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特開2023-161197荷重変換器及び荷重変換器の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161197
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】荷重変換器及び荷重変換器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/22 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G01L1/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071399
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】591156799
【氏名又は名称】ユニパルス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小林 璋好
【テーマコード(参考)】
2F049
【Fターム(参考)】
2F049BA17
2F049CA02
2F049CA04
2F049DA01
2F049DA04
(57)【要約】
【課題】低コストの荷重変換器及び荷重変換器の製造方法の提供を課題としている。
【解決手段】構造体(プレート2)と感歪抵抗体Gaとを含み、受けた荷重を電気信号に変換する荷重変換器1であって、構造体(プレート2)は、1つの金属平板の切断加工及び複数箇所の折り曲げ加工によって少なくとも一部が平行リンク(ロバーバル機構)をなす形状に成形され、感歪抵抗体Gaは、平行リンクアーム部2cに設けられた起歪部2r、2sに形成されている荷重変換器。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体と感歪抵抗体とを含み、受けた荷重を電気信号に変換する荷重変換器であって、
前記構造体は、1つの金属平板の切断加工及び複数箇所の折り曲げ加工によって少なくとも一部が平行リンクをなす形状に成形され、
前記感歪抵抗体は、前記平行リンクのアーム部に設けられた起歪部に形成されている荷重変換器。
【請求項2】
前記起歪部が、前記荷重の方向に垂直な方向に延びる前記アーム部の相対的に小なる断面積の部分で構成される請求項1に記載の荷重変換器。
【請求項3】
前記感歪抵抗体が、前記荷重の方向に垂直な方向に延びて対向する前記アーム部のうち、一本で前記平行リンクの一辺を構成する前記アーム部の前記起歪部に設けられている請求項1又は2に記載の荷重変換器。
【請求項4】
前記感歪抵抗体を含んでホイートストンブリッジ回路を形成する配線の少なくとも一部が、フレキシブル配線板によって行われる請求項1又は2に記載の荷重変換器。
【請求項5】
前記感歪抵抗体を含んでホイートストンブリッジ回路を形成する配線の少なくとも一部が、フレキシブル配線板によって行われる請求項3に記載の荷重変換器。
【請求項6】
構造体と感歪抵抗体とを含み、受けた荷重を電気信号に変換する荷重変換器の製造方法であって、
前記構造体を構成する1つの金属平板に前記感歪抵抗体を形成する感歪抵抗体形成ステップと、
前記構造体を前記金属平板の切断加工及び複数箇所の折り曲げ加工によって平行リンク形状に成形する金属平板成形ステップと、
を有する荷重変換器の製造方法。
【請求項7】
前記感歪抵抗体形成ステップは、絶縁体を介して前記金属平板の表面に金属箔を積層する金属箔積層ステップと、前記金属箔をレーザ加工によって所望の形状にパターニングを行うパターニングステップと、を含む請求項6に記載の荷重変換器の製造方法。
【請求項8】
前記金属箔積層ステップ、前記金属平板成形ステップ、前記パターニングステップの順、若しくは、前記金属箔積層ステップ、前記パターニングステップ、前記金属平板成形ステップの順に実施される請求項7に記載の荷重変換器の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷重を電気信号に変換する荷重変換器及び荷重変換器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、平行リンク(ロバーバル)機構を有する荷重変換器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-077673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の荷重変換器の構造体は、直方体や丸棒状の金属を切削加工して成形したものが一般的である。上記特許文献1の構成では、構造体を絶縁性のセラミックスを用いている。しかしながら、材料、加工及び製造のコストが高価となるため改善の余地があった。
【0005】
このような問題に鑑みて、本発明は、低コストで荷重を検出する荷重変換器及び荷重変換器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の荷重変換器は、上記の目的を達成するために、
構造体と感歪抵抗体とを含み、受けた荷重を電気信号に変換する荷重変換器であって、
構造体は、1つの金属平板の切断加工及び複数箇所の折り曲げ加工によって少なくとも一部が平行リンクをなす形状に成形され、
感歪抵抗体は、平行リンクのアーム部に設けられた起歪部に形成されている。
【0007】
また、起歪部が、荷重の方向に垂直な方向に延びるアーム部の相対的に小なる断面積の部分で構成されている。
【0008】
また、感歪抵抗体が、荷重の方向に垂直な方向に延びて対向するアーム部のうち、一本で平行リンクの一辺を構成するアーム部の起歪部に設けられて構成されている。
【0009】
また、感歪抵抗体を含んでホイートストンブリッジ回路を形成する配線の少なくとも一部が、フレキシブル配線板によって行われている。
【0010】
本発明の荷重変換器の製造方法は、上記の目的を達成するために、構造体と感歪抵抗体とを含み、受けた荷重を電気信号に変換する荷重変換器の製造方法であって、
構造体を構成する1つの金属平板に感歪抵抗体を形成する感歪抵抗体形成ステップと、
構造体を金属平板の切断加工及び複数箇所の折り曲げ加工によって平行リンク形状に成形する金属平板成形ステップと、
を有している。
【0011】
また、感歪抵抗体形成ステップは、絶縁体を介して金属平板の表面に金属箔を積層する金属箔積層ステップと、金属箔をレーザ加工によって所望の形状にパターニングを行うパターニングステップと、を含んで構成されている。
【0012】
また、金属箔積層ステップ、金属平板成形ステップ、パターニングステップの順、若しくは、金属箔積層ステップ、パターニングステップ、金属平板成形ステップの順に実施される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の荷重変換器及び荷重変換器の製造方法によれば、低コストの荷重変換器及び荷重変換器の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造のフローチャート図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器に用いられる感歪抵抗体及びフレキシブル配線板の平面図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図及び正面図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造のフローチャート図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図11】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図及び正面図である。
図15】本発明の第3及び第4の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図及び正面図である。
図16】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図である。
図17】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造のフローチャート図である。
図18】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図19】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図20】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器に用いられる感歪抵抗体及びフレキシブル配線板の平面図である。
図21】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図22】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図である。
図23】本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図及び正面図である。
図24】本発明の第6及び第7の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図及び正面図である。
図25】本発明の第8の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図である。
図26】本発明の第9の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態に係る荷重変換器について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器1の斜視構成図である。荷重変換器1は、プレート2と、フレキシブル配線板3aと、感歪抵抗体Gaを含んで構成されている。
【0017】
プレート2は、金属平板を加工して成形されたものであって、固定部2a、荷重導入部2j、支持部2b、支持部2i、平行リンク部を含んで、マイナスy方向視ではS文字が縦に並んだセクション記号型の構造体を成している。
【0018】
固定部2aは、荷重変換器1を取り付ける剛性の高い部材に、ボス2mによって位置決めして、穴2kにボルト等を挿通して固定することができる。一方、荷重導入部2jは、通常は荷重を印加する部材が接触できるように構成されるが、荷重を印加する部材の形状によってはボス2pによって位置決めして、穴2nにネジを挿入して固定することも可能である。もちろんこれに限らず、固定部2a及び荷重導入部2jは共に接着剤などによって固定されても良い。
【0019】
支持部2b及び支持部2iは、それぞれ固定部2a及び荷重導入部2jから略直角に延伸して、荷重Fzの方向(プラスz方向、すなわち圧縮方向)に平行となるように設けられている。なお荷重変換器1は、荷重導入部2jが荷重を印加する部材に固定されていれば、荷重Fzに対して反対の方向(プラスz方向、すなわち引張方向)の検出も可能である。
【0020】
平行リンク部は、平行リンクアーム部2c~2hで構成される。そして1本のアームである平行リンクアーム部2cと、2本のアームである平行リンクアーム部2g及び平行リンクアーム部2hとが平行で向かい合う辺となる。また2本のアームである平行リンクアーム部2d及び平行リンクアーム部2eと、1本のアームである平行リンクアーム部2fとが平行で向かい合う辺となる。
【0021】
荷重変換器1のセクション記号型の構造体の各部は、1つの平面の金属平板を切断加工、曲げ加工及び絞り加工などによって形成することができる。そして直角の曲げ部には補強のためのリブCRが設けられて曲げ加工が行われることが好ましい。
【0022】
また起歪部2r及び起歪部2sが、平行リンクアーム部2cのx方向の両端付近に設けられている。起歪部2r及び起歪部2sは、対となった半円状の切り欠きによってy方向の寸法を小さくすることで断面積を小さくしている。切削加工によって製造される一般的な荷重変換器においては、構造体の肉厚を薄くしてこれを起歪部としていることが多いが、本発明では素材に均一な厚みのプレートを用いているため、局所的にプレートの厚みを減らすことは行わず、断面積を小さくすることで歪みを検出しやすい形状として起歪部を形成している。
【0023】
感歪抵抗体Gaが、この起歪部2r及び起歪部2sが固定部2aに対向する面に貼られている。感歪抵抗体Gaは例えば歪みゲージである。
【0024】
フレキシブル配線板3aは、感歪抵抗体Gaと不図示の増幅器及び電源とを接続する配線回路基板である。フレキシブル配線板3aは、銅箔などの導体を薄い絶縁材料(ポリイミドフィルムなど)で積層被覆した可撓性部材である。フレキシブル配線板3aと増幅器及び電源との接続は、フレキシブル配線板3aの端部に設けられた導体が露出したコネクタ接続部を増幅器及び電源に実装されたフレキシブル配線板コネクタに挿入することで行われる。そして感歪抵抗体Gaとフレキシブル配線板3aとでホイートストンブリッジ回路を形成する。
【0025】
荷重変換器1は、荷重Fzが荷重導入部2jに印加されると、起歪部2r及び起歪部2sが弾性変形して歪みが生じ、感歪抵抗体Gaがこの歪みを検出し、ホイートストンブリッジ回路から電気信号を出力する。この電圧の信号は不図示の増幅器により増幅されフィルター処理やアナログ・デジタル変換処理を行いさらにコンピュータにより荷重値を演算することで荷重を得ることができる。
【0026】
図2は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程のフローチャートである。そして図3から図8は本発明の第1の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図を順に示したものである。図2のフローチャートに沿って、荷重変換器の製造方法について説明する。
【0027】
まず図3(a)に示すようにプレート2を製造の工程へ投入する(ステップS101)。プレート2は、例えば鉄、珪素鋼板、ステンレス鋼、ベリリウム銅などの金属板である。例えばステンレス鋼の場合は、結晶粒径が1μm程度のものが適している。また金属板に圧延材を用いる場合は、ロール目方向がA方向となるようにして、不図示の金型にセットする。
【0028】
次いで図3(b)に示すように、例えば金型によって、切断加工ラインCに沿って切断加工を、谷折りラインV及び山折りラインMに沿って複数箇所の直角折り曲げ加工を、そしてボス加工(ボス2m、2p)を行う(ステップS102)。これらの加工は複数回に分けて順送金型等で連続的に実施しても良く、その場合はプレート2には搬送用のスプロケットを設けることが好ましい。そして少なくともこの切断加工及び折り曲げ加工が金属平板成形ステップ(ステップS102)である。
【0029】
図4(a)及び図4(b)は、プレート2に対して前述の切断加工、複数箇所の直角折り曲げ加工及びボス加工を実施したものであって、図4(a)はプラスz方向、図4(b)はマイナスz方向にそれぞれ見た斜視図である。この時点では、固定部2a及び荷重導入部2jは、未だ最終形状には成形されていない。
【0030】
次にステップS103からステップS106で用いる、感歪抵抗体Gaとフレキシブル配線板3aについての詳細を、図5(a)及び図5(b)を用いて説明する。図5(a)は感歪抵抗体Gaの平面図である。感歪抵抗体Gaは、4つの単軸ゲージ部を1つの基材上に形成したものである。この基材はポリイミドなどの絶縁体である。また単軸ゲージ部G1~G4の折返しパターン(フィラメント)のそれぞれの歪みの最大感度方向は全て同一の方向Sである。この基材上には、単軸ゲージ部G1~G4と、各端子部Pgと、配線部と、が形成され、ホイートストンブリッジ回路の一部を構成する。単軸ゲージ部G1~G4の折返しパターン(フィラメント)及び配線部は、絶縁基材上に接着剤を介して積層されたニッケルクロム合金などの金属箔を所望の形状に、フォトリソ等を用いたエッチング法やレーザ照射による直接描画除去法によって加工される。そして単軸ゲージ部G1~G4の折返しパターン及び配線部には外部環境から保護するため、さらに保護層が積層される。保護層の一部は開口しており、この部分が各端子部Pgとなる。各端子部Pgにはプリコートハンダ処理が施される場合がある。
【0031】
図5(b)はフレキシブル配線板3aの平面図である。フレキシブル配線板3aは、感歪抵抗体Gaの各端子部Pgに対応した位置に接続用の端子部Pfを有している。端子部Pfにはプリコートハンダ処理が施され、コネクタ接続部Pcは金メッキ処理若しくはハンダ処理が施されている。感歪抵抗体Gaとフレキシブル配線板3aとの接続によりホイートストンブリッジ回路が構成される。なおフレキシブル配線板3aにおいて、単軸ゲージ部の折返しパターンの上にオーバーラップする箇所は、ノイズを低減するためにシールドを設けることが好ましい。このシールドは多層化したフレキシブル配線板3aの一層であってもよいし、別途単軸ゲージ部或いはフレキシブル配線板3aに銅箔などを貼付けても良い。
【0032】
図6(a)及び図6(b)は、図5(a)及び図5(b)で表された平行リンクアーム部2cの起歪部2r及び起歪部2sへ、感歪抵抗体Gaが形成された図である。感歪抵抗体Gaは、平行リンクアーム部2cの下面のみに形成されるので、図5(a)には現れるが、図5(b)には現れない。感歪抵抗体Gaの形成は、図4に示した感歪抵抗体Gaを接着剤によって貼り付けることで行うことができる。感歪抵抗体Gaの形成は、感歪抵抗体形成ステップによって行われる。
【0033】
感歪抵抗体形成ステップは、金属箔積層ステップ(ステップS103)と、パターニングステップ(ステップS104)を含んでいる。金属箔積層ステップ(ステップS103)は、抵抗体となる金属箔を積層した絶縁基材を接着剤で平行リンクアーム部2cの起歪部2r及び起歪部2sへ貼付ける工程である。パターニングステップ(ステップS104)は、金属箔積層ステップの後、レーザ照射による金属箔の除去によって所望のパターンを形成する。なおレーザ照射による直接描画除去法では、プレート2の外形からゲージ部の折返しパターン(フィラメント)の形成位置を画像認識で割り出して行うことで、プレート2に対して極めて正確な位置にゲージ部の折返しパターン(フィラメント)を配置することができる。感歪抵抗体形成ステップは、さらに保護層を積層するステップ(ステップS105)を含んでいても良い。その他、予め表面に絶縁コーティングをしたプレート2を用いて、抵抗体となる金属箔を平行リンクアーム部2cの起歪部2r及び起歪部2sへ貼付け(金属箔積層ステップ)、その後レーザ照射による除去によって所望のパターンを形成し(パターニングステップ)、さらに保護層をオーバーコートして行ってもよい。もちろん、パターニング済の感歪抵抗体Gaを接着剤で平行リンクアーム部2cの起歪部2r及び起歪部2sへ貼付けても良いが、感歪抵抗体Gaの形成位置の精確さはレーザ照射による直接描画除去法が有利である。
【0034】
図7(a)、図7(b)は、フレキシブル配線板3aを感歪抵抗体Gaに接合した(ステップS106)図である。フレキシブル配線板3aは、感歪抵抗体Gaの各端子部Pgに対応した端子部Pfと配線部とを有する。そして感歪抵抗体Gaの各端子部Pgとフレキシブル配線板3aの端子部Pfを向かい合うように配置し、少なくともいずれか一方にプリコートされたハンダを加熱によって溶融して接合が行われる。感歪抵抗体Gaの各端子部Pgとフレキシブル配線板3aの端子部Pfとの接合はこれに限らず、導電性接着剤や導電性接着フィルムなどによって行うことも可能である。フレキシブル配線板3aの配線部は、起歪部2r及び起歪部2sへ力を伝達しないように、接着剤などで平行リンクアーム部2cの一部などに固定される。図7(a)、図7(b)においては、フレキシブル配線板3aの配線部は、プラスx方向に引き出されて、不図示の増幅器へ接続される。
【0035】
フレキシブル配線板3aと感歪抵抗体Gaとの接合(ステップS106)が完了したら、固定部2a、荷重導入部2jの最終形状を作成する工程を実施する。固定部2aは、図7(a)の下部の谷折りラインVに沿って直角折り曲げ加工(ステップS107)を行うことで形成できる。一方、荷重導入部2jは図7(a)の上部の山折りラインMに沿って直角折り曲げ加工(ステップS107)を行うことで形成できる。この折り曲げ部には、直角折り曲げ加工時にリブCRを施すことで補強することができる。
【0036】
図8(a)は、完成した第1の実施形態の荷重変換器1の外観斜視図である。そして図8(a)を正面から見た(プラスy方向視)図が、図8(b)である。図8(a)及び図8(b)に示されるように、平行リンクアーム部2cと平行リンクアーム部2g及び平行リンクアーム部2hとが向かい合い、平行リンクアーム部2fと平行リンクアーム部2d及び平行リンクアーム部2eとが向かい合い、所謂平行リンク(ロバーバル)形状となっている。
【0037】
そして荷重Fz方向に垂直な方向に延びる平行リンクアーム部2cと平行リンクアーム部2g及び平行リンクアーム部2hとが向かい合っていて、そのうち一本で平行リンクの一辺を構成するのが平行リンクアーム部2cである。そしてこの平行リンクアーム部2cの断面積が他の部分と比較して相対的に小さくなるように切り欠かれた起歪部2s、起歪部2rに感歪抵抗体Gaが設けられている。すなわち荷重変換器1が荷重Fzを受けた時、平行リンクアーム部2fと平行リンクアーム部2d及び平行リンクアーム部2eとは変形しにくく、平行リンクアーム部2cの起歪部2s、起歪部2rに歪みが大きく発生するように、相対的に断面積を小さくしている。なお荷重導入部2jがマイナスz方向に荷重Fzを受けると、起歪部2sに貼られた単軸ゲージ部G1及びG2は圧縮歪みを、起歪部2rに貼られた単軸ゲージ部G3及びG4は引張歪みをそれぞれ検出することになる。
【0038】
荷重変換器1は、固定部2aのボス2mを位置決めとして、穴2kにボルト等を挿通して固定ベース4に固着して使用することができる。
【0039】
図9は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程のフローチャートである。そして図10から図14は本発明の第2の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図を順に示したものである。第2の実施形態では、プレート2の曲げ加工前に、感歪抵抗体を形成する点で第1の実施形態と相違する。図9のフローチャートに沿って、第2の実施形態に係る荷重変換器の製造方法について説明する。
【0040】
まず図10(a)に示すようにプレート2を製造の工程へ投入する(ステップS201)。プレート2は、例えば鉄、珪素鋼板、ステンレス、ベリリウム銅などの金属板である。金属板に圧延材を用いる場合は、ロール目方向がA方向になるようにして、不図示の金型にセットする。
【0041】
次いで図10(b)に示すように、レーザ加工によって、切断加工ラインCに沿って切断加工(ステップS202)を行う。したがって、プレート2には穴2k、穴2n、8個の半円状の穴、2本の直線部が形成される。
【0042】
次いで図10(c)に示すように、所定の位置に抵抗体となる金属箔を積層した絶縁基材Gpを接着剤で貼付ける金属箔積層ステップ(ステップS203)を行う。この時金属箔は未だパターニング前の段階であるから、貼り付ける位置の精度を高くする必要はない。
【0043】
次いで図11(d)に示すように、レーザ照射による除去によって所望のパターンを形成する(パターニングステップ)(ステップS204)。所望のパターンの位置は、ステップS202で行った切断加工による8個の半円状の穴位置を用いて画像認識で割り出して行うことができる。そしてさらにパターニングされた金属箔の上に保護層を接着して(ステップS205)、感歪抵抗体Gaを形成する。もちろん予めパターニングされた感歪抵抗体Gaを接着剤で貼り付けることも可能である。なお感歪抵抗体Gaは第1の実施形態と同様のものである。
【0044】
そして、図11(e)に示すように、プレート2に対して例えば金型によって、谷折りラインV及び山折りラインMに沿って複数箇所の直角折り曲げ加工を、そしてボス加工(ボス2m、2p)を行う(ステップS206)。これらの加工は複数回に分けて順送金型等で連続的に実施しても良いのは第1の実施形態と同様である。このレーザ照射による切断加工及び金型等による折り曲げ加工が金属平板成形ステップである。この金属平板成形ステップによって成形されるプレート2の形状は、第1の実施形態と同様である。
【0045】
図12から図13に示すこの後の工程は、第1の実施形態と同様である。すなわち、図12は、プレート2は曲げ加工とボス加工(ステップS206)が行なわれた状態を示している。そして図13は、フレキシブル配線板3aが感歪抵抗体Gaに接合(ステップS207)された状態を示している。そして荷重変換器1の完成形が図14に示されており、外観上は第1の実施形態と同等である。
【0046】
第2の実施形態では、プレート2に対して折り曲げ加工を実施する前に、感歪抵抗体Gaを形成している。したがって、プレート2は平面であって取り扱いが容易であることから、感歪抵抗体Gaの形成も非常に容易となる。また第2の実施形態の工程は、荷重変換器1が非常に小型であって感歪抵抗体の折返しパターンを起歪部のエッジ付近に配置したい場合には特に有効である。すなわちプレート2は予めレーザ加工によって切断加工ラインCに沿って切断加工が行われ、その後に感歪抵抗体の形成を行うため、金型による剪断加工等に起因する変形などの影響を低減することができる。なお、感歪抵抗体Gaの形成がプレート2の折り曲げ加工前に完成しているので、固定部2a及び荷重導入部2jの形状によっては、ステップS208の直角折り曲げ加工は、ステップS206にて一度に行うこともできる。
【0047】
図15は本発明の第3、第4の実施形態に係る荷重変換器の斜視図である。第3、第4の実施形態では、感歪抵抗体から引き出される配線のフレキシブル配線板が第1、第2の実施形態とは異なる。図15(a)は、本発明の第3の実施形態に係る荷重変換器を示しており、フレキシブル配線板3bは支持部2b及び固定部2aに沿って接着剤等で固定されている。そして固定部2aの穴2kを避けるように円環状に分かれて再度合流する部分が存在する。第3の実施形態では、フレキシブル配線板3bは第1、第2の実施形態と比べて全長が長くなるものの、支持部2b及び固定部2aに沿って接着剤等で固定されていることから、増幅器側からフレキシブル配線板3bを伝わって来る力の影響は受けにくいという利点を有している。
【0048】
図15(b)、図15(c)は、本発明の第4の実施形態に係る荷重変換器を示しており、フレキシブル配線板3bは、平行リンクアーム部2cの下面から半円の切り欠き部分にて平行リンクアーム部2cの上面へ浮上させ、平行リンクアーム部2d及び平行リンクアーム部2eの間を通ってマイナスx方向に引き出され、接着剤等で平行リンクアーム部2cに固定されている。
【0049】
なお第1及び第2の実施形態においては、フレキシブル配線板のコネクタ接続部Pcはフレキシブル配線板コネクタと、感歪抵抗体に向き合う端子部Pfが存在する面と同じであって、マイナスz方向に見た時、コネクタ接続部Pcが露出して見え、すなわちフレキシブル配線板の上面で接続される。これに対して、第3の実施形態では、フレキシブル配線板のコネクタ接続部Pcはフレキシブル配線板コネクタと下面で接続される。また第4の実施形態では、フレキシブル配線板のコネクタ接続部Pcはフレキシブル配線板コネクタと上面で接続される。このように増幅器で使用するフレキシブル配線板コネクタの接触の方向の仕様に応じてフレキシブル配線板を選定することも可能である。
【0050】
そして配線用のフレキシブル配線板の配線引き出し方向はプラスx方向、マイナスx方向いずれにも対応可能であり、荷重変換器1の使用形態に応じて選択が可能である。また配線部材としてフレキシブル配線板の3種類について説明したがこれに限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、フレキシブル配線板の取り出し面は、説明した実施形態ではxy平面に平行な面であるが、xz平面に平行な面やyz平面に平行な面など様々な面に対応可能である。
【0051】
図16は本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の斜視構成図である。第5の実施形態に係る荷重変換器は、感歪抵抗体の配置と配線用フレキシブル配線板の形状が、第1~第4の実施形態に係る荷重変換器と相違する。
【0052】
図17は本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程のフローチャートである。そして図18から図23は本発明の第5の実施形態に係る荷重変換器の製造の工程に沿った各部材の状態図を順に示したものである。図17のフローチャートに沿って、荷重変換器の製造方法について説明する。
【0053】
まず図18(a)に示すようにプレート2を製造の工程へ投入する(ステップS501)。プレート2は、例えば鉄、珪素鋼板、ステンレス、ベリリウム銅などの金属板である。
【0054】
次いで図18(b)に示すように、所定の位置に抵抗体となる金属箔を積層した絶縁基材Gpをプレート2の1st面に接着剤で貼付ける(金属箔積層ステップ)(ステップS502)。この絶縁基材Gpを貼る位置は厳密な位置である必要はない。
【0055】
次いで図18(c)に示すように、レーザ照射による除去によって所望のパターンを形成し(パターニングステップ)(ステップS503)、さらに保護層を接着して(ステップS504)、感歪抵抗体Gb1をプレート2の1st面に形成する。もちろん予めパターニングされた感歪抵抗体Gb1を接着剤で貼り付けても良いが、その際の貼付け位置精度は高めておく必要がある。
【0056】
次いで図19(d)に示すように、所定の位置に抵抗体となる金属箔を積層した絶縁基材Gpをプレート2の2nd面に接着剤で貼付ける(金属箔積層ステップ)(ステップS505)。プレート2の2nd面とは、プレート2の1st面の裏面である。
【0057】
次いで図19(e)に示すように、レーザ照射による除去によって所望のパターンを形成し(パターニングステップ)(ステップS506)、さらに保護層を接着して(ステップS507)、感歪抵抗体Gb2をプレート2の2nd面に形成する。プレート2の2nd面におけるパターニングステップは、プレート2の1st面のパターニングステップと同様に、プレート2の外形などを基準として位置合わせを行う。したがってプレート2を製造の工程へ投入する(ステップS501)前に、プレート2に貫通の穴などを設けて、これを基準としてパターニングステップを行っても良い。また1st面及び2nd面への金属箔積層ステップ、1st面及び2nd面へのパターニングステップ、1st面及び2nd面への保護層の接着をそれぞれまとめて行ってもよい。したがってステップS502からステップS507の配置は適宜変更することも可能である。
【0058】
次いで、図19(f)に示すように、プレート2に対して例えば金型によって、切断加工ラインCに沿って切断加工を、谷折りラインV及び山折りラインMに沿って複数箇所の直角折り曲げ加工を、そしてボス加工(ボス2m、2p)を行う(ステップS508)。これらの加工は複数回に分けて順送金型等で連続的に実施しても良いのは第1、第2の実施形態と同様である。なお切断加工ラインCに沿う切断加工は、図18(b)の抵抗体となる金属箔を積層した絶縁基材Gpの貼付前に、レーザ加工で行っても良い。その他前述したように、予め両面に絶縁コーティングをしたプレート2を用いて、抵抗体となる金属箔を平行リンクアーム部2cの起歪部2r及び起歪部2sとなる箇所の両面に貼付け(金属箔積層ステップ)、その後レーザ照射による除去によってそれぞれ所望のパターンを形成し(パターニングステップ)、さらに両面に保護層を接着して行ってもよい。
【0059】
図20(a)は感歪抵抗体Gb1、Gb2の平面図である。感歪抵抗体Gb1、Gb2は、2つの単軸ゲージ部を1つの基材上に形成したものである。この1つの基材はポリイミドなどの絶縁体であって、単軸ゲージ部のそれぞれの最大感度方向は同一である。この基材上には、単軸ゲージ部G1、G3(単軸ゲージ部G2、G4)と、各端子部Pgと、配線部が形成され、ホイートストンブリッジ回路の一部を構成している。単軸ゲージ部G1~G4の折返しパターン(フィラメント)及び配線部は、絶縁基材上に接着剤で積層された例えばニッケルクロム合金などの金属箔を、所望の形状にフォトリソによるエッチングやレーザ照射による除去によって行なわれる。そして単軸ゲージ部G1~G4の折返しパターン及び配線部には保護のため、さらに保護層が積層される。保護層の一部は開口しており、この部分が各端子部Pgとなる。
【0060】
図20(b)はフレキシブル配線板3dを平面に展開した平面図である。フレキシブル配線板3dは、感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2の各端子部Pgに対応した位置に接続用の端子部Pfを有している。感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2とフレキシブル配線板3dとの接続によりホイートストンブリッジ回路が構成される。フレキシブル配線板3dは、ラインLで曲げられて、各端子部Pgが背面の組み合わせで平行リンクアーム部2cに貼られた感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2を挟み込むようにして感歪抵抗体Gb1及びGb2に接続される。
【0061】
なおフレキシブル配線板3dの一部の配線は、感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2の方に設けることも可能である。この場合には、フレキシブル配線板3dと、感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2との接合箇所を減らすことができる。
【0062】
またフレキシブル配線板3dにおいて、単軸ゲージ部の折返しパターンの上にオーバーラップする箇所は、ノイズを低減するためにシールドを設けることが好ましい。このシールドは多層化したフレキシブル配線板3dの一層であってもよいし、別途単軸ゲージ部或いはフレキシブル配線板3dに貼付けても良い。フレキシブル配線板3dの各端子部Pg及びコネクタ接続部Pcの表面処理はフレキシブル配線板3aと基本的に同じである。
【0063】
図21(a)及び図21(b)は、図19(f)にてプレート2に対して、切断加工、直角折り曲げ加工、ボス加工(ボス2m、2p)を行った(ステップS508)後の斜視図である。感歪抵抗体Gb1が平行リンクアーム部2cの下面に、感歪抵抗体Gb2が平行リンクアーム部2cの上面に、それぞれ背面合わせで位置している。
【0064】
図22(a)、図22(b)はさらに、フレキシブル配線板3dを感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2に接合した(ステップS509)図である。フレキシブル配線板3dは、感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2の各端子部Pgに対応した電極部と配線部を有し、感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2の各端子部Pgとフレキシブル配線板3dの端子部Pfが向かい合って、少なくともいずれか一方にコーティングされたハンダを加熱によって溶融することで接合が行われる。感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2の各端子部Pgとフレキシブル配線板3dの端子部Pfとの接合はこれに限らず、導電性接着剤や導電性接着フィルムなどによって行うことも可能である。フレキシブル配線板3dの配線部は、起歪部2r及び起歪部2sへ力が加わらないように、接着剤などで平行リンクアーム部2cの一部などに固定される。図22(a)、図22(b)においては、フレキシブル配線板3dの配線部は、プラスx方向に引き出されて、不図示の増幅器へ接続される。また第5の実施形態では、フレキシブル配線板のコネクタ接続部Pcはフレキシブル配線板コネクタと上面で接続される。
【0065】
フレキシブル配線板3dと感歪抵抗体Gb1及び感歪抵抗体Gb2との接合が完了したら、固定部2a、荷重導入部2jの最終形状を作成する工程(ステップS510)を実施する。固定部2aは、図22(a)の下部の谷折りラインVに沿って直角折り曲げ加工(ステップS510)を行うことで形成できる。一方、荷重導入部2jは図22(a)の上部の山折りラインMに沿って直角折り曲げ加工(ステップS510)を行うことで形成できる。この折り曲げ部には、リブCRを施すことで補強することができる。なお、感歪抵抗体Gbの形成がプレート2の折り曲げ加工前に完成しているので、固定部2a及び荷重導入部2jの形状によっては、ステップS510の直角折り曲げ加工は、ステップS508にて一度に行うこともできる。
【0066】
図23(a)は以上の工程によって完成した第5の実施形態の荷重変換器1の外観斜視図である。そして図23(a)を正面から見た(プラスy方向視)図が、図23(b)である。第1の実施形態の荷重変換器と同様に、平行リンクアーム部2cと平行リンクアーム部2g及び平行リンクアーム部2hとが向かい合い、平行リンクアーム部2fと平行リンクアーム部2d及び平行リンクアーム部2eとが向かい合い、所謂平行リンク形状となっている。
【0067】
図24は本発明の第6、第7の実施形態に係る荷重変換器の斜視図である。第6、第7の実施形態では、感歪抵抗体から引き出される配線のフレキシブル配線板が第5の実施形態とは異なる。図24(a)は第6の実施形態に係る荷重変換器であって、フレキシブル配線板3eは支持部2b及び固定部2aに沿って接着剤等で固定されている。そして固定部2aの穴2kを避けるように二股に分かれて再度合流する環状の部分が存在する。第6の実施形態では、フレキシブル配線板3eは第1、第2の実施形態と比べて全長が長くなるものの、支持部2b及び固定部2aに沿って接着剤等で固定されていることから、増幅器側からフレキシブル配線板3eを伝わって来る力の影響は生じにくいという利点を有している。また第6及び第7の実施形態では、フレキシブル配線板のコネクタ接続部Pcはフレキシブル配線板コネクタと下面で接続される。
【0068】
図24(b)、図24(c)は第7の実施形態に係る荷重変換器であって、フレキシブル配線板3fは平行リンクアーム部2cの上面から直に、平行リンクアーム部2d及び平行リンクアーム部2eの間を通ってマイナスx方向に引き出され、接着剤等で平行リンクアーム部2cに固定されている。
【0069】
本発明の第5~第7の実施形態に係る荷重変換器配線用のフレキシブル配線板の配線引き出し方向もプラスx方向、マイナスx方向いずれにも対応可能であり、荷重変換器1の使用形態に応じて選択が可能である。また配線用のフレキシブル配線板の3種類について説明したがこれに限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、フレキシブル配線板の取り出し面は、説明した実施形態ではxy平面に平行な面であるが、xz平面に平行な面やyz平面に平行な面であってもよい。
【0070】
図25は本発明の第8の実施形態に係る荷重変換器の斜視図である。第8の実施形態では、感歪抵抗体から引き出される配線が絶縁被覆のケーブルとなっている。
ケーブル5aのリード線5b先端部の導線は、感歪抵抗体Gaの各端子部Pgにハンダ付けされる。なおケーブル5aのリード線5bは、起歪部2r及び起歪部2sの弾性変形に影響を及ぼさないように配線される。そしてケーブル5aは、支持部2bを隔壁として支持部2bに設けた貫通穴に通して固定されたケーブルクランプ6によって保持されて、外部へ引き出される。
【0071】
図26は本発明の第9の実施形態に係る荷重変換器の斜視図である。第9の実施形態では、感歪抵抗体から引き出される配線がフレキシブル配線板3gと絶縁被覆のケーブル5aとなっている。ケーブル5aのリード線5cの先端部の導線は、フレキシブル配線板3gの貫通穴に挿通されて、貫通穴周囲に設けられて露出したランド部にハンダ付けされる。フレキシブル配線板3gは、感歪抵抗体Gaに接続され、支持部2bに沿ってケーブルクランプ6の外周を経由し、リード線5cの先端部の導線に接続される。そしてケーブル5aは、支持部2bを隔壁として支持部2bに設けた貫通穴に通して固定されたケーブルクランプ6によって保持されて、外部へ引き出される。
【0072】
ゆえに、本発明の荷重変換器によれば、構造体を金属平板の切断及び曲げ加工により製作することができて、コスト低減が可能となり、製造時間の短縮も可能となる。また本発明の荷重変換器の製造方法によれば、レーザ加工、順送金型による成形などを直列に配置して少なくともその一部はインライン自動化も可能であり、コストの低減を図ることができる。
【0073】
以上、本発明を好ましい実施形態に基づいて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の活用例として、荷重計測機器、荷重センサ等への適用が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 :荷重変換器
2 :プレート(構造体)
2a :固定部
2b :支持部
2c :平行リンクアーム部
2d :平行リンクアーム部
2e :平行リンクアーム部
2f :平行リンクアーム部
2g :平行リンクアーム部
2h :平行リンクアーム部
2i :支持部
2j :荷重導入部
2k :穴
2m :ボス
2n :穴
2p :ボス
2r :起歪部
2s :起歪部
3a~3g :フレキシブル配線板
4 :固定ベース
5a :ケーブル
5b、5c :リード線
6 :ケーブルクランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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