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  • 特開-被牽引車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023161236
(43)【公開日】2023-11-07
(54)【発明の名称】被牽引車両
(51)【国際特許分類】
   B62D 63/06 20060101AFI20231030BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20231030BHJP
   B62D 29/04 20060101ALI20231030BHJP
   B62D 33/04 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
B62D63/06 A
B62D25/08 L
B62D29/04 Z
B62D33/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022071470
(22)【出願日】2022-04-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-01
(71)【出願人】
【識別番号】521341363
【氏名又は名称】株式会社ワンナップ・クオリティ
(74)【代理人】
【識別番号】100094525
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100094514
【弁理士】
【氏名又は名称】林 恒徳
(74)【代理人】
【識別番号】100106356
【弁理士】
【氏名又は名称】松枝 浩一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 春樹
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203BA02
3D203BC10
3D203CA08
3D203DA73
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車輪をボディの後方に配置しつつ十分な荷物容量を確保することができる改良された新規の被牽引車両を提供する。
【解決手段】動力車により牽引される2輪の被牽引車両は、荷室空間を形成するボディケース10と、そのボディケースが載せられるフレーム20と、フレーム20の後端に配置される車軸30と、車軸30の両端部それぞれを回転中心として回転可能に後方に延びる2つのアーム40と、アーム40それぞれに取り付けられる2つの車輪50とを備え、ボディケース10の前側底面がフレーム20上に取り付けられ且つ前側底面に連続するボディケース10の後側底面がフレーム20の高さ位置よりも下側に凹んでフレーム20の後方に延びて2つの車輪50の間に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力車により牽引される2輪の被牽引車両であって、
荷室空間を形成するボディケースと、
前記ボディケースが載せられるフレームと、
前記フレームの後端に配置される車軸と、
前記車軸の両端部それぞれを回転中心として回転可能に前記フレームの後端から後方に延びる2つのアームと、
前記アームそれぞれに取り付けられる2つの車輪とを備え、
前記ボディケースの前側底面が前記フレーム上に取り付けられ、且つ前記前側底面に連続する前記ボディケースの後側底面が前記フレームの高さ位置よりも下側に凹んで前記フレームの後方に延びて前記2つの車輪の間に設けられていることを特徴とする被牽引車両。
【請求項2】
下端側が前記アームに取り付けられ且つ当該アームから上方向に延びるサスペンションユニットを備え、前記サスペンションユニットの上端側は前記ボディケースのタイヤハウスに直付けで固定されることを特徴とする請求項1に記載の被牽引車両。
【請求項3】
前記ボディケースは、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)により形成されることを特徴とする請求項2に記載の被牽引車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力車(牽引車両)により牽引される被牽引車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、牽引車両によって牽引される被牽引車両について開示する。特許文献1の被牽引車両は、その車輪の位置を前後方向に調整する調整機構を備え、調整機構は、被牽引車両の積載重量が増加するにつれて車輪を後方へ次第に変位させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-190087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるように、車輪を荷台に対して相対的に後方に変位させることで、高車速域での直進安定性が向上することが期待できるが、本願発明者は、被牽引車の車輪を荷台に対して相対的に後方に配置することにより、被牽引車の外観性、意匠性の向上に着目した。すなわち、被牽引車の車輪を後方にずらすことで、被牽引車両の外観がいわゆるスポーティでかっこよい見映えとなる。
【0005】
しかしながら、車輪の数が2輪の被牽引車のボディ(荷台本体)に対して車輪を相対的に後方に配置すると、ボディと積載荷物の重量の重心位置と車輪の位置のずれが比較的大きくなりやすく、バランスが低下することから、積載重量が制限される。そのため、大きな荷室を確保できず利便性を損なうおそれがある。
【0006】
本願発明者は、2輪の車輪をボディに後方に配置した構成で、積載容量及び積載重量の減少を可能な限り抑えることができる被牽引車の構造について鋭意、研究開発を行い、今般、改良された新規な被牽引車両を開発するに至った。
【0007】
したがって、本発明の目的は、2輪の被牽引車両であって、その車輪をボディの後方に配置しつつ十分な荷物容量を確保することができる改良された新規の被牽引車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の被牽引車両は、動力車により牽引される2輪の被牽引車両であって、荷室空間を形成するボディケースと、前記ボディケースが載せられるフレームと、前記フレームの後端に配置される車軸と、前記車軸の両端部それぞれを回転中心として回転可能に前記フレームの後端から後方に延びる2つのアームと、前記アームそれぞれに取り付けられる2つの車輪とを備え、前記ボディケースの前側底面が前記フレーム上に取り付けられ、且つ前記前側底面に連続する前記ボディケースの後側底面が前記フレームの高さ位置よりも下側に凹んで前記フレームの後方に延びて前記2つの車輪の間に設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の被牽引車両は、好ましくは、さらに、下端側が前記アームに取り付けられ且つ当該アームから上方向に延びるサスペンションユニットを備え、前記サスペンションユニットの上端側は前記ボディケースのタイヤハウスに直付けで固定されることを特徴とする。
【0010】
前記ボディケースは、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)により形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の被牽引車両によれば、フレームの後方にボディケースを延長し、ボディケースのフレーム後端より後方を低床化し、荷室容量を拡大する。また、フレーム後端から後方に延びる延長部材であるアームに車輪を取り付けることで、車輪の配置位置をボディケースの後方とし、見映えのよい外観を有する被牽引車両が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態における被牽引車両の外観構成例を示す斜視図である。
図2】本実施の形態における被牽引車両が牽引車両と連結した状態を示す図である。
図3】本実施の形態における被牽引車両のボディケースの扉が開口した状態を示す外観構成例を示す斜視図である。
図4】本実施の形態における被牽引車両のフレームとボディケースの底面との位置関係を示す側面図である。
図5】本実施の形態における被牽引車両のフレームとボディケースの底面との位置関係を示す平面図である。
図6】本実施の形態における被牽引車両のフレームに取り付けられたアームの構成例を示す斜視図である。
図7】本実施の形態における被牽引車両のサスペンションユニットの取付状態を示す図である。
図8】本実施の形態における被牽引車両のボディケース内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の実施の形態について、具体的な図に基づいて説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態における被牽引車両の外観構成例を示す斜視図である。図2は、本実施の形態における被牽引車両が牽引車両と連結した状態を示す図である。図3は、本実施の形態における被牽引車両のボディケースの扉が開口した状態を示す外観構成例を示す斜視図である。図4は、本実施の形態における被牽引車両のフレームとボディケースの底面との位置関係を示す側面図である。図5は、本実施の形態における被牽引車両のフレームとボディケースの底面との位置関係を示す平面図である。図6は、本実施の形態における被牽引車両のフレームに取り付けられた回動可能なアームの構成例を示す斜視図である。
【0015】
図1乃至図6を参照して、本実施の形態における被牽引車両1は、例えば内燃機関や電気モータなどを動力とする動力車である牽引車両2により牽引される左右1輪ずつの2輪の被牽引車両であって、荷室空間を形成するボディケース10と、そのボディケース10が被せられるようにして載せられるフレーム20と、フレーム20の後端に配置される車軸30と、車軸30の両端部それぞれを回転中心として回転可能に後方に延びる2つのアーム40と、アーム40それぞれに取り付けられる2つの車輪50とを備え、ボディケース10の前側底面がフレーム20上に取り付けられ且つ前側底面に連続するボディケース10の後側底面がフレーム20の高さ位置よりも低い位置に凹んでフレーム20の後方に延びて2つの車輪50の間に設けられている構成である。
【0016】
ボディケース10は、樹脂製であり、フレーム20上に配置され固定されるアッパボディである。ボディケース10は、好ましくは繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)により形成される。繊維強化プラスチックを用いることにより、ボディケース自体がフレーム20とほぼ同等の高い強度剛性を有し、被牽引車両の強度計算において、ボディケースもフレームと実質的にみなされて構造部材となり、軽量且つ高剛性の車体構造を構築することができる。
【0017】
ボディケース10の形状は、繊維強化プラスチックを含む樹脂製とすることにより、さまざまな形状に作り上げることができ、図示されるような流線形状や、通常の箱型形状など、バリエーション豊富な形状に加工されうる。
【0018】
ボディケース10内部は、荷室空間を形成し、例えば図3に示すように、ボディケース10の上面に開口部11を有し、扉(蓋)12により開口部11を開閉する。扉(蓋)12は例えばヒンジ機構により開閉し、開く動作により、扉12は、ボディケース10の最前部の幅方向に延びるヒンジ機構を回転軸として、上方向に向かって開く。また、図4及び図5に示されるよう、ボディケース10の底面には、高さが異なる段差Sが形成され、車両の進行方向における前側底面13aに比べて、後側底面13bは下側に凹んで低く形成され、後側底面13bは、両側の車輪50の間に設けられる。図4及び図5において、概略的に、ボディケース10の外周部分が一点鎖線で示され、ボディケース10の内面が点線で表される。
【0019】
フレーム20は、金属製、好ましくは鋼製の骨組みであり、断面角型の鋼管を溶接等で結合し、必要な剛性を得られるように適宜補強部材を追加して組み立てられる。フレーム2の上にボディケース10の前側底面13aが載せられて固定される。フレーム20の後端には車軸30が車幅方向にフレーム20の両端にわたって配置される。車軸(シャフト)30は、断面が円形形状の鋼製の丸棒部材である。なお、車軸30に代わって、フレーム20の後端部分において車幅方向にわたって配置されるフレーム20の一部を構成する横断部材が用いられてもよい。また、車軸30は、フレーム20の構成要素とみなすこともできる。
【0020】
詳細には図6に示されるように、アーム40は、フレーム20の後端、すなわち車軸30の両端部からそれぞれ後方に延びる鋼製の2本の延長部材であり、各アーム40は、車軸30の端部に回転可能に取り付けられる。具体的には、各アーム40の一端は、車軸30の端部にベアリング(図示せず)を介して車軸30の端部を回転中心として回転可能(旋回可能)に取り付けられる。
【0021】
フレーム20の後端から後方に延びるアーム40の先端部には車輪取付部41が設けられ、アーム40それぞれの車輪取付部41に、車輪50のホイールが回転可能に取り付けられる。車輪50は、ホイールとそれに取り付けられたタイヤを有し、ホイールの中心軸がアーム40の先端部の車輪取付部41に同軸に取り付けられる。また、アーム40の延長部分には、後述するサスペンションユニット60の下端部が取り付けられるサスペンション取付部41が設けられる。
【0022】
ボディケース10は、長さ方向において、フレーム20の前端から後端を経て車輪50の後方まで延びる。ボディケース10の底面には、高さが異なる段差Sが形成され、フレーム20上に載っているボディケース10部分の底面(前側底面)13aに対して、フレーム20の後端より後側のボディケース10部分の底面(後側底面)13bは、フレーム20の高さ位置より下側に凹み、前側底面13aより低く形成され、後側底面13bは、両側の車輪50の間に設けられる。車輪50の配置位置を、フレーム20の後端からさらにアーム40により後方にシフトさせることで、フレーム20後端の後方側にスペースができ、ボディケース10の底面高さをフレーム20の高さ位置よりも低い位置まで下げることができ、それにより、高さ方向に荷室を拡大し、荷室容量を増大させることができる。また、車輪50の配置位置をボディケース10の後方側、好ましくは最後部までシフトさせることで、被牽引車両の見映えのよい外観を形成することができる。
【0023】
図7は、本実施の形態における被牽引車両のサスペンションユニットの取付状態を示す図である。本実施の形態における被牽引車両1は、さらに、下端部がアーム40の後方延長部分に取り付けられ、そのアーム40から上方向に延びるサスペンションユニット(ショックアブソーバ)60を備え、サスペンションユニット60の上端部61はボディケース10のタイヤハウス14に直付けで固定される。サスペンションユニット60は、その上端部61がボディケース10のタイヤハウス14にボルト締めにより取り付けられ、下端部62はアーム40の後方延長部分にあるサスペンション取付部41に取り付けられる。ボディケース10を繊維強化プラスチックにて製作することにより、ボディケース10はフレーム20とともにモノコックボディを形成し、構造部材として、サスペンションユニット60を支持することができる。
【0024】
図8は、本実施の形態における被牽引車両のボディケース内部を示す斜視図である。扉(蓋)12の図示を省略し、開口部11から見えるボディケース10の内部が示される。ボディケース10は、好ましくは繊維強化プラスチック製のモノコックボディであり、ユーザは、扉(蓋)12を開けて、上面側の開口部11から内部にアクセス可能であり、内部の荷室空間は、上述したように、その底面に段差Sが形成され、後側底面13bは、前側底面13aより低く、且つフレーム20の高さ位置よりも下に凹んで広がっている。
【0025】
ボディケース10の長さに対して、フレーム20の長さを短くし、フレーム20をボディケース10の長さ方向に対して相対的に前方に配置することで、ボディケース10の後方を低床化し、荷室容量を拡大する。また、フレーム20の後端から後方に延びる延長部材であるアーム40に車輪50を取り付けることで、車輪の配置位置をボディケース10の後方(好ましくは最後部)とし、見映えのよい外観・スタイルを有する被牽引車両が実現できる。
【0026】
以上に説明したように、本発明によれば、見映えの良い外観と拡大した荷室容量を両立した被牽引車両を提供できる。
【0027】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の分野における通常の知識を有する者であれば想到し得る、各種変形、修正を含む、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても、本発明に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1:被牽引車両、2:牽引車両、10:ボディケース、11:開口部、12:扉(蓋)、13a:前側底面、13b:後側底面、20:フレーム、30:車軸、40:アーム、50:車輪、60:サスペンションユニット、S:段差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8