをおいて対峙する対向面30aを有し、操作流路(第1操作流路23、第2操作流路24)の開口に切換弁20を操作するための操作エアを供給する第1操作エア供給流路31と第2操作エア供給流路32(操作エア供給流路)の開口が対向面30aの内側に設けられている。
【0032】
図7において、操作エア供給部30の対向面30aには、帯状領域BAの第3エア流路25の開口に対峙する位置にブロー用エア供給路33の一端が開口している。第3エア流路25の他端には、制御装置Cによって制御される所定のタイミングでノズル13のノズル開口13bから吐出されるブロー用エアが供給される。
【0033】
ブロー用エア供給路33の一端に形成されたプラグ収容部34には、エア供給プラグ35が突没可能に収容されている。エア供給プラグ35は、ブロー用エア供給路33からブロー用エアが供給されていない時は、自重によって操作エア供給部30の対向面30aから上面35aが突出しない位置まで下降する(
図7(a))。なお、エア供給プラグ35は、ブロー用エア供給路33からブロー用エアが供給されていない時は、ばねなどの弾性体の付勢力によって下降するようにしてもよい。
【0034】
一方、エア供給プラグ35は、ブロー用エア供給路33からブロー用エアが供給されると、ブロー用エアの圧力で浮き上がり、上面35aが対向面30aから突出して帯状領域BAに接触する(
図7(b))。この状態で、ブロー用エアがブロー用エア供給路33から第3エア流路25に供給される。これによって、ブロー用エア供給路33から第3エア流路25にブロー用エアを確実に供給することができる。
【0035】
このように、操作エア供給部30には、第3エア流路25にブロー用のエア(ブロー用エア)を供給する時だけ回転体11の表面に接触して第3エア流路25の開口に接続されるエア供給プラグ35が設けられている。エア供給プラグ35は、対向面30aに開口したブロー用エア供給路33に突没可能に配置されており、ブロー用のエアの圧力で対向面30aから帯状領域BAに向かって突出して接触する。
【0036】
微小隙間Gが高圧の操作エアに合わせて設計されている場合は、操作エアより低圧のブロー用エアが微小隙間Gから漏れるおそれがある。しかし、使用時に突出して帯状領域BAに接触するエア供給プラグ35を使用することで、微小隙間Gからブロー用エアが漏れることなく第3エア流路25に確実に供給することができる。また、ブロー用エアを供給しない時は、エア供給プラグ35は対向面30aより下方まで没入する。これにより、回転体11が回転する時には、回転体11と操作エア供給部30が微小隙間Gだけ離れるため接触することがなく、作業ヘッド8の操作エア供給部30が消耗することがない。そのため、摩耗によるエア供給プラグ35の定期交換は不要である。
【0037】
次に、
図5(a)、
図5(b)を参照して、切換弁20の操作について説明する。
図5(a)は、負圧によりノズル13に部品を保持させるための操作を示す。ノズル13に部品を保持させる際は、下降したノズル13が部品の上面に接触した状態で、切換弁20の第4ポート20dに操作エアを供給してスプール22を押し上げる。すなわち、制御装置Cは、操作エア供給部30の第2操作エア供給流路32に操作エアを供給させる。スプール22が押し上げられると、切換弁20を介して第1エア流路17と第2エア流路19が接続される。これにより、シャフト内流路12aが負圧源18に連通され、ノズル13のノズル開口13bに負圧が供給されて部品がノズル13に保持される。
【0038】
図5(b)は、ノズル13が保持した部品を基板3に搭載するための操作を示す。ノズル13が保持した部品を基板3に搭載する際は、下降したノズル13が保持する部品が基板3の上面に接触した状態で、切換弁20の第3ポート20cに操作エアを供給してスプール22を押し下げる。すなわち、制御装置Cは、操作エア供給部30の第1操作エア供給流路31に操作エアを供給させる。
【0039】
スプール22が押し下げられると、切換弁20を介して第1エア流路17と第3エア流路25が接続される。すなわち、切換弁20は、第1エア流路17と第2エア流路19を遮断して第1エア流路17と第3エア流路25を接続する。これにより、シャフト内流路12aが大気圧となる。さらに、制御装置Cが操作エア供給部30のブロー用エア供給路33にブロー用エアを供給させると、ノズル13のノズル開口13bからブロー用エアが突出されてノズル13から部品が離脱して基板3に搭載される。
【0040】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1の作業ヘッド8は、ノズル13を下端部に有して内部にシャフト内流路12aを有する複数のシャフト12と、回転軸CLを中心に回転して複数のシャフト12をステーションST1~ST12に位置させる回転体11と、作業ステーションST1においてシャフト12を昇降させるシャフト昇降部16と、本体フレーム9に固定されて帯状領域BAに微小隙間Gをおいて対峙する対向面30aを有し、操作流路の開口に切換弁20を操作するための操作エアを供給する第1操作流路23と第2操作流路24の開口が対向面30aの内側に設けられた操作エア供給部30と、を備える。
【0041】
回転体11には、シャフト内流路12aに連通する第1エア流路17と、負圧を回転体11の内部に導入する第2エア流路19と、回転体11の帯状領域BAの内側に一端が開口するとともに他端が切換弁20に接続された一対の操作流路(第1操作流路23と第2操作流路24)と、が形成され、第1エア流路17毎に設けられた第1エア流路17と第2エア流路19を接続または遮断する切換弁20が配置されている。これによって、作業ヘッド8の操作エア供給部30が回転する回転体11とは接触せず、粉塵等が発生しない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の部品実装装置は、作業ヘッドの操作エア供給部が消耗しない効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0043】
1 部品実装装置
3 基板
8 作業ヘッド
9 本体フレーム
11 回転体
12 シャフト
12a シャフト内流路
13 ノズル
16 シャフト昇降部
17 第1エア流路
18 負圧源
19 第2エア流路
20 切換弁
23 第1操作流路
24 第2操作流路
25 第3エア流路
30 操作エア供給部
30a 対向面
31 第1操作エア供給流路
32 第2操作エア供給流路
33 ブロー用エア供給路
35 エア供給プラグ
BA 帯状領域
CL 回転軸
G 微小隙間
ST1 作業ステーション