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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161127
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20231030BHJP
   H01R 13/11 20060101ALI20231030BHJP
   H01R 13/193 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01R13/04 E
H01R13/11 K
H01R13/193
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071296
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100154900
【弁理士】
【氏名又は名称】関 京悟
(72)【発明者】
【氏名】芦部 健太
(57)【要約】
【課題】接触信頼性を向上させる接続構造を提供する。
【解決手段】接続構造1は、第1方向に第1配列ピッチで配列され、第1方向に交差する第2方向に第2配列ピッチで配列された複数の第1凸部19または第1凹部を含む第1接触部18を有する第1端子10と、第1接触部18に対向して接触する第2接触部28であって、第1接触部18に対向した場合に、第1方向に第3配列ピッチで配置され、第2方向に第4配列ピッチで配列された複数の第2凸部29または第2凹部59を含む第2接触部28を有する第2端子20と、を備え、第1配列ピッチ及び第3配列ピッチのうち、一方は、他方の第1整数倍のピッチで配列され、第2配列ピッチ及び第4配列ピッチのうち、一方は、他方の第2整数倍のピッチで配列される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に第1配列ピッチで配列され、前記第1方向に交差する第2方向に第2配列ピッチで配列された複数の第1凸部または第1凹部を含む第1接触部を有する第1端子と、
前記第1接触部に対向して接触する第2接触部であって、前記第1接触部に対向した場合に、前記第1方向に第3配列ピッチで配置され、前記第2方向に第4配列ピッチで配列された複数の第2凸部または第2凹部を含む前記第2接触部を有する第2端子と、
を備え、
前記第1配列ピッチ及び前記第3配列ピッチのうち、一方は、他方の第1整数倍のピッチで配列され、
前記第2配列ピッチ及び前記第4配列ピッチのうち、一方は、他方の第2整数倍のピッチで配列される、
接続構造。
【請求項2】
前記第1接触部は、複数の前記第1凸部を含み、
前記第2接触部は、複数の前記第2凸部を含み、
前記第1整数倍及び前記第2整数倍は、1倍であり、
各第1凸部が前記第2凸部と前記第2凸部との間に位置することにより、前記第1接触部は、前記第2接触部に接触する、
請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記第1方向と前記第2方向とは、直交し、
前記第1凸部及び前記第2凸部は、四角錐状である、
請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記第1接触部は、複数の前記第1凸部を含み、
前記第2接触部は、複数の前記第2凹部を含み、
前記第1整数倍及び前記第2整数倍は、1倍であり、
各第1凸部が各第2凹部に嵌合することにより、前記第1接触部は、前記第2接触部に接触する、
請求項1に記載の接続構造。
【請求項5】
前記第1方向と前記第2方向とは、直交し、
前記第1凸部は、四角錐状である、
請求項4に記載の接続構造。
【請求項6】
前記第1接触部は、複数の前記第1凹部を含み、
前記第2接触部は、複数の前記第2凸部を含み、
前記第1整数倍及び前記第2整数倍は、1倍であり、
各第1凹部が各第2凸部に嵌合することにより、前記第1接触部は、前記第2接触部に接触する、
請求項1に記載の接続構造。
【請求項7】
前記第1方向と前記第2方向とは、直交し、
前記第2凸部は、四角錐状である、
請求項6に記載の接続構造。
【請求項8】
前記第2接触部に対向した位置まで、無挿入力で前記第1接触部を移動させる移動空間と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記第1接触部が前記第2接触部に向かう向きに前記第1接触部を移動させ、前記第1接触部と前記第2接触部との接触を保持させる保持手段と、
をさらに備えた、
請求項1~7のいずれか1項に記載の接続構造。
【請求項9】
前記保持手段が前記第1接触部と前記第2接触部との接触を保持させた状態での前記第1端子と前記第2端子とを合わせた前記第3方向の厚さは、前記第1端子の前記第3方向の厚さ及び前記第2端子の前記第3方向の厚さの和よりも小さい、
請求項8に記載の接続構造。
【請求項10】
前記移動空間は、前記第1方向に延び、
前記第1方向と前記第2方向は直交する、
請求項8に記載の接続構造。
【請求項11】
前記第2接触部に対向した位置まで、前記第1接触部を移動させる際に、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記第1接触部が前記第2接触部に向かう向きに前記第1接触部を前記第2接触部に押し付ける押付手段をさらに備えた、
請求項1~7のいずれか1項に記載の接続構造。
【請求項12】
前記第1端子と前記第2端子との接続及び切断が可能なコネクタである、
請求項1~7のいずれか1項に記載の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、例えば、図16に示すような雄端子110に形成された凸部111及び雌端子120に形成された膨出部121が記載されている。雄端子110の凸部111は、雄端子110の挿入方向に延びている。特許文献1の接続構造は、雄端子110と雌端子120の双方の接触部に凸部を有するようにし、雄端子110と雌端子120とを接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5831611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の接続構造において、振動や衝撃といった接触部に加わる意図しない荷重に対して、接触部は容易に動いてしまう。これにより、特許文献1の接触部は摩耗し易い。また、接触部の一部が削れ、接触力が弱まる懸念がある。さらに、特許文献1の接触部は、一点接触となる懸念もあり、接触信頼性を向上させることが困難となっている。
【0005】
本発明の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、接触信頼性を向上させることができる接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願開示の観点によれば、第1方向に第1配列ピッチで配列され、前記第1方向に交差する第2方向に第2配列ピッチで配列された複数の第1凸部または第1凹部を含む第1接触部を有する第1端子と、前記第1接触部に対向して接触する第2接触部であって、前記第1接触部に対向した場合に、前記第1方向に第3配列ピッチで配置され、前記第2方向に第4配列ピッチで配列された複数の第2凸部または第2凹部を含む前記第2接触部を有する第2端子と、を備え、前記第1配列ピッチ及び前記第3配列ピッチのうち、一方は、他方の第1整数倍のピッチで配列され、前記第2配列ピッチ及び前記第4配列ピッチのうち、一方は、他方の第2整数倍のピッチで配列されてもよい。
【0007】
上記接続構造では、前記第1接触部は、複数の前記第1凸部を含み、前記第2接触部は、複数の前記第2凸部を含み、前記第1整数倍及び前記第2整数倍は、1倍であり、各第1凸部が前記第2凸部と前記第2凸部との間に位置することにより、前記第1接触部は、前記第2接触部に接触してもよい。
【0008】
上記接続構造では、前記第1方向と前記第2方向とは、直交し、前記第1凸部及び前記第2凸部は、四角錐状でもよい。
【0009】
上記接続構造では、前記第1接触部は、複数の前記第1凸部を含み、前記第2接触部は、複数の前記第2凹部を含み、前記第1整数倍及び前記第2整数倍は、1倍であり、各第1凸部が各第2凹部に嵌合することにより、前記第1接触部は、前記第2接触部に接触してもよい。
【0010】
上記接続構造では、前記第1方向と前記第2方向とは、直交し、前記第1凸部は、四角錐状でもよい。
【0011】
上記接続構造では、前記第1接触部は、複数の前記第1凹部を含み、前記第2接触部は、複数の前記第2凸部を含み、前記第1整数倍及び前記第2整数倍は、1倍であり、各第1凹部が各第2凸部に嵌合することにより、前記第1接触部は、前記第2接触部に接触してもよい。
【0012】
上記接続構造では、前記第1方向と前記第2方向とは、直交し、前記第2凸部は、四角錐状でもよい。
【0013】
上記接続構造では、前記第2接触部に対向した位置まで、無挿入力で前記第1接触部を移動させる移動空間と、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記第1接触部が前記第2接触部に向かう向きに前記第1接触部を移動させ、前記第1接触部と前記第2接触部との接触を保持させる保持手段と、をさらに備えてもよい。
【0014】
上記接続構造では、前記保持手段が前記第1接触部と前記第2接触部との接触を保持させた状態での前記第1端子と前記第2端子とを合わせた前記第3方向の厚さは、前記第1端子の前記第3方向の厚さ及び前記第2端子の前記第3方向の厚さの和よりも小さくてもよい。
【0015】
上記接続構造では、前記移動空間は、前記第1方向に延び、前記第1方向と前記第2方向は直交してもよい。
【0016】
上記接続構造では、前記第2接触部に対向した位置まで、前記第1接触部を移動させる際に、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記第1接触部が前記第2接触部に向かう向きに前記第1接触部を前記第2接触部に押し付ける押付手段をさらに備えてもよい。
【0017】
上記接続構造では、前記第1端子と前記第2端子とは、接続及び取り外し可能なコネクタでもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接触信頼性を向上させる接続構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る接続構造を例示した斜視図である。
図2】実施形態1に係る第1端子を例示した斜視図である。
図3】実施形態1に係る第1端子の第1接触部を例示した斜視図である。
図4】実施形態1に係る第2端子を例示した斜視図である。
図5】実施形態1に係る第2端子の第2接触部を例示した斜視図である。
図6】実施形態1に係る接続構造において、第1端子及び第2端子を例示した斜視図である。
図7】実施形態1に係る接続構造において、第1端子及び第2端子を例示した断面図であり、図6のVII-VIIの断面を示す。
図8】実施形態1に係る接続構造において、ZIF接触する第1端子及び第2端子を例示した斜視図である。
図9】実施形態1に係る接続構造において、ZIF接触する第1端子及び第2端子の動作を例示した断面図である。
図10】実施形態1に係る接続構造において、ZIF接触する第1端子及び第2端子の動作を例示した断面図であり、図8のX-Xの断面を示す。
図11】実施形態1に係る接続構造において、ZIF接触する第1端子及び第2端子の動作を例示した断面図である。
図12】実施形態1に係る別の接続構造において、第1端子及び第2端子の動作を例示した断面図である。
図13】実施形態1に係る別の接続構造において、第1端子及び第2端子の動作を例示した断面図である。
図14】実施形態2に係る接続構造において、第1端子を例示した斜視図である。
図15】実施形態3に係る接続構造において、第2端子を例示した斜視図である。
図16】関連技術の接続構造を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0021】
(実施形態1)
実施形態1の接続構造を説明する。図1は、実施形態1に係る接続構造を例示した斜視図である。図1に示すように、接続構造1は、第1端子10と、第2端子20とを備えている。接続構造1は、例えば、大電流を流すケーブルCBを含む車載向け用途のコネクタである。接続構造1は、第1端子10と第2端子20との接続及び切断を行うことによって、電流の流れを制御する。なお、接続構造1は、大電流を流すケーブルCBを含む車載向け用途のコネクタに限らず、低電流のケーブルCBのコネクタでもよい。また、接続構造1は、第1端子10と第2端子20との接続及び切断が可能なコネクタに限らず、第1端子10と第2端子20とをネジ止め等により固定し、第1端子10と第2端子20との切断を意図しない接続状態を維持する接続構造1でもよい。
【0022】
第1端子10は、例えば、ピンコンタクト10pである。なお、第1端子10は、第2端子20と接触して電流を流すことができれば、ピンコンタクト10pに限らない。第2端子20は、例えば、ソケットコンタクト20sである。なお、第2端子20は、第1端子10と接触して電流を流すことができれば、ソケットコンタクト20sに限らない。ソケットコンタクト20sは、ソケットSCに覆われてもよい。ソケットSCは、ピンコンタクト10pがソケットコンタクト20sに対向する位置まで挿入できる挿入口30を有している。ピンコンタクト10pは、ソケットSCに挿入口30から挿入することにより、ソケットコンタクト20sと接続する。
【0023】
ここで、接続構造1を説明する便宜のために、XYZ直交座標軸系を導入する。第1端子10と第2端子20とが対向して接触した場合に、第1端子10と第2端子20とが対向する方向をX軸方向とする。第1端子10から第2端子20に向かう向きを+X軸方向の向きとする。X軸方向に直交する2つの方向のうち、例えば、ピンコンタクト10pとしての第1端子10のソケットSC内の移動方向をZ軸方向とし、ピンコンタクト10pがソケットSCに挿入する方向を+Z軸方向とする。X軸方向及びZ軸方向に直交する方向をY軸方向とする。
【0024】
図2は、実施形態1に係る第1端子10を例示した斜視図である。第1端子10は、例えば、矩形の板状であり、2つの板面11及び12、2つの側面13及び14、2つの端面15及び16を有している。端面16は、例えば、基台17に接続し、基台17を介してケーブルCB等に接続する。板面11は、第2端子20と接触する第1接触部18となっている。よって、第1端子10は、第1接触部18を有している。なお、第1端子10の形状は、第2端子20と接触する第1接触部18を有していれば、板状に限らず、例えば、第1接触部18を断面とする半球状でもよい。
【0025】
図3は、実施形態1に係る第1端子10の第1接触部18を例示した斜視図である。図3に示すように、第1接触部18は、複数の第1凸部19を含んでいる。図3において、図が煩雑にならないように、一部の符号は省略されている。図3以降の図でも、図が煩雑にならないように、一部の符号が省略される場合がある。
【0026】
第1接触部18は、板面11上の複数の第1凸部19の表面を考えれば、接触面ということもできる。複数の第1凸部19は、第1方向に所定の第1配列ピッチで配列されている。第1方向は、例えば、Z軸方向である。また、複数の第1凸部19は、第2方向に所定の第2配列ピッチで配列されている。第2方向は、例えば、Y軸方向である。本実施形態において、第1方向と第2方向とは、直交している。
【0027】
なお、複数の第1凸部19が配列する第1方向及び第2方向は、それぞれ、Z軸方向及びY軸方向に限らない。例えば、第1方向及び第2方向は、それぞれ、YZ面内におけるZ軸方向及びY軸方向に傾いた方向でもよい。また、第1方向及び第2方向は、相互に交差する方向であれば、相互に直交する方向に限らない。
【0028】
第1凸部19は、例えば、四角錐状である。四角錐状の第1凸部19の底面は、Y軸方向に延びた2つの辺及びZ軸方向に延びた2つの辺を有する四角形である。複数の第1凸部19は、例えば、板面11にZ軸方向に延びた複数のV字断面の溝を形成した後、板面11にY軸方向に延びた複数のV字断面の溝を形成することによって形成される。なお、複数の第1凸部19の形成方法は、V字断面の溝による形成に限らず、鋳造、鍛造、3Dプリンタ等による形成でもよい。
【0029】
第1凸部19の形状は、四角錐状に限らず、円錐状でもよいし、半円球状でもよい。また、例えば、第1方向及び第2方向の角度を60度とした三角錐状でもよい。
【0030】
複数の第1凸部19が第1方向に配列される第1配列ピッチは、第1方向において隣り合う第1凸部19間の間隔である。複数の第1凸部19が配列した第1方向の第1配列ピッチは、例えば、四角錐の底面における一辺の長さである。複数の第1凸部19が第2方向に配列される第2配列ピッチは、第2方向において隣り合う第1凸部19間の間隔である。複数の第1凸部19が配列した第2方向の第2配列ピッチは、例えば、第1配列ピッチと同様に四角錐の底面における一辺の長さである。
【0031】
図4は、実施形態1に係る第2端子20を例示した斜視図である。第2端子20は、例えば、矩形の板状であり、2つの板面21及び22、2つの側面23及び24、2つの端面25及び26を有している。端面26は、例えば、基台27に接続し、基台27を介してケーブルCB等に接続する。板面21は、第1端子10と接触する第2接触部28となっている。よって、第2端子20は、第1接触部18に対向して接触する第2接触部28を有している。なお、第2端子20の形状は、第1端子10と接触する第2接触部28を有していれば、板状に限らず、例えば、第2接触部28を断面とする半球状でもよい。
【0032】
図5は、実施形態1に係る第2端子20の第2接触部28を例示した斜視図である。図3に示すように、第2接触部28は、複数の第2凸部29を含んでいる。第2接触部28は、板面21上の複数の第2凸部29の表面を考えれば、接触面ということもできる。第2接触部28が第1接触部18に対向した場合に、複数の第2凸部29は、第1方向に所定の第3配列ピッチで配列されている。第1方向は、例えば、Z軸方向である。また、複数の第2凸部29は、第2方向に所定の第4配列ピッチで配列されている。第2方向は、例えば、Y軸方向である。本実施形態において、第1方向と第2方向とは、直交している。
【0033】
第1凸部19と同様に、複数の第2凸部29が配列する第1方向及び第2方向は、それぞれ、Z軸方向及びY軸方向に限らない。例えば、第1方向及び第2方向は、それぞれ、YZ面内におけるZ軸方向及びY軸方向に傾いた方向でもよい。また、第1方向及び第2方向は、相互に交差する方向であれば、相互に直交する方向に限らない。
【0034】
第2凸部29は、例えば、四角錐状である。四角錐状の第2凸部29の底面は、Y軸方向に延びた2つの辺及びZ軸方向に延びた2つの辺を有する四角形である。複数の第2凸部29の形成方法は、複数の第1凸部19の形成方法と同様でもよいし、異なる形成方法でもよい。
【0035】
第2凸部29の形状は、四角錐状に限らず、円錐状でもよいし、半円球状でもよい。また、例えば、第1方向及び第2方向の角度を60度とした三角錐状でもよい。
【0036】
複数の第2凸部29が第1方向に配列される第3配列ピッチは、第1方向において隣り合う第2凸部29間の間隔である。複数の第2凸部29が配列した第1方向の第3配列ピッチは、例えば、四角錐の底面における一辺の長さである。複数の第2凸部29が第2方向に配列される第4配列ピッチは、第2方向において隣り合う第2凸部29間の間隔である。複数の第2凸部29が配列した第2方向の第4配列ピッチは、例えば、第3配列ピッチと同様に四角錐の底面における一辺の長さである。
【0037】
第1配列ピッチ及び第3配列ピッチのうち、一方は、他方の第1整数倍のピッチで配列されている。例えば、第1整数倍は、1倍である。すなわち、第1方向に配列された複数の第1凸部19は、第1方向に配列された複数の第2凸部29と同じ配列ピッチで配列されている。第2配列ピッチ及び第4配列ピッチのうち、一方は、他方の第2整数倍のピッチで配列されている。例えば、第2整数倍は、1倍である。すなわち、第2方向に配列された複数の第1凸部19は、第2方向に配列された複数の第2凸部29と同じ配列ピッチで配列されている。
【0038】
配列ピッチが大きいほど、隣り合う第1凸部19間の間隔及び隣り合う第2凸部29間の間隔が大きくなる。例えば、第1凸部19が配列される第1配列ピッチが、第2凸部29が配列される第3配列ピッチの2倍のピッチで配列されるとは、隣り合う第1凸部19間の間隔は、隣り合う第2凸部29間の間隔の2倍であることを意味する。
【0039】
図6は、実施形態1に係る接続構造1において、第1端子10及び第2端子20を例示した斜視図である。図7は、実施形態1に係る接続構造1において、第1端子10及び第2端子20を例示した断面図であり、図6のVII-VIIの断面を示す。図6及び図7に示すように、接続構造1において、第1端子10の第1接触部18における各第1凸部19が第2凸部29と第2凸部29との間に位置することにより、第1接触部18は、第2接触部28に接触する。言い換えれば、各第2凸部29が第1凸部19と第1凸部19との間に位置することにより、第2接触部28は、第1接触部18に接触する。
【0040】
具体的には、例えば、図5に示したように、第2凸部29と第2凸部29との間には、凹部29aが形成されている。例えば、第1方向(例えば、Z軸方向)に配列された各第2凸部29とその隣接の第2凸部29との間には、それぞれ、凹部29aが形成されている。各凹部29aは、第1方向に配列されている。そして、第1端子10の第1方向に配列された各第1凸部19は、第2端子20の第1方向に配列された各凹部29aに嵌合する。
【0041】
また、図3に示したように、第1凸部19と第1凸部19との間には、凹部19aが形成されている。例えば、第1方向に配列された各第1凸部19とその隣接の第1凸部19との間には、それぞれ、凹部19aが形成されている。各凹部19aは、第1方向に配列されている。そして、第2端子20の第1方向に配列された各第2凸部29は、第1端子10の第1方向に配列された各凹部19aに嵌合する。
【0042】
また、第2方向(例えば、Y軸方向)についても同様に、第1端子10の第2方向に配列された各第1凸部19は、第2端子20の第2方向に配列された各凹部29aに嵌合する。第2端子20の第2方向に配列された各第2凸部29は、第1端子10の第2方向に配列された各凹部19aに嵌合する。
【0043】
さらに、第1方向と第2方向とが直交している場合には、第1方向及び第2方向を含む面内における両方向から45度傾いた方向についても同様である。具体的には、YZ平面におけるY軸及びZ軸から45度傾いた方向を45度方向と呼ぶ。そうすると、45度方向に配列された各第1凸部19は、45度方向に配列された各凹部29aに嵌合してもよいし、45度方向に配列された各第2凸部29は、45度方向に配列された各凹部19aに嵌合してもよい。
【0044】
次に、接続構造1がZIF(Zero Insertion Force)接触する場合の動作を説明する。図8は、実施形態1に係る接続構造1において、ZIF接触する第1端子10及び第2端子20を例示した斜視図である。図9図11は、実施形態1に係る接続構造1において、ZIF接触する第1端子10及び第2端子20の動作を例示した断面図である。図10は、図8のX-Xの断面を示す。
【0045】
図8図11に示すように、接続構造1は、ソケットSCを有してもよい。ソケットSCは、第1端子10を挿入させる挿入口30と、挿入口30から挿入した第1端子10が移動する移動空間31と、第1端子10の第1接触部18と第2端子の第2接触部28との接触を保持させる保持手段32を有している。
【0046】
図9に示すように、移動空間31において、保持手段32と第2接触部28との間のX軸方向の長さは、第1端子10のX軸方向の長さよりも大きい。したがって、第1端子10は、無挿入力でソケットSCの内部に挿入させることができる。図10に示すように、ソケットSCに挿入した第1端子10は、第1接触部18を第2接触部28に対向した位置まで移動する。このように、接続構造1は、第2接触部28に対向した位置まで、無挿入力で第1接触部18を移動させる移動空間31を備えてもよい。
【0047】
図11に示すように、保持手段32は、第2接触部28に対向した位置まで移動した第1接触部18を、+X方向に移動させ、第1接触部18と、第2接触部28との接触を保持する。例えば、保持手段32は、板バネ32a及びレバー32bを含んでもよい。レバー32bをソケットSCから-X軸方向に引き抜くことにより、板バネ32aを-X軸方向に移動させる。そして、第1端子10を挿入後、レバー32bを+X軸方向に移動させることにより、板バネ32aを介して第1接触部18を+X軸方向に移動させる。このようにして、第1接触部18と、第2接触部28との接触を保持させる。
【0048】
保持手段32が第1接触部18と第2接触部28との接触を保持させた状態での第1端子10と第2端子20とを合わせたX軸方向の厚さは、第1端子10のX軸方向の厚さ及び第2端子20のX軸方向の厚さの和よりも小さい。すなわち、第1接触部18と第2接触部28との接触を保持させた状態では、第1凸部19と第2凸部29とが噛み合っている。よって、第1凸部19及び第2凸部29の噛み合った分だけ、第1端子10と第2端子20とを合わせたX軸方向の長さが小さくなる。このようにして、ZIF接触させることにより、第1接触部18の第1凸部19と第2接触部28の第2凸部29との嵌合状態を保持することができ、接触信頼性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態では、第1凸部19及び第2凸部29が配列した第1方向と第2方向とは直交している。そして、移動空間31は、第1方向に延び、第1端子10の挿入方向は第1方向とされている。この場合には、第1接触部18を第2接触部28に対向した位置まで第1方向に移動させる際に、第1方向に並んだ複数の第2凸部29の列の間に沿って滑らすように、第1方向に並んだ複数の第1凸部19の列を通すことができる。よって、スムーズに第1端子10を移動させることができる。
【0050】
図12及び図13は、実施形態1に係る別の接続構造1において、第1端子10及び第2端子20の動作を例示した断面図である。図12及び図13に示すように、別の接続構造は、保持手段32の代わりに、押付手段33を有してもよい。
【0051】
図12に示すように、移動空間31において、押付手段33と第2接触部28との間のX軸方向の長さは、第1端子10のX軸方向の長さよりも小さい。また、押付手段33は、例えば、板バネ等の弾性部材である。よって、第2接触部28に対向した位置まで、第1接触部18を移動させる際に、第1端子10は、押付手段33及び第2接触部28に接触しながら移動する。その際に、押付手段33は、+X軸方向に第1接触部18を第2接触部28に押し付ける。したがって、第1端子10をソケットSCに挿入する際に、挿入力を必要とする。
【0052】
図13に示すように、押付手段33は、第2接触部28に対向した位置まで移動した第1接触部18を、+X軸方向に押し付ける。よって、押付手段33は、第1接触部18と、第2接触部28との接触を保持することができる。
【0053】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の接続構造1は、第1端子10及び第2端子20の双方の第1接触部18及び第2接触部28に、金ヤスリのような所定の配列ピッチの複数の第1凸部19及び第2凸部29を有する。そして、各第1凸部19が第2凸部29と第2凸部29との間に位置することにより、第1接触部18は、第2接触部28に接触する。よって、接続構造1は、多点でのフリクションロックによって摩擦力を向上させることができ、振動や衝撃等で第1端子10に荷重が掛かっても、第1端子10の移動を抑制し、接点摩耗を抑制することができる。
【0054】
具体的には、第1凸部19の配列ピッチと、第2凸部29の配列ピッチとの関係を整数倍とすることにより、各第1凸部19を、第2凸部29と第2凸部29との間に配置することができる。よって、接触面積を大きくし、接触信頼性を向上させることができる。例えば、整数倍を1倍とすることにより、さらに接触面積を大きくし、接触信頼性を向上させることができる。
【0055】
このように、本実施形態の接続構造1は、安定して常に多点接触が得られるので、接触信頼性を向上させることができる。また、接触面の表面積が大きく放熱性に優れる。第1方向と第2方向とを、直交させ、第1凸部19及び第2凸部29を、四角錐状とすることによって、さらに接触面積を大きくし、接触信頼性を向上させることができる。
【0056】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る接続構造を説明する。本実施形態は、第1凸部及び第2凸部の配列ピッチのバリエーションである。
【0057】
図14は、実施形態2に係る接続構造において、第1端子を例示した斜視図である。図14に示すように、本実施形態の第1端子40は、第1方向に第1配列ピッチで配列され、第2方向に第2配列ピッチで配列された複数の第1凸部49を含む第1接触部48を有する。第1方向及び第2方向は、それぞれ、Z軸方向及びY軸方向である。
【0058】
これに対して、第2端子20は、実施形態1と同様に、図5に示すように、第1接触部48に対向した場合に、第1方向に第3配列ピッチで配置され、第2方向に第4配列ピッチで配列された複数の第2凸部29を含む第2接触部28を有する。
【0059】
したがって、第1方向における第1配列ピッチ及び第3配列ピッチのうち、一方は、他方の2倍のピッチで配列されている。具体的には、第1配列ピッチは、第3配列ピッチの2倍である。第2方向における第2配列ピッチ及び第4配列ピッチのうち、一方は、他方の2倍のピッチで配列されている。具体的には、第2配列ピッチは、第4配列ピッチの2倍である。なお、第1配列ピッチは、第3配列ピッチの2倍に限らず、3倍以上でもよいし、第3配列ピッチは、第1配列ピッチの2倍または3倍以上でもよい。また、第2配列ピッチは、第4配列ピッチの2倍に限らず、3倍以上でもよいし、第4配列ピッチは、第2配列ピッチの2倍または3倍以上でもよい。
【0060】
このように、第1方向における第1配列ピッチ及び第3配列ピッチのうち、一方は、他方の整数倍であれば、1倍に限らない。また、第2方向における第2配列ピッチ及び第4配列ピッチのうち、一方は、他方の整数倍であれば、1倍に限らない。なお、第1方向における配列ピッチの一方に対する他方の整数倍と、第2方向における配列ピッチの一方に対する他方の整数倍とは同じ整数倍でもよいし、異なる整数倍でもよい。
【0061】
本実施形態によれば、配列ピッチの自由度を向上させることができる。また、本実施形態でも、安定して多点接触が得られるので、接触信頼性を向上させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0062】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る接続構造を説明する。本実施形態は、第1接触部及び第2接触部の凸部及び凹部のバリエーションである。
【0063】
図15は、実施形態3に係る接続構造において、第2端子を例示した斜視図である。図15に示すように、第2端子50は、第1接触部18に対向した場合に、第1方向に第3配列ピッチで配置され、第2方向に第4配列ピッチで配列された複数の第2凹部59を含む第2接触部58を有する。第2凹部59は、四角錐状の第1凸部19が嵌合する四角錐状の凹部となっている。
【0064】
図3に示したように、第1端子10の第1接触部18は、複数の第1凸部19を含む。第2端子50の第2接触部58は、複数の第2凹部59を含む。また、第1配列ピッチ及び第3配列ピッチのうち、一方は、他方の1倍のピッチで配列され、第2配列ピッチ及び第4配列ピッチのうち、一方は、他方の1倍のピッチで配列されている。本実施形態では、第1端子10の各第1凸部19が第2端子50の各第2凹部に嵌合することにより、第1接触部18は、第2接触部58に接触する。
【0065】
なお、第1端子10は、複数の第1凸部19を含む第1接触部18を有し、第2端子50は、複数の第2凹部59を含む第2接触部58を有するとしたが、逆の構成でもよい。すなわち、第2端子20は、複数の第2凸部29を含む第2接触部28を有し、第1端子は、複数の第1凹部を含む第1接触部を有するとしてもよい。この場合には、各第1凹部が各第2凸部29に嵌合することにより、第1接触部は、第2接触部28に接触する。
【0066】
また、第1配列ピッチ及び第3配列ピッチのうち、一方は、他方の1倍のピッチで配列され、第2配列ピッチ及び第4配列ピッチのうち、一方は、他方の1倍のピッチで配列されるとしたが、これに限らない。第1凸部19についての第1配列ピッチ及び第2配列ピッチが第2凹部59についての第3配列ピッチ及び第4配列ピッチよりも大きければ、第1整数倍及び第2整数倍は1以外でもよい。また、第1凹部についての第1配列ピッチ及び第2配列ピッチが第2凸部29についての第3配列ピッチ及び第4配列ピッチよりも小さければ、第1整数倍及び第2整数倍は1以外でもよい。
【0067】
本実施形態では、凸部と凹部とが嵌合するので、接触面積をおおきくすることができる。よって、接触信頼性をさらに向上させることができる。これ以外の構成及び効果は実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態よる限定は受けない。例えば、第1端子10は、複数の第1凹部を含む第1接触部を有する場合に、第2端子50は、複数の第2凹部59を含む第2接触部58を有することを排除しない。このような場合においても、第1接触部と第2接触部58との接触を保持することができる。また、実施形態1~3における各構成は、適宜、組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 接続構造
10 第1端子
10p ピンコンタクト
11、12 板面
13、14 側面
15、16 端面
17 基台
18 第1接触部
19 第1凸部
19a 凹部
20 第2端子
20s ソケットコンタクト
21、22 板面
23、24 側面
25、26 端面
27 基台
28 第2接触部
29 第2凸部
29a 凹部
30 挿入口
31 移動空間
32 保持手段
32a 板バネ
32b レバー
33 押付手段
40 第1端子
48 第1接触部
49 第1凸部
50 第2端子
58 第2接触部
59 第2凹部
110 雄端子
111 凸部
120 雌端子
121 膨出部
CB ケーブル
SC ソケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16