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特開2023-161111ばら物取り扱いクレーンの受入れシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161111
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ばら物取り扱いクレーンの受入れシステム
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/48 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
B66C13/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071273
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】504005781
【氏名又は名称】株式会社日立プラントメカニクス
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】岸本 至康
【テーマコード(参考)】
3F204
【Fターム(参考)】
3F204AA02
3F204CA01
3F204DA04
3F204DA08
3F204DD12
(57)【要約】
【課題】ばら物を積載して持ち込まれる搬入トラックから、人の介在により動作する前段の受入れクレーンによりばら物の荷卸しを行い、後段の自動クレーンにばら物を円滑に引き渡す、ばら物取り扱いクレーンの受入れシステムを提供すること。
【解決手段】前段の受入れクレーンMCと後段の自動クレーンACの間にスロープSLが設けられ、スロープSLの高さは、受入れクレーンMC側を搬入トラックTRの荷台上に配設された貨物積載用構成物CNの上面付近の高さとし、自動クレーンAC側に向かって下る傾斜が設けられ、その傾斜角度は受入れクレーンMCが落としたスロープSL上のばら物が自然に自動クレーンAC側に滑り落ちる角度とすることで、スロープSLを伝って受入れクレーンMCの稼働エリアから自動クレーンACの稼働エリアにばら物を移動するようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばら物を積載して持ち込まれる搬入トラックから、前段の受入れクレーンにより前記ばら物の荷卸しを行い、後段の自動クレーンに前記ばら物を引き渡すようにしたばら物取り扱いクレーンの受入れシステムにおいて、前段の受入れクレーンと後段の自動クレーンの間にスロープが設けられ、該スロープの高さは、受入れクレーン側を搬入トラックの荷台上に配設された貨物積載用構成物の上面付近の高さとし、自動クレーン側に向かって下る傾斜が設けられ、その傾斜角度は受入れクレーンが落としたスロープ上のばら物が自然に自動クレーン側に滑り落ちる角度とすることで、スロープを伝って受入れクレーンの稼働エリアから自動クレーンの稼働エリアにばら物を移動するように構成され、該スロープを挟んで受入れクレーン側を人の立入りエリアとし、自動クレーン側を人の立入り禁止エリアとすることを特徴とするばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項2】
前記受入れクレーンが、スロープ上のある位置にばら物を落とした回数で、スロープの斜面を下って落ちた先のピットの位置の周辺範囲のばら物の堆積高さを、予め設定された1回当りの加算値から積算管理するようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項3】
前記受入れクレーンが、スロープ上のある位置にばら物を落としたとき、受入れクレーンに装備した荷重計の荷重値でスロープの斜面を下って落ちた先の受入れピットの位置の周辺範囲のばら物の堆積量を積算管理し、それに加えその堆積量に伴う堆積高さを推定管理するようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項4】
前記スロープから落ちたばら物を堆積させる受入れピットのある水平位置のばら物を、自動クレーンが取るために向かうとき、その水平位置のばら物の上に自動クレーンの吊具を着床させるための巻下げを行うとき、ばら物の堆積高さから自動クレーンの巻下げの減速位置を決定するようにすることを特徴とする請求項2又は3に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項5】
前記スロープから落ちたばら物を堆積させる受入れピットのある位置で、自動クレーンがばら物を取るために、その位置のばら物の上に自動クレーンの吊具を着床させた瞬間の自動クレーンの吊具の高さ位置を、その位置のばら物の堆積高さとしてデータ更新をし、その位置のばら物を自動クレーンの吊具が取ると、予め設定した高さ或いは自動クレーンが装備している荷重計の値から推定する高さだけ、前記の更新後の堆積高さデータから減算して堆積高さを推定管理するようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項6】
前記スロープから落ちたばら物を堆積させる受入れピットで、ばら物の堆積高さを検出するための検出器を装備し、その位置のばら物の堆積高さを管理するようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項7】
前記自動クレーンがある位置の受入れピット内のばら物を取りに行く作業工程のときに、受入れクレーンがその位置の周辺のスロープ上に投入動作ができないように電気的にインターロックを取るとともに、自動クレーンがその作業工程であることを表示する表示手段を備えるようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項8】
前記受入れクレーンが投入している位置からスロープを下った先の受入れピットの位置周辺に、自動クレーンが取りに行かないように、自動クレーンのその作業ステップを一時
保留し、次のステップの作業を実行させるようにし、受入れクレーンのその位置の周辺での投入が終了すると、一時保留していた作業ステップを実行するようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項9】
前記自動クレーンがある位置の受入れピットのばら物を取る作業ステップの実行に入ったときに、その位置からスロープを遡った位置で受入れクレーンの投入をしたいとき、受入れクレーンから自動クレーンに退避指令を送り、自動クレーンの該作業ステップを保留させ、受入れクレーンの作業を優先させることができるようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項10】
前記自動クレーンに送られる退避指令は、自動クレーンの吊具が受入れピットのばら物の上に着床する前であれば受入れクレーンからの退避指令を受け付け、自動クレーンの吊具が受入れピットのばら物の上に着床した後であれば、退避指令を受け付けずに、自動クレーンは作業ステップを完了させるようにすることを特徴とする請求項9に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【請求項11】
前記搬入トラック毎に異なる種類のばら物が積載され持ち込まれる場合に、その種類毎に搬入トラックの停車位置とスロープに落とす範囲を限定することにより、ばら物を種類毎に管理するようにすることを特徴とする請求項1に記載のばら物取り扱いクレーンの受入れシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックで持ち込まれたばら物の搬入物を受入れクレーンで荷卸しを行い、荷卸し後のばら物を自動クレーンで運用するばら物取り扱いクレーンの受入れシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トラックの荷台コンテナにばら物(木片チップ、穀物、石炭、石灰、鉄スクラップ、スラグ等)を積載搬入し、受入れクレーンでばら物の卸し作業を行い、荷卸しされたばら物を自動クレーンで貯留ヤードへ入庫したり、次工程への払い出しを行うシステムが提案され、採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、このシステムにおいては、自動クレーンは安全上の観点より、人が運転するトラックや作業員などの人と自動クレーンとの混在を防止する移動制限を掛けるとともに、その移動制限の下に自動クレーンの高い稼働効率を達成できるようにすることが要請されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9―40369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1には、トラックからばら物の受入れを行う際、受入れ専用クレーンを用いてトラックからバケットにばら物の荷卸しを行い、そのバケットを台車で自動エリアに移載することで、トラックが侵入する人立入りエリアと自動クレーンとを分離し、自動クレーンが連続的に稼働できるようにした技術が紹介されているが、この方式では、人立入りエリアと自動のエリアを結ぶために台車が必要で、システム全体として複雑で、設備費用も大きなものになってしまう課題があった。
【0005】
本発明は、上記従来のシステムの有する問題点に鑑み、ばら物を積載して持ち込まれる搬入トラックから、人の介在により動作する前段の受入れクレーンによりばら物の荷卸しを行い、後段の自動クレーンにばら物を円滑に引き渡す、ばら物取り扱いクレーンの受入れシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムは、ばら物を積載して持ち込まれる搬入トラックから、前段の受入れクレーンにより前記ばら物の荷卸しを行い、後段の自動クレーンに前記ばら物を引き渡すようにしたばら物取り扱いクレーンの受入れシステムにおいて、前段の受入れクレーンと後段の自動クレーンの間にスロープが設けられ、該スロープの高さは、受入れクレーン側を搬入トラックの荷台上に配設された貨物積載用構成物の上面付近の高さとし、自動クレーン側に向かって下る傾斜が設けられ、その傾斜角度は受入れクレーンが落としたスロープ上のばら物が自然に自動クレーン側に滑り落ちる角度とすることで、スロープを伝って受入れクレーンの稼働エリアから自動クレーンの稼働エリアにばら物を移動するように構成され、該スロープを挟んで受入れクレーン側を人の立入りエリアとし、自動クレーン側を人の立入り禁止エリアとすることを特徴とする。
これにより、スロープを伝って受入れクレーンが稼働する人介在エリアから人の立入りを禁止する自動クレーン稼働の自動エリアに、動力を使わずにばら物を移動することがで
きる。
また、人立入りエリア側のスロープの高さが、搬入トラックの荷台上に配設された貨物積載用構成物の上面と同等の高さであるので、人立入りエリアに居る搬入トラックの運転手などの人が、誤って自動エリア側に侵入してしまうことを物理的に防止し、自動クレーンと人の分離を確実にすることができる。
【0007】
この場合において、前記受入れクレーンが、スロープ上のある位置にばら物を落とした回数で、スロープの斜面を下って落ちた先のピットの位置の周辺範囲のばら物の堆積高さを、予め設定された1回当りの加算値から積算管理するようにすることができる。
これにより、ばら物を落とした回数からスロープを下った先の受入れピットの位置の周辺範囲のばら物の堆積高さを積算管理することができる。
【0008】
また、前記受入れクレーンが、スロープ上のある位置にばら物を落としたとき、受入れクレーンに装備した荷重計の荷重値でスロープの斜面を下って落ちた先の受入れピットの位置の周辺範囲のばら物の堆積量を積算管理し、それに加えその堆積量に伴う堆積高さを推定管理するようにすることができる。
これにより、受入れクレーンが落とした回数で堆積高さを推定管理する方法をより確実にすることができる。
【0009】
前記スロープから落ちたばら物を堆積させる受入れピットのある水平位置のばら物を、自動クレーンが取るために向かうとき、その水平位置のばら物の上に自動クレーンの吊具を着床させるための巻下げを行うとき、ばら物の堆積高さから自動クレーンの巻下げの減速位置を決定するようにすることができる。
これにより、巻下げ速度を減速した低速状態で円滑に自動クレーンの吊具を着床させることができる。
【0010】
また、前記スロープから落ちたばら物を堆積させる受入れピットのある位置で、自動クレーンがばら物を取るために、その位置のばら物の上に自動クレーンの吊具を着床させた瞬間の自動クレーンの吊具の高さ位置を、その位置のばら物の堆積高さとしてデータ更新をし、その位置のばら物を自動クレーンの吊具が取ると、予め設定した高さ或いは自動クレーンが装備している荷重計の値から推定する高さだけ、前記の更新後の堆積高さデータから減算して堆積高さを推定管理するようにすることができる。
これにより、自動クレーンがばら物を取るために、その位置のばら物の上に自動クレーンの吊具を着床させた瞬間の当該位置のばら物の積算高さの推定値の誤差を解消することができるとともに、自動クレーンの吊具がばら物を取った後の堆積高さにデータを更新することができる。
【0011】
また、前記スロープから落ちたばら物を堆積させる受入れピットで、ばら物の堆積高さを検出するための検出器を装備し、その位置のばら物の堆積高さを管理するようにすることができる。
これにより、受入れクレーンがスロープ上のある位置に落とした回数や荷重値から堆積高さを推定管理する方法より、その位置のばら物の堆積高さをより確実なものとすることができる。
【0012】
また、前記自動クレーンがある位置の受入れピット内のばら物を取りに行く作業工程のときに、受入れクレーンがその位置の周辺のスロープ上に投入動作ができないように電気的にインターロックを取るとともに、自動クレーンがその作業工程であることを表示する表示手段を備えるようにすることができる。
これにより、自動クレーンの吊具の上に受入れクレーンが投入したばら物が被さらないようにすることができる。
【0013】
また、前記受入れクレーンが投入している位置からスロープを下った先の受入れピットの位置周辺に、自動クレーンが取りに行かないように、自動クレーンのその作業ステップを一時保留し、次のステップの作業を実行させるようにし、受入れクレーンのその位置の周辺での投入が終了すると、一時保留していた作業ステップを実行するようにすることができる。
これにより、自動クレーンの吊具の上に受入れクレーンが投入したばら物が被さらないようにすることができる。
【0014】
また、前記自動クレーンがある位置の受入れピットのばら物を取る作業ステップの実行に入ったときに、その位置からスロープを遡った位置で受入れクレーンの投入をしたいとき、受入れクレーンから自動クレーンに退避指令を送り、自動クレーンの該作業ステップを保留させ、受入れクレーンの作業を優先させることができるようにすることができる。
これにより、搬入トラックの受入れを優先し、搬入トラックの滞留で場内に搬入トラックが溢れ出すことを防止することができる。
【0015】
また、前記自動クレーンに送られる退避指令は、自動クレーンの吊具が受入れピットのばら物の上に着床する前であれば受入れクレーンからの退避指令を受け付け、自動クレーンの吊具が受入れピットのばら物の上に着床した後であれば、退避指令を受け付けずに、自動クレーンは作業ステップを完了させるようにすることができる。
これにより、自動クレーンを効率よく動作させることができる。
【0016】
また、前記搬入トラック毎に異なる種類のばら物が積載され持ち込まれる場合に、その種類毎に搬入トラックの停車位置とスロープに落とす範囲を限定することにより、ばら物を種類毎に管理するようにすることができる。
これにより、ばら物を種類毎に管理した状態で自動クレーンに引き渡すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムによれば、トラックに積載されて搬入されたばら物を、受入れクレーンを用いて短時間で効率よく多量のばら物を荷卸しをすることが可能となるとともに、人立入りエリアと自動エリアの分離を確実にし、人立入りエリアで人の介在で稼働する受入れクレーンと、自動エリアで全自動運転で稼働する自動クレーンの間のばら物の受け渡しにスロープを用いることで、無動力でばら物を人立入りエリアから自動エリアに移動させることができる。
これにより、人と自動機械の完全分離により安全性を確保するとともに、効率よくばら物の荷役を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムの一実施例を示す正面視した構成説明図である。
図2】同平面視した構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1図2に、本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムの一実施例を示す。
ばら物は、上面が解放したコンテナCNを搭載したトラックTRに積載され、トラックTRは、トラック誘導灯TI等の指示によりスロープSLの側方に横付け停車するようにする。
このエリアはトラックTRの運転手やトラックの誘導員等の多くの人HUが立入るエリアで、トラックTRからのばら物の荷卸しは、クレーン運転士OPが介在し動作する受入れクレーンMCにより行うことにより、自動クレーンACが侵入しなくてもばら物の受入れを可能とし、人立入りエリアMAには自動クレーンACが侵入できないことにより人HUとの分離をする安全措置を取っている。
このとき、受入れクレーンMCは、クレーン運転士OPの操作のみの手動運転で動作するか、或いは、クレーン運転士OPの安全監視の下に安全な一部の行程を半自動動作するかの何れかの、クレーン運転士OPが介在する状態にある。
【0021】
受入れクレーンMCの吊具GBは、トラックTRに積載されたばら物を取り、少し上方に巻上げ動作をすると水平移動が可能な高さとなり、少しの水平移動でスロープSL上に到達し、そこでばら物を落とすと、スロープSLの斜面をばら物が下って人立入りエリアMAから自動エリアAAに横に滑り落ち、自動エリアAA内の受入れピットPTにばら物が堆積する。
自動エリアAAにある受入れピットPTに堆積したばら物は、自動クレーンACの吊具GAにより取られ、貯留ヤードSY等に自動運転で荷役が行われる。
このように、人立入りエリアMAから自動エリアAAにスロープSLを用いてばら物を移動させることにより、横持ち移載用の台車やコンベア等の機械装置を使わずにエリア間の横移動が可能なシステムとなっている。
【0022】
このスロープSLの人立入りエリアMA側の高さは、トラックTRの荷台上に配設された貨物積載用構成物、具体的には、トラックTRの荷台に搭載されたコンテナCNの上面と同等の高さに設定され、人立入りエリアMAから自動エリアAAに向かって下り、傾斜角は、ばら物が滞りなく滑り落ちるように角度を決めている。
ここで、スロープSLは、ばら物に対する摺動抵抗が小さく、かつ、耐摩耗性能に優れた鋼板、セラミック、特殊樹脂、黒鉛含有砲金等のライナーを敷き詰めて製作することが好ましく、傾斜角は、通常、20°~45°程度の角度(本実施例においては、約30°)に設定する。
なお、外部から搬入されるトラックTRの寸法は様々なので、平均的な凡その高さでスロープSLの人立入りエリアMA側の高さを決めている。
このように、人立入りエリアMA側の高さを決めることにより、スロープSLの直ぐ横に停車したトラックTRから最短距離でばら物を荷役できるようにしている。
このとき、受入れクレーンMCは、クレーンの設置高さを可能な限り低く設置することが望ましい。それは、受入れクレーンMCの吊具GBを吊り下げているワイヤーロープの長さが短いほど、クレーンの水平動作時に吊具のクレーンに対する追従性が良くなり機敏に操作し、ばら物の荷卸し作業を短時間で行える。
これにより、搬入トラックの滞留を防止し搬入トラックが場内待機スペースから溢れ出すのを防止する。
【0023】
前段の受入れクレーンMCの吊具GBは、トラックTRの寸法に合わせた小さ目の大きさになっているが、その後段の自動クレーンACの吊具GAは、搬送距離と作業内容により、それに見合った大きさの吊具と速度となっており、受入れピットPTから貯留ヤードSYへの自動搬送と次工程への払い出しの自動搬送を安定的に行うことを可能としている。
【0024】
スロープSLの横には、複数台のトラックTRが縦列駐車できるようになっており、受入れクレーンMCによるトラックTRからの荷卸しと、荷卸し済みのトラックTRと、荷卸し待ちのトラックTRの入れ替え作業を同時に行えるように配置され、受入れクレーンMCは連続的に荷卸し作業を行えるように効率的に配置されている。
【0025】
図2に示すように、建屋の両壁の間の全長にスロープSLを配置した場合、人立入りエリアMAの人HUは、スロープSLを乗り越えて自動エリアAAの側に侵入することは物理的に不可能で、トラックTRの運転手など、外部から入場している設備状況を知らない人HUが、誤って自動エリアに侵入してしまうことを完全に防止できる。このようにスロープSLで、人立入りエリアMAと自動エリアAAとの間の人HUの往来を物理的に完全分離し、安全性の確保ができる。
【0026】
受入れクレーンMCは位置検出器PSを装備し、位置検出器PSで検出した横行TSでスロープSLの上でばら物を投入すると、その横行位置のライン上をスロープSLを伝って滑り落ち、その横行位置の受入れピットPTにばら荷が堆積していく。
その横行位置での受入れピットPTの堆積状態を受入れクレーンMCの投入情報と横行位置で管理し、その堆積情報から自動クレーンACを受入れピットPT内のばら荷の堆積位置に向かわせ、堆積したばら荷を取ることで、受入れクレーンMCから自動クレーンACへのばら荷の受け渡しを行う。
【0027】
受入れクレーンMCが、ある横行TSの位置範囲でスロープSLの上にばら物を投入したとき、受入れクレーンMCの投入1回につき、その横行TSの位置範囲からスロープSLを下った先の受入れピットPTの位置のばら物の堆積高さに、予め設定された高さを加算する。そして、受入れクレーンMCの投入が回数を繰り返すと、その走行TLの位置範囲での受入れピットPTのばら物堆積高さがある規定高さに到達する。そして、その規定高さに到達すると、自動クレーンACにその位置のばら物を取りに行く指令が発生する。
そして、自動クレーンACがその位置のばら物を取るためにばら物が堆積した上に着床操作を行うとき、前記の堆積高さから自動クレーンACの巻下げの減速高さ位置を割り出し、自動クレーンACをその位置に円滑に減速させ低速で着床し停止させる。
そして、自動クレーンACが着床した位置の堆積高さを着床した瞬間の高さにデータ更新を行う。
そして、自動クレーンACがその位置のばら物を取ると、前記の更新された堆積高さデータから予め設定した高さだけ減算する。
ここで、自動クレーンACの着床の検出は、自動クレーンACに装備した荷重計LDの計測値から吊具GAの重量分がなくなったとき、或いは吊具GAに設けたスイッチによる検出、或いは巻下げ中に巻上げモータの回生状態の変化により検出する等、何れかの方法でも検出することができる。
【0028】
受入れクレーンMCと自動クレーンACに荷重計LDを装備し、受入れクレーンMCが、その横行TSの位置で投入した荷重値の積算量から、自動クレーンACが受入れピットPTから取った荷重値を減算し、受入れピットPTに残った荷重値から受入れピットPT内の堆積量を管理し、その堆積量を元に堆積高さを推定する方法もある。
この方法は荷重値の累積誤差が生じるので自動クレーンACの吊具GAの着床位置で堆積データを修正する必要がある。
【0029】
受入れピットPT内のばら物堆積高さの管理する方法として、受入れピット高さ検出装置LSを設置し、受入れピットPT内のばら物の堆積高さを直接測定する方法もある。
受入れピット高さ検出装置LSの方式としては、図1に示すように、光学式や超音波式等の測距計を用い、上方からレーザ光や超音波等を当ててばら物の堆積高さを測定する方法や、側方から光電管で、光電管の通光或いは遮光を見る方式などがある。
運用方法としては、ある規定高さを超えると自動クレーンACに取りに来るように要求を出す使い方になるので、一点高さの検出のみでも良いし、数点の高さを検出すれば、より細かく制御が可能である。
ところで、受入れピット高さ検出装置LSで受入れピットPT内のばら物堆積高さを測定するとき、自動クレーンACの吊具GAをばら物の堆積高さだと誤って検出すると、ば
ら物の堆積高さを高く検出してしまうので、自動クレーンACがその位置にあるときには、その位置の堆積高さの測定を中断する必要がある。
【0030】
自動クレーンACがある横行TSの位置の受入れピットPTに堆積したばら物を取っている最中に、受入れクレーンMCが同じ横行TSの位置の周辺範囲でスロープSL上からばら物を落とすと、自動クレーンACの吊具GAの上面にばら物がかかってしまい、自動クレーンACの吊具GAの上面にある機器類やケーブルを傷つけてしまったり、自動クレーンACの吊具GAが埋まってしまい抜け出せなくなる等の不具合を生じる。
【0031】
これに対処するため、受入れクレーンMCのスロープSLへ投入するときの横行TSの位置の周辺範囲と、自動クレーンACが受入れピットPTのばら物を取りに行くときの横行TSの位置の周辺範囲が重ならないように、相互にインターロックを設ける必要がある。
【0032】
自動クレーンACが受入れピットPTのばら物を取りに行くときには、その横行TSの位置の周辺範囲にばら物を投入しないように、受入れクレーンMCがその横行TSの範囲の投入位置に侵入できない電気的インターロックと、その投入位置で投入動作ができない電気的にインターロックにより電気的にできないようにする。
そして、自動クレーンACがその作業工程であることを表示する表示手段としての信号灯SI等で受入れクレーンMCのクレーン運転士OPには自動クレーンACがその横行TSの位置の受入れピットPTを取りに行く作業ステップを実行中であることを知らせる。
これにより、自動クレーンACの吊具GAの上に受入れクレーンMCがばら物を落とさないようにする。
【0033】
受入れクレーンMCが投入している横行TSの位置の周辺範囲の受入れピットPTには自動クレーンACは取りに行かないようにインターロックを取り、その横行TSの周辺を取りに行く作業ステップを一時保留し、次のステップの作業を実行する。
これにより、自動クレーンACの吊具GAがスロープSLから落ちてきたばら物に埋もれることがないようにする。
【0034】
そして、受入れクレーンMCが、その横行TSの位置の周辺範囲の投入が終了すると自動クレーンACへのインターロックが外れ、自動クレーンACは一時保留していたその横行TSの位置の周辺範囲を取りに行く作業ステップを実行する。
【0035】
自動クレーンACがある横行TSの位置の周辺範囲の受入れピットPTのばら物を取る作業ステップの実行に入ったとき、同じ横行TSの位置の周辺範囲でトラックTRの荷卸し準備が完了したとき、受入れクレーンMCから自動クレーンACに退避指令を送り、自動クレーンACの該作業ステップを保留させ、受入れクレーンMCの作業を優先させることを可能としておくことで、トラックTRの荷卸し優先させることで、トラックTRの滞留を軽減させる。
【0036】
ところで、受入れクレーンMCから自動クレーンACに退避指令は、自動クレーンACの吊具GAが受入れピットPTのばら物の上に着床する前であれば受入れクレーンMCからの退避指令を受け付け、自動クレーンACの吊具GAが受入れピットPTのばら物の上に着床した後であれば、退避指令を受け付けずに、自動クレーンACは実行中の作業ステップを完了させる。
【0037】
ここで、自動クレーンACへの退避指令を出したまま連続的に同じ横行TSの位置で受入れクレーンMCが投入を継続していると、受入れピットPTが満杯状態になってしまう。
この場合は、受入れクレーンMCの投入動作を禁止し、自動クレーンACは受入れピットPTが満杯状態の位置のばら物を取ることを優先的に行う。
【0038】
なお、自動クレーンACの優先作業は、貯留ヤードSYから次工程へのばら物の供給であるが、本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムの構成により、自動エリアAAへの人HUの侵入を完全に排除したことと、受入れクレーンMCとの組合せにより効率よく自動運転が可能で、次工程へのばら物の安定供給と、受入れピットPTから貯留ヤードSYへの受入れを円滑に両立することができる。
【0039】
ところで、ばら物を搬入するトラックTR毎に異なる種類のばら物が積載され持ち込まれる場合に、その種類毎にトラックTRの停車位置とスロープに落とす範囲を限定することにより、ばら物を種類毎に管理するようにすることができる。
図2に示す配置では、搬入トラック2台の配置であるが、ばら荷の種類毎に分類して受入れる場合があり、その種類が多い場合はトラックTRの縦列駐車の列を増やす必要がある。
その場合には、図2に記載の受入れクレーンMCの横行TSと走行TLの向きを入れ替え、トラックTRの進行方向に向かって受入れクレーンMCが走行移動する方向となり、横行移動する方法でトラックTRからスロープSLへ移動する方向となる。
そして、建屋の長手方向に合わせ、自動クレーンACも受入れクレーンMCと同じ向きに走行するレイアウトになる。
【0040】
ここで実施される形態の、受入れクレーンMCの吊具GBと自動クレーンACの吊具GA及び取り扱われるばら物は、リフティングマグネットによる鉄スクラップの取り扱いが最も好適に適用されるが、受入れクレーンMCの吊具GB及び自動クレーンACの吊具GAは、グラブバケットや、トング、リフティングマグネット、バキュームリフターなど、様々な形態のものが適用でき、その種類に限定するものではない。
また、ばら物の種類についても、木片チップ、穀物、鉄スクラップ、石炭、石灰、スラグ等様々なものが適用でき、その種類に限定されるものではない。
【0041】
以上、本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムについて、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のばら物取り扱いクレーンの受入れシステムによれば、トラックで持ち込まれたばら物を人の介在で動作する受入れクレーンを用いて荷を卸し、人が介在するエリアから後段の自動クレーンにばら物を受け渡す工程で、スロープを用いることで効率よくばら荷を受け渡すとともに、人と自動クレーンを完全に完全に分離することができ、自動クレーンの稼働率向上と安全性が向上し、産業上有効に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
MC 受入れクレーン
GB 受入れクレーンの吊具
OP クレーン運転士
AC 自動クレーン
GA 自動クレーンの吊具
TR トラック
CN コンテナ(貨物積載用構成物)
HU 人
SL スロープ
PT 受入れピット
SY 貯留ヤード
MA 人立入りエリア
AA 自動エリア
SI 信号灯
TI トラック誘導灯
LS 受入れピット高さ検出装置
LD 荷重計
PS 位置検出器
TS 横行
TL 走行
図1
図2