(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161187
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】身体洗浄用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20231030BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20231030BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231030BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20231030BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20231030BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20231030BHJP
C11D 1/04 20060101ALI20231030BHJP
C11D 1/92 20060101ALI20231030BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/42
A61K8/37
A61K8/46
A61Q19/10
C11D1/10
C11D1/04
C11D1/92
C11D3/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071383
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】520061767
【氏名又は名称】紅道科研センター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125221
【弁理士】
【氏名又は名称】水田 愼一
(74)【代理人】
【識別番号】100142077
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 真之
(72)【発明者】
【氏名】川野 大地
(72)【発明者】
【氏名】安本 陵太
(72)【発明者】
【氏名】何 雨▲旋▼
(72)【発明者】
【氏名】蘇 詩韻
(72)【発明者】
【氏名】付 子華
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC391
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AD092
4C083AD212
4C083BB05
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD27
4C083EE03
4C083EE06
4H003AB03
4H003AB11
4H003AD04
4H003BA12
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB30
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA28
(57)【要約】
【課題】身体洗浄用組成物において、液剤がパール光沢を有するものとする。
剤型に応じて適切な使用感を得ることができる粘度を調整し得るものとする
【解決手段】身体洗浄用組成物は、成分(A)アミノ酸系陰イオン界面活性剤、成分(B)脂肪酸カリウム塩、成分(C)脂肪酸グリコールエステル、成分(D)スルホベタイン型両性界面活性剤、成分(E)水を含有し、成分(A)が3質量%以上、成分(B)が1質量%以上、含有されている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分(A)アミノ酸系陰イオン界面活性剤
成分(B)脂肪酸カリウム塩
成分(C)脂肪酸グリコールエステル
成分(D)スルホベタイン型両性界面活性剤
成分(E)水
を含有し、前記成分(A)が3質量%以上、前記成分(B)が1質量%以上、含有されている身体洗浄用組成物。
【請求項2】
pHが6.5以上であることを特徴とする請求項1に記載の身体洗浄用組成物。
【請求項3】
前記成分(C)の含有量が、1~3質量%であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の身体洗浄用組成物。
【請求項4】
前記成分(D)が4質量%以上、含有されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の身体洗浄用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パール光沢を有する身体洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、皮膚等の身体を洗浄するための洗浄料として、脂肪酸石鹸が広く使用されてきた。しかし、脂肪酸石鹸は、洗浄力、起泡性、水への溶解性等に優れるといった特徴がある一方で、脱脂性が強く、使用後に肌につっぱりを感じる等、皮膚刺激性が強くなる傾向がある。そこで、アミノ酸系界面活性剤を洗浄成分として用いたアミノ酸系洗浄料が注目されるようになった。アミノ酸系界面活性剤は、脂肪酸石鹸に比べて、皮膚に対する刺激が少ないという特徴があり、低刺激性が求められる洗顔料に好適に用いられている。
【0003】
しかし、洗顔料等の身体洗浄用組成物は、皮膚に対する低刺激性だけでなく、液剤の見栄えが良いといった高付加価化が求められており、例えば、パール光沢を有する液剤とすることで、使用者に高級感を与えるようにしたものが知られている。この種のものとして、パール化剤として、例えば、ジステアリン酸グリコールを液剤に添加したものがある(例えば、特許文献1参照)。ジステアリン酸グリコールは、それを加温溶解して、攪拌しながら冷却すると再結晶化するので、その油分の結晶によってパールのような光沢ある液剤を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ジステアリン酸グリコールは、他の界面活性剤や溶剤のpH、様々な条件次第で、パール光沢を生じる場合、生じない場合があり、安定的にパール光沢を発現させることが容易ではない。また、パール化剤の含有量を多く配合することで、パール光沢を発現させ易くはなるが、ジステアリン酸グリコールは、その配合量が多過ぎると、溶剤の粘度や泡立ちに影響を与え、身体洗浄用組成物としての品質を低下させることになりかねない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、アミノ酸系界面活性剤を洗浄成分として用い、且つ安定的にパール光沢を発現させることができる身体洗浄用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、
成分(A)アミノ酸系陰イオン界面活性剤
成分(B)脂肪酸カリウム塩
成分(C)脂肪酸グリコールエステル
成分(D)スルホベタイン型両性界面活性剤
成分(E)水
を含有し、前記成分(A)が3質量%以上、前記成分(B)が1質量%以上、含有されている身体洗浄用組成物である。
【0008】
また、上記身体洗浄用組成物において、pHが6.5以上であることが好ましい。
【0009】
また、上記身体洗浄用組成物において、前記成分(C)の含有量が、1~3質量%であることが好ましい。
【0010】
また、上記身体洗浄用組成物において、前記成分(D)が4質量%以上、含有されているが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、成分(A)アミノ酸系陰イオン界面活性剤、成分(B)脂肪酸カリウム塩、成分(C)脂肪酸グリコールエステル、成分(D)スルホベタイン型両性界面活性剤、成分(E)水のうち、少なくとも成分(A)が3質量%以上、成分(B)が1質量%の含有量とすることで、身体洗浄用組成物として、パール光沢を有する液剤を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る身体洗浄用組成物について、具体的に説明する。本実施形態に係る身体洗浄用組成物は、以下の成分を含有する。
成分(A)アミノ酸系陰イオン界面活性剤
成分(B)脂肪酸カリウム塩
成分(C)脂肪酸グリコールエステル
成分(D)スルホベタイン型両性界面活性剤
成分(E)水
【0013】
陰イオン界面活性剤は、洗顔料を含む身体用洗浄剤の主剤に使用されるものであり、歴史的に、石けん系界面活性剤、高級アルコール系界面活性剤、そしてアミノ酸系界面活性剤という順で開発が進められ、使用感の向上、低刺激性化が図られている。アミノ酸系界面活性剤は、高級脂肪酸にアミノ酸を反応させて作られたものであり、使用感、低刺激性向上の両面で、それ以前の高級アルコール系界面活性剤よりその性質が向上している。
【0014】
本実施形態の成分(A)のアミノ酸系陰イオン界面活性剤には、N-アシルアミノ酸及びその塩が好適に用いられ、例えば、N-アシルグリシン、N-アシルアラニン、N-アシルグルタミン酸及びこれらの塩が挙げられ、特に、N-アシルグリシン塩が好ましい。また、アシル基は、炭素数4~22が好ましく、炭素数14~18がより好ましい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、ヤシ油脂肪酸、オレイン酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、及びこれらを含む混合脂肪酸から誘導されるアシル基が挙げられる。N-アシルアミノ酸の塩を構成する塩基成分としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン、リジン、オルニチン、アルギニン等の塩基性アミノ酸が挙げられる。
【0015】
具体的には、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンカリウム(ココイルグリシンカリウム)、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシンナトリウム(ココイルグリシンナトリウム)、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシントリエタノールアミン(ココイルグリシントリエタノールアミン)、N-ヤシ油脂肪酸アシルアラニンカリウム(ココイルアラニンカリウム)、N-ヤシ油脂肪酸アシルアラニンナトリウム(ココイルアラニンナトリウム)、N-ヤシ油脂肪酸アシルアラニントリエタノールアミン(ココイルアラニントリエタノールアミン)、
N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム(ココイルグルタミン酸カリウム)、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ナトリウム(ココイルグルタミン酸ナトリウム)、N-ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン(ココイルグルタミン酸トリエタノールアミン)、が挙げられ、特に、N-ヤシ油脂肪酸アシルグリシン塩が好ましい。
【0016】
アミノ酸系陰イオン界面活性剤(成分(A))は、身体洗浄用組成物の全量に対して、例えば、0.1~30質量%で含有され、好ましくは、2~15質量%で含有され、水(成分(E))がそれらとは相補的に含有される。アミノ酸系陰イオン界面活性剤は、洗浄剤として主要な役割を果たす成分であり、また、後述するパール化の要件から、全量に対して3質量%以上含有されていることが望ましい。
【0017】
本実施形態の成分(B)の脂肪酸カリウム塩には、例えば、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ヤシ脂肪酸カリウム、オレイン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、オリーブ脂肪酸カリウム、カメリア油脂肪酸カリウム、サフラワー脂肪酸カリウム、シア脂脂肪酸カリウム、ツバキ脂肪酸カリウム、パーム核脂肪酸カリウム、パーム脂肪酸カリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、ベヘン酸カリウム、ホホバ油脂肪酸カリウム、マカデミア種子油脂肪酸カリウム、ラノリン脂肪酸カリウム、リノール酸カリウム、水添ヤシ脂肪酸カリウム、牛脂脂肪酸カリウム等が挙げられ、特に、ヤシ脂肪酸カリウムが好ましい。ヤシ脂肪酸カリウムは、ヤシ油とカリウムを材料に作られたカリ石鹸であり、いわゆる純石鹸成分であるが、水溶性が高く、また、起泡力の高いことから洗浄力に優れる。
【0018】
脂肪酸カリウム塩(成分(B))は、身体洗浄用組成物の全量に対して、例えば、0.01~10質量%で含有され、好ましくは、0.1~5質量%で含有される。また、脂肪酸カリウム塩(成分(B))は、アミノ酸系陰イオン界面活性剤(成分(A))の含有量に対して、1/10以上の含有量とされる。ただし、脂肪酸カリウム塩が多いと、身体洗浄用組成物の皮膚刺激性が強くなるので、その含有量がアミノ酸系陰イオン界面活性剤の含有量を超えることはなく、アミノ酸系陰イオン界面活性剤の含有量の1/3程度が好ましい。
【0019】
本実施形態の成分(C)の脂肪酸グリコールエステルには、例えば、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ジベヘン酸エチレングリコール等の脂肪酸モノエチレングリコール、並びにこれらのジエチレングリコール体及びトリエチレングリコール体が挙げられる。
【0020】
脂肪酸グリコールエステル(成分(C))は、身体洗浄用組成物の全量に対して、例えば、0.1~5質量%で含有され、好ましくは、1~3質量%で含有される。また、脂肪酸グリコールエステル(成分(C))は、アミノ酸系陰イオン界面活性剤(成分(A))の含有量に対して、1/2以下の含有量とされる。脂肪酸グリコールエステルの含有量が多いと、溶剤の粘度や泡立ちに影響を与え、身体洗浄用組成物としての品質を低下させることがあり、全量に対して3質量%以下であることが好ましい。
【0021】
本実施形態の成分(D)のスルホベタイン型両性界面活性剤には、例えば、ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン(ラウリルヒドロキシスルタイン)、エルカミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ラウラミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0022】
スルホベタイン型両性界面活性剤(成分(D))は、身体洗浄用組成物の全量に対して、例えば、0.1~20質量%で含有され、好ましくは、1~10質量%で含有される。また、スルホベタイン型両性界面活性剤(成分(D))は、アミノ酸系陰イオン界面活性剤(成分(A))の含有量に対して、2/5以上の含有量とされ、後述するパール化の要件から、全量に対して4質量%以上含有されることが好ましい。なお、スルホベタイン型両性界面活性剤は、皮膚刺激性が弱いので、身体洗浄用組成物としては、その含有量がアミノ酸系陰イオン界面活性剤の含有量を超えていてもよい。
【0023】
スルホベタイン型両性界面活性剤は、それ自体にも洗浄性及び起泡性を有しているが、陰イオン界面活性剤と併用することによって、洗浄性が増大し、キメの細かいクリーミーな泡質及び泡安定性が向上することが知られている。また、脂肪酸カリウム塩とスルホベタイン型両性界面活性剤とは、洗浄剤としての相性が良く、スルホベタイン型両性界面活性剤は、泡立ちを良くするだけでなく、脂肪酸カリウム塩の安定性を向上させる役割を果たす。
【0024】
本実施形態の成分(E)の水としては、例えば、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水又は天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
【0025】
その他、本実施形態の身体洗浄用組成物には、例えば、防腐剤成分として、グリコールエーテル、グリセリルアルキルエーテル又はアルカンジオールが添加されてもよい。グリコールエーテルとしては、例えば、フェノキシエタノール、フェノキシイソプロパノール、フェノキシプロパンジオール等が用いられる。グリセリルアルキルエーテルとしては、例えば、1-ヘキシルグリセリルエーテル、1-ヘプチルグリセリルエーテル、1-オクチルグリセリルエーテル、1-デシルグリセリルエーテル、1-ドデシルグリセリルエーテル、1-(2-エチルヘキシル)グリセリルエーテル(エチルヘキシルグリセリン)等が用いられる。アルカンジオールは、1,2-アルカンジオールが好ましく、例えば、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール(カプリリルグリコール)、1,2-ノナンジオール、1,2-デカンジオール等が挙げられる。また、本実施形態の身体洗浄用組成物には、保湿剤成分として、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、マルチトール、マルトース、ヒアルロン酸ナトリウム等が添加されてもよい。更に、安定剤成分として、例えば、アクリレーツコポリマーが添加されてもよい。
【0026】
以下に、ココイルグリシンカリウム(成分(A))、ヤシ脂肪酸カリウム(成分(B))、ジステアリン酸グリコール(成分(C))、ラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))の各成分の含有量を変化させることで、得られた身体洗浄用組成物のパール光沢の発現がどのように変化するかを試験した。パール光沢の評価は、下記の表1に示すように、身体洗浄用組成物の液剤がはっきりと縦横にパール光沢の層を成した状態のものを評価「3」とし、一定のパール光沢の層の発現見られるものを評価「2」、全くパール光沢の発現が見られないものを評価「1」とした。
【0027】
【0028】
<試験1>
試験1では、ココイルグリシンカリウム(成分(A))、ヤシ脂肪酸カリウム(成分(B))、ジステアリン酸グリコール(成分(C))、ラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))のうち、成分(B)の含有量(質量%)を変化させることで、得られた身体洗浄用組成物のパール光沢の発現がどのように変化するかを試験し、その結果を下記の表2に示す。なお、上記4成分に、更に、マルチトール、アクリレーツコポリマー、エチルヘキシルグリセリン、カプリリルグリコールを表2に示した含有量で添加し、残余に水(成分(E))を加えた。
【0029】
【0030】
表2に示したように、試験1A~1Eでは、成分(B)が配合されているため、良好なパール光沢の発現が見られたが、試験1Fでは、成分(B)が配合されていないため、全くパール光沢の発現が見られなかった。これらの結果より、パール化成分として知られる成分(C)が含有されていても、成分(B)が無配合の場合には、パール光沢の発現が見られないことが示された。
【0031】
<試験2>
試験2では、ココイルグリシンカリウム(成分(A))、ヤシ脂肪酸カリウム(成分(B))、ジステアリン酸グリコール(成分(C))、ラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))のうち、成分(A)及び成分(B)の含有量を変化させることで、得られた身体洗浄用組成物のパール光沢の発現がどのように変化するかを試験し、その結果を下記の表3に示す。なお、表3には示していないが、試験2においても、上記試験1と同様に、マルチトール、アクリレーツコポリマー、エチルヘキシルグリセリン、カプリリルグリコールを表2に示した含有量で添加した。後述する試験3~6も同様である。
【0032】
【0033】
表3に示す試験2A~2Eの結果より、成分(B)が1質量%以上配合されれば、パール光沢が発現することが示された。その一方で、試験2F、2Gで示されるように、成分(B)が1質量%配合されていても、成分(A)が3質量%以下になると、パール光沢の発現が低下することが示された。これらの結果より、成分(A)及び成分(B)の両方が必要であり、少なくとも成分(A)が3質量%以上必要であることが分かる。
【0034】
<試験3>
試験3では、ココイルグリシンカリウム(成分(A))、ヤシ脂肪酸カリウム(成分(B))、ジステアリン酸グリコール(成分(C))、ラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))のうち、成分(C)の含有量を変化させることで、得られた身体洗浄用組成物のパール光沢の発現がどのように変化するかを試験し、その結果を下記の表4に示す。
【0035】
【0036】
表4の試験3A、3Bに示すように、成分(C)の含有量が1質量%以上であれば、パール光沢が発現する一方で、試験3Cに示すように、成分(C)が無配合では、パール光沢が発現しないことが示された。
【0037】
<試験4>
試験4では、両面界面活性剤であるラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))を、別の両面界面活性剤に代替したときに、得られた身体洗浄用組成物のパール光沢の発現がどのように変化するかを試験し、その結果を下記の表5に示す。
【0038】
【0039】
表5に示す試験4B~4Dでは、ラウリルヒドロキシスルタインに換えて、コミカドプロピルベタイン、ココアンホ酢酸ナトリウム又はデシルグルコシドのいずれかを添加したが、いずれもパール光沢を発現しなかった。
【0040】
<試験5>
試験5では、ココイルグリシンカリウム(成分(A))、ヤシ脂肪酸カリウム(成分(B))、ジステアリン酸グリコール(成分(C))、ラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))のうち、成分(D)の含有量を変化させることで、得られた身体洗浄用組成物のパール光沢の発現がどのように変化するかを試験し、その結果を下記の表6に示す。
【0041】
【0042】
表6の試験5A~5Cに示すように、成分(D)が4質量%以上であれば、良好なパール光沢が発現する一方、試験5D~5Fに示すように、成分(D)が3.5質量%以下になると、パール光沢が低下し、1.5質量%ではパール光沢が発現しなかった。この結果から、成分(D)が4質量%以上である必要があることが分かる。
【0043】
<試験6>
試験6では、ココイルグリシンカリウム(成分(A))、ヤシ脂肪酸カリウム(成分(B))、ジステアリン酸グリコール(成分(C))、ラウリルヒドロキシスルタイン(成分(D))の含有量を一定にした上で、身体洗浄用組成物のpHが、パール光沢の発現にどのような影響を与えるかを試験し、その結果を下記の表7に示す。なお、pHは、水酸化ナトリウム又はクエン酸を適宜に添加することで調整した。
【0044】
【0045】
表7に示したように、上記成分で構成された身体洗浄用組成物は、pH6.5以上であれば良好なパール光沢を発現する一方、pH6では、パール光沢の発現が低下した。従って、上記成分で構成された身体洗浄用組成物のpHは6.5以上であることが好ましいことが分かる。また、身体洗浄用組成物である以上、過度にアルカリ性であることは好ましくなく、pH6.5~9が好ましい。
【0046】
本実施形態の洗浄用組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、適宜に任意の成分を含有することができる。任意の成分としては、例えば、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、ポリマー、香料、抗菌剤、増粘剤又は色素が挙げられる。具体的には、ポリマーとして、ポリクオタニウム-10、キレート剤として、EDTA-2ナトリウム等が挙げられる。なお、界面活性剤の組み合わせ以外の方法で粘度を出すために、増粘剤を添加することを否定するものではなく、例えば、ポリエチレングリコールジステアレート等の増粘剤が用いられてもよい。
【0047】
なお、本発明に係る身体洗浄用組成物は、上記実施例に限らず、種々の変形が可能である。本発明は、皮膚刺激性が要求される洗顔料に適用されることを想定しているが、パール光沢の付与による高付加価値化が求められるシャンプー(リンス、コンディショナー又はトリートメント等の成分を含有する各種シャンプーを含む)やボディーソープに転用することができ、界面活性剤を含有するあらゆる全身用洗浄用組成物に展開することができるのは言うまでもない。