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  • 特開-レンジフード用換気ダクト装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161188
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】レンジフード用換気ダクト装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20231030BHJP
   F24F 13/06 20060101ALI20231030BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
F24F13/06 E
F24F13/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071384
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000164553
【氏名又は名称】空研工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591219429
【氏名又は名称】空調技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水島 新
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 究
(72)【発明者】
【氏名】塚本 法宏
(72)【発明者】
【氏名】村川 勉
【テーマコード(参考)】
3L058
3L080
3L081
【Fターム(参考)】
3L058BJ05
3L080BE01
3L081AA04
3L081AB02
(57)【要約】
【課題】レンジフードから屋外までの距離が近くても、レンジフード用換気ダクトの防火ダンパを屋内に配置可能とすることで、防火ダンパの保守点検や復旧、補修作業を容易化する。
【解決手段】建物の厨房のレンジフード1と屋外4とを換気ダクト装置10の換気ダクト11によって連ねる。換気ダクト11は、垂直ダクト部12及び水平ダクト部13を含み、L字状に形成されている。垂直ダクト部12の下端部がレンジフード1に連なっている。水平ダクト部13が垂直ダクト部12の上端部に連なるとともに建物外壁2を通して屋外4へ臨んでいる。防火ダンパ20のシャッター21を垂直ダクト部12に収容し、点検ボックス23を垂直ダクト部12の外面に設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の厨房のレンジフードと屋外とを連ねる換気ダクト装置であって、
垂直ダクト部及び水平ダクト部を含むL字状の換気ダクトと、
前記換気ダクトを一定温度以上で閉じる常開のシャッター、及び点検ボックスを含む防火ダンパと、
を備え、前記垂直ダクト部の下端部が前記レンジフードに連なり、前記水平ダクト部が前記垂直ダクト部の上端部に連なるとともに建物外壁を通して屋外へ臨み、
前記シャッターが前記垂直ダクト部に収容され、前記点検ボックスが前記垂直ダクト部の外面に設けられていることを特徴とするレンジフード用換気ダクト装置。
【請求項2】
前記シャッターが、前記垂直ダクト部の管軸と交差する回転軸と、前記回転軸のまわりに回転可能に設けられた回転羽根を含み、開状態の前記回転羽根が、前記水平ダクト部の内周面の底部より上へ突出されていることを特徴とする請求項1に記載のレンジフード用換気ダクト装置。
【請求項3】
前記水平ダクト部が、前記レンジフード上の天井板の下側に沿って配管されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンジフード用換気ダクト装置。
【請求項4】
前記換気ダクトを覆う断熱カバーを備え、前記断熱カバーが、前記垂直ダクト部及び前記水平ダクト部にわたるL字状をなす一対の半割断熱カバー部材を含み、前記一対の半割断熱カバー部材が、前記換気ダクトの外周面に両側から被さっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンジフード用換気ダクト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の厨房に設けられたレンジフードと屋外とを連ねる換気ダクト装置に関し、特に、レンジフードから屋外までの距離が短い角部屋の厨房に適した換気ダクト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、集合住宅、戸建て住宅などの建物の厨房にはレンジフードが設けられており、レンジフードから屋外へ換気ダクトが延びている(特許文献1等参照)。この種のレンジフード用の換気ダクトには防火ダンパを設けることが法令で定められている。火災によってある温度以上になると防火ダンパの温度ヒューズが切れてシャッターが閉じられる(特許文献2等参照)。これによって、換気ダクトが閉まり、屋外での火災の炎が換気ダクトを通して屋内に入ったり、屋内での火災の炎が換気ダクトを通して屋外へ漏れて延焼したりするのを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-112329号公報
【特許文献2】特開2001-340479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、レンジフード用換気ダクトは、大部分が天井に沿って水平に配管されている。その水平ダクト部に防火ダンパが設けられている。
一方、例えば、集合住宅の角部屋等の住戸においては、レンジフードから屋外までの距離が外壁の厚み分程度しかなく、水平ダクト部に防火ダンパを設けるには長さが足らない場合がある。その場合、換気ダクトの外壁面への開口に連なるベントキャップ内に防火ダンパを設ける。しかし、そうすると、防火ダンパの保守点検や誤作動等が起きたときの復旧、補修作業が、屋外での作業となる。高層階の住戸においては屋外に足場を組む必要があり極めて煩瑣である。
本発明は、かかる事情に鑑み、レンジフードから屋外までの距離が近くても、レンジフード用換気ダクトの防火ダンパを屋内に配置可能とすることで、防火ダンパの保守点検や復旧、補修作業を容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明は、建物の厨房のレンジフードと屋外とを連ねる換気ダクト装置であって、
垂直ダクト部及び水平ダクト部を含むL字状の換気ダクトと、
前記換気ダクトを一定温度以上で閉じる常開のシャッター、及び点検ボックスを含む防火ダンパと、
を備え、前記垂直ダクト部の下端部が前記レンジフードに連なり、前記水平ダクト部が前記垂直ダクト部の上端部に連なるとともに建物外壁を通して屋外へ臨み、
前記シャッターが前記垂直ダクト部に収容され、前記点検ボックスが前記垂直ダクト部の外面に設けられていることを特徴とする。
【0006】
前記シャッターが、前記垂直ダクト部の管軸と交差する回転軸と、前記回転軸のまわりに回転可能に設けられた回転羽根を含み、開状態の前記回転羽根が、前記水平ダクト部の内周面の底部より上へ突出されていることが好ましい。
【0007】
前記水平ダクト部が、前記レンジフード上の天井板の下側に沿って配管されていることが好ましい。
【0008】
前記換気ダクトを覆う断熱カバーを備え、前記断熱カバーが、前記垂直ダクト部及び前記水平ダクト部にわたるL字状をなす一対の半割断熱カバー部材を含み、前記一対の半割断熱カバー部材が、前記換気ダクトの外周面に両側から被さっていることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レンジフードから屋外までの距離が近くても、レンジフード用換気ダクトの防火ダンパを屋内に配置することができる。したがって、防火ダンパの保守点検や復旧作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るレンジフード用換気ダクト装置を示し、図2のI-I線に沿う側面断面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図3は、前記レンジフード用換気ダクト装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1及び図2は、例えば集合住宅の角住戸における厨房のレンジフード周りを示したものである。レンジフード1には換気ダクト装置10が接続されている。換気ダクト装置10によって、レンジフード1と屋外4とが連ねられている。
【0012】
図2及び図3に示すように、換気ダクト装置10は、換気ダクト11と、防火ダンパ20と、断熱カバー30を備えている。換気ダクト11は、垂直ダクト部12及び水平ダクト部13を含み、L字状に屈曲されている。図1に示すように、垂直ダクト部12は、天井板3とレンジフード1との間に垂直に配管されている。垂直ダクト部12の下端部が、レンジフード1の上端部に連なっている。
【0013】
図1に示すように、水平ダクト部13は、垂直ダクト部12の上端部に連なるとともに、レンジフード1上の天井板3の下側に沿って水平に配管されている。角住戸においてはレンジフード1から屋外4までの距離が近いために、水平ダクト部13の長さが短い。水平ダクト部13の端部の開口は、建物外壁2及び吹出キャップ5を通して屋外4へ臨んでいる。
【0014】
図1に示すように、垂直ダクト部12に防火ダンパ20が設けられている。防火ダンパ20は、常開のシャッター21と、温度ヒューズ22と、点検ボックス23を含む。シャッター21及び温度ヒューズ22は、垂直ダクト部12の内部に収容されている。シャッター21は、回転羽根24と、回転軸25を含む。回転羽根24は、例えば円板形状に形成されている。回転羽根24の外直径は、垂直ダクト部12の内直径と実質等しい。回転羽根24の1の直径に沿って回転軸25が設けられている。回転軸25は、垂直ダクト部12の管軸L12と交差するように、水平に向けられている。回転羽根24が、回転軸25のまわりに回転可能に支持されている。シャッター21は、捩じりコイルバネ26のバネ力によって閉方向へ回転付勢されている。
【0015】
図1に示すように、垂直ダクト部12内における、シャッター21の側方には、ヒューズ支持棒27が設けられている。ヒューズ支持棒27に温度ヒューズ22が支持されている。シャッター21と温度ヒューズ22とが連繋されることによって、シャッター21が、前記バネ力に抗して開状態に保持されている。図2に示すように、開状態の回転羽根24は、鉛直をなし、その上端部24aが、水平ダクト部13の内周面の底部13bより上へ突出されている。
【0016】
火災等によって、換気ダクト11の内部が一定温度以上になると、温度ヒューズ22が切れる。すると、シャッター21が、捩じりコイルバネ26の回転付勢によって閉状態となる。図2において二点鎖線にて示すように。閉状態のシャッター21は、水平をなし、垂直ダクト部12を塞ぐ。つまり、シャッター21は、換気ダクト11を一定温度以上で閉じる。
【0017】
図1に示すように、垂直ダクト部12の外面には、点検ボックス23が設けられている。したがって、点検ボックス23は、天井板3とレンジフード1との間に配置されている。好ましくは、点検ボックス23は、垂直ダクト部12の外周における水平ダクト部13側とは反対の側部に配置されている。点検ボックス23は、直方体の箱形状に形成されており、その長手方向が、垂直ダクト部12に沿って上下へ向けられている。
【0018】
図3に示すように、点検ボックス23の正面板23aには、手動復帰レバー28及び開閉扉29が設けられている。図1に示すように、回転軸25の端部が手動復帰レバー28に接続されている。手動復帰レバー28は、正面板23aから点検ボックス23の外側(図1において右側)に突出されている。
【0019】
図1に示すように、換気ダクト11の外面は、断熱カバー30によって覆われている。図3に示すように、断熱カバー30は、一対の半割断熱カバー部材31を含む。一対の半割断熱カバー部材31が、換気ダクト11の外周面に両側から被さっている。各半割断熱カバー部材31は、垂直ダクト部12及び水平ダクト部13にわたるL字状に形成されている。
【0020】
詳しくは、図3に示すように、各半割断熱カバー部材31は、垂直ダクト部12の半周に被さる垂直カバー部32と、水平ダクト部13の半周に被さる水平カバー部33を含む。垂直カバー部32には、ボックスカバー部34が設けられている。各半割断熱カバー部材31のボックスカバー部34が、点検ボックス23の約半分に被さっている。好ましくは、図1及び図3に示すように、ボックスカバー部34は、手動復帰レバー28と正面板23aとの間にも介在され、手動復帰レバー28の軸部にも被さっている。
【0021】
ボックスカバー部34には、開閉扉29に被さる扉カバー部35が設けられている。扉カバー部35は、ボックスカバー部34に対して着脱可能である。扉カバー部35をボックスカバー部34から取り外すことで、開閉扉29を開閉操作できる。
【0022】
レンジフード用換気ダクト装置10によれば、レンジフード1からの排気ガスを換気ダクト11に通して屋外4へ排出できる。排気ガスが高温であっても、断熱カバー30で断熱することによって、排気ガスの熱が換気ダクト11のまわりの建物構造物や室内に伝達されるのを防止することができる。
万が一、火災のときは、前述したように、温度ヒューズ22が切れてシャッター21が閉じられる。これによって、室内の炎が換気ダクト11を通して屋外へ漏れたり、屋外の炎が換気ダクト11を通して室内に入ったりするのを回避できる。
【0023】
集合住宅の角住戸であるためにレンジフード1から屋外4までの距離が近くても、防火ダンパ20を垂直ダクト部12に設けることによって、屋内で防火ダンパ20の保守点検、復旧、補修などを行なうことができる。すなわち、当該角住戸の室内において、レンジフード1の直上の扉カバー部35を外し、開閉扉29を開けることで、点検ボックス23の内部及び換気ダクト11の内部を覗くことができる。これによって、例えば、誤作動でシャッター21が閉じたり温度ヒューズ22が切れたりした場合に、手動復帰レバー28を回してシャッター21を開位置に戻したり、温度ヒューズ22を交換したりすることができる。これらの作業を屋内で行なうことができ、屋外に足場を組んで行なう必要が無いから、保守点検、復旧、補修等の作業の所要時間を大幅に短縮でき、費用を大幅に低廉化できる。
【0024】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、防火ダンパ20のシャッター21は、1枚羽根構造に限らず、2枚羽根構造であってもよい。
水平ダクト部13が、天井裏(天井板3の上面側)に配管されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、例えば集合住宅の角住戸のレンジフード換気システムに適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 建物の厨房のレンジフード
2 外壁
3 天井板
4 屋外
10 レンジフード用換気ダクト装置
11 換気ダクト
12 垂直ダクト部
L12 管軸
13 水平ダクト部
13b 底部
20 防火ダンパ
21 常開のシャッター
22 温度ヒューズ
23 点検ボックス
23a 正面板
24 回転羽根
24a 上端部
25 回転軸
26 捩じりコイルバネ
27 ヒューズ支持棒
28 手動復帰レバー
29 開閉扉
30 断熱カバー
31 半割断熱カバー部材
32 垂直カバー部
33 水平カバー部
34 ボックスカバー部
35 扉カバー部
図1
図2
図3