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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161218
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】筆記具
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20231030BHJP
   B43K 21/16 20060101ALI20231030BHJP
   B43K 8/22 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
B43K21/16 K
B43K8/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071440
(22)【出願日】2022-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】000156134
【氏名又は名称】株式会社壽
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】陰山 秀平
(72)【発明者】
【氏名】中田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】岩井 颯真
【テーマコード(参考)】
2C350
2C353
【Fターム(参考)】
2C350GA13
2C353FA06
2C353HA10
(57)【要約】
【課題】スタイラス部材の交換を手軽に行うことが可能な筆記具の提供。
【解決手段】軸筒2の後端側に着脱可能に装着される後軸部材3を備えた筆記具1であって、後軸部材3が、後端側にスタイラス部材31が着脱可能に取り付けられた中軸部材33と、中軸部材33の外側に取り付けられる外筒部材34と、を備え、中軸部材33と外筒部材34の一方に、中軸部材33と外筒部材34の一方の軸方向に沿って延びる導入部と、当該導入部に対して異なる角度で前記導入部と接続された係合部とを有するスリットが形成され、中軸部材33と外筒部材34の他方に、前記スリットに導入される凸部が形成されており、前記スリットと前記凸部の係合及びその解除により、中軸部材33と外筒部材34が着脱可能である、筆記具。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒の後端側に着脱可能に装着される後軸部材を備えた筆記具であって、
前記後軸部材が、
後端側にスタイラス部材が着脱可能に取り付けられた中軸部材と、
前記中軸部材の外側に取り付けられる外筒部材と、
を備え、
前記中軸部材と前記外筒部材の一方に、前記中軸部材と前記外筒部材の一方の軸方向に沿って延びる導入部と、当該導入部に対して異なる角度で前記導入部と接続された係合部とを有するスリットが形成され、前記中軸部材と前記外筒部材の他方に、前記スリットに導入される凸部が形成されており、前記スリットと前記凸部の係合及びその解除により、前記中軸部材と前記外筒部材が着脱可能である、筆記具。
【請求項2】
前記中軸部材が導電部材を有し、
前記スタイラス部材が、エラストマー部材と、前記エラストマー部材の表面に設けられた金属メッシュを備え、
前記金属メッシュが前記導電部材と電気的に導通されている、請求項1に記載の筆記具。
【請求項3】
前記筆記具が、サイドノック式のシャープペンシルである、請求項1又は2に記載の筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記具に関し、特に、筆記具の後端側に、電子機器のタッチパネルに接触させて使用されるタッチペンのペン先として機能するスタイラス部材を備えた筆記具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筆記具の後端側に設けられたエンドカバーとして、例えば、シャープペンシルにおいて消しゴムを備えさせるようにしたもの等の、単なるエンドカバーとしての機能以外の機能を持たせたものが存在していた。このようなものの一つとして、電子機器のタッチパネルに接触させて使用されるタッチペンのペン先として機能するスタイラス部材が、後端側に設けられた筆記具がある。特許文献1には、このようなスタイラス部材を備えた筆記具に関する記載がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-252699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スタイラス部材(タッチパネルに使用するタッチペンのペン先)の材料としては、例えば、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性スポンジ等の弾性材料が使用されている。使用回数が増えてくると、スタイラス部材に摩耗等が生じ、タッチペンとしての機能性の低下が生じる一方、筆記具自体の機能には何の問題もなく、その結果、タッチペンとしての機能が失われた単なる筆記具となってしまう場合があった。このため、スタイラス部材の交換が手軽にできる筆記具が求められている。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、スタイラス部材の交換を手軽に行うことが可能な筆記具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
軸筒の後端側に着脱可能に装着される後軸部材を備えた筆記具であって、前記後軸部材が、後端側にスタイラス部材が着脱可能に取り付けられた中軸部材と、前記中軸部材の外側に取り付けられる外筒部材と、を備え、前記中軸部材と前記外筒部材の一方に、前記中軸部材と前記外筒部材の一方の軸方向に沿って延びる導入部と、当該導入部に対して異なる角度で前記導入部と接続された係合部とを有するスリットが形成され、前記中軸部材と前記外筒部材の他方に、前記スリットに導入される凸部が形成されており、前記スリットと前記凸部の係合及びその解除により、前記中軸部材と前記外筒部材が着脱可能である、筆記具。
【0007】
(構成2)
前記中軸部材が導電部材を有し、前記スタイラス部材が、エラストマー部材と、前記エラストマー部材の表面に設けられた金属メッシュを備え、前記金属メッシュが前記導電部材と電気的に導通されている、構成1に記載の筆記具。
【0008】
(構成3)
前記筆記具が、サイドノック式のシャープペンシルである、構成1又は2に記載の筆記具。
【発明の効果】
【0009】
本発明の筆記具によれば、スタイラス部材の交換を手軽に行うことが可能な筆記具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る実施形態の筆記具を示す側面図及び正面図である。
図2】実施形態の筆記具の断面図である。
図3】実施形態の筆記具の後軸部材を示す図である。
図4】後軸部材の外筒部材を示す図である。
図5】後軸部材の外筒部材を示す図である。
図6】後軸部材の中軸部材を示す図である。
図7】後軸部材の中軸部材を示す図である。
図8】後軸部材の弾性部材を示す図である。
図9】後軸部材のスタイラス部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0012】
図1及び図2は、本実施形態の筆記具を示す図であり、それぞれ、図1(a):側面図、図1(b):正面図、図2:断面図、である。
図1、2からも理解されるように、本実施形態の筆記具1は、サイドノック式のシャープペンシルである。
筆記具1は、軸筒2の中にシャープペンシルの機構部が納められ、軸筒2の側面部分に設けられたノックボタン21をノックすることで、芯を出すことができるものである。サイドノック式のシャープペンシルとしての機構部分は公知のものであり、任意の機構を適用することができるため、ここでのこれ以上の説明を省略する。
なお、筆記具における前端とは、筆記具の軸筒内に収容された筆記要素の先端が突出する軸筒の端部をいい、筆記具における後端とは、筆記要素の先端が突出する側と反対側の軸筒の端部をいう。
【0013】
軸筒2の後端側には、後軸部材3を着脱可能に取り付け可能とする取り付け部が形成されている。当該取り付け部は、後軸部材3の少なくとも一部を受け入れる空洞部と、後軸部材3の係合部材343と係合する係合スリット22と、を備える。
本実施形態の筆記具1においては、軸筒2と後軸部材3の接合面が斜めにカットされたような形状を有することで、デザイン性を高めている。また、この斜めカットは、後軸部材3の係合部材343を、係合スリット22へと誘導するガイドとしても機能するため、後軸部材3の装着操作が容易になるという効果も得られる。
【0014】
図3は、後軸部材3を示す図であり、それぞれ、図3(a):側面図、図3(b):上面図、図3(c):図3(b)のA-A線の断面図、である。
軸筒2の後端側に着脱可能に装着される後軸部材3は、
後端側にスタイラス部材31が着脱可能に取り付けられた中軸部材33と、
中軸部材33の外側に取り付けられる外筒部材34と、
中軸部材33の後端部であって、スタイラス部材31の内側となる位置に取り付けられた弾性部材32と、
中軸部材33の前端部に取り付けられた消しゴム35と、
を備えている。
【0015】
図4及び図5は、外筒部材34を示す図であり、それぞれ、図4(a):側面図、図4(b):上面図、図4(c):図4(a)と反対側の側面図、図5(a):底面図、図5(b):図4(b)のB-B線の断面図、図5(c):係合部材343の正面拡大図、図5(d):図5(b)のD部分の(外筒部材34の後端部)の拡大図である。
外筒部材34は、基本態様が円筒状の部材であり、軸筒2の内部へと挿入される前部341と、軸筒2との接合面(斜めカット)以降の部分である後部342とを備える。
【0016】
前部341は、係合部材343部分を除き、その外径が、軸筒2の後端部の空洞部の内径と略同一かこれより僅かに小さく形成された円筒部であり、スリット3411と、逃げ穴3412と、複数の微小リブ3414と、が形成されている。
【0017】
スリット3411は、後に説明する中軸部材33に形成された凸部3311と係合する溝であり、外筒部材34の軸方向に沿って延びる導入部34111と、当該導入部34111に対して異なる角度で導入部34111と接続された(本実施形態では略直角に屈曲した)係合部34112と、を有している。
即ち、外筒部材34に中軸部材33を軸方向に沿って挿入する際に、凸部3311をスリット3411の導入部34111に進入させ、凸部3311が導入部34111の終端で突き当たる位置にきたら、外筒部材34と中軸部材33を相対的に回転させることで、凸部3311がスリット3411の係合部34112に入り込み、外筒部材34と中軸部材33が係合状態となるものである。
【0018】
係合部34112に隣接して、これに沿うように形成された逃げ穴3412は、第1応力緩和部であり、係合部34112の突き当り部分でその溝幅が小さくなるように形成された縮径部34113は、第2応力緩和部である。
逃げ穴3412は、係合部34112(溝)の弾性変形(溝の拡幅)が可能となるように形成された応力緩和部であり、縮径部34113は、係合部34112(溝)が拡幅されたときにクラックの起点にならないように、弾性変形して拡幅できるように形成された応力緩和部である。
なお、前部341の表面に形成された複数の微小リブ3414は、外筒部材34と中軸部材33の間のガタツキを防止し、両者の間の摩擦力を調整するものである。
【0019】
後部342は、筆記体1の外観の一部を構成するものであり、本実施形態では、例えばストラップ等を取り付けることができる取り付け口344が形成されている。取り付け口344に替えてクリップ等を形成するようなものであっても勿論よい。
後部342の後端側の開口部の内側には、後に説明するスタイラス部材31の抜け防止のための内側突出部3421が形成されている。内側突出部3421は、各部材を組付けた際に、後部342の内面のスタイラス部材31に対向する位置において、内側に微小に突出するように形成され、これによってスタイラス部材31が抜けることを低減しているものである。内側突出部3421は、本実施形態では、後部342の後端部の内径を小さくした縮径部として形成しているが、1つ若しくは複数の凸部によって内側突出部を形成するもの等であってもよい。
【0020】
係合部材343は、軸筒2の係合スリット22と係合する部材であり、図5(c)にその拡大図を示したように、その基本態様は外筒部材34(及び軸筒2)の軸方向に沿って延びるリブ状の部材であり、その一部において拡幅部3431が形成されている。
軸筒2の係合スリット22は、その基本態様が軸筒2の軸方向に沿って延びる直線状のスリットであり、その幅は係合部材343より僅かに大きく形成され、かつ、その一部において、係合部材343の拡幅部3431に対応して幅が拡張された部分を有している(図1(b)参照)。
これにより、両者の拡幅部が合う箇所で軸筒2と外筒部材34との係合力が得られるものである。
なお、スリット22は、係合部材343の挿入長さに対して、余長を有して形成されている(図1(b)参照)。当該余長部分は、前述の縮径部34113と同様に、スリットが弾性変形して拡幅した際にクラックが生じないようにするための応力緩和部である。
【0021】
図6及び図7は、中軸部材33を示す図であり、それぞれ、図6(a):側面図、図6(b):上面図、図6(c):図6(b)のE-E線の断面図、図7(a):図6(c)のF-F線の断面図、図7(b):図7(a)のH-H線の断面図(先端部付近のみ)、図7(c):図6(c)のG-G線の断面図である。
中軸部材33は、基本態様が円筒状の部材であり、外筒部材34の内部へと挿入される挿入部331と、外筒部材34との接合面より前の部分である前端部332とを備える。
本実施形態の中軸部材33は、樹脂によって形成されているが、メッキ処理がなされ、これによって導電性を有する部材である(導電部材を有している)。
【0022】
挿入部331は、その外径が中軸部材33の内径より僅かに小さく形成され、凸部3311と、穴3312と、スタイラス取り付け部3313と、を有する。
【0023】
凸部3311は、前述のごとく、外筒部材34のスリット3411に導入され、スリット3411と凸部3311の係合及びその解除により、中軸部材33と外筒部材34が着脱可能となるものである。
凸部3311の直径は、スリット3411(導入部34111及び係合部34112)の溝の幅と略同一かこれより僅かに小さく形成される。
【0024】
挿入部331の後端部に形成されるスタイラス取り付け部3313は、後端部33132とくびれ部33131を備え、後に説明する弾性部材32を取り付けるための取り付け穴33133が形成されている。
くびれ部33131に、後述するスタイラス部材31の内側凸部3111が係合することで、スタイラス部材31が中軸部材33に取り付けられるものである。
取り付け穴33133の内部には、空気溝33134が形成され、当該空気溝33134は、後端部33132の後端面にまで連続して形成されている(図6(b)、(c)、図7(c)参照)。空気溝33134は、スタイラス部材31が凹んだ後に内部に空気を入れて復元させるための空気の通り道(溝)であり、後に説明する弾性部材32が取り付けられた状態においても、中軸部材33の内部とスタイラス部材31の内部とを連通させるものである。
【0025】
穴3312は、中軸部材33をメッキ処理する際に、メッキ液を中軸部材33の内部へも流すための貫通孔である。
【0026】
前端部332は、その内部に拡径部3321を有する。拡径部3321は消しゴム35を取り付けるための取り付け部である(図3参照)。
拡径部3321の内部には、空気溝3322が形成されており、消しゴム35が取り付けられた状態においても、中軸部材33の内部と外部とを連通させるものである。
【0027】
図8は、弾性部材32を示す図であり、それぞれ、図8(a):底面図、図8(b):側面図である。
弾性部材32は、図3(b)に示されるように、スタイラス部材31の内側に設けられ、スタイラス部材31の使用時(タッチパネルへのタッチ時)に、スタイラス部材31が凹んでしまうことを防止するための後ろ支えの部材である。
弾性部材32は、タッチ時の感触向上の観点から、弾性部材(本実施形態ではゴム)で形成されており、中軸部材33の後端の取り付け穴33133に対して挿入される挿入脚321と、半球部322とを備えたキノコ状の形状を有している。
挿入脚321の外径は、取り付け穴33133の内径と略同一かわずかに小さく形成される。
挿入脚321が取り付け穴33133に挿入して取り付けられることにより、スタイラス部材31の交換作業等において、弾性部材32が脱落してしまうようなことが低減され、作業性が向上される。なお、挿入脚321の外径を取り付け穴33133の内径と略同一となるように(場合によってはわずかに大きく)形成することによって、弾性部材32がより外れ難くなるようにしてもよい。
【0028】
図9は、スタイラス部材31を示す図であり、それぞれ、図9(a):側面図、図9(b):底面図、図9(c):上面図、図9(d):図9(c)のI-I線の断面図、である。
本実施形態の筆記具1は、静電容量方式のタッチパネルに使用するタッチペンとしての機能を有するものであり、スタイラス部材31は導電部材を有している。
本実施形態のスタイラス部材31は、エラストマー部材311と、エラストマー部材311の表面に設けられた金属メッシュ312を備えており、金属メッシュ312が導電性の金属で形成されることで、導電性を有している。なお、エラストマー部材311を導電性ゴム部材などで形成するものであってもよい。
スタイラス部材31は、後端側が半球状に形成され、この半球状部分から前方側に向かって円筒状部分を有する。当該円筒状部分の前端部の内側には、内側へ突出する内側凸部3111が形成されており、前述のごとく、当該内側凸部3111が中軸部材33のくびれ部33131に係合することで、スタイラス部材31が中軸部材33に取り付けられる。
エラストマー部材311が柔軟性を有していると共に、金属メッシュ312も網であることによる柔軟性を有しているため、くびれ部33131に係合させる際の作業性に優れている。
本実施形態では、内側凸部3111を、円筒状部分の内径を小さくした縮径部として形成しているが、1つ若しくは複数の凸部によって内側凸部を形成するもの等であってもよい。
【0029】
スタイラス部材31が中軸部材33に取り付けられると、金属メッシュ312が、表面がメッキ処理された中軸部材33と接触し、金属メッシュ312と中軸部材33(導電部材)が電気的に導通される。これにより、静電容量方式のタッチパネルを動作させるのに必要な電気的変化を起こすだけの容量が得られる。
なお、ここでは、金属メッシュ312と中軸部材33が直接接触するように構成したものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、金属メッシュ312と中軸部材33が他の部材(例えば、導電性ゴムで形成されたエラストマー部材311)を介して電気的に導通されるものであってもよい。
【0030】
上記の各部材を備える後軸部材3の組み立ては、中軸部材33の後端側に弾性部材32を取り付けた上でスタイラス部材31を取り付け、先端側には消しゴム35を取り付ける(なお、消しゴム35は任意のタイミングで取り付け可)。その上で、中軸部材33を、外筒部材34の先端側から挿入し、凸部3311をスリット3411の導入部34111に侵入させ、中軸部材33が外筒部材34に軸方向に突き当たったら、外筒部材34と中軸部材33を相対的に回転させることで、凸部3311がスリット3411の係合部34112に入り込み、外筒部材34と中軸部材33が係合状態となり、これにより、後軸部材3が組み上がる。
外筒部材34と中軸部材33は、上記組立と反対の手順で取り外すことができ、柔軟性を有するスタイラス部材31は比較的簡単に中軸部材33に対して着脱することができる。この際に、前述のように弾性部材32が脱落してしまうようなことが低減されているため、作業が煩わしくなることも低減されている。従って、スタイラス部材の交換を手軽に行うことが可能である。
【0031】
以上のごとく、本実施形態の筆記具1によれば、スタイラス部材の交換を手軽に行うことができる。
また、図3(b)に示されるように、スタイラス部材31の前端部が、外筒部材34と中軸部材33の間に挟まれるような構成となり、且つ、上述したように、外筒部材34の後端側の開口部の内側には、スタイラス部材31の抜け防止のための内側突出部3421が形成されているため、普段の使用時においてスタイラス部材が外れてしまうといったことが防止される。
【0032】
また、スタイラス部材31の表面が金属メッシュによって構成されているため、摩耗等に対して強く、耐久性に優れる。なお、本発明のスタイラス部材をこれに限るものではなく、例えば、導電性プラスチック、導電性ゴム、導電性スポンジ等の導電性を有する任意の部材によって構成するものであってよい。
【0033】
後軸部材3は、着脱可能であるため、筆記具1として一体的にスタイラスペン(タッチペン)として使用することもできるし、後軸部材3を取り外して、筆記具とスタイラスペン(タッチペン)を別々に利用することもできる。また、後軸部材3を取り外すことで、消しゴムとしても利用することができる。なお、本実施形態では、後軸部材3の先端側に消しゴム35を設けるものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、他の機能を有する部材(例えば、別の筆記具、ハンコや、摩擦熱を発生させるラバー等)を設けるもの(或いはこれらを交換可能にするもの等)であってもよい。
【0034】
なお、実施形態では筆記具の具体例としてサイドノック式のシャープペンシルを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、ボールペンや万年筆など、軸筒の後端側に後軸部材を着脱可能に取り付け可能とする取り付け部を形成することが可能な任意の筆記具に対して適用することができる。
シャープペンシル等、その使用においてノック動作が必要な筆記具については、本実施形態で説明したように、サイドノック方式のもの等を用いることにより、後端部にスタイラス部材を設けた際に、ノック動作でスタイラス部材を潰してしまうといったことを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態では、軸筒の後端側に後軸部材を着脱可能に取り付ける取り付け部として、接合面が斜めにカットされたものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。軸筒の後端側に後軸部材を着脱可能に取り付け可能とすることが可能な任意の取り付け部を採用することができる。例えば、本実施形態では、軸筒が後軸部材を受け入れる構成であるが、後軸部材が軸筒を受け入れる構成であってもよい(ただし、この場合には消しゴム等を設けることはできない)。また、両者の取り付け状態を保持するための構造についても、実施形態では、係合部材343と係合スリット22を例としているが、これに限るものではなく、両者の取り付け状態を保持可能な任意の構造を用いることができる。
【0036】
本実施形態では、中軸部材が樹脂によって形成され、メッキ処理がなされることよって導電性を有する部材であるものを例としているが、本発明をこれに限るものではない。例えば、中軸部材そのものを金属などの導電性を有する材料で形成するもの等、静電容量方式のタッチパネルを動作させるのに必要な容量を有する導電部材を備えさせることが可能な任意の構成としてよい。
【0037】
実施形態では、外筒部材にスリットが形成され、中軸部材に前記スリットに導入される凸部が形成されているものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、中軸部材にスリットが形成され、外筒部材に前記スリットに導入される凸部が形成されているものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1...筆記具
2...軸筒
3...後軸部材
31...スタイラス部材
311...エラストマー部材
312...金属メッシュ
33...中軸部材
3311...凸部
34...外筒部材
3411...スリット
34111...導入部
34112...係合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9