(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161215
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】粉粒体搬送装置および粉粒体搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 53/28 20060101AFI20231030BHJP
B65G 67/60 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B65G53/28
B65G67/60 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071432
(22)【出願日】2022-04-25
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、平成30年度、平成31年度(令和元年度)、令和2年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター、「知」の集積と活用の場による研究開発モデル事業、「大規模沖合養殖システム実用化」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】日鉄エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 知広
(72)【発明者】
【氏名】角 眞
(72)【発明者】
【氏名】前田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 康文
【テーマコード(参考)】
3F047
3F077
【Fターム(参考)】
3F047AA12
3F047AA15
3F047AB01
3F047BA02
3F047CA02
3F047CA06
3F047CA09
3F077AA05
3F077BA02
3F077DB09
(57)【要約】
【課題】搬送気流の搬送力を低コストで確保しつつ、空気や粉粒体の逆流を抑制できる粉粒体搬送装置を提供する。
【解決手段】粉粒体搬送装置1は、粉粒体Pを吸引する吸引ノズル2と、吸引ノズル2により吸引された粉粒体Pが供給される第1中継タンク3と、吸引ノズル2と第1中継タンク3との間の吸引配管21に吸引気流を発生させる第1気流発生部4と、第1中継タンク3の下部に接続された第1バルブ6Aと、第1中継タンク3よりも鉛直方向下方に配置され、第1中継タンク3から第1バルブ6Aを介して粉粒体Pが供給される第2中継タンク5と、第2中継タンク5の下部に接続された第2バルブ6Bと、第2バルブ6Bとストレージタンク9との間の流路に圧送気流を発生させる第2気流発生部7と、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が所定の下限レベルLL2以上を維持するように、第1バルブ6Aまたは第2バルブ6Bを制御する制御部8と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体をストレージタンクに搬送する粉粒体搬送装置であって、
前記粉粒体を吸引する吸引ノズルと、
前記吸引ノズルにより吸引された前記粉粒体が供給される第1中継タンクと、
前記吸引ノズルと前記第1中継タンクとの間の流路に吸引気流を発生させる第1気流発生部と、
前記第1中継タンクの下部に接続された第1バルブと、
前記第1中継タンクよりも鉛直方向下方に配置され、前記第1中継タンクから前記第1バルブを介して前記粉粒体が供給される第2中継タンクと、
前記第2中継タンクの下部に接続された第2バルブと、
前記第2バルブと前記ストレージタンクとの間の流路に圧送気流を発生させる第2気流発生部と、
前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量が所定の下限レベル以上を維持するように前記第1バルブまたは前記第2バルブの少なくとも一方を制御する制御部と、を備える、粉粒体搬送装置。
【請求項2】
前記第1バルブおよび前記第2バルブは、それぞれ、ロータリーバルブである、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項3】
前記ロータリーバルブは、
複数の羽根部を有する回転体と、
前記回転体を収容し、かつ、上下のそれぞれに開口を有するケース体と、を備え、
前記羽根部のうち前記ケース体の内壁に対向する先端部は、軟質材料によって形成されている、請求項2に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項4】
前記第1中継タンク内の前記粉粒体の貯留量を検出する第1レベル検出部をさらに備える、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項5】
前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量を検出する第2レベル検出部をさらに備える、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項6】
前記第1中継タンク、前記第1気流発生部、前記第2中継タンク、および、前記第2気流発生部は、前記ストレージタンクと共に沖合のプラットフォーム上に設置される、請求項1に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項7】
前記吸引ノズルを上下方向に移動させる移動機構をさらに備え、
前記移動機構は、無線によって操作される、請求項6に記載の粉粒体搬送装置。
【請求項8】
粉粒体をストレージタンクに搬送する粉粒体搬送方法であって、
吸引ノズルによって前記粉粒体を吸引し、前記吸引ノズルに吸引された前記粉粒体を第1中継タンクに供給する吸引工程と、
前記第1中継タンクの下部に接続された第1バルブを介して、前記第1中継タンク内の前記粉粒体を前記第1中継タンクよりも鉛直方向下方に配置された第2中継タンクに送り出す中継工程と、
前記第2中継タンクの下部に接続された第2バルブを介して、前記第2中継タンク内の前記粉粒体を前記ストレージタンクに圧送する圧送工程と、を実施し、
前記中継工程および前記圧送工程が共に実施される間、前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量は、所定の下限レベル以上に維持される、粉粒体搬送方法。
【請求項9】
前記第1バルブおよび前記第2バルブは、それぞれ、ロータリーバルブである、請求項8に記載の粉粒体搬送方法。
【請求項10】
前記第2中継タンクには、前記粉粒体の貯留量を検出するレベル検出部が設けられており、
前記中継工程および前記圧送工程が共に実施される間、前記レベル検出部による検出結果に基づいて、前記第1バルブおよび前記第2バルブの少なくとも一方の駆動を制御する制御工程をさらに実施する、請求項8に記載の粉粒体搬送方法。
【請求項11】
前記中継工程および前記圧送工程が共に実施される間であって、前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量が前記下限レベル以上である場合、前記第2バルブによる前記粉粒体の単位時間当たりの送出量は、前記第1バルブによる前記粉粒体の単位時間当たりの送出量と等しい、請求項10に記載の粉粒体搬送方法。
【請求項12】
前記中継工程は、前記吸引工程の開始後、前記吸引工程と共に実施され、
前記吸引工程および前記中継工程が共に実施される間、前記第1バルブによる前記粉粒体の単位時間当たりの送出量は、前記吸引ノズルによる前記粉粒体の単位時間当たりの吸引量と等しい、請求項10または請求項11に記載の粉粒体搬送方法。
【請求項13】
前記粉粒体は、養殖用の餌である、請求項8に記載の粉粒体搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉粒体を気流搬送する粉粒体搬送装置および粉粒体搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、沖合養殖の開発により、生簀の大規模化および給餌の自動化が進められている。このような沖合養殖では、沖合のプラットフォーム上に給餌用の餌を貯留するストレージタンクが設置されており、このストレージタンク内の餌が生簀に適宜供給される(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、餌を積載した船舶からストレージタンクへ餌を補給する方法として、吸引ブロア(真空ポンプ)を用いた搬送方法が開示されている。この方法では、吸引ブロアを用いて、船舶上の餌を吸引ノズルに吸い込み、吸い込んだ餌をストレージタンクに空気搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように船舶からプラットフォーム上のストレージタンクまで餌などの粉粒体を空気搬送する場合、船舶からストレージタンク上部へ向かう流路に大きな高低差が存在する。また、沖合上での搬送は海象変化の影響を大きく受けるため、搬送を短時間で完了させることが望ましい。これらの事情により、搬送気流には大きな搬送力が求められる。
【0006】
仮に、特許文献1に開示の方法のように吸引ブロアのみを搬送気流の発生源とする場合、搬送力を十分に確保するためには、大容量の吸引ブロアが必要である。しかし、大容量の吸引ブロアは、装置として高価であり、また、大容量の吸引ブロアに対する水冷システムをプラットフォーム上に準備する必要がある。このため、搬送にかかるコストが大きくなる。
【0007】
そこで、本発明者らは、搬送気流の発生源として、吸引ブロアだけでなく、圧送ブロアを用いることを検討している。例えば、吸引ブロアが吸引ノズルから中継タンクへ向かう気流を発生させ、圧送ブロアが中継タンクからストレージタンクへ向かう気流を発生させる場合、吸引ブロアおよび圧送ブロアのそれぞれに必要な容量を抑制できる。しかし、このような構成では、圧送ブロアによる気流の流路から吸引ブロアによる気流の流路へと空気や粉粒体の逆流が生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、搬送気流の搬送力を低コストで確保しつつ、空気や粉粒体の逆流を抑制できる粉粒体搬送装置および粉粒体搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1態様に係る粉粒体搬送装置は、粉粒体をストレージタンクに搬送する粉粒体搬送装置であって、前記粉粒体を吸引する吸引ノズルと、前記吸引ノズルにより吸引された前記粉粒体が供給される第1中継タンクと、前記吸引ノズルと前記第1中継タンクとの間の流路に吸引気流を発生させる第1気流発生部と、前記第1中継タンクの下部に接続された第1バルブと、前記第1中継タンクよりも鉛直方向下方に配置され、前記第1中継タンクから前記第1バルブを介して前記粉粒体が供給される第2中継タンクと、前記第2中継タンクの下部に接続された第2バルブと、前記第2バルブと前記ストレージタンクとの間の流路に圧送気流を発生させる第2気流発生部と、前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量が所定の下限レベル以上を維持するように前記第1バルブまたは前記第2バルブの少なくとも一方を制御する制御部と、を備える。
【0010】
このような構成では、第1気流発生部が吸引ノズルから第1中継タンクへ向かう流路に吸引気流を発生させ、第2気流発生部が第2中継タンクからストレージタンクへ向かう流路に圧送気流を発生される。その結果、第1気流発生部および第2気流発生部の各容量を抑えつつ、各流路に必要な搬送気流の搬送力を確保できる。また、第1中継タンクと第2中継タンクとの位置関係により、第1中継タンク内の粉粒体は、主に重力によって第2中継タンクへ搬送可能である。これにより、搬送気流の搬送力を低コストで確保できる。
また、上記構成において、第2中継タンク内の粉粒体の貯留量は、所定の下限レベル以上に保たれる。ここで、所定の下限レベルとは、予め設定されたレベルであり、少なくとも粉粒体が第2中継タンク内で第2バルブに連通する開口を覆い、粉粒体が当該開口に対するマテリアルシールとして機能可能なレベルであればよい。第2中継タンク内の粉粒体は、マテリアルシールとして、第1気流発生部により発生する気流の流路(吸引流路)と、第2気流発生部により発生する気流の流路(圧送流路)との間をシールできる。これにより、圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体の逆流(例えば第2中継タンクから第1中継タンクへの空気や粉粒体の逆流)を抑制できる。
【0011】
本発明の第1態様において、前記第1バルブおよび前記第2バルブは、それぞれ、ロータリーバルブであることが好ましい。
このような構成によれば、第1バルブおよび第2バルブの各回転体を回転駆動することで、粉粒体を連続的に送り出すことができる。また、第1バルブおよび第2バルブの各内部では、上流側と下流側との間が回転体によって封止されるため、上述のような圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体の逆流をより好適に抑制できる。
【0012】
本発明の第1態様において、前記ロータリーバルブは、複数の羽根部を有する回転体と、前記回転体を収容し、かつ、上下のそれぞれに開口を有するケース体とを備え、前記羽根部のうち前記ケース体の内壁に対向する先端部は、軟質材料によって形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、搬送する粉粒体がペレット形状を有する場合において、粉粒体の割れや欠けを低減できる。
【0013】
本発明の第1態様に係る粉粒体搬送装置は、前記第1中継タンク内の前記粉粒体の貯留量を検出する第1レベル検出部をさらに備えることが好ましい。
このような構成において、制御部は、第1レベル検出部による検出結果に基づき、第1気流発生部を制御してもよいし、第1バルブおよび第2バルブを制御してもよい。これにより、第1中継タンク内の粉粒体の貯留量を制御できる。
【0014】
本発明の第1態様に係る粉粒体搬送装置は、前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量を検出する第2レベル検出部をさらに備えることが好ましい。
このような構成において、制御部は、第2レベル検出部による検出結果に基づき、第1バルブまたは第2バルブの少なくとも一方を制御してもよい。これにより、第2中継タンク内の粉粒体の貯留量を好適に制御できる。
【0015】
本発明の第1態様において、前記第1中継タンク、前記第1気流発生部、前記第2中継タンク、および、前記第2気流発生部は、前記ストレージタンクと共に沖合のプラットフォーム上に設置されてもよい。
このような構成によれば、粉粒体の補給船を運用する場合において、補給船に搬送気流の発生源を設置する必要がなく、補給船に粉粒体を効率的に積載できる。
【0016】
本発明の第1態様に係る粉粒体搬送装置は、前記吸引ノズルを上下方向に移動させる移動機構をさらに備え、前記移動機構は、無線によって操作されることが好ましい。
このような構成によれば、補給船の搭乗員がプラットフォームに上陸する必要がなく、補給船をプラットフォームに接舷させる必要もない。これにより、上陸に必要な各種の手間を省略できる。また、補給船がプラットフォームに接触して損傷する可能性を低減できる。
【0017】
本発明の第2態様に係る粉粒体搬送方法は、粉粒体をストレージタンクに搬送する方法であって、吸引ノズルによって前記粉粒体を吸引し、前記吸引ノズルに吸引された前記粉粒体を第1中継タンクに供給する吸引工程と、前記第1中継タンクの下部に接続された第1バルブを介して、前記第1中継タンク内の前記粉粒体を前記第1中継タンクよりも鉛直方向下方に配置された第2中継タンクに送り出す中継工程と、前記第2中継タンクの下部に接続された第2バルブを介して、前記第2中継タンク内の前記粉粒体を前記ストレージタンクに圧送する圧送工程と、を実施し、前記中継工程および前記圧送工程が共に実施される間、前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量は、所定の下限レベル以上に維持される。
このような方法によれば、上述した粉粒体搬送装置の効果と同様、搬送気流の発生源として、吸引用の発生源と、圧送用の発生源とを用いることができるため、各発生源に必要な容量を抑えることができる。また、第2中継タンク内に貯留される粉粒体をマテリアルシールとして利用できる。よって、搬送気流の搬送力を低コストで確保しつつ、圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体の逆流(例えば第2中継タンクから第1中継タンクへの空気や粉粒体の逆流)を抑制できる。
【0018】
本発明の第2態様において、前記第1バルブおよび前記第2バルブは、それぞれ、ロータリーバルブであり、前記第2中継タンクには、前記粉粒体の貯留量を検出するレベル検出部が設けられており、前記中継工程および前記圧送工程が共に実施される間、前記レベル検出部による検出結果に基づいて、前記第1バルブおよび前記第2バルブの少なくとも一方の駆動を制御する制御工程をさらに実施することが好ましい。
このような方法によれば、第2中継タンク内の粉粒体の貯留量に変動が生じる場合であっても、当該粉粒体の貯留量を下限レベル以上に好適に保つことができる。
【0019】
本発明の第2態様において、前記中継工程および前記圧送工程が共に実施される間であって、前記第2中継タンク内の前記粉粒体の貯留量が前記下限レベル以上である場合、前記第2バルブによる前記粉粒体の単位時間当たりの送出量は、前記第1バルブによる前記粉粒体の単位時間当たりの送出量と等しいことが好ましい。
このような方法では、第2中継タンク内の粉粒体の貯留量を下限レベル以上に好適に保つことができる。
【0020】
本発明の第2態様において、前記中継工程は、前記吸引工程の開始後、前記吸引工程と共に実施され、前記吸引工程および前記中継工程が共に実施される間、前記第1バルブによる前記粉粒体の単位時間当たりの送出量は、前記吸引ノズルによる前記粉粒体の単位時間当たりの吸引量と等しいことが好ましい。
このような方法によれば、第1中継タンク内の粉粒体の貯留量を所定量以上に保つことができる。ここで、第1中継タンク内の粉粒体が第1中継タンクの下部開口に対するマテリアルシールとして機能可能な量である場合、上述のような圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体の逆流をより好適に抑制できる。
【0021】
本発明の第2態様において、前記粉粒体は、養殖用の餌であることが好ましい。すなわち、本発明の第2態様に係る粉粒体搬送方法は、沖合養殖に好適に利用できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、搬送気流の搬送力を低コストで確保しつつ、空気や粉粒体の逆流を抑制できる粉粒体搬送装置および粉粒体搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体搬送装置の概略を示す模式図。
【
図2】前記実施形態の粉粒体搬送装置を示す配管図。
【
図3】前記実施形態の粉粒体搬送装置におけるバルブを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の粉粒体搬送装置1は、補給船Sから沖合のプラットフォームPF上のストレージタンク9に粉粒体Pを搬送する装置である。プラットフォームPFは、例えば鉄骨製の構造体であり、底部が海底に固定される固定タイプでもよいし、浮体を用いた浮遊タイプでもよい。
また、本実施形態の粉粒体搬送装置1は、プラットフォームPF上に設置され、粉粒体搬送装置1およびストレージタンク9は、共に、プラットフォームPF上の粉粒体貯留システム100を構成する。
以下では、粉粒体貯留システム100を沖合養殖に利用する場合について主に説明する。この場合において、粉粒体Pは養殖用の餌であり、例えばペレット形状を有する。
【0025】
(粉粒体搬送装置1の構成)
図2に示すように、粉粒体搬送装置1は、粉粒体Pを吸引する吸引ノズル2と、吸引ノズル2を移動させる移動機構23と、吸引ノズル2に吸引された粉粒体Pが供給される第1中継タンク3と、吸引ノズル2に吸引気流を発生させる第1気流発生部4と、第1中継タンク3から粉粒体Pが供給される第2中継タンク5と、第2中継タンク5から供給される粉粒体Pをストレージタンク9に圧送する圧送気流を発生させる第2気流発生部7と、粉粒体搬送装置1の各部動作を制御する制御部8と、を備える。
【0026】
吸引ノズル2は、吸引配管21の先端に接続され、この吸引配管21を介して第1中継タンク3に接続される。吸引ノズル2は、補給船Sに積載された粉粒体Pを空気とともに吸引し、吸引した粉粒体Pおよび空気を第1中継タンク3に送る。
【0027】
図1に示すように、移動機構23は、吸引配管21の各部位を移動させることで吸引ノズル2を任意の位置に配置させる。具体的には、吸引配管21は、吸引ノズル2から第1中継タンク3に向かって、先端管211、第1可撓管212、湾曲管213、第1本体管214、第2可撓管215および第2本体管216が順に接続された構成を有する。移動機構23は、第1本体管214を牽引する牽引機構231と、第1本体管214に対して湾曲管213を回動させる回動機構232と、先端管211を牽引する牽引機構233と、を有する。移動機構23の各機構は、補給船S上の操作端末から無線操作可能であるように構成される。
牽引機構231は、第1本体管214に接続されたワイヤと、当該ワイヤを巻き取るウインチとを含み、第1本体管214を昇降させることで吸引ノズル2の鉛直方向の位置を変更可能である。回動機構232は、モータや減速器を含んで構成され、第1本体管214に対して湾曲管213を回動させることで、吸引ノズル2の水平面内の位置を変更可能である。粉粒体Pの補給時には、牽引機構231および回動機構232をそれぞれ操作することで、吸引ノズル2を補給船S上の任意の位置に配置可能である。
牽引機構233は、先端管211に接続されたワイヤと、当該ワイヤを巻き取るウインチとを含む。粉粒体Pの補給が行われない期間、牽引機構233は、先端管211をプラットフォームPF側に引き寄せることで、吸引ノズル2を船の通行の邪魔にならないよう配置させる。また、粉粒体Pの補給開始時、牽引機構233は、巻き取っていたワイヤを開放することで先端管211をプラットフォームPFから離れる側へ移動させ、吸引ノズル2を補給船S上に配置させる。
【0028】
図2において、第1中継タンク3は、吸引ノズル2から供給される粉粒体Pを一時的に貯留するレシーバタンクである。第1中継タンク3の上側開口31は、吸引配管21を介して吸引ノズル2に接続されており、第1中継タンク3の上側開口32は、吸引配管41を介して第1気流発生部4に接続されている。第1中継タンク3の下側開口33は、第1バルブ6Aに接続されている。
第1中継タンク3の内部は、第1気流発生部4により負圧状態に保たれる。第1中継タンク3では、上側開口31から送り込まれた粉粒体Pおよび空気のうち、粉粒体Pが重力によって降下し、第1中継タンク3の底部に堆積する。一方、空気は、第1中継タンク3内で粉粒体Pから分離し、上側開口32から吸引配管41を介して第1気流発生部4に吸入される。第1バルブ6Aは、第1中継タンク3の底部に堆積した粉粒体Pを、第1中継タンク3の下側開口33から連続的に送り出すことができる。
【0029】
また、第1中継タンク3には、内部に貯留される粉粒体Pのレベル(貯留量)を検出する第1レベル検出部34が設けられている。本実施形態において、第1レベル検出部34は、第1中継タンク3内の粉粒体Pの貯留量が上限レベルLH1に達したことを検出する上限センサである。なお、第1レベル検出部34の検出方式は、特に限定されず、例えば接触式でもよいし、超音波式でもよい。また、第1中継タンク3内の粉粒体Pの上限レベルLH1は、上側開口32への粉粒体Pの流入を防止するための任意のレベルであればよい。
【0030】
第1気流発生部4は、例えば吸引ブロアなどの真空発生器であり、吸引配管41を介して第1中継タンク3の上側開口32に接続される。第1気流発生部4は、第1中継タンク3内を負圧状態に保つことで、吸引ノズル2から第1中継タンク3に向かう吸引気流を発生させる。
なお、第1気流発生部4と第1中継タンク3との間には、圧力計42、集塵装置43、逆止バルブ44、および流量計45などが設けられてもよい。
【0031】
第2中継タンク5は、第1中継タンク3から第1バルブ6Aを介して供給される粉粒体Pを一時的に貯留する輸送タンクである。この第2中継タンク5は、第1中継タンク3の鉛直方向下方に配置されている(
図1参照)。また、第2中継タンク5の上側開口51は、第1バルブ6Aに接続されており、第2中継タンク5の下側開口52は、第2バルブ6Bに接続されている。
第2中継タンク5の内部は、ほぼ大気圧である。第2中継タンク5では、上側開口51から送り込まれた粉粒体Pが重力によって降下し、第2中継タンク5の底部に堆積する。第2バルブ6Bは、第2中継タンク5の底部に堆積した粉粒体Pを、第2中継タンク5の下側開口52から連続的に送り出すことができる。
【0032】
また、第2中継タンク5には、内部に貯留される粉粒体Pのレベル(貯留量)を検出する第2レベル検出部53が設けられている。本実施形態において、第2レベル検出部53は、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が上限レベルLH2に達したことを検出する上限センサ53Aと、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が下限レベルLL2に達したことを検出する下限センサ53Bと、を含む。なお、第2レベル検出部53の検出方式は、特に限定されず、例えば接触式でもよいし、超音波式でもよい。
【0033】
ここで、第2中継タンク5における粉粒体Pの上限レベルLH2は、粉粒体Pが上側開口51へ到達しないレベルであればよく、例えば、第2中継タンク5の容積に対する90体積%である。また、第2中継タンク5における粉粒体Pの下限レベルLL2は、予め設定されたレベルであり、少なくとも粉粒体Pが第2中継タンク5の下側開口52を覆い、粉粒体Pがマテリアルシールとして下側開口52を封止可能なレベルであればよく、例えば、第2中継タンク5の容積に対する30~40体積%の範囲内である。
【0034】
第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bは、それぞれ、ロータリーバルブである。ここで、
図3は、第1バルブ6A(または第2バルブ6B)の構成を模式的に示す図である。
図3に示すように、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bは、それぞれ、ケース体61と、ケース体61内に回転可能に支持される回転体62と、回転体62の回転軸621を回転させるモータ63(
図2参照)とを備える。ケース体61は、上側に開口する上側開口611と、下側に開口する下側開口612とを有し、上側開口611と下側開口612との間は、回転体62によって封止される。回転体62は、回転軸621と、回転軸621の周囲から等角度おきに放射状に突出する複数枚の羽根部622とを備える。羽根部622の先端部623は、ケース体61の内壁に対して対向している。なお、羽根部622の先端部623とケース体61の内壁との間には、回転体62が問題なく回転できる程度の若干の隙間が存在する。ケース体61や回転体62の大部分が金属製である一方、羽根部622の先端部623は、ゴムや樹脂などの軟質材料によって形成されている。
【0035】
また、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの各モータ63は、
図2に示すように、制御部8によって駆動制御される。これにより、第1バルブ6Aは、第1中継タンク3の下側開口33からの粉粒体Pの時間当たりの送出量を制御され、第2バルブ6Bは、第2中継タンク5の下側開口52からの粉粒体Pの時間当たりの送出量を制御される。
【0036】
第2気流発生部7は、圧送ブロアなどの空気圧縮器であり、搬送配管71に圧送気流を送り出す。搬送配管71には、エジェクタ72が設けられ、このエジェクタ72には第2バルブ6Bが接続されている。エジェクタ72は、第2気流発生部7から送り込まれた圧送気流により、第2バルブ6Bからエジェクタ72に向かう気流を生じさせる。第2バルブ6Bから送り出された粉粒体Pは、エジェクタ72を介して搬送配管71に流れ込む。
なお、第2気流発生部7とエジェクタ72との間には、圧力計73および逆止バルブ74などが設けられてもよい。
【0037】
搬送配管71におけるエジェクタ72と複数のストレージタンク9との間には、切替弁75が設けられている。すなわち、搬送配管71は、第2気流発生部7と切替弁75の入口との間を接続する上流配管711と、切替弁75の各出口とストレージタンク9との間を接続する複数の下流配管712とを有する。切替弁75は、制御部8により制御され、搬送先であるストレージタンク9に対応する下流配管712と上流配管711とを流通させる。搬送配管71を流れる粉粒体Pは、搬送先であるストレージタンク9に搬送される。
なお、
図2では、1つの切替弁75および2つのストレージタンク9が例示されるが、複数の切替弁75を組み合わせることで3つ以上のストレージタンク9が接続されてもよい。
【0038】
制御部8は、既存のコンピュータシステムに専用のドライバを組み合わせて構成され、記憶領域に格納されたプログラムを実行することで、粉粒体搬送装置1の各部動作の制御を行うものである。例えば、制御部8は、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が下限レベルLL2以上に保たれるように、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの少なくとも一方を制御する。なお、
図2には、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの制御に関する制御線を例示している。
【0039】
本実施形態において、ストレージタンク9は、粉粒体Pを貯留するタンクであり、第1中継タンク3および第2中継タンク5よりも大きな容積を有するものとする。このストレージタンク9には、内部に貯留される粉粒体Pのレベル(貯留量)を検出するレベル検出部として、上限センサ91および下限センサ92が設けられている。また、ストレージタンク9の出口93は、ロータリーバルブ101に接続され、ロータリーバルブ101は、エジェクタ103を介して供給配管102に接続されている。複数のストレージタンク9に対応する複数の供給配管102は、1つの気流発生部105に接続されており、気流発生部105と各エジェクタ103との間には逆止バルブ104が設けられている。逆止バルブ104は、気流発生部105から搬送対象のストレージタンク9に対応する供給配管102に向かう流路を連通させる。
ストレージタンク9の出口93から送り出される粉粒体Pは、気流発生部105により供給配管102内に生じた搬送気流によって、供給配管102の先端部(図示省略)に搬送される。供給配管102の先端部は、生簀内に配置される供給口を構成してもよいし、生簀近傍に設置される供給タンクに接続されてもよい。
【0040】
(搬送方法)
本実施形態の粉粒体搬送装置1を用いた搬送方法について説明する。
まず、
図1に示すように、粉粒体Pを積載した補給船SがプラットフォームPFの近傍に停泊する。このとき、補給船Sの搭乗員は、プラットフォームPFに上陸する必要はなく、補給船Sは、プラットフォームPFに接舷する必要はない。
【0041】
補給船Sの搭乗員は、移動機構23を無線で操作し、吸引ノズル2を補給船Sにおける粉粒体Pの直上に配置させる。そして、制御部8に対して補給開始指示を無線で送信する。制御部8は、切替弁75の出口が搬送先のストレージタンク9に連通するように切替弁75の状態を切り替える。
【0042】
そして、制御部8は、第1気流発生部4の駆動を開始させることで、吸引配管41における逆止バルブ44を開状態とし、吸引ノズル2に吸引気流を生じさせる。これにより、吸引ノズル2が粉粒体Pを吸引する(吸引工程)。
ここで、吸引工程の初期段階では、第1バルブ6Aを閉状態としたまま吸引ノズル2の吸引を所定時間継続することで、第1中継タンク3内に粉粒体Pを所定レベル以上貯留させる。この所定レベルとは、粉粒体Pが第1中継タンク3の下側開口33に対するマテリアルシールとして機能可能なレベルであることが好ましい。
【0043】
粉粒体Pの吸引開始から所定時間が経過した後(すなわち吸引工程の初期段階完了後)、制御部8は、第1バルブ6Aの駆動を開始する。すると、第1中継タンク3内の粉粒体Pが、第1バルブ6Aから連続的に送り出される(中継工程)。
ここで、制御部8は、流量計45による計測値に基づき、第1バルブ6Aの駆動を制御する。具体的には、制御部8は、第1バルブ6Aによる単位時間当たりの送出量が吸引ノズル2による粉粒体Pの単位時間当たりの吸引量と等しくなるように、第1バルブ6Aの駆動を制御する。
また、中継工程の初期段階では、第2バルブ6Bを閉状態としたまま、第1中継タンク3から粉粒体Pを所定時間送り出すことで、第2中継タンク5内に粉粒体Pを下限レベルLL2以上貯留させる。
【0044】
下限センサ53Bが第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が下限レベルLL2以上になってから所定時間が経過した後(すなわち中継工程の初期段階が完了した後)、制御部8は、第2バルブ6Bの駆動を開始する。また、制御部8は、第2気流発生部7の駆動を開始させことで、搬送配管71における逆止バルブ74を開状態とし、搬送配管71に圧送気流を発生させる。これにより、第2中継タンク5内の粉粒体Pは、下側開口52から連続的に送り出され、搬送配管71を介してストレージタンク9に空気搬送される(圧送工程)。
ここで、制御部8は、第2バルブ6Bによる粉粒体Pの単位時間当たりの送出量が第1バルブ6Aによる粉粒体Pの単位時間当たりの送出量と等しくなるように、第2バルブ6Bの駆動を制御する。これにより、第1中継タンク3内の粉粒体Pの貯留量、および、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量がそれぞれ保たれる。
【0045】
その後、搬送対象のストレージタンク9における上限センサ91が粉粒体Pを検出するまで、上述の吸引工程、中継工程、および、圧送工程をそれぞれ継続し、補給船Sからストレージタンク9まで粉粒体Pを空気搬送する。
【0046】
ここで、吸引工程、中継工程、および、圧送工程が共に実施される間、制御部8は、第1レベル検出部34により第1中継タンク3内の粉粒体Pの貯留量を監視すると共に、第2レベル検出部53により第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量を監視し、第1バルブ6Aまたは第2バルブ6Bの少なくとも一方を制御する(制御工程)。
例えば、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が下限レベルLL2よりも小さくなった場合、制御部8は、第2バルブ6Bの駆動を一時停止させてもよいし、第2バルブ6Bの送出量を一時減少させてもよい。
一方、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が上限レベルLH2以上になった場合、制御部8は、第1バルブ6Aの駆動を一時停止させてもよいし、第1バルブ6Aの送出量を一時減少させてもよい。
また、第1中継タンク3内の粉粒体Pの貯留量が上限レベルLH1以上になった場合、制御部8は、第1気流発生部4により発生する吸引気流の流量を減少させてもよいし、第1気流発生部4を一時停止させてもよい。あるいは、制御部8は、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bによる各送出量を一時増加させてもよい。
これにより、第1中継タンク3および第2中継タンク5の各貯留量は、意図しない変動が生じたとしても、所定の範囲内に保たれる。
【0047】
搬送対象のストレージタンク9における上限センサ91が粉粒体Pを検出した場合、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bによる粉粒体Pの送り出しを停止させ、当該ストレージタンク9に対する粉粒体Pの搬送を完了する。
その後、切替弁75を制御し、他のストレージタンク9を搬送対象として、当該他のストレージタンク9に対する粉粒体Pの搬送を行ってもよい。
なお、粉粒体Pをストレージタンク9に搬送すると同時に、ストレージタンク9内の粉粒体Pを生簀などの供給先に供給してもよい。
【0048】
(本実施形態の効果)
本実施形態の粉粒体搬送装置1は、上述したように、粉粒体Pを吸引する吸引ノズル2と、吸引ノズル2により吸引された粉粒体Pが供給される第1中継タンク3と、吸引ノズル2と第1中継タンク3との間の吸引配管21に吸引気流を発生させる第1気流発生部4と、第1中継タンク3の下部に接続された第1バルブ6Aと、第1中継タンク3よりも鉛直方向下方に配置され、第1中継タンク3から第1バルブ6Aを介して粉粒体Pが供給される第2中継タンク5と、第2中継タンク5の下部に接続された第2バルブ6Bと、第2バルブ6Bとストレージタンク9との間の流路に圧送気流を発生させる第2気流発生部7と、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が所定の下限レベルLL2以上を維持するように、第1バルブ6Aまたは第2バルブ6Bの少なくとも一方を制御する制御部8と、を備える。
【0049】
このような本実施形態では、第1気流発生部4が吸引ノズル2から第1中継タンク3へ向かう流路に吸引気流を発生させ、第2気流発生部7が第2中継タンク5からストレージタンク9へ向かう流路に圧送気流を発生させる。その結果、第1気流発生部4および第2気流発生部7の各容量を抑えつつ、各流路に必要な搬送気流の搬送力を確保できる。また、第1中継タンク3と第2中継タンク5との位置関係により、第1中継タンク3内の粉粒体Pは主に重力によって第2中継タンク5へ搬送可能である。これにより、搬送気流の搬送力を低コストで確保できる。
また、本実施形態では、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量は、所定の下限レベルLL2以上に保たれる。第2中継タンク5内の粉粒体Pは、第2中継タンク5の下側開口52に対するマテリアルシールとして機能し、第1気流発生部4により発生する気流の流路(吸引流路)と、第2気流発生部7により発生する気流の流路(圧送流路)との間をシールできる。これにより、圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体Pの逆流(例えば第2中継タンク5から第1中継タンク3への空気や粉粒体Pの逆流)を抑制できる。
【0050】
このような粉粒体搬送装置1は、沖合養殖のための粉粒体貯留システム100に好適に利用できる。例えば、補給船Sからストレージタンク9の上部までの流路に大きな高低差が存在する場合であっても、問題なく搬送を行うことができる。また、海象条件が良好な時間に搬送を短時間で行うことができ、沖合における海象変化の影響を避けることができる。
【0051】
本実施形態において、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bは、それぞれ、ロータリーバルブである。このような構成によれば、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの各回転体62を回転駆動することで、粉粒体Pを連続的に送り出すことができる。また、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの各内部では、上側開口611と下側開口612との間が回転体62によって封止さるため、上述のような圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体Pの逆流をより好適に抑制できる。
【0052】
本実施形態において、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bのそれぞれは、複数の羽根部622を有する回転体62と、回転体62を収容し、かつ、上側開口611および下側開口612を有するケース体61とを備え、羽根部622のうちケース体61の内壁に対向する先端部623は、軟質材料によって構成されている。このような構成によれば、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの各内部におけるシール性を向上できる。また、搬送する粉粒体Pがペレット形状を有する場合には、粉粒体Pの割れや欠けを低減できる。
【0053】
本実施形態の粉粒体搬送装置1は、第1中継タンク3内の粉粒体Pの貯留量を検出する第1レベル検出部34をさらに備える。このような構成において、制御部8は、第1レベル検出部34による検出結果に基づき、第1気流発生部4を制御してもよいし、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bを制御してもよい。これにより、第1中継タンク3内の粉粒体Pの貯留量を制御できる。
【0054】
本実施形態の粉粒体搬送装置1は、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量を検出する第2レベル検出部53をさらに備える。このような構成において、制御部8は、第2レベル検出部53による検出結果に基づき、第1バルブ6Aまたは第2バルブ6Bの少なくとも一方を制御してもよい。これにより、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量を制御できる。
【0055】
本実施形態において、第1中継タンク3、第1気流発生部4、第2中継タンク5、および、第2気流発生部7は、ストレージタンク9と共に沖合のプラットフォームPF上に設置される。このような構成によれば、補給船Sに搬送気流の発生源を設置する必要がなく、補給船Sに粉粒体Pを効率的に積載できる。
【0056】
本実施形態の粉粒体搬送装置1は、吸引ノズル2を上下方向に移動させる移動機構23をさらに備え、移動機構23は、無線によって操作される。このような構成によれば、補給船Sの搭乗員がプラットフォームPFに上陸する必要がなく、補給船SをプラットフォームPFに接舷させる必要もない。これにより、上陸に必要な各種の手間を省略できる。また、補給船SがプラットフォームPFに接触して損傷する可能性を低減できる。
【0057】
本実施形態の粉粒体搬送方法は、上述したように、吸引ノズル2によって粉粒体Pを吸引し、吸引ノズル2に吸引された粉粒体Pを第1中継タンク3に供給する吸引工程と、第1中継タンク3の下部に接続された第1バルブ6Aを介して、第1中継タンク3内の粉粒体Pを第1中継タンク3よりも鉛直方向下方に配置された第2中継タンク5に送り出す中継工程と、第2中継タンク5の下部に接続された第2バルブ6Bを介して、第2中継タンク5内の粉粒体Pをストレージタンク9に圧送する圧送工程とを実施し、中継工程および圧送工程が共に実施される間、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量は、所定の下限レベルLL2以上に維持される。
このような方法によれば、上述した粉粒体搬送装置1の効果と同様、搬送気流の発生源(第1気流発生部4および第2気流発生部7)に必要な容量を抑えることができる。また、第2中継タンク5内に堆積する粉粒体Pをマテリアルシールとして利用できる。よって、搬送気流の搬送力を低コストで確保しつつ、圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体Pの逆流(例えば第2中継タンク5から第1中継タンク3への空気や粉粒体Pの逆流)を抑制できる。
また、本実施形態の粉粒体搬送方法は、粉粒体Pとして養殖用の餌を用いることで、沖合養殖に好適に利用できる。
【0058】
本実施形態において、第2中継タンク5には、粉粒体Pの貯留量を検出する第2レベル検出部53が設けられており、中継工程および圧送工程が共に実施される間、第2レベル検出部53による検出結果に基づいて、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの少なくとも一方の駆動を制御する制御工程をさらに実施する。このような方法によれば、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量に変動が生じる場合であっても、当該粉粒体Pの貯留量を下限レベルLL2以上に好適に保つことができる。
【0059】
本実施形態において、中継工程および圧送工程が共に実施される間、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量が下限レベルLL2以上である場合、第2バルブ6Bによる粉粒体Pの単位時間当たりの送出量は、第1バルブ6Aによる粉粒体Pの単位時間当たりの送出量と等しい。このような方法によれば、第2中継タンク5内の粉粒体Pの貯留量を下限レベルLL2以上に好適に保つことができる。
【0060】
本実施形態において、中継工程は、吸引工程の開始後、吸引工程と共に実施され、吸引工程および中継工程が共に実施される間、中継工程における前記粉粒体の単位時間当たりの送出量は、前記吸引工程における前記粉粒体の単位時間当たりの吸引量と等しい。このような方法によれば、第1中継タンク内の粉粒体Pの貯留量を所定量以上に保つことができる。ここで、第1中継タンク3内の粉粒体Pが第1中継タンク3の下側開口33に対するマテリアルシールとして機能可能な量である場合、上述のような圧送流路から吸引流路への空気や粉粒体Pの逆流をより好適に抑制できる。
さらに、本実施形態では、吸引工程、中継工程および圧送工程が、バッチ単位ではなく、共に連続的に実施される。これにより、搬送にかかる時間を短縮化することができる。
【0061】
(変形例)
本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形などは本発明に含まれる。
前記実施形態では、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bが、それぞれロータリーバルブであり、羽根部622の先端部623が軟質材料によって形成されているが、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの具体的な構成は特に限定されない。例えば、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bは、それぞれ、一般的なロータリーバルブであってもよい。あるいは、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの少なくとも一方として、ロータリーバルブ以外のバルブ(例えばゲート弁やバタフライ弁など)を利用してもよい。
【0062】
前記実施形態において、第1中継タンク3に設けられる第1レベル検出部34は、上限センサであるが、上限センサおよび下限センサを含んでもよい。この場合、制御部8は、第2中継タンク5だけでなく、第1中継タンク3における粉粒体Pが所定量以上(例えばマテリアルシールが可能なレベル)を維持するように、第1気流発生部4または第1バルブ6Aの少なくとも一方を制御してもよい。
【0063】
前記実施形態において、粉粒体搬送装置1は、第1レベル検出部34および第2レベル検出部53を備えなくてもよい。例えば、制御部8は、流量計45や圧力計42,73などの各計測値に基づいて、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bを制御してもよい。あるいは、第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bは、予め設定された送出量に従って駆動されてもよい。すなわち、制御部8による第1バルブ6Aおよび第2バルブ6Bの各送出量を制御するための制御工程が行われなくてもよい。
【0064】
前記実施形態では、吸引工程、中継工程および圧送工程が共に実施されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1中継タンク3の容量が十分にある場合など、吸引工程の一時停止中に中継工程および圧送工程を実施してもよい。
また、前記実施形態では、吸引工程により第1中継タンク3に所定量の粉粒体Pが貯留された後、中継工程が開始されるが、本発明はこれに限定されない。すなわち、粉粒体Pによるマテリアルシールは、少なくとも第2中継タンク5において実現されればよく、第1中継タンク3において実現されなくてもよい。
また、前記実施形態において、吸引ノズル2による粉粒体Pの単位時間当たりの吸引量、第1バルブ6Aによる粉粒体Pの単位時間当たりの送出量、および、第2バルブ6Bによる粉粒体Pの単位時間当たりの送出量は、任意に設定可能であり、互いに異なる量であってもよい。
【0065】
前記実施形態では、粉粒体搬送装置1を含めた粉粒体貯留システム100を沖合養殖に利用する場合について主に説明しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、粉粒体Pは、小麦などの粉体でもよいし、木質ペレットなどの粒体でもよい。粉粒体搬送装置1およびストレージタンク9は、沖合のプラットフォームPFではなく、港などに設置されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…粉粒体搬送装置、2…吸引ノズル、21…吸引配管、211…先端管、23…移動機構、231…牽引機構、3…第1中継タンク、31…上側開口、32…上側開口、33…下側開口、232…回動機構、34…第1レベル検出部、4…第1気流発生部、41…吸引配管、42…圧力計、43…集塵装置、44…逆止バルブ、45…流量計、5…第2中継タンク、51…上側開口、52…下側開口、53…第2レベル検出部、53A…上限センサ、53B…下限センサ、6A…第1バルブ、6B…第2バルブ、61…ケース体、611…上側開口、612…下側開口、62…回転体、621…回転軸、622…羽根部、623…先端部、63…モータ、7…第2気流発生部、71…搬送配管、711…上流配管、712…下流配管、72…エジェクタ、73…圧力計、74…逆止バルブ、75…切替弁、8…制御部、9…ストレージタンク、91…上限センサ、92…下限センサ、93…出口、100…粉粒体貯留システム、101…ロータリーバルブ、102…供給配管、103…エジェクタ、104…逆止バルブ、105…気流発生部、P…粉粒体、PF…プラットフォーム、S…補給船。